JP2011135678A - 磁束量可変回転電機システム - Google Patents

磁束量可変回転電機システム Download PDF

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義和 市山
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Abstract

【課題】
エネルギー効率の良い磁束量可変回転電機システムを提供する。
【解決手段】
二つの回転子が電機子の軸方向両端に配置された構造であり,回転子表面には互いに磁気的に離隔された第一,第二磁性体突極を周方向に交互に有し,二つの回転子に於ける第一磁性体突極同士が電機子を介して軸方向に並ぶ構造であり,さらに二つの回転子に於ける第一磁性体突極同士を外周側で磁気的に繋ぐ磁性体外筒,第二磁性体突極同士を磁気的に繋ぐ磁性体内筒を有して磁性体外筒,磁性体内筒には界磁磁石を配置する。更に磁性体外筒と電機子間,電機子と磁性体内筒間に励磁コイルを有し,励磁コイルにより界磁磁石の磁化を不可逆的に変え,電機子コイルと鎖交する磁束量を制御する事が出来る。
【選択図】 図1

Description

本発明は,永久磁石界磁を持つ発電機,電動機を含む回転電機システムに関する。
永久磁石界磁と電機子との相対的回転によって電磁的に生ずる電力を取り出す発電機,或いは電機子に供給する電流によって生ずる磁界と永久磁石界磁との相互作用により永久磁石界磁と電機子との相対的回転を生ずる電動機等の回転電機装置はエネルギー効率に優れ,永久磁石の技術的進歩に伴い日常的に広く使われている。しかし強力な永久磁石はレアアース素材を必須とするが,資源が限られ,レアアース素材を使わない,或いはレアアースの使用量を少に出来る回転電機が望まれている。また,磁石励磁の回転電機は、界磁磁石からの磁束が一定であるので電動機として或いは発電機として用いられるにしても広い回転速度範囲で常に最適の出力が得られる訳ではなく,界磁制御もまた大きな課題である。
すなわち,電動機の場合は高速回転域では逆起電力(発電電圧)が高すぎる結果となって制御が困難となり,弱め界磁制御として界磁強度を弱める種々の手段が提案されている。また発電機の場合,広い回転速度範囲に於いて発電電圧を所定のレベルとする為に専ら界磁電流制御による定電圧発電機或いは半導体による発電電圧の定電圧化回路が用いられている。
電動機では進み位相電流による弱め界磁制御が広く採用されているが,エネルギー効率,制御範囲には限界がある。磁石励磁回転電機に於けるエネルギー効率の高さを犠牲にすることなく,回転電機の界磁制御を機械的な偏倚により行う試みがある(例えば特許第4243651号)。これは界磁条件を機械的な偏倚として保持できるので界磁制御に伴うエネルギー損失を最小限に留めて高エネルギー効率の回転電機を実現出来る。
エネルギー損失を最小限に留める他の界磁制御方法は,回転電機の運転中に界磁磁石の磁化状態を不可逆的に変更することであり,特開2006−280195,特開2008−048514,特開2008−125201等の技術提案がある。これらは電機子と対向する回転子磁極を高低の抗磁力を持つ永久磁石で構成し,電機子コイルの作る磁界により低抗磁力の永久磁石の磁化を変更しようとしている。しかしながら,電機子コイルの作る駆動磁界に常に曝される位置への低抗磁力磁石の存在,また電機子コイルのみの作る磁界によって磁化変更可能な低抗磁力磁石の存在は予見し難い事故により前記永久磁石の磁化が不安定になる可能性が常にあり,システムの安定性には重大な懸念が残る。
アキシャルギャップ構造の回転電機装置に於ける界磁制御の提案としては,特開2009−273231に電流励磁の提案例がある。しかし,この提案例では突極間に配置された永久磁石からの磁束が内周及び外周の磁性体円筒を介して短絡するので前記永久磁石から十分な磁束量を電機子側に供給できない場合がある。また,界磁制御に際して励磁コイルに常時電流を供給しなければならず,エネルギー効率面に課題が残る。
また,一方で電機子と対向する回転子の磁極にはエネルギー積が大のレアアース磁石を用いる事が多いが,コスト高であり,低コストを可能とする回転電機も求められている。
したがって,本発明が解決しようとする課題は,レアアース素材を用いる磁石の使用量を小に出来る回転電機,界磁磁石の磁化を変えて強め,弱め界磁を実現する回転電機システム及び磁束量制御方法を提供する事である。
請求項1の発明による回転電機システムは,回転子,電機子,回転子が軸方向に微小間隙を介してこの順で並び,それぞれの回転子は電機子との対向面に於いて少なくとも磁気的な空隙を含む離隔部分を介して互いに離隔された第一磁性体突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有すると共に二つの回転子の第一磁性体突極同士は電機子を介して軸方向に対向するよう構成され,電機子は軸とほぼ平行な磁性体歯と,磁性体歯に巻回された電機子コイルとが互いに磁気的に離隔されるよう周方向に配置されて磁性体歯の軸方向両端でそれぞれ回転子と対向し,二つの回転子と,電機子とが相対的に回転可能に構成された回転電機装置であって,さらにそれぞれの回転子の第一磁性体突極同士を互いに異極に磁化する第一励磁部と,それぞれの回転子の第二磁性体突極同士を互いに異極に磁化する第二励磁部とを有し,第一励磁部は電機子の外周に配置されると共に両端が二つの回転子の第一磁性体突極とそれぞれ磁気的に結合された磁性体外筒と,磁性体外筒を含む二つの回転子の第一磁性体突極間の磁路を二分するよう配置された界磁磁石とを有して構成され,第二励磁部は電機子の内周に配置されると共に両端が二つの回転子の第二磁性体突極とそれぞれ磁気的に結合された磁性体内筒と,磁性体内筒を含む二つの回転子の第二磁性体突極間の磁路を二分するよう配置された界磁磁石とを有して構成される事を特徴とする。
回転子,電機子,回転子が軸方向に並ぶダブルロータ構造の回転電機装置である。電機子は軸とほぼ平行な磁性体歯と,磁性体歯に巻回された電機子コイルとが互いに磁気的に離隔されるよう周方向に配置されて磁性体歯の軸方向両端でそれぞれ回転子と対向する。それぞれの回転子は電機子との対向面に於いて少なくとも磁気的な空隙を介して互いに離隔された第一磁性体突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有すると共に二つの回転子の第一磁性体突極同士は互いに電機子を介して軸方向に対向するよう構成される。
二つの回転子の第一磁性体突極及び磁性体歯を含む磁路に磁束を供給するよう磁性体外筒及び界磁磁石が電機子の外周側に配置され,二つの回転子の第二磁性体突極及び磁性体歯を含む磁路に磁束を供給するよう磁性体内筒及び界磁磁石が電機子の内周側に配置される。第一及び第二励磁部はそれぞれの回転子内に於いて周方向に隣接する第一磁性体突極及び第二磁性体突極を互いに異極に磁化するよう構成する。第一磁性体突極及び第二磁性体突極はそれぞれ界磁磁石によって磁化されるが,界磁磁石は回転子の磁極外に配置されるのでスペース的に余裕があり,十分な長さを持つアルニコ磁石或いはフェライト磁石等の低抗磁力磁石を採用する事が出来る。
回転電機は電機子コイルへの電流を入力として回転力を出力とすれば電動機であり,回転力を入力として電機子コイルから電流を出力すれば発電機である。電動機或いは発電機に於いて最適の磁極構成は存在するが,可逆的であり,上記の回転電機システムは電動機,発電機の何れにも適用される。
請求項2の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,さらに第一励磁部は磁性体外筒の内周側に電機子を巻回するよう配置された励磁コイルを有し,第二励磁部は電機子の内周側に磁性体内筒を巻回するよう配置された励磁コイルを有し,励磁コイルに供給する電流によって界磁磁石の磁化状態を変更及び或いは励磁コイルの生成する磁束量を変えて電機子を流れる磁束量を変える事を特徴とする。
第一励磁部及び第二励磁部は更に励磁コイルを有し,励磁コイルに供給される電流により界磁磁石の磁化状態を不可逆的に変え,或いは励磁コイルに供給される電流により生成される磁束により電機子を流れる磁束量を制御する。また,励磁コイルに供給される電流により,界磁磁石の磁化状態を不可逆的に変え,界磁磁石の各磁化状態に於いて磁化状態を変えない程度の磁束調整電流を励磁コイルに供給して電機子を流れる磁束量を調整する。
請求項3の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一磁性体突極と第二磁性体突極間に配置される離隔部分の磁気抵抗は電機子と二つの回転子との微小間隙に於ける磁気抵抗の和より大となるよう前記離隔部分の対向面積と厚みとが設定されている事を特徴とする。
界磁磁石からの磁束は電機子を介する磁路と,磁性体外筒及び磁性体内筒を介する磁路とを介して環流する。第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の離隔部分の磁気抵抗を電機子と二つの回転子との微小間隙に於ける磁気抵抗の和より大に設定して界磁磁石からの磁束の大部分が電機子を介して流れるよう設定する。磁気的な間隙に於ける磁気抵抗は対向面積に逆比例し,間隙長に比例する。第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の離隔部分が永久磁石を含む場合は永久磁石を非磁性体と見なして磁気抵抗を計算する。
請求項4の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の離隔部分は永久磁石を含んで第一磁性体突極及び第二磁性体突極は互いに異なる極性に磁化され,且つ二つの回転子の第一磁性体突極同士は互いに異なる極性として電機子を介して軸方向に対向するよう構成される事を特徴とする。第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の離隔部材に永久磁石を配置して第一磁性体突極及び第二磁性体突極を介して磁性体歯に流れる磁束量を増す構成である。
請求項5の発明は,請求項4記載の回転電機システムに於いて,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石は,磁性体と磁性体の二つの側面に配置された略同方向の磁化を有する永久磁石とで構成された集合磁石であって,集合磁石を構成する前記磁性体は更に非磁性体を介して第一磁性体突極及び第二磁性体突極から離隔されるよう構成される事を特徴とする。両側に略同じ方向の磁化を持つ永久磁石が配置された磁性体は磁気的に永久磁石と等価な集合磁石である。集合磁石の磁性体部分には非磁性体を配置して第一磁性体突極及び第二磁性体突極から離隔されるよう構成する。
請求項6の発明は,請求項4記載の回転電機システムに於いて,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の離隔部分が含む永久磁石は界磁磁石より抗磁力が大である事を特徴とする。第一及び第二励磁部の励磁コイルが発生させる磁束の一部は界磁磁石と,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置されている永久磁石とを直列に接続する磁路に流れ,界磁磁石及び永久磁石内に磁界が印可される。第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の永久磁石の磁化状態は安定に維持しなければならないので永久磁石の抗磁力は界磁磁石の抗磁力より大の磁石素材で構成する。
請求項7の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一及び第二励磁部に配置された界磁磁石の磁化方向長さは電機子と二つの回転子間の間隙長の和より大である事を特徴とする。第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置されている永久磁石からの磁束は磁性体歯を含む磁路に流れるが,同時に第一及び第二励磁部に配置された界磁磁石を含む磁路にも流れようとするので界磁磁石の磁化方向長さは第一回転子及び電機子間の間隙長と電機子及び第二回転子間の間隙長との和より大として前記永久磁石の磁束が短絡し難いよう構成する。
請求項8の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,界磁磁石は磁化方向長さと抗磁力の積が異なる磁石要素の並列接続として構成され,界磁磁石は互いに逆方向である第一磁化,第二磁化の何れかの磁化を有する磁石要素を少なくとも有し,第一磁化を有する磁石要素は第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する事を特徴とする。
界磁磁石は磁化容易さ(すなわち,磁化方向長さと抗磁力の積)の異なる一以上の磁石要素が並列に接続される構成,或いは断面内で磁化容易さが連続的に変わる磁石で構成される。励磁コイル及び電機子コイルによる起磁力(磁気ポテンシャル差)はほぼ均等に制御磁石を構成する磁石要素に加えられ,起磁力を磁化方向長さで除した値が各磁石要素に加わる磁界強度となるので磁化方向長さと抗磁力の積の小さな磁石要素が磁化されやすく,励磁コイルに加えられる電流により並列接続された磁石要素の磁化状態は選択的に制御される。第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する磁石要素は電機子コイルと鎖交する磁束量が増すので第一磁化である。
請求項9の発明による回転電機システムは,回転子,電機子,回転子が軸方向に微小間隙を介してこの順で並び,それぞれの回転子は電機子との対向面に於いて少なくとも永久磁石を介して互いに離隔され且つ互いに異なる極性に磁化された第一磁性体突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有すると共に二つの回転子の第一磁性体突極同士は互いに異なる極性として電機子を介して軸方向に対向するよう構成され,電機子は軸とほぼ平行な磁性体歯と,磁性体歯に巻回された電機子コイルとが互いに磁気的に離隔されるよう周方向に配置されて磁性体歯の軸方向両端でそれぞれ回転子と対向し,二つの回転子と,電機子とが相対的に回転可能に構成された回転電機装置であって,さらにそれぞれの回転子の第一磁性体突極同士を互いに異極に磁化する第一励磁部と,それぞれの回転子の第二磁性体突極同士を互いに異極に磁化する第二励磁部とを有し,第一励磁部は電機子の外周に配置されると共に両端が二つの回転子の第一磁性体突極とそれぞれ磁気的に結合された磁性体外筒と,磁性体外筒を含む二つの回転子の第一磁性体突極間の磁路を二分するよう配置された界磁磁石と,磁性体外筒の内側に電機子を巻回するよう配置された励磁コイルとを有して構成され,第二励磁部は電機子の内周に配置されると共に両端が二つの回転子の第二磁性体突極とそれぞれ磁気的に結合された磁性体内筒と,磁性体内筒を含む二つの回転子の第二磁性体突極間の磁路を二分するよう配置された界磁磁石と,磁性体内筒を巻回するよう電機子より内周側に配置された励磁コイルとを有して構成され,回転電機装置の出力を最適化するよう前記出力に応じて励磁コイルに供給される電流により前記界磁磁石の磁化状態を変え,電機子に流れる磁束量が制御される事を特徴とする。
回転子,電機子,回転子が軸方向に並ぶダブルロータ構造の回転電機装置である。電機子は軸とほぼ平行な磁性体歯と,磁性体歯に巻回された電機子コイルとが互いに磁気的に離隔されるよう周方向に配置されて磁性体歯の軸方向両端でそれぞれ回転子と対向する。二つの回転子は電機子との対向面に於いて少なくとも永久磁石を介して互いに離隔され且つ互いに異なる極性に磁化された第一磁性体突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有すると共に二つの回転子の第一磁性体突極同士は互いに異なる極性として電機子を介して軸方向に対向するよう構成される。
二つの回転子の第一磁性体突極及び磁性体歯を含む磁路に磁束を供給するよう磁性体外筒及び励磁コイル及び界磁磁石が電機子の外周側に配置され,二つの回転子の第二磁性体突極及び磁性体歯を含む磁路に磁束を供給するよう磁性体内筒及び励磁コイル及び界磁磁石が電機子の内周側に配置され,回転電機装置の出力を最適化するよう前記出力に応じて前記界磁磁石の磁化状態を励磁コイルにより変え,電機子に流れる磁束量を制御する。
第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石は電機子コイルによって磁化変更され難い永久磁石で構成されるとして,界磁磁石は電機子コイルの作る駆動磁界の影響を受け難く,励磁コイルによって磁化変更可能に磁化容易さである磁化方向長さと抗磁力の積が設定される。
請求項10の発明は,請求項9記載の回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,回転力を入力とし,発電電力を出力とする回転電機システムであって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する界磁磁石内の磁石要素を第一磁化とし,電機子コイルに誘起される発電電圧が所定の値より大の時は制御装置により第一磁化の磁極面積を減じるよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて電機子を流れる磁束量が小とされ,電機子コイルに誘起される発電電圧が所定の値より小の時は制御装置により界磁磁石内の第一磁化の磁極面積を増すよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて電機子を流れる磁束量が大とされ,発電電圧が所定の値に制御される事を特徴とする。
請求項11の発明は,請求項9記載の回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転力を出力とする回転電機システムであって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する界磁磁石内の磁石要素を第一磁化とし,回転速度が所定の値より大で電機子を流れる磁束量を減少させる時には制御装置により第一磁化の磁極面積を減じるよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて第一磁化の磁極面積を減じて電機子を流れる磁束量が小とされ,回転速度が所定の値より小で電機子を流れる磁束量を増大させる時には制御装置により界磁磁石内の第一磁化の磁極面積を増すよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて電機子を流れる磁束量が大とされ,回転力が最適に制御される事を特徴とする。
請求項12の発明は,請求項9記載の回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転力を出力とする回転電機システムであって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する界磁磁石内の磁石要素を第一磁化とし,回転速度を減少させる場合には制御装置により電機子コイルにバッテリーを接続すると共に界磁磁石内の第一磁化の磁極面積を変えるよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて第一磁化の磁極面積を変えて電機子を流れる磁束量を変え,回転エネルギーが発電電力として取り出されると共に制動力が制御される事を特徴とする。
請求項13の発明は,回転子,電機子,回転子が軸方向に微小間隙を介してこの順で並び,それぞれの回転子は電機子との対向面に於いて少なくとも磁気的な空隙を介して互いに離隔された第一磁性体突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有すると共に二つの回転子の第一磁性体突極同士は電機子を介して軸方向に対向するよう構成され,電機子は軸とほぼ平行な磁性体歯と,磁性体歯に巻回された電機子コイルとが互いに磁気的に離隔するよう周方向に配置して磁性体歯の軸方向両端でそれぞれそれぞれ回転子と対向させ,二つの回転子と,電機子とが相対的に回転可能に構成された回転電機装置の磁束量制御方法であって,さらにそれぞれの回転子の第一磁性体突極を互いに異極に磁化する第一励磁部と,それぞれの回転子の第二磁性体突極を互いに異極に磁化する第二励磁部とを有し,第一励磁部は電機子の外周に配置すると共に両端が二つの回転子の第一磁性体突極とそれぞれ磁気的に結合した磁性体外筒と,磁性体外筒を含む二つの回転子の第一磁性体突極間の磁路を二分するよう配置した界磁磁石と,磁性体外筒の内側に電機子を巻回するよう配置した励磁コイルとを有して構成し,第二励磁部は電機子の内周に配置すると共に両端が二つの回転子の第二磁性体突極とそれぞれ磁気的に結合した磁性体内筒と,磁性体内筒を含む二つの回転子の第二磁性体突極間の磁路を二分するよう配置した界磁磁石と,磁性体内筒を巻回するよう電機子より内周側に配置した励磁コイルとを有して構成し,前記界磁磁石の磁化状態を励磁コイルに供給される電流によって不可逆的に変更するよう構成し,前記界磁磁石の磁化状態を変え,或いは及び励磁コイルに供給する電流を変えて電機子に流れる磁束量を制御する磁束量制御方法である。
本発明によれば,アキシャルギャップ・ダブルロータ構造の回転電機に於いて,互いに隣接する第一磁性体突極及び第二磁性体突極をそれぞれ一括して励磁する第一励磁部及び第二励磁部を有し,それぞれの励磁部は界磁磁石を有して第一磁性体突極及び第二磁性体突極を互いに異極に磁化する。界磁磁石はスペースに余裕があるので低抗磁力に磁石を用いる事が出来る。さらにそれぞれの励磁部は界磁磁石及び励磁コイルとを有して界磁磁石の磁化状態を励磁コイルにより不可逆的に変えて電機子と鎖交する磁束量を変える。界磁磁石の磁化状態を間歇的に変え,回転電機の出力最適化を図る事が出来るのでエネルギー効率の良い回転電機を実現できる。
第一の実施例による回転電機の縦断面図である。 図2(a)は図1に示された左側の回転子の表面を左から見て透視した平面図であり,図2(b)は図1に示された電機子を左側の回転子側から見た平面図である。 回転子,電機子,回転子を図2(a),(b)のA−A’に沿って示す周方向断面図である。 磁性体外筒,制御磁石,右側の回転子の磁極部の構成を示す斜視図である。 磁束量制御を行う回転電機システムのブロック図を示す。 第二の実施例による回転電機の縦断面図である。 図7(a)は図6に示された左側の回転子の表面を左から見て透視した平面図であり,図7(b)は図6に示された電機子を左側の回転子側から見た平面図である。 回転子,電機子,回転子を図7(a),(b)のB−B’に沿って示す周方向断面図である。 磁性体外筒,制御磁石,右側の回転子の磁極部の構成を示す斜視図である。 第三の実施例による回転電機の縦断面図である。 図11(a)は図10に示された左側の回転子の表面を左から見て透視した平面図であり,図11(b)は図10に示された電機子を左側の回転子側から見た平面図である。 回転子,電機子,回転子を図11(a),(b)のC−C’に沿って示す周方向断面図である。 磁性体外筒,制御磁石,右側の回転子の磁極部の構成を示す斜視図である。 第四の実施例による回転電機システムのブロック図である。
以下に本発明による回転電機システムについて,その実施例及び原理作用等を図面を参照しながら説明する。
本発明による回転電機システムの第一実施例を図1から図5を用いて説明する。第一実施例は,アキシャルギャップ・ダブルローター構造の回転電機であり,二つの回転子を一体化させた回転電機システムである。
図1はアウターロータ構造の回転電機に本発明を適用した実施例を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。ロータハウジング12がベアリング13を介して固定軸11に回動可能に支持されている。固定軸11には電機子が固定され,固定軸11と平行の磁性体歯14及び電機子コイル16が電機子支持体15に周方向に配置されている。番号17は磁性体歯の先端部を含む磁性体歯板を示す。
電機子と軸方向に対向する二つの回転子はロータハウジング12の内側側面に配置され,一体化されている。図1に於いて左側の回転子の表面磁極部を構成する第一磁性体突極18,第二磁性体突極19はロータハウジング12の左側面に,右側の回転子の表面磁極部を構成する第一磁性体突極1c,第二磁性体突極1dはロータハウジング12の右側面にそれぞれ配置されている。第一磁性体突極18と第一磁性体突極1c,第二磁性体突極19と第二磁性体突極1dはそれぞれ電機子を介して軸方向に対向している。さらに第一磁性体突極18と第二磁性体突極19は非磁性体1a,1bにより磁気的に互いに離隔されている。第一磁性体突極1cと第二磁性体突極1dも非磁性体1e,1fにより磁気的に互いに離隔されている。
電機子の外周側に第一励磁部,内周側に第二励磁部が配置されている。ロータハウジング12の内周面には磁性体外筒1gが配置されてその両端は第一磁性体突極18,1cの外周方向への延長部分とそれぞれ結合され,電機子を周回するよう巻回された励磁コイル1hが電機子と磁性体外筒1g間に配置されている。さらに磁性体外筒1gは固定軸11と鋭角を為す平面で二分されてその間に界磁磁石1jが配置されている。すなわち,第一励磁部は磁性体外筒1g,界磁磁石1j,励磁コイル1hより構成されている。
電機子の内周側には磁性体内筒1kが配置され,その両端は微小間隙を介して第二磁性体突極19,1dの内周方向への延長部分とそれぞれ対向している。磁性体内筒1kを周回するよう巻回された励磁コイル1mが電機子と磁性体内筒1k間に配置されている。さらに磁性体内筒1kは固定軸11と鋭角を為す平面で二分されてその間に界磁磁石1nが配置されている。第二励磁部は磁性体内筒1k,界磁磁石1n,励磁コイル1mより構成されている。励磁コイル1h,励磁コイル1mは互いに逆方向の磁束を発生するよう直列に接続されている。
図2(a)は左側の回転子の表面を図1に於いて左から見て透視した平面図を示し,図2(b)は電機子を左側の回転子側から見た平面図を示している。図2(a)に示す回転子の表面は一様な磁性体基板を周方向にほぼ等間隔に配置された集合磁石21によって区分して第一磁性体突極18及び第二磁性体突極19が形成され,さらに隣り合う集合磁石21の周方向磁化は反転されて第一磁性体突極18と第二磁性体突極19とは互いに異極に磁化されている。集合磁石21の具体的な構成は図3を参照して説明される。第一磁性体突極18は外周部に延伸されて円環状の接続部を持ち,その円環状の接続部と第二磁性体突極19は非磁性体1bにより,磁気的に離隔されている。
第二磁性体突極19は内周側に延伸されて円環状の接続部を持ち,その円環状の接続部と第一磁性体突極18とは非磁性体1aにより磁気的に離隔されている。回転子の表面に於いて第一磁性体突極18と第二磁性体突極19は薄い磁性体で繋がって一体化されているので表面から第一磁性体突極18と第二磁性体突極19間の集合磁石21は見えないが判りやすいように区分して示されている。右側の回転子の表面は図示されていないが,図2(a)に示す左側の回転子と同様な構成である。
図2(b)は電機子,励磁コイル1h,磁性体内筒1k,励磁コイル1m等を左側の回転子側から見た平面図に示している。磁性体歯14及び磁性体歯14に巻回された電機子コイル16が周方向にほぼ等間隔で配置され,その外周側に励磁コイル1hが電機子を周回するよう配置され,電機子の内周側には励磁コイル1m,磁性体内筒1kが示されている。磁性体歯14の先端部は磁性体歯板17内の磁性体部として分離されているので図2(b)に示す磁性体歯14は磁性体歯板17内の磁性体部を示している。磁性体歯14の先端部である磁性体歯板17内の磁性体部は非磁性体部22を介して対向する構成である。
図3は電機子及び二つの回転子の周方向断面を図2(a),2(b)に示したA−A’に沿って示す図である。同図により回転子の磁極構成及び電機子の構成を説明する。
二つの回転子の表面磁極部は一様な磁性体基板を略周方向磁化を持つ集合磁石で周方向に区分した第一磁性体突極突極18及び第二磁性体突極19を周方向に交互に有している。中間磁性体突極31はその両側に配置された略同一方向の磁化を有する磁石板33,34と共に集合磁石を構成し,第一磁性体突極18及び第二磁性体突極19間に配置された集合磁石の略周方向の磁化方向は交互に反転され,第一磁性体突極18をN極に第二磁性体突極19をS極に磁化している。番号32はさらに第一磁性体突極18の側面に配置されている磁石板を,番号35は第二磁性体突極19の側面に配置されている磁石板をそれぞれ示している。
第一磁性体突極18と第二磁性体突極19間の離隔部分は非磁性体1b,1a及び磁石板33,34に相当している。中間磁性体突極31を含む集合磁石は外周側及び内周側に於いて非磁性体1b,1aを介して第一磁性体突極18及び第二磁性体突極19から離隔されている。
右側の回転子に於いて,中間磁性体突極37はその両側に配置された略同一方向の磁化を有する磁石板39,3aと共に集合磁石を構成し,第一磁性体突極1c及び第二磁性体突極1d間に配置された集合磁石の略周方向の磁化方向は交互に反転され,第一磁性体突極1cをS極に第二磁性体突極1dをN極に磁化している。番号38はさらに第一磁性体突極1cの側面に配置されている磁石板を,番号3bは第二磁性体突極1dの側面に配置されている磁石板をそれぞれ示している。
第一磁性体突極1cと第二磁性体突極1d間の離隔部分は非磁性体1e,1f及び磁石板39,3aに相当している。中間磁性体突極37を含む集合磁石は外周側及び内周側に於いて非磁性体1f,1eを介して第一磁性体突極1c及び第二磁性体突極1dから離隔されている。
電機子は磁性体歯14及び磁性体歯14に巻回された電機子コイル16が周方向に配置され,軸方向の両端には磁性体歯板17が配置されている。磁性体歯板17は非磁性体部22と磁性体部3dが周方向に交互に配置された構造であり,磁性体部3dは磁性体歯14の先端部を構成し,隣接する磁性体歯の先端部が磁気的な空隙(非磁性体部22)を介して対向する構成に於いて,その先端部を磁性体歯板17として分離した構造である。予め電機子コイル16が巻回された磁性体歯14を周方向に配置した後,磁性体歯板17を磁性体歯14の軸方向両端に配置して電機子は組み立てられる。このように磁性体歯板17を採用する構成により電機子コイル16の巻回が容易となり,電機子コイル16には低電気抵抗の太い銅線を使用できる。番号3cは磁性体部3d表面に設けた凹部を示し,電機子と回転子間の磁気的な軸方向吸引力を軽減する為に設けられている。
図1及び図3及び図4を用いて第一及び第二励磁部の構成及び動作原理を説明する。図4は磁性体外筒,界磁磁石,右側の回転子の表面磁極部の構成を示す斜視図であり,ロータハウジング12,固定軸11を除いて示している。
図1に示される磁性体外筒1gは固定軸11と鋭角を為す平面で磁性体外筒半部41,42に分割され,磁性体外筒半部41,42間に界磁磁石1jが配置されている。界磁磁石1jは抗磁力の異なる2種の磁石要素43,44により構成され,図4では抗磁力が大の磁石要素43,抗磁力が小の磁石要素44が交互に配置されている。さらに図4の右端には右側の回転子の表面磁極部が示され,中間磁性体突極37が外周部及び内周部で非磁性体1f,1eによって第一磁性体突極1c,第二磁性体突極1dから離隔されている様子が示されている。図1に示されている磁性体内筒1k及び界磁磁石1nの斜視図は示されていないが磁性体外筒1g及び界磁磁石1jの構成と同様である。
図3に示した第一磁性体突極18と第二磁性体突極19間に配置されている磁石板32,33,34,35,第一磁性体突極1cと第二磁性体突極1d間に配置されている磁石板38,39,3a,3bからの磁束が流れる磁路は複数存在する。すなわち,磁石板34からの磁束が中間磁性体突極31,磁石板33,第一磁性体突極18,磁性体歯14,第一磁性体突極1c,磁石板39,中間磁性体突極37,磁石板3a,第二磁性体突極1d,磁性体歯14,第二磁性体突極19を介して環流する磁路を主磁路とし,磁石板34からの磁束が中間磁性体突極31,磁石板33,第一磁性体突極18,磁性体外筒1g,界磁磁石1j,第一磁性体突極1c,磁石板39,中間磁性体突極37,磁石板3a,第二磁性体突極1d,磁性体内筒1k,界磁磁石1n,第二磁性体突極19を介して環流する磁路であるバイパス磁路が存在する。磁石板32,33,34,35,38,39,3a,3bから流れる大部分の磁束が電機子コイル16と鎖交するよう主磁路の磁気抵抗をバイパス磁路の磁気抵抗より小にする事が望ましく,本実施例では少なくとも界磁磁石1j,1nの磁化方向長さが電機子と二つの回転子間,それぞれの空隙長の和より大に設定されている。
電機子コイル16により回転子が回転駆動される場合,電機子コイル16により磁性体歯14に生起された駆動磁束は回転子の表面磁極を流れると共に磁性体外筒1g,磁性体内筒1kにも流れる可能性がある。すなわち,磁性体歯14から第一磁性体突極18に流れる磁束は磁石板33,中間磁性体突極31,磁石板34,第二磁性体突極19,磁性体歯14,第二磁性体突極1d,磁石板3a,中間磁性体突極37,磁石板39,第一磁性体突極1cを介して環流する。さらに第一磁性体突極18,磁性体外筒1g,界磁磁石1j,第一磁性体突極1cを介して環流する磁路も存在する。磁性体歯14から第二磁性体突極19に流れる駆動磁束は界磁磁石1nを含む磁路を介して環流する。
駆動磁束の流れる方向が界磁磁石1j,1nの磁化方向と逆である場合には界磁磁石1j,1nの磁化状態が損なわれる可能性がある。また駆動磁束の流れる方向が磁石板33,34,39,3aの磁化方向と逆である場合,これらの磁石板は磁気的な空隙と見なされるので第一磁性体突極と第二磁性体突極間の永久磁石の厚みの総和,すなわち磁石板33の厚みと磁石板34の厚みの和,磁石板39の厚みと磁石板3aの厚みの和の2倍以上に界磁磁石1j,1nの磁化方向長さが設定されている。この設定により駆動磁束は界磁磁石1j,1nを含む磁路に流れ難く,界磁磁石1j,1nを含む磁路に流れても界磁磁石1j,1n内の磁界強度は界磁磁石両端の磁気ポテンシャル差を磁化方向長さで除した値であって小となるので界磁磁石1j,1nの磁化状態は駆動磁束の影響を受け難い。
磁石要素43の磁極面積と残留磁束密度との積は磁石要素44の磁極面積と残留磁束密度との積にほぼ等しく設定され,図4では磁石要素43,44の磁化方向は互いに逆であるので磁石要素43,44からの磁束は互いに相殺されて磁性体外筒1gから第一磁性体突極18,1cには供給されない。磁性体外筒1gから第一磁性体突極18,1cに供給される磁束量は磁石要素43,44の磁化状態により3通り有る。同様に磁性体内筒1kから第二磁性体突極19,1dに供給される磁束量も界磁磁石1nを構成する磁石要素の磁化状態により3通り有る。
電機子コイル16と鎖交する磁束量を最大にする場合は,図1に示すように界磁磁石1j,1nが第一磁性体突極18,1c及び第二磁性体突極19,1dを磁石板32,33,34,35,38,39,3a,3bが磁化すると同じ極性に磁化する場合である。したがって,界磁磁石1jに於いて左方向の磁化が第一磁化であり,右方向の磁化が第二磁化である。界磁磁石1nに於いては右方向の磁化が第一磁化であり,左方向の磁化が第二磁化である。図1に示す界磁磁石1jの磁化状態は磁石要素43,44が共に第一磁化に相当する状態である。この場合,界磁磁石1jから流れる磁束は磁性体外筒半部41,第一磁性体突極18,磁性体歯14,第一磁性体突極1c,磁性体外筒半部42を介して環流する。界磁磁石1nから流れる磁束は第二磁性体突極19,1d,磁性体歯14を介して環流する。
逆に電機子コイル16と鎖交する磁束量を最小にする場合は,磁石要素43,44が共に第二磁化に相当する状態であり,図1に示す界磁磁石1j,1nの磁化方向が逆になった場合である。この場合,界磁磁石1jからの磁束の一部は第一磁性体突極18,1c,磁性体歯14を介して環流し,界磁磁石1nからの磁束の一部は第二磁性体突極19,1d,磁性体歯14を介して環流し,さらに界磁磁石1jからの磁束の残りが第一磁性体突極1c,磁石板39,中間磁性体突極37,磁石板3a,第二磁性体突極1d,磁性体内筒1k,界磁磁石1n,第二磁性体突極19,磁石板34,中間磁性体突極31,磁石板33,第一磁性体突極18を介して環流する。
このように界磁磁石1j,1nの磁化方向を変える事により電機子コイル16と鎖交する磁束量を制御する事が出来,界磁磁石1j,1nからの最大磁束量を磁石板32,33,34,35,38,39,3a,3bからの磁束量にほぼ等しく設定すれば,電機子コイル16と鎖交する磁束量の最小値をほぼゼロに出来,この場合に回転子が空回転しても回転子から磁性体歯に流れる磁束量はほぼゼロとなるので渦電流損は発生しない。
界磁磁石1j,1nそれぞれに於いて第一磁化或いは第二磁化に属する磁石要素数を励磁コイル1h,1mにより変える事で電機子コイル16と鎖交する磁束量が制御される事を説明した。以下に界磁磁石1j,1nそれぞれに於いて第一磁化或いは第二磁化に属する磁石要素数を励磁コイル1h,1mにより変えるステップを説明する。界磁磁石1j,1nは同一の構成であるので界磁磁石1jを構成する磁石要素43,44の磁化を変更するステップを説明する。
界磁磁石1jを構成する磁石要素43,44は磁性体外筒半部41,42間に配置されて互いに並列接続された状態であり,励磁コイル1hに磁化電流が供給されると,磁性体外筒半部41,42間の磁気ポテンシャル差(起磁力)は周方向にほぼ同じであり,各磁石要素内では磁気ポテンシャル差を厚みで除した値に相当する磁界強度の磁界が加えられる。したがって,抗磁力が小の磁石要素44が磁化されやすく,抗磁力が大の磁石要素43は磁化され難い。
図4に示す状態から磁石要素44の磁化を第一磁化に変更する場合,励磁コイル1hによる励磁磁束は複数の磁路を介して環流し,磁石要素44を第一磁化に変更する。すなわち,磁性体外筒1g,第一磁性体突極18,磁性体歯14,第一磁性体突極1cを介する磁路であり,磁性体外筒1g,第一磁性体突極18,磁石板33,34,第二磁性体突極19,磁性体円筒1k,制御磁石1m,第二磁性体突極1d,磁石板3a,39,第一磁性体突極1cを介する磁路である。この場合,磁石板32,33,34,35,38,39,3a,3bの磁化方向は励磁磁束の流れる方向とは逆方向であるので磁石板32,33,34,35,38,39,3a,3bは磁気的な空隙と同じである。本実施例に於いて,回転子と電機子間の空隙長は0.5ミリメートル以下に設定され,磁石板32,33,34,35,38,39,3a,3bの厚みより小であるので励磁磁束は専ら前者の磁性体歯14を介する磁路を流れる。
図4に示す状態から磁石要素43の磁化を第二磁化に変更する場合,励磁コイル1hによる励磁磁束は上と同様に複数の磁路を介して環流し,磁石要素43を第二磁化に変更する。しかし,磁石板32,33,34,35,38,39,3a,3bの磁化方向は励磁磁束の流れる方向とは同方向であるので磁石板32,33,34,35,38,39,3a,3bの磁気抵抗は小となり,励磁磁束は磁石板32,33,34,35,38,39,3a,3bを含む磁路を流れやすい。
図1に示す状態は界磁磁石1jが第一磁化である場合で磁石要素43,44が共に第一磁化の場合に相当する。この図1の状態から図4に示す磁化状態に変更するには磁石要素44のみを第二磁化とし,磁石要素43には影響を与えないような磁化電流を励磁コイル1hに供給して 磁石要素44のみを第二磁化に変更する。
上記のように界磁磁石1j,1nの磁化状態を励磁コイル1h,1mにより変更する際に,磁性体歯14と第一磁性体突極突極18,19,第二磁性体突極1c,1dの相対位置関係により磁石板32,33,34,35,38,39,3a,3bと界磁磁石1j,1nとは直列に接続された磁路に励磁磁束が流れる可能性がある。その場合に上記磁石板及び界磁磁石にはそれぞれ等しい磁界強度が印可される。したがって,界磁磁石1j,1nの抗磁力を磁石板32,33,34,35,38,39,3a,3bの抗磁力より小に設定して励磁コイル1h,1mによって界磁磁石1j,1nの磁化が変更されるよう設定する必要がある。本実施例では界磁磁石1j,1nの抗磁力を磁石板32,33,34,35,38,39,3a,3bの抗磁力の2分の1以下に設定し,その範囲内で磁石要素は互いに異なる抗磁力となるよう設定されている。
本実施例に於いて,界磁磁石の磁化状態は離散的に変えられるが,本実施例ではさらに界磁磁石の磁化状態を変更させない程度の磁束調整電流を励磁コイル1h,1mに供給して磁束を発生させ,界磁磁石1j,1n及び磁石板32,33,34,35,38,39,3a,3bによる磁束に重畳させて電機子を流れる磁束量を制御する。
図5は磁束量制御を行う回転電機システムのブロック図を示している。図5に於いて,回転電機51は入力52,出力53を有するとし,制御装置55は回転電機51の出力53及び回転子の位置,温度等を含む状態信号54を入力として制御信号56を介して磁束量を制御する。番号57は電機子コイル16に駆動電流を供給する駆動回路を示す。回転電機51が発電機として用いられるのであれば,入力52は回転力であり,出力53は発電電力となる。回転電機51が電動機として用いられるのであれば,入力52は駆動回路57から電機子コイル16に供給される駆動電流であり,出力53は回転トルク,回転速度となる。制御信号56は切換スイッチ58,磁化制御回路5a,磁束調整回路59を制御し,界磁磁石の磁化状態を変更させる場合には切換スイッチ58により磁化制御回路5aを接続して励磁コイル1h,1mに磁化状態変更の為の磁化電流を供給し,磁束量の微調整を行う場合には切換スイッチ58により磁束調整回路59を接続して磁束調整電流を励磁コイル1h,1mに供給する。
本発明では同種の極性に励磁される磁性体突極グループ毎に一括して励磁する励磁部を有して励磁部内に界磁磁石及び励磁コイルを含む構成である。励磁部を磁性体歯14先端から離れた位置に配置できる特徴があり,電機子コイルの発生する磁界の影響を直接には受けない事,スペースに余裕がある事から界磁磁石の素材及び形状寸法には選択の自由度がある。
電機子に対向する回転子表面或いは磁極内には電機子コイルの作る磁界によって容易に非可逆減磁を生じないネオジウム磁石(NdFeB)が望ましいが,上記説明のように励磁部には電機子コイル16が誘起する駆動磁束は到達し難いので界磁磁石として低抗磁力の磁石,例えば十分な磁化方向長さを有するアルニコ磁石(AlNiCo),フェライト磁石を使用する事が出来る。ネオジウム磁石(NdFeB)では着磁に必要な磁界強度が2400kA/m(キロアンペア/メートル)程度であり,アルニコ磁石(AlNiCo)の着磁に必要な磁界強度は240kA/m程度である。他に低抗磁力永久磁石としてFeCrCo磁石も利用できる。
電機子を流れる磁束量はこのように励磁コイル1h,1mに供給する磁化電流の振幅及び極性を変えて界磁磁石の磁化状態を変える事で制御される。電機子を流れる磁束量と励磁コイル1h,1mに供給する磁化電流との関係は設計段階でマップデータとして設定する。しかし,回転電機の量産段階では部材の寸法が公差範囲内でバラツキ,磁性体の磁気特性のバラツキも存在して電機子を流れる磁束量の精密な制御が困難になる場合がある。そのような場合には回転電機を組み立て後に回転電機個々に電機子を流れる磁束量と励磁コイル1h,1mに供給する磁化電流との関係を検査し,前記マップデータを修正する。
さらに磁性体の特性は温度による影響を受けやすく,経時変化による影響も懸念される場合には運転中に加えられる磁化電流とその結果としての界磁磁石の磁化状態を監視し,回転電機の運転中に前記マップデータを修正する情報を学習的に取得する事も出来る。電機子を流れる磁束量を直接に把握する事は難しいが,電機子コイル16に現れる誘起電圧を参照して電機子を流れる磁束量を推定できる。
例えば,電機子コイル16に現れる誘起電圧の振幅は電機子コイル16と鎖交する磁束量及び回転速度にほぼ比例する。界磁磁石内の第一磁化である磁石要素の数を増やすよう励磁コイル1h,1mに磁化電流を加えた結果として誘起電圧の振幅の変化量が目標値より小の場合は同一条件に於ける磁化電流の振幅を大に,誘起電圧の振幅の変化量が目標値より大の場合は同一条件に於ける磁化電流の振幅を小にするよう磁化電流に係わるパラメータを修正する。
本実施例では第一磁性体突極と第二磁性体突極間に配置された永久磁石からの磁束が,磁性体外筒或いは磁性体内筒を介して短絡し難いよう回転子と電機子間の空隙長と界磁磁石の厚みとの関係を規定し,また界磁磁石の磁化状態変更に際して第一磁性体突極と第二磁性体突極間に配置された永久磁石の磁化状態が影響を受け難いよう前記永久磁石の抗磁力と界磁磁石の抗磁力との関係を規定した。回転電機を電動機として用いる場合には更に電機子コイルが発生する駆動磁束が界磁磁石の磁化状態を変更しないよう留意する必要がある。
回転子を回転駆動する為に電機子コイルが発生する駆動磁束は第一磁性体突極,第二磁性体突極,第一磁性体突極と第二磁性体突極間に配置された永久磁石とを介して環流するが,同時に磁性体歯から第一磁性体突極,磁性体外筒,界磁磁石1j,第一磁性体突極を介して環流する磁路,第二磁性体突極,磁性体内筒,界磁磁石1n,第二磁性体突極を介して環流する磁路も存在する。この場合に電機子コイルの駆動磁束に関して第一磁性体突極と第二磁性体突極間に配置された永久磁石を含む磁路と,界磁磁石を含む磁路とが並列に接続された状態であり,本実施例では界磁磁石の磁化方向長さを第一磁性体突極と第二磁性体突極間に配置された永久磁石の厚みの総和の2倍以上に設定して界磁磁石の磁化状態が駆動磁束の影響を受け難くしている。更に磁性体外筒及び磁性体内筒を駆動磁束が通り難いよう導電性の良い磁性体で構成する事も効果がある。
以上,図1から図5に示した回転電機に於いて,界磁磁石の磁化状態を変える事で電機子に流れる磁束量を制御できることを説明した。本実施例は電機子を流れる磁束量を制御して出力を最適化するシステムであり,図5を用いて回転電機システムとしての制御を説明する。
回転電機が電動機として用いられる場合に於いて,磁束量制御を行って回転力を最適に制御する。但し,電機子を流れる磁束量を増やす極性の磁束調整電流を正としている。制御装置55は出力53である回転速度が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には磁束調整回路59により励磁コイル1h,1mに供給する磁束調整電流を減じて電機子に流れる磁束量を小とし,磁束調整電流が予め定めた値より小である場合には第二磁化の磁石要素数を増す方向の磁化電流が磁化制御回路5aから励磁コイル1h,1mに供給されて第一磁化の磁石要素数を減じると共に第二磁化の磁石要素数を増して電機子を流れる磁束量を小とする。
出力53である回転速度が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には磁束調整回路59により励磁コイル1h,1mに供給する磁束調整電流を増して電機子に流れる磁束量を大とし,磁束調整電流が予め定めた値より大である場合には第一磁化の磁石要素数を増す方向の磁化電流を磁化制御回路5aから励磁コイル1h,1mに供給して第一磁化の磁石要素数を増すと共に第二磁化の磁石要素数を減じて電機子を流れる磁束量を大とする。
上記説明に於いて,界磁制御に磁束調整電流を流して電流励磁を併用したが,磁束調整電流は界磁磁石の各磁化状態に於ける微調整用であって大きな電流ではないのでエネルギー効率を大きく損なう事はない。また,磁束調整電流による界磁の微調整をする事無く,界磁磁石の各磁化状態に於いて駆動電流の位相制御により弱め界磁を付加する事も可能である。その場合でも界磁の微調整であるのでエネルギー効率を大きく損なう事はない。
回転電機が発電機として用いられる場合において,磁束量制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電システムを説明する。但し,電機子を流れる磁束量を増やす極性の磁束調整電流を正としている。制御装置55は出力53である発電電圧が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には磁束調整回路59により励磁コイル1h,1mに供給する磁束調整電流を減じて電機子に流れる磁束量を小とし,磁束調整電流が予め定めた値より小である場合には第二磁化の磁石要素数を増す方向の磁化電流が磁化制御回路5aから励磁コイル1h,1mに供給されて第一磁化の磁石要素数を減じると共に第二磁化の磁石要素数を増して電機子を流れる磁束量を小とする。
制御装置55は出力53である発電電圧が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には磁束調整回路59により励磁コイル1h,1mに供給する磁束調整電流を増して電機子に流れる磁束量を大とし,磁束調整電流が予め定めた値より大である場合には第一磁化の磁石要素数を増す方向の磁化電流を磁化制御回路5aから励磁コイル1h,1mに供給して第一磁化の磁石要素数を増すと共に第二磁化の磁石要素数を減じて電機子を流れる磁束量を大とする。
本実施例では界磁磁石の磁化変更をする為の励磁磁束は電機子コイルと鎖交し,電機子コイルに電圧を誘起させる。可能な限り時間変化の緩やかな波形を持つ励磁電流により電機子コイルに現れる電圧振幅は小さく抑える事が出来る。低周波数側に周波数スペクトラムが集中する波形と同義であり,例えば,励磁コイルに供給する電流波形としてレイズドコサインパルス,ガウシアンパルス等は電機子コイルに現れる電圧振幅を抑える為に有効である。
本実施例の界磁磁石は抗磁力の異なる磁石要素の並列接続で構成したが,同様機能の界磁磁石は素材を同一として磁化方向長さの異なる磁石要素の並列接続で構成出来る。後者の場合は磁化方向長さにより磁化容易さを変える事が出来るので磁石素材の選定が容易となる。
本発明による回転電機システムの第二実施例を図6から図9を用いて説明する。第二実施例は,アキシャルギャップ・ダブルローター構造の回転電機であり,回転子の磁極構成が第一実施例と異なる回転電機システムである。
図6はアキシャルギャップ構造の回転電機に本発明を適用した実施例の縦断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。回転軸61はベアリング63を介してハウジング62に回動可能に支持され,回転軸61と共に回転する回転子64及び回転子65が電機子の軸方向両端にそれぞれ対向している。回転子64の表面磁極部は周方向に交互に配置された第一磁性体突極66,第二磁性体突極67を有し,回転子65の表面磁極部は周方向に交互に配置された第一磁性体突極68,第二磁性体突極69を有する。さらに第一磁性体突極66,第二磁性体突極67は非磁性体1a,1bにより磁気的に互いに離隔されている。第一磁性体突極68,第二磁性体突極69も非磁性体1e,1fにより磁気的に互いに離隔されている。
ハウジング62には電機子が固定され,回転軸61と平行の磁性体歯14及び電機子コイル16が電機子支持体6gに周方向に配置されている。番号6hは磁性体歯の先端部を含む磁性体歯板を示す。
電機子の外周側に第一励磁部,内周側に第二励磁部が配置されている。ハウジング62の内周面には磁性体外筒6aが配置されてその両端は第一磁性体突極66,68の外周方向への延長部分とそれぞれ微小間隙を介して対向し,電機子を周回するよう巻回された励磁コイル6bが電機子と磁性体外筒6a間に配置されている。さらに磁性体外筒6aは回転軸61と鋭角を為す平面で二分されてその間に界磁磁石6cが配置されている。すなわち,第一励磁部は磁性体外筒6a,界磁磁石6c,励磁コイル6bより構成されている。回転軸61の外周に磁性体内筒6dが固定され,その両端は第二磁性体突極67,69の内周方向への延長部分に結合されている。磁性体内筒6dを周回するよう巻回された励磁コイル6eが電機子の内周側に配置されている。さらに磁性体内筒6dは回転軸61と鋭角を為す平面で二分されてその間に界磁磁石6fが配置されている。第二励磁部は磁性体内筒6d,界磁磁石6f,励磁コイル6eより構成されている。
図7(a)は回転子64の表面を図6に於いて左から見て透視した平面図を示し,図7(b)は電機子を回転子64側から見た平面図を示している。図7(a)に示す回転子64の表面は一様な磁性体基板を周方向にほぼ等間隔に配置された永久磁石によって区分して第一磁性体突極66及び第二磁性体突極67が形成され,さらに隣り合う永久磁石の周方向磁化は反転されて第一磁性体突極66と第二磁性体突極67とは互いに異極に磁化されている。番号71,72は隣接する永久磁石を代表して示している。第一磁性体突極66は外周部に延伸されて円環状の接続部を持ち,その円環状の接続部と第二磁性体突極67は非磁性体1bにより,磁気的に互いに離隔されている。
第二磁性体突極67は内周側に延伸されて円環状の接続部を持ち,その円環状の接続部と第一磁性体突極66とは非磁性体1aにより互いに磁気的に離隔されている。回転子の表面に於いて第一磁性体突極66と第二磁性体突極67は薄い磁性体で繋がって一体化されているので表面から第一磁性体突極66と第二磁性体突極67間の永久磁石71,72は見えないが判りやすいように区分して示されている。回転子65の表面は図示されていないが,図7(a)に示す回転子64と同じ構成である。
図7(b)は電機子,ハウジング72,磁性体外筒6a,励磁コイル6b,励磁コイル6e等を回転子64側から見た平面図に示している。磁性体歯14及び磁性体歯14に巻回された電機子コイル16が周方向に配置され,その外周側に励磁コイル6b,磁性体外筒6aが電機子を周回するよう配置され,電機子の内周側には励磁コイル6eが示されている。磁性体歯14の先端部は磁性体歯板6h内の磁性体部として分離されているので図7(b)に示す磁性体歯14は磁性体歯板6h内の磁性体部を示している。磁性体歯14の先端部である磁性体歯板6h内の磁性体部は非磁性体部73を介して対向する構成である。
図8は回転子64及び電機子及び回転子65の周方向断面を図7(a),7(b)に示したB−B’に沿って示す図である。同図により回転子の磁極構成及び電機子の構成を説明する。
回転子64及び回転子65の表面磁極部は一様な磁性体基板を略周方向磁化を持つ永久磁石で周方向に区分した第一磁性体突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有している。第一磁性体突極66及び第二磁性体突極67間に配置された永久磁石71,72の略周方向の磁化方向は交互に反転され,第一磁性体突極66をN極に,第二磁性体突極67をS極に磁化している。第一磁性体突極66と第二磁性体突極67間の離隔部分は非磁性体1b,1a及び永久磁石71,72に相当している。
回転子65に於いて,第一磁性体突極68及び第二磁性体突極69間に配置された永久磁石81,82の略周方向の磁化方向は交互に反転され,第一磁性体突極68をS極に,第二磁性体突極69をN極に磁化している。第一磁性体突極68と第二磁性体突極69間の離隔部分は非磁性体1e,1f及び永久磁石81,82に相当している。
電機子は磁性体歯14及び磁性体歯14に巻回された電機子コイル16が周方向に配置され,軸方向の両端には磁性体歯板6hが配置されている。磁性体歯板6hは非磁性体部73と磁性体部83が周方向に交互に配置された構造であり,磁性体部83は磁性体歯14の先端部を構成し,隣接する磁性体歯の先端部が磁気的な空隙(非磁性体部73)を介して対向する構成に於いて,その先端部を磁性体歯板6hとして分離した構造である。予め電機子コイル16が巻回された磁性体歯14を周方向に配置した後,磁性体歯板6hを磁性体歯14の軸方向両端に配置して電機子は組み立てられる。このように磁性体歯板6hを採用する構成により電機子コイル16の巻回が容易となり,電機子コイル16には低電気抵抗の太い銅線を使用できる。
図6及び図8及び図9を用いて第一及び第二励磁部の構成を説明する。図9は磁性体外筒,界磁磁石,回転子65の表面磁極部の構成を示す斜視図であり,ハウジング62,回転軸61を除いて示している。
図6に示される磁性体外筒6aは回転軸61と鋭角を為す平面で磁性体外筒半部91,92に分割され,磁性体外筒半部91,92間に界磁磁石6cが配置されている。界磁磁石6cは抗磁力の異なる2種の磁石要素43,44により構成され,図9では抗磁力が大の磁石要素43,抗磁力が小の磁石要素44が交互に配置されている。さらに図9の右端には回転子65の表面磁極部が示されている。番号93,94はそれぞれ第一磁性体突極66の延伸部と磁性体外筒半部91間の微小空隙,第一磁性体突極68の延伸部と磁性体外筒半部92間の微小空隙を示している。図6に示されている磁性体内筒6d及び界磁磁石6fの斜視図は示されていないが磁性体外筒6a及び界磁磁石6cの構成と同様である。ただし,磁性体内筒6dの両端は第二磁性体突極67,69の内周方向への延長部分と直接に結合されているので微小空隙93,94に相当する空隙は無い。
図8に示した第一磁性体突極66と第二磁性体突極67間に配置されている永久磁石71,72,第一磁性体突極68と第二磁性体突極69間に配置されている永久磁石81,82からの磁束が流れる磁路は複数存在する。すなわち,永久磁石72からの磁束が第一磁性体突極66,磁性体歯14,第一磁性体突極68,永久磁石82,第二磁性体突極69,磁性体歯14,第二磁性体突極67を介して環流する磁路を主磁路とし,永久磁石72からの磁束が第一磁性体突極66,磁性体外筒6a,界磁磁石6c,第一磁性体突極68,永久磁石82,第二磁性体突極69,磁性体内筒6d,界磁磁石6f,第二磁性体突極67を介して環流する磁路であるバイパス磁路が存在する。永久磁石71,72,81,82から流れる大部分の磁束が電機子コイル16と鎖交するよう主磁路の磁気抵抗をバイパス磁路の磁気抵抗より小にする事が望ましく,本実施例では少なくとも界磁磁石6c,6fの磁化方向厚みを回転子64と電機子間,電機子と回転子65間,それぞれの空隙長の和より大と設定している。
電機子コイル16により回転子が回転駆動される場合,電機子コイル16により磁性体歯14に生起された駆動磁束は回転子の表面磁極部を流れると共に磁性体外筒6a,磁性体内筒6dにも流れる可能性がある。すなわち,磁性体歯14から第一磁性体突極66に流れる磁束は永久磁石72,第二磁性体突極67,磁性体歯14,第二磁性体突極69,永久磁石82,第一磁性体突極68を介して環流する。さらに第一磁性体突極66,磁性体外筒6a,界磁磁石6c,第一磁性体突極68を介して環流する磁路も存在する。磁性体歯14から第二磁性体突極67に流れる駆動磁束は界磁磁石6fを含む磁路を介して環流する。
駆動磁束の流れる方向が界磁磁石6c,6fの磁化方向と逆である場合には界磁磁石6c,6fの磁化状態が損なわれる可能性がある。また駆動磁束の流れる方向が永久磁石71,72,81,82の磁化方向と逆である場合,これらの永久磁石は磁気的な空隙と見なされるので第一磁性体突極と第二磁性体突極間の永久磁石の厚みの総和,すなわち永久磁石72の厚み,永久磁石82の厚みの2倍以上に界磁磁石6c,6fの磁化方向長さを設定している。この設定により駆動磁束は界磁磁石6c,6fを含む磁路に流れ難く,界磁磁石6c,6f内の磁界強度は小さいので界磁磁石6c,6fの磁化状態は駆動磁束の影響を受け難い。
以上,図6から図9までを用いて第二実施例の構成を説明したが,第二実施例は第一実施例に於いて,回転子側の表面磁極部構成を変え,磁性体外筒と第一磁性体突極,磁性体内筒と第二磁性体突極間の接続状態を変えたのみで界磁磁石の磁化状態変更,電機子コイルと鎖交する磁束量の変更等の動作原理は同じである。したがって,これら界磁磁石の磁化状態変更,電機子コイルと鎖交する磁束量の変更等の説明は省略する。
本発明による回転電機システムの第三実施例を図10から図13を用いて説明する。第三実施例は,アキシャルギャップ・ダブルローター構造の回転電機であり,回転子の表面磁極部に永久磁石を持たない回転電機システムである。
図10はアウターロータ構造の回転電機に本発明を適用した実施例を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。ロータハウジング12がベアリング13を介して固定軸11に回動可能に支持されている。固定軸11には電機子が固定され,固定軸11と平行の磁性体歯14及び電機子コイル16が電機子支持体15に周方向に配置されている。番号105は磁性体歯の先端部を含む磁性体歯板を示す。
電機子と軸方向に対向する二つの回転子はロータハウジング12の内側側面に配置され,一体化されている。図10に於いて左側の回転子の表面磁極部を構成する第一磁性体突極101,第二磁性体突極102はロータハウジング12の左側面に,右側の回転子の表面磁極部を構成する第一磁性体突極103,第二磁性体突極104はロータハウジング12の右側面にそれぞれ配置されている。第一磁性体突極101と第一磁性体突極103,第二磁性体突極102と第二磁性体突極104はそれぞれ電機子を介して軸方向に対向している。さらに第一磁性体突極101と第二磁性体突極102は非磁性体1a,1bにより磁気的に互いに離隔されている。第一磁性体突極103と第二磁性体突極104も非磁性体1e,1fにより磁気的に互いに離隔されている。
電機子の外周側に第一励磁部,内周側に第二励磁部が配置されている。ロータハウジング12の内周面には磁性体外筒1gが配置されてその両端は第一磁性体突極101,103の外周方向への延長部分とそれぞれ結合されている。さらに磁性体外筒1gは固定軸11と鋭角を為す平面で二分されてその間に界磁磁石106が配置されている。すなわち,第一励磁部は磁性体外筒1g,界磁磁石106より構成されている。電機子の内周側には磁性体内筒1kが配置され,その両端は微小間隙を介して第二磁性体突極102,104の内周方向への延長部分とそれぞれ対向している。磁性体内筒1kは固定軸11と鋭角を為す平面で二分されてその間に界磁磁石107が配置されている。第二励磁部は磁性体内筒1k,界磁磁石107より構成されている。
図11(a)は左側の回転子の表面を図10に於いて左から見て透視した平面図を示し,図11(b)は電機子を左側の回転子側から見た平面図を示している。図11(a)に示す回転子の表面は一様な磁性体基板を周方向にほぼ等間隔に配置された非磁性体111によって区分して第一磁性体突極101及び第二磁性体突極102が形成されている。第一磁性体突極101は外周部に延伸されて円環状の接続部を持ち,その円環状の接続部と第二磁性体突極102は非磁性体1bにより,磁気的に離隔されている。第二磁性体突極102は内周側に延伸されて円環状の接続部を持ち,その円環状の接続部と第一磁性体突極101とは非磁性体1aにより磁気的に離隔されている。回転子の表面に於いて第一磁性体突極101と第二磁性体突極102は薄い磁性体で繋がって一体化されているので表面から第一磁性体突極101と第二磁性体突極102間の非磁性体111は見えないが判りやすいように区分して示されている。右側の回転子の表面は図示されていないが,図11(a)に示す左側の回転子と全く同じ構成である。
図11(b)は電機子,磁性体内筒1k等を左側の回転子側から見た平面図に示している。磁性体歯14及び磁性体歯14に巻回された電機子コイル16が周方向に配置され,電機子の内周側には磁性体内筒1kが示されている。磁性体歯14の先端部は磁性体歯板105内の磁性体部として分離されているので図11(b)に示す磁性体歯14は磁性体歯板105内の磁性体部を示している。磁性体歯14の先端部である磁性体歯板105内の磁性体部は非磁性体部22を介して対向する構成である。
図12は電機子及び二つの回転子の周方向断面を図11(a),11(b)に示したC−C’に沿って示す図である。同図により回転子の磁極構成及び電機子の構成を説明する。
二つの回転子の表面磁極部は一様な磁性体基板を非磁性体で周方向に区分した第一磁性体突極突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有している。番号121,122は第一磁性体突極101両側に配置された非磁性体を,番号123,124は第二磁性体突極102の両側に配置された非磁性体をそれぞれ示す。非磁性体122,123間の磁性体部分12aは外周側及び内周側に於いて非磁性体1b,1aを介して第一磁性体突極101及び第二磁性体突極102から離隔されている。第一磁性体突極101及び第二磁性体突極102間の磁気抵抗を大にする事が望ましいので磁性体部分12aは除去しても良い。
第一磁性体突極101と第二磁性体突極102間の離隔部分は非磁性体121,122,123,124,1b,1aで構成され,さらに非磁性体121,122,123,124は磁性体と非磁性体を交互に積層した構成とする事も出来る。
右側の回転子は左側の回転子と同様な構成であり,番号125,126,127,128は非磁性体を示している。第一磁性体突極103と第二磁性体突極104間の離隔部分は非磁性体125,126,127,128,1e,1fで構成されている。
電機子は磁性体歯14及び磁性体歯14に巻回された電機子コイル16が周方向に配置され,軸方向の両端には磁性体歯板105が配置されている。磁性体歯板105は非磁性体部22と磁性体部129が周方向に交互に配置された構造であり,磁性体部129は磁性体歯14の先端部を構成し,隣接する磁性体歯の先端部が磁気的な空隙(非磁性体部22)を介して対向する構成に於いて,その先端部を磁性体歯板105として分離した構造である。予め電機子コイル16が巻回された磁性体歯14を周方向に配置した後,磁性体歯板105を磁性体歯14の軸方向両端に配置して電機子は組み立てられる。
図10及び図12及び図13を用いて第一及び第二励磁部の構成を説明する。図13は磁性体外筒,界磁磁石,右側の回転子の表面磁極部の構成を示す斜視図であり,ロータハウジング12,固定軸11を除いて示している。
図10に示される磁性体外筒1gは固定軸11と鋭角を為す平面で磁性体外筒半部41,42に分割され,磁性体外筒半部41,42間に界磁磁石106が配置されている。さらに図13の右端には右側の回転子の表面磁極部が示されている。図10に示されている磁性体内筒1k及び界磁磁石107の斜視図は示されていないが磁性体外筒1g及び界磁磁石106の構成と同様である。
界磁磁石106から第一磁性体突極101,103に流れる磁束量は界磁磁石106の残留磁束密度と磁極面積との積に比例する。前記磁束量を可能な限り大とする為に磁性体外筒1gは固定軸11と鋭角を為す平面で分割し,その間に界磁磁石106が配置されている。磁性体外筒1gを分割する面は折れ線状でも曲線状でも支障は無い。
本実施例に於いて,第一及び第二励磁部は軸方向に十分な長さを有するので界磁磁石106,107には抗磁力の小さな磁石素材を磁化方向長さを大として採用する事が出来る。すなわち,アルニコ磁石或いはフェライト磁石等を採用して高価なネオジウム磁石を使用せず,低コストの回転電機を構成する事が出来る。
界磁磁石106からの磁束は第一磁性体突極101,103と磁性体歯14を流れ,界磁磁石107からの磁束は第二磁性体突極103,104と磁性体歯14を流れるが,同時に磁性体歯14を介さない磁路に短絡する可能性もある。すなわち,界磁磁石106から第一磁性体突極101に流れた磁束は非磁性体122,123を介して第二磁性体突極102,磁性体内筒1k,界磁磁石107,第二磁性体突極104,非磁性体127,126,第一磁性体突極103,磁性体外筒1gを介して環流する可能性がある。本実施例では第一磁性体突極と第二磁性体突極間の磁気的な空隙長,すなわち第一磁性体突極101と第二磁性体突極102間を例に挙げれば非磁性体122,123の厚みの和を,左側の回転子と電機子間の空隙長と右側の回転子と電機子間の空隙長の和より大に設定されている。この設定により,界磁磁石106,107からの磁束は磁気抵抗の小さな磁性体歯14を含む磁路に多く流れ,電機子コイル16と鎖交する。さらに非磁性体122,123間の磁性体部分12a,非磁性体126,127間の磁性体部分を除去した構成では界磁磁石106,107からの磁束が専ら磁性体歯14を流れる事になる。
以上,図10から図13までを用いて第三実施例の構成を説明したが,第三実施例は第一実施例に於いて,回転子側の表面磁極部構成を変え,界磁磁石の構成を変えた構造である。界磁磁石の磁化状態を変更しないが,回転電機を回転駆動する動作原理は同じである。したがって,さらなる説明は省略する。
本実施例では磁性体歯と対向する回転子の表面磁極部には永久磁石は配置されていない。リラクタンストルクを主体として回転子を駆動する回転電機とし,界磁磁石からの磁束はリラクタンスモータの弱点である起動トルクを補強すると理解する事も出来る。さらに界磁磁石に磁化方向厚みの薄いネオジウム磁石を採用し,磁性体外筒1g,磁性体内筒1kを含む磁路の磁気抵抗を小としてリラクタンストルクを大とする回転電機を構成する事も出来る。
本発明の第四実施例による回転電機システムを図14及び図5を用いて説明する。第四実施例は第二実施例の回転電機システムを前輪のインホイールモータとし,前輪駆動のエンジンと組み合わせたハイブリッドカーのシステムである。
同図に於いて,番号142は前輪駆動のエンジンを示し,トランスミッション143,駆動軸149を介して前輪に組み込まれた回転電機141に結合され,エンジン142と回転電機141によりハイブリッドカーを駆動する。制御装置144は上位制御装置からの指令14bを受け,駆動回路145を介して回転電機141を電動機として駆動し,磁束量制御回路146を介して電機子に流入する磁束量を制御する。すなわち,磁束量制御回路146は図5に於ける切換スイッチ58,磁化制御回路5a,磁束調整回路59を含んで構成されている。更に制御装置144は上位制御装置からの指令14bを受け,電機子コイル16の引き出し線14cに現れる発電電力を整流回路147を介して整流し,バッテリー148を充電する構成としている。
回転電機141のみでハイブリッドカーを駆動する時はトランスミッション143に於いてエンジン142を切り離し,回転電機141の負荷を軽減する。低回転速度域で回転電機141の磁石トルクを強化する必要がある場合は界磁磁石6c,6f内の第一磁化の磁石要素数を増す方向の電流を励磁コイル6b,6eに磁化制御回路5aにより供給して第一磁化の磁石要素数を増すと共に第二磁化の磁石要素数を減じて電機子を流れる磁束量を大とする。高回転速度域で弱め界磁とする場合には第二磁化の磁石要素数を増す方向の電流を励磁コイル6b,6eに磁化制御回路5aにより供給して第一磁化の磁石要素数を減じると共に第二磁化の磁石要素数を増して電機子を流れる磁束量を小とする。
エンジン142の回転力のみでハイブリッドカーを駆動する時は,指令14bを受け,磁化制御回路5aを介して第二磁化の磁石要素数を最大にするよう励磁コイル6b,6eに電流を供給し,回転子から電機子側に流れる磁束量を最小のほぼゼロに設定する。この状態で回転子から漏れる磁束量はほぼゼロとなるのでエンジン142により回転子は回転されても渦電流損は発生しない。
回転電機141及びエンジン142でハイブリッドカーを駆動する時はトランスミッション143に於いてエンジン142を駆動軸149に結合する。さらにエンジン142の駆動力に余力があり,回転電機141を発電機としてバッテリー148を充電させる場合には,電機子コイル16の引き出し線14cに現れる発電電力を整流回路147を介して直流に変え,バッテリー148を充電させる。
その場合に制御装置144は発電電圧がバッテリー148を充電する最適な電圧より大である場合は磁束量制御回路146を介して磁束調整回路59により励磁コイル6b,6eに供給する磁束調整電流を減じて電機子に流れる磁束量を小とし,磁束調整電流が予め定めた値より小となる場合には第二磁化の磁石要素数を増す方向の磁化電流を磁化制御回路5aにより励磁コイル6b,6eに供給して第一磁化の磁石要素数を減じると共に第二磁化の磁石要素数を増して電機子を流れる磁束量を小とする。
発電電圧がバッテリー148を充電する最適な電圧より小である場合は磁束量制御回路146を介して磁束調整回路59により励磁コイル6b,6eに供給する磁束調整電流を増して電機子に流れる磁束量を大とし,磁束調整電流が予め定めた値より大となる場合には第一磁化の磁石要素数を増す方向の磁化電流を磁化制御回路5aにより励磁コイル6b,6eに供給して第一磁化の磁石要素数を増すと共に第二磁化の磁石要素数を減じて電機子を流れる磁束量を大とする。
バッテリー148に充電する場合に回転電機システムを定電圧発電機とする事で発電電圧を変換するコンバータは不要である。また,更にバッテリー148が電圧の種類の異なる複数種のバッテリーで構成される場合でも切り替え回路を付け加えてそれぞれのバッテリーに最適の発電電圧に制御する事で高価なコンバータを不要に出来る。また,バッテリー148に充電する際に磁束量制御と共に充電電流を制御して駆動負荷と発電負荷の配分制御も可能である。
本実施例はまたハイブリッドカーの制動時に於けるエネルギー回収システムとしても有効に機能する。ブレーキペダルの動きに応じ,指令14bを通じて回生制動の指示を受けると,制御装置144は磁束量制御回路146を介して第一磁化の磁石要素数を増す方向の電流を励磁コイル6b,6eに供給して第一磁化の磁石要素数を増して電機子を流れる磁束量を大とし,発電電力でバッテリー148に充電させる。さらにブレーキペダルの踏み圧に応じて励磁コイル6b,6eに供給する電流を増減させ,制動力を制御する。
電機子コイル16と鎖交する磁束量は増えるので取り出せる電力は大きく,電気二重層コンデンサ他の蓄電システムに一時的に蓄えて制動力の確保とエネルギー回収を大にする。電機子コイル16と鎖交する磁束量を自在に制御できるので従来は低速で十分なエネルギーを回収できなかったが,低速に於いてもエネルギー回生を可能とし,さらに励磁コイル6b,6eに供給する電流を増して低速でも制動力を確保できる。回転電機141は駆動用電動機として用いられる体格であるので回生制動用の発電機として十分な制動力を発生できる。
本実施例は前輪にインホイールモータとして回転電機システムを組み込み,前輪駆動エンジンシステムと組み合わせてハイブリッドモータカーとした例である。インホイールモータは前輪の他に駆動軸149を回転させるので若干負荷が増えるが,前輪駆動エンジンの駆動軸は短いので大きな負担には成らず,簡素な構成のハイブリッドカーシステムを実現できる特徴がある。また,インホイールモータとして組み込まれた回転電機はエンジン駆動で走行する場合でも常に回転する事になるが,回転子から電機子側に漏れる磁束量を最小のゼロ近傍に設定する事により渦電流損を最小にしてエネルギー効率を損なわない。
本実施例はハイブリッドカーの発電機兼電動機として用いた回転電機システムであるが,電気自動車に於ける回転電機システムとする事も当然に可能である。その場合には上記実施例に於いてハイブリッドカーのエンジン142,トランスミッション143,駆動軸149を取り除き,本発明による回転電機システムのみで電気自動車を駆動し,制動時に於けるエネルギー回収システムを構成する。
以上,本発明の回転電機システムについて,実施例を挙げて説明した。これらの実施例は本発明の趣旨,目的を実現する例を示したのであって本発明の範囲を限定するわけでは無い。例えば上記実施例に於ける回転子の磁極構成,電機子の構成,励磁部の構成等はそれぞれ組み合わせを変えて本発明の趣旨を実現する回転電機装置を構成できる事は勿論である。
本発明を適用した回転電機システムは従来の回転電機と同様に磁石トルク及びリラクタンストルクを利用出来,更に発電機能を改善し,またその発電機能を制御できる。移動体の発電機兼電動機システムに用いて,駆動用電動機としては従来以上の回転速度範囲での使用と低電流・大トルク出力が期待できる他に制動時のエネルギー回収を可能として総合的なエネルギー消費量を改善できる。

Claims (13)

  1. 回転子,電機子,回転子が軸方向に微小間隙を介してこの順で並び,それぞれの回転子は電機子との対向面に於いて少なくとも磁気的な空隙を含む離隔部分を介して互いに離隔された第一磁性体突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有すると共に二つの回転子の第一磁性体突極同士は電機子を介して軸方向に対向するよう構成され,電機子は軸とほぼ平行な磁性体歯と,磁性体歯に巻回された電機子コイルとが互いに磁気的に離隔されるよう周方向に配置されて磁性体歯の軸方向両端でそれぞれ回転子と対向し,二つの回転子と,電機子とが相対的に回転可能に構成された回転電機装置であって,さらにそれぞれの回転子の第一磁性体突極同士を互いに異極に磁化する第一励磁部と,それぞれの回転子の第二磁性体突極同士を互いに異極に磁化する第二励磁部とを有し,第一励磁部は電機子の外周に配置されると共に両端が二つの回転子の第一磁性体突極とそれぞれ磁気的に結合された磁性体外筒と,磁性体外筒を含む二つの回転子の第一磁性体突極間の磁路を二分するよう配置された界磁磁石とを有して構成され,第二励磁部は電機子の内周に配置されると共に両端が二つの回転子の第二磁性体突極とそれぞれ磁気的に結合された磁性体内筒と,磁性体内筒を含む二つの回転子の第二磁性体突極間の磁路を二分するよう配置された界磁磁石とを有して構成される事を特徴とする回転電機システム
  2. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,さらに第一励磁部は磁性体外筒の内周側に電機子を巻回するよう配置された励磁コイルを有し,第二励磁部は電機子の内周側に磁性体内筒を巻回するよう配置された励磁コイルを有し,励磁コイルに供給する電流によって界磁磁石の磁化状態を変更及び或いは励磁コイルの生成する磁束量を変えて電機子を流れる磁束量を変える事を特徴とする回転電機システム
  3. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一磁性体突極と第二磁性体突極間に配置される離隔部分の磁気抵抗は電機子と二つの回転子との微小間隙に於ける磁気抵抗の和より大となるよう前記離隔部分の対向面積と厚みとが設定されている事を特徴とする回転電機システム
  4. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の離隔部分は永久磁石を含んで第一磁性体突極及び第二磁性体突極は互いに異なる極性に磁化され,且つ二つの回転子の第一磁性体突極同士は互いに異なる極性として電機子を介して軸方向に対向するよう構成される事を特徴とする回転電機システム
  5. 請求項4記載の回転電機システムに於いて,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石は,磁性体と磁性体の二つの側面に配置された略同方向の磁化を有する永久磁石とで構成された集合磁石であって,集合磁石を構成する前記磁性体は更に非磁性体を介して第一磁性体突極及び第二磁性体突極から離隔されるよう構成される事を特徴とする回転電機システム
  6. 請求項4記載の回転電機システムに於いて,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の離隔部分が含む永久磁石は界磁磁石より抗磁力が大である事を特徴とする回転電機システム
  7. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一及び第二励磁部に配置された界磁磁石の磁化方向長さは電機子と二つの回転子間の間隙長の和より大である事を特徴とする回転電機システム
  8. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,界磁磁石は磁化方向長さと抗磁力の積が異なる磁石要素の並列接続として構成され,界磁磁石は互いに逆方向である第一磁化,第二磁化の何れかの磁化を有する磁石要素を少なくとも有し,第一磁化を有する磁石要素は第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する事を特徴とする回転電機システム
  9. 回転子,電機子,回転子が軸方向に微小間隙を介してこの順で並び,それぞれの回転子は電機子との対向面に於いて少なくとも永久磁石を介して互いに離隔され且つ互いに異なる極性に磁化された第一磁性体突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有すると共に二つの回転子の第一磁性体突極同士は互いに異なる極性として電機子を介して軸方向に対向するよう構成され,電機子は軸とほぼ平行な磁性体歯と,磁性体歯に巻回された電機子コイルとが互いに磁気的に離隔されるよう周方向に配置されて磁性体歯の軸方向両端でそれぞれ回転子と対向し,二つの回転子と,電機子とが相対的に回転可能に構成された回転電機装置であって,さらにそれぞれの回転子の第一磁性体突極同士を互いに異極に磁化する第一励磁部と,それぞれの回転子の第二磁性体突極同士を互いに異極に磁化する第二励磁部とを有し,第一励磁部は電機子の外周に配置されると共に両端が二つの回転子の第一磁性体突極とそれぞれ磁気的に結合された磁性体外筒と,磁性体外筒を含む二つの回転子の第一磁性体突極間の磁路を二分するよう配置された界磁磁石と,磁性体外筒の内側に電機子を巻回するよう配置された励磁コイルとを有して構成され,第二励磁部は電機子の内周に配置されると共に両端が二つの回転子の第二磁性体突極とそれぞれ磁気的に結合された磁性体内筒と,磁性体内筒を含む二つの回転子の第二磁性体突極間の磁路を二分するよう配置された界磁磁石と,磁性体内筒を巻回するよう電機子より内周側に配置された励磁コイルとを有して構成され,回転電機装置の出力を最適化するよう前記出力に応じて励磁コイルに供給される電流により前記界磁磁石の磁化状態を変え,電機子に流れる磁束量が制御される事を特徴とする回転電機システム
  10. 請求項9記載の回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,回転力を入力とし,発電電力を出力とする回転電機システムであって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する界磁磁石内の磁石要素を第一磁化とし,電機子コイルに誘起される発電電圧が所定の値より大の時は制御装置により第一磁化の磁極面積を減じるよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて電機子を流れる磁束量が小とされ,電機子コイルに誘起される発電電圧が所定の値より小の時は制御装置により界磁磁石内の第一磁化の磁極面積を増すよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて電機子を流れる磁束量が大とされ,発電電圧が所定の値に制御される事を特徴とする回転電機システム
  11. 請求項9記載の回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転力を出力とする回転電機システムであって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する界磁磁石内の磁石要素を第一磁化とし,回転速度が所定の値より大で電機子を流れる磁束量を減少させる時には制御装置により第一磁化の磁極面積を減じるよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて第一磁化の磁極面積を減じて電機子を流れる磁束量が小とされ,回転速度が所定の値より小で電機子を流れる磁束量を増大させる時には制御装置により界磁磁石内の第一磁化の磁極面積を増すよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて電機子を流れる磁束量が大とされ,回転力が最適に制御される事を特徴とする回転電機システム
  12. 請求項9記載の回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転力を出力とする回転電機システムであって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する界磁磁石内の磁石要素を第一磁化とし,回転速度を減少させる場合には制御装置により電機子コイルにバッテリーを接続すると共に界磁磁石内の第一磁化の磁極面積を変えるよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて第一磁化の磁極面積を変えて電機子を流れる磁束量を変え,回転エネルギーが発電電力として取り出されると共に制動力が制御される事を特徴とする回転電機システム
  13. 回転子,電機子,回転子が軸方向に微小間隙を介してこの順で並び,それぞれの回転子は電機子との対向面に於いて少なくとも磁気的な空隙を介して互いに離隔された第一磁性体突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有すると共に二つの回転子の第一磁性体突極同士は電機子を介して軸方向に対向するよう構成され,電機子は軸とほぼ平行な磁性体歯と,磁性体歯に巻回された電機子コイルとが互いに磁気的に離隔するよう周方向に配置して磁性体歯の軸方向両端でそれぞれそれぞれ回転子と対向させ,二つの回転子と,電機子とが相対的に回転可能に構成された回転電機装置の磁束量制御方法であって,さらにそれぞれの回転子の第一磁性体突極を互いに異極に磁化する第一励磁部と,それぞれの回転子の第二磁性体突極を互いに異極に磁化する第二励磁部とを有し,第一励磁部は電機子の外周に配置すると共に両端が二つの回転子の第一磁性体突極とそれぞれ磁気的に結合した磁性体外筒と,磁性体外筒を含む二つの回転子の第一磁性体突極間の磁路を二分するよう配置した界磁磁石と,磁性体外筒の内側に電機子を巻回するよう配置した励磁コイルとを有して構成し,第二励磁部は電機子の内周に配置すると共に両端が二つの回転子の第二磁性体突極とそれぞれ磁気的に結合した磁性体内筒と,磁性体内筒を含む二つの回転子の第二磁性体突極間の磁路を二分するよう配置した界磁磁石と,磁性体内筒を巻回するよう電機子より内周側に配置した励磁コイルとを有して構成し,前記界磁磁石の磁化状態を励磁コイルに供給される電流によって不可逆的に変更するよう構成し,前記界磁磁石の磁化状態を変え,或いは及び励磁コイルに供給する電流を変えて電機子に流れる磁束量を制御する磁束量制御方法
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