JP2011133236A - 沸騰水型原子炉用の燃料集合体および沸騰水型原子炉の炉心 - Google Patents

沸騰水型原子炉用の燃料集合体および沸騰水型原子炉の炉心 Download PDF

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Abstract

【課題】沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体の定格流量時の限界出力特性を良好に保ちながら低流量時の限界出力特性を改善する。
【解決手段】円筒状の被覆管に核燃料を収容した複数の燃料棒13と、燃料棒の軸に対して傾いた旋回翼31,32を備えて燃料棒13の軸を横切る平面を燃料棒13が通過する複数の格子位置に区切る軸方向の異なる位置に設けられた複数の旋回翼付きスペーサ21,22と、を有する。第1のスペーサ21は、旋回翼31と鉛直上向き方向zとのなす角がθである。第2のスペーサ22は、第1のスペーサ21よりも上方に設けられ、旋回翼32と鉛直上向き方向zとのなす角がθよりも大きいφである。
【選択図】図1

Description

本発明は、沸騰水型原子炉用の燃料集合体およびそれを用いた沸騰水型原子炉の炉心に関する。
沸騰水型原子炉(BWR)用の燃料集合体は、上部タイプレートおよび下部タイプレート、これらのタイプレートに両端が保持される複数の燃料棒およびウォータロッド、燃料棒間の間隙を維持する複数のスペーサを備えている。この燃料集合体は、角筒状のチャンネルボックスを被せられて炉心に装荷される。燃料棒として、高さが上部タイプレートまで達しない短尺の燃料棒(部分長燃料棒)が採用される場合もある。
冷却水は、原子炉の炉心下部から液単相の状態で下部タイプレートから燃料集合体に流入する。下部タイプレートから流入した冷却水は、燃料集合体内を上昇するに従い燃料棒の発熱により徐々に沸騰し、気液二相流となって上部タイプレートから炉心上部へ流出する。一般的な商用BWRでの燃料集合体の有効発熱長は約3.7mであり、定格出力運転時の燃料集合体出口における蒸気の重量割合は平均10%余りである。
原子炉の通常運転時には、冷却水の沸騰形態は核沸騰状態であり、燃料棒表面は液相の水に接触しているため、核分裂反応で生じる反応熱を効率よく除去できる。しかし、何らかの原因で燃料棒の発熱量が増加すると、沸騰形態が核沸騰から膜沸騰状態に遷移する。このような沸騰遷移が生じると、燃料棒表面が蒸気層に覆われて除熱能力が低下し、その結果、燃料被覆管の急激な温度上昇が生じて燃料棒が焼損(バーンアウト)するおそれがある。BWR燃料集合体内における沸騰遷移は、燃料棒表面を流れる液膜流の消失(液膜ドライアウト)に起因すると考えられており、液膜ドライアウトが生じるときの燃料集合体の熱出力を限界熱出力と言う。限界熱出力を単に限界出力と記す場合もある。
燃料集合体の限界出力と運転時熱出力との比である限界出力比(CPR=限界出力/運転時出力)は、BWRの炉心設計および運転管理において、熱的な安全裕度の指標とされている。つまり、BWRの炉心設計および運転管理では、この限界出力比の炉心内での最小値である最小限界出力比(MCPR)が1.0以下にならないよう、十分に余裕を持たせている。
国内で商用発電が開始されて以来、ウラン燃料の省資源化および使用済み核燃料量の低減を目的として、燃料の高燃焼度化が進められてきた。燃焼度とは、ウラン燃料単位重量から取り出せるエネルギー量である。燃焼度を増加させることによって、燃料の経済性を向上できる。
国内のBWR燃料集合体は、燃料棒配列が7行7列型の7×7燃料から始まり、8行8列型、改良8行8列型、高燃焼度化8行8列型、そして現在、9行9列型の9×9燃料が採用されている。燃料棒を細径化して本数を増加させることにより、集合体一体当たりのウランインベントリを増加させるとともに、集合体内のウラン濃縮度分布および可燃性毒物の配置をより詳細に最適化することによって、高燃焼度化と運転サイクル長期化により、燃料サイクル費を削減している。
集合体内濃縮度分布および可燃性毒物分布の最適化は、燃焼初期における集合体内の出力分布を不均一化し、局所的な出力ピーキング係数を増大させる場合がある。一般に、出力ピーキング係数が増加すると燃料の限界出力は低下する。
他方、燃料棒本数の増加による総伝熱面積の増加は、燃料棒から冷却材への熱流束、すなわち単位面積あたりの伝熱量を低下させる。これにより、限界出力特性が改善される。つまり、燃料の高燃焼度化は、出力ピーキング係数の増大による熱的余裕の減少分を、伝熱面積増加による熱的余裕増加分で補うことによって達成されている。大幅な高燃焼度化のためには、飛躍的な限界出力向上策が不可欠であり、安全性向上の観点からも、伝熱面積増加以外の限界出力向上策が取り入れられてきた。
伝熱面積増加以外の限界出力向上策としては、燃料スペーサの改良が有効である。スペーサは冷却水の流れに影響を及ぼし、燃料の限界出力に大きく影響することが知られている。改良8行8列型燃料までは、平板状部材を格子状に組み合わせた格子型スペーサが用いられてきた。これに対して、高燃焼度化8行8列型以降は、円筒状部材で構成された丸セル型スペーサと呼ばれる形状も用いられている。丸セル型スペーサは格子型に比べて、限界出力を大幅に向上することが実験から知られている。
スペーサによる更なる限界出力向上策として、たとえば流れに対して傾きを持たせた羽根(翼)状の突起物をスペーサ上面に設けて、スペーサ下流の冷却材流れに螺旋状の旋回流れを生じさせる方法が知られている。
非特許文献1には、格子型スペーサの格子板の各交点に4枚の突起で構成される旋回翼を設置したスペーサを用いることにより、従来の丸セル型(リング型)スペーサに比べて限界出力を約8%向上できることが示されている。格子板を薄肉化することによって、低圧力損失と高限界出力を両立しており、このような旋回翼付き格子型スペーサは海外で実用化されている。また、特許文献1には、旋回翼の代わりに、ねじりテープ状の板材を丸セル型スペーサに設置する方法が開示されている。いずれもスペーサ下流に蒸気旋回流を生じさせることにより、蒸気流中の液滴を遠心力により燃料棒表面の液膜流に付着させ、液膜ドライアウトの抑制効果を得るものである。
このような旋回翼付きスペーサは、次期高燃焼度燃料集合体の要素技術として日本国内においても採用が期待されている。
特開平07−218673号公報 特開平6−109884号公報 特開2005−49196号公報 特開2006−343275号公報
Kramer, W.、他5名、"the ULTRAFLOW spacer - an advanced feature of ATRIUM fuel assemblies for boiling water reactor"、Nuclear Engineering Design、154、pp.17-21、1995年 赤川 浩爾、他5名、「旋回管状噴霧流に関する研究(第1報,旋回流のトルクと旋回羽の性能」、日本機械学会論文集(B編)、49巻444号、pp.1695-1703、1983年
旋回翼付きスペーサにより生じる旋回流の強さは、燃料集合体内を流れる冷却材蒸気の流速に依存する。蒸気流速が大きいほどスペーサ下流の旋回強さも増すため、旋回翼付きスペーサの限界出力特性は、従来の丸セル型スペーサなどに比べて大きな蒸気流速依存性を持つ。
原子炉の定格流量時(高流量条件)における旋回翼付きスペーサの限界出力向上効果は、旋回翼のない丸セル型スペーサに比べて顕著に大きいものの、蒸気流速の小さい低流量条件においては旋回流の効果があまり発揮されないため、限界出力向上効果が低下する。極低流量条件においてはむしろ、丸セル型スペーサにも劣る効果しか得られない可能性がある。
したがって、旋回翼付きスペーサを有する燃料集合体を装荷した炉心では、たとえば再循環ポンプトリップなど、炉心流量の急減を伴うような異常な過渡事象が発生した場合に、流量過渡時のMCPR低下幅(ΔMCPR)が著しく大きくなる。このため、旋回翼付きスペーサを有する燃料集合体を用いる場合には、安全性維持の観点から、定格流量時において大きなMCPR余裕を確保しておく必要がある。このように、旋回翼付きスペーサを有する燃料集合体では限界出力の流量依存性が大きいため、従来型のスペーサに比べて流量過渡特性が悪くなる場合がある。
たとえば特許文献2ないし特許文献4には、旋回翼付きスペーサを有する燃料集合体の限界出力特性を改善する方法が開示されている。これらはいずれも燃料集合体の圧力損失や安定性を悪化させずに高限界出力特性を得る方法ではあるが、高流量時と低流量時の限界出力差を改善できるものではない。つまり、これらの方法では、燃料集合体の流量過渡特性を改善することはできない。
そこで、本発明は、沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体の定格流量時の限界出力特性を良好に保ちながら低流量時の限界出力特性を改善することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明は、沸騰水型原子炉用の燃料集合体において、円筒状の被覆管に核燃料を収容した複数の燃料棒と、前記燃料棒の軸に対して傾いた旋回翼を備えて前記燃料棒の軸を横切る平面を前記燃料棒が通過する複数の格子位置に区切る前記軸方向の異なる位置に設けられた複数の旋回翼付きスペーサと、を有し、前記旋回翼付きスペーサは、第1のスペーサと、前記第1のスペーサよりも上方に設けられて前記旋回翼と前記軸とのなす角が前記第1のスペーサより大きい第2のスペーサと、を含むことを特徴とする。
また、本発明は、沸騰水型原子炉の炉心において、円筒状の被覆管に核燃料を収容した複数の燃料棒と、前記燃料棒の軸に対して傾いた旋回翼を備えて前記燃料棒の軸を横切る平面を前記燃料棒が通過する複数の格子位置に区切る前記軸方向の異なる位置に設けられた複数の旋回翼付きスペーサと、を有し、前記旋回翼付きスペーサは、第1のスペーサと、前記第1のスペーサよりも上方に設けられて前記旋回翼と前記軸とのなす角が前記第1のスペーサより大きい第2のスペーサと、を含む燃料集合体が装荷されたことを特徴とする。
本発明によれば、沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体の定格流量時の限界出力特性を良好に保ちながら低流量時の限界出力特性を改善できる。
本発明に係る沸騰水型原子炉用の燃料集合体の一実施の形態の一部を拡大した縦断面図である。 本発明に係る沸騰水型原子炉用の燃料集合体の一実施の形態における縦断面図である。 図2のIII−III矢視横断面図である。 本発明に係る沸騰水型原子炉用の燃料集合体の一実施の形態の一部拡大横断面図である。 旋回翼下流側に生じる蒸気旋回流の旋回強度のシミュレーション結果のグラフである。 旋回翼下流における横断面内蒸気流速分布解析結果を模式的に示す旋回翼近傍の横断面図である。 サブチャンネル解析コードを用いた限界出力評価結果を示すグラフである。
本発明に係る沸騰水型原子炉用の燃料集合体の一実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、この実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれに限定されない。
図2は、本発明に係る沸騰水型原子炉用の燃料集合体の一実施の形態における縦断面図である。図3は、図2のIII−III矢視横断面図である。図4は、本実施の形態における燃料集合体の一部拡大横断面図である。
燃料集合体10は、燃料棒13、ウォータロッド15、第1のスペーサ21、第2のスペーサ22、上部タイプレート16および下部タイプレート17を有している。燃料集合体10は、その外側に角筒状のチャンネルボックス11が装着された状態で沸騰水型原子炉の炉心に装荷される。チャンネルボックス11の内側の幅は、約134mmである。
燃料棒13は、ジルコニウム合金製の被覆管の内部にウランなどの核燃料物質を焼結したペレットを収納したものである。被覆管はたとえばジルコニウム合金で形成され、その上下端はたとえば端栓で封じられる。燃料有効部、すなわち被覆管内に核燃料物質が収容されている領域の長さは約3.7mである。燃料棒13には、標準燃料棒と、標準燃料棒よりも短い部分長燃料棒とを用いてもよい。ウォータロッド15は、内部に水が流れるジルコニウム合金製の管である。
燃料棒13は、10行10列の正方格子状に配列されている。この正方格子の中央付近の一部には、燃料棒13の代わりに2本のウォータロッド15が配置されている。それぞれのウォータロッド15は、燃料棒13の4本分の位置を占めている。燃料棒13の間は、冷却水が流れる冷却水流路となっている。4本の燃料棒13で囲まれる領域の水力等価直径は、約10mmである。また、ウォータロッド15の内部にも冷却水が入るようになっている。
燃料棒13およびウォータロッド15の下端は、下部タイプレート17で支持されている。燃料棒13およびウォータロッド15の上端は、上部タイプレート16で支持されている。
第1のスペーサ21および第2のスペーサ22は、燃料棒13の軸を横切るチャンネルボックス11内の平面を燃料棒13およびウォータロッド15が通過する複数の格子位置に区切っている。つまり、燃料棒13およびウォータロッド15は、上部タイプレート16、下部タイプレート17、第1のスペーサ21および第2のスペーサ22によって、水平方向の間隔が保持されている。スペーサ21,22は、下部タイプレート17および上部タイプレート16の間に、互いに離間して8個が配置されている。これらの8個のスペーサ21,22のうち、下部タイプレート17に最も近い位置から3個および上部タイプレート16に最も近い位置の1個は、第1のスペーサ21である。残りの4個は、第2のスペーサ22である。
第1のスペーサ21は、ほぼ正方形のバンド25とその内側に直行する2方向に延びる複数の格子板19によって、チャンネルボックス11の内側の空間を複数の格子位置に区切っている。燃料棒13は、これらの格子位置を通過するように正方格子状に配列される。
また、第1のスペーサ21には、燃料棒13が延びる軸方向に対して傾いた第1の旋回翼31が設けられている。第1の旋回翼31は、格子板19の交差位置の近傍に設けられている。格子板19の1か所の交差位置に対して、たとえば4つの第1の旋回翼31が設けられている。1か所の交差位置の周りに設けられた第1の旋回翼31は、その交差位置を中心として回転対称に設けられている。
図1は、本実施の形態における燃料集合体の一部を拡大した縦断面図である。
第1のスペーサ21に設けられた第1の旋回翼31は、燃料棒13の軸に平行な方向、すなわち鉛直上向き方向zとなす角がθである。第2のスペーサ22は、第1のスペーサ21と旋回翼の傾きが異なっている。第2のスペーサ22に設けられた第2の旋回翼32は、鉛直上向き方向zとなす角がφである。以下、これらの角度θ、φを旋回翼の曲げ角と呼ぶ。
沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体10では、上部領域で液膜ドライアウトが生じやすい。そこで、本実施の形態の燃料集合体10において、所定の高さより上方の上部領域に位置する第2のスペーサ22に設けられた第2の旋回翼32の曲げ角φは、定格流量条件で好適な限界出力向上効果を得られる角度としている。一方、この所定の高さより下方の蒸気流速の小さい下部領域に位置する第1のスペーサ21に設けられた第2の旋回翼31の曲げ角θは、第2のスペーサ22に比べてやや小さい。すなわち、θ<φである。
なお、旋回翼31,32は、格子板19の全ての交差位置に設けられていてもよいし、一部の交差位置に設けられていてもよい。
近年、数値流体力学(CFD:Computational Fluid Dynamics)の発達に伴い、気液二相流の挙動をコンピュータを用いて精度よくシミュレートすることができるようになってきた。そこで、CFDコードを用いて、旋回翼の下流の蒸気旋回流特性と蒸気流中液滴の挙動に関する二相流解析を行った。
図5は、旋回翼下流側に生じる蒸気旋回流の旋回強度のシミュレーション結果のグラフである。図5には、旋回翼の曲げ角が大きい場合と小さい場合について示した。旋回流速の平均値は、旋回翼曲げ角が大きい場合の旋回翼上端での値で規格化している。
この二相流解析の結果、旋回翼の下流側に生じる蒸気旋回流の旋回強度、すなわち冷却水の旋回の周方向流速は、図5に示すように旋回翼直下流において最大となり、流れ方向にほぼ指数関数的に減衰することが分かった。
二相流中の液相流量割合を一定とすれば、旋回強度の最大値と減衰特性は主に蒸気流速と旋回翼曲げ角に依存する。解析結果から、これらのパラメータの変化に対して、次のような傾向が得られた。旋回流強度の初期値は、蒸気流速および曲げ角が各々大きくなると、大きくなる。他方、旋回流持続距離は、蒸気流速に対しては特に顕著な依存性は見られないものの、曲げ角に対しては依存性を持ち、曲げ角が大きいほど減衰が早くなり、小さいほど長く持続する結果となった。
非特許文献2には、円管中の旋回流の持続距離が記載されている。非特許文献2によれば、円管中の旋回流の持続距離は、旋回翼曲げ角への依存性はないとされている。しかし、上述の解析結果によれば、円管の外面で囲まれる領域での旋回流の強度は、旋回翼曲げ角の増加とともに持続距離が減少する。
図6は、旋回翼下流における横断面内蒸気流速分布解析結果を模式的に示す旋回翼近傍の横断面図である。図6において、矢印は、蒸気流の横断面内における向きを示している。
図6に示すように、旋回翼の下流では、旋回翼の中心を通る軸の周りに旋回流が生じていることが分かる。また、この旋回流の外側では、隣り合う燃料棒13の間隙に二次的な渦が生じていることがわかる。この二次的な渦の発生によって、エネルギー損失が生じている。さらに、二次的な渦の発生による冷却水の流れの乱れに起因した損失が加わるため、旋回流の強度の減衰が早くなる。すなわち、曲げ角が大きくなると冷却水の流速のうち旋回流速の成分が大きくなるため、二次的渦による損失が増加するとともに、流れの乱れ(乱流)による損失の増大も加わって旋回流の減衰が早くなる。
他方、旋回流持続距離が蒸気流速に依存しないのは、軸方向蒸気流速と旋回流速との相対関係に由来する。軸方向蒸気流速が大きくなると、旋回流速も旋回流持続距離も同じ比率で増加するはずであるが、減衰効果も同じ比率で大きくなるために両効果が相殺し、結果として減衰距離は変わらないと考えられる。
旋回翼による限界出力向上効果、すなわち旋回流による燃料棒13の表面への液滴付着促進効果は、旋回流強度分布の積分量に依存する。旋回翼の曲げ角が大きいほど旋回流の初期強度は大きくなるが、持続距離は短くなるため、必ずしも曲げ角が大きいほど液滴付着量も多くなるとは限らない。むしろ、蒸気流速の小さい低流量条件においては、旋回翼によって生じる旋回流の強度が小さいために、旋回翼の曲げ角を小さめに設定した方が旋回流持続距離の延伸効果の方が優り、より良好な限界出力向上効果を得られる可能性がある。
このようなCFD解析結果から得られた旋回流強度分布を液滴付着促進効果の分布としてサブチャンネル解析コードに組込み、5行5列型燃料集合体の限界出力評価を行った。
図7は、サブチャンネル解析コードを用いた限界出力評価結果を示すグラフである。この解析は、本実施の形態の燃料集合体10と等価水力直径がほぼ同じ5行5列型燃料集合体を対象とした。旋回翼付き格子型スペーサを軸方向に8枚設置した体系において、全てのスペーサの旋回翼曲げ角度を一定値φとした場合と、本実施の形態と同様に燃料集合体下部領域に位置する3枚のスペーサと最上部に位置するスペーサの曲げ角をそれよりやや小さい角度θに設定した体系について、解析を行った。
このサブチャンネル解析コードによる解析の結果、旋回翼の曲げ角を燃料集合体内の全てのスペーサについて一定値とした場合に比べて、蒸気流速の小さい燃料集合体下部領域に位置するスペーサの曲げ角をそれより小さく設定することにより、低流量時の限界出力特性を改善できる結果が得られた。
図7から、定格流量条件に相当する質量流束1300〜1400kg/ms付近では両者の限界出力特性にほとんど差は見られないが、500〜600kg/ms付近の低流量条件においては、差が現れていることが分かる。
高流量条件では、燃料集合体上部に位置する曲げ角のスペーサによる液滴付着促進効果が支配的なために両者の限界出力値にほとんど差が生じない。一方、低流量条件では燃料集合体上部の旋回流効果が小さくなるため、相対的に集合体下部に位置するスペーサによる液滴付着促進効果が大きくなる。この結果、両者の差が明確に現れたと考えられる。
定格流量付近(1350kg/ms)から低流量状態(500kg/ms)への流量過渡を考慮した場合、限界出力の低下幅に約3%の差が生じる。このため、この分だけΔMCPRの改善効果が得られる。
ΔMCPR改善効果は、旋回流強度の小さい低流量条件において、燃料集合体下部領域に位置する旋回翼曲げ角の小さいスペーサによって生じる旋回流持続距離の延伸効果が寄与したものと考えられる。たとえば特許文献3に記載のように旋回翼の大きさを変えると流路の閉塞率が変わるため、軸方向流速から旋回流速への蒸気の運動量変換効率は変化する。しかし、曲げ角が同じであれば軸方向流速と旋回流速の相対関係は変わらないため、旋回流速自体はほとんど変わらない。したがって、旋回翼の大きさを変える方法では、旋回流持続距離の延伸効果は得られない。このため、旋回翼の大きさを変えるだけでは、ΔMCPR改善効果は、得られない。
しかし、本実施の形態の燃料集合体10では、燃料集合体下部領域に旋回翼曲げ角の小さい第1のスペーサ21を設けることにより、ΔMCPR改善効果が得られる。このように、本実施の形態では、定格流量時の限界出力特性を良好に保ちながら、炉心流量の急減をともなう異常な過渡事象時の限界出力特性を改善できる。
また、このような燃料集合体10が装荷された沸騰水型原子炉では、炉心流量の急減をともなう異常な過渡事象時の安全性が向上する。沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体の全てを本実施の形態の燃料集合体10としてもよいし、炉心流量の急減をともなう異常な過渡事象時に熱的に厳しい燃料集合体のみを本実施の形態の燃料集合体10としてもよい。
液膜ドライアウトは、スペーサの直上流側すなわち下方で生じることが実験から知られている。このため、燃料集合体10の最上部に位置するスペーサより下流側、すなわち上方では、液膜ドライアウトが生じにくい。そこで、本実施の形態の燃料集合体10では、最上部に位置するスペーサでは、旋回翼の曲げ角を小さくして圧力損失の低減に寄与させている。このように、4枚の第1のスペーサ21の旋回翼曲げ角を小さくしたことにより、全てのスペーサの旋回翼曲げ角を一定値に設定した場合に比べて、燃料集合体10の圧力損失は低減される。
最上部のスペーサの旋回翼を燃料集合体10の下部領域に設けるスペーサの旋回翼と同一の形状とすることにより、燃料集合体10に用いられるスペーサあるいはスペーサの部品の種類を少なくすることができ、製造が容易になる。また、本実施の形態は、曲げ角度の異なる旋回翼付きスペーサを集合体軸方向に適切に配置することのみで、限界出力特性を改善している。このため、既存の燃料製造設備の改造は少なくて済む。また、既存の燃料集合体取扱設備や、他の燃料集合体の部品に特段の改造を加えることなく実現できる。
燃料集合体横断面内の燃料棒配置については、CFD解析による評価対象の水力等価直径が約10mmの条件から大きく異なるものでなければ、任意の格子配列として良い。たとえば水力等価直径が8mmないし12mm程度までの格子配列であれば、本実施の形態と同様の効果が得られる。水力等価直径が約10mmの構成は10×10型格子を想定したものであるが、たとえば、9×9型や11×11型であっても燃料集合体の水力等価直径は大きく変化しないため適用可能である。
また、ウォータロッド15の代わりに、角筒型水ロッドを用いたものや、燃料集合体内に横断面が十字型の水領域を形成した燃料集合体であってもよい。部分長燃料棒14は、任意の位置に配置してよい。
旋回翼の形状によって旋回流強度や圧力損失値に違いはあるものの、定性的傾向に影響するものではないため、様々な翼形状に適用可能である。たとえば、旋回翼の上方から見た投影形状は、本実施の形態のように台形の場合だけでなく、三角形としてもよい。さらに、形状の異なる旋回翼を混在させてもよい。旋回流の回転方向も右回り、左回りのどちらでも良い。また、CFD解析結果から、隣り合う格子点の旋回翼下流の旋回流は互いにほとんど影響しない結果が得られた。このため、隣り合う格子板19の交差位置の旋回翼の回転方向が互いに逆向きでもよい。旋回翼の大きさは、定性的傾向に影響するものではないため、旋回翼の大きさは適宜設定してよい。
旋回翼曲げ角度の配置は集合体内の軸方向蒸気流速分布に基づくため、スペーサ枚数とスペーサ間隔についても、設定の自由度は大きい。スペーサ枚数および間隔にかかわらず、燃料集合体中央部を含む上方領域では従来の曲げ角度を用い、燃料集合体中央部より下方領域に位置するスペーサの曲げ角をそれよりやや小さくすれば良い。
集合体最上部に位置するスペーサの曲げ角については、上方領域のスペーサと同様の角度としても良いが、圧力損失低減の観点からは集合体下方領域のスペーサと同様とした方がより良い効果を得られる。したがって、スペーサ間隔は、均等にしてもよいし、燃料集合体上方でスペーサ間隔を狭めてもよい。スペーサの枚数も8枚に限定されるものではなく、7枚または9枚などとしてもよい。
現行の沸騰水型原子炉と軸方向蒸気流速分布の範囲が大きく異なることがなければ定性的傾向に影響しないため、軸方向の燃料有効発熱長が現行沸騰水型原子炉の約3.7mと異なっていてもよい。
また、沸騰水型原子炉用の燃料集合体では、限界出力時においても燃料集合体10の入口近傍の冷却水は単相流である。単相流部に旋回翼付きスペーサを設置しても、旋回流による液滴付着促進効果は得られない。
そこで、たとえば集合体発熱長下端から上方約1mの範囲内の単相流部に位置する最下部の1枚または複数枚のスペーサについては、旋回翼無しとしてもよい。または、単相流の攪拌効果を促進する冷却材攪拌部材付きスペーサを設けてもよい。このようにして、単相流部に配置されるスペーサを旋回翼付きスペーサよりも投影面積が小さくすることにより、燃料集合体の圧力損失を低減することができ、また、冷却材攪拌部材により、集合体横断面内の冷却材温度分布を均一化できる。
10…燃料集合体、11…チャンネルボックス、13…燃料棒、15…ウォータロッド、16…上部タイプレート、17…下部タイプレート、19…格子板、21…第1のスペーサ、22…第2のスペーサ、25…バンド、31…第1の旋回翼、32…第2の旋回翼

Claims (4)

  1. 円筒状の被覆管に核燃料を収容した複数の燃料棒と、
    前記燃料棒の軸に対して傾いた旋回翼を備えて前記燃料棒の軸を横切る平面を前記燃料棒が通過する複数の格子位置に区切る前記軸方向の異なる位置に設けられた複数の旋回翼付きスペーサと、
    を有し、
    前記旋回翼付きスペーサは、第1のスペーサと、前記第1のスペーサよりも上方に設けられて前記旋回翼と前記軸とのなす角が前記第1のスペーサより大きい第2のスペーサと、
    を含むことを特徴とする沸騰水型原子炉用の燃料集合体。
  2. 前記スペーサのうち最も上方に設けられたものは、前記旋回翼と前記軸とのなす角が前記第2のスペーサより小さいことを特徴とする請求項1に記載の沸騰水型原子炉用の燃料集合体。
  3. 前記旋回翼付きスペーサよりも下方に設けられて前記旋回翼付きスペーサよりも前記軸方向の投影面積が小さい旋回翼なしスペーサをさらに有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の沸騰水型原子炉用の燃料集合体。
  4. 円筒状の被覆管に核燃料を収容した複数の燃料棒と、前記燃料棒の軸に対して傾いた旋回翼を備えて前記燃料棒の軸を横切る平面を前記燃料棒が通過する複数の格子位置に区切る前記軸方向の異なる位置に設けられた複数の旋回翼付きスペーサと、を有し、前記旋回翼付きスペーサは、第1のスペーサと、前記第1のスペーサよりも上方に設けられて前記旋回翼と前記軸とのなす角が前記第1のスペーサより大きい第2のスペーサと、を含む燃料集合体が装荷されたことを特徴とする沸騰水型原子炉の炉心。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015219064A (ja) * 2014-05-15 2015-12-07 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 燃料集合体
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