〔実施形態1〕
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る撮像条件決定装置、撮像条件決定方法について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
なお、本発明に係る撮像条件決定装置100を概略的に説明すれば以下のとおりである。すなわち、撮像条件決定装置100は、検査対象とする表示パネル(表示画面)210の輝度ムラを補正するために、表示パネル210に表示された検査用画像を撮像する撮像装置220の撮像条件を決定するためのものであって、撮像装置220が検査用画像を撮像するときの2つの仮撮像条件を高さZ1(第1仮撮像条件)および高さZ2(第2仮撮像条件)としたときに、高さZ1および高さZ2において、表示パネル210の画素数に対する撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数の比率である画素比を、それぞれ第1画素比および第2画素比として算出する画素比算出部(算出手段)120と、画素比と仮撮像条件との関係を示した座標系において、画素比算出部120が算出した第1画素比と高さZ1とによって示される第1撮像点(P1)と、画素比算出部120が算出した第2画素比と高さZ2とによって示される第2撮像点(P2)とを通る反比例曲線を、撮像条件を決定するための撮像条件決定関数Lとして設定する関数設定部(設定手段)130と、関数設定部130が設定した撮像条件決定関数Lにおいて、画素比が整数となる仮撮像条件Q1(あるいはQ2)を撮像条件として決定する撮像条件決定部(決定手段)140と、を備える構成である。
これにより、撮像条件決定装置100および本発明に係る撮像条件決定方法は、表示パネル210の輝度ムラを好適に補正するための撮像装置220の撮像条件を決定することができるという効果を奏する。
以下、撮像条件決定装置100の概略を説明する。
なお、撮像条件決定装置100の構成、動作等の理解の容易のため、まず撮像条件決定装置100を用いるムラ補正システム200の概要を図2を用いて説明する。その次に、撮像条件決定装置100について図1を参照して説明する。
〔ムラ補正システム200の概略構成〕
図2は、ムラ補正システム200の概略構成を示す図である。ムラ補正システム200は、表示パネル210の表示輝度が局所的に所望の輝度よりも暗くなったり明るくなったりする輝度ムラを補正するためのものである。
同図に示すとおり、ムラ補正システム200は、少なくとも、表示パネル210と、撮像装置220と、接続冶具230と、PC240と、距離調節装置(撮像条件調節手段)250と、パネル設置部260とを備える。
表示パネル210は、液晶表示装置やプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等であり、マトリクス状に配置された複数の画素回路を含んで構成されており、ムラ補正に好適なパネル設置部260上の所定の位置に位置合わせされる。
撮像装置220は、表示パネル210に表示された検査用画像を撮像素子部225によって撮像して撮像データを取得する。撮像装置220としては、例えばCCDカメラまたはCMOS撮像装置などを用いることができる。また、撮像装置220は、後述の距離調節装置250と直接または間接に連結されており、距離調節装置250の動作に従って、表示パネル210との距離が制御される構成となっている。
なお、本実施形態では、撮像装置220の撮像素子数は表示パネル210の画素数よりも大きいことが好ましいが、必ずしもこれに限られるわけではない。
接続冶具230は、電気的な接続端子を備えており、表示パネル210およびPC240と電気的に接続している。従って、接続冶具230を介して、後述のムラ補正データをPC240から表示パネル210へ書き込むことができる。なお、ムラ補正データが書き込まれるメモリは表示パネル210に備えられているものとする。
PC240は、後述のムラ補正処理を実行する主体となるものであって、PC240の内部において、CPUなどの演算手段が、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶手段に記憶されたプログラムを実行し、キーボードなどの入力手段、ディスプレイなどの出力手段、あるいは、インターフェース回路などの通信手段を制御することによりムラ補正処理を実現する。そのPC240は、撮像装置220および接続冶具230と電気的に接続している。そして、PC240は、撮像装置220が撮像した表示パネル210に表示された検査用画像の画像データを取得し、その画像データに基づいて、接続冶具230を介して、表示パネル210が備える上記メモリへムラ補正データを書き込む。
ここで、PC240は、撮像条件決定装置100を内蔵してもよいし、あるいは、撮像条件決定装置100は、PC240の外部に設けられる構成で実現されてもよい。
距離調節装置250は、詳細は後述するが、撮像条件決定装置100の撮像条件決定部140から、ムラ補正するときの撮像装置220の撮像条件を示す撮像条件情報を取得する。そして、距離調節装置250は、その撮像条件情報に基づいて、表示パネル210と撮像装置220との距離を撮像条件が示す位置に調節する。
なお、距離調節装置250が表示パネル210と撮像装置220との距離を制御する構成、方法は特に限られず、種々の分野で使用されている従来の技術を使用することができる。但し、そのような従来の技術としては、できる限り高い精度で距離制御が可能な技術を用いることが好ましく、それにより、撮像条件である上記距離を精密に調節可能となる。
〔撮像条件決定装置100の概略構成〕
次に、本実施形態に係る撮像条件決定装置100について、図1を参照して説明する。図1は、撮像条件決定装置100の概略構成を示すブロック図である。撮像条件決定装置100は、表示パネル210の輝度ムラを補正するために、表示パネル210に表示された検査用画像を撮像する撮像装置220の撮像条件を決定するためのものであり、図示するように、素子数カウント部110と、画素比算出部120と、関数設定部130と、撮像条件決定部140と、を備える構成となっている。なお、撮像条件決定装置100は、図2を参照して説明したPC240に内蔵されていても、あるいは、PC240の外部に独立に設けられる構成で実現されてもよい。また、素子数カウント部110は、撮像条件決定装置100の外部に設けられる構成で実現されてもよい。
図1に基づいて説明すれば、撮像装置220は、表示パネル210に表示された画像を撮像する。このとき、図2に示すように、撮像装置220は、位置1および位置2という2つの位置において上記画像を撮像する。なお、位置1は、表示パネル210からの高さがZ1であり、位置2は、表示パネル210からの高さがZ2である。なお、表示パネル210からの高さとは、表示パネル210の任意の位置から撮像装置220までの高さをいうものとする。
さらに、一般的に、ムラ補正処理を行う際に表示パネル210に表示される画像は、検査用画像データに応じた検査用画像であるものとする。
素子数カウント部110は、撮像装置220から、撮像装置220が位置1および位置2で撮像した画像データを取得する。そして、素子数カウント部110は、位置1および位置2それぞれについて、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数をカウントする。このことを図3、図4を用いて具体的に説明する。
図3は、位置1(高さZ1)における、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数について説明するための図である。なお、理解の容易のため、以降の説明では、撮像装置220は、横2592個、縦3888個の撮像素子を有する1000万画素のデジタルカメラであるものとする。
図示するように、位置1(高さZ1)における、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数は、横X1個、縦Y1個であるため、素子数カウント部110は、撮像装置220から取得した画像データに基づいて、「横X1個」、「縦Y1個」という素子数をカウントする。なお、そのカウント方法は、画像上において、表示パネル210の端部に相当する位置の輝度が急激に変化するため、周知技術を用いてカウントすることができる。
図4は、位置2(高さZ2)における、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数について説明するための図である。図示するように、位置2(高さZ2)における、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数は、横X2個、縦Y2個であるため、素子数カウント部110は、撮像装置220から取得した画像データに基づいて、「横X2個」、「縦Y2個」という素子数をカウントする。
なお、素子数カウント部110は、カウントした上記各値(位置Z1について「横X1個」、「縦Y1個」、位置Z2について「横X2個」、「縦Y2個」)を記憶装置180に記憶させる。
その記憶装置180は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SRAM(Static RAM)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)など、およびこれらの混成で構成されてもよい。
次に、画素比算出部120は、記憶装置180から、素子数カウント部110によってカウントされた上記各値を読み出す。そして、位置1および位置2において、表示パネル210の画素数に対する撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数の比率である画素比を、それぞれ第1画素比および第2画素比として算出する。そのことを図3、図4を用いて具体的に説明する。
なお、理解の容易のため、以降の説明では、表示パネル210は、横360個、縦480個の画素数を有するものとして説明する。また、上記では、画素比算出部120は、記憶装置180から、素子数カウント部110によってカウントされた上記各値を読み出すものとして説明したが、画素比算出部120は、素子数カウント部110から直接、上記各値を取得する構成で実現されてもよい。
図3において、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数は、横X1個、縦Y1個である。また、表示パネル210の画素数は、横360個、縦480個である。従って、第1画素比は、横方向について「X1/360」、縦方向について「Y1/480」となる。同様に、図4の例では、第2画素比は、横方向について「X2/360」、縦方向について「Y2/480」となる。
従って、図3、図4の場合には、画素比算出部120は、記憶装置180から、素子数カウント部110によってカウントされた上記各値(位置Z1について「横X1個」、「縦Y1個」、位置Z2について「横X2個」、「縦Y2個」)を読み出し、第1画素比として、横方向について「X1/360」、縦方向について「Y1/480」を算出し、第2画素比として、横方向について「X2/360」、縦方向について「Y2/480」を算出する。
なお、上記説明における横方向は図面の左右方向を、縦方向とは図面の上下方向を指すものとする。また、一般的に、表示パネル210は、ムラ補正処理を行うときに、ムラ補正に好適なパネル設置部260上の所定の位置に位置合わせされる。従って、図3・図4に示すように、表示パネル210の画素および撮像装置220の撮像素子の縦方向および横方向は、容易に一致させることができる。
関数設定部130は、画素比算出部120が算出した第1画素比(位置Z1において、横方向について「X1/360」、縦方向について「Y1/480」)と第1仮撮像条件(Z1)とによって示される第1撮像点(P1)と、画素比算出部120が算出した第2画素比(位置Z2において、横方向について「X2/360」、縦方向について「Y2/480」)と第2仮撮像条件(Z1)とによって示される第2撮像点(P2)とを通る反比例曲線を、ムラ補正するときの撮像装置220の撮像条件を決定するための撮像条件決定関数(L)として設定する。このことを図5を用いて具体的に説明する。
図5は、撮像条件を決定する方法を説明するための撮像条件決定関数(L)を説明するためのグラフであり、横軸は高さ(Z)を、縦軸は画素比を表す。
図示のとおり、第1撮像点(P1)は位置Z1における第1画素比を、第2撮像点(P2)は位置Z2における第2画素比を示す。ここで、第1画素比は、横方向について「X1/360」、縦方向について「Y1/480」という2つの画素比を含むものである。しかしながら、通常、表示パネル210の画素ピッチは、横方向および縦方向が同じである。同様に、撮像装置220の撮像素子ピッチは、横方向および縦方向が同じである。従って、「X1/360」および「Y1/480」は同じ値になり、「X2/360」および「Y2/480」は同じ値になる。それゆえ、同図に示すとおり、P1およびP2の画素比はそれぞれ1つの値を示す。
そして、関数設定部130は、第1撮像点(P1)と第2撮像点(P1)とを通る反比例曲線を、ムラ補正するときの撮像装置220の撮像条件を決定するための撮像条件決定関数(L)として設定する。
撮像条件決定部140は、関数設定部130が設定した撮像条件決定関数Lにおいて、画素比が整数となる仮撮像条件を、ムラ補正するときの撮像装置220の実際の撮像条件として決定する。従って、図5の例では、撮像条件決定部140は、画素比が整数を示すポイントQ1、Q2に対応する撮像装置220の位置を、ムラ補正するときの撮像装置220の実際の撮像条件として決定する。
なお、上記では、画素比が整数を示すポイントとしてQ1、Q2のみを挙げて説明した。しかしながら、実際には、画素比が整数を示すポイントはQ1、Q2以外にも存在する。従って、撮像条件決定部140は、画素比が整数を示すQ1、Q2以外のポイントに対応する撮像装置220の位置を、ムラ補正するときの撮像装置220の実際の撮像条件として決定することも可能である。
但し、ムラ補正するときの撮像装置220の撮像条件(高さ)は、より大きな整数にかかる仮撮像条件を撮像条件として決定することが好ましい。これにより、撮像装置220の撮像素子数を最大限活用することができ、より精度よく表示パネル210の輝度情報を取得することが可能となるためである。
従って、撮像条件決定部140は、ムラ補正するときの撮像装置220の撮像高さをQ1と決定する方が、Q2と決定するよりも好ましい。つまり、図5の例では、表示パネル210の画素数を360画素×480画素、撮像装置220の素子数を2592素子×3888素子(1000万画素のデジカメ)としているため、画素比が7倍になるように撮像することが好ましい。それゆえ、撮像装置220は、検査用画像の撮像に用いる撮像装置220の素子数が2520素子×3360素子となる撮像高さで当該検査用画像を撮像することが好ましい。
次に、撮像条件決定部140は、距離調節装置250に対して、ムラ補正するときの撮像装置220の撮像条件を示す撮像条件情報を送信する。
距離調節装置250は、撮像条件決定部140から、上記撮像条件情報を取得する。そして、距離調節装置250は、当該撮像条件情報に基づいて、撮像装置220の撮像条件(撮像高さ)を調節する。
従って、図5の例で言えば、距離調節装置250は、撮像装置220の撮像高さを、画素比が整数を示すポイントであるQ1(あるいはQ2)に対応する位置に調節する。より具体的には、距離調節装置250は、撮像装置220の撮像高さを、画素比が7となる撮像位置(画像の撮像に用いる撮像装置220の素子数が2520素子×3360素子となる撮像高さ)に調節する。そして、撮像装置220は、距離調節装置250によって調節された撮像高さにおいて、ムラ補正に用いる検査用画像を撮像する。
なお、上記では、撮像装置220の撮像条件は、撮像装置220の撮像高さによって示されている。しかしながら、撮像装置220の撮像条件は、撮像装置220の撮像高さに限られず、撮像装置220の撮像倍率によって示されてもよい。このことを図6を参照して説明する。
図6は、撮像装置220の撮像条件である撮像倍率が、撮像装置220のレンズを用いて調節される例を説明するための図である。
図6に示すように、表示パネル210の画素数を360画素×480画素、撮像装置220の撮像素子数を2592素子×3888素子とする。このとき、表示パネル210の画素(画素数360画素×480画素)は、撮像装置220の撮像素子上で素子数(n×360)×(n×480)に対応するように、撮像装置220の撮像倍率が調節される。同様に、不図示であるが、撮像倍率を変更すると、表示パネル210の画素(画素数360画素×480画素)は、撮像装置220の撮像素子上で画素数(m×360)×(m×480)に対応するようにも調節される(n、mは整数とする)。このように、撮像装置220の撮像条件は、撮像装置220の撮像高さに限られず、レンズを用いた撮像装置220の撮像倍率によっても示されうる。
なお、このとき、撮像条件決定部140は、距離調節装置250である撮像装置220の撮像倍率調節部(不図示)に対して、ムラ補正するときの撮像装置220の実際の撮像条件を示す撮像条件情報を送信する。そして、上記撮像倍率調節部は、撮像条件決定部140から上記撮像条件情報を取得し、当該撮像条件情報に基づいて、撮像装置220の撮像条件(撮像倍率)を調節する。
このように、撮像装置220の撮像条件は、撮像装置220の撮像高さやレンズを用いた撮像装置220の撮像倍率によっても示すことができる。
〔撮像条件決定装置100の動作〕
次に、撮像条件決定装置100の動作フローを図7により説明する。なお、各動作の詳細は上記の通りであるため、ここでの詳細説明は省略する。
まず、S10では、撮像装置220が、表示パネル210からの高さがZ1となる位置に設定される。そして、撮像装置220は、その高さZ1において、表示パネル210に表示された検査用画像を撮像する。
次に、S20では、素子数カウント部110が、撮像装置220から、撮像装置220が高さZ1で撮像した検査用画像の画像データを取得する。そして、素子数カウント部110は、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数をカウントする。そして、素子数カウント部110は、カウントした値を記憶装置180に記憶させる。
続いて、S30では、画素比算出部120が、記憶装置180から、素子数カウント部110によってカウントされた上記値を読み出す。そして、高さZ1において、表示パネル210の画素数に対する撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数の比率である画素比を第1画素比として算出する。
S40〜S60は、高さZ1において行われた上記各種動作が高さZ2に対しても行われ、その結果、表示パネル210の画素数に対する撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数の比率である画素比が第2画素比として算出される。
ここで、S10〜S30のステップと、S40〜S60のステップは、その順序が逆に行われるものであってもよい。また、画素比算出部120は、素子数カウント部110から直接、素子数カウント部110がカウントした上記各値を取得する構成で実現されてもよい。
次に、S70では、画素比算出部120が算出した第1画素比と第1仮撮像条件(Z1)とによって示される第1撮像点(P1)と、画素比算出部120が算出した第2画素比と第2仮撮像条件(Z1)とによって示される第2撮像点(P2)とを通る反比例曲線を、ムラ補正するときの撮像装置220の撮像条件を決定するための撮像条件決定関数Lとして設定する。
そして、S80では、関数設定部130が設定した撮像条件決定関数Lにおいて、画素比が整数となる撮像条件を、ムラ補正するときの撮像装置220の撮像条件として決定する。その後、撮像条件決定部140は、距離調節装置250に対して、ムラ補正するときの撮像装置220の実際の撮像条件を示す撮像条件情報を送信する。
続いて、S90では、距離調節装置250は、撮像条件決定部140から、上記撮像条件情報を取得し、その撮像条件情報に基づいて、撮像装置220の撮像条件(撮像高さ)を調節する。
最後に、S100では、距離調節装置250が調節した撮像装置220の撮像条件(撮像高さ)において、撮像装置220を用いたムラ補正が行われる。
〔撮像条件決定装置100による効果〕
以下、撮像条件決定装置100によって得られる効果を説明する。
上記構成によれば、撮像条件決定装置100および本発明に係る撮像条件決定方法では、関数設定部130が、画素比算出部120によって算出された第1画素比と高さZ1とによって示される第1撮像点(P1)と、画素比算出部120によって算出された第2画素比と高さZ2とによって示される第2撮像点(P2)とを通る反比例曲線を、ムラ補正するときの撮像装置220の撮像条件を決定するための撮像条件決定関数(L)として設定する。
ここで、高さZ1および高さZ2は、表示パネル210に表示された検査用画像を撮像装置220が撮像するときの2つの仮撮像条件である。また、第1画素比および第2画素比は、高さZ1および高さZ2において、表示パネル210の画素数に対する撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数の比率である画素比である。
そして、撮像条件決定部140は、関数設定部130が設定した撮像条件決定関数Lにおいて、画素比が整数となる仮撮像条件(Q1、Q2)を撮像条件として決定する。
つまり、撮像条件決定装置100および本発明に係る撮像条件決定方法は、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数と表示パネル210の画素数とがN:1(Nは1以上の整数)の関係を有する仮撮像条件Q1・Q2を撮像条件として決定するものである。これにより、表示パネル210の1つの画素に対して撮像装置220のN個の撮像素子を対応させることができるため、表示パネル210の1つの画素に係る輝度データを、撮像装置220のN個の撮像素子に撮像させることができるようになる。
この整数比の関係を有するときの撮像条件は、例えば撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数と表示パネル210の画素数とが2.7:1の関係を有する場合(すなわち、整数の関係を有していない場合)と比べて、表示パネル210の1つの画素に対して撮像装置220のN個の撮像素子を対応させることができるため、表示パネル210の1つの画素に係る輝度データをより確実かつ正確に撮像装置220の撮像素子に撮像させることができる。
従って、撮像条件決定装置100および本発明に係る撮像条件決定方法によって撮像条件が決定された後に行われる表示パネル210の輝度ムラの補正(ムラ補正)において、撮像装置220は、表示パネル210の画素ごとの輝度情報をより確実かつ正確に取得することができ、その結果、より良好なムラ補正が行われる。
さらに、撮像条件は、関数設定部130が設定した撮像条件決定関数Lに基づいて決定されるものであって、演算によって決定されるものである。それゆえ、迅速かつ正確に、良好なムラ補正を実現する撮像条件が決定される。
なお、表示パネル210に表示された検査用画像は、表示パネル210の端部において輝度(輝度データ)が急激に変化する。従って、その輝度の変化を利用することにより、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数は容易にカウントされる。
また、高さZ1および高さZ2は、任意に選択可能な仮撮像条件である。従って、撮像条件を決定するうえでユーザに対して過度の負担をかけることがないため、利便性の高い撮像条件決定装置100をユーザに提供することができる。
ここで、撮像条件決定装置100および本発明に係る撮像条件決定方法によって得られる上記効果を図8〜図10を用いて説明する。なお、各図では、説明の便宜上、表示パネル210の画素数を8、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数をそれぞれ16、20、12とし、かつ、表示パネル210の画素および撮像装置220の撮像素子を一次元で表現している。また、各図における画素の輝度を示すグラフにおける「〇」は、その位置の輝度が、撮像装置220の撮像素子によって撮像されることを示す。
図8は、表示パネル210の画素数が8、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数が16の場合における、撮像素子が撮像する輝度(輝度データ)を説明するための概略図である。なお、同図では、すでに距離調節装置250が撮像装置220を撮像条件が示す状態に調節しているものとする。
図示のとおり、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数(16)と表示パネル210の画素数(8)とは2:1の関係を有している。これにより、表示パネル210の1つの画素に対して撮像装置220の撮像素子の2個の撮像素子を対応させることができるため、表示パネル210の1つの画素に係る輝度データを、撮像装置220のN個の撮像素子に撮像させることができるようになる。
なお、図8では、「〇」の位置は、表示パネル210の各画素と画素間の間隙とに位置決めされている。このように画素の輝度データが取得される位置を位置決めすることにより、撮像装置220の撮像素子が撮像する輝度データは、画素および画素間の間隙に対応付けられて、明・暗が周期的に生じるサイン波に類似した形状となる(図8)。このことは、表示パネル210の1つの画素に係る輝度データをより確実かつ正確に撮像装置220の撮像素子に撮像させることができたことを意味する。それゆえ、撮像条件決定装置100および本発明に係る撮像条件決定方法によって撮像条件が決定された後に行われる表示パネル210の輝度ムラの補正(ムラ補正)において、撮像装置220は、表示パネル210の画素ごとの輝度情報をより確実かつ正確に取得することができ、その結果、その後のムラ補正処理において、より良好なムラ補正を行うことができる。
このように、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数と表示パネル210の画素数とがN:1の関係を有するように撮像条件を決定することにより、後に行われるムラ補正は、より良好な結果を得ることができるようになる。
図9は、表示パネル210の画素数が8、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数が20の場合における、撮像素子が撮像する輝度(輝度データ)を説明するための概略図である。なお、同図では、距離調節装置250が撮像装置220を撮像条件が示す状態に調節していない。このことは、図10についても同様である。
図示のとおり、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数(20)と表示パネル210の画素数(8)とは2.5:1の関係を有しており、上記の整数比の関係ではない。従って、表示パネル210の1つの画素に対して撮像装置220の撮像素子の2.5個の撮像素子が対応することになり、表示パネル210の画素に係る輝度データを、撮像装置220の撮像素子に正確に撮像させることができなくなる。
これにより、撮像装置220の撮像素子によって撮像される表示パネル210の画素に係る輝度データの位置(「〇」の位置)は、図8に示すような表示パネル210の各画素と画素間の間隙とに位置決めされることもなく、また、撮像装置220の撮像素子が撮像する輝度データは、明・暗が周期的に生じるサイン波に類似した形状を形成することもない。
このように、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数と表示パネル210の画素数とが整数比の関係を有していない場合には、表示パネル210の1つの画素に係る輝度データを正確に撮像装置220の撮像素子に撮像させることができないことが分かる。
図10は、表示パネルの画素数が8、撮像装置の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数が12の場合における、撮像素子が撮像する輝度(輝度データ)を説明するための概略図である。この場合、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数(12)と表示パネル210の画素数(8)とは1.5:1の関係を有しており、上記の整数比の関係ではない。従って、図9の場合と同様に、表示パネル210の1つの画素に係る輝度データを正確に撮像装置220の撮像素子に撮像させることはできない。
このように、撮像装置220の撮像素子のうち検査用画像を撮像した撮像素子の素子数と表示パネル210の画素数とがN:1(Nは1以上の整数)の関係を有する場合に、後に行われるムラ補正は、より良好な結果を得ることができ、また、本発明に係る撮像条件決定装置100および撮像条件決定方法は、上記N:1の画素比となるように撮像条件を決定するものである。
さらに、本発明に係る撮像条件決定装置100では、撮像条件決定部140は、画素比が整数となる仮撮像条件が複数存在するときは、より大きな整数にかかる仮撮像条件を撮像条件として決定する構成であってよい。
画素比が整数となる仮撮像条件が複数存在するときは、より大きな整数にかかる仮撮像条件を撮像条件として決定することが好ましい。これにより、撮像装置220の撮像素子数を最大限活用することができ、より精度よく表示パネル210の輝度情報を取得することが可能となるためである。但し、撮像装置220の撮像素子を超えない範囲において、より大きな整数にかかる仮撮像条件を撮像条件として決定するものとする。
さらに、本発明に係る撮像条件決定装置100では、撮像条件は、表示パネル210と撮像装置220との間の装置間距離、または、撮像装置220の撮像倍率で示される構成であってよい。
表示パネル210と撮像装置220との間の装置間距離、または、撮像装置220の撮像倍率は、撮像装置220の撮像条件として調節しやすい条件である。
従って、上記構成とすることにより、ユーザは撮像条件を容易に調節することができるため、ユーザにとって利便性の高い撮像条件決定装置100を実現することができる。
さらに、本発明に係る撮像条件決定装置100では、撮像条件決定部140は、撮像条件を示す撮像条件情報を距離調節装置250に送信し、距離調節装置250は、撮像条件情報に基づいて、撮像装置220を撮像条件が示す状態に調節する構成であってよい。
上記構成によれば、撮像条件を示す撮像条件情報が撮像条件決定部140から距離調節装置250に送信され、距離調節装置250は、撮像条件情報に基づいて、撮像装置220を撮像条件が示す状態に調節する。
従って、撮像条件は、距離調節装置250によって調節されるため、ユーザ自身が撮像条件を調節する必要がなくなる。また、距離調節装置250が撮像装置220を撮像条件が示す状態に調節するため、ユーザが調節するよりも確実な調節が期待できる。それゆえ、上記構成とすることにより、良好なムラ補正を確実に行うことができる。
なお、撮像条件が装置間距離である場合、距離調節装置250は、装置間距離を調節する機能を有する。このとき、距離調節装置250が装置間距離を調節する方法は特に限られず、種々の分野で使用されている従来の技術を使用してよい。
また、撮像条件が撮像倍率である場合、距離調節装置250は、撮像倍率を調節する機能を有する。このとき、距離調節装置250が撮像倍率を調節する方法は特に限られず、種々の分野で使用されている従来の技術を使用してよい。
なお、撮像条件決定装置100は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを各手段(画素比算出部120、関数設定部130、撮像条件決定部140)として動作させることにより撮像条件決定装置100をコンピュータにて実現させる撮像条件決定プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
また、撮像条件決定装置100を備えた、表示パネル210の輝度ムラを補正するためのムラ補正システムも、本発明の範疇に入る。
なお、ムラ補正システムとは、従来のムラ補正装置であってもよいし、また、図2に示されるムラ補正システム200であってもよい。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1で説明した部材と同様の機能を有する部材については実施形態1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
実施形態2は、表示パネル210に表示される検査用画像が、表示パネル210の画素ごとに規則性をもって表示される場合において、撮像装置220が、上記規則性をもって表示される検査用画像をそれぞれ撮像し、画素比算出部120が、規則性をもって表示され、かつ、それぞれ撮像された検査用画像を合成してなる1つの画像に基づいて、画素比を算出する構成に対応するものである。このことを図11を参照して説明する。
図11は、撮像装置220が、規則性をもって表示される検査用画像をそれぞれ撮像し、撮像された各検査用画像が1つの画像に合成される様子を示す図である。
図示するように、表示パネル210の複数の画素が規則性をもって4分割されている。そして、規則性をもって分割された各画素には仮想的に1〜4の番号が付されている。なお、分割される数は4に限られず、その他の数であってもよい。
ここで、撮像装置220が、上記規則性をもって表示される検査用画像をそれぞれ撮像する。そして、規則性をもって表示され、かつ、それぞれ撮像された検査用画像が1つの画像に合成される。なお、撮像された複数の画像を1つの画像に合成する方法は、周知の技術を用いることができる。
そのうえで、画素比算出部120が、規則性をもって表示され、かつ、それぞれ撮像された検査用画像を合成してなる1つの画像に基づいて上述した画素比を算出する。その後、関数設定部130および撮像条件決定部140が上記の各動作を行い、これにより、表示パネル210の輝度ムラを好適に補正するための撮像装置220の撮像条件を決定することができる。
このように、表示パネル210に表示される検査用画像が、表示パネル210の画素ごとに規則性をもって表示される場合において、撮像装置220が、上記規則性をもって表示される検査用画像をそれぞれ撮像し、画素比算出部120が、規則性をもって表示され、かつ、それぞれ撮像された検査用画像を合成してなる1つの画像に基づいて、画素比を算出する構成によっても、表示パネル210の輝度ムラを好適に補正するための撮像装置220の撮像条件を決定することができる。
ここで、本実施形態に係る構成は、表示パネル210の解像度が高く、撮像装置220の解像度が低いような場合であって、表示パネル210に表示される検査用画像が、表示パネル210の画素ごとに規則性をもって表示される場合に実現されるものである。
そして、上記構成によれば、例えば表示パネル210の複数の画素を規則的に4分割して、検査用画像をその規則性に従って順次表示した場合に、撮像装置220は、分割した数と同数の4倍の解像度を実現することができるというさらに他の効果を奏する。そして、上記構成とすることにより、表示パネル210の解像度が高く、撮像装置220の解像度が低いような場合であっても、撮像装置220は、表示パネル210の各画素に表示された検査用画像を撮像し、各画素の輝度(輝度データ)を取得することができる。
〔ムラ補正処理について〕
以下、撮像条件決定装置100が撮像装置220の撮像条件を決定した後に行われるムラ補正処理の詳細を説明する。なお、下記のムラ補正処理はあくまで一例であって、周知の方法でムラ補正処理を行うことも勿論可能である。
最初に、ムラ補正処理の詳細を説明する前に、ムラ補正処理工程に進むまでの流れを図12を参照して説明する。図12は、ムラ補正処理が行われるまでのパネル検査の流れを説明するためのフローチャートである。
まず、S200では、表示パネルの点灯検査が行われる。なお、表示パネルは、液晶表示装置やプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等であり、マトリクス状に配置された複数の画素回路を含んで構成されている。
次に、S210では、表示パネル210に輝度ムラが存在するかどうかが確認される。なお、輝度ムラとは、表示パネル210の表示輝度が局所的に所望の輝度よりも暗くなったり明るくなったりする領域である。そして、S210でNoの場合、S220に進む。すなわち、輝度ムラが存在しない場合にS220に進むため、その表示パネル210は良品であると判断される。
一方、S210でYesの場合、S230に進む。S230では、表示パネル210のメモリに補正データが書き込まれているか否かが判断される。そして、S230でYesの場合はS240に進み、表示パネル210が不良品であると判断される。つまり、上記メモリに補正データが書き込まれている場合には、すでにムラ補正処理を終えていることになる。そのムラ補正処理は、通常は1度しか行われないことから、S230にてメモリに補正データが書き込まれている場合には、その表示パネル210は不良品であると判断される。
一方、S230にて、上記メモリに補正データが書き込まれていない場合には、S250のムラ補正工程に進む。なお、S250に進んだ場合には、撮像条件決定装置100が、ムラ補正工程に好適な撮像装置220の撮像条件を決定する。そして、その撮像条件に基づいて、後述のムラ補正処理が行われる。
以上、ムラ補正処理が行われるまでのパネル検査の流れを概略説明した。次に、図13等を参照して、撮像装置220の撮像条件が決定した後に行われるムラ補正処理を説明する。
〔実施例1〕
ムラ補正処理の一実施例について説明する。なお、本実施例では、携帯電話等のモバイル型の装置に備えられる透過型の液晶表示装置であって、RGBの各色を6ビットで表現した画像データに基づいて表示を行う表示装置における、ソースライン(データライン)の延伸方向に平行な方向のスジ状ムラを補正する場合の例について主に説明する。ただし、本発明の適用対象はこれに限るものではない。
図14は、本実施例にかかる補正データ作成装置10の構成を示すブロック図である。この図に示すように、補正データ作成装置10は、表示データ生成部11、撮像部12、輝度データ抽出部13、移動平均化処理部14、輝度ムラ検出部15、および補正データ生成部16を備えている。
表示データ生成部11は、表示パネル21における輝度ムラの有無の検査を行う際に、この表示パネルに表示させる表示データを生成し、表示パネル21の駆動制御部22に出力する。一般に、輝度ムラは中間調の画像を同一階調で全面均一表示をさせた場合に視認されやすい。このため、本実施例では、表示データ生成部11は、輝度ムラを検出するために表示パネルの全画素に中間調の同一階調の画像を表示させるための画像データである検査用画像データを生成する。ここで、表示パネル21と上記の表示パネル210とは同一のものとみなしてもよい。
撮像部12は、表示データ生成部11によって生成された検査用画像データに応じた画像が表示されている表示パネル21の表示面を撮像して撮像データを取得する。撮像部12としては、例えばCCDカメラなどを用いることができる。ここで、撮像部12と上記の撮像装置220とは同一のものとみなしてもよい。
輝度データ抽出部13は、撮像部12の取得した撮像データから輝度データを抽出する。
移動平均化処理部14は、輝度データ抽出部13の抽出した輝度データにおける上記表示画面のソースラインに対応する領域(あるいはソースラインの延伸方向に平行な所定幅の領域)の画素の集合であるライン画素群について、当該ライン画素群に含まれる各画素の輝度の平均値を当該ライン画素群の輝度値として算出する。また、移動平均化処理部14は、上記各ライン画素群の輝度値を、そのライン画素群を含む所定範囲の周辺領域(例えば当該ライン画素群を中心とする当該ライン画素群の延伸方向に垂直な方向の3mmの幅の領域)に含まれる各画素の輝度値で平均化した移動平均化データを算出する移動平均化処理を行う。
図15の実線は輝度データ抽出部13の抽出した輝度データに基づいて算出した各ライン画素群の輝度値を示すグラフであり、破線は上記の各ライン画素群の輝度値の移動平均値を示すグラフである。上記移動平均値は、バックライトに起因する輝度ムラなどの緩やかな輝度ムラを除去し、ムラと認識されやすい局所的な輝度ムラを抽出するために求めるもので、ムラのない状態の輝度を示す。また、図16の実線は、図15における各ライン画素群の輝度値から上記移動平均値を引いた値にパネル輝度の平均値(表示画面全体の輝度の平均値)を加えたもので、バックライトに起因する輝度ムラ等の緩やかに変化する輝度ムラの影響を除去した後の各ライン画素群の輝度値を示すグラフであり、破線はパネル輝度の平均値を示すグラフである。なお、これら各グラフにおける横軸は各ライン画素群の位置を示しており、縦軸は各ライン画素群の輝度値(各ライン画素群に属する画素の輝度値の平均値)示している。
輝度ムラ検出部15は、輝度データ抽出部13が撮像データから抽出した各ライン画素群の輝度値と、その移動平均値とに基づいて輝度ムラが生じている領域を検出する。
具体的には、輝度ムラ検出部15は、輝度データ抽出部13が撮像データから抽出した輝度データにおける各ライン画素群の輝度値と、その移動平均値との差を算出し、算出した差の絶対値が所定の閾値以上であるライン画素群の集合からなる領域を輝度ムラとして検出する。つまり、各ライン画素群の輝度値の移動平均値を当該各ライン画素群についての輝度ムラが生じていない場合の適正輝度値とみなして各ライン画素群の輝度値と比較することにより、輝度ムラが生じている領域を検出する。これにより、バックライトの影響等を除去して輝度ムラを適切に検出することができる。
すなわち、透過型の液晶表示装置では、一般にバックライトからの照射光を表示パネルに均一に照射するために拡散板等が備えられるものの、完全に均一化することは困難なため、バックライトに対する相対位置に応じてバックライトからの照射光の輝度に差が生じる場合がある。ただし、バックライトに対する相対位置に起因する輝度分布は表示パネルの広範囲にわたって比較的なだらかに変化するので(図15における破線部の傾き参照)、輝度ムラとして視認されることは少ない。つまり、人間の目に輝度ムラと認識されるのは、局所的に大きく輝度が変化している場合であり、空間的に大きな周期で輝度が連続的に変化している場合は、ムラと認識されにくい。このため、バックライトからの照射光の輝度分布に起因する輝度の差は輝度ムラとして視認されることは少ない。
一方で、バックライトの影響を考慮せずに、輝度ムラが生じていない適正領域の輝度値を表示画面の全領域について一定値とみなすと、輝度ムラとして視認されない領域が輝度ムラとして検出されたり、輝度ムラとして視認される領域が適正領域として検出されたりする場合が生じる。つまり、輝度ムラが生じていない適正領域の輝度値(適正輝度値)は表示パネル上の位置に応じて異なっている。
そこで、本実施例では、輝度データ抽出部13の抽出した輝度データに対して移動平均化処理部14が移動平均化処理を施し、各ライン画素群の輝度値の移動平均値を当該各ライン画素群が適正領域である場合の輝度値(適正輝度値)とみなす。これにより、バックライトからの照射光の輝度分布の影響を除去し、輝度ムラとして視認されやすい、隣接領域の輝度との差が急激に変化している領域を輝度ムラとして適切かつ容易に検出することができる。
なお、移動平均化処理において平均化する範囲(ライン画素群の延伸方向に垂直な方向の範囲)は、スジ状の輝度ムラ領域の幅よりも十分に広く、当該範囲内の各位置におけるバックライトからの照射光の輝度値の差が輝度ムラ領域における輝度値の適正輝度値からのずれに対して十分に小さくなる範囲に設定することが好ましい。具体的には、携帯電話等のモバイル機器に備えられる数百画素×数百画素程度の表示パネルの場合、1mm以上5mm以下の範囲に設定することが好ましい。本実施例では、360画素×480画素の表示パネル21を用いており、上記範囲を3mmとした。
補正データ生成部16は、輝度ムラ検出部15の検出した輝度ムラの情報に基づいて、輝度ムラを視認されにくくするための補正データを生成し、生成した補正データに圧縮処理を施して駆動制御部22に出力する。なお、輝度ムラ領域に含まれるライン画素群の輝度値のピーク値と適正輝度値との差が所定の基準値未満の場合にはスジ状の輝度ムラは存在しないものみなし、補正データを作成しないようにしてもよい。
本実施例では、上記したように、RGBの各色を6ビットで表現した画像データに基づいて表示を行う表示装置20を用いている。この種の低階調パネルでは、輝度ムラの検出結果に基づいて単純に表示用画像データの階調を調節するだけでは、輝度ムラを適切に補正できない場合がある。これは、輝度ムラとして認識される輝度値のずれの最小値は、6ビット階調のパネルなら表示用画像データにおける1階調分に相当する輝度値未満であるため、例えば暗い輝度ムラを補正しようとしてデータを1階調上げるように補正すると補正量が大きくなりすぎて明るい輝度ムラとして視認されてしまったり、逆に明るい輝度ムラを補正しようとしてデータを1階調下げるように補正すると暗い輝度ムラとして視認されてしまったりするためである。
そこで、補正データ生成部16は、適正輝度値に対する輝度のずれが画像データの1階調分に相当する輝度値未満であってもこの輝度のずれに起因する輝度ムラが視認されにくくするための補正データを生成する。
図17は、補正パターンの生成方法を説明するための説明図である。より具体的には、図17は、各画素に対して階調値9,10,11の検査用画像データをそれぞれ表示させ、これら各階調値に応じた画像を表示した状態の表示パネル21を撮像した撮像データに基づいて抽出した各ライン画素群の輝度値、およびパネル輝度の平均値を示すグラフである。なお、図17では、図16と同様の処理を施し、バックライトに起因する輝度ムラ等の緩やかに変化する輝度ムラの影響を除去した後の各ライン画素群の輝度値を示している。
輝度ムラ検出部15は、撮像データから抽出した輝度データにおける適正輝度値に対する輝度値の差の絶対値が所定の閾値以上である部分を輝度ムラとして検出する。具体的には、上記差が正の値であって絶対値が閾値以上である部分を明るいムラとして検出し、上記差が負の値であって絶対値が閾値以上である部分を暗いムラとして検出する。図17の例では、C1,C2で示した部分が明るい輝度ムラとして検出され、D1,D2で示した部分が暗い輝度ムラとして検出される。
次に、補正データ生成部16は、各輝度ムラ部分の値と適正輝度値との差を検出する。図17の例では、輝度ムラC1,C2,D1,D2について差c1,c2,d1,d2がそれぞれ検出される。
また、補正データ生成部16は、基準階調値よりも1階調高い画像データに対する適正部分の輝度値と基準階調値の画像データに対する適正部分の輝度値との差A、および基準階調値の画像データに対する適正部分の輝度値と基準階調値よりも1階調低い画像データに対する適正部分の輝度値との差Bとを検出する。
そして、補正データ生成部16は、明るい輝度ムラC1,C2については当該輝度ムラについての上記差c1,c2と上記差Bとの比c1/B,c2/Bをそれぞれ算出し、暗い輝度ムラD1,D2については当該輝度ムラについての上記差d1,d2と上記差Aとの比d1/A,d2/Aをそれぞれ算出する。
そして、明るい輝度ムラについての上記比(c1/B、c2/B、など)が1以下の場合は、補正データ生成部16は、明るい輝度ムラに対応するライン画素群に属する画素のうち当該輝度ムラについての上記比に応じた割合の画素(調整補正画素)に対する表示用画像データを1階調低くするための補正データを生成する。
また、上記比(c1/B、c2/B、など)が1を超える場合、補正データ生成部16は、明るい輝度ムラに対応するライン画素群に属する画素に対する表示用画像データを上記比の整数部分に応じた階調値だけ低くするための補正データ、および、上記比の小数部分に応じた割合の画素(調整補正画素)に対する表示用画像データをさらに1階調低くするための補正データを生成する。
図18は、明るい輝度ムラが生じている位置と当該各輝度ムラについての上記比の値との関係の一例を示すグラフである。
補正データ生成部16は、各輝度ムラ領域を上記比の値に応じてグループ分けする。例えば、図18に示したように、上記比が0.125以上0.375未満の輝度ムラ領域を補正強度1、上記比が0.375以上0.625未満の輝度ムラ領域を補正強度2、上記比が0.625以上0.875未満の輝度ムラ領域を補正強度3、上記比が0.875以上1.125未満の輝度ムラ領域を補正強度4、上記比が1.125以上1.375未満の輝度ムラ領域を補正強度5に分類する。
そして、補正強度1の輝度ムラ領域については上記比が0.25であるものとみなし、4画素に1画素の割合で階調値を1階調下げるための補正データを作成する。例えば、図138に示したckに対応する位置ではck/Bの値が0.19であることから、補正強度1に分類され、4画素に1画素の割合で階調値を1階調下げるための補正データが作成される。
また、補正強度2の輝度ムラ領域については上記比が0.5であるものとみなし、2画素に1画素の割合で階調値を1階調下げるための補正データを作成する。例えば、図18に示したcnに対応する位置ではcn/Bの値が0.44であることから、補正強度2に分類され、2画素に1画素の割合で階調値を1階調下げるための補正データが作成される。
また、補正強度3の輝度ムラ領域については上記比が0.75であるものとみなし、4画素に3画素の割合で階調値を1階調下げるための補正データを作成する。例えば、図18に示したclに対応する位置ではcl/Bの値が0.80であることから、補正強度3に分類され、4画素に3画素の割合で階調値を1階調下げるための補正データが作成される。
また、補正強度4の輝度ムラ領域については上記比が1であるものとみなし、各画素について階調値を1階調下げるための補正データを作成する。
また、補正強度5の輝度ムラ領域については上記比が1.25であるものとみなし、各画素の階調値を1階調下げ、4画素に1画素の割合の画素については階調値をさらに1階調下げる(合計2階調下げる)ための補正データを作成する。例えば、図18に示したcmに対応する位置ではcm/Bの値が1.29であることから、補正強度5に分類され、各画素の階調値を1階調下げるとともに、4画素に1画素の割合で階調値をさらに1階調下げるための補正データが作成される。
また、上記比(c1/B、c2/B、など)が1を超える場合、補正データ生成部16は、上記比を除算した場合の除算結果が1以下となる2以上の数nで上記比を除算し、この除算結果に応じた割合の画素(調整補正画素)に対する表示用画像データをn階調低くするための補正データを作成してもよい。例えば、図18に示した補正強度5に属する輝度ムラ領域の場合、上記比が1.25(=5/4)であるものとみなし、n=2で除算した値(5/4÷2=5/8)を算出し、この除算結果に応じて8画素に5画素の割合で2階調下げるための補正データを作成すればよい。
また、暗い輝度ムラについての上記比(d1/A、d2/A、など)が1以下の場合は、補正データ生成部16は、暗い輝度ムラに対応するライン画素群に属する画素のうち当該輝度ムラについての上記比に応じた割合の画素に対する表示用画像データを1階調高くするための補正データを生成する。
また、上記比(d1/A、d2/A、など)が1を超える場合、補正データ生成部16は、暗い輝度ムラに対応するライン画素群に属する画素に対する表示用画像データを上記比の整数部分に応じた階調値だけ高くするための補正データ、および、上記比の小数部分に応じた割合の画素(調整補正画素)に対する表示用画像データをさらに1階調高くするための補正データを生成する。
また、上記比(d1/A、d2/A、など)が1を超える場合、補正データ生成部16は、上記比を除算した場合の除算結果1以下となる2以上の数nで上記比を除算し、この除算結果に応じた割合の画素に対する表示用画像データをn階調高くするための補正データを作成してもよい。
なお、図18では上記比が1.375以上の場合については図示していないが、1.375以上の場合にも上述した方法と同様にして各輝度ムラ領域のグループ分けおよび各輝度ムラ領域に対応する補正データの作成を行えばよい。また、各グループに対応する上記比の幅は図18に示した例に限られるものではない。
したがって、例えば上記比が1以下であった場合、適正輝度値に対する差(適正輝度値からのずれ)が大きい輝度ムラ領域については表示用画像データを1階調補正する画素の割合は大きくなり(表示用画像データを1階調補正する画素が密になり)、適正輝度値に対する差が比較的小さい輝度ムラ領域については表示用画像データを1階調補正する画素の割合は小さくなる(表示用画像データを1階調補正する画素が疎になる)。図19は、補正データにおける上記比が1以下である場合に表示用画像データの階調を1階調補正する画素の例を示す説明図である。
例えば、c1/B=1/3の場合、表示用画像データにおける輝度ムラC1に対応するソースライン上の画素に対する画像データを、ソースラインの延伸方向に沿って3画素毎に1画素だけ1階調低く補正させるための補正データ(補正対象のソースラインに接続された全画素数に対する調整補正画素の割合を示す画像データ)を生成する。また、d1/A=1/3の場合、表示用画像データにおける輝度ムラD1に対応するソースライン上の画素に対する画像データを、ソースラインの延伸方向に沿って3画素毎に1画素だけ1階調高く補正させるための補正データを生成する。
なお、上記比ci/B(iは輝度ムラの位置を示す1以上の整数)または上記比dj/A(jは輝度ムラの位置を示す1以上の整数)の大きさに応じて、各輝度ムラ領域における輝度ムラの程度(適正輝度値に対するずれの程度)が予め設定された複数のグループのうちのいずれのグループに属するかを判断し、この判断結果と各グループに対して予め設定された値とに基づいて表示用画像データにおける調整補正画素の割合(あるいは調整補正画素同士の間隔)を設定するようにしてもよい。
また、上記の例では、ci/Bあるいはdj/Aの値と調整補正画素の割合とを同値にする場合について説明したが、これに限らず、例えばci/Bあるいはdj/Aの値に予め定められた補正係数を乗じた値に基づいて調整補正画素の割合を設定するようにしてもよい。また、上記補正係数を表示画像データの階調値に応じて設定してもよい。例えば、上述したように輝度ムラは中間調において視認されやすく、黒および白に近い表示の場合には視認されにくいことから、中間調における上記補正係数を黒および白に近い階調における上記補正係数よりも大きく設定してもよい。
このように、上記補正データは、例えば、輝度ムラに対応するソースライン(補正領域の位置)と、当該ソースラインにおける調整補正画素の割合(調整補正画素間隔)と、上記調整補正画素について1階調高くするか低くするかを示す情報とからなる。なお、上記比が1を超える輝度ムラがある場合には、これらの情報に加えて当該輝度ムラに対応する領域に含まれる各画素に対する階調値の補正量(調整補正画素以外の画素に対する補正量)が含まれる。あるいは、上記比が1を超える輝度ムラがある場合には、上記調整補正画素について1階調高くするか低くするかを示す情報に代えて、上記調整補正画素の階調値の補正量(上述したnの値)、および当該調整補正画素の階調値を高くするか低くするかを示す情報とを含めてもよい。
なお、上記の説明では、補正データ生成部16が、検出された輝度ムラ領域内の画素のみを補正対象としているが、これに限らず、輝度ムラ領域とその周辺領域(例えば輝度ムラ領域から数画素あるいは数mm程度の範囲)とを含む領域の画素を補正対象としてもよい。すなわち、輝度ムラ領域を補正領域としてもよく、輝度ムラ領域とその周辺領域とを含む領域を補正領域としてもよい。このように、周辺領域を補正領域に含めることにより、輝度ムラ領域の輪郭をぼかして輝度ムラ領域をより視認されにくくすることができる。
また、必ずしも検出された全ての輝度ムラ領域を補正する必要はなく、検出された輝度ムラ領域のうちの一部の輝度ムラ領域のみを補正するようにしてもよい。例えば、輝度ムラ領域のサイズや適正輝度値からのずれの程度などに応じて視認されやすい輝度ムラ領域のみを抽出して補正するようにしてもよい。
また、補正データ生成部16は、上記の補正データの作成を、R(Red),G(Green),B(Blue)の各副画素についてそれぞれ算出する。
なお、R,G,Bのうちの1色(例えばG)についての補正データを生成し、それを他の色について共用してもよい。スジ状の輝度ムラは所定範囲の領域内において連続的に発生する場合が多いので、R,G,Bのうちの1色について生成した補正データを、両隣の他の色の副画素に適用しても、R,G,Bの各色についてそれぞれ補正データを個別に生成する場合と比較して画質の程度はほとんど変わらない。また、R,G,Bの各色について共通の補正データを用いることにより、これら各色について個別の補正データを生成する場合に比べて、後述する表示装置20に備えられる補正データを格納するための補正データ記憶部31に要求される記憶容量を低減できる。
その後、補正データ生成部16は、生成した補正データに圧縮処理を施し、圧縮処理後の補正データを表示装置20の駆動制御部22に出力する。なお、圧縮処理の方法および圧縮後の補正データのサイズは特に限定されるものではなく、表示装置20に備えられる補正データ記憶部31の記憶容量などに応じて適宜設定すればよい。例えば、ランレングス符号化などの従来から公知の方法を用いて圧縮処理を行ってもよい。ランレングス符号化では、例えば、圧縮前の補正データが0010000000011・・・である場合、符号化後のデータは[0,2][1,1][0,8][1,2]となる。あるいは、0の値を省略して[2][1,1][8][1,2]と表現することもできる。
このように補正データを圧縮することにより、圧縮処理の方法にもよるが、例えば360画素×480画素の表示パネルを有する表示装置に対する補正データを例えば1kbit程度の非常に少ない記憶容量で記憶させることができる。したがって、これらの表示装置に備えられる既存のメモリの空き領域を補正データ記憶部31として用いることができる。
図20は、表示装置20に備えられる駆動制御部22の構成を示すブロック図である。この図に示すように、駆動制御部22は、補正データ記憶部31、復号部32、空間分散処理部33、時間分散処理部34、加算処理部35、第1ラッチ部36、第2ラッチ部37、およびD/A変換部38を備えている。なお、空間分散処理部33、時間分散処理部34、および加算処理部35によって画像データ補正部が形成されている。
補正データ記憶部31は、表示装置20の製造時に補正データ作成装置10から入力される補正データを記憶する不揮発性のメモリである。なお、本実施例では、補正データ記憶部31に、補正データ作成装置10によって圧縮処理が施された補正データを格納するようになっている。
復号部32は、表示装置20において表示用画像データに応じた画像を表示パネル21に表示させる際、補正データ記憶部31に記憶されている補正データを読み出し、この補正データを復号して空間分散処理部33に出力する。なお、補正データ記憶部31の記憶容量に余裕がある場合は、補正データ生成部16が補正データを圧縮せずに補正データ記憶部31に記憶させるようにしてもよく、その場合、復号部32を省略してもよい。
空間分散処理部33は、復号部32から入力された補正データに基づいて、輝度ムラ領域に対応する各ソースラインにおける調整補正画素の位置を設定し、この設定結果を示す補正データを時間分散処理部34に出力する。具体的には、ソースラインの端部から何画素目の画素を調整補正画素とするか(オフセット値)を決定するとともに、当該画素および当該画素から所定間隔毎の画素を調整補正画素として設定する。
なお、隣接する複数のソースラインにまたがって輝度ムラが生じている場合には、これら各ソースラインにおける調整補正画素同士のソースラインの延伸方向についての位置を隣接するソースライン間で異ならせて分散させるように各調整補正画素の位置を設定してもよい。図21は、この場合の補正データの一例を示す説明図である。
時間分散処理部34は、空間分散処理部33から入力される補正データに基づいて、各ソースラインにおける調整補正画素の位置を、所定期間毎(例えば1フレーム毎)に変更するように設定し、この設定結果を示す補正データを加算処理部35に出力する。図13は、時間分散処理部34によって設定された補正データの一例を示す説明図である。この図に示す例では、時間分散処理部34は、調整補正画素の割合(調整補正画素同士のピッチ)を一定に保ったままで調整補正画素の位置(オフセット値)を1フレーム毎にソースラインの延伸方向に変化させている。
なお、空間分散処理部33と時間分散処理部34の順番は逆であってもよい。すなわち、復号部32から時間分散処理部34に補正データが入力され、時間分散処理部34から空間分散処理部33に補正データが入力される構成であってもよい。
加算処理部35は、表示装置20に入力される表示用画像データに、時間分散処理部34から入力される補正データを加算することにより表示用画像データを補正し、補正後の表示用画像データを第1ラッチ部36に出力する。つまり、表示用画像データにおける各画素のうち、補正データによって示される調整補正画素に対して、表示用画像データの階調値を少なくとも1階調変化させる(補正データに応じて少なくとも1階調高くするか低くする)補正処理を行う。
具体的には、上記比が1以下である輝度ムラ領域については調整補正画素の階調値を1階調変化させる一方、その他の画素については補正しない。また、上記比が1を超える輝度ムラ領域については、当該各画素の階調値を上記比の整数部分に応じた階調値だけ変化させるとともに、調整補正画素の階調値をさらに1階調変化させる。あるいは、上記比が1を超える輝度ムラ領域については、調整補正画素の階調値を上記nの値に応じた階調値だけ変化させる一方、その他の画素については補正しないようにしてもよい。
第1ラッチ部36は、加算処理部35から出力された補正後の表示用画像データをクロック信号に基づいて生成されるサンプリングパルスに同期して順次サンプリングし、1ライン(1ゲートライン)分の画像データをラッチする。第2ラッチ部37は、第1ラッチ部36にラッチされた1ライン分の画像データを再ラッチする。
D/A変換部(デジタル/アナログ変換部)38は、第2ラッチ部37にラッチされた1ライン分の画像データをアナログ信号に変換し、表示パネル21の各ソースラインに所定のタイミングで出力する。
表示パネル21は、多数のゲートライン(走査信号線)と多数のソースライン(データ信号線)とを備え、これらゲートラインおよびソースラインによって区画されて成るマトリクス状の各領域にそれぞれ画素が設けられている(いずれも図示せず)。
各画素は、スイッチング用トランジスタと画素容量とからなり、画素容量は液晶容量と必要に応じて付加される補助容量とから構成されている(いずれも図示せず)。スイッチング用トランジスタは、ゲートがゲートラインに接続され、ソースがソースラインに接続され、ドレインが画素容量の一方の電極に接続されている。なお、画素容量の他方の電極は、全画素に共通の共通電極線に接続されている。
これにより、ゲートドライバ(図示せず)によってゲートラインが選択されると、選択されたゲートラインに接続されている各画素のスイッチング用トランジスタが導通し、それと同期して駆動制御部22のD/A変換部38から各ソースラインに印加された電圧が対応する画素容量に印加される。
なお、ゲートラインの選択期間が終了して、スイッチング用トランジスタが遮断されている間、画素容量は該遮断時の電圧を保持し続ける。液晶の透過率または反射率は、液晶容量に印加される電圧によって変化するので、ゲートラインを選択し、ソースラインに画像データに応じた電圧を印加することで、画素の表示状態を画像データに合わせて変化させることができる。
以上のように、本実施例にかかる補正データ作成装置10は、表示パネル21の全画素に同一階調の検査用画像データに応じた画像を表示させてその表示画面を撮像し、撮像データから輝度データを抽出し、抽出した輝度データからスジ状の輝度ムラを抽出する。そして、表示用画像データにおける輝度ムラ領域あるいは輝度ムラ領域とその周辺領域とを含む領域である補正領域に対応するソースラインに接続された各画素のうち、輝度ムラの程度に応じた割合の画素を調整補正画素として選択し、調整補正画素に対する階調値の補正量を当該補正領域に含まれる調整補正画素以外の画素に対する階調値の補正量と異ならせるための補正データを生成して表示装置20に備えられる補正データ記憶部31に記憶させる。
そして、表示装置20は、表示用画像データに応じた画像を表示パネル21に表示させる際、補正データ記憶部31に記憶されている補正データに基づいて調整補正画素を選択し、選択した調整補正画素の階調値の補正量を他の画素に対する階調値の補正量と異ならせる。
このように、補正領域に含まれる画素のうち調整補正画素の補正量を他の画素の補正量と異ならせることにより、当該補正領域の全画素の輝度値を表示用画像データの1階調分に相当する輝度値未満(あるいは表示用画像データの小数部分が0でない階調値に相当する輝度値)だけ一律に補正した場合と略同様に視認させることができる。すなわち、補正領域の全画素の輝度値を擬似的に表示用画像データの1階調分に相当する輝度値未満(あるいは表示用画像データの小数部分が0でない階調値に相当する輝度値)の中間調で補正することができる。したがって、輝度ムラを精度よく補正し、輝度ムラ視認されることをより適切に防止することができる。
図22は、補正処理を行っていない検査用画像データに応じた画像を表示させた状態の表示パネル21を撮像した撮像データから得られた輝度データと、補正処理を施した検査用画像データに応じた画像を表示させた表示パネル21を撮像した撮像データから得られた輝度データの輝度データとを示すグラフである。なお、横軸は各ライン画素群の位置を示しており、縦軸は各ライン画素群の輝度値(上記各ライン画素群に属する画素の輝度値の平均値)を示している。これらのグラフからも明らかなように、本実施例にかかる補正方法により、スジ状の輝度ムラが視認されないように画像データを補正することができる。
また、本実施例では、調整補正画素の位置を1フレーム毎に変化させる。つまり、調整補正画素の位置を輝度ムラ領域内において空間的かつ時間的に分散させる。
これにより、視認される画像を、輝度ムラ領域内の全画素の輝度値を表示用画像データの1階調分に相当する輝度値未満(あるいは小数部分が0でない階調値)で一律に変化させた場合の画像により近づけることができる。したがって、輝度ムラが視認されることをより適切に防止することができる。
なお、本実施例では、表示装置20に備えられる補正データ記憶部31に、輝度ムラ領域の位置を示す情報と、当該輝度ムラ領域に対する調整補正画素の割合(調整補正画素間隔)と、上記調整補正画素について少なくとも1階調高くするか低くするかを示す情報とを記憶させておき、表示装置20に備えられる空間分散処理部33および時間分散処理部34が、表示用画像データに応じた画像を表示させる際に、輝度ムラ領域における調整補正画素の位置を空間的かつ時間的に分散させるように決定している。これにより、補正データのデータサイズを小さくし、補正データ記憶部31に要求される記憶容量を低減することができる。
ただし、これに限らず、表示用画像データを表示させる際の調整補正画素の補正データ作成装置10において予め設定し、各調整補正画素の位置と、各調整補正画素について1階調高くするのか低くするのかを示す情報とを補正データ記憶部31に記憶させるようにしてもよい。すなわち、空間分散処理部33および時間分散処理部34を表示装置20ではなく補正データ作成装置10に備えてもよい。この場合、表示装置20の回路構成を簡略化するとともに、表示用画像データの補正処理にかかる処理速度を高速化することができる。
また、本実施例では、ソースラインの延伸方向に平行なスジ状の輝度ムラを補正する場合について説明したが、これに限らず、ゲートラインの延伸方向に平行なスジ状の輝度ムラを補正することもできる。この場合、例えば、撮像データから抽出した輝度データに基づいて各ゲートラインの延伸方向に対応するライン画素群についての輝度値の平均値を検出し、この検出結果に対してライン画素群に垂直な方向について移動平均化処理を行い、これらの処理結果に基づいて輝度ムラの検出を行えばよい。また、輝度ムラの検出結果に基づいて、輝度ムラ領域に対応するゲートラインにおける所定間隔毎の画素を調整補正画素として選択し、選択した調整補正画素の階調値を少なくとも1階調変化させるように画像データを補正すればよい。
また、本実施例では、各輝度ムラ領域における適正輝度値に対する輝度値のずれを算出する際、ライン画素群の輝度値の移動平均値を適正輝度値とみなして上記の輝度値のずれを算出する。これにより、例えばバックライトからの照射光の輝度分布などによって表示画面上の位置に応じて適正輝度値が異なる場合であっても、各輝度ムラ領域における適正輝度値に対する輝度値のずれの程度を容易かつ適切に算出することができる。なお、例えば表示画面上の位置に応じた適正輝度値が予めわかっているような場合には、その適正輝度値に基づいて各輝度ムラ領域における輝度値のずれを算出してもよい。
〔実施例2〕
本発明の他の実施例について説明する。なお、説明の便宜上、実施例1で説明した部材と同様の機能を有する部材については実施例1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
実施例1ではスジ状のムラを補正する構成について説明したが、本実施例では局所的な斑点状のムラ(斑点状ムラ)を補正する場合の構成例について説明する。
図23は、本実施例にかかる補正データ作成装置10bの構成を示すブロック図である。この図に示すように、補正データ作成装置10bは、実施例1における補正データ作成装置の移動平均化処理部14、輝度ムラ検出部15、および補正データ生成部16に代えて、移動平均化処理部14b、輝度ムラ検出部15b、および補正データ生成部16bを備えている。表示データ生成部11、撮像部12、および輝度データ抽出部13の機能は実施例1と略同様である。
移動平均化処理部14bは、表示データ生成部11が表示パネル21の全域に同一階調(基準階調値。例えば階調値10)の画像データに対応する画像を表示させ、撮像部12がそれを撮像した撮像データから輝度データ抽出部13が抽出した輝度データに対して、各画素の輝度値を、当該各画素を中心とする所定サイズのブロックに含まれる各画素の輝度値の平均値に置き換える移動平均化処理を行う。なお、以下では、移動平均化処理後の各画素の輝度値を移動平均値と称する。
なお、上記所定サイズは、斑点状の輝度ムラ領域の幅よりも十分に広く、当該所定サイズ内の各位置におけるバックライトからの照射光の輝度値の差が輝度ムラ領域における輝度値の適正輝度値からのずれに対して十分に小さくなる範囲に設定することが好ましい。具体的には、携帯電話等のモバイル機器に備えられる数百画素×数百画素程度の表示パネルの場合、2mm×2mm〜10mm×10mmの範囲に設定することが好ましい。本実施例では、360画素×480画素の表示パネル21を用いており、上記範囲を5mm×5mmとした。なお、上記所定サイズにおける縦方向の長さと横方向の長さとは必ずしも同じでなくてもよい。
輝度ムラ検出部15bは、輝度データ抽出部13が抽出した各画素の輝度値と当該各画素についての移動平均値輝度値との差を算出し、この差の絶対値が所定の閾値以上である画素が所定数以上連続している領域を斑点状の輝度ムラとして検出する。なお、上記差が所定の基準値未満の場合には斑点状の輝度ムラは存在しないものみなし、補正データを作成しないようにしてもよい。また、上記所定数は、輝度ムラが視認されることを防止できるように表示装置のサイズや用途等に応じて適宜設定すればよい。
また、輝度ムラ検出部15bは、図24に示すように、検出した斑点状の各輝度ムラ領域を円形領域に近似する。円形領域への近似方法は特に限定されるものではなく、従来から公知の種々の方法を用いることができる。
補正データ生成部16bは、輝度ムラ検出部15bの検出結果に基づいて、斑点状の輝度ムラを視認されにくくするための補正データを生成し、生成した補正データに圧縮処理を施して表示装置20bに備えられる駆動制御部22bに出力する。
具体的には、補正データ生成部16bは、輝度ムラ検出部15bによって輝度ムラとして抽出された円形に近似された領域について、当該領域内の各画素の平均輝度と、当該領域内の輝度ムラが生じていない適正輝度値(例えば各画素の移動平均値)との差を算出する。すなわち、本実施例では、後に説明する補正データ記憶部31bに記憶させる容量を少なくするため、斑点状の輝度ムラ領域を円形に近似し、さらに、近似した領域について同一補正強度で補正を行うこととしている。なお、以下の説明では、上記差がe(e>0)である場合(明るい輝度ムラが生じている場合)、およびf(f<0)である場合(暗い輝度ムラが生じている場合)について説明する。
また、補正データ生成部16bは、表示データ生成部11が表示パネル21の全域に基準階調値よりも1階調高い画像データに対応する画像を表示させ、撮像部12がそれを撮像した撮像データから輝度データ抽出部13が抽出した輝度データに基づいて、基準階調値よりも1階調高い画像データに対する適正輝度値と基準階調値の画像データに対する適正輝度値との差Aを算出する。また、補正データ生成部16bは、表示データ生成部11が表示パネル21の全域に基準階調値よりも1階調低い画像データに対応する画像を表示させ、撮像部12がそれを撮像した撮像データから輝度データ抽出部13が抽出した輝度データに基づいて、基準階調値の画像データに対する適正輝度値と基準階調値よりも1階調低い画像データに対する適輝度値との差Bを算出する。
そして、明るい輝度ムラが生じている各領域ついて、上記eの絶対値|e|と上記Bとの比|e|/Bを算出する。そして、上記比|e|/Bが1以下の場合、この輝度ムラを補正するために画像データの階調値を1階調低くするように補正する調整補正画素の数を、上記各領域に含まれる画素の上記比|e|/Bに応じた割合に設定する。例えば、上記比|e|/Bの値が1/3である領域については、その領域に含まれる画素のうち3画素に1つの画素を1階調低くするように補正データを生成する。
同様に、暗い輝度ムラが生じている各領域について、上記fの絶対値|f|と上記Aとの比|f|/Aを算出する。そして、上記比|f|/Aが1以下の場合、この輝度ムラを補正するために画像データの階調値を1階調高くするように補正する調整補正画素の数を、上記各領域に含まれる画素の上記比|f|/Aに応じた割合に設定する。例えば、上記比|f|/Aの値が1/3である領域については、その領域に含まれる画素のうち3画素に1つの画素を1階調高くするように補正データを生成する。
なお、上記比(|e|/B、|f|/Aなど)が1を超える場合、実施例1と同様、その比に対応する領域における各画素を上記比の整数部分に応じた階調値だけ補正し、上記比の小数部分に応じた割合の画素(調整補正画素)に対する表示用画像データをさらに1階調補正するための補正データを生成する。あるいは、上記比(|e|/B、|f|/Aなど)が1を超える場合、上記比を除算した場合の除算結果が1以下となる2以上の数nで上記比を除算し、この除算結果に応じた割合の画素に対する表示用画像データをn階調高くするための補正データを作成するようにしてもよい。
また、上記比A/|e|または上記比B/|f|の大きさに応じて、各ブロックの輝度ムラの程度(適正輝度値に対する輝度値のずれの程度。補正強度。)が予め設定された複数のグループ(例えば図26に示す補正強度1〜8の8つのグループ)のうちのいずれのグループに属するかを判断し、この判断結果と各グループに対して予め設定された値とに基づいて調整補正画素の割合を設定するようにしてもよい。あるいは、グループの分類結果を示す情報を上記割合に代えて補正データに含めるようにしてもよい。
なお、上記の説明では、補正データ生成部16bが、検出された輝度ムラ領域内の画素のみを補正対象としているが、これに限らず、輝度ムラ領域とその周辺領域(例えば輝度ムラ領域から数画素あるいは数mm程度の範囲)とを含む領域の画素を補正対象としてもよい。すなわち、輝度ムラ領域を補正領域としてもよく、輝度ムラ領域とその周辺領域とを含む領域を補正領域としてもよい。このように、周辺領域を補正領域に含めることにより、輝度ムラ領域の輪郭をぼかして輝度ムラ領域をより視認されにくくすることができる。
また、必ずしも検出された全ての輝度ムラ領域を補正する必要はなく、検出された輝度ムラ領域のうちの一部の輝度ムラ領域のみを補正するようにしてもよい。例えば、輝度ムラ領域のサイズや適正輝度値からのずれの程度などに応じて視認されやすい輝度ムラ領域のみを抽出して補正するようにしてもよい。
また、補正データ生成部16bは、上記の補正データの作成を、R(Red),G(Green),B(Blue)の各副画素についてそれぞれ算出する。
なお、R,G,Bのうちの1色(例えばG)についての補正データを生成し、それを他の色について共用してもよい。斑点状の輝度ムラは所定範囲の領域内において連続的に発生する場合が多いので、R,G,Bのうちの1色について生成した補正データを、両隣の他の色の副画素に適用しても、R,G,Bの各色についてそれぞれ補正データを生成する場合と比較して画質の程度はほとんど変わらない。また、R,G,Bの各色について共通の補正データを用いることにより、これら各色について個別の補正データを生成する場合に比べて、後述する表示装置20bに備えられる補正データを格納するための補正データ記憶部31bに要求される記憶容量を低減できる。
なお、本実施例では、補正データ生成部16bが、斑点状の輝度ムラが生じている各輝度ムラ領域を当該輝度ムラ領域のサイズに応じた円形領域に近似し、当該各円形領域の中心座標(あるいは中心座標に対応する画素)および半径と、当該各円形領域についての調整補正画素の割合と、上記調整補正画素について1階調高くするか低くするかを示す情報とを含む補正データを生成する。なお、上記比が1を超える輝度ムラがある場合には、これらの情報に加えて当該輝度ムラに対応する領域に含まれる各画素に対する階調値の補正量(調整補正画素以外の画素に対する補正量)が含まれる。あるいは、上記比が1を超える輝度ムラがある場合には、上記調整補正画素について1階調高くするか低くするかを示す情報に代えて、上記調整補正画素の階調値の補正量(上述したnの値)、および当該調整補正画素の階調値を高くするか低くするかを示す情報とを含めてもよい。
その後、補正データ生成部16bは、生成した補正データに圧縮処理を施し、圧縮処理後の補正データを表示装置20bの駆動制御部22bに出力する。なお、圧縮処理の方法および圧縮後の補正データのサイズは特に限定されるものではなく、表示装置20bに備えられる補正データ記憶部31bの記憶容量などに応じて適宜設定すればよい。
図25は、表示装置20bに備えられる駆動制御部22bの構成を示すブロック図である。この図に示すように、駆動制御部22bは、補正データ記憶部31b、復号部32b、空間分散処理部33b、時間分散処理部34b、加算処理部35、第1ラッチ部36、第2ラッチ部37、およびD/A変換部38を備えている。なお、空間分散処理部33b、時間分散処理部34b、および加算処理部35によって画像データ補正部が形成されている。また、駆動制御部22bは、補正データに含まれている調整補正画素の割合(あるいは輝度ムラの程度に応じたグループの分類結果)に応じた、上記ブロック内における調整補正画素の位置を示すパターンを予め記憶した補正パターン記憶部(図示せず)を備えている。図26(a)は、輝度ムラの程度を補正強度1〜8の8つのグループに分類する場合の上記ブロック内における調整補正画素の配置パターンの一例を示している(図中の黒丸が調整補正画素を示している)。
補正データ記憶部31bは、表示装置20bの製造時に補正データ作成装置10bから入力される補正データを記憶する不揮発性のメモリである。なお、本実施例では、補正データ記憶部31bに、補正データ作成装置10bによって圧縮処理が施された補正データを格納するようになっている。
復号部32bは、表示装置20bにおいて画像データに応じた画像を表示パネル21に表示させる際、補正データ記憶部31bに記憶されている補正データを読み出し、この補正データを復号して空間分散処理部33bに出力する。なお、補正データ記憶部31bの記憶容量に余裕がある場合は、補正データ生成部16bが補正データを圧縮せずに補正データ記憶部31bに記憶させるようにしてもよく、その場合、復号部32bを省略してもよい。
空間分散処理部33bは、復号部32bから入力された補正データに基づいて、各輝度ムラ領域における調整補正画素の位置を設定し、この設定結果を示す補正データを時間分散処理部34bに出力する。
具体的には、空間分散処理部33bは、復号部32bから入力された補正データから調整補正画素の割合(あるいは輝度ムラの程度に応じたグループの分類結果)を検出し、この検出結果に対応する補正位置のパターンを補正パターン記憶部から抽出することで調整補正画素を決定する。
図27(a)および図27(b)は、復号部32bから入力された補正データ(半径、調整補正画素の割合などの情報)に基づいて、空間分散処理部33bが決定した調整補正画素の配置パターンの一例を示す説明図である。具体的には、図27(a)は輝度ムラ領域に対応する円形領域の半径が6(6画素)、この輝度ムラ領域が補正強度3のグループに分類される場合の例を示している。また、図27(b)は、輝度ムラ領域に対応する円形領域の半径が9(9画素)、この輝度ムラ領域が補正強度4のグループに分類される場合の例を示している。
なお、図26(a)および図26(b)に示したように、調整補正画素の各割合(あるいは輝度ムラの程度に応じた各グループ)に対して、複数の調整補正画素の配置パターンを予め設定しておき、隣接するブロックにおいて異なる配置パターンを適用することにより、調整補正画素同士が隣り合わないようにしてもよい。
なお、上記の説明では補正パターンを補正パターン記憶部に予め記憶させておくものとしたが、これに限らず、例えばブロック内における調整補正画素の割合(あるいは輝度ムラの程度に応じたグループの分類結果)をパラメータとする所定の演算式に基づいて調整補正画素の位置を算出するようにしてもよい。
また、上記の説明では、R,G,Bの各副画素について共通の配置パターンを用いて調整補正画素の位置を決定するものとしているが、これに限らず、色毎に配置パターンを設定するようにしてもよい。例えば、図28に示すように、輝度ムラの程度に応じた各グループ(あるいは調整補正画素の割合)に対して、Gの副画素に対する補正パターンと,RおよびBの副画素に対する補正パターンとを設定しておき、これら両補正パターンを用いて補正対象の各副画素を選択するようにしてもよい。あるいは、これら両補正パターンを交互に用いるようにしてもよい。
時間分散処理部34bは、空間分散処理部33bから入力される補正データに基づいて、上記の各ブロックにおける調整補正画素の位置を、所定期間毎(本実施例では1フレーム毎)に変更するように設定し、この設定結果を示す補正データを加算処理部35に出力する。
例えば、図26(a)および図26(b)に示したように、補正データに含まれている調整補正画素の各割合(あるいは輝度ムラの程度に応じた各グループ)に対して複数の調整補正画素の配置パターンを予め設定しておき、フレーム毎に適用する配置パターンを切り替えてもよい。あるいは、図29に示すように、配置パターンの適用位置をフレーム毎にずらすことにより、調整補正画素の位置を1フレーム毎に変更するようにしてもよい。
なお、空間分散処理部33bと時間分散処理部34bの順番は逆であってもよい。すなわち、復号部32bから時間分散処理部34bに補正データが入力され、時間分散処理部34bから空間分散処理部33bに補正データが入力される構成であってもよい。
加算処理部35、第1ラッチ部36、第2ラッチ部37、およびD/A変換部38の機能は実施例1と略同様である。
以上のように、本実施例にかかる補正データ作成装置10bは、表示パネル21の全画素に同一階調の検査用画像データに応じた画像を表示させてその表示画面を撮像し、撮像データから輝度データを抽出し、抽出した輝度データから斑点状の輝度ムラを抽出する。そして、表示用画像データにおける輝度ムラ領域あるいは輝度ムラ領域とその周辺領域とを含む領域である補正領域に含まれる画素のうち、輝度ムラの程度に応じた割合の画素を調整補正画素として選択し、調整補正画素に対する階調値の補正量を当該補正領域に含まれる調整補正画素以外の画素に対する階調値の補正量と異ならせるための補正データを生成して表示装置20bに備えられる補正データ記憶部31bに記憶させる。
そして、表示装置20bは、画像データに応じた画像を表示パネル21に表示させる際、補正データ記憶部31bに記憶されている補正データに基づいて補正領域に含まれる画素のうち上記割合に応じた数の画素を調整補正画素として選択し、選択した調整補正画素の階調値の補正量を他の画素に対する階調値の補正量と異ならせる。
このように、補正領域に含まれる画素のうち、調整補正画素の補正量を他の画素の補正量と異ならせることにより、当該補正領域の全画素の輝度値を表示用画像データの1階調分に相当する輝度値未満(あるいは表示用画像データの小数部分が0でない階調値に相当する輝度値)だけ一律に補正した場合と略同様に視認させることができる。すなわち、補正領域の全画素の輝度値を擬似的に表示用画像データの1階調分に相当する輝度値未満(あるいは表示用画像データの小数部分が0でない階調値に相当する輝度値)の中間調で補正することができる。したがって、輝度ムラを精度よく補正し、輝度ムラ視認されることをより適切に防止することができる。
また、本実施例では、各輝度ムラ領域における調整補正画素の位置を所定期間毎(フレーム毎)に変化させる。つまり、調整補正画素を輝度ムラ領域内において空間的かつ時間的に分散させる。
これにより、視認される画像を、当該輝度ムラ領域の全画素の輝度値を画像データの1階調分に相当する輝度値未満で一律に変化させた場合の画像により近づけることができる。したがって、輝度ムラが視認されることをより適切に防止することができる。
また、本実施例では、斑点状の輝度ムラが生じる領域を円形領域に近似し、この円形領域の中心座標と半径とを輝度ムラ領域の位置を示す情報として補正データに含める。これにより、補正データには、各輝度ムラ領域の中心座標および半径、各輝度ムラ領域における調整補正画素数の割合(あるいは輝度ムラの程度に応じて分類されたグループを示す情報)、および調整補正画素の階調値を1階調高くするのか低くするのかを示す情報の4つのパラメータを含めるだけでよいので、補正データのデータ量を低減して表示装置20bに備えられる補正データ記憶部31bに要求される記憶容量を低減することができる。
なお、補正領域を円形領域に近似する構成に限らず、例えば多角形に近似してもよい。その場合、補正領域の位置および範囲を示す情報として、例えば、上記多角形の各頂点の位置を補正データに含めるようにしてもよく、上記多角形が正多角形である場合には当該多角形の外接円または内接円の中心位置および半径を補正データに含めるようにしてもよい。
また、調整補正画素の位置を空間的かつ時間的に分散させるためのデータを補正データ作成装置10bにおいて予め作成し、このデータを補正データ記憶部31bに記憶させるようにしてもよい。すなわち、空間分散処理部33bおよび時間分散処理部34bを表示装置20bではなく補正データ作成装置10bに備えてもよい。この場合、表示装置20bの回路構成および画像データの補正処理を簡略化するとともに、処理速度を高速化することができる。
〔実施例3〕
本発明のさらに他の実施例について説明する。なお、説明の便宜上、実施例1,2で説明した部材と同様の機能を有する部材についてはそれと同じ符号を付し、その説明を省略する。
実施例1ではスジ状の輝度ムラを補正する構成について説明し、実施例2では斑点状の輝度ムラを補正する構成について説明したが、本実施例ではスジ状の輝度ムラおよび斑点状の輝度ムラの両方を補正する場合の構成例について説明する。
図30は、本実施例にかかる補正データ作成装置10cの構成を示すブロック図である。この図に示すように、補正データ作成装置10cは、実施例1における補正データ作成装置10の構成に加えて、移動平均化処理部14b、輝度ムラ検出部15b、および補正データ生成部16bを備えている。そして、これにより、補正データ生成部16がスジ状の輝度ムラを補正するための補正データを生成して表示装置20cの駆動制御部22cに出力し、補正データ生成部16bが斑点状の輝度ムラを補正するための補正データを生成して表示装置20cの駆動制御部22cに出力するようになっている。これら各補正データの生成方法は実施例1,2と同様である。
図31は、本実施例にかかる表示装置20cに備えられる駆動制御部22cの構成を示すブロック図である。この図に示すように、駆動制御部22cは、実施例1における駆動制御部22に加えて、補正データ記憶部31b、復号部32b、空間分散処理部33b、および時間分散処理部34bを備えている。なお、補正データ記憶部31、復号部32、空間分散処理部33、および時間分散処理部34によってスジ状の輝度ムラを補正するための第1補正部が構成され、補正データ記憶部31b、復号部32b、空間分散処理部33b、および時間分散処理部34bによって斑点状の輝度ムラを補正するための第2補正部が構成されている。
そして、加算処理部35は、時間分散処理部34から入力されるスジ状の輝度ムラを補正するための補正データと、時間分散処理部34bから入力される斑点状の輝度ムラを補正するための補正データとに基づいて画像データを補正する。
なお、スジ状の輝度ムラを補正するための補正データおよび斑点状の輝度ムラを補正するための補正データの両方において調整補正画素として選択されている画素については、階調値の最大補正量を1階調に設定してもよく、2階調に設定してもよい。例えば、明るいスジ状の輝度ムラ領域かつ明るい斑点状の輝度ムラ領域に該当する領域の調整補正画素の場合、当該調整補正画素の階調値を2階調低くするようにしてもよく、1階調だけ低くするようにしてもよい。
本実施例では、上記の構成により、スジ状の輝度ムラと斑点状の輝度ムラの両方について、輝度ムラとして視認されにくいように補正することができる。
また、本実施例では、スジ状の輝度ムラを補正するための処理部(補正データ記憶部31、復号部32、空間分散処理部33、および時間分散処理部34)と、斑点状の輝度ムラを補正するための処理部(補正データ記憶部31b、復号部32b、空間分散処理部33b、および時間分散処理部34b)とを別々に設けている。これにより、例えば、スジ状の輝度ムラを補正するための補正データの圧縮方法と、斑点状の輝度ムラを補正するための補正データの圧縮方法とが異なる場合であっても、これら両補正データに基づく補正処理を効率よく行うことができる。
また、上記各実施例では、補正データ作成装置10,10b,10cが表示装置20,20b,20cとは別に備えられているものとしたが、これに限るものではなく、補正データ作成装置10,10b,10cの一部または全部が表示装置20,20b,20cに備えられている構成としてもよい。補正データ作成装置10,10b,10cのうち、撮像部12を除く各部を表示装置20,20b,20cに設け、撮像部12によって表示パネル21の表示画面を撮像して取得した撮像データを表示装置20,20b,20c内に設けられた補正データ作成装置10,10b,10cに入力するようにしてもよい。
〔補足〕
最後に、撮像条件決定装置100の各ブロック、特に撮像条件決定装置100の画素比算出部120、関数設定部130、撮像条件決定部140は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、撮像条件決定装置100は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、前記プログラムを格納したROM(read only memory)、前記プログラムを展開するRAM(random access memory)、前記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである撮像条件決定装置100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、前記表示制御装置1に供給し、そのコンピュータ(又はCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
前記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO/MD/デジタルビデオデイスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、撮像条件決定装置100を通信ネットワークと接続可能に構成し、前記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔本発明の別表現〕
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
本発明に係るムラ補正検査装置は、撮像素子が規則正しく多数配列された撮像素子部およびレンズを有する撮像部と、表示装置を設定するための表示装置設置部と、上記表示装置設置部と上記撮像装置の距離を調節する距離調節部と、撮像データを基にムラ補正データを算出するムラ補正データ算出部と、表示装置とムラ補正装置を接続するための接続冶具と、を有する構成で実現されてもよい。
上記構成により、撮像部の素子数が、表示装置設置部上に設置されたムラ補正を行うべき表示装置の画素数の縦横それぞれについて2倍程度しかない場合でも、距離調節部にレンズを通して転写される表示装置の画素の輝度情報が、上記表示装置の縦横の画素数に対して整数倍とすることができる。
上記のように表示装置設置部と撮像装置の距離を設定することにより、表示装置の画素の輝度情報を適切に撮像部で撮像することができ、ムラ補正装置により適切にムラ補正パターンを生成することができる。
また、本発明に係るムラ補正検査装置は、撮像素子が規則正しく多数配列された撮像素子部およびズーム機能付きのレンズを有する撮像部と、表示装置を設置するための表示装置設置部と、撮像データを基にムラ補正データを算出するムラ補正データ算出部と、表示装置とムラ補正装置を接続するための接続冶具と、を有する構成で実現されてもよい。
上記構成とすることにより、撮像部と表示装置設置部との距離を変えるかわりに、撮像部のズームを変えることで、上記と同様の効果を奏することができる。
また、本発明に係るムラ補正検査装置は、ムラ補正装置にムラ補正対象の表示装置を設置する工程と、上記表示装置の縦横画素のそれぞれ整数倍の撮像素子が対応するように撮像部と表示装置設置部との距離を調節する工程と、撮像した上記表示装置の輝度データを基にムラ補正データを算出する工程と、上記算出したムラ補正データを上記表示装置の不揮発性メモリに書き込む工程と、を有する構成で実現されてもよい。
上記構成により、上記表示装置の縦横画素のそれぞれ整数倍の撮像素子が対応することになり、良好にムラ補正を行うことが可能となる。
また、本発明に係るムラ補正検査装置は、ムラ補正装置にムラ補正対象の表示装置を設置する工程と、上記表示装置の縦横画素のそれぞれ整数倍の撮像素子が対応するようにレンズのズームを調節する工程と、撮像した上記表示装置の輝度データを基にムラ補正データを算出する工程と、上記算出したムラ補正データを上記表示装置の不揮発性メモリに書き込む工程と、を有する構成で実現されてもよい。
上記構成により、上記表示装置の縦横画素のそれぞれ整数倍の撮像素子が対応することになり、良好にムラ補正を行うことが可能となる。
撮像素子が規則正しく多数配列された撮像素子部を有する撮像部と、表示装置を設置するための表示装置設置部と、撮像データを基にムラ補正データを算出するムラ補正データ算出部と、表示装置とムラ補正装置を接続するための接続冶具と、上記ムラ補正データ算出部は、ムラ補正データを算出するためのテスト画像を分割して表示装置に表示させ、撮像部で撮像した像を合成する機能を有する構成で実現されてもよい。
上記構成により、ムラ補正対象の表示装置の解像度が非常に高く、撮像装置の解像度が低い場合においても、表示装置の1つ1つの画素の輝度を撮影することができるという効果を奏する。