JP2011128256A - 画像表示装置、その駆動方法、並びにプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】画像表示装置は、所定の表色系で規定される色の情報の入力を受け付けると
ともに、表示パネル100のための当該情報に基づいた4以上の色成分を出力する処理回
路40と、表示パネルの周囲の環境光の色を測定する測色計130と、を備える。処理回
路は、測色計によって測定された第1時点及びその後の第2時点における周辺環境光の色
に変化がある場合に、前記情報によって規定される色が、前記第2時点における周辺環境
光の色に順応するように、4以上の順応色成分を出力する。
【選択図】図12
Description
によって表現されるが、再現可能な色域は3原色のベクトルで定められる3次元空間に限
られる。そこで近年では、再現可能な色域を拡大するために、4以上の原色を用いた表示
パネルが登場しつつある。ここで、4以上の原色を用いた表示パネルにおいて問題となる
のが、目標とする色をいかに正確に再現するかである。このため、目標とする色を規定す
る3刺激値を、ルックアップテーブルを参照して、表示パネルにおける4原色の成分に変
換する技術などが提案されている(特許文献1参照)
れるとは限らない。また、3刺激値から求められた4原色の成分が、ある特定の表示パネ
ルにとって最適化されていても、個体差や製造ロットの違いによって、別の表示パネルに
とっては最適でない場合もあり得る。
わけではない。すなわち、周知のように、一般に、客観的には同一の物体を知覚する場合
であっても、周辺環境光の色・性質等の相違に応じて、当該物体の色は異なって知覚・認
識されることがある。例えば同じ白衣でも、白昼・太陽光下でそれを認識する場合と、夜
間・白熱電灯下でそれを認識する場合とでは、その色合いは異なって知覚される、などと
いうようである。このことを考慮すると、周辺環境光が変わったにもかかわらず表示パネ
ルが従前と同じ色を表示し続けるのでは、現実に見えるはずの色とは乖離した色がユーザ
に提示され続けるということになりかねない。
その駆動方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
色に対応するサブ画素から構成されるとともに、各サブ画素を、それぞれの色成分に応じ
た輝度とさせる表示パネルを有する画像表示装置であって、所定の表色系で規定される色
の情報の入力を受け付けるとともに、前記表示パネルのための当該情報に基づいた4以上
の色成分を出力する処理回路と、前記表示パネルの周囲の環境光の色を測定する測色計と
、を備え、前記処理回路は、前記測色計によって測定された第1時点及びその後の第2時
点における前記環境光の色に変化がある場合に、前記情報によって規定される色が、前記
第2時点における前記環境光の色に順応するように、4以上の順応色成分を出力する。
、表示パネルにおいて表示される色が変化する。そして、この場合、変化後に表示される
色は、環境光の変化に順応した、4以上の順応色成分に基づいて定められる。このように
、本発明によれば、周辺環境光の色が変わるのに応じて現実に見えるはずの色が、ユーザ
に正確に提示され得ることになる。
なお、本発明において、「順応」という語は、より正確には、以下のような事実を含意
する。すなわち、仮に前記第1時点における表示パネルの表示色を記号C1で表し、その
ときの環境光を記号EC1で表すとすると、その環境光が前記第2時点においてEC2と
なったとき、即ちEC1→EC2という遷移があったときは、その環境光の色EC2下に
色C1が置かれたのであれば、本来は見えることになるはずであろう色C2に表示パネル
の表示色を変更することを意味する(色C1と色C2とは一般に異なる。)。注意すべき
なのは、EC2下においても、EC1下と同様の色C1が表現されるように、表示パネル
の表示色を変更する、ということではないことである。
また、本発明に言う「測色計」は、画像表示装置の一部を構成する要素であることが典
型例ではあるが、本発明は、かかる場合に限定されるわけではない。すなわち、「表示パ
ネルの周囲の環境光を測定する測色計」は、「画像表示装置」とは、物理的に別体として
準備される要素であってよい。
て表示していた色が、前記4以上の順応色成分に基づく色に漸次変化するように、時々刻
々変化する4以上の色成分を出力する、ように構成してもよい。
この態様によれば、表示パネルにおける表示色の変化の速度は比較的緩慢になる。した
がって、本態様によれば、急激な表示色の変更に伴ってユーザにちらつきを感じさせると
いった不具合の発生を未然に回避することができる。
よって測定されるのではなく、ユーザの指示に従って定められる、ように構成してもよい
。
この態様によれば、周辺環境光の色の変化は現実には生じていないが、仮に生じたとす
れば、現在表示パネルにおいて表示されている表示色はどのような色に見えるだろうかと
いう確認を行うことができる。なお、この場合、その仮に生じるものと仮定された周辺環
境光の色が即ち、本態様に言う第2時点における環境光の色であり、それがユーザの指示
に従って定められるということになる。
いは当該画像表示装置を駆動するコンピュータのためのプログラムの発明として捉えるこ
とができ、それらは以下の如く規定される。
素が、4以上の異なる色に対応するサブ画素から構成されるとともに、各サブ画素を、そ
れぞれの色成分に応じた輝度とさせる表示パネルを有する画像表示装置の駆動方法であっ
て、所定の表色系で規定される色の情報の入力を受け付けるとともに、前記表示パネルの
ための当該情報に基づいた4以上の色成分を出力する色成分出力工程と、前記表示パネル
の周囲の環境光の色を測定する測色工程と、を備え、前記色成分出力工程では、前記測色
工程において測定された第1時点及びその後の第2時点における前記環境光の色に変化が
ある場合に、前記情報によって規定される色が、前記第2時点における前記環境光の色に
順応するように、4以上の順応色成分が出力される。
なる色に対応するサブ画素から構成されるとともに、各サブ画素を、それぞれの色成分に
応じた輝度とさせる表示パネルを有する画像表示装置を駆動するコンピュータのためのプ
ログラムであって、当該コンピュータを、所定の表色系で規定される色の情報の入力を受
け付けるとともに、前記表示パネルのための当該情報に基づいた4以上の色成分を出力す
る処理手段、及び、前記表示パネルの周囲の環境光の色を測定する測色手段、として機能
させるとともに、前記処理手段を更に、前記測色手段によって測定された第1時点及びそ
の後の第2時点における前記環境光の色に変化がある場合に、前記情報によって規定され
る色が、前記第2時点における前記環境光の色に順応するように、4以上の順応色成分を
出力する手段、として機能させる。
図1は、本実施形態に係る画像表示装置の構成を示す斜視図である。この画像表示装置
10は、携帯端末としての機能のほかに、様々な色を正確に表示する色票機能を有する。
画像表示装置10は、図1に示すように、本体部22に表示パネル100を備える。表
示パネル100は、複数の画素を有する透過型の液晶パネルである。表示パネル100に
おいて、各画素は、再現可能な色領域を拡大するために、それぞれR(赤)、YG(黄緑
)、EG(エメラルドグリーン)、B(青)の4つの色に対応したサブ画素で構成される
とともに、各サブ画素の透過率が色成分に応じて個別に制御される。また、表示パネル1
00には、タッチパネル等の入力部140が設けられて、タッチ操作等によって各種の入
力を受付けることが可能である。
対して回動自在に当該本体部22に取り付けられる。
この天板24には、第1測色計120及び第2測色計130が設けられている。第1測
色計120は、天板24が本体部22に対して閉じた状態となったときに、表示パネル1
00において表示された画像の色を測定する。他方、第2測色計130は、同様に、天板
24が本体部22に対して閉じた状態となったときに、当該画像表示装置10の周囲の環
境光(以下、「周辺環境光」ということがある。)の色を測定する。
なお、第1及び第2測色計120及び130は、上述のように、天板24が本体部22
に対して閉じた状態となったときにその性能を最も好適に発揮することが可能であるが、
必ずしも、図1の左下に示されるような完全に閉じた状態が作り出される必要はない。い
わば半開きの状態であっても、第1測色計120は表示パネル100の表示色を測定可能
であるし、第2測色計130は周辺環境光の色を測定可能だからである。
この図に示されるように、画像表示装置10では、CPU(Central Processing Unit
)30が、バス31を介して、主記憶部32、補助記憶部34、入力部140、駆動回路
110、第1測色計120及び第2測色計130などの各部を制御したり、各種データを
送受信したりする構成となっている。
このうち主記憶部32は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メ
モリであり、CPU30がプログラムの実行などの際に、このプログラムやデータ等を一
時的に格納する。補助記憶部34は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State
Drive)などの不揮発性記憶装置であり、オペレーションシステムやアプリケーションプ
ログラムのほか、各種のデータなどを記憶する。なお、本発明にいう「プログラム」は、
これら補助記憶部34あるいは主記憶部32に格納されるとともに、CPU30によって
その内容が逐次処理される。
駆動回路110は、1画素あたり4つの色に対応する色成分の入力を受けて、各サブ画
素が当該色成分に応じた透過率となるように、表示パネル100における各画素(サブ画
素)をそれぞれ駆動する。
際に構築される機能構成を示すブロック図である。
画像表示装置10では、処理回路40が、3色成分の画像信号や、色ID(identifier
;識別子)などの情報を入力して、表示パネル100における各サブ画素を駆動する一方
、第1測色計120が、表示パネル100に表示された色を測定し、第2測色計130が
周辺環境光の色を測定する。
なお、処理回路40は、CPU30がプログラムを実行することによって構築される機
能ブロックである。また、処理回路40に供給される画像信号は、処理回路40よりも上
流に位置する機能ブロックで生成される。
画像表示装置10では、図3に示す機能ブロックが、すべて同時に構築されるのではな
くて、モードに応じて適宜構築される。ここで、本実施形態に係る画像表示装置10には
、通常表示モード、単色表示モード、キャリブレーションモード、及び周辺環境光順応モ
ードの4つのモードがあり、入力部140への操作等によって、いずれかのモードが指定
される。以下では、これらモードごとに説明を行う。
通常表示モードとは、携帯端末として機能する場合のように、RGBの3色成分で規定
する画像信号を入力して、表示パネル100に表示させる動作である。
図4は、通常表示モードにおいて処理回路40で構築される機能ブロックを示す図であ
る。この図において、多原色変換回路402は、RGBの3色成分の画像信号を、表示パ
ネル100のサブ画素のR,YG,B,EGの4色成分の画像信号に変換して、駆動回路
110に供給する。
これにより、駆動回路110は、変換された4色成分の画像信号に従って表示パネル1
00における各サブ画素を駆動するので、表示パネル100には、処理回路40に供給さ
れた画像信号に基づいた画像が表示されることになる。
単色表示モードとは、ユーザに正確な色を呈示する色票機能を実行するモードである。
表示パネル100には、色票としての色のみが表示される。
図5は、単色表示モードにおいて処理回路40で構築される機能ブロックを示す図であ
る。この図において、入力部140には、表示パネル100で表示させるべき色の識別子
情報(色ID)がユーザの操作によって入力される。記憶部406は、上述した補助記憶
部34におけるデータベースであり、色IDと、各種の表色系で示される色と、当該色を
表示パネル100で再現する場合のR,YG,B,EGの4色成分と、を予め対応付けて
記憶している。
色ID通知回路404は、入力部140によって入力された色IDを記憶部406に通
知し、記憶部406は、この色IDに対応する4色成分を読み出して、駆動回路110に
供給する。
これにより、駆動回路110は、記憶部406から読み出された4色成分の画像信号に
従って表示パネル100における各サブ画素を駆動するので、表示パネル100には、入
力部140で入力された色IDに対応する色が表示される。
キャリブレーションモードとは、本来表示したい、あるいは表示すべき色(以下「目標
色」ということがある。)を表現するよう指示を与えたにもかかわらず、その目標色とは
異なる色が表示パネル100において表現される場合に、可能な限り当該目標色に近付け
た色(理想的には当該目標色に一致する色)を表示するように、当該異なる色の表示を補
正するモードである。このような相違、即ち目標色と現実に表現される色との相違が生じ
るのは、表示パネル100の個体差、経年変化、計算誤差等の様々な理由による。
このキャリブレーションモードに関しては、その詳細について項を改めて説明する。
図6は、キャリブレーションモードにおいて処理回路40で構築される機能ブロックを
示す図であり、図7は、キャリブレーションモードの動作を示すフローチャートである。
以下ではまず、キャリブレーションモードの実行の様子の大枠について、これら図6及び
図7を参照しながら説明する。
ユーザによって目標色を規定する情報が与えられると、入力色計算回路410は、当該
目標色のxy色度を計算する(図7のステップS201)。ここで目標色を規定する情報
としては、デバイスに依存しない絶対的な色空間で定義されたもの、例えばXYZ表色系
、CIE1976(L*a*b表色系)や、分光エネルギー分布、xy色度等の表色系にお
いて定義されたものであればよい。XYZ表色系において定義される場合、当該情報は、
3刺激値(X,Y,Z)として与えられることになる。
なお、ユーザが目標色を規定する情報を入力部140を用いて入力する際には、当該目
標色を識別するための色ID、後述する許容色差等の入力も受付けられうる。
、当該の目標色を表示するための4色成分(R,YG,B,EG)を求める。この4色成
分を求める際には、後述する<3刺激値から4色成分への変換アルゴリズム>の項で詳細
に説明されるような変換アルゴリズムが利用される。この点については当該項において詳
細に述べるが、ここでは簡単に、大枠の流れについてだけ説明しておく。
すなわち、まず、入力色計算回路410は、目標色のxy色度が、後述する図9に示す
ような領域1−8のうちのどれに属するかを特定する(図7のステップS202)。この
特定後、入力色計算回路410は、目標色の3刺激値(X,Y,Z)と、そのxy色度が
属する領域の行列N4×3に基づいて、表示パネル100の4色成分(R,YG,B,E
G)を計算する(図7のステップS203)。なお、行列N4×3は、次数3のベクトル
を、次数4のベクトルに変換するための変換行列である。この点についても、後述する<
3刺激値から4色成分への変換アルゴリズム>の項で詳細に説明する。
入力色計算回路410は、図7のステップS203において計算された4色成分を、入
力された色IDと対応付けて記憶部406に格納する。
D通知回路404はこれを受けて、当該色IDに対応する4色成分を記憶部406から読
出し、当該4色成分を駆動回路110に供給する。ここで読み出される4色成分とは、即
ち前記のステップS203において計算された4色成分に他ならない。これにより、表示
パネル100は、当該4色成分に基づく色を表現する(図7のステップS204)。
ただし、この際に表現される色は、前述した表示パネル100の経年劣化等々の理由に
より、目標色から乖離している可能性がある。
れた色の測定を指示し、第1測色計120は、これを受けて測定色(測色値)の3刺激値
を出力する(図7のステップS205)。なお、この測色の際には、画像表示装置10の
天板24が、本体部22に対して閉じられた状態が作り出されることが好適であるから、
そのような状態が作り出されていない場合には、天板24を閉じることを促すメッセージ
が、何らかの手段(例えば、音声や、本体部22に設けられた警告ランプの点灯 等々)
によって、ユーザに伝えられるような構成が採用されるとよい。
とのそれぞれをL*a*bに変換した上で両者の色差を算出し(図7のステップS206)
、当該色差が、所定値以下であるかどうかを判定する(図7のステップS207)。ここ
でいう所定値は、前述した許容色差に基づいて定められてよい。許容色差は、前述のよう
に、入力部140を通じたユーザの意思に従って定められ得る。もちろん、それとは別に
、一定の基準に従って客観的に望ましいだろうと思われるデフォルト値(つまり、ユーザ
の意思に左右されない既定値)に基づいて、許容色差は定められてもよい。
なお、XYZ表色系は等色差性を有さず色差の判定には適していないので、本実施形態
においては、3刺激値を、等色差性を有するL*a*bに変換して色差の判定に用いている
。また、L*a*bへの変換に用いられる白色には、目標色を測定した際の光源色の3刺激
値が用いられるとよい。
示させるための4色成分の最適解の1つが、現時点において用いられている4色成分であ
ることを意味するから、処理回路40は、処理を終了する。
一方、前述の判定結果が否定される場合(図7のステップS207;NO)は、色差を
より小さくするため、入力色計算回路410は、当初の3刺激値を所定の基準に従って一
定程度ずらした上で(図7のステップS208)、そのずらした後の3刺激値を使って、
新たな4色成分を再び計算する(図7のステップS208からステップS203への流れ
参照)。以後は、目標色と測色結果との間の色差が所定値以下にならない限り、図7の
ステップS203からステップS208の処理が繰り返される。
の影響を受けることなく、常に、正確な色をユーザに呈示することができる。
ここでは、前述したキャリブレーションモードに関連して、XYZ表色系上の3刺激値
(X,Y,Z)に対応する4色成分(R,YG,B,EG)を求めるためのアルゴリズム
、あるいは同様のことであるが、当該3刺激値から当該4色成分への変換を行うためのア
ルゴリズムについて説明する。
示パネル100では、4色成分の(R,YG,B、EG)と3刺激値の(X,Y,Z)と
の間には、3行4列の行列M3×4を用いて、次の式(1)が成立する。
ただし、行列M3×4を構成する各成分は、表示パネル100において、R,YG,B,
EGの各「原色」を表示させた場合における第1測色計120による測定結果である。こ
こで「原色」表示とは、着目した特定色の成分を最高値にするとともに他の成分を最小値
にする画像信号を使用して、当該特定色の表示を表示パネル100において行うことを意
味する(例えば、R原色表示とは、R成分を最高値にするとともに、YG,B,EG成分
を最小値にする画像信号が使用される。)。以下、原色表示という表現が使われる場合も
、同様の状況を意味しているものとする。
なお、以上から結局、行列M3×4を構成する各成分は、(XR,YR,ZR)はR原
色表示時の測定結果、(XYG,YYG,ZYG)はYG原色表示時の測定結果、(XB
,YB,ZB)はB原色表示時の測定結果、(XEG,YEG,ZEG)はEG原色表示
時の測定結果、をそれぞれ意味していることになる。
、3刺激値(X,Y,Z)から、4色成分(R,YG,B,EG)を求めるためには、前
記式(1)を変形し、次の式(2)を満たす4行3列の行列N4×3を求める必要がある
。
るのに対して、(R,YG,B,EG)の次数が「4」であるので、適当な手順により次
数を下げる必要がある。このようなことを考慮に入れながら、行列N4×3は、以下のよ
うにして求められる。
(i)表示パネル100に、R、YG,B,EGそれぞれの原色を順番に表示するととも
に、その各場合に表現された原色を第1測色計120によって測定する。この場合の表示
色は、第1測色計120によって、3刺激値(XR,YR,ZR)で与えられる。以下同
様にして、YG,B,EG成分の3刺激値は、それぞれ、(XYG,YYG,ZYG)、
(XB,YB,ZB)、(XEG,YEG,ZEG)で与えられる。
れる。この色再現域RCDは、例えば図8に示すように色度図上で表現可能であり(なお
、図8上の符合Ctはホワイトポイントを指示している。)、あるいはまた、図10に示
すように3刺激値の各々の値を各軸にとったXYZ空間内の立体として表現可能である。
一般に、P個の色を用いた場合の色再現域はP(P−1)面体で表現されることから、本
実施形態に係る表示パネル100の色再現域RCDは、図10に示すように12面体(=
4・(4−3))で表現される。なお、図10の上方及び下方に示す一組のベクトルR,
YG,B,EGは同じものであって、向きが変えてあるだけである。
分割の条件は、EG=0,B=0,R=0,YG=0,R=YG,YG=EG,B=E
G,R=Bである。これら各々の条件が満たされるときは、4成分のうちの1つはいわば
無視することが可能であるから、次数は、4から3に下がる。
この場合、例えば前に参照した図10の12面体を前提とすると、上述のような分割は
、当該12面体を8つの四角錐に分割することを意味する。その様子は、図11に示すと
おりである。例えば、図11(a)においては、ベクトルEGだけが0であるほか、R>
YG及びR>Bが成立する場合の四角錘が例示されている。分割は色度図上でも表現可能
であり、その様子は、図9に示すとおりである(この図9と、前述の図8とを対比参照)
。
求める。より詳細には以下のようである。
まず、スカラー値R,YG,B,EGからなるベクトルを(Rn,YGn,Bn,EG
n)tとし、3刺激値X,Y,Zからなるベクトルを(Xn,Yn,Zn)tとすると(
n=1,2,3,4。なお、かっこの肩に付された記号“t”は「転置」を意味する。)
、式(1)は、次の式(3)のように書き換えられる。
ここで、この式(3)における左辺の行列をMXYZとし、右辺のうちM3×4を除く
行列をMR‐YG‐B‐EGと書くことにすると、この式は、MXYZ=M3×4・MR
‐YG‐B‐EGと表現することができ、したがって、前述の式(2)は、
MR‐YG‐B‐EG=N4×3・MXYZ … (4)
と表現することが可能である。
そして、この式(4)の両辺に右側からMXYZ tをかけると、
MR‐YG‐B‐EG・MXYZ t=N4×3・MXYZ・MXYZ t … (
5)
となる。
この式(5)中、MXYZ・MXYZ tは、3行3列の正則行列であるから、逆行列(
MXYZ・MXYZ t)−1が存在する。したがって、これをこの式(5)の両辺にかけ
て整理すると、
N4×3=(MR‐YG‐B‐EG・MXYZ t)(MXYZ・MXYZ t)−
1 … (6)
となる。
この式(6)によって、前述した領域1−8の各々についての行列N4×3を求めるこ
とができる。
用いられる。
周辺環境光順応モードとは、周辺環境光に応じて、表示パネル100において表現され
る色を変更するモードである。周知のように、客観的には同一の物体を知覚する場合であ
っても、周辺環境光の色・性質等の相違に応じて、当該物体の色は異なって知覚・認識さ
れることがある。例えば同じ白衣でも、白昼・太陽光下でそれを認識する場合と、夜間・
白熱電灯下でそれを認識する場合とでは、その色合いは異なって知覚される、などという
ようである。
本実施形態の画像表示装置10においては、このような周辺環境光の相違に応じた適切
な色表示が行われる。ここで適切な色表示という場合には、より現実に即した色表示を行
うこと、つまり、周辺環境光が変われば本来はこのように見えるはずだという色を再現し
て表示することを含意する(このことは、周辺環境光の相違にかかわらず常に一定の色を
表示すること、を意味しない。)。なお、既に述べていることであるが、本明細書及び特
許請求の範囲において使用される「順応」という語は、いま述べたような意味を背景にも
つ語として理解される。
詳細には以下のようである。
、
〔I〕元の色の3刺激値(Xs,Ys,Zs)を、錐体の応答特性(Rs,Gs,Bs)
に変換する。
〔II〕元の色の錐体の応答特性をキャンセルして、周辺環境光による錐体の応答特性(
Re,Ge,Be)に変換する。
〔III〕周辺環境光による錐体の応答特性(Re,Ge,Be)を、3刺激値(Xe,
Ye,Ze)に変換する。
、周辺環境光の錐体の応答特性に係る3刺激値をベクトル(Xe,Ye,Ze)tで表す
とすると、前記の〔I〕から〔III〕の計算は、行列Tを用いて、
と表現することが可能である(なお、以下では行列Tのことを、「周辺環境光順応行列」
と呼ぶことがある。)。
したがって、この式(7)の右辺中のベクトル(Xs,Ys,Zs)tを、例えば図7
に示した処理によって最終的に求められた3刺激値と同視すれば、当該3刺激値に対応す
る色が所定の周辺環境光下に置かれた場合において認識・知覚されることになるであろう
色を表す3刺激値(即ち、式(7)左辺の(Xe,Ye,Ze))が求められることにな
る。後は、この3刺激値(Xe,Ye,Ze)を用いて、表示パネル100における色表
示を行えばよい。
色の錐体の応答特性をキャンセルし周辺環境光による錐体の応答特性に変換する行列をT
A(前記〔II〕参照)で表すとすると、式(7)中の周辺環境光順応行列Tは、以下の
式(8)によって計算できる。
T=(TBFD)−1(TA)(TBFD) … (8)
すなわち、元の光源色の3刺激値をベクトル(XWS,YWS,ZWS)t、その3刺
激値による錐体の応答特性をベクトル(RWS,GWS,BWS)tと表すとともに、周
辺環境光の色の3刺激値をベクトル(Xwe,Ywe,Zwe)t、その3刺激値による
錐体の応答特性をベクトル(Rwe,Gwe,Bwe)tで表すとすると、これら各ベク
トル間には、前述の行列TBFDを用いれば、
という関係式が成立する。
のように求められる。表式からわかるとおり、行列TAは、式(11)を式(10)で除
した場合における応答特性のベクトルの各成分が、当該行列TAの対角成分として並ぶ正
方行列である。上述した“元の色の錐体の応答特性のキャンセル”するということの具体
的な表現が、この式(12)における“除算”として現れているとみることもできる。
って得られた周辺環境光順応行列Tと式(7)とに基づいて、周辺環境光下における3刺
激値(Xe,Ye,Ze)は求められることになる。
流れについて、図12及び図13を参照しながら具体的に説明する。図12は、周辺環境
光順応モードにおいて処理回路40で構築される機能ブロックを示す図であり、図13は
、周辺環境光順応モードの動作を示すフローチャートである。
まず、測色計制御回路412は、第2測色計130に対して画像表示装置10の周囲の
環境光、即ち周辺環境光の色の測定を指示する。図12に示す環境光順応色計算回路42
0は、この第2測色計130の測色結果たる3刺激値に基づいて、周辺環境光が時間的に
変化したかどうかを確認する(図13のステップS301)。すなわち、この処理では、
前述の式(10)の右辺のベクトルが、式(11)の右辺のベクトルへと変化したかどう
かが確認される。この変化が確認さされるときには、式(10)〜式(12)によって、
式(8)内の行列TAが算出可能ということになる。
例えば第1に、「変化」を判断するための時間間隔である。すなわち、判断時点である
現時点は原理上動かないのは当然であるが、それと対比されるべき過去の時点は基本的に
自由に設定可能である(判断時点(=現時点)をt0とし、過去の時点をt1とすれば、
|t0−t1| の大きさは自由に設定可能ということである。)。
また第2に、「変化」を肯定するための乖離の程度も基本的に自由に設定可能である。
すなわち、ベクトル(XWS,YWS,ZWS)tとベクトル(Xwe,Ywe,Zwe
)tとの間にどの程度の乖離が生じたら、“変化あり”と判断するかは自由に設定するこ
とが可能である。具体的には例えば、これらのベクトルの各成分のうちの一つの成分につ
いて僅かな差異が生じるだけで、“変化あり”と判断することも可能であるし、これらベ
クトル間のノルム(即ち、{(Xwe−Xws)2+(Ywe−Yws)2+(Zwe−
Zws)2}(1/2))を求めるとともに、当該ノルムが所定値以上となったときには
じめて、“変化あり”と判断することも可能である。
1;NO)は、処理は終了する。
他方、変化があると判断される場合(図13のステップS301;YES)は、上述の
ように、算出可能となった行列TAと、前記式(9)で表される行列TBFDとから、環
境光順応色計算回路420は、前記式(8)によって、周辺環境光順応行列Tを求める(
図13のステップS302)。そして更に、環境光順応色計算回路420は、この行列T
と、現時点において表示パネル100において表示されている色の3刺激値とから、前記
式(7)に従って、変化後の周辺環境光に応じた新たな3刺激値を算出する(図13のス
テップS303)。なお、図12等の中で「補正色」とあるのは、この新たに算出された
3刺激値が、環境光順応色計算回路420から入力色計算回路410に供給されることを
表現している。
以後は、この新たに算出された3刺激値に基づく表示を行えばよい。その手順は、例え
ば図7に従って説明したとおりである。なお、本発明にいう「順応色成分」とは、このよ
うに新たに算出された3刺激値に基づいて算出される色成分(R,YG,B,EG)(図
7のステップS203参照)のことを含む。
思に委ねられてよい。すなわち、ユーザが望んだときだけ当該変更処理が行われ、望まな
いときは特に当該変更処理は行われない、などというようである。その意思の伝達には、
入力部140が用いられてよい。
また、周辺環境光の色が随時変化していくような場合、すなわち周辺環境光の色が、当
初はECaであり、その次がECbとなり、更にその次がECcとなるような場合は、図
13のステップS301における「変化」の判断は、現時点における直前の状態を基準と
して考えればよい。すなわち、いま述べた3状態の例においては、ECaからECbへの
状態遷移があるときは、ECbが、ECaに対して「変化」したかどうかが確認され、E
CbからECcへの状態遷移があるときは、ECcが、ECbに対して「変化」したかど
うかが確認される、などというようである。
すなわち、上述においては、周辺環境光の色の変化が現に生じた場合に、それに対応し
て表示パネル100の表示色を如何に追随させるかという、主に、受動的な立場を前提と
しているが、これとはいわば逆に、能動的に、表示パネル100の表示色を変更させる態
様が採用されてもよい。例えば図14に示すように、環境光順応色計算回路420は、そ
の参照すべき周辺環境光の色を第2測色計130から得るのではなくて、入力部140か
ら得るのである。この場合、その参照すべき周辺環境光の色は、ユーザの意思に従って自
由に定められることになる。これによると、周辺環境光の色の変化は現実には生じていな
いが、仮に生じたとすれば、現在、表示パネル100において表示されている表示色はど
のような色に見えるだろうかという確認を行うことができる。つまり、これによれば、仮
想的に実際上の“見え”を確かめる、いわゆるソフトプルーフが可能になるのである。
なお、いま述べた例では、周辺環境光の色それ自体を、直接的に、ユーザに入力させる
ようになっているが、本発明は、これに代えて又は加えて、処理回路40が、予め複数の
周辺環境光の色の組を記憶する第2記憶部を備える態様をも含む。この場合、ユーザは、
その組の中から任意のものを選び出すことによって、当該組に係る周辺環境光下の実際上
の見えを確認することができることになる。このほうが、ユーザに直接的に3刺激値の入
力を求めるよりも、利便性が高まることは言うまでもない。
と変わったとしても、それに応じた適切な表示色をユーザに提示することができる、とい
う効果が奏される。これは、主に、前述の周辺環境光順応モードに係る動作が行われるこ
とによっている。
述した形態に限定されることはなく、各種の変形が可能である。
(1) 上記実施形態においては、周辺環境光順応モードにおいて、周辺環境光の変化が
あれば直ちに、現時点において適用されている3刺激値に代えて新たな3刺激値を求める
ようになっているが、本発明は、かかる形態に限定されない。
例えば、前記式(7)に含まれる周辺環境光順応行列Tに代えて、以下の式(13)の
ように表現される行列T’を用いることが可能である。
この式において、xは、一定の時間の経過の中で、所定の速度で0から1まで変化する変
数である。また、Tは、基本的に、上述した周辺環境光順応行列Tと同じものであり、図
13のステップS301を参照して説明した「変化」が生じた場合に、当該図13のステ
ップS302の処理に従って計算される行列である。
変化後、直ちに、新たな3刺激値が算出・適用されるのではなくて、前記式(13)に従
い、かつ、変数xの値の変化の速度に応じて、適用されるべき新たな3刺激値が時々刻々
と求められていく処理が行われる。そして、この態様では、その時々刻々求められていく
3刺激値に対応して、同様に時々刻々と当該3刺激値に基づく4色成分が求められていく
ことになる(図7のステップS203参照)。このようなことから、表示パネル100の
表示色の変化は、周辺環境光の変化の速度に比べて、いわば緩慢と行われることになる。
を感じさせるなどといった不具合の発生を未然に回避することができる。
機能は停止しておくか、あるいは測色が行われるにしてものその測色値は無視しておくこ
とが好ましい。表示色の変更が緩慢と行われている最中であるのに、周辺環境光の新たな
変化が確認された場合に、それに対応するような表示色の変更を更に行おうとすると、処
理が混乱するおそれがあるからである。
像表示装置10の一部を構成するものとして備えられているが、本発明は、かかる形態に
限定されない。例えば、これらの測色計に相当する機能をもつ測色計が、画像表示装置と
は別体の構成として準備されてもよい。また、この場合における測色計は、少なくとも1
個あればよい。当該測色計は画像表示装置とは別体であるから、その測定面を表示パネル
100に向けるか、画像表示装置の周囲に向けるかについて特に制約を受けるおそれがな
いからである(当該測色計は、前者の場合、上記実施形態にいう第1測色計120として
機能し、後者の場合、第2測色計130として機能する、などということになる。)。
(3) 上記実施形態においては、表示パネル100は液晶パネルであるが、本発明は、
かかる形態に限定されない。例えば、本発明に言う「表示パネル」は有機EL装置等であ
ってよい。
色計、130……第2測色計、140……入力部、30……CPU、40……処理回路、
410……入力色計算回路、414……色差判定回路、420……環境光順応色計算回路
Claims (5)
- 1つの画素が4以上の異なる色に対応するサブ画素から構成されるとともに、各サブ画
素を、それぞれの色成分に応じた輝度とさせる表示パネルを有する画像表示装置であって
、
所定の表色系で規定される色の情報の入力を受け付けるとともに、前記表示パネルのた
めの当該情報に基づいた4以上の色成分を出力する処理回路と、
前記表示パネルの周囲の環境光の色を測定する測色計と、
を備え、
前記処理回路は、
前記測色計によって測定された第1時点及びその後の第2時点における前記環境光の色
に変化がある場合に、前記情報によって規定される色が、前記第2時点における前記環境
光の色に順応するように、
4以上の順応色成分を出力する、
ことを特徴とする画像表示装置。 - 前記処理回路は、
前記表示パネルが前記第1時点において表示していた色が、前記4以上の順応色成分に
基づく色に漸次変化するように、
時々刻々変化する4以上の色成分を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。 - 前記第2時点における前記環境光の色は、前記測色計によって測定されるのではなく、
ユーザの指示に従って定められる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示装置。 - 1つの画素が、4以上の異なる色に対応するサブ画素から構成されるとともに、各サブ
画素を、それぞれの色成分に応じた輝度とさせる表示パネルを有する画像表示装置の駆動
方法であって、
所定の表色系で規定される色の情報の入力を受け付けるとともに、前記表示パネルのた
めの当該情報に基づいた4以上の色成分を出力する色成分出力工程と、
前記表示パネルの周囲の環境光の色を測定する測色工程と、
を備え、
前記色成分出力工程では、
前記測色工程において測定された第1時点及びその後の第2時点における前記環境光の
色に変化がある場合に、前記情報によって規定される色が、前記第2時点における前記環
境光の色に順応するように、
4以上の順応色成分が出力される、
ことを特徴とする画像表示装置の駆動方法。 - 1つの画素が、4以上の異なる色に対応するサブ画素から構成されるとともに、各サブ
画素を、それぞれの色成分に応じた輝度とさせる表示パネルを有する画像表示装置を駆動
するコンピュータのためのプログラムであって、
当該コンピュータを、
所定の表色系で規定される色の情報の入力を受け付けるとともに、前記表示パネルのた
めの当該情報に基づいた4以上の色成分を出力する処理手段、及び、
前記表示パネルの周囲の環境光の色を測定する測色手段、
として機能させるとともに、
前記処理手段を更に、
前記測色手段によって測定された第1時点及びその後の第2時点における前記環境光の
色に変化がある場合に、前記情報によって規定される色が、前記第2時点における前記環
境光の色に順応するように、4以上の順応色成分を出力する手段、
として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
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