JP2011125934A - 研磨パッドおよび研磨パッドの製造方法 - Google Patents

研磨パッドおよび研磨パッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被研磨物を平坦化することができる研磨パッドの製造方法を提供する。
【解決手段】研磨パッド10は、ウレタンシート2を備えている。ウレタンシート2は、ポリウレタン樹脂で作製されており、研磨面Pを有している。ウレタンシート2では、ポリウレタン樹脂と非相溶性のポリスチレン製で、ポリスチレンの自己組織化により規則的な凹凸が形成された樹脂シートを鋳型として作製されている。研磨面P側には、樹脂シートの規則的な凹凸が転写されて反転され規則的な凹凸パターン5が形成されている。研磨面P側には、略同一の形状を有し頂面が平坦状の凸部5bが一定の間隔で配されるとともに、凸部5b間に凹部5aが形成されている。研磨加工時にスラリの分散状態が均一化される。
【選択図】図1

Description

本発明は研磨パッドおよび研磨パッドの製造方法に係り、特に、ポリウレタン樹脂製で被研磨物を研磨加工するための研磨面を有する発泡シートを備えた研磨パッドおよび該研磨パッドの製造方法に関する。
従来半導体デバイス等の各種材料では、平坦性を確保するために研磨パッドを使用した研磨加工が行われている。半導体デバイスの製造では、通常、銅(Cu)配線の層や絶縁層が順次形成され多層化されるが、各層を形成した後の表面(加工面)に研磨加工が行われている。近年では、半導体回路の集積度が急激に増大するにつれて高密度化を目的とした微細化や多層配線化が進められており、加工面を一層高度に平坦化する技術が重要となっている。
一般に、半導体デバイスの製造では、化学的機械的研磨(以下、CMPと略記する。)法が用いられている。CMP法では、通常、砥粒(研磨粒子)をアルカリ溶液または酸溶液に分散させたスラリ(研磨液)が供給される。すなわち、被研磨物(の加工面)は、スラリ中の砥粒による機械的研磨作用と、アルカリ溶液または酸溶液による化学的研磨作用とで平坦化される。
CMP法による半導体デバイスの研磨加工では、通常、乾式成型法により形成され、被研磨物を研磨加工するための研磨面に開孔が形成された樹脂シートを備えた研磨パッドが用いられている。研磨加工時には、研磨面に形成された開孔に砥粒が保持されつつ加工面内に分散するように供給されることで加工面の平坦化が図られている。換言すれば、半導体デバイス用の研磨パッドには、研磨面に開孔が形成されていることが不可欠となる。このような開孔は、乾式成型法により樹脂製の発泡体を形成し、得られた発泡体の表面を研削処理すること、または、発泡体をスライス処理することにより形成することができる。乾式成型法により発泡体を形成する技術として、例えば、成型時の樹脂溶液中に中空微粒子を添加しておく技術が開示されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。また、樹脂溶液に水を添加しておくことで成型時に気体を発生させる技術(例えば、特許文献6参照。)、樹脂溶液に不活性気体を分散させて成型する技術(例えば、特許文献7参照。)、樹脂溶液に水溶性微粒子を添加しておく技術(例えば、特許文献8参照。)等も開示されている。
ところが、これらの技術では、いずれも乾式成型法により形成されるため、得られる樹脂シートが硬質で独立発泡タイプのものが主体となる。このため、研磨面に形成された開孔が砥粒や研磨屑等により目詰まりしやすく、被研磨物の加工面に研磨キズ(スクラッチ)を生じるおそれがある。半導体デバイスの研磨加工では、スクラッチが生じると配線を切断するおそれがあり、致命的な欠点となる。このような欠点を回避するために、研磨パッドの研磨面側には、スラリを流動、保持させるための溝や凹凸が形成される。研磨面側に溝や凹凸を形成する手段としては、例えば、溝加工機等により切削する方法、金型を押し当てる方法が用いられる。さらに、近年では、より高精細な研磨面を得るために、光化学反応や重合反応を用いた光リソグラフィー法、マスクを用いた蒸着法、レーザーアブレーション法等の量子サイズ効果を利用しパターン化した微細構造を形成する技術を応用した研磨パッドが開示されている(例えば、特許文献9、特許文献10、特許文献11参照)。
このような微細構造を形成する技術では、工程数も多く煩雑となり、製造効率の低下を招くこととなる。これに対して、樹脂の自己組織化により微細パターンを形成する技術が知られている。この技術では、一般に、水に非混和性で低沸点の溶媒に樹脂を溶解させた樹脂溶液が用いられている。この樹脂溶液を皮膜状にコーティングし、その表面に結露を生じさせた後、溶媒および水分を除去することで樹脂の自己組織化を生じさせている(例えば、特許文献12、特許文献13、特許文献14参照)。
特許3013105号公報 特許3425894号公報 特許3801998号公報 特開2006−186394号公報 特開2007−184638号公報 特開2005−68168号公報 特許3455208号公報 特開2000−34416号公報 特許4177100号公報 特開2008−168433号公報 特開2008−213140号公報 特表2008−531248号公報 特表2008−532737号公報 特開2001−157574号公報
しかしながら、研磨パッドを構成する樹脂シートの材質として広く用いられるポリウレタン樹脂では、自己組織化を生じさせることが難しくなる。すなわち、ポリウレタン樹脂を溶解させる溶媒として用いられるジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルアセトアミド(DMAc)等では、水との混和性に優れているうえ、沸点が水の沸点より高いため、通常の手法では自己組織化が生じ難くなる。さらには、自己組織化の技術では膜厚を大きくすることが難しい、という問題もある。
本発明は上記事案に鑑み、被研磨物を平坦化することができる研磨パッドおよび該研磨パッドの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、ポリウレタン樹脂製で被研磨物を研磨加工するための研磨面を有する発泡シートを備えた研磨パッドにおいて、前記発泡シートは、前記ポリウレタン樹脂と非相溶性の樹脂製の鋳型材に該樹脂の自己組織化により規則的に形成された凹凸が転写されることで反転された凹凸パターンが前記研磨面側に形成されており、内部に発泡形成材による発泡が均等に分散するように形成されたことを特徴とする。
第1の態様では、樹脂製の鋳型材に該樹脂の自己組織化により規則的に形成された凹凸が転写されて反転した規則的な凹凸パターンが研磨面側に形成されたことで、研磨加工時に研磨液の分散性が均一化されるとともに、発泡シートの内部に発泡形成材による発泡が均等に分散するように形成されクッション性が発揮されるので、被研磨物を平坦化することができる。
第1の態様において、発泡シートの研磨面側には、略同一の形状を有する凸部が一定の間隔で配されるとともに凸部間に凹部が形成されており、凹部を介して隣り合う2つの凸部の中心間が50μm以下の間隔を有していてもよい。発泡シートの研磨面側では凸部が6角柱状のハニカム構造を有していてもよい。発泡シートのかさ密度を0.65g/cm〜0.95g/cmの範囲とすることができる。ポリウレタン樹脂と非相溶性の樹脂を、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートから選択することができる。発泡形成材成分を、化学発泡剤、水、中空球状微粒子、水溶性微粒子から選択される少なくとも1種としてもよい。
本発明の第2の態様は、第1の態様の研磨パッドの製造方法であって、ポリウレタン樹脂と非相溶性の樹脂、前記非相溶性の樹脂を溶解可能であり、かつ、難水溶性で沸点が水の沸点より低い有機溶媒を混合した樹脂溶液をシート状に展延し、前記非相溶性の樹脂の自己組織化により、略同一の形状を有する凹部が一定の間隔で配されるとともに前記凹部間に凸部を有する規則的な凹凸を表面側に形成させた鋳型材を準備する準備ステップと、前記準備ステップで準備された鋳型材の前記表面側に、末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマ、該ウレタンプレポリマを架橋する架橋剤および発泡形成材を含むウレタン混合液を注型する混合液注型ステップと、前記混合液注型ステップで注型されたウレタン混合液を架橋硬化させ、前記発泡形成材により発泡を形成させると共に、前記鋳型材の規則的な凹凸を転写させる転写ステップと、前記転写ステップで鋳型材の規則的な凹凸が転写されて反転され規則的な凹凸パターンが形成されたシート状のポリウレタン樹脂を前記鋳型材から剥離して発泡シートを作製する発泡シート作製ステップと、を含む。
第2の態様では、準備ステップでポリウレタン樹脂と非相溶性の樹脂の自己組織化により規則的な凹凸を形成させることで準備された鋳型材の表面側に、混合液注型ステップでウレタンプレポリマ、架橋剤および発泡形成材を含むウレタン混合液が注型される。転写ステップでウレタン混合液が架橋硬化され、発泡形成材により発泡が形成されると共に、鋳型材の規則的な凹凸が転写されて反転され規則的な凹凸パターンが形成された発泡シートが、発泡シート作製ステップで鋳型材から剥離される。本態様によれば、研磨面側に規則的な凹凸パターンが形成され、内部に発泡形成材による発泡が均等に分散するように形成された発泡シートが作製されたことで、発泡シートを備えた研磨パッドでは研磨加工時に研磨液の分散性が均一化され、クッション性が発揮されるので、被研磨物を平坦化することができる。
第2の態様において、準備ステップでは、難水溶性の有機溶媒の温度20℃の水に対する溶解度が10g/100g以下であることが好ましい。このとき、有機溶媒を、ハロゲン含有化合物類、芳香族炭化水素類、エステル類および非水溶性ケトン類から選択される少なくとも1種とすることができる。準備ステップで、樹脂溶液中の有機溶媒の割合を20質量%〜95質量%の範囲としてもよい。
本発明によれば、樹脂製の鋳型材に該樹脂の自己組織化により規則的に形成された凹凸が転写されて反転した規則的な凹凸パターンが研磨面側に形成されたことで、研磨加工時に研磨液の分散性が均一化されるとともに、発泡シートの内部に発泡形成材による発泡が均等に分散するように形成されクッション性が発揮されるので、被研磨物を平坦化することができる、という効果を得ることができる。
本発明を適用した実施形態の研磨パッドを模式的に示す断面図である。 実施形態の研磨パッドの研磨面における微細パターンを模式的に示す平面図である。 実施形態の研磨パッドの製造工程の概略を示す工程図である。
以下、図面を参照して、本発明を適用した研磨パッドの実施の形態について説明する。
(構成)
本実施形態の研磨パッド10は、図1に示すように、発泡シートとしてのウレタンシート2を備えている。ウレタンシート2は、ポリウレタン樹脂で作製されており、被研磨物を研磨加工するための研磨面Pを有している。
ウレタンシート2では、ポリウレタン樹脂と非相溶性の樹脂製で、当該樹脂の自己組織化により規則的な凹凸が形成された樹脂シート(鋳型材)を鋳型として作製されている。このため、研磨面P側には、樹脂シートの規則的な凹凸が転写されて反転され規則的な凹凸パターンが形成されている。すなわち、ウレタンシート2の研磨面P側には、略同一の形状を有し頂面が平坦状の凸部5bが一定の間隔で配されるとともに、凸部5b間に凹部5aが形成された凹凸パターン5が形成されている。凹部5aを介して隣り合う2つの凸部5bの中心間の間隔Peは、本例では、50μm以下に調整されている。研磨面Pでは、図2に示すように、間隔Peで形成された凹凸パターン5の凸部5bが6角形状に形成されている。換言すれば、凸部5bを構成するポリウレタン樹脂が6角柱状に形成されており、凹部5aが凸部5b間の溝状に形成されている。すなわち、ウレタンシート2は、研磨面P側がハニカム構造を有している。また、凸部5bの平坦な頂面が研磨面Pを構成している。
ウレタンシート2では、末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマが架橋剤で架橋硬化されると共に、発泡形成材により発泡が形成されている。すなわち、ウレタンシート2は乾式成型法により形成されている。ウレタンシート2では、内部に、多数の発泡4が略均等に分散した状態で形成されている。発泡4は、球状(断面円形状)に形成されている。発泡4の大きさは、本例では、孔径が平均5〜30μmの範囲に形成されている。発泡4間のポリウレタン樹脂は、発泡4を画定する隔壁状に形成されている。このような発泡4が形成されたウレタンシート2では、ショアD硬度が20〜50度の範囲を示し、かさ密度が0.65〜0.95g/cmを示す。ウレタンシート2が上述した範囲の発泡構造を有していれば、自己組織化により形成された規則的かつ微細な凹凸形状を潰すことなく被研磨物に対する接触性を均等化することができる。
また、研磨パッド10は、ウレタンシート2の研磨面Pと反対の面側に、研磨機に研磨パッド10を装着するための両面テープ7が貼り合わされている。両面テープ7は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製フィルム等の可撓性フィルムの基材7aを有しており、基材の両面にアクリル系粘着剤等の粘着剤層(不図示)がそれぞれ形成されている。両面テープ7は、基材7aの一面側の粘着剤層でウレタンシート2と貼り合わされており、他面側(ウレタンシート2と反対側)の粘着剤層が剥離紙7bで覆われている。なお、この両面テープ7の基材7aは、研磨パッド10の基材を兼ねている。
(製造)
研磨パッド10は、自己組織化により規則的な凹凸が形成された樹脂シートを準備し、樹脂シートを鋳型としてポリウレタン樹脂製のウレタンシート2を作製した後、ウレタンシート2と両面テープ7とを貼り合わせることで製造することができる。すなわち、図3に示すように、ポリウレタン樹脂と非相溶性の樹脂と、当該樹脂を溶解可能で難水溶性を有し沸点が水の沸点より低い有機溶媒(以下、疎水性溶媒という。)と、を混合した樹脂溶液をシート状に展延し、樹脂の自己組織化を生じさせた樹脂シートを準備する自己組織化工程(準備ステップ)、準備した樹脂シートに、末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマ、架橋剤および発泡形成材を含むウレタン混合液を注型する注型工程(混合液注型ステップ)、ウレタン混合液中のウレタンプレポリマを架橋剤により架橋硬化させ、発泡形成材により発泡を形成させると共に、樹脂シートの凹凸を転写させる硬化・発泡・転写工程(転写ステップ)、規則的な凹凸パターン5が形成されたウレタンシート2を樹脂シートから剥離する剥離工程(発泡シート作製ステップ)、ウレタンシート2と両面テープ7とを貼り合わせるラミネート工程を経て研磨パッド10が製造される。以下、工程順に説明する。
(自己組織化工程)
自己組織化工程では、ポリウレタン樹脂と非相溶性の樹脂に自己組織化により規則的な凹凸を表面側に形成させた樹脂シートを準備する。すなわち、樹脂溶液をシート状に展延した後、高湿下で表面に結露させる。結露させた樹脂溶液を高温下にさらし、樹脂溶液中の有機溶媒を気化させ、結露した水分を気化させることで樹脂に自己組織化を生じさせる。本例では、ポリウレタン樹脂と非相溶性の樹脂として、ポリスチレンを用いる。
疎水性溶媒としては、温度20℃の水に対する溶解度が10g/100g以下(目安として溶解度パラメータが9.5以下)であり、沸点が100℃以下(取扱い上40℃以上であることが望ましい。)のものを用いることができる。このような疎水性溶媒には、クロロホルム(沸点61.2℃)、塩化メチレン(沸点39.8℃)等のハロゲン含有化合物類、ベンゼン(沸点80.1℃)等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル(沸点77.1℃)等のエステル類および非水溶性ケトン類から選択される少なくとも1種を用いることができる。また、疎水性溶媒は、樹脂溶液濃度が1〜10重量%(質量%)となるように混合することが好ましい。疎水性溶媒の混合割合が樹脂溶液に対して1重量%未満であるとポリスチレンの自己組織化が生じにくくなり、反対に、10重量%を超えるとポリスチレンの溶解性が低下するため好ましくない。本例では、疎水性溶媒としてベンゼンを用い、樹脂溶液濃度が5重量%となるように混合する。調製した樹脂溶液を、平坦表面を有するシート基材上に、常温下で厚みが一様となるように展延する。
シート基材上の樹脂溶液を、多湿雰囲気下にさらすことで、樹脂溶液の表面に結露を生じさせる。多湿雰囲気の条件は、特に制限されるものではないが、ハニカム構造状の凹凸の間隔を考慮すれば、相対湿度として70〜95%の範囲とすることが好ましい。また、結露を生じさせる環境では、用いる疎水性溶媒の沸点より低い温度に制限することが好ましい。本例では、疎水性溶媒としてベンゼンを用いるため、その沸点より低い温度、すなわち、常温〜60℃の範囲に制限する。
表面に結露を生じさせた樹脂溶液を、高温雰囲気下にさらすことで、ポリスチレンの自己組織化を生じさせる。このとき、樹脂溶液に含まれる疎水性溶媒と、樹脂溶液の表面に結露した水分とが除去されればよい。このため、温度条件としては、疎水性溶媒の沸点、水の沸点より高い温度、すなわち、110〜130℃の範囲とすることが好ましい。温度条件が低すぎるとポリスチレンの自己組織化が生じにくくなる。自己組織化が生じることで、鋳型として用いるポリスチレン製の樹脂シートが得られる。この樹脂シートでは、表面側に規則的な凹凸が形成されている。
ここで、ポリスチレンの自己組織化によるハニカム構造の形成について説明する。疎水性溶媒が気化するときには樹脂溶液から潜熱をうばうため、樹脂溶液の表面で温度が低下する。樹脂溶液が多湿雰囲気下にさらされているため、樹脂溶液の表面に微小な水滴が凝集、付着して結露が生じる。高温雰囲気下にさらされると、樹脂溶液の表面で水滴が安定化され、疎水性溶媒が気化するのに伴い、水滴が6角形状となり規則性を保った状態で整列する。その後、水分が蒸発し、ポリスチレンがハニカム状に形成され、間隔Peを有する規則的で微細な凹凸が形成されて自己組織化が終了する。
(注型工程)
注型工程では、自己組織化が終了した樹脂シートに、末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマ(以下、単に、プレポリマと略記する。)、架橋剤および発泡形成材を含むウレタン混合液を注型する。架橋剤としては、プレポリマのイソシアネート基と反応する2つ以上の官能基を有する化合物であればよい。具体的には、ポリオール化合物やポリアミン化合物を挙げることができ、これらを併用してもよい。また、発泡形成材には、化学発泡剤、水、中空微粒子、水溶性微粒子から選択される少なくとも1種を用いることができる。化学発泡剤としては、常温で固体の物質であり、加熱により熱分解して分解ガスを発生するものであればよく、例えば、アゾジカルボン酸等を挙げることができる。中空微粒子としては、例えば、アクリル系の樹脂製外殻を有する球状で内部にブタンやヘキサン等の揮発性化合物が内包された微粒子等を挙げることができる。水溶性微粒子としては、例えば、セルロース誘導体やポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの発泡形成材は、得られるウレタンシート2のかさ密度が上述した範囲となるように、ウレタン混合液中の配合量を調整する。
プレポリマは、分子内に2つ以上の水酸基を有するポリオール化合物と、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物とを反応させることで得られたものである。ポリオール化合物とジイソシアネート化合物との反応時に、イソシアネート基のモル量を水酸基のモル量より大きくすることで、末端がイソシアネート基のプレポリマを得ることができる。ここで、ウレタンシート2が適度なクッション性を発揮する硬度を有するように、末端イソシアネート基の1個あたりのプレポリマ分子量を表すNCO当量を適宜調整してポリオール化合物とジイソシアネート化合物とを配合することが重要である。NCO当量としては、400〜700の範囲とすることが好ましい。ウレタン混合液に配合する架橋剤としてポリオール化合物を用いる場合は、NCO当量を400〜600の範囲とすることがより好ましい。これに対して、架橋剤としてポリアミン化合物を用いる場合は、ウレア結合が形成されて硬くなるので、500〜700の範囲とすることがより好ましい。ポリオール化合物とポリアミン化合物とを併用する場合は、それらの当量比からNCO当量を適宜調整すればよい。また、使用するプレポリマは、粘度が高すぎると、流動性が悪くなり混合時に略均一に混合することが難しくなる。温度を上昇させて粘度を低くするとポットライフが短くなり、却って混合斑が生じて得られるポリウレタン発泡体に形成される発泡4の分散状態にバラツキが生じる。反対に粘度が低すぎると、発泡形成材が混合液中で移動してしまい、ポリウレタン発泡体に略均等に分散した発泡4を形成することが難しくなる。このため、プレポリマは、温度50〜80℃における粘度を2000〜20000mPa・sの範囲に設定することが好ましい。例えば、プレポリマの分子量(重合度)を変えることで粘度を設定することができる。プレポリマは、50〜80℃程度に加熱され流動可能な状態とされる。
プレポリマの生成に用いられるジイソシアネート化合物としては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン−1,4−ジイソチオシアネート、エチリジンジイソチオシアネート等を挙げることができる。また、これらのジイソシアネート化合物の二種以上を併用してもよい。
一方、プレポリマの生成に用いられるポリオール化合物としては、ジオール化合物、トリオール化合物等の化合物であればよく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等の低分子量のポリオール化合物、および、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリエーテルポリオール化合物、エチレングリコールとアジピン酸との反応物やブチレングリコールとアジピン酸との反応物等のポリエステルポリオール化合物、ポリカーボネートポリオール化合物、ポリカプロラクトンポリオール化合物等の高分子量のポリオール化合物のいずれも使用することができる。また、これらのポリオール化合物の二種以上を併用してもよい。
架橋剤は、プレポリマのイソシアネート基と反応することでハードセグメントを形成する。架橋剤のポリオール化合物としては、ジオール化合物、トリオール化合物等の化合物であればよく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等の低分子量のポリオール化合物、および、PEG、PPG、PTMG等のポリエーテルポリオール化合物、エチレングリコールとアジピン酸との反応物やブチレングリコールとアジピン酸との反応物等のポリエステルポリオール化合物、ポリカーボネートポリオール化合物、ポリカプロラクトンポリオール化合物等の高分子量のポリオール化合物のいずれも使用することができる。また、これらのポリオール化合物の2種以上を併用してもよい。架橋剤のポリアミン化合物としては、脂肪族や芳香族のポリアミン化合物を使用することができるが、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下、MOCAと略記する。)、MOCAと同様の構造を有するポリアミン化合物等を挙げることができる。また、ポリアミン化合物が水酸基を有していてもよく、このようなアミン系化合物として、例えば、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等を挙げることができる。これらの化合物の2種以上を併用してもよい。架橋剤として、本例では、ポリオール化合物である1,4−ブタンジオールを用いる。
また、発泡形成材は、ウレタン混合液の調製時に直接添加してもよいが、予めプレポリマまたは架橋剤に分散させて用いることが好ましい。発泡形成材が反応、揮発、変性して安定した分散状態を得られない場合は、発泡形成材に対して不活性な分散剤に予め分散させて用いてもよい。例えば、発泡形成材に水を用い、架橋剤にMOCAを用いる場合、水がプレポリマと反応してしまい、MOCAの融点が高く水の沸点以上の温度で溶融させた状態で供給する必要があるため、プレポリマや架橋剤に分散させておくことが難しくなる。このような場合は、ポリオール化合物を分散剤として用い、予めポリオール化合物に水を分散させた分散液として用いる。分散液の調製に用いられるポリオール化合物は、架橋剤としても機能し、プレポリマのイソシアネート基と反応しプレポリマに架橋結合を形成する。このポリオール化合物としては、プレポリマや架橋剤の溶液の粘度と同程度にすることで水の分散を均一化しやすくなるため、数平均分子量500〜2000のポリオール化合物を用いることが好ましく、特に、数平均分子量1000〜2000のPPGが分散性や得られるウレタンシートの耐熱性の面からより好ましい。分散液の調製時には、一般的な攪拌装置を使用して攪拌混合すればよく、発泡形成材が略均等に分散希釈されていればよい。本例では、架橋剤として用いる1,4−ブタンジオールに水を1〜6重量%の割合で分散希釈させて分散液を調製する。使用する水としては、特に制限はないが、不純物等の混入を回避するため、蒸留水を使用することが好ましい。水の量が少なすぎると得られるウレタンシートに形成される発泡の大きさが小さすぎるため、クッション性が不十分となり好ましくない。また、水の量が多すぎると、極端に大きな発泡が形成されることがあるうえ、ポリスチレン製の樹脂シート上で架橋硬化させるときに、自己組織化により形成された微細な凹凸形状を崩してしまう可能性があるため、好ましくない。
プレポリマ、架橋剤の1,4−ブタンジオールおよび発泡形成材の水を混合したウレタン混合液を調製する。このとき、各成分が均等に混合されるように、一般的な攪拌装置を用いて調製する。発泡形成材として水を用いる場合、水が均等かつ微細に分散されていないと、所望の平均5〜30μmの孔径が得られないので、筒状の混合槽に撹拌翼を配した連続撹拌装置を用いることが好ましい。この連続攪拌装置では、各成分を筒の一側から連続的に供給し、攪拌翼を回転させ、他側へ押し出しながら各成分を混合する。このとき、攪拌翼による剪断速度を9,000〜41,000/秒の範囲、剪断回数を300〜10,000回の範囲に設定し、混合することが好ましい。ここで、剪断速度、剪断回数は次式により求めることができる。すなわち、剪断速度(/秒)=攪拌翼の翼先端の直径(mm)×円周率×攪拌翼の回転数(rpm)÷60÷攪拌翼の翼先端と混合槽の内壁とのクリアランス(mm)、剪断回数(回)=攪拌翼の回転数(rpm)÷60×混合槽中での混合液の滞留時間(秒)×攪拌翼の翼の数、により求めることができる。攪拌翼の剪断速度が小さすぎると、ウレタンシート中に形成される発泡4の大きさが大きくなりすぎる。反対に剪断速度が大きすぎると、攪拌翼および混合液間の摩擦による発熱で温度が上昇し粘度が低下するため、混合液中の気泡が(成型中に)移動してしまい、得られる発泡体に形成される発泡4の分散状態にバラツキが生じやすくなる。一方、剪断回数が少なすぎると生じる気泡の大きさにムラ(バラツキ)が生じやすく、反対に多すぎると温度上昇で粘度が低下し、発泡4が略均等に形成されなくなる。得られたウレタン混合液を、ポリスチレン製の樹脂シートの自己組織化により凹凸が形成された表面側に、均一な厚みとなるように注型する。次工程での剥離を容易にするため、予め樹脂シートの凹凸面にシリコーン系離型剤などをコーティングしておくこともできる。また、注型時に樹脂シートをウレタン混合液の上方に配すると、ウレタン混合液が硬化する前に、ウレタン混合液中の気泡が上方に移動し、樹脂シートの凹凸パターン形状を崩してしまうことがあるので、樹脂シートを下方に配して行うことが好ましい。樹脂シートの凹凸面上にウレタン混合液を注型することにより、得られるウレタンシートの転写面(の近傍)に発泡4を形成させずに、規則的かつ微細な凹凸を転写させることができる。
(硬化・発泡・転写工程)
硬化・発泡・転写工程では、樹脂シートに注型されたウレタン混合液中で、プレポリマを架橋剤の1,4−ブタンジオールにより架橋硬化させ、水により発泡を形成させ、樹脂シートに形成された凹凸をウレタン側に転写させる。混合液中では、プレポリマのイソシアネート基と1,4−ブタンジオールの水酸基とが反応することで架橋硬化が進行する。また、水がプレポリマのイソシアネート基と反応することで、ガスが発生し発泡4が形成される。ポリスチレン製の樹脂シート上で架橋硬化されることで、得られる発泡シートでは、樹脂シートに形成された規則的な凹凸が転写される。
(剥離工程)
剥離工程では、樹脂シート上で架橋硬化され、樹脂シートの規則的な凹凸が転写されて反転され規則的な凹凸パターン5が形成されたウレタンシート2を、樹脂シートから剥離する。得られたウレタンシート2では、発泡形成材の水により内部に発泡4が形成されており、樹脂シートと接触した面側、すなわち、研磨面P側に凹凸パターン5が形成されている。また、ウレタンシート2の平坦性向上を図るべく、研磨面Pと反対の面側にバフィング処理やスライス処理等の研削処理を施してもよい。この研削処理は、ウレタンシート2を樹脂シートから剥離する前に行ってもよく、剥離後に行うこともできる。
(ラミネート工程)
ラミネート工程では、ウレタンシート2と両面テープ7とを貼り合わせる。このとき、ウレタンシート2の研磨面Pと反対の面側に、両面テープ7の一面側の粘着剤層を貼り合わせる。両面テープ7の他面側には、剥離紙7bが残されている。その後、汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を行い、研磨パッド10を完成させる。
被研磨物を、例えば、片面研磨機で研磨加工するときは、片面研磨機の研磨定盤に研磨パッド10を装着する。研磨定盤に研磨パッド10を装着するときは、両面テープ7の剥離紙7bを取り除き、露出した粘着剤層で研磨定盤に貼着する。研磨定盤と対向するように配置された保持定盤に保持させた被研磨物を研磨面P側へ押圧し、スラリ(砥粒を含む研磨液)を供給しながら研磨定盤ないし保持定盤を回転させることで、被研磨物の加工面を研磨加工する。
(作用等)
次に、本実施形態の研磨パッド10の作用等について説明する。
本実施形態では、ウレタンシート2が、研磨面P側に間隔Peの規則性を有する凹凸パターン5が形成されている。この凹凸パターン5は、ポリスチレンの自己組織化により生じた凹凸が転写されて反転され形成されている。樹脂の自己組織化では、通常、規則性を有する微細の凹凸が形成されることから、研磨面P側に形成された凹凸パターン5が微細化、均一化されることとなる。従って、研磨加工時に供給されるスラリが被研磨物および研磨パッド10間で分散状態が均一化され供給されるので、研磨ムラを抑制することができ、被研磨物の加工面を高精度に平坦化することができる。このような研磨パッド10は、高精度な平坦性が要求される被研磨物、例えば、半導体デバイス等の精密仕上げ研磨加工に好適に使用することができる。
また、本実施形態では、ウレタンシート2の内部に、成型時に配合された発泡形成材により発泡4が略均等に分散した状態で形成されている。このため、ウレタンシート2が弾性を有することから、研磨加工時にかけられた押圧力をウレタンシート2で均等化することができ、微細な凹凸パターン5を被研磨物に均等に接触させることができるので、被研磨物の研磨欠点を抑制し平坦性向上を図ることができる。
更に、本実施形態では、自己組織化を生じさせたポリスチレン製の樹脂シートを鋳型として用い、ポリウレタン樹脂製のウレタンシート2に転写させることで研磨面P側に規則的かつ微細な凹凸パターン5が形成されており、ウレタンシート2の内部に球状の発泡4が形成されている。すなわち、ウレタンシート2では、成型時に研磨面P側の凹凸パターン5と内部の発泡4とが形成された一枚のシートとなる。このため、自己組織化を生じさせたシートとクッション性を有するシートとを貼り合わせたものでは剥離が生じることがあるのに対して、剥離が生じないので、被研磨物を安定的に研磨加工することができる。
また更に、本実施形態の製造方法では、ポリウレタン樹脂と非相溶性のポリスチレンに自己組織化を生じさせた樹脂シートを鋳型として用いている。このため、ポリスチレン製の樹脂シート上でポリウレタン樹脂を架橋硬化させてもポリスチレンとポリウレタンとの境界部分で融着が生じることなく、架橋硬化されたウレタンシート2を容易に剥離することができる。これにより、本来ポリウレタン樹脂では自己組織化を生じさせることが難しいのに対して、ポリスチレンの自己組織化で生じた微細な凹凸を転写させることで、ポリウレタン樹脂に擬似的に自己組織化を生じさせたような凹凸パターン5を形成することができる。
更にまた、本実施形態では、ウレタンシート2の研磨面P側に、間隔Peが50μm以下の凹凸パターン5が形成されている。この凹凸パターン5は、鋳型として用いる樹脂シートの自己組織化で生じた凹凸が転写され形成されている。このため、ポリスチレンの自己組織化を生じさせる条件(多湿条件、高温条件)を調整することで、樹脂シートの凹凸を変えることができ、結果として研磨面P側の凹凸パターン5を調整することができる。これとは別に、発泡形成材やウレタン混合液の配合等を変えることで発泡4の大きさや数を調整することができる。従って、多様な被研磨物の材質や研磨加工条件に合わせて、所望の研磨性能を得るためにウレタンシート2のクッション性や研磨液保持性等を調整することができる。
なお、本実施形態では、鋳型として用いる樹脂シートをポリスチレンで作製する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ポリスチレン以外にポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートを用いることも可能である。また、疎水性溶媒としてベンゼンを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ハロゲン含有化合物類、芳香族炭化水素類、エステル類および非水溶性ケトン類から選択される少なくとも1種を用いることができる。
また、本実施形態では、ウレタンシート2の研磨面P側に形成される凹凸パターン5の凸部5bが6角柱状に形成される例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、鋳型として用いる樹脂シートに自己組織化を生じさせるときの条件設定により円形状や角形状とすることも可能である。自己組織化では、結露した水が疎水性溶媒の気化に続いて蒸発する過程で生じることから、6角柱状に形成されることが安定した状態と考えられる。また、本実施形態では、凹凸パターン5の間隔Peが50μm以下の例を示したが、本発明はこれに制限されるものではなく、自己組織化を生じさせる条件設定により50μmを超える間隔Peで形成させることも可能である。
更に、本実施形態では、プレポリマを架橋硬化させると共に発泡4を形成させる、いわゆる乾式成型法によりウレタンシート2を作製する例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、湿式凝固法により得られる比較的軟質のウレタンシートを作成することも可能である。このことは、ポリウレタン樹脂をN,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒に溶解させたポリウレタン溶液を、鋳型として用いる樹脂シートに注型し、水を主成分とする凝固液中でポリウレタン樹脂を凝固再生させることで実現することができる。また、発泡4の形成に水を用いる例を示したが、発泡形成材としては、上述したように、化学発泡剤、中空微粒子、水溶性微粒子を用いることができる。
また更に、本実施形態では、特に言及していないが、ウレタンシート2が、少なくとも一部に、被研磨物の研磨加工状態を光学的に検出するための光透過を許容する光透過部を有するようにしてもよい。この光透過部は、ウレタンシート2の厚み全体にわたり貫通するように形成することが好ましい。このようにすれば、例えば、研磨機側に備えられた発光ダイオード等の発光素子、フォトトランジスタ等の受光素子により、研磨加工中に光透過部を通して被研磨物の加工面の研磨加工状態を検出することができる。これにより、研磨加工の終点を適正に検出することができ、研磨効率の向上を図ることができる。
更にまた、本実施形態では、特に言及していないが、ウレタンシート2の研磨面Pと反対の面側に研削処理を施すようにしてもよい。このようにすれば、ウレタンシート2の全体の厚みを均一化することができ、平坦性向上を図ることができる。また、ウレタンシート2と両面テープ7との間に、可撓性を有する樹脂製の基材を貼り合わせるようにしてもよい。このようにすれば、研磨パッド10が基材で支持されるため、取扱いを容易にすることができる。
次に、本実施形態に従い製造した研磨パッド10の実施例について詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1では、ポリスチレンで自己組織化を生じさせるときに、重量平均分子量が約20000のポリスチレンを用い、ポリスチレンの濃度が5重量%となるようにベンゼンに溶解させた。このポリスチレン溶液を180g/mの割合で基材に塗布し、相対湿度80%の密閉雰囲気下で結露させた後、110℃の温度環境下でベンゼンおよび水を除去し、鋳型に用いる樹脂シートを得た。ウレタン混合液の調製には、プレポリマとして2,4−トリレンジイソシアネートの1045部と、数平均分子量が約1,000のPTMGの1000部とを反応させた後、ジエチレングリコールの283部を加えて更に反応させたNCO当量が500の末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマを用い、これを55℃に加熱し減圧下で脱泡した。これとは別に、架橋剤の1,4−ブタンジオールの180部に、発泡形成材の水の6部を加え、減圧下で脱泡した。プレポリマと、架橋剤および発泡形成材との混合液とを12.5部:1部(重量比)の割合で混合槽に供給した。混合工程では、攪拌時の剪断回数を1689回、剪断速度を9425/秒に設定した。得られたウレタン混合液を、ポリスチレンの樹脂シートを敷き詰めた型枠に注型し、架橋硬化、発泡形成、凹凸の転写の後、樹脂シート上に形成されたウレタンシートを型枠から取り出した。ウレタンシートの樹脂シートと反対の面側(研磨面Pと反対の面側)を、ウレタンシートの厚さが1.5mmとなるようにスライスした後、ウレタンシート2を樹脂シートから剥離した。得られたウレタンシート2と両面テープ7とを貼り合わせることで研磨パッド10を製造した。
両面テープ7と貼り合わせる前のウレタンシート2について、発泡4の平均孔径、ショアD硬度およびかさ密度を測定した。平均孔径の測定では、断面の約1.3mm四方の範囲をマイクロスコープ(KEYENCE製、VH−6300)で175倍に拡大して観察し、得られた画像を画像処理ソフト(Image Analyzer V20LAB Ver.1.3)により処理し平均孔径を算出した。この結果、発泡4の平均孔径は、18μmであった。ショアD硬度は、日本工業規格(JIS K 7311)に準じた方法で測定した結果、36度を示した。かさ密度の測定では、所定サイズの大きさに切り出した試料の重量を測定し、サイズから求めた体積と測定した重量とからかさ密度を算出した。この結果、かさ密度は、0.92g/cmであった。
また、得られた研磨パッド10について、研磨面Pを走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した結果、微細な6角柱状の凹凸パターン5が形成されており、間隔Peが20μm程度であることが確認された。自己組織化の技術を応用し製造したウレタンシート2を用いた研磨パッド10では、研磨面P側に微細な凹凸パターン5が間隔Peで規則正しく形成されるため、被研磨物の高精度な平坦性を達成することが期待できる。従って、研磨パッド10は、表面平坦性に要求される精度が一層高まりつつある半導体デバイス等の研磨加工に好適に使用することができる。
本発明は被研磨物を平坦化することができる研磨パッドおよび該研磨パッドの製造方法を提供するため、研磨パッドの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
P 研磨面
Pe 間隔
2 ウレタンシート(発泡シート)
4 発泡
5 凹凸パターン
5a 凹部
5b 凸部
10 研磨パッド

Claims (10)

  1. ポリウレタン樹脂製で被研磨物を研磨加工するための研磨面を有する発泡シートを備えた研磨パッドにおいて、前記発泡シートは、前記ポリウレタン樹脂と非相溶性の樹脂製の鋳型材に該樹脂の自己組織化により規則的に形成された凹凸が転写されることで反転された凹凸パターンが前記研磨面側に形成されており、内部に発泡形成材による発泡が均等に分散するように形成されたことを特徴とする研磨パッド。
  2. 前記発泡シートの研磨面側には、略同一の形状を有する凸部が一定の間隔で配されるとともに前記凸部間に凹部が形成されており、前記凹部を介して隣り合う2つの前記凸部の中心間が50μm以下の間隔を有することを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 前記発泡シートの研磨面側は、前記凸部が6角柱状のハニカム構造を有することを特徴とする請求項2に記載の研磨パッド。
  4. 前記発泡シートは、かさ密度が0.65g/cm〜0.95g/cmの範囲であることを特徴とする請求項3に記載の研磨パッド。
  5. 前記ポリウレタン樹脂と非相溶性の樹脂は、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートから選択されたことを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  6. 前記発泡形成材は、化学発泡剤、水、中空球状微粒子、水溶性微粒子から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載の研磨パッド。
  7. 請求項1に記載の研磨パッドの製造方法であって、
    ポリウレタン樹脂と非相溶性の樹脂、前記非相溶性の樹脂を溶解可能であり、かつ、難水溶性で沸点が水の沸点より低い有機溶媒を混合した樹脂溶液をシート状に展延し、前記非相溶性の樹脂の自己組織化により、略同一の形状を有する凹部が一定の間隔で配されるとともに前記凹部間に凸部を有する規則的な凹凸を表面側に形成させた鋳型材を準備する準備ステップと、
    前記準備ステップで準備された鋳型材の前記表面側に、末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマ、該ウレタンプレポリマを架橋する架橋剤および発泡形成材を含むウレタン混合液を注型する混合液注型ステップと、
    前記混合液注型ステップで注型されたウレタン混合液を架橋硬化させ、前記発泡形成材により発泡を形成させると共に、前記鋳型材の規則的な凹凸を転写させる転写ステップと、
    前記転写ステップで鋳型材の規則的な凹凸が転写されて反転され規則的な凹凸パターンが形成されたシート状のポリウレタン樹脂を前記鋳型材から剥離して発泡シートを作製する発泡シート作製ステップと、
    を含む製造方法。
  8. 前記準備ステップにおいて、前記難水溶性の有機溶媒の温度20℃の水に対する溶解度が10g/100g以下であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記有機溶媒は、ハロゲン含有化合物類、芳香族炭化水素類、エステル類および非水溶性ケトン類から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記準備ステップにおいて、前記樹脂溶液中の前記有機溶媒の割合を20質量%〜95質量%の範囲とすることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
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