JP2011122855A - 気体分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】気体中の種々の気体成分を種類と濃度により気体の流れの方向に相互に分離させる気体分離流路を使用する気体分析装置の簡易化と性能向上とを達成することである。
【解決手段】気体分析装置10は:気体中の種々の気体成分を種類と濃度に応じて気体の流れの方向に相互に分離させる気体分離流路12aを含む本体12と;球形状の一部で構成され球形状の最大径の外周円を含み弾性表面波を励起及び伝搬可能な円環状領域を有する基体と、円環状領域に弾性表面波を励起させ円環状領域延出方向に周回させ周回後に検知した弾性表面波に対応した電気信号を発生させる弾性表面波・励起/検知手段と、を含み、上記流路中の所定位置に配置された球状弾性表面波素子14と;を備え、上記素子の円環状領域を周回する弾性表面波が気体中の分離された気体成分に順次接触し接触した気体成分の種類と濃度に応じた弾性表面波の変化を電気信号として検出する。
【選択図】 図1

Description

種々の気体成分を含む気体が流され気体中の種々の気体成分を気体の流れの方向に相互に分離させる気体分離流路を使用し、このように相互に分離された種々の気体成分を分析する気体分析装置に関係している。
気体の種々の気体成分を吸脱着する薬剤がその細長い内表面に塗布されているか、又は上記薬剤を含有あるいは塗布されたビーズを含む気体成分分離管の流路に、複数の気体成分を含む気体をキャリアガスと共に流し、気体中の複数の気体成分を相互に分離させ時間差を伴って排出させて分離する気体成分分離技術はガスクロマトグラフィーとして知られている。
上記異なる時間に気体成分分離管から排出される気体の複数の気体成分は公知の分析手段により検出されて種類や濃度を分析することが出来る。
これら種々の公知の分析手段には、熱伝導度利用式検出器や水素炎利用式検出器や質量分析装置が良く知られており、一般には簡便な熱伝導度利用式検出器や水素炎利用式検出器が使用されている。
熱伝導度利用式検出器では、上述した如く排出された上記種々の気体成分を含む上記キャリアガスが検出部に吹き付けられ、気体成分の種類と量(濃度)により熱伝導度の値が変わることを利用している。
水素炎利用式検出器では、上述した如く排出された上記種々の気体成分の夫々を含む上記キャリアガスが水素炎に吹き付けられ、その結果として吹き付けられた気体成分の種類と量(濃度)により水素炎のスペクトルが変わることを利用している。
このような気体分析装置の一例が特開昭55−94159号公報(特許文献1)に開示されている。
また、弾性表面波素子を使った検出器を備えたガスクロマトグラフィーが実用化されている。検出器として弾性表面波共振器をもちい、弾性表面波が伝搬する領域に分析する気体をさらすことで、弾性表面波の伝搬状態が変化し、それに基づいて共振周波数が変化することを利用している。気体を燃焼させることなく計測できるとともに共振周波数を計測する回路は安価で小型であるから可搬用ガス分析装置として用いられる。
上記の従来型弾性表面波素子ではなく球状弾性表面波素子を使用し、マイクロマシニング微細加工技術をもちいて平板のウェファー基板に溝を掘りガラス基板を張り合わせることで作製した気体分離流路と組み合わせた、より小型で高精度なガスクロマトグラフィーが国際特許WO 2008/056458A1(特許文献2)に提案されている。
球状弾性表面波素子は従来の平面型弾性表面波素子とことなり反射器と呼ばれる電極パターンを持たない。また弾性表面波をその球形表面に沿って長い距離伝搬させる際の、強度の減衰量を計測することにより、気体の種類や分圧を高精度に計測する事も可能で、検出できる気体成分の種類も多様である。
特開昭55−94159号公報 WO 2008/05645A1公報
上述した如き従来の気体分析装置では、気体成分の種類に従って異なる保持時間を発揮する薬剤がその細長い内表面に塗布されているか、又は上記薬剤が含有あるいは塗布されたビーズを含む気体分離管を準備する際に、分析すべき気体成分に従ってより精度良く分離するために適した薬剤を内部に塗布した気体分離管を選択して使用する作業が煩雑であるばかりでなく、気体分離管の持ち運びや、その寸法を小型化することが困難である。
気体分離管の小型化は、シリコン基板にフォトリソグラフィー技術を用いて気体分離流路を微細加工(マイクロマシニング)することにより可能である。
上述した分析の為にはさらに、上記気体分離管に例えば熱伝導度利用式検出器や水素炎利用式検出器や質量分析装置などの大型で操作が煩雑な公知の分析手段を組み合わせなければならず、上記気体分離管に加えてこれら公知の分析手段を持ち運ぶことは煩雑であった。
また、熱伝導度利用式検出器や水素炎利用式検出器は、測定精度があまり高くなかったり、あるいは分析対象となる気体成分の種類にも制約があった。
シリコンウェファーや金属の平面部材を張り合わせることによって、断面が1mm以下になるような小さな気体分離流路を実現しても、気体を入排出する比較的大きな接続部品を必要とする。特に、複数の気体分離流路を直列に接続する場合はガスの接続部品も増えるから小型化が困難になる。複数の気体分離流路とそれらに付属する接続部分と、さらに検出器を一定の温度に温度制御することは大きな温度制御用のケースを要求し省電力化も難しくなる。
特に球状弾性表面波素子は一般に温度依存性を有することから、その温度制御の良し悪しが、計測精度に直接影響することから、高精度化にむけた課題になっていた。
さらに、断面が1mm以下になるような小さな気体流路に弾性表面波素子を設置することは、少なくとも従来の平面型の弾性表面波素子はその大きさから困難であり、それを動作する為に必要な高周波信号の結線は複雑な構造を必要とするから、小型化が困難で且つ製造コストも高くなる。
この発明は上記事情の下でなされ、この発明の目的は、従来に比べ、より構成を簡易化して操作性や携帯性を向上させることが出来るとともに気体成分分析の精度の向上を達成し、しかも安価に出来る、気体中の種々の気体成分を相互に分離させるガスクロマトグラフィー分析方法に基づいた気体分離流路を使用する気体分析装置を提供することである。
この発明に従った気体分析装置は:本体が、気体分離流路が溝として形成された一面を有する第1本体部材と、第1本体部材の一面に固定され前記一面における気体分離流路の溝の開口を塞ぐ第2本体部材との接合によって構成することを特徴としており、本体が有する上記の気体分離流路は、気体流入口と気体排出口とを有し、分析すべき種々の気体成分を含む気体がキャリアガスとともに気体流入口から気体分離流路に供給され、気体分離流路の内部に気体中の種々の気体成分と吸収と脱離を行う薬剤を有することで気体成分の種類に応じて気体分離流路を通過する時間を異ならせ、種々の気体成分を相互に分離させるものであって;
さらに、本体はその気体分離流路の所定の位置に、球形状の一部で構成され球形状の最大径の外周円を含んでおり弾性表面波が励起可能であり励起された弾性表面波を伝搬可能な円環状の領域を少なくとも1つ有している基体と、基体の円環状の領域に弾性表面波を励起させ励起した弾性表面波を円環状の領域の延出方向に沿い周回させるとともに周回後の弾性表面波を検知し、検知した弾性表面波に対応した電気信号を発生させる弾性表面波・励起/検知手段と、を有する球状弾性表面波素子を備えており;
球状弾性表面波素子は、基体の円環状の領域の延出方向に沿い周回させている弾性表面波を、気体分離流路において気体成分に順次接触させ、接触した気体成分の種類と濃度に応じた弾性表面波の変化を電気信号の変化として検出する、
ことを特徴としている。
このような気体分離流路を含む本体及び球状弾性表面波素子の夫々は簡易な構成であって安価に提供することが出来、しかも気体成分分析手段として使用される球状弾性表面波素子は本体の気体分離流路中の所定の位置に容易に配置させることが出来る。即ち、気体分離流路を含む基体及び球状弾性表面波素子の組み合わせは、前述した従来の気体成分分離管と分析手段との組み合わせに比べ、操作性及び携帯性が遥かに向上している。気体成分分析手段として使用される球状弾性表面波素子は、前述した従来の分析手段と比べ遥かに小型であって流路内に設置可能で、さらに短時間で高精度に種々の気体成分の量の分析を行うことが出来る。球状弾性表面波素子によりなる検出器を気体分離流路内部に形成することは検出器の温度を追加の温度制御手段を用いることなく気体分離流路と同じに保ち、結果として計測が高精度化する。
球状弾性表面波素子の表面において弾性表面波が励起され伝搬可能な円環状の領域に気体成分の種類に応じて異なる特性で感応する感応膜を形成することにより所定の気体成分を高感度に検出することが出来るし、形成する感応膜の種類を変えたり、複数種類の感応膜の応答を主成分分析法などを使って総合的に分析することで特定の気体成分を高感度に検出できる。
1つの球状弾性表面波素子の表面には上述した如き円環状の領域が複数設定可能である。従って、複数の円環状の領域の夫々に相互に異なる感応膜を形成することが出来る。また、複数の球状弾性表面波素子の夫々の表面の円環状の領域に複数の球状弾性表面波素子の相互間で相互に異なる感応膜を形成し、このような複数の球状弾性表面波素子を組み合わせて使用することも出来る。
また本体の気体分離流路において球状弾性表面波素子の下流に分岐弁とともに分岐路を設け、球状弾性表面波素子の検出結果に従って所定の気体成分を分岐路に流すことにより所定の気体成分の分取が可能である。分岐路に更なる球状弾性表面波素子を設ければ、分岐路に流れる所定の気体成分の分析をさらに行うことが出来る。
図1は、この発明の第1実施形態に従った気体分析装置の概略的な平面図であって、ここにおいて気体分離流路を含む本体が気体分離流路を良好に示すために紙面に沿い断面にされている。 図2の(A),(B),(C),そして(D)は、図1の気体分析装置の気体分離流路を含む本体の製造工程の複数の段階を概略的に示す縦断面図である。 図3は、図1の気体分析装置の球状弾性表面波素子の概略的な斜視図である。 図4は、図1中に図示されているこの発明の第1実施形態に従った気体分析装置の変形例において使用されている球状弾性表面波素子を拡大して概略的に示す正面図である。 図5は、図1中に図示されているこの発明の第1実施形態に従った気体分析装置の変形例において使用されている本体の気体分離流路の所定位置に図4の球状弾性表面波素子が配置される工程を拡大して概略的に示す縦断面図である。 図6は、図1中に図示されているこの発明の第1実施形態に従った気体分析装置の変形例の要部を拡大して概略的に示す縦断面図である。 図7は、この発明の第2実施形態に従った気体分析装置の概略的な平面図であって、ここにおいて気体分離流路を含む本体が気体分離流路を良好に示すために紙面に沿い断面にされている。 図8は、図7のこの発明の第2実施形態に従った気体分析装置において本体の気体分離流路の中心部及び上記中心部の所定の位置に配置されている球状弾性表面波素子とアンテナ手段を拡大して概略的に示す縦断面図である。 図9の(A)は、この発明の第2実施形態の変形例に従った気体分析装置において、気体分離流路を含む本体の外表面に気体分離流路の所定の位置の球状弾性表面波素子に対向して形成されたコイル状のアンテナパターンを含む外部アンテナ手段を概略的に示す平面図であり;そして、 図9の(B)は、この発明の第2実施形態の変形例に従った気体分析装置において、本体の気体分離流路の内表面に所定の位置の球状弾性表面波素子に対応して形成されたコイル状のアンテナパターンを含むアンテナ手段を概略的に示す平面図である。 図10は、図9の(A)及び(B)中に示されている本体の外表面及び気体分離流路の内表面に気体分離流路の所定の位置の球状弾性表面波素子に対応して形成されたコイル状のアンテナパターンの外部アンテナ手段及びアンテナ手段と気体分離流路の所定の位置の球状弾性表面波素子との相対位置を拡大して概略的に示す縦断面である。 図11は、この発明の第3実施形態に従った気体分析装置の製造工程の一部を示す平面図であって、ここにおいて気体分離流路を含む本体の気体分離流路にアンテナ部材を伴った球状弾性表面波素子を挿入してから気体分離流路中の所定位置にアンテナ部材を伴った球状弾性表面波素子が配置されるまでを良好に示す為に上記本体が紙面に沿い断面にされている。 図12は、図11のこの発明の第3実施形態に従った気体分析装置において本体の気体分離流路の出口近傍及び上記出口近傍の所定の位置に配置されているアンテナ部材を伴った球状弾性表面波素子を拡大して概略的に示す縦断面図である。 図13は、この発明の第4実施形態に従った気体分析装置において使用される球状弾性表面波素子を拡大して概略的に示す正面図である。 図14は、この発明の第4実施形態に従った気体分析装置の球状弾性表面波素子が本体の気体分離流路の所定の位置に配置されている状態を拡大して概略的に示す縦断面図である。 図15は、この発明の第5実施形態に従った気体分析装置の概略的な平面図であり、ここにおいて気体分離流路を含む本体は構成を明確化する為に水平断面にされている。 図16の(A)及び(B)は、平面寸法をより小さくする為に長い気体分離流路を多層にした本体を備えたこの発明の第6実施形態に従った気体分析装置の製造工程を示す概略的な縦断面図である。 図17は、平面寸法をより小さくする為に3つの気体分離流路を多層にした本体を備えたこの発明の第7実施形態に従った気体分析装置を示す概略的な縦断面図である。
[第1実施形態]
最初に、図1乃至図3を参照しながら、この発明の第1実施形態に従った気体分析装置10について説明する。
気体分析装置10は:気体流入口と気体排出口とを有していて気体の種類(気体成分)に応じて異なる保持時間を発揮する従来公知の薬剤がその細長い内表面に塗布されているか、又は上記薬剤を含有或いは上記薬剤が塗布されている多数のビーズを保持している気体分離流路12aを含む本体12と;本体12の気体分離流路12a中の所定の位置に配置された球状弾性表面波素子14と;を備えている。
現在では、1mm以下の横断面積を有した気体分離流路を、シリコン等の平面基板にフォトリソグラフィー技術を使用して微細加工(マイクロマシニング)することが可能である。あるいは薄い金属板をエッチング加工により溝を形成し、後に一面を別の金属板で加熱溶接してふさぐ事により気体分離流路を形成する事も可能である。
詳細には、本体12は平坦な板形状をしていて、本体12の2つの平面の間に気体の流動可能な流路をもち、1つの螺旋形状の気体分離流路12aが形成されている。気体分離流路12aの気体流入口と気体流出口とは本体12の薄い側面の相互に異なる位置に開口している。
この実施形態に従った本体12は、図2の(A)乃至(D)に概略的に図示されている製造工程により製造されている。この製造工程では、最初に図2の(A)中に図示されている如く、例えば厚さ0.5mmのパイレックスガラス(登録商標)の如き耐熱強化ガラス製の所定の寸法の第1表面板材12bの平面にシリコンウェファー12cが接合された第1本体部材が準備される。この接合は例えば陽極接合により行なわれる。次に、図2の(B)中に図示されている如く、第1本体部材のシリコンウェファー12cにおいて第1表面板材12bとは反対側の平面(外側平面)に図1中では螺旋形状に示されている気体分離流路12aの所望の形状の延出パターンに対応した感光性樹脂のレジストパターン12dが付着される。さらに、このレジストパターン12dを介してシリコンウェファー12cの上述した反対側の平面(外側平面)をエッチング処理することにより図2の(C)中に図示されている如くシリコンウェファー12cの上述した反対側の平面(外側平面)に気体分離流路12aを形成する。なお、上記エッチング処理には、例えばDRIE(Deep Reactive Ion Etching)と呼ばれているエッチング技術が使用される。最後に、レジストパターン12dが取り除かれた後に、図2の(D)中に図示されている如く、第1表面板材12bと同じ第2表面板材12eがシリコンウェファー12cの上述した反対側の平面(外側平面)に接合により固定され、上述した反対側の平面(外側平面)における気体分離流路12aの平面開口を閉塞する。シリコンウェファー12cの上述した反対側の平面(外側平面)に対する第2表面板材12eの接合も陽極接合により行なわれる。第2表面板材12eは、前述した第1本体部材(第1表面板材12bとシリコンウェファー12cとの組み合わせ)と協働して本体12を構成する第2本体部材を構成している。
図2の(A)乃至(D)を参照しながら前述した如く本体12を製造する方法は、いわゆるマイクロマシニングと呼ばれている微細加工技術として知られており、気体分離流路12aを含む本体12を数センチ角の寸法で精密に製造することが出来る。
球状弾性表面波素子14の構造は図3中に概略的に図示されていて、球形状の一部で構成され球形状の最大径の外周円16aを含んでおり弾性表面波SAWが励起可能であり励起された弾性表面波SAWを伝搬可能な円環状の領域16bを有している基体16と、基体16の円環状の領域16bに弾性表面波SAWを励起させ励起した弾性表面波SAWを円環状の領域16bの延出方向に沿い周回させるとともに周回後の弾性表面波16bを検知し検知した弾性表面波SAWに対応した電気信号を発生させる弾性表面波・励起/検知手段18と、を含んでいる。
基体16は、例えば水晶やランガサイトやニオブ酸リチウム(LiNbO3)やタンタル酸リチウム(LiTaO3)などの圧電性結晶材料により形成することが出来、この実施形態では最も安価に入手可能な水晶が使用されている。本実施例で使用する圧電性結晶材料の直径は気体分離流路の他の部分と比較して大きなスペースを取ることは加工プロセスを複雑化したり気体の流動を変化させることから望ましくなく、できれば1mm以下であることが望まれ、より望ましくは0.8mm以下である。
圧電性結晶材料により球形状の基体16を形成する場合、圧電性結晶材料の所定の結晶軸、例えばZ軸、を法線とする平面と上記の球形状基体との交点によりなる外周線に沿い所定の条件で弾性表面波SAWを励起させ伝搬させると弾性表面波SAWを上記線に沿い上記線に対し直交する方向に拡散させることなく繰り返し周回させることが出来ることが分かっている。この時の上記線が最大径の外周円16aであり、上記線の両側で弾性表面波SAWが上記所定の条件で伝搬する範囲が円環状の領域16bとなる。
なお、圧電性結晶材料により球形状の基体16を形成する場合、基体16の外表面に形成可能な最大径の外周円16a、即ち円環状の領域16b、の数は複数設定可能であり、設定可能な数は圧電性結晶材料の種類により決まる。
以下の説明では、話を分かり易くする為に、1つの円環状の領域16bを使用することについて記載する。
上述した所定の条件は、例えば国際公開WO 01/45255 A1 号公報から知られており、最大径の外周円16aの半径,弾性表面波・励起/検知手段18により励起される弾性表面波SAWの周波数,そして最大径の外周円16aを中心としてその両側にわたる弾性表面波SAWの幅により決められる。
基体16の円環状の領域16bに励起され円環状の領域16bの延出方向に沿い伝搬し周回する弾性表面波SAWは、それが接触した環境、即ち円環状の領域16bが接触した環境、が変わると伝搬速度や強度の減衰率に変化を生じ、この変化は周回数が増えるほど大きくなる。即ち、多くの周回数が可能になればなるほど、環境の僅かな変化を検出することが出来、環境の変化の高精度な検出が可能になる。
このことは、球状弾性表面波素子14を環境の変化を検出する為の検出器として使用する場合には、基体16において弾性表面波SAWが伝搬し周回する円環状の領域16bには球状弾性表面波素子14により検出する対象物以外の物体は接触できないようにする必要がある。逆に、基体16において弾性表面波SAWを伝搬可能な円環状の領域16b以外の領域、即ち円環状の領域16bの両側、に上記物体を接触させても円環状の領域16bを周回する弾性表面波SAWには何等の影響も与えない。つまり、マイクロマシン技術によって製作するような微細流路内に含ませる事が可能である。
従って、基体16は円環状の領域16b以外の領域、即ち円環状の領域16bの両側、において他の物体に支持される。また、基体16は円環状の領域16b以外の領域、即ち円環状の領域16bの両側、はいかなる形状であっても良く、例えば円環状の領域16bの両側を相互に平行に整形した円盤形状とすることが出来る。
平面部材の微細加工によって製作した気体分離流路の断面は一般に円形ではなく平面部材の厚さ方向に長い辺を持つ長方形であり、円盤形状の球状弾性表面波素子は上記長方形の断面形状により即している。従来の平面型弾性表面波素子を上記の気体分離流路に挿入しても、大きな反射器を二つ持っているために大きな空間を流路上に用意しなくてはならず、結果的に性能向上に繋がりにくい。つまり、平面部材をつかって製作した気体分離流路に導入して、高い性能を発揮できるのは球状弾性表面波素子であり、球状弾性表面波素子は円盤形状とすればよりその利点は大きくなる。
この実施形態において弾性表面波・励起/検知手段18は、基体16の円環状の領域16bにおいて最大径の外周円16a上に形成されたすだれ状電極により提供されている。すだれ状電極は公知のフォトリソグラフィー法により基体16の円環状の領域16bの所望の位置に所望の寸法で容易に形成することが出来る。
すだれ状電極が形成されている基体16の表面の弾性物性とすだれ状電極の複数の電極枝が相互に配列されている間隔がすだれ状電極により円環状の領域16bの所望の位置に励起される弾性表面波SAWの周波数を決定し、すだれ状電極の複数の電極枝が相互に対面している部分の長さがすだれ状電極により円環状の領域16bに励起される弾性表面波SAWの幅になる。この実施形態においてすだれ状電極の中心は最大径の外周円16a上に置かれ複数の電極枝は最大径の外周円16aと直交している。
なお近年では、弾性表面波が最大径の外周円16aに沿い実際に周回する経路は外周円16aに対し僅かに蛇行しており、すだれ状電極は実際の蛇行した周回経路上に位置していれば必ずしも最大外周線上にすだれ状電極の中心が無くても良い事がわかっているが、これらの蛇行は僅かである。
また、この実施形態のすだれ状電極は弾性表面波の励起と検出を行うが、弾性表面波の励起と検出を互いに異なるすだれ状電極によって行なうことも出来るし、個々のすだれ状電極の外部接続端子は2本を含むそれ以上の場合もある。
すだれ状電極の一対の外部接続端子18a,18bは基体16の円環状の領域16bの両側に延びていて、球形状の基体16を地球に見立て最大径の外周円16aを上記地球の赤道と仮定したときの、両極に相当する部位に比較的大きな面積の外部接続部位を有している。
この実施形態において球状弾性表面波素子14は本体12の気体分離流路12aの気体流出口近傍の流路内に配置されている。
本体12の気体分離流路12aの気体流出口近傍の横断面の幅は、気体分離流路12aの上記気体流出口近傍を除く領域の横断面の幅よりも大きく、さらに球状弾性表面波素子14の球形状の基体16の最大径の外周円16aの直径よりも大きく設定されていて、しかも気体分離流路12a中を上記気体流出口近傍まで流れてきた気体が上記気体流出口近傍に滞留しないよう形作られている。気体分離流路12aの上記気体流出口近傍を規定している内表面において相互に対向した一対の部分には、図2中に図示されていた本体12の製造工程において第1本体部材のシリコンウェファー12cに形成された気体分離流路12aの平面開口が第2表面板材12eにより覆われる前に、一対の外部延出配線20a,20bが形成されている。一対の外部延出配線20a,20bは、本体12において気体分離流路12aが形成されているシリコンウェファー12cの薄い側面における気体流出口の周辺まで延出している。
気体分離流路12aの内表面に気体の種類(気体成分)に応じて異なる保持時間を発揮する従来公知の薬剤が塗布される場合には、図2中に図示されていた本体12の製造工程において第1本体部材のシリコンウェファー12cに形成された気体分離流路12aの平面開口が第2表面板材12eにより覆われた後に薬剤を含んだ薬液を気体流入口より注入することにより上記塗布が行われる。
特に、弾性表面波素子14の外表面の円環状の領域16bに感応膜が形成されている場合は、薬液が気体分離路12a中の球状弾性表面波素子の位置に到達する前までで注入を止め薬液を再び気体流入口から排出することで、感応膜や弾性表面波素子の特性に影響が及びことを防ぐことが出来る。気体分離路12a中のどの位置まで薬液が注入されているかは、例えば注入した薬液の量を計測することによって可能であるし、或いは超音波探傷装置を使って表面板材の外部から観測することも可能である。
感応膜は、例えば、所定の気体成分をその表面に吸着させることにより増加したその質量に応じて、円環状の表面領域16bに沿い伝搬する弾性表面波SAWの伝搬速度を遅くさせても良いし、或いは、所定の気体成分を感応膜内に吸蔵し、その吸蔵量に応じてその感応膜の機械的堅さを変化させることにより、円環状の表面領域16bを伝搬する弾性表面波SAWの伝搬速度や減衰率を変化させても良い。更には、所定の気体成分と反応することにより反応した所定の気体成分の量に応じて吸熱或いは発熱反応を起こし、吸熱或いは発熱反応の量に応じて、円環状の表面領域16bを伝搬する弾性表面波SAWの伝搬速度を変化させても良い。感応膜は、可逆的に反応する材料であることが必要である。
例えば、この様な感応膜として、水素(H)を吸蔵し水素化物を形成して機械的性質が変化するパラジウム(Pd)、アンモニア(NH)に対する吸着性が高いプラチナ(Pt)、水素化物を吸着する酸化タングステン(WO)、一酸化炭素(CO),二酸化炭素(CO),二酸化硫黄(SO),二酸化窒素(NO)等を選択的に吸着するフタロシアニン(Phthalocyanine)等が知られている。
気体分離流路12aの気体流出口近傍の一対の外部延出配線20a,20bの内端部には、図2中に図示されていた本体12の製造工程において第1本体部材のシリコンウェファー12cに形成された気体分離流路12aの平面開口が第2表面板材12eにより覆われる前に、気体分離流路12aの気体流出口近傍に挿入された球状弾性表面波素子14の弾性表面波・励起/検知手段18のすだれ状電極の一対の外部接続端子18a,18bの外部接続部位が電気的及び機械的に接続されている。このような電気的及び機械的な接続は、例えば、すだれ状電極の一対の外部接続端子18a,18bの外部接続部位及び気体流出口近傍の一対の外部延出配線20a,20bの材料の弾性を利用した圧接や、半田や導電性接着剤などの公知の電気的・機械的接続手段により行なわれる。
気体分離流路12aの気体流出口近傍にこのように配置された球状弾性表面波素子14の基体16の円環状の領域16bは、弾性表面波・励起/検知手段18とともに、気体分離流路12aの内表面に接触しない。
この後、図2中に図示されていた本体12の製造工程において第1本体部材のシリコンウェファー12cに形成された気体分離流路12aの平面開口が第2表面板材12eにより覆われる(図2の(D)参照)。
気体分離流路12aの内表面に気体流出口近傍を除き前述した如く気体の種類(気体成分)に応じて異なる保持時間を発揮する従来公知の薬剤が塗布される代わりに、上記薬剤を含有或いは上記薬剤が塗布されている多数のビーズを気体分離流路12aに保持させる場合には、図2中に図示されていた本体12の製造工程において第1本体部材のシリコンウェファー12cに形成された気体分離流路12aの平面開口が第2表面板材12eにより覆われた(図2の(D)参照)後に気体分離流路12aの気体流入口を介し上記ビーズが気体分離流路12a中に供給される。この結果、上述した多数のビーズが気体分離流路12a中において気体流出口近傍の球状弾性表面波素子14から気体流入口までの間に保持される。
一対の外部延出配線20a,20bの外端部の一方は接地され、他方は高周波信号・発信/受信手段22に接続されていて、高周波信号・発信/受信手段22にはさらに制御/分析手段24が接続されている。制御/分析手段24は高周波信号・発信/受信手段22の動作を制御し、所望のタイミングで高周波信号・発信/受信手段22により球状弾性表面波素子14の弾性表面波・励起/検知手段18に所定の高周波信号を適用させて弾性表面波・励起/検知手段18により基体16の円環状の領域16bに円環状の領域16bの延出方向に沿い所定の弾性表面波SAWを励起させるとともに伝搬させ、さらに基体16の円環状の領域16bを周回し受信した弾性表面波SAWに対応して弾性表面波・励起/検知手段18が発生した高周波信号を受信し分析する。
なお、上記薬剤を含有或いは上記薬剤が塗布されている多数のビーズを気体分離流路12aに保持させた場合には、球状弾性表面波素子14に隣接した上記ビーズが球状弾性表面波素子14の基体16の円環状の領域16bや弾性表面波・励起/検知手段18に接触する可能性があり、それを防ぐ為の障壁を気体分離流路に作る事ができるし、あるいは障壁に相当する部材を球状弾性表面波素子に固定して持たせる事が出来る。しかし、上記接触点の面積は円環状の領域16bの全体の面積はもちろんのこと弾性表面波・励起/検知手段18の全体の面積に比べると小さく、しかも一定しているので、弾性表面波・励起/検知手段18が基体16の円環状の領域16bに励起させ伝搬させた弾性表面波に対する影響は微小である。
前述した分析は、受信した高周波信号の強度や速度の変化であることが出来、速度の変化は受信した高周波信号の位相の変化によって知ることが出来る。ここで高周波信号の位相とは、所定の時刻における円環状の領域16b上の所定の高周波信号の位置であり、所定の高周波信号を弾性表面波・励起/検知手段18に適用させて円環状の領域16b上に所定の弾性表面波を励起させた時点から円環状の領域16b上を所定の周回数周回してきた上記所定の弾性表面波を弾性表面波・励起/検知手段18が受信するまでの時間を計測すれば、上述した如く所定の弾性表面波を励起させた時点から所定の時間が経過した時点での円環状の領域16b上における上記所定の弾性表面波の位置(位相)は、例えばフーリエ解析やクアドラチャ検波やウエーブレット変換などを使用して容易に求めることが出来る。これらの求め方は公知であり説明を要しない。
気体分離流路12aの気体流入口には、キャリアガス供給源26が接続されていて、上記気体流入口とキャリアガス供給源26との間には、この気体分析装置10において分析しようとする種々の気体成分を含む気体試料をキャリアガス供給源26から気体分離流路12aの気体流入口に向かい流されるキャリアガス中に注入する為の試料注入手段28が接続されている。ここにおいてキャリアガスは、気体分離流路12aの内表面や上記内表面に塗布された前述した薬剤或いは気体分離流路12aに保持された多数の前述したビーズを変質させたりキャリアガス中に注入される試料中の種々の気体成分を変質させたり気体分離流路12aの出口近傍に配置される球状弾性表面波素子14の基体16や弾性表面波・励起/検知手段18を変質させたり上記出口近傍の一対の外部延出配線20a,20bを変質させることがないものが選択される。
試料注入手段28は制御/分析手段24に電気接続されていて、試料注入開始を制御/分析手段24に知らせるか、あるいは試料注入手段28は制御/分析手段24の指示に従って注入を行う。
次にこのように構成されたこの発明の第1実施形態に従った気体分析装置10の動作について説明する。
キャリアガス供給源26から気体分離流路12aの気体流入口にキャリアガスを所定の速度で供給している間に試料注入手段28はこの気体分析装置10において分析しようとする気体成分を含む気体試料を注入する。
気体試料の気体成分は、気体分離流路12a中を流れる間に気体分離流路12aの内表面の薬剤或いは前述したビーズに保持されている薬剤に対する吸着や離脱反応の違いからキャリアガスの流れの方向に種々の気体成分が相互に分離され、結果的に気体分離流路12aを通過するために必要な時間(保持時間)が異なる。
種々の気体成分が予め判っていれば、種々の気体成分が気体分離流路12aの気体流入口から気体流出口まで到達する概略の時間が予めわかる。
制御/分析手段24は、試料注入手段28からの試料注入開始を示す信号を受信した時に、或いは試料注入手段28に試料注入開始を指示すると共に、球状弾性表面波素子14を動作させるよう高周波信号・発信/受信手段22を動作させ、基体16の円環状の領域16bの延出方向に沿い周回させている弾性表面波SAWを励起してその出力の変化を連続的に解析し始める。気体分離流路12a中を流れるキャリアガス中の相互に分離された気体成分は気体成分の種類に応じた時刻で球状弾性表面波素子に到着し、気体成分の種類と濃度に応じた弾性表面波SAWの変化を対応する高周波電気信号の強度や速度(位相)の変化として検出させる。
制御/分析手段24は、球状弾性表面波素子14から高周波信号・発信/受信手段22を介して順次送られてきた高周波電気信号の強度(減衰率)や速度(位相)の変化を基に、気体分離流路12aの気体流出口近傍で基体16の円環状の領域16bの延出方向に沿い周回している弾性表面波SAWに順次接触した気体成分の夫々の濃度を分析する。
制御/分析手段24は、分析結果を表示する図示しない公知の表示手段を含んでいることが出来るとともに分析結果を記録する図示しない公知の記録手段を含んでいることが出来る。
前述した如く球状弾性表面波素子14の基体16の外表面には円環状の領域16bを複数設定可能であるので、複数の円環状の領域16bの夫々に相互に異なる感応膜を形成するとともに複数の円環状の領域16bの夫々に弾性表面波・励起/検知手段18を設けることが出来る。その場合には、気体分離流路12aの気体流出口近傍に複数の弾性表面波・励起/検知手段18の夫々の為の複数の外部延出配線が当然必要になる。
また、気体分離流路12aの気体流出口近傍に、夫々の外表面の円環状の領域に相互間で相互に異なる感応膜が設けられている複数の球状弾性表面波素子14を配置することも出来る。
[第1実施形態の変形例]
次に、添付の図面中の図4乃至図6を参照しながら、図1乃至図3中に図示されているこの発明の第1実施形態に従った気体分析装置10の変形例を説明する。
変形例の気体分析装置10´が図1乃至図3を参照しながら前述したこの発明の第1実施形態に従った気体分析装置10と異なっているのは、球状弾性表面波素子14´の弾性表面波・励起/検知手段18´の構成と、本体12´の気体分離流路12´aの気体流出口近傍において球状弾性表面波素子14´を配置するための構成である。
この変形例において、第1実施形態に従った気体分析装置10の構成部材と同じ構成部材には第1実施形態に従った気体分析装置10の対応する構成部材に付されていた参照符号と同じ参照符号を付して詳細な説明は省略する。
図4中に良く示されている如く、変形例の球状弾性表面波素子14´の弾性表面波・励起/検知手段18´のすだれ状電極の一対の外部接続端子18´a,18´bは、基体16の円環状の領域16bの一方の側の極に延出していて、上記一方の極に相互に独立した比較的大きな面積の外部接続部位を有している。
図5中に良く示されている如く、変形例の本体12´のシリコンウェファー12´cに形成された気体分離流路12´aの気体流出口はシリコンウェファー12´cの薄い側面に開口しておらず、シリコンウェファー12´cに形成された気体分離流路12´aの前述した平面開口において気体流出口となる部分に対応した第2表面板材12´eの部分に出口開口12´fが形成されていることにより提供されている。
変形例の本体12´において気体分離流路12´aの気体流出口に対向した第1表面板材12bの部分には、第2表面板材12´eがシリコンウェファー12´cの上述した外側平面に接合された後に、第2表面板材12´eの出口開口12´fを介して、球状弾性表面波素子14´の基体16において円環状の領域16bの他方の側の極を受け入れる凹所30aを伴った台座30が固定され、さらに台座30の凹所30aに球状弾性表面波素子14´の基体16において円環状の領域16bの他方の側の極が着座され公知の固定手段、例えば接着剤、により固定される。
その後、図6中に図示されている如く、第2表面板材12´eの出口開口12´fには、筒状の出口ノズル32の内端部が嵌合され公知の固定手段、例えば接着剤、により固定される。出口ノズル32は、例えばセラミックや合成樹脂の如き不導体により形成されていて、内孔32aにおいて周方向に相互に離間した2つの位置には内孔32aの内端から外端まで相互に独立して延出した一対の外部延出配線32b,32cが形成されている。
一対の外部延出配線32b,32cの内端は、台座30の凹所30aに着座されている球状弾性表面波素子14´の基体16における円環状の領域16bの一方の側の極の一対の外部接続端子18´a,18´bに押圧されて一対の外部接続端子18´a,18´bと電気的に接続されている。一対の外部延出配線32b,32cの外端の一方は接地されていて、他方は高周波信号・発信/受信手段22を介して制御/分析手段24に電気的に接続されている。
このように構成されている変形例の気体分析装置10´は、図1乃至図3を参照しながら前述したこの発明の第1実施形態に従った気体分析装置10と同様に動作する。
[第2実施形態]
次に、添付の図面中の図7及び図8を参照しながら、この発明の第2実施形態に従った気体分析装置40を説明する。
この実施形態に従った気体分析装置40が、図1乃至図3を参照しながら前述したこの発明の第1実施形態に従った気体分析装置10と異なっているのは、本体12´´の気体分離流路12´´aにおける球状弾性表面波素子14の配置位置及び上記配置位置への固定方法であるとともに、球状弾性表面波素子14の弾性表面波・励起/検知手段18の動作を制御する方法である。
この実施形態に従った気体分析装置40において使用されている球状弾性表面波素子14は前述したこの発明の第1実施形態に従った気体分析装置10において使用されている球状弾性表面波素子14と同じであり、この球状弾性表面波素子14が本体12´´の気体分離流路12´´aの気体流入口近傍領域と気体流出口近傍領域との間の中間領域中の所定の位置、この実施形態では略中央、に配置されている。
図7の気体流出口に、熱伝導度利用式検出器や水素炎利用式検出器や質量分析型検出器を装着することで気体分離流路12´´aに流された気体の種々の気体成分についてさらにより多くの情報を得る事が出来る。
本体12´´の気体分離流路12´´aの内表面の上記所定の位置において球状弾性表面波素子14の弾性表面波・励起/検出手段18のすだれ状電極の一対の外部接続端子18a,18bに対応した一対の相互に離間した部位には、図2中に図示されていた本体12の製造工程と同様な本体12´´の製造工程において第1本体部材のシリコンウェファー12´´cに形成された気体分離流路12´´aの平面開口が第2表面板材12´´eにより覆われる前に、アンテナ材料によりアンテナ手段42が形成されている。
本発明においてアンテナ手段とは、電磁波を受信し受信した電磁波に対応した高周波を発生したりあるいは高周波信号が供給されることにより高周波信号に応じて電磁波を放射するための導体による配線パターンあるいは部材をさす。
図8に示すように、一対のアンテナ手段42の相互に対向する所定の位置には、球状弾性表面波素子14の基体16の円環状の領域16bの両側の極が着座される凹所42aが形成されている。
図2中に図示されていた本体12の製造工程と同様な本体12´´の製造工程において第1本体部材のシリコンウェファー12´´cに形成された気体分離流路12´´aの平面開口が第2表面板材12´´eにより覆われる前に、気体分離流路12´´aの上記所定位置に球状弾性表面波素子14が配置される。この時に、一方のアンテナ手段42の凹所42aに球状弾性表面波素子14の基体16の円環状の領域16bの一方の極が着座され、上記一方の極に配置されている弾性表面波・励起/検出手段18のすだれ状電極の一対の外部接続端子18a,18bの一方が電気的及び機械的に接続される。このような電気的及び機械的な接続は、例えば導電性接着剤の如き公知の電気的機械的接続手段により行なわれる。
上記本体12´´の製造後に気体の種類(気体成分)に応じて異なる保持時間を発揮する従来公知の薬剤が溶液と共に気体分離流路12´´aの気体流入口から注入されて気体分離流路12´´aの内表面に塗布される。さらに気体分離流路12´´aの内表面に上記所定の位置よりも気体流入口側に前述した如く気体の種類(気体成分)に応じて異なる保持時間を発揮する従来公知の薬剤が塗布される代わりに、上記薬剤を含有或いは上記薬剤が塗布されている多数のビーズを気体分離流路12´´aに保持させる場合には、上述した如く気体分離流路12´´aの上記所定位置に球状弾性表面波素子14が配置された後に気体分離流路12´´aにおいて上記所定位置の球状弾性表面波素子14よりも気体流入口側に上記ビーズが供給される。この結果、上述した多数のビーズが、気体分離流路12a中において上記所定位置の球状弾性表面波素子14よりも気体流入口側に保持される。
次に、第1本体部材のシリコンウェファー12´´cに形成された気体分離流路12´´aの平面開口が第2表面板材12´´eにより覆われることにより、他方のアンテナ手段42の凹所42aに球状弾性表面波素子14の基体16の円環状の領域16bの他方の極が着座され、上記他方の極に配置されている弾性表面波・励起/検出手段18のすだれ状電極の一対の外部接続端子18a,18bの他方が電気的及び機械的に接続される。このような電気的及び機械的な接続も、例えば、すだれ状電極の一対の外部接続端子18a,18bの外部接続部位及び一対のアンテナ手段42の材料の弾性を利用した圧接や、導電性接着剤の如き公知の電気的機械的接続手段により行なわれる。
気体分離流路12´´aの上記所定位置にこのように配置された球状弾性表面波素子14の基体16の円環状の領域16bは弾性表面波・励起/検知手段18とともに気体分離流路12´´aの内表面に接触しない。
この実施形態の高周波信号・発信/受信手段22´は、本体12´´側の一対のアンテナ手段42と協働する制御/分析手段24´側の一対のアンテナ手段44を備えている。
この実施形態において、球状弾性表面波素子14の弾性表面波・励起/検知手段18と高周波信号・発信/受信手段22´とは、本体12´´側の一対のアンテナ手段42に制御/分析手段24´側の一対のアンテナ手段44を接近させることにより互いのアンテナ手段42,44は表面板材を介して非接触な状態でありながら電磁的に相互に接続される。
この状態で制御/分析手段24´は高周波信号・発信/受信手段22´の動作を制御し、所望のタイミングで高周波信号・発信/受信手段22´により電磁的に球状弾性表面波素子14の弾性表面波・励起/検知手段18に所定の高周波信号を適用させて弾性表面波・励起/検知手段18により基体16の円環状の領域16bに円環状の領域16bの延出方向に沿い所定の弾性表面波SAWを励起させるとともに伝搬させ、さらに基体16の円環状の領域16bを周回し受信した弾性表面波SAWに対応して弾性表面波・励起/検知手段18が発生した高周波信号を受信し分析する。
なお、上記薬剤を含有或いは上記薬剤が塗布されている多数のビーズを気体分離流路12´´aに保持させた場合には、球状弾性表面波素子14に隣接した上記ビーズが球状弾性表面波素子14の基体16の円環状の領域16bや弾性表面波・励起/検知手段18に接触する可能性があるが、上記接触点の面積は円環状の領域16bの全体の面積はもちろんのこと弾性表面波・励起/検知手段18の全体の面積に比べると遥かに小さく、しかも一定しているので、弾性表面波・励起/検知手段18が基体16の円環状の領域16bに励起させ伝搬させた弾性表面波に対する影響は微小である。
この間にキャリアガス供給源26からのキャリアガスとともに気体分離流路12´´a中に供給される試料注入手段28からの試料中の種々の気体成分は、気体分離流路12´´a中を流れる間に夫々の種類に応じてキャリアガスの流れの方向に流れる速度が異なることによって相互に分離され、気体分離流路12´´aの略中央の所定位置の球状弾性表面波素子14の円環状の領域16bを周回している弾性表面波SAWに順次接触させられる。接触した気体成分の種類や濃度に応じて弾性表面波SAWの強度やその減衰や速度が変化し、この変化は弾性表面波・励起/検知手段18により高周波信号の強度や速度(位相)の変化として球状弾性表面波素子14側の一対のアンテナ手段42から制御/分析手段24´側の一対のアンテナ手段44に電磁的に伝達され、さらには高周波信号・発信/受信手段22´を介して制御/分析手段24´に伝達され、制御/分析手段24´により弾性表面波SAWに順次接触した複数の気体成分の夫々の濃度が分析される。
制御/分析手段24´は、分析結果を表示する図示しない公知の表示手段を含んでいることが出来るとともに分析結果を記録する図示しない公知の記録手段を含んでいることが出来る。
このように構成されている第2実施形態の気体分析装置40は、図1乃至図3を参照しながら前述したこの発明の第1実施形態に従った気体分析装置10と同様に動作する。とはいうものの、第2実施形態の気体分析装置40では、球状弾性表面波素子14が本体12´´の気体分離流路12´´aの気体流入口近傍領域と気体流出口近傍領域との間の中間領域中の所定の位置、この実施形態では略中央、に配置されているので、気体分離流路12´´a中にキャリアガスとともに流される試料中の複数の気体成分の中には気体分離流路12´´aの上記略中央に到達した時点で分離が十分でない気体成分がある場合がある。
その場合には、図1や図5中に図示されている如く、気体分離流路12´´aの気体流出口近傍領域に追加の球状弾性表面波素子14を配置するとともに気体分離流路12´´aの内表面において上記所定の位置の球状弾性表面波素子14よりも気体流出口側に追加の前述した薬剤を塗布するか、又は前述したビーズを保持させることにより、気体分離流路12´´aの内表面において上記所定の位置の球状弾性表面波素子14よりも気体流出口側でさらに詳細な分離を行い、その後に上記追加の球状弾性表面波素子14により上述した如く追加で分離された気体成分についての前述した如き分析をすればよい。
また、この実施形態において図1乃至図3を参照しながら前述したこの発明の第1実施形態に従った気体分析装置10の球状弾性表面波素子14に代わり、図4乃至図6を参照しながら前述した第1実施形態の変形例において使用されている球状弾性表面波素子14´を使用することも出来る。この場合には、球状弾性表面波素子14´の基材16の外表面における前記円環状の領域16bの片側にのみすだれ状電極18´の2つの外部接続端子18´a,18´bが配置されているので、気体分離流路12´´aの内表面において球状弾性表面波素子14´の基材16の外表面の円環状の領域16bの片側のすだれ状電極18´の2つの外部接続端子18´a,18´bに対応した相互に離間した2つの位置に2つの外部接続端子18´a,18´bと電気的に接続される2つのアンテナ手段42が配置されることになる。
球状弾性表面波素子を電磁界によるアンテナ手段を介して動作させることで、気体分離流路の流入口あるいは排出口から離れた位置に検出器を設置できる。あるいは平面部材に電極取り出し用の貫通孔を形成する製造工程が必要なく低コストで検出器を内部に含んだ気体分離流路や本体を製造できる。
「第2実施形態の変形例」
図9の(A)及び(B)、そして図10を参照して、第2実施形態の変形例について説明する。
この変形例では、図1乃至図3を参照しながら前述したこの発明の第1実施形態に従った気体分析装置10の球状弾性表面波素子14に代わり、図4乃至図6を参照しながら前述した第1実施形態の変形例において使用されている球状弾性表面波素子14´を使用し、さらに、本体12´´の気体分離流路12´´aの所定の位置の球状弾性表面波素子14´の高周波信号発生/受信手段18´のすだれ状電極の2つの外部接続端子18´a,18´bと本体12´´の外部の高周波信号・発信/受信手段22´との間の高周波電気信号の電気的な結線を伴うことのない電磁気的な送受を行う為に、前述した第2実施形態において使用されている気体分離流路12´´aの内表面に気体分離流路12´´aの延出方向に延びて形成されている一対のアンテナ手段42と、この一対のアンテナ手段42と協働する本体12´´の外部の一対のアンテナ手段44との組み合わせとは異なっている磁界結合と呼ばれるコイルアンテナを用いた公知の無接触式電気信号送受信方法を使用している。
図9の(A)中には、本体12´´の第2表面板材12´´eの外表面において気体分離流路12´´a中の所定の位置に設けられる球状弾性表面波素子14´に対応した位置に形成されたコイル状のアンテナパターンを含む外部アンテナ手段45が図示されている。このような外部アンテナ手段45は、例えば上記外表面上の上記対応した位置へ例えばクロムと金の如き導体膜を蒸着により形成した後にフォトリソグラフィーによってパターン形成することにより得ることが出来る。
図9の(B)中には、上述した外部アンテナ手段45の形成方法と同様の作成方法で本体12´´の第2表面板材12´´eの内表面において気体分離流路12´´a中の所定の位置に設けられる球状弾性表面波素子14´に対応した位置に形成されたコイル状のアンテナパターンを含むアンテナ手段47が図示されている。以下ここでは、アンテナ手段47は、外部アンテナ手段45との区別を明確にする為に内部アンテナ手段47という。
図9の(A)及び(B)中に図示されている外部アンテナ手段45及び内部アンテナ手段47は、図2中に図示されていた本体12の製造工程と同様な本体12´´の製造工程において第1本体部材のシリコンウェファー12´´cに形成された気体分離流路12´´aの平面開口が第2表面板材12´´eにより覆われる前に、第2表面板材12´´eの外表面及び内表面の夫々の所定の位置に上述した如く形成される。
さらに、図10中に図示されている如く、第2表面板材12´´eの内表面の内部アンテナ手段47の一対の端子48に球状弾性表面波素子14´の基体16の一方の極の一対の外部接続端子18´a,18´bが電気的に接続されるとともに機械的に固定された後に、第1本体部材のシリコンウェファー12´´cに形成された気体分離流路12´´aの平面開口を覆うよう第2表面板材12´´eが第1本体部材のシリコンウェファー12´´cの外側平面に固定される。これにより、球状弾性表面波素子14´は本体12´´の気体分離流路12´´a中の所定の位置に設けられる。この変形例では、上述した電気的な接続及び機械的な固定は、例えば金バンプ49が使用されている。
その後、第2表面板材12´´eの外表面の外部アンテナ手段45の一対の端子46の一方は接地され、また他方は高周波信号発生/受信手段22´を介し制御/分析手段24´に接続されている。
[第3実施形態]
次に、添付の図面中の図11及び図12を参照しながら、この発明の第3実施形態に従った気体分析装置50を説明する。
この実施形態に従った気体分析装置50が、図1乃至図3を参照しながら前述したこの発明の第1実施形態に従った気体分析装置10と異なっているのは、本体12´´´の流路における所定の配置位置への球状弾性表面波素子14の配置方法及び上記配置位置への固定方法であるとともに、球状弾性表面波素子14の弾性表面波・励起/検知手段18の動作を制御する方法である。
この実施形態に従った気体分析装置50において使用されている球状弾性表面波素子14は前述したこの発明の第1実施形態に従った気体分析装置10において使用されている球状弾性表面波素子14と同じであるが、球状弾性表面波素子14において円環状の領域16bの両側に位置する一対の極に、即ち一対の極に位置する弾性表面波・励起/検出手段18のすだれ状電極の一対の外部接続端子18a,18bの比較的大きな面積の外部接続部位に、アンテナ材料のアンテナ手段が電気的及び機械的に接続されている。
詳細には、アンテナ手段は導体、好ましくは金属によりなるブロック状のアンテナ部材52により提供されていて、上述した電気的及び機械的な接続は例えば半田や導電性接着剤の如き公知の電気的機械的接続手段により行なわれている。ブロック状のアンテナ部材52はこの例では導電性部材で有るが、高周波信号の送受においてその効率を向上する為のコンデンサ機能部品を兼ねさせたり配線パターンを含ませることも可能であることは言うまでもない。
この実施形態に従った気体分析装置50において使用されている本体12´´´の気体分離流路12´´´aの内表面の径は気体流出口近傍領域の所定の位置以外は気体流入口から気体流出口まで同じであって、アンテナ部材52の外径及び球状弾性表面波素子14の基体16の外径は気体分離流路12´´´aの内表面の上記所定の位置以外の径よりも僅かに小さい。従って、アンテナ部材52が接続されている球状弾性表面波素子14は気体分離流路12´´´aが延出している方向を回転中心とする以外には回転できない。気体分離流路12´´´aの内表面の上記所定の位置には位置決め突起54が形成されている。
図2中に図示されている本体12の製造工程と同じ製造工程で本体12´´´が製造された後に、一対のアンテナ部材52を伴った球状弾性表面波素子14は、図11中に図示されている如く、本体12´´´の気体分離流路12´´´aの気体流入口に一方のアンテナ部材52を先頭に挿入される。続いて多数の充填剤(例えば、スチレン/ジビニルベンゼンビーズ)56を含んでいる溶液を充填剤充填装置51によって気体流入口に高圧で注入する。
一対のアンテナ部材52を伴った球状弾性表面波素子14は、上記溶液により気体分離流路12´´´aの気体流出口に向かい押し流され、気体分離流路12´´´aの気体流出口近傍領域の所定の位置の位置決め突起54に先頭の一方のアンテナ部材52が当接することにより気体分離流路12´´´aの出口近傍領域の所定の位置に配置される。その後に、充填剤充填装置51は、不活性ガスを上記気体流入口に供給することによって上記溶液のみを気体分離流路12´´´aの気体流出口から排出させ、気体分離流路12´´´aにおいて上記所定の位置の球状弾性表面波素子14の他方のアンテナ部材52から気体流入口までの間に多数の充填剤56を残す。
一対のアンテナ部材52の間の球状弾性表面波素子14の円環状の領域16bは、図12中に図示されている如く、一対のアンテナ部材52と球状弾性表面波素子14の基体16との組み合わせにおいて一対のアンテナ部材52と球状弾性表面波素子14の基体16とを貫く長手方向中心線に対し傾斜している。従って、一対のアンテナ部材52と球状弾性表面波素子14の基体16との組み合わせが、本体12´´´の気体分離流路12´´´a中に挿入された後には、一対のアンテナ部材52のいずれか一方が気体分離流路12´´´aの内表面に接触した場合はもちろんのこと、一対のアンテナ部材52の両方が気体分離流路12´´´aの内表面に接触した場合でも、球状弾性表面波素子14の基体16の円環状の領域16bは上記内表面に決して接触することがない。
気体分離流路12´´´aの所定位置への一対のアンテナ部材52と球状弾性表面波素子14の基体16との組み合わせの固定は、この組み合わせを気体分離流路12´´´a中に挿入した後に、前述した如く気体分離流路12´´´aの気体流入口から充填剤充填装置51により多数の充填剤(ビーズ)56を含む溶液を流し込み、図12中に図示されている如く、充填剤(ビーズ)56により一対のアンテナ部材52と球状弾性表面波素子14の基体16との組み合わせを気体分離流路12´´´aの所定位置の位置決め突起54に押圧させることにより実行することが出来る。
気体分離流路12´´´a中の充填剤(ビーズ)56は、図12中に図示されている如く、相互間に隙間を生じさせ、図1の第1実施例の如く気体分離流路12´´´aの気体流入口に接続されるキャリャガス供給源26からのキャリアガスの流れを阻害しないし、キャリアガスとともに試料注入手段28により気体分離流路12´´´aの気体流入口に供給される種々の気体成分を含む試料の流れも阻害しない。そして充填剤(ビーズ)56は、分離したい気体成分の種類に従ってことなる保持時間を発揮する薬剤を保持又は塗布されているが、気体分離流路12´´´aの内表面,一対のアンテナ部材52と球状弾性表面波素子14の基体16との組み合わせ,キャリアガス,そして上記試料に含まれている種々の気体成分を変質させない。
この実施形態の高周波信号・発信/受信手段22´´は、球状弾性表面波素子14側の一対のアンテナ部材52と協働する制御/分析手段24´´側の一対のアンテナ手段58を備えている。
この実施形態において、球状弾性表面波素子14の弾性表面波・励起/検知手段18と高周波信号・発信/受信手段22´´とは、球状弾性表面波素子14側の一対のアンテナ部材52に制御/分析手段24´´側の一対のアンテナ手段58を接近させることにより非接触な状態で電磁的に相互に接続される。
この状態で制御/分析手段24´´は高周波信号・発信/受信手段22´´の動作を制御し、所望のタイミングで高周波信号・発信/受信手段22´´により電磁的に球状弾性表面波素子14の弾性表面波・励起/検知手段18に所定の高周波信号を適用させて弾性表面波・励起/検知手段18により基体16の円環状の領域16bに円環状の領域16bの延出方向に沿い所定の弾性表面波SAWを励起させるとともに伝搬させ、さらに基体16の円環状の領域16bを周回し受信した弾性表面波SAWに対応して弾性表面波・励起/検知手段18が発生した高周波信号を受信し分析する。
この間に図示されていないキャリアガス供給源からのキャリアガスとともに気体分離流路12´´´a中に供給される図示されていない試料注入手段からの試料中の種々の気体成分は、気体分離流路12´´´a中の多数の充填剤(ビーズ)56の間を流れる間に夫々の種類に応じてキャリアガスの流れの方向に相互に分離され、気体分離流路12´´´aの気体流出口近傍領域の所定位置の球状弾性表面波素子14の円環状の領域16bを周回している弾性表面波SAWに順次接触させられる。接触した気体成分の種類や濃度に応じて弾性表面波SAWの強度(減衰率)や速度(位相)が変化し、この変化は弾性表面波・励起/検知手段18により高周波信号の強度(減衰率)や速度(位相)の変化として球状弾性表面波素子14側の一対のアンテナ部材52から制御/分析手段24´´側の一対のアンテナ手段58に電磁的に伝達され、さらには高周波信号・発信/受信手段22´´を介して制御/分析手段24´´に伝達され、制御/分析手段24´´により弾性表面波SAWに順次接触した複数の気体成分の夫々の濃度が分析される。
制御/分析手段24´´は、分析結果を表示する図示しない公知の表示手段を含んでいることが出来るとともに分析結果を記録する図示しない公知の記録手段を含んでいることが出来る。
なお、本実施例では一対のアンテナ部材52と球状弾性表面波素子14との組み合わせは、本体12′′′の製造工程において第1本体部材のシリコンウェファー12′′′cに形成された気体分離流路12´´´aの平面開口が第2表面板材12′′′eにより覆われたあとに気体分離流路12´´´aの気体流入口に挿入されたが、シリコンウェファー12′′′cに形成された気体分離流路12´´´aの平面開口が第2表面板材12′′′eにより覆われる前に一対のアンテナ部材52と球状弾性表面波素子14を気体分離流路12´´´a中の所定の位置に設置した後に上記平面開口を第2表面板材12′′′eにより覆っても良い事は当然である。
また、本実施例では一対のアンテナ部材52と球状弾性表面波素子14との組み合わせは、図2中に図示されている本体12の製造工程と同じ製造工程で本体12´´´が製造された後に、一対のアンテナ部材52を伴った球状弾性表面波素子14を、本体12´´´の気体分離流路12´´´aの気体流出口から一方のアンテナ部材52を先頭に挿入させることも出来る。
この場合には、気体分離流路12´´´aの気体流出口から一対のアンテナ部材52と球状弾性表面波素子14との組み合わせを挿入した後に気体分離流路12´´´aの気体流出口の出口又は気体分離流路12´´´a中において気体流出口近傍の所定位置に位置決め突起54を固定する。続いて多数の充填剤(例えば、スチレン/ジビニルベンゼンビーズ)56を含んでいる溶液を充填剤充填装置51によって気体流入口に高圧で注入し、さらに充填剤充填装置51は、不活性ガスを上記気体流入口に供給することによって上記溶液のみを気体分離流路12´´´aの気体流出口から排出させ、気体流出口又は気体分離流路12´´´aの気体流出口近傍の上記所定の位置の位置決め突起54により気体分離流路12´´´aの気体流出口近傍の上記所定の位置に位置決めされている球状弾性表面波素子14の内方のアンテナ部材52から気体流入口までの間に多数の充填剤56を残す。
気体分離流路12´´´aの気体流出口近傍の上記所定位置への一対のアンテナ部材52と球状弾性表面波素子14の基体16との組み合わせの固定は、充填剤(ビーズ)56により一対のアンテナ部材52と球状弾性表面波素子14の基体16との組み合わせを気体流出口又は気体分離流路12´´´aの気体流出口近傍の上記所定の位置の位置決め突起54に押圧させることにより実行することが出来る。
[第4実施形態]
次に、添付の図面中の図13及び図14を参照しながら、この発明の第4実施形態に従った気体分析装置60を説明する。
この実施形態に従った気体分析装置60が、図1乃至図3を参照しながら前述したこの発明の第1実施形態に従った気体分析装置10や図9及び図10を参照しながら前述した第2の実施形態の変形例の気体分析装置と異なっているのは、本体12の気体分離流路12aにおける球状弾性表面波素子14´´の固定方法であるとともに、アンテナ手段を球状弾性表面波素子14´´の基体16の表面に形成することであり、さらには球状弾性表面波素子14´´の弾性表面波・励起/検知手段18´´の動作を制御する方法である。
図13中に良く示されている如く、第4実施形態の球状弾性表面波素子14´´の弾性表面波・励起/検知手段18´´のすだれ状電極の一対の外部接続端子18´´a,18´´bは、基体16の円環状の領域16bの一方の側の極に延出していて、上記一方の極を中心にしたコイル状のアンテナパターンのアンテナ手段18´´cを構成している。なお、この際にコイル状のアンテナパターンのアンテナ手段18´´cと交差しなければならない一方の外部接続端子18´´bは、絶縁体18´´dにより覆われていて、コイル状のアンテナパターンのアンテナ手段18´´cとの電気的な接続が避けられている。
図14中に良く示されている如く、第4実施形態の本体12の構成は図1乃至図3を参照しながら前述した第1実施形態の本体12の構成と同じであり、気体分離流路12aの気体流出口近傍の所定の位置に球状弾性表面波素子14´´が配置されている。
詳細には、気体分離流路12aの上記気体流出口近傍を規定している内表面の上記所定の位置には、図2中に図示されていた本体12の製造工程において第1本体部材のシリコンウェファー12cに形成された気体分離流路12aの平面開口が第2表面板材12eにより覆われる前に、図14中に図示されている如く、球状弾性表面波素子14´´の基体16において円環状の領域16bの他方の側の極を受け入れる凹所62aを伴った台座62が固定され、さらに台座62の凹所62aに球状弾性表面波素子14´´の基体16において円環状の領域16bの他方の側の極が着座され公知の固定手段、例えば接着剤、により固定される。そしてその後、第1本体部材のシリコンウェファー12cに形成されたた気体分離流路12aの平面開口が第2表面板材12eにより覆われる。
気体分離流路12aの上記所定位置にこのように配置された球状弾性表面波素子14´´の基体16の円環状の領域16bは弾性表面波・励起/検知手段18とともに気体分離流路12aの内表面に接触しない。
この実施形態の高周波信号・発信/受信手段22´´´は、本体12の気体分離流路12aの上記所定位置に配置されている球状弾性表面波素子14´´のコイル状のアンテナパターンのアンテナ手段18´´cと協働する制御/分析手段24´´´側の一対のコイル状のアンテナパターンのアンテナ手段64を備えている。
この実施形態において、球状弾性表面波素子14´´の弾性表面波・励起/検知手段18と高周波信号・発信/受信手段22´´´とは、本体12側の球状弾性表面波素子14´´の弾性表面波・励起/検知手段18の一対の外部接続端子18´´a,18´´bのコイル状のアンテナパターンのアンテナ手段18´´cに制御/分析手段24´´´側のコイル状のアンテナパターンのアンテナ手段64を接近させることにより非接触な状態で電磁的に相互に接続される。
この状態で制御/分析手段24´´´は高周波信号・発信/受信手段22´´´の動作を制御し、所望のタイミングで高周波信号・発信/受信手段22´´´により電磁的に球状弾性表面波素子14´´の弾性表面波・励起/検知手段18´´に所定の高周波信号を適用させて弾性表面波・励起/検知手段18´´により基体16の円環状の領域16bに円環状の領域16bの延出方向に沿い所定の弾性表面波SAWを励起させるとともに伝搬させ、さらに基体16の円環状の領域16bを多重周回し受信した弾性表面波SAWに対応して弾性表面波・励起/検知手段18´´が発生した高周波信号を受信し分析する。
この間にキャリアガス供給源26からのキャリアガスとともに気体分離流路12a中に供給される試料注入手段28からの試料中の種々の気体成分は、気体分離流路12a中を流れる間に夫々の種類に応じてキャリアガスの流れの方向にその保持時間の違いによって相互に分離され、気体分離流路12aの気体流出口近傍領域の所定位置の球状弾性表面波素子14´´の円環状の領域16bを周回している弾性表面波SAWに順次接触させられる。接触した気体成分の種類や濃度に応じて弾性表面波SAWの強度(減衰率)や速度(位相)が変化し、この変化は弾性表面波・励起/検知手段18´´により高周波信号の強度(減衰率)や速度(位相)の変化としてコイル状のアンテナパターンのアンテナ手段18´´cから制御/分析手段24´´´側のコイル状のアンテナパターンのアンテナ手段64に電磁的に伝達され、さらには高周波信号・発信/受信手段22´´´を介して制御/分析手段24´´´に伝達され、制御/分析手段24´´´により弾性表面波SAWに順次接触した複数の気体成分の夫々の濃度が分析される。
球状弾性表面波素子14´´の基体16の外表面上にコイル状のアンテナパターンを形成する代わりに、図13及び図14中に図示されている第4実施形態に従った球状弾性表面波素子14´´の弾性表面波・励起/検知手段18´´のすだれ状電極の一対の外部接続端子18´´a,18´´bとは逆に、上記すだれ状電極の一対の外部接続端子18´´a,18´´bを基体16の円環状の領域16bの他方の極の側に延出させ、さらに台座62の表面において凹所62aの周囲にコイル状のアンテナパターンを形成し、球状弾性表面波素子14´´の基体16の他方の極の側を台座62の表面の凹所62aに着座させる時に上記他方の極の側のすだれ状電極の一対の外部接続端子18´´a,18´´bを上記コイル状のアンテナパターンに例えば金バンプ等の公知の電気的機械的接続手段を使用して電気的に接続するとともに機械的に固定することが出来る。
制御/分析手段24´´´は、分析結果を表示する図示しない公知の表示手段を含んでいることが出来るとともに分析結果を記録する図示しない公知の記録手段を含んでいることが出来る。
[第5実施形態]
次に、添付の図面中の図15を参照しながら、この発明の第5実施形態に従った気体分析装置70を説明する。
気体分析装置70は:種々の気体成分を含む気体が流され気体中の種々の気体成分を種類に応じて気体の流れの方向に相互に分離させる第1気体分離流路72aを含む本体72と;本体72の第1気体分離流路72a中の所定の位置に配置された第1球状弾性表面波素子74と;を備えている。公知の微細加工技術(マイクロマシニング)によりこのような第1気体分離流路72aの横断面積は一般に1mm以下にすることが出来、気体分析装置70の小型化とともに製造も容易になる。
詳細には、本体72は平坦な板形状をしていて、本体72の2つの平面の間に1つの螺旋形状の第1気体分離流路72aが形成されている。第1気体分離流路72aの気体流入口は本体12の薄い側面に開口しており、第1気体分離流路72aの気体流出口近傍領域に第1球状弾性表面波素子74が配置されている。
気体分析装置70の本体72はさらに、第1気体分離流路72aの下流で分岐弁76を介して複数に分岐しており、この実施形態では1つの排出流路78,第2気体分離流路72b,そして第3気体分離流路72cに分岐している。排出流路78,第2気体分離流路72b,そして第3気体分離流路72cの夫々の気体流出口は、本体12の薄い側面において相互に異なった位置に開口している。
第2気体分離流路72b及び第3気体分離流路72cの夫々は、その内表面に塗布される薬剤か或いはその内部に配置され薬剤が塗布又は充填された多数の充填剤と夫々に流される気体の種々の気体成分との相互作用により気体成分の種類によって異なった保持時間を発揮させる事が出来る。つまり、第1気体分離流路72aの内表面に塗布された薬剤か或いはその内部に配置され薬剤が塗布又は充填された多数の充填剤によって分離できなかった気体成分が、球状弾性表面波素子74からの出力を分析した制御/分析手段84の計測結果に基づいて分岐弁76が操作され、他の第2の気体分離流路72bあるいは第3の気体分離流路72cでようやく分離されて夫々の下流にある第2球状弾性表面波素子80aや第3球状弾性表面波素子80cで検出することが可能である。種類の違う気体成分に対して互いに異なる保持時間を発揮させる薬剤や充填材は、polyphenyl ether、cerebrosides、thermol-1、polyethylene glycol 1000、versamid 900、tricresyl phosphate、apiezon L、ethyl cellulose等の商品名で様々な材料が既に入手可能であり、分離しようとする気体成分の種類に合わせて用いる。
第2気体分離流路72b及び第3気体分離流路72cの夫々の所定位置、この実施形態では夫々の気体流出口近傍領域、には、第1気体分離流路72a中の第1球状弾性表面波素子74と同様の第2及び第3球状弾性表面波素子80a,80bが配置されている。
上述した如き、第1気体分離流路72a,排出流路78,第2気体分離流路72b,そして第3気体分離流路72cを含む本体72は、図2の(A)乃至(D)を参照しながら前述した第1実施形態の気体分離流路12aを含む板形状の本体12の製造方法と同様のいわゆるマイクロマシニングにより数センチ角の寸法で精密に製造することが出来る。
第1球状弾性表面波素子74,第2球状弾性表面波素子80a,そして第3球状弾性表面波素子80bの夫々は、本体12の外部から電磁的に動作が制御されるよう例えば図12中に図示されている球状弾性表面波素子14の如く一対のアンテナ部材52と組み合わされていたり、あるいは図9や図10中に図示されている如く気体分離流路12´´aの内表面に形成されているループ状のアンテナパターンのアンテナ手段47と組み合わされたり、あるいは図14中に図示されている球状弾性表面波素子14′′の弾性表面波・励起/検出手段18´´のすだれ状電極の一対の電極18´´a,18´´bの如く、夫々の図示されていない弾性表面波・励起/検出手段のすだれ状電極の一対の電極がコイル状アンテナパターンのアンテナ手段に構成されている。
第1球状弾性表面波素子74,第2球状弾性表面波素子80a,そして第3球状弾性表面波素子80bの夫々は、例えば図12中に図示されている球状弾性表面波素子14や図14中に図示されている球状弾性表面波素子14′′の如く本体72の製造工程の途中で第1気体分離流路72a,第2気体分離流路72b,そして第3気体分離流路72cの夫々の出口近傍領域の所定の位置に配置され固定される。
分岐弁76は、第1気体分離流路72aからの気体を排出流路78,第2気体分離流路72b,そして第3気体分離流路72cのいずれかに選択的に流すことが出来るよう構成されていて、しかも本体12の外部から電磁的に動作が制御されるよう構成されているが、このような分岐弁76はいわゆるマイクロマシニングと呼ばれている微小精密加工技術により本体72において第1気体分離流路72aの下流の所定位置に作り込むことが可能である。
第1気体分離流路72aの入口には、図1中に図示されていた第1実施形態の気体分析装置10において使用されていたのと同じキャリアガス供給源26及び試料注入手段28が接続されており、第1球状弾性表面波素子74,第2球状弾性表面波素子80a,そして第3球状弾性表面波素子80bの夫々は、本体72の外部の高周波信号・励起/検出手段82に電磁的に接続され、高周波信号・励起/検出手段82は制御/分析手段84に接続されている。制御/分析手段84にはさらに、分岐弁76も電磁的に接続されている。
次にこのように構成されたこの発明の第5実施形態に従った気体分析装置70の動作について説明する。
キャリアガス供給源26から第1気体分離流路72aの気体流入口に向かいキャリアガスを所定の速度で供給している間に試料注入手段28を介してこの気体分析装置70において分析しようとする種々の気体成分を含む試料を上記キャリアガス中に注入する。
このように、様々な気体成分を含んだ気体中の種々の気体成分を相互に分離して分析する際に、分離したい気体成分の種類に応じて異なる薬剤や薬剤が塗布されるか又は充填されている充填剤やあるいは長さの異なる気体分離流路を選択的に使用することで、様々な気体成分の分離に対応可能な気体分析装置を実現できる。さらに、第1の気体分離流路72aに組み合わされた第1の球状弾性表面波素子74を用いて分析した結果によって、第1の気体分離流路72aの下流の第2気体分離流路72bや第3気体分離流路72cに長く気体が残留して次の計測までに長い時間が必要になることを排気路78からの排気によって避ける事も可能になる。
このことは気体成分検知器として球状弾性表面波素子を使用することで初めて可能になる。気体成分検知器として従来の熱伝導度利用式検出器や水素炎利用式検知器を用いた場合には、気体成分検知器を本体72の気体分離流路中に配置する事は不可能だった。つまり、前記したように球状弾性表面波素子は、高周波を用いた電磁的な方法で非接触でも本体の外部からその動作を制御することが可能であるが、従来の熱伝導度利用式検出器や水素炎利用式検知器は加熱機構を有し分析すべき気体の温度を上昇させるので、その下流で追加の気体分析装置によりさらなる気体成分の分析を行う場合にその分析結果に温度上昇の影響をもたらし、一体に形成された本体内で相互に連通している複数の気体分離流路内に複数の気体成分検知器として複数の球状弾性表面波素子を使用するこの実施形態のように小型でしかも高精度な分析を可能にすることができない。
また、小型化するために必要な電力の供給が難しく、球状弾性表面波素子は高周波信号を使用するためにアンテナを使えば動作する事が出来るが、前述した従来の検知器では難しい。
従来の平面型の弾性表面波素子を用いることでも非接触での動作と計測が考えられるが、従来の平面型の弾性表面波素子はその内部に反射器をそなえる必要があることから大型で大きな気体分離流路を作る必要がありマイクロマシンニング技術を用いて対応する大型で大きな気体分流路を製造することは出来なくなる。さらに、従来の平面型の弾性表面波素子は基体が平面形状をしていて球体ではないために気体分離流路を通過する気体の流れを不規則に乱すという問題もあり、実装方法だけでなく、アンテナの形成も困難となる。
さらには、水素炎利用式検知器では分析する気体を燃焼してしまう為に、下流で異なる気体分離流路で分析することが出来ないために、複数の気体分離流路を一枚の本体中に機能的に接続して動作するものは実現出来ない。
以上説明するように、気体分離流路と検知器を一体に形成したり、あるいは複数の気体分離流路を本体に含ませる事は球状弾性表面波素子を使用して初めて可能になることである。また、電磁的な送受信を導入する事によってその性能を向上したり結線などの製造コストを抑制する利点がえられる。
なおこの制御/分析手段84も、分析結果を表示する図示しない公知の表示手段を含んでいることが出来るとともに分析結果を記録する図示しない公知の記録手段を含んでいることが出来る。
単一の基材の上に複数の弾性表面波の周回経路を有する場合には周回経路に応じて、あるいは複数の球状弾性表面波素子を用いる場合には異なる気体反応特性を持った感応膜を夫々の素子にもたせることができる。このような、気体の種類に応じて互いに異なる応答をする感応膜を用いて気体の分析を行う方法は匂いセンサなど公知の方法が採用できる。例えば3個の球状弾性表面波素子で構成されそのうち2個は互いに異なる感応膜を形成しており、3個の球状弾性表面波素子の応答に基づいて気体成分についての情報を制御/分析手段が得る事が出来る。この様に本発明においては球状弾性表面波素子は、その表面に複数の経路を持っていても良いし互いに異なる感応膜を持っていてもよく、さらには複数の素子によって構成してもこれを除くものではない。複数の素子を一箇所に使用したり複数種類の感応膜を使用することでより多くの気体成分に関する情報を得る事が出来る事は明らかである。
[第6実施形態]
次に、添付の図面中の図16を参照しながら、この発明の第6実施形態に従った気体分析装置120を説明する。
第6実施形態に従った気体分析装置120においては、種々の気体成分を含む気体が流され気体中の種々の気体成分を種類に応じて気体の流れの方向に相互に分離させる気体分離流路122aが本体122中に2層になって形成されている。
詳細には、本体122は、図2(A)乃至(D)を参照しながら前述した第1実施例の気体分析装置10の本体12と同様に、マイクロマシニングにより製造された第1本体ハーフ126を備えている。第1本体ハーフ126は、一対の耐熱強化ガラス製の所定の寸法の第1及び第2表面板材126a,126b間に挟まれたシリコンウェファー126cを含む。シリコンウェファー126cは第1表面板材126aに陽極接合された後に例えばDRIE(Deep Reactive Ion Etching)と呼ばれているエッチング技術により気体分離流路122aの後半分が形成され、第2表面板材126bはシリコンウェファー126cに対しシリコンウェファー126cの気体分離流路122aの平面開口を覆うように陽極接合されている。
気体分離流路122aの後半分の一端を気体分離流路122aの全体の出口として機能させる為に第1本体ハーフ126の第1表面板材126aにおいて気体分離流路122aの後半分の一端に対応する部分には出口開口が形成されていて、出口開口には出口ノズル126dが固定されている。
気体分離流路122aの後半分の他端は気体分離流路122aの全体の中間となり、第1本体ハーフ126の第2表面板材126bにおいて気体分離流路122aの後半分の他端に対応する部分には中間開口が形成されている。
中間開口には、電磁的に操作される球状弾性表面波素子128が格納される。
本体122はさらに、図2(A)乃至(D)を参照しながら前述した第1実施例の気体分析装置10の本体12と同様に、マイクロマシニングにより製造された第2本体ハーフ130を備えている。第2本体ハーフ130は、1枚の耐熱強化ガラス製の所定の寸法の第3表面板材130aの2つの平面の一方に陽極接合されたシリコンウェファー130bを含む。シリコンウェファー130bには第3表面板材130aに陽極接合された後に例えばDRIE(Deep Reactive Ion Etching)と呼ばれているエッチング技術により気体分離流路122aの前半分が形成される。第2本体ハーフ130のシリコンウェファー130bの平面開口は第2本体ハーフ130のシリコンウェファー130bが第1本体ハーフ126の第2表面板材126bに重複されることにより閉じられ、第2本体ハーフ130のシリコンウェファー130bは第1本体ハーフ126の第2表面板材126bに対し例えば陽極接合により接合される。
第2本体ハーフ130のシリコンウェファー130bの気体分離流路122aの前半分の一端を気体分離流路122aの全体の入口として機能させる為に第2本体ハーフ130の第3表面板材130aにおいて気体分離流路122aの前半分の一端に対応する部分には入口開口が形成されていて、入口開口には入口ノズル130cが固定されている。
気体分離流路122aの前半分の他端は気体分離流路122aの全体の中間となり、第1本体ハーフ126の第2表面板材126bにおいて気体分離流路122aの後半分の他端に対応する部分の中間開口に一致され、この中間開口に格納された球状弾性表面波素子128を覆っている。
入口ノズル130cには試料注入手段28及びキャリアガス供給源26が接続される。
キャリアガス供給源26からのキャリアガスとともに試料注入手段28からの種々の気体成分を含む試料が入口ノズル130cを介して本体122の気体分離流路122a中に流されると気体分離流路122a中において試料中の種々の気体成分が種類に応じてキャリアガス及び試料の流れの方向に相互に分離させる。
この実施形態において、球状弾性表面波素子128の基体16(図12参照)の円環状の領域16b上の弾性表面波・励起/検知手段18は、球状弾性表面波素子128に組み合わされている一対のアンテナ部材128aに高周波信号・発信/受信手段22´´の一対のアンテナ手段58を接近させることにより高周波信号・発信/受信手段22´´と非接触な状態で電磁的に相互に接続される。
この状態で制御/分析手段24´´は高周波信号・発信/受信手段22´´の動作を制御し、所望のタイミングで高周波信号・発信/受信手段22´´により電磁的に球状弾性表面波素子128の弾性表面波・励起/検知手段18に所定の高周波信号を適用させて弾性表面波・励起/検知手段18により基体16の円環状の領域16bに円環状の領域16bの延出方向に沿い所定の弾性表面波SAWを励起させるとともに伝搬させ、さらに基体16の円環状の領域16bを周回し受信した弾性表面波SAWに対応して弾性表面波・励起/検知手段18が発生した高周波信号を受信し分析する。
この間にキャリアガス供給源26からのキャリアガスとともに気体分離流路122a中に供給される試料注入手段28からの試料中の種々の気体成分は、気体分離流路122a中を流れる間に夫々の種類に応じてキャリアガスの流れの方向に相互に分離され、気体分離流路122aの中間位置の球状弾性表面波素子128の円環状の領域16bを周回している弾性表面波SAWに順次接触させられる。接触した気体成分の種類や濃度に応じて弾性表面波SAWの強度(減衰率)や速度(位相)が変化し、この変化は弾性表面波・励起/検知手段18により高周波信号に変換された後に球状弾性表面波素子128側の一対のアンテナ部材128aから制御/分析手段24´´側の一対のアンテナ手段58に電磁的に伝達され、さらには高周波信号・発信/受信手段22´´を介して制御/分析手段24´´に伝達され、制御/分析手段24´´により弾性表面波SAWに順次接触した複数の気体成分の夫々の濃度が分析される。
制御/分析手段24´´は、分析結果を表示する図示しない公知の表示手段を含んでいることが出来るとともに分析結果を記録する図示しない公知の記録手段を含んでいることが出来る。
[第7実施形態]
次に、添付の図面中の図17を参照しながら、この発明の第7実施形態に従った気体分析装置140を説明する。
第7実施形態に従った気体分析装置140においては、種々の気体成分を含む気体が流され気体中の種々の気体成分を種類に応じて気体の流れの方向に相互に分離させる第1乃至第3気体分離流路142a,142b,そして142cが本体142中に3層になって形成されている。
詳細には、本体142は、図2(A)乃至(D)を参照しながら前述した第1実施例の気体分析装置10の本体12と同様に、マイクロマシニングにより製造された第1本体ユニット144を備えている。第1本体ユニット144は、一対の耐熱強化ガラス製の所定の寸法の第1及び第2表面板材144a,144b間に挟まれたシリコンウェファー144cを含む。シリコンウェファー144cは第1表面板材144aに陽極接合された後に例えばDRIE(Deep Reactive Ion Etching)と呼ばれているエッチング技術により第3気体分離流路142cが形成され、第2表面板材144bはシリコンウェファー144cに対しシリコンウェファー144cの第3気体分離流路142cの平面開口を覆うように陽極接合されている。
第1表面板材144aにおいて第3気体分離流路142cの一端に対応する部分には出口開口が形成されていて、出口開口には出口ノズル145が固定されている。出口ノズル145は図6中に図示されている出口ノズル32と同じ構成であり、第3気体分離流路142cの一端に図6中に図示されている如く球状弾性表面波素子14´を固定している。
第3気体分離流路142cの他端は第3気体分離流路142cの入口となり、第1本体ユニット144の第2表面板材144bにおいて第3気体分離流路142cの入口に対応する部分には入口開口が形成されている。
本体142はさらに、図2(A)乃至(D)を参照しながら前述した第1実施例の気体分析装置10の本体12と同様に、マイクロマシニングにより製造された第2本体ユニット146を備えている。第2本体ユニット146は、1枚の耐熱強化ガラス製の所定の寸法の第3表面板材146aの2つの平面の一方に陽極接合されたシリコンウェファー146bを含む。シリコンウェファー146bには第3表面板材146aに陽極接合された後に例えばDRIE(Deep Reactive Ion Etching)と呼ばれているエッチング技術により第2気体分離流路142bが形成される。第2本体ユニット146のシリコンウェファー146bの平面開口は第2本体ユニット146のシリコンウェファー146bが第1本体ユニット144の第2表面板材144bに重複されることにより閉じられ、第2本体ユニット146のシリコンウェファー146bは第1本体ユニット144の第2表面板材144bに対し例えば陽極接合により接合される。
第2本体ユニット146のシリコンウェファー146bの幅の狭い外側面において第2気体分離流路142bの一端に対応する部分には出口開口が形成されていて、出口開口には出口ノズル148が固定されている。出口ノズル148は図6中に図示されている出口ノズル32と同じ構成であり、第2気体分離流路142bの一端に図6中に図示されている如く球状弾性表面波素子14´を固定している。
第2気体分離流路142cの他端は第2気体分離流路142bの入口となり、第2本体ユニット146の第3表面板材146aにおいて第2気体分離流路142bの入口に対応する部分には入口開口が形成されている。
本体142はさらに、図2(A)乃至(D)を参照しながら前述した第1実施例の気体分析装置10の本体12と同様に、マイクロマシニングにより製造された第3本体ユニット150を備えている。第3本体ユニット150は、1枚の耐熱強化ガラス製の所定の寸法の第4表面板材150aの2つの平面の一方に陽極接合されたシリコンウェファー150bを含む。シリコンウェファー150bには第4表面板材150aに陽極接合された後に例えばDRIE(Deep Reactive Ion Etching)と呼ばれているエッチング技術により第1気体分離流路142aが形成される。第1本体ユニット150のシリコンウェファー150bの平面開口は第1本体ユニット150のシリコンウェファー150bが第2本体ユニット146の第3表面板材146aに重複されることにより閉じられ、第3本体ユニット150のシリコンウェファー150bは第2本体ユニット146の第3表面板材146aに対し例えば陽極接合により接合される。
第3本体ユニット150の第4表面板材150aにおいて第1気体分離流路142aの一端に対応する部分には入口開口が形成されていて、入口開口には入口ノズル152が固定されている。入口ノズル152にはキャリアガス供給源26とともに試料注入手段28が接続されている。
第1気体分離流路142aの出口となる他端は、第2本体ユニット146の第3表面板材146aにおいて第2気体分離流路142bの入口に対応する部分に形成されている入口開口に連通している。第1気体分離流路142aの出口となる他端には、図12中に図示されている如き一対のアンテナ部材52と組み合わされた第1球状弾性表面波素子14が格納されている。
第2気体分離流路142bの入口には、三方弁160が収容されている。三方弁160は、三方弁160の図示しない出口開口,第1気体分離流路142aの出口,第2気体分離流路142bの入口,そして第3気体分離流路142cの入口に接続されている。
なお、この実施形態では、第2気体分離流路142b及び第3気体分離流路142cは互いに異なる充填材を内部に充填することで、互いに異なる気体分離特性を有している。
第1気体分離流路142aの出口の一対のアンテナ部材52と組み合わされた第1球状弾性表面波素子14は、一対のアンテナ部材52と対応する一対のアンテナ手段58を介して電磁的に高周波信号・発信手段22´´に接続されていて、第2及び第3気体分離流路150bの出口の第2及び第3球状弾性表面波素子14´は、出口ノズル148,145中の図示されていない一対の外部延出配線を介して高周波信号・発信手段22に接続されているとともに接地されている。第1気体分離流路142aの出口の一対のアンテナ部材52と組み合わされた第1球状弾性表面波素子14の為の高周波信号・発信手段22´´と第2及び第3気体分離流路142b,142cの出口の第2及び第3球状弾性表面波素子14´の為の高周波信号・発信手段22とは共通の制御/分析手段162に接続されていて、制御/分析手段162にはさらに三方弁160も接続されている。
このように構成されている第8実施形態に従った気体分析装置140は、図15中に図示されている第5実施形態に従った気体分析装置70と同様に機能する。
キャリアガス供給源26から第1気体分離流路142aの入口ノズル152に向かいキャリアガスを所定の速度で供給している間に試料注入手段28を介してこの気体分析装置140において分析しようとする種々の気体成分を含む試料を上記キャリアガス中に注入する。
この時には、三方弁160は第1気体分離流路142aの出口を三方弁160の図示しない出口開口に連通させていて、第2気体分離流路142b及び第3気体分離流路142cには連通させていない。第一気体分離流路142aで分離計測された結果に基づいて、三方弁160は第2気体分離流路142bか第3気体分離流路142cに気体を導入するかを決定することが出来る。
なおこの制御/分析手段162も、分析結果を表示する図示しない公知の表示手段を含んでいることが出来るとともに分析結果を記録する図示しない公知の記録手段を含んでいることが出来る。
しかもこの実施形態の気体分析装置140は、第1乃至第3気体分離流路142a,142b,そして142cが本体142中で3層になっているので、同じ機能を果たす図15中に図示されている第5実施形態に従った気体分析装置70では第1乃至第3気体分離流路72a,72b,そして72cが本体72中で同一平面内に配置されているのと比べると、本体142の平面寸法は略1/3にすることが出来る。
10…気体分析装置,12…本体,12a…気体分離流路,12b…第1表面板材(第1本体部材),12c…シリコンウェファー(第1本体部材),12d…レジストパターン,12e…第2表面板材(第2本体部材),14…球状弾性表面波素子,SAW…弾性表面波,16…基体,16a…最大径の外周円,16b…円環状の領域,18…弾性表面波・励起/検知手段,18a,18b…外部接続端子,20a,20b…外部延出配線,22…高周波信号・発信/受信手段、24…制御/分析手段,26…キャリアガス供給源,28…試料注入手段;
10´…気体分析装置,12´…本体,12´a…気体分離流路,12´c…シリコンウェファー(第1本体部材),12´e…第2表面板材(第2本体部材),12´f…出口開口,14´…球状弾性表面波素子,18´…弾性表面波・励起/検知手段,18´a,18´b…外部接続端子,30…台座,30a…凹所,32…出口ノズル,32a…内孔,32b,32c…外部延出配線;
40…気体分析装置,12´´…本体,12´´a…気体分離流路,12´´b…第1表面板材(第1本体部材),12´´c…シリコンウェファー(第1本体部材),12´´e…第2表面板材(第2本体部材),22´…高周波信号・発信/受信手段、24´…制御/分析手段,42…アンテナ手段,42a…凹所,44…アンテナ手段;
45…外部アンテナ手段,46…端子,47…アンテナ手段,48…端子,49…金バンプ;
50…気体分析装置,51…充填剤充填装置,12´´´…本体,12´´´a…気体分離流路,12´´´b…第1表面板材(第1本体部材),12´´´c…シリコンウェファー(第1本体部材),12´´´e…第2表面板材(第2本体部材),22´´…高周波信号・発信/受信手段,24´´…制御/分析手段,52…アンテナ部材,54…位置決め突起,56…充填剤(ビーズ),58…アンテナ手段;
60…気体分析装置,14´´…球状弾性表面波素子,18´´…弾性表面波・励起/検知手段,18´´a,18´´b…外部接続端子,18′′c…アンテナ手段,18′′d…絶縁体,22´´´…高周波信号・発信/受信手段,24´´´…制御/分析手段,62…台座,62a…支持凹所,64…アンテナ手段;
70…気体分析装置,72…本体,72a…第1気体分離流路,72b…第2気体分離流路,72c…第2気体分離流路,74…第1球状弾性表面波素子,76…分岐弁,78…排出流路,80a…第2球状弾性表面波素子,80b…第3球状弾性表面波素子,82…高周波信号・発信/受信手段、84…制御/分析手段;
120…気体分析装置,122…本体,122a…気体分離流路,126…第1本体ハーフ,126a…第1表面板材,126b…第2表面板材,126c…シリコンウェファー,126d…出口ノズル,128…球状弾性表面波素子,128a…アンテナ部材,130…第2本体ハーフ,130a…第3表面板材,130b…シリコンウェファー,130c…入口ノズル;
140…気体分析装置,142…本体,142a…第1気体分離流路,142b…第2気体分離流路,142c…第3気体分離流路,144…第1本体ユニット,144a…第1表面板材,144b…第2表面板材,144c…シリコンウェファー,145…出口ノズル,146…第2本体ユニット,146a…第3表面板材,146b…シリコンウェファー,148…出口ノズル,150…第3本体ユニット,150a…第4表面板材,150b…シリコンウェファー,152…入口ノズル,160…三方弁,162…制御/分析手段。

Claims (7)

  1. 本体が、気体分離流路が溝として形成された一面を有する第1本体部材と、第1本体部材の一面に固定され前記一面における気体分離流路の溝の開口を塞ぐ第2本体部材との接合によって構成することを特徴としており、本体が有する上記の気体分離流路は、気体流入口と気体排出口とを有し、分析すべき種々の気体成分を含む気体が気体流入口からキャリアガスとともに気体分離流路に供給され、気体分離流路の内部に気体中の種々の気体成分と吸収と脱離を行う薬剤を有することで気体成分の種類に応じて気体分離流路を通過する時間を異ならせ、種々の気体成分を相互に分離させるものであって;
    さらに、本体はその気体分離流路の所定の位置に、球形状の一部で構成され球形状の最大径の外周円を含んでおり弾性表面波が励起可能であり励起された弾性表面波を伝搬可能な円環状の領域を少なくとも1つ有している基体と、基体の円環状の領域に弾性表面波を励起させ励起した弾性表面波を円環状の領域の延出方向に沿い周回させるとともに周回後の弾性表面波を検知し、検知した弾性表面波に対応した電気信号を発生させる弾性表面波・励起/検知手段と、を有する球状弾性表面波素子を備えており;
    球状弾性表面波素子は、基体の円環状の領域の延出方向に沿い周回させている弾性表面波を、気体分離流路において気体成分に順次接触させ、接触した気体成分の種類と濃度に応じた弾性表面波の変化を電気信号の変化として検出する、
    ことを特徴とする気体分析装置。
  2. 球状弾性表面波素子の弾性表面波・励起/検知手段は、すだれ状電極を含んでおり、
    前記すだれ状電極の外部接続端子は、球状弾性表面波素子の基材の外表面及び本体の気体分離流路の内表面のいずれか一方に形成されたアンテナ手段に電気的に接続されていて、
    前記すだれ状電極は、前記アンテナ手段を介して本体の外部との間で電気的な結線を伴うことなく電磁的に電気信号の送受信を行い、前記アンテナ手段を介した外部からの電気信号の受信により基体の円環状の領域の延出方向に沿い弾性表面波を励起するとともに弾性表面波を伝搬させて周回させ、また円環状の領域を周回してきた弾性表面波に対応して発生させた電気信号を前記アンテナ手段を介して外部に電磁的に発信する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の気体分析装置。
  3. 前記アンテナ手段を伴った球状弾性表面波素子は、本体の気体分離流路の所定の位置に気体流入口または気体流出口から挿入する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の気体分析装置。
  4. 前記すだれ状電極に接続されたアンテナ手段はコイル状のアンテナパターンを有しており、本体の気体分離流路の外部には前記アンテナ手段に対して電気的な結線を伴うことなく電磁的に電気信号の送受を行うコイル状のアンテナパターンを含む外部アンテナ手段が形成され、
    前記すだれ状電極に接続されたアンテナ手段は、前記外部アンテナ手段を介して本体の外部との間で磁界結合による電気信号の送受信を行い、前記外部アンテナ手段を介した外部からの電気信号の受信により前記すだれ状電極に基体の円環状の領域の延出方向に沿い弾性表面波を励起するとともに弾性表面波を伝搬させて周回させ、また円環状の領域を周回してきた弾性表面波に対応して前記すだれ状電極が発生させた電気信号を前記外部アンテナ手段を介して外部に電磁的に発信する、
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の気体分析装置。
  5. 前記アンテナ手段は、気体分離流路の内表面に沿い延出したアンテナパターンを含んでいて、
    前記すだれ状電極は、前記アンテナパターンを介して本体の外部との間で電気的な結線を伴わず電磁的に電気信号の送受信を行い、前記アンテナパターンを介した外部からの電気信号の受信により基体の円環状の領域の延出方向に沿い弾性表面波を励起するとともに弾性表面波を伝搬させて周回させ、また円環状の領域を周回してきた弾性表面波に対応して発生させた電気信号を前記アンテナパターンを介して外部に電磁的に発信する、
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の気体分析装置
  6. 本体の気体分離流路は、球状弾性表面波素子の下流で分岐弁を介して複数に分岐しており、複数の分岐路中の少なくとも1つは気体分離流路として機能するとともに、
    分岐弁は、気体分離流路中の球状弾性表面波素子の出力を分析した結果に従って操作され、気体分離流路からの気体を複数の分岐路のいずれか1つに導くことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の気体分析装置。
  7. 単一あるいは複数の球状弾性表面波素子の弾性表面波の伝搬する円環状の領域には、分析する気体成分のすくなくとも何れか1つの成分に感応し、感応の程度に応じて円環状の領域を伝搬する弾性表面波の伝搬に影響を与える互いに異なる複数の感応膜が配置されていて、
    上記複数の感応膜の感応に基づいた弾性表面波の伝搬の変化に応じて、前記分岐弁が前記気体を導く分岐路を決定する
    ことを特徴としている請求項6に記載の気体分析装置。
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