JP2011121018A - 流路デバイス、装置及び処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】断続的に大きなせん断をかけることができる流路デバイスを提供すること。
【解決手段】円筒と前記円筒内に設置された円柱とにより形成される同心円筒状の流路、前記流路に流体を供給する供給口、前記流路から流体を排出する排出口、並びに、前記円筒及び/又は前記円柱を円柱の軸を中心に相対的に回転させる回転機構を有し、前記円筒と前記円柱との間隙の幅が1〜1,000μmであり、前記流体の流路における平均流速Vlavrと前記流体の円筒軸方向の流速Vfとが式(1)の関係を満たし、かつ、流体の流路における最大流速Vlmaxと前記円筒に対する前記円柱の回転方向の終端速度Vrとが式(2)の関係を満たすことを特徴とする流路デバイス。
100Vf<Vlavr<10,000Vf (1)
0.4Vr≦Vlmax (2)
【選択図】図1

Description

本発明は、流路デバイス、装置及び処理方法に関する。
化学反応のための操作には、「撹拌」や「せん断(壊砕)」といった物理的な効果を要する操作がある。非連続系のプロセス(バッチプロセス等)では、撹拌翼やホモジナイザといった装置を使い、定位置で連続的に、「撹拌」や「せん断」を与えることができる。
マイクロリアクタでも、流路の屈曲により二次流(ディーン渦などの流れの乱れ)などを発生させて「撹拌」することや、層流(ハーゲンポアズイユ)による「せん断」を加えて「撹拌」させることが可能なことは知られている。ディーン渦やテイラー渦を発生させる場合には屈曲部の前後や高せん断領域でのみ流れの乱れが発生し、該当部を通過する瞬間のみ効果が発揮される。また、ニュートン流体を混合するだけならば、層流によるせん断は瞬時でもよいが、トナー凝集スラリーのように、擬塑性やチキソ性を示す流体の場合、粘度が低い領域で安定させるには、「撹拌」や「せん断」を加え続けることが重要である。
特許文献1及び2には、環状チャンバーのサイズ、面特性及びロータの回転速度を相互に適当に調整してテイラー渦の発生を回避すると共にクエット流を発生させて流体の混合を行う方法が開示されている。
米国特許第6,471,392号明細書 米国特許第6,742,774号明細書
本発明が解決しようとする課題は、断続的に大きなせん断をかけることができる流路デバイスを提供することである。
本発明の上記課題は、以下の手段により解決された。
<1>円筒と前記円筒内に設置された円柱とにより形成される同心円筒状の流路、前記流路に流体を供給する供給口、前記流路から流体を排出する排出口、並びに、前記円筒及び/又は前記円柱を円柱の軸を中心に相対的に回転させる回転機構を有し、前記円筒と前記円柱との間隙の幅が1〜1,000μmであり、前記流体の流路における平均流速Vlavrと前記流体の円筒軸方向の流速Vfとが式(1)の関係を満たし、かつ、前記流体の流路における最大流速Vlmaxと前記円筒に対する前記円柱の回転方向の終端速度Vrとが式(2)の関係を満たすことを特徴とする流路デバイス、
100Vf<Vlavr<10,000Vf (1)
0.4Vr≦Vlmax (2)
<2>前記円筒の内壁表面及び前記円柱の表面の表面粗さRaが前記間隙の幅の1/10以下である、<1>に記載の流路デバイス、
<3>円筒軸方向の前記流路の長さと前記間隙の幅との比(流路の長さ/間隙の幅)が10以上である、<1>又は<2>に記載の流路デバイス、
<4>前記回転機構が、磁力を利用して円柱を回転させる回転機構である、<1>〜<3>いずれか1つに記載の流路デバイス、
<5><1>〜<4>いずれか1つに記載の流路デバイスを含むことを特徴とする装置、
<6><1>〜<4>いずれか1つに記載の流路デバイスを用意する工程、前記供給口に送液し、前記円筒及び/又は前記円柱を円柱の軸を中心に相対的に回転させて送液された液体を撹拌する工程、並びに、前記排出口から液体を回収する工程を含み、前記流体の流路における平均流速Vlavrと前記流体の円筒軸方向の流速Vfとが式(1)の関係を満たし、かつ、前記流体の流路における最大流速Vlmaxと前記円筒に対する前記円柱の回転方向の終端速度Vrとが式(2)の関係を満たすことを特徴とする処理方法。
100Vf<Vlavr<10,000Vf (1)
0.4Vr≦Vlmax (2)
上記<1>に記載の手段によれば、本構成を有していない場合に比して、断続的に大きなせん断をかけることができる流路デバイスが提供される。
上記<2>に記載の手段によれば、本構成を有していない場合に比して、より大きなせん断をかけることができる流路デバイスが提供される。
上記<3>に記載の手段によれば、本構成を有していない場合に比して、より長時間のせん断をかけることができる流路デバイスが提供される。
上記<4>に記載の手段によれば、本構成を有していない場合に比して、簡便な構造の流路デバイスが提供される。
上記<5>に記載の手段によれば、本構成を有していない場合に比して、断続的に大きなせん断をかけることができる装置が提供される。
上記<6>に記載の手段によれば、本構成を有していない場合に比して、断続的に大きなせん断をかけることができる処理方法が提供される。
本実施形態の流路デバイスを示す概略図である。 もう1つの本実施形態の流路デバイスを示す概略図である。 テイラー渦流の発生原理を説明するための図である。 テイラー渦流の孤立混合領域と混合促進領域とを説明するための図である。 流路における臨界テイラー数と、円筒と円柱との半径比との関係を示すグラフである。
I.流路デバイス
本実施形態の流路デバイスは、円筒と前記円筒内に設置された円柱とにより形成される同心円筒状の流路、前記流路に流体を供給する供給口、前記流路から流体を排出する排出口、並びに、前記円筒及び/又は前記円柱を円柱の軸を中心に相対的に回転させる回転機構を有し、前記円筒と前記円柱との間隙の幅が1〜1,000μmであり、前記流体の流路における平均流速Vlavrと前記流体の円筒軸方向の流速Vfとが式(1)の関係を満たし、かつ、流体の流路における最大流速Vlmaxと前記円筒に対する前記円柱の回転方向の終端速度Vrとが式(2)の関係を満たすことを特徴とする。
100Vf<Vlavr<10,000Vf (1)
0.4Vr≦Vlmax (2)
以下、本実施形態の流路デバイス、処理方法及び装置について詳述する。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、同一の符号は同一の対象を表す。また、以下の説明において、数値範囲を表す「A〜B」の記載は、特に断りのない限り「A以上B以下」を意味する。すなわち、端点であるA及びBを含む数値範囲を意味する。
(流路)
図1は本実施形態の流路デバイス10を示す概略図である。
流路デバイス10は、円筒1(直径Do、半径ro)と前記円筒1内に設置された円柱2(直径Di、半径ri)とにより形成される同心円筒状の流路を有する。図1中、円柱2は、同軸の回転軸15及び16によって鉛直方向に固定され、これら回転軸15及び16とともに円柱2の軸を中心に回転自在なものである。流路デバイス10は、固定部材により壁や固定された柱等に固定されていることが好ましく、回転軸15が回転しても移動しないように設けられていることが好ましい。これにより、円柱2は、軸を中心に安定した回転運動を行うことができる。また、円柱2は、回転中に流体が漏れないように円筒1とリング状の部材19a、19bとの間にはシールがなされている。なお、蓋部12はその中心に孔を有するリング状の部材であって、その孔には十分な間隙を有して回転軸15が挿入されている。
円筒1と円柱2とは、同軸かつ所定の間隙(円筒半径r0と円柱半径riとの差)を有して設けられている。前記間隙の幅は、設計値(円筒半径ro−円柱半径ri)を100%として、±25%の範囲内であることが好ましく、前記設計値と一致していることがより好ましい。
本実施形態において、前記円筒と前記円柱との間隙の幅が1〜1,000μmであることが好ましく、10〜700μmであることがより好ましく、300〜500μmであることがさらに好ましい。上記の数値の範囲内であると、ロータから加えられたせん断エネルギーを効率よくデバイスに伝達できるため好ましい。
(供給口、排出口)
この流路の上部には流体を供給するための供給口17が、下部には流体を排出するための排出口18がそれぞれ設けられている。供給口17及び排出口18は円筒1の外壁から内壁へと貫通する。供給口17及び排出口18は複数設けられていてもよい。
供給口17及び排出口18は蓋部12及び基台14に設けられていてもよい。具体的には供給口17は、蓋部12の側面から部材中を途中まで貫通し、その途中から円筒1と円柱2との間の流路と連通するように下面方向に貫通してなるものであってもよい。排出口18は、基台14の上面において、円筒1と円柱2との間の流路に接する部分から下方向へ途中まで貫通し、その途中から基台14の側面へ貫通してなるものでもよい。なお、排出口18には排出調整弁が設けられていてもよい。
(回転機構)
本実施形態の流路デバイスは、前記円筒及び/又は前記円柱を円柱の軸を中心に相対的に回転させる回転機構を有する。前記回転機構としては、磁力を利用して円柱を回転させる回転機構であることが好ましい。図1において、円柱2には磁石が内蔵されており、外部のインダクタ(磁心入り)20により円柱2が回転する。他の回転機構としては、例えば回転軸16の下部にモータ(不図示)等の動力を連結させ、このモータによって軸を中心に回転させる回転機構などが挙げられるが、本実施形態においては、流路デバイスの小型化が容易であることから、磁力を利用して円柱を回転させる回転機構であることが好ましい。
(表面粗さ)
本実施形態において、前記円筒の内壁表面及び前記円柱の表面の表面粗さRaは前記間隙の幅の1/10以下であることが好ましく、10nm〜10μmがより好ましく、10nm〜1μmがさらに好ましい。上記の数値の範囲内であると、層流場において、ロータの回転エネルギーを効率よく流体に加えることができるため好ましい。
(流路長さ)
また、図1における流路の鉛直方向長さLは、少なくとも流路幅(ro−ri)の10倍以上であることが好ましく、100〜1,000倍であることがより好ましい。なお、流路の長さLは、供給口17の中心から排出口18の中心までの円柱の軸方向長さをいう。上記の数値の範囲内であると、流路内において、流体がせん断される時間を長く設けることができるため好ましい。せん断時間の調整のために複数の流路デバイスを連結してもよい。
前記円筒に対する前記円柱の回転方向の終端速度Vrと、流体の円筒軸方向の流速Vfとの関係については後述する。
図2に、もう1つの本実施形態の流路デバイスを示す概略図を示す。
流路デバイス10は、円筒1(直径Do、半径ro)と前記円筒1内に設置された円柱2(直径Di、半径ri)とにより形成される同心円筒状の流路を有する。円筒1は固定された円柱2の軸を中心に回転自在なものである。流路デバイス10は、固定部材(不図示)により円筒1が回転自在なように壁や固定された柱等に固定されていることが好ましく、円筒1が回転しても移動しないように設けられていることが好ましい。また、回転中に流体が漏れないように、円筒1が回転可能なようにパッキン21が設けられている。
この流路の上部には流体を供給するための供給口17及び流体を排出するための排出口18がそれぞれ設けられている。供給口17は円柱2の内部を貫通しており、供給口17から供給された流体は、円柱下部から流路内に供給され、円筒1と円柱2との間隙の流路において撹拌、混合された後に排出口18から排出される。供給口17及び排出口18は複数設けられていてもよく、複数の供給口17から別々の種類の流体を供給することもできる。
本実施形態における回転機構として、円筒1の外周部にモータM等の動力を連結させ、このモータによって円柱2の軸を中心に円筒1を回転させる回転機構などが挙げられる。
その他、円柱表面及び円筒内壁の表面粗さRa、流路長さ等は図1に示す流路デバイスと同様であり、好ましい範囲も同様である。
II.処理方法
本実施形態の処理方法は、前記流路デバイスを用意する工程、前記供給口に送液し、前記円筒及び/又は前記円柱を円柱の軸を中心に相対的に回転させて送液された液体を撹拌する工程、並びに、前記排出口から液体を回収する工程を含み、流体の流路における流速Vlが、流体の円筒軸方向の流速Vfより大きいことを特徴とする。以下、図1を参照して、流路デバイス10を用いた処理方法について説明する。
本実施形態の処理方法は、前記流路デバイスを用意する工程を含む。
まず、排出口18に設けられている排出調整弁(不図示)を閉じておいて、供給口17から分散媒を円筒1と円柱2との間の流路に供給して充填する。流路に分散媒を溜めた後、回転機構により円柱2を所定の角速度で回転させる。
本実施形態の処理方法は、前記供給口に送液し、前記円筒及び/又は前記円柱を円柱の軸を中心に相対的に回転させて送液された液体を撹拌する工程を含む。
本実施形態の処理方法においては、流路にはテイラー渦流を発生させないことが好ましい。以下、図3〜5を用いてテイラー渦流について説明する。図3は、テイラー渦流の発生原理を説明するための図である。円筒1と前記円筒1内に設置された円柱2とにより形成される同心円筒状の流路に流体を満たし、円筒1を角速度ωoで、円柱2を角速度ωiで回転させる。説明の便宜上、|ωo−ωi|を単に角速度ωと標記する。この角速度ωがある臨界値を超えると図3に示すような円環状の渦3a(図3の断面部分において紙面上左回りの回転を有する渦)、3b(図3の断面部分において紙面上右回りの回転を有する渦)が交互に円柱2の軸方向に複数重なった層流テイラー渦流が発生する。
ここで、このテイラー渦流が発生する際の具体的な関係式を示す。テイラー数は、一般に、下記式のTaのように定義される。
Ta={riω(r0−ri)/ν}{(r0−ri)/ri0.5=Re{(r0−ri)/ri0.5
ここで、ωは角速度、Reはレイノルズ数、riは円柱2の半径、r0は円筒1の半径、νは流体の動粘度である。
本実施形態においては、テイラー数Taはレイノルズ数Re未満であることが好ましく、2,300以下がより好ましく、120未満がさらに好ましい。上記の数値の範囲内であると、テイラー渦流が発生しないため、分散性に優れる。
本実施形態においては、乱流支配ではなく、層流支配であることが好ましい。ここで、レイノルズ数(Re)は、下記式で表されるものであり、2,300以下のとき層流支配となる。
Re=riωd/ν (ri:円柱の半径、ω:回転角速度、d:間隙幅の平均値(ro−ri)、ν:動粘性係数)
本実施形態において、レイノルズ数はテイラー数以上であることが好ましく、かつ500以下であることがより好ましく、120以下であることがさらに好ましい。
テイラー渦流が発生する臨界テイラー数Tacは以下のように示される。
Tac={riωc(r0−ri)/ν}{(r0−ri)/ri0.5=Rec{(r0−ri)/ri0.5と示される。
この臨界テイラー数Tacは、η=ri/r0によって決定される。Tacとηとの関係については図5に示した。ここで、ωcはテイラー渦流が発生する角速度、Recは臨界レイノルズ数、riは円柱2の半径、r0は円筒1の半径、νは流体の動粘度である。
上述の各式から、テイラー数Ta、臨界テイラー数Tac、レイノルズ数Re、臨界レイノルズ数Rec、角速度ω及びテイラー渦流が発生する角速度ωcの関係は、Ta/Tac=Re/Rec=ω/ωcと整理される。
なお、テイラー渦流は、1≦Ta/Tac=Re/Rec=ω/ωc<25の範囲で発生する。Ta/Tacが1未満であればテイラー渦流が発生せず、25以上であれば乱流が発生する。従って、本実施形態においては、Ta/Tacが1未満又は25以上であることが好ましく、1未満であることがより好ましい。
なお、テイラー渦流が発生した場合には、一個の独立した渦3a内での混合は、その回転流により促進されるものの、隣り合う渦3b、5bとの間の物質移動は抑制される。すなわち、渦3a、3bの内部の流体は、渦3a、3b内の領域に閉じ込められ、結果として2つの明確な領域(孤立混合領域6、混合促進領域7)に分かれる(図4参照)。なお、孤立混合領域6とは、図4に示すように、渦3aの内部領域のことをいい、混合促進領域7とは、図4に示すように、渦3a、3b間の領域(点線周辺部)のことをいう。
また、粒子はその径の大きさにより、渦3a、3b内において存在する位置が異なる。
具体的には、渦3a、3bの遠心力の効果により、粒径の大きな粒子は渦3a、3bの外周部に多く存在し、小さい粒子は渦3a、3bの内側に向かうに従って多く存在するような粒子分布となる。
本実施形態において、流体の流路における平均流速Vlavrが、流体の円筒軸方向の流速Vfより大きく、好ましくは前記流体の流路における平均流速Vlavrと前記流体の円筒軸方向の流速Vfとが式(1)の関係を満たし、かつ、前記流体の流路における最大流速Vlmaxと前記円筒に対する前記円柱の回転方向の終端速度Vrとが式(2)の関係を満たす。
100Vf<Vlavr<10,000Vf (1)
0.4Vr≦Vlmax (2)
ここで、Vfは流体の円筒軸方向の流速を表す。
Vrは流体の流路における回転方向の終端速度を表し、円筒内半径roと回転角速度ω(ω=|円筒の回転角速度ωo−円柱の回転角速度ωi|)との積roωで表される。Vrは、0.1〜400m/sが好ましく、1.0〜4.0m/sがより好ましい。
式(1)及び式(2)の関係を満たすことにより、デバイスのサイズに対して、十分に高いせん断力を十分な時間、流体に断続的に加え続けることができる。
このとき、Ra=10nm〜250nmであることがさらに好ましく、100nm前後が特に好ましく、80〜150nmが最も好ましい。
なお、流体の円筒軸方向の流速Vfは、1.2m/s以下が好ましく、0.1m/s以下がより好ましく、0.005〜0.015m/sがさらに好ましい。
また、流体の流路における回転方向の最大速度Vlmaxは、0.1〜10.0m/sが好ましく、回転子の動力など実用的な面(消費電力,耐久性など)も考えると,1.0〜3.0m/sがより好ましい。
また、流体の流路における回転方向の平均速度Vlavrは、0.5〜150m/sが好ましく、1〜4m/sがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、層流場制御の観点で好ましい。
なお、最大速度Vlmax、及び、平均速度Vlavrは、実測が困難であるが,流体シミュレーション(CFD)を使うことで,ほぼ正確に数値を推定できる。
本実施形態の処理方法において、流体が流路内に滞留する時間、すなわちせん断されている時間は100秒以上が好ましい。
III.装置
本実施形態の装置は、本実施形態の流路デバイスを含むことを特徴とする。
本実施形態の装置の用途としては、プロセスとして断続的なせん断を必要とする装置であれば用途は限定されないが、物理/化学プロセス全般、乳化、混合、加熱・冷却、合成、分散等に用いることができる。特に乳化が好ましい。
以下に実施例及び比較例を示して本実施形態について詳述するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、特に断りのない限り「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を意味する。
(実施例1)
以下、本実施形態の流路デバイスについて、電子部品(積層コンデンサ)の材料である、チタン酸バリウムスラリーを連続的に製造する例を挙げて説明する。
積層セラミックスコンデンサでは、グリーンシートと呼ばれる原料微粒子スラリーを薄層シート状に乾燥させた部材が必要である。そのシートを効率的に製造するには、高度なスラリーの分散が必要である。
通常、乾式で作製された粉体(微粒子)を媒体に分散させる方法としては、ボールミル、超音波分散機、コボールミル等が使用されるが、これらはバッチ式であり、せん断が付与される部分が局所的であると同時に、生産性が低い。
また、ロールミル、サンドミル、コロイドミル、ダイノーミル、高圧ホモジナイザーでは連続的に分散を行えるが、付与されるせん断の均一性が悪いため、同一ロット内でも二次粒子が粉砕されなかったり、一次粒子まで粉砕されたりする現象が発生する。これらの現象は粒径分布を悪化させ、スラリーの粘度を上昇させる。スラリーの粘度が上昇すると、その後の塗布工程に影響を与え、製品歩留まりに悪影響を及ぼす。粘度が上昇する理由は、均一にバインダー及び界面活性剤がセラミックス原料粉末に吸着していないためであり、せん断を空間的にも時間的にも均一に付与する分散装置が求められている。
実施例1で用いた、分散媒体は、ポリビニルブチラール(以下、PVB)等の高分子組成物からなるバインダー、フタル酸ジブチル(以下、DBP)等の可塑剤、水又はエタノール等溶媒及び界面活性剤等の添加物の混合物である。実施例1で用いた分散媒体の組成を以下に示した。
PVB 3部
DBP 7部
水 73部
エタノール 14部
界面活性剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム) 3部
以上の成分を混合した分散媒体を使用した。
実施例1ではあらかじめ、分散媒体100部と水熱合成チタン酸バリウム微粒子(堺化学工業(株)製:BT−01)80部とをスタティックミキサー内で混合したものを、送液速度:100ml/hで、図1に示す本実施形態の流路デバイスへ投入した。
流路デバイスの各サイズ及び分散条件は、流路長さL=2,000mm(図1における鉛直方向の流路長さ200mmの流路デバイスを10個連結)、円筒1の半径ro=50mm、円柱2の半径ri=49.5mm、ωo=0rpm、ωi=600rpm(毎秒10回転)である。その他の条件については表1に示した通りである。
上記の条件で分散・混合を行った結果、通常のボールミルによる処理(直径100mmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ポットに2mmφのジルコニアボールを200g、SC(=体積分率)20%、エタノール溶媒、合計200gの原料を用い、100rpmで3時間の分散を実施)と比べて、粘度を下げることができたため、約20%も消費電力を下げることができた。また、粘度が下がり均一化が進んだため、製品歩留まりも約10%改善できた。
(実施例2)
ケミカルトナーの作製方法で代表的なEA法(Emulsion Aggregation:乳化重合法により得た乳化重合樹脂粒子、顔料粒子、ワックス粒子を湿式中(水中)で凝集・合一し、トナー粒子を形成するケミカルトナーの製造方法)は、凝集・合一工程において、均一かつ長時間せん断を付与することで、粒径とその分布を制御できるという優れた手法である。その反面、処理時間が長いバッチプロセスであり、時間の短縮や連続プロセス化が望まれている。
(原料)
<樹脂粒子分散液の調製>
スチレン 78部
アクリル酸ブチル 22部
アクリル酸 2部
ドデシルメルカプタン 3.3部
以上の原料(いずれも和光純薬工業(株)製)を混合し溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製、ノニポール9.5)1部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK)1.2部をイオン交換水120部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム(和光純薬工業(株)製)1部を溶解したイオン交換水180部を投入し、窒素置換を行なった後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、6時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、35重量%の樹脂粒子を含む樹脂粒子分散液が得られた。
<着色剤分散液の調製>
フタロシアニン顔料(大日精化(株)製、PV FAST BLUE) 20部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンSC) 2部
イオン交換水 100部
以上の原料を混合し溶解させた後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)を用いて分散し、着色剤(フタロシアニン顔料)を分散させて25重量%の着色剤分散液を調製した。
<離型剤粒子分散液の調製>
離型剤(Polywax 725(ポリエチレンワックス)、東洋ペトロライト(株)製、融点98℃) 100部
アニオン性界面活性剤(リパール860K、ライオン(株)製) 2部
イオン交換水 500部
以上の原料を混合し溶解させた後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、離型剤粒子を分散させて25重量%の離型剤粒子分散液を調製した。
(EA法による静電荷像現像用トナーの調製)
樹脂粒子分散液 90部
着色剤分散液 7部
離型剤粒子分散液 10部
凝集剤(ポリ塩化アルミニウム、和光純薬工業(株)製) 1.8部
溶媒(イオン交換水) 400部
上述の原料を丸型ステンレス製フラスコ中に収容し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス:T50)を用いて分散させた後、送液速度:120ml/hで、本実施形態の流路デバイスへ投入した。
流路デバイスとして、図1に示す内側の円柱が回転する流路デバイスを用いた。
実施例2の流路デバイスに含まれる各流路デバイスのサイズ及び条件は、総流路長さL=3,000mm(図1における鉛直方向の流路長さ200mmの流路デバイスを15個連結)、円筒1の半径ro=50mm、円柱2の半径ri=49.5mm、ωo=0rpm、ωi=600rpmの条件で流し、トナー母粒子を得た。その他の条件については表1に示した通りである。
このとき、粒径:D50は6.1μm、GSDは1.3であり、製造に要した時間は50分であった。バッチ式の重合装置で12時間掛けて作製したトナーと同等に近い粒子が連続的かつ短時間で得られることが確かめられた。なお、実施例2の流路デバイスは50℃の恒温槽内に浸漬させることで、加熱温度を調整した。
なお、実施例2では複数の流路デバイスを連結してせん断を実施したが、1つの流路デバイス内にポンプで循環させてもよい(本例と同じ条件にしたければ、15周回させればよい。)。
(実施例3)
液体現像電子写真では、溶媒(アイソパーH)中にスチレントナーを分散させて現像剤とするが、そのライフは短く、現像剤がマシン内で凝集し、装置内に再分散させる機構を持たせても十分に分散させることができず、画質欠陥を引き起こす問題があった。
既存手法では、トナー形状を触手状にし、再分散性を持たせた例(特開平6−202384号公報)が知られているが、この方法ではトナーの形状・製法が限定されてしまい、粒径や粒度分布が制御できないため、これ以上の画質改善が困難である。また、一般的なゼログラフィー用トナーとも全く違う製法であるため、製造コストも高い。
そこで、再分散工程に本実施形態の流路デバイスを適用した結果、均一かつ強いせん断を連続的に加えることができ、触手状ではないトナーにおいても十分な再分散性を得ることができた。
<原料>
ポリエチレン樹脂(三井化学(株)製「ハイワックス4202E」) 40部
カーボンブラック(三菱化学(株)製「三菱カラーカーボン #44」) 2部
アイソパーH(エクソンモービル社製) 160部
以上を加熱しながら30分間ボールミルで湿式混合し、現像液を得た(参考:特開平7−104524号公報)。
このときの、現像剤の粒子径はD50=2.2μmであった。また、GSDは1.6であった。
この現像液を実機(自社試作機)にて印刷テストを行い画像濃度などを確認した後、18時間常温で放置した。放置後の現像剤のGSDは2.1であった。放置した現像剤は、本実施形態の流路デバイスにて再分散させ、再度、印刷テストを行った。その結果、現像剤調製直後と再分散後とで画質の変化がないことを確認した。再分散後の現像剤ののGSDは1.7であった。
実施例3においては、図2に示す流路デバイスを用いた。
なお、流路デバイスの寸法・仕様は、総流路長さL=75mm、円筒1の半径ro=10mm、円柱2の半径ri=9.65mm、ωo=954rpm、ωi=0rpm、流体の供給口は2箇所あり、一方が再分散させたい現像液、もう一方が溶媒(アイソパーH)である。
流量は、現像液側が80ml/h、アイソパー側が80ml/hの合計160ml/hである。
(比較例)
表1に示すように、実施例3と比較例とでは、壁面のスリップ率(Vlmax/Vr)が異なる。
実施例3及び比較例について、現像剤調製直後、再分散実施前、再分散実施後のサンプルを評価し比較した結果、下記のような結果となった。
・再分散実施前では、現像剤の再凝集が起きており、まともな画像を得ることはできなかった。
・実施例3においては、画像濃度は現像剤調製直後と再分散後とで変化はなく、再分散処理後に行ったテスト印刷でも、非画像部の汚れはなく良好な画像が得られた。
・比較例の流路デバイスを用いて再分散したサンプルでも若干の改善はみられたが、現像剤調製直後や実施例3と比べると、非常に画質が劣化した。
Figure 2011121018
表1中、レイノルズ数(Re)は、(Vlavr 2+Vf21/2×(Gap/1,000)/0.000001として算出した。
テイラー数(Ta)は、((2×Gap×L/(Gap+L))/1,000)4×Vr2/(0.000001)2として算出した。
1 円筒
2 円柱
3a、3b、4a、4b、5a、5b 円環状の渦
10 流路デバイス
12 蓋部
14 基台
15、16 回転軸
17 供給口
18 排出口
19a、19b リング状の部材
20 インダクタ(磁心入り)
21 パッキン
M モータ

Claims (6)

  1. 円筒と前記円筒内に設置された円柱とにより形成される同心円筒状の流路、
    前記流路に流体を供給する供給口、
    前記流路から流体を排出する排出口、並びに、
    前記円筒及び/又は前記円柱を円柱の軸を中心に相対的に回転させる回転機構を有し、
    前記円筒と前記円柱との間隙の幅が1〜1,000μmであり、
    前記流体の流路における平均流速Vlavrと前記流体の円筒軸方向の流速Vfとが式(1)の関係を満たし、かつ、前記流体の流路における最大流速Vlmaxと前記円筒に対する前記円柱の回転方向の終端速度Vrとが式(2)の関係を満たすことを特徴とする
    流路デバイス。
    100Vf<Vlavr<10,000Vf (1)
    0.4Vr≦Vlmax (2)
  2. 前記円筒の内壁表面及び前記円柱の表面の表面粗さRaが前記間隙の幅の1/10以下である、請求項1に記載の流路デバイス。
  3. 円筒軸方向の前記流路の長さと前記間隙の幅との比(流路の長さ/間隙の幅)が10以上である、請求項1又は2に記載の流路デバイス。
  4. 前記回転機構が、磁力を利用して円柱を回転させる回転機構である、請求項1〜3いずれか1つに記載の流路デバイス。
  5. 請求項1〜4いずれか1つに記載の流路デバイスを含むことを特徴とする装置。
  6. 請求項1〜4いずれか1つに記載の流路デバイスを用意する工程、
    前記供給口に送液し、前記円筒及び/又は前記円柱を円柱の軸を中心に相対的に回転させて送液された液体を撹拌する工程、並びに、
    前記排出口から液体を回収する工程を含み、
    前記流体の流路における平均流速Vlavrと前記流体の円筒軸方向の流速Vfとが式(1)の関係を満たし、かつ、前記流体の流路における最大流速Vlmaxと前記円筒に対する前記円柱の回転方向の終端速度Vrとが式(2)の関係を満たすことを特徴とする
    処理方法。
    100Vf<Vlavr<10,000Vf (1)
    0.4Vr≦Vlmax (2)
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JP2022024863A (ja) * 2020-07-28 2022-02-09 樋口 進也 処理装置

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