JP2011119138A - ケーブルハーネス及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】省スペース化された電子機器内部の空間内にも挿通可能なケーブルハーネス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】複数の電線2がフラット状に並べられ、これら電線2を縦糸とし樹脂繊維糸3を横糸として織り込まれたフラットケーブルハーネス10を電線群の並列方向に折り畳んで積層することによって折り畳み部8aを有するケーブルハーネス1とすることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】複数の電線2がフラット状に並べられ、これら電線2を縦糸とし樹脂繊維糸3を横糸として織り込まれたフラットケーブルハーネス10を電線群の並列方向に折り畳んで積層することによって折り畳み部8aを有するケーブルハーネス1とすることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子機器内の配線として用いられるケーブルハーネスの内、特に限られたスペース内に配線可能なケーブルハーネスに関する。
携帯電話機、ノートパソコン、薄型液晶テレビ、PDA(携帯情報端末)、カメラ、プリンタ等の電子機器において折り畳み自在構造(開閉式)になっている本体と液晶ディスプレイ表示部との間をつなぐ信号伝送用配線材には、従来、FPC(フレキシブルプリント基板)が使われている。FPCは、可撓性があるため開閉に耐えられると共に、フィルムで構成されているので、フラット状であり、薄型化された電子機器の内部に配置するには好適である。
しかし、近年の電子機器には、その電子機器の一部と他の一部とが回動式、捻回式、スライド式になっている。また、電子機器のさらなる小型化・薄型化が急速に進められている一方で、データ通信量が大幅に増えて信号伝送用配線材に用いられる導体の数が増えて信号伝送用配線材は大型化(幅広化)している。
これら回動、捻回、スライドを行う可動部に適用されるケーブルハーネスとして、複数の細径化された電線をフラット状に並べ電線を縦糸としてポリエステル製横糸を織り込んだものが特許文献1に、複数の細径化された電線に横糸を織り込んで丸形状に束ねたものが特許文献2に記載されている。
図9に、従来のフラットケーブルハーネス91を示す。フラットケーブルハーネス91は、複数の電線92をフラット状に並べ電線92を縦糸としポリエステル糸93を横糸をとして織り込んだものである。フラットケーブルハーネス91の両端末には、コネクタ94が取り付けられる。
FPCは、小さい曲げ半径での単純曲げには弱いため、大きな曲げ半径を作って曲げる必要がある。このため、薄型化される電子機器には適用できない。また、FPCは、フィルムで構成されているため、丸めてヒンジ内に通すことが不可能であり、捻回部に使用されるとフィルム上の配線回路にダメージが生じる。また、FPCは、捻回した状態では、電気特性が不安定であり、EMI(不要輻射)特性が劣化する。よって、FPCは、多様な可動部を設けて高機能化、多機能化する電子機器の可動部には適切でない。
特許文献1のケーブルハーネスを可動部で使用する場合、データ通信量の増大に伴って、導体の本数が増えてケーブルハーネスが幅広化してしまうため、小型化された電子機器の可動部用配線として用いることはできない。
また、特許文献2の丸形状に束ねてなるケーブルハーネスでは、高さ方向に厚みがあるため、薄型化された電子機器の内部配線として用いることができない。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、省スペース化された電子機器内部の空間内にも挿通可能なケーブルハーネス及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、複数の電線がフラット状に並べられ、これら電線を縦糸とし樹脂繊維糸を横糸として織り込まれたフラットケーブルハーネスを前記電線群の並列方向に折り畳んで積層することによって折り畳み部を有することを特徴とするケーブルハーネスである。
前記折り畳み部にスライドガイド板を挟み込んで、該スライドガイド板と前記電線とを接着固定してもよい。
また、上記目的を達成するために本発明は、複数の電線と1本以上のダミー電線とをフラット状に並べて電線群を形成する工程と、該電線群を縦糸とし樹脂繊維糸を横糸として織り込むことによってフラットケーブルハーネスを形成する工程と、前記ダミー電線を前記電線群より除去して前記フラットケーブルハーネス中に隙間部を形成する工程と、該隙間部を屈曲部として前記フラットケーブルハーネスを前記電線群の並列方向に折り畳んで積層することによって折り畳み部を有するケーブルハーネスを形成する工程とからなるケーブルハーネスの製造方法である。
前記屈曲部内にガイド板を挟み込む工程をさらに設けてもよい。
本発明によれば、省スペース化された電子機器内部の空間内にも挿通可能なケーブルハーネスを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1及び図2に示されるように、本発明に係るケーブルハーネス1は、複数本の電線2と1本以上のダミー電線7をフラット状に配置して電線群を形成し、これらを樹脂繊維糸3でジグザグ状に織り込んでフラットケーブルハーネス10を形成した後(図1(a)、図2(a)参照)、所望の屈曲部に位置するダミー電線7を除去し、電線群に隙間部を形成する(図1(b)、図2(b)参照)。この隙間部を屈曲部として電線群の並列方向にジグザグ状に折り畳むことによって、折り畳み部8aを有する省スペース化されたケーブルハーネス1(図1(c)、図2(c)参照)を製造できる。ケーブルハーネス1の両端末では、各電線2が端末処理されてコネクタ6に接続されている。8bは、折り畳み部8aからコネクタ6に向かって、電線2が扇状に広がる扇形状部である。
ダミー電線7は電線2と色を変えたり、PET糸などの他の材料で形成することにより容易に識別可能にしても良い。
また、電線2には、図3に示した同軸線31、図4に示した絶縁ワイヤ41、図5に示した4心対角同軸線51などや、それらを組み合わせて用いることができる。
また、電線2には、図3に示した同軸線31、図4に示した絶縁ワイヤ41、図5に示した4心対角同軸線51などや、それらを組み合わせて用いることができる。
図3に示されるように、同軸線31は、複数の導体素線を撚ってなる内部導体32と、内部導体32を覆う内部絶縁体33と、内部絶縁体33の外周に設けられた外部導体(シールド)34と、外部導体34を覆う外部絶縁体35とからなる。
図4に示されるように、絶縁ワイヤ41は、複数の導体素線を撚ってなる導体42と、導体42を覆う絶縁体43とからなる。
図5に示されるように、4心対角同軸線51であるLVDS用4心対角同軸線(Quad-X)51は、複数の導体素線を撚ってなる内部導体52を絶縁体53で覆った4本の絶縁ワイヤ54が対角に並べられ、その外周に内部ジャケット55、外部導体56、外部ジャケット57が順に設けられたものである。
電線2の外径は、電子機器の薄型化に対応すること、電線2をヒンジ部に通すことを考
慮すると、0.5mm以下が望ましい。
また、ダミー電線7の外径は、電線2の外径以上にすることによって、ダミー電線7を除去して形成される隙間部を屈曲部として利用することが可能である。
慮すると、0.5mm以下が望ましい。
また、ダミー電線7の外径は、電線2の外径以上にすることによって、ダミー電線7を除去して形成される隙間部を屈曲部として利用することが可能である。
ダミー電線7の本数及び設置場所、つまりケーブルハーネス1の屈曲部の数及び形成場所は、ケーブルハーネス1が内蔵される電子機器の配線スペースに応じて適宜決定すれば良い。
電線2の本数は、一般的な携帯電話機の場合、同軸線31なら20〜70本、4心対角同軸線51なら5〜18本程度であるが、本発明は電線2の本数を限定せず、複数本であれば良い。ここでは、10本の絶縁ワイヤ41が電線2として平行に並べられている。
図1(a)及び図2(a)に示されるように、ケーブルハーネス1の屈曲部形成前(フラットケーブルハーネス10の状態)において、樹脂繊維糸3は、電線2がフラット状に並べられた電線群の並び順1番目の電線2の上から2番目の電線2の下に入り、2番目の電線2の下から3番目の電線2の上に出るというように、電線2の1本ごとに交互に上下して交差している。樹脂繊維糸3は、電線群の並び順1番目から10番目の電線2まで電線2と直角な方向に進み、そこで折り返されて電線2の長手方向に織り込みピッチを隔てた箇所まで長手方向に進み、並び順10番目から1番目の電線2まで前述と反対方向に進み、前述の上下交差とは上下関係が互い違いになるよう電線2の1本ごとに交互に上下して交差している。このように、1条の樹脂繊維糸3が電線群の電線2を1本ずつ縫って固定するような織り込みが長手方向に繰り返されている。
フラットケーブルハーネス10(ケーブルハーネス1)において、電線2の長手方向に樹脂繊維糸3の織り込みピッチが広い粗部4と樹脂繊維糸3の織り込みピッチが狭い密部5とが形成されるようにしても良い。
非可動部となるコネクタ6の近傍(具体的にはコネクタ6から10mm以内の部分)は、いずれも樹脂繊維糸3の織り込みピッチが広い粗部4となっており、織り込みピッチPwは7〜13本/cmである。この織り込みピッチPwは、電線群をフラット状に保持すると共に、横糸除去処理を容易にすることができる。可動部となる両端末の中間(具体的にはコネクタ6から10mmを超えた部分)は、樹脂繊維糸3の織り込みピッチが狭い密部5となっており、織り込みピッチPnは14〜22本/cmである。この織り込みピッチPnは、電子機器とケーブルハーネス1との擦れによるダメージを防ぎつつ、回動、捻回、スライドを円滑に行うことができる程度に柔軟性が得られる。
非可動部となるコネクタ6の近傍(具体的にはコネクタ6から10mm以内の部分)は、いずれも樹脂繊維糸3の織り込みピッチが広い粗部4となっており、織り込みピッチPwは7〜13本/cmである。この織り込みピッチPwは、電線群をフラット状に保持すると共に、横糸除去処理を容易にすることができる。可動部となる両端末の中間(具体的にはコネクタ6から10mmを超えた部分)は、樹脂繊維糸3の織り込みピッチが狭い密部5となっており、織り込みピッチPnは14〜22本/cmである。この織り込みピッチPnは、電子機器とケーブルハーネス1との擦れによるダメージを防ぎつつ、回動、捻回、スライドを円滑に行うことができる程度に柔軟性が得られる。
樹脂繊維糸3としては、例えば、高抗張力繊維糸であるPET糸がある。PET糸は、直径15〜25μmの単線が複数本集合されたマルチ素線である。PET糸は、20%以上の伸びを得ることができるので、電線2に織り込む際にPET糸が電線2を締め付けて電線2にダメージを与えることがなく、耐熱性にも優れている。また、PET糸は、耐屈曲性及び耐引張性に優れるため、電子機器のヒンジ部で30万回以上の繰り返し曲げと捻りに耐えることができる。
樹脂繊維糸3の太さの規格は、ケーブルハーネス1を電子機器の狭いヒンジ部に通すことができ、かつ、繰り返しの捻りに耐えられるよう、20〜100d(デニール)が望ましい。20d未満では破断強度が十分でなく、複数の電線2に織り込んだ後のケーブルハーネス1の形状保持が難しい。一方、100dを超えると、樹脂繊維糸3が太くなりすぎて電線2の配列間隔が大きくなり、また、柔軟性が阻害される。
この実施形態では、樹脂繊維糸3にCu又はAgの金属めっきが施されている。樹脂繊維糸3は、ケーブルハーネス1の両端末において、電線群からほぐされ、コネクタ6の側方にグランド(接地)線3aとして取り出されている。
本発明のケーブルハーネス1をスライド式携帯電話などのスライド部用の配線として用いる場合には、図2(d)に示すように、接着層付き金属板または接着層付き樹脂板からなるスライドガイド板9を屈曲部内に挟み込んでケーブルハーネス1の電線2に接着固定することが好ましい。このようにスライドガイド板9を新たに設けることによって、ケーブルハーネス1に弾性力(コシ)が付与され、スライド運動が容易にできるようになるからである。
なお、スライドガイド板9は、電子機器の通常状態での形状(一番使用時間が長い形状での状態)を保つことができるように、予め略U字形状に整形されている方が好ましい。
なお、スライドガイド板9は、電子機器の通常状態での形状(一番使用時間が長い形状での状態)を保つことができるように、予め略U字形状に整形されている方が好ましい。
次に、本発明のケーブルハーネス1の作用効果を説明する。
従来の課題は、電線の本数が増えると配線スペースが大きくなり、この配線スペースを小さくするためにケーブルハーネスを丸めた形状としても高さ方向に厚みがあるため、小型化された電子機器内部に配線することが難しいことであった。
これに対し、図1(c)及び図2(c)に示すケーブルハーネス1は、ケーブルハーネス中央部において折り畳み部8aを有しているため、電子機器内部の小さなスペースでも配線可能になる。
さらに、本願のケーブルハーネス1は、両端末においては織り込みピッチPwが広い粗部4とし、両端末の中間においては織り込みピッチPnが狭い密部5となるように形成しても良い。これにより、コネクタ6を取り付ける両端末では横糸除去処理が簡素化され、両端末以外では断線保護機能が十分に維持されるようになる。
図1(c)及び図2(c)に示すケーブルハーネス1は、樹脂繊維糸3に金属めっきを施しても良い。これにより、この金属めっき樹脂繊維糸3をグランド線3aに利用することができるようになる。コネクタ6の接続先である電子機器の一部と他の一部(例えば、携帯電話機本体と表示部)の基板上のグランドに対してそれぞれグランド線3aを接続し、両部位のグランド電位を等しくすることができる。電子機器のグランドに繋がるコネクタ6のグランド端子にグランド線3aを接続してもよい。電線2が同軸線31又は4心対角同軸線51の場合、金属めっき樹脂繊維糸3を外部導体に接続するとよい。
図1(c)及び図2(c)に示すケーブルハーネス1は、樹脂繊維糸3に金属めっきを施して、この金属めっき樹脂繊維糸3からなるグランド線3aを電子機器のグランドに接続することにより、金属めっき樹脂繊維糸3が電線2の電磁シールド機能を持たせることもできる。特に、電線2が絶縁ワイヤ41の場合、絶縁ワイヤ41が同軸線31と同様のシールド効果を得て、ケーブルハーネス1を高周波信号伝送に用いることができる。同軸線31よりも絶縁ワイヤ41のほうが安価であるので、ケーブルハーネス1の低コスト化が可能となる。
電線2として同軸線31、絶縁ワイヤ41、4心対角同軸線51を混ぜて用い、これらを組み合わせた電線群を構成してもよく、例えば、電源供給用の電線2に絶縁ワイヤ41を用いる。この場合でも、これらの電線2を縦糸とし金属めっき樹脂繊維糸3を横糸として織り込むとよく、両端のグランド線3aを電子機器の両部位のグランドにそれぞれ接続することにより、シールド効果が得られる。
本実施形態では、樹脂繊維糸3を電線2と直角に織り込んだが、樹脂繊維糸3は螺旋状、あるいはジグザグ状に織り込んでもよい。
本実施形態のケーブルハーネス1は、折り畳んだ状態のままであるが、折り畳み部8aの両端を接着テープなどで固定しても良い。
本実施形態では、横糸として金属めっき樹脂繊維糸3を用いたが、横糸には樹脂繊維糸3に金属箔を巻き付けた金属箔糸を用いてもよい。
本実施形態では、2箇所の屈曲部を形成し、3層重ねのケーブルハーネス構造としたが、2層重ねでも4層重ね以上とすることも可能である。
本実施形態では、粗部4を端末から10mm以内としたが、粗部4や密部5の長さは適宜変更可能である。また、織り込みピッチPw,Pnも前述した範囲に限らず、適宜変更可能である。
本発明のケーブルハーネス1を電子機器の可動部に用いることができることを確認するため、本発明の実施例サンプルと比較例サンプルを製作し、評価試験を行った。
・同軸線31を用いたケーブルハーネス
内部導体32は、φ0.02mmの銀めっき銅合金線を7本撚ったものである。この内部導体32の周囲に0.05mmの肉厚でPFAからなる内部絶縁体33を形成した。この内部絶縁体33の外周にφ0.025mmスズめっき銅合金線を横巻して外部導体34を形成した。この外部導体34の周囲に肉厚0.03mmのPFAからなる外部絶縁体35を形成した。この同軸線31の外径はφ0.27mmである。
内部導体32は、φ0.02mmの銀めっき銅合金線を7本撚ったものである。この内部導体32の周囲に0.05mmの肉厚でPFAからなる内部絶縁体33を形成した。この内部絶縁体33の外周にφ0.025mmスズめっき銅合金線を横巻して外部導体34を形成した。この外部導体34の周囲に肉厚0.03mmのPFAからなる外部絶縁体35を形成した。この同軸線31の外径はφ0.27mmである。
長さ100mmの同軸線31を42本束ねて、55μm厚のPTFEテープを1/2ラップで巻いて比較例サンプルT1を製作した。
長さ100mmの同軸線31を42本並列に配置し、更に、この同軸線31の14本目と15本目との間、28本目と29本目との間に長さ100mmのダミー電線7を1本ずつ配置してから、直径20μmのPET糸8本を撚り合わせて最終外径60μmとした樹脂繊維糸3を、ジクザグに織り込んだ。このとき、両端末から5mmまでは織り込みピッチPw=10本/cmの粗部4とし、両端末の中間90mmは織り込みピッチPn=18本/cmの密部5とし、フラットケーブルハーネス10を形成した。そして、2本のダミー電線7を除去することによって形成された隙間部から屈曲させて、14本の電線群を3層に積層してなるケーブルハーネス1を形成して実施例サンプルS1を製作した。
・4心対角同軸線51を用いたケーブルハーネス
内部導体52は、φ0.02mmの銀めっき銅合金線を7本撚ったものである。この内部導体52の周囲に0.025mmの肉厚でPFAからなる絶縁体53を形成し、絶縁ワイヤ54とした。4本の絶縁ワイヤ54を束ねて撚り合わせ、PFAからなる内部ジャケット55で抑え巻きし、この内部ジャケット55の外周にφ0.03mmスズめっき銅合金線を横巻きして外部導体56を形成し、外部導体56の周囲に、フッ素樹脂から成る0.04mm外部ジャケット57とした。この4心対角同軸線51の外径はφ0.44mmである。
内部導体52は、φ0.02mmの銀めっき銅合金線を7本撚ったものである。この内部導体52の周囲に0.025mmの肉厚でPFAからなる絶縁体53を形成し、絶縁ワイヤ54とした。4本の絶縁ワイヤ54を束ねて撚り合わせ、PFAからなる内部ジャケット55で抑え巻きし、この内部ジャケット55の外周にφ0.03mmスズめっき銅合金線を横巻きして外部導体56を形成し、外部導体56の周囲に、フッ素樹脂から成る0.04mm外部ジャケット57とした。この4心対角同軸線51の外径はφ0.44mmである。
長さ100mmの4心対角同軸線51を12本束ねて、55μm厚のPTFEテープを1/2ラップで巻いて比較例サンプルT2を製作した。
長さ100mmの4心対角同軸線51を12本並列に配置し、更に、この4心対角同軸線51の4本目と5本目との間、8本目と9本目との間に長さ100mmのダミー電線7を1本ずつ配置してから、直径20μmのPET糸8本を撚り合わせて外径60μmとし、さらに厚さ1μmの銅めっきを施した金属めっき樹脂繊維糸(CuめっきPET糸;金属めっき高抗張力繊維糸)3を、ジクザグに織り込んだ。このとき、両端末から5mmまでは織り込みピッチPw=10本/cmの粗部4とし、両端末の中間90mmは織り込みピッチPn=18本/cmの密部5とし、フラットケーブルハーネス10を形成した。そして、2本のダミー電線7を除去することによって形成された隙間部から屈曲させて、4本の電線群を3層に積層してなるケーブルハーネス1を形成して実施例サンプルS2を製作した。
・絶縁ワイヤ41を用いたケーブルハーネス
導体42は、φ0.02mmの銀めっき銅合金線を7本撚ったものである。この導体42の周囲に0.05mmの肉厚でPFAからなる絶縁体43を形成し、絶縁ワイヤ41とした。
導体42は、φ0.02mmの銀めっき銅合金線を7本撚ったものである。この導体42の周囲に0.05mmの肉厚でPFAからなる絶縁体43を形成し、絶縁ワイヤ41とした。
長さ100mmの絶縁ワイヤ41を42本並列に配置し、更に、この同軸線31の14本目と15本目との間、28本目と29本目との間に長さ100mmのダミー電線7を1本ずつ配置してから、直径20μmのPET糸8本を撚り合わせて最終外径60μmとした樹脂繊維糸3を、ジクザグに織り込んだ。このとき、両端末から5mmまでは織り込みピッチPw=10本/cmの粗部4とし、フラットケーブルハーネス10を形成した。そして、2本のダミー電線7を除去することによって形成された隙間部から屈曲させて、14本の電線群を3層に積層してなるケーブルハーネス1を形成して実施例サンプルS3を製作した。
次に、ケーブルハーネスに対する機械特性の評価試験について説明する。
図6に示されるように、屈曲試験では、試料ケーブル61を曲げジグ62に挟み込み、曲げジグ62から垂下された試料ケーブル61の下端に錘63を取り付ける。曲げジグ62を#1のように90°左に回転させ、#2のように90°右に回転させて元に戻し、さらに、曲げジグ62を#3のように90°右に回転させ、#4のように90°左に回転させて元に戻す。これにより、試料ケーブル61は所定の引っ張り荷重がかけられた状態で左右に90°ずつの屈曲を繰り返し与えられることになる。
試験速度は30回/分とした。屈曲角度は±90°とした。試験サイクルは#1→#2
→#3→#4とした。荷重は0.3N(30gf)、曲げ半径は2mmとした。
→#3→#4とした。荷重は0.3N(30gf)、曲げ半径は2mmとした。
断線検知方法は、試料ケーブル61に常時数Vの電圧を加え、電流値が試験開始時に比べて20%低下した時点を寿命(断線が起きる屈曲回数)とする。
図7に示されるように、捻回試験では、試料ケーブル71を固定チャック部72と捻回チャック部73で把持する。固定チャック部72と捻回チャック部73との間が捻回部74となる。捻回チャック部73を#1のように180°左旋回させ、#2のように180°右旋回させて元に戻し、さらに、捻回チャック部73を#3のように180°右旋回させ、#4のように180°左旋回させて元に戻す。これにより、試料ケーブル71は捻回部74において左右に180°ずつの捻回を繰り返し与えられることになる。
試験速度は30回/分とした。屈曲角度は±180°とした。試験サイクルは#1→#2→#3→#4とした。捻回部長さは10mmとした。
断線検知方法は、試料ケーブル71に常時数Vの電圧を加え、電流値が試験開始時に比べて20%低下した時点を寿命(断線が起きる捻回回数)とする。
図8に示されるように、スライド試験では、試料ケーブル81にU字状の折り返し部82を形成する。試料ケーブル81の先端部83を#1のように折り返し部82のほうへ直線移動させ、#2のように折り返し部82と反対方向に直線移動させて元に戻す。これにより、試料ケーブル81は所定の長さ範囲にわたりU字状の折り返しを繰り返し与えられることになる。
試験速度は30回/分とした。スライド内幅は4mmとした。試験サイクルは#1→#2とした。ストローク長は60mmとした。
断線検知方法は、試料ケーブル81に常時数Vの電圧を加え、電流値が試験開始時に比べて20%低下した時点を寿命(断線が起きるスライド回数)とする。
これらの評価試験を実施例サンプルS1〜S3及び比較例サンプルT1,T2について実施した結果、以下の評価が得られた。
屈曲試験においては、比較例サンプルT1,T2は5万回で断線したのに対し、実施例サンプルS1〜S3は30万回以上でも断線せず、折り畳み部の形状も乱れなかった。
捻回試験においては、比較例サンプルT1,T2は10万回で断線したのに対し、実施例サンプルS1〜S3は25万回以上でも断線せず、折り畳み部の形状は乱れなかった。
スライド試験においては、比較例サンプルT1,T2は2万回で断線したのに対し、実施例サンプルS1〜S3は20万回以上でも断線せず、折り畳み部の形状は乱れなかった。
以上の評価試験の結果から、本発明は、携帯電話機、ノートパソコン、薄型液晶テレビ、PDA(携帯情報端末)、カメラ、プリンタ等の電子機器に使用される電気特性、機械特性に優れるケーブルハーネス1を提供することができることが分かる。
1 ケーブルハーネス
2 電線
3 樹脂繊維糸(金属めっき樹脂繊維糸)
4 粗部
5 密部
6 コネクタ
8a 折り畳み部
2 電線
3 樹脂繊維糸(金属めっき樹脂繊維糸)
4 粗部
5 密部
6 コネクタ
8a 折り畳み部
Claims (4)
- 複数の電線がフラット状に並べられ、これら電線を縦糸とし樹脂繊維糸を横糸として織り込まれたフラットケーブルハーネスを前記電線群の並列方向に折り畳んで積層することによって折り畳み部を有することを特徴とするケーブルハーネス。
- 前記折り畳み部にスライドガイド板を挟み込んで、該スライドガイド板と前記電線とを接着固定したことを特徴とする請求項1に記載のケーブルハーネス。
- 複数の電線と1本以上のダミー電線とをフラット状に並べて電線群を形成する工程と、該電線群を縦糸とし樹脂繊維糸を横糸として織り込むことによってフラットケーブルハーネスを形成する工程と、前記ダミー電線を前記電線群より除去して前記フラットケーブルハーネス中に隙間部を形成する工程と、該隙間部を屈曲部として前記フラットケーブルハーネスを前記電線群の並列方向に折り畳んで積層することによって折り畳み部を有するケーブルハーネスを形成する工程とからなるケーブルハーネスの製造方法。
- 前記屈曲部内にスライドガイド板を挟み込む工程をさらに設けたことを特徴とする請求項3に記載のケーブルハーネスの製造方法。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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