JP2011115736A - 二酸化セレン回収装置およびそれを用いた排ガス除害装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】太陽電池製造装置から排出されるセレン化水素を熱分解することによって生成される二酸化セレンを確実かつ安全に回収することのできる二酸化セレン回収装置を提供する。
【解決手段】二酸化セレン回収装置14を、バッファー空間44の温度を二酸化セレンGの気化温度以上に維持する温度維持手段46を備えるバッファー室34と、二酸化セレンGを固化温度以下に冷却して処理対象ガスFから固体状の二酸化セレンGを分離する二酸化セレン分離室36と、処理対象ガスF中に残留する固体状の二酸化セレンGを乾式集塵する乾式集塵室38とで構成し、バッファー室34と二酸化セレン分離室36との間、および二酸化セレン分離室36と乾式集塵室38との間に通流路50、66の断面積を部分的に小さくするバッフル54、70を設けることにより上記課題を解決できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、二酸化セレンを処理対象ガスから回収する二酸化セレン回収装置およびそれを用いた排ガス除害装置に関する。
CVD装置等の半導体製造装置から排出される、様々な爆発性、腐食性、あるいは高い毒性を有する有害ガスを含む処理対象ガスを無害化する排ガス除害装置として、処理対象ガスを第1スクラバにて水洗処理して当該処理対象ガス中に含まれる可溶成分や粉塵を除去し、続いて熱分解炉にて処理対象ガスに含まれる有害ガスを熱分解処理して無害化し、然る後、第2スクラバにて上記熱分解処理時に発生した粉塵を水洗して大気放出するものが、従来から一般に使用されている(例えば、特許文献1)。
特開2007−61754号公報
ところで、近年、環境負荷に対する意識の高まりから、太陽電池の生産量が世界的に急増しており、当該太陽電池の製造装置から排出される排ガスに含まれる毒性のセレン化水素(H2Se)を安全に除害することが求められてきている。
しかしながら、上述した特許文献1の排ガス除害装置では、セレン化水素を安全に除害するという点において改良の余地があった。なぜならば、セレン化水素を熱分解炉で酸化分解することにより、二酸化セレン(SeO2)が生成されるが、この二酸化セレンは、常温において無色固体で、独特の不快臭を持ち毒性が強い(この毒性は、吸入により、あるいは皮膚からも吸収されてしまう。)という性質を有しており、さらに水への溶解度も非常に高い。このため、特許文献1の排ガス除害装置を用いてセレン化水素を除害すると、熱分解炉で生成された二酸化セレンが第2スクラバにおいて水洗水に溶解してしまい、排ガス除害装置に当該二酸化セレンを含有する水洗水の処理装置を組み込む必要が生じることとなり、処理対象排ガスの除害が非常に困難かつ高額となり、なによりも安全性に問題が生じるおそれがあった。
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みて開発されたものである。それゆえに本発明の主たる課題は、太陽電池製造装置から排出されるセレン化水素を熱分解することによって生成される二酸化セレンを確実かつ安全に回収することのできる二酸化セレン回収装置および二酸化セレンを含有する水洗水の処理装置を組み込む必要のない排ガス除害装置を提供することにある。
請求項1に記載した発明は、「処理対象ガスFに含まれるセレン化水素Hを熱分解炉12にて熱分解処理することによって生成された二酸化セレンGを前記処理対象ガスFから回収する二酸化セレン回収装置14であって、
前記熱分解炉12から排出されたガス状の前記二酸化セレンGを含む処理対象ガスFを受け入れるバッファー空間44を内部に有するとともに、前記バッファー空間44の温度を前記二酸化セレンGの気化温度以上に維持する温度維持手段46を備えるバッファー室34と、
前記バッファー室34から受け入れた処理対象ガスF中におけるガス状の前記二酸化セレンGを固化温度以下に冷却して前記処理対象ガスFから固体状の前記二酸化セレンGを分離する二酸化セレン分離空間62を内部に有するとともに、前記二酸化セレン分離空間62を冷却する冷却装置64を備える二酸化セレン分離室36と、
前記二酸化セレン分離室36から排出された前記処理対象ガスFを受け入れ、前記処理対象ガスF中に残留する固体状の前記二酸化セレンGを乾式集塵する乾式集塵室38とを備えており、
前記バッファー室34と前記二酸化セレン分離室36との間、および前記二酸化セレン分離室36と前記乾式集塵室38との間の通流路50、66には、前記通流路50、66の断面積を部分的に小さくするバッフル54、70がそれぞれ設けられていることを特徴とする二酸化セレン回収装置14」である。
本発明の二酸化セレン回収装置14によれば、熱分解炉12にて生成されたガス状の二酸化セレンGを含む処理対象ガスFは、最初に、当該二酸化セレン回収装置14におけるバッファー室34のバッファー空間44に導入される。ここで、当該バッファー空間44は、温度維持手段46(例えば、電気ヒータ、燃料バーナ、あるいは保温材等の温度維持手段が考えられる。)によって二酸化セレンGの気化温度(=昇華温度:約315℃)以上に維持されていることから、処理対象ガスF中の二酸化セレンGは、ガス状態を維持したまま、処理対象ガスFとともに、次の二酸化セレン分離室36に導入される。
二酸化セレン分離室36に導入された処理対象ガスFに含まれるガス状の二酸化セレンGは、二酸化セレン分離室36内でその固化温度以下に冷却されることによって固体に相変化し、その大部分が処理対象ガスFから分離する。したがって、熱分解炉12で生成された二酸化セレンGの大部分は、この二酸化セレン分離室36に溜まることになる。そして、固体状の二酸化セレンGの大部分が分離した後の処理対象ガスFは、次の乾式集塵室38に導入される。
乾式集塵室38に導入された処理対象ガスF中に含まれる固体状の二酸化セレンGは、水や薬液といった液体を使用することのない乾式集塵(乾式集塵の種類としては、重力集塵、遠心力集塵、フィルター集塵、あるいは電気集塵等が考えられる。)により、処理対象ガスFから分離される。このようにして固体状の二酸化セレンGが除去された処理対象ガスFは、二酸化セレン回収装置14から排出されて大気放出されるか、あるいは次の処理工程に送られる。
このように所定量の処理対象ガスFを処理して二酸化セレン回収装置14内に固体状の二酸化セレンGが溜まると、処理対象ガスFの導入を停止して処理ラインから二酸化セレン回収装置14を取り外し、然る後、当該二酸化セレン回収装置14を漏水対策等の安全対策が厳しく管理された施設あるいは区画まで運搬し、当該施設や区画内で二酸化セレン回収装置14の内部を水洗等して二酸化セレンGを除去する。
本発明の二酸化セレン回収装置14では、このように水や薬液を使用することなく固体の二酸化セレンGを処理対象ガスFから分離することができるので、特許文献1の排ガス除害装置のように、二酸化セレンを含有する水洗水の処理装置を排ガス除害装置10に組み込む必要がなくなる。
加えて、処理対象ガスF中の二酸化セレンGは、その大部分が、バッファー室34と乾式集塵室38との間における二酸化セレン分離室36において処理対象ガスFから分離されるようになっており、この二酸化セレン分離室36とバッファー室34との間、および二酸化セレン分離室36と乾式集塵室38との間(つまり、二酸化セレン分離室36の出入口)における処理対象ガスFの通流路50、66には、当該通流路50、66の断面積を部分的に小さくするバッフル54、70が設けられている。このため、処理対象ガスFがバッファー室34から二酸化セレン分離室36に流入する際、あるいは二酸化セレン分離室36から乾式集塵室38に流出する際に当該バッフル54、70によって乱流が生じて、固体化した二酸化セレンGが処理対象ガスFから分離し易くなる。また、上述のように、二酸化セレン回収装置14を処理ラインから取り外して運搬する際、二酸化セレン分離室36に溜まった固体状の二酸化セレンGがバッフル54、70の存在によってバッファー室34あるいは乾式集塵室38に流出し難くなることから、取り外した二酸化セレン回収装置14の運搬中に二酸化セレンGが誤って外部にこぼれ出すおそれを極小化することができる。
請求項2に記載した発明は、請求項1の二酸化セレン回収装置14に関し、「前記処理対象ガスFを前記バッファー室34に導く処理対象ガス導入管56と、
処理後の前記処理対象ガスFを前記乾式集塵室38から排出する処理対象ガス排出管84とを更に備えており、
前記処理対象ガス導入管56および前記処理対象ガス排出管84の先端には、それぞれカプラ58、86が取り付けられており、前記各カプラ58、86の手前側にはそれぞれバルブ60、88が取り付けられている」ことを特徴とする。
この発明によれば、二酸化セレン回収装置14を処理ラインから取り外してその内部を水洗する際、処理対象ガス導入管56および処理対象ガス排出管84に取り付けられたバルブ60、88を閉じ、然る後、カプラ58、86を外すことにより、内部に溜められた二酸化セレンGが外部にこぼれ出てしまうのを完全に防止できるとともに、二酸化セレン回収装置14の着脱をより簡単に行うことができる。
請求項3に記載した発明は、「処理対象ガスFに含まれるセレン化水素Hを熱分解する熱分解炉12と、
前記セレン化水素Hを熱分解することによって生成されたガス状の二酸化セレンGを固体化して回収する請求項1または2に記載の二酸化セレン回収装置14と、
前記二酸化セレン回収装置14から排出された処理対象ガスFに含まれる水溶性成分を除去するスクラバー18とを備える排ガス除害装置10」である。
本発明により、固体の二酸化セレンを水や薬液を使用することなく処理対象ガスから分離することにより、該二酸化セレンを確実かつ安全に回収することのできる二酸化セレン回収装置、および、このような二酸化セレン回収装置を用いることにより、二酸化セレンを含有する水洗水の処理装置を組み込む必要のない排ガス除害装置を提供することができた。
本発明の二酸化セレン回収装置を含む排ガス除害装置を示すフロー図である。 本発明の二酸化セレン回収装置の概略断面図である。 他の実施例に係る二酸化セレン回収装置の概略断面図である。
本発明が適用された二酸化セレン回収装置14の実施例について、図面を用いて説明する。図1は、二酸化セレン回収装置14を含む排ガス除害装置10を示すフロー図であり、図2は、二酸化セレン回収装置14の概略断面図である。
排ガス除害装置10は、セレン化水素Hを含有する処理対象ガスFの除害処理を行う装置であり、このような排ガス除害装置10は、図1に示すように、大略、熱分解炉12と、二酸化セレン回収装置14と、濾過装置16と、スクラバー18とで構成されている。
熱分解炉12は、太陽電池製造装置(図示せず)から排出された、セレン化水素Hを含む処理対象ガスFを受け入れて当該セレン化水素Hを熱分解する装置であり、ケーシング20と、ヒータ22と、入口管24および出口管26とを備えている。
ケーシング20は、内部空間28を有する円柱状体であり、当該内部空間28に面する内壁は、耐火材で構成されている。また、ケーシング20の上部側面には、外部から内部空間28に処理対象ガスFを導入するための導入孔30が設けられており、当該導入孔30に入口管24が接続されている。さらに、ケーシング20の下部側面には、熱分解処理後の処理対象ガスFを排出するための排出孔32が設けられており、当該排出孔32に出口管26が接続されている。
ヒータ22は、ケーシング20の上面から内部空間28に挿設された電気ヒータ(シーズヒータ)であり、内部空間28の温度を、処理対象ガスF中のセレン化水素Hの熱分解可能温度(セレン化水素を熱分解する場合であれば650℃)よりも高く維持することができるようにその容量および本数が適宜設定される。なお、ヒータ22の熱源は電気に限られず、大気圧プラズマや燃料バーナを使用することもできる。
二酸化セレン回収装置14は、処理対象ガスFに含まれるセレン化水素Hを熱分解炉12で熱分解処理することによって生成された二酸化セレンGを処理対象ガスFから回収する装置であり、図2に示すように、バッファー室34、二酸化セレン分離室36、および乾式集塵室38を有している。本実施例では、1つのケーシング40の内部空間を2つの仕切壁42a、42bで仕切ることにより、上記した3室34、36、38が連続一体的に形成されている。なお、3室34、36、38のそれぞれを独立したケーシングを用いて形成して互いに配管で接続することによって二酸化セレン回収装置14を構成してもよい。
バッファー室34は、熱分解炉12から排出されたガス状の二酸化セレンGを含む処理対象ガスFを受け入れるバッファー空間44を内部に有しており、バッファー空間44の温度を二酸化セレンGの気化温度以上に維持する温度維持手段46を備えている。
本実施例におけるバッファー空間44には、バッファー室34の内天面から下方に延びる壁52が設けられており、当該バッファー空間44は、U字状の通流路50に形成されている。また、ケーシング40には、図2中左上側に処理対象ガスFを受け入れる処理対象ガス導入孔48が設けられており、バッファー室34と二酸化セレン分離室36とを仕切る仕切壁42aの図中上方には、当該通流路50の断面積を部分的に小さくするための通流孔49を有するバッフル54が設けられている(通流孔49の位置は、バッフル54の中央部でもよいし、周縁部でもよい。さらにバッフル54の周縁を切り欠き、当該切り欠き部と通流路50の内面とで通流孔49を形成してもよい。以下、バッフル70でも同じ。)。これにより、処理対象ガス導入孔48から導入された処理対象ガスFは、通流路50をU字状に蛇行したのち、通流孔49を通って二酸化セレン分離室36に導入されるようになっている。
また、処理対象ガス導入孔48には、処理対象ガスFをバッファー室34内に導く処理対象ガス導入管56が接続されており、当該処理対象ガス導入管56の先端には、カプラ58が取り付けられており、さらに、カプラ58の手前側(=ケーシング40側)にはバルブ60が取り付けられている。
温度維持手段46は、バッファー空間44の温度を二酸化セレンGの気化温度(=昇華温度:約315℃)以上に維持するための手段であり、本実施例では、バッファー室34の天井面からバッファー空間44に挿設された棒状の電気ヒータ(バッファー空間44の温度をセレン化水素Hの気化温度以上に維持することができるように、電気ヒータの容量および本数は適宜設定される。)が使用されている。もちろん、温度維持手段46は、これに限られるものではなく、都市ガス等を用いる燃料バーナを使用してもよいし、熱伝導率の低い保温材でバッファー室34を覆うことにより、バッファー空間44の温度を維持してもよい。
二酸化セレン分離室36は、バッファー室34から導入された処理対象ガスF中におけるガス状の二酸化セレンGを固化温度以下(=315℃以下。本実施例では、60℃以下にすることによって二酸化セレンGがガス化するおそれを確実に回避している。)に冷却して処理対象ガスFから固体状の二酸化セレンGを分離するものであり、その内部に二酸化セレン分離空間62を有しているとともに、この二酸化セレン分離空間62を冷却するための冷却装置64を備えている。
本実施例では、二酸化セレン分離空間62に、左右の仕切壁42a、42bのそれぞれから、対向する仕切壁42a、42bに向けて水平に延びる水平壁68がそれぞれ2セットずつ設けられており、水平壁68の先端と、これに対向する仕切壁42a、42bとの間には隙間が設けられている。これにより、二酸化セレン分離空間62には、図中下方向に蛇行する通流路66が形成されており、バッファー室34から二酸化セレン分離空間62に導入された処理対象ガスFは、当該通流路66を図中左右に蛇行しつつ下方に通流し、然る後、二酸化セレン分離室36と乾式集塵室38との間の通流路66から次の乾式集塵室38に導入される。また、二酸化セレン分離室36と乾式集塵室38とを仕切る仕切壁42bの図中下方には、通流路66の断面積を部分的に小さくするための通流孔67を有するバッフル70が設けられている。なお、乾式集塵室38における処理対象ガス排出孔82(後述)にバッフルを設けることもできる。
冷却装置64は、内部に冷却水通流空間を有しており二酸化セレン分離空間62を図中上下方向に貫通するようにして設けられた複数の冷却管72と、これら冷却管72の上下端が接続されており、冷却水CWを各冷却管72に分配し、あるいは各冷却管72からの冷却水CWを集める分配ヘッダ74および集合ヘッダ76と、分配ヘッダ74に冷却水CWを供給する冷却水供給管78と、集合ヘッダ76から冷却水CWを外部へ排出する冷却水排出管80とで構成されている(なお、後述するように二酸化セレン回収装置14を処理ラインから取り外す際、冷却水供給管78および冷却水排出管80を容易に切り離すことができるように、これら冷却水供給管78および冷却水排出管80には、それぞれバルブ150が取り付けられており、さらに当該バルブ150よりもヘッダ74、76側にはカプラ152がそれぞれ取り付けられている。)。冷却水排出管80から排出された冷却水CWは、図示しないチラー(冷却器)等に通して冷やされた後、冷却水供給管78を介して再び分配ヘッダ74に供給される。
なお、冷却装置64は、上述したような冷却水CWを通流させるようなものに限られず、二酸化セレン分離室36を臨むケーシング40の表面にフィン(図示せず)を設けて内部の熱を大気に向けて積極的に放散させることにより、処理対象ガスF(および二酸化セレン)を冷却するようにしてもよい。
乾式集塵室38は、二酸化セレン分離室36から排出された処理対象ガスFを受け入れた後、当該処理対象ガスF中に残留する固体状の二酸化セレンGを、水や薬液といった液体を使用することなく乾式集塵するものであり、本実施例では、処理対象ガスFが通流する通流路81の断面積Aをバッファー室34や二酸化セレン分離室36における通流路50、66の断面積Bよりも大きく設定することにより、乾式集塵室38の内部における処理対象ガスFの流速を遅くして、処理対象ガスFから固体状の二酸化セレンGを重力分離するようになっている。もちろん、乾式集塵の種類としては、このような重力集塵に限られず、バグフィルター等を用いたフィルター集塵、サイクロンを用いた遠心力集塵、あるいは電気集塵等を用いることができる。
本実施例における乾式集塵室38には、図2中右上側に処理後の処理対象ガスFを排出する処理対象ガス排出孔82が設けられている。また、当該処理対象ガス排出孔82には、処理対象ガスFを排出して濾過装置16に導くが接続されており、当該処理対象ガス排出管84の先端には、カプラ86が取り付けられており、さらに、カプラ86の手前側(=ケーシング40側)にはバルブ88が取り付けられている。
濾過装置16は(図1)、必要に応じて二酸化セレン回収装置14とスクラバー18との間に設けられる装置であり、二酸化セレン回収装置14に万一トラブルが発生して同装置14から排出された処理対象ガスF中に固体状の二酸化セレンGが残留するようなことがあっても後段のスクラバー18に二酸化セレンGが流出しないようにするバックアップの役割を有している。
この濾過装置16は、大略、内部空間90を有するケーシング92と、仕切部材94と、濾布96とで構成されている。
ケーシング92は、ステンレスなどの金属材料(もちろん、耐熱性および耐食性を有する材料であれば、他の材料であってもよい。)で形成された内部空間90を有する密閉筒状体である。この内部空間90は、仕切部材94で上下2つの空間に仕切られ、仕切部材94よりも下側の空間が排ガス導入空間90a、上側の空間が排ガス導出空間90bとなっている。
仕切部材94の表面には排ガス導入空間90aと排ガス導出空間90bとを互いに連通する複数の連通孔98が設けられている(図1には代表として1つの連通孔98だけが描かれている。)。そしてこの連通孔98には、濾布96の形状を円筒状に維持するための骨組みであるリテーナ100が、排ガス導入空間90aに突出するようにして取り付けられている。
濾布96は、PTFE(4フッ化エチレン)繊維等の耐熱性の繊維からなる布帛(不織布や織布)で構成された細長袋状の濾材で、リテーナ100の排ガス導入空間90a側表面を覆うように被せられると共に、その開口部側が仕切部材94の連通孔98に対し、処理対象ガスFのリークがないように密着して取り付けられている。
スクラバー18は、濾過装置16(濾過装置16が設けられていない場合には、二酸化セレン回収装置14)から排出された処理対象ガスFに含まれる水溶性成分を除去する装置であり、その底部が水槽102となっており、濾過装置16(あるいは二酸化セレン回収装置14)からの配管が接続された円筒状(もちろん、角筒状等の他の形状でもよい。)のスクラバー本体104と、出口スクラバー本体104の内部に配設され、水供給配管106が接続された水噴射ノズル108と、一端が出口スクラバー本体104の側面上側に接続されており、他端が排気ファン(図示せず)に接続された処理対象ガス排出ダクト110とを備えている。
このような排ガス除害装置10を用いて、太陽電池製造装置(図示せず)から排出された、セレン化水素Hを含む処理対象ガスFを除害する手順について、特に二酸化セレン回収装置14における作用効果を中心に説明する。
まず、図示しない排気ファンを稼働させて排ガス除害装置10内部全体を負圧にするとともに、熱分解炉12のヒータ22を稼働させて熱分解炉12の内部空間28を昇温し、二酸化セレン回収装置14のバッファー室34における温度維持手段46(=電気ヒータ)を稼働させてバッファー空間44を昇温し、さらにスクラバー18の水槽102内に貯留された水を水噴射ノズル108から噴射する。
熱分解炉12の内部空間28およびバッファー空間44が所定の温度(=セレン化水素Hの熱分解可能温度)に達したことを確認した後、太陽電池製造装置から入口管24を介して、処理対象ガスFを熱分解炉12に導入する。
熱分解炉12に導入された処理対象ガスFは、内部空間28においてヒータ22からの熱を受けて処理対象ガスF中のセレン化水素Hの熱分解可能温度(650℃)以上まで昇温される。これにより、セレン化水素Hは、下記式のように熱分解されてガス状の二酸化セレンGが生成する。
2H2Se+3O2+ → 2SeO2+2H2
ガス状の二酸化セレンGを含む処理対象ガスFは、熱分解炉12の排出孔32から排出され、出口管26および処理対象ガス導入管56を介して二酸化セレン回収装置14の処理対象ガス導入孔48からバッファー室34のバッファー空間44に導入される(図2)。
二酸化セレン回収装置14のバッファー空間44は、温度維持手段46によって二酸化セレンGの気化温度以上に維持されている。これにより、処理対象ガスF中の二酸化セレンGは、ガス状態を維持したままで処理対象ガスFとともにバッファー空間44内の通流路50を通流し、バッフル54の通流孔49を通過して二酸化セレン分離室36に導入される。
二酸化セレン分離室36の二酸化セレン分離空間62に導入された処理対象ガスF(ガス状の二酸化セレンGを含む。)は、通流路66を図中左右に蛇行しつつ下方に通流していくとともに、冷却装置64によって二酸化セレンGの固化温度以下(本実施例であれば、60℃程度)に冷却される。冷却されることによって固体化した二酸化セレンGは処理対象ガスFから分離して二酸化セレン分離空間62内に溜まっていくことになるが、本実施例では、上述のように二酸化セレン分離空間62内で処理対象ガスFを蛇行させながら通流させることから、処理対象ガスFの流れが大きく反転する二酸化セレン分離空間62内の図中左右端部で主として二酸化セレンGの分離が行われ、当該部に二酸化セレンGが堆積する。
そして、大部分の二酸化セレンGが分離された処理対象ガスFは、バッフル70の通流孔67を介して乾式集塵室38に導入される。処理対象ガスFが二酸化セレン分離室36から流出する際にバッフル70によって乱流が生じることにより、二酸化セレンGが処理対象ガスFから分離し易くなり、バッフル70の上流側(つまり、バッフル70から見て二酸化セレン分離空間62側)にも二酸化セレンGが溜まる(なお、同様の理由で、二酸化セレン分離空間62の入口側のバッフル54から見て二酸化セレン分離空間62側にも(この位置では、未だ二酸化セレンGが十分に冷却されていないことから「バッフル70の上流側」ほどではないが)二酸化セレンGが溜まる。)。
乾式集塵室38に導入された処理対象ガスF中に含まれる固体状の二酸化セレンGは、乾式集塵室38において乾式集塵により、処理対象ガスFから分離される。その後、処理対象ガスFは、処理対象ガス排出孔82を通過して乾式集塵室38から排出され、処理対象ガス排出管84を介して濾過装置16に導入される。
濾過装置16に導入された処理対象ガスFは(図1)、濾布96を通過する際に濾過されることにより、万一、濾過装置16に導入された処理対象ガスF内に個体状の二酸化セレンGが残留していた場合であっても、当該二酸化セレンGを濾布96で捕捉して処理対象ガスFから分離することができる。
濾過装置16から排出された後、処理対象ガスFはスクラバー18に導入され、当該処理対象ガスF中に含まれる水溶性成分は、当該スクラバー18内を通流中に、水供給配管106を通って水噴射ノズル108から噴射された水(もちろん、単なる水だけでなく、処理対象ガスFに含まれる成分に応じた薬液を使用してもよい。)に吸収除去される。
このようにして除害された処理対象ガスFは、処理対象ガス排出ダクト110から排気ファン(図示せず)を介して外部へ排出される。
ところで、所定量の処理対象ガスFを処理することによって二酸化セレン回収装置14内に固体状の二酸化セレンGが溜まると、処理対象ガスFの導入を停止して処理ラインから二酸化セレン回収装置14を取り外し、然る後、当該二酸化セレン回収装置14を漏水対策等の安全対策が厳しく管理された施設あるいは区画まで運搬し、当該施設や区画内で二酸化セレン回収装置14の内部を水洗等して二酸化セレンGを除去する。
このように、二酸化セレン回収装置14では、水や薬液を使用することなく固体の二酸化セレンGを処理対象ガスFから分離することができるので、二酸化セレンを含有する水洗水の処理装置を排ガス除害装置10に組み込む必要がなくなる。
加えて、処理対象ガスF中の二酸化セレンGは、その大部分が、バッファー室34と乾式集塵室38との間における二酸化セレン分離室36において処理対象ガスFから分離されるようになっており、加えて、この二酸化セレン分離室36とバッファー室34との間、および二酸化セレン分離室36と乾式集塵室38との間(つまり、二酸化セレン分離室36の出入口)における処理対象ガスFの通流路50、66には、当該通流路50、66の断面積を部分的に小さくするバッフル54、70が設けられている。このため、処理対象ガスFがバッファー室から二酸化セレン分離室36に流入する際、あるいは二酸化セレン分離室36から乾式集塵室38に流出する際に、当該バッフル54、70によって乱流が生じることにより、固体化した二酸化セレンGが処理対象ガスFから分離し易くなる。また、上述のように、二酸化セレン回収装置14を処理ラインから取り外して運搬する際、二酸化セレン分離室36に溜まった固体状の二酸化セレンGがバッフル54、70の存在によってバッファー室34あるいは乾式集塵室38に流出し難くなることから、二酸化セレン回収装置14の運搬中に二酸化セレンGが誤って外部にこぼれ出すおそれを極小化することができる。
また、二酸化セレン回収装置14を処理ラインから取り外してその内部を水洗する際、処理対象ガス導入管56および処理対象ガス排出管84に取り付けられたバルブ60、88を閉じ、然る後、カプラ58、86を外すことにより、溜められた二酸化セレンGが外部にこぼれ出てしまうのを完全に防止できるとともに、二酸化セレン回収装置14の着脱をより簡単に行うことができる。
なお、図3に示すように、二酸化セレン回収装置14の乾式集塵室38においてフィルター集塵手段112を用いるとともに、該乾式集塵室38の下部を円錐あるいは角錐状のホッパー114とし、ホッパー114の下部に固体状の二酸化セレンGの回収ハッチ116を設けてもよい。また、この実施例の場合、重力分離方式よりも二酸化セレンGの回収効率が高いフィルター集塵手段112が用いられているので、二酸化セレン分離室36と乾式集塵室38との間に、バッフル70は設けられていない。
このフィルター集塵手段112は、大略、仕切部材118と、濾布120とで構成されている。
乾式集塵室38の内部は、仕切部材118で上側空間122aと下側空間122bとに仕切られている。仕切部材118の表面には上側空間122aと下側空間122bとを互いに連通する複数の連通孔124(図3には代表として1つの連通孔124だけが描かれている。)が設けられている。そしてこの連通孔124には、濾布120の形状を円筒状に維持するための骨組みであるリテーナ126が、下側空間122bに突出するようにして取り付けられている。
濾布120は、PTFE(4フッ化エチレン)繊維等の耐熱性の繊維からなる布帛(不織布や織布)で構成された細長袋状の濾材で、リテーナ126の下側空間122b側表面を覆うように被せられると共に、その開口部側が仕切部材118の連通孔124に対し、処理対象ガスFのリークがないように密着して取り付けられている。
当該実施例の二酸化セレン回収装置14によれば、二酸化セレン分離室36および乾式集塵室38で処理対象ガスFから分離された固体状の二酸化セレンGの多くはホッパー114に溜められる。このため、所定量の処理対象ガスFを除害処理した後で処理ラインから二酸化セレン回収装置14を取り外し、クリーンルーム外に設けられた漏水対策等の安全対策が厳しく管理された施設あるいは区画で当該二酸化セレン回収装置14の内部を水洗することもできるし、あるいは、回収ハッチ116を開けてホッパー114に溜まった二酸化セレンGを回収し、再び処理ラインに取り付けて処理対象ガスFを処理するといった手順を数回繰り返した後、内部水洗を行うようにしてもよい。後者の方がより簡単な二酸化セレン回収装置14の内部清掃作業であることはいうまでもない。
また、上記実施例では、処理対象ガスFを二酸化セレン回収装置14のバッファー室34に導く処理対象ガス導入管56と、処理後の処理対象ガスFを乾式集塵室38から排出する処理対象ガス排出管84とにそれぞれカプラ58、86およびバルブ60、88が取り付けられているが、カプラを切り離すと同時に流路が遮断されるチェック弁付きカプラを使用すれば、両管56、84にカプラとバルブとを別々に設ける必要がなくなることから、手間やコストの面で好適である。
10…排ガス除害装置
12…熱分解炉
14…二酸化セレン回収装置
16…濾過装置
18…スクラバー
20…ケーシング
22…ヒータ
24…入口管
26…出口管
28…内部空間
30…導入孔
32…排出孔
34…バッファー室
36…二酸化セレン分離室
38…乾式集塵室
40…ケーシング
42a、42b…仕切壁
44…バッファー空間
46…温度維持手段
48…処理対象ガス導入孔
49…通流孔
50…通流路
52…壁
54…バッフル
56…処理対象ガス導入管
58…カプラ
60…バルブ
62…二酸化セレン分離空間
64…冷却装置
66…通流路
67…通流孔
68…水平壁
70…バッフル
72…冷却管
74…分配ヘッダ
76…集合ヘッダ
78…冷却水供給管
80…冷却水排出管
81…通流路
82…処理対象ガス排出孔
84…処理対象ガス排出管
86…カプラ
88…バルブ
90…内部空間
92…ケーシング
94…仕切部材
96…濾布
98…連通孔
100…リテーナ
102…水槽
104…スクラバー本体
106…水供給配管
108…水噴射ノズル
110…処理対象ガス排出ダクト
112…フィルター集塵手段
114…ホッパー
116…回収ハッチ
118…仕切部材
120…濾布
122a…上側空間、122b…下側空間
124…連通孔
126…リテーナ
150…バルブ
152…カプラ

Claims (3)

  1. 処理対象ガスに含まれるセレン化水素を熱分解炉にて熱分解処理することによって生成された二酸化セレンを前記処理対象ガスから回収する二酸化セレン回収装置であって、
    前記熱分解炉から排出されたガス状の前記二酸化セレンを含む処理対象ガスを受け入れるバッファー空間を内部に有するとともに、前記バッファー空間の温度を前記二酸化セレンの気化温度以上に維持する温度維持手段を備えるバッファー室と、
    前記バッファー室から受け入れた処理対象ガス中におけるガス状の前記二酸化セレンを固化温度以下に冷却して前記処理対象ガスから固体状の前記二酸化セレンを分離する二酸化セレン分離空間を内部に有するとともに、前記二酸化セレン分離空間を冷却する冷却装置を備える二酸化セレン分離室と、
    前記二酸化セレン分離室から排出された前記処理対象ガスを受け入れ、前記処理対象ガス中に残留する固体状の前記二酸化セレンを乾式集塵する乾式集塵室とを備えており、
    前記バッファー室と前記二酸化セレン分離室との間、および前記二酸化セレン分離室と前記乾式集塵室との間の通流路には、前記通流路の断面積を部分的に小さくするバッフルがそれぞれ設けられていることを特徴とする二酸化セレン回収装置。
  2. 前記処理対象ガスを前記バッファー室に導く処理対象ガス導入管と、
    処理後の前記処理対象ガスを前記乾式集塵室から排出する処理対象ガス排出管とを更に備えており、
    前記処理対象ガス導入管および前記処理対象ガス排出管の先端には、それぞれカプラが取り付けられており、前記各カプラの手前側にはそれぞれバルブが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の二酸化セレン回収装置。
  3. 処理対象ガスに含まれるセレン化水素を熱分解する熱分解炉と、
    前記セレン化水素を熱分解することによって生成されたガス状の二酸化セレンを固体化して回収する請求項1または2に記載の二酸化セレン回収装置と、
    前記二酸化セレン回収装置から排出された処理対象ガスに含まれる水溶性成分を除去するスクラバーとを備える排ガス除害装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105256285A (zh) * 2015-10-28 2016-01-20 河北曹妃甸汉能薄膜太阳能有限公司 真空硒化装置和真空硒化的方法
JP2016528372A (ja) * 2013-05-16 2016-09-15 スミット サーマル ソリューションズ ベー.フェー. 基板に材料を適用するための装置及び方法
CN112173450A (zh) * 2020-09-04 2021-01-05 广东长信精密设备有限公司 一种工业乏硒料回收再利用设备

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