JP2011109302A - 量子鍵配付送信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
送信器内部での3dBの原理損失を防ぎ、また受信器側での偏光補償機構を排除することによって、高い伝送レートが得られ、かつ簡便な構成ですむ単一光子量子鍵配付送信装置を提供する。
【解決手段】
本発明の量子鍵配付送信装置は、送信側の持つ非対称マッハツェンダー干渉計2の2つの出力ポート5,6に現れた2つの2連光パルス7,8に対し個別に位相変調を施した後にそれらを偏光ビームスプリッター12で統合させる。2台の位相変調器の設定値の関係を(φ1 −φ2 =π) とすることで受信時の偏光補償が不要になる。
【選択図】 図1
送信器内部での3dBの原理損失を防ぎ、また受信器側での偏光補償機構を排除することによって、高い伝送レートが得られ、かつ簡便な構成ですむ単一光子量子鍵配付送信装置を提供する。
【解決手段】
本発明の量子鍵配付送信装置は、送信側の持つ非対称マッハツェンダー干渉計2の2つの出力ポート5,6に現れた2つの2連光パルス7,8に対し個別に位相変調を施した後にそれらを偏光ビームスプリッター12で統合させる。2台の位相変調器の設定値の関係を(φ1 −φ2 =π) とすることで受信時の偏光補償が不要になる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、量子鍵配付装置に係り、特に光ファイバー通信により暗号秘密鍵を共有する量子鍵配付送信装置に関するものである。
インターネットや電子商取引などが一般化した現代社会においては、通信の秘密保持のための暗号技術の必要性が高まっている。現在、広く一般に使われている暗号方式としてDES(Data Encryption Standard)、RSA(Rivest−Shamir−Adleman)などが知られているが、これらはその安全性が計算量によって保証されているため、暗号解読アルゴリズムの進歩や量子計算機の実現等に脅かされている。
従来、情報理論的に絶対安全な暗号通信方法として、ワンタイムパッド法が知られている。ワンタイムパッド法は、平文と同じ長さの暗号鍵を用いて暗号化を行い、通信終了後に暗号鍵を1回で使い捨てるというものであるが、膨大な量になる暗号鍵を送信者と受信者との間で予め共有しておく必要があった。
上記問題を解決するために、ベネットらが量子力学の原理を用いて暗号鍵を安全に共有する方法を提案した(下記非特許文献1参照) 。この方法はBB84量子鍵配付プロトコルとして知られ、量子力学的な2状態とそれに共役な2状態の計4状態を送信者から受信者へと伝送することにより暗号鍵を共有する。量子鍵配付プロトコルでは、いかなる盗聴行為も量子状態への擾乱を与え、受信者の受信結果にエラーを生じさせる。これにより受信者は漏洩情報量を推定することができ、そこから安全な秘密鍵を生成することができる。
上記問題を解決するために、ベネットらが量子力学の原理を用いて暗号鍵を安全に共有する方法を提案した(下記非特許文献1参照) 。この方法はBB84量子鍵配付プロトコルとして知られ、量子力学的な2状態とそれに共役な2状態の計4状態を送信者から受信者へと伝送することにより暗号鍵を共有する。量子鍵配付プロトコルでは、いかなる盗聴行為も量子状態への擾乱を与え、受信者の受信結果にエラーを生じさせる。これにより受信者は漏洩情報量を推定することができ、そこから安全な秘密鍵を生成することができる。
このような量子鍵配付プロトコルでは、量子状態の担体として外部からの擾乱に強い光子が、特に光ファイバー通信との親和性が高い位相コーディングという実装方式が主に用いられてきた。
図2は従来の単一光子量子鍵配付システムの構成図である。
図2を用いて下記非特許文献2で提案されている位相コーディングを用いた従来の量子鍵配付システムについて説明する。
図2は従来の単一光子量子鍵配付システムの構成図である。
図2を用いて下記非特許文献2で提案されている位相コーディングを用いた従来の量子鍵配付システムについて説明する。
この量子鍵配付装置は、送信部および受信部として2つの非対称マッハツェンダー干渉計を光ファイバー伝送路で接続した構成からなる。送信器100の光源101より発生した光パルスは非対称マッハツェンダー干渉計102へと入射する。非対称マッハツェンダー干渉計102では、前段カプラ103により光パルスが短尺側104及び長尺側105の2つのポートに振り分けられる。このとき、短尺側104と長尺側105とでは光のコヒーレンス長よりも十分に長い光路長差がついており、後段カプラ106によって2つのポートを再び重ね合わせることで、コヒーレント2連パルス107の状態を得ることができる。また、送信器100は、コヒーレント2連パルス107のうち片方のパルスのみに、外部位相変調器108によって(0, π/2,3π/2, π)の位相変調をかけることで2連パルス間の相対位相を調整し、BB84プロトコルで送信ビットとして使用する非直交4状態のいずれかを得られるものとする。
このようにして生成された2連パルス状態は光ファイバー伝送路109を経由して受信器110へ送られる。受信器110では、伝送されてきた2連パルスを位相変調器111および非対称マッハツェンダー干渉計112へと入力し、出力として3連パルス113を得る。このとき、3連パルス113のうち中央の光パルス114での光子の存在確率は、送信器100で短尺側及び受信器110で長尺側を通ってきたものと、送信器100で長尺側及び受信器110で短尺側を通ってきたものの計2つの成分の干渉効果によって決定される。
よって、受信器110は、位相変調器111によって(0, π/2)の位相変調をかけ、検出器115,116において3連パルス113のうち中央のパルス114における光子の有無を測定することによって、下記非特許文献1で提案されたBB84量子鍵配付プロトコルでの基底選択及び測定を行うことができ、その結果、暗号鍵の共有が可能になる。
ところが、上記のような位相コーディングを用いた量子鍵配付装置では、温度変化又は他の要因によって送受信器の持つマッハツェンダー干渉計において光路差が変動すると、光干渉が消失し鍵配付を行うことができなくなる。これを解決するためには、外部参照光などを用いたフィードバック制御などで光路長を制御する必要があるが、このような制御装置によってシステムが複雑化するのはもちろんのこと、参照光によって受信器の測定結果にエラーが生じ、量子鍵配付装置の性能劣化の原因となる。
このような問題を解決するため、下記非特許文献3などに開示されているように、平面光回路(PLC:Planar Lightwave Circuit)技術を応用した非対称マッハツェンダー干渉計などが開発された。これは、シリコン基板上に形成した光導波路を用いて非対称マッハツェンダー干渉計を作成するもので、外乱の影響を受けない非常に安定した干渉計を構成することができ、フィードバック位相制御系を排除した簡単な構成の位相コーディング量子鍵配付システムを構築できるようになった。
一方、量子鍵配付装置に用いる光源としてはこれまで微弱コヒーレント光が用いられてきた。微弱コヒーレント光とは、レーザーにより発生されたコヒーレント状態(1パルスに多数の光子が含まれる) を、アッテネーターなどで1パルスあたりの平均光子数を0.01〜0.1個程度に減衰させることで得られる擬似的な単一光子状態である。微弱コヒーレント光を用いることで送信器側では光源として通常の半導体レーザーなどを用いることができる。また、送信器の最後に設置された減衰器を通すことで、光パルスを単一光子レベルの強度まで減衰させて伝送するため、それ以前の送信器部分で生じた光学損失の寄与は完全に無視することができる。よって、簡単な構成で量子鍵配付を行うことができたため、多くの伝送実験が行われてきた(下記非特許文献3参照) 。しかし、微弱コヒーレント光の光子数統計はポアソン分布に従うため、下記式(1)で表す確率で1パルスあたり2個以上の光子を含むこととなる。
例えば、1パルスあたりの平均光子数1個、0.5個のときの多光子出現確率Pm はそれぞれ、0.264、0.09となる。このように、1パルスに多数の光子が存在する場合、光子数分岐(Photon−Number−Splitting:PNS)攻撃といわれる攻撃法によって盗聴される可能性がある(下記非特許文献4参照)。PNS攻撃とは、1光パルスに2個の光子が含まれるとき、盗聴者がそのうちの1個を取り出して測定するもので、受信器の測定結果にエラーを生じさせることなく送信ビットの情報を得ることができる。PNS攻撃による影響は、ファイバーでの伝送ロスが大きくなり受信光子数が減少する長距離において顕著になるため、微弱コヒーレント光による鍵配送の伝送可能距離が制限される要因となっている。
このような問題を解決するため、多光子出現確率がコヒーレント光に対して十分に抑制された単一光子源を光源とする量子鍵配付装置が提案された(下記非特許文献5,6参照)。
図3に微弱コヒーレント光源を用いた場合と、単一光子源を用いた場合の暗号鍵生成レートと伝送距離との関係を示した(下記非特許文献7参照)。このように、単一光子源を用いた場合はPNS攻撃の影響を抑えることができるため、特に長距離伝送においても秘密鍵を生成することができ、その結果、長距離伝送が可能になる。
図3に微弱コヒーレント光源を用いた場合と、単一光子源を用いた場合の暗号鍵生成レートと伝送距離との関係を示した(下記非特許文献7参照)。このように、単一光子源を用いた場合はPNS攻撃の影響を抑えることができるため、特に長距離伝送においても秘密鍵を生成することができ、その結果、長距離伝送が可能になる。
単一光子源を用いた量子鍵配付装置では、単一光子から発生された単一光子光パルスを下記非特許文献2,3のような非対称マッハツェンダー干渉計を用いた構成の送受信器へ入力することで量子鍵配付を行っており、これまで、パラメトリック下方変換により発生した伝令付き単一光子を使用するもの(下記非特許文献5参照)や量子ドット光源を使用するもの(下記非特許文献6参照)等が報告されている。
しかし、このように単一光子状態を直接発生させるような方法では、光が送信器を通過する段階でその信号強度がすでに単一光子レベルしかないため、送信器通過中には十分な強度をもつ微弱コヒーレント方式とは異なり、送信器自体の光学損失によって送信レートが制限されてしまう。そのため、送信器の光学損失が少しでも取り除かれ高い送信レートが得られることが望ましい。
送信器による光学損失として、PLCや位相変調器の挿入損失などが挙げられるが、特に下記非特許文献3のようなマッハツェンダー干渉計を用いた量子鍵配付装置では、干渉計の長短尺を結合する際に使用する50:50カプラにより、入射された単一光子が50%(≒3dB)の確率で使われていないポートへ出力されるため、その分が原理的な損失となってしまっていた。
それに対し、下記非特許文献6の方法では、送信器のマッハツェンダー干渉計の後段カプラを偏光ビームスプリッターへと置き換えることにより、長短尺を原理損失なしに結合することができる。しかし、この方法では、伝送された2連パルスを受信器側の非対称マッハツェンダー干渉計の長短尺に振り分ける際にも同じく偏光ビームスプリッターを使用するため、ファイバー伝送中に偏光が回転してしまうと長短尺への分岐比が変動してしまい、干渉度が著しく劣化する。この問題を避けるためには、伝送中の偏光回転の影響を補償するフィードバック制御装置を新たに組み込む必要があり、システムの複雑化および性能劣化は避けられない。
C.H.Bennett,G.Brassard,"Quantum Cryptography:Public Key Distribution and Coin Tossing",in Proceedings of the IEEE International Conference on Computers,Systems, and Signal Processing,Bangalore,India, pp. 175−179(1984)
C.H.Bennett,"Quantum Cryptography Using Any Two Nonorthogonal States",Phys.Rev.Lett.Vol.68,No.21,pp. 3121−3124(1992)
Y.Nambu et al.,"One−way Quantum Key Distribution System Based on Planar Lightwave Circuits",Jpn. J. Appl. Phys. ,Vol.45,No.6A,pp.5344−5348(2006)
A.Niederberger et al.,"Photon−number−splitting versus cloning attacks in practical implementations of the Bennett−Brassard 1984 protocol for quantum cryptography",Phys. Rev. A,Vol.71,042316(2005)
A.Soujaeff et al.,"Quantum key distribution at 1550nm using a pulse heralded single photon source", Optics Express,Vol.15,No.2,pp.726−734(2007)
P.M.Intallura et al.,"Quantum key distribution using a triggered quantum dot source emitting near 1.3μm",Appl. Phys. Lett.,Vol.91,161103(2007)
V.Scarani et.al.,"The security of practical quantum key distribution",Reviews of Modern Physics,Vol.81,pp.1301−1350(2009)
上記したように、量子鍵配付プロトコルでは、長距離伝送を可能にするために単一光子光源を用いた方式が提案されてきた。しかし、単一光子光源を用いた方式では、送信器で生じた光学損失がそのまま送信レートの低下につながり、高い鍵生成レートを得ることができない。そのため送信器側で生じる光学損失を少しでも抑える必要がある。
また、干渉計の位相制御やファイバー伝送中の偏光回転補償のためにフィードバック制御を用いることは、システムをより一層複雑化させるだけでなく、フィードバック参照光に起因するノイズによって量子鍵配付装置の性能を劣化させる原因となってきた。よって、これらのフィードバック制御装置は排除されることが望ましい。
また、干渉計の位相制御やファイバー伝送中の偏光回転補償のためにフィードバック制御を用いることは、システムをより一層複雑化させるだけでなく、フィードバック参照光に起因するノイズによって量子鍵配付装置の性能を劣化させる原因となってきた。よって、これらのフィードバック制御装置は排除されることが望ましい。
上記非特許文献5にあるような量子鍵配付装置では、フィードバック装置は不要なものの、前述のように送信器の非対称マッハツェンダー干渉計の後段カプラにおいて3dBの原理損失が生じる結果、伝送レートが抑制されてしまうという問題があった。
また、上記非特許文献6の装置においては、3dBの原理損失の問題は解決するものの、ファイバー伝送中の偏光回転を補償するフィードバック制御装置が新たに必要となるため、装置の複雑化と参照光に起因する信号ノイズ増加等の性能劣化は避けられない。
また、上記非特許文献6の装置においては、3dBの原理損失の問題は解決するものの、ファイバー伝送中の偏光回転を補償するフィードバック制御装置が新たに必要となるため、装置の複雑化と参照光に起因する信号ノイズ増加等の性能劣化は避けられない。
本発明は、上記問題点に鑑みて、送信器内部での3dBの原理損失を防ぎ、また受信器側での偏光補償機構を排除することによって、高い伝送レートが得られ、かつ簡便な構成ですむ量子鍵配付送信装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕単一光子光源から発生した光パルスを量子情報の担体となる2連光パルスへと変換するための非対称マッハツェンダー干渉計を備える量子鍵配付送信装置において、前記非対称マッハツェンダー干渉計を構成する後段光カプラの2つの出力ポートを結合することを特徴とする。
〔1〕単一光子光源から発生した光パルスを量子情報の担体となる2連光パルスへと変換するための非対称マッハツェンダー干渉計を備える量子鍵配付送信装置において、前記非対称マッハツェンダー干渉計を構成する後段光カプラの2つの出力ポートを結合することを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載の量子鍵配付送信装置において、前記2つの出力ポートを結合するための偏光ビームスプリッターを備えることを特徴とする。
〔3〕上記〔2〕記載の量子鍵配付送信装置において、前記偏光ビームスプリッターでの前記2つの出力ポートの結合を行うために、片方の出力ポートの偏光を回転するための偏光回転手段を備えることを特徴とする。
〔3〕上記〔2〕記載の量子鍵配付送信装置において、前記偏光ビームスプリッターでの前記2つの出力ポートの結合を行うために、片方の出力ポートの偏光を回転するための偏光回転手段を備えることを特徴とする。
〔4〕上記〔1〕記載の量子鍵配付送信装置において、前記非対称マッハツェンダー干渉計の前記2つの出力ポートそれぞれに位相変調を付与するために、2台の位相変調器を備えることを特徴とする。
〔5〕上記〔4〕記載の量子鍵配付送信装置において、前記非対称マッハツェンダー干渉計における2連光パルス間の相対位相が前記2つの出力ポートで反転している影響を取り除くために、前記2台の位相変調器を送信ビット値がお互いに反転するよう駆動させることを特徴とする。
〔5〕上記〔4〕記載の量子鍵配付送信装置において、前記非対称マッハツェンダー干渉計における2連光パルス間の相対位相が前記2つの出力ポートで反転している影響を取り除くために、前記2台の位相変調器を送信ビット値がお互いに反転するよう駆動させることを特徴とする。
つまり、本発明では、BB84における2連パルス状態を生成するために必要な非対称マッハツェンダー干渉計の空きポートに出力された4パルスを、偏光変換後に偏光ビームスプリッターを通じて結合する。
具体的には、本発明における量子鍵配付送信装置は、量子ビットの情報担体となる単一光子を発生させるための単一光子源、非対称マッハツェンダー干渉計、所望の4値変調を付与するための2台の位相変調器、非対称マッハツェンダー干渉計を構成する後段光カプラの2出力を結合するための偏光ビームスプリッター、この2出力のうち片方の偏光を回転させるための偏光回転素子から構成される。
具体的には、本発明における量子鍵配付送信装置は、量子ビットの情報担体となる単一光子を発生させるための単一光子源、非対称マッハツェンダー干渉計、所望の4値変調を付与するための2台の位相変調器、非対称マッハツェンダー干渉計を構成する後段光カプラの2出力を結合するための偏光ビームスプリッター、この2出力のうち片方の偏光を回転させるための偏光回転素子から構成される。
本発明によれば、送信器内の非対称マッハツェンダー干渉計を構成する後段光カプラでの3dBの原理損失を排除することができるため、暗号鍵生成レートを向上させることができる。また、受信器において、偏光無依存の基底選択及び受信を行うことができるため、従来と比較してアクティブ偏光補償機構を廃した簡単な構成で量子鍵配付送信装置を提供することができる。
単一光子光源から発生した光パルスを量子情報の担体となる2連光パルスへと変換するための非対称マッハツェンダー干渉計を備える量子鍵配付送信装置において、前記非対称マッハツェンダー干渉計を構成する後段光カプラの2つの出力ポートを結合する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施例を示す単一光子量子鍵配付送信装置の構成図である。
この図において、単一光子量子鍵配付送信装置は、単一光子を発生する単一光子光源1、非対称マッハツェンダー干渉計2、非対称マッハツェンダー干渉計2を構成する前段光カプラ3と後段光カプラ4、後段光カプラ4の2つの出力ポート5,6、位相変調器9,10、偏光変換を行うための偏光回転手段(偏光回転素子)11、2ポートの結合を行うための偏光ビームスプリッター12から構成され、光ファイバー伝送路15を通して受信器の光学系へと接続される。なお、7,8はそれぞれ出力ポート5,6から出射された2連光パルス、13,14はそれぞれ、偏光ビームスプリッター12からの送信器出力であるコヒーレント2連光パルスの垂直偏光成分及び水平偏光成分である。
図1は本発明の実施例を示す単一光子量子鍵配付送信装置の構成図である。
この図において、単一光子量子鍵配付送信装置は、単一光子を発生する単一光子光源1、非対称マッハツェンダー干渉計2、非対称マッハツェンダー干渉計2を構成する前段光カプラ3と後段光カプラ4、後段光カプラ4の2つの出力ポート5,6、位相変調器9,10、偏光変換を行うための偏光回転手段(偏光回転素子)11、2ポートの結合を行うための偏光ビームスプリッター12から構成され、光ファイバー伝送路15を通して受信器の光学系へと接続される。なお、7,8はそれぞれ出力ポート5,6から出射された2連光パルス、13,14はそれぞれ、偏光ビームスプリッター12からの送信器出力であるコヒーレント2連光パルスの垂直偏光成分及び水平偏光成分である。
単一光子光源1より発射された単一光子パルス(水平偏光状態)を非対称マッハツェンダー干渉計2へ入射させる。非対称マッハツェンダー干渉計2を構成する後段光カプラ4の2つの出力ポート5,6へ出射された光パルス7,8はそれぞれ位相変調器10,9へ送られ、位相変調器9から得られた光パルスは直接偏光ビームスプリッター12へ、位相変調器10から得られた光パルスは、偏光回転手段(偏光回転素子)11を介して偏光ビームスプリッター12へ結合され、偏光ビームスプリッター12で結合された光パルスは光ファイバー伝送路15へと入力される。
このとき、後述の理由により、位相変調器9,10の設定値φ1 、φ2 を送信ビット値(X0, X1, Y0, Y1)に応じて表1の値に設定する。
表1において、|F>, |S>はそれぞれ、単一光子が2連光パルスの前側、後側に存在することの確率振幅を表しており、出力状態はこれらの重ね合わせ状態となっている。
表1において、|F>, |S>はそれぞれ、単一光子が2連光パルスの前側、後側に存在することの確率振幅を表しており、出力状態はこれらの重ね合わせ状態となっている。
以上示した方法により、本発明では送信器側の非対称マッハツェンダー干渉計2の2つの出力ポート5,6に現れた2連パルスの両方を送信することができるため、送信レートはこれまでの2倍に向上する。
一方で、位相変調器9,10の設定値が等しくなる(φ1 −φ2 =0) ように設定すると、表2に示すように、2パルス間相対位相値が偏光によって反転してしまう。すると、受信器側では、伝送後の水平偏光成分に対しては(0, π/2) 、垂直偏光成分に対しては(π,3π/2) というように、偏光によって異なる位相変調をかける必要が生じる。ところが光ファイバー伝送によって偏光が回転すると、伝送前後の偏光状態が異なってしまうため、偏光の回転を補償しなくてはならなくなる。この補償を不要とするために、非対称マッハツェンダー干渉計2において2連光パルス7,8間の相対位相が2つの出力ポート5,6で反転する影響を取り除くように、2台の位相変調器9,10を送信ビット値がお互いに反転するよう駆動させる。
一方で、位相変調器9,10の設定値が等しくなる(φ1 −φ2 =0) ように設定すると、表2に示すように、2パルス間相対位相値が偏光によって反転してしまう。すると、受信器側では、伝送後の水平偏光成分に対しては(0, π/2) 、垂直偏光成分に対しては(π,3π/2) というように、偏光によって異なる位相変調をかける必要が生じる。ところが光ファイバー伝送によって偏光が回転すると、伝送前後の偏光状態が異なってしまうため、偏光の回転を補償しなくてはならなくなる。この補償を不要とするために、非対称マッハツェンダー干渉計2において2連光パルス7,8間の相対位相が2つの出力ポート5,6で反転する影響を取り除くように、2台の位相変調器9,10を送信ビット値がお互いに反転するよう駆動させる。
よって、本発明は、従来の装置構成に対し最小限の変更を加えるだけで、暗号鍵生成レートの改善が期待される。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の量子鍵配付送信装置は、送信器内部での3dBの原理損失を防ぎ、また受信器側での偏光補償機構を排除することによって、高い伝送レートが得られ、かつ簡便な構成ですむ量子鍵配付送信装置として利用可能である。
1 単一光子光源
2 非対称マッハツェンダー干渉計
3 前段光カプラ
4 後段光カプラ
5,6 出力ポート
7,8 2連光パルス
9,10 位相変調器
11 偏光回転素子
12 偏光ビームスプリッター
13 コヒーレント2連光パルス(垂直偏光成分)
14 コヒーレント2連光パルス(水平偏光成分)
15 光ファイバー伝送路
2 非対称マッハツェンダー干渉計
3 前段光カプラ
4 後段光カプラ
5,6 出力ポート
7,8 2連光パルス
9,10 位相変調器
11 偏光回転素子
12 偏光ビームスプリッター
13 コヒーレント2連光パルス(垂直偏光成分)
14 コヒーレント2連光パルス(水平偏光成分)
15 光ファイバー伝送路
Claims (5)
- 単一光子光源から発生した光パルスを量子情報の担体となる2連光パルスへと変換するための非対称マッハツェンダー干渉計を備える量子鍵配付送信装置において、前記非対称マッハツェンダー干渉計を構成する後段光カプラの2つの出力ポートを結合することを特徴とする量子鍵配付送信装置。
- 請求項1記載の量子鍵配付送信装置において、前記2つの出力ポートを結合するための偏光ビームスプリッターを備えることを特徴とする量子鍵配付送信装置。
- 請求項2記載の量子鍵配付送信装置において、前記偏光ビームスプリッターでの前記2つの出力ポートの結合を行うために、片方の出力ポートの偏光を回転するための偏光回転手段を備えることを特徴とする量子鍵配付送信装置。
- 請求項1記載の量子鍵配付送信装置において、前記非対称マッハツェンダー干渉計の前記2つの出力ポートそれぞれに位相変調を付与するために、2台の位相変調器を備えることを特徴とする量子鍵配付送信装置。
- 請求項4記載の量子鍵配付送信装置において、前記非対称マッハツェンダー干渉計における2連光パルス間の相対位相が前記2つの出力ポートで反転している影響を取り除くために、前記2台の位相変調器を送信ビット値がお互いに反転するよう駆動させることを特徴とする量子鍵配付送信装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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