JP2011109243A - 空中線共用装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2チャンネルの送信波を共通の予備アンテナへ導くための空中線共用装置であって、2チャンネルの送信波がそれぞれ入力される2つの入力端子Ti、及び、2つの出力端子Toを有する第1ハイブリッド回路71と、予備アンテナ15及びダミーロード73にそれぞれ接続される2つの出力端子To、及び、2つの入力端子Tiを有する第2ハイブリッド回路72とを備えたものにおいて、第1ハイブリッド回路71の2つの出力端子Toと第2ハイブリッド回路72の2つの入力端子Tiとをそれぞれ接続する2線路L1,L2間に、電気長としての線路長において、所定の長さ分の相対差L(=L2−L1)をもたせる。この相対差とは、2チャンネルの送信波をそれぞれ予備アンテナ15へ出力させるための線路長条件を満たす長さである。
【選択図】図3
Description
送信機2の送信波(周波数f2)は、切替スイッチ22が点線側にあれば、ハイブリッド回路101からバンドパスフィルタ103を経てハイブリッド回路102を通り、さらに、ハイブリッド回路202,302を介して、予備アンテナへ出力される。
送信機4の送信波(周波数f4)は、切替スイッチ24が点線側にあれば、ハイブリッド回路301からバンドパスフィルタ303及びハイブリッド回路302を介して、予備アンテナへ出力される。
この場合、3以上のチャンネルから任意の2チャンネルの組合せを選択して、それに対応した相対差を線路長調整部によって構成し、空中線を共用することができる。
この場合、任意の2チャンネルの組合せごとに、対応する線路パーツを切替スイッチで選択することによって、所定の線路長(相対差)を容易に得ることができる。
(5)また、前記(2)の空中線共用装置において、前記線路長調整部は、前記線路に着脱可能であって着脱部分が共通の形状及び寸法である互いに線路長の異なる複数の線路パーツのセットにより構成され、当該セットのうちいずれか1つが、前記線路に取り付けられるものであってもよい。
この場合、線路パーツを2線路に使用することによって組み合わせ数を増やすことができる。例えば、一方の線路に、線路長やその数値間隔が他方の線路とは異なる線路パーツを、セットとして揃えておけば、組み合わせのバリエーションを増やすことができるので、少ない種類でも、その数以上に多くの組み合わせ(すなわち多くの種類の相対差)を実現することができる。
この場合、調整線路長が比較的短くなるので、線路長調整部としての主要部が、よりコンパクトになる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空中線共用装置5を含む、送信機から空中線(アンテナ)までの接続図である。図において、テレビジョン放送の送信所には、放送局のチャンネルごとに、例えば、送信機1〜4と、これらにそれぞれ対応する送信用の常用アンテナ11〜14とが設けられている。また、常用アンテナ11〜14の他にも、予備アンテナ15が1基設けられており、常用アンテナ11〜14の故障時、設備更新時、点検時等には、それぞれに対応して設けられた切替スイッチ21〜24により接続を切り替えて、空中線共用装置5経由で、予備アンテナ15から電波を出すことができるようになっている。なお、ここで想定しているテレビジョン放送は、地上デジタル放送で、周波数470〜770MHz(UHF)、送信機出力は1kW以上である。
図2は、空中線共用装置5の内部回路図である。図において、空中線共用装置5は、チャンネル選択装置6と、位相反転型共用装置7とを備えている。位相反転型共用装置7からの出力は空中線としての予備アンテナ15に供給される。
チャンネル選択装置6は送信機1〜4から送信波が入力される入力側の4端子と、出力側の2端子との間で、同軸管Sの繋ぎ替えを行うことにより、任意の2チャンネル(2周波数)の組み合わせを選択して位相反転型共用装置7に入力することができる。
図3において、まず、周波数f1(波長λ1)の送信波に着目すると、第1ハイブリッド回路71を通過した出力は、
線路L2側の出力端子Toでは、2-(1/2)∠0°(振幅:2-(1/2)、位相:0°)
線路L1側の出力端子Toでは、2-(1/2)∠(−90°)
となる。2線路L1,L2の長さが異なることによって、線路L1に対して線路L2側に相対的に存在する位相差を(−φ)とすると、第2ハイブリッド回路72の入力端子Tiにおける入力は、
線路L2側の入力端子Tiでは、2-(1/2)∠(−φ) ...(1)
線路L1側の入力端子Tiでは、2-(1/2)∠(−90°) ...(2)
となる。
予備アンテナ15側の出力端子Toでは、
(1/2)∠−(φ+90°)+(1/2)∠(−90°) ...(3)
ダミーロード73側の出力端子Toでは、
(1/2)∠(−φ)+(1/2)∠(−180°) ...(4)
となる。
φ=360°×n (nは1以上の整数) ...(5)
とすると、上記式(4)は第1項と第2項とが互いに打ち消し合って、ダミーロード73への出力は0となる。また、上記式(3)は、第1項と第2項とが互いに同じとなって出力は1となる。すなわち、φ=360°×nとすることにより、周波数f1の送信波は全て予備アンテナ15に出力され、ダミーロード73には出力されない。
線路L1側の出力端子Toでは、2-(1/2)∠0°
線路L2側の出力端子Toでは、2-(1/2)∠(−90°)
となる。また、第2ハイブリッド回路72の入力端子Tiにおける入力は、
線路L1側の入力端子Tiでは、2-(1/2)∠0° ...(6)
線路L2側の入力端子Tiでは、2-(1/2)∠−(90°+φ) ...(7)
となる。
予備アンテナ15側の出力端子Toでは、
(1/2)∠0°+(1/2)∠−(180°+φ) ...(8)
ダミーロード73側の出力端子Toでは、
(1/2)∠(−90°)+(1/2)∠−(90°+φ) ...(9)
となる。
φ=360°×(m+(1/2)) (mは0以上の整数) ...(10)
とすると、上記式(9)は第1項と第2項とが互いに打ち消し合って、ダミーロード73への出力は0となる。また、上記式(8)は、第1項と第2項とが互いに同じとなって出力は1となる。すなわち、φ=360°×(m+(1/2))とすることにより、周波数f2の送信波は全て予備アンテナ15に出力され、ダミーロード73には出力されない。
L=n・λ1 (nは1以上の整数) ...(11)
L=(m+(1/2))・λ2 (mは0以上の整数) ...(12)
ここで、m、nの値の組み合わせは無数にあるので、両式を満たす共通のLを得ることは可能である。すなわち、所定のLの値を定め、線路長調整部Aによって、L=L2−L1となるように2線路の長さに相対差をつければ、バンドパスフィルタ等を使用せずとも、2チャンネル(2周波数・2波長)の送信波を共に通過させるに適した線路を構成することができる。
なお、L2の方を長くするのは一例であり、逆に、L1の方を長くすることも可能である(すなわち、L=L1−L2とすることも可能。)。
また、一般的に、チャンネル総数をXとすれば、Xから2チャンネルを選択する組み合わせ数Yは、Y=XC2であり、相対差Lの値もY個必要となる。
ここで、具体的な数値を例示して説明する。例えば、UHF帯のチャンネルとして、チャンネル21(521MHz)及びチャンネル28(563MHz)が、それぞれ、図3のf1及びf2であるとする。上記式(11)、(12)を共に満たすLは、当然に、
n・λ1=(m+(1/2))・λ2 ...(13)
を満たすものである。ここで簡易な一例として、m=nと置き、式(13)をnについて解くと、
n=λ2/(2(λ1−λ2)) ...(14)
となる。
n=6.21
となる(小数点第3位以下四捨五入)。
6.21に最も近い整数としてn=6とすると、上記式(11)より、
L=6×575.4≒3450[mm]
となる。これが、線路長条件((11)、(12))を満たす線路長の相対差となる。
なお、「線路長条件を満たす」とは、上記数値例の程度に、ほぼ満たすことも含む。また、6.21を整数化することにより結果的に、ダミーロード73で若干の出力が消費されるが、予備アンテナ15への出力に大きな影響はない。
《線路長調整部の構造:第1例》
上記のような相対差Lは、複数種類必要であることから、線路L2の途中(原理的には端でもよい。)に含まれるように設けて、複数種類の相対差を構成することが可能なものとすることができる。
図4は、第1例としての線路長調整部を備えた位相反転型共用装置7の内部接続図である。図4の(a)、(b)、(c)において、図3と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図6は、第2例としての線路長調整部を備えた位相反転型共用装置7の内部接続図である。図6の(a)、(b)、(c)において、図4と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図9は、第3例としての線路長調整部を備えた位相反転型共用装置7の内部接続図である。図において、図4と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図4(第1例)との違いは、複数のUリンクのうちのどれか1つを選んで取り付けるという構造ではなく、複数のUリンクは全て線路L21,L22の近傍に固定的に設けられていて、線路L21,L22の各端部をどのUリンクに繋ぐかを、切替スイッチLsで選ぶようになっている点である。
図10は、第4例としての線路長調整部を備えた位相反転型共用装置7の内部接続図である。図において、図4と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図4(第1例)との違いは、図10において、下側の線路がL21とL22とに分かれていて、それらを繋ぐUリンクLu−2が設けられているだけでなく、さらに、上側の線路もL11とL12とに分かれていて、それらを繋ぐUリンクLu−1が設けられている点である。
図11は、第5例としての線路長調整部を備えた位相反転型共用装置7の内部接続図である。図において、図4と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図11において、基本的に、L1=L21+L22である。線路L21とL22との間には、可変位相器74が接続されている。可変位相器74は、位相を可変設定できる既知の装置であり、これにより、前述の式(5)及び(10)によって表される位相条件を満たす位相φを設定すればよい。この場合、見かけ上は、一方の線路L1と、他方の線路(L21+L22)との間に物理長での相対差はないが、可変位相器74によって電気長の相対差が生じることになり、本質的には第1〜4例と同様である。
なお、線路長調整部の構造の第2例(図6)として示したような、相対差Lを構成するための基礎線路長を持つ構造は、切替スイッチ型の第3例(図9)や、可変位相器を用いる第5例(図11)にも適用可能である。
また、上記実施形態では予備アンテナ15を2チャンネルで共用する構成を示したが、共用対象の空中線は予備アンテナに限らず、例えば常用アンテナを2チャンネルで共用することも可能である。
また、上記実施形態の空中線共用装置は、地上デジタルのテレビジョン放送用アンテナに限らず、UHF・VHFのアナログテレビジョン放送用アンテナや、その他の無線通信のアンテナにも適用可能である。
6 チャンネル選択装置
7 位相反転型共用装置
15 予備アンテナ(空中線)
71 第1ハイブリッド回路
72 第2ハイブリッド回路
73 ダミーロード
74 可変位相器
A 線路長調整部
L0 基部(線路長調整部の一部)
L1,L11,L12,L21,L22 線路
Ls 切替スイッチ
Lu Uリンク(線路長調整部・線路パーツ)
Claims (7)
- 2チャンネルの送信波を共通の空中線へ導くための空中線共用装置であって、
前記2チャンネルの送信波がそれぞれ入力される2つの入力端子、及び、2つの出力端子を有する第1ハイブリッド回路と、
前記空中線及びダミーロードにそれぞれ接続される2つの出力端子、及び、2つの入力端子を有する第2ハイブリッド回路と、
前記第1ハイブリッド回路の2つの出力端子と前記第2ハイブリッド回路の2つの入力端子とをそれぞれ接続し、電気長としての線路長が互いに異なる2線路と、
前記2線路の少なくとも一方の線路に含まれ、前記2チャンネルの送信波をそれぞれ前記空中線へ出力させるための位相条件又は線路長条件を満たす前記線路長の相対差を構成する線路長調整部と
を備えたことを特徴とする空中線共用装置。 - 前記2チャンネルとして、3以上のチャンネルから任意の2チャンネルの組み合わせを選択するチャンネル選択装置を備え、前記線路長調整部は、当該組み合わせの総数にそれぞれ対応した前記相対差を構成することが可能である請求項1記載の空中線共用装置。
- 前記線路長調整部は、予め設置された、互いに線路長の異なる複数の線路パーツのいずれか1つを、切替スイッチで線路として選択するものである請求項2記載の空中線共用装置。
- 前記線路長調整部は、前記線路に着脱可能であって着脱部分が共通の形状及び寸法である互いに線路長の異なる複数の線路パーツのいずれか1つを、前記線路に取り付けることにより構成される請求項2記載の空中線共用装置。
- 前記線路長調整部は、前記線路に着脱可能であって着脱部分が共通の形状及び寸法である互いに線路長の異なる複数の線路パーツのセットにより構成され、当該セットのうちいずれか1つが、前記線路に取り付けられる請求項2記載の空中線共用装置。
- 前記線路長調整部は、前記2線路の双方に含まれている請求項2記載の空中線共用装置。
- 前記線路長調整部の全線路長は、一定の基礎線路長と、互いに線路長の異なる複数の候補から選択される調整線路長との和である請求項2〜6のいずれか1項に記載の空中線共用装置。
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