〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態は、支払いに利用可能な媒体の情報を取得し、その情報から媒体を特定する。そして、支払い処理において、特定した媒体情報を支払い装置側へと通知する構成である。この媒体は、例えばICカードであり、この媒体の情報は、対応するICカードのロゴマーク、バーコード等の画像データを利用する。
第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は、第1の実施の形態に係る携帯端末装置の機能構成例を示す図である。なお、図1に示す構成は一例であって、これに限定されない。
この携帯端末装置2は、本開示の携帯端末装置、支払い媒体選択方法及び支払い媒体選択プログラムを搭載した電子機器の一例である。携帯端末装置2は、電子マネーによるプリペイド機能又はクレジット機能等を備える媒体を利用して支払いを行うことができる。
携帯端末装置2には、支払い機能を構成する媒体として、1又は複数種類のICカード(IC Card ) を備えている。このICカードは、電子マネーやクレジット機能による電子決済を行うためのICカードアプリケーションプログラムによって機能する。これらの支払いが可能な媒体は多数種類があり、携帯端末装置2に複数の媒体を格納しておき、利用者の任意で使い分けることができる。また、例えば、1つの店舗等において、複数種類の媒体による支払いに対応しており、利用者はその媒体を選択して支払いを行うことができる。
この携帯端末装置2の機能部4には、図1に示すように、例えば、媒体情報取得部6、媒体情報特定部8、通知部10等が構成されている。
媒体情報取得部6は、取り扱い可能な媒体の入力情報12を取得する手段であり、例えば、画像情報を取得する撮影手段や、音声による媒体の入力情報12を取得する音声取得手段で構成される。この媒体の入力情報12は、媒体の情報の一例であって、例えば、ICカードアプリを特定するロゴマークやバーコード、又は名称情報等の表示情報や音声情報等である。
媒体情報特定部8は、媒体の入力情報12に基づいて、その媒体情報を特定する手段の一例であって、例えば、媒体情報取得部6で取得した画像情報等から、媒体であるICカードを割り出し、特定する。この媒体情報の割り出しには、例えば、画像情報に含まれる媒体の入力情報12であるロゴマークやバーコードのパターン照合を行う。この媒体情報は、例えば、コンピュータが認識可能な情報であって、ICカードアプリの特定を可能にする情報である。例えば、所定の会社やグループが提供する電子マネーサービスに対応するものであることや、電車やバス等における電子マネーによる支払いに対応する等の情報が含まれている。
通知部10は、特定した媒体情報を支払い装置14側へと通知する手段の一例であって、例えば、支払い装置14側に対し、特定した媒体での支払い処理の設定指示を通知している。この通知部10は、例えば、非接触式のICカードにおける近距離無線通信で構成されている。また、支払い装置14は、ICカードR/W(Read/Write)装置で構成されている。そして、携帯端末装置2と支払い装置14とは、媒体を利用した支払い処理システムを構成している。
次に、携帯端末装置における支払い媒体の選択処理について図2を参照する。図2は、第1の実施の形態に係る支払い媒体の選択処理を示すフローチャートである。なお、図2に示す処理内容、処理手順等は一例であって、これに限定されない。
図2に示す処理は、携帯端末装置の支払い媒体選択方法又は支払い媒体選択プログラムの一例であって、その機能又は工程を段階的に示している。この処理では、取得した媒体の情報から支払いに利用する媒体情報を特定している。そして、その媒体情報について、支払い装置14側へと通知することで、特定した媒体による支払い可能な状態に設定される。
そこで、媒体の入力情報12の取得を行う(ステップS1)。例えば、媒体情報取得部6の撮影手段等を利用して、媒体を示すロゴマーク等の撮影を行う。この媒体の入力情報12は、例えば、支払い装置14等に表示されており、利用者が支払い処理を行う前に画像情報の取得を行う。
次に、媒体の入力情報12が示している媒体情報の特定を行う(ステップS2)。ここでは、媒体の入力情報12である画像情報等から、そのICカードを特定する処理を行う。即ち、取得した画像等に含まれるロゴマークやバーコード情報等を利用して、ICカードを割り出して認識する。この媒体情報の特定には、後述するように、例えば、携帯端末装置2に登録されたパターンデータ等と画像情報との照合処理を行えばよい。
支払い手段の設定として、利用する媒体情報を支払い装置14側へと通知する(ステップS3)。例えば、携帯端末装置2を支払い装置14側に近付けることで、通知部10によって支払い装置14側との間で近距離無線通信が行われ、携帯端末装置2側から支払い装置14側へと媒体情報が送信される。これにより、支払い装置14側では、受信した媒体情報に基づいて、その媒体を利用した支払い処理を開始するための準備を行う。例えば、該媒体に対応した支払い処理プログラムの起動等を行う。
これらの処理が完了することで、特定した媒体を利用した支払い処理を行うことができる。
斯かる構成によれば、利用する媒体の情報から媒体情報を特定しておき、支払い装置側へと通知することで支払いが可能となり、また、支払い処理時の煩雑な操作が不要となり、支払い処理の迅速化が図られる。
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態は、第1の実施の形態に示す構成に加え、特定した媒体情報を格納し、支払い処理において、その格納した媒体情報に対して選択処理等を含む。
第2の実施の形態について、図3を参照する。図3は、第2の実施の形態に係る携帯端末装置の機能構成例を示す図である。なお、図3に示す構成は一例であって、これに限定されるものではない。また、図3において、図1と同一構成に対して同一符号を付し、その説明を省略する。
携帯端末装置2の機能部4は、本開示の携帯端末装置、支払い媒体選択方法及び支払い媒体選択プログラムの構成例であって、第1の実施の形態に対して、複数の媒体の情報を取り込み可能にしている。そして、支払い処理において、特定した媒体情報から利用する媒体の選択を行う。そこで、この機能部4には、図3に示すように、例えば、媒体情報取得部6、媒体情報特定部8、通知部10に加え、媒体情報格納部16、媒体情報選択部18が構成されている。
媒体情報格納部16は、特定された媒体情報を格納し、保持する手段の一例であって、媒体情報特定部8で特定された1又は複数の媒体情報を格納している。また、この媒体情報格納部16では、特定された媒体情報とともに、媒体情報の選択基準となる優先度を表す優先度情報も格納している。この優先度情報は、例えば、格納された複数の媒体情報に対してそれぞれ付与されており、支払い処理において利用する媒体情報の選択基準を示している。優先度情報として、例えば、媒体情報取得部6によって媒体の入力情報12を取得(撮影)した順番を示す情報を利用する。その他、例えば、日時情報、特定された媒体の過去の使用履歴情報等を利用してもよい。
特定した媒体情報への優先度情報の付与は、例えば、媒体情報特定部8によって媒体情報を特定したとき、又は媒体情報格納部16により、媒体情報を格納するときに付与してもよい。
媒体情報選択部18は、特定された媒体情報を選択する選択機能の一例であって、媒体情報格納部16に格納された媒体情報に対し、優先度情報に応じて、支払い処理に利用する媒体情報を選択する。そして、選択した媒体情報を通知部10側へと提供することで、支払い処理を可能にする。
なお、この実施の形態では、複数の媒体の入力情報12を取り込んだ場合に限られるものではなく、1つの媒体の入力情報12のみを特定した場合にも適用できる。そして、特定した媒体情報が1つであった場合には、例えば、媒体情報格納部16に格納する場合において、優先度情報を付与しないか、又は最も優先順位の高い優先度情報を付与すればよい。
次に、支払い媒体の選択処理について、図4を参照する。図4は、第2の実施の形態に係る支払い媒体の選択処理を示すフローチャートである。なお、図4に示す処理内容、処理手順は一例であって、これに限定されない。また、図4において、図2と同一処理については説明を省略する。
この支払い媒体の選択処理は、既述の媒体情報の特定に加え、その媒体情報から支払い処理に利用する媒体を選択する処理を含み、その選択した媒体情報を支払い装置側に通知する。
図4に示す媒体の情報の取得(ステップS11)及び媒体情報の特定(ステップS12)の処理は、図2のステップS1〜ステップS2に対応しており、同様の処理を行えばよい。
そして、ステップS12で特定した媒体情報を媒体情報格納部16を構成する例えば、メモリに格納する(ステップS13)。この格納処理において、例えば、複数の媒体情報が特定される場合には、この媒体情報毎に優先度情報を併せて格納する。
なお、既述のように、複数の媒体に適用する場合には、ステップS11〜ステップS13の処理を繰り返し行えばよい。
支払いを行う媒体の設定に移行すると、媒体情報選択部18は、設定された優先度情報に基づき、媒体情報格納部16に格納されている媒体情報から支払い処理に利用する媒体情報を選択し(ステップS14)、通知部10へと提供する。そして、通知部10は、支払い装置14側に対して、選択された媒体情報を通知する(ステップS15)ことで、支払い可能な状態に設定される。
斯かる構成によれば、第1の実施の形態と同様に支払い処理の迅速化が図られる。また、利用者が支払い処理に利用するとして取り込んだ複数の媒体の入力情報12に対して、所定の優先度情報に基づいて使用媒体が選択されるので、設定操作の省略化が図られる。
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態は、携帯端末装置及び支払い装置の具体的な構成例である。この実施の形態では、支払い処理に用いる媒体であるICカードは、例えば、実行するICカードアプリによって特定している。
第3の実施の形態の構成について、図5、図6及び図7を参照する。図5は、第3の実施の形態に係るICカードアプリのロゴマークの撮影画面を示す図、図6は、撮影順序を優先度とした場合の媒体情報テーブルの例を示す図、図7は、携帯電話機とR/W装置とを接近させて通信を行う状態を示す図である。なお、図5、図6及び図7に示す構成は一例であって、これに限定されない。
この携帯電話機20は、携帯端末装置2、支払い媒体選択方法又は支払い媒体選択プログラムの一例である。そこで、支払い媒体であるICカードアプリの情報を取得する撮影機能、この情報からICカードアプリを特定する機能、特定されたICカードアプリの媒体情報を選択する機能、支払い装置側に媒体情報を通知する機能等を備える。
ICカードアプリの情報を取得する機能構成として、この携帯電話機20には、図5に示すように、撮影対象や撮影した画像を表示する表示部22、撮影操作等の携帯電話機20に対する入力を行うキー操作部24等を備える。
提示されているICカードアプリの情報を取得する手段として、例えば、カメラ70(図9)等での撮影により、ICカードアプリの媒体の入力情報12を含む画像情報を取り込む。ロゴマーク26は、支払い処理に利用可能なICカードアプリを示す媒体の入力情報12であり、このロゴマーク26を含む画像情報を取り込み、携帯電話機20がICカードアプリを特定する。
表示部22の中央部には、例えば、撮影対象を特定する特定枠28が設定されている。また、表示部22には、キー操作部24の決定キー30に対応した撮影カーソル32が表示されている。この表示部22は、例えば、タッチパネルで構成してもよく、決定キー30の押下、又は、表示部22上の撮影カーソル32に指を接触させることで撮影が実行できる。
媒体の入力情報12の取得として、例えば、利用者がこの特定枠28に例えば、ロゴマーク26が入るようにカメラ70を設定操作し、又は撮影操作を行うことで、ICカードアプリの情報を取得する。即ち、特定枠28内にある画像は利用者によってICカードアプリを示す媒体の入力情報12と認識されたものであって、例えば、この画像を登録されている画像パターンと形状比較等することでICカードアプリの特定を行う。これにより、コンピュータが認識可能なICカードアプリの媒体情報が得られる。
取得した(特定した)ICカードアプリの媒体情報は、図6に示すように、例えば、媒体情報テーブル34を作成して保持する。この媒体情報テーブル34は、コンピュータが認識可能なデータテーブルであり、画像情報から特定された1又は複数のICカードアプリの種別情報が保持される。この媒体情報テーブル34には、例えば、媒体情報欄36及びICカードアプリの優先度情報欄38が設定されており、後述するように、この優先度情報に基づいて、支払い処理に利用するICカードアプリが選択される。また、媒体情報テーブル34では、例えば、利用者によるロゴマークの撮影順序を優先度として設定している。その他、例えば、ICカードアプリの使用頻度や残金情報、日時情報等に基づいて優先度を設定してもよい。
携帯電話機とR/W装置との通信操作について、ICカードアプリによる支払い処理は、図7に示すように、携帯電話機20のICカード装着面側を支払い装置であるR/W装置40側へと接近させることで行う。このように、携帯端末装置20をR/W装置40側へと接近させることで、R/W装置40側から携帯電話機20側へと搬送波が送信される。この搬送波には、例えば、利用する媒体の問い合せ、支払い処理の実行指示、携帯電話機20側からR/W装置40に対するICカードアプリの情報通知や、R/W装置40側に対し、選択したICカードアプリへの対応指示等の通信を行う。
次に、支払い媒体の選択を行う携帯電話機の機能構成について、図8を参照する。図8は、第3の実施の形態に係る携帯電話機の機能構成例を示す図である。なお、図8に示す構成及び処理内容等は一例であって、これに限定されない。
既述の機能を実現するため、この携帯電話機20には、図8に示すように、例えば、撮像機能部42、ICカードアプリ決定部44、ICカードアプリ種別パターン情報データベース(DB)46、ICカードアプリ格納部48、ICカードアプリ自動選択機能部50、ICカード通信機能部52を備える。
撮像機能部42は、ICカードアプリの情報を含む画像等を取得する画像情報取得手段の一例であって、カメラ70等を備え、既述の媒体情報取得部6(図1)を構成する。ICカードアプリの情報は、例えば、媒体の入力情報12を表すロゴマーク26等を利用する。これらの情報は、例えば、店内の所定の場所や、支払い処理を行うR/W装置40の周辺等に提示させればよい。
図8に示すように、種別の異なる複数のICカードアプリの情報を含む画像情報として、例えば画像A、Bが撮影されており、それらの画像情報には、例えば、撮影順や撮影日時の情報が付加される。そして、その画像情報を取得したら、ICカードアプリ決定部44に送信する。
ICカードアプリ決定部44は、取り込んだ画像情報に含まれる媒体の入力情報12からICカードアプリ情報を特定する手段の一例であって、既述の媒体情報特定部8に対応する。ICカードアプリ情報は、既述のコンピュータが認識可能な媒体情報であって、例えば、ICカードアプリの種別情報等を含む。
ICカードアプリ情報の特定処理では、例えば、ICカードアプリ種別パターン情報DB46にある種別パターン情報と画像情報に含まれるロゴマークとの形状照合を行う。そして、対応するICカードアプリ情報が特定されると、ICカードアプリ決定部44は、例えば、媒体情報テーブル34(図6)を作成する。
ICカードアプリ種別パターン情報DB46は、ICカードアプリの種別を割り出すための照合情報等を保持する手段の一例であって、例えば、ICカードアプリを示すロゴマーク等の画像パターンの他、後述するバーコードやQRコード等の識別パターン情報等が記録されている。そして、例えば、ICカードアプリ決定部44からの指示情報に応じて種別パターン情報を提供する。
ICカードアプリ格納部48は、ICカードアプリ決定部44で特定されたICカードアプリ情報を保持する手段の一例であって、既述の媒体情報格納部16(図3)に対応する。ICカードアプリ格納部48では、例えば、ICカードアプリ決定部44で作成された媒体情報テーブル34を受け取り、保持する。そして、例えば、支払い処理において、R/W装置40側に対し、媒体情報テーブル34を提示し、又はこの媒体情報テーブル34に基づいてICカードアプリ情報を通知する。
ICカードアプリ自動選択機能部50は、使用するICカードアプリを選択する手段の一例であり、ICカードアプリ格納部48から所定の条件等に従ってICカードアプリの選択を行う。このICカードアプリ自動選択機能部50は、既述の媒体情報選択部18(図3)に対応する。例えば、ICカード通信機能部52でR/W装置40からの搬送波を受信したら、ICカードアプリ情報を通知する応答処理に移行する。このR/W装置40からの搬送波には、例えば、利用するICカードアプリの問い合せ情報が含まれる。このとき、未だ使用するICカードアプリが指定されていない、又は不明である場合、ICカードアプリ格納部48からICカードアプリ情報を選択して、R/W装置40側に通知する。その他、後述するように、選択したICカードアプリが支払い処理に利用できない場合には、例えば、既述の優先度に基づいて、他のICカードアプリの選択を行う。
ICカード通信機能部52は、通信手段の一例であって、既述の通知部10(図1)に対応している。そして、R/W装置40側に対して、ICカードアプリ自動選択機能部50から受け取ったICカードアプリ情報をR/W装置40側へと通知する等、R/W装置40側との間でデータ通信等を行う。
そして、携帯電話機20とR/W装置40とによって、支払い処理システムが構成される。
次に、図8に示す構成において、複数のICカードアプリの情報が提示されている場合のICカードアプリの選択処理の例について説明する。
利用者は、例えば、ICカードアプリ「IC−A」と「IC−B」の情報を含む画像Aと画像Bとをカメラ70(図9)で取り込む。このとき、取り込んだ画像情報には、例えば、それぞれに、撮影順を示す「01」、「02」の情報を記録する。
この撮影順の情報は、携帯電話機20に複数のICカードアプリが設定されている場合に、ICカードアプリ自動選択機能部50によるICカードアプリの優先度情報の一例である。
取り込んだ画像A及び画像BはICカードアプリ決定部44において、その種別等を示す媒体情報が特定される。そして、その媒体情報とともに対応する優先度情報について、コンピュータによる読み取り可能な媒体情報テーブル34が作成され、ICカードアプリ格納部48に保管される。
なお、優先度情報は、撮影順序や日時情報に限られず、例えば、ICカードアプリの種別に基づいて設定された優先条件、残金や使用頻度等による条件、利用者が手動で設定した条件を付けてもよい。これらの条件に基づく優先度情報は、例えば、ICカードアプリを特定するICカードアプリ決定部44において設定すればよい。
そして、支払い処理において、R/W装置40等に対し、ICカードアプリ自動選択機能部50は、上記の優先度情報に基づいてICカードアプリ情報を選択して通知する。
このICカードアプリ情報を受信したR/W装置40では、例えば、通知されたICカードアプリに対応する設定処理を行う。設定処理が完了すると、支払い指示を携帯電話機20側へと通知し、斯かるICカードアプリでの支払い処理が行われる。
次に、携帯電話機の構成について、図9、図10、図11、図12及び図13を参照する。図9は、携帯電話機のハードウェア構成例を示す図、図10は、メモリの構成例を示す図、図11は、ICカード通信部の構成例を示す図、図12は、携帯電話機の外観構成例を示す図、図13は、携帯電話機の背面側の外観構成例を示す図である。なお、図9、図10、図11、図12及び図13に示す構成は一例であって、これに限定されるものではない。また、図9、図10、図11、図12及び図13において、図8等と同一構成には同一符号を付してある。
この携帯電話機20は、既述の機能を実現するため、図9に示すように、CPU(Central Processing Unit )60、メモリ62、ICカード通信部64、無線部66、操作入力部68、表示部22、カメラ70等を備える。
CPU60は、メモリ62に記憶されているOS(Operating System)や、その他の制御プログラム等を演算し実行するための演算手段の一例であって、携帯電話機20の制御部を構成する。そして、この制御プログラムの演算により、既述のように、取得した画像からICカードアプリの媒体情報の特定やICカードアプリの選択処理を実行する。
メモリ62は、記憶手段又は記録手段の一例であって、例えば、携帯電話機20の動作等を制御するOSや、その他の制御プログラム等、取得した画像情報やICカードアプリ情報等を記録している。メモリ62の構成は、図10に示すように、例えば、プログラム記憶部622、データ記憶部624、RAM(Random Access Memory)626等で構成されている。
プログラム記憶部622は、携帯電話機20の動作制御やICカードアプリ情報の特定処理、ICカードアプリの選択処理等を実行するためのプログラムを記憶する手段の一例であって、例えば、ROM(Read Only Memory)で構成される。
データ記憶部624は、取得した画像情報やICカードアプリの特定処理に利用するICカードアプリの種別パターン情報を記録する手段、又は特定したICカードアプリ情報を記憶する手段の一例であって、例えば、ROMやフラッシュメモリ等で構成されている。そして、既述のICカードアプリ格納部48や、ロゴマークやバーコードのパターン情報等が格納されたICカードアプリ種別パターン情報DB46等を構成する。
なお、このプログラム記憶部622やデータ記録部624は、例えば、電気的に内容を書き換えることができるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )等で構成されてもよい。
また、上記の各処理プログラムやICカードアプリの種別パターン情報は、プログラム記憶部622やデータ記憶部624等に記憶されたものに限られない。例えば、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク等のコンピュータで読出し可能な記録媒体に記憶されているものを利用してもよい。さらに、ネットワーク上にあるサーバやデータベース等からプログラム等を読み込んで利用してもよい。
RAM626は、上記の制御プログラム等を実行させるためのワークエリアを構成している。そして、CPU60による制御プログラムを実行することで、既述のICカードアプリ決定部44、ICカードアプリ自動選択機能部50として機能する。また、カメラ70やICカード通信部64等に対する動作制御指示等を行う。
ICカード通信部64は、電子マネー等の情報を記録し、支払い処理プログラムを利用したプリペイド機能又はクレジット機能等による支払い処理が実行可能な構成あり、図11に示すように、例えば、CPU80、ROM82、RAM84、無線部86等で構成されている。このICカード通信部64は、例えば、ICチップで構成されている。
CPU80は、ICカード機能を実行する演算手段の一例であって、例えば、ICカード通信部64の機能制御、R/W装置40との間で送受される搬送波の解析処理等に関するプログラムの実行を行う。
ROM82は、ICカード機能の制御プログラム等の記録手段の一例である。RAM84は、ICカード機能のプログラムの実行処理等を行うワーキングエリアの一例である。
無線部86は、アンテナ88を備え、例えば、非接触形式、RFID(Radio Frequency IDentification)技術を利用して外部の読取り装置との間でデータの送受信を行う。これにより、ICカード通信部64を読取り装置であるR/W装置40にかざすことで、ICカードアプリ情報を通知し、支払い処理を実行する。このICカード通信部64として、例えば、Felica(登録商標)等を利用してもよい。
また、携帯電話機20の無線部66は、無線通信を行うためのアンテナ72を備えており、電話機能やメール等のデータ通信機能を備える。また、ネットワークへの接続機能等を備えている。
操作入力部68は、携帯電話機20の情報入力手段であって、キーパッド部を備え、文字等の記号入力キーや表示情報を選択するカーソルキーや、選択された情報を決定する決定キー30等を備え、既述のキー操作部24を構成する。
表示部22は、画面表示が可能なLCD(Liquid Crystal Display) 表示素子等で構成された表示手段であって、例えば、ICカードアプリの種別情報の撮影画像の表示等を行う。
なお、携帯電話機20の表示部22と操作入力部68とを併せて、所謂タッチパネル方式の表示部を利用してもよい。
携帯電話機20は、図12に示すように、例えば、表示側筐体部90と操作側筐体部92とがヒンジ94によって開閉可能に連結されている。表示側筐体部90には、表示部22、レシーバ96等が備えられている。操作側筐体部92には、操作入力部68、マイクロフォン98が備えられ、操作入力部68には、カーソルキー100、決定キー30等が備えられている。
また、携帯電話機20の背面側には、図13に示すように、表示側筐体部90にカメラ70が設置され、また、操作側筐体部92には、ICチップ等で構成されたICカード通信部64が設置されている。
次に、R/W装置40の構成例について、図14を参照する。図14は、R/W装置の構成例を示す図である。なお、図14に示す構成は一例であって、これに限定されない。
R/W装置40は、支払い装置の一例であって、例えば、R/W装置40からの搬送波により携帯電話機20に設置されたICカード通信部64に対してデータの読み取り、又は書込みを行う手段である。このR/W装置40には、例えば、携帯電話機20のICカード通信部64との通信を行う通信部102と、ICカードアプリの設定処理、支払い処理等を行う制御部104とを備えている。
通信部102は、例えば、所定の規格に従った搬送波(キャリア)をICカード通信部64側に送信して、データの授受を行う手段である。
制御部104は、R/W装置40の起動制御、ICカード通信部64に対する通信制御等を行う手段である。この制御部104には、例えば、ICカードアプリによる支払い処理を制御する決済管理部106が構成されており、通信部102を介してICカード通信部64側に対し、ICカードアプリの問い合せや支払い(決済)処理の実行等を行う。この制御部104は、例えば、動作制御プログラムを実行するCPU、決済管理部106を構成するプログラムを動作させるRAM等で構成されている。
このような構成において、携帯電話機20のICカード通信部64をR/W装置40の通信部102側に近付けることで搬送波によるデータ通信を行う。そして、ICカードアプリの設定の読み取りや電子マネーに関する情報の書込み処理等を行う。
次に、ICカードアプリの自動選択処理及び支払い処理について、図15、図16、図17及び図18を参照する。図15〜図18は、携帯電話機とR/W装置による支払い処理を示すシーケンス図である。なお、図15〜図18に示す処理手順、処理内容は一例であって、これに限定されない。また、図15〜図18における1〜15の符号は連結子を表している。
この処理は、携帯端末装置の支払い媒体選択方法、又は支払い媒体選択プログラムの一例である。そして、携帯電話機20側におけるICカードアプリの媒体情報の特定処理、R/W装置40からの支払い(決済)指示に基づくICカードアプリの選択処理、R/W装置40側への通知処理を行う。
携帯電話機20では、使用するICカードアプリの決定依頼を受ける(ステップS21)。この決定依頼は、例えば、利用者による操作指示、又は撮影操作が行われる。携帯電話機20のICカードアプリ決定部44では、この決定依頼に基づき、媒体の入力情報12の取込み処理として、撮影したICカードアプリ(IC−A)のロゴマーク画像Aを取得する。この画像Aには、例えば、撮影順を示す「01」の情報が付与されている。
取得した画像情報を利用して、媒体情報を示すICカードアプリの種別を割り出す(ステップS22)。この処理では、ICカードアプリ種別バターン情報DB46から種別パターン情報を読み出し、画像Aに含まれるICカードアプリのロゴマーク(媒体の入力情報12)と照合を行う(ステップS23)。この照合処理により、特定された「IC−A」の媒体情報が得られる(ステップS24)。このICカードアプリの媒体情報、及び撮影順情報は、コンピュータが認識可能な形式でICカードアプリ格納部48に保管される(ステップS25)。ICカードアプリの媒体情報は、例えば、既述のように、ICカードアプリの媒体情報テーブル34を作成すればよい。
1つ目のICカードアプリの特定処理が終わると、次のICカードアプリの特定に移行する。上記と同様にICカードアプリの決定依頼を受け(ステップS26)、撮影したICカードアプリ(IC−B)のロゴマーク画像Bを取得する。この画像Bには、例えば、撮影順を示す「02」の情報が付与されている。このICカードアプリの特定、及びその媒体情報の格納処理は、上記のステップS22〜ステップS25と同様に行えばよい。
なお、ここでは、各ICカードアプリ毎に、媒体の入力情報12の取り込みと、媒体情報の特定を行っているが、これに限られず、例えば、複数のICカードアプリについて、画像を取り込み、その後にICカードアプリの特定、優先度情報の設定をまとめて行ってもよい。
次に、携帯電話機20及びR/W装置40におけるICカードアプリの設定処理に移行する。この処理は、例えば、利用者が携帯電話機20をR/W装置40にかざす等、接近したことを契機に開始する。
R/W装置40の決済管理部106が決済の開始要求を出力し(ステップS27)、通信部102からの搬送波によって携帯電話機20側へと送信する(ステップS28)。この決済開始要求には、例えば、支払いに利用するICカードアプリ情報の通知要求が含まれる。
携帯電話機20のICカード通信機能部52では、R/W装置40からの決済開始要求を受信したとき、使用するICカードアプリが未設定で不明と判断し(ステップS29)、ICカードアプリ自動選択機能部50に対してICカードアプリの種別要求を出力する(ステップS30)。
ICカードアプリ自動選択機能部50では、上記指示を受けてICカードアプリの選択処理に移行する(ステップS31)。この処理では、ICカードアプリ格納部48にアクセスし、特定したICカードアプリの媒体情報を選択する(ステップS32)。複数のICカードアプリの媒体情報が保管されている場合には、設定された優先度情報に基づいて選択を行う。ここでは、一例として、撮影順序が優先度として設定されており、ICカードアプリ「IC−A」を選択する(ステップS33)。
そして、ICカードアプリ格納部48に対して、選択したICカードアプリ(IC−A)の媒体情報の削除指示を出力する(ステップS34)。また、選択した媒体情報をICカード通信機能部52側へと通知し(ステップS35)、そのデータを搬送波に乗せてR/W装置40側へと送信する(ステップS36)。R/W装置40側では、通信部102が媒体情報を受信すると、決済管理部106に対して、受信したICカードアプリ(IC−A)での決済リトライの要求をする(ステップS37)。即ち、この決済リトライの要求(ステップS35〜ステップS37)は、携帯電話機20側からR/W装置40に対して、指定したICカードアプリを利用可能な状態に設定させ、決済処理を開始させるための指示出力である。
決済管理部106では、再度、決済開始要求を出力する(ステップS38)。このとき、R/W装置40は、携帯電話機20側から指定されたICカードアプリ(IC−A)に設定されている。この決済開始要求は、通信部102の搬送波により携帯電話機20側へと送信される(ステップS39)。
そして、携帯電話機20では、この決済開始要求を受け、支払い処理に移行する(ステップS40)。
この支払い処理では、設定したICカードアプリ(IC−A)が携帯電話機20において利用できない場合(ステップS41)の例を示している。例えば、携帯電話機20側に対応するICカードアプリが記憶されていない場合、又は、選択したICカードアプリを記憶しているが、例えば、利用可能な残金が支払い金額に達しないため支払い処理が行えない場合等を示している。
上記のように、ICカード通信機能部52からICカードアプリの起動指示を行っても選択したICカードアプリが利用できない場合には、ICカードアプリ自動選択機能部50に対して、新たなICカードアプリの種別要求が出力される(ステップS42)。ICカードアプリ自動選択機能部50では、再びICカードアプリの選択を行う(ステップS43)。この選択処理では、ICカードアプリ格納部48にアクセスし(ステップS44)、例えば、既述の媒体情報テーブル34等から、優先度情報に基づいてICカードアプリを選択する。例えば、次に優先度が高いICカードアプリ「IC−B」を選択する(ステップS45)。
選択したICカードアプリ「IC−B」の媒体情報をICカード通信機能部52側へと通知し(ステップS46)、そのデータを搬送波に乗せてR/W装置40の通信部102へと通知する(ステップS47)。通信部102は、決済管理部106に対して指定されたICカードアプリ(IC−B)による決済処理を開始させるためのリトライ要求を行う(ステップS48)。
リトライ要求を受け、決済管理部106では、ICカードアプリ「IC−B」に対応設定し、決済開始要求を発し(ステップS49)、通信部102からの搬送波によってICカード通信機能部52側へと通知する(ステップS50)。
決済開始要求を受け、ICカード通信機能部52では、選択したICカードアプリ「IC−B」の起動に移行する。「IC−B」が起動により支払い処理を行う(ステップS51)。
そして、支払い処理が完了すると、ICカード通信機能部52からICカードアプリ自動選択機能部50に対して完了通知が出力される(ステップS52)。ICカードアプリ自動選択機能部50は、この完了通知を契機にICカードアプリ格納部48の媒体情報テーブル34の削除指示を行う(ステップS53)。
以上の処理によって、携帯電話機20及び、R/W装置40におけるICカードアプリの自動選択処理及び支払い処理が完了する。
なお、新たに選択した「IC−B」についても利用できない場合には、同様に媒体情報テーブル34から次のICカードアプリの選択を繰り返し行えばよい。
斯かる構成によれば、ICカードアプリの情報を取り込むことで、使用可能なICカードアプリの特定、選択が可能となり、設定操作の省略化が図られる。また、支払い処理において、再度、ICカードアプリの設定操作や、口頭による設定指示等が不要となり、処理の迅速化が図られる。
上記の第1、第2及び第3の実施の形態について、特徴事項、利点又は変形例等を列挙する。
(1) 本開示の携帯端末装置は、例えば、ICカード機能を搭載した携帯電話機であって、例えば、ICカードアプリ自動選択機能によって、支払いに利用するICカードアプリの選択操作を省略することができる。
(2) 本開示の携帯端末装置では、取得したICカードアプリの媒体の情報を比較データと照合してICカードアプリの特定を行う。
(3) ICカードアプリは、例えば、入力・取得した順序、もしくは使用頻度等を利用して優先度情報を設定し、その優先度情報に基づいて選択を行う。
(4) R/W装置40からの搬送波を受信したときに、使用するICカードアプリが指定されていない、もしくは不明の場合、ICカードアプリ自動選択機能部50が選択したICカードアプリの媒体情報をR/W装置40側へと通知する。これにより、利用するICカードアプリを選択し、R/W装置40側に対する設定処理について、利用者の設定操作を省略できる。
(5) 支払い処理を行う利用者が既に使用するICカードアプリを決めているにも拘らず、レジ等の専用端末に対して選択操作、又は店員に口頭で選択指示を伝える等の必要がなくなり、煩わしさを感じさせず、支払い処理の迅速化を図ることができる。
(6) 携帯電話機20のICカードアプリの特定では、利用者によってICカードアプリの画像等の識別情報を取り込む構成である。これにより、例えば、利用者や店員等の設定操作の過誤、又は伝達過誤により、意図しないICカードアプリが設定されることがない。
(7) 既述のように、上記の携帯電話機20は、ICカードアプリ自動選択機能を備え、支払い処理の前に、使用するICカードアプリを決定することができる。そして、利用者によるICカードアプリの設定操作を行うことなく、支払い装置に対応したICカードアプリによる支払いを自動的に行うことが可能となる。
(8) ICカードアプリの特定に関し、利用者はロゴマーク等によって使用したいICカードアプリの特定ができるので、使用可能なICカードアプリの種類が増加しても、ICカードアプリの選択の過誤を減少させることができる。
〔第4の実施の形態〕
第4の実施の形態は、特定した媒体情報に対応したICカードアプリが利用可能であるか否かの判断処理を含む構成である。即ち、上記実施の形態で示したように、支払い処理の段階において選択したICカードアプリが利用可能であることを確認するのではなく、媒体情報の特定処理において、利用可能か否かの判断を行う。
第4の実施の形態について、図19を参照する。図19は、第4の実施の形態に係る携帯電話機の構成例を示す図である。図19に示す構成は一例であって、これに限定されない。なお、図19において、図8と同一部分には同一符号を付してある。
この実施の形態における携帯電話機20は、既述の構成に加え、ICカードアプリ記録部110を備えている。そして、特定したICカードアプリの媒体情報に対応するICカードアプリが利用可能か否かの処理を含む。利用可能か否かの判断は、例えば、対応するICカードアプリがICカードアプリ記録部110に記録されていない場合や、既述のように、支払い可能な金銭情報が記録されていない場合等を判断する。
ICカードアプリ記録部110は、支払い処理を行う媒体を記録する手段の一例であって、例えば、1又は複数のICカードアプリケーションプログラムが記録されている。このICカードアプリ記録部110には、例えば、対応するICカードアプリの種別毎に、利用可能な金銭情報(残金情報)等が記録されている。そして、支払い処理の実行では、選択されたICカードアプリを実行させて、記録されている金銭情報の増減処理により決済を行う。
特定したICカードアプリ情報に対応するICカードアプリが利用可能か否かの判断は、例えば、ICアプリ自動選択機能部50が行う。この判断は、例えば、ICカードアプリ判断プログラム等の実行によって行う。そして、対応するICカードアプリが利用できる場合には、その媒体情報をICカードアプリ格納部48に記録する。また、対応するICカードアプリが利用できない場合には、例えば、そのICカードアプリの媒体情報を削除すればよい。この場合、例えば、携帯電話機20の表示部22を利用して、取り込んだICカードアプリ情報に対応するICカードアプリは利用できないことを利用者に報知してもよい。
次に、ICカードアプリの利用可能判断を含む携帯電話機20とR/W装置40の処理について、図20を参照する。図20は、携帯電話機とR/W装置による支払い処理を示すフローチャートである。なお、図20に示す処理内容、処理手順等は一例であって、これに限定されない。
図20に示す処理は、支払い媒体選択方法、又は支払い媒体選択プログラムの一例であって、特定したICカードアプリの媒体情報に対応するICカードアプリが利用可能か否かの判断処理を含む。そして、利用可能な場合には支払い処理に移行し、利用不可能な場合には、特定したICカードアプリ情報は利用しない。
そこで、携帯電話機20側では、既述のようにICカードアプリの特定処理を行う。例えば、カメラ等の撮像機能部42を利用して、R/W装置40等に提示された媒体の入力情報12であるICカードアプリのロゴマークを読み込む(ステップS61)。そして、この読み込んだ媒体の入力情報12(ロゴマーク)を利用して、ICカードアプリを特定し、媒体情報を特定する(ステップS62)。ICカードアプリの特定処理の内容は、既述の通りである。
媒体情報が特定されると、ICカードアプリの利用可能か否かの判断として、例えば、この携帯電話機20に該ICカードアプリが記録されているかの判断を行う(ステップS63)。例えば、ICカードアプリ自動選択機能部50により、取得したICカードアプリの媒体情報と、ICカードアプリ記録部110にあるICカードアプリの種別とを比較し、一致するか否かを判断する。
一致する場合(ステップS63のYES)には、例えば、特定した媒体情報をICカードアプリ格納部48に記憶させておき、支払い処理まで保持する。そして、R/W装置40からの決済開始要求に含まれるICカードアプリの問い合せ(ステップS64)に対応する。
支払い処理では、既述のように、携帯電話機20をR/W装置40側へとかざす(ステップS65)ことで、ICカード通信機能部52からR/W装置40の通信部102側へと支払いに利用するICカードアプリの媒体情報を送信し、設定処理を行う。そして、携帯電話機20で起動したICカードアプリの支払い処理の指示がR/W装置40側へと通知され、決済処理が実行される(ステップS66)。
また、ICカードアプリ記録部110内に一致する媒体情報がない場合(ステップS63のNO)、そのICカードアプリは利用できないとして、その媒体情報を破棄等して処理を終了する。
このようにICカードアプリが特定できない場合には、例えば、携帯電話機20等の表示部22を利用してその旨を利用者に対して報知するようにしてもよい。さらに、利用者が新たなICカードアプリの特定を希望する場合には、再度ステップS61へと戻るようにしてもよい。
なお、複数のICカードアプリの媒体情報を特定する場合には、例えば、ステップS63の判断を行った後、再度ステップS61の読み込み処理に戻るようにしてもよい。そして、全てのICカードアプリの特定が終了すれば、支払い処理(ステップS64〜S66)に移行すればよい。
また、上記のように複数のICカードアプリを特定する場合には、既述のように、優先度を設定すればよい。
斯かる構成によれば、上記実施の形態と同様に、ICカードアプリの情報を取り込むことで、使用したいICカードアプリの特定、選択処理が可能となり、設定操作の省略化や支払い処理の迅速化が図られる。また、取り込んだICカードアプリの情報に対して、支払い処理前に利用可能か否かの判断が行え、利用可能なICカードアプリのみを設定しておくので、支払い処理段階でICカードアプリの再選択や再設定をすることがなく、処理の迅速化が図られる。
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、携帯端末装置の一例として、携帯電話機20を示したが、これに限られるものではない。本開示の携帯端末装置、支払い媒体選択方法、又は支払い媒体選択プログラムは、例えば、媒体情報取得機能、媒体情報特定機能、媒体情報格納機能、通信機能、媒体情報選択機能等を備えればよい。そこで、例えば、ICカード機能を搭載し、撮影機能等を備え、1又は複数のICカードアプリを格納した携帯情報端末機(PDA:Personal Digital Assistant)200(図21、図22)を利用してもよい。
このPDA200は、図21に示すように、前面側には、表示部202、操作部204を備えている。そして、例えば、提示されているICカードアプリのロゴマークをカメラ208(図22)を利用して表示部202内に設定された特定枠206に捉え、又は撮影することでICカードアプリの情報の取り込みを行えばよい。
また、PDA200の背面側には、図22に示すように、既述のカメラ208、ICチップ等で構成されたICカード通信部210が備えられている。これにより、ICカード通信部210を支払い装置であるR/W装置40側へとかざす等、接近させることで通信し、特定したICカードアプリの媒体情報の通知、支払い指示等のやり取りを行えばよい。斯かる構成によっても、上記実施の形態と同様に、上記目的を達成することができる。
(2) 上記実施の形態では、ICカードアプリの媒体の入力情報12としてロゴマークを利用しており、ICカードアプリの媒体情報の特定として、例えば、ロゴマークの外形とICカードアプリの種別パターンとの照合を挙げたが、これに限られない。例えば、ICカードアプリの情報として、図23に示すように、バーコード(Bar Code)220{図23の(A)}や、QRコード(Quick Response)230{図23の(B)}等を利用してもよい。
即ち、これらのバーコード220やQRコード230には、コンピュータが認識可能な情報が記録されており、バーコード220やQRコード230を携帯端末装置2のカメラを利用し、図5に示すように、表示部22の特定枠28内に入るように取り込むことで、ICカードアプリの媒体情報を特定するようにしてもよい。斯かる構成によっても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(3) 上記実施の形態では、ICカードアプリの媒体情報として、ICカードアプリのロゴマーク、バーコード、QRコード等の画像情報を利用しているが、これに限られない。例えば、音声情報を利用してもよい。即ち、ICカードアプリの名称等を媒体の入力情報12とし、ICカードアプリ種別パターン情報DB46には、例えば、音声パターンを記録させておく。そして、例えば、利用者が携帯端末装置2のマイクロフォンにICカードアプリの名称等を発音することで、音声パターン照合によりICカードアプリを特定するようにすればよい。斯かる構成によっても、上記実施の形態と同様の効果が得られる。
(4) 上記実施の形態では、携帯端末装置2のICカードアプリに対する支払い装置として、例えば、店舗等に設置された専用端末であるR/W装置40を示したが、これに限られない。例えば、PC(Personal Computer )等に搭載され、又は既設のR/W装置を利用してもよい。この場合、例えば、Webサイト上での支払い処理において、携帯端末装置2は、PCの画面上に表示したICカードアプリの媒体の入力情報12を取り込み、使用するICカードアプリ情報を特定して、R/W装置40との間で支払い処理を行えばよい。
(5) 上記実施の形態では、支払い処理以前に予め複数種類のICカードアプリの媒体情報を特定し、媒体情報テーブル34(図6)を作成する場合を示しているが、これに限られず、1種類のICカードアプリのみを特定し、支払い処理を実行するようにしてもよいことは言うまでもない。そして、例えば、選択したICカードアプリが利用できないと判断された場合、携帯電話機20、又はR/W装置40側において利用者に対して、その旨の報知や、再度ICカードアプリの種別の選択処理(ステップS21〜)を促す報知をすればよい。
(6) 上記実施の形態では、特定したICカードアプリの優先度は、画像情報の取り込み順を基準に自動設定する場合を示したが、これに限られない。例えば、特定した媒体情報に対応するICカードアプリについて、記録されている金額の多少や使用頻度、使用履歴等を基準に利用者が任意に優先度を設定するようにしてもよい。そして、支払い処理において、設定された優先度情報に応じてICカードアプリの媒体情報を選択するようにしてもよい。
(7) 上記実施の形態では、携帯端末装置内に支払いに利用するICカードアプリが記録されている構成例を示したがこれに限られない。媒体の入力情報12を取り込み、その媒体情報を特定する機能、支払い処理段階において媒体情報を選択する機能、支払い装置側に媒体情報を通知する機能を備える構成であればよい。即ち、既述の各機能により支払い装置側に対して、特定したICカードアプリの媒体情報を通知し、係るICカードアプリでの支払い(決済)処理の設定を行わせる。そして、支払い処理では、携帯端末装置から独立したICカードを利用して支払い処理を行ってもよい。斯かる構成によれば、支払い装置側に対し、利用する媒体情報の設定指示が自動で行えるので、支払い処理の迅速化や設定操作の簡略化が図られる。
次に、以上述べた実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本発明が限定されるものではない。
(付記1) 取扱い可能な媒体の情報を取得する媒体情報取得部と、
前記媒体情報取得部で取得した前記情報に基づき、媒体情報を特定する媒体情報特定部と、
前記媒体情報特定部で特定された前記媒体情報を無線により支払い装置に通知する通知部と、
を備えることを特徴とする、携帯端末装置。
(付記2) 更に、前記媒体情報特定部で特定された単一又は複数の前記媒体情報を格納する媒体情報格納部と、
前記媒体情報格納部にある前記媒体情報から支払いに用いる媒体情報を選択し、前記通知部に提供する媒体情報選択部と、
を備えることを特徴とする、付記1記載の携帯端末装置。
(付記3) 前記媒体情報取得部は、前記情報を画像によって取得する撮像手段、前記情報を音声によって取得する音声取得手段のいずれかであることを特徴とする、付記1記載の携帯端末装置。
(付記4) 前記媒体情報格納部に前記媒体情報とともに優先度を表す優先度情報を格納し、前記媒体情報選択部は、前記優先度情報に応じて媒体情報を選択することを特徴とする、付記2記載の携帯端末装置。
(付記5) 前記媒体情報選択部は、前記支払い装置から通知された取扱い可能な媒体の情報に基づき、前記媒体情報格納部にある媒体情報を選択することを特徴とする、付記2記載の携帯端末装置。
(付記6) 取扱い可能な媒体の情報を取得するステップと、
取得した前記情報に基づき、媒体情報を特定するステップと、
特定された前記媒体情報を無線により支払い装置に通知するステップと、
を含むことを特徴とする支払い媒体選択方法。
(付記7) 更に、特定された単一又は複数の前記媒体情報を媒体情報格納手段に格納するステップと、
前記媒体情報格納手段にある前記媒体情報から支払いに用いる媒体情報を選択するステップと、
を含むことを特徴とする、付記6記載の支払い媒体選択方法。
(付記8) 携帯端末装置に搭載されたコンピュータによって実行される支払い媒体選択プログラムであって、
取扱い可能な媒体の情報を取得する機能と、
取得した前記情報に基づき、媒体情報を特定する機能と、
特定された前記媒体情報を無線により支払い装置に通知する機能と、
を前記コンピュータで実現させることを特徴とする支払い媒体選択プログラム。
(付記9) 更に、特定された単一又は複数の前記媒体情報を媒体情報格納手段に格納する機能と、
前記媒体情報格納手段にある前記媒体情報から支払いに用いる媒体情報を選択する機能と、
を含むことを特徴とする、付記8記載の支払い媒体選択プログラム。
以上説明したように、携帯端末装置、支払い媒体選択方法又は支払い媒体選択プログラムの実施の形態について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。