JP2011103275A - 発光ダイオード照明器具 - Google Patents

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Abstract

【課題】省エネルギー化を図りつつ、例えば蛍光灯120W型ダウンライトと同等の、照度が均一で広がりのある配光を実現することのできるLED照明器具を提供する。
【解決手段】回路基板5と、回路基板5上に実装された複数のLEDと、各LEDの発光面と対向して配置され、各LEDからの光を拡散する複数の広角レンズ7とを備えたLED照明器具である。広角レンズ7として、各LEDの1/2照度角を85°以上に調整する広角レンズを用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光源として発光ダイオード(以下「LED(Light Emitting Diode)」と称する)を用いたLED照明器具に関し、特に、複数個のハイパワーLEDを用いた高輝度ハイパワーLED照明器具に関する。
LEDは、放電や輻射を用いた既存の光源に比べて、小型で高効率であるだけでなく、長寿命でもあることから、既存の光源に取って代わるのは時間の問題となってきている。
しかし、LEDから出射される光は指向性を有しているため、LEDを照明器具用の光源として用いる場合には、LEDから出射される光を拡散させる必要がある。
従来、光源としてLEDを用いたLED照明器具としては、種々のものが提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特許文献1には、複数のLEDと、各LEDの発光面と対向して配置され、外側に位置するLEDほど当該LEDから出射される光の向きが外側を向くように配光するレンズ体とを備えたLED照明器具が開示されている。
また、特許文献2には、レンズ等の第1及び第2の光制御体が、自身の光軸から当該光軸に対して少なくとも60°の範囲にLEDからの光を出射するように構成されたLED照明器具が開示されている。
また、特許文献3には、LEDの周囲に、光を広角照射させるレンズ体を装着した発光体と、前記発光体から広角に照射される光をさらに広角照射させる増幅乱反射レンズとを備えたLED照明器具が開示されている。
また、特許文献4には、LEDと、前記LEDから出射される指向性のある光を拡散させるレンズとからなるLED照明器具が開示されている。
また、特許文献5には、複数のLEDと、各LEDの発光面と対向して配置され、各LEDから出射される光の配光を制御するレンズ体とにより構成され、前記LEDの位置を前記レンズ体の焦点からずらして、照射範囲を広げるようにしたLED照明器具が開示されている。
特開2002−304903号公報 特開2007−234403号公報 特開2008−171786号公報 特開平10−307549号公報 特開2005−347280号公報
ところで、LED照明器具に対しては、消費エネルギーを小さく抑えることが要望される一方で、例えば蛍光灯120W型ダウンライトと同等の、照度が均一で広がりのある配光を実現することが要望されるが、上記特許文献1〜5等で提案されているLED照明器具は、例えば蛍光灯120W型ダウンライトと同等の、照度が均一で広がりのある配光を実現するには至っていない。
本発明者らは、LEDを用いたLED照明器具において、例えば蛍光灯120W型ダウンライトと同等の、照度が均一で広がりのある配光を実現すべく、鋭意研究を重ね、本発明をするに至った。
尚、ハイパワーLEDの本体チップは、起動中に大量の熱を発生させるので、LEDとしてハイパワーLEDを用いる場合には、これらの熱を直ちに外部に伝導し、放熱する必要がある。
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、省エネルギー化を図りつつ、例えば蛍光灯120W型ダウンライトと同等の、照度が均一で広がりのある配光を実現することのできるLED照明器具を提供することを目的とする。また、本発明は、LEDとしてハイパワーLEDを用いた場合であっても、当該ハイパワーLEDの本体チップが発生させる熱を直ちに外部に伝導し、放熱することのできるLED照明器具を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明に係るLED照明器具の構成は、回路基板と、前記回路基板上に実装された複数のLEDと、各LEDの発光面と対向して配置され、各LEDからの光を拡散する複数のレンズ体とを備えたLED照明器具であって、前記レンズ体として、各LEDの1/2照度角を85°以上に調整するレンズ体を用いることを特徴とする。ここで、『1/2照度角』とは、光源(LED)の直下の照度の1/2の照度となる地点を、光源(LED)から見た場合の広がり角のことである。
前記本発明のLED照明器具の構成によれば、各LEDからの光を拡散するレンズ体として、各LEDの1/2照度角を85°以上に調整するレンズ体を用いることにより、例えば蛍光灯120W型ダウンライトと同等の、照度が均一で広がりのある配光を実現することのできるLED照明器具を提供することができる。そして、例えば、2.26WのハイパワーLEDを30個用いた場合であっても、消費電力はせいぜい68W(30×2.26W)であるので、省エネルギー化を図りつつ、例えば蛍光灯120W型ダウンライトと同等の、照度が均一で広がりのある配光を実現することのできるLED照明器具を提供することができる。
前記本発明のLED照明器具の構成においては、前記複数のLEDが略均等に配置されているのが好ましい。また、この場合には、前記複数のLEDが複数の同心円上に配置されているのが好ましい。この場合にはさらに、前記LEDの個数が30個であり、最も内側の同心円上に6個のLEDが配置され、その外側の2つの同心円上にそれぞれ12個のLEDが配置されているのが好ましい。これらの好ましい例によれば、照度の均一性をより向上させることができる。
また、前記本発明のLED照明器具の構成においては、前記回路基板の背面側に放熱部が設けられているのが好ましい。また、この場合には、前記放熱部が、前記LEDから発せられた熱を一旦蓄積する蓄熱モジュールと、前記蓄熱モジュールの熱を伝導する熱伝導モジュールと、前記熱伝導モジュールから受け取った熱を放熱する放熱モジュールとを備えているのが好ましい。この場合にはさらに、前記蓄熱モジュールが、前記回路基板の背面に固着された放熱基盤からなり、前記放熱モジュールが、少なくとも1枚の放熱板からなり、前記熱伝導モジュールが、一端部が前記放熱基盤に接触した状態で固定され、他端部が前記放熱板に接触した状態で保持された少なくとも1本の熱伝導パイプからなるのが好ましい。さらにこの場合には、前記熱伝導パイプは、内部が真空状態に保持されたパイプ本体と、前記パイプ本体の内壁に設けられた、液体を吸収する多孔性の材料からなる吸液部材とを備え、前記吸液部材に液体が充満した状態で密封されているのが好ましい。さらにこの場合には、前記放熱板の一端部が前記放熱基盤に接触した状態で固定され、前記熱伝導パイプの他端部が前記放熱板に形成された穴に挿通されているのが好ましい。これらの好ましい例によれば、LEDとしてハイパワーLEDを用いた場合であっても、当該ハイパワーLEDの本体チップが発生させる熱を直ちに外部に伝導し、放熱することができる。
以上のように、本発明によれば、省エネルギー化を図りつつ、例えば蛍光灯120W型ダウンライトと同等の、照度が均一で広がりのある配光を実現することのできるLED照明器具を提供することができる。また、本発明によれば、LEDとしてハイパワーLEDを用いた場合であっても、当該ハイパワーLEDの本体チップが発生させる熱を直ちに外部に伝導し、放熱することのできるLED照明器具を提供することができる。
本発明の一実施の形態におけるLED照明器具の全体構成を示す分解斜視図 本発明の一実施の形態におけるLED照明器具を構成する光源部の、レンズ体(広角レンズ)を取り外した状態を示す斜視図 本発明の一実施の形態におけるLED照明器具を構成する光源部を示す平面図 本発明の一実施の形態におけるLED照明器具を構成する光源部の、レンズ体(広角レンズ)を取り外した状態を示す平面図 本発明の一実施の形態におけるLED照明器具を構成する光源部の、レンズ体(広角レンズ)を取り付けた状態を示す断面図 本発明の一実施の形態で用いられるレンズ体(広角レンズ)を示す構成図((a)は断面図、(b)は裏側から見た斜視図、(c)は表側から見た斜視図) 本発明の一実施の形態におけるLED照明器具を用いた場合の配光図 本発明の一実施の形態におけるLED照明器具の照度分布を示す図 本発明の一実施の形態におけるLED照明器具を構成する放熱部を示す斜視図 本発明の一実施の形態におけるLED照明器具を構成する放熱部を示す側面図 本発明の一実施の形態におけるLED照明器具を構成する放熱部の一方の端面を示す正面図 本発明の一実施の形態におけるLED照明器具を構成する放熱部の他方の端面を示す背面図 本発明の一実施の形態におけるLED照明器具を構成する放熱部を構成する放熱板を示す斜視図 本発明の一実施の形態におけるLED照明器具をダウンライトとして使用する場合の使用状態を示す側面図 本発明の一実施の形態における他のLED照明器具の全体構成を示す斜視図 本発明の一実施の形態で用いられるレンズ体(広角レンズ)の他の構成を示す構成図((a)は断面図、(b)は裏側から見た斜視図、(c)は表側から見た斜視図) 本発明の一実施の形態で用いられるレンズ体(広角レンズ)のさらに他の構成を示す構成図((a)は断面図、(b)は裏側から見た斜視図、(c)は表側から見た斜視図) 本発明の一実施の形態で用いられるレンズ体(広角レンズ)のさらに他の構成を示す構成図((a)は断面図、(b)は裏側から見た斜視図、(c)は表側から見た斜視図)
以下、実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
〈LED照明器具の全体構成〉
まず、図1、図2を参照しながら、本実施の形態のLED照明器具の全体構成について説明する。
図1は本実施の形態におけるLED照明器具の全体構成を示す分解斜視図、図2は当該LED照明器具を構成する光源部の、レンズ体(広角レンズ)を取り外した状態を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施の形態のLED照明器具1は、放熱方式の高輝度ハイパワーLED照明器具であり、光源部2と、放熱部(ヒートシンク)3と、電源トランス部4とを備えている。
図1、図2に示すように、光源部2は、回路基板5と、回路基板5上に実装された複数のハイパワーLED6(図2においては、LED6が■によって表されている)と、各LED6の発光面と対向して配置され、各LED6からの光を拡散するレンズ体としての複数の広角レンズ7とを備えている。そして、各LED6は、2本の電源コード8、9を用いて電源トランス部4に電気的に接続されている。
放熱部3は、回路基板5の背面側に設けられており、LED6から発せられる熱を一旦蓄積する蓄熱モジュールと、蓄熱モジュールの熱を伝導する熱伝導モジュールと、熱伝導モジュールから受け取った熱を放熱する放熱モジュールとを備えている。ここで、蓄熱モジュールは、回路基板5の背面に固着された放熱基盤10からなり、放熱モジュールは、複数の放熱板12からなり、熱伝導モジュールは、一端部が放熱基盤10に接触した状態で固定され、他端部が放熱板12に接触した状態で保持された複数の熱伝導パイプ11からなっている。放熱部3の周りには、当該放熱部3での発熱で火傷を負うなどの危険性を回避するための保護カバー13が取り付けられている。
電源トランス部4は、下ケースと上ケースとからなる筐体14と、筐体14内に収容された、AC−DC制御回路基板とDC−DC制御回路基板とからなるトランス基板(図示せず)とを備えている。そして、AC−DC制御回路基板及びDC−DC制御回路基板には、それぞれ電源コードを差し込むことのできる差込端子15、16が筐体14の外部に露出した状態で取り付けられており、差込端子16に差し込まれる電源コードは、家庭用AC100Vの電源等に接続可能となっている。筐体14には、多数の矩形状の通風孔14aが形成されており、これにより、トランス基板上の電子部品からの熱を外部に逃がすことができるようにされている。尚、通風孔14aの形状は、矩形以外の円形、多角形等とすることもできる。
〈光源部の構成〉
次に、図1〜図6を参照しながら、本実施の形態のLED照明器具を構成する光源部についてさらに詳細に説明する。
図3は本実施の形態におけるLED照明器具を構成する光源部を示す平面図、図4は当該光源部の、レンズ体(広角レンズ)を取り外した状態を示す平面図、図5は当該光源部の、レンズ体(広角レンズ)を取り付けた状態を示す断面図、図6は本実施の形態で用いられるレンズ体(広角レンズ)を示す構成図((a)は断面図、(b)は裏側から見た斜視図、(c)は表側から見た斜視図)である。
図2、図4に示すように、平面形状が円形のアルミ製の回路基板5には、30個のハイパワーLED6(2.26W)(図2、図4においては、LED6が■によって表されている)が3つの同心円(図4においては、同心円が破線によって表されている)上に略均等に配置された状態で実装されている。すなわち、最も内側の同心円(半径が約2.5cm)上には6個のLED6が等間隔で配置され、その外側の2つの同心円(半径が約4.5cm、約6.5cm)上にはそれぞれ12個のLED6が等間隔で配置されている。そして、これにより、消費電力が68W(30×2.26W)の高輝度ハイパワーLED光源が実現されている。また、図1、図3、図5に示すように、回路基板5には、各LED6をそれぞれ覆った状態で30個の広角レンズ7がビス17を用いてビス止めされている。そして、これにより、LED6からの光は、広角レンズ7を通して拡散される。尚、回路基板5の平面形状は、円形以外の矩形、多角形等とすることもできる。
広角レンズ7は、透過率が93%以上となるように、例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PC(ポリカーボネート)、光学ガラス等の透明性の高い材質からなっており、多軸の超精密なナノ加工技術、超精密な塑性成形技術、ガラス成形技術等を用いて形成されている。そして、広角レンズ7の透過率を93%以上とすることにより、LED6からの光による照度の均一性と発光効率を高めることができる。図5、図6に示すように、広角レンズ7は、LED6側のレンズ面18が凹面であり、その反対側のレンズ面19が凸面である凹凸レンズからなり、レンズ台20と共に一体成形されている。また、レンズ台20には、ビス17を用いて広角レンズ7を回路基板5にビス止めするための2つのビス孔21が形成されている。
広角レンズ7のレンズ面18、19は、LED6の1/2照度角を85°以上に調整する、自由曲面又は非球形曲面として設計される。ここで、『1/2照度角』とは、上述したように、光源(LED6)の直下の照度の1/2の照度となる地点を、光源(LED6)から見た場合の広がり角のことである。また、自由曲面又は非球形曲面とは、非伝統曲面あるいは非対称曲面又はパラメータだけで表示される曲面のことであり、例えば、NURBS曲面、パラメータのベクトルで表示される任意の形の自由曲面、変数X、Yの多項式の曲面、Bessell曲面、Bスプライン(B-spline)曲面、非均等有理Bスプライン(nonuniform rational B-spline)曲面(NURBS)などが含まれる。ここで、伝統曲面としては、球曲面、楕円曲面と抛物曲面などの曲線関数で表される曲面等が挙げられる。自由曲面を採用したこれらのシステム又は素子を『自由曲面光学システム』又は『自由曲面光学素子』と呼ぶ。自由曲面の照明設計原理は、縁(rim)光線原理で光束を保ち、さらに拡散量(Etendue)を保つ。拡散量(Etendue)とは、光学の径角性(Etendue)を指し、LED光源面積及び立体角と関係がある。
自由曲面を採用した広角レンズ7を用いれば、照度の均一性と発光効率を高め、必要な大範囲の照射角度を得ることができる。そして、この広角レンズ7を用いれば、ハイパワーLED6からの角度ごとの光線を再び配光し、最大限に光の利用率を高めることができる。さらに、この広角レンズ7を用いれば、ハイパワーLED6からの角度ごとの光線を再配光し、レンズ面19から出射される光線を分離することなく、1つの光として出射することができる。ハイパワーLED6からの隣り合う2本の光線は広角レンズ7上の点でも同様であり、LED6の縁(rim)は広角レンズ7の縁(rim)と対応する。
本発明者らは、照明設計解析ソフト:オプティカル リサーチ アソシエイツ(Optical Research Associates)製のLightTools(登録商標)を用いて、LED6(2.26W)の1/2照度角を85°以上に調整する広角レンズ7のレンズ形状を求めた。すなわち、パラメータとして『1/2照度角』を用い、その値として『85°以上』を入力して広角レンズ7の概略形状を求めた。そして、このようにして求めた広角レンズ7の概略形状に基づいて金型を作製し、この金型を用いてレンズを得た。次に、金型を段階的に削っていきながら、得られるレンズのレンズ形状に微調整を加え、LED6(2.26W)の1/2照度角が85°以上となる広角レンズ7を作製した。尚、LED6の1/2照度角を85°以上に調整する広角レンズ7のレンズ形状は、上記照明設計解析ソフトを用いて求めたものに限定されるものではなく、他の方法によって求めたものであってもよい。
そして、本発明者らは、このような1/2照度角の広い広角レンズ7付きのLED6を用いたLED照明器具1を、光源部2を下方(鉛直下向き)に向けた状態で設置して、配光を測定した。その結果を図7に示す。図7において、鉛直下方向を0°としており、径方向は光度の強さを表している。
図7に示すように、LED照明器具1の光源部2から出射された光は、LED照明器具1の鉛直線とのなす角0°〜47.5°(全角95°)の範囲で照明エリアの照度を与えている。図8に、LED6の1/2照度角が85°の場合の、LED照明器具1の照度分布を示す。照度の単位は[lx]である。図8において、水平軸はLED照明器具1の光源部2の直下の点からの水平距離(単位は[m])を示し、垂直軸はLED照明器具1の光源部2からの鉛直距離(単位は[m])を示している。尚、図8において、左側の数値は各鉛直距離における照明エリアの直径(単位は[m])を示している。図8に示すように、必要とする大きな照度が得られている。
以上のように、本実施の形態のLED照明器具1の構成によれば、省エネルギー化を図りつつ、例えば蛍光灯120W型ダウンライトと同等の、照度が均一で広がりのある配光を実現することのできるLED照明器具を提供することができる。
〈放熱部の構成〉
次に、図1、図2、図9〜図13を参照しながら、本実施の形態のLED照明器具を構成する放熱部についてさらに詳細に説明する。
図9は本実施の形態におけるLED照明器具を構成する放熱部を示す斜視図、図10は当該放熱部を示す側面図、図11は当該放熱部の一方の端面を示す正面図、図12は当該放熱部の他方の端面を示す背面図、図13は当該放熱部を構成する放熱板を示す斜視図である。
図1、図2、図9〜図13に示すように、放熱部3は、空気流動の熱力学と熱伝導力学の原理に基づいて設計され、回路基板5の背面に固着された蓄熱モジュールとしてのアルミ製の放熱基盤10と、各一端部が放熱基盤10に接触した状態で固定された放熱モジュールとしての良質のアルミ製の複数の放熱板12と、一端部が放熱基盤10に接触した状態で固定され、他端部が各放熱板12に接触した状態で保持された熱伝導モジュールとしての銅製の複数の熱伝導パイプ11とを備えている。より具体的には、放熱部3は、回路基板5の背面にビス止めされた平面形状が円形の放熱基盤10と、等間隔で配置され、各一端部が放熱基盤10に溶接された複数の放熱板12と、一端部が放熱基盤10に接触した状態で固定され、他端部が各放熱板12に挿通された4本のU字状の熱伝導パイプ11とを備えている。略矩形状の放熱板12には、その上部(放熱基盤10に溶接される側と反対側の部分)の中央に矩形状の切欠き22が形成され、両側部分にも台形状の切欠き23が形成されている。以上により、放熱部3が対流系の形に構成されている。尚、放熱基盤10の平面形状も、回路基板5の平面形状に合わせて、円形以外の矩形、多角形等とすることができる。また、放熱基盤10の材質は銅等であってもよい。また、回路基板5と放熱基盤10には、放熱性の高い放熱剤が塗布されている。
各放熱板12には、左右対称の2つの円形の穴24が段違いに二組形成されている。さらに、各放熱板12の下部(放熱基盤10に溶接される側の部分)には、左右対称に4つの半円形の小さな切欠き25が形成されている。
U字状の熱伝導パイプ11の上側(放熱基盤10側と反対側)の直線部分は、各放熱板12に形成された円形の穴24に緊密な状態で挿通されている。また、U字状の熱伝導パイプ11の下側(放熱基盤10側)の直線部分は、各放熱板12の下部に形成された半円形の小さな切欠き25と放熱基盤10上に形成された断面半円形の溝26とによって構成される円筒状の孔に挿通され、かつ、放熱基盤10に溶接されている。尚、各放熱板12の切欠き22部分と両側部分には、放熱板12の表面に対して直角な小片27が一体的に形成されており、これにより、隣接する放熱板12、12間を等間隔に保持すると共に、複数の放熱板12を支持固定し、放熱の際に放熱部3が変形することを防止することができるようにされている。また、各放熱板12の下部にも、放熱板12の表面に対して直角な小片28が一体的に形成されている。この小片28は、放熱板12を放熱基盤10に溶接するために用いられる。そして、このような小片28を設けることにより、放熱板12と放熱基盤10との接触面積が広くなるので、放熱基盤10の熱を各放熱板12を介して効率良く逃がすことができる。また、小片28によっても隣接する放熱板12、12間に隙間を形成することができるので、この小片28も、放熱部3が対流系の形を構成する上で有利な役割を果たすことになる。
放熱板12に形成された円形の穴24と半円形の小さな切欠き25はタップが切られており、これにより、熱伝導パイプ11の熱が放熱板12に伝わりやすくなるようにされている。
上記のように熱伝導パイプ11及び放熱板12は放熱基盤10に溶接されるが、放熱基盤10、熱伝導パイプ11及び放熱板12は、溶接炉に通される前に、白銅による電気メッキ表面処理が施される。このように放熱基盤10、熱伝導パイプ11及び放熱板12に白銅による電気メッキ表面処理を施すことにより、放熱部3の放熱の効果を向上させることができる。
熱伝導パイプ11には、『液体の蒸発と凝縮とを繰り返すことによって熱を伝導する技術』が利用されている。熱伝導パイプ11は、U字状のパイプ本体と、当該パイプ本体の内壁に密着させて設けられた、液体を吸収する多孔性の材料からなる吸液部材とを備えている。ここで、パイプ本体の内部は高い真空状態に保持されている。そして、パイプ本体は、その内部に適量の液体が注入され、吸液部材にその液体が充満した状態で密封されている。
吸液部材としては、例えば、多孔質銅等を用いることができる。また、パイプ本体の内部に注入される液体としては、例えば、アンモニア、メチルアルコール、水等を用いることができる。また、パイプ本体の内部の真空度は、1.3×10-1〜1.3×10-4Paである。
熱伝導パイプ11は、放熱基盤10に溶接された蒸発部分(加熱部分)と、各放熱板12に形成された円形の穴24に挿通された凝縮部分(放熱部分)の2つの部分からなっている。LED6が発熱して、熱伝導パイプ11の蒸発部分(加熱部分)が高温の影響を受けると、吸液部材中の液体が、その熱を受け取り、蒸発して気体になる。この気体は、圧力の差によって熱伝導パイプ11の凝縮部分(放熱部分)に流れて発熱し、冷却・凝縮されて液体になる。次いで、この液体が、吸液部材を伝って熱伝導パイプ11の蒸発部分(加熱部分)に戻る。そして、以上の液体の蒸発と凝縮とを繰り返すことにより、放熱基盤10に蓄積された熱を複数の放熱板12の上側部分(放熱基盤10に溶接される側と反対側の部分)に迅速に(直ちに)伝導することができる。また、上記のように放熱板12の一端部は放熱基盤10に溶接されているので、放熱基盤10に蓄積された熱を複数の放熱板12に熱伝導パイプ11を介することなく直接伝導することもできる。
上記のように放熱部3が対流系の形に構成されているので、以上のようにして放熱基盤10から複数の放熱板12に伝導された熱は、自然の放射放熱と空気対流の放熱とによって外部に放熱される。そして、このように、LED6の本体チップが発生させる熱を直ちに外部に効率良く放熱することができるので、複数のハイパワーLED6からなる高輝度ハイパワーLED照明器具を合理的環境及び合理的温度の中で点灯させることができ、また、ハイパワーLED6の発光効率を高めることができると共に、光源の劣化を抑えて照明器具の長寿命化を図ることができる。
放熱部3の周りには、円筒状の保護カバー13が放熱基盤10にビス止めする形で取り付けられている。保護カバー13には、多数の円形の通風孔13aが形成されており、これにより、保護カバー13内に熱が篭もることがないようにされている。そして、上記2本の電源コード8、9は、保護カバー13の通風孔13aを通して電源トランス部4内のトランス基板に電気的に接続されている。尚、通風孔13aの形状は、円形以外の矩形、多角形等とすることもできる。
以上説明した本実施の形態のLED照明器具1は、スポットライト、ブラケット(張り出し電灯)、街灯、ダウンライト、ルーム・ランプ、吊り下げ照明、工業用照明及び商業用照明等として使用することができるが、ダウンライトとして使用する場合には、図14に示すように、保護カバー13の光源部2側に白半艶塗装の化粧枠29が取り付けられる。ここで、化粧枠29の深さ(化粧枠29の開口面から回路基板5までの距離)は約8cmである。このように化粧枠29の深さが深くても、個々のLED6の1/2照度角が85°以上と広くなっているので、化粧枠29に近い最外周のLED6から出射される光も有効に利用することができる。
尚、本実施の形態においては、放熱部3の周りに、通風孔13aが形成された円筒状の保護カバー13が取り付けられており、電源コード8、9が、保護カバー13の通風孔13aを通して電源トランス部4内のトランス基板に電気的に接続されているが、図15に示すように、必ずしも保護カバーを設ける必要はない。また、保護カバーを設ける場合であっても、当該保護カバーの形状は円筒状に限定されるものではなく、回路基板5、放熱基盤10の形状等に合わせて適宜変更することができる。
また、本実施の形態においては、複数の熱伝導パイプ11と、複数の放熱板12とを備えた放熱部3を例に挙げて説明しているが、放熱部3は、少なくとも1本の熱伝導パイプ11と、少なくとも1枚の放熱板12とを備えていればよい。また、放熱部3は、必ずしも、放熱基盤10と、熱伝導パイプ11と、放熱板12とを備えた構成に限定されるものではなく、LED6から発せられた熱を一旦蓄積する蓄熱モジュールと、蓄熱モジュールの熱を伝導する熱伝導モジュールと、熱伝導モジュールから受け取った熱を放熱する放熱モジュールとを備えていればよい。
また、本実施の形態においては、30個のLED6を用いたLED照明器具1を例に挙げて説明しているが、LED6の個数は必ずしも30個に限定されるものではない。
また、本実施の形態においては、レンズ体としての広角レンズ7を回路基板5にビス止めするようにされているが、図16、図18に示すように、レンズ台20の裏側に固定用のピン30を設け、当該ピン30を回路基板5、放熱基盤10に形成された固定用の孔に嵌挿することによって、広角レンズ7を回路基板5に取り付けるようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、レンズ体として、LED6側のレンズ面18が凹面であり、その反対側のレンズ面19が凸面である凹凸レンズからなる広角レンズ7が用いられているが、図17、図18に示すように、例えば、LED6側のレンズ面と反対側のレンズ面に略平坦な面を有する広角レンズ7を用いることもできる。
また、本実施の形態においては、各LED6に対して個別のレンズ体(広角レンズ7)を用意し、個々に回路基板5に取り付けるようにされているが、複数のレンズ体を一体的に成形し、これを回路基板5等に取り付けるようにしてもよい。
以上のように、本発明によれば、省エネルギー化を図りつつ、例えば蛍光灯120W型ダウンライトと同等の、照度が均一で広がりのある配光を実現することのできるLED照明器具を提供することができる。従って、本発明は、スポットライト、ブラケット(張り出し電灯)、街灯、ダウンライト、ルーム・ランプ、吊り下げ照明、工業用照明及び商業用照明等の照明器具として有用である。
1 LED照明器具
2 光源部
3 放熱部(ヒートシンク)
4 電源トランス部
5 回路基板
6 LED
7 広角レンズ
8、9 電源コード
10 放熱基盤
11 熱伝導パイプ
12 放熱板
13 保護カバー
14 筐体
14a 通風孔
15、16 差込端子
17 ビス
18、19 レンズ面
20 レンズ台
21 ビス孔
22、23、25 切欠き
24 穴
26 溝
27、28 小片
29 化粧枠
30 ピン

Claims (9)

  1. 回路基板と、前記回路基板上に実装された複数の発光ダイオードと、各発光ダイオードの発光面と対向して配置され、各発光ダイオードからの光を拡散する複数のレンズ体とを備えた発光ダイオード照明器具であって、
    前記レンズ体として、各発光ダイオードの1/2照度角を85°以上に調整するレンズ体を用いることを特徴とする発光ダイオード照明器具。
  2. 前記複数の発光ダイオードが略均等に配置されている、請求項1に記載の発光ダイオード照明器具。
  3. 前記複数の発光ダイオードが複数の同心円上に配置されている、請求項2に記載の発光ダイオード照明器具。
  4. 前記発光ダイオードの個数が30個であり、最も内側の同心円上に6個の発光ダイオードが配置され、その外側の2つの同心円上にそれぞれ12個の発光ダイオードが配置されている、請求項3に記載の発光ダイオード照明器具。
  5. 前記回路基板の背面側に放熱部が設けられている、請求項1に記載の発光ダイオード照明器具。
  6. 前記放熱部が、前記発光ダイオードから発せられた熱を一旦蓄積する蓄熱モジュールと、前記蓄熱モジュールの熱を伝導する熱伝導モジュールと、前記熱伝導モジュールから受け取った熱を放熱する放熱モジュールとを備えた、請求項5に記載の発光ダイオード照明器具。
  7. 前記蓄熱モジュールが、前記回路基板の背面に固着された放熱基盤からなり、
    前記放熱モジュールが、少なくとも1枚の放熱板からなり、
    前記熱伝導モジュールが、一端部が前記放熱基盤に接触した状態で固定され、他端部が前記放熱板に接触した状態で保持された少なくとも1本の熱伝導パイプからなる、請求項6に記載の発光ダイオード照明器具。
  8. 前記熱伝導パイプは、内部が真空状態に保持されたパイプ本体と、前記パイプ本体の内壁に設けられた、液体を吸収する多孔性の材料からなる吸液部材とを備え、前記吸液部材に液体が充満した状態で密封されている、請求項7に記載の発光ダイオード照明器具。
  9. 前記放熱板の一端部が前記放熱基盤に接触した状態で固定され、前記熱伝導パイプの他端部が前記放熱板に形成された穴に挿通されている、請求項7に記載の発光ダイオード照明器具。
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