JP2011102031A - 液体噴射装置及び液体噴射型印刷装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダンピング抵抗による電力損失を低減することが可能な液体噴射装置及び液体噴射型印刷装置を提供する。
【解決手段】駆動波形信号発生回路25からの信号を変調回路26でパルス変調し、その変調信号PWMをデジタル電力増幅回路28で電力増幅し、その電力増幅変調信号APWMを平滑フィルタ29で平滑化して駆動信号COMとする場合、変調回路26、デジタル電力増幅回路28、平滑フィルタ29、駆動されるアクチュエータ22の静電容量、及び補償器32で構成される駆動信号フィードバック閉ループの周波数特性が所定の減衰開始周波数まで一定となるように、補償器32の伝達特性βを設定することにより、平滑フィルタ29にダンピング抵抗を用いないときの共振特性を補償することができるので、ダンピング抵抗が不要となり、電力損失を低減することが可能となる。
【選択図】図11
【解決手段】駆動波形信号発生回路25からの信号を変調回路26でパルス変調し、その変調信号PWMをデジタル電力増幅回路28で電力増幅し、その電力増幅変調信号APWMを平滑フィルタ29で平滑化して駆動信号COMとする場合、変調回路26、デジタル電力増幅回路28、平滑フィルタ29、駆動されるアクチュエータ22の静電容量、及び補償器32で構成される駆動信号フィードバック閉ループの周波数特性が所定の減衰開始周波数まで一定となるように、補償器32の伝達特性βを設定することにより、平滑フィルタ29にダンピング抵抗を用いないときの共振特性を補償することができるので、ダンピング抵抗が不要となり、電力損失を低減することが可能となる。
【選択図】図11
Description
本発明は、液体を噴射するアクチュエータへの駆動信号を電力増幅する液体噴射装置に関し、微小な液体を液体噴射ヘッドのノズルから噴射して、微粒子(ドット)を印刷媒体上に形成することにより、文字や画像等を印刷するようにした液体噴射型印刷装置に好適なものである。
液体噴射型印刷装置では、液体噴射ヘッドのノズルから液体を噴射するために、圧電素子などのアクチュエータが設けられ、このアクチュエータに所定の駆動信号を印加しなければならない。この駆動信号は、比較的電圧の高いものなので、駆動信号の基準となる駆動波形信号を電力増幅回路で電力増幅しなければならない。そこで、下記特許文献1では、アナログ電力増幅回路に比べて、電力損失が極めて小さく、小型化が可能なデジタル電力増幅回路を用い、駆動波形信号を変調回路でパルス変調して変調信号とし、その変調信号をデジタル電力増幅回路で電力増幅して電力増幅変調信号とし、その電力増幅変調信号を平滑フィルタで平滑化して、駆動信号としている。
しかしながら、アクチュエータが圧電素子のような容量性負荷である場合、抵抗成分がないため平滑フィルタにダンピング抵抗が必要となり、このダンピング抵抗による電力損失が大きいという問題がある。即ち、周知のようにコイルとコンデンサで平滑フィルタを構成する場合、コイルのインダクタンスLとコンデンサの容量Cで表される共振周波数が存在し、この共振周波数があるが故に電力を貯えて変調周波数相当の電圧変動を減衰することができるのであるが、共振周波数故に共振が発生する場合もある。回路に抵抗成分が存在する場合には、その抵抗成分によって共振が抑制(減衰)されるが、圧電素子のような容量性負荷の場合、抵抗成分がない又は非常に小さいために共振が抑制(減衰)されず、残存する。この残存する共振を抑制(減衰)するためには、回路に共振を抑制(減衰)する目的のダンピング抵抗と呼ばれる抵抗を介装する必要が生じ、このダンピング抵抗で共振が消費(減衰)されるときに電力が消費されてしまう。
本発明は、これらの諸問題に着目してなされたものであり、ダンピング抵抗による電力損失を低減することが可能な液体噴射装置及び液体噴射型印刷装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、これらの諸問題に着目してなされたものであり、ダンピング抵抗による電力損失を低減することが可能な液体噴射装置及び液体噴射型印刷装置を提供することを目的とするものである。
上記諸問題を解決するため、本発明の液体噴射装置は、駆動波形信号を発生する駆動波形信号発生回路と、前記駆動波形信号発生回路からの信号をパルス変調して変調信号とする変調回路と、前記変調信号を電力増幅して電力増幅変調信号とするデジタル電力増幅回路と、前記電力増幅変調信号を平滑化してアクチュエータの駆動信号とする平滑フィルタと、前記駆動信号の位相を進めて負帰還信号とする補償器と、前記駆動波形信号と前記負帰還信号との差分信号を前記変調回路への入力信号とする減算器とを備えたことを特徴とするものである。
この液体噴射装置によれば、平滑フィルタにダンピング抵抗を用いないときの共振特性を負帰還信号によって補償することができるので、ダンピング抵抗が不要となり、電力損失を低減することが可能となる。即ち、駆動波形信号と負帰還信号との差分信号について変調回路でパルス変調することになるから、例えば駆動信号に共振が生じている場合、差分信号は駆動信号の共振分の反転信号分だけになり、これをパルス変調して電力増幅し、駆動信号に付加すれば本来の駆動信号が得られる。
また、前記駆動波形信号発生回路と前記減算器との間に設けられ且つ前記変調回路、前記デジタル電力増幅回路、前記平滑フィルタ、前記アクチュエータの静電容量、及び前記補償器で構成される閉ループの周波数特性が所定の周波数領域で一定となるように補正する逆フィルタを備えたことを特徴とするものである。
この液体噴射装置によれば、例えば駆動されるアクチュエータの数に応じて変化する、変調回路、デジタル電力増幅回路、平滑フィルタ、アクチュエータの静電容量、及び補償器で構成される閉ループの周波数特性を、逆フィルタにより、所定の周波数領域で一定となるように補正することにより、駆動信号の精度を確保することができる。
また、本発明の液体噴射型印刷装置は、前記液体噴射装置を用いたことを特徴とするものである。
この液体噴射装置によれば、例えば駆動されるアクチュエータの数に応じて変化する、変調回路、デジタル電力増幅回路、平滑フィルタ、アクチュエータの静電容量、及び補償器で構成される閉ループの周波数特性を、逆フィルタにより、所定の周波数領域で一定となるように補正することにより、駆動信号の精度を確保することができる。
また、本発明の液体噴射型印刷装置は、前記液体噴射装置を用いたことを特徴とするものである。
次に、本発明の液体噴射装置の第1実施形態として、液体噴射型印刷装置に用いられたものについて説明する。
図1は、第1実施形態の液体噴射型印刷装置の概略構成図であり、図1において、印刷媒体1は、図の左から右に向けて矢印方向に搬送され、その搬送途中の印刷領域で印刷される、ラインヘッド型印刷装置である。
図1は、第1実施形態の液体噴射型印刷装置の概略構成図であり、図1において、印刷媒体1は、図の左から右に向けて矢印方向に搬送され、その搬送途中の印刷領域で印刷される、ラインヘッド型印刷装置である。
図1中の符号2は、印刷媒体1の搬送ライン上方に設けられた複数の液体噴射ヘッドであり、印刷媒体搬送方向に2列になるように且つ印刷媒体搬送方向と交差する方向に並べて配設されて、夫々、ヘッド固定プレート11に固定されている。各液体噴射ヘッド2の最下面には、多数のノズルが形成されており、この面がノズル面と呼ばれている。ノズルは、図2に示すように、噴射する液体の色毎に、印刷媒体搬送方向と交差する方向に列状に配設されており、その列をノズル列と呼んだり、その列方向をノズル列方向と呼んだりする。そして、印刷媒体搬送方向と交差する方向に配設された全ての液体噴射ヘッド2のノズル列によって、印刷媒体1の搬送方向と交差する方向の幅全長に及ぶラインヘッドが形成されている。印刷媒体1は、これらの液体噴射ヘッド2のノズル面の下方を通過するときに、ノズル面に形成されている多数のノズルから液体が噴射され、印刷が行われる。
液体噴射ヘッド2には、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクなどの液体が、図示しない液体タンクから液体供給チューブを介して供給される。そして、液体噴射ヘッド2に形成されているノズルから同時に必要箇所に必要量の液体を噴射することにより、印刷媒体1上に微小なドットを形成する。これを各色毎に行うことにより、搬送部4で搬送される印刷媒体1を一度通過させるだけで、1パスによる印刷を行うことができる。
液体噴射ヘッド2のノズルから液体を噴射する方法としては、静電方式、ピエゾ方式、膜沸騰液体噴射方式などがあり、本実施形態ではピエゾ方式を用いた。ピエゾ方式は、アクチュエータである圧電素子に駆動信号を与えると、キャビティ内の振動板が変位してキャビティ内に圧力変化を生じ、その圧力変化によって液体がノズルから噴射されるというものである。そして、駆動信号の波高値や電圧増減傾きを調整することで液体の噴射量を調整することが可能となる。なお、本発明は、ピエゾ方式以外の液体噴射方法にも、同様に適用可能である。
液体噴射ヘッド2の下方には、印刷媒体1を搬送方向に搬送するための搬送部4が設けられている。搬送部4は、駆動ローラ8及び従動ローラ9に搬送ベルト6を巻回して構成され、駆動ローラ8には図示しない電動モータが接続されている。また、搬送ベルト6の内側には、当該搬送ベルト6の表面に印刷媒体1を吸着するための図示しない吸着装置が設けられている。この吸着装置には、例えば負圧によって印刷媒体1を搬送ベルト6に吸着する空気吸引装置や、静電気力で印刷媒体1を搬送ベルト6に吸着する静電吸着装置などが用いられる。従って、給紙ローラ5によって給紙部3から印刷媒体1を一枚だけ搬送ベルト6上に送給し、電動モータによって駆動ローラ8を回転駆動すると、搬送ベルト6が印刷媒体搬送方向に回転され、吸着装置によって搬送ベルト6に印刷媒体1が吸着されて搬送される。この印刷媒体1の搬送中に、液体噴射ヘッド2から液体を噴射して印刷を行う。印刷の終了した印刷媒体1は、搬送方向下流側の排紙部10に排紙される。なお、前記搬送ベルト6には、例えばリニアエンコーダなどで構成される印刷基準信号出力装置が取付けられている。この印刷基準信号出力装置は、搬送ベルト6とそれに吸着されて搬送される印刷媒体1とが同期して移動されることに着目し、印刷媒体1が搬送経路中の所定位置を通過した後は、搬送ベルト6の移動に伴って要求される印刷解像度相当のパルス信号を出力し、このパルス信号に応じて、後述する駆動回路から駆動信号をアクチュエータ22に出力することで印刷媒体1上の所定位置に所定の色の液体を噴射し、そのドットによって印刷媒体1上に所定の画像を描画する。
本実施形態の液体噴射装置を用いた液体噴射型印刷装置内には、液体噴射型印刷装置を制御するための制御装置が設けられている。この制御装置は、図3に示すように、ホストコンピュータ60から入力された印刷データ読込むための入力インタフェース61と、この入力インタフェース61から入力された印刷データに基づいて印刷処理等の演算処理を実行するマイクロコンピュータで構成される制御部62と、前記給紙ローラ5に接続されている給紙ローラモータ17を駆動制御する給紙ローラモータドライバ63と、液体噴射ヘッド2を駆動制御するヘッドドライバ65と、前記駆動ローラ8に接続されている電動モータ7を駆動制御する電動モータドライバ66と、給紙ローラモータドライバ63、ヘッドドライバ65、電動モータドライバ66と給紙ローラモータ17、液体噴射ヘッド2、電動モータ7とを接続するインタフェース67とを備えて構成される。
制御部62は、印刷処理等の各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)62aと、入力インタフェース61を介して入力された印刷データ或いは当該印刷データ印刷処理等を実行する際の各種データを一時的に格納し、或いは印刷処理等のプログラムを一時的に展開するRAM(Random Access Memory)62cと、CPU62aで実行する制御プログラム等を格納する不揮発性半導体メモリで構成されるROM(Read-Only Memory)62dを備えている。この制御部62は、入力インタフェース61を介してホストコンピュータ60から印刷データ(画像データ)を入手すると、CPU62aが、この印刷データに所定の処理を実行して、何れのノズルから液体を噴射するか或いはどの程度の液体を噴射するかというノズル選択データ(駆動パルス選択データ)を算出し、この印刷データや駆動パルス選択データ及び各種センサからの入力データに基づいて、給紙ローラモータドライバ63、ヘッドドライバ65、電動モータドライバ66に駆動信号及び制御信号を出力する。これらの駆動信号及び制御信号により、給紙ローラモータ17、電動モータ7、液体噴射ヘッド2内のアクチュエータ22などが夫々作動して、印刷媒体1の給紙及び搬送及び排紙、並びに印刷媒体1への印刷処理が実行される。なお、制御部62内の各構成要素は、図示しないバスを介して電気的に接続されている。
図4には、本実施形態の液体噴射装置を用いた液体噴射型印刷装置の制御装置から液体噴射ヘッド2に供給され、圧電素子からなるアクチュエータ22を駆動するための駆動信号COMの一例を示す。本実施形態では、中間電圧を中心に電圧が変化する信号とした。この駆動信号COMは、アクチュエータ22を駆動して液体を噴射する単位駆動信号としての駆動パルスPCOMを時系列的に接続したものであり、駆動パルスPCOMの立上がり部分がノズルに連通するキャビティ(圧力室)の容積を拡大して液体を引込む(液体の噴射面を考えればメニスカスを引き込むとも言える)段階であり、駆動パルスPCOMの立下がり部分がキャビティの容積を縮小して液体を押出す(液体の噴射面を考えればメニスカスを押出すとも言える)段階であり、液体を押出した結果、液体がノズルから噴射される。
この電圧台形波からなる駆動パルスPCOMの電圧増減傾きや波高値を種々に変更することにより、液体の引込量や引込速度、液体の押出量や押出速度を変化させることができ、これにより液体の噴射量を変化させて異なる大きさのドットを得ることができる。従って、複数の駆動パルスPCOMを時系列的に連結する場合でも、そのうちから単独の駆動パルスPCOMを選択してアクチュエータ22に供給し、液体を噴射したり、複数の駆動パルスPCOMを選択してアクチュエータ22に供給し、液体を複数回噴射したりすることで種々の大きさのドットを得ることができる。即ち、液体が乾かないうちに複数の液体を同じ位置に着弾すると、実質的に大きな液体を噴射するのと同じことになり、ドットの大きさを大きくすることができるのである。このような技術の組合せによって多階調化を図ることが可能となる。なお、図4の左端の駆動パルスPCOM1は、液体を引込むだけで押出していない。これは、微振動と呼ばれ、液体を噴射せずに、ノズルの増粘を抑制防止したりするのに用いられる。
液体噴射ヘッド2には、前記駆動信号COMの他、前記図3の制御装置から制御信号として、印刷データに基づいて噴射するノズルを選択すると共に圧電素子などのアクチュエータ22の駆動信号COMへの接続タイミングを決定する駆動パルス選択データSI&SP、全ノズルにノズル選択データが入力された後に、駆動パルス選択データSI&SPに基づいて駆動信号COMと液体噴射ヘッド2のアクチュエータ22とを接続させるラッチ信号LAT及びチャンネル信号CH、駆動パルス選択データSI&SPをシリアル信号として液体噴射ヘッド2に送信するためのクロック信号SCKが入力されている。なお、これ以後、アクチュエータ22を駆動する駆動信号の最小単位を駆動パルスPCOMとし、駆動パルスPCOMが時系列的に連結された信号全体を駆動信号COMと記す。即ち、ラッチ信号LATで一連の駆動信号COMが出力され始め、チャンネル信号CH毎に駆動パルスPCOMが出力されることになる。また、駆動パルス選択データSI&SPのうち、駆動パルス選択特定データSIは、前述した駆動パルスPCOMのうち、どの駆動パルスPCOMを選択するかを示す2bitのデータであり、SPは、選択された駆動パルスPCOMのタイミングに合わせて後述の選択スイッチをオンオフ制御するための16bitの選択スイッチ制御データである。
図5には、駆動信号COM(駆動パルスPCOM)をアクチュエータ22に供給するために液体噴射ヘッド2内に構築されたスイッチングコントローラの具体的な構成を示す。このスイッチングコントローラは、液体を噴射させるノズルに対応した圧電素子などのアクチュエータ22を指定するための駆動パルス選択データSI&SPを保存するレジスタ211と、レジスタ211のデータを一時的に保存するラッチ回路212と、ラッチ回路212の出力をレベル変換して選択スイッチ201に供給することにより、駆動信号COM(駆動パルスPCOM)をピエゾ素子などのアクチュエータ22に接続するレベルシフタ213を備えて構成されている。
レジスタ211には、クロック信号SCKの入力パルスに応じて駆動パルス選択データ信号SI&SPが入力され、そのうちの選択スイッチ制御データSPが所定のアドレスに記憶される。ラッチ回路212は、全アクチュエータ数分の選択スイッチ制御データSPがレジスタ211に格納された後、入力されるラッチ信号LATによってレジスタ211の各出力信号をラッチする。ラッチ回路212に保存された信号は、レベルシフタ213によって次段の選択スイッチ201をオンオフできる電圧レベルに変換される。これは、駆動信号COM(駆動パルスPCOM)が、ラッチ回路212の出力電圧に比べて高い電圧であり、これに合わせて選択スイッチ201の動作電圧範囲も高く設定されているためである。従って、レベルシフタ213によって選択スイッチ201が閉じられる圧電素子などのアクチュエータ22は駆動パルス選択データSI&SP(選択スイッチ制御データSP)の接続タイミングで駆動信号COM(駆動パルスPCOM)に接続される。また、レジスタ211の駆動パルス選択データSI&SP(選択スイッチ制御データSP)がラッチ回路212に保存された後、次の印刷情報をレジスタ211に入力し、液体の噴射タイミングに合わせてラッチ回路212の保存データを順次更新する。なお、図中の符号HGNDは、圧電素子などのアクチュエータ22のグランド端である。また、この選択スイッチ201により、圧電素子などのアクチュエータ22を駆動信号COM(駆動パルスPCOM)から切り離した後も、当該アクチュエータ22の入力電圧は、切り離す直前の電圧に維持される。
図6には、アクチュエータ22の駆動回路の概略構成を示す。このアクチュエータ駆動回路は、前記制御回路内の制御部62及びヘッドドライバ65内に構築されている。本実施形態の駆動回路は、予め記憶されている駆動波形データDWCOMに基づいて、駆動信号COM(駆動パルスPCOM)の元、つまりアクチュエータ22の駆動を制御する信号の基準となる駆動波形信号WCOMを生成する駆動波形信号発生回路25と、駆動波形信号発生回路25で生成された駆動波形信号WCOMと後述する補償器からの負帰還信号との差分、具体的には駆動波形信号WCOMから負帰還信号を減じた差分信号WCOMdefを出力する減算器としての加減算器31と、加減算器31からの差分信号WCOMdefをパルス変調して変調信号PWMを出力する変調回路26と、変調回路26からの変調信号PWMを電力増幅して電力増幅変調信号APWMを出力するデジタル電力増幅回路28と、デジタル電力増幅回路28からの電力増幅変調信号APWMを平滑化して、駆動信号COMとして出力する平滑フィルタ29と、駆動信号COMの位相を進めて負帰還信号CPSTを出力する補償器32とを備えて構成される。
駆動波形信号発生回路25は、波形メモリから読出した駆動波形データDWCOMを所定サンプリング周期分ホールド出力する。
駆動波形信号WCOMをパルス変調する変調回路26には、図7に示すように、周知のパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)回路を用いた。パルス幅変調は、所定周波数の三角波信号を出力する三角波発振器34と、三角波信号と駆動波形信号WCOMを比較し、例えば駆動波形信号WCOMが三角波信号より大きいときにオンデューティとなるパルスデューティの変調信号PWMを出力する比較部35とを備えて構成される。
なお、前記駆動波形信号発生回路25も、減算器である加減算器31も、変調回路26も、プログラムによる演算処理によって構成することができる。また、変調回路26には、この他にパルス密度変調(PDM)回路などの周知のパルス変調回路を用いることができる。
駆動波形信号WCOMをパルス変調する変調回路26には、図7に示すように、周知のパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)回路を用いた。パルス幅変調は、所定周波数の三角波信号を出力する三角波発振器34と、三角波信号と駆動波形信号WCOMを比較し、例えば駆動波形信号WCOMが三角波信号より大きいときにオンデューティとなるパルスデューティの変調信号PWMを出力する比較部35とを備えて構成される。
なお、前記駆動波形信号発生回路25も、減算器である加減算器31も、変調回路26も、プログラムによる演算処理によって構成することができる。また、変調回路26には、この他にパルス密度変調(PDM)回路などの周知のパルス変調回路を用いることができる。
デジタル電力増幅回路28は、図8に示すように、実質的に電力を増幅するためのハイサイド側スイッチング素子Q1及びローサイド側スイッチング素子Q2からなるハーフブリッジ出力段21と、変調回路26からの変調信号PWMに基づいて、ハイサイド側スイッチング素子Q1、ローサイド側スイッチング素子Q2のゲート−ソース間信号GH、GLを調整するためのゲートドライブ回路30とを備えて構成されている。デジタル電力増幅回路28では、変調信号がハイレベルであるとき、ハイサイド側スイッチング素子Q1のゲート−ソース間信号GHはハイレベルとなり、ローサイド側スイッチング素子Q2のゲート−ソース間信号GLはローレベルとなるので、ハイサイド側スイッチング素子Q1はオン状態となり、ローサイド側スイッチング素子Q2はオフ状態となり、その結果、ハーフブリッジ出力段21の出力電圧Vaは、供給電圧VDDとなる。一方、変調信号がローレベルであるとき、ハイサイド側スイッチング素子Q1のゲート−ソース間信号GHはローレベルとなり、ローサイド側スイッチング素子Q2のゲート−ソース間信号GLはハイレベルとなるので、ハイサイド側スイッチング素子Q1はオフ状態となり、ローサイド側スイッチング素子Q2はオン状態となり、その結果、ハーフブリッジ出力段21の出力電圧Vaは0となる。
このようにハイサイドスイッチング素子Q1及びローサイド側スイッチング素子Q2がデジタル駆動される場合には、オン状態のスイッチング素子に電流が流れるが、ドレイン−ソース間の抵抗値は非常に小さく、損失は殆ど発生しない。また、オフ状態のスイッチング素子には電流が流れないので損失は発生しない。従って、このデジタル電力増幅回路28の損失そのものは極めて小さく、小型のMOSFET等のスイッチング素子を使用することができる。
平滑フィルタ29には、図9に示すように、1つのコンデンサCと1つのコイルLからなる2次のローパスフィルタを用いた。この平滑フィルタ29によって、前記変調回路26で生じた変調周波数、即ちパルス変調の周波数成分を減衰して除去し、前記選択スイッチ201を介してアクチュエータ22に駆動信号COMを出力する。
補償器32は、図10に示すように、1つのコンデンサC1と1つの抵抗Rから構成され、駆動信号COMの位相を進めて負帰還信号CPSTを出力するハイパスフィルタで構成される。なお、この補償器32の抵抗Rを大きな抵抗値のものとすることで、抵抗Rに流れる電流値を小さくすることができ、電力損失を低減することができる。
補償器32は、図10に示すように、1つのコンデンサC1と1つの抵抗Rから構成され、駆動信号COMの位相を進めて負帰還信号CPSTを出力するハイパスフィルタで構成される。なお、この補償器32の抵抗Rを大きな抵抗値のものとすることで、抵抗Rに流れる電流値を小さくすることができ、電力損失を低減することができる。
ダンピング抵抗を持たない第1実施形態の平滑フィルタ29の周波数特性は、図11に実線で示すように、ローパスフィルタの減衰開始周波数近傍で共振が生じる。このようなゲインの変動は、勿論、望ましいものではなく、減衰開始周波数までゲインが一定な、図11に二点鎖線で示すような周波数特性が理想である。オーディオの分野などでは、浮遊抵抗などの影響で、ダンピング抵抗を加えなくても理想的な周波数特性が得られることもあるが、圧電素子などの容量性負荷からなる第1実施形態のアクチュエータ22には抵抗成分がないので、平滑フィルタ29自体で、二点鎖線に示すような周波数特性を達成するためにはダンピング抵抗が不可欠となり、このダンピング抵抗により電力損失が大きくなってしまう。
第1実施形態のアクチュエータ駆動回路のうち、加減算器31、変調回路26、デジタル電力増幅回路28、平滑フィルタ29(実質的には、平滑フィルタ29内のコンデンサCに、圧電素子などの容量性負荷からなるアクチュエータ22の静電容量が並列に接続される)、及び補償器32による閉ループは、図12のように表れる。変調回路26、デジタル電力増幅回路28、平滑フィルタ29(駆動されるアクチュエータ22の静電容量を含む)からなる駆動信号出力系のゲインをA、伝達特性をHとすると、前述した共振を有する周波数特性は、図13に示すように、AHと表れる。一方、補償器32の伝達特性をβとすると、図12に示す閉ループの伝達特性Gは下記1式で表れる。
従って、この閉ループの伝達特性Gが、図13に二点鎖線で示すように、所定の減衰開始周波数まで一定となるように、補償器32の伝達特性βを設定すればよい。具体的には、例えば1式の1/(A・H)は図に破線のように表れるので、補償器32の伝達特性βを実線のように設定し、β+1/(A・H)が図の一点鎖線のようになれば、閉ループの伝達関数Gが二点鎖線のように設定できる。なお、前述したように、補償器32の抵抗Rに流れる電流によって電力損失が発生するが、この抵抗Rの抵抗値を大きくすることで電流値を小さくすることができ、もって電力損失を抑制することができる。
このように第1実施形態の液体噴射装置では、駆動波形信号発生回路25で駆動波形信号WCOMを発生し、駆動波形信号発生回路25からの信号を変調回路26でパルス変調し、その変調信号PWMをデジタル電力増幅回路28で電力増幅し、その電力増幅変調信号APWMを平滑フィルタ29で平滑化してアクチュエータ22の駆動信号COM(駆動パルスPCOM)とするにあたり、補償器32で駆動信号COM(駆動パルスPCOM)の位相を進めて負帰還信号CPSTとし、減算器である加減算器31で駆動波形信号WCOMと負帰還信号CPSTとの差分信号WCOMdefを変調回路26への入力信号とすることとしたため、平滑フィルタ29にダンピング抵抗を用いないときの共振特性を負帰還信号CPSTによって補償することができるので、ダンピング抵抗が不要となり、電力損失を低減することが可能となる。
次に、本発明の液体噴射装置の第2実施形態について説明する。本実施形態の液体噴射装置は、前記第1実施形態と同様に、液体噴射型印刷装置に適用されたものであり、その概略構成、液体噴射ヘッド近傍、制御装置、駆動信号、スイッチングコントローラは、前記第1実施形態と同様である。よって以降の説明では、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。第2実施形態では、駆動波形信号発生回路25と加減算器31との間に逆フィルタ23が介装されている。この逆フィルタ23は、内部に制御部を備え、駆動されるアクチュエータ22の数に応じて、自身の周波数特性を制御することができる。なお、逆フィルタ23は、周知のように、プログラムによる演算処理によって構築することができる。従って、制御部を含む逆フィルタ23を、前記制御回路中の制御部62内に構築することもできる。つまり、駆動波形信号発生回路25から変調回路26までは、全てデジタル化することができる。
第2実施形態におけるアクチュエータ駆動回路のうち、加減算器31、変調回路26、デジタル電力増幅回路28、平滑フィルタ29、アクチュエータ22の静電容量、及び補償器32による閉ループを図15に示す。逆フィルタ23の伝達特性をcとする。逆フィルタ23を含む系全体の伝達特性G0は、下記2式で表れる。
例えば国際公開公報WO2007/083669に記載されるように、駆動されるアクチュエータ22の数が変化すると、閉ループの周波数特性が変化する。図16に、その特徴を示す。この場合は、前述したように、補償器32からの負帰還信号CPSTによって閉ループの共振は抑制されるので、減衰開始周波数が変化するように周波数特性が変化し、駆動するアクチュエータ22の数が大きいほど(負荷が大きいほど)減衰開始周波数が低くなる。
そこで、逆フィルタ23の特性として、図16に破線で示すように、高周波数帯域が強調される、所謂ハイパスフィルタを用い、アクチュエータ22の数が大きいとき(負荷が大きいとき)の減衰開始周波数を高くすればよい。駆動されるアクチュエータ22の数は、駆動パルス選択データSI&SPから求めることができるので、例えば逆フィルタ23がハイパスフィルタである場合、駆動されるアクチュエータ22の数に応じてハイパスフィルタのゲインを制御すれば、所定の周波数領域で閉ループのゲインを一定にすることができ、これにより平滑フィルタ29に必要な減衰開始周波数を一定に保持することができる。
このように第2実施形態の液体噴射装置では、駆動されるアクチュエータ22の数に応じて変化する、変調回路26、デジタル電力増幅回路28、平滑フィルタ29、アクチュエータ22の静電容量、及び補償器32で構成される閉ループの周波数特性を、逆フィルタ23により、所定の周波数領域で一定となるように補正することにより、駆動信号の精度を確保することができる。
なお、前記実施形態では、本発明の液体噴射装置をラインヘッド型の液体噴射型印刷装置に用いた場合についてのみ詳述したが、本発明の液体噴射装置は、マルチパス型の液体噴射型印刷装置にも同様に適用可能である。
なお、前記実施形態では、本発明の液体噴射装置をラインヘッド型の液体噴射型印刷装置に用いた場合についてのみ詳述したが、本発明の液体噴射装置は、マルチパス型の液体噴射型印刷装置にも同様に適用可能である。
また、本発明の液体噴射装置は、インク以外の他の液体(液体以外にも、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルなどの流状体を含む)や液体以外の流体(流体として流して噴射できる固体など)を噴射する液体噴射装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッサンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解の形態で含む液状体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられて試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。更に、時計やカメラなどの精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子などに用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するための紫外線硬化樹脂などの透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリなどのエッチング液を噴射する液体噴射装置、ジェルを噴射する流状体噴射装置、トナーなどの粉体を例とする固体を噴射する流体噴射式記録装置であってもよい。さらに、水や食塩水等の液体をパルス状に噴射して生体組織を切開または切除する手術具としての液体噴射装置であってもよい。そして、これらのうち何れか一種の噴射装置に本発明を適用することができる。
1は印刷媒体、2は液体噴射ヘッド、3は給紙部、4は搬送部、5は給紙ローラ、6は搬送ベルト、7は電動モータ、8は駆動ローラ、9は従動ローラ、10は排紙部、11はヘッド固定プレート、21はハーフブリッジ出力段、22はアクチュエータ、23は逆フィルタ、25は駆動波形信号発生回路、26は変調回路、28はデジタル電力増幅回路、29は平滑フィルタ、30はゲートドライブ回路、31は加減算器、32は補償器、34は三角波発振器、35は比較部、62は制御部、65はヘッドドライバ
Claims (3)
- 駆動波形信号を発生する駆動波形信号発生回路と、
前記駆動波形信号発生回路からの信号をパルス変調して変調信号とする変調回路と、
前記変調信号を電力増幅して電力増幅変調信号とするデジタル電力増幅回路と、
前記電力増幅変調信号を平滑化してアクチュエータの駆動信号とする平滑フィルタと、
前記駆動信号の位相を進めて負帰還信号とする補償器と、
前記駆動波形信号と前記負帰還信号との差分信号を前記変調回路への入力信号とする減算器とを備えたことを特徴とする液体噴射装置。 - 前記駆動波形信号発生回路と前記減算器との間に設けられ且つ前記変調回路、前記デジタル電力増幅回路、前記平滑フィルタ、前記アクチュエータの静電容量、及び前記補償器で構成される閉ループの周波数特性が所定の周波数領域で一定となるように補正する逆フィルタを備えたことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
- 請求項1又は2に記載の液体噴射装置を備えた液体噴射型印刷装置。
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JP2010209939A JP2011102031A (ja) | 2010-09-17 | 2010-09-17 | 液体噴射装置及び液体噴射型印刷装置 |
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- 2010-09-17 JP JP2010209939A patent/JP2011102031A/ja active Pending
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