JP2011099482A - セルフピアスリベットおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】接合時の変形に追従して被膜の断裂や密着性の悪化などが生じず、耐電位差腐食性に優れた金属被膜がコーティングされたセルフピアスリベットおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】鉄またはその合金を母材とし、その表面に柱状結晶組織の金属被膜を有する。またその製造方法は、鉄またはその合金によって形成された母材の表面に、雰囲気圧力0.1〜3.0Pa、平均成膜速度0.01〜10μm/分で、金属蒸着被膜を形成する。
【選択図】図5

Description

本発明は、その表面に金属被膜がコーティングされたセルフピアスリベットおよびその製造方法に関し、特に、該金属被膜が、セルフピアスリベット打ち込み時の脚部の大きな変形にも追随し、被接合材の接合後も断裂や母材との密着性の悪化などを生じることなく良好な耐電位差腐食性を維持する、セルフピアスリベットに関する。
例えば、自動車車体などの製造において、軽量化のため非鉄金属であるアルミニウム材と鉄鋼板など標準電極電位の大きく異なる異種金属を重ね合わせて接合する場合がある。このような接合には従来、ブラインドリベット法による接合や、摩擦圧接接合法等が用いられてきた。ブラインドリベット法の場合には、被接合材に下穴を開け、ブラインドリベットにおける突起部を差し込んでかしめることによって接合が行われる。また、摩擦圧接接合法は、被接合材の接合面に摩擦熱と圧力を加えることにより、異種金属間の固相接合を行う。
これらの方法には次のような問題があった。ブラインドリベット法においては、被接合材に開けた下穴から水分が浸入しやすく、被接合材同士、または被接合材とブラインドリベット間で電位差腐食を生じることがあった。また、摩擦圧接接合法は、水分の浸入による電位差腐食の問題は小さいものの、被接合材が摩擦熱を与える為の高速回転に耐えるものでなければならないなど、被接合材の強度や形状に制限があり、また、接合部の衝撃強さに劣る場合があった。
これらに対し、近年、セルフピアスリベットを用いた接合法(セルフピアスリベット法)が用いられるようになった。セルフピアスリベット法においては、予め下穴を開けずに、積層された接合材の上板から打ち込んだセルフピアスリベットの中空の脚部が、下板内で拡開して強固に固定されることにより締結、接合が完了する。したがって、ブラインドリベット法のように下穴を開けることが無いため、接合部に水分が浸入する可能性は低く、ブラインドリベット法に比べて電位差腐食の問題は少ない。また、摩擦圧接接合法のように摩擦熱を加える必要は無く、アーク溶接等と同等の十分な接合強度が得られる。
このセルフピアスリベットは、例えば鉄系材料(鉄またはその合金)で形成されるが、充分な接合強度を得るためには、特にその表面が重要である。このため、表面に被接合材との接合が良好で、かつ耐食性の高い材料によるコーティングがなされている。コーティング被膜の材料としては、Zn、Sn、およびこれらの合金などの金属被膜があげられる。
このようなコーティング方法としては、従来一般的な電気めっきによる金属被膜の形成が好適に採用されてきた。しかしながら、鉄系材料に電気めっきを行う場合には水素脆化の問題がある。水素脆化とは、鉄系材料中に吸収された水素により、鉄系材料の機械的性質が劣化する現象のことであり、遅れ破壊とも呼ばれている。
出願人は、特許文献1において、鉄系材料で形成されたセルフピアスリベットに電気アルミニウムめっきを行う方法を提案した。特許文献1の方法は、耐食性や被接合材との接合強度に優れるコーティングが成されるだけでなく、めっき用電解液に水を使用しないため、めっき中に水素を発生することがなく水素脆化の危険性が低い、という点で非常に優れた方法である。
しかしながら、セルフピアスリベットは接合時に脚部の変形を伴うため、そのコーティングには、接合時における被接合材との摩擦および脚部の変形に対して断裂したり母材との密着性が悪化したりすることなく追従する性能を有することが求められる。発明者らが特許文献1の方法で製造されたセルフピアスリベットに関して調査したところ、電気アルミニウムめっきによって形成される被膜は、接合時の脚部の変形に追従するための好適な膜厚範囲が狭いこと、好適な膜厚範囲においても被膜に断裂を生じたり母材との密着性が悪化したりすることによって、脚部に電位差腐食を生じる場合があることがわかった。
特開2008−267594号公報
本発明は、上記課題を解決する為になされたものであり、接合時の脚部の変形に追従して被膜の断裂や密着性の悪化などが生じず、耐電位差腐食性に優れた金属被膜がコーティングされたセルフピアスリベットおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、例えば蒸着法によって、柱状結晶組織の金属被膜をコーティングしたセルフピアスリベットは、接合時の脚部の変形に追従して当該金属被膜の柱状結晶組織の構造自体が変形し、被膜の断裂や密着性の悪化などが起こることがなく、耐電位差腐食性に優れることを見出した。
上記の知見に基づいて完成された本発明のセルフピアスリベットは、請求項1記載の通り、鉄またはその合金を母材とし、その表面に柱状結晶組織の金属被膜を有することを特徴とする。
また、請求項2記載のセルフピアスリベットは、請求項1記載のセルフピアスリベットにおいて、前記金属被膜が、室温におけるビッカース硬度が100以下の金属の被膜であることを特徴とする。
また、請求項3記載のセルフピアスリベットは、請求項2記載のセルフピアスリベットにおいて、前記金属被膜がアルミニウム、亜鉛、スズまたはそれらの合金の少なくとも一種の被膜であることを特徴とする。
また、請求項4記載のセルフピアスリベットは、請求項1から3のいずれかに記載のセルフピアスリベットにおいて、前記金属被膜が蒸着法により形成されていることを特徴とする。
また、請求項5記載のセルフピアスリベットは、請求項1から4に記載のセルフピアスリベットにおいて、前記金属被膜が、前記柱状結晶組織の結晶幅が0.1〜5μmの部分を有することを特徴とする。
また、請求項6記載のセルフピアスリベットは、請求項1から5のいずれかに記載のセルフピアスリベットにおいて、前記金属被膜が、幅0.01μm〜1μmの結晶間空隙を金属被膜の横方向に10μmあたり5個〜30個存在する部分を有することを特徴とする。
また、請求項7記載のセルフピアスリベットは、請求項1から6のいずれかに記載のセルフピアスリベットにおいて、前記金属被膜の表面がピーニング処理されていることを特徴とする。
また、請求項8記載のセルフピアスリベットは、請求項1から7のいずれかに記載のセルフピアスリベットにおいて、前記金属被膜の表面に不働態被膜が形成されていることを特徴とする。
また、請求項9記載のセルフピアスリベットは、請求項1から8のいずれかに記載のセルフピアスリベットにおいて、前記金属被膜の膜厚が5〜50μmであることを特徴とする。
また、本発明のセルフピアスリベットの製造方法は、鉄またはその合金によって形成された母材の表面に、雰囲気圧力0.1〜3.0Pa、平均成膜速度0.01〜10μm/分で、金属蒸着被膜を形成することを特徴とする。
本発明によれば、接合時の脚部の変形に追従してその表面にコーティングされた金属被膜の柱状結晶構造自体が変形し、被膜の断裂や母材との密着性の悪化などが起こることがなく、耐電位差腐食性に優れるセルフピアスリベットおよびその製造方法を提供することができる。
本発明のセルフピアスリベットの一例を示す断面図である。 本発明のセルフピアスリベットを用いて接合を行った際の形状の一例を示す断面図である。 本発明のセルフピアスリベットを製造するのに適した蒸着被膜形成装置の一実施形態の真空処理室内部の模式的正面図(一部透視図)である。 実施例にて作製したセルフピアスリベットの脚部外径部における接合前の金属被膜断面を示す反射電子線像である。 実施例にて作製したセルフピアスリベットの脚部外径部における接合後の金属被膜断面を示す反射電子線像である。
本発明のセルフピアスリベットは、鉄またはその合金を母材とし、その表面に柱状結晶組織の金属被膜を有することを特徴とするものである。またその製造方法は、鉄またはその合金によって形成された母材の表面に、雰囲気圧力0.1〜3.0Pa、平均成膜速度0.01〜10μm/分で、金属蒸着被膜を形成することを特徴とする。本発明によれば、接合時の脚部の変形に追従して当該金属被膜の柱状結晶組織自体が変形し、被膜の断裂や密着性の悪化などが起こることがなく、耐電位差腐食性に優れるセルフピアスリベットおよびその製造方法を提供することができる。
図1は、本発明のセルフピアスリベットの一例を示す断面図である。セルフピアスリベット1は、頭部2と中空筒型の脚部3で構成されており、その母材は鉄またはその合金で形成されている。母材の表面には柱状結晶組織の金属被膜4がコーティングされている。
このセルフピアスリベット1が実際に接合に用いられて接合が行われた際の形状を示す断面図が図2である。図2では、金属被膜4は省略されている。図2において、5は上板であり、例えばダイカスト成型されたアルミニウム板などが使用される。6は下板であり、例えば鉄鋼板や亜鉛めっき鋼板などが使用される。セルフピアスリベット1は上板5の側から打ち込まれる。これにより、脚部3は上板5を貫通し、下板6の中で脚部3の先端が金型7に沿って拡開した形状となる。これにより、上板5と下板6とは強固に固定される。
図2に示すように、脚部3は拡開時に大きく変形するが、この変形に金属被膜4が追従できないと、金属被膜4に断裂が生じたり、金属被膜4と母材との密着性が悪くなったりして、脚部3の電位差腐食の原因となる。本発明のセルフピアスリベットにおいて、金属被膜4は、金属被膜の厚み方向に成長した柱状結晶組織の構造を持っているため、脚部3の変形に追従して、断裂や母材との密着性の悪化を生じることなく膜自体が柔軟に変形し、従って本発明のセルフピアスリベットは耐電位差腐食性に優れることがわかった。
以下、本発明のセルフピアスリベットについてさらに詳細に説明する。
セルフピアスリベットの母材は、鉄またはその合金で形成される。硬度、延性、靭性、および耐遅れ破壊性に優れる必要があることから、炭素を含む炭素鋼、Cr、Niを含むステンレス鋼などが好適に採用される。その他、Si、Mn、Ti、リン、硫黄などを含むこともある。強度を増すために、焼入れ焼戻し等の熱処理を施すことがある。
金属被膜の材質は、脚部の変形に柔軟に追従する必要があることから、室温(例えば25℃)におけるビッカース硬度が100以下の金属が好ましく、耐食性や母材との密着性に優れ、柱状結晶構造の金属被膜を形成しやすいという点で、Al、Zn、Snがより好ましく、接合強度に優れる表面を有するセルフピアスリベットを形成できると言う点でAlが最も好ましい。ビッカース硬度が100以下の、Al、Zn、Snの合金、例えば、Zn−Sn−AlやAl−Mgなども使用できる。
金属被膜を形成する前の前処理としては、洗浄を施した後、金属被膜との密着性を向上させるために、公知のブラスト処理を行って表面の酸化層を除去することが好ましい。ブラスト処理は、公知のドラム式ブラスト加工装置の他、特開2001−341075号公報記載のバレル式ブラスト加工装置などを用い、スチールショットなどの金属系投射材やアランダム(ノートン社の商品名)などの非金属系投射材などを、投射圧0.1MPa〜0.5MPaで投射することによって行えばよい。
金属被膜の形成は、柱状結晶構造の被膜を得るために、スパッタ法、蒸着法などの気相成膜法を採用できるが、中でも蒸着法が工業的規模で容易に柱状結晶構造の被膜を得ることができると言う点で好ましい。蒸着法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法などを採用できる。蒸着被膜形成を行うことのできる装置としては、例えば、特開2001−335921号公報に記載されている、真空処理室内に、蒸着材料の蒸発部と、その表面に蒸着材料が蒸着される被処理物を収容する為のメッシュで形成された筒型バレルを備えた蒸着被膜形成装置を用いることができる。
図3は、本発明で好適に用いられる特開2001−335921号公報に記載されている蒸着被膜形成装置の一例における真空処理室内部の模式的正面図(一部透視図)である。図略の真空排気系に連なる真空処理室1の内部の上方には、水平方向の回転軸線上の回転シャフト6を中心に回転自在とした支持部材7が2個併設されており、この支持部材7の回転シャフト6の周方向の外方に6個のステンレス製のメッシュ金網で形成された円筒形バレル5が支持軸8によって公転自在に環状に支持されている。また、真空処理室1の内部の下方には、蒸着材料を蒸発させる蒸発部であるボート2が、支持テーブル3上に立設されたボート支持台4上に複数個配置されている。支持テーブル3の下方内部には、蒸着材料のワイヤー9が繰り出しリール10に巻回保持されている。蒸着材料のワイヤー9の先端はボート2の内面に向かって臨ませた耐熱性の保護チューブ11によってボート2の上方に案内されている。保護チューブ11の一部には切り欠き窓12が設けられており、この切り欠き窓12に対応して設けられた繰り出しギア13が蒸着材料のワイヤー9に直接接触し、蒸着材料のワイヤー9を繰り出すことによってボート2内に蒸着材料が絶えず供給されるように構成され、蒸着材料のワイヤー9の繰り出し速度を調節することで蒸着被膜の成膜速度を自在に制御することができる。また、回転シャフト6を中心に支持部材7を回転させると(図1矢印参照)、支持部材7の回転シャフト6の周方向の外方に支持軸8によって支持されている円筒形バレル5は、これに対応して、回転シャフト6を中心に公転運動する。その結果、個々の円筒形バレルと支持部材の下方に配置された蒸発部との間の距離が変動することになり、支持部材7の下部に位置した円筒形バレルは蒸発部に接近している。従って、この円筒形バレルに収容されたセルフピアスリベット30に対しては、その表面に蒸着被膜が効率よく形成される。
蒸着を開始する前に、処理室内を1.0〜10.0Paの不活性ガス雰囲気とし、グロー放電を行って、セルフピアスリベットの表面を清浄化することが好ましい。
柱状結晶組織の金属被膜を形成するためには、雰囲気ガス圧0.1〜3.0Pa、平均成膜速度0.01〜10.0μm/分で蒸着被膜形成を行う。雰囲気ガス圧が0.1Paより低いと、金属被膜の柱状結晶組織の幅が非常に微細化されることで変形に対する追従性が悪化する。また、雰囲気ガス圧が3.0Paより高いと、蒸着されるアルミ粒子の平均自由工程が短くなることで成膜速度が著しく劣る恐れがある。また、平均成膜速度が0.01μm/分より低いと、柱状結晶組織の幅が非常に微細化されることで変形に対する追従性が悪化する。10μm/分より高いと、金属被膜が粗雑になりすぎて、金属被膜自体の耐電位差腐食性が悪化する恐れがある。
金属被膜の膜厚は10〜100μmが好ましい。金属被膜の膜厚が10μmより小さいと、良好な耐電位差腐食性が得られない恐れがある。また、金属被膜の膜厚が100μmより大きいと、不必要にコスト上昇を招く他、接合時にエッジ部からの被膜はがれの恐れがある。蒸着被膜形成は、上記膜厚を得るまで連続して行っても良いし、複数回(例えば2〜10回)に分けて行っても良い。蒸着被膜形成を複数回に分けることにより、過度の温度上昇を避けつつ、厚膜を形成することができる。
以上のようにして形成された金属被膜は、金属被膜の厚み方向に成長した柱状結晶組織の構造を持つ。柱状結晶組織の幅(結晶の短軸方向の寸法)は0.1〜5μmであることが好ましい。柱状結晶組織の幅が0.1μmより狭いと、結晶構造が緻密すぎて所望の追従性が得られない。また、5μmより大きいと、金属被膜が粗雑になりすぎて金属被膜自体の耐電位差腐食性が悪化する恐れがある。図4は本発明の実施例にて作製したセルフピアスリベットの脚部外径部における接合前の金属被膜断面を示す反射電子線像である。図4からわかるように、金属被膜の柱状結晶組織は、蒸着被膜形成初期は結晶幅が狭く、蒸着被膜形成が進むに従って幅広に成長する。また、複数回の蒸着被膜形成を行った場合、結晶幅が狭い部分から幅広に成長した部分が蒸着被膜形成の回数だけ繰り返した構造の被膜となる。(図4では、形成した被膜の表面にピーニング処理を行っている為、最表層は柱状結晶組織の一部が破壊されている。)本発明において前記結晶組織の幅は、蒸着被膜形成が1回の場合は被膜の厚み方向の中央部付近、複数回の場合は、1回目の蒸着被膜形成における中央部付近で測定することとする。なお、1回目の蒸着被膜形成がどこからどこまでであるかは、金属被膜の前記のような繰り返しの断面構造を観察することにより容易に判別可能である。
さらに、金属被膜の柱状結晶組織は、前記のように、蒸着被膜形成初期は結晶幅が狭く、蒸着被膜形成が進むに従って幅広に成長した組織であることから、蒸着被膜形成初期の結晶幅が狭い部分には、結晶間空隙が存在することがある。この結晶間空隙は、金属被膜がより柔軟性を持ち、脚部の変形に追従しやすくなることに寄与する。幅0.01μm〜1μmの結晶間空隙を被膜の横方向(セルフピアスリベット表面と平行方向)10μmあたり5個〜30個存在する部分を有することが好ましい。このような部分は蒸着被膜形成初期に形成されることが多い。
金属被膜を蒸着形成後、金属被膜表面に対しピーニング処理を行って緻密化することにより、金属被膜の耐電位差腐食性をより向上させることができる。ピーニング処理は、前述のブラスト処理で用いた装置と同様、公知のドラム式ブラスト加工装置やバレル式ブラスト加工装置を用い、ガラスビーズなどの投射材を投射圧0.1MPa〜0.5MPaで投射することによって行えばよい。
蒸着形成された金属被膜に対し、更なる耐電位差腐食性の向上を目的として、化成処理や、熱水処理などによる不働態化処理を施してもよい。化成処理は、例えば、特許第3176597号記載のリン酸ジルコニウム系化成処理や、PCT/JP2009/63566号記載のジルコンバナジウム系化成処理などを行えばよい。また、熱水処理は、85〜100℃でpHが7〜9の弱アルカリ性の熱水に1〜60分間浸漬することにより行うことができる。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定して解釈されるものではない。
母材として、炭素鋼で形成され、脚部外径φ3.3mmで穴長4.0mmのセルフピアスリベット(BOLLHOFF社製)を使用した。
(工程1)母材表面へのアルミニウム被膜の蒸着形成
図3に示した蒸着被膜形成装置を用い、以下のようにして母材表面にアルミニウム蒸着被膜を形成した。なお、真空処理室内に配置した12個の円筒形バレルは、直径110mm×長さ600mmで、ステンレス製メッシュ金網(開口率:約50%、目開きの形状:一辺が4mmの正三角形、線幅:1mm)で作製されたものを用いた。
母材に対し、ブラスト処理を行い、表面の酸化層を除去した。この酸化層が除去された母材をそれぞれの円筒形バレル内に100個ずつ収容し、真空処理室内を全圧が4×10−2Paになるまで真空排気した後、Arガスを全圧が5Paになるように導入し、その後、バレルの回転シャフトを4.5rpmで回転させながら、バイアス電圧−1.0kVの条件下、15分間グロー放電を行って母材の表面を清浄化した。
続いて、Arガス圧1.3Pa、バイアス電圧−0.5kVの条件下、バレルの回転シャフトを4.5rpmで回転させながら、水素含有量が5ppmのアルミニウムワイヤー(JIS A1070に準拠したもの)を1ボートあたり3.3g/分の繰り出し速度にて蒸発部に30分間連続供給し、これを加熱して蒸発させてイオン化し、イオンプレーティングを行い、母材の表面にアルミニウム被膜を蒸着形成した。(平均成膜速度0.3μm/分。)表1に形成されたアルミニウム被膜の膜厚と蒸着回数を示す。蒸着回数が3回のものは、処理室に投入して蒸着被膜形成後いったん処理室から取り出して室温程度まで冷却することを3回繰り返した。被膜の膜厚はセルフピアスリベット10個の平均値として求めた。なお、本実施例では、表1の組み合わせで、各々、アルミニウム被膜膜厚、蒸着回数、ピーニング処理の有無、不働態化処理の種類を変えて、実施例1〜12を行った。
(工程2)蒸着形成されたアルミニウム被膜に対するピーニング処理
表1において、ピーニングが「有り」と記載されたもののピーニング処理は、母材表面に蒸着形成されたアルミニウム被膜に対し、モース硬度が6で平均粒度が120μmのガラスビーズ(共栄研磨材社製)を用いたショットピーニングを投射圧0.1MPa、投射時間10分、ノズルとセルフピアスリベット間の距離120mmの条件にて行った。
(工程3)蒸着形成されたアルミニウム被膜に対する不働態化処理
表1において、不働態被膜が「リン酸ジルコニウム」と記載されたものの不働態化処理は、ピーニング処理されたアルミニウム被膜に対し、日本パーカライジング社製のパルコート3756から調製した45℃の化成処理液に3分間浸漬することで、リン酸ジルコニウム系化成処理を施し、水洗してから乾燥することにより行った。
また表1において、不働態被膜が「ベーマイト」と記載されたものの不働態化処理は、ピーニング処理されたアルミニウム被膜に対し、95℃の水溶液中にて30分熱水処理を行った。
これらの不働態化処理により得られた被膜の断面について、電界放出形走査電子線顕微鏡(S−4300:日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察した結果、各々母材表面に、リン酸ジルコニウム被膜が約20nm、ベーマイト被膜が約1μm形成されていた。
(工程4)セルフピアスリベットによる接合試験片の作製
作製したセルフピアスリベットについて、接合試験を行った。接合にはBOLLHOFF社製のセルフピアスリベット締結機を使用し、締結圧力2tonにて締結、接合を行った。被接合材としては、アルミニウム板(JIS A1070相当)(板厚1mm)および亜鉛めっき鋼板(板厚2mm)を使用し、アルミニウム板側から打ち込むことにより接合試験片を作製した。全ての実施例において、アルミニウム板と亜鉛めっき鋼板は強固に接合されていることを確認した。
(工程5)
接合試験片の接合部分の耐電位差腐食性について、塩水噴霧試験(35℃、5%NaCl、pH7)(JIS Z 2371)により評価した。50時間毎に外観観察を行い、赤錆発生を確認した時間を記録した結果を表1に示す。接合試験片の接合部分を観察した結果、被膜の剥れなどは確認されなかった。
比較例:
実施例におけるアルミニウム蒸着被膜のかわりに、電解めっき法を用いて形成したアルミニウム被膜について同様の試験を行った。
セルフピアスリベットに対し、表面活性化のためにアルカリ電解脱脂(70℃1分)、酸エッチング(40℃3分)、電解スマット除去(室温4分)を連続して行った。その後、アルミニウム被膜との密着性確保のため、ストライク銅めっきを50℃5分にて行った。形成された銅めっき被膜は約1μmであった。その後、電解法によるアルミニウム被膜の形成を表2に記載の膜厚となるよう制御して形成した。
アルミニウムの電解めっき浴は、ジメチルスルホン(DMSO)を溶媒とし、無水塩化アルミニウム(III)(AlCl)を溶質としたものを用いた。そのモル比はDMSO:AlClで5:1とした。その温度は110℃とし、成膜時の電流密度は、セルフピアスリベットの表面積で規格化し10A/dmとした。
その後、不働態化処理として実施例(工程3)と同様の方法にて、ベーマイト被膜を形成した。得られたベーマイト被膜は約1μmであった。
引き続き、実施例(工程4)と同様に、接合試験片を作製した後、実施例(工程5)と同様に塩水噴霧試験を行い、耐電位差腐食性の評価を行った。
接合試験片の接合部分を観察した結果、膜厚50μmのものに被膜の剥れが一部発生していた。また、接合部分に剥れが発生していない試験片においても、蒸着法にて形成された試験片と比較して耐電位差腐食性が劣る結果となった。これは、電解めっき法にて形成された被膜が緻密で硬いことから、接合時における被接合材との摩擦および脚部拡開時の変形に追従することができず、被膜の断裂や密着性の悪化などが生じたためであると考えられる。
実施例10にて作製したセルフピアスリベットの脚部外径(拡開部分)における接合前の断面の反射電子線像を図4に、接合後の断面の反射電子線像を図5に示す。反射電子線像はEPMA1610(島津製作所社製)にて観察した。接合前のアルミニウム被膜は柱状結晶組織が金属被膜の厚み方向(母材表面と垂直方向)に成長していることがわかる。また、結晶幅が小さい部分から幅広に成長した部分が蒸着被膜形成の回数(3回)繰り返した構造の被膜となっており、3回の蒸着被膜形成で形成された被膜であることがわかる。3回目の蒸着被膜形成による被膜は、最表面であるので、ピーニング処理により柱状結晶組織の一部にて緻密化が進行している。その結晶幅は1回目の蒸着被膜形成部分における中央部付近(本実施例の場合は母材表面から10μm付近)で約2μmであった。また、2回目の蒸着被膜形成部分における中央部付近(母材表面から25μm付近)で約2μmであった。さらに、蒸着被膜形成初期であると考えられる位置に結晶間空隙を有しており、幅0.01μm〜1μmの結晶間空隙を被膜の横方向10μmあたり5個〜30個存在する部分を有していることが確認された。
一方、接合後のセルフピアスリベット脚部におけるアルミニウム被膜の柱状結晶組織は穿孔時の摩擦・変形により波打ったような形に変形しているにも関わらず、被膜の断裂および被膜の剥れが生じていないことがわかった。
本発明によれば、被膜の断裂や母材との密着性の悪化などが起こることがなく、耐電位差腐食性に優れるセルフピアスリベットおよびその製造方法を提供することができるという点で、産業上の利用可能性を有する。

Claims (10)

  1. 鉄またはその合金を母材とし、その表面に柱状結晶組織の金属被膜を有することを特徴とするセルフピアスリベット。
  2. 前記金属被膜が、室温におけるビッカース硬度が100以下の金属の被膜であることを特徴とする、請求項1記載のセルフピアスリベット。
  3. 前記金属被膜がアルミニウム、亜鉛、スズまたはそれらの合金の少なくとも一種の被膜であることを特徴とする請求項2記載のセルフピアスリベット。
  4. 前記金属被膜が蒸着法により形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のセルフピアスリベット。
  5. 前記金属被膜は、前記柱状結晶組織の結晶幅が、0.1〜5μmの部分を有することを特徴とする、請求項1から4に記載のセルフピアスリベット。
  6. 前記金属被膜は、幅0.01μm〜1μmの結晶間空隙を金属被膜の横方向10μmあたり5個〜30個存在する部分を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のセルフピアスリベット。
  7. 前記金属被膜の表面がピーニング処理されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のセルフピアスリベット。
  8. 前記金属被膜の表面に不働態被膜が形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のセルフピアスリベット。
  9. 前記金属被膜の膜厚が5〜50μmであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のセルフピアスリベット。
  10. 鉄またはその合金によって形成された母材の表面に、雰囲気圧力0.1〜3.0Pa、平均成膜速度0.01〜10μm/分で、金属蒸着被膜を形成することを特徴とする、鉄またはその合金を母材とし、その表面に柱状結晶組織の金属被膜を有するセルフピアスリベットの製造方法。
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