JP2011096557A - 電線コード - Google Patents

Abstract

【課題】本発明は、細径で、高強度を有し、かつ屈曲疲労を受けた時の電気抵抗率の上昇が小さく、耐久性に優れた電線コードを提供することにある。
【解決手段】芳香族ポリアミド繊維を芯部として該芯部の外周に細径銅線が捲回され、更にそのまわりが熱可塑性樹脂で被覆されてなる電線コードにおいて、該芳香族ポリアミド繊維が下記項目を満たすことを特徴とする電線コード。
(１)単糸繊度＝５〜４０ｄｔｅｘ
(２)総繊度＝１００〜８００ｄｔｅｘ
(３)強度≧１５ｃＮ／ｄｔｅｘ
【選択図】なし

Description

本発明は自動車用、電子機器用やオーディオ機器および電話コード等の用途に使用される電線コードに関する。さらに詳しくは細径で高い破断強力を有し、かつ屈曲疲労による電気抵抗値の上昇が小さく耐久性に優れた電線コードに関するものである。

電線コードの構造は比較的単純であるが使用される分野が広く、また使用状態も多様であり、これに対応すべく従来より高強力の有機繊維を芯部として該芯部の外周に細径銅線が捲回され、更にそのまわりが熱可塑性樹脂で被覆されている電線コードが提案されている。例えば、実開平２−１２１１３号公報ではアラミド繊維、また、特開昭６３−１７５３０３号公報および特開平１−１０７４１５号公報では高強力ポリオレフィン系繊維を芯部に用いた細径電線コードが提案されている。これらは、繊維自身が高い強度を有することから細い繊度の糸条を用いて従来は得られなかった高強力の細径電線コードが得られるものの、実使用時に屈曲疲労を受ける事により、比較的少ない屈曲疲労回数で電気抵抗値が上昇する為、耐久性について満足のいくものではなかった。

実開平２−１２１１３号公報 特開昭６３−１７５３０３号公報 特開平１−１０７４１５号公報

本発明は上記課題を解決するものであり、高強度、高弾性でかつ屈曲疲労による電気抵抗値の上昇が小さい高耐久性の電線コードを提供することにある。

本発明者らは芯部繊維を特定の構成とすることにより屈曲高耐久性電線コードとすることができることを見出したものであり、
すなわち本発明によれば、芳香族ポリアミド繊維を芯部として該芯部の外周に細径銅線が捲回され、更にそのまわりが熱可塑性樹脂で被覆されてなる電線コードにおいて、該芳香族ポリアミド繊維が下記項目を満たすことを特徴とする電線コード。
（１）単糸繊度＝５〜４０ｄｔｅｘ
（２）総繊度＝１００〜８００ｄｔｅｘ
（３）強度≧１５ｃＮ／ｄｔｅｘ
好ましくは、芳香族アラミド繊維が、撚糸が施されている電線コード、さらに好ましくはポリアミド繊維がコポリパラフェニレン・３，４’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドである電線コード、
が提供される。

本発明の電線コードにより細径で高い破断強力を有し、且つ屈曲疲労による電気抵抗の上昇の少ない耐久性に優れた電線コードとすることができる。

以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明で用いる芳香族ポリアミド繊維とは、ポリアミドを構成する繰返し単位の８０モル％以上好ましくは９０モル％以上が、芳香族ホモポリアミド、または、芳香族コポリアミドからなる繊維である。ここで繊維となる芳香族基は同一、または、相異なる芳香族基からなるものでも構わない。また、芳香族基の水素原子は、ハロゲン原子、低級アルキル基、フェニル基で置換されていても良い。

このような芳香族ポリアミド繊維の製造方法や繊維特性については、従来公知の、例えば、特開昭４９−１００３２２号公報、特開昭４７−１０８６３号公報、特開昭５８−１４４１５２号公報、特開平４−６５５１３号公報などに記載されているものが使用できる。

また、該芳香族ポリアミド繊維の中でもパラ型芳香族ポリアミド繊維であることが、耐熱性及び強度に優れているので好ましい。パラ型芳香族ポリアミド繊維は前記芳香族ポリアミドの延鎖結合が共軸または平行で、かつ、反対方向に向いているポリアミドからなる繊維である。

具体的には、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維（例えば、テイジンアラミドＢ．Ｖ．製、「トワロン」）や、共重合型の芳香族ポリアミド繊維であるコポリパラフェニレン・３，４’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維（例えば、帝人テクノプロダクツ（株）製、「テクノーラ」）等が例示され、特に共重合型である後者は、複合材料とした時の機械的強度、特に衝撃強度が高く好ましい。

本発明のポリアミド繊維の単繊維繊度は、５〜４０ｄｔｅｘ、好ましくは１５ｄｔｅｘ〜３０ｄｔｅｘの範囲である。５ｄｔｅｘ未満の場合は屈曲疲労時の繊維の曲率が小さくなる為に、繊維外周に捲かれた銅線の損傷が大きくなり、結果として、電気抵抗値上昇が早く、耐久性に乏しい。一方、４０ｄｔｅｘを超えると製糸性が悪くなると共に、繊維強度が低下する。

また総繊度は、１００ｄｔｅｘ〜８００ｄｔｅｘで、好ましくは、２００ｄｔｅｘ〜７００ｄｔｅｘの範囲である。１００ｄｔｅｘ未満では、コードとしての強力が低くなる為、好ましくない。８００ｄｔｅｘを越えると、コードとしての径が大きいなり、好ましくない。
また、繊維強度は、１５ｃＮ／ｄｔｅｘ以上で、好ましくは、１８ｃＮ／ｄｔｅｘ以上の範囲である。１５ｃＮ／ｄｔｅｘ未満では、コードとしての強力が低くなり、好ましくない。

本発明の芳香族ポリアミド繊維は、撚糸にすることにより、更に耐久性を向上することが可能である。撚係数が１〜４の片撚であることが好ましい。撚係数が１未満であると、電線コードにおける屈曲疲労を受けた場合の電気抵抗値の上昇が大きくなり好ましくない。つまり、撚糸を行うことにより、芳香族ポリアミド繊維の集束性が向上し、屈曲疲労時の繊維の曲率が大きくなることにより、繊維外周に捲かれた銅線の損傷を軽減できる結果として電線コードの電気抵抗値が上昇するのを防止することが可能となる。一方、撚係数が４を越えると、コード強力自身が低下するばかりか、コード径及び凹凸が大きくなり、形態及び外観的に好ましくない。更に、撚糸は、諸撚りにすることにより、更に好ましい。

以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例で用いた評価方法は
下記の通りである。
（１）繊度、引張強度
ＪＩＳ−Ｌ１０１３に準拠して測定した。
（２）電気抵抗値
２０℃、６５％ＲＨ下で、抵抗値測定器（フルーク製デジタルマルチメーター）にて、繊維１０ｃｍ間の電気抵抗値を測定した。
（３）屈曲疲労試験
ＭＩＴ耐揉疲労試験機（（株）東洋精機製作所）にて、荷重が２００ｇｆ、屈曲角度が２７０°、屈曲子半径が０．３８ｍｍ、屈曲速度が１６０回／分の条件下、１０００回屈曲後の電気抵抗値を測定した。

［実施例１］
芳香族ポリアミド繊維として、繊度２２０ｄｔｅｘ、単繊維本数２２本のコポリパラフェニレン−３．４’−オキシジフェニレンテレフタルアミド長繊維マルチフィラメント（帝人テクノプロダクツ（株）製、「テクノーラ」）を芯部に用い、該芯部の上にウレタン被覆した無酸素銅線束１４本を捲回して複合導線を形成した。次いで該複合導線にポリ塩化ビニル樹脂（ＰＶＣ）被覆を施してイヤホーンコードを作成した。得られたイヤホーンコードにつき屈曲疲労試験評価をした。評価結果を表１に示した。

［実施例２］
芳香族ポリアミド繊維を、繊度２２０ｄｔｅｘ、単繊維本数１１本のコポリパラフェニレン−３．４’−オキシジフェニレンテレフタルアミド長繊維マルチフィラメントとした以外は、実施例１と同じ条件で実施した。

［実施例３］
芳香族ポリアミド繊維が、繊度２２０ｄｔｅｘ、単繊維本数７本のコポリパラフェニレン−３．４’−オキシジフェニレンテレフタルアミド長繊維マルチフィラメントとした以外は、実施例１と同じ条件で実施した。

［実施例４］
芳香族ポリアミド繊維が、繊度２２０ｄｔｅｘ、単繊維本数１１本のコポリパラフェニレン−３．４’−オキシジフェニレンテレフタルアミド長繊維マルチフィラメントで、該糸を撚係数＝２の撚糸を施した以外は、実施例１と同じ条件で実施した。

［比較例１］
芳香族ポリアミド繊維が、繊度２２０ｄｔｅｘ、単繊維本数１３３本のコポリパラフェニレン−３．４’−オキシジフェニレンテレフタルアミド長繊維マルチフィラメントとした以外は、実施例１と同じ条件で実施した。単糸繊度が細いため屈曲疲労により断糸し、銅線も断線し、コードの電気抵抗上昇につながったものと考えられる。

［比較例２］
芳香族ポリアミド繊維を、繊度２２０ｄｔｅｘ、単繊維本数１１本、強度が１０ｃＮ／ｄｔｅｘのコポリパラフェニレン−３．４’−オキシジフェニレンテレフタルアミド長繊維マルチフィラメントとした以外は、実施例１と同じ条件で実施した。

本発明の電線コードは、細径で、機械的強度、耐久性に優れ、電子機器用やオーディオ機器および電話コード等の用途に好適に使用できる。

Claims (3)

1. 芳香族ポリアミド繊維を芯部として該芯部の外周に細径銅線が捲回され、更にそのまわりが熱可塑性樹脂で被覆されてなる電線コードにおいて、該芳香族ポリアミド繊維が下記項目を満たすことを特徴とする電線コード。
   （１）単糸繊度＝５〜４０ｄｔｅｘ
   （２）総繊度＝１００〜８００ｄｔｅｘ
   （３）強度≧１５ｃＮ／ｄｔｅｘ
2. 芳香族ポリアミド繊維が、撚糸が施されている請求項１記載の電線コード。
3. ポリアミド繊維がコポリパラフェニレン・３，４’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドであることを特徴とする請求項１〜２いずれかに記載の電線コード。