JP2011095607A - パターン形成方法及び感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物 - Google Patents

パターン形成方法及び感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物 Download PDF

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薫 岩戸
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Abstract

【課題】 フォーカス余裕度(DOF)及びラフネス特性に優れ且つブリッジ欠陥及び欠けの少ないパターンを形成可能とするパターン形成方法並びに感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 本発明に係るパターン形成方法は、(A)感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて膜を形成することと、(B)前記膜を露光することと、(C)有機溶剤を含んだ現像液を用いて前記露光された膜を現像することとを含み、前記組成物は、(a)酸の作用により前記現像液に対する溶解度が減少する樹脂であって、酸素原子を含んだ基がエステル結合及び芳香環基の何れも含んでいない2価の連結基又は単結合を介して主鎖と結合している繰り返し単位を備え、前記樹脂に占める前記繰り返し単位の含有率は、前記樹脂中の全繰り返し単位に対して20mol%乃至100mol%の範囲内である樹脂と、(b)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物と、(d)溶剤とを含有している。
【選択図】 なし

Description

本発明は、パターン形成方法及び感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。より詳細には、本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶及びサーマルヘッド等の回路基板の製造、並びにその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程に好適なパターン形成方法及びそれに用いられる組成物に関する。特には、本発明は、波長が300nm以下の遠紫外線光を光源とするArF露光装置及び液浸式投影露光装置での露光に好適なパターン形成方法およびそれに用いられる組成物に関する。
なお、ここで「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外(EUV)線、X線又は電子線(EB)を意味している。また、本発明において「光」とは、活性光線又は放射線を意味している。
また、ここで「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、遠紫外線、X線及びEUV光等による光照射のみならず、電子線及びイオンビーム等の粒子線による描画をも意味している。
KrFエキシマレーザー(248nm)用レジスト以降、光吸収による感度低下を補うべく、化学増幅を利用したパターン形成方法が用いられている。例えば、ポジ型の化学増幅法では、まず、露光部に含まれる光酸発生剤が、光照射により分解して酸を発生する。そして、露光後のベーク(PEB:Post Exposure Bake)過程等において、発生した酸の触媒作用により、感光性組成物に含まれるアルカリ不溶性の基をアルカリ可溶性の基に変化させる。その後、例えばアルカリ溶液を用いて、現像を行う。これにより、露光部を除去して、所望のパターンを得る。
上記方法において、アルカリ現像液としては、種々のものが提案されている。例えば、このアルカリ現像液として、2.38質量%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)の水系アルカリ現像液が汎用的に用いられている。
半導体素子の微細化のために、露光光源の短波長化及び投影レンズの高開口数(高NA)化が進み、現在では、193nmの波長を有するArFエキシマレーザーを光源とする露光機が開発されている。解像力を更に高める技術として、投影レンズと試料との間に高屈折率の液体(以下、「液浸液」ともいう)を満たす方法(即ち、液浸法)が提唱されている。また、更に短い波長(13.5nm)の紫外光で露光を行なうEUVリソグラフィも提唱されている。
しかしながら、総合的に優れた性能を有したパターンを形成するために必要なレジスト組成物、現像液及びリンス液等の適切な組み合わせを見出すことは、極めて困難であるのが実情である。特に、レジストの解像線幅が微細化するにつれて、ラインパターンのラインエッジラフネス(LER)性能の改良及びパターン寸法の面内均一性の改良が求められている。
一方、アルカリ現像によるパターン形成におけるネガ型化学増幅レジスト組成物の開発も行われている(例えば、特許文献1〜4参照)。これは、半導体素子等の製造にあたっては、ライン、トレンチ及びホールなどの種々の形状を有するパターン形成の要請がある一方で、現状のポジ型レジストでは形成することが難しいパターンが存在するためである。
また、ポジ型レジスト組成物とネガ型現像液とを組み合わせたパターン形成方法も提案されている(例えば、特許文献5参照)。この文献には、(ア)基板上に、活性光線又は放射線の照射により、ポジ型現像液に対する溶解度が増大し、ネガ型現像液に対する溶解度が減少する、ポジ型レジスト組成物を塗布する工程、(イ)露光工程、及び(エ)ネガ型現像液を用いて現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法が開示されている。この方法によると、高精度な微細パターンを安定的に形成することが可能となる。
しかしながら、近年では、ラフネス性能及びフォーカス余裕度(DOF)等の性能の更なる改善が求められている。
特開2006−317803号公報 特開2006−259582号公報 特開2006−195050号公報 特開2000−206694号公報 特開2008−292975号公報
本発明は、フォーカス余裕度(DOF)及びラフネス特性に優れ且つブリッジ欠陥及び欠けの少ないパターンを形成可能とするパターン形成方法並びに感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、例えば、以下の通りである。
〔1〕(A)感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて膜を形成することと、(B)前記膜を露光することと、(C)有機溶剤を含んだ現像液を用いて前記露光された膜を現像することとを含んだパターン形成方法であって、前記組成物は、(a)酸の作用により前記現像液に対する溶解度が減少する樹脂であって、酸素原子を含んだ基がエステル結合及び芳香環基の何れも含んでいない2価の連結基又は単結合を介して主鎖と結合している繰り返し単位を備え、前記樹脂に占める前記繰り返し単位の含有率は、前記樹脂中の全繰り返し単位に対して20mol%乃至100mol%の範囲内である樹脂と、(b)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物と、(d)溶剤とを含有している方法。
〔2〕前記酸素原子を含んだ基は前記連結基を介して前記主鎖と結合しており、前記連結基は炭化水素基である〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記酸素原子を含んだ基は、ヒドロキシ基、アルコキシ基又は酸分解性基である〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕前記繰り返し単位は、下記一般式(I)により表される〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の方法。
Figure 2011095607
式中、
は、水素原子又は1価の有機基を表す。
Xは、単結合、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Aは、1価の有機基を表す。
〔5〕前記繰り返し単位は、下記一般式(I−1)により表される〔4〕に記載の方法。
Figure 2011095607
式中、
及びRは、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。
Lは、炭素数が1〜6の炭化水素基を表す。
nは0又は1を表す。
〔6〕前記Rは、酸の作用により脱離して極性基を生じさせる基である〔5〕に記載の方法。
〔7〕前記Rは、酸の作用により脱離して極性基を生じさせる基である〔5〕又は〔6〕に記載の方法。
〔8〕前記現像液が含んでいる前記有機溶剤は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1つである〔1〕〜〔7〕の何れかに記載の方法。
〔9〕(D)リンス液を用いて前記現像された膜をリンスすることを更に含んだ〔1〕〜〔8〕の何れかに記載の方法。
〔10〕前記リンス液は、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいる〔9〕に記載の方法。
〔11〕(a)酸の作用により有機溶剤を含んだ現像液に対する溶解度が減少する樹脂であって、酸素原子を含んだ基がエステル結合及び芳香環基の何れも含んでいない2価の連結基又は単結合を介して主鎖と結合している繰り返し単位を備え、前記樹脂に占める前記繰り返し単位の含有率は、前記樹脂中の全繰り返し単位に対して20mol%乃至100mol%の範囲内である樹脂と、(b)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物と、(d)溶剤とを含んだ感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔12〕前記酸素原子を含んだ基は前記連結基を介して前記主鎖と結合しており、前記連結基は炭化水素基である〔11〕に記載の組成物。
〔13〕前記酸素原子を含んだ基は、ヒドロキシ基、アルコキシ基又は酸分解性基である〔11〕又は〔12〕に記載の組成物。
〔14〕前記繰り返し単位は、下記一般式(I)により表される〔11〕〜〔13〕の何れかに記載の組成物。
Figure 2011095607
式中、
は、水素原子又は1価の有機基を表す。
Xは、単結合、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Aは、1価の有機基を表す。
〔15〕前記繰り返し単位は、下記一般式(I−1)により表される〔14〕に記載の組成物。
Figure 2011095607
式中、
及びRは、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。
Lは、炭素数が1〜6の炭化水素基を表す。
nは0又は1を表す。
〔16〕前記Rは、酸の作用により脱離して極性基を生じさせる基である〔15〕に記載の組成物。
〔17〕前記Rは、酸の作用により脱離して極性基を生じさせる基である〔15〕又は〔16〕に記載の組成物。
〔18〕〔11〕〜〔17〕の何れかに記載の組成物を用いて形成された膜。
本発明によると、DOF及びラフネス特性に優れ且つブリッジ欠陥及び欠けの少ないパターンを形成可能とするパターン形成方法並びに感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、ここでは、置換又は無置換を明示していない基及び原子団には、置換基を有していないものと置換基を有しているものとの双方が含まれることとする。例えば、置換又は無置換を明示していない「アルキル基」は、置換基を有していないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有しているアルキル基(置換アルキル基)をも包含することとする。
<感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物>
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、(a)酸の作用により有機溶剤を含んだ現像液に対する溶解度が減少する樹脂(以下、酸分解性樹脂ともいう)と、(b)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、酸発生剤ともいう)と、(d)溶剤とを含んでいる。この組成物は、(c)塩基性化合物を更に含んでいてもよい。また、この組成物は、(e)疎水性樹脂、(f)界面活性剤、及び(g)その他の添加剤の少なくとも1つを更に含んでいてもよい。以下、これら各成分について、順に説明する。
なお、本発明に係る組成物は、典型的には、有機溶剤を含んだ現像液を用いた現像に用いられる。即ち、本発明に係る組成物は、典型的には、ネガ型の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物である。
(a)酸分解性樹脂
酸分解性樹脂は、酸素原子を含んだ基がエステル結合及び芳香環基の何れも含んでいない2価の連結基又は単結合を介して主鎖と結合している繰り返し単位[以下、繰り返し単位(α)ともいう]を備えている。このような構成を採用すると、樹脂の極性が向上し、有機溶剤を含んだ現像液に対する樹脂の溶解度を減少させることが可能となる。また、このような構成を採用すると、優れたDOF及びラフネス特性を達成すると共に、良好な形状のパターンを形成することが可能となる。
なお、酸分解性樹脂は、互いに異なった構成を有する複数の繰り返し単位(α)を備えていてもよい。
上記の酸素原子を含んだ基は、ヒドロキシ基、アルコキシ基又は酸分解性基であることが好ましい。酸分解性基は、極性基の水素原子の少なくとも一部が酸の作用により脱離する基によって置換された基であることが好ましい。好ましい酸分解性基としては、例えば、アセタール基が挙げられる。なお、ここで「酸分解性基」とは、酸の作用により分解して極性基を生じる基を意味している。
酸素原子を含んだ基と主鎖とを連結する2価の連結基は、炭化水素基であることが好ましく、アルキレン基又はシクロアルキレン基であることがより好ましく、アルキレン基であることが更に好ましい。
アルキレン基の炭素数は、通常は1〜6であり、好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1である。アルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。アルキレン基は、直鎖状であることがより好ましい。
シクロアルキレン基の炭素数は、通常は3〜10である。シクロアルキレン基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
これら炭化水素基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等のハロゲン原子;メルカプト基;ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基及びベンジルオキシ基のアルコキシ基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;シアノ基;ニトロ基;スルホニル基;シリル基;アシル基;ビニル基;並びにアリール基が挙げられる。
なお、繰り返し単位(α)が備えている他の側鎖の構造については、特に制限はない。他の側鎖の構造としては、例えば、後述する各式においてAにより表されるものが挙げられる。
繰り返し単位(α)は、下記一般式(G)により表されることが好ましい。
Figure 2011095607
式中、Qは、酸素原子を含んだ基を表す。Xは、単結合、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。Aは、1価の有機基を表す。
Qにより表される基は、ヒドロキシ基、アルコキシ基又は酸分解性基であることが好ましい。
Xのアルキレン基及びシクロアルキレン基としては、例えば、先に2価の連結基として説明したものが挙げられる。
Aは、1価の有機基であり、その構造に制限はない。Aにより表される基の好ましい例としては、後述する各一般式における対応する基が挙げられる。
繰り返し単位(α)は、下記一般式(I)により表されることが好ましい。
Figure 2011095607
式中、Rは、水素原子又は1価の有機基を表す。X及びAは、一般式(G)における各々と同義である。
の1価の有機基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、及び、酸の作用により脱離して極性基を生じさせる基が挙げられる。これら各基は、置換基を更に有していてもよい。
の1価の有機基の炭素数は、通常は1〜6であり、好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1である。
が酸の作用により脱離して極性基を生じさせる基である場合、この極性基としては、例えば、ヒドロキシ基、フッ素化アルコール基及びスルホン酸基が挙げられる。これらのうち、ヒドロキシ基が特に好ましい。
Aにより表される1価の有機基は、下記一般式(G−1)における対応する基であることが好ましい。即ち、繰り返し単位(α)は、下記一般式(G−1)により表されることがより好ましい。
Figure 2011095607
式中、Rは、水素原子又は1価の有機基を表す。Lは、炭素数が1〜6の炭化水素基を表す。nは0又は1を表す。Q及びXは、一般式(G)における各々と同義である。
の1価の有機基としては、例えば、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、及び、酸の作用により脱離して極性基を生じさせる基が挙げられる。これら各基は、置換基を更に有していてもよい。Rの好ましい例としては、後述する各一般式における対応する基が挙げられ、特に好ましくは、酸の作用により脱離して極性基を生じさせる基である。Rが酸の作用により脱離して極性基を生じさせる基であることにより、酸分解後に生じる極性基との間の極性相互作用が容易になり、反応後のパターンが均一に不溶化するものと考えられる。
Lは、上述した通り、炭素数が1〜6の炭化水素基を表す。この炭化水素基は、好ましくは、アルキレン基又はシクロアルキレン基である。アルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。シクロアルキレン基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。また、これらアルキレン基及びシクロアルキレン基は、置換基を更に有していてもよい。
一般式(G)について上述した通り、Qは、ヒドロキシ基又はアルコキシ基であることが好ましい。また、Xはアルキレン基であることが好ましく、その炭素数は1であることが特に好ましい。そして、Aは、上記一般式(G−1)における対応した基であることが好ましい。即ち、繰り返し単位(α)は、下記一般式(I−1)により表されることが好ましい。
Figure 2011095607
式中、R、R、L及びnは、一般式(I)及び(G−1)における各々と同義である。
以下、一般式(G)により表される繰り返し単位(α)の特に好ましい態様について説明する。
繰り返し単位(α)は、前述のように、酸素原子を含んだ基がエステル結合及び芳香環基の何れも含んでいない2価の連結基又は単結合を介して主鎖と結合している繰り返し単位であれば、特に限定されないが、酸分解性基を有する繰り返し単位であることが好ましい。この繰り返し単位(α)は、下記一般式(AI−α)により表されることが好ましい。
Figure 2011095607
式中、Tは、単結合又は2価の連結基を表す。Rx、Rx及びRxは、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。Rx、Rx及びRxのうち少なくとも2つが互いに結合して、シクロアルキル基を形成していてもよい。Q及びXは、一般式(G)における各々と同義である。
Tにより表される2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、−COO−Rt−により表される基、及び、−O−Rt−により表される基が挙げられる。ここで、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。T又はRtとしてのアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。Rtとしてのシクロアルキレン基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
Tは、単結合又は−COO−Rt−により表される基であることが好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基であることが好ましく、−CH−基又は−(CH−基であることがより好ましい。
Rx〜Rxのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基及びt−ブチル基などの炭素数が1〜4のものが好ましい。
Rx〜Rxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、並びに、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx〜Rxのうち少なくとも2つが互いに結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。このシクロアルキル基は、炭素数が5又は6の単環のシクロアルキル基であることが特に好ましい。
特には、Rxがメチル基又はエチル基であり、RxとRxとが互いに結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
上記各基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシ基、及びアルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)が挙げられる。この置換基は、炭素数が8以下であることが好ましい。
以下に、一般式(AI−α)により表される繰り返し単位の具体例を挙げる。具体例中、Rxa及びRxbは、各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Zは、複数存在する場合は各々独立に、極性基を含んだ置換基を表す。pは、0又は正の整数を表す。Zの好ましい例及び具体例は、後述する一般式(2−1α)におけるR10の好ましい例及び具体例と同様である。
Figure 2011095607
Figure 2011095607
Figure 2011095607
Figure 2011095607
一般式(AI−α)により表される繰り返し単位は、下記一般式(1−α)により表される繰り返し単位及び下記一般式(2−α)により表される繰り返し単位の少なくとも一方であることがより好ましい。
Figure 2011095607
一般式(1−α)及び(2−α)中、R、R、R及びRは、各々独立して、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。Rは、炭素原子と共に脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。Q及びXは、一般式(G)における各々と同義である。
のアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。
のシクロアルキル基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このシクロアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。
は、好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素数が1〜10のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数が1〜5のアルキル基である。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基及びエチル基が挙げられる。
Rが炭素原子と共に形成する脂環構造は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。この脂環構造は、単環式であることが好ましく、その炭素数は、好ましくは3〜7であり、より好ましくは5又は6である。
、R及びRのアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基及びt−ブチル基などの炭素数が1〜4のものが好ましい。このアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。
、R及びRのシクロアルキル基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このシクロアルキル基としては、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。このシクロアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。
一般式(2−α)により表される繰り返し単位は、下記一般式(2−1α)により表されることがより好ましい。
Figure 2011095607
式(2−1α)中、R及びRは、一般式(2−α)における各々と同義である。Q及びXは、一般式(G)における各々と同義である。
10は、p≧2の場合には各々独立に、極性基を含んだ置換基を表す。極性基を含んだ置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミド基、スルホンアミド基、又は、これらの少なくとも1つを有するアルキル基又はシクロアルキル基が挙げられる。極性基を含んだ置換基は、好ましくは、ヒドロキシ基を有するアルキル基であり、より好ましくは、ヒドロキシ基を有する分岐鎖アルキル基である。分岐鎖アルキル基としては、イソプロピル基が特に好ましい。
pは、0〜15の整数を表す。pは、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
繰り返し単位(α)は、ラクトン構造を有する繰り返し単位であってもよい。このラクトン基は、好ましくは5〜7員環ラクトン構造を有する基であり、特には、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造又はスピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。
この場合、繰り返し単位(α)は、下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の何れかで表されるラクトン構造を含んだ基を有していることが好ましい。なお、ラクトン構造を有する基は、主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては、(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)及び(LC1−17)が挙げられる。特定のラクトン構造を用いることにより、ラインエッジラフネス及び現像欠陥を更に減少させ得る。
Figure 2011095607
ラクトン構造部分は、置換基(Rb)を有していてもよく、有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb)としては、例えば、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基及び酸分解性基が挙げられる。
は、0〜4の整数を表す。nが2以上の整数である場合、複数存在するRbは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、この場合、複数存在するRb同士が互いに結合して、環構造を形成してもよい。
ラクトン構造を有する繰り返し単位(α)としては、下記一般式(AII−α)により表されるものが好ましい。
Figure 2011095607
一般式(AII−α)中、
Abは、アルキレン基、単環若しくは多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、単結合、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はこれらの組み合わせを表す。Abは、好ましくは、単結合又は−Ab−CO−で表される連結基である。
Abは、直鎖若しくは分岐鎖アルキレン基、又は、単環若しくは多環式のシクロアルキレン基であり、好ましくは、メチレン基、エチレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基又はノルボルニレン基である。
Vは、ラクトン構造を有する基を表す。具体的には、例えば一般式(LC1−1)〜(LC1−17)のうちの何れかにより表される構造を有する基を表す。
Q及びXは、一般式(G)における各々と同義である。
一般式(AII−α)により表される繰り返し単位のうち、Abが単結合である場合に特に好ましい例を以下に示す。最適なラクトン基を選択することにより、パターンプロファイル及び疎密依存性を更に良好にすることが可能となる。
Figure 2011095607
一般式(AII−α)において、連結基Abが、−Ab−CO−で表される2価の連結基である場合も好ましい態様の1つである。この場合、Abとしては、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖アルキレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。この具体例としては、例えば、下記に示すものが挙げられる。
Figure 2011095607
一般式(AII−α)により表される繰り返し単位(α)は、下記一般式(3−1α)により表されることが好ましい。
Figure 2011095607
一般式(3−1α)中、
Aは、エステル結合(−COO−)を表す。
は、n≧2の場合には各々独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はこれらの2以上の組合せを表す。
Zは、n≧2の場合には各々独立に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、又はウレア結合を表す。
nは、1〜5の整数を表す。nは、好ましくは、0又は1である。
は、m≧2の場合には各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基を表す。また、m≧2の場合には、2つのRが互いに結合して、環を形成していてもよい。
Yは、アルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
mは、0〜5の整数を表す。mは、好ましくは、0又は1である。
Q及びXは、一般式(G)における各々と同義である。
のアルキル基は、炭素数が1〜4であることが好ましい。Rのシクロアルキル基は、炭素数が3〜6であることが好ましい。Rのエステル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基が挙げられる。これら各基が有し得る置換基としては、ヒドロキシ基;メトキシ基及びエトキシ基などのアルコキシ基;シアノ基;及びフッ素原子などのハロゲン原子が挙げられる。
は、メチル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基であることがより好ましく、シアノ基であることが更に好ましい。
m≧1である場合、少なくとも1つのRは、ラクトンのカルボニル基のα位又はβ位に置換していることが好ましく、α位に置換していることがより好ましい。
Yのアルキレン基としては、例えば、メチレン基及びエチレン基が挙げられる。Xは、酸素原子又はメチレン基であることが好ましく、メチレン基であることが更に好ましい。
以下に、一般式(3−1α)により表される繰り返し単位(α)の具体例を示す。
Figure 2011095607
なお、ラクトン構造を備えた繰り返し単位には、通常は光学異性体が存在するが、何れの光学異性体を用いてもよい。
また、本発明の効果を高めるために、2種以上のラクトン繰り返し単位を併用することも可能である。併用する場合には、特に、一般式(3−1α)により表される繰り返し単位のうちn=1であるものから2種以上を選択し併用することが好ましい。また、一般式(AII−α)により表される繰り返し単位においてAbが単結合であるものと、一般式(3−1α)により表される繰り返し単位のうちn=1であるものとを併用することも好ましい。
繰り返し単位(α)は、エステル結合を介してヒドロキシ基又はシアノ基を含んだ基を有し且つ酸分解性を示さない繰り返し単位であってもよい。このような構成を採用すると、基板密着性を更に向上させることが可能となる。エステル結合を介してヒドロキシ基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、ヒドロキシ基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましい。この脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基又はノルボルニル基が好ましい。ヒドロキシ基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造の好ましい例としては、モノヒドロキシアダマンチル基、ジヒドロキシアダマンチル基、モノヒドロキシジアマンチル基、ジヒドロキシアマンチル基、及びシアノ基で置換されたノルボルニル基が挙げられる。
エステル結合を介してヒドロキシ基又はシアノ基を有する繰り返し単位(α)としては、下記一般式(AIIa−α)〜(AIId−α)により表される繰り返し単位を挙げることができる。
Figure 2011095607
一般式(AIIa−α)〜(AIId−α)中、
c〜Rcは、各々独立に、水素原子、ヒドロキシ基又はシアノ基を表す。ただし、Rc〜Rcのうち少なくとも1つは、ヒドロキシ基又はシアノ基を表す。好ましくは、Rc〜Rcのうち1つ又は2つがヒドロキシ基であり、残りの2つ又は1つが水素原子である。Rc〜Rcのうち2つがヒドロキシ基であり、残り1つが水素原子であることが特に好ましい。
以下に、ヒドロキシ基又はシアノ基を有する繰り返し単位(α)の具体例を挙げる。
Figure 2011095607
繰り返し単位(α)は、上述した酸素原子を含んだ基以外に、極性基を更に有していてもよい。極性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビスルスルホニルイミド基、及び、α位が電子求引性基で置換された脂肪族アルコール基(例えばヘキサフルオロイソプロパノール基)が挙げられる。この極性基は、カルボキシ基であることがより好ましい。このような構成を採用することにより、現像を行う際の樹脂の溶解性を調節することが可能となる。
以下に、上述した酸素原子を含んだ基以外の極性基を有する繰り返し単位(α)の具体例を示す。
Figure 2011095607
繰り返し単位(α)は、環式炭化水素構造を有し且つ酸分解性を示さない繰り返し単位であってもよい。このような構成を採用することにより、液浸露光時におけるレジスト膜から液浸液への低分子成分の溶出を低減することができる。また、これにより、有機溶剤を含んだ現像液を用いた現像の際に、樹脂の溶解性を適切に調整することができる。
環式炭化水素構造を有し且つ酸分解性を示さない繰り返し単位(α)としては、例えば、下記一般式(4−α)により表されるものが挙げられる。
Figure 2011095607
一般式(4−α)中、Rは、少なくとも1つの環状構造を有し且つヒドロキシ基及びシアノ基の何れも有さない炭化水素基を表す。Q及びXは、一般式(G)における各々と同義である。
が有する環状構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキル基、及び、炭素数3〜12のシクロアルケニル基が挙げられる。好ましい単環式炭化水素基としては、炭素数3〜7の単環式の炭化水素基が挙げられる。
多環式炭化水素基には、環集合炭化水素基及び架橋環式炭化水素基が含まれる。架橋環式炭化水素基としては、例えば、2環式炭化水素基、3環式炭化水素基、及び4環式炭化水素基が挙げられる。また、架橋環式炭化水素基には、縮合環式炭化水素環(例えば、5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環)も含まれる。好ましい架橋環式炭化水素基としては、ノルボニル基及びアダマンチル基が挙げられる。
これらの環式炭化水素基は、置換基を更に有していてもよい。好ましい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシ基、及び、保護基で保護されたアミノ基が挙げられる。好ましいハロゲン原子としては、臭素、塩素及びフッ素原子が挙げられる。好ましいアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、ブチル及びt−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシル基、及び、保護基で保護されたアミノ基が挙げられる。
上記の保護基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、及びアラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。
以下に、環式炭化水素構造を有し且つ酸分解性を示さない繰り返し単位(α)の具体例を挙げる。
Figure 2011095607
以下に、繰り返し単位(α)の具体例を挙げるが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではない。
Figure 2011095607
酸分解性樹脂は、繰り返し単位(α)以外の繰り返し単位を更に含んでいてもよい。以下、この繰り返し単位の好ましい態様について説明する。
酸分解性樹脂は、繰り返し単位(α)の他に、下記一般式(AI)により表される繰り返し単位を更に含んでいてもよい。
Figure 2011095607
式中、Xaは、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。T、Rx、Rx及びRxは、一般式(AI−α)における各々と同義である。
以下に、一般式(AI)により表される繰り返し単位の具体例を挙げる。具体例中、Rx及びXaは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。Rxa、Rxb、Z及びpは、先に一般式(AI−α)により表される繰り返し単位の具体例について説明したものと同義である。
Figure 2011095607
Figure 2011095607
Figure 2011095607
Figure 2011095607
一般式(AI)により表される繰り返し単位は、下記一般式(1)により表される繰り返し単位及び下記一般式(2)により表される繰り返し単位の少なくとも一方であることがより好ましい。
Figure 2011095607
一般式(1)及び(2)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。R、R、R5、及びRは、一般式(1−α)及び(2−α)における各々と同義である。
一般式(I)により表される繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(1−a)により表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2011095607
式中、R1及びR2は、一般式(1)における各々と同義である。
一般式(2)により表される繰り返し単位は、下記一般式(2−1)により表されることがより好ましい。
Figure 2011095607
式(2−1)中、R、R及びRは、一般式(2)における各々と同義である。R10及びpは、一般式(2−1α)における各々と同義である。
酸分解性樹脂は、繰り返し単位(α)以外に、ラクトン構造を有する繰り返し単位を更に備えていてもよい。ラクトン構造を含んだ基の好ましい例は、先に繰り返し単位(α)について説明したのと同じである。
繰り返し単位(α)以外のラクトン構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AII)により表されるものが好ましい。
Figure 2011095607
一般式(AII)中、Rbは、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。Ab及びVは、一般式(AII−α)における各々と同義である。
一般式(AII)により表される繰り返し単位のうち、Abが単結合である場合に特に好ましい例を以下に示す。式中、Rxは、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。最適なラクトン基を選択することにより、パターンプロファイル及び疎密依存性を更に良好にすることが可能となる。
Figure 2011095607
一般式(AII)において、連結基Abが、−Ab−CO−で表される2価の連結基である場合も好ましい態様の1つである。この場合、Abとしては、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖アルキレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。この具体例としては、例えば、下記に示すものが挙げられる。式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
Figure 2011095607
一般式(AII)により表される繰り返し単位は、下記一般式(3−1)により表されることが好ましい。
Figure 2011095607
一般式(3−1)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。A、R、Z、n、R、Y及びmは、一般式(3−1α)における各々と同義である。
以下に、一般式(3−1)により表される繰り返し単位の具体例を示す。式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
Figure 2011095607
なお、ラクトン構造を備えた繰り返し単位には、通常は光学異性体が存在するが、何れの光学異性体を用いてもよい。
また、本発明の効果を高めるために、2種以上のラクトン繰り返し単位を併用することも可能である。併用する場合には、特に、一般式(3−1)により表される繰り返し単位のうちn=1であるものから2種以上を選択し併用することが好ましい。また、一般式(AII)により表される繰り返し単位においてAbが単結合であるものと、一般式(3−1)により表される繰り返し単位のうちn=1であるものとを併用することも好ましい。
酸分解性樹脂は、繰り返し単位(α)以外に、エステル結合を介してヒドロキシ基又はシアノ基を含んだ基を有し且つ酸分解性を示さない繰り返し単位を更に含んでいてもよい。このような構成を採用すると、基板密着性を更に向上させることが可能となる。エステル結合を介してヒドロキシ基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、ヒドロキシ基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましい。この脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基又はノルボルニル基が好ましい。ヒドロキシ基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造の好ましい例としては、モノヒドロキシアダマンチル基、ジヒドロキシアダマンチル基、モノヒドロキシジアマンチル基、ジヒドロキシアマンチル基、及びシアノ基で置換されたノルボルニル基が挙げられる。
繰り返し単位(α)以外のエステル結合を介してヒドロキシ基又はシアノ基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AIIa)〜(AIId)により表される繰り返し単位を挙げることができる。
Figure 2011095607
一般式(AIIa)〜(AIId)中、Rcは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。Rc〜Rcは、一般式(AIIa−α)〜(AIId−α)における各々と同義である。
以下、繰り返し単位(α)以外のヒドロキシ基又はシアノ基を有する繰り返し単位の具体例を挙げる。
Figure 2011095607
酸分解性樹脂は、繰り返し単位(α)以外に、極性基を備えた繰り返し単位を更に含んでいてもよい。この極性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビスルスルホニルイミド基、及び、α位が電子求引性基で置換された脂肪族アルコール基(例えばヘキサフルオロイソプロパノール基)が挙げられる。この極性基は、カルボキシ基であることがより好ましい。このような構成を採用することにより、現像を行う際の樹脂の溶解性を調節することが可能となる。
以下に、繰り返し単位(α)以外の極性基を備えた繰り返し単位の具体例を示す。式中、Rxは、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
Figure 2011095607
酸分解性樹脂は、繰り返し単位(α)以外に、環式炭化水素構造を有し且つ酸分解性を示さない繰り返し単位を更に含んでいてもよい。このような構成を採用することにより、液浸露光時におけるレジスト膜から液浸液への低分子成分の溶出を低減することができる。また、これにより、有機溶剤を含んだ現像液を用いた現像の際に、樹脂の溶解性を適切に調整することができる。
繰り返し単位(α)以外の環式炭化水素構造を有し且つ酸分解性を示さない繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(4)により表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2011095607
一般式(4)中、Raは、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは、一般式(4−α)におけるものと同義である。
以下に、繰り返し単位(α)以外の環式炭化水素構造を有し且つ酸分解性を示さない繰り返し単位の具体例を挙げる。
Figure 2011095607
酸分解性樹脂は、上述した各繰り返し単位以外に、他の様々な繰り返し単位を含んでいてもよい。このような繰り返し単位を適宜含有させることにより、ドライエッチング耐性、標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、解像力、耐熱性及び感度等を調節することが可能となる。また、これにより、本発明に係る組成物に用いられる樹脂に要求される性能、特には、(1)塗布溶剤に対する溶解性、(2)製膜性(ガラス転移点)、(3)アルカリ現像性、(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、(5)未露光部の基板への密着性、及び(6)ドライエッチング耐性等の微調整が可能となる。
このような繰り返し単位としては、例えば、下記の単量体に相当する繰り返し単位が挙げられる。即ち、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類及びビニルエステル類等の付加重合性不飽和結合を1個有する単量体に相当する繰り返し単位が挙げられる。その他、上記の繰り返し単位に相当する単量体と共重合させることができる付加重合性の不飽和化合物を、更に含有させてもよい。
樹脂中に占める各繰り返し単位のモル比は、ドライエッチング耐性、標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、解像力、耐熱性及び感度等を調節するために適宜設定される。
本発明に係る組成物がArF露光用である場合、ArF光に対する透明性の観点から、酸分解性樹脂は、芳香族基を有していないことが好ましい。この場合、上記樹脂は、単環式又は多環式の脂環炭化水素構造を有していることが好ましい。
また、本発明に係る組成物が後述する疎水性樹脂を含んでいる場合、酸分解性樹脂は、この疎水性樹脂との相溶性の観点から、フッ素原子及びケイ素原子を含んでいないことが好ましい。
酸分解性樹脂に占める繰り返し単位(α)の含有率は、全繰り返し単位に対して、20mol%乃至100mol%の範囲内にあり、更に好ましくは30mol%乃至100mol%の範囲内にあり、特に好ましくは40mol%乃至100mol%の範囲内にあり、最も好ましくは50mol%乃至100mol%の範囲内にある。この含有率を20mol%より小さくすると、パターンの欠けが生じ易くなる可能性がある。
酸分解性樹脂に占める一般式(I)により表される繰り返し単位(α)の含有率は、全繰り返し単位に対して、20mol%乃至100mol%の範囲内にあり、更に好ましくは30mol%乃至100mol%の範囲内にあり、特に好ましくは40mol%乃至100mol%の範囲内にあり、最も好ましくは50mol%乃至100mol%の範囲内にある。この含有率を20mol%より小さくすると、パターンの欠けが生じ易くなる可能性がある。
酸分解性樹脂に占める酸分解性基を備えた繰り返し単位の含有率は、樹脂中の全繰り返し単位に対し、20〜70mol%であることが好ましく、30〜50mol%であることがより好ましい。
酸分解性樹脂に占めるラクトン基を備えた繰り返し単位の含有率は、樹脂中の全繰り返し単位に対し、15〜60mol%であることが好ましく、20〜50mol%であることがより好ましく、30〜50mol%であることが更に好ましい。
酸分解性樹脂に占めるエステル結合を介してヒドロキシ基又はシアノ基を含んだ基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂中の全繰り返し単位に対し、5〜40mol%であることが好ましく、5〜30mol%であることがより好ましく、10〜25mol%であることが更に好ましい。
酸分解性樹脂が、環式炭化水素構造を有し且つ酸分解性を示さない繰り返し単位を含んでいる場合、酸分解性樹脂に占める該繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、3〜40モル%であることが好ましく、3〜20モル%であることが好ましい。
また、酸分解性樹脂は、特にArF露光に適用する際の透明性の観点から、芳香環を含有する繰り返し単位をなるべく含まないことが好ましい。より具体的には、芳香環を含有する繰り返し単位の含有量が全繰り返し単位中3モル%以下であることが好ましく、芳香環を含有する繰り返し単位を実質的に含まないことがより好ましい。
酸分解性樹脂は、常法に従って合成することができる。例えば、酸分解性樹脂は、ラジカル重合法によって合成することができる。
一般的な合成方法としては、例えば、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させた後、これを加熱することにより重合を行う一括重合法、並びに、加熱した溶剤にモノマー種と開始剤の溶液とを1〜10時間かけて滴下することにより重合を行う滴下重合法が挙げられる。これらのうち、滴下重合法が特に好ましい。
反応溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン及びジイソプロピルエーテル等のエーテル類、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル溶媒、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等のアミド溶剤、並びに、後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)及びシクロヘキサノン等の本発明に係る組成物を溶解可能な溶媒が挙げられる。特には、本発明に係る組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合を行うことが好ましい。これにより、保存時におけるパーティクルの発生を抑制することが可能となる。
重合反応は、窒素及びアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤及びパーオキサイド等)を用いることができる。ラジカル開始剤としては、アゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基又はカルボキシ基を含んだアゾ系開始剤がより好ましい。好ましい開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、及びジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)が挙げられる。開始剤は、重合反応の途中で追加したり、分割して添加したりしてもよい。
反応終了後、反応液を溶剤に投入することにより、所望の樹脂を粉体又は固体として回収する。
反応の濃度は、通常は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常は10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃であり、更に好ましくは60〜100℃である。
酸分解性樹脂は、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、単量体及びオリゴマー成分の残存量が0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましく、0〜1質量%であることが更に好ましい。これにより、液中異物の量を減少させ、感度等の経時変化を低減することが可能となる。
酸分解性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜200,000であり、より好ましくは2,000〜20,000であり、更に好ましくは3,000〜15,000であり、特に好ましくは3,000〜10,000である。重量平均分子量を1,000〜200,000の範囲内とすることにより、耐熱性、ドライエッチング耐性及び現像性の劣化、並びに粘度の上昇による製膜性の低下を抑制することが可能となる。なお、上記の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算値を表す。
酸分解性樹脂の分散度は、通常は1〜3であり、好ましくは1〜2.6であり、より好ましくは1〜2であり、特に好ましくは1.4〜2.0である。分子量分布が小さいほど、優れた解像度、パターン形状及びラフネス特性を達成することが可能となる。
酸分解性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
組成物中に占める酸分解性樹脂の合計量は、組成物の全固形分を基準として、50〜99質量%であることが好ましく、60〜95質量%であることがより好ましい。
(b)酸発生剤
酸発生剤は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物である。酸発生剤としては、例えば、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物、及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。これらの例としては、スルホニウム塩及びヨードニウム塩等のオニウム塩、並びに、ビス(アルキルスルホニルジアゾメタン)等のジアゾジスルホン化合物が挙げられる。
酸発生剤の好ましい例としては、下記一般式(ZI)、(ZII)及び(ZIII)により表される化合物が挙げられる。
Figure 2011095607
上記一般式(ZI)において、R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、例えば1〜30であり、好ましくは1〜20である。
201〜R203のうち2つは、単結合又は連結基を介して互いに結合して、環を形成してもよい。この場合の連結基としては、例えば、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、カルボニル基、メチレン基及びエチレン基が挙げられる。R201〜R203のうちの2つが結合して形成する基としては、例えば、ブチレン基及びペンチレン基等のアルキレン基が挙げられる。
201、R202及びR203の具体例としては、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)又は(ZI−3)における対応する基が挙げられる。
は、非求核性アニオンを表す。Xとしては、例えば、スルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF 、PF 及びSbF が挙げられる。Xは、好ましくは、炭素原子を含んだ有機アニオンである。好ましい有機アニオンとしては、例えば、下記AN1〜AN3に示す有機アニオンが挙げられる。
Figure 2011095607
式AN1〜AN3中、Rc〜Rcは、各々独立に、有機基を表す。この有機基としては、例えば、炭素数1〜30のものが挙げられ、好ましくは、アルキル基、アリール基、又はこれらの複数が連結基を介して連結された基が挙げられる。なお、この連結基としては、例えば、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO3−及び−SO2N(Rd1)−が挙げられる。ここで、Rd1は水素原子又はアルキル基を表し、結合しているアルキル基又はアリール基と環を形成していてもよい。
Rc〜Rcの有機基は、1位がフッ素原子又はフルオロアルキル基で置換されたアルキル基、又は、フッ素原子若しくはフルオロアルキル基で置換されたフェニル基であってもよい。フッ素原子又はフルオロアルキル基を含有させることにより、光照射によって発生する酸の酸性度を上昇させることが可能となる。これにより、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の感度を向上させることができる。なお、Rc〜Rcは、他のアルキル基及びアリール基等と結合して、環を形成していてもよい。
また、好ましいX-として、下記一般式(SA2)により表されるスルホン酸アニオンが挙げられる。
Figure 2011095607
式(SA2)中、
Xfは、各々独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
、Rは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、及び、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基から選ばれる基を表し、複数存在する場合のR及びRの各々は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
Lは、単結合又は2価の連結基を表し、複数存在する場合のLは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
Eは、環状構造を有する基を表す。
xは1〜20の整数を表し、yは0〜10の整数を表し、zは0〜10の整数を表す。
式(SA2)中、Xfは、フッ素原子であるか、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基である。このアルキル基としては、炭素数が1〜10のものが好ましく、炭素数が1〜4のものがより好ましい。また、フッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Xfは、好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。具体的には、Xfは、好ましくは、フッ素原子、CF、C、C、C、C11、C13、C15、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH又はCHCHである。中でも、フッ素原子又はCFが好ましく、フッ素原子が最も好ましい。
式(SA2)中、R及びRの各々は、水素原子、フッ素原子、アルキル基、及び、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基から選ばれる基である。このフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜4のものが好ましい。また、フッ素原子で置換されたアルキル基としては、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基が特に好ましい。具体的には、CF、C、C、C、C11、C13、C15、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH及びCHCHが挙げられ、中でもCFが好ましい。
式(SA2)中、xは1〜8が好ましく、1〜4がより好ましい。yは0〜4が好ましく、0がより好ましい。zは0〜8が好ましく、0〜4がより好ましい。
式(SA2)中、Lは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、−COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、アルキレン基、シクロアルキレン基及びアルケニレン基が挙げられる。中でも、−COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−又は−SO−が好ましく、−COO−、−OCO−又は−SO−がより好ましい。
式(SA2)中、Eは、環を有する基を表す。Eとしては、例えば、環状脂肪族基、アリール基、ラクトン構造を有する基、及び複素環を有する基が挙げられる。
Eとしての環状脂肪族基は、単環を有していてもよく、多環を有していてもよい。単環を有した環状脂肪族基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基が好ましい。多環を有した環状脂肪族基としては、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。特には、Eとして6員環以上のかさ高い構造を有する環状脂肪族基を採用した場合、PEB(露光後加熱)工程での膜中拡散性が抑制され、解像力及びEL(露光ラチチュード)を更に向上させることが可能となる。
Eとしてのアリール基は、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナンスレン環又はアントラセン環である。
Eとしての複素環を有する基は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。この基に含まれているヘテロ原子としては、窒素原子又は酸素原子が好ましい。複素環の具体例としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピペリジン環及びモルホリン環等が挙げられる。中でも、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピペリジン環及びモルホリン環が好ましい。
Eとしてのラクトン構造を有する基としては、例えば、前述の樹脂が有するラクトン構造として例示したLC1−1〜LC1-17が挙げられる。
Eは、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(直鎖、分岐鎖及び環状の何れであってもよく、炭素数1〜12が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基及びスルホン酸エステル基が挙げられる。
酸発生剤としては、一般式(ZI)により表される構造を複数有する化合物を使用してもよい。例えば、一般式(ZI)により表される化合物のR201〜R203の少なくとも1つが、一般式(ZI)により表されるもう1つの化合物のR201〜R203の少なくとも1つと結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)〜(ZI−3)を挙げることができる。
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である。即ち、化合物(ZI−1)は、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
化合物(ZI−1)は、R201〜R203の全てがアリール基であってもよく、R201〜R203の一部がアリール基であり、それら以外がアルキル基であってもよい。なお、化合物(ZI−1)が複数のアリール基を有する場合、これらアリール基は互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
化合物(ZI−1)としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物及びアリールジアルキルスルホニウム化合物が挙げられる。
化合物(ZI−1)におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、又は、インドール残基及びピロール残基等のヘテロアリール基が好ましく、フェニル基、ナフチル基又はインドール残基が特に好ましい。
化合物(ZI−1)が必要に応じて有しているアルキル基としては、炭素数1〜15の直鎖、分岐鎖又はシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。
これらアリール基及びアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びフェニルチオ基が挙げられる。
好ましい置換基としては、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、及び、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルコキシ基が挙げられる。特に好ましい置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。置換基は、3つのR201〜R203のうちの何れか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がフェニル基の場合には、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
また、R201、R202及びR203のうち1つ又は2つが、置換基を有していてもよいアリール基であり、残りの基が直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基である態様も好ましい。この構造の具体例としては、特開2004−210670号公報の段落0141〜0153に記載の構造が挙げられる。
このとき、上記アリール基としては、具体的には、R201、R202及びR203としてのアリール基と同様であり、フェニル基又はナフチル基が好ましい。また、アリール基は、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はアルキル基の何れかを置換基として有することが好ましい。置換基としてより好ましくは、炭素数1〜12のアルコキシ基であり、更に好ましくは、炭素数1〜6のアルコキシ基である。
上記の残りの基としての直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。これら基は、更に置換基を有していてもよい。また、上記の残りの基が2つ存在する場合、これら2つが互いに結合して、環を形成していてもよい。
化合物(ZI−1)は、例えば、以下の一般式(ZI−1A)により表される化合物である。
Figure 2011095607
一般式(ZI−1A)中、
13は、水素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基又はアルコキシカルボニル基を表す。
14は、複数存在する場合は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基又はシクロアルキルスルホニル基を表す。
15は、各々独立して、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。2つのR15は、互いに結合して、環を形成していてもよい。
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
は、非求核性アニオンを表し、例えば、一般式(ZI)におけるXと同様のものが挙げられる。
13、R14又はR15のアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。このアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基及びn−デシル基が挙げられる。これらのうち、メチル基、エチル基、n−ブチル基及びt−ブチル基が特に好ましい。
13、R14又はR15のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデカニル、シクロベンテニル、シクロヘキセニル及びシクロオクタジエニル基が挙げられる。これらのうち、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロオクチル基が特に好ましい。
13又はR14のアルコキシ基のアルキル基部分としては、例えば、先にR13、R14又はR15のアルキル基として列挙したものが挙げられる。このアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基及びn−ブトキシ基が特に好ましい。
13のシクロアルキルオキシ基のシクロアルキル基部分としては、例えば、先にR13、R14又はR15のシクロアルキル基として列挙したものが挙げられる。このシクロアルキルオキシ基としては、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基が特に好ましい。
13のアルコキシカルボニル基のアルコキシ基部分としては、例えば、先にR13又はR14のアルコキシ基として列挙したものが挙げられる。このアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びn−ブトキシカルボニル基が特に好ましい。
14のアルキルスルホニル基のアルキル基部分としては、例えば、先にR13、R14又はR15のアルキル基として列挙したものが挙げられる。また、R14のシクロアルキルスルホニル基のシクロアルキル基部分としては、例えば、先にR13、R14又はR15のシクロアルキル基として列挙したものが挙げられる。これらアルキルスルホニル基又はシクロアルキルスルホニル基としては、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基及びシクロヘキサンスルホニル基が特に好ましい。
lは、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。rは、好ましくは0〜2である。
13、R14及びR15の各基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルコキシアルキル基、シクロアルキルオキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、及びシクロアルキルオキシカルボニルオキシ基が挙げられる。
アルコキシ基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基及びt−ブトキシ基等の炭素数1〜20のものが挙げられる。
シクロアルキルオキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基等の炭素数3〜20のものが挙げられる。
アルコキシアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基及び2−エトキシエチル基等の炭素数2〜21のものが挙げられる。
シクロアルキルオキシアルキル基としては、例えば、シクロヘキシルオキシメチル基、シクロペンチルオキシメチル基及びシクロヘキシルオキシエチル基等の炭素数4〜21のものが挙げられる。
アルコキシカルボニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜21のものが挙げられる。
シクロアルキルオキシカルボニル基としては、例えば、シクロペンチルオキシカルボニル基及びシクロヘキシルオキシカルボニル等の炭素数4〜21のものが挙げられる。
アルコキシカルボニルオキシ基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、i−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基及びt−ブトキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜21のものが挙げられる。
シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシカルボニルオキシ基及びシクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基等の炭素数4〜21のものが挙げられる。
2つのR15が互いに結合して形成し得る環としては、一般式(ZI−1A)中のS原子と共に、5員環又は6員環、特に好ましくは5員環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)を形成する構造が好ましい。
この環は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、及びアルコキシカルボニルオキシ基が挙げられる。
15としては、メチル基、エチル基、及び2つのR15が互いに結合して硫黄原子と共にテトラヒドロチオフェン環を形成する2価の基が特に好ましい。
13のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基及びアルコキシカルボニル基、R14のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基及びシクロアルキルスルホニル基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、及びハロゲン原子(特にフッ素原子)が好ましい。
以下に、一般式(ZI−1A)により表される化合物におけるカチオンの好ましい具体例を示す。
Figure 2011095607
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、炭素数が例えば1〜30であり、好ましくは1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、アルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、ビニル基であることが好ましい。更に好ましくは、直鎖、分岐鎖若しくは環状の2−オキソアルキル基又はアルコキシカルボニルメチル基であり、特に好ましくは、直鎖又は分岐鎖の2−オキソアルキル基である。
201〜R203としてのアルキル基は、直鎖、分岐鎖及び環状の何れであってもよく、好ましい例としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はペンチル基)及び炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はノルボニル基)が挙げられる。
201〜R203としての2−オキソアルキル基は、直鎖、分岐鎖及び環状の何れであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基が挙げられる。
201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基の好ましい例としては、炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)が挙げられる。
201〜R203は、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、ヒドロキシ基、シアノ基及び/又はニトロ基によって更に置換されていてもよい。
201〜R203のうち2つが互いに結合して、環を形成していてもよい。この環は、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合及び/又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、例えば、アルキレン基(例えば、ブチレン基又はペンチレン基)が挙げられる。
次いで、化合物(ZI−3)について説明する。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)により表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
Figure 2011095607
式中、R1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。アルキル基及びアルコキシ基の炭素数は、1〜6が好ましい。
6c及びR7cは、水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は、1〜6が好ましい。
及びRは、各々独立に、アルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基又はビニル基を表す。これら原子団の炭素数は、1〜6が好ましい。
1c〜R7cの何れか2つ以上が互いに結合して、環を形成していてもよい。また、RxとRyとが結合して、環を形成していてもよい。これらの環は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合及び/又はアミド結合を含んでいてもよい。
一般式(ZI−3)におけるXは、一般式(ZI)におけるXと同義である。
化合物(ZI−3)の具体例としては、特開2004−233661号公報の段落0046及び0047、又は、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046に例示されている化合物に記載されている化合物が挙げられる。
以下、一般式(ZII)及び(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)及び(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。これらアリール基、アルキル基及びシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
204〜R207としてのアリール基の好ましい例としては、先に化合物(ZI−1)におけるR201〜R203について列挙したのと同様の基が挙げられる。
204〜R207としてのアルキル基及びシクロアルキル基の好ましい例としては、先に化合物(ZI−2)におけるR201〜R203について列挙した直鎖、分岐鎖又はシクロアルキル基が挙げられる。
なお、一般式(ZII)及び(ZIII)におけるXは、一般式(ZI)におけるXと同義である。
酸発生剤の他の好ましい例として、下記一般式(ZIV)、(ZV)又は(ZVI)により表される化合物が挙げられる。
Figure 2011095607
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、置換又は無置換のアリール基を表す。
208は、一般式(ZV)と(ZVI)とで各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表している。これらアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
これら基は、フッ素原子により置換されていることが好ましい。こうすると、酸発生剤が発生する酸の強度を高めることが可能となる。
209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は電子吸引性基を表す。これらアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及び電子吸引性基は、置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
好ましいR209としては、置換又は無置換のアリール基が挙げられる。
好ましいR210としては、電子吸引性基が挙げられる。この電子吸引性基としては、好ましくは、シアノ基及びフルオロアルキル基が挙げられる。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。これらアルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、置換基を有していてもよい。
なお、酸発生剤として、一般式(ZVI)により表される構造を複数有する化合物も好ましい。このような化合物としては、例えば、一般式(ZVI)により表される化合物のR209又はR210と、一般式(ZVI)により表されるもう1つの化合物のR209又はR210とが互いに結合した構造を有する化合物が挙げられる。
酸発生剤としては、一般式(ZI)〜(ZIII)により表される化合物がより好ましく、一般式(ZI)により表される化合物が更に好ましく、化合物(ZI−1)〜(ZI−3)が特に好ましい。
酸発生剤の具体例を以下に示すが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではない。
Figure 2011095607
Figure 2011095607
Figure 2011095607
Figure 2011095607
Figure 2011095607
Figure 2011095607
なお、酸発生剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する際には、水素原子を除く全原子数が2以上異なる2種の有機酸を発生する化合物を組み合わせることが好ましい。
また、酸発生剤の含量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.1〜20質量%であり、より好ましくは0.5〜10質量%であり、更に好ましくは1〜7質量%である。
(c)塩基性化合物
本発明に係る組成物は、塩基性化合物を更に含んでいてもよい。塩基性化合物としては、好ましくは、下記式(A)〜(E)により表される構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2011095607
一般式(A)及び(E)中、
200、R201及びR202は、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)、又はアリール基(炭素数6〜20)を表す。R201とR202とは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
203、R204、R205及びR206は、各々独立に、炭素数1〜20個のアルキル基を表す。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜20のシアノアルキル基が好ましい。これらアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
好ましい塩基性化合物としては、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン及びピペリジンが挙げられる。更に好ましい塩基性化合物としては、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、ヒドロキシ基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、並びにヒドロキシ基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体が挙げられる。
イミダゾール構造を有する化合物としては、例えば、イミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール及び2−フェニルベンゾイミダゾールが挙げられる。
ジアザビシクロ構造を有する化合物としては、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、及び1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカー7−エンが挙げられる。
オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としては、例えば、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド及び2−オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシドが挙げられる。より具体的には、トリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド及び2−オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシドが挙げられる。
オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としては、例えば、アニオンとしてカルボキシレートを備えたオニウムヒドロキシド構造を有する化合物が挙げられる。このカルボキシレートとしては、例えば、アセテート、アダマンタン−1−カルボキシレート及びパーフルオロアルキルカルボキシレートが挙げられる。
トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、例えば、トリ(n−ブチル)アミン及びトリ(n−オクチル)アミンが挙げられる。
アニリン化合物としては、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、及びN,N−ジヘキシルアニリンが挙げられる。
ヒドロキシ基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、及びトリス(メトキシエトキシエチル)アミンが挙げられる。
ヒドロキシ基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、例えば、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリンが挙げられる。
好ましい塩基性化合物として、更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物が挙げられる。
これら化合物では、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合していることが好ましい。また、このアルキル基の鎖中に酸素原子が含まれ、オキシアルキレン基が形成されていることがより好ましい。このオキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上であることが好ましく、3〜9個であることがより好ましく、4〜6個であることが更に好ましい。これらオキシアルキレン基のうち、−CHCHO−、−CH(CH)CHO−又は−CHCHCHO−により表される基が特に好ましい。
これら化合物の具体例としては、例えば、US2007/0224539Aの[0066]に例示されている化合物(C1-1)〜(C3-3)が挙げられる。
また、塩基性化合物の1種として、酸の作用により脱離する基を有する含窒素有機化合物を用いることもできる。この化合物の例として、例えば、下記一般式(F)で表される化合物を挙げることができる。なお、下記一般式(F)で表される化合物は、酸の作用により脱離する基が脱離することによって、系中での実効的な塩基性を発現する。
Figure 2011095607
一般式(F)中、Raは、n=2の場合には各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。また、n=2のとき、2つのRaが互いに結合して、2価の複素環式炭化水素基(好ましくは炭素数20以下)又はその誘導体を形成していてもよい。
Rbは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。但し、−C(Rb)(Rb)(Rb)において、1つ以上のRbが水素原子のとき、残りのRbの少なくとも1つはシクロプロピル基又は1−アルコキシアルキル基である。
少なくとも2つのRbは、互いに結合して、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環式炭化水素基又はその誘導体を形成していてもよい。
nは0〜2の整数を表す。mは、n+m=3を満足する1〜3の整数を表す。
一般式(F)中、Ra及びRbにより表されるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基、アルコキシ基、及びハロゲン原子が挙げられる。
Ra及びRbのアルキル基としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、及びドデカン等の直鎖状又は分岐鎖状のアルカンに由来する基、並びに、これらのアルカンに由来する基を、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基の1種以上又は1個以上で置換した基が挙げられる。
Ra及びRbのシクロアルキル基としては、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ノルボルナン、アダマンタン及びノラダマンタン等のシクロアルカンに由来する基、並びに、これらのシクロアルカンに由来する基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基及びt−ブチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の1種以上又は1個以上で置換した基が挙げられる。
Ra及びRbのアリール基としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン及びアントラセン等の芳香族化合物に由来する基、並びに、これらの芳香族化合物に由来する基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基及びt−ブチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の1種以上又は1個以上で置換した基が挙げられる。
また、Ra及びRbにより表される基としては、例えば、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルカンに由来する基又はシクロアルカンに由来する基を、フェニル基、ナフチル基及びアントリル基等の芳香族化合物に由来する基の1種以上又は1個以上で置換した基、並びに、前記の置換基がヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基及びオキソ基等の官能基で置換された基が挙げられる。
2つのRaが互いに結合して形成し得る2価の複素環式炭化水素基又はその誘導体としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、ホモピペラジン、4−アザベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、5−アザベンゾトリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、1,4,7−トリアザシクロノナン、テトラゾール、7−アザインドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、(1S,4S)−(+)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デック−5−エン、インドール、インドリン、キノリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノリン、及び1,5,9−トリアザシクロドデカン等の複素環式化合物に由来する基、並びに、これらの複素環式化合物に由来する基を直鎖状又は分岐鎖状のアルカンに由来する基、シクロアルカンに由来する基、芳香族化合物に由来する基、複素環化合物に由来する基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基及びオキソ基等の官能基の1種以上又は1個以上で置換した基が挙げられる。なお、2価の複素環式炭化水素基の炭素数は、20以下であることが好ましい。
このような塩基性化合物の特に好ましい例としては、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−2−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、(S)−(−)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(R)−(+)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N−t−ブトキシカルボニルモルホリン、N−t−ブトキシカルボニルピペラジン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、及びN−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾールが挙げられる。
上記一般式(F)で表される化合物は、市販のものを用いてもよく、市販のアミンから、Protective Groups in Organic Synthesis 第四版等に記載の方法で合成してもよい。最も一般的な方法は、以下に示すように、市販のアミンに対して二炭酸エステル又はハロギ酸エステルを作用させることによって得る方法である。式中、Xはハロゲン原子を表す。R及びRは一般式(F)における各々と同義である。
Figure 2011095607
また、塩基性化合物の1種として、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する化合物を含んでもよい。この化合物の詳細は、特開2006−208781号公報及び特開2006−330098号公報などを参照されたい。具体例としては、酸アニオン部位と、プロトンアクセプト性を有する窒素原子(電子求引性の置換基が隣接せず、プロトンと相互作用可能な孤立電子対を有する窒素原子)を有する部位とを同一分子内に有するアニオンを有するオニウム塩(スルホニウム塩、ヨードニウム塩)が挙げられる。以下に、その化合物例を挙げる。
Figure 2011095607
Figure 2011095607
Figure 2011095607
Figure 2011095607
Figure 2011095607
塩基性化合物の合計量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.001〜10質量%であり、より好ましくは0.01〜5質量%である。
酸発生剤の合計量の塩基性化合物の合計量に対するモル比は、好ましくは2.5〜300であり、より好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。このモル比を過度に小さくすると、感度及び/又は解像度が低下する可能性がある。このモル比を過度に大きくすると、露光と加熱(ポストベーク)との間において、パターンの太りが生ずる場合がある。
(d)溶剤
本発明に係る組成物は、溶剤を含んでいる。この溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を含んでいてもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及びピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びエチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。
乳酸アルキルエステルとしては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチルが挙げられる。
アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル及び3−メトキシプロピオン酸エチルが挙げられる。
環状ラクトンとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−オクタノイックラクトン及びα−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンが挙げられる。
環を含んでいてもよいモノケトン化合物としては、例えば、2−ブタノン、3−メチルブタノン、ピナコロン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−メチル−3−ペンタノン、4,4−ジメチル−2−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、5−メチル−3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−メチル−3−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、5−ノナノン、2−デカノン、3−デカノン、、4−デカノン、5−ヘキセン−2−オン、3−ペンテン−2−オン、シクロペンタノン、2−メチルシクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、2,2−ジメチルシクロペンタノン、2,4,4−トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、4−エチルシクロヘキサノン、2,2−ジメチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,2,6−トリメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2−メチルシクロヘプタノン及び3−メチルシクロヘプタノンが挙げられる。
アルキレンカーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、エチレンカーボネート、及びブチレンカーボネートが挙げられる。
アルコキシ酢酸アルキルとしては、例えば、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、酢酸−3−メトキシ−3−メチルブチル、及び酢酸−1−メトキシ−2−プロピルが挙げられる。
ピルビン酸アルキルとしては、例えば、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル及びピルビン酸プロピルが挙げられる。
溶剤としては、常温常圧下における沸点が130℃以上であるものを用いることが好ましい。具体的には、例えば、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、PGMEA、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル及びプロピレンカーボネートが挙げられる。
これら溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。後者の場合、ヒドロキシ基を含んだ溶剤とヒドロキシ基を含んでいない溶剤との混合溶剤を使用することが好ましい。
ヒドロキシ基を含んだ溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテル及び乳酸アルキルが挙げられる。これらのうち、プロピレングリコールモノメチルエーテル又は乳酸エチルがより好ましい。
ヒドロキシ基を含んでいない溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を含有していてもよいモノケトン化合物、環状ラクトン及び酢酸アルキルが好ましい。これらのうち、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン又は酢酸ブチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート又は2−ヘプタノンが特に好ましい。
ヒドロキシ基を含んだ溶剤とヒドロキシ基を含んでいない溶剤との混合溶剤を使用する場合、これらの質量比は、好ましくは1/99〜99/1とし、より好ましくは10/90〜90/10とし、更に好ましくは20/80〜60/40とする。
なお、ヒドロキシ基を含んでいない溶剤を50質量%以上含んだ混合溶剤を用いると、特に優れた塗布均一性を達成し得る。また、溶剤は、PGMEAと他の1種以上の溶剤との混合溶剤であることが特に好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと他の少なくとも1種類の溶剤との混合溶剤であることが好ましい。
(e)疎水性樹脂
本発明に係る組成物は、上述したように、疎水性樹脂を更に含んでいてもよい。疎水性樹脂を更に含有させると、この組成物を用いて形成した膜の表層に疎水性樹脂が偏在化し、液浸液として水を使用した場合の液浸液に対する膜の後退接触角を向上させることが可能となる。これにより、膜の液浸液追随性を向上させることができる。
疎水性樹脂は、典型的には、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含んでいる。これらフッ素原子及び/又はケイ素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。なお、疎水性樹脂は、先に説明した繰り返し単位(α)を含んでいてもよい。
疎水性樹脂がフッ素原子を含んでいる場合、この樹脂は、フッ素原子を含んだ部分構造として、フッ素原子を含んだアルキル基、フッ素原子を含んだシクロアルキル基、又はフッ素原子を含んだアリール基を備えていることが好ましい。
フッ素原子を含んだアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐鎖アルキル基である。このアルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数が1〜4であることがより好ましい。このフッ素原子を含んだアルキル基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
フッ素原子を含んだシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環式又は多環式のシクロアルキル基である。このフッ素原子を含んだシクロアルキル基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
フッ素原子を含んだアリール基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアリール基である。このアリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。このフッ素原子を含んだアリール基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
フッ素原子を含んだアルキル基、フッ素原子を含んだシクロアルキル基及びフッ素原子を含んだアリール基の好ましい例として、下記一般式(F2)〜(F4)により表される基が挙げられる。
Figure 2011095607
一般式(F2)〜(F4)中、R57〜R68は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基を表す。但し、R57〜R61のうち少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R62〜R64のうち少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R65〜R68のうち少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。これらアルキル基は、炭素数が1〜4であることが好ましい。
57〜R61及びR65〜R67は、全てがフッ素原子であることが好ましい。
62、R63及びR68は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることが更に好ましい。なお、R62とR63とは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
一般式(F2)により表される基としては、例えば、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、及び3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基が挙げられる。
一般式(F3)により表される基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロヘキシル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロ(トリメチル)ヘキシル基、2,2,3,3−テトラフルオロシクロブチル基、及びパーフルオロシクロヘキシル基が挙げられる。これらのうち、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロ−t−ブチル基又はパーフルオロイソペンチル基がより好ましく、ヘキサフルオロイソプロピル基又はヘプタフルオロイソプロピル基が更に好ましい。
一般式(F4)により表される基としては、例えば、−C(CF32OH、−C(C252OH、−C(CF3)(CH3)OH、及び−CH(CF3)OHが挙げられる。これらのうち、−C(CF32OHが特に好ましい。
以下に、フッ素原子を含んだ繰り返し単位の具体例を示す。
具体例中、X1は、水素原子、−CH3、−F又は−CF3を表す。X2は、−F又は−CF3を表す。
Figure 2011095607
疎水性樹脂がケイ素原子を含んでいる場合、この樹脂は、ケイ素原子を含んだ部分構造として、アルキルシリル構造又は環状シロキサン構造を備えていることが好ましい。このアリキルシリル構造は、好ましくは、トリアルキルシリル基を含んだ構造である。
アルキルシリル構造及び環状シロキサン構造の好ましい例として、下記一般式(CS−1)〜(CS−3)により表される基が挙げられる。
Figure 2011095607
一般式(CS−1)〜(CS−3)中、R12〜R26は、各々独立に、直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、又はシクロアルキル基を表す。このアルキル基は、炭素数が1〜20であることが好ましい。このシクロアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましい。
3〜L5は、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、フェニレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、又はこれらの組合せが挙げられる。
nは、1〜5の整数を表す。nは、好ましくは、2〜4の整数である。
以下に、一般式(CS−1)〜(CS−3)により表される基を備えた繰り返し単位の具体例を挙げる。具体例中、X1は、水素原子、−CH3、−F又は−CF3を表す。
Figure 2011095607
疎水性樹脂は、酸分解性基を更に含んでいてもよい。この酸分解性基としては、例えば、先に酸分解性樹脂の項で説明したのと同様のものが挙げられる。
酸分解性基を備えた繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位を基準として、1〜80モル%であることが好ましく、10〜80モル%であることがより好ましく、20〜60モル%であることが更に好ましい。
疎水性樹脂は、下記一般式(III)により表される繰り返し単位を更に含んでいてもよい。
Figure 2011095607
一般式(III)中、Rc31は、水素原子、アルキル基、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基、シアノ基又は−CH2−O−Rac2基を表す。ここで、Rac2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
c31は、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
c32は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基又はシクロアルケニル基を含んだ基を表す。これら基は、フッ素原子及び/又はケイ素原子で置換されていてもよい。
c32のアルキル基は、炭素数3〜20の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基であることが好ましい。
シクロアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましい。
アリール基は、無置換の又はアルキル基(炭素数1〜6が好ましい)で置換されたフェニル基が好ましい。
アルケニル基は、炭素数が3〜20であることが好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数が3〜20であるシクロアルケニル基が好ましい。
c32は、無置換のアルキル基又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基であることが好ましい。
c3は、単結合又は2価の連結基を表す。この2価の連結基としては、例えば、エステル基、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜5)、オキシ基、フェニレン基、及びエステル結合(−COO−により表される基)が挙げられる。
疎水性樹脂は、下記一般式(CII−AB)により表される繰り返し単位を更に含んでいてもよい。
Figure 2011095607
式(CII−AB)中、
c11'及びRc12'は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。Zc’は、Rc11'及びRc12'が結合している2つの炭素原子(C−C)と共に脂環式構造を形成するために必要な原子団を表す。
以下に、一般式(III)又は(CII−AB)により表される繰り返し単位の具体例を挙げる。具体例中、Raは、H、CH、CHOH、CF又はCNを表す。
Figure 2011095607
以下に、疎水性樹脂の具体例を挙げる。また、下記表1に、各樹脂における繰り返し単位のモル比(各繰り返し単位と左から順に対応)、重量平均分子量、及び分散度を纏める。
Figure 2011095607
Figure 2011095607
Figure 2011095607
Figure 2011095607
(f)界面活性剤
本発明に係る組成物は、界面活性剤を更に含んでいてもよい。界面活性剤を含有することにより、波長が250nm以下、特には220nm以下の露光光源を使用した場合に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥のより少ないパターンを形成することが可能となる。
界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を用いることが特に好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0276]に記載の界面活性剤が挙げられる。また、エフトップEF301若しくはEF303(新秋田化成(株)製);フロラードFC430、431若しくは4430(住友スリーエム(株)製);メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120若しくはR08(大日本インキ化学工業(株)製);サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105若しくは106(旭硝子(株)製);トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製);GF−300若しくはGF−150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS−393(セイミケミカル(株)製);エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802若しくはEF601((株)ジェムコ製);PF636、PF656、PF6320若しくはPF6520(OMNOVA社製);又は、FTX−204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D若しくは222D((株)ネオス製)を用いてもよい。なお、ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)も、シリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤は、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)又はオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物を用いて合成してもよい。具体的には、このフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を備えた重合体を、界面活性剤として用いてもよい。このフルオロ脂肪族化合物は、例えば、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することができる。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。
ポリ(オキシアルキレン)基としては、例えば、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基及びポリ(オキシブチレン)基が挙げられる。また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)及びポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)等の、同じ鎖内に異なる鎖長のアルキレンを有するユニットであってもよい。
さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体は、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマー及び異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレート等を同時に共重合してなる3元系以上の共重合体であってもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476及びF−472(大日本インキ化学工業(株)製)が挙げられる。さらに、C613基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、C613基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシエチレン))アクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、C817基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、及び、C817基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシエチレン))アクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体等が挙げられる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0280]に記載されているフッ素系及び/又はシリコン系以外の界面活性剤を使用してもよい。
これら界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る組成物が界面活性剤を含んでいる場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0〜2質量%、より好ましくは0.0001〜2質量%、更に好ましくは0.0005〜1質量%である。
(g)その他の添加剤
本発明に係る組成物は、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、溶解阻止剤及びアルカリ現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、カルボキシ基を有する脂環族又は脂肪族化合物)等の添加剤を更に含んでいてもよい。
カルボキシ基を有する脂環族又は脂肪族化合物の具体例としては、コール酸、デオキシコール酸及びリトコール酸などのステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、並びに、シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
本発明に係る組成物の全固形分濃度は、通常は1.0〜10質量%であり、好ましくは2.0〜5.7質量%であり、更に好ましくは2.0〜5.3質量%である。固形分濃度を上記範囲内とすることにより、溶液を基板上に均一に塗布することができ、更にはラフネス特性に優れたレジストパターンを形成することが可能になる。その理由は明らかではないが、恐らく、固形分濃度を10質量%以下、好ましくは5.7質量%以下とすることで、溶液中の各成分、特には酸発生剤の凝集が抑制され、その結果として、均一な膜が形成できるものと考えられる。
なお、固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量の質量百分率である。
<パターン形成方法>
本発明に係るパターン形成方法は、(A)上で説明した感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて膜を形成することと、(B)この膜を露光することと、(C)有機溶剤を含んだ現像液を用いて露光された膜を現像することとを含んでいる。この方法は、(D)リンス液を用いて、現像された膜をリンスすることを更に含んでいてもよい。また、この方法は、(B)の露光工程と(C)の現像工程との間に、(B’)加熱工程を更に含んでいてもよい。
本発明に係るパターン形成方法において、組成物による膜を基板上に形成する工程、膜を露光する工程、加熱工程、及び現像工程は、一般的に知られている方法により行うことができる。
上記の露光に用いられる光源の波長に制限は無いが、例えば、KrFエキシマレーザー波長(248nm)、ArFエキシマレーザー波長(193nm)、及び、Fエキシマレーザー波長(157nm)が挙げられる。
本発明に係る組成物を用いて形成した膜に対しては、液浸露光を行ってもよい。これにより解像性を更に向上させることができる。用いる液浸媒体としては、空気よりも屈折率の高い液体であればいずれのものでも用いることができるが、好ましくは純水である。
この場合、上述した疎水性樹脂を組成物に予め添加しておいてもよく、膜を形成した後、その上に液浸液難溶性膜(以下、「トップコート」ともいう)を設けてもよい。なお、トップコートに求められる性能及びその使用法などについては、シーエムシー出版「液浸リソグラフィのプロセスと材料」の第7章に解説されている。
トップコートは、波長193nmのレーザーに対する透明性という観点からは、芳香族を豊富に含有しないポリマーが好ましく、例えば、炭化水素ポリマー、アクリル酸エステルポリマー、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、シリコン含有ポリマー、及びフッ素含有ポリマーが挙げられる。上述した疎水性樹脂は、トップコートとしても好適なものである。また、市販のトップコート材料も適宜使用可能である。
露光後にトップコートを剥離する際は、現像液を使用してもよいし、別途剥離剤を使用してもよい。剥離剤としては、膜への浸透が小さい溶剤が好ましい。剥離工程が膜の現像処理工程と同時にできるという点では、現像液により剥離できることが好ましい。
本発明において膜を形成する基板には、特に制限はない。この基板としては、IC等の半導体製造工程、液晶及びサーマルヘッド等の回路基板の製造工程、並びにその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程で一般的に用いられる基板を用いることができる。このような基板としては、例えば、シリコン、SiN及びSiO等の無機基板、並びに、SOG等の塗布系無機基板が挙げられる。更に、必要に応じて、膜と基板との間に、有機反射防止膜を形成させてもよい。
有機溶剤を含んだ現像液としては、例えば、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤等の極性溶剤、並びに、炭化水素系溶剤を含んだ現像液が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、及びプロピレンカーボネートが挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルー3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、及び乳酸プロピルが挙げられる。特には、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル及び酢酸アミル等の酢酸アルキルエステルが好ましい。
アルコール系溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、4−メチルー2−ペンタノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール及びn−デカノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等のグリコール;並びに、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル及びメトキシメチルブタノール等のグリコールエーテルが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、上記のグリコールエーテルの他、ジオキサン及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが挙げられる。
炭化水素系系溶剤としては、例えば、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、並びに、ペンタン、ヘキサン、オクタン及びデカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
上記の溶剤は、2種類以上を混合して用いてもよい。また、十分な性能を発揮できる範囲内で、上記以外の溶剤及び/又は水と混合して用いてもよい。但し、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、現像液が実質的に水分を含有しないことがより好ましい。即ち、この現像液は、実質的に有機溶剤のみからなる現像液であることが好ましい。なお、この場合であっても、現像液は、後述する界面活性剤を含み得る。また、この場合、現像液は、雰囲気由来の不可避的不純物を含んでいてもよい。
現像液に対する有機溶剤の使用量は、現像液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
特に、現像液が含んでいる有機溶剤は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
有機溶剤を含んだ現像液の蒸気圧は、20℃に於いて、5kPa以下であることが好ましく、3kPa以下であることが更に好ましく、2kPa以下であることが特に好ましい。現像液の蒸気圧を5kPa以下にすることにより、基板上又は現像カップ内での現像液の蒸発が抑制され、ウェハ面内の温度均一性が向上し、結果として、ウェハ面内の寸法均一性が向上する。
5kPa以下の蒸気圧を有する現像液の具体例としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル及び乳酸プロピル等のエステル系溶剤;n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、4−メチルー2−ペンタノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、及びn−デカノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等のグリコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル及びメトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド及びN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;並びに、オクタン及びデカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
2kPa以下の蒸気圧を有する現像液の具体例としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン及びフェニルアセトン等のケトン系溶剤;酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル及び乳酸プロピル等のエステル系溶剤;n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、4−メチルー2−ペンタノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール及びn−デカノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等のグリコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル及びメトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド及びN,N−ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤;キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;並びに、オクタン及びデカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
現像液には、必要に応じて、界面活性剤を適当量添加することができる。
この界面活性剤に特に制限はないが、例えば、イオン性又は非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を用いることができる。これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば、特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができる。この界面活性剤は、非イオン性であることが好ましい。非イオン性の界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を用いることが更に好ましい。
なお、界面活性剤の使用量は、現像液の全量に対して、通常は0.001〜5質量%であり、好ましくは0.005〜2質量%であり、更に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、及び、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)が挙げられる。
上記各種の現像方法が、現像装置の現像ノズルから現像液をレジスト膜に向けて吐出する工程を含む場合、吐出される現像液の吐出圧(吐出される現像液の単位面積あたりの流速)は、好ましくは2mL/sec/mm以下であり、より好ましくは1.5mL/sec/mm以下であり、さらに好ましくは1mL/sec/mm以下である。流速の下限は特に無いが、スループットを考慮すると、0.2mL/sec/mm以上であることが好ましい。
吐出される現像液の吐出圧を上記の範囲とすることにより、現像後のレジスト残渣に由来するパターンの欠陥を著しく低減することができる。
このメカニズムの詳細は定かではないが、恐らくは、吐出圧を上記範囲とすることで、現像液がレジスト膜に与える圧力が小さくなり、レジスト膜及び/又はレジストパターンが不用意に削られたり崩れたりすることが抑制されるためと考えられる。
なお、現像液の吐出圧(mL/sec/mm)は、現像装置中の現像ノズル出口における値である。
現像液の吐出圧を調整する方法としては、例えば、ポンプなどで吐出圧を調整する方法、及び、加圧タンクからの供給で圧力を調整することでを変える方法が挙げられる。
また、現像を行う工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
本発明に係るパターン形成方法は、上記の現像工程の後に、リンス工程(有機溶剤を含んだリンス液を用いて膜を洗浄する工程)を含んでいることが好ましい。
リンス工程に用いるリンス液としては、現像後のパターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含んだ溶液を使用することができる。
リンス液としては、例えば、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含んだものが挙げられる。このリンス液は、より好ましくは、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤及びアミド系溶剤から選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含んだものであり、更に好ましくは、アルコール系溶剤又はエステル系溶剤を含んだものである。
このリンス液は、1価アルコールを含んでいることがより好ましく、炭素数5以上の1価アルコールを含んでいることが更に好ましい。
これら1価アルコールは、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよい。これら1価アルコールとしては、例えば、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、4−メチルー2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、シクロペンタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、及び4−オクタノールが挙げられる。炭素数5以上の1価アルコールとしては、例えば、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、4−メチルー2−ペンタノール、1−ペンタノール、及び3−メチル−1−ブタノールが挙げられる。
上記の各成分は、2種類以上を混合して使用してもよく、上記以外の有機溶剤と混合して使用してもよい。
リンス液の含水率は、10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることが好ましく、3質量%未満であることが更に好ましい。即ち、リンス液に対する有機溶剤の使用量は、リンス液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、97質量%以上100質量%以下であることが特に好ましい。リンス液の含水率を10質量%未満にすることにより、更に良好な現像特性を達成し得る。
リンス液の蒸気圧は、20℃に於いて、0.05kPa以上且つ5kPa以下であることが好ましく、0.1kPa以上且つ5kPa以下であることがより好ましく、0.12kPa以上且つ3kPa以下であることが更に好ましい。リンス液の蒸気圧を0.05kPa以上且つ5kPa以下にすることにより、ウェハ面内の温度均一性が向上すると共に、リンス液の浸透に起因した膨潤が抑制され、ウェハ面内の寸法均一性が良化する。
なお、リンス液には、界面活性剤を適当量添加してもよい。
リンス工程においては、現像を行ったウェハを、上記のリンス液を用いて洗浄する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、例えば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、及び、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)が挙げられる。この中でも、回転塗布法で洗浄処理を行った後、基板を2000rpm〜4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。
本発明に係るパターン形成方法は、有機溶剤を含んだ現像液による現像工程に加えて、アルカリ現像液を用いた現像工程(ポジ型パターンの形成工程)を含んでいてもよい。アルカリ現像液を用いた現像工程と、有機溶剤を含んだ現像液を用いた現像工程との順序に特に制限はないが、アルカリ現像液を用いた現像を有機溶剤を含んだ現像液を用いた現像の前に行うことがより好ましい。また、各現像工程の前に、加熱工程を伴うことが好ましい。
アルカリ現像液の種類は特に限定されないが、通常は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液が用いられる。アルカリ現像液には、アルコール類及び/又は界面活性剤を適当量添加してもよい。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。アルカリ現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38質量%水溶液を用いることが特に好ましい。
アルカリ現像液を用いた現像の後にリンス処理を行う場合、リンス液としては、典型的には純水を使用する。このリンス液には、界面活性剤を適当量添加してもよい。
<合成例1:樹脂(P−1)>
下式により表される樹脂(P−1)を、以下のようにして合成した。
Figure 2011095607
窒素気流下、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとプロピレングリコールモノメチルエーテルとの6/4(質量比)の混合溶剤40gを3つ口フラスコに入れ、これを80℃に加熱した(溶剤1)。上記繰り返し単位に対応するモノマーを、左から順に40/10/40/10のモル比で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとプロピレングリコールモノメチルエーテルとの6/4(質量比)の混合溶剤に溶解させ、22質量%のモノマー溶液400gを調製した。更に、重合開始剤V−601(和光純薬工業製)をモノマーに対し8mol%を加え、溶解させた溶液を、上記溶剤1に対して6時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で2時間反応させた。反応液を放冷後、3600mLのヘキサンと400mLの酢酸エチルとの混合溶液に注ぎ、析出した粉体をろ取した後、これを乾燥させて、74gの樹脂(P−1)を得た。
<合成例2:樹脂(P−2)〜(P−14)>
合成例1において述べたのと同様にして、以下に示す樹脂(P−2)〜(P−14)を合成した。
Figure 2011095607
Figure 2011095607
下記表2に、樹脂(P−1)〜(P−14)における各繰り返し単位のモル比(左から順に対応)、重量平均分子量Mw、分散度Mw/Mn、及び、全繰り返し単位に対する繰り返し単位(α)の含有率を纏める。
Figure 2011095607
<合成例3:疎水性樹脂(1b)〜(6b)>
合成例1において述べたのと同様にして、以下に示す疎水性樹脂(1b)〜(6b)を合成した。
Figure 2011095607
Figure 2011095607
下記表3に、疎水性樹脂(1b)〜(6b)における各繰り返し単位のモル比(左から順に対応)、重量平均分子量Mw、及び、分散度Mw/Mnを纏める。
Figure 2011095607
<合成例4:トリフェニルスルホニウムアセテート>
5.07g(13mmol)のトリフェニルスルホニウムヨージドと、2.25g(13.5mmol)の酢酸銀と、120mLのアセトニトリルと、60mLの水とを混合し、室温で1時間に亘って攪拌した。反応溶液を濾過し、トリフェニルスルホニウムアセテート溶液を得た。
<合成例5:酸発生剤(PAG−1)>
下式により表される酸発生剤(PAG−1)を、以下のようにして合成した。
Figure 2011095607
窒素気流下、28.0g(88.55mmol)の1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルジフロリドと、17.92g(177.1mmol)のトリエチルアミンと、210mLのジイソプロピルエーテルとを混合し、これを氷冷した。次いで、これに、7.56g(88.2mmol)のピペリジンと105mLのジイソプロピルエーテルとの混合溶液を、30分かけて滴下した。得られた反応系を、氷冷下で1時間に亘って攪拌し、さらに室温で1時間に亘って攪拌した。有機層を、水、飽和塩化アンモニウム水溶液及び水を用いて順次洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。溶媒を除去し、140mLのエタノールと1400mgの水酸化ナトリウムとを加え、室温で2時間に亘って攪拌した。希塩酸を加えることにより反応溶液を中和し、スルホン酸エタノール溶液を得た。
得られたスルホン酸エタノール溶液に、合成例4のトリフェニルスルホニウムアセテート溶液を加え、室温で2時間に亘って攪拌した。2100mLのクロロホルムを加え、有機層を水、飽和塩化アンモニウム水溶液及び水を用いて順次洗浄した。カラムクロマトグラフィー(SiO2;クロロホルム/メタノール=5/1)により精製して、21.0g(32.76mmol)の酸発生剤(PAG−1)を、白色固体として得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 1.64 (bs, 6H), 3.29 (bs, 2H), 3.64 (bs, 2H), 7.70 (m, 15H)
19F-NMR (300 MHz, CDCl3): δ -111.1 (t, 2F), -114.3 (t, 2F), -119.4 (m, 2F)
<合成例6:酸発生剤(PAG−2)〜(PAG−12)>
合成例5において述べたのと同様にして、以下に示す酸発生剤(PAG−2)〜(PAG−12)を合成した。
Figure 2011095607
<レジスト及びトップコート組成物の調製>
下記表4に示す各成分を、同表に示す溶剤に溶解させて、全固形分濃度が3.5質量%である溶液を調製した。これら溶液の各々を、0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターを用いてろ過して、レジスト組成物Ar−1〜Ar−24及びトップコート組成物t−1を調製した。
Figure 2011095607
表4における略号は、以下の通りである。
〔塩基性化合物〕
(B−1)〜(B−9):
Figure 2011095607
Figure 2011095607
〔界面活性剤〕
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製;フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製;フッ素及びシリコン系)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製;シリコン系)
〔溶剤〕
A1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
A2:γ−ブチロラクトン
A3:シクロヘキサノン
B1:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
B2:乳酸エチル
B3:2−ヘプタノン
B4:プロピレンカーボネート
C1:ジイソペンチルエーテル
<レジストパターンの形成>
調製したレジスト組成物を用いて、下記の方法でレジストパターンを形成した。
<実施例1:露光→ベーク→現像→リンス;略号E-B-D-R>
シリコンウエハ上に、有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布した。その後、205℃で60秒間に亘ってベークし、膜厚86nmの反射防止膜を形成した。
反射防止膜の上に、レジスト組成物Ar−1を塗布した。その後、100℃で60秒間に亘ってベークし、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
得られたウエハに対し、ArFエキシマレーザースキャナー(ASML社製 PAS5500/1100、NA0.75、Dipole、アウターシグマ0.89、インナーシグマ0.65)を用いて、露光マスク(ライン/スペース=1/1)介してパターン露光した。その後、100℃で60秒間に亘って加熱した。次いで、現像液を30秒間パドルして現像し、リンス液で30秒間パドルしてリンスした。その後、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させ、90℃で60秒間に亘ってベークすることにより、線幅が100nmの1:1ラインアンドスペースパターンを得た。
<実施例2、3、5、13〜15及び18〜22、並びに比較例1及び2:E-B-D-R>
下記表5に記載のレジスト及び条件を採用したこと以外は、実施例1の方法と同様にして、線幅が100nmの1:1ラインアンドスペースパターンを形成した。
<実施例6:液浸露光→ベーク→現像→リンス;略号iE-B-D-R>
シリコンウエハ上に、有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布した。その後、205℃で60秒間に亘ってベークし、膜厚86nmの反射防止膜を形成した。
反射防止膜の上に、レジスト組成物Ar−6を塗布した。その後、100℃で60秒間に亘ってベークし、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
得られたウエハに対し、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製 XT1700i、NA1.20、C−Quad、アウターシグマ0.981、インナーシグマ0.895、XY偏向)を用いて、露光マスク(ライン/スペース=1/1)介してパターン露光した。その後、100℃で60秒間に亘って加熱した。次いで、現像液を30秒間パドルして現像し、リンス液で30秒間パドルしてリンスした。その後、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させ、90℃で60秒間に亘ってベークすることにより、線幅が100nmの1:1ラインアンドスペースパターンを得た。
<実施例7〜11:iE-B-D-R>
下記表5に記載のレジスト及び条件を採用したこと以外は、実施例6の方法と同様にして、線幅が100nmの1:1ラインアンドスペースパターンを形成した。
<実施例12:露光→ベーク→現像;略号E-B-D>
シリコンウエハ上に、有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布した。その後、205℃で60秒間に亘ってベークし、膜厚86nmの反射防止膜を形成した。
反射防止膜の上に、レジスト組成物Ar−12を塗布した。その後、100℃で60秒間に亘ってベークし、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
得られたウエハに対し、ArFエキシマレーザースキャナー(ASML社製 PAS5500/1100、NA0.75、Dipole、アウターシグマ0.89、インナーシグマ0.65)を用いて、露光マスク(ライン/スペース=1/1)介してパターン露光した。その後、100℃で60秒間に亘って加熱した。次いで、現像液を30秒間パドルして現像した。その後、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させ、90℃で60秒間に亘ってベークすることにより、線幅が100nmの1:1ラインアンドスペースパターンを得た。
<実施例16:露光→ベーク→現像→回転リンス;略号E-B-D-R2>
シリコンウエハ上に、有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布した。その後、205℃で60秒間に亘ってベークし、膜厚86nmの反射防止膜を形成した。
反射防止膜の上に、レジスト組成物Ar−16を塗布した。その後、100℃で60秒間に亘ってベークし、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
得られたウエハに対し、ArFエキシマレーザースキャナー(ASML社製 PAS5500/1100、NA0.75、Dipole、アウターシグマ0.89、インナーシグマ0.65)を用いて、露光マスク(ライン/スペース=1/1)介してパターン露光した。その後、100℃で60秒間に亘って加熱した。次いで、現像液を30秒間パドルして現像し、500rpmの回転数でウエハを回転させながらリンス液をウエハ上に流して30秒間リンスした。その後、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させ、90℃で60秒間に亘ってベークすることにより、線幅が100nmの1:1ラインアンドスペースパターンを得た。
<実施例17:露光→ベーク→回転現像→リンス;略号E-B-D2-R>
シリコンウエハ上に、有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布した。その後、205℃で60秒間に亘ってベークし、膜厚86nmの反射防止膜を形成した。
反射防止膜の上に、レジスト組成物Ar−17を塗布した。その後、100℃で60秒間に亘ってベークし、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
得られたウエハに対し、ArFエキシマレーザースキャナー(ASML社製 PAS5500/1100、NA0.75、Dipole、アウターシグマ0.89、インナーシグマ0.65)を用いて、露光マスク(ライン/スペース=1/1)介してパターン露光した。その後、100℃で60秒間に亘って加熱した。次いで、500rpmの回転数でウエハを回転させながら現像液をウエハ上に流して30秒間現像し、リンス液で30秒間パドルしてリンスした。その後、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させ、90℃で60秒間に亘ってベークすることにより、線幅が100nmの1:1ラインアンドスペースパターンを得た。
<実施例4:液浸露光→ベーク→現像→リンス;略号tiE-B-D-R>
シリコンウエハ上に、有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布した。その後、205℃で60秒間に亘ってベークし、膜厚86nmの反射防止膜を形成した。
反射防止膜の上に、レジスト組成物Ar−4を塗布した。その後、100℃で60秒間に亘ってベークし、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。その上に、トップコート組成物t−1を塗布した。その後、100℃で60秒間に亘ってベークし、膜厚100nmのトップコート膜を形成した。
得られたウエハに対し、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製 XT1700i、NA1.20、C−Quad、アウターシグマ0.981、インナーシグマ0.895、XY偏向)を用いて、露光マスク(ライン/スペース=1/1)介してパターン露光した。その後、100℃で60秒間に亘って加熱した。次いで、現像液を30秒間パドルして現像し、リンス液で30秒間パドルしてリンスした。その後、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させ、90℃で60秒間に亘ってベークすることにより、線幅が100nmの1:1ラインアンドスペースパターンを得た。
Figure 2011095607
表5中、「PB」は露光前の加熱を表し、「PEB」は露光後の加熱を表している。また、「PB」及び「PEB」の列において、「XCYs」は、X℃でY秒間に亘って加熱を行ったことを意味している。なお、「現像液」の列におけるA1及びB1は、上述した溶剤を表している。
<評価方法>
〔ラインウィドスラフネス(LWR)〕
線幅が100nmの1:1ラインアンドスペースパターンを、測長走査型電子顕微鏡(SEM;(株)日立製作所S−9380II)を用いて観察した。ラインパターンのエッジに沿った長さ方向の2μmに含まれる等間隔の50点について、エッジがあるべき基準線と実際のエッジとの間の距離を測定した。そして、この距離の標準偏差を求め、3σを算出した。そして、この3σを「LWR(nm)」とした。
〔フォーカス余裕度(DOF)〕
線幅が100nmの1:1ラインアンドスペースパターンを形成する露光量及びフォーカスを、それぞれ、最適露光量及び最適フォーカスとした。そして、露光量を最適露光量としたままフォーカスを変化(デフォーカス)させた際に、パターンサイズ=100nm±10%を許容するフォーカスの幅を求めた。そして、この幅を「DOF(μm)」とした。
〔パターン形状〕
最適露光量及び最適フォーカスにおける線幅が100nmの1:1ラインアンドスペースパターンの形状を観察した。そして、その形状を、以下の基準に従って評価した。
○(Good):ブリッジ欠陥が見られず且つ矩形のパターンが得られた場合;
△(Fair):ブリッジ欠陥は見られないが、ややT−top形状のパターンが得られた場合;
×(Insufficient):ブリッジ欠陥が見られた場合。
また、各例につき、走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ;S−4800)を用いて、同パターンの欠けの有無を観察した。そして、各パターンの形状を、以下の基準に従って評価した。
○(Good):レジストパターンに欠けが見られなかった場合;
×(Insufficient):レジストパターンの中腹部又は上部からその一部が消失し、当該パターンに欠けが見られた場合。
下記表6に、各実施例及び比較例についての評価結果を纏める。
Figure 2011095607
表6に示す結果から明らかなように、実施例に係る組成物を用いてネガ現像を行うことにより、ラフネス特性及びDOFに優れ且つブリッジ欠陥及び欠けの少ないパターンを形成することができた。

Claims (18)

  1. (A)感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて膜を形成することと、
    (B)前記膜を露光することと、
    (C)有機溶剤を含んだ現像液を用いて前記露光された膜を現像することと
    を含んだパターン形成方法であって、
    前記組成物は、
    (a)酸の作用により前記現像液に対する溶解度が減少する樹脂であって、酸素原子を含んだ基がエステル結合及び芳香環基の何れも含んでいない2価の連結基又は単結合を介して主鎖と結合している繰り返し単位を備え、前記樹脂に占める前記繰り返し単位の含有率は、前記樹脂中の全繰り返し単位に対して20mol%乃至100mol%の範囲内である樹脂と、
    (b)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物と、
    (d)溶剤と
    を含有している方法。
  2. 前記酸素原子を含んだ基は前記連結基を介して前記主鎖と結合しており、前記連結基は炭化水素基である請求項1に記載の方法。
  3. 前記酸素原子を含んだ基は、ヒドロキシ基、アルコキシ基又は酸分解性基である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記繰り返し単位は、下記一般式(I)により表される請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
    Figure 2011095607
    式中、
    は、水素原子又は1価の有機基を表す。
    Xは、単結合、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
    Aは、1価の有機基を表す。
  5. 前記繰り返し単位は、下記一般式(I−1)により表される請求項4に記載の方法。
    Figure 2011095607
    式中、
    及びRは、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。
    Lは、炭素数が1〜6の炭化水素基を表す。
    nは0又は1を表す。
  6. 前記Rは、酸の作用により脱離して極性基を生じさせる基である請求項5に記載の方法。
  7. 前記Rは、酸の作用により脱離して極性基を生じさせる基である請求項5又は6に記載の方法。
  8. 前記現像液が含んでいる前記有機溶剤は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1つである請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法。
  9. (D)リンス液を用いて前記現像された膜をリンスすること
    を更に含んだ請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法。
  10. 前記リンス液は、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいる請求項9に記載の方法。
  11. (a)酸の作用により有機溶剤を含んだ現像液に対する溶解度が減少する樹脂であって、酸素原子を含んだ基がエステル結合及び芳香環基の何れも含んでいない2価の連結基又は単結合を介して主鎖と結合している繰り返し単位を備え、前記樹脂に占める前記繰り返し単位の含有率は、前記樹脂中の全繰り返し単位に対して20mol%乃至100mol%の範囲内である樹脂と、
    (b)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物と、
    (d)溶剤と
    を含んだ感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  12. 前記酸素原子を含んだ基は前記連結基を介して前記主鎖と結合しており、前記連結基は炭化水素基である請求項11に記載の組成物。
  13. 前記酸素原子を含んだ基は、ヒドロキシ基、アルコキシ基又は酸分解性基である請求項11又は12に記載の組成物。
  14. 前記繰り返し単位は、下記一般式(I)により表される請求項11乃至13の何れか1項に記載の組成物。
    Figure 2011095607
    式中、
    は、水素原子又は1価の有機基を表す。
    Xは、単結合、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
    Aは、1価の有機基を表す。
  15. 前記繰り返し単位は、下記一般式(I−1)により表される請求項14に記載の組成物。
    Figure 2011095607
    式中、
    及びRは、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。
    Lは、炭素数が1〜6の炭化水素基を表す。
    nは0又は1を表す。
  16. 前記Rは、酸の作用により脱離して極性基を生じさせる基である請求項15に記載の組成物。
  17. 前記Rは、酸の作用により脱離して極性基を生じさせる基である請求項15又は16に記載の組成物。
  18. 請求項11乃至17の何れか1項に記載の組成物を用いて形成された膜。
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