JP2011093845A - 胃瘻用注入剤及びその注入装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】胃内部において高い形状安定性を有する胃瘻用注入剤及びこれを胃内部に注入するための注入装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、胃瘻孔に配設されるカテーテルのチューブを介して胃に注入させる胃瘻用注入剤であって、保形性を有し、かつ塊状に形成されており、ゲル強度が10g以上1000g以下であることを特徴とする胃瘻用注入剤である。この胃瘻用注入剤は、放出速度が10質量%/時間以上50質量%/時間以下であるとよい。また、この胃瘻用注入剤は、粘弾性体であること、保護材料部により被覆されていること、比重が1以上2以下であること、内径が2mm以上50mm以下であるカテーテルのチューブを挿通可能であること、剤形が球形、卵形、円錐形、紡錘形又は円柱形であること、潤滑剤により被覆されていることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、保形性を有し、かつ塊状に形成されている胃瘻用注入剤及びこれを胃内部に注入するための注入装置に関するものである。
寝たきりの高齢者や小児患者、咀嚼・嚥下困難者等に対する栄養等の供給手段として、胃瘻により栄養剤等を経管投与する手段が広く採用されている。このように、胃瘻を通じて胃内部に経管投与された栄養剤等は、胃酸や蠕動運動等の作用により破断、分離、分散等しつつ胃内部を移動するため、胃食道逆流、胃瘻からの栄養剤等のリーク、下痢等が発生するという問題を有する。
かかる問題に鑑み、胃瘻を通じて胃内部に投与される栄養剤等には、様々な工夫がなされている。例えば、イオタカラギーナンを主成分として含む粘度調整剤が開発されている(特開2006−273804号公報)。かかる粘度調整剤は、濃厚流動食又は経腸栄養剤に混合すると直ちにゲル化又は増粘するため、経管投与の際に、嘔吐、胃食道逆流、下痢等を予防・防止できるとされている。
しかしながら、上記従来の栄養剤等は、その粘度を調整するために特段の作業や工夫が必要であり、経管投与の作業が容易ではないという不都合を有する。また、上記従来の栄養剤等は、胃内部でゲル化又は増粘するものの、胃酸や蠕動運動等の作用により分離、分散等しつつ胃内部を移動するため、胃食道逆流、胃瘻からの栄養剤等のリーク、下痢等を効果的かつ確実に防止することができないという不都合を有する。
特開2006−273804号公報
本発明は、これらの不都合に鑑みてなされたものであり、胃食道逆流、胃瘻からの栄養剤等のリーク、下痢等を効果的かつ確実に防止することができる胃瘻用注入剤及びその注入装置の提供を目的とするものである。
上記課題を解決するためになされた発明は、
胃瘻孔に配設されるカテーテルのチューブを介して胃に注入させる胃瘻用注入剤であって、
保形性を有し、かつ塊状に形成されており、
ゲル強度が10g以上1000g以下であることを特徴とする胃瘻用注入剤である。
当該胃瘻用注入剤は、保形性を有し、かつ塊状に形成されていることで、胃内部への注入前の状態における形状安定性を有し、取扱いや注入作業の簡便性を向上させると共に、胃内部に注入した状態においても優れた形状安定性を発揮する。その結果、当該胃瘻用注入剤は、胃内部の環境において直ちに分離、破断等せず、胃内部を盛んに移動することがないため、胃食道逆流等を効果的かつ確実に防止することができる。また、当該胃瘻用注入剤のゲル強度を上記範囲とすることで、当該胃瘻用注入剤の有効成分等を胃内部に放出できる十分な放出性と、胃内部における急調な分離等を防止又は低減するための良好な弾力性とをバランス良く付与することができる。
当該胃瘻用注入剤の放出速度は、10質量%/時間以上50質量%/時間以下であるとよい。この当該胃瘻用注入剤の放出速度を上記範囲とすることで、胃瘻用注入剤が胃内部で形状安定性を維持しつつ、胃瘻用注入剤の有効成分等を時間をかけて徐々に放出するため、胃瘻用注入剤本体が胃内部において直ちに分離、破断等し、急調かつ過度に離散することを効果的に防止でき、胃食道逆流や下痢の発生を効果的に防止することができる。
当該胃瘻用注入剤は、粘弾性体であるとよい。このように、胃瘻用注入剤が粘弾性体であることで、当該胃瘻用注入剤は、変形しやすくなり、胃内部の蠕動運動等の応力に対して衝撃吸収性を発揮し、その結果、急調な分離や破断等の発生を防止又は低減することができる。また、当該胃瘻用注入剤を胃内部へ注入する際に、胃瘻用注入剤の形状がカテーテルのチューブの形状に応じて変形し、チューブを挿通しやすくなることから、注入の確実性を向上させることができる。
当該胃瘻用注入剤は、保護材料部により被覆されているとよい。このように、当該胃瘻用注入剤が保護材料部により被覆されていることで、当該胃瘻用注入剤が外気や水分等に直接接触し、有効成分が劣化・変性等することを防ぐと共に、注入作業時における薬剤の運搬やカテーテルへの注入作業が容易となる。また、胃内部への注入後においては、胃液や蠕動運動等の作用によっても当該胃瘻用注入剤の有効成分等が胃内部で直ちに放出されることがないことから、胃内部における当該胃瘻用注入剤の有効成分の放出のタイミングを調整することができる。
当該胃瘻用注入剤の比重は、1以上2以下であるとよい。かかる胃瘻用注入剤の比重が上記範囲であることで、胃瘻用注入剤は、胃内部の胃液等に浮かぶことなく沈降し、遊動が抑制され、その結果、胃食道逆流の発生をより一層低減させることができる。
当該胃瘻用注入剤は、内径が2mm以上50mm以下であるカテーテルのチューブを挿通可能であるとよい。このように、胃瘻用注入剤が上記範囲の内径を有するカテーテルのチューブを挿通可能であることで、当該胃瘻用注入剤の注入作業において特段の困難性が生じることなく、胃瘻用注入剤をカテーテルのチューブに挿通させ、胃内部に確実に注入することができる。
当該胃瘻用注入剤の剤形は、球形、卵形、円錐形、紡錘形又は円柱形であるとよい。このように、胃瘻用注入剤の剤形が球形、卵形、円錐形、紡錘形又は円柱形であることで、胃瘻用注入剤をカテーテルに比較的スムーズに挿通することができ、さらに、持ち運びや注入作業の簡便化を図ることができる。
当該胃瘻用注入剤は、潤滑剤により被覆されているとよい。このように、胃瘻用注入剤を潤滑剤により被覆することで、胃内部への注入前においては、当該胃瘻用注入剤を湿気等の外部環境から十分保護することができると共に、胃内部への注入時においては、胃瘻用注入剤とカテーテルのチューブ内壁との摩擦作用を低減し、胃瘻用注入剤をカテーテルに容易かつスムーズに挿通させることができる。
また、上記課題を解決するための別の発明は、当該胃瘻用注入剤を胃内部に注入するための装置である。このような注入装置の構造が単純であり、注入作業も簡便なものであれば、当該胃瘻用注入剤を容易かつ確実に胃内部に注入することができ、その結果、患者自身もこの注入装置を用いて当該胃瘻用注入剤を自己注入することができ、患者自身のQOL(Quality Of Life)を向上させることができる。
以上説明したように、本発明の胃瘻用注入剤は、胃内部における高い形状安定性を発揮し、胃内部を盛んに遊動することがないため、胃食道逆流等の発生を確実に防止又は低減することができる。また、本発明の注入装置は、単純かつ簡便な構成からなり、注入作業等の取扱いも容易であることから、例えば高齢者や小児等の寝たきりの患者自身による栄養剤等の自己注入が可能となる。
本発明の一実施形態に係る粘弾性体の胃瘻用注入剤を注入装置を用いて胃内部に注入する状態を示す模式的断面図である。
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。
図1の胃瘻用注入剤1は、注入装置2によりカテーテル3を通じて胃の内部に注入される。具体的には、胃瘻用注入剤1は、注入装置2の押し出し圧力により、腹壁P及び胃壁Qを一体的に貫通する胃瘻孔に配設されるカテーテル3のチューブ内を挿通して胃内部に注入される。
(胃瘻用注入剤)
胃瘻用注入剤1は、有効成分を含有する。この有効成分の種類としては、特に限定されず、例えば栄養剤、解熱鎮痛消炎剤、向精神剤、抗不安剤、抗うつ剤、催眠鎮静剤、鎮痙剤、中枢神経作用剤、脳代謝改善剤、抗てんかん剤、交感神経興奮剤、胃腸剤、制酸剤、抗潰瘍剤、鎮咳去痰剤、鎮吐剤、呼吸促進剤、気管支拡張剤、アレルギー用剤、抗ヒスタミン剤、強心剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、冠血管拡張剤、末梢血管拡張剤、高脂血症用剤、抗生物質、利胆剤、化学療法剤、糖尿病用剤、骨粗しょう症用剤、骨格筋弛緩剤、鎮痙剤、抗リウマチ剤、ホルモン剤、アルカロイド系麻薬、サルファ剤、痛風治療剤、血液凝固阻止剤、抗悪性腫瘍剤等が挙げられる。かかる有効成分は、1種単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
栄養剤としては、例えばビタミンA;ビタミンD;酢酸d−α−トコフェロールなどのビタミンE;ジベンゾイルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩などのビタミンB1;酪酸リボフラビンなどのビタミンB2;塩酸ピリドキシンなどのビタミンB6;アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウムなどのビタミンC;酢酸ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミンなどのビタミンB12;カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラル類;タンパク;アミノ酸;オリゴ糖;生薬等が挙げられる。
解熱鎮痛消炎剤としては、例えばアスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、エテンザミド、塩酸ジフェンヒドラミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、リン酸ジヒドロコデイン、ノスカピン、塩酸メチルエフェドリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、カフェイン、無水カフェイン、セラペプターゼ、塩化リゾチーム、メフェナム酸、トルフェナム酸、ジクロフェナクナトリウム、フルフェナム酸、サリチルアミド、アミノピリン、ケトプロフェン、インドメタシン、ブコローム、ペンタゾシン等が挙げられる。
向精神剤としては、例えばクロルプロマジン、レセルピン等が挙げられる。抗不安剤としては、例えば塩酸パロキセチン、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム等が挙げられる。抗うつ剤としては、例えばイミプラミン、塩酸マプロチリン、アンフェタミン等が挙げられる。催眠鎮静剤としては、例えばエスタゾラム、ペルラピン、ニトラゼパム、ジアゼパム、フェノバルビタールナトリウム等が挙げられる。鎮痙剤としては、例えば臭化水素酸スコポラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸パパベリン等が挙げられる。中枢神経作用剤としては、例えばシチコリン等が挙げられる。脳代謝改善剤としては例えば塩酸メクロフェニキセート等が挙げられる。抗てんかん剤としては、例えばフェニトイン、カルバマゼピン等が挙げられる。交感神経興奮剤としては、例えば塩酸イソプロテレノール等が挙げられる。
胃腸剤としては、例えばジアスターゼ、含糖ペプシン、ロートエキス、セルラーゼAP3、リパーゼAP、ケイヒ油などの健胃消化剤;塩化ベルベリン、耐性乳酸菌、ビフィズス菌などの整腸剤等が挙げられる。制酸剤としては、例えば炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、沈降炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。抗潰瘍剤としては、例えばオメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、ファモチジン、シメチジン、塩酸ラニチジン等が挙げられる。
鎮咳去痰剤としては、例えば塩酸クロペラスチン、テオフィリン、臭化水素酸デキストロメルトファン、グァヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシン、リン酸コデイン等が挙げられる。鎮吐剤としては、例えば塩酸ジフェニドール、メトクロプラミド等が挙げられる。呼吸促進剤としては、例えば酒石酸レバロルファン等が挙げられる。気管支拡張剤としては、例えばテオフィリン、硫酸サルブタモール等が挙げられる。アレルギー用剤としては、例えばアンレキサノクス、セラトロダスト等が挙げられる。抗ヒスタミン剤としては、例えば塩酸ジフェンヒドラミン、プロメタジン、塩酸イソチペンジル、dl−マレイン酸クロルフェニラミン等が挙げられる。
上記強心剤としては、例えばカフェイン、ジゴキシン等が挙げられる。不整脈用剤としては、例えば塩酸プロカインアミド、塩酸プロプラノロール、ピンドロール等が挙げられる。利尿剤としては、例えばイソソルピド、フロセミド、ヒドロクロロチアジド等が挙げられる。血圧降下剤としては、例えば塩酸デラプリル、カプトプリル、塩酸マニジピン、塩酸ヒドララジン、塩酸ラベタロール、カンデサルタンシレキセチル、メチルドパ、ペリンドプリルエルブミン等が挙げられる。血管収縮剤としては、例えば塩酸フェニレフリン等が挙げられる。冠血管拡張剤としては、例えば塩酸カルボクロメン、モルシドミン、塩酸ペラパミル等が挙げられる。末梢血管拡張剤としては、例えばシンナリジン等が挙げられる。
高脂血症用剤としては、例えばシンバスタチン、プラバスタチンナトリウム、セリバスタチンナトリウム、アトルバスタチンカルシウム水和物等が挙げられる。抗生物質としては、例えばセファレキシン、セファクロル、アモキシシリン、塩酸ピプメシリナム、塩酸セフォチアムヘキセチル、セファドロキシル、セフィキシム、セフジトレンピボキシル、セフテラムピボキシル、セフポドキシミプロキセチルなどのセフェム系;アンピシリン、シクラシン、ナリジクス酸、エノキサシンなどの合成抗菌剤、カルモナムナトリウムなどのモノバクタム系、ペネム系およびカルバペネム系抗生物質等が挙げられる。利胆剤としては、例えばデヒドロコール酸、トレピプトン等が挙げられる。化学療法剤としては、例えばスルファメチゾール等が挙げられる。糖尿病用剤としては、例えばトルブタミド、ボグリボース、塩酸ピオグリタゾン、グリベンクラミド、トログリダゾン等が挙げられる。骨粗しょう症用剤としては、例えばイプリフラボン等が挙げられる。骨格筋弛緩剤としては、例えばメトカルバモール等が挙げられる。鎮痙剤としては、例えば塩酸メクリジン、ジメンヒドリナート等が挙げられる。抗リウマチ剤としては、例えばメソトレキセート、ブシラミン等が挙げられる。ホルモン剤としては、例えばリオチロニンナトリウム、リン酸デキメタゾンナトリウム、プレドニゾロン、オキセンドロン、酢酸リュープロレリン等が挙げられる。アルカロイド系麻薬としては、例えばアヘン、塩酸モルヒネ、トコン、塩酸オキシコドン、塩酸アヘンアルカロイド、塩酸コカイン等が挙げられる。サルファ剤としては、例えばスルフィソミジン、スルファメチゾール等が挙げられる。痛風治療剤としては、例えばアロプリノール、コルヒチン等が挙げられる。血液凝固阻止剤としては、例えばジクマロール等が挙げられる。抗悪性腫瘍剤としては、例えばマイトマイシン、5−フルオロウラシル、ウラシル等が挙げられる。
胃瘻用注入剤1は、保形性を有し、かつ塊状に形成されている。このように、胃瘻用注入剤1が保形性を有し、かつ塊状に形成されていることで、胃内部への注入前の状態において分離、破断等することなく形状が安定し、取扱いや注入作業の簡便性が向上する。また、胃瘻用注入剤1は、胃内部に注入した状態においても優れた形状安定性を発揮し、胃内部の環境(温度約36℃程度、pH約1〜5程度)において直ちに分離、破断等せず、胃内部を盛んに移動することがない。つまり、当該胃瘻用注入剤は、胃食道逆流、胃瘻からの栄養剤等のリーク、下痢等を効果的かつ確実に防止することができる。
胃瘻用注入剤1のゲル強度の上限としては1000gが好ましく、800gがより好ましく、600gがより好ましい。また、胃瘻用注入剤1のゲル強度の下限としては、10gが好ましく、50gがより好ましく、100gがより好ましい。このように胃瘻用注入剤1のゲル強度の上限及び下限を設定することで、胃瘻用注入剤1は、その有効成分等を胃内部へ十分に放出できる良好な放出性と、胃内部における急調な分離、破断等を防止又は低減するための良好な弾力性とをバランス良く発揮することができる。このゲル強度が1000gを超えると、胃瘻用注入剤1の硬さが過度に増大し、胃瘻用注入剤1の有効成分等の放出性が低下するため好ましくない。また、このゲル強度が10g未満であると、胃内部における急調な分離、破断等を確実に防止できないため好ましくない。
胃瘻用注入剤1の放出速度の上限としては50質量%/時間が好ましく、30質量%/時間がより好ましく、25質量%/時間が特に好ましい。また、胃瘻用注入剤1の放出速度の下限としては10質量%/時間が好ましく、12.5質量%/時間がより好ましく、15質量%/時間が特に好ましい。このように胃瘻用注入剤1の放出速度の上限及び下限を設定することで、胃瘻用注入剤が胃内部で形状安定性を維持しつつ、胃瘻用注入剤の有効成分等を時間をかけて徐々に放出するため、胃瘻用注入剤本体が胃内部において直ちに分離、破断等し、急調かつ過度に離散することを効果的に防止でき、胃食道逆流や下痢の発生を効果的に防止することができる。つまり、胃内部における胃瘻用注入剤1の形状安定性及び有効成分の放出性をバランス良く発揮することができる。この放出速度が50質量%/時間を超えると、胃瘻用注入剤1の有効成分等の放出速度が過度に高くなり、胃の噴門部や幽門部が有効成分等に曝露されやすくなり、胃食道逆流や下痢が発生しやすくなるため好ましくない。また、この放出速度が10質量%/時間未満であると、胃内部において胃瘻用注入剤1の有効成分等が十分に放出されないまま体外に排泄される可能性があるため好ましくない。
また、上述の通り、胃瘻用注入剤1の放出速度の上限及び下限を設定することで、胃瘻用注入剤1を構成する有効成分の種類や用途に応じて、胃瘻用注入剤1の注入量、注入のタイミング等を自在に調整することができる。例えば、胃瘻用注入剤1の有効成分が栄養剤であり、寝たきりの高齢者に対して注入する場合には、この胃瘻用注入剤1が胃内部で形状安定性を維持しながら徐放性を発揮することで、胃食道逆流を効果的に防止しつつ、栄養剤の吸収を緩徐かつ比較的長時間をかけて行うことができ、カロリーの過剰摂取を防止することができる。
胃瘻用注入剤1は、粘弾性体であるとよい。このように、胃瘻用注入剤がグミ様の粘弾性体であることで、胃瘻用注入剤1は、物理的に変形しやすくなる。つまり、胃瘻用注入剤1は、胃内部の蠕動運動や胃の内容物からの応力に対して良好な衝撃吸収性を発揮することから、胃内部における急調な分離や破断等の発生を防止又は低減することができる。また、胃瘻用注入剤1が粘弾性体であれば、胃瘻用注入剤1の形状がカテーテルのチューブの形状に応じて変形し、チューブを挿通しやすくなることから、胃内部への注入の確実性をより一層向上させることができる。
胃瘻用注入剤1は、保護材料部により被覆されているとよい。このように、胃瘻用注入剤1が保護材料部により被覆されていることで、胃内部への注入前においては、胃瘻用注入剤1が外気や水分等に直接接触することを防ぎ、有効成分の劣化・変性等を防止すると共に、注入作業時における薬剤の運搬やカテーテル3への注入作業等の取扱いが容易となる。また、胃内部への注入後においては、胃液や蠕動運動等の作用によっても胃瘻用注入剤1の有効成分等が胃内部で直ちに放出されることがないことから、胃内部における胃瘻用注入剤1の有効成分の放出のタイミングを調整することができる。例えば、胃瘻用注入剤1を夜間に注入すると、胃内部では、まず保護材料部のみが胃液と接触し、この保護材料部が胃瘻用注入剤1の有効成分等より先に放出され、翌日の午前中には、保護材料部で被覆されていた胃瘻用注入剤1の有効成分等が時間差で放出されるように調整することができる。
上記保護材料部を構成する成分としては、特に限定されず、例えば油性成分、乳化剤、増粘安定剤、糖類、その他安定剤等が挙げられる。かかる剤形安定材料成分は、1種単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
油性成分としては、例えばオリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボガド油、ヒマシ油、月見草油、タートル油、トウモロコシ油、ミンク油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、アマニ油、綿実油、エノ油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、シナギリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、日本キリ油、トリイソパルチミン酸グリセリン、サラダ油、ベニバナ油、パーム油、ココナッツ油、ピーナッツ油、アーモンド油、ヘーゼルナッツ油、ウォルナッツ油、グレープシード油、スクワレン、スクワラン、牛脂、硬化牛脂、牛脚脂、牛骨脂、ミンク油、卵黄油、豚脂、馬脂、羊脂、硬化油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム硬化油、モクロウ、モクロウ核油、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
乳化剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリドなどの合成乳化剤;大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜などの天然乳化剤等が挙げられる。
増粘安定剤としては、例えばグアーガム、カラギーナン、アラビアガム、ローカストビーンガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、結晶セルロース、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等が挙げられる。
糖類としては、例えばブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、はちみつ、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクチュロース、ラフィノース、パラチノースオリゴ糖、ソルビトール、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、トレハロース等が挙げられる。
その他安定剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホスクシネート、ゼラチン、カゼイン、レシチン、デキストラン、コレステロール、アラビアゴム、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンズアルコニウム、グリセロールモノステアレート、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンステアレート、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒポメロースフタレート、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポロキサマー、ポロキサミン、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシルβ−D−グルコピラノシド、n−デシルβ−D−マルトピラノシド、n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド、n−ドデシルβ−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチルβ−D−チオグルコシド、n−ヘキシルβ−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイルβ−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチルβ−D−グルコピラノシド、オクチルβ−D−チオグルコピラノシド、PEG−リン脂質、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE、リゾチーム、ポリ−n−メチルピリジニウム、塩化アンスリルピリジニウム、カチオンリン脂質、キトサン、ポリリシン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキシルデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルスルフェート、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナッツトリメチルアンモニウムクロリド、ココナッツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12−C15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナッツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロリド、N−アルキル(C12−C18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−C18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハライド、アルキル−トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N−アルキル(C12−C14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリ−ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル、ベンザルコニウムクロリド、ステアラルコニウムクロリド化合物、セチルピリジニウムブロミド、第4級化ポリオキシエチルアルキルアミン、アルキルピリジニウム塩、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリエチレンポリアミン、ラウリルアミンアセテート、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ステアリルアミンアセテート、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩、ベヘナルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ラウラルコニウムクロリド、セタルコニウムクロリド、セトリモニウムブロミド、セトリモニウムクロリド、セチルアミンヒドロフルオリド、クロルアリルメテナミンクロリド、ジステアリルジモニウムクロリド、ドデシルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド、ジメチルアミノエチルクロリド塩酸塩、塩酸システイン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイト、ステアラルコニウムクロリド、ドミフェンブロミド、安息香酸デナトニウム、ミリスタルコニウムクロリド、ラウルトリモニウムクロリド、エチレンジアミン二塩酸塩、塩酸グアニジン、イオフェタミン塩酸塩、メグルミン塩酸塩、メチルベンゼトニウムクロリド、ミルトリモニウムブロミド、オレイルトリモニウムクロリド、ポリクォーターニウム−1、塩酸プロカイン、ココベタイン、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトナイト、ステアリルトリヒドロキシエチルプロピレンジアミンジヒドロフルオリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
胃瘻用注入剤1の比重の上限としては、2が好ましく、1.7がより好ましい。また、胃瘻用注入剤1の比重の下限としては1が好ましく、1.3がより好ましい。このように胃瘻用注入剤1の比重の上限及び下限を調節することで、胃瘻用注入剤1は、胃内部において胃液等に対して浮かぶことなく沈み下がり、胃内部における遊動を抑制し、胃食道逆流の発生をより一層低減させることができる。かかる胃瘻用注入剤1の比重が2を超えると、胃瘻用注入剤1が胃内部において胃壁を過度に押圧し、胃部不快感を発生させるため好ましくない。また、胃瘻用注入剤1の比重が1未満であると、胃瘻用注入剤1が胃内部において胃液中を浮動し、胃の噴門部や幽門部に衝突しやすくなり、嘔気や下痢が発生する可能性が高くなるため好ましくない。
胃瘻用注入剤1は、内径が2mm以上50mm以下であるカテーテル3のチューブを挿通可能であるとよい。このように、胃瘻用注入剤1が上記範囲の内径を有するカテーテル3のチューブを挿通可能であることで、市販され広く使用されている胃瘻用カテーテルの内径を十分に挿通することができ、特段の困難性を生じることなく胃瘻用注入剤1をカテーテル3のチューブを通じて胃内部に確実に注入することができる。なお、胃瘻用注入剤1がカテーテル3を挿通可能ということは、(1)胃瘻用注入剤1がカテーテル3のチューブ内壁に引っかかることなく、カテーテル3をスムーズに挿通すること、(2)胃瘻用注入剤1の形状を変形させなければカテーテル3のチューブを挿通し難い場合に、外力を付与して形状を変形させてカテーテル3を挿通させることを意味する。
胃瘻用注入剤1の剤形としては、特に限定されないが、球形、卵形、円錐形、紡錘形又は円柱形であるとよい。このように、胃瘻用注入剤1の剤形が球形、卵形、円錐形、紡錘形又は円柱形であることで、胃瘻用注入剤1をカテーテル3に挿通しやすくなり、持ち運びや注入作業の簡便化を図ることができる。また、例えば、胃瘻用注入剤1が球形又は卵形である場合には、胃瘻用注入剤1が胃内部を移動する場合でも、胃壁に対する接触がソフトとなり、胃部不快感や胃炎の発生を防止することができる。
胃瘻用注入剤1は、潤滑剤により被覆されているとよい。このように、胃瘻用注入剤1を潤滑剤により被覆することで、胃内部への注入前の状態において、胃瘻用注入剤1の有効成分や上述の保護材料部を湿気等の外部環境から十分保護することができると共に、胃内部への注入の際において胃瘻用注入剤1とカテーテル3のチューブ内壁との摩擦作用を低減し、胃瘻用注入剤1をカテーテル3に容易かつスムーズに挿通させることができる。なお、かかる潤滑剤の種類としては、上述の油性成分や、上述の糖類を粉砕して微粒子状に加工したものが挙げられる。
なお、上述の胃瘻用注入剤1の有効成分や保護材料部の構成成分以外に、任意成分として、さらに結合剤、充填剤、希釈剤、滑沢剤、懸濁化剤、保存剤、バッファー、湿潤剤、発泡剤、その他の賦形剤等を採用することができる。かかる任意成分は、1種単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
(胃瘻用注入剤の製造方法)
胃瘻用注入剤1の製造方法としては、特に限定されず、公知の製剤方法を採用することができる。例えば、上述の粘弾性体である胃瘻用注入剤1の製造方法は、ゲル状混合液を調整する工程と、潤滑剤による被覆を施す工程とを主として備える。
上記ゲル状混合液の調整工程について詳説する。上記糖類を水と共に加熱しつつ、さらにゼラチン等を主成分とするゲル化成分を配合し混合する。このゲル状混合液に上述の有効成分を配合し、さらに必要に応じて上記任意成分等を配合し、次いで、冷却固化することにより粘弾性体の胃瘻用注入剤1が製造される。具体的には、このゲル状混合液をスターチモールドに注入し、その後24時間程度静置する。かかる静置の間に、ゲル状混合液に含まれる水分がスターチモールドに移行することで固化が進み、その結果、目的とする粘弾性体の胃瘻用注入剤1が得られる。
なお、上述の有効成分がゼラチンのゲル化を阻害する可能性がある場合には、有効成分以外の原料成分を混合し、この混合液をゲル化開始温度まで冷却して一定時間保持し、ゼラチンに水素結合を形成させて増粘させる。その後、この混合液が十分に固化する前に有効成分を配合し、混合・分散させるとよい。かかる方法により、有効成分の配合前においてゼラチンに水素結合が形成されるため、良好な粘弾性を備える胃瘻用注入剤1を得ることができると共に、有効成分の溶解を効果的に抑制することができる。
上記潤滑剤による被覆を施す工程について詳説する。回転するドラム内に上記粘弾性体の胃瘻用注入剤1を投入すると共に、このドラム内に、例えば常温で液状の上記油性成分を滴下しながらドラムを回転させることで、表面に薄く均一な油性成分の皮膜を形成させることができる。
(注入装置)
注入装置2は、胃瘻用注入剤1をカテーテル3を通じて胃内部に注入するための装置である。この注入装置2は、ピストン4、シリンジ5、薬剤送出口6を主として備える。かかる注入装置2について詳説すると、図1に示す通り、注入装置2のシリンジ5の中空部に、例えば上述の粘弾性体の胃瘻用注入剤1を装填した状態で、薬剤送出口6の外径を、後述するカテーテル3の薬剤注入口7の内径に一致させて密接させた後、ピストン4を押圧することで、胃瘻用注入剤1が胃内部に注入される。このように、注入装置2は、ピストン4の押圧という単純かつ簡単な作業により、胃瘻用注入剤1を胃内部に確実に注入することができる。つまり、かかる注入装置2は、胃瘻用注入剤1の注入作業を極めて簡便とするものであることから、医師・看護師等の医療従事者のみならず、胃瘻を有する患者自身が胃瘻用注入剤1を注入の量やタイミング等を調整して自在に注入することができ、QOLの向上を図ることができる。
(カテーテル)
カテーテル3は、腹部に造設された胃瘻孔に配設されるものであり、かかる胃瘻孔を通じて腹壁P及び胃壁Qを一体的に貫通し、体外から胃内部に胃瘻用注入剤1を注入するための部材である。このカテーテル3は、胃瘻用注入剤1を注入するための薬剤注入口7、胃壁に掛止される胃壁位置止め部8、腹壁に掛止される腹壁位置止め部9、胃酸等の体外への漏出を防止するためのボタン10を主として備える。このカテーテル3の構成部材を詳説すると、薬剤注入口7の内径は、上述した通り、胃瘻用注入剤1や胃酸等の漏出を完全に防止するため、注入装置2の薬剤送出口6の外径と一致するとよい。また、胃壁位置止め部8及び腹壁位置止め部9は、略フランジ状の形状を有するため、カテーテル3の配設位置を効果的に固定し、カテーテル3が誤って胃瘻から脱落すること等を防ぐことができる。また、ボタン10は、腹壁位置止め部9から一体的に延出する部材であり、このボタン10により薬剤注入口7の開閉を容易に調整できることから、患者自身による薬剤注入口7の開閉操作も可能となる。
カテーテル3の種類としては、特に限定されず、上述したバンパーボタン型の他に、例えばバンパーチューブ型、バルンボタン型、バルンチューブ型等が挙げられる。
なお、本発明の胃瘻用注入剤及びその注入装置は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の胃瘻用注入剤及びその注入装置の具体例について、以下に例示する。
(例示1)
胃瘻用注入剤は、特に柔軟性が高い粘弾性体であり、剤形が略円柱状である。また、注入装置は、上述のシリンジ及びピストンを備える注射器型のものである。この場合において、胃瘻用注入剤を注入装置のシリンダ内に装填し、カテーテルと注入装置とを密着・接続した状態でピストンを押圧すると、胃瘻用注入剤1が、さながら麺の如く胃内部に押し出され、胃内部で蜷局を巻くように重畳する。このように胃内部で重畳した胃瘻用注入剤は、胃内部において高い形状安定性を発揮し、胃内部における移動性を低減させることにより、胃食道逆流をより効果的に防止することができる。
(例示2)
胃瘻用注入剤は、粘弾性体であり、円柱形の剤形を有する。また、注入装置は、例えば口紅やリップスティックに代表されるように、回転昇降を確保可能な内管等を備える回転制御機構を有する。この場合において、胃瘻用注入剤を注入装置内に装填し、カテーテルと注入装置とを密着・接続した状態で回転制御機構を回転させると、胃瘻用注入剤が、その回転の回数等に応じて、さながら口紅のように胃内部に徐々に押し出され、胃瘻用注入剤の注入量を微量調整することができる。このように、胃内部に押し出された胃瘻用注入剤は、胃内部において部分的に曝露されることとなり、その結果、胃内部における胃瘻用注入剤の移動を阻止することができ、さらに、胃瘻用注入剤の注入量等を回転制御機構の調整という簡便な作業により容易に調整することができる。
(例示3)
胃瘻用注入剤は、粘弾性体であり、円柱形、詳細にはシャープペンシルの芯のような剤形を有する。また、注入装置は、ノック式シャープペンシルのような構造を有する。このような注入装置に芯状の胃瘻用注入剤を装填し、薬剤装填側端部より突出したノック部材を押圧することで、ノック部材又はノック部材に連動して摺動する押圧部材を介して胃瘻用注入剤を少しずつ押し出すことができる。このように胃内部に押し出された胃瘻用注入剤は、上述した(2)回転制御機構を備える注入装置の場合と同様の効果を発揮することができ、胃瘻用注入剤の注入量等を自在に調整できると共に、胃瘻用注入剤が胃内部を盛んに移動すること阻止することができる。
以上のように、本発明の胃瘻用注入剤は、公知の有効成分や保護材料部を種々選択して採用することができ、かつ従来の製造方法により容易に製造することができる。また、本発明の注入装置は、単純かつ簡便な構造を有し、素材も特段限定されるものではない。従って、本発明の胃瘻用注入剤及びその注入装置は、製造容易性、低コスト性、大量生産性に優れる。
1 胃瘻用注入剤
2 注入装置
3 カテーテル
4 ピストン
5 シリンジ
6 薬剤送出口
7 薬剤注入口
8 胃壁位置止め部
9 腹壁位置止め部
10 ボタン
P 腹壁
Q 胃壁

Claims (9)

  1. 胃瘻孔に配設されるカテーテルのチューブを介して胃に注入させる胃瘻用注入剤であって、
    保形性を有し、かつ塊状に形成されており、
    ゲル強度が10g以上1000g以下であることを特徴とする胃瘻用注入剤。
  2. 放出速度が10質量%/時間以上50質量%/時間以下である請求項1に記載の胃瘻用注入剤。
  3. 粘弾性体である請求項1又は請求項2に記載の胃瘻用注入剤。
  4. 保護材料部により被覆されている請求項1、請求項2又は請求項3に記載の胃瘻用注入剤。
  5. 比重が1以上2以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の胃瘻用注入剤。
  6. 内径が2mm以上50mm以下であるカテーテルのチューブを挿通可能な請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の胃瘻用注入剤。
  7. 剤形が球形、卵形、円錐形、紡錘形又は円柱形である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のに記載の胃瘻用注入剤。
  8. 潤滑剤により被覆されている請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の胃瘻用注入剤。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の胃瘻用注入剤を胃内部に注入するための装置。
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