JP2011093206A - 液体吐出装置、及び、液体吐出方法 - Google Patents

液体吐出装置、及び、液体吐出方法 Download PDF

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彰人 佐藤
Tomohiro Yuda
智裕 湯田
Takahide Miyashita
隆秀 宮下
Naoki Sudo
直樹 須藤
Mai Kubota
舞 久保田
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Abstract

【課題】画像の画質劣化を抑制すること。
【解決手段】ノズルが所定方向に第1の間隔で並んだ第1ノズル列、及び、ノズルが前記所定方向に前記第1の間隔で並んだ第2ノズル列であって、前記第1ノズル列よりも前記所定方向の一方側に前記第1の間隔の半分の間隔である第2の間隔だけずれて配置された第2ノズル列と媒体とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから液体を吐出させる画像形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記所定方向に相対移動させる移動動作を繰り返させて、媒体上に画像を形成させる制御部と、
を有し、前記画像は、前記所定方向に並んだ複数のブロックを有し、前記画像の前記所定方向の解像度をSとし、前記第2の間隔をPとしたとき、前記ブロックが有する前記移動方向に沿うドット列の数kを表す式が、k=S/Pであり、前記ブロック内では、同じノズル列に形成されるドットが前記所定方向及び前記移動方向に連続して並ばない液体吐出装置。
【選択図】図6

Description

本発明は、液体吐出装置、及び、液体吐出方法に関する。
液体吐出装置の一つとして、インクを吐出するノズルが所定方向に並んだノズル列を有するヘッドを、所定方向(ノズル列方向)と交差する移動方向に移動させながら、ノズルからインクを吐出させて画像を印刷するインクジェットプリンター(以下プリンター)が知られている。
ヘッド内にてノズル列方向と交差する方向に複数のノズル列が並んで配置されたプリンターでは、ヘッドの移動時にうねりが生じると、各ノズル列のドット形成位置がずれてしまう。特に離れて配置されたノズル列のドット形成位置のずれが大きくなる。また、ドット形成位置のずれにより発生する濃度むらは中間調の濃度にて発生し易い。
そこで、画像データの示す濃度が中間調である時には、近くに配置されたノズル列(中央のノズル列)の分配率を高くし、離れて配置されたノズル列の分配率を低くする方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2008−168628号公報
しかし、近くに配置されたノズル列であっても、ヘッド移動時のうねり等によりドット形成位置はずれる。また、近くに配置されたノズル列の分配率を高めると、同じノズル列に形成されるドットがノズル列方向や移動方向に連続して並ぶ。そうすると、ヘッド移動時のうねり等により各ノズル列のドット形成位置がずれると、各ノズル列の連続して並ぶドット同士が重なり、媒体の埋まりの悪い部分が大きく目立ち、印刷画像の画質が劣化してしまう。
そこで、本発明は、画像の画質劣化を抑制することを目的とする。
前記課題を解決する為の主たる発明は、液体を吐出するノズルが所定方向に第1の間隔で並んだ第1ノズル列と、液体を吐出するノズルが前記所定方向に前記第1の間隔で並んだ第2ノズル列であって、前記第1ノズル列よりも前記所定方向の一方側に前記第1の間隔の半分の間隔である第2の間隔だけずれて配置された第2ノズル列と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と媒体とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから液体を吐出させる画像形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記所定方向に相対移動させる移動動作を繰り返させて、媒体上に画像を形成させる制御部と、を有し、前記画像は、前記所定方向に並んだ複数のブロックを有し、前記画像の前記所定方向の解像度をSとし、前記第2の間隔をPとしたとき、前記ブロックが有する前記移動方向に沿うドット列の数kを表す式が、k=S/Pであり、前記ブロック内では、前記第1ノズル列に形成されるドットが前記所定方向及び前記移動方向に連続して並ばず、また、前記第2ノズル列に形成されるドットが前記所定方向及び前記移動方向に連続して並ばない、ことを特徴とする液体吐出装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
図1Aは印刷システムの全体構成ブロック図であり、図1Bはプリンターの概略斜視図である。 ヘッドの下面のノズル配列を示す図である。 比較例の印刷方法を示す図である。 図4Aはガイド軸の撓みによるドット形成位置のずれを示し、図4Bは離れて配置されたノズル列によって形成されるラインの違いを示す図である。 比較例の印刷方法を実施する際にガイド軸の撓みや振動が生じた場合のドット形成の様子を示す図である。 本実施形態の印刷方法を示す図である。 ブロック内にドットが形成される過程を示す図である。 本実施形態の印刷方法を実施する際にガイド軸の撓みや振動が生じた場合のドット形成の様子を示す図である。 本実施形態の印刷方法の変形例を示す図である。
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
即ち、液体を吐出するノズルが所定方向に第1の間隔で並んだ第1ノズル列と、液体を吐出するノズルが前記所定方向に前記第1の間隔で並んだ第2ノズル列であって、前記第1ノズル列よりも前記所定方向の一方側に前記第1の間隔の半分の間隔である第2の間隔だけずれて配置された第2ノズル列と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と媒体とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから液体を吐出させる画像形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記所定方向に相対移動させる移動動作を繰り返させて、媒体上に画像を形成させる制御部と、を有し、前記画像は、前記所定方向に並んだ複数のブロックを有し、前記画像の前記所定方向の解像度をSとし、前記第2の間隔をPとしたとき、前記ブロックが有する前記移動方向に沿うドット列の数kを表す式が、k=S/Pであり、前記ブロック内では、前記第1ノズル列に形成されるドットが前記所定方向及び前記移動方向に連続して並ばず、また、前記第2ノズル列に形成されるドットが前記所定方向及び前記移動方向に連続して並ばないことを特徴とする液体吐出装置である。
このような液体吐出装置によれば、第1ノズル列のドット形成位置と第2ノズル列のドット形成位置がずれても、ドットの形成されない領域(非ドット形成領域)を小さくすることができ、画像の画質劣化を抑制することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記ブロック内の前記移動方向に沿う或るドット列を形成する前記第1ノズル列の前記ノズルに、前記移動方向に並ぶ1個おきの画素を割り当て、前記或るドット列を形成する前記第2ノズル列の前記ノズルに、前記移動方向に並ぶ前記画素のうち、前記第1ノズル列の前記ノズルに割り当てない前記画素を割り当て、前記移動方向に並ぶ画素のうち、前記或るドット列を形成する前記第1ノズル列の前記ノズルに割り当てる画素の前記移動方向の位置と、前記ブロック内にて前記或るドット列と前記所定方向に並ぶドット列を形成する前記第2ノズル列の前記ノズルに割り当てる画素の前記移動方向の位置を、等しくすること。
このような液体吐出装置によれば、ブロック内にて同じノズル列に形成されるドットが連続して並ばないようにすることができる。
かかる液体吐出装置であって、1回の前記画像形成動作によって前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列によって形成する前記移動方向に沿うドット列の間に、移動方向に沿う奇数個のドット列を形成すること。
このような液体吐出装置によれば、ブロック内にて同じノズル列に形成されるドットが連続して並ばないようにすることができる。
かかる液体吐出装置であって、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを、前記移動方向の第1の側から第2の側へ相対移動させる際にも、前記移動方向の前記第2の側から前記第1の側へ相対移動させる際にも、前記ノズルから液体を吐出させ、複数種類の液体をそれぞれ吐出する複数のノズル列を有し、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列は同じ種類の液体を吐出し、前記第1ノズル列と前記第2ノズル列の間に複数の前記ノズル列が位置する、液体吐出装置である。
このような液体吐出装置によれば、離れて配置され、同じ液体を吐出する第1ノズル列と第2ノズル列のドット形成位置がずれても、画像の画質劣化を抑制することができる。
また、液体を吐出するノズルが所定方向に第1の間隔で並んだ第1ノズル列、及び、液体を吐出するノズルが前記所定方向に前記第1の間隔で並んだ第2ノズル列であって、前記第1ノズル列よりも前記所定方向の一方側に前記第1の間隔の半分の間隔である第2の間隔だけずれて配置された第2ノズル列と、媒体とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから液体を吐出させる画像形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記所定方向に相対移動させる移動動作を繰り返し、媒体上に画像を形成する液体吐出方法であって、前記画像は、前記所定方向に並んだ複数のブロックを有し、前記画像の前記所定方向の解像度をSとし、前記第2の間隔をPとしたとき、前記ブロックが有する前記移動方向に沿うドット列の数kを表す式が、k=S/Pであり、前記ブロック内では、前記第1ノズル列に形成されるドットが前記所定方向及び前記移動方向に連続して並ばず、また、前記第2ノズル列に形成されるドットが前記所定方向及び前記移動方向に連続して並ばないことを特徴とする液体吐出方法である。
このような液体吐出方法によれば、第1ノズル列のドット形成位置と第2ノズル列のドット形成位置がずれても、ドットの形成されない領域(非ドット形成領域)を小さくすることができ、画像の画質劣化を抑制することができる。
===印刷システムについて===
以下、液体吐出装置としてインクジェットプリンター(以下、プリンター)を例に挙げ、プリンターとコンピューターが接続された印刷システムの実施形態について説明する。
図1Aは、印刷システムの全体構成ブロック図であり、図1Bは、プリンター1の概略斜視図である。外部装置であるコンピューター60から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー10により、各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御し、媒体S(用紙やフィルムなど)に画像を形成する。また、プリンター1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11は、外部装置であるコンピューター60とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12は、プリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13は、CPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12は、メモリー13に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路14により各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、媒体Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時には搬送方向(所定方向)に所定の搬送量で媒体Sを搬送させるものである。
キャリッジユニット30は、ヘッド41を搬送方向と交差する方向(以下、移動方向)に移動させるためのものであり、キャリッジ31とガイド軸32を有する。キャリッジ31と、キャリッジ31に設けられたヘッド41が、ガイド軸32に添って移動方向に移動する。
ヘッドユニット40は、媒体Sにインクを吐出するためのヘッド41を有する。ヘッド41の下面には、インク吐出部であるノズルが複数設けられ、各ノズルには、インクが入ったインク室(不図示)が設けられている。
図2は、ヘッド41の下面のノズル配列を示す図である。ヘッド41の下面には、多数のノズルが用紙搬送方向に所定の間隔で並んだノズル列が8列形成されている。なお、図はヘッド41の上面からノズル配列を仮想的に見た図である。プリンター1は4色のインク(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)を吐出可能とし、ヘッド41には1色につき2ノズル列ずつ設けられている。移動方向の右側から順に、シアンインクを吐出する第1シアンノズル列C1と、イエローインクを吐出する第2イエローノズル列Y2と、マゼンタインクを吐出する第1マゼンタノズル列M1と、ブラックインクを吐出する第2ブラックノズル列K2と、ブラックインクを吐出する第1ブラックノズル列K1と、マゼンタインクを吐出する第2マゼンタノズル列M2と、イエローインクを吐出する第1イエローノズル列Y1と、シアンインクを吐出する第2シアンノズル列C2が設けられている。
1つのノズル列は180個のノズルから構成され、ノズル間隔は「180dpi(第1の間隔)」である。そして、同色インクを吐出するノズル列のうちの一方のノズル列(例:C1)は、他方のノズル列(例:C2)よりも搬送方向下流側に各ノズルピッチの半分の間隔である「360dpi(第2の間隔)」ずれている。そのため、1つの色インクを吐出するノズル数は360個であり、1つの色インクを吐出するノズルはヘッド41内において360dpiの間隔で搬送方向に並ぶことになる。説明のため、同色のインクを吐出するノズル列のうち、下流側にずれたノズル列(例:C1)に属する下流側のノズルから順に奇数番号(#1、#3、#5…)を付し、上流側にずれたノズル列(例:C2)に属する下流側のノズルから順に偶数番号(#2、#4、#6)を付す。
なお、図2のヘッド41では同色のインクを吐出するノズル列を対称配置している。このように配置することで、双方向印刷を実施する際に、ヘッド41が移動方向の左側から右側へ移動する時(往路時)にも、逆にヘッド41が右側から左側へ移動する時(復路時)にも、各色インクの着弾順を一定にすることができる。その結果、各色インクの着弾順が異なることにより発生する色むらを抑制できる。
このようなプリンター1では、移動方向に沿って移動するヘッド41からインク滴を断続的に吐出させて媒体上にドットを形成するドット形成処理(画像形成動作)と、媒体をヘッド41に対して搬送方向に搬送する搬送処理(移動動作)を、繰り返す。そうすることで、先のドット形成処理により形成されたドットの位置とは異なる媒体上の位置に、次のドット形成処理にてドットを形成することができ、媒体上に2次元の画像を印刷することができる。なお、ヘッド41がインク滴を吐出しながら移動方向に1回移動する動作を「パス」と呼ぶ。
===比較例の印刷方法について===
<比較例の印刷方法について>
図3は、比較例の印刷方法を示す図である。本実施形態の印刷方法を説明する前に比較例の印刷方法を説明する。ここでは、第1シアンノズル列C1と第2シアンノズル列C2による印刷を例に挙げる。図3の左図は各パスのシアンノズルの位置関係を示す図である。図3の左図では、第1シアンノズル列C1のノズルと第2シアンノズル列C2のノズルを同じノズル列として描き、第1シアンノズル列C1のノズルを丸(○)で示し、第2シアンノズル列C2のノズルを三角(△)で示す。また、ノズル内に記す番号はノズル番号であり、ノズル数を6個(#1〜#6)に減らして描いている。以下では、媒体上において、移動方向に沿う1つのドット列(ラスターライン)が形成される領域を「列領域(L)」と呼ぶ。また、図示するように、パス1のノズル#1が割り当てられる列領域を1番目の列領域「L1」とし、搬送方向上流側の列領域ほど番号を大きくする。また、1つの列領域の搬送方向長さは、搬送方向の印刷解像度(図中では1440dpi)に対応する。
図3に示す比較例の印刷方法は、移動方向に沿うドット列(以下、ラスターライン)を2種類のノズルで印刷する「2パスのオーバーラップ印刷」である。1つのラスターラインを2種類のノズルで形成することで、ノズルの特性差を緩和したラスターラインを形成することができる。例えば、あるラスターラインを形成する一方のノズルが不吐出ノズルであっても、他方のノズルによるドットは形成されるため、画質劣化を緩和できる。また、ノズルの位置関係を示す図3の左図において、移動方向に並ぶノズルが同じラスターラインを形成するノズルである。例えば、印刷開始位置の列領域L19にラスターラインを形成するノズルは、第2シアンノズル列C2の4番目のノズル#4と第1シアンノズル列C1の1番目のノズル#1である。比較例の印刷方法では、全てのラスターラインを、第1シアンノズル列C1のノズルと第2シアンノズル列C2のノズルで形成する。図3の左図からも分かるように、第1シアンノズル列C1のノズル(○)と第2シアンノズル列C2のノズル(△)が必ず移動方向に並んでいる。
図3の右図は、印刷解像度に応じて媒体上に定めた単位領域(図中の1マス、以下「画素」と呼ぶ)にドットが形成される様子を示す図である。即ち、移動方向に並ぶ画素の列に形成されるドットが、ラスターラインを構成するドットである。図3の右図では、第1シアンノズル列C1によって形成されるドットを丸(○)で示し、第2シアンノズル列C2によって形成されるドットを三角(△)で示す。この図からも、全てのラスターライン(移動方向に並ぶドット)は、2種類のノズル列C1,C2によって形成されていることが分かる。また、移動方向の左端の画素から順に小さい番号を付し、図中では8個の画素を示す。
また、図3に示す比較例の印刷方法では、同色の2つのノズル列C1,C2によって1回のパスで形成されるラスターライン間に、3つのラスターラインを形成するとした。ここでは、同色のインクを吐出するノズルピッチ(例:第1シアンノズル列C1のノズル#1と第2シアンノズル列C2のノズル#2の間隔)が「360dpi」であるため、搬送方向の印刷解像度が「1440dpi」となる。図示する1マスの搬送方向の長さ「D」が1440dpiに相当し、同色インクを吐出するノズルピッチ360dpiが4マス分(4D)に相当する。このような印刷を実施するために、1回の媒体搬送量を「1080dpi(=3D)」とする。その結果、先のパス(例:パス2)で或るノズル(例:#6)が形成したラスターラインよりも搬送方向下流側の位置に、次のパス(例:パス3)にて或るノズル(例:#6)よりも下流側のノズル(例:#5)によりラスターラインが形成される。
つまり、比較例の印刷方法では、ノズル列(ヘッド41)を移動方向に移動しながら画像を形成する動作(パス)と、ノズル列に対して媒体を「1080dpi」だけ下流側に搬送する動作を、交互に繰り返す。その結果、先のパスにて360dpi間隔で形成したラスターライン間に、3つのラスターラインを形成することができる。例えば、パス3のノズル#5とノズル#6により各々形成されたラスターラインの間に、パス4のノズル#5によるラスターラインと、パス5のノズル#4によるラスターラインと、パス6のノズル#3によるラスターラインが形成される。そして、パス3のノズル#5により形成されたドットの間にパス7のノズル#2によってドットが形成され、1つのラスターラインが完成する。
このように比較例の印刷方法では、1つのラスターラインを2つのノズルで形成する。即ち、移動方向に並ぶ画素列に対して2つのノズルが割り当てられる。そのため、画素列に属する画素ごとに、2つのノズルのうちの何れのノズルでドットを形成するかを設定する必要がある。比較例の印刷方法では、1つの画素列に割り当てられた2つのノズルが、それぞれ2画素おきにドットを形成するとした。具体的には、図3の右図の画素に示すように、左から1、2、5、6番目の画素に一方のノズルを割り当て、3、4、7、8番目の画素に他方のノズルを割り当てる。説明のため、図中では、一方のノズルに割り当てる画素を白い画素で示し、「第1画素群」と呼び、他方のノズルに割り当てる画素を斜線の画素で示し、「第2画素群」と呼ぶ。
そして、パスごとに、第1画素群にドットを形成するのか、それとも、第2画素群にドットを形成するのかを設定する。そのため、図3の左図に示すように、第1画素群を割り当てるパスのノズル列を白いノズル列で示し、第2画素群を割り当てるパスのノズル列を斜線のノズル列で示す。パス1、パス3、パス6のノズル列は白いノズル列であり、このパスでは第1画素群にドットを形成する。一方、パス2、パス4、パス5のノズル列は斜線のノズル列であり、このパスでは第2画素群にドットを形成する。
例えば、印刷開始位置の19番目の列領域L19にラスターラインを形成するノズルは、パス3の第2シアンノズル列C2のノズル#4とパス7の第1シアンノズル列C1のノズル#1である。そして、パス3に第1画素群(白い画素)が割り当てられ、パス7に第2画素群(斜線の画素)が割り当てられる。その結果、図示するように、1、2、5、6番目の画素(第1画素群)には第2シアンノズル列C2のドット(△)が形成され、3、4、7,8番目の画素(第2画素群)には第1シアンノズル列C1のドット(○)が形成される。
なお、1つのラスターライン(例:L19のラスターライン)は、あるパス(例:パス3)のノズルと、その4パス後のパス(例:パス7)のノズルによって、形成される。そのため、あるパスXに割り当てる画素群と、その4パス後のパスX+4に割り当てる画素群を異ならせる必要がある。ゆえに、図3の左図に示すように、パス1からパス4では第1画素群と第2画素群を交互に割り当てているが、パス4とパス5では同じ第2画素群を割り当てるというように、途中で割り当てる画素群を切り替える必要がある。
このように印刷した結果、移動方向に、第1シアンノズル列C1によるドット(○)と第2シアンノズル列C2によるドット(△)が各々2個おきに形成される。即ち、第1シアンノズル列C1によるドット(○)が移動方向に連続して2個並び、第2シアンノズル列C2によるドット(△)が移動方向に連続して2個並ぶ。また、搬送方向に並ぶドットに着目すると、22番目の列領域L22以降のラスターラインでは、第1シアンノズル列C1によるドット(○)と第2シアンノズル列C2によるドット(△)が4個おきに形成される。例えば、搬送方向に並ぶ左端のドット列では、22番目から25番目の列領域のドット及び30番目から33番目の列領域のドットは第1シアンノズル列C1のドット(○)であり、26番目から29番目の列領域のドット及び34番目から37番目の列領域のドットは第2シアンノズル列C2のドット(△)である。即ち、第1シアンノズル列C1によるドット(○)が搬送方向に連続して4個並び、第2シアンノズル列C2によるドット(△)が搬送方向に連続して4個並ぶ。このように、移動方向に沿うラスターラインだけでなく、搬送方向に沿うドット列も、第1シアンノズル列C1によるドットと第2シアンノズル列C2によるドットで構成することにより、ノズルの特性差を緩和した画像を印刷できる。
以上をまとめると、比較例の印刷方法によれば、第1シアンノズル列C1による複数のドット(○)が移動方向及び搬送方向に連続して並んで形成され、第2シアンノズル列C2による複数のドット(△)が移動方向及び搬送方向に連続して並んで形成される。
<ガイド軸の撓みについて>
図4Aは、キャリッジ31のガイド軸32の撓みによるドット形成位置のずれを示し、図4Bは、ヘッド41内にて離れて配置されたノズル列Y1,C1によって形成されるラインの違いを示す図である。図4Aは、ヘッド41及びガイド軸32をプリンター1の上面から見た図であり、ヘッド41に設けられたノズルを上面から仮想的に示した図である。本実施形態のプリンター1は、ヘッド41がキャリッジ31と共にガイド軸32に沿って移動方向に移動しながら画像を印刷する。そして、ガイド軸32はヘッド41の移動方向に沿って取り付けられる。ただし、ガイド軸32の両端を固定するプリンター部材(例えば図中の側板33)からガイド軸32に対してガイド軸の中心方向に力が加わる場合がある。このような場合、ガイド軸32の中央部は、キャリッジ31が移動可能なようにプリンター部材に固定されていないために撓んでしまう。図4Aでは、ガイド軸32の両端部に比べてガイド軸32の中央部が搬送方向の下流側に撓んだ様子を示す。このようにガイド軸32が撓んでしまうと、図4Aに示すように、ガイド軸32の両端部においてヘッド41(ノズル列)が搬送方向に対して傾いてしまう。なお、図4Aでは説明のためにガイド軸32の撓みを大きく描いているが実際の撓みは微小である。また、図4Aではガイド軸32の中央部が搬送方向下流側に撓んでいるが、これに限らず、ガイド軸32の中央部が搬送方向上流側に撓む場合もある。
図4Aに示すようにガイド軸32が撓んでしまう場合、ガイド軸32の中央部(即ち、印刷領域の中央部)では、ヘッド41が搬送方向に対して傾かないため(即ち、ノズル列方向と搬送方向が平行であるため)、各ノズル列の搬送方向の位置が等しい。ゆえに、各ノズル列に形成されるドットの搬送方向の位置も等しい。
これに対して、ガイド軸32の左端(即ち、印刷領域の左端)では、ヘッド41(ノズル列)が搬送方向に対して反時計周り方向に傾く。そのため、ヘッド41内にて右側に位置するノズル列(C1)ほど搬送方向下流側に位置し、ヘッド41内にて左側に位置するノズル列(Y1)ほど搬送方向上流側に位置する。ゆえに、ブラックノズル列K1によるドットに対して、第1シアンノズル列C1によるドットは搬送方向下流側に形成され、第1イエローノズル列Y1によるドットは搬送方向上流側に形成される。
逆に、ガイド軸32の右端(即ち、印刷領域の右端)では、ヘッド41(ノズル列)が搬送方向に対して時計周り方向に傾く。そのため、ヘッド41内にて右側に位置するノズル列(C1)ほど搬送方向上流側に位置し、ヘッド41内にて左側に位置するノズル列(Y1)ほど搬送方向下流側に位置する。ゆえに、ブラックノズル列K1によるドットに対して、第1シアンノズル列C1によるドットは搬送方向上流側に形成され、第1イエローノズル列Y1によるドットは搬送方向下流側に形成される。
図4Bは、ヘッド41内にて離れて配置された第1イエローノズル列Y1および第1シアンノズル列C1の各ノズル#1が移動方向に移動しながら形成するラインを示す。この図からも分かるように、移動方向の左端では第1シアンノズル列C1のドット形成位置(細線)が第1イエローノズル列Y1のドット形成位置(太線)よりも搬送方向下流側に位置し、移動方向の右端では第1シアンノズル列C1のドット形成位置が第1イエローノズル列Y1のドット形成位置よりも搬送方向上流側に位置することが分かる。即ち、移動方向の左右端において第1イエローノズル列Y1のドットと第1シアンノズル列C1のドットの位置関係が逆転する。これは、移動方向の左右端においてヘッド41が逆方向に傾くからである。移動方向の中央部では、ヘッド41(ノズル列)が搬送方向に対して傾かないため、第1イエローノズル列Y1のドットと第1シアンノズル列C1のドットの搬送方向の位置ずれが小さくなる。
また、ガイド軸32が図4Aに示すように撓む場合、ヘッド41内において右端に位置するノズル列(C1)に形成されるラインでは、ライン中央部とライン右側端部の差(ラインのカーブ量)が大きく、ヘッド41内において左端に位置するノズル列(Y1)に形成されるラインでは、ライン中央部とライン左側端部の差(ラインのカーブ量)が大きくなる。これに対して、ヘッド41内にて中央部に位置するブラックノズル列K1は、印刷領域(ガイド軸32)の左右端部において、ヘッド41内にて端に位置するノズル列(C1やY1)ほど傾かない。そのため、ヘッド41の中央部のブラックノズル列Kにより形成されるラインでは、ライン中央部とライン端部の差(ラインのカーブ量)が小さくなる。ブラックは視認され易い色であるため、図2に示すようにヘッド41内の中央部にブラックノズル列Kを配置することで、ガイド軸32が撓んだとしてもブラックのラインのカーブ量を小さくでき、画質劣化を抑制できる。
また、ガイド軸32の撓みによって、各ノズル列のドット形成位置が搬送方向に大きくずれるに限らず、図4Bに示すように、キャリッジ31移動時の振動などによっても各ノズル列のドット形成位置が搬送方向に微小にずれる。
図5は、比較例の印刷方法(図3)を実施する際にガイド軸32の撓みやキャリッジ移動時に振動が生じた場合のドット形成の様子を示す図である。図4にて説明しているように、ヘッド41内にて離れて配置されたノズル列ほど、印刷領域(ガイド軸32)の左右端において、各ノズル列のドット形成位置の搬送方向のずれ量が大きくなる。また、本実施形態のヘッド41では、往路時にも復路時にも各色インクの着弾順を一定にするために、図2に示すように、ヘッド41内において同色のノズル列を対称配置にしている。そのため、印刷領域(ガイド軸32)の左右端において、特に、ヘッド41内の右端の第1シアンノズル列C1と左端の第2シアンノズル列C2のドット形成位置の搬送方向の位置ずれが大きくなる。即ち、同色のドット形成位置のずれが大きくなる。
図5は、比較例の印刷方法によって印刷領域の左端に形成されるドットの様子を示す図である。印刷領域(ガイド軸32)の左端ではヘッド41が反時計回り方向に傾き、第1シアンノズル列C1が第2シアンノズル列C2よりも搬送方向下流側に位置する。よって、第1シアンノズル列C1によるドット(○)は第2シアンノズル列C2によるドット(△)よりも搬送方向下流側にずれて形成されてしまう。
そのため、本来であれば、図3に示すように、搬送方向に4個並んだ第1シアンノズル列C1のドット(○)の間に、搬送方向に4個並んだ第2シアンノズル列C2のドット(△)が形成され、媒体はシアンのドットによって隙間無く埋められる。しかし、ガイド軸32の撓みによって、第2シアンノズル列C2のドット(△)が第1シアンノズル列C1のドット(○)よりも搬送方向上流側に形成されると、図5に示すように第1シアンノズル列C1のドット(○)と第2シアンノズル列C2のドット(△)が重なって形成され、媒体の埋まりが悪くなってしまう。
特に、比較例の印刷方法(図3)では、搬送方向に4個並んだ第1シアンノズル列C1のドット群と、搬送方向に4個並んだ第2シアンノズル列C2のドット群が、搬送方向に交互に形成される。そのため、ガイド軸32の撓みによって、第1シアンノズル列C1と第2シアンノズル列C2の各ドット形成位置が大きくずれ、例えば図5に示すように3〜4個のドット分ずれてしまうと、第1シアンノズル列C1のドットと第2シアンノズル列C2のドットがほぼ重なり、ドットが形成されない媒体部分が目立ってしまう。即ち、2つのノズル列C1,C2のドット形成位置が重なるようにしてずれてしまうと、各ノズル列C1,C2のドットを搬送方向に連続して並べて形成した分、非ドット形成領域(ドットが形成されない領域)の搬送方向長さが大きくなる。そうすると、印刷画像上において非ドット形成領域が目立ち、画質が劣化してしまう。
また、キャリッジ31の振動によっても第1シアンノズル列C1と第2シアンノズル列C2のドット形成位置はずれる。ガイド軸32の撓みによる2つのノズル列C1,C2のドット形成位置のずれを相殺する方向に、キャリッジ31の振動によって2つのノズル列C1,C2のドット形成位置がずれる場合がある(C1のドットに対してC2のドットが下流側にずれる場合がある)。ただし、ガイド軸32の撓みによるドット形成位置のずれに比べて、キャリッジ31の振動によるドット形成位置のずれは微小であり、例えば、1〜2個分のドットずれ量であったとする。そのため、ガイド軸32の撓みにより生じる非ドット形成領域を、キャリッジ31の振動により生じるドット形成位置のずれで解消することは出来ない。即ち、非ドット形成領域は搬送方向に大きいままであり、画質劣化は抑制されない。
同様に、比較例の印刷方法(図3)では、移動方向に2個並んだ第1シアンノズル列C1のドット群と移動方向に2個並んだ第2シアンノズル列C2のドット群が交互に印刷される。そのため、図5に示すように、2つのノズル列C1,C2のドット形成位置が重なるようにしてずれてしまうと、各ノズル列C1,C2のドットを移動方向に連続して並べて形成した分、非ドット形成領域の移動方向の長さも大きくなり、印刷画像上において非ドット形成領域がより目立ってしまう。このように、比較的に大きな非ドット形成領域が、移動方向及び搬送方向に所定間隔おきに並ぶと、印刷画像上に移動方向や搬送方向に沿ったスジが現れ、画質が劣化してしまう。なお、図4Bに示すように、印刷領域(ガイド軸32)の中央部では左右端部に比べて、2つのノズル列のドット形成位置のずれが小さいため、非ドット形成領域も小さくなり、画質は劣化し難い。
以上をまとめると、比較例の印刷方法(図3)では、ノズル列の特性差を緩和するために、移動方向に沿うラスターライン、及び、搬送方向に並ぶドット列を、同色の2つのノズル列(例:C1とC2)で形成する。更に、移動方向に複数個(2個)並んだ一方のノズル列(C1)のドット群と、同じく移動方向に複数個(2個)並んだ他方のノズル列(C2)のドット群が、移動方向に交互に並ぶように印刷し、また、搬送方向に複数個(4個)並んだ一方のノズル列(C1)のドット群と、同じく搬送方向に複数個(4個)並んだ他方のノズル列(C2)のドット群が、搬送方向に交互に並ぶように印刷する。
そのため、ガイド軸32の撓みなどによって、印刷領域(ガイド軸32)の左右端において、同色のインクを吐出する2つのノズル列の(C1,C2)の各ドット形成位置が搬送方向にずれると(図5)、印刷画像上に大きな非ドット形成領域が生じ、画質が劣化してしまう。特に、本実施形態のヘッド41(図2)のように同色のノズル列が対称配置され、シアンノズル列C1,C2やイエローノズル列Y1,Y2のように、同色のノズル列が離れて配置される場合、ガイド軸32の撓みによる同色ドットの搬送方向の位置ずれが大きく、画質が劣化し易い。
そこで、本実施形態では、ガイド軸32の撓みやキャリッジ31の振動などにより、ヘッド41内にて離れて配置されたノズル列のドット形成位置が搬送方向にずれ、大きな非ドット形成領域が形成され、印刷画像が劣化することを防止する。
なお、ここまで、図4Aに示すようにガイド軸32が撓むことによって、2つのノズル列のドット形成位置が図4Bに示すようにずれるとしているが、これに限らず、それ以外の理由(移動機構の特性)によって、2つのノズル列のドット形成位置が図4Bに示すようにずれる場合もある。また、図4Bに示すようにドット形成位置がずれなくとも、2つの(同色)ノズル列のドット形成位置がずれると、比較例の印刷方法では図5に示すように非ドット形成領域が大きくなってしまう。また、図2に示すヘッド41のように同色ノズル列を対称配列にするに限らず、例えば同色ノズル列を隣に配置してもよい。このような場合にも、異なる2つのノズル列によって形成されるドットはガイド軸32の撓みによってずれるため媒体の埋まりが悪くなる。また、ヘッド41内に離れて配置されたノズル列が同色ノズル列でなくとも、図5に示すようにドット形成位置がずれると画質が劣化してしまう。
===本実施形態の印刷方法===
図6は、本実施形態の印刷方法を示す図である。図6の本実施形態の印刷方法は、比較例の印刷方法(図3)と同様に、ラスターラインを2種類のノズルで印刷する「2パスのオーバーラップ印刷」であり、第1シアンノズル列C1(第1ノズル列)と第2シアンノズル列C2(第2ノズル列)による印刷を例に挙げる。また、比較例の印刷方法と同様に、搬送方向の印刷解像度を「1440dpi(=D)」とし、1回のパスで同色の2ノズル列C1,C2により形成されるラスターライン間に3つのラスターラインを形成する。そのため、1回の媒体搬送量も比較例と同様に「1080dpi(=3D)」とする。ゆえに、比較例の印刷方法(図3)と本実施形態の印刷方法(図6)では、ラスターラインを形成するノズルの組み合わせが等しい。例えば、比較例の印刷方法および本実施形態の印刷方法では共に、印刷開始位置の19番目の列領域L19のラスターラインをパス3のノズル#4とパス7のノズル#1で形成し、20番目の列領域L20のラスターラインをパス2のノズル#5とパス6のノズル#2で形成する。
ただし、比較例の印刷方法と本実施形態の印刷方法では、1つのラスターラインを形成するように割り当てられた2つのノズルがそれぞれドットを形成する位置(画素)が異なる。即ち、本実施形態と比較例では、1つのラスターラインを形成する2つのノズルに対して、移動方向に並ぶ画素の割り当て方を異ならせる。比較例の印刷方法では図3に示すように、一方のノズルには左から1、2、5、6番目の画素(第1画素群)を割り当て、他方のノズルには3、4、7、8番目の画素(第2画素群)を割り当てる。その結果、比較例の印刷方法では、1つのノズルが移動方向に2画素おきにドットを形成し、第1シアンノズル列C1によるドット(○)が移動方向に連続して2個並び、また、第2シアンノズル列C2によるドット(△)が移動方向に連続して2個並ぶ。
これに対して、本実施形態の印刷方法では図6に示すように、一方のノズルには、1、3、5、7番目の画素、即ち、奇数の画素群(白い画素)を割り当て、他方のノズルには、2、4、6、8番目の画素、即ち、偶数の画素群(斜線の画素)を割り当てる。その結果、本実施形態の印刷方法では、1つのノズルが移動方向に1画素おきにドットを形成し、第1シアンノズル列C1によるドット(○)が移動方向に連続して並ぶことがなく、また、第2シアンノズル列C2によるドット(△)が移動方向に連続して並ぶこともない。
また、比較例の印刷方法と本実施形態の印刷方法では、2種類の画素群を各パスに割り当てる方法も異なる。比較例の印刷方法では、図3に示すように、各パスに、第1画素群(白い画素)または第2画素群(斜線画素)を割り当てる。具体的には、パス1に第1画素群を割り当て、パス2に第2画素群を割り当てるというように、交互に2種類の画素群を割り当てつつ、また、あるパスXのノズルとその4パス後のパスX+4のノズルで1つのラスターラインを形成するので、あるパスXに割り当てる画素群とその4パス後のパスX+4に割り当てる画素群を異ならせる必要があり、パス4とパス5に同じ第2画素群を割り当てるというように、途中に連続して同じ画素群を割り当てる。
あるパスと次のパスに異なる画素群が割り当てられる場合、その2つのパスで形成されるラスターラインでは、同じノズル列によるドットが搬送方向に並ぶ。これは、あるパスで形成するラスターラインと、次のパスでその直ぐ下流側に形成するラスターラインは、異なるノズル列C1,C2のノズルによって形成されるからである。よって、異なるノズル列によるドットが異なる画素群に形成され、同じノズル列によるドットが同じ画素群に形成され、その2つのパスで形成されるラスターラインでは同じノズル列によるドットが搬送方向に並ぶ。例えば、パス1の第2シアンノズル列C2のノズル#6が21番目の列領域L21のラスターライン用として第1画素群にドット(△)を形成し、次のパス2の第1シアンノズル列C1のノズル#5が20番目の列領域L20のラスターライン用として第2画素群にドット(○)を形成する。そして、パス5の第1シアンノズル列C1のノズル#3が21番目の列領域L21のラスターライン用として第2画素群にドット(○)を形成するため、パス1とパス2で形成される列領域L20,L21のラスターラインでは、第1シアンノズル列C1のドット(○)が第2画素群にて搬送方向に並んで形成される。
一方、あるパスと次のパスに同じ画素群が割り当てられる場合、あるパスで形成するラスターラインと、次のパスでその直ぐ下流側に形成するラスターラインは、異なるノズル列C1,C2のノズルによって形成されるため、その2つのパスで形成されるラスターラインでは、異なるノズル列によるドットが搬送方向に並ぶ。例えば、パス4の第2シアンノズル列C2のノズル#4が22番目の列領域L22のラスターライン用として第2画素群にドット(△)を形成し、次のパス5の第1シアンノズル列C1のノズル#3が21番目の列領域のラスターライン用として第2画素群にドット(○)を形成する。そのため、パス4とパス5で形成される列領域L21,L22のラスターラインでは、異なるノズル列のドット(○と△)が第2画素群にて搬送方向に並んで形成される。
このように比較例の印刷方法では、各パスに、第1画素群と第2画素群を交互に割り当てつつ(搬送方向に並ぶドットを同じノズル列で形成しつつ)、あるパスXとその4パス後のパスX+4に割り当てる画素群を異ならせるために、途中で同じ画素群を連続して割り当てる(途中で搬送方向に並ぶドットを異なるノズル列で形成する)。その結果、図3に示すように、搬送方向に連続して4個並ぶ第1シアンノズル列C1によるドット群(○)と、搬送方向に連続して4個並ぶ第2シアンノズル列C2によるドット群(△)が、交互に形成される。
これに対して、本実施形態の印刷方法では、図6に示すように、各パスに、奇数画素群(白い画素)または偶数画素群(斜線画素)を割り当てる。具体的には、パス1からパス4に同じ偶数画素群を割り当て、パス5からパス8まで同じ奇数画素群を割り当てるというように、連続して4つのパスに同じ画素群を割り当てる。これは、あるパスXのノズルとその4パス後のパスX+4のノズルで1つのラスターラインを形成するため、あるパスXに割り当てる画素群とその4パス後のパスX+4に割り当てる画素群を異ならせる必要があるからである。
各ラスターラインを形成する2つのノズルの組み合わせは、本実施形態の印刷方法においても比較例の印刷方法においても等しい。そのため、前述のように、あるパスと次のパスに同じ画素群が割り当てられる場合、その2つのパスで形成されるラスターラインでは、異なるノズル列によるドット(○と△)が搬送方向に並ぶ。例えば、図6において、パス3の第1シアンノズル列C1のノズル#5が23番目の列領域L23のラスターライン用として偶数画素群にドット(○)を形成し、パス4の第2シアンノズル列C2のノズル#4が22番目の列領域L22のラスターライン用として同じ偶数画素群にドット(△)を形成する。そのため、パス3とパス4で形成する列領域L22,L23のラスターラインでは異なるノズル列によるドットが搬送方向に並ぶ。
また、あるパスと次のパスに異なる画素群が割り当てられる場合、その2つのパスで形成されるラスターラインでは、同じノズル列によるドットが搬送方向に並ぶ。例えば、パス4の第2シアンノズル列C2のノズル#4が22番目の列領域L22のラスターライン用として偶数画素群にドット(△)を形成し、パス5の第1シアンノズル列C1のノズル#3が21番目の列領域L21のラスターライン用として奇数画素群にドット(○)を形成する。そのため、パス4とパス5で形成する列領域L21,L22のラスターラインでは同じノズル列によるドットが搬送方向に並ぶ。
その結果、本実施形態の印刷方法によれば、図6の右図に示す太枠内では、第1シアンノズル列C1によるドット(○)と第2シアンノズル列C2によるドット(△)が移動方向および搬送方向に交互に並んで形成される。説明のため、太枠で囲まれた画像の一部を「ブロック」と呼ぶ。即ち、印刷画像は、搬送方向に複数のブロックが並んで構成される。また、1ブロックは4つのラスターラインを有する。これは、各パスに2種類の画素群の何れか一方を割り当てる際に、あるパスXからパスX+3まで、4回のパスに連続して同じ画素群を割り当てるため、パスXからパスX+3にて形成されるラスターライン同士では、異なるノズル列C1,C2によるドットが搬送方向に並ぶ。即ち、パスXからパスX+3にて形成される4つのラスターラインがブロック内に位置する。例えば、パス5からパス8は同じ奇数画素群が割り当てられ、パス5からパス8が形成するラスターライン(の一部)である22番目から25番目の列領域L22〜L25のラスターラインは、同じブロック内に位置する。そして、異なる画素群が割り当てられる連続パスにて形成するラスターラインがブロックの境目に位置し、同じノズル列に形成されたドットが搬送方向に並ぶ。例えば、パス8とパス9は異なる画素群が割り当てられ、パス8のノズル#2とパス9のノズル#1が形成する25番目と26番目の列領域L25,L26のラスターラインは、それぞれ異なるブロックに属し、ブロックの境目に位置する。
図7は、ブロック内にドットが形成される過程を示す図である。パス7からパス14までに形成されるドットを示し、各パスで形成されるドットを黒丸(●)で示し、それ以前のパスで形成されるドットを白丸(○)で示す。本実施形態の印刷方法では、同色のインクを吐出するノズルピッチ(C1,C2を合わせたノズルピッチ)が「360dpi(4マス分)」であり、搬送方向の印刷解像度が「1440dpi(1マス分)」である。即ち、第1シアンノズル列C1のノズルと第2シアンノズル列C2のノズルが搬送方向に360dpiの間隔で交互に並んでいるため、1回のパスで、第1シアンノズル列C1によるドットと第2シアンノズル列C2によるドットが搬送方向に360dpiの間隔で形成される。
例えば、パス9において、2番目の画素(斜線の画素)に、第2シアンノズル列C2によるドット(▲)と第1シアンノズル列C1によるドット(●)が搬送方向に360dpi離れて形成される。そして、搬送方向の印刷解像度が1440dpiであるため、その間に3つのラスターラインが形成される。図示するように、パス9の第1シアンノズル列C1のドット(●)の下流側に、パス10からパス12でドットが形成される。このとき、2つのノズル列C1,C2のドットが搬送方向に交互に並ぶように印刷しようとすると、パス10で第2シアンノズル列C2のドット(▲)を形成し、パス11で第1シアンノズル列C1のドット(●)を形成し、パス12で第2シアンノズル列C2のドット(▲)を形成する。その結果、パス12で第2シアンノズル列C2が形成するドット(▲)とパス9で第2シアンノズル列C2が形成したドット(△)が搬送方向に並んでしまう。
つまり、あるパスで搬送方向に360dpiの間隔で2つのノズル列(C1,C2)により形成したドット(○と△)の間に、3つのドット(奇数個のドット)を形成する場合、2つのノズル列C1,C2のドットを搬送方向に交互に並べようとしても、そのパスで形成した2つのノズル列によるドットのうちの一方のドットが、同じノズル列によるドットと搬送方向に並んでしまう。そのため、搬送方向に並ぶ全てのドットに関して、第1シアンノズル列C1のドットと第2シアンノズル列C2のドットを搬送方向に交互に並べることは出来ず、ブロックの境目では同じノズル列によるドットが搬送方向に並んでしまう。
なお、あるパスで搬送方向に360dpiの間隔で2つのノズル列(C1,C2)により形成したドット(○と△)の間に、4つのドット(偶数個のドット)を形成する場合には、2つのノズル列C1,C2のドットを搬送方向に交互に並べることができる。ただし、例えば、図7のパス9の第1シアンノズル列C1のノズル#5と共に、同じラスターラインを形成するために割り当てられるノズルが、4パス後のノズル#2ではなく、5パス後のノズル#1となり、同じ第1シアンノズル列C1の2つのノズルによって1つのラスターラインを形成することになってしまう。
ゆえに、1つのラスターラインを形成する2つのノズルを異なるノズル列C1,C2のノズルとすると、あるパスで搬送方向に360dpiの間隔で2つのノズル列により形成したドットのうちの一方のドットが、同じノズル列によるドットと搬送方向に並んでしまう。
そして、2つのノズル列C1,C2によるドットを搬送方向に交互に並べることができるブロックに属するラスターラインの数は以下の式により算出される。
ブロック内のラスターライン数(k)
=搬送方向の印刷解像度S(dpi)/同色ノズルピッチP(dpi)
k=S/P
なお、「同色ノズルピッチ」とは、同色インクを吐出するノズルの間隔であり、同色の2つのノズル列(C1,C2)を1つのノズル列として見た場合のノズルピッチ(360dpi)である。例えば、本実施形態の印刷方法では(図6図7)、搬送方向の印刷解像度が1440dpiであり、同色ノズルピッチが360dpiであるため、ブロック内に属するラスターライン数は「4本(=1440(dpi)/360(dpi))」となる。図にも示すように、ブロック(太枠内)に含まれるラスターライン数は4本となっている。
次に、印刷開始位置(開始列領域)について説明する。図6に示す印刷方法では、印刷開始時において(不図示であるが印刷終了時においても)、媒体の搬送量が一定(3D)であり、ノズル列に属するノズル#1〜#6を全て使用可能ノズルとしている(不規則にノズルを使用していない)。即ち、図6に示す印刷方法では、常に一定の印刷(通常印刷)を実施し、上端・下端処理を実施していない。そして、搬送方向の印刷解像度(図中では1440dpi)に相当する媒体上の領域を「列領域」とし、パス1のノズル#1に割り当てる列領域を1番目の列領域(L1=初期列領域)とし、搬送方向上流側の列領域になるほど番号を増やしていく。
このような印刷方法において、印刷を開始可能な列領域番号は、以下の計算式により算出される。
印刷開始列領域=
{初期列領域+(ノズル間ピッチ×オーバーラップ数−1)×搬送量}
−(ノズル間ピッチ−1)
ここで、「初期列領域」は、印刷開始時(パス1)の使用可能ノズル(#1〜#6)のうちの最下流側ノズル#1に割り当てる列領域、即ち、1番目の列領域である。よって、「初期列領域=1」となる。そして、「ノズル間ピッチ」は、ブロックに属するラスターライン数kに相当し、「搬送方向の印刷解像度S(dpi)/同色ノズルピッチP(dpi)=S/P」により算出される。ここでは、搬送方向の印刷解像度Sが1440dpiであり、同色ノズルピッチPが360dpiであるため、「ノズル間ピッチ=4=1440/360」となる。「オーバーラップ数」とは、1つの列領域に割り当てられるノズル数であり、「オーバーラップ数=2」となる。「搬送量」とは、媒体搬送量(1080dpi)に対応する列領域の数であり、ここでは「搬送量=3」となる。
そのため、図6の印刷方法では、印刷開始列領域の番号は以下の式により算出できる。
印刷開始列領域={1+(4×2−1)×3}−(4−1)=19
上式より、印刷開始列領域が19番目の列領域(L19)となることが分かる。また、図6においても、印刷開始列領域が19番目の列領域となっている。
1ブロック内(ノズル間ピッチ、4つの列領域分)をドットで埋めるためには、「ノズル間ピッチ×オーバーラップ数」のパス数が必要となる。図6の印刷方法では、8パス(=4×2)が必要となる。例えば、図6の22番目から25番目の列領域(L22〜L25)に相当するブロック内にドットを形成するパスはパス2〜パス9であり、8回のパスで1つのブロックが完成している。また、図7からも1ブロックが8回のパスで完成することが分かる。そして、パス1の後から媒体が搬送されるので、印刷開始から8パス後のノズル#1に割り当てられる列領域は、式「初期列領域+(ノズル間ピッチ×オーバーラップ数−1)×搬送量」により算出できる。ここでは、パス8のノズル#1が割り当てられる列領域が「22=1+(4×2−1)×3」となり、図6においてもパス8のノズル#1に割り当てられる列領域は22番目の列領域(L22)となっている。ただし、8回のパスの間に、図6に示すノズル#1よりも下流側の「仮想ノズル#0」とノズル#1との間の列領域L19〜L21の印刷が完成する。よって、印刷開始位置は、印刷開始から8パス後のノズル#1に割り当てられる列領域(L22)よりも下流側の3個目の列領域L19にすることができる。よって、印刷開始列領域の算出式は、前述のように、パス8のノズル#1に割り当てられる列領域の算出式「初期列領域+(ノズル間ピッチ×オーバーラップ数−1)×搬送量」から、仮想ノズル#0とノズル#1の間の列領域数「ノズル間ピッチ−1」を引いた式となる。
また、図6に示すように、印刷開始から8パス後のノズル#1の列領域よりも下流側の列領域数は3個であり、仮想ノズル#0を含めればブロックが完成することが分かる。ただし、仮想ノズル#0は実際には存在しないノズルであるため、次の8サイクルも含めて初めてブロックが完成する。そのため、印刷開始位置から3個の列領域L19〜L21、即ち、印刷開始位置から「ノズル間ピッチ−1」に相当する列領域よりも後の列領域(L22以降)からブロックが完成する。そのため、ブロックの開始列領域は、以下の式により算出できる。
ブロック開始列領域=
初期列領域+(ノズル間ピッチ×オーバーラップ数−1)×搬送量
即ち、8パス後のノズル#1が割り当てられた列領域L22(=1+(4×2−1)×3)が、ブロックが開始する列領域となる。図6においても、L22から4個の列領域ごとにブロックが形成されている。なお、図3の比較例の印刷方法と本実施形態の印刷方法(図6)ではノズル間ピッチやオーバーラップ数などが等しいため、比較例の印刷方法においても、19番目の列領域L19から印刷が開始し、22番目の列領域L22以降の列領域において同じノズルによるドットが搬送方向に4個ずつ連続して形成されている。
以上をまとめると、本実施形態の印刷方法では、1つのラスターラインを同色の2種類のノズル列(例:C1,C2)で形成する。そして、移動方向に並ぶ画素(媒体上の領域)のうちの1個おきの画素を、あるラスターラインを形成する一方のノズル列に割り当て、残りの画素を、同じくあるラスターラインを形成する他方のノズル列に割り当てる。即ち、奇数画素群を一方のノズル列に割り当て、偶数画素群を他方のノズル列に割り当てる。そうすることで、一方のノズル列によるドットと他方のノズル列によるドットを移動方向に交互に並べて印刷することができる。そして、「搬送方向の印刷解像度(dpi)/同色ノズルピッチ(dpi)」により算出される数のラスターラインが属するブロック内では、一方のノズル列によるドットと他方のノズル列によるドットが搬送方向に並ぶように、各パスに割り当てる画素群(奇数画素群か偶数画素群)を設定する。即ち、ブロック内のあるラスターラインを形成する一方のノズル列に割り当てる画素と、ブロック内にてそのラスターラインと搬送方向に並ぶラスターラインを形成する他方のノズル列に割り当てる画素が、等しくなるように、各パスに割り当てる画素群を設定する。なお、図6では、連続する4つのパスごとに同じ画素群を割り当てている。
図8は、本実施形態の印刷方法(図6)を実施する際にガイド軸32の撓みやキャリッジ31移動時に振動が生じた場合のドット形成の様子を示す図である。図8は、印刷領域(ガイド軸32)の移動方向の左側にて、ヘッド41が反時計回り方向に傾いた時のドット形成位置のずれを示す。図示するように、ヘッド41が反時計回り方向に傾くと、第2シアンノズル列C2が第1シアンノズル列C1よりも搬送方向上流側に位置し、第2シアンノズル列C2によるドット(△)が第1シアンノズル列C1によるドット(○)よりも搬送方向上流側にずれて形成されてしまう。
ガイド軸32の撓み等がなければ、図6に示すように、ブロック内において(4つのラスターラインごとに)、第1シアンノズル列C1のドットと第2シアンノズル列C2のドットが移動方向および搬送方向に交互に形成される。しかし、ガイド軸32の撓みによって、第2シアンノズル列C2のドット(△)が第1シアンノズル列C1のドット(○)よりも搬送方向上流側に形成されると、図8に示すように第1シアンノズル列C1のドット(○)と第2シアンノズル列C2のドット(△)が重なって形成されてしまう。
ただし、本実施形態の印刷方法では、ブロック内において第1シアンノズル列C1によるドットと第2シアンノズル列C2によるドットを移動方向および搬送方向に交互に形成している。また、ブロックの境目では同じノズル列によるドットが搬送方向に並ぶが、搬送方向に並ぶ同じノズル列のドットの最大数は2個である。即ち、本実施形態の印刷方法では、同じノズル列によるドットが搬送方向および移動方向に少なくとも1個または2個おきに形成される。そのため、ガイド軸32の撓み等によって2つのノズル列C1とC2のドット形成位置が搬送方向に大きくずれ(例えば3〜4個分のドットがずれ)、2つのノズル列C1,C2によるドットが重なってしまっても、比較例の印刷方法(図5)のように非ドット形成領域が大きくなってしまうことを防止できる。
つまり、比較例の印刷方法(図3)では同じノズル列によるドットが移動方向に2個連続して並び、搬送方向には4個連続して並ぶため、連続して並ぶ各ノズル列C1,C2のドット群同士が大きく重なってしまうと、連続して並ぶドット分だけ、ドットが形成されない領域(非ドット形成領域)が大きくなってしまう。これに対して、本実施形態の印刷方法では、ブロック内では同じノズル列によるドットが移動方向および搬送方向に連続して並ぶことがなく、ブロックの境目で同じノズル列によるドットが搬送方向に並んだとしても2個のドットが並ぶだけである。そのため、2つのノズル列C1,C2のドットが重なってしまっても、図8に示すように移動方向及び搬送方向に1個又は2個におきにドットが形成され、非ドット形成領域を小さくできる。このように、連続するドット数を低減して、非ドット形成領域を小さくすることによって、印刷画像を巨視的に見た時に媒体の埋まりの悪さが視認され難く、画質劣化を抑制できる。
また、ガイド軸32の撓みなどによって2つのノズル列C1,C2のドット形成位置が大きくずれるに限らず、図4Bに示すようにキャリッジ31移動時の振動によっても、2つのノズル列のドット形成位置が微小にずれる。比較例の印刷方法(図5)では同じノズル列によるドットが連続して並ぶ。そのため、ガイド軸32の撓みによる2つのノズル列C1,C2のドット形成位置のずれを相殺する方向に、キャリッジ31の振動によって2つのノズル列C1,C2のドット形成位置がずれても、非ドット形成領域を埋めることは出来ない。これに対して、本実施形態の印刷方法では、ブロック内にて2つのノズル列C1,C2によるドットを不連続に並べるため、ガイド軸32の撓みにより生じる非ドット形成領域が元々小さく、ガイド軸32の撓みによる2つのノズル列C1,C2のドット形成位置のずれを相殺する方向に、キャリッジ31の振動によって2つのノズル列C1,C2のドット形成位置がずれると、非ドット形成領域を更に視認し難くすることができる。
このように、本実施形態の印刷方法によれば、ブロック内において、同色のインクを吐出する2つのノズル列のうち、一方のノズル列により形成されるドットと他方のノズル列により形成されるドットが、移動方向および搬送方向に交互に並んで形成される。即ち、ブロック内では、一方のノズル列に形成されるドットが移動方向および搬送方向に連続して並ばず、また、他方のノズル列に形成されるドットが移動方向及び搬送方向に連続して並ばない。そのため、ガイド軸32の撓みやキャリッジ31の振動による非ドット形成領域を出来る限り小さくすることができ、印刷画像の画質劣化を抑制できる。なお、「連続して並ばない」とは「連続して並ぶ画素に同じノズル列によるドットが形成されない」ということである。図6では全ての画素にドットが形成されているが、実際の印刷では第1シアンノズル列C1のドット(○)の間の第2シアンノズル列C2のドット(△)が形成されない場合がある。このように、1画素を空けて、第1シアンノズル列C1のドットが並ぶ場合、連続して並ぶとは言わない。そのため、言い換えれば、ブロック内では、一方のノズル列にドットを形成するように割り当てられる画素が移動方向および搬送方向に連続して並ばず、また、他方のノズル列にドットを形成するように割り当てられる画素が移動方向及び搬送方向に連続して並ばない。
なお、ここまで、2つのノズル列C1,C2のドット形成位置が搬送方向にずれる場合を例に挙げているが、これに限らない。何らかの原因により2つのノズル列C1,C2のドット形成位置が移動方向にずれる場合であっても、ブロック内において2つのノズル列C1,C2によるドットを不連続に並べて印刷することで、非ドット形成領域を出来る限り小さくすることができ、画質劣化を抑制できる。
<変形例>
図9は、本実施形態の印刷方法の変形例を示す図である。図中では説明の容易のためノズル数を12個に減らして描いている。ここまで、1つのラスターラインを2つのノズルで形成する印刷方法(2パスのオーバーラップ印刷)を説明しているが、これに限らない。図9は、1つのラスターラインを4つのノズルで形成する印刷方法(4パスのオーバーラップ印刷)である。図9の左図において移動方向に並ぶノズルからも分かるように、1つのノズル列を、第1シアンノズル列C1の2つのノズルと第2シアンノズル列C2の2つのノズルで印刷する。例えば、印刷開始位置の43番目の列領域L43のラスターラインは、パス3の第2シアンノズル列C2のノズル#10と、パス7の第1シアンノズル列C1のノズル#7と、パス11の第2シアンノズル列C2のノズル#4と、パス15の第1シアンノズル列C1のノズル#1により形成される。そうすることで、よりノズル特性差を緩和した画像を印刷できる。また、2つのノズル列C1,C2を1つのノズル列としたときのノズルピッチ(同色ノズルピッチ)は「360dpi」であり、図9に示す印刷方法においても、搬送方向の印刷解像度を「1440dpi」としている。よって、第1シアンノズル列C1のドットと第2シアンノズル列C2のドットが搬送方向にも移動方向にも交互に並ぶブロックに属するラスターライン数は、「4本(=1440(dpi)/360(dpi))」となる。
そして、4パスのオーバーラップ印刷においても、ブロック内にて第1シアンノズル列C1によるドットと第2シアンノズル列C2によるドットが移動方向および搬送方向に交互に並ぶように、各パスで形成するドットの位置(移動方向に並ぶ画素の何れの画素にドットを形成するのか)を設定する。1つのラスターラインを4つのノズルで形成するため、図9の右図に示すように移動方向に並ぶ画素を4つの画素群(白い画素群、縦縞の画素群、斜線の画素群、黒い画素群)に分ける。そして、ブロック内において、第1シアンノズル列C1のドットと第2シアンノズル列C2のドットが搬送方向に並ぶように、各パスに4つの画素群の何れかを割り当てる。ここでは、連続する4回のパスに同じ画素群を割り当てる。
その結果、図9の右図に示すように、ブロック(太枠)内の4つのラスターラインでは、第1シアンノズル列C1のドット(○)と第2シアンノズル列C2(△)が移動方向にも搬送方向にも連続して並ばない。そうすることで、図8に示すように、ガイド軸32の撓み等により2つのノズル列C1,C2のドット形成位置がずれたとしても、非ドット形成領域を出来る限り小さくすることができ、印刷画像の画質劣化を抑制できる。
また、4パスのオーバーラップ印刷においても、前述の印刷開始列領域を算出する式[印刷開始列領域={初期列領域+(ノズル間ピッチ×オーバーラップ数−1)×搬送量}−(ノズル間ピッチ−1)]が当てはまる。初期列領域が1であり、ノズル間ピッチが4(=1440dpi/360dpi)であり、オーバーラップ数が4であり、搬送量(に相当する列領域数)が3である。よって、印刷開始列領域は43番目の列領域[L43={1+(4×4−1)×3}−(4−1)]となる。図9においても印刷開始位置が43番目の列領域L43となっている。そして、この印刷方法では、1ブロック内(ノズル間ピッチ)をドットで埋めるためには、16回のパス(=ノズル間ピッチ×オーバーラップ数=4×4)が必要となる。そして、印刷開始から16回目のパスのノズル#1と仮想ノズル#0の間の3つの列領域にてラスターラインは完成するが、1つのブロックは4つのノズル列から構成される。よって、ブロック開始位置は図9にも示すように46番目の列領域L46となる。また、前述のブロック開始位置を算出する式[ブロック開始列領域={初期列領域+(ノズル間ピッチ×オーバーラップ数−1)×搬送量}={1+(4×4−1)×3}=L46]に当てはめた結果においても、46番目の列領域L46からブロックが開始する。
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェットプリンターを有する印刷システムについて記載されているが、画質劣化の抑制方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<プリンターについて>
前述の実施形態では、ヘッド41が移動方向に移動しながらインク滴を吐出する画像形成動作と、移動方向と交差する搬送方向に媒体を搬送する搬送動作を繰り返すプリンターを例に挙げているが、これに限らない。例えば、連続用紙をまず印刷領域に搬送し、印刷領域に位置する用紙に対して、ヘッドを用紙の搬送方向に移動させながら画像を形成する動作とヘッドを紙幅方向に移動する動作を繰り返して画像を形成し、その後、未だ印刷が完了していない用紙部分を印刷領域に搬送して画像を形成するプリンターでもよい。
<印刷装置について>
前述の実施形態では、プリンターが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の印刷装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。
また、インクの吐出方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることにより流体を噴射するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって液体を噴射させるサーマル方式でもよい。
1 プリンター、10 コントローラー、11 インターフェース部、
12 CPU、13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 ガイド軸、40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、60 コンピューター

Claims (5)

  1. 液体を吐出するノズルが所定方向に第1の間隔で並んだ第1ノズル列と、
    液体を吐出するノズルが前記所定方向に前記第1の間隔で並んだ第2ノズル列であって、前記第1ノズル列よりも前記所定方向の一方側に前記第1の間隔の半分の間隔である第2の間隔だけずれて配置された第2ノズル列と、
    前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と媒体とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから液体を吐出させる画像形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記所定方向に相対移動させる移動動作を繰り返させて、媒体上に画像を形成させる制御部と、
    を有し、
    前記画像は、前記所定方向に並んだ複数のブロックを有し、
    前記画像の前記所定方向の解像度をSとし、前記第2の間隔をPとしたとき、前記ブロックが有する前記移動方向に沿うドット列の数kを表す式が、
    k=S/P
    であり、
    前記ブロック内では、前記第1ノズル列に形成されるドットが前記所定方向及び前記移動方向に連続して並ばず、また、前記第2ノズル列に形成されるドットが前記所定方向及び前記移動方向に連続して並ばない、
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 請求項1に記載の液体吐出装置であって、
    前記ブロック内の前記移動方向に沿う或るドット列を形成する前記第1ノズル列の前記ノズルに、前記移動方向に並ぶ1個おきの画素を割り当て、
    前記或るドット列を形成する前記第2ノズル列の前記ノズルに、前記移動方向に並ぶ前記画素のうち、前記第1ノズル列の前記ノズルに割り当てない前記画素を割り当て、
    前記移動方向に並ぶ画素のうち、前記或るドット列を形成する前記第1ノズル列の前記ノズルに割り当てる画素の前記移動方向の位置と、前記ブロック内にて前記或るドット列と前記所定方向に並ぶドット列を形成する前記第2ノズル列の前記ノズルに割り当てる画素の前記移動方向の位置を、等しくする、
    液体吐出装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置であって、
    1回の前記画像形成動作によって前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列によって形成する前記移動方向に沿うドット列の間に、移動方向に沿う奇数個のドット列を形成する、
    液体吐出装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液体吐出装置であって、
    前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを、前記移動方向の第1の側から第2の側へ相対移動させる際にも、前記移動方向の前記第2の側から前記第1の側へ相対移動させる際にも、前記ノズルから液体を吐出させ、
    複数種類の液体をそれぞれ吐出する複数のノズル列を有し、
    前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列は同じ種類の液体を吐出し、
    前記第1ノズル列と前記第2ノズル列の間に複数の前記ノズル列が位置する、
    液体吐出装置。
  5. 液体を吐出するノズルが所定方向に第1の間隔で並んだ第1ノズル列、及び、液体を吐出するノズルが前記所定方向に前記第1の間隔で並んだ第2ノズル列であって、前記第1ノズル列よりも前記所定方向の一方側に前記第1の間隔の半分の間隔である第2の間隔だけずれて配置された第2ノズル列と、媒体とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから液体を吐出させる画像形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記所定方向に相対移動させる移動動作を繰り返し、媒体上に画像を形成する液体吐出方法であって、
    前記画像は、前記所定方向に並んだ複数のブロックを有し、
    前記画像の前記所定方向の解像度をSとし、前記第2の間隔をPとしたとき、前記ブロックが有する前記移動方向に沿うドット列の数kを表す式が、
    k=S/P
    であり、
    前記ブロック内では、前記第1ノズル列に形成されるドットが前記所定方向及び前記移動方向に連続して並ばず、また、前記第2ノズル列に形成されるドットが前記所定方向及び前記移動方向に連続して並ばない、
    ことを特徴とする液体吐出方法。
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