JP2011093056A - 情報処理方法及び装置並びにプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】装置は、カメラが取り付けられたロボットアームを、対象物まで移動させる移動制御を行う。すなわち、装置は、対象物の位置に基づいて予め設定された目標位置までの経路に沿って、マニュピュレータを移動させるティーチングプレイバック制御を実行中に、対象物が検知された場合、視覚サーボ制御を実行する。装置は、この視覚サーボ制御を実行する上で、マニュピュレータの所定の状態に基づいて、視覚サーボ制御係数に含まれる係数の少なくとも一部を変更する(例えば実施形態におけるビジュアルインピーダンス制御の移動処理のステップS32,S33,S36,S37)。
【選択図】図17
Description
そこで、この誤差を解消すべく、特許文献1及び2には、ロボットアームの先端に取り付けられたカメラにより、ロボットアームの先端の位置とボルト穴の実際の位置との偏差を求め、この偏差に基づいて、ロボットアームの位置補正を行う手法が開示されている。この位置補正には、偏差に基づく値をフィードバック値として用いる所定のフィードバック制御、例えばPID制御が用いられる。
ビジュアルインピーダンス制御とは、従来のインピーダンス制御に基づく制御であって、従来のインピーダンス制御では実測により与えられていた外力の代わりに、カメラ等の視覚装置の出力情報により与えられる仮想的な外力を用いる制御である。
すなわち、本出願人は、ティーチングプレイバック制御によるロボットアームが移動している最中に、カメラ等の視覚装置により対象物が視認されると、ビジュアルインピーダンス制御に切り替える、という制御手法を開発した。以下、かかる制御手法を「基礎制御手法」と称する。
基礎制御手法については、本出願人により特願2008−310412号として既に出願されている。なお、ビジュアルインピーダンス制御は、特願2008−310412号の願書に添付した明細書においては「非接触型インピーダンス制御」と称されている。
基礎制御手法は、自動車のドアのボルト締め作業のみならず、マニュピュレータが移動すべき対象物が多数存在するワークの作業に対して広く一般的に適用することが可能である。
前記移動制御を切り替えるための切替条件が満たされるまでの間、前記対象物の位置に基づいて予め設定された目標位置までの経路に沿って、前記マニュピュレータを移動させるティーチングプレイバック制御を実行する第1の制御ステップ(例えば実施形態におけるボルト締め処理のステップS1)と、
前記切替条件が満たされた場合、前記視覚装置により視認された前記対象物の位置情報を取得し、1以上の係数を含む制御式に対して前記位置情報をフィードバック情報とし代入して演算し、その演算結果に基づいて、前記マニュピュレータを前記対象物まで移動させる視覚サーボ制御を実行する第2の制御ステップ(例えば実施形態におけるボルト締め処理のステップS5)と、
を含み、
前記第2の制御ステップは、
前記マニュピュレータの所定の状態に基づいて、前記1以上の係数の少なくとも一部を変更する係数変更ステップ(例えば実施形態におけるビジュアルインピーダンス制御の移動処理のステップS32,S33,S36,S37)を含む、
ことを特徴とする。
前記マニュピュレータと前記対象物との位置の偏差に応じて可変する、前記マニュピュレータにかかる仮想外力を示す係数Fαと、
前記マニュピュレータについての仮想粘性を示す係数Ddと、
を少なくとも含む制御式(例えば実施形態における式(4))に従って演算されるビジュアルインピーダンス制御であり、
前記情報処理装置は、前記係数変更ステップの処理として、前記切替条件が満たされたときの前記マニュピュレータの速度に基づいて、前記係数Ddを変更する(例えば実施形態におけるビジュアルインピーダンス制御の移動処理のステップS32,S33)
ようにすることができる。
前記情報処理装置は、前記係数変更ステップの処理として、前記偏差小条件が満たされた場合、前記係数Fαを、元の量よりも大きくなるように更新するようにすることができる。
前記情報処理装置は、前記係数変更ステップの処理として、前記偏差小条件が満たされた場合、前記係数Ddを、前記切替条件が満たされたときに更新された量よりも大きくなるように変更するようにすることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るロボットシステム1の概略外観構成を示す斜視図である。
例えば、ロボットシステム1は、自動車の生産ラインに配設され、自動車のドア等をワーク2として、ワーク2の組立時におけるボルト締めを行う。すなわち、ワーク2の表面においては、N個の予め規定されている位置(以下、「規定位置」と称する)の各々にボルト穴21−1乃至21―N(図1にはボルト穴21−1乃至21−4のみ図示)が形成されている。なお、Nは、1以上の整数値であり、図1の例では4以上の整数値である。ロボットシステム1は、ボルト穴21−1乃至21―Nの各々に対して、ボルトを挿入して捻じ込む作業を行う。
なお、以下、ボルト穴21−1乃至21―Nを個々に区別する必要が無い場合、これらをまとめて「ボルト穴21」と称する。
多関節マニュピュレータ23は、関節31a乃至31dと、連結部材32a乃至32eと、各関節31a乃至31dを回転させるサーボモータ(図示せず)と、サーボモータの位置、速度、電流等の各種状態を検出する検出器(図示せず)と、を備える。
各サーボモータによる各関節31a乃至31dの回転動作と、それらの回転動作に連動する各連結部材32a乃至32eの移動動作との組合せにより、多関節マニュピュレータ23の全体の動作、すなわちロボットアーム11の全体の動作が実現される。
カメラ13は、エンドエフェクタ12の先端の方向に対して、画角の範囲内にある画像を撮影する。以下、カメラ13により撮影された画像を、「撮影画像」と称する。ここで、本実施形態では、画角の中心であるエンドエフェクタ12の先端の位置が、ロボットアーム11の位置として採用されている。これにより、撮影画像の中心位置がロボットアーム11の位置となるため、後述する制御装置15は、撮影画像の画像データに対して画像処理を施すことで、撮影画像に含まれる各被写体についての、ロボットアーム11の位置に対する相対位置を容易に求めることができる。
ロボットアーム駆動装置14は、このような制御中に、フィードバック値に基づいてロボットアーム11の位置や速度等の各種状態を逐次検出し、その検出結果を状態情報として制御装置15に供給する。
図2は、制御装置15の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
ロボットアーム制御部41は、ロボットアーム駆動装置14を介して、ロボットアーム11の移動を制御する。ロボットアーム11は、この制御により、ボルト穴21まで移動する。
エンドエフェクタ制御部42は、ロボットアーム11がボルト穴21まで移動すると、エンドエフェクタ12を制御する。エンドエフェクタ12は、この制御により、ボルトをボルト穴21に挿入して捻じ込む。
ロボットアーム制御部41は、ティーチングプレイバック制御部51と、視覚サーボ制御部52と、制御切替部53と、画像処理部54と、ロボットアーム状態取得部55と、を備える。
ティーチングプレイバック制御部51は、教示位置保持部61と、目標位置決定部62と、移動指令生成部63と、を備える。
教示位置保持部61は、ティーチングプレイバック制御で用いられる経路の情報を保持する。すなわち、予め教示により設定された1以上の教示位置を、予め設定された所定の順番で結ぶことで形成される経路が、ティーチングプレイバック制御において用いられている。従って、1以上の教示位置に関する情報、例えばその座標や経路内の順番を示す情報が、教示位置保持部61に保持される。
目標位置決定部62は、教示位置保持部61の保持内容から、次回の教示位置を認識する。そして、目標位置決定部62は、次回の教示位置に基づいて、ロボットアーム11の次回の目標位置を決定し、移動指令生成部63に通知する。なお、目標位置決定部62による目標位置の決定手法の詳細については、図3乃至図8等の図面を参照して後述する。
移動指令生成部63は、目標位置決定部62から通知された目標位置に基づいて移動指令を生成し、制御切替部53を介してロボットアーム駆動装置14に供給する。すると、上述したように、ロボットアーム駆動装置14は、この移動指令に従って、ロボットアーム11を目標位置まで移動させる。
なお、制御を切り替えるための所定の条件(以下、「制御切替条件」と称する)の具体例については、図7や図8を参照して後述する。
式(1)において、Md,Dd,Kdのそれぞれが、質量(マス)、粘性(ダンパ)、及び弾性(バネ)の各々のインピーダンスのパラメータを示している。Xは、ロボットのエンドエフェクタの位置を示し、Xdは、ロボットのエンドエフェクタの目標位置を示している。Fは、ロボットのエンドエフェクタにかかる外力を示している。従来においては、質量Md,粘性Dd,弾性Kdのそれぞれは、所望の動特性が得られるようにソフトウェア上で設定されていた。
従来のインピーダンス制御では、ロボットのエンドエフェクタが物体に接触していることが前提とされる。このため、ロボットのエンドエフェクタに搭載されたセンサにより外力Fが実測され、その実測値がフィードバック値として用いられていた。このような物体の接触が前提となる従来のインピーダンス制御を、以下、「接触型インピーダンス制御」と称する。
ビジュアルインピーダンス制御では、外力Fの実測はできないので、ロボットアーム11の位置Xの目標位置Xdに対する偏差(X−Xd)が、ロボットアーム11のワーク2に対する仮想接触量として用いられる。そして、式(2)に示すように、この仮想接触量である偏差(X−Xd)を用いて、エンドエフェクタ12にかかる仮想的な外力Fが算出される。
式(2)において、右辺のfは、偏差(X−Xd)を入力パラメータとする所定の関数を示している。具体的には例えば本実施形態では、式(2)として、次の式(3)が採用されている。なお、式(3)におけるλは所定の定数を示している。
式(3)を式(1)に代入して変形すると、次の式(4)が得られる。
式(4)におけるFαは、次の式(5)に示す通り、偏差(X−Xd)により可変するパラメータ、すなわち、仮想的な外力Fに基づくパラメータである。
パラメータFαは、式(4)より、値が増加すると左辺の加速度を増加させる機能、すなわち、自動車の運転に例えるならばいわゆるアクセルの機能を有している。そこで、以下、パラメータFαを、「アクセル量Fα」と称する。
一方、パラメータDdは、上述のごとく仮想の粘性(ダンパ)を示しているが、式(4)より、値が増加すると左辺の加速度を減少させる機能、すなわち、自動車の運転に例えるならばいわゆるブレーキの機能を有している。そこで、以下、パラメータDdを、「ブレーキ量Dd」と称する。
Vは、ロボットアーム11の速度を示している。ロボットアーム11の速度Vは、本実施形態ではロボットアーム駆動装置14から制御装置15に供給される状態情報に含まれている。
式(4)の右辺の各種パラメータは、事前のテストに基づいて予め設定された値を採用してもよいし、ビジュアルインピーダンス制御により移動中のロボットアーム11の運動状態に従って可変する値を採用してもよい。本実施形態では、仮想質量Mdが予め設定されているのに対して、アクセル量Fα及びブレーキ量Ddが、ビジュアルインピーダンス制御により移動中のロボットアーム11の運動状態に従って可変する。アクセル量Fα及びブレーキ量Ddの可変設定の手法については、図9乃至図13を参照して後述する。
パラメータ設定部65は、式(4)の右辺の各種パラメータを設定する。この設定のために、パラメータ保持部64の保持内容、後述する画像処理部54から供給される偏差(X−Xd)、及び、後述するロボットアーム状態取得部55から供給される速度Vが用いられる。なお、アクセル量Fα及びブレーキ量Ddの設定手法については、図9乃至図13を参照して後述する。
視覚サーボ演算部66は、パラメータ設定部65により設定された各種パラメータを式(4)に代入して演算し、その演算結果を移動指令生成部67に供給する。
移動指令生成部67は、視覚サーボ演算部66の演算結果に基づいて、移動指令を生成し、制御切替部53を介してロボットアーム駆動装置14に供給する。すなわち、視覚サーボ演算部66の演算結果とは、式(4)の左辺に示すように加速度であるため、移動指令生成部67は、この加速度を積分することで、位置指令としての移動指令を生成し、制御切替部53を介してロボットアーム駆動装置14に供給する。
移動指令が供給されたロボットアーム駆動装置14は、上述したように、この移動指令に従って、ロボットアーム11をボルト穴21に向けて移動させる。ロボットアーム11の位置とボルト穴21の位置とが略一致すると、視覚サーボ制御部52によるビジュアルインピーダンス制御は停止し、ロボットアーム11の移動動作が停止する。すると、エンドエフェクタ制御部42は、エンドエフェクタ12を制御して、ボルトをボルト穴21に挿入して捻じ込む。
対象物認識部68は、カメラ13から出力された画像データに基づいて、撮影画像の中から対象物を認識する。本実施形態では、対象物認識部68は、ボルト穴21を対象物として認識すると、その認識結果及び撮影画像の画像データを誤差検出部69に供給する。
誤差検出部69は、撮影画像の画像データに対して画像処理を施すことで、撮影画像に対象物として含まれるボルト穴21の、ロボットアーム11の位置X(画像の中心位置)に対する相対位置を求める。ここで、ボルト穴21の実際の位置が、ロボットアーム11の目標位置Xdであることから、このような相対位置が、ビジュアルインピーダンス制御に用いられる偏差(X−Xd)に相当する。偏差(X−Xd)は、ビジュアルインピーダンス制御のフィードバック情報として視覚サーボ制御部52に供給され、必要に応じて、制御切替条件の1つとして制御切替部53に供給される。
次に、図3乃至図8を参照して、本出願人により開発され、特願2008−310412号として既に出願された基礎制御手法が有する課題を説明し、引き続き、その課題を解決可能な手法について説明する。
はじめに、図1に示すロボットシステム1に対して、図2の制御装置15の代わりに基礎制御手法が適用された制御装置(以下、「基礎制御装置」と称する)が設けられたロボットシステムを仮定して、図3乃至図5を参照して基礎制御手法が有する課題について説明する。
図3に示すように、基礎制御手法におけるティーチングプレイバック制御では、予め設定された教示位置P1を目標位置として、ロボットアーム11は移動していく。
この間、カメラ13は、撮影画像の画像データを基礎制御装置に逐次出力している。ロボットアーム11が図3中下方の位置に存在する場合には、カメラ13の画角内にボルト穴21が存在しない。従って、このような場合、図示はしないが、撮影画像にはボルト穴21は含まれていないため、基礎制御装置はボルト穴21を検出しない。
その後、ロボットアーム11が教示位置P1の近傍に移動してきて、例えば図3中上方の位置に到達すると、カメラ13の画角内にボルト穴21が現れるようになり、図4に示すように、撮影画像の被写体として、ボルト穴21が含まれるようになる。このような場合、基礎制御装置は、撮影画像からボルト穴21を認識し、そのボルト穴21の中心位置に対する相対位置P3を求める。なお、相対位置P3の座標は、カメラ13の画角内の座標系(以下、「カメラ座標系」と称する)により表現される。
ここで、図4に示す撮影画像の中心位置は、上述の如く、ロボットアーム11の位置Xである。また、ロボットアーム11の真の目標位置とは、ティーチングプレイバック制御の教示位置P1ではなく、ボルト穴21の位置P3である。従って、撮影画像における位置P3の座標が、ビジュアルインピーダンス制御に用いられる偏差(X−Xd)に相当する。従って、撮影画像にボルト穴21が含まれるようになった時点、すなわち、基礎制御装置がボルト穴21を検出できた時点で、理論上、ビジュアルインピーダンス制御の実行が可能になる。
すなわち、特許文献1や2等の従来の制御手法では、ティーチングプレイバック制御が終了してロボットアームが一旦停止した後、位置の誤差を補正するためのフィードバック制御(例えばPID制御)が実行されていた。これに対して、基礎制御手法では、ティーチングプレイバック制御によるロボットアーム11の移動動作中に、従来のように無駄な停止動作を伴うことなく、ビジュアルインピーダンス制御に切り替えることができる。
図5において、横軸は時間を示し、縦軸は、ロボットアーム11の速度Vを示す。
図5に示すように、基礎制御手法のティーチングプレイバック制御においては、ロボットアーム11の速度Vは、初期段階では一定の速度であるが、一定段階を過ぎると、一定の割合で減速していく。
1つ目の制御手法においては、初期段階には、教示位置P1を目標位置として、ティーチングプレイバック制御によりロボットアーム11が目標位置に向けて移動する。この間、カメラ13は、撮影画像の画像データを制御装置15に逐次出力し続ける。
すると、ロボットアーム11が図6の下方に示す位置から上方に示す位置まで移動してきた段階で、画像処理部54は、カメラ13の撮影画像からボルト穴21を検出する。
ここまでの処理は、基礎制御手法が適用された場合の処理と同様である。
ただし、本発明が適用される1つ目の制御手法においては、カメラ13の撮影画像からボルト穴21が検出された段階では、基礎制御手法のようにビジュアルインピーダンス制御に切り替わらずに、ティーチングプレイバック制御のままで、次のような一連の処理が実行される。
すなわち、ティーチングプレイバック制御部51の目標位置決定部62は、ティーチングプレイバック制御の目標位置を、教示位置P1から、ボルト穴21により近い位置P4に変更する。なお、以下、位置P4を、「仮想目標の位置P4」と称する。
次に、ティーチングプレイバック制御部51の移動指令生成部63は、教示位置P1から仮想目標の位置P4までの新経路PLを設定し、この新経路PLに従って移動指令を生成し、制御切替部53を介してロボットアーム駆動装置14に供給する。すると、ロボットアーム駆動装置14は、この移動指令に従って、ロボットアーム11を新経路PLに沿って移動させる。
このようなティーチングプレイバック制御によりロボットアーム11が新経路PLに沿って移動している最中に、制御切替条件が満たされると、制御切替部53は、ロボットアーム11の動作の制御を、ティーチングプレイバック制御からビジュアルインピーダンス制御に切り替える。
図7において、横軸は時間を示し、縦軸は、ロボットアーム11の速度Vを示す。
例えば、図7に示すように、所定の速度を閾値thv1として予め定義することで、「ロボットアーム11の速度Vが閾値thv1以下となること」という制御切替条件を採用することができる。
この場合、ロボットアーム11の速度Vが常に閾値thv1と略同一の速度で、ビジュアルインピーダンス制御に切り替えられる。ここで、閾値thv1をビジュアルインピーダンス制御にとって適切な範囲内で定義することで、ビジュアルインピーダンス制御が安定して適切に実行される。その結果、基礎制御手法と比較してより一段と高速、高精度、かつ制御系として安定に、ロボットアーム11を真の目標位置であるボルト穴21まで移動させることが容易に可能になる。
図11において、横軸は時間を示し、縦軸は、偏差(X−Xd)を示す。
例えば、図8に示すように、所定の短距離を閾値thp1として予め定義することで、「偏差(X−Xd)が、閾値thp1以下となること」という制御切替条件を採用することができる。
この場合、ロボットアーム11の偏差(X−Xd)が常に閾値thp1と略同一の偏差で、ビジュアルインピーダンス制御に切り替えられる。ここで、閾値thp1をビジュアルインピーダンス制御にとって適切な範囲内で定義することで、ビジュアルインピーダンス制御が安定して適切に実行される。その結果、基礎制御手法と比較してより一段と高速、高精度、かつ制御系として安定に、ロボットアーム11を真の目標位置であるボルト穴21まで移動させることが容易に可能になる。
すなわち、基礎制御手法は、ティーチングプレイバック制御によりロボットアーム11の移動が実行される第1のステップと、ビジュアルインピーダンス制御によりロボットアーム移動が実行される第3のステップと、を含む手法であった。
これに対して、本発明が適用される1つ目の制御手法は、第1のステップと第3のステップとの間にさらに、ティーチングプレイバック制御の修正移動処理が実行される第2のステップを含む手法である。そこで、以下、このような制御手法を、「3ステップ移動制御手法」と称する。
このように、3ステップ移動制御手法では、ビジュアルインピーダンス制御への切替前に、ティーチングプレイバック制御の修正移動処理が実行されるので、カメラ13の画角を変えることなく、ロボットアーム11の速度V等の状態を一定の範囲内に収めて、ビジュアルインピーダンス制御を開始することができる。この「一定の範囲」は、切替条件を適切に設定することで、ビジュアルインピーダンス制御にとって適切な範囲とすることが容易にできる。この場合、ビジュアルインピーダンス制御が安定して適切に実行される。その結果、基礎制御手法と比較してより一段と高速、高精度、かつ制御系として安定に、ロボットアーム11を真の目標位置であるボルト穴21まで移動させることが容易に可能になる。
2つ目の制御手法は、ロボットアーム11の動作の制御が、ティーチングプレイバック制御からビジュアルインピーダンス制御に切り替えられた後の制御手法である。
基礎制御手法が有する課題が生ずる要因のひとつは、上述したように、ビジュアルインピーダンス制御に切り替わった時点のロボットアーム11の速度V等の状態が、ビジュアルインピーダンス制御の式(4)に示す各種パラメータを設定した際に仮定した状態と大きく異なる場合があるということである。
そこで、2つ目の制御手法では、視覚サーボ制御部52が、ビジュアルインピーダンス制御に切り替わった時点及びその後のロボットアーム11の速度V等の状態に応じて、ビジュアルインピーダンス制御の式(4)に示すアクセル量Fα又はブレーキ量Ddを可変設定する。これにより、ロボットアーム11の速度V等の状態によらず、ビジュアルインピーダンス制御が安定して適切に実行される。その結果、基礎制御手法と比較してより一段と高速、高精度、かつ制御系として安定に、ロボットアーム11をボルト穴21まで移動させることが容易に可能になる。
図9乃至図13を参照して、ビジュアルインピーダンス制御のパラメータ可変設定手法についてさらに詳細に説明する。
図9において、横軸のVは、ロボットアーム11の速度を示し、縦軸のDiは、ビジュアルインピーダンス制御への切替時におけるブレーキ量(以下、特に「初期ブレーキ量」と称する)を示している。
図9に示すように、ビジュアルインピーダンス制御への切替時におけるロボットアーム11の速度Vが高速になる程、初期ブレーキ量Diが大きくなるように設定される。具体的には例えば、式(6)に示すように初期ブレーキ量Diは演算される。
式(6)において、S1,I1のそれぞれは、実験により得られたパラメータである。すなわち、ロボットアーム11の速度Vに対する最適なブレーキ量Ddが実験により得られており、この実験に基づいてパラメータS1,I1のそれぞれが予め求められている。
式(5)に示す通り、基礎制御手法においては、アクセル量Fαは、偏差(X−Xd)に比例するパラメータであるので、偏差(X−Xd)が小さくなっていくと、その分だけアクセル量Fαも小さくなっていく。その結果、ロボットアーム11の加速度も減少していくため、収束の反応が鈍くなっていくという課題が生ずるのである。
図10において、横軸は、式(5)により演算されるアクセル量Fα、すなわち更新前のアクセル量Fαを示している。なお、以下、図10の記載にあわせて、式(5)により演算されるアクセル量Fαを、特に「アクセル量Fαb」と称する。縦軸は、更新後のアクセル量Fnを示している。
偏差(X−Xd)が一定以下になると、図10に示すように、更新前のアクセル量Fαbよりも、更新後のアクセル量Fnが大きくなるように設定される。具体的には例えば、式(7)に示すように更新後のアクセル量Fnは演算される。
式(7)において、C1は、実験により得られたパラメータである。すなわち、偏差(X−Xd)に対する最適なアクセル量Fαが実験により得られており、この実験に基づいてパラメータC1が予め求められている。
図11は、偏差小条件の一例を説明する図である。
図11において、横軸は時間を示し、縦軸は、ロボットアーム11の速度Vを示す。
例えば、図11に示すように、偏差(X−Xd)が所定の短距離になった時点に想定される速度を、閾値thv2として予め定義することで、「ロボットアーム11の速度が閾値thv2以下となること」という偏差小条件を採用することができる。
図11において、曲線81は、このような偏差小条件が満たされる前には更新前のアクセル量Fαbが設定され、満たされた後には更新後のアクセル量Fnが設定される場合における、速度Vと時間との関係を示している。
一方、曲線82は、最後まで更新前のアクセル量Fαbが設定される場合における、速度Vと時間との関係を示している。
曲線81と曲線82とを比較すると明らかなように、偏差小条件が満たされた後にアクセル量Fαとして更新前のアクセル量Fαbから更新後のアクセル量Fnに変更することで、ビジュアルインピーダンス制御の加速度が更新前よりも高くなるので、偏差(X−Xd)が一定以下になった後のビジュアルインピーダンス制御を適切に実行することが可能になり、収束の反応が早くなる。
図12において、横軸は時間を示し、縦軸は、偏差(X−Xd)を示す。
例えば、図12に示すように、所定の短距離を閾値thp2として予め定義することで、「偏差(X−Xd)が閾値thp2以下となること」という偏差小条件を採用することができる。
図12において、曲線83は、このような偏差小条件が満たされる前には更新前のアクセル量Fαbが設定され、満たされた後には更新後のアクセル量Fnが設定される場合における、偏差(X−Xd)と時間との関係を示している。
一方、曲線84は、最後まで更新前のアクセル量Fαbが設定される場合における、偏差(X−Xd)と時間との関係を示している。
曲線83と曲線84とを比較すると明らかなように、偏差小条件が満たされた後にアクセル量Fαとして更新前のアクセル量Fαbから更新後のアクセル量Fnに変更することで、ビジュアルインピーダンス制御の加速度が更新前よりも高くなるので、偏差(X−Xd)が一定以下になった後のビジュアルインピーダンス制御を適切に実行することが可能になり、収束の反応が早くなる。
図13において、横軸は、ロボットアーム11の速度Vを示しており、縦軸は、更新後のブレーキ量Dnを示している。
偏差(X−Xd)が一定以下になると、図13に示すように、式(6)に示す初期ブレーキ量Diよりも大きい量が、更新後のブレーキ量Dnとして設定される。具体的には例えば、式(8)に示すように更新後のブレーキ量Dnは演算される。
式(8)において、C2は、実験により得られたパラメータである。すなわち、ロボットアーム11の速度Vに対する最適なブレーキ量Ddが実験により得られており、この実験に基づいてパラメータC2が予め求められている。
なお、式(6)に示す初期ブレーキ量Diから、式(8)に示す更新後のブレーキ量Dnへの切替条件は、本実施形態では偏差小条件がそのまま採用されている。しかしながら、これは例示であり、切替条件は、偏差小条件に一致させなくてもよい。
なお、3ステップ移動制御手法と、ビジュアルインピーダンス制御のパラメータ可変設定手法とは、相互に独立した手法であるため、組合せて適用する必要は特に無く、何れか一方のみを適用してもよい。ただし、本実施形態のように組合せて用いることで、上述した効果はより顕著なものとなる。
図14は、制御装置15のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
なお、図15は、1つのボルト穴21に対してボルト締めを行うまでの一連の処理を示している。すなわち、本実施形態では、N個のボルト穴21−1乃至21−Nがワーク2に存在するので、N個のボルト穴21−1乃至21−Nのそれぞれに対して、図15のボルト締め処理が繰り返し実行される。
すなわち、CPU101は、ティーチングプレイバック制御により、教示位置P1に基づいて移動指令を生成し、通信部109を介して、ロボットアーム駆動装置14に送信する。すると、上述したように、ロボットアーム駆動装置14は、この移動指令に従って、ロボットアーム11を教示位置P1に向けて移動させる。
すなわち、ロボットアーム11が教示位置P1に向けて移動している間、カメラ13は、撮影画像の画像データを制御装置15に逐次送信し続ける。
CPU101は、この画像データを通信部109を介して受信し、所定の画像処理を施すことで、撮影画像にボルト穴21が含まれるか否かを判定する。撮影画像にボルト穴21が含まれていない限り、ステップS2において対象物は検知されていないと判定され、処理はステップS1に戻され、それ以降の処理が繰り返される。すなわち、撮影画像にボルト穴21が含まれるようになるまでの間、ステップS1,S2NOのループ処理が繰り返し実行されて、ティーチィングプレイバック制御によりロボットアーム11が教示位置P1に向けて移動し続ける。
ロボットアーム11が教示位置P1に近づき、カメラ13の画角内にボルト穴21が現れると、撮影画像にボルト穴21が含まれるようになる。このような場合、CPU101は、このボルト穴21を対象物として検知する。これにより、ステップS2において、YESであると判定されて、処理はステップS3に進む。
すなわち、図6を用いて上述したように、CPU101は、ティーチングプレイバック制御の目標位置を、教示位置P1から、仮想目標の位置P4に変更する。
CPU101は、教示位置P1から仮想目標の位置P4までの新経路PLを設定し、この新経路PLに従って移動指令を生成し、通信部109を介してロボットアーム駆動装置14に供給する。すると、ロボットアーム駆動装置14は、この移動指令に従って、ロボットアーム11を新経路PLに沿って移動させる。
その後、CPU101は、制御切替条件を満たすか否かを逐次判定する。
制御切替条件が満たされるまでの間、ティーチィングプレイバック制御によりロボットアーム11が新経路PLに沿って移動し続ける。
そして、制御切替条件が満たされると、ティーチングプレイバック制御の修正移動処理が終了して、処理はステップS4に進む。
なお、ティーチングプレイバック制御の修正移動処理の詳細例については、図16のフローチャートを参照して後述する。
なお、以下、このようなステップS5の処理を、「ビジュアルインピーダンス制御の移動処理」と称する。
ビジュアルインピーダンス制御の移動処理の詳細例については、図17のフローチャートを参照して後述する。
ロボットアーム11がボルト穴21まで移動して、偏差(X−Xd)が略0になると、位置決めが完了したと判定されて、ビジュアルインピーダンス制御の移動処理が終了し、処理はステップS6に進む。
これにより、ボルト締め処理は終了する。
図16は、ティーチングプレイバック制御の修正移動処理の流れの詳細例を示すフローチャートである。
上述したように、ボルト穴21が対象物として検知されると、ステップS2においてYESであると判定されて、ティーチングプレイバック制御の修正移動処理として、次のようなステップ11乃至S20の処理が実行される。
データ作成数iとは、新経路PLの候補となるデータ(以下、「新経路候補」と称する)の作成済みの個数をいう。ここで、新経路候補の必要データ数をn(nは1以上の任意の整数値)とすると、データ作成数iは、1乃至nの何れかの値をとる。
ロボットアーム11の位置P2iとは、本実施形態では、ワーク2が存在する空間の座標系(以下、「ワールド座標系」と称する)におけるエンドエフェクタ12の先端の座標をいう。ロボットアーム11の位置P2iは、本実施形態では、ロボットアーム駆動装置14により検出され、状態情報に含まれて制御装置15に送信される。そこで、CPU101は、通信部109を介して状態情報を受信し、この状態情報から、ロボットアーム11の位置P2iを取得する。
カメラ内対象物の位置P3iとは、本実施形態では、カメラ13の撮影画像に対象物として含まれるボルト穴21についての、カメラ座標系での座標をいう。CPU101は、カメラ13の撮影画像の画像データを通信部109を介して受信し、上述のごとく、この画像データに対して画像処理を施すことで、カメラ内対象物の位置P3iを取得する。
ステップS15において、CPU101は、教示位置P1から仮想目標の位置P4iまでの新経路候補PLiを作成する。
これにより、作成済みの新経路候補PLiが1つ増えたので、ステップS16において、CPU101は、データ作成数iを1だけインクリメントする(i=i+1)。
n個目の新経路候補PLnが作成されて、データ作成数i=nになると、次のステップS17においてYESであると判定されて、処理はステップS18に進む。
なお、新経路PLの決定手法自体は、新経路候補PL1乃至PLnの少なくとも一部を用いる手法であれば、特に限定されない。
例えば、CPU101は、新経路候補PL1乃至PLnの各々の仮想目標の位置P41乃至P4nを平均化した位置を、仮目標の位置P4として設定することによって、教示位置P1から仮想目標の位置P4までの新経路PLを作成することができる。この場合、仮想目標の位置P41乃至P4nが平均化されるので、各々が有している誤差量を減らすことができる。
また例えば、CPU101は、新経路候補PL1乃至PLnの各々の仮想目標の位置P41乃至P4nを重み付けして所定の演算を実行し、その演算結果を仮想目標の位置P4として設定することによって、教示位置P1から仮想目標の位置P4までの新経路PLを作成することができる。
この場合の重み付けの手法は、特に限定されないが、例えばロボットアーム11の速度Vを考慮した重み付けをすると、仮想目標の位置P41乃至P4nの各々が有している誤差量を減らすことができるので好適である。すなわち、ロボットアーム11の速度が遅い時点で得られた位置データの方が、誤差が少なく信頼性が高いと判断することができる。本実施形態では、仮想目標の位置P41乃至P4nの各々が設定された時点のロボットアーム11の速度Vは、その順で遅くなっていく(図5や図7参照)。そこで、仮想目標の位置P41乃至P4nの各々の重みをその順で大きくしていくように重み付けをすることによって、仮想目標の位置P41乃至P4nの各々が有している誤差量を減らすことが可能になる。
ステップS19において、CPU101は、新経路PLに従って、ティーチングプレイバック制御によりロボットアーム11を移動させる。
すなわち、CPU101は、ティーチングプレイバック制御により、新経路PLに基づいて移動指令を生成し、通信部109を介して、ロボットアーム駆動装置14に送信する。すると、上述したように、ロボットアーム駆動装置14は、この移動指令に従って、ロボットアーム11を新経路PLに従って移動させる。
制御切替条件としては、例えば、図7に示す第1の条件と図8に示す第2の条件との何れか一方、又は両条件の組合せを採用することができる。両条件の組合せを採用する場合には、AND条件を採用してもよいし、OR条件を採用してもよい。
制御切替条件が満たされていない場合、ステップS20においてNOであると判定されて、処理はステップS19に戻され、それ以降の処理が繰り返される。すなわち、制御切替条件が満たされるまでの間、ステップS19,S20NOのループ処理が繰り返し実行されることによって、ティーチィングプレイバック制御によりロボットアーム11が新経路PLに沿って移動し続ける。
そして、制御切替条件が満たされると、ステップS20においてYESであると判定されて、ティーチングプレイバック制御の修正移動処理が終了して、処理は図15のステップS4に進む。
すなわち、ロボットアーム11の動作の制御が、ティーチングプレイバック制御からビジュアルインピーダンス制御に切り替えられて、ステップS5のビジュアルインピーダンス制御の移動処理が実行される。
図17は、ビジュアルインピーダンス制御の移動処理の流れの詳細例を示すフローチャートである。
ロボットアーム11の速度Vは、本実施形態では、ロボットアーム駆動装置14により検出され、状態情報に含まれて制御装置15に送信される。そこで、CPU101は、通信部109を介して状態情報を受信し、この状態情報から、ロボットアーム11の速度Vを取得する。
ステップS33において、CPU101は、式(4)におけるブレーキ量Dd=Diに設定する。
すなわち、CPU101は、ロボットアームの速度V、アクセル量Fα、ブレーキ量Dd、及び、仮想質量Mdの各々を、式(4)に代入して演算する。
上述したように、ロボットアームの速度Vは、ロボットアーム駆動装置14から送信されてくる状態情報に含まれている。アクセル量Fαは、カメラ13の撮影画像から得られる偏差(X−Xd)が式(5)に代入された場合の、式(5)の演算結果であるアクセル量Fαbである。ブレーキ量Ddは、ステップS33の処理で設定された初期ブレーキ量Diである。仮想質量Mdは、予め設定されてROM102等に予め記憶されている。
CPU101は、このような式(4)の演算結果に基づいて移動指令を生成し、通信部109を介して、ロボットアーム駆動装置14に送信する。すると、上述したように、ロボットアーム駆動装置14は、この移動指令に従って、ロボットアーム11を移動させる。
偏差小条件としては、例えば図11に示す条件と図12に示す条件との何れか一方、又は両条件の組合せを採用することができる。両条件の組合せを採用する場合には、AND条件を採用してもよいし、OR条件を採用してもよい。
偏差小条件が満たされていない場合、ステップS35においてNOであると判定されて、処理はステップS34に戻され、それ以降の処理が繰り返される。すなわち、偏差小条件が満たされるまでの間、ステップS34,S35NOのループ処理が繰り返し実行されることによって、ビジュアルインピーダンス制御によりロボットアーム11が移動し続ける。
ここでのビジュアルインピーダンス制御では、アクセル量Fαは、カメラ13の撮影画像から得られる偏差(X−Xd)が式(5)に代入された場合の、式(5)の演算結果であるアクセル量Fαbが設定される。ブレーキ量Ddは、初期ブレーキ量Diが設定される。
その後、偏差小条件が満たされると、ステップS35においてYESであると判定されて、処理はステップS36に進む。
ステップS37において、CPU101は、アクセル量Fα=Fnに設定し、ブレーキ量Dd=Dnに設定する。
ここでのビジュアルインピーダンス制御では、アクセル量Fαは、更新後のアクセル量Fnが設定される。ブレーキ量Ddは、更新後のブレーキ量Dnが設定される。
位置決め完了の判定条件は、特に限定されないが、本実施形態では「偏差(X−Xd)が略0になったとき」という条件が採用されているものとする。
従って、本実施形態では偏差(X−Xd)が略0になっていない場合、ステップS39においてNOであると判定されて、処理はステップS36に戻され、それ以降の処理が繰り返される。すなわち、偏差(X−Xd)が略0になるまでの間、ステップS36乃至S39NOのループ処理が繰り返されることによって、ビジュアルインピーダンス制御によりロボットアーム11が移動し続ける。
ここでのビジュアルインピーダンス制御では、アクセル量Fαは、ステップS36乃至S39NOのループ処理毎に演算される更新後のアクセル量Fnが設定される。ブレーキ量Ddは、ステップS36乃至S39NOのループ処理毎に演算される更新後のブレーキ量Dnが設定される。
その後、偏差(X−Xd)が略0になると、ステップS39においてYESであると判定されて、ビジュアルインピーダンス制御の移動処理が終了して、処理は図15のステップS6に進む。すなわち、エンドエフェクタ12により、ボルトがボルト穴21に挿入されて捻じ込まれる。
(1)本実施形態に係る制御装置15は、3ステップ移動制御手法に従って、次のような処理を実行することができる。
すなわち、制御装置15は、ティーチングプレイバック制御を実行する第1のステップの処理中に対象物であるボルト穴21が視認された段階で直ちに、ビジュアルインピーダンス制御を実行する第3のステップに切り替えるのではなく、第2のステップに切り替える。第2のステップとは、目標位置よりも対象物に近い位置を新たな目標位置として、新たな目標位置までの新たな経路を設定して、制御切替条件が満たされるまでの間、新たな経路に沿って、ロボットアーム11を移動させるティーチングプレイバック制御を実行するステップである。そして、制御装置15は、制御切替条件が満たされたときに第3のステップに切り替える。
これにより、ロボットアーム11の速度等の状態を一定の範囲内に収めて、ビジュアルインピーダンス制御を開始することが可能になる。この「一定の範囲」は、制御切替条件を適切に設定することで、ビジュアルインピーダンス制御にとって適切な範囲内にすることが容易にできる。この場合、ビジュアルインピーダンス制御が安定して適切に実行される。その結果、基本制御手法の場合と比較して、より一段と高速、高精度、かつ制御系として安定に、ロボットアーム11を移動させることが可能になる。
すなわち、制御装置15は、インピーダンスパラメータという係数を含む式(4)の制御式に対して、偏差(X−Xd)をフィードバック情報とし代入して演算し、その演算結果に基づいて、ロボットアーム11をボルト穴21まで移動させる。この場合、制御装置15は、ロボットアーム11の所定の状態に基づいて、アクセル量Fα又はブレーキ量Ddの少なくとも一部を変更する。
これにより、ロボットアーム11の速度V等の状態によらず、ビジュアルインピーダンス制御が安定して適切に実行される。その結果、基本制御手法の場合と比較して、より一段と高速、高精度、かつ制御系として安定に、マニュピュレータを移動させることが容易に可能になる。
例えば、本実施形態では、3ステップ移動制御手法と、ビジュアルインピーダンス制御のパラメータ可変設定手法とは組合せて用いられていたが、上述したごとく、これらの手法は相互に独立しているため、何れか一方のみを用いることができる。
例えば、3ステップ移動制御手法のみが用いられる場合には、第3のステップにおけるビジュアルインピーダンス制御として、基本制御手法に従った制御を採用してもよい。さらにいえば、第3のステップにおける制御は、ビジュアルインピーダンス制御に限定されず、任意の視覚サーボ制御を採用することができる。
また例えば、ビジュアルインピーダンス制御のパラメータ可変設定手法のみが実行される場合には、図15のステップS2の処理でYESであると判定された場合には、ステップS3の処理が実行されずに、ステップS4の処理が実行される。そして、ステップS5の処理として、図17のビジュアルインピーダンス制御の移動処理が実行される。
これにより、マニュピュレータの速度等の状態によらず、視覚サーボ制御が安定して適切に実行される。その結果、1以上の係数が固定されていた視覚サーボ制御の場合と比較して、より一段と高速、高精度、かつ制御系として安定に、マニュピュレータを移動させることが容易に可能になる。
11 ロボットアーム
12 エンドエフェクタ
13 カメラ
14 ロボットアーム駆動装置
15 制御装置
23 多関節マニュピュレータ
41 ロボットアーム制御部
51 ティーチングプレイバック制御部
52 フィードバック制御部
53 制御切替部
54 画像処理部
55 ロボットアーム状態取得部
61 教示位置保持部
62 目標位置決定部
63 移動指令生成部
64 パラメータ保持部
65 パラメータ設定部
66 視覚サーボ演算部
67 移動指令生成部
68 対象物認識部
69 誤差検出部
Claims (9)
- 対象物を視認可能な視覚装置が取り付けられたマニュピュレータを、前記対象物まで移動させる移動制御を行う情報処理装置が実行する情報処理方法において、
前記移動制御を切り替えるための切替条件が満たされるまでの間、前記対象物の位置に基づいて予め設定された目標位置までの経路に沿って、前記マニュピュレータを移動させるティーチングプレイバック制御を実行する第1の制御ステップと、
前記切替条件が満たされた場合、前記視覚装置により視認された前記対象物の位置情報を取得し、1以上の係数を含む制御式に対して前記位置情報をフィードバック情報とし代入して演算し、その演算結果に基づいて、前記マニュピュレータを前記対象物まで移動させる視覚サーボ制御を実行する第2の制御ステップと、
を含み、
前記第2の制御ステップは、
前記マニュピュレータの所定の状態に基づいて、前記1以上の係数の少なくとも一部を変更する係数変更ステップを含む、
ことを特徴とする情報処理方法。 - 前記第2の制御ステップの処理により実行される視覚サーボ制御は、
前記マニュピュレータと前記対象物との位置の偏差に応じて可変する、前記マニュピュレータにかかる仮想外力を示す係数Fαと、
前記マニュピュレータについての仮想粘性を示す係数Ddと、
を少なくとも含む制御式に従って演算されるビジュアルインピーダンス制御であり、
前記情報処理装置は、前記係数変更ステップの処理として、前記切替条件が満たされたときの前記マニュピュレータの速度に基づいて、前記係数Ddを変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。 - 前記情報処理装置は、前記係数変更ステップの処理として、さらに、前記マニュピュレータと前記対象物との位置の偏差が一定以下になったとみなす条件を偏差小条件として、前記偏差小条件が満たされた場合、前記係数Fαと前記係数Ddとのうちの少なくとも一方を変更する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理方法。 - 前記情報処理装置は、前記係数変更ステップの処理として、前記偏差小条件が満たされた場合、前記係数Fαを、元の量よりも大きくなるように変更する
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。 - 前記情報処理装置は、前記係数変更ステップの処理として、前記偏差小条件が満たされた場合、前記係数Ddを、前記切替条件が満たされたときに更新された量よりも大きくなるように変更する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の情報処理装置。 - 前記偏差小条件は、前記マニュピュレータの速度が一定以下になるという条件を含む
ことを特徴とする請求項3乃至5の何れか1項に記載の情報処理方法。 - 前記切替条件は、前記マニュピュレータと前記対象物との位置の偏差が一定以下になるという条件を含む
ことを特徴とする請求項3乃至6の何れか1項に記載の情報処理方法。 - 対象物を視認可能な視覚装置が取り付けられたマニュピュレータを、前記対象物まで移動させる移動制御を行う情報処理装置において、
前記移動制御を切り替えるための切替条件が満たされるまでの間、前記対象物の位置に基づいて予め設定された目標位置までの経路に沿って、前記マニュピュレータを移動させるティーチングプレイバック制御を実行する第1の制御手段と、
前記視覚装置の出力情報に基づいて、前記対象物の位置情報を検出する視覚処理手段と、
前記切替条件が満たされた場合、1以上の係数を含む制御式に対して、前記視覚処理手段により検出された前記位置情報をフィードバック情報とし代入して演算し、その演算結果に基づいて、前記マニュピュレータを前記対象物まで移動させる視覚サーボ制御を実行する第2の制御手段と、
を含み、
前記第2の制御手段は、
前記マニュピュレータの所定の状態に基づいて、前記1以上の係数の少なくとも一部を変更する係数変更手段を有する、
ことを特徴とする情報処理装置。 - 対象物を視認可能な視覚装置が取り付けられたマニュピュレータを、前記対象物まで移動させる移動制御を行うコンピュータに、
前記移動制御を切り替えるための切替条件が満たされるまでの間、前記対象物の位置に基づいて予め設定された目標位置までの経路に沿って、前記マニュピュレータを移動させるティーチングプレイバック制御を実行する第1の制御ステップと、
前記切替条件が満たされた場合、前記視覚装置により視認された前記対象物の位置情報を取得し、1以上の係数を含む制御式に対して前記位置情報をフィードバック情報とし代入して演算し、その演算結果に基づいて、前記マニュピュレータを前記対象物まで移動させる視覚サーボ制御を実行する第2の制御ステップと、
を含み、
前記第2の制御ステップとして、
前記マニュピュレータの所定の状態に基づいて、前記1以上の係数の少なくとも一部を変更する係数変更ステップを含む、
制御処理を実行させることを特徴とするプログラム。
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