JP2011089430A - 排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】PMセンサを備えた排気浄化装置であって、少ないエネルギーでPMセンサのセンサ素子を再生できる排気浄化装置を提供すること。
【解決手段】排気浄化装置は、DPFと、DPFの下流側に設けられたPMセンサのセンサ素子と、このセンサ素子にPMが付着することによる静電容量の変化に基づいて、PM量を検出するECUとを備える。ECUは、センサ素子に付着したPMを燃焼除去し、このセンサ素子を再生するとともに、DPFに捕捉されたPMを燃焼除去し、このDPFを再生する。ECUは、DPFの再生時期に応じてセンサ素子の再生を開始する。
【選択図】図8
【解決手段】排気浄化装置は、DPFと、DPFの下流側に設けられたPMセンサのセンサ素子と、このセンサ素子にPMが付着することによる静電容量の変化に基づいて、PM量を検出するECUとを備える。ECUは、センサ素子に付着したPMを燃焼除去し、このセンサ素子を再生するとともに、DPFに捕捉されたPMを燃焼除去し、このDPFを再生する。ECUは、DPFの再生時期に応じてセンサ素子の再生を開始する。
【選択図】図8
Description
本発明は、排気浄化装置に関する。特に、粒子状物質を捕集する排気浄化フィルタと、粒子状物質を検出する粒子状物質検出装置とを備えた排気浄化装置に関する。
内燃機関の排気管に、排気に含まれる粒子状物質を捕集する排気浄化フィルタを設け、粒子状物質の排出量を低減する技術は広く用いられている。また、排気浄化フィルタが設けられた車両には、この排気浄化フィルタの故障を検知するための装置も設けられる。このような排気浄化フィルタの故障検知装置として、特許文献1には、排気浄化フィルタの下流側に排気中の粒子状物質を検出する粒子状物質検出装置を設け、この粒子状物質検出装置の出力に基づいて排気浄化フィルタの故障を検知する故障検知装置が示されている。
また、このような故障検知装置に用いられる粒子状物質検出装置としては、従来、以下に示すようなものが提案されている。
例えば、特許文献2には、多孔質の導電性物質で構成された電極部を備える粒子状物質検出装置が示されている。この粒子状物質検出装置は、粒子状物質が自然に付着することによる電極部の電気抵抗値の変化を測定し、この測定値に基づいて排気に含まれる粒子状物質の量又は濃度を検出する。
特許文献3には、静電集塵式の粒子状物質検出装置が提案されている。この静電集塵式の粒子状物質検出装置では、一対の電極板で構成された電極部を排気管内に設け、この検出電極に所定の電圧を印加することで粒子状物質を付着させる。次に、粒子状物質が付着した電極部の静電容量等の電気的特性を測定することにより、排気管内の排気の粒子状物質を検出する。
ところで、電極部に付着させることができる粒子状物質の量には限界があるため、粒子状物質の検出を続けるには、粒子状物質の付着量が上記限界を超えないようにする必要がある。このため、従来の粒子状物質検出装置では、電極部への粒子状物質の付着量が上記限界付近に達したときには、付着した粒子状物質をヒータにより燃焼除去し、電極部を再生する。
しかしながら、粒子状物質を燃焼除去するにはヒータにより電極部を約600度以上まで昇温する必要があり、燃費が悪化するおそれがある。
また、電極部は排気管内に設けられており、排気にさらされた状態となっている。このため、始動時やアイドル運転時など排気の温度が低いときには、電極部の熱が排気に奪われてしまうため電極部を昇温するのに多くのエネルギーが必要となる場合がある。
また、電極部は排気管内に設けられており、排気にさらされた状態となっている。このため、始動時やアイドル運転時など排気の温度が低いときには、電極部の熱が排気に奪われてしまうため電極部を昇温するのに多くのエネルギーが必要となる場合がある。
本発明は、粒子状物質検出装置を備えた排気浄化装置であって、少ないエネルギーで粒子状物質検出装置の電極部を再生できる排気浄化装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明は、内燃機関(例えば、後述のエンジン1)の排気系(例えば、後述の排気管4)に設けられた排気浄化フィルタ(例えば、後述のDPF3)と、前記排気系のうち前記排気浄化フィルタの下流側に設けられた電極部(例えば、後述の電極板130,131および集塵部120)と、前記電極部の電気的特性(例えば、静電容量)を検出する検出手段(例えば、後述のセンサ制御ユニット17)と、前記電極部に粒子状物質が付着することによる前記電気的特性の変化に基づいて、排気に含まれる粒子状物質の量に相関のある値を検出する粒子状物質検出手段(例えば、後述のECU5およびセンサ制御ユニット17)と、前記電極部に付着した粒子状物質を燃焼除去し、当該電極部を再生する電極部再生手段(例えば、後述のヒータ層122,129、センサ制御ユニット17、およびECU5)と、前記排気浄化フィルタに捕捉された粒子状物質を燃焼除去し、当該排気浄化フィルタを再生するフィルタ再生手段(例えば、後述のECU5および図6のステップS3の実行に係る手段)と、を備える排気浄化装置を提供する。前記電極部再生手段は、前記排気浄化フィルタの再生時期に応じて前記電極部の再生を開始する。
本発明によれば、粒子状物質を捕捉する排気浄化フィルタの再生時期に応じて、この排気浄化フィルタの下流に設けられた電極部の再生を開始する。これにより、例えば、排気浄化フィルタを再生する際に粒子状物質が燃焼する程度に高温となった排気を利用して、電極部の温度を昇温することができるので、電極部の再生にかかるエネルギーを少なくすることができる。また、このような高温の排気を利用することにより、電極部の再生時に排気に奪われるエネルギーを少なくできるので、電極部の再生にかかるエネルギーをさらに抑制することができる。
この場合、前記排気浄化装置は、前記粒子状物質検出手段による前記検出が終了したことに応じて前記電極部を再生する時期に達したことを判断する再生時期判断手段(例えば、後述のECU5および図8、図10、図11のセンサ再生制御の実行の開始の判断に係る手段)をさらに備え、前記電極部再生手段は、前記電極部を再生する時期に達したと判断されてから複数の条件のうち少なくとも1つが満たされるまで、前記電極部の再生を待機することが好ましい。
本発明によれば、電極部を再生する時期に達したと判断されてから複数の条件のうち少なくとも1つが満たされるまで電極部の再生を待機する。ここで、上記複数の条件の1つとして、例えば排気浄化フィルタの再生時期に関する条件を課すことにより、電極部の再生を、排気浄化フィルタの再生時期に合わせて行い易くすることができる。したがって、電極部の再生にかかるエネルギーをさらに抑制することができる。
この場合、前記排気浄化装置は、前記電極部の温度に相関のある値を検出する温度検出手段(例えば、後述の排気温度センサ7、ECU5)と、当該温度検出手段の検出値に基づいて、前記電極部の温度が第1温度(例えば、約500℃)以上になったか否かを判断する温度判断手段(例えば、後述のECU5および図8のステップS13の実行に係る手段)と、をさらに備え、前記複数の条件は、前記排気浄化フィルタが再生されることで前記電極部の温度が前記第1温度以上になることを含むことが好ましい。
本発明によれば、排気浄化フィルタが再生されることで電極部の温度が第1温度以上になった場合に電極部の再生を行うことにより、電極部の再生に排気浄化フィルタの再生を行うことで高温となった排気を確実に利用できるので、電極部の再生にかかるエネルギーをさらに抑制することができる。
この場合、前記複数の条件は、前記再生時期判断手段により前記電極部を再生する時期に達したと判断されてから、待機時間(例えば、後述の待機時間t_REG)が経過しても前記排気浄化フィルタが再生されないことを含むことが好ましい。
本発明によれば、電極部を再生する時期に達したと判断されてから、待機時間が経過しても排気浄化フィルタが再生されなかった場合には、電極部を強制的に再生する。これにより、長時間にわたって電極部の再生を待機してしまい、粒子状物質検出手段により粒子状物質に相関のある値を検出できない期間が長くなり、結果として排気の浄化性能が低下するのを防止することができる。
この場合、前記排気浄化装置は、前記排気浄化フィルタにおける粒子状物質の堆積量を検出又は推定する堆積量推定手段(例えば、後述のECU5)をさらに備え、前記電極部再生手段は、前記電極部を再生する時期に達したと判断されたときにおける前記堆積量(例えば、後述のPM堆積量QDPF)が待機判定量(例えば、後述の閾値M)より多い場合には、前記複数の条件のうち少なくとも1つが満たされるまで前記電極部の再生を待機することが好ましい。
電極部を再生する時期に達したと判断されたときにおける排気浄化フィルタの粒子状物質の堆積量が待機判定量よりも多い場合には、近いうちに排気浄化フィルタの再生が行われる可能性が高いといえる。本発明によれば、このような場合に、上記複数の条件のうち少なくとも1つが満たされるまで電極部の再生を待機することにより、電極部の再生に排気浄化フィルタの再生を行うことで高温となった排気をより確実に利用することができる。したがって、電極部の再生にかかるエネルギーをさらに抑制することができる。
この場合、前記排気浄化装置は、前記電極部の温度に相関のある値を検出する温度検出手段(例えば、後述の排気温度センサ7およびECU5)と、当該温度検出手段の検出値に基づいて、前記電極部の温度が第2温度(例えば、約300℃)以上になったか否かを判断する温度判断手段(例えば、後述のECU5および図10のステップS28の実行に係る手段)と、をさらに備え、前記電極部再生手段は、前記電極部を再生する時期に達したと判断されたときにおける前記堆積量が前記待機判定量(例えば、後述の閾値M)より少ない場合には、前記複数の条件のうち少なくとも1つが満たされるのを待つことなく、前記電極部の温度が前記第2温度以上になったときに前記電極部の再生を開始することが好ましい。
電極部を再生する時期に達したと判断されたときにおける排気浄化フィルタの粒子状物質の堆積量が待機判定量よりも少ない場合には、近いうちに排気浄化フィルタの再生が行われる可能性が低いといえる。本発明によれば、このような場合には、上記複数の条件のうち少なくとも1つが満たされるのを待つことなく、電極部の温度が第2温度以上となったときに電極部の再生を開始する。これにより、排気浄化フィルタを再生する時期に合わせて電極部を再生することができなくても、電極部の温度が高くなる運転状態を選んで再生することができるので、電極部の再生にかかるエネルギーをさらに抑制することができる。
この場合、前記粒子状物質検出手段により前記粒子状物質に相関のある値を検出している間(例えば、後述の集塵制御又はPM検出制御の実行中)に前記排気浄化フィルタの再生が開始された場合、前記電極部再生手段は、前記電極部の再生を開始することが好ましい。
本発明によれば、粒子状物質検出手段により粒子状物質に相関のある値を検出している間に排気浄化フィルタの再生が開始された場合、これに合わせて電極部の再生を開始する。これにより、排気浄化フィルタを再生するために高温となった排気を利用して電極部を再生することができるので、電極部の再生にかかるエネルギーをさらに抑制することができる。また、電極部の電気的特性は、電極部の温度によって大きく変化する。このため、排気浄化フィルタの再生の開始に伴って電極部の再生を開始することにより、排気浄化フィルタの再生する際の廃熱を有効に利用しながら、粒子状物質検出手段の誤検知や誤作動を防止することができる。
この場合、前記排気浄化装置は、前記電極部の温度に相関のある値を検出する温度検出手段(例えば、後述のヒータ配線122A,129A、センサ制御ユニット17、およびECU5)と、前記温度検出手段の検出値に基づいて、前記電極部が第3温度(例えば、約500℃)以上になったか否かを判断する温度判断手段(例えば、後述のECU5および図13のステップS45の実行に係る手段)と、をさらに備え、前記粒子状物質検出手段により前記粒子状物質に相関のある値を検出している間(例えば、後述の集塵制御又はPM検出制御の実行中)に前記排気浄化フィルタの再生が開始された場合、前記粒子状物質検出手段は、前記電極部の温度が前記第3温度以上になるまで前記粒子状物質に相関のある値を検出し、前記電極部再生手段は、前記電極部の温度が前記第3温度以上になるまで前記電極部の再生を待機することが好ましい。
本発明によれば、粒子状物質検出手段により粒子状物質に相関のある値を検出している間に排気浄化フィルタの再生が開始された場合、電極部の温度が第3温度以上になるまで、電極部の再生を待機しながら粒子状物質検出手段による検出を継続することにより、正確な検出が可能な範囲内で、可能な限り長い時間にわたって粒子状物質に相関のある値を検出し続けることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、第2実施形態以後の説明において、第1実施形態と共通する構成については説明を省略する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の構成を示す模式図である。
内燃機関(以下単に「エンジン」という)1は、各気筒内に燃料を直接噴射するディーゼルエンジンであり、各気筒には図示しない燃料噴射弁が設けられている。これら燃料噴射弁は、電子制御ユニット(以下「ECU(Electric Control Unit)」という)5により電気的に接続されており、燃料噴射弁の開弁時間および閉弁時間は、ECU5により制御される。
図1は、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の構成を示す模式図である。
内燃機関(以下単に「エンジン」という)1は、各気筒内に燃料を直接噴射するディーゼルエンジンであり、各気筒には図示しない燃料噴射弁が設けられている。これら燃料噴射弁は、電子制御ユニット(以下「ECU(Electric Control Unit)」という)5により電気的に接続されており、燃料噴射弁の開弁時間および閉弁時間は、ECU5により制御される。
エンジン1の排気が流通する排気管4には、排気に含まれる炭素を主成分とした粒子状物質(以下、「PM(Particulate Matter)」という)を捕集し排気を浄化する排気浄化フィルタ(以下、「DPF(Diesel Particulate Filter)」という)3と、排気に含まれるPMを検出するPMセンサ11とが、上流側からこの順で設けられている。
DPF3は、多孔質体のフィルタ壁を備え、排気がこのフィルタ壁の微細な孔を通過する際、排気に含まれるPMをフィルタ壁の表面およびフィルタ壁中の孔に堆積させることにより、これを捕集する。DPF3に捕集されたPMは、後述のDPF再生制御を実行することにより、燃焼除去される(後述の図6参照)。
図2は、PMセンサ11の概略構成を示す図である。
PMセンサ11は、排気管4の内部のうちDPF3の下流側に設けられたセンサ素子12と、ECU5に接続され、このセンサ素子22を制御するセンサ制御ユニット17と、を備える。PMセンサ11は、以下に示すように、排気管4内を流通する排気に含まれるPMが付着したセンサ素子12の電気的特性を測定し、この測定値に基づいて、排気管内を流通する排気中のPMを検出する。
PMセンサ11は、排気管4の内部のうちDPF3の下流側に設けられたセンサ素子12と、ECU5に接続され、このセンサ素子22を制御するセンサ制御ユニット17と、を備える。PMセンサ11は、以下に示すように、排気管4内を流通する排気に含まれるPMが付着したセンサ素子12の電気的特性を測定し、この測定値に基づいて、排気管内を流通する排気中のPMを検出する。
センサ制御ユニット17は、集塵用DC電源13と、インピーダンス測定器14と、センサ素子12の温度を制御する温度制御装置15と、を含んで構成される。
図3は、センサ素子12の斜視図である。
図3に示すように、センサ素子12は、PMを含む排気が通過する通気孔を有しており、この通気孔により集塵部120が形成される。排気中に含まれるPMは、この集塵部120の内壁に付着して堆積する。
図3に示すように、センサ素子12は、PMを含む排気が通過する通気孔を有しており、この通気孔により集塵部120が形成される。排気中に含まれるPMは、この集塵部120の内壁に付着して堆積する。
図4は、センサ素子12の分解斜視図である。
センサ素子12は、図4に示すように、一対の電極板130,131を、板状のスペーサ125A,125Bを介装して組み合わせ、ヒータ層122,129およびアルミナプレート121で挟持することにより構成される。これにより、電極板130,131、スペーサ125A,125Bに囲まれた集塵部120が形成される。
センサ素子12は、図4に示すように、一対の電極板130,131を、板状のスペーサ125A,125Bを介装して組み合わせ、ヒータ層122,129およびアルミナプレート121で挟持することにより構成される。これにより、電極板130,131、スペーサ125A,125Bに囲まれた集塵部120が形成される。
電極板130は、誘電体層124と、集塵電極層123とを積層することにより形成される。また、電極板131は、誘電体層126と、測定電極層127と、集塵電極層128とを積層することにより形成される。
測定電極層127は、一対の櫛形の測定電極127A,127Bを備える。具体的には、測定電極127A,127Bは、測定電極層127の一端側の集塵部120に対応する位置に形成された一対の櫛歯部と、この櫛歯部から他端側へかけて延びる一対の櫛本体部と、を含んで構成される。より具体的には、測定電極127A,127Bは、一方の櫛形の測定電極127Aの櫛歯部と他方の櫛形の測定電極127Bの櫛歯部とが相互に挟み合うように対向配置されている。
また、一対の櫛本体部は、インピーダンス測定器14に電気的に接続されている。
また、一対の櫛本体部は、インピーダンス測定器14に電気的に接続されている。
ここで、測定電極層127に櫛形の測定電極127A,127Bを備える本実施形態のPM検出メカニズムについて説明する。
図5は、本実施形態のセンサ素子12の集塵部120内にPMが全面に付着して堆積したときの様子を模式的に示した図である。図5に示すように、集塵部120に集塵されたPMは、櫛形の測定電極127A,127Bの櫛歯部上に誘電体層を介して堆積する。このとき、隣接する測定電極127A,127B間におけるもれ電界が、堆積したPMによる影響を受け、測定電極127A,127B間の電気的特性が変化する。この電気的特性の変化は、PMの付着量に相関があることから、この電気的特性の変化を測定することにより、排気に含まれるPMを検出できる。なお、以下の説明において、センサ素子12の電気的特性とは、センサ素子12のうちPMの付着量に相関のある集塵部120の電気的特性を意味する。
図5は、本実施形態のセンサ素子12の集塵部120内にPMが全面に付着して堆積したときの様子を模式的に示した図である。図5に示すように、集塵部120に集塵されたPMは、櫛形の測定電極127A,127Bの櫛歯部上に誘電体層を介して堆積する。このとき、隣接する測定電極127A,127B間におけるもれ電界が、堆積したPMによる影響を受け、測定電極127A,127B間の電気的特性が変化する。この電気的特性の変化は、PMの付着量に相関があることから、この電気的特性の変化を測定することにより、排気に含まれるPMを検出できる。なお、以下の説明において、センサ素子12の電気的特性とは、センサ素子12のうちPMの付着量に相関のある集塵部120の電気的特性を意味する。
集塵電極層123,128は、タングステン導体層からなる集塵電極123A,128Aを備える。この集塵電極123A,128Aは、集塵電極層123,128の一端側の集塵部120に対応する位置に略正方形状に形成された導体部と、この導体部からアルミナ基板の他端側へかけて線状に延びる導線部と、を含んで構成される。
また、集塵電極123A,128Aの導線部は、集塵用DC電源13に電気的に接続されている。
なお、集塵電極123A、128Aの導体部の一辺の長さは、約10mmである。
また、集塵電極123A,128Aの導線部は、集塵用DC電源13に電気的に接続されている。
なお、集塵電極123A、128Aの導体部の一辺の長さは、約10mmである。
ヒータ層122,129は、ヒータ配線122A,129Aを備え、これらヒータ配線122A,129Aは、温度制御装置15およびインピーダンス測定器14に電気的に接続されている。
また、アルミナプレート121は、略矩形状のアルミナ基板であり、厚みは約1mmである。
また、アルミナプレート121は、略矩形状のアルミナ基板であり、厚みは約1mmである。
集塵用DC電源13は、集塵電極層123,128に備えられた集塵電極123A,128Aの導線部に電気的に接続されている。集塵用DC電源13は、ECU5から送信された制御信号に基づいて動作し、後述する測定電圧よりも大きい所定の集塵電圧を集塵電極層123,128間に印加する。これにより、PMのセンサ素子12への付着を促進することができる。
インピーダンス測定器14は、測定電極層127の一対の櫛本体部に電気的に接続されている。インピーダンス測定器14は、ECU5から送信された制御信号に基づいて動作し、所定の測定電圧および測定周期のもとで、センサ素子12の電気的特性を検出し、検出した静電容量に略比例した検出信号をECU5に出力する。なお、本実施形態では、インピーダンス測定器14により、センサ素子12の電気的特性として特に集塵部120の静電容量を検出するが、これに限るものではない。
また、インピーダンス測定器14は、センサ素子12の集塵部120の静電容量の他、ヒータ配線122A,129Aの抵抗値を検出する。ECU5では、検出されたヒータ配線122A,129Aの抵抗値に基づいて、センサ素子12の集塵部120の温度(以下、「センサ温度」という)を算出する。
温度制御装置15は、各電極板130,131に接して設けられたヒータ層122,129のヒータ配線122A,129Aに電気的に接続されており、これらヒータ層122,129に電力を供給するヒータ用DC電源(図示せず)を含んで構成される。
ヒータ用DC電源は、ECU5から送信された制御信号に基づいて動作し、ヒータ層122,129に所定の電流を通電する。ヒータ層122,129は、ヒータ用電源から電流が供給されると発熱し、各電極板130,131を加熱する。これにより、各電極板130,131を加熱し、集塵部120に付着したPMを燃焼除去することができる。
ヒータ用DC電源は、ECU5から送信された制御信号に基づいて動作し、ヒータ層122,129に所定の電流を通電する。ヒータ層122,129は、ヒータ用電源から電流が供給されると発熱し、各電極板130,131を加熱する。これにより、各電極板130,131を加熱し、集塵部120に付着したPMを燃焼除去することができる。
図1に戻って、ECU5には、以上のようなPMセンサ11のセンサ制御ユニット17の他、警告灯6、排気温度センサ7、並びにクランク角度位置センサやアクセルセンサ等(図示せず)のエンジン1の運転状態を検出するための各種センサが接続されている。
警告灯6は、DPF3が故障した状態であることを示すためのものであり、例えば、車両のメータパネルに設けられる。警告灯6は、ECU5から送信された制御信号に基づいて点灯し、これにより運転者はDPF3が故障した状態であることを認識することができる。
排気温度センサ7は、DPF3の下流側の排気の温度を検出し、検出信号をECU5に出力する。クランク角度位置センサは、エンジン1のクランク軸の回転角度を検出し、検出信号をECU5に出力する。アクセルセンサは、車両のアクセルペダルの踏み込み量を検出し、検出信号をECU5に出力する。エンジン1の運転状態を示すエンジン回転数や燃料噴射量は、これらクランク角度位置センサおよびアクセルセンサの出力に基づいて、ECU5により算出される。
ECU5は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定のレベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路と、中央演算処理ユニット(以下「CPU」という)とを備える。この他、ECU5は、CPUで実行される各種演算プログラムおよび演算結果等を記憶する記憶回路と、センサ制御ユニット17、警告灯6、およびエンジン1の燃料噴射弁等に制御信号を出力する出力回路とを備える。
以下では、ECUによるDPF制御およびPMセンサ制御の手順について詳細に説明する。
<DPF制御>
図6は、DPF制御の手順を示すフローチャートである。このDPF制御は、エンジンが運転されている間、ECUにより繰り返し実行される。
図6は、DPF制御の手順を示すフローチャートである。このDPF制御は、エンジンが運転されている間、ECUにより繰り返し実行される。
ステップS1では、DPFに堆積したPMの量(以下、「PM堆積量」という)QDPFを算出し、ステップS2に移る。DPFのPM堆積量QDPFは、前回の制御サイクル時におけるPM堆積量に、今回の制御サイクル時にDPFに新たに捕集されたPM量ΔQを加算することにより算出される。今回制御時にエンジンから排出されDPFに捕集されたPM量ΔQは、例えば、燃料噴射量およびエンジン回転数に基づいて算出された基本値に、エンジンの冷却水温度や吸入空気量などに基づいて算出された補正項を加算することで算出される。
ステップS2では、算出されたDPFのPM堆積量QDPFが、所定の閾値QDPF_REGを超えたか否かを判別する。この判別がNOの場合には、ステップS1に移る。この判別がYESの場合には、DPFを再生する時期であると判断し、ステップS3に移る。
ステップS3では、所定のDPF再生期間に亘ってDPF再生制御を実行することにより、DPFに捕捉されたPMを燃焼除去し、DPFを再生する。より具体的には、このDPF再生制御では、例えば、排気工程中での燃料噴射(以下、「ポスト噴射」という)を実行する。このようなポスト噴射を実行すると、DPFの上流側に設けられた酸化触媒(図示せず)における酸化反応が促進されるため、DPFに流入する排気を昇温し、DPFの温度を約600℃のPMの燃焼温度まで昇温することができる。また、DPF再生制御が完了したら、DPFのPM堆積量QDPFを「0」にリセットする。
<PMセンサ制御>
図7は、センサ素子の集塵部に付着したPMの量(以下、「PM付着量」という)とセンサ素子の静電容量との関係を模式的に示す図である。図7では、横軸をPM付着量とし縦軸を静電容量とする。
図7は、センサ素子の集塵部に付着したPMの量(以下、「PM付着量」という)とセンサ素子の静電容量との関係を模式的に示す図である。図7では、横軸をPM付着量とし縦軸を静電容量とする。
センサ素子には集塵部の容積を超える量のPMを付着させることができないため、センサ素子のPM付着量には集塵部の容積に応じた限界量QMがある。この限界量QM以下において、センサ素子の静電容量はPM付着量に対して以下のように変化する。
PM付着量が0から所定量Q1までの間は、PMは集塵部の内壁に薄くまばらに付着した状態であり、PMがセンサ素子の電気的特性に及ぼす影響が小さく、PM付着量によらず静電容量は初期値C0一定のままである。このため、集塵部にPMが付着してもセンサ素子の静電容量に有意な変化は現れない。
また、PM付着量が上記所定量Q1を超えると、集塵部の内壁にPMが薄く堆積し始めた状態となり、センサ素子の静電容量は初期値C0から変化し始める。このため、PM付着量が所定量Q1を超えた領域では、付着したPMの量をセンサ素子の静電容量の変化量から特定することができる。
また、PM付着量が上記所定量Q1を超えると、集塵部の内壁にPMが薄く堆積し始めた状態となり、センサ素子の静電容量は初期値C0から変化し始める。このため、PM付着量が所定量Q1を超えた領域では、付着したPMの量をセンサ素子の静電容量の変化量から特定することができる。
PMセンサ制御では、以上のような特性を有するPMセンサに対し、排気中のPMをセンサ素子に積極的に付着させる集塵制御と、排気中のPMを検出するPM検出制御と、センサ素子に付着したPMを除去するセンサ再生制御との3種類の制御をこの順で繰り返し実行する。以下では、これら集塵制御、PM検出制御、センサ再生制御の3つの制御について詳細に説明する。
<集塵制御>
所定量Q1を超える量のPMが付着していない場合、センサ素子にPMが付着しても静電容量に変化はないため、PMの検出を行うことができない。そこで、集塵制御では、センサ素子の集塵電極層に集塵電圧を印加することにより、PM付着量がQ1を超えるように、PMのセンサ素子への付着を促進する。
所定量Q1を超える量のPMが付着していない場合、センサ素子にPMが付着しても静電容量に変化はないため、PMの検出を行うことができない。そこで、集塵制御では、センサ素子の集塵電極層に集塵電圧を印加することにより、PM付着量がQ1を超えるように、PMのセンサ素子への付着を促進する。
<PM検出制御>
所定量Q1を超える量のPMが付着している場合、センサ素子にPMが付着すると静電容量に変化が現れる。そこで、PM検出制御では、PM付着量が検出可能領域内にある場合に、インピーダンス測定器により測定されたセンサ素子の静電容量の変化に基づいて、排気に含まれるPMの量を検出する。なお、ECUは、このPM検出制御を、センサ素子の静電容量が上記Q1を超えたことに応じて開始し、その後、センサ素子の静電容量が限界量QMよりもやや小さな値に設定された上限値Q2を超えたことに応じて終了する。
また、このようにしてPM量を検出している間は、検出したPM量に基づいてDPFの故障を判定する。すなわち、DPFが正常な状態である場合には、エンジンから排出されたPMの殆どはDPFに捕捉されるため、DPFの下流側のPMセンサにより検出される排気中のPM量はごく僅かである。したがって、PMセンサにより検出されたPM量が所定量より少ない場合にはDPFは正常な状態であると判定する。一方、PMセンサにより検出されたPM量が上記所定量以上である場合には、DPFは故障した状態であると判定し、上記警告灯を点灯させる。
所定量Q1を超える量のPMが付着している場合、センサ素子にPMが付着すると静電容量に変化が現れる。そこで、PM検出制御では、PM付着量が検出可能領域内にある場合に、インピーダンス測定器により測定されたセンサ素子の静電容量の変化に基づいて、排気に含まれるPMの量を検出する。なお、ECUは、このPM検出制御を、センサ素子の静電容量が上記Q1を超えたことに応じて開始し、その後、センサ素子の静電容量が限界量QMよりもやや小さな値に設定された上限値Q2を超えたことに応じて終了する。
また、このようにしてPM量を検出している間は、検出したPM量に基づいてDPFの故障を判定する。すなわち、DPFが正常な状態である場合には、エンジンから排出されたPMの殆どはDPFに捕捉されるため、DPFの下流側のPMセンサにより検出される排気中のPM量はごく僅かである。したがって、PMセンサにより検出されたPM量が所定量より少ない場合にはDPFは正常な状態であると判定する。一方、PMセンサにより検出されたPM量が上記所定量以上である場合には、DPFは故障した状態であると判定し、上記警告灯を点灯させる。
<センサ再生制御>
センサ素子には上記限界量QMを超えてPMを付着させることができないので、PM付着量が限界量QMに近くなると、センサ素子に付着したPMを除去する必要がある。そこで、センサ再生制御では、ヒータによりセンサ素子を加熱し、センサ素子に付着したPMを燃焼除去する。
センサ素子には上記限界量QMを超えてPMを付着させることができないので、PM付着量が限界量QMに近くなると、センサ素子に付着したPMを除去する必要がある。そこで、センサ再生制御では、ヒータによりセンサ素子を加熱し、センサ素子に付着したPMを燃焼除去する。
図8は、センサ再生制御の手順を示すフローチャートである。ECUは、上記PM検出制御を終了し、センサ素子を再生する時期に達したと判断したことに応じて、このセンサ再生制御を実行する。以下、詳細に説明するように、このセンサ再生制御では、センサ素子を再生する時期に達したと判断された場合に、即座にヒータをオンにしセンサ素子の再生を開始するのではなく、DPFの再生時期に応じてセンサ素子の再生を開始する。
ステップS11では、センサ素子を再生する時期に達したと判断されてから経過した時間を示すタイマtをスタートし、ステップS12に移る。ステップS12では、DPF再生制御(図6のステップS3参照)の実行中であるか否かを判別する。
ステップS12の判別がNOであり、DPF再生制御の実行中でない場合には、ステップS15に移る。ステップS15では、タイマtが待機時間t_REGを超えたか否かを判別する。この判別がNOの場合には、ステップS12に移り、DPF再生制御が開始するのを待つ。この判別がYESの場合、すなわち、センサ素子を再生する時期に達したと判断してから、待機時間t_REGが経過してもDPF再生制御が実行されなかった場合には、強制的にセンサ素子の再生を開始するべく、ステップS16に移る。
ステップS16では、センサ素子の再生を実行し、この処理を終了する。より具体的には、ヒータをオンにしセンサ素子に付着したPMを燃焼除去し、このセンサ素子を再生する。
一方、ステップS12の判別がYESであり、DPF再生制御の実行中である場合には、ステップS13に移る。ステップS13では、排気温度センサからの出力に基づいて排気温度が約500℃程度の第1温度より高いか否かを判別する。なお、DPFに対してセンサ素子の熱容量は非常に小さいため、ヒータをオンにしていないときにおけるセンサ素子の温度はDPFの下流の排気の温度にほぼ等しいと考えられる。したがって、このステップS13は、センサ素子の温度が第1温度より高いか否かを判別することと、ほぼ等価であるといえる。
ステップS13の判別がYESである場合、すなわち、センサ素子を再生する時期に達したと判断してから、DPF再生制御が実行されることでセンサ素子の温度が上記第1温度以上になった場合には、このDPFの再生時期に合わせてセンサ素子を再生するべく、ステップS16に移る。
一方、ステップS13の判別がNOである場合には、ステップS14に移る。ステップS14では、タイマtが上記待機時間t_REGを超えたか否かを判別する。この判別がNOの場合には、ステップS13に移り、DPF再生制御を実行することでセンサ素子の温度が第1温度以上になるのを待つ。この判別がYESの場合、すなわち、センサ素子を再生する時期に達したと判断してから、待機時間t_REGが経過してもセンサ素子の温度が第1温度に達しなかった場合には、強制的にセンサ素子の再生を開始するべく、ステップS16に移る。
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態によれば、PMを捕捉するDPFの再生時期に応じて、このDPFの下流に設けられたPMセンサのセンサ素子の再生を開始する。これにより、例えば、DPFを再生する際にPMが燃焼する程度に高温となった排気を利用して、センサ素子の温度を昇温することができるので、センサ素子の再生にかかるエネルギーを少なくすることができる。また、このような高温の排気を利用することにより、センサ素子の再生時に排気に奪われるエネルギーを少なくできるので、センサ素子の再生にかかるエネルギーをさらに抑制することができる。
(1)本実施形態によれば、PMを捕捉するDPFの再生時期に応じて、このDPFの下流に設けられたPMセンサのセンサ素子の再生を開始する。これにより、例えば、DPFを再生する際にPMが燃焼する程度に高温となった排気を利用して、センサ素子の温度を昇温することができるので、センサ素子の再生にかかるエネルギーを少なくすることができる。また、このような高温の排気を利用することにより、センサ素子の再生時に排気に奪われるエネルギーを少なくできるので、センサ素子の再生にかかるエネルギーをさらに抑制することができる。
(2)本実施形態によれば、センサ素子を再生する時期に達したと判断されてから複数の条件のうち少なくとも1つが満たされるまでセンサ素子の再生を待機する。ここで、上記複数の条件の1つとして、例えばDPFの再生時期に関する条件を課すことにより、センサ素子の再生を、DPFの再生時期に合わせて行い易くすることができる。したがって、センサ素子の再生にかかるエネルギーをさらに抑制することができる。
(3)本実施形態によれば、DPFが再生されることでセンサ素子の温度が第1温度以上になった場合にセンサ素子の再生を行うことにより、センサ素子の再生にDPF再生制御を行うことで高温となった排気を確実に利用できるので、センサ素子の再生にかかるエネルギーをさらに抑制することができる。
(4)本実施形態によれば、センサ素子を再生する時期に達したと判断されてから、待機時間t_REGが経過しても排気浄化フィルタが再生されなかった場合には、センサ素子を強制的に再生する。これにより、長時間にわたってセンサ素子の再生を待機してしまい、PMを検出できない期間が長くなり、結果として排気の浄化性能が低下するのを防止することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態は、センサ再生制御の手順が第1実施形態と異なる。
図9は、DPFのPM堆積量の時間変化を模式的に示す図である。
図9に示すように、エンジンを運転している間、エンジンからは常にPMが排出されるため、DPFのPM堆積量は時間に略比例して増加する。また、図6を参照して詳述したように、DPF再生制御は、PM堆積量の推定値QDPFが閾値QDPF_REGを超えたことに応じて実行される。
第2実施形態は、センサ再生制御の手順が第1実施形態と異なる。
図9は、DPFのPM堆積量の時間変化を模式的に示す図である。
図9に示すように、エンジンを運転している間、エンジンからは常にPMが排出されるため、DPFのPM堆積量は時間に略比例して増加する。また、図6を参照して詳述したように、DPF再生制御は、PM堆積量の推定値QDPFが閾値QDPF_REGを超えたことに応じて実行される。
したがって、図9に示すように、この閾値QDPF_REGよりもやや小さな閾値Mを設定し、PM堆積量がこの閾値Mより多いか少ないかを判断することにより、近いうちにDPF再生制御が実行されるか否かを判断することができる。すなわち、PM堆積量が閾値Mより多い場合には、近いうちにDPF再生制御が実行される可能性があると判断できるが、PM堆積量が閾値M以下である場合には、近いうちにDPF再生制御が実行される可能性がないと判断できる。
図10は、本実施形態のセンサ再生制御の手順を示すフローチャートである。第1実施形態と同様に、ECUは、PM検出制御を終了し、センサ素子を再生する時期に達したと判断したことに応じて、このセンサ再生制御を実行する。なお、ステップS23〜S27は、図8のステップS11〜S16と同じであるので、詳細な説明を省略する。
ステップS21では、センサ素子を再生する時期に達したと判断されてから経過した時間を示すタイマtをスタートし、ステップS22に移る。ステップS22では、DPFのPM堆積量QDPFを推定し、このPM堆積量QDPFが上記閾値Mより少ないか否かを判別する。
ステップS22における判別がNOであり、近いうちにDPF再生制御が実行される可能性があると判断された場合、すなわち、センサ素子を再生する時期に達したと判断したときにおけるDPFのPM堆積量QDPFが閾値Mより多い場合には、ステップS23に移る。そして、第1実施形態と同様に、DPF再生制御が実行されることでセンサ素子の温度が約500℃程度の第1温度に到達するか、あるいは、待機時間t_REGが経過するまで、センサ素子の再生を待機する。
ステップS22における判別がYESであり、近いうちにDPF再生制御が実行される可能性がないと判断された場合には、DPF再生制御の実行に関する条件が満たされるのを待たずに、すなわちステップS23〜S26の処理を実行せずに、高負荷運転が行われ排気温度が高温となるのを待つべく、ステップS28に移る。ステップS28では、排気温度センサからの出力に基づいて排気温度が約300℃程度に設定された第2温度より高いか否かを判別する。ステップS28の判別がYESである場合には、この排気温度が第2温度より高くなった時期に合わせてセンサ素子を再生するべく、ステップS27に移る。
ステップS28の判別がNOである場合には、タイマtが待機時間t_REGを超えたか否かを判別する。この判別がNOの場合には、ステップS28に移り、排気温度が第2温度を超えるのを待つ。この判別がYESの場合、すなわち、センサ素子を再生する時期に達したと判断してから、待機時間t_REGが経過してもセンサ素子の温度が第2温度に達しなかった場合には、強制的にセンサ素子の再生を開始するべく、ステップS27に移る。
本実施形態によれば、上述の(1)〜(4)に加えて、以下の効果を奏する。
(5)センサ素子を再生する時期に達したと判断されたときにおけるDPFのPM堆積量QDPFが閾値Mよりも多い場合には、近いうちにDPF再生制御が行われる可能性が高いといえる。本実施形態によれば、このような場合に、上記DPF再生制御の実行に関する条件が満たされるまでセンサ素子の再生を待機することにより、センサ素子の再生にDPF再生制御を行うことで高温となった排気をより確実に利用することができる。したがって、センサ素子の再生にかかるエネルギーをさらに抑制することができる。
(5)センサ素子を再生する時期に達したと判断されたときにおけるDPFのPM堆積量QDPFが閾値Mよりも多い場合には、近いうちにDPF再生制御が行われる可能性が高いといえる。本実施形態によれば、このような場合に、上記DPF再生制御の実行に関する条件が満たされるまでセンサ素子の再生を待機することにより、センサ素子の再生にDPF再生制御を行うことで高温となった排気をより確実に利用することができる。したがって、センサ素子の再生にかかるエネルギーをさらに抑制することができる。
(6)センサ素子を再生する時期に達したと判断されたときにおけるDPFのPM堆積量が閾値Mよりも少ない場合には、近いうちにDPF再生制御が行われる可能性が低いといえる。本実施形態によれば、このような場合には、上記DPF再生制御の実行に関する条件のうち少なくとも1つが満たされるのを待つことなく、センサ素子の温度が第2温度以上となったときにセンサ素子の再生を開始する。これにより、DPF再生制御を実行する時期に合わせてセンサ素子を再生することができなくても、センサ素子の温度が高くなる運転状態を選んで再生することができるので、センサ素子の再生にかかるエネルギーをさらに抑制することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態は、センサ再生制御の手順が第2実施形態と異なる。
図11は、本実施形態のセンサ再生制御の手順を示すフローチャートである。第2実施形態と同様に、ECUは、PM検出制御を終了し、センサ素子を再生する時期に達したと判断したことに応じて、このセンサ再生制御を実行する。なお、ステップS31〜S37、S39は、図10のステップS21〜S27、S29と同じであるので、詳細な説明を省略する。
第3実施形態は、センサ再生制御の手順が第2実施形態と異なる。
図11は、本実施形態のセンサ再生制御の手順を示すフローチャートである。第2実施形態と同様に、ECUは、PM検出制御を終了し、センサ素子を再生する時期に達したと判断したことに応じて、このセンサ再生制御を実行する。なお、ステップS31〜S37、S39は、図10のステップS21〜S27、S29と同じであるので、詳細な説明を省略する。
ステップS32における判別がYESであり、近いうちにDPF再生制御が実行される可能性がないと判断された場合には、ステップS38に移る。ステップS38では、排気温度が上昇する運転状態であるか否かを判別する。より具体的には、例えば、エンジンの運転状態を示す複数のパラメータ(燃料噴射量、トルク、回転数、吸入空気量、EGR開度、および過給圧など)を基底としたマップに、排気温度が上昇すると判断される領域を設定しておき、エンジンの運転状態がこの領域内に入ったか否かを判別することにより、排気温度が上昇する運転状態であるか否かを判別することができる。この他、アイドル運転から加速し始めたときや、アクセルペダルを戻すことで排気の流量が減少したときなど、アクセルペダルの操作パターンによっても排気温度が上昇する運転状態であるか否かを判別することができる。ステップS38の判別がYESの場合にはステップS37に移り、NOの場合にはステップS39に移る。
本実施形態によれば、上述の(1)〜(6)と同じ効果を奏する。
[第4実施形態]
第4実施形態は、PMセンサ制御の手順が第1実施形態と異なる。
第1実施形態のPMセンサ制御では、集塵制御と、PM検出制御と、センサ再生制御との3つの制御をこの順で繰り返し実行した。これに対して本実施形態のPMセンサ制御では、これら集塵制御、PM検出制御、およびセンサ再生制御に加えて、図13を参照して詳述するようにDPF再生制御の実行に応じた割り込み制御を発生させる点が、第1実施形態と異なる。
第4実施形態は、PMセンサ制御の手順が第1実施形態と異なる。
第1実施形態のPMセンサ制御では、集塵制御と、PM検出制御と、センサ再生制御との3つの制御をこの順で繰り返し実行した。これに対して本実施形態のPMセンサ制御では、これら集塵制御、PM検出制御、およびセンサ再生制御に加えて、図13を参照して詳述するようにDPF再生制御の実行に応じた割り込み制御を発生させる点が、第1実施形態と異なる。
図12は、センサ素子の温度と静電容量との関係を示す図である。
図12に示すように、センサ素子の温度が上昇するに従い、その静電容量も上昇する。特に、センサ素子の温度が約500℃を超えると、温度に対する静電容量の変化率は急激に上昇する。PMセンサでは、センサ素子にPMが付着することによる静電容量の変化に基づいてPMの検出を行うため、このように温度変化に応じて静電容量が大きく変化してしまうと、排気中のPMを正確に検出することができない。
図12に示すように、センサ素子の温度が上昇するに従い、その静電容量も上昇する。特に、センサ素子の温度が約500℃を超えると、温度に対する静電容量の変化率は急激に上昇する。PMセンサでは、センサ素子にPMが付着することによる静電容量の変化に基づいてPMの検出を行うため、このように温度変化に応じて静電容量が大きく変化してしまうと、排気中のPMを正確に検出することができない。
したがって、集塵制御やPM検出制御を行っている間に、DPF再生制御が実行されることでセンサ素子の温度が高温になってしまうと、誤検知や誤作動が発生するおそれがある。そこで本実施形態では、以下詳細に説明するように、集塵制御やPM検出制御を行っている間にDPF再生制御が実行された場合、集塵制御やPM検出制御を中断することで誤検知や誤作動を防止するとともに、センサ素子の再生を優先することでDPF再生制御に伴う廃熱を有効に利用する。
図13は、PMセンサ制御の割り込み制御の手順を示すフローチャートである。この割り込み処理は、DPF再生制御(図6のステップS3参照)が開始されたことに応じて実行される。
ステップS41では、DPF再生制御を開始してから経過した時間を示すタイマtをスタートし、ステップS42に移る。
ステップS42では、集塵制御の実行中であるか否かを判別する。この判別がYESの場合には、ステップS43に移り、PMの集塵を停止した後、ステップS49に移る。この判別がNOの場合には、ステップS44に移る。
ステップS44では、PM検出制御の実行中であるか否かを判別する。この判別がNOの場合には、この処理を直ちに終了し、YESの場合には、ステップS45に移る。
ステップS45では、センサ温度が第3温度(約500℃)以上になったか否かを判別する。
ステップS44では、PM検出制御の実行中であるか否かを判別する。この判別がNOの場合には、この処理を直ちに終了し、YESの場合には、ステップS45に移る。
ステップS45では、センサ温度が第3温度(約500℃)以上になったか否かを判別する。
ステップS45の判別がYESであり、センサ素子の温度が第3温度以上となった場合には、ステップS46に移り、PMの検出を終了した後、ステップS47に移る。ステップS47では、センサ素子の再生を実行し、この処理を終了する。より具体的には、ヒータをオンにしセンサ素子に付着したPMを燃焼除去し、このセンサ素子を再生する。
一方、ステップS45の判別がNOであり、センサ素子の温度が第3温度に達していない場合には、PMの検出が可能であると判断し、PMの検出を継続するべくステップS48に移る。ステップS48では、PMの検出が終了したか否かを判別する。この判別がNOの場合にはステップS45に移り、YESの場合にはステップS49に移る。すなわち、センサ温度が第3温度以上になるまではPMの検出を継続し、センサ温度が第3温度以上になるまでセンサ素子の再生が待機する。
ステップS49では、排気温度が第4温度(約500℃)以上になったか否かを判別する。この判別がYESの場合には、センサ素子を再生するべくステップS47に移る。この判別がNOの場合には、ステップS50に移る。ステップS50では、タイマtが待機時間t_REGを超えたか否かを判別する。この判別がNOの場合には、ステップS49に移り、排気温度が第4温度に達するのを待つ。この判別がYESの場合、すなわち、DPF再生制御を実行してから、待機時間t_REGが経過しても排気温度が第4温度に達しなかった場合には、強制的にセンサ素子の再生を開始するべく、ステップS47に移る。
本実施形態によれば、上述の(1)〜(4)に加えて、以下の効果を奏する。
(7)本実施形態によれば、集塵制御又はPM検出制御を実行している間にDPF再生制御が実行された場合、これに合わせてセンサ素子の再生を開始する。これにより、DPFを再生するために高温となった排気を利用してセンサ素子を再生することができるので、センサ素子の再生にかかるエネルギーをさらに抑制することができる。また、センサ素子の電気的特性は、センサ素子の温度によって大きく変化する。このため、DPFの再生の開始に伴って電極部の再生を開始することにより、排気浄化フィルタの再生する際の廃熱を有効に利用しながら、粒子状物質検出手段の誤検知や誤作動を防止することができる。
(7)本実施形態によれば、集塵制御又はPM検出制御を実行している間にDPF再生制御が実行された場合、これに合わせてセンサ素子の再生を開始する。これにより、DPFを再生するために高温となった排気を利用してセンサ素子を再生することができるので、センサ素子の再生にかかるエネルギーをさらに抑制することができる。また、センサ素子の電気的特性は、センサ素子の温度によって大きく変化する。このため、DPFの再生の開始に伴って電極部の再生を開始することにより、排気浄化フィルタの再生する際の廃熱を有効に利用しながら、粒子状物質検出手段の誤検知や誤作動を防止することができる。
(8)本実施形態によれば、PM検出制御を実行している間にDPF再生制御が実行された場合、センサ温度が第3温度以上になるまで、センサ素子の再生を待機しながらPM検出制御を継続することにより、正確な検出が可能な範囲内で、可能な限り長い時間にわたってPM量を検出し続けることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限るものではなく、種々の変形が可能である。
上記実施形態では、エンジンの運転状態に基づいて、DPFのPM堆積量QDを算出したがこれに限らない。DPFのPM堆積量は、例えば、DPFの上流と下流の間の差圧を検出する差圧センサを設けた場合、この差圧センサの検出値に基づいて、DPFのPM堆積量を算出することもできる。
上記実施形態では、エンジンの運転状態に基づいて、DPFのPM堆積量QDを算出したがこれに限らない。DPFのPM堆積量は、例えば、DPFの上流と下流の間の差圧を検出する差圧センサを設けた場合、この差圧センサの検出値に基づいて、DPFのPM堆積量を算出することもできる。
1…エンジン(内燃機関)
11…PMセンサ(粒子状物質検出装置)
12…センサ素子
120…集塵部(電極部)
122,129…ヒータ層(電極部再生手段)
122A,129A…ヒータ配線(温度検出手段)
130,131…電極板(電極部)
17…センサ制御ユニット(検出手段、粒子状物質検出手段、電極部再生手段、温度検出手段)
3…DPF
4…排気管(排気系)
5…ECU(粒子状物質検出装置、電極部再生手段、フィルタ再生手段、再生時期判断手段、温度検出手段、堆積量推定手段)
7…排気温度センサ(温度検出手段)
11…PMセンサ(粒子状物質検出装置)
12…センサ素子
120…集塵部(電極部)
122,129…ヒータ層(電極部再生手段)
122A,129A…ヒータ配線(温度検出手段)
130,131…電極板(電極部)
17…センサ制御ユニット(検出手段、粒子状物質検出手段、電極部再生手段、温度検出手段)
3…DPF
4…排気管(排気系)
5…ECU(粒子状物質検出装置、電極部再生手段、フィルタ再生手段、再生時期判断手段、温度検出手段、堆積量推定手段)
7…排気温度センサ(温度検出手段)
Claims (8)
- 内燃機関の排気系に設けられた排気浄化フィルタと、
前記排気系のうち前記排気浄化フィルタの下流側に設けられた電極部と、
前記電極部の電気的特性を検出する検出手段と、
前記電極部に粒子状物質が付着することによる前記電気的特性の変化に基づいて、排気に含まれる粒子状物質の量に相関のある値を検出する粒子状物質検出手段と、
前記電極部に付着した粒子状物質を燃焼除去し、当該電極部を再生する電極部再生手段と、
前記排気浄化フィルタに捕捉された粒子状物質を燃焼除去し、当該排気浄化フィルタを再生するフィルタ再生手段と、を備える排気浄化装置であって、
前記電極部再生手段は、前記排気浄化フィルタの再生時期に応じて前記電極部の再生を開始することを特徴とする排気浄化装置。 - 前記粒子状物質検出手段による前記検出が終了したことに応じて前記電極部を再生する時期に達したことを判断する再生時期判断手段をさらに備え、
前記電極部再生手段は、前記電極部を再生する時期に達したと判断されてから複数の条件のうち少なくとも1つが満たされるまで、前記電極部の再生を待機することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。 - 前記電極部の温度に相関のある値を検出する温度検出手段と、
当該温度検出手段の検出値に基づいて、前記電極部の温度が第1温度以上になったか否かを判断する温度判断手段と、をさらに備え、
前記複数の条件は、前記排気浄化フィルタが再生されることで前記電極部の温度が前記第1温度以上になることを含むことを特徴とする請求項2に記載の排気浄化装置。 - 前記複数の条件は、前記再生時期判断手段により前記電極部を再生する時期に達したと判断されてから、待機時間が経過しても前記排気浄化フィルタが再生されないことを含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の排気浄化装置。
- 前記排気浄化フィルタにおける粒子状物質の堆積量を検出又は推定する堆積量推定手段をさらに備え、
前記電極部再生手段は、前記電極部を再生する時期に達したと判断されたときにおける前記堆積量が待機判定量より多い場合には、前記複数の条件のうち少なくとも1つが満たされるまで前記電極部の再生を待機することを特徴とする請求項2に記載の排気浄化装置。 - 前記電極部の温度に相関のある値を検出する温度検出手段と、
当該温度検出手段の検出値に基づいて、前記電極部の温度が第2温度以上になったか否かを判断する温度判断手段と、をさらに備え、
前記電極部再生手段は、前記電極部を再生する時期に達したと判断されたときにおける前記堆積量が前記待機判定量より少ない場合には、前記複数の条件のうち少なくとも1つが満たされるのを待つことなく、前記電極部の温度が前記第2温度以上になったときに前記電極部の再生を開始することを特徴とする請求項5に記載の排気浄化装置。 - 前記粒子状物質検出手段により前記粒子状物質に相関のある値を検出している間に前記排気浄化フィルタの再生が開始された場合、前記電極部再生手段は、前記電極部の再生を開始することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
- 前記電極部の温度に相関のある値を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段の検出値に基づいて、前記電極部が第3温度以上になったか否かを判断する温度判断手段と、をさらに備え、
前記粒子状物質検出手段により前記粒子状物質に相関のある値を検出している間に前記排気浄化フィルタの再生が開始された場合、前記粒子状物質検出手段は、前記電極部の温度が前記第3温度以上になるまで前記粒子状物質に相関のある値を検出し、前記電極部再生手段は、前記電極部の温度が前記第3温度以上になるまで前記電極部の再生を待機することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
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