JP2011086740A - 金属化フィルムコンデンサの製造方法 - Google Patents

金属化フィルムコンデンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の製造システムでは巻回して扁平に成型する時に加圧歪みが生じ、耐電圧の低下を生じるため、フィルムの薄膜化に限界がある。PPフィルムの薄膜化は2.5μmが限界と言われている。また、2枚の薄膜蒸着フィルを巻回するためには、高精度の巻取機が必要で、その設備投資は膨大である。
【解決手段】広幅PPフィルムの両面に金属を両面蒸着して、この蒸着フィルム面上に有機化合物からな誘電体をコーティングし架橋(硬化)させ、蒸着フィルムと有機化合物の薄膜ハイブリッド金属化フィルムを形成する。この薄膜ハイブリッド金属化フィルムを広幅の状態で積層し、所定の寸法に切断し素子を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種電子機器、電気機器、産業機器、自動車等に使用され、特に、ハイブリッド自動車のモータ駆動用インバータ回路の平滑用、フィルタ用、スナバ用に最適な金属化フィルムコンデンサの製造方法に関するものである。
近年、環境保護の観点から、あらゆる電気機器がインバータ回路で制御され、省エネルギー化、高効率化が進められている。中でも自動車業界においては、電気モータとエンジンで走行するハイブリッド車(以下、HEVと呼ぶ)が市場導入される等、地球環境に優しく、省エネルギー化、高効率化に関する技術の開発が活発化している。
このようなHEV用の電気モータは使用電圧領域が数百ボルトと高いため、このような電気モータに関連して使用されるコンデンサとして、高耐電圧で低損失の電気特性を有する金属化フィルムコンデンサが注目されており、更に市場におけるメンテナンスフリー化の要望からも極めて寿命が長い金属化フィルムコンデンサを採用する傾向が目立っている。
そして、このような金属化フィルムコンデンサは、一般に金属箔を電極に用いるものと、誘電体フィルム上に設けた蒸着金属を電極に用いるものとに大別される。中でも、蒸着金属を電極(以下、金属蒸着電極と呼ぶ)とする金属化フィルムコンデンサは、金属箔のものに比べて電極の占める体積が小さく小形軽量化が図れることと、金属蒸着電極特有の自己回復機能(絶縁欠陥部で短絡が生じた場合に、短絡のエネルギーで欠陥部周辺の金属蒸着電極が蒸発・飛散して絶縁化し、コンデンサの機能が回復する性能)により絶縁破壊に対する信頼性が高いことから、市場におけるメンテナンスフリー化の要望からも極めて寿命が長い金属化フィルムコンデンサを採用する傾向が目立っている。
この種の従来の金属化フィルムコンデンサは、一般に図5に示すように広幅の誘電体フィルムの片面に金属を蒸着することにより金属蒸着電極が形成された金属化フィルム巻回母体101を形成し、この巻回母体101をスリッターにより所要幅に切断して金属化フィルム102を形成し、一対の金属化フィルム102a、102bを図示しない巻き取り機により巻回して1個の巻取素子103を形成し、これを必要に応じてプレスなど行って金属化フィルムコンデンサ104を製造するようにしている。この製造工法による生産に当たっては、効率的な生産を行うため通常蒸着機1台に対して、所要幅に切断するスリット機3台、所定の静電容量に巻き取る巻き取り機6台等の対応設備を要していた。
また、アルミ電解コンデンサに比べ材料の特性上、同一容量を得るには、形状も大きくなって高価とならざるを得なかった。特に自動車用においては小形軽量化が求められ、使用する誘電体フィルムの薄膜化が必須となってきており、これまでに金属化フィルムコンデンサの薄膜化による耐電圧の向上に関しては、いくつかの提案がなされている。例えば上記誘電体フィルムを薄膜化して小形・軽量化を図るなどの対策が行われていた。(特許文献1)
特開2006−269727号公報
上記一般的なフィルムコンデンサの製造方法においては、蒸着機一台に対して、スリット機3台、巻き取り機6台等の対応設備が必要であり、膨大な設備投資を必要とし、信頼性、安全性の高いフィルムコンデンサの実用化を遅らせていた。
また、フィルムコンデンサの小形・軽量化を図るためにプラスチックフィルムを薄膜化して小形・軽量化を図るものにあっては、耐電圧性能も低下するため、薄膜化と同時に耐電圧の向上が必要であり、そのために、フィルム表面粗さを平坦化させ、耐電圧性能低下の主原因であるフィルムの凹部を無くすことで耐電圧を向上させている。
しかしながら、フィルムの薄膜化は巻き取り条件に大きく影響を及ぼし、フィルムの表面粗さ特性は生産工数に大きく影響を与えるものであった。即ち、表面粗さが粗面化過ぎると、巻回時にフィルム走行が安定せず、精度良く巻回できない。一方、表面粗さが平坦化過ぎると、素子成形の歪みにより、耐圧低下、保安性の悪化を引き起こす課題を有するものであった。そのため、ポリプロピレンフィルム(以下PPフィルムという)の薄膜化は2.5μm厚みが限界と言われている。
本発明の金属化フィルムコンデンサの製造方法は、 広幅両面蒸着PPフィルムの両面または片面に誘電体をコーティングする工程と、上記両面または片面に誘電体をコーティングした広幅両面蒸着PPフィルムにエレクトロンビームまたは紫外線照射で架橋(硬化)させたハイブリット誘電体を設けた広幅ハイブリット金属化フィルムを形成する工程と、上記広幅ハイブリット金属化フィルムの積層切断面を予めレーザーでマージンを形成する工程と、上記マージンを形成された広幅ハイブリット金属化フィルムを積み重ね積層板を形成する工程と、上記積層板を所定の寸法に切断して素子を形成する工程とを有することを主要な特徴とする。
第2に、上記広幅両面蒸着PPフィルムの厚みは1.0〜2.5μmであって、その片面に誘電体をコーティングする場合には、同誘電体の厚みが1.0〜2.5μmであることを特徴とする。
第3に、上記広幅両面蒸着PPフィルムの厚みは1.0〜2.5μmであって、その両面に誘電体をコーティングする場合には、同誘電体の厚みが0.5〜1.25μmであることを特徴とする。
本発明の金属化フィルムコンデンサの製造方法においては、フィルムの薄膜化による耐電圧確保策として、広幅PPフィルムの両面にアルミニュウム金属等を真空蒸着し、この蒸着フィルム上に誘電体をコーティングし、金属化PPフィルムと誘電体のいわゆるハイブリット誘電体膜を形成する。これにより、フィルム材料として弱点部になるフィルム表面の凹凸を極小にすることで耐電圧を向上させ、フィルムコンデンサの小形・軽量が可能となる。このハイブリット誘電体膜を広幅の状態で積層し所望される静電容量値に応じて所定の形状に切断加工し、コンデンサ素子を得ることで従来工法で用いられるスリット機の不要化、巻き取り機の集約化で、設備投資が抑えられ、1個当たりのコンデンサの低コストが可能となる。またハイブリット誘電体膜を形成する工法により1枚巻製造システムの採用可能となり、従来工法で用いるスリット機の不要化、巻取機の集約化より設備投資が大幅に改善される。
また、誘電体の厚みを、片面の場合には1.0〜2.5μmに、両面の場合には0.5〜1.25μmにすることにより、PPフィルムの厚さを従来3.0μm以上としないと所定耐圧の平滑用フィルムコンデンサを得ることができなかったが、1.0〜2.5μmの極薄膜化することが可能となり、平滑用フィルムコンデンサの大幅な小型軽量化することができる。
本発明の平滑用フィルムコンデンサの積層板を製造するまでの工程を示す工程図(実施例1) 本発明の平滑用フィルムコンデンサの積層板を製造するまでの他の工程を示す工程図((実施例2) 図1又は図2で製造された積層板をカットし平滑用フィルムコンデンサを得る工程を示す工程図 本発明の効果を示す直流電圧破壊レベルの概念図 従来の平滑用フィルムコンデンサの製造方法を示す概念図
以下、本発明の実施の形態を図1から図4に基づいて詳細に説明する。
図1中、巻回された両面蒸着PPフィルム1は、誘電体液槽5、誘電体液13、誘電体汲み上げロール(以下アプリケーションロールという)4、グラビアロール3、余分な誘電体液を掻き落とすスキージ12、フィルムに誘電体液を転写させる為のバックアップロール2からなる誘電体コーティング工程Cに供給され、誘電体液を架橋(硬化)させるエレクトロンビーム(以下EB照射装置という)6からなる硬化工程D、片面ハイブリット誘電体Faの長さ方向に一定の幅でマージン用の絶縁部を形成するYAGレーザー装置7からなるマージン形成工程M、片面ハイブリット誘電体Faをカットするフィルムカッター8、フィルムカット時に片面ハイブリット誘電体Faを保持するハンド9、ハイブリット誘電体Faを積層する積層機11積層板を作る加圧プレート10、から構成する切断積層工程Sを通る。
具体的には、予め真空蒸着装置で蒸着された両面蒸着PPフィルム1を引き出し、誘電体液層5からアプリケーションロール4により誘電体液13をグラビアロール3に汲み上げ、グラビアロール3とバックアップロール2に挟持された両面蒸着PPフィルム1の表面に転写しEB照射装置6によって誘電体塗膜を架橋(硬化)させ片面ハイブリット誘電体Faを作る。ハイブリット誘電体をYAGレーザー7によって決められた長さ毎、一定の幅に蒸着金属を飛ばし、絶縁部を設け、ハンド9で保持して、積層機に運びフィルムカッター8でカットし積み重ね加圧プレート10によって押圧し、これを繰り返し所定の積層数を構成する。
そして、図3示すように仮固定された広幅積層板21を絶縁部21aに沿ってスリット刃22を用いて分割を行い広幅から個別の積層体(スリット条という)スリット条22aに分け、メタリコン用溶射冶具にセットし、枠締めを行い、スリット面に金属溶射により、外部電極を構成し長尺のコンデンサ条23aを作成する。
その後熱処理を行い、コンデンサ条23aをフライス刃23で切断を行ない、目的とするコンデンサ素子24を作る。
なお、積層板21は目的とする静電容量に応じてその厚みを調整される。
上記図1に示す平滑用フィルムコンデンサの積層板を製造工程図においては、両面蒸着PPフィルム1の表面に誘電体をコーティングするようにしたが、例えば図2に示すように、実施例1同様に予め真空蒸着装置で蒸着された両面蒸着PPフィルム1を引き出し、第1誘電体コーティング工程C1にて誘電体液層5aからアプリケーションロール4aにより誘電体液13aをグラビアロール3aに汲み上げ、グラビアロール3aとバックアップロール2aに挟持された両面蒸着フィルム1の表面に転写する。そして、第1硬化工程D1のEB照射装置6aによって誘電体塗膜を架橋(硬化)させ片面ハイブリット誘電体Faを造る。しかる後、第2誘電体コーティング工程C2にて片面ハイブリット誘電体Faを誘電体液層5bからアプリケーションロール4bにより誘電体液13bをグラビアロール3bに汲み上げ、グラビアロール3bとバックアップロール2bに挟持された片面ハイブリット誘電体Faの裏面に転写する。更に、第2硬化工程D2のEB照射装置6bによって誘電体塗膜を架橋(硬化)させ両面ハイブリット誘電体Fbを造る。以降マージン形成工程M及び切断積層工程Sは上記実施例同様に行い積層板を構成する。
本発明に成る両面蒸着PPフィルム上の片面に誘電体をコーティングした場合および両面蒸着フィルム上の両面に誘電体をコーティングした場合および従来工法であるコーティング無しの場合について直流破壊電圧値を求めることで耐電圧性能を調べた。
図4は直流電圧破壊レベルの比較を示す。従来工法では両面蒸着PPフィルム厚みが3.0μm(従来1)を用いた場合は市場要求耐電圧レベルを満足出来るに対し、両面蒸着PPフィルムを2.5μm(従来2)にすると両面蒸着PPフィルムの薄化に応じて直流破壊電圧レベルが下がり、市場要求レベルを満足出来なくなる。これに対し、実施例1に示すように厚み2.5μmの両面蒸着PPフィルム上に片面2.5μm厚みの誘電体をコーティングすると直流破壊電圧レベルが上がり、市場要求耐電圧レベルを満足でき、また従来工法での両面蒸着PPフィルム厚み3.0μmを用いた場合よりも直流破壊電圧レベルが向上することが分かる。厚み2.5μmの両面蒸着PPフィルムを用い、片面2.0μm厚みの誘電体をコーティングした場合(実施例2)、片面コーディング薄化の分、直流破壊電圧レベルがわずかに下がるものの市場要求耐電圧レベルを満足できることが分かる。また、厚み2.5μmの両面蒸着PPフィルムを用い、片面1.0μm厚みの誘電体を両面にコーティングした場合(実施例3)の直流破壊電圧が、片面コーティングした場合より若干向上する。
このことから耐電圧性能を向上させるには、フィルム層間に空間を発生させないこと、そして誘電体の表面粗さを平坦化すること、すなわち両面蒸着PPフィルムの片面または両面に誘電体をコーティングすることにより、耐電圧性能低下の要因であるフィルム層間の空間発生抑制同じく耐電圧性能低下の要因であるフィルム厚さのムラを極小にすることで直流電圧破壊レベルが向上できると言える。直流破壊電圧平均値の上昇と特に直流破壊電圧分布がシャープになっていることからもコーティングの効果が確認できる。誘電体の厚みを、片面の場合には1.0〜2.5μmに、両面の場合には0.5〜1.25μmにすることにより、PPフィルムの厚さを従来3.0μm以上としないと所定耐圧の平滑用フィルムコンデンサを得ることができなかったが、1.0〜2.5μmの極薄膜化することが可能となり、平滑用フィルムコンデンサの大幅な小形軽量化することができる。
本発明は、ハイブリッド自動車のモータ駆動用インバータ回路用の平滑コンデンサのほか、各種電子機器、電気機器、産業機器等の平滑用、フィルタ用、スナバ用に最適な金属化フィルムコンデンサ全般に適用できるものである。
1 両面蒸着PPフィルム
2、2a、2b バックアップロール
3、3a、3b グラビアロール
4、4a、4b アプリケーションロール
5、5a、5b 誘電体液槽
6、6a、6b EB照射装置
7 YAGレーザー
8 フィルムカッター
9 ハンド
10 加圧プレート
11 積層機
12、12a、12b スキージ
13、13a、13b 誘電体液
14 冷却装置
21 広幅積層板
21a 絶縁部
22 スリット刃
22a スリット条
23 フライス刃
23a コンデンサ条
24 コンデンサ
Fa 片面ハイブリット誘電体
Fb 両面ハイブリット誘電体
C、C1、C2 誘電体コーティング工程
D、D1、D2 架橋(硬化)工程
M マージン形成工程
S 切断積層工程

Claims (3)

  1. 広幅両面蒸着PPフィルムの両面または片面に誘電体をコーティングする工程と、上記両面または片面に誘電体をコーティングした広幅両面蒸着PPフィルムにエレクトロンビームまたは紫外線照射で架橋させたハイブリット誘電体を設けた広幅ハイブリット金属化フィルムを形成する工程と、上記広幅ハイブリット金属化フィルムの積層切断面を予めレーザーでマージンを形成する工程と、上記マージンを形成された広幅ハイブリット金属化フィルムを積み重ね積層板を形成する工程と、上記積層板を所定の寸法に切断して素子を形成する工程、とを有することを特徴とする金属化フィルムコンデンサの製造方法。
  2. 上記広幅両面蒸着PPフィルムの厚みは1.0〜2.5μmであって、その片面に誘電体をコーティングする場合には、同誘電体の厚みが1.0〜2.5μmであることを特徴とする請求項1に記載の金属化フィルムコンデンサの製造方法。
  3. 上記広幅両面蒸着PPフィルムの厚みは1.0〜2.5μmであって、その両面に誘電体をコーティングする場合には、同誘電体の厚みが0.5〜1.25μmであることを特徴とする請求項1に記載の金属化フィルムコンデンサの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8931235B2 (en) 2010-06-15 2015-01-13 Brookes H. Baker Method for erecting a facility producing electrical energy from wind

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