以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
(第1の実施の形態)
始めに、図1から図15を参照し、第1の実施の形態に係る現像処理装置及び現像処理方法について説明する。
図1から図3は本発明に係る塗布現像処理システムの全体構成を示す図であり、図1はその平面図、図2は正面図及び図3は背面図である。
塗布現像処理システム1は、カセットステーション10、処理ステーション11及びインターフェース部12を一体に接続した構成を有する。カセットステーション10は、被処理基板として半導体ウェハWを、ウェハカセットCRで複数枚例えば25枚単位で、システムに対して外部から搬入又は外部へ搬出する。また、カセットステーション10は、ウェハカセットCRに対してウェハWを搬入・搬出したりする。処理ステーション11は、塗布現像工程の中で1枚ずつウェハWに所定の処理を施す枚葉式の各種処理ユニットを所定位置に多段配置してなる。インターフェース部12は、処理ステーション11と、この処理ステーション11と隣接して設けられる露光装置(図示せず)との間でウェハWを受け渡しする。
カセットステーション10は、図1に示すように、カセット載置台20、ウェハ搬送体21を有する。カセット載置台20では、カセット載置台20上の突起20aの位置に、複数個例えば4個までのウェハカセットCRが、それぞれのウェハ出入口を処理ステーション11側に向けてX方向一列に載置されている。ウェハ搬送体21は、カセット配列方向(X方向)及びウェハカセットCR内に収納されたウェハのウェハ配列方向(Z方向)に移動可能に設けられている。また、ウェハ搬送体21は、各ウェハカセットCRに選択的にアクセスするようになっている。また、ウェハ搬送体21は、θ方向に回転可能に構成され、後述するように処理ステーション11側の第3の組G3の多段ユニット部に属するアライメントユニット(ALIM)及びイクステンションユニット(EXT)にもアクセスできるようになっている。
処理ステーション11では、図1に示すように、中心部に垂直搬送型の主ウェハ搬送機構22が設けられ、その周りに全ての処理ユニットが1組または複数の組に亙って多段に配置されている。この例では、5組G1、G2、G3、G4、G5の多段配置構成となっている。第1及び第2の組G1、G2の多段ユニットは、システム正面(図1において手前)側に並置されている。第3の組G3の多段ユニットは、カセットステーション10に隣接して配置されている。第4の組G4の多段ユニットは、インターフェース部12に隣接して配置されている。第5の組G5の多段ユニットは背部側に配置されている。なお第5の組G5は、主ウェハ搬送機構22のメンテナンスのためにレール25に沿って移動可能に構成されている。
図3に示すように、主ウェハ搬送機構22は、ウェハ搬送装置46を上下方向(Z方向)に昇降自在に装備している。筒状支持体49はモータ(図示せず)の回転軸に接続されており、このモータの回転駆動力によって、前記回転軸を中心としてウェハ搬送装置46と一体に回転する。従って、このウェハ搬送装置46は、θ方向に回転自在となっている。ウェハ搬送装置46は、搬送アーム48を有している。
図2に示すように、第1の組G1では、カップCP内でウェハWをスピンチャックに載せて所定の処理を行う2台のスピンナ型処理ユニット、例えばレジスト塗布処理ユニット(COT)及び本発明に係る現像処理ユニット(DEV)が下から順に2段に重ねられている。第2の組G2でも、2台のスピンナ型処理ユニット、例えばレジスト塗布処理ユニット(COT)及び現像処理ユニット(DEV)が下から順に2段に重ねられている。レジスト塗布処理ユニット(COT)ではレジスト液の排液が機構的にもメンテナンスの上でも面倒であることから、このように下段に配置するのが好ましい。しかし、必要に応じて上段に配置することも可能である。
なお、第1の組G1、第2の組G2には、Z方向の下側等の空いたスペースに、レジスト塗布処理ユニット(COT)及び現像処理ユニット(DEV)に各種処理液を供給するためのケミカル室13が設けられてもよい。
図3に示すように、第3の組G3では、ウェハWを載置台に載せて所定の処理を行うオーブン型の処理ユニット、例えば下から順にクーリングユニット(COL)、アドヒージョンユニット(AD)、アライメントユニット(ALIM)、イクステンションユニット(EXT)、プリベーキングユニット(PAB)及びポストエクスポージャーベーキングユニット(PEB)が重ねられている。第4の組G4でも、オーブン型の処理ユニット、例えば下から順にクーリングユニット(COL)、イクステンション・クーリングユニット(EXTCOL)、イクステンションユニット(EXT)、プリベーキングユニット(PAB)及びポストエクスポージャーベーキングユニット(PEB)が重ねられている。なお、現像後に加熱処理を行うためのポストベーキングユニットが配置されてもよい。
また、図3に示すように、図8を用いて後述するような、アミン等の処理ガスによる失活処理を行う失活処理装置200が配置されてもよい。
このように処理温度の低いクーリングユニット(COL)、イクステンション・クーリングユニット(EXTCOL)を下段に配置し、処理温度の高いベーキングユニット(PAB)やポストエクスポージャーベーキングユニット(PEB)を上段に配置する。この上下配置により、ユニット間の熱的な相互干渉を少なくすることができる。しかし、ランダムな多段配置とすることも可能である。
インターフェース部12は、奥行方向では処理ステーション11と同じ寸法を有するが、幅方向では小さなサイズにつくられている。インターフェース部12の正面部には可搬性のピックアップカセットCRと定置型のバッファカセットBRが2段に配置され、背面部には周辺露光装置23が配設され、中央部にはウェハ搬送体24が設けられている。このウェハ搬送体24は、X、Z方向に移動して両カセットCR、BR及び周辺露光装置23にアクセスするようになっている。さらに、ウェハ搬送体24は、θ方向に回転可能に構成され、処理ステーション11側の第4の組G4の多段ユニットに属するイクステンションユニット(EXT)にも、及び隣接する露光装置側のウェハ受渡し台(図示せず)にもアクセスできるようになっている。
図4及び図5は、本実施の形態に係る現像処理ユニット(DEV)を示す断面図及び平面図である。この現像処理ユニット(DEV)の中央部には、ウェハ搬送装置46の搬送アーム48が進退自在に設けられた環状のカップCΡが配設されている。カップCΡの内側には、ウェハWを水平に、かつ、回転可能に保持するスピンチャック52が配置されている。スピンチャック52は真空吸着によってウェハWを固定保持した状態で駆動モータ54によって回転駆動される。駆動モータ54は、ユニット底板50に設けられた開口に昇降移動可能に配置され、アルミニウムからなるキャップ状のフランジ部材58を介して、エアシリンダからなる昇降駆動手段60および昇降ガイド手段62と結合されている。駆動モータ54の側面には、例えばステンレス鋼(SUS)からなる筒状の冷却ジャケット64が取り付けられ、フランジ部材58は冷却ジャケット64の上半部を覆うように取り付けられている。
現像液塗布時、フランジ部材58の下端は、ユニット底板50の開口の外周付近でユニット底板50に密着し、これによりユニット内部が密閉される。スピンチャック52と主ウェハ搬送機構22との間でウェハWの受け渡しが行われるときは、昇降駆動手段60が駆動モータ54またはスピンチャック52を上方へ持ち上げることでフランジ部材58の下端がユニット底板50から浮くようになっている。なお、現像処理ユニット(DEV)のケーシングには、搬送アーム48が侵入するための窓70が形成されている。
図5に示すように、カップCP内に収容されたウェハW上において、このウェハWの表面に現像液を供給するための現像液吐出ノズル86は、ノズルスキャンアーム92の先端部に着脱可能に取り付けられている。現像液吐出ノズル86へは、現像液供給部79aと純水供給部79bとから、現像液と純水とを別々に送液することができるようになっている。現像液吐出ノズル86は長尺形状を有し、例えば図示しない複数の孔、又はスリット状に形成された供給口より現像液又は純水が供給されるようになっている。ノズルスキャンアーム92は、ユニット底板50の上に一方向(Y方向)に敷設されたガイドレール91上で水平移動可能な垂直支持部材93の上端部に取り付けられており、Y方向駆動機構98によって垂直支持部材93と一体的にY方向に移動するようになっている。また、現像液吐出ノズル86は、Z軸駆動機構99によって上下方向(Z方向)に移動可能となっている。
現像液の塗布方法としては、現像液吐出ノズル86から現像液をウェハW上に帯状に吐出させながら、Y軸駆動機構98によって現像液吐出ノズル86をガイドレール91に沿ってウェハW上をスキャンするように移動させる方法、または、現像液吐出ノズル86の長手方向がウェハWの直径に重なる位置、例えば、図5に示される位置まで移動させ、その状態で現像液をウェハWに吐出させつつ、ウェハWを少なくとも1/2回転させる方法等を挙げることができる。
現像液吐出ノズル86は、図5に示すように、現像液を塗布後にノズル待機部94に待機されるようになっている。ノズル待機部94には、現像液吐出ノズル86を洗浄するノズル洗浄機構(ノズルバス)94aが設けられている。
現像処理ユニット(DEV)は、ウェハWに対してリンス液を吐出するリンス液吐出ノズル95を有しており、リンス液供給部90からリンス液がリンス液吐出ノズル95に供給される。リンス液吐出ノズル95はガイドレール91上をY方向に移動自在に設けられたノズルスキャンアーム96の先端に取り付けられており、現像液による現像処理の終了後にウェハW上に移動され、リンス液をウェハWに吐出する。
リンス液としては現像液の溶媒である純水が好適に用いられる。リンス液吐出ノズル95の形状に制限はなく、例えばパイプ状のストレートノズル等を用いることができる。ウェハWからこぼれ落ち、または振り切られた現像液やリンス液はドレイン69から排出される。なお、現像液吐出ノズル86から吐出される純水によってリンス処理を行うことも可能であるが、最終的にはリンス液吐出ノズル95によるリンス処理を行うことが望ましい。
現像処理ユニット(DEV)の駆動系の動作は、制御部97によって制御される。すなわち、駆動モータ54、Y軸駆動機構98、Z軸駆動機構99は、制御部97の指令により駆動、制御される。また、現像液供給部79a、純水供給部79b、リンス液供給部90についても、制御部97からの信号によって駆動系の動作と並行して制御される。
図6は、現像液供給部の概略構成を示す図である。現像液供給部79aは、第1の現像液供給部81及び第2の現像液供給部82を有する。第1の現像液供給部81及び第2の現像液供給部82は、三方弁83により、切換可能に、現像液吐出ノズル86に接続されている。第1の現像液供給部81及び第2の現像液供給部82は、それぞれ異なる所定濃度に調整された2種類の現像液である第1の現像液及び第2の現像液を供給する。従って、現像液供給部79aは、それぞれ異なる濃度の第1の現像液及び第2の現像液を、切換可能に現像液吐出ノズル86へ供給する。
第1の現像液供給部81では、図示しない純水貯蔵源から、電磁バルブ81a等の流量制御手段を通して、純水が混合器84へ送液される。また、図示しない現像液貯蔵源から、電磁バルブ81b等の流量制御手段を通して、所定の濃度の現像液が混合器84へ送液される。混合器84では、これらの純水と現像液が均一に混合され、第1の現像液として現像液吐出ノズル86に送液される。
また、第1の現像液供給部81には、混合器84を経て現像液吐出ノズル86へ供給される現像液の濃度を監視する濃度センサ85が設けられている。濃度センサ85は、第1の現像液の濃度が所定の濃度の値になるように電磁バルブ81a、81bの開閉量を制御して流量を制御することにより、所望の濃度を有する第1の現像液を調整することができる。
一方、第2の現像液供給部82では、図示しない現像液貯蔵源から、電磁バルブ82a等の流量制御手段を通して、所定の濃度の現像液が、第2の現像液として現像液吐出ノズル86に送液される。
ここで、第1の現像液及び第2の現像液としては、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)を用いることができる。TMAH現像液を用いる場合、第1の現像液供給部81において混合器84へ送液する現像液の濃度を、例えば4.76wt%とすることができる。また、第2の現像液供給部82において、第2の現像液として現像液吐出ノズル86に送液される現像液の濃度を、例えば2.38wt%とすることができる。
また、第2の現像液を例えば略2.38wt%のTMAH現像液とし、第1の現像液を第2の現像液よりも濃度の高い例えば3wt%のTMAH現像液としてもよい。また、第1の現像液の濃度を変更しなくてもよい場合には、純水貯蔵源、混合器を設けず、第1の現像液供給部81として、例えば3wt%のTMAH現像液を供給する現像液貯蔵源を直接三方弁83に接続してもよい。
なお、三方弁83は、本発明における切換機構に相当する。
図7は、本実施の形態に係る加熱処理装置の概略構成を示す断面図である。
加熱処理装置150は、ケーシング151内に、上下動自在な蓋体152と、蓋体152の下側に位置し、蓋体152と協働して処理室153を構成するサポートリング154を備えている。
サポートリング154は、例えば上下面が開口した略円筒状の形態を有し、その内側に熱処理板としての加熱プレート155を収容している。加熱プレート155を収容することにより、サポートリング154の下面が閉鎖されている。加熱プレート155は、厚みのある円板形状を有し、その上面に被処理基板であるウェハWを載置し加熱するものである。加熱プレート155には、給電により発熱するヒータ156が内蔵されており、加熱プレート155自体を所定の温度により維持できるようになっている。つまり、所定の温度に加熱された加熱プレート155にウェハWを載置することによって、ウェハWを所定温度に加熱できる。
加熱プレート155には、例えば3つの貫通孔155aが形成されており、各貫通孔155aには、ウェハWの裏面を支持して昇降する支持ピン157がそれぞれ挿入されている。支持ピン157は、例えばシリンダ等を備えた昇降機構158により上下動する。支持ピン157は、加熱プレート155の上方まで上昇し、開口部183を介して主ウェハ搬送機構22との間でウェハWを授受したり、受け取ったウェハWを加熱プレート155に載置したりできる。
なお、加熱プレート155は、本発明における加熱処理手段に相当する。
サポートリング154の上面には、Oリング159が設けられ、サポートリング154の上面と蓋体152の周側部152bの下端部との隙間から処理室153内の気体が流出しないようになっている。
蓋体152は、上面部である天板152aと、天板152aの周端部に垂設される周側部152bとによって下面側が開口した略有底円筒状の形態を有している。天板152aは、加熱プレート155上のウェハWに対向している。天板152a上の中央部には、気体例えば空気、窒素ガス又は不活性ガス等のガスのガス供給源160に連通したパージ用のガスのガス供給管161が接続する供給口162が設けられている。したがって、パージガス供給源160の空気、窒素ガス又は不活性ガス等のガスを、ガス供給管161を介して供給口162に供給し、供給口162から処理室153内に導入することができる。
また、天板152aの側部には、処理室153内のガスを排気する複数例えば互いに等間隔の4個の排気口163が設けられている。各排気口163には、排気管164が連通されており、排気管164における各排気口163と略等距離の部位に設けられた排出口165に、例えば合成樹脂製のチューブにて形成される排気管164の口径に比べて小口径の排出管路166が接続されている。
なお、本実施の形態では、サポートリング154の上面にOリング159が設けられなくてもよく、サポートリング154の上面と蓋体152の周側部152bの下端部との隙間から処理室153内の気体が流出するような構成であってもよい。
図8は、本実施の形態に係る失活処理装置の縦断面図である。失活処理装置200は、上部側が開口する容器本体202と、この容器本体202の上部開口を覆うように設けられた蓋体203とを備えている。
容器本体202は、側壁部221と底壁部222と、底壁部222にて支持されるように設けられたウェハWの載置台204とを備えており、この例では、底壁部222は載置台204の周縁部を支持する領域までのみ形成され、載置台204も容器本体202の一部を成している。ここで底壁部222を載置台204の裏面全体を支持するように構成し、容器本体202を側壁部221と底壁部222とにより構成するようにしてもよい。載置台204の内部には、図示しない加熱手段が設けられてもよい。
一方、蓋体203は、側壁部231と上壁部232とを備えている。この例では、容器本体202の周縁部をなす側壁部221の上面に、蓋体203の周縁部をなす側壁部231の下面が接近した状態で、容器本体202を蓋体203で覆うことにより、容器本体202の上部側開口が蓋体203により閉じられている。そして、これらの間に処理室220が区画形成されるようになっている。
載置台204には、図示しない外部の搬送手段との間でウェハWの受け渡しを行なうための複数本の昇降ピン241が設けられており、この昇降ピン241は昇降機構242により昇降自在に構成されている。図中243は、載置台204の裏面側に設けられた、この昇降機構242の周囲を囲むカバー体である。容器本体202と蓋体203は、互いに相対的に昇降自在に構成されている。この例では、蓋体203側が図示しない昇降機構により、容器本体202と接続される処理位置と、容器本体202の上方側に位置する基板搬出入位置との間で昇降自在に構成されている。
処理室220の内部には、載置台204上の基板に対して、処理室220の中央上部から後述する失活処理ガスを供給するように、例えば蓋体203の裏面側中央部に処理ガス供給部205が設けられている。
蓋体203の内部には、処理ガス供給部205と接続されるガス供給路233が形成されている。この例では、ガス供給路233は蓋体3の上方側にて屈曲されて略水平に伸びるように形成され、ガス供給路233の上流端は、ガス供給管261を介して失活処理ガスの供給源262に接続されると共に、置換ガスの供給源263に接続されている。
なお、失活処理用のガスとしてヘキサメチルジシラザン(Hexamethyldisilazane;HMDS)ガスを例示するが、アミン系化合物又はピロリドン系化合物を含むガスであればよく、HMDSガスに限定されない。また、置換ガスとしては、N2ガス等の不活性ガスが例示される。
また、失活処理ガスの供給源262としては、例えば、バブラータンク、スキマータンク等のガス発生機を用いることができる。例えば失活処理ガスがHMDSガスであるときは、供給源262は、HMDSの薬液からガスを発生させ、発生したガスをガス供給路233に供給する。
ガス供給管261には、HMDSガスの供給源262とガス供給路233との間に、HMDSガスの供給流量を調整するための第1の流量調整バルブV1が設けられている。また、N2ガスの供給源263とガス供給路233との間に、N2ガスの供給流量を調整するための第2の流量調整バルブV2が設けられている。これら流量調整バルブV1、V2は、開閉機能と流量調整機能とを備えており、これら流量調整バルブV1、V2によって、ガス供給路233へ供給されるガスが、HMDSガスとN2ガスとの間で切り換えられるようになっている。また、夫々のガスがその供給流量が調整された状態で処理室220内に供給されるようになっている。あるいは、HMDSガスとN2ガスとを同時に処理室220内に供給し、供給されるHMDSガスを希釈することもできる。
一方、蓋体203には、処理ガス供給部205から処理室220内に処理ガスが供給されているときに、載置台204上のウェハWよりも外側から処理室220内を排気するための排気路281が形成されている。
また蓋体203の上壁部232の内部には、処理ガス供給部205が設けられる中央領域以外の領域に面状に伸び、例えば平面形状がリング形状を有する扁平な空洞部282が形成されている。前述した排気路281の下流端はこの空洞部282に接続されている。さらにこの空洞部282には、例えば蓋体203の中央近傍領域にて、複数本例えば6本の排気管283が接続されている。また、排気管283の下流端は排気流量調整バルブV4を介して排気手段284をなすエジェクターに接続されている。
また、このような失活処理装置200は制御部209により制御されるように構成されている。
次に、以上説明した塗布現像処理システム1の一連の処理工程について説明する。
先ず、カセットステーション10において、ウェハ搬送体21がカセット載置台20上の処理前のウェハを収容しているカセットCRにアクセスして、そのカセットCRから1枚のウェハWを取り出す。取り出されたウェハWは、アライメントユニット(ALIM)に搬送され、位置合わせが行われる。その後、ウェハWは、主ウェハ搬送機構22によりアドヒージョンユニット(AD)へ搬送されて疎水化処理が行われ、次いでクーリングユニット(COL)に搬送されて所定の冷却処理が行われる。その後、レジスト塗布処理ユニット(COT)に搬送されてレジスト塗布処理が行われ、プリベーキングユニット(PAB)に搬送されて所定の加熱処理が行われ、クーリングユニット(COL)に搬送されて所定の冷却処理が行われる。その後、ウェハ搬送体24によりインターフェース部12を介して図示しない露光装置に搬送されて露光処理が行われる。露光処理が終了したウェハWは、ポストエクスポージャーベーキングユニット(PEB)に搬送されて所定の加熱処理が行われ、次に現像処理ユニット(DEV)に搬送されて現像処理が行われる。現像処理後に、所定の加熱処理(ポストベーキング)が行われることもある。その後、ウェハWは、クーリングユニット(COL)に搬送されて所定の冷却処理が行われ、エクステンションユニット(EXT)を介してカセットCRに戻される。
次に、図9から図11を参照して、本実施の形態に係る現像処理方法について説明する。図9は、各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図10は、各工程を行う際の側面図であり、図11は、各工程を行う際のレジストパターンを示す拡大断面図である。
図9に示すように、本実施の形態に係る現像処理方法は、加熱処理工程(ステップS11)、失活処理工程(ステップS12)、現像液供給工程(ステップS13及びステップS14)、リンス液供給工程(ステップS15)、並びに乾燥処理工程(ステップS16)を有する。現像液供給工程は、第1の供給工程(ステップS13)及び第2の供給工程(ステップS14)を有する。
なお、本実施の形態における失活処理工程は、本発明におけるアミン処理工程に相当する。また、アミン処理工程は、後述するように、基板を、アミン系化合物又はピロリドン系化合物を含む処理ガス又は処理液で処理するものであればよい。従って、露光された化学増幅型レジスト膜において発生する酸が中和することにより、レジスト膜が可溶化するための活性を失って不溶化するいわゆる失活処理が起こらないような温度条件等で処理する場合を含む。
また、図9に示す現像処理方法における現像液濃度を含む処理レシピの例を表1に示す。
表1における各列は、左から順に、ステップ番号、工程名、処理時間、及び現像液の濃度を示すものである。
また、表1に示す処理レシピを行う場合における、現像液濃度の変化を示すタイムチャートを、図12に示す。
本実施の形態では、加熱処理工程(ステップS11)を行う前に、図11(a)に示すように、基板101に反射防止剤を塗布して反射防止膜(Bottom Anti-Reflective Coating;BARC)102を形成し、次に、レジストを塗布してレジスト膜103を形成し、露光処理を行っておく。なお、基板101は、後述するように、基板に被エッチング膜が形成されたものを含む。その場合、被エッチング膜を符号101で表示するものとする。
本実施の形態で基板101に塗布するレジストの一例は化学増幅型レジストである。化学増幅型レジストの一例は、例えば、光が照射されることで、溶剤に対して可溶な可溶化物質を発生させるレジストである。具体的な一例として、例えば、光酸発生材(PhotoAcid Generator:PAG)を含有し、ArFエキシマレーザ(波長193nm)を光源に用いた露光に対応可能な化学増幅型レジストを用いることができる。PAGは光が当たると酸を発生する。酸は、レジストに含まれたアルカリ不溶性保護基と反応し、アルカリ不溶性保護基をアルカリ可溶性基(可溶化物質)に変化させる。従って、露光処理では、レジスト膜103の選択された部分を露光し、アルカリ性の溶剤(現像液)に対して可溶な可溶化物質を選択的に発生させる。
このようにして得られた基板に対し、加熱処理工程(ステップS11)を行う。加熱処理工程では、レジスト膜が形成された後、露光処理された基板を加熱処理する。
図10(a)に示すように、レジスト膜が形成された後、露光処理された基板を、加熱処理装置150の内部の加熱プレート155に載置し、ヒータ156に給電することにより、例えば110℃で60secの間、加熱処理を行う。
図11(a)に示すように、基板を加熱処理することにより、露光後、レジスト膜103中に発生した酸を活性化させ、アルカリ不溶性保護基のアルカリ可溶性基(可溶化物質)への変化を促す。そして、可溶化物質を選択的に発生させることで、レジスト膜103中に、例えば、アルカリ性の溶剤(現像液)に対して可溶な可溶層103a及び不溶な不溶層103bのパターンよりなる露光パターンを得る。
次に、失活処理工程(ステップS12)を行う。失活処理工程(ステップS12)では、基板101を、アミン系化合物又はピロリドン系化合物を含む失活処理ガスで処理し、レジスト膜103が可溶化するための活性を失って不溶化するいわゆる失活処理を行う。
図10(b)に示すように、基板101を、失活処理装置200の内部の載置台204に載置し、失活処理ガスの供給源262からアミン系化合物のガス若しくは液体、又はピロリドン系化合物のガス若しくは液体を供給し、レジスト膜を失活処理する。
アミン系化合物としては、前述したように、例えばHMDSを用いることができる。また、ピロリドン系化合物として、例えばN−メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone;NMP)を用いることができる。
アミン系化合物又はピロリドン系化合物(以下「失活剤」という。)は、酸を中和するため、露光後、レジスト膜103中に発生した酸を不活性化する(以下「失活させる」という。)ことができる。ここで、失活剤は、レジスト膜103の表面と接触するため、主としてレジスト膜103の表面付近に発生した酸を不活性化する。更に、可溶層103aの線幅方向の分布については、可溶層103aの中心付近よりも不溶層103bとの界面付近において発生している酸の量は少ない。そして、失活剤は、可溶層103aの中心付近よりも、可溶層103aの不溶層103bとの界面付近において、発生した酸を失活させやすい。従って、図11(b)に示すように、それぞれの可溶層103aにおいて、可溶層103aの左右両側上端2箇所に、失活した不溶層103cの領域が新たに発生する。
次に、現像液供給工程の第1の供給工程(ステップS13)を行う。第1の供給工程(ステップS13)では、基板101に第1の現像液41aを供給し、レジスト膜103の露光された部分の現像液への溶解を促進する。
先ず、現像処理装置のスピンチャック52が上昇し、主ウェハ搬送機構22からウェハWを受け取ると、スピンチャック52が下降しウェハWがカップCP内に収容される。そして、図10(c)に示すように、現像液吐出ノズル86が第1の現像液41aを吐出しながらウェハW上を移動し、吐出が終了した後にウェハWを例えば60秒放置し現像処理を進行させる。ここで高スループット化を図るため、ウェハWを回転させながら第1の現像液41aを吐出しても構わない。そのときは、ウェハWを所定の回転数で回転させて第1の現像液41aを伸展させ、例えば60秒間放置することにより現像処理を進行させることになる。
現像液として、アルカリ溶液を用いることができ、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)を用いることができる。
第1の供給工程(ステップS13)では、可溶層103aが不溶層103cで覆われており、現像処理が進みにくい。また、その他、失活剤により失活した領域が発生する場合もあり、従来の通常の現像処理よりも、現像液に溶解しにくい部分がある。従って、第1の供給工程(ステップS13)では、現像液の濃度を通常よりも高くするか、現像液の温度を通常よりも高くする。
具体的には、通常の現像液の濃度を2.38wt%のTMAHとした場合、第1の現像液41aの濃度を2.38wt%〜4.76wt%とすることができ、例えば3wt%とすることができる。
その結果、図11(c)に示すように、レジスト膜103からアルカリ性を有する現像液に対して可溶な可溶層103aが除去され、アルカリ性を有する現像液に対して不溶な不溶層103b、103cが残る。
次に、現像液供給工程の第2の供給工程(ステップS14)を行う。第2の供給工程(ステップS14)では、基板に第2の現像液41bを供給し、レジスト膜103の露光された部分における溶解残留物を掃き出す。
図10(d)に示すように、現像液吐出ノズル86が第2の現像液41bを吐出しながらウェハW上を移動し、吐出が終了した後にウェハWを例えば60秒放置し現像処理を進行させる。ここでも高スループット化を図るため、ウェハWを回転させながら第2の現像液41bを吐出しても構わない。
第2の供給工程(ステップS14)では、不溶層103bの裾部では、新たに可溶領域を伸展させなくてもよい。一方、不溶層103cは、レジスト膜103の表面付近の部分であるため、後から新たに供給された第2の現像液41bと接触しやすく、不溶部103bの裾部と比較して可溶化が進み易い。従って、第2の供給工程(ステップS14)では、第2の現像液41bの濃度を第1の現像液41aの濃度よりも低くし、通常の現像液の濃度に戻す。具体的には、通常の現像液の濃度を2.38wt%のTMAHとした場合、第2の現像液41bの濃度を略2.38wt%とすることができる。
図11(d)に示すように、露光された部分に形成されていた不溶な不溶層103cが除去され、露光されていない部分に形成されていた不溶層103bが残る。
次に、リンス液供給工程(ステップS15)を行う。リンス液供給工程(ステップS15)では、レジストパターンが現像された基板上に、リンス液を供給し、露光処理されていない部分、すなわち不溶層103bよりなるレジストパターンの形状粗さ(Line Edge Roughness;LER)を調整する。
現像液吐出ノズル86をカップ外へ移動させ、リンス液吐出ノズル95をウェハWの中心上へ移動させる。そして、図10(e)に示すように、ウェハWを回転させながらリンス液42を吐出し、第2の現像液41bを洗い流す。このとき、ウェハWを回転させながら行うため、第2の現像液41bを振り切りながらウェハWの表面をリンス液42でリンスする。
本実施の形態の一例として表1に示すように、第1の現像液のTMAHの濃度を3wt%、第1の供給工程を行う時間を3sec、第2の現像液のTMAHの濃度を2.38wt%、第2の供給工程を行う時間を60sec、リンス液供給工程を行う時間を20secとすることができる。従って、本実施の形態における現像液供給工程及びリンス液供給工程における現像液中におけるTMAHの濃度のタイムチャートは、図12に示すようになる。
あるいは、第1の現像液41a及び第2の現像液41bの濃度を変化させる代わりに、第2の現像液41bの温度を通常の温度、例えば23℃とし、第1の現像液41aの温度を通常の温度よりも高い温度、例えば23℃〜40℃とした場合でも、同様の効果が得られる。
また、第1の供給工程及び第2の供給工程におけるそれぞれ第1の現像液41a及び第2の現像液41bの吐出液量は、300ml/min〜1800ml/minとすることができる。また、第1の供給工程及び第2の供給工程におけるウェハWの回転数を、0rpm〜1000rpmとすることができる。
更に、第1の供給工程、第2の供給工程よりなる現像液供給工程と、リンス液供給工程とを交互に繰り返して行ってもよい。交互に繰り返して行うことにより、溶解残留物を更に除去することができるとともに、露光処理されていない部分、すなわち不溶層103bよりなるレジストパターンの形状粗さ(LER)を更に調整することができる。現像液供給工程とリンス液供給工程とを交互に繰り返す繰り返し回数は、1回(繰り返しを行わない場合に相当する。)〜3回とすることができる。
最後に、乾燥処理工程(ステップS16)を行う。乾燥処理工程(ステップS16)では、基板を所定の回転数で回転させ乾燥処理を行う。
図10(f)に示すように、ウェハWを1500rpm〜2500rpm、より好ましくは2000rpmの高回転で回転させ、ウェハWの表面を十分に乾燥させる。
次に、図13から図15を参照し、本実施の形態によりレジストパターンを矩形化処理することができる作用について説明する。
前述したように、失活処理工程(ステップS12)では、不溶層103bの表面側両端の部分と連続する可溶層103aの一部を失活させて不溶層103cを形成する。また、第1の供給工程(ステップS13)では、現像液の濃度を通常よりも高くした第1の現像液41aを基板101に供給し、レジスト膜103の露光された部分の現像液への溶解を促進する。また、第2の供給工程(ステップS14)では、現像液の濃度を通常に戻した第2の現像液41bを供給し、レジスト膜103の露光された部分における溶解残留物を掃き出す。
また、本実施の形態では、アミン系化合物又はピロリドン系化合物である失活剤が、可溶層103aにおいて既に発生した酸を中和させるのみならず、可溶層103aにおける酸の生成自体を阻害する機能をも有している。従って、可溶層103aを不溶化させる失活処理が更に促進される。
一方、失活処理を行わないときは、可溶層103aにおいて既に発生した酸を中和せず、また、可溶層103aにおける酸の生成自体を阻害することがない。従って、可溶層103aは矩形形状を有しており、現像処理が進むにつれて、不溶層103bの表面側両端の部分が可溶化し、レジストパターンは先端の角が取れて丸くなり、矩形形状を有しなくなる。
従って、本実施の形態では、失活処理工程と現像液供給工程とを行うことにより、レジストパターンの形状を矩形化することができる。
また、第1の現像液がより高濃度であり、第2の現像液がより低濃度である通常の濃度であるときと、第1の現像液及び第2の現像液がともに通常の濃度であるときを比較する。図11(b)で示したように、失活処理工程(ステップS12)において不溶層103cが形成される。したがって、第1の供給工程(ステップS13)において第1の現像液がより高濃度であった方が、可溶層103aに十分に現像液が接することができ、可溶層103aを効率よく溶解させることができる。
また、第1の現像液がより高濃度であり、第2の現像液がより低濃度である通常の濃度であるときと、第1の現像液及び第2の現像液がともにより高濃度であるときを比較する。このとき、第1の供給工程(ステップS13)においては、可溶層103aにより高濃度の第1の現像液が接するため、図11(c)で示すように可溶層103aを完全に除去することができる。しかし、第2の供給工程(ステップS14)において第2の現像液がより低濃度である通常の濃度であった方が、不溶層103bの裾部の可溶化を進行させず、レジストパターンが裾部で細くなることを防止することができる。
従って、本実施の形態では、失活処理工程、高濃度現像液による第1の供給工程、低濃度現像液による第2の供給工程を全て行うことにより、更に、レジストパターンの形状を矩形化することができる。
次に、本実施の形態により被エッチング膜の加工を精度よく行えることについて実施例1及び比較例1を行って評価したので、その結果について説明する。
(実施例1)
予め、基板上に、テトラエトキシシラン(tetra ethoxy silane;TEOS)を原料ガスとして化学気相成長(Chemical vapor Deposition;CVD)を行って、シリコン酸化膜よりなる被エッチング膜101を成膜した。次に、被エッチング膜101上に、反射防止材料を塗布し、加熱処理を行って、反射防止膜(BARC)102を成膜した。次に、反射防止膜102上に、レジストを塗布し、加熱処理を行って、レジスト膜103を成膜した。次に、露光装置内において、レジスト膜103を選択的に露光する露光処理を行った。
その後、図9に示すステップS11からステップS16の各工程を行い、レジストパターン103bを現像した。ステップS13からステップS15の各工程の条件は、表1に示す処理レシピの例により実施した。また、第1の現像液の温度を23℃とし、第2の現像液の温度を23℃とし、第1の現像液の吐出流量を750ml/minとし、第2の現像液の吐出流量を750ml/minとし、第1の現像液を吐出するときのウェハの回転数を1200rpmとし、第2の現像液を吐出するときのウェハの回転数を800rpmとした。
その後、現像したレジストパターン103bをマスクとし、下層である反射防止膜102及び被エッチング膜101をエッチング処理した。エッチング条件は、処理ガスをCHF3、Ar、O2とし、ガス流量比をCHF3=115sccm、O2=5sccm、Ar=1000sccmとし、パワーを200Wとした。
図13に、実施例1でエッチング処理を行ったときの、各エッチング処理時間経過後のパターンを走査型電子顕微鏡SEM(Scanning Electron Microscope)を用いて撮影した写真を示す。図13の左側から右側にかけて横一列に並べて示す3枚の写真は、それぞれエッチング処理時間として0秒(エッチング処理前)、60秒及び140秒が経過した後のパターンに対応する。また横一列に並べて示す3枚の写真の更に左側には、エッチング処理時間0秒(エッチング処理前)のときの構造を説明するための図を示す。
図13に示すように、エッチング処理前におけるレジストパターン103bの先端における線幅が大きく、良好な矩形形状を有している。また、エッチング時間60秒が経過した後では、レジストパターン103bをマスクとして反射防止膜102がエッチング処理され、被エッチング膜101もエッチング処理され始めているが、残っているレジストパターン103bはまだ矩形形状を有している。また、エッチング時間140秒が経過した後では、被エッチング膜101のエッチング処理が更に進行しているが、残っているレジストパターン103bはまだ矩形形状を有している。
(比較例1)
失活処理(ステップS12)及び第1の供給工程(ステップS13)を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1を実施した。
予め、基板上に被エッチング膜101、反射防止膜102、レジスト膜103を順次成膜し、露光処理を行った。次に、図9に示すステップS11からステップS16のうち、ステップS12及びステップS13を除いた各工程を行い、レジストパターン103bを現像した。その後、現像したレジストパターン103bをマスクとし、下層である反射防止膜102及び被エッチング膜101をエッチング処理した。
図14に、比較例1でエッチング処理を行ったときの、各エッチング処理時間経過後のパターンをSEMを用いて撮影した写真を示す。図14でも、図13と同様に、左側から右側にかけて、それぞれエッチング処理時間として0秒(エッチング処理前)、60秒及び140秒が経過した後のパターンに対応する3枚の写真を横一列に並べて示す。また横一列に並べて示す3枚の写真の更に左側には、エッチング処理時間0秒(エッチング処理前)のときの構造を説明するための図を示す。
図14に示すように、エッチング処理前におけるレジストパターン103bの先端は、その両側の角部が欠けて丸みを帯びており、良好な矩形形状を有していない。また、エッチング時間60秒及び140秒が経過した後でも、残っているレジストパターン103bは矩形形状を有していない。
図13及び図14で得られた結果に基づいて残膜の側面における高さ(以下「残膜側面高さ」という。)を測定した結果を図15に示す。図15(a)は、残膜側面高さのエッチング時間依存性を示すグラフであり、図15(b)は、残膜側面高さの定義を説明するための図である。
図15(b)に示すように、被エッチング膜101と反射防止膜102との界面におけるパターンの幅寸法をCD1とし、パターンの幅寸法がCD1の値から10%減の幅寸法、すなわちCD1の90%である幅寸法CD2になる高さを残膜側面高さHとする。また、実施例1における残膜側面高さHをH1とし、比較例1における残膜側面高さHをH2とする。また、図15(a)において、左側の縦軸は残膜側面高さHを表示し、右側の縦軸は実施例1と比較例1における残膜側面高さHの差、すなわちH1−H2を表示する。
図15(a)に示すように、実施例1も比較例1もともに、エッチング処理時間の増加に伴って残膜側面高さHが一様に減少している。しかし、同じエッチング処理時間で比較すると、実施例1では、比較例1に比べて残膜側面高さHが大きくなっている。これは、実施例1では、比較例1に比べてパターンが先端で先細りしにくいことを示している。また、比較例1に対する実施例1の残膜側面高さHの差、すなわちH1−H2も、エッチング処理時間の増大に伴って、増加している。
従って、本実施の形態に係る現像処理方法を行うことにより、先端が丸みを帯びない矩形形状を有するレジストパターンを現像することができ、レジストパターンをマスクに用いて下層の被エッチング膜をエッチング処理により加工する際に、被エッチング膜を精度よく加工することができる。
(第2の実施の形態)
次に、図16から図19を参照し、第2の実施の形態に係る現像処理装置及び現像処理方法について説明する。
本実施の形態に係る現像処理装置及び現像処理方法は、失活処理を加熱処理装置内で行う点で、第1の実施の形態における現像処理装置及び現像処理方法と相違する。
始めに、図16を参照し、本実施の形態に係る現像処理装置について説明する。
本実施の形態でも、図1から図3を用いて説明した第1の実施の形態に係る塗布現像処理システムと同様の塗布現像処理システムを用いることができる。また、図4から図6を用いて説明した第1の実施の形態に係る現像処理ユニット(DEV)を用いることができる。
一方、本実施の形態に係る加熱処理装置(PEB)は、図7を用いて説明した第1の実施の形態に係る加熱処理装置(PEB)と相違する。また、本実施の形態では、図8を用いて説明した失活処理装置を有していない。
図16は、本実施の形態に係る加熱処理装置の概略構成を示す断面図である。
図16に示すように、加熱処理装置150aは、第1の実施の形態と同様に、ケーシング151、蓋体152、処理室153、サポートリング154、加熱プレート155、ヒータ156を有する。加熱プレート155、サポートリング154の構成、蓋体152の構成も、第1の実施の形態と同様である。
一方、本実施の形態では、ガス供給源160に加え、失活処理ガス供給源160aを備えており、蓋体152の天板152aの供給口162に、アミン系化合物又はピロリドン系化合物を含む失活処理ガスを、ガス供給源160からのパージガスと切換可能に供給することができる。
次に、図17から図19を参照し、本実施の形態に係る現像処理方法について説明する。図17は、各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図18は各工程を行う際の側面図であり、図19は、各工程を行う際のレジストパターンを示す拡大断面図である。
図17に示すように、本実施の形態に係る現像処理方法は、加熱処理工程+失活処理工程(ステップS21)、現像液供給工程(ステップS22及びステップS23)、リンス液供給工程(ステップS24)、及び乾燥処理工程(ステップS25)を有する。現像液供給工程は、第1の供給工程(ステップS22)及び第2の供給工程(ステップS23)を有する。
なお、本実施の形態における失活処理工程も、本発明におけるアミン処理工程に相当する。また、アミン処理工程は、後述するように、基板を、アミン系化合物又はピロリドン系化合物を含む処理ガス又は処理液で処理するものであればよい。従って、露光された化学増幅型レジスト膜において発生する酸が中和することにより、レジスト膜が可溶化するための活性を失って不溶化するいわゆる失活処理が起こらないような温度条件等で処理する場合を含む。
また、本実施の形態に係る現像処理方法においても、図12及び表1で示した処理レシピの例を用いることができる。ただし、表1におけるステップS13及びステップS14は、それぞれ本実施の形態におけるステップS22及びステップS23に相当する。
本実施の形態では、予め基板上に化学増幅型レジストよりなるレジスト膜が形成された後、露光処理された基板に対して、図16を用いて説明した加熱処理装置内で、加熱処理工程と失活処理工程とを同時に行う。
図18(a)に示すように、露光処理された基板101(ウェハW)を加熱処理装置150aの内部の加熱プレート155に載置した状態で、加熱処理装置150a内に、アミン系化合物又はピロリドン系化合物を含む処理ガスを供給する。また、失活処理ガスを供給した状態で、例えば110℃で60secの間、加熱処理を行う。これにより、基板101(ウェハW)に対し、レジスト膜が可溶化するための活性を失って不溶化するいわゆる失活処理を行うとともに、露光後、レジスト膜103中に発生した酸を活性化させ、アルカリ不溶性保護基のアルカリ可溶性基(可溶化物質)への変化を促す。
図19(a)に示すように、基板101(ウェハW)を加熱処理することにより、露光後、レジスト膜103中に発生した酸を活性化させ、可溶化物質を選択的に発生させることで、レジスト膜103中に、例えば、アルカリ性の溶剤(現像液)に対して可溶な可溶層103a及び不溶な不溶層103bのパターンよりなる露光パターンを得る。また、それと同時に、それぞれの可溶層103aにおいて、可溶層103aの左右両側上端2箇所に、失活された不溶層103cの領域が新たに生ずる。
その後行う第1の供給工程(ステップS22)から乾燥処理工程(ステップS25)は、第1の実施の形態において図9を用いて説明した第1の供給工程(ステップS13)から乾燥処理工程(ステップS16)のそれぞれと同様に行うことができる。現像液供給工程(ステップS22及びステップS23)とリンス液供給工程(ステップS24)とを交互に繰り返して行ってもよい。また、第1の供給工程(ステップS22)から乾燥処理工程(ステップS25)を行う際の各工程を行う際の側面図は、図18(b)から図18(e)のそれぞれ(図10(c)から図10(f)のそれぞれと同様。)である。また、第1の供給工程(ステップS22)及び第2の供給工程(ステップS23)の各工程を行う際のレジストパターンの拡大断面図は、図19(b)及び図19(c)のそれぞれである。
本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、先端が丸みを帯びない矩形形状を有するレジストパターンを現像することができ、レジストパターンをマスクに用いて下層の被エッチング膜をエッチング処理により加工する際に、被エッチング膜を精度よく加工することができる。
更に、本実施の形態では、失活処理装置を備えなくてもよい。そのため、塗布現像処理システムの装置数を削減することができるとともに、塗布現像処理システムを低コスト化することができる。
なお、本実施の形態でも、アミン系化合物又はピロリドン系化合物を含む失活処理ガスに代え、アミン系化合物又はピロリドン系化合物を含む失活処理液を噴霧等により基板に供給して失活処理を行ってもよい。
また、本実施の形態では、加熱処理装置内で加熱処理工程を行う際に、同時に失活処理工程を行う例を示した。しかし、失活処理は、加熱処理工程と同時に行わなくてもよい。加熱処理工程を行う前に行ってもよく、加熱処理工程を行う後に行ってもよい。
(第3の実施の形態)
次に、図20から図22を参照し、第3の実施の形態に係る現像処理装置及び現像処理方法について説明する。
本実施の形態に係る現像処理装置及び現像処理方法は、失活処理を現像処理装置内で行う点で、第1の実施の形態における現像処理装置及び現像処理方法と相違する。
本実施の形態でも、図1から図3を用いて説明した第1の実施の形態に係る塗布現像処理システムと同様の塗布現像処理システムを用いることができる。また、図7を用いて説明した第1の実施の形態に係る加熱処理装置(PEB)を用いることができる。
一方、本実施の形態に係る現像処理ユニットは、図4及び図5を用いて説明した第1の実施の形態に係る現像処理ユニット(DEV)と相違する。また、本実施の形態では、図8を用いて説明した失活処理装置を有していない。
なお、本実施の形態に係る現像処理ユニットは、本発明における現像処理装置に相当する。
図20は、本実施の形態に係る現像処理ユニットを示す断面図である。
本実施の形態に係る現像処理ユニットは、失活処理液を供給する失活処理液供給部を有する点以外は、図4及び図5を用いて説明した第1の実施の形態に係る現像処理ユニットと同様である。すなわち、本実施の形態に係る現像処理ユニットは、失活処理液吐出ノズル及び失活処理液供給部を有する。
図20に示すように、現像処理ユニット(DEV)は、ウェハWに対して失活処理液を吐出する失活処理液吐出ノズル95aを有しており、失活処理液供給部90aから失活処理液が失活処理液吐出ノズル95aに供給される。失活処理液吐出ノズル95aはガイドレール91上をY方向に移動自在に設けられたノズルスキャンアーム96aの先端に取り付けられており、現像液による現像処理の終了後にウェハW上に移動され、リンス液をウェハWに吐出する。また、失活処理液としては、アミン系化合物又はピロリドン系化合物の液体を供給する。アミン系化合物として、例えばヘキサメチルジシラザン(HMDS)を用いることができる。また、ピロリドン系化合物として、例えばN−メチルピロリドン(NMP)を用いることができる。
なお、失活処理液吐出ノズルを設けず、失活処理液供給部90aが、現像液供給部79a及び純水供給部79bと切換可能に現像液吐出ノズル86に失活処理液を供給するようにしてもよい。
次に、図21及び図22を参照し、本実施の形態に係る現像処理方法について説明する。図21は、各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図22は、各工程を行う際の側面図である。
図21に示すように、本実施の形態に係る現像処理方法は、加熱処理工程(ステップS31)、失活処理工程(ステップS32)、現像液供給工程(ステップS33及びステップS34)、リンス液供給工程(ステップ35)、及び乾燥処理工程(ステップS36)を有する。現像液供給工程は、第1の供給工程(ステップS33)及び第2の供給工程(ステップS34)を有する。
なお、本実施の形態における失活処理工程も、本発明におけるアミン処理工程に相当する。また、アミン処理工程は、後述するように、基板を、アミン系化合物又はピロリドン系化合物を含む処理ガス又は処理液で処理するものであればよい。従って、露光された化学増幅型レジスト膜において発生する酸が中和することにより、レジスト膜が可溶化するための活性を失って不溶化するいわゆる失活処理が起こらないような温度条件等で処理する場合を含む。
また、本実施の形態に係る現像処理方法においても、図12及び表1で示した処理レシピの例を用いることができる。ただし、表1におけるステップS13及びステップS14は、それぞれ本実施の形態におけるステップS33及びステップS34に相当する。
本実施の形態では、予め基板上に化学増幅型レジストよりなるレジスト膜が形成された後、露光処理された基板に対して、図20を用いて説明した現像処理装置内で、現像処理工程前に失活処理工程を行う。
図22(a)に示すように、露光処理された基板101(ウェハW)を加熱処理装置150の内部の加熱プレート155に載置した状態で、ヒータ156に給電することによって、加熱処理工程を行う(ステップS31)。加熱処理工程は、第1の実施の形態と同様にすることができる。また、加熱処理工程を行う際のレジストパターンを示す拡大断面図は、図11(a)である。
次に、失活処理工程(ステップS32)を行う。失活処理工程(ステップS32)では、基板101(ウェハW)を、アミン系化合物又はピロリドン系化合物を含む失活処理液で処理し、レジスト膜103が可溶化するための活性を失って不溶化するいわゆる失活処理を行う。
図22(b)に示すように、基板101(ウェハW)を、現像処理装置のスピンチャック52を用いて保持し、失活処理液供給部90aから失活処理液吐出ノズル95aを介して基板101(ウェハW)上に失活処理液40を供給し、レジスト膜103を失活処理する。また、失活処理工程を行う際のレジストパターンを示す拡大断面図は、図11(b)である。図11(b)に示すように、それぞれの可溶層103aにおいて、可溶層103aの左右両側上端2箇所に、失活された不溶層103cの領域が新たに生ずる。
その後行う第1の供給工程(ステップS33)から乾燥処理工程(ステップS36)は、第1の実施の形態において図9を用いて説明した第1の供給工程(ステップS13)から乾燥処理工程(ステップS16)のそれぞれと同様に行うことができる。現像液供給工程(ステップS33及びステップS34)とリンス液供給工程(ステップS35)とを交互に繰り返して行ってもよい。また、第1の供給工程(ステップS33)から乾燥処理工程(ステップS36)を行う際の各工程を行う際の側面図は、図22(c)から図22(f)のそれぞれ(図10(c)から図10(f)のそれぞれと同様。)である。また、第1の供給工程(ステップS33)及び第2の供給工程(ステップS34)の各工程を行う際のレジストパターンを示す拡大断面図は、図11(c)及び図11(d)のそれぞれである。
本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、先端が丸みを帯びない矩形形状を有するレジストパターンを現像することができ、レジストパターンをマスクに用いて下層の被エッチング膜をエッチング処理により加工する際に、被エッチング膜を精度よく加工することができる。
更に、本実施の形態では、失活処理装置を備えなくてもよい。そのため、塗布現像処理システムの装置数を削減することができるとともに、塗布現像処理システムを低コスト化することができる。
なお、本実施の形態では、アミン系化合物又はピロリドン系化合物を含む失活処理液に代え、アミン系化合物又はピロリドン系化合物を含む失活処理ガスを噴霧等により基板に供給して失活処理を行ってもよい。
また、本実施の形態では、現像処理装置内で現像液供給工程を行う前に失活処理工程を行う例を示した。しかし、失活処理は、加熱処理工程と同時に行ってもよい。
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。