JP2011085180A - 変速電磁クラッチ - Google Patents

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Nobuaki Hoshino
伸明 星野
Masahiro Kawaguchi
真広 川口
Masaki Ota
太田  雅樹
Yoshio Kimoto
良夫 木本
Toru Onishi
徹 大西
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Abstract

【課題】より実用的な変速電磁クラッチを提供する。
【解決手段】本発明の変速電磁クラッチは、スクロール型圧縮機3のフロントハウジング5と駆動軸8とに装着される。コイル57に負の方向で通電を行えば、固定磁石59を除く固定コア本体55の一部、可動コア69及び第1アーマチュア81で磁気回路が形成され、第1アーマチュア81が固定コア本体55に磁着する。また、コイル57に正の方向で通電を行えば、可動磁石71を除く可動コア69の一部、第2アーマチュア83及び固定コア本体55で磁気回路が形成され、第2アーマチュア83が可動コア69に磁着する。こうして、この変速電磁クラッチでは、プーリ79と駆動軸8との動力伝達を2種類の変速で行うことができるとともに、動力遮断も行うことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は変速電磁クラッチに関する。
特許文献1に従来の変速電磁クラッチが開示されている。この変速電磁クラッチは電動機に装着されることとされている。電動機は、ハウジングと、ハウジングから前端部が露出し、ハウジングに回転可能に設けられた駆動軸とを備えている。
この変速電磁クラッチでは、電動機のハウジングの前面に磁性材料からなる第1固定コアが固定される。第1固定コアは前端側が開放されており、その内部には第1コイルが収納されている。また、第1固定コア及び第1コイルの前面には非磁性材料からなる遮磁部材が固定されており、遮磁部材の前面には磁性材料からなる第2固定コアが固定されている。第2固定コアも前端側が開放されており、その内部に第2コイルが収納されている。
駆動軸の前端部には太陽歯車が駆動軸の軸心と同心で回転可能に固定されている。太陽歯車は軸方向の後方に向かって突出するボス部を有しており、そのボス部にはアームが支持されている。ボス部とアームとの間には、アームを駆動軸の軸心と同心で回転可能に支承する軸受が設けられている。
また、駆動軸の前端側の先端にはボルトによってハブが固定されており、太陽歯車及びハブにはプーリが支持されている。プーリは磁性材料からなり、第1固定コアの外周まで延びている。太陽歯車及びハブとプーリとの間には、プーリを駆動軸の軸心と同心で回転可能に支承する軸受が設けられている。また、ハブには板ばねによってプーリと対面可能な第1アーマチュアが支持されている。
太陽歯車には第1遊星歯車が噛合している。また、プーリの内周面には内歯が形成されており、その内歯には第2遊星歯車が噛合している。第2遊星歯車は第1遊星歯車に噛合しており、第1遊星歯車は太陽歯車に噛合している。第1、2遊星歯車はアームに回転可能に支持されている。アームには板ばねによって第2固定コアと対面可能な第2アーマチュアが支持されている。
この変速電磁クラッチでは、第1コイルに通電を行い、第2コイルには通電を行わないことにより、第1固定コア、プーリ及び太陽歯車で磁気回路を形成することが可能である。このため、この状態では第1アーマチュアが第1コイルによる吸着力でプーリに磁着し、駆動軸の回転がボルト、ハブ及び第1アーマチュアを介してプーリに直接的に伝達される。
また、第2コイルに通電を行い、第1コイルには通電を行わないことにより、第2固定コア及び第2アーマチュアで磁気回路を形成することが可能である。このため、この状態では第2アーマチュアが第2コイルによる吸着力で第2固定コアに磁着し、アームがハウジングに固定される。このため、駆動軸の回転は、太陽歯車、第1遊星歯車及び第2遊星歯車を介してプーリに伝達される。
第1、2コイルに通電を行わなければ、第1、2アーマチュアは第1、2固定コアに磁着せず、駆動軸の動力はプーリに伝達されない。
こうして、この変速電磁クラッチは、駆動軸とプーリとの動力伝達を2種類の変速で行うことができるとともに、動力遮断も行うことができる。
また、特許文献2、3開示の変速電磁クラッチも知られている。これらの変速電磁クラッチは駆動軸に有効径の異なる2個のプーリが回転可能に設けられている。駆動軸と各プーリとの間には、各プーリを駆動軸の軸心と同心で回転可能に支承する軸受が設けられている。また、ハウジングには両プーリ間に位置するコイルが固定されており、コイル周りには磁性材料からなる固定コアが設けられている。コイルは通電される電流の正負が切替可能に構成されており、電流の正負を切り替えることにより2個のアーマチュアが選択的に固定コアに磁着するようになっている。各プーリは、各アーマチュアの選択的な磁着により、駆動軸と結合するようになっている。
この変速電磁クラッチにおいては、アーマチュアの磁着により有効径が大きいプーリで駆動軸を駆動させれば、駆動軸が高速で回転する。また、アーマチュアの磁着により有効径が小さいプーリで駆動軸を駆動させれば、駆動軸が低速で回転する。こうして、この変速クラッチにおいても、2種類の変速の下、プーリと駆動軸との動力伝達を2種類の変速で行うことができるとともに、動力遮断を行うことができる。
実開昭57−174829号公報 実開昭57−46135号公報 実開昭57−44937号公報
しかし、上記特許文献1開示の変速電磁クラッチは遊星歯車を2種類採用しており、また上記特許文献2、3開示の変速電磁クラッチはプーリを2個採用しており、いずれも構造が複雑である。このため、より実用的な変速電磁クラッチが求められている。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、より実用的な変速電磁クラッチを提供することを解決すべき課題としている。
本発明の変速電磁クラッチは、ハウジングと、該ハウジングから前端部が露出し、該ハウジングに回転可能に設けられた駆動軸とに装着される変速電磁クラッチであって、
前記ハウジングに固定され、内部のコイル室を前後内外で覆う磁性材料からなる壁部を有する固定コアと、
該コイル室内に収納され、通電される電流の正負が切替可能なコイルと、
該コイルに前端側で対面するように該固定コアに固定され、該コイルへの一方向の通電時に生じる該固定コア内の磁束と沿う磁束を有する永久磁石からなる固定磁石と、
該駆動軸の軸心と同心で回転可能に該ハウジングに設けられたロータと、
該ロータに固定され、後端側を除いて該固定コアを囲包する磁性材料からなる壁部を有する可動コアと、
該コイルに該前端側で対面するように該可動コアに固定され、該固定磁石の磁束と逆向きの磁束を有する永久磁石からなる可動磁石と、
該駆動軸の前記前端部に該駆動軸の軸心と同心で回転可能に設けられた太陽歯車と、
該ロータに固定された内歯歯車と、
該太陽歯車及び該内歯歯車と噛合する遊星歯車と、
該遊星歯車を該ハウジングに対して該駆動軸の軸心と同心で回転可能に支承するアームと、
該遊星歯車及び該アームとともに該ハウジングに対して該駆動軸の軸心と同心で回転可能なプーリと、
該可動コアに弾性的に設けられ、該固定磁石を介して該固定コアと磁着可能な第1アーマチュアと、
該プーリに弾性的に設けられ、該可動磁石を介して該可動コアと磁着可能な第2アーマチュアとを備えていることを特徴とする(請求項1)。
本発明の変速電磁クラッチは、固定コアのコイル室内にコイルが収納され、固定コアがその壁部でコイルを前後内外で覆っているとともに、可動コアがその壁部で後端側を除いて固定コアを囲包している。このため、コイルに一方向で通電を行えば、コイルは固定コア及び可動コアで磁気回路を形成しようとする。ここで、固定磁石の磁束は形成される磁気回路の磁束の方向と沿うことから、磁束は、固定コア及び固定磁石を通り、第1アーマチュアを通り難い。また、可動磁石の磁束は固定磁石の磁束と逆向きであることから、磁束は、可動コアの可動磁石以外の部分を通ることとなり、磁束が第2アーマチュアを通る。このため、第1アーマチュアは固定コア側に移動せず、第2アーマチュアがコイルによる吸着力で可動コア側に移動し、可動磁石を介して可動コアに磁着する。このため、この状態ではプーリがロータに固定され、プーリ、ロータ、内歯歯車及び遊星歯車が一体化される。このため、プーリの回転は駆動軸に等速で伝達される。
また、コイルに逆方向で通電を行えば、形成される磁気回路の磁束の方向と固定磁石の磁束とが逆向きになることから、磁束は、固定コアの固定磁石以外の部分を通ることとなり、磁束が第1アーマチュアを通る。また、可動磁石の磁束は形成される磁気回路の磁束と沿うことから、磁束は、可動コア及び可動磁石を通り、第2アーマチュアを通り難い。このため、第1アーマチュアがコイルによる吸着力で固定コア側に移動し、固定磁石を介して固定コアに磁着する。一方、第2アーマチュアは可動コア側に移動しない。このため、この状態では、ロータがハウジングに固定される。このため、遊星歯車は、固定された内歯歯車と噛み合うかたちで自転しながらプーリと同じ角速度で駆動軸周りを公転する。このため、駆動軸は自転する遊星歯車と噛み合うかたちで同じ回転数で回転する。このため、プーリの回転は駆動軸に増速で伝達される。
コイルに通電を行わなければ、第1、2アーマチュアは固定コア及び可動コアに磁着せず、プーリの動力は駆動軸に伝達されない。
こうして、この変速電磁クラッチは、プーリと駆動軸との動力伝達を2種類の変速で行うことができるとともに、動力遮断も行うことができる。また、この変速電磁クラッチは、遊星歯車を1種類採用しているだけである。また、プーリも1個採用しているだけであり、これを駆動するベルトも1本で済むため、構造が比較的簡易である。
したがって、この変速電磁クラッチはより実用的なものとなっている。
特に、この変速電磁クラッチは、コイルの両端に固定磁石及び可動磁石を有し、それら固定磁石及び可動磁石の磁束の向きを同じくした変速電磁クラッチと比較しても、より実用的なものとなっている。
すなわち、出願人は、コイルの両端側に固定磁石及び可動磁石を有し、それら固定磁石及び可動磁石の磁束の向きを同じくした変速電磁クラッチを先に提案している(特願2009−8571号)。この提案の変速電磁クラッチでは、コイルに一方向で通電を行うと、第2アーマチュアが可動コアに磁着した時点で、可動磁石を除く可動コアの一部、第2アーマチュア及び固定コアで形成される磁気回路の磁束密度が上昇する。このため、第1アーマチュアを通る洩れ磁束が増え、第1アーマチュアが固定コアに磁着してしまい易い。
また、この提案の変則電磁クラッチでは、コイルに他方向で通電を行うと、第1アーマチュアが固定コアに磁着した時点で、固定磁石を除く固定コアの一部、第1アーマチュア及び可動コアで形成される磁気回路の磁束密度が上昇する。このため、第2アーマチュアを通る洩れ磁束が増え、第2アーマチュアが可動コアに磁着してしまい易い。
これに対し、本発明の変速電磁クラッチでは、コイルに他方向で通電を行うと、第1アーマチュアが固定コアに磁着した時点で、磁束が第1アーマチュアを高い密度で流れる。このため、可動磁石を流れる磁束の密度が減り、第2アーマチュアを通る洩れ磁束が増えることがないことから、第2アーマチュアが可動コアに磁着し難い。
このため、本発明の変速電磁クラッチでは、固定コアと第1アーマチュアとの間隙、可動コアと第2アーマチュアとの間隙、それらを隔てる弾性力、電流値等に自由度が増し、製造等が容易になる。
この変速電磁クラッチにおいて、アームは、遊星歯車を回転可能に保持するピンと、ピンとは別体とされ、プーリと一体に回転可能なアーム本体とからなり得る。そして、アーム本体とハウジングとの間に第1軸受が設けられ、ロータとアーム本体又はハウジングとの間に第2軸受が設けられていることが好ましい(請求項2)。この場合、プーリに作用する荷重がアーム本体に伝わり、アーム本体から第1軸受を介してハウジングに伝わる。このため、プーリに作用する荷重がピンを介して遊星歯車に伝わり難く、遊星歯車が好適に回転する。また、このためにピンや遊星歯車を大型化する必要がなく、小型化を実現できる。
また、第1軸受と第2軸受とはそれぞれ駆動軸の軸方向に沿うように配設されていることが好ましい(請求項3)。この場合、変速電磁クラッチの外径が小さくなり、車両等への搭載性が向上する。
また、固定コアは、コイル室を前後内外で覆う磁性材料からなる固定コア本体と、固定コア本体をハウジングに固定する非磁性材料からなるブラケットとからなることが好ましい(請求項4)。この場合、磁性材料からなる固定コア本体により、磁気回路の磁束を強めることができる。また、ブラケットにより固定コア本体を容易にハウジングに固定できる。さらに、ブラケットが非磁性体であるため、ブラケットやハウジングに対する磁束の漏れがなくなり、磁束回路の磁束密度がより密となることで、本発明の作用が顕著になる。
永久磁石としては、ファライト磁石を採用することも可能であるが、希土類磁石を採用することが好ましい(請求項5)。希土類磁石はフェライト磁石よりも磁力が大きいことから、誤作動を防止しつつ、電流値の制限を緩和することが可能になる。
実施例の変速電磁クラッチ等の断面図である。 実施例の変速電磁クラッチの断面図である。 実施例の変速電磁クラッチの軸直角断面図である。 実施例に係り、非通電時の変速電磁クラッチの要部を示す模式図である。 実施例に係り、負の方向に通電した場合の変速電磁クラッチの要部を示す模式図である。 実施例に係り、正の方向に通電した場合の変速電磁クラッチの要部を示す模式図である。 実施例に係り、電流値の変化と第1、2アーマチュアの吸着力との関係を示すグラフである。 比較例に係り、非通電時の変速電磁クラッチの要部を示す模式図である。 比較例に係り、負の方向に通電した場合の変速電磁クラッチの要部を示す模式図である。 比較例に係り、負の方向に通電する電流値を大きくした場合の変速電磁クラッチの要部を示す模式図である。 比較例に係り、正の方向に通電した場合の変速電磁クラッチの要部を示す模式図である。 比較例に係り、正の方向に通電する電流値を大きくした場合の変速電磁クラッチの要部を示す模式図である。 比較例に係り、電流値の変化と第1、2アーマチュアの吸着力との関係を示すグラフである。
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
(実施例)
図1に示すように、実施例の変速電磁クラッチはスクロール型圧縮機3に装着されている。
スクロール型圧縮機3では、ハウジングがフロントハウジング5とリヤハウジング7とから構成されており、フロントハウジング5とリヤハウジング7とが複数本のボルト9により接合されている。フロントハウジング5内には固定スクロール11が固定されており、固定スクロール11には可動スクロール13が噛合している。固定スクロール11は、円板状の基板11aと、この基板11aから前端側に一体に突出する渦巻体11bとからなる。可動スクロール13は、円板状の基板13aと、この基板13aから後端側に一体に突出する渦巻体13bとからなる。固定スクロール11及び可動スクロール13は、互いに噛み合うことにより、外周側から中心に向かって容積が小さくなる圧縮室17を形成している。
また、フロントハウジング5内には隔壁15が固定されており、隔壁15には前方から軸受21及び軸封装置23が設けられている。この軸封装置23及び軸受21により駆動軸8が回転可能に設けられている。駆動軸8の前端部8aは、フロントハウジング5のボス部5bから突出することによって露出している。隔壁15と可動スクロール13との間には背圧室15aが形成されている。背圧室15aは後述する吐出室7aと連通している。
駆動軸8の後端には、駆動軸8の軸心から偏心して後方に突出する駆動ピン8bが一体に形成されている。駆動ピン8bにはブッシュ27が回動可能に設けられている。ブッシュ27はバランスウェイト27aを一体に有している。可動スクロール13の基板13aには前方に突出するボス部13cが形成されており、ボス部13cとブッシュ27との間には軸受31が設けられている。また、隔壁15と可動スクロール13の基板13aとの間には、可動スクロール13の公転を許容し、自転を防止する自転防止機構33が設けられている。
フロントハウジング5及び隔壁15によって吸入室5aが形成されている。吸入室5aは図示しない吸入口に接続された配管によって蒸発器に接続されている。圧縮室17の外周側は、可動スクロール13の公転角度に応じ、隔壁15に形成された図示しない吸入通路により吸入室5aに連通するようになっている。
また、固定スクロール11の基板11aの中央には圧縮室17の中央と連通する吐出ポート11cが形成されている。リヤハウジング7内は吐出ポート11cと連通する吐出室7aとされている。基板11aには、吐出ポート11cと当接する吐出弁35と、この吐出弁35のリフト量を規制するリテーナ37とが固定ピン39によって固定されている。吐出室7aは吐出口7bに接続された配管によって図示しない凝縮器に接続されている。
この変速電磁クラッチでは、図2に示すように、非磁性材料からなるブラケット51がフロントハウジング5の前面に固定されている。固定コア本体55は、ともに磁性材料からなる前端部55a及び後端部55cからなる。ブラケット51の前面側には後端部55cが固定されている。この変速電磁クラッチでは、固定コア本体55とブラケット51とによって固定コアが形成されている。
前端部55aは、断面がコ字形状をしており、内周側及び外周側に一対の壁部55bを有している。固定コア本体55は前端部55a及び後端部55cにより内部にコイル室55dを形成している。つまり、固定コア本体55は、前端部55aの両壁部55bと後端部55cとが接合されることで、コイル室55dを前後内外で覆っている。コイル室55dにはコイル57が収納された状態で固定されている。コイル57は、図示しないバッテリに接続されており、コイル57に通電される電流の正負は図示しないコントローラによって切替可能になっている。
固定コア本体55には、コイル57に前端側で対面するように複数個の永久磁石からなる固定磁石59が固定されている。各固定磁石59は、図4に示すように、駆動軸8の軸心側(図の下側)がN極、外周側(図の上側)がS極とされている。各固定磁石59には希土類磁石が採用されている。
図2に示すように、フロントハウジング5のボス部5bの外周側には、第1軸受14がサークリップ5cによって固定されており、第1軸受14の外周側には筒状をなすアーム本体16が設けられている。これにより、アーム本体16は駆動軸8の軸心と同心で回転可能となっている。また、アーム本体16は、図3に示すように、3個の切欠き16aを有している。アーム本体16の各切欠き16a間は、図2に示すように、軸方向に延びてプーリ79とリベット34によって固定されている。
ボス部5bの外周側にはロータ67が設けられている。ロータ67は、前端側に筒状をなすロータ本体67aが形成されており、後端側に可動コア69が形成されている。このロータ67では、ロータ本体67aと可動コア69とが磁性材料によって一体に形成されている。可動コア69は、固定コア本体55の前端側に位置して、ロータ本体67aに固定されている。
ロータ67の後端側にはフランジ部材19が固定されている。ボス部5bとフランジ部材19との間に第2軸受20が設けられている。第2軸受20はサークリップ19aによってフランジ部材19に固定されている。第2軸受20は第1軸受14の後方に位置しており、第1軸受14と第2軸受20とは駆動軸8の軸方向に沿うようにフロントハウジング5上に配設されている。
可動コア69は、全て磁性材料からなる前端部69a及び一対の壁部69bからなる。可動コア69の内部には、後方が開放された空間69cが形成されている。可動コア69は、コイル57の前端側に配置され、空間69c内に固定コア本体55を収納することで、固定コア本体55を囲包している。可動コア69には、コイル57に前端側で対面するように複数個の永久磁石からなる可動磁石71が固定されている。各可動磁石71は、図4に示すように、駆動軸8の軸心側(図の下側)がS極、外周側(図の上側)がN極とされている。各可動磁石71には希土類磁石が採用されている。
図2に示すように、駆動軸8の先端部8aには太陽歯車26が固定されている。また、ロータ本体67aの内周面には内歯歯車28が固定されている。そして、太陽歯車26及び内歯歯車28には3個の遊星歯車30が噛合されている。各遊星歯車30はアーム本体16の切欠き16a間に位置している。
各遊星歯車30の軸心にはピン32が回動可能に挿通されている。各ピン32の先端はプーリ79に固定されており、各ピン32の後端にはナット36が設けられ、ナット36を介してアーム本体16に固定されている。これにより、各遊星歯車30はハウジング5に対して駆動軸8の軸心と同心で回転可能にアーム本体16に支承される。この変速電磁クラッチでは、アーム本体16と各ピン32とによってアームが構成されている。
図1に示すように、プーリ79には、ベルト50が巻きかけられており、ベルト50を介してプーリ79に車両のエンジンから動力が伝達される。図2に示すように、プーリ79には、各ピン32の先端が固定されていることにより、プーリ79は、各遊星歯車30及びロータ67とともにハウジング5に対して駆動軸8の軸心と同心で回転可能となっている。
可動コア69における空間69c内において、固定コア本体55の前端側には、固定部材37及び板ばね81aを介して第1アーマチュア81が弾性的に固定されている。より詳細には、車両の運転に伴う振動によって第1アーマチュア81と固定コア本体55とが接触しないように、板ばね81aは、第1アーマチュア81と固定コア本体55とが離れるような予荷重を与えられた状態で可動コア69に固定されている。第1アーマチュア81は、板ばね81aの弾性変形に抗しつつ、固定磁石59を介して固定コア本体55と磁着可能になっている。
プーリ79の後端面には、板ばね83aを介して第2アーマチュア83が弾性的に固定されている。より詳細には、車両の運転に伴う振動によって第2アーマチュア83と可動コア69とが接触しないように、板ばね83aは、第2アーマチュア83と可動コア69とが離れるような予荷重を与えられた状態でプーリ79に固定されている。第2アーマチュア83は、板ばね83aの弾性変形に抗しつつ、可動磁石71を介して可動コア22と磁着可能になっている。
以上のように構成された変速電磁クラッチでは、固定コア本体55のコイル室55d内にコイル57が収納され、固定コア本体55の前端部55a、壁部55b及び後端部55cでコイル57を前後内外で覆っている。さらに、可動コア69がその前端部69a及び壁部69bで後端側を除いて固定コア本体55を囲包している。
このため、図5に示すように、コイル57に負の方向で通電を行えば、コイル57は固定コア本体55及び可動コア69で矢印で示す方向の磁気回路を形成しようとする。ここで、固定磁石59の磁束は形成される磁気回路の磁束の方向と沿うことから、磁束は、固定コア本体55及び固定磁石59を通り、第1アーマチュア81を通り難い。また、可動磁石71の磁束は固定磁石59の磁束と逆向きであることから、磁束は、可動コア69の可動磁石71以外の部分を通ることとなり、磁束が第2アーマチュア83を通る。このため、第1アーマチュア81は固定コア本体55側に移動せず、第2アーマチュア83がコイル57による吸着力で可動コア69側に移動し、可動磁石71を介して可動コア69に磁着する。このため、この状態では、プーリ79がロータ67に固定され、プーリ79、ロータ67、内歯歯車28及び各遊星歯車30が一体化される。このため、プーリ79の回転は駆動軸8に等速で伝達される。この場合には、スクロール型圧縮機3は低い回転数で駆動され、抑制的な冷房が行われることとなる。
また、図6に示すように、コイル57に正の方向で通電を行えば、形成される矢印方向の磁気回路の磁束の方向と固定磁石59の磁束とが逆向きになることから、磁束は、固定コア本体55の固定磁石59以外の部分を通ることとなり、磁束が第1アーマチュア81を通る。また、可動磁石71の磁束は形成される磁気回路の磁束と沿うことから、磁束は、可動コア69及び可動磁石71を通り、第2アーマチュア83を通り難い。このため、第1アーマチュア81がコイル57による吸着力で固定コア側に移動し、固定磁石を介して固定コアに磁着する。一方、第2アーマチュア83は可動コア69側に移動しない。このため、この状態では、各遊星歯車30は、固定された内歯歯車28と噛み合うかたちで自転しながらプーリ79と同じ角速度で駆動軸8周りを公転する。このため、駆動軸8は自転する各遊星歯車30と噛み合うかたちで同じ回転数で回転する。このため、プーリ79の回転は駆動軸8に増速で伝達される。この場合、スクロール型圧縮機3が高い回転数で駆動されるため、効果的な冷房が行われることとなる。
図4に示すように、コイル57に通電を行わなければ、第1、2アーマチュア81、83は固定コア本体55及び可動コア69に磁着せず、プーリ79の動力は駆動軸8に伝達されない。この場合には、スクロール型圧縮機3による冷房が行われない。
次に、図7を用いて、第1、2アーマチュア81、83が固定コア本体55又は可動コア69に磁着する場合の電流値Aと吸着力Nとの関係を詳細に説明する。図7に示すグラフでは、縦軸に、磁束が通ることによる第1、2アーマチュア81、83の固定コア本体55又は可動コア69に対する吸着力Nの強さを示しており、横軸にコイル57に通電する電流値Aの大きさを示している。さらに、この横軸では、ゼロ地点を境に紙面右方向に向かうほど正の向きの電流値Aが大きくなることを示しており、紙面左方向に向かうほど負の向きの電流値Aが大きくなることを示している。また、このグラフでは、第2アーマチュア83の吸着力Nの変化を実線で示しており、第1アーマチュア81の吸着力Nの変化を一点鎖線で示している。また、各板ばね81a、83aに与えられた予荷重を破線で示している。
図7に示すように、ゼロ地点、すなわち、コイル57に対して通電を行っていない状態では磁束回路が形成されず、第1、2アーマチュア81、83の吸着力Nは発生していない。この状態からコイル57に対して負の方向で通電を行うことで、第2アーマチュア83を通る磁束が増え、第2アーマチュア83の吸着力Nが次第に上昇する。しかし、第2アーマチュア83の吸着力Nよりも板ばね83aに与えられた予荷重が上回っているため、第2アーマチュア83は可動コア69側に移動しない。この状態からさらにコイル57に通電する電流値Aを大きくし、電流値Aの大きさがA1となることで、第2アーマチュア83の吸着力Nが板ばね83aに与えられた予荷重を上回る。このため、第2アーマチュア83が可動コア69側に移動し始め、両者の距離が近づくにつれて第2アーマチュア83の吸着力Nが急激に上昇する。こうして、第2アーマチュア83が可動コア69に磁着する。このように、第2アーマチュア83が可動コア69に磁着し、図5に示す磁気回路の磁束密度が上昇しても、第1アーマチュア81側を通る磁束が増えることがないため、第1アーマチュア81の吸着力Nは変化しない。図7に示すように、電流値Aの大きさをA1よりもさらに大きくしても、第2アーマチュア83の吸着力Nのみが上昇するだけであり、第1アーマチュア81の吸着力Nに変化はない。このため、第1アーマチュア81が固定コア本体55側に移動することはない。
一方、コイル57に対して正の方向で通電を行うことで、第1アーマチュア81に通る磁束が増え、第1アーマチュア81の吸着力Nが次第に上昇する。図7では図示を省略しているが、第2アーマチュア83の場合と同様に、コイル57に通電する電流値Aをさらに大きくすることで、第1アーマチュア81の吸着力Nが板ばね81aに与えられた予荷重を上回る。このため、第1アーマチュア81が固定コア本体55側に移動し始め、両者の距離が近づくにつれて第1アーマチュア81の吸着力Nが急激に上昇する。こうして、第1アーマチュア81が固定コア本体55に磁着する。この際、図6に示す磁気回路の磁束密度が上昇しても、第2アーマチュア83を通る磁束が増えることはないため、第2アーマチュア83の吸着力Nは変化しない。このため、第2アーマチュア83が可動コア69側に移動することはない。
こうして、この変速電磁クラッチは、プーリ79と駆動軸8との動力伝達を2種類の変速で行うことができるとともに、動力遮断も行うことができる。また、この変速電磁クラッチは、遊星歯車30を1種類採用しているだけである。また、プーリ79も1個採用しているだけであり、これを駆動するベルト50も1本で済むため、構造が比較的簡易である。
したがって、この変速電磁クラッチはより実用的なものとなっている。
特に、この変速電磁クラッチは、図8に示す比較例の変速電磁クラッチと比較しても、より実用的なものとなっている。なお、比較例の変速電磁クラッチは、出願人が先の特願2009−8571号において提案した変速電磁クラッチである。
比較例の変速電磁クラッチは、コイル10が固定コア本体6内に収納されており、可動コア22内に形成された空間に、コイル10の先端側及び固定コア本体6の先端側が収納されている。また、固定コア本体6及び可動コア22において、コイル10の両端側に位置する部分に、それぞれ固定磁石12及び可動磁石24が設けられている。固定磁石12及び可動磁石24の磁束の向きは同じ方向である。固定コア本体6は後端側でブラケット2に固定されている。ロータ本体18aの後端には、フランジ部材18bが固定されており、フランジ部材18bの前面には、板ばね38aを介して第1アーマチュア38が固定されている。また、プーリ39の後面には、板ばね40aを介して第2アーマチュア40が固定されている。
この変速電磁クラッチでは、図9に示すように、コイル10に負の方向で通電を行うと、第2アーマチュア40が可動コア22に磁着した時点で、可動磁石24を除く可動コア22の一部、第2アーマチュア40及び固定コア本体6で形成される矢印方向の磁気回路の磁束密度が上昇する。このため、破線で示すように、第1アーマチュア38を通る洩れ磁束も増え、図10に示すように、第1アーマチュア38が固定コア本体6に磁着してしまい易い。
また、図11に示すように、コイル10に正の方向で通電を行うと、第1アーマチュア38が固定コア本体6に磁着した時点で、固定磁石12を除く固定コア本体6の一部、第1アーマチュア38及び可動コア22で形成される磁気回路の磁束密度が上昇する。このため、破線で示すように、第2アーマチュア40を通る洩れ磁束も増える。このため、図12に示すように、第2アーマチュア40が可動コア22に磁着してしまい易い。
図13に示すグラフを用いて、第1アーマチュア38を通る洩れ磁束が増えることにより、第1アーマチュア38が固定コア本体6に磁着する状態について、さらに具体的に説明する。このグラフでは、第2アーマチュア40の吸着力Nの変化を実線で示しており、第1アーマチュア38の吸着力Nの変化を一点鎖線で示している。また、各板ばね38a、40aに与えられた予荷重を破線で示している。他の内容は図7に示すグラフと同様であり、各内容に対する詳細な説明を省略する。
図13に示すように、コイル10に負の方向で通電を行うことで第2アーマチュア40に通る磁束が増え、第2アーマチュア40の吸着力Nが上昇する。そして、電流値AがA1になることで、第2アーマチュア40の吸着力Nが板ばね40aに与えられた予荷重を上回り、第2アーマチュア40が可動コア22側に移動し始め、両者の距離が近づくにつれて第2アーマチュア40の吸着力Nが急激に上昇する。こうして、第2アーマチュア40が可動コア22に磁着する。これにより、上述の図9のように形成された磁気回路の磁束密度が上昇する。この際、固定磁石12を通る磁束の密度も増えることで、第1アーマチュア38を通る洩れ磁束も増える。このため、第1アーマチュア38の吸着力Nも上昇する。この状態でさらにコイル10に通電する電流値Aを大きくすると、第1、2アーマチュア38、40のそれぞれの吸着力Nが上昇する。そして、電流値がA2となることで、洩れ磁束が第1アーマチュア38を通ることによって上昇した第1アーマチュア38の吸着力Nが板ばね38aに与えられた予荷重の弾性力を上回る。このため、第1アーマチュア38が固定コア6側に移動する。このため、上述の図10に示すように、第1アーマチュア38が固定コア本体6に磁着し、図9の状態で形成された磁気回路に第1アーマチュア38も加えた磁気回路が形成される。
このように、第1、2アーマチュア38、40がそれぞれ固定コア本体6及び可動コア22に磁着した状態では、変速電磁クラッチが誤作動してしまう。つまり、この変速電磁クラッチでは、コイル10に通電する電流値AがA1とA2との間である場合にのみ、第1、2アーマチュア38、40の作動を適切に行うことが可能となる。なお、コイルに10通電する電流の向きが正の方向にある場合も同様であり、コイル10に通電する電流値Aが一定値以上となると、上述の図12に示すように、第2アーマチュア40が可動コア22に磁着して、変速電磁クラッチが誤作動してしまう。
この変速電磁クラッチでは、そのような誤作動を防止するため、固定コア本体6と第1アーマチュア38との間隙、可動コア22と第2アーマチュア40との間隙、それらを隔てる各板ばね38a、40aの弾性力、電流値A等を慎重に調整せざるを得ず、製造等が困難になってしまう。つまり、固定コア本体6と第1アーマチュア38との間隙や可動コア22と第2アーマチュア40との間隙を大きくすれば、磁着と離反とを生じ難く、電流値Aに制限を生じる。また、固定磁石12や可動磁石24にフェライト磁石よりも磁力の大きい希土類磁石を採用して電流値Aの制限を緩和すれば、固定磁石12等の残留磁力が大きくなることから、各板ばね38a、40aの弾性力を大きくせざるを得ず、そのためにコイル10による起磁力を大きくせざるを得ず、変速電磁クラッチの体格が大型化するとともに、消費電力が増大してしまう。
これに対し、実施例の変速電磁クラッチでは、コイル57の前端側に固定磁石59及び可動磁石71を有し、それら固定磁石59及び可動磁石71の磁束の向きを逆にしている。このため、図5に示すように、コイル57に負の方向で通電を行うと、第2アーマチュア83が可動コア69に磁着した時点で、第2アーマチュア83に磁束が高い密度で流れる。このため、固定磁石59を流れる磁束の密度が減り、第1アーマチュア81を通る洩れ磁束が増えることがないことから、第1アーマチュア81が固定コア本体55に磁着し難い。
また、実施例の変速電磁クラッチでは、コイル57に正の方向で通電を行うと、図6に示すように、第1アーマチュア81が固定コア本体55に磁着した時点で、第1アーマチュアに磁束が高い密度で流れる。このため、可動磁石71を流れる磁束の密度が減り、第2アーマチュア83を通る洩れ磁束が増えることがないことから、第2アーマチュア83が可動コア69に磁着し難い。
このため、実施例の変速電磁クラッチでは、固定コア本体55と第1アーマチュア81との間隙、可動コア69と第2アーマチュア83との間隙、それらを隔てる各板ばね81a、83aの弾性力、電流値A等に自由度が増し、製造等が容易になる。
この変速電磁クラッチでは、アームは、各遊星歯車30を回転可能に保持するピン32と、ピン32とは別体とされ、プーリ79と一体に回転可能なアーム本体16とで構成されている。そして、アーム本体16とフロントハウジング5のボス部5bとの間に第1軸受14が設けられ、ロータ67に固定されたフランジ部材19とフロントハウジング5のボス部5bとの間に第2軸受が設けられている。このため、プーリ79に作用する荷重がアーム本体16に伝わり、アーム本体16から第1軸受14を介してハウジングに伝わる。このため、プーリ79に作用する荷重がピン32を介して各遊星歯車30に伝わり難く、各遊星歯車30が好適に回転する。また、このためにピン32や各遊星歯車30を大型化する必要がないため、変速電磁クラッチの小型化を実現している。
また、第1軸受14と第2軸受20とはそれぞれ駆動軸8の軸方向に沿うように配設されている。このため、変速電磁クラッチの外径が小さくなり、車両等への搭載性が向上している。
また、上記のように固定コアは、コイル室55dを前後内外で覆う磁性材料からなる固定コア本体55と、固定コア本体をフロントハウジング5に固定する非磁性材料からなるブラケット51とで構成されている。このため、磁性材料からなる固定コア本体55により、磁気回路の磁束を強めることができる。また、ブラケット51により固定コア本体55を容易にフロントハウジング5に固定できる。さらに、ブラケット51が非磁性体であるため、ブラケット51やフロントハウジング5に対する磁束の漏れがなくなり、磁束回路の磁束密度がより密となることで、本発明の作用が顕著になっている。
さらに、この変速電磁クラッチでは、固定磁石59及び可動磁石71に用いられる永久磁石として、希土類磁石が採用されている。希土類磁石はフェライト磁石よりも磁力が大きいことから、この変速電磁クラッチでは、誤作動を防止しつつ、電流値Aの制限を緩和することが可能となっている。
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、本発明の変速電磁クラッチは、圧縮機に装着され得るだけでなく、電動機、ポンプ等にも装着され得る。また、圧縮機はスクロール型のものに限られず、斜板式、ベーン式等、種々のものであってもよい。
固定コア本体55から後端部55cを削除した固定コア本体を採用するとともに、ブラケット51を磁性材料とし、これら固定コア本体及びブラケット51を固定コアとすることもできる。
また、固定磁石59及び可動磁石71に用いられる永久磁石として、フェライト磁石が採用されるのも良い。この場合には、安価なフェライト磁石により、変速電磁クラッチの製造コストの削減が容易に可能となる。
本発明は、車両用圧縮機、より具体的には車両用空調装置に利用可能である。
5、7…ハウジング(5…フロントハウジング、7…リヤハウジング)
8a…前端部
8…駆動軸
55d…コイル室
55b、69b…壁部
57…コイル
59…固定磁石
67…ロータ
69…可動コア
71…可動磁石
26…太陽歯車
28…内歯歯車
30…遊星歯車
79…プーリ
81…第1アーマチュア
83…第2アーマチュア
32…ピン
16…アーム本体
14…第1軸受
20…第2軸受
55…固定コア本体
51…ブラケット

Claims (5)

  1. ハウジングと、該ハウジングから前端部が露出し、該ハウジングに回転可能に設けられた駆動軸とに装着される変速電磁クラッチであって、
    前記ハウジングに固定され、内部のコイル室を前後内外で覆う磁性材料からなる壁部を有する固定コアと、
    該コイル室内に収納され、通電される電流の正負が切替可能なコイルと、
    該コイルに前端側で対面するように該固定コアに固定され、該コイルへの一方向の通電時に生じる該固定コア内の磁束と沿う磁束を有する永久磁石からなる固定磁石と、
    該駆動軸の軸心と同心で回転可能に該ハウジングに設けられたロータと、
    該ロータに固定され、後端側を除いて該固定コアを囲包する磁性材料からなる壁部を有する可動コアと、
    該コイルに該前端側で対面するように該可動コアに固定され、該固定磁石の磁束と逆向きの磁束を有する永久磁石からなる可動磁石と、
    該駆動軸の前記前端部に該駆動軸の軸心と同心で回転可能に設けられた太陽歯車と、
    該ロータに固定された内歯歯車と、
    該太陽歯車及び該内歯歯車と噛合する遊星歯車と、
    該遊星歯車を該ハウジングに対して該駆動軸の軸心と同心で回転可能に支承するアームと、
    該遊星歯車及び該アームとともに該ハウジングに対して該駆動軸の軸心と同心で回転可能なプーリと、
    該可動コアに弾性的に設けられ、該固定磁石を介して該固定コアと磁着可能な第1アーマチュアと、
    該プーリに弾性的に設けられ、該可動磁石を介して該可動コアと磁着可能な第2アーマチュアとを備えていることを特徴とする変速電磁クラッチ。
  2. 前記アームは、前記遊星歯車を回転可能に保持するピンと、該ピンとは別体とされ、該プーリと一体に回転可能なアーム本体とからなり、
    前記アーム本体と前記ハウジングとの間に第1軸受が設けられ、前記ロータと該アーム本体又は前記ハウジングとの間に第2軸受が設けられている請求項1記載の変速電磁クラッチ。
  3. 前記第1軸受と前記第2軸受とはそれぞれ前記駆動軸の軸方向に沿うように配設されている請求項2記載の変速電磁クラッチ。
  4. 前記固定コアは、前記コイル室を前後内外で覆う磁性材料からなる固定コア本体と、該固定コア本体を該ハウジングに固定する非磁性材料からなるブラケットとからなる請求項1乃至3のいずれか1項記載の変速電磁クラッチ。
  5. 前記永久磁石は希土類磁石である請求項1乃至4のいずれか1項記載の変速電磁クラッチ。
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