以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。後に第1〜第5実施例を説明するが、まず、各実施例に共通する事項又は各実施例にて参照される事項について説明する。
図1に、本実施形態に係る撮像装置1の概略全体ブロック図を示す。撮像装置1は、静止画像を撮影及び記録可能なデジタルスチルカメラ、又は、静止画像及び動画像を撮影及び記録可能なデジタルビデオカメラである。
撮像装置1は、撮像部11と、AFE(Analog Front End)12と、主制御部13と、内部メモリ14と、表示部15と、記録媒体16と、操作部17と、を備えている。
図2に、撮像部11の内部構成図を示す。撮像部11は、光学系35と、絞り32と、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどから成る撮像素子33と、光学系35や絞り32を駆動制御するためのドライバ34と、を有している。光学系35は、ズームレンズ30及びフォーカスレンズ31を含む複数枚のレンズから形成される。ズームレンズ30及びフォーカスレンズ31は光軸方向に移動可能である。ドライバ34は、主制御部13からの制御信号に基づいてズームレンズ30及びフォーカスレンズ31の各位置並びに絞り32の開度を駆動制御することにより、撮像部11の焦点距離(画角)及び焦点位置並びに撮像素子33への入射光量を制御する。
撮像素子33は、光学系35及び絞り32を介して入射した被写体を表す光学像を光電変換し、該光電変換によって得られた電気信号をAFE12に出力する。より具体的には、撮像素子33は、マトリクス状に二次元配列された複数の受光画素を備え、各撮影において、各受光画素は露光時間に応じた電荷量の信号電荷を蓄える。蓄えた信号電荷の電荷量に比例した大きさを有する各受光画素からのアナログ信号は、撮像装置1内で生成される駆動パルスに従って順次AFE12に出力される。
AFE12は、撮像部11(撮像素子33)から出力されるアナログ信号を増幅し、増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。AFE12は、このデジタル信号をRAWデータとして主制御部13に出力する。AFE12における信号増幅の増幅度は、主制御部13によって制御される。
主制御部13は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等から成る。主制御部13は、AFE12からのRAWデータに基づいて、撮像部11によって撮影された画像(以下、撮影画像とも言う)を表す画像信号を生成する。ここで生成される画像信号には、例えば、輝度信号及び色差信号が含まれる。但し、RAWデータそのものも、画像信号の一種である。また、主制御部13は、表示部15の表示内容を制御する表示制御手段としての機能をも備え、表示に必要な制御を表示部15に対して行う。
内部メモリ14は、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等にて形成され、撮像装置1内で生成された各種データを一時的に記憶する。表示部15は、液晶ディスプレイパネル等から成る表示装置であり、主制御部13の制御の下、撮影された画像や記録媒体16に記録されている画像などを表示する。記録媒体16は、カード状半導体メモリや磁気ディスク等の不揮発性メモリであり、主制御部13による制御の下、撮影画像などを記憶する。操作部17は、外部からの操作を受け付ける。操作部17に対する操作内容は、主制御部13に伝達される。
図3に、任意の二次元画像が配置されるべき二次元座標面としてのXY座標面を示す。図3において、符号200が付された矩形枠は、二次元画像の外形枠を表している。XY座標面は、二次元画像200の水平方向に伸びるX軸と、二次元画像200の垂直方向に伸びるY軸と、を座標軸として有する。本明細書において述べられる画像は、全て、特に記述なき限り二次元画像である。XY座標面上及び二次元画像200上における或る注目点の位置を(x,y)にて表す。xは、該注目点のX軸座標値を表すと共に、XY座標面上及び二次元画像200上における該注目点の水平位置を表す。yは、該注目点のY軸座標値を表すと共に、XY座標面上及び二次元画像200上における該注目点の垂直位置を表す。XY座標面及び二次元画像200において、位置(x,y)に配置された画素の右側、左側、下側及び上側に隣接する画素の位置は、夫々、(x+1,y)、(x−1,y)、(x,y+1)及び(x,y−1)である。画素が配置される位置を、単に画素位置とも言う。また、本明細書では、画素位置(x,y)に配置された画素のことも、(x,y)によって参照することがある。
撮像装置1は、フォーカスレンズ31の位置を制御することで、主要被写体の光学像を撮像素子33の撮像面上に結像させることができる。主要被写体に見たてられた点光源からの入射光は光学系35を介して結像点にて結像するが、その結像点が撮像素子33の撮像面上にあるとき、その主要被写体に対して完全にピントがあっている。その結像点が撮像素子33の撮像面上にない場合、撮像面上において上記点光源からの像はぼける(即ち許容錯乱円径を超える径を持った像を形成する)。この状態においては、上記主要被写体に対してピントは合っていない或いはピントは或る程度合っているものの完全には合っていない。本明細書では、ピントがどの程度合っているかを表す度合いを合焦度と呼ぶ。注目領域又は注目画素に対する合焦度が大きいほど、注目領域又は注目画素における被写体に、よりピントが合っていると考える(よりピントが合っているほど、上記径は小さくなる)。また、ピントが合っている度合いが比較的高い部分を合焦部又は合焦部分と呼び、ピントが合っている度合いが比較的低い部分を非合焦部又は非合焦部分と呼ぶ。
ところで、撮像装置1は、被写界深度を十分に浅くした状態で撮影されていない入力画像から“ぼけ味”を持つ出力画像を画像処理によって生成する機能を備える。更に、得られた出力画像の背景部分に所望のぼけが生じているかどうかの確認を、ユーザに容易且つ正確に行わしめる機能を備える。
これらの機能は、図1の主制御部13に内在する画像処理/再生部50によって実現される。図4に、画像処理/再生部50の内部ブロック図を示す。画像処理/再生部50は、合焦度導出部51、出力画像生成部52、切出処理部53及び表示制御部54を備える。画像処理/再生部50には、入力画像の画像信号が供給される。ここで、入力画像とは、撮像部11の撮影によって得られた静止画像としての撮影画像を指す。
図5(a)に、入力画像の例としての入力画像210を示す。入力画像210は、花SUB1、人物SUB2及び建物SUB3を被写体に含めた状態で撮影された画像である。花SUB1、人物SUB2及び建物SUB3の被写体距離を、夫々、d1、d2及びd3にて表すと、不等式「d1<d2<d3」が成立するものとする。花SUB1の被写体距離d1とは、花SUB1と撮像装置1との、実空間上における距離を指す(被写体距離d2及びd3についても同様)。
合焦度導出部51は、合焦度導出用情報に基づいて入力画像の各画素位置における合焦度を導出し、各画素位置における合焦度をXY座標面上に書き並べた合焦度マップを生成して出力する。合焦度導出用情報は、様々な形態をとりうる。例えば、入力画像のエッジ状態や各画素位置の距離情報を合焦度導出用情報として用いることができるが、合焦度導出用情報の具体例の説明は後に設ける。
合焦度マップを画像として捉えたものを合焦度画像と呼ぶ。合焦度マップと合焦度画像は等価なものと言える。従って、以下の説明文中において、適宜、合焦度マップを合焦度画像と読み替え、逆に合焦度画像を合焦度マップと読み替えることもできる。合焦度画像は、画素位置(x,y)における合焦度を画素位置(x,y)における画素値として有するグレースケール画像である。図5(c)に、図5(a)の入力画像210に対する合焦度画像212を示す。図5(c)を含む、合焦度画像を表す図面においては、合焦度が大きな部分ほど白く示され、合焦度が小さな部分ほど黒く示される。但し、合焦度画像を表す図面において、異なる被写体間の境界(例えば、花SUB1と人物SUB2との境界)を明確に図示すべく、該境界では合焦度に関係なく黒の境界線が図示されている。
花SUB1、人物SUB2及び建物SUB3の画像信号が存在する部分の合焦度を夫々F1、F2及びF3にて表す。入力画像210の撮影の際、花SUB1に対して最もピントが合っており、その結果、不等式「F1>F2>F3」が成立するものとする。また、被写体距離d1及びd2の差異は少なく、この結果、合焦度F1及びF2の差異は少ないことを想定する。一方で、被写体距離d2及びd3の差異は非常に大きく、この結果、合焦度F2及びF3の差異は非常に大きいことを想定する。このため、花SUB1及び人物SUB2は合焦部となり、建物SUB3は非合焦部となっている。
尚、合焦度マップにおいては、ピントが合っている主要被写体の部分の数値が大きくなり、ピントが合っていない背景の部分の数値が小さくなる。従って、合焦度マップは主要被写体又は背景の存在する確率の分布を表している、とも言える。また、ピントが完全に合っている被写体距離の被写体部分に対して最大の数値を与え、それ以外の被写体部分に対してはピントが合っていないほど低い数値を与えた距離マップが、合焦度マップである、と考えることもできる。
出力画像生成部52は、入力画像に対して合焦度マップに基づく画像処理を施すことにより、所謂“ぼけ味”のある出力画像を生成する。この画像処理によって、入力画像に現れている複数の被写体の内、比較的大きな合焦度を有する画像部分の被写体が、比較的小さな合焦度を有する画像部分の被写体よりも視覚的に強調される(強調前の画像が入力画像であり、強調後の画像が出力画像である)。例えば、比較的小さな合焦度を有する画像領域内の画像を平均化フィルタ等を用いてぼかすことにより、上記の強調は実現される。出力画像生成部52にて実行される上記画像処理を、特に、出力画像生成処理という。
図5(b)に、図5(a)の入力画像210に基づく出力画像211を示す。花SUB1及び人物SUB2の合焦度F1及びF2が比較的大きい一方で建物SUB3の合焦度F3が比較的小さい結果、出力画像211において建物SUB3の画像がぼかされ、花SUB1や人物SUB2が浮き立って見える。
切出処理部53は、合焦度マップに基づいて切出対象画像の一部を切り出し、切り出した画像を抽出画像として生成及び出力する。切出対象画像は、入力画像、出力画像又は合焦度画像であり、それらの夫々が切出対象画像となりうる。但し、出力画像及び合焦度画像の内の少なくとも一方が切出対象画像に含められる。切出対象画像が入力画像であるときの抽出画像、切出対象画像が出力画像であるときの抽出画像及び切出対象画像が合焦度画像であるときの抽出画像を、特に夫々、入力抽出画像、出力抽出画像及び合焦度抽出画像という。
入力画像、出力画像及び合焦度画像の画像サイズは同じであるとする。即ち、画像の水平方向及び垂直方向の画素数は、入力画像、出力画像及び合焦度画像間で同じであるとする。図6に示す如く、切出処理部53は、切出対象画像内に、切出対象画像の画像サイズよりも小さな画像サイズを有する切り出し枠を設定し、切り出し枠内の画像を抽出画像として生成する。
切出処理部53は、合焦度マップに基づいて切り出し枠の位置(以下、切り出し位置という)を決定する。切出処理部53には、切出対象画像の画像サイズ及び切り出し枠の画像サイズを表す情報が与えられている。合焦度マップに基づいて切り出し枠の大きさ及び/又は形状を変形させても良いが、本実施形態では、特に述べない限り、切り出し枠は画像サイズが一定の矩形枠(即ち、水平及び垂直方向における画素数が一定の矩形枠)であるとする。そうすると、切り出し位置は、切り出し枠の中心座標値にて表現することができる。勿論、切り出し枠の対向2頂点の座標値を指定することによって切り出し位置を定めてもよい。
表示制御部54は、抽出画像の画像サイズを表示部15にて表示可能な画像サイズに変換する画像サイズ変換処理を実行する。画像サイズ変換処理は、任意の画像の画素数を変更する公知の再標本化によって実現することができる。撮像装置1においては、抽出画像の画素数よりも表示画面の画素数の方が小さいことが多く、その場合、画像サイズ変換処理は、画素の間引きによって実現される。そして、表示制御部54は、画像サイズ変換処理を経た1又は複数の抽出画像を所定の規則に沿って表示部15に表示させる。この表示方法については後に詳説される。
尚、画像サイズ変換処理を、表示制御部54においてではなく、切出処理部53にて実行するようにしても良い。この場合、画像サイズ変換処理後の抽出画像が切出処理部53から表示制御部54に供給される。また、表示部15の解像度によっては、画像サイズ変換処理が不要となる場合もある。
上述の切出処理部53及び表示制御部54の働きによって、切出対象画像の切り出し枠内の画像が表示部15上にて拡大表示されるようになる。仮に切り出し位置を固定位置としたならば、合焦度が比較的大きな部分の画像(例えば花SUB1や人物SUB2の画像)のみが表示されるといった事態が生じうるが、撮像装置1では、合焦度マップに基づき、合焦度が比較的大きな部分の画像(例えば花SUB1や人物SUB2の画像)と合焦度が比較的小さな部分の画像(例えば建物SUB3の画像)が抽出画像内に混在するように切り出し位置が制御される。これにより、ユーザは、出力画像の背景部分に所望のぼけが生じているかどうかを、容易に且つ正確に確認することができる。
以下、撮像装置1にて採用することのできる要素技術等を、第1実施例〜第5実施例において説明する。矛盾が生じない限り、或る実施例に記載した事項と他の実施例に記載した事項を、自由に組み合わせて実施することができる。
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。第1実施例では、図4の切出処理部53において採用することのできる切り出し位置の設定方法として、第1〜第3の切り出し位置設定方法を例示する。何れの切り出し位置設定方法を採用した場合においても、比較的大きな合焦度を有する画素位置(又は画像領域)と比較的小さな合焦度を有する画素位置(又は画像領域)を、切り出し枠内(従って抽出画像内)に含める、という目的が達成される。
――第1の切り出し位置設定方法――
第1の切り出し位置設定方法を説明する。図7に、第1の切り出し位置設定方法を採用した場合において、合焦度画像212内に設定される切り出し枠310を示す。切出処理部53は、合焦度マップに基づいて、合焦度マップに内包される全合焦度の内、最大の合焦度を有する画素位置311と最小の合焦度を有する画素位置312を探索し、画素位置311及び312が切り出し枠310内に含まれるように切り出し位置を決定する。典型的には例えば、画素位置311と画素位置312の中間位置が切り出し枠310の中心と一致するように切り出し位置を設定することができる(但し、その一致は必須ではない)。
――第2の切り出し位置設定方法――
第2の切り出し位置設定方法を説明する。図8に、第2の切り出し位置設定方法を採用した場合において、合焦度画像212内に設定される切り出し枠320を示す。切出処理部53は、合焦度マップに基づいて、画素位置ごとに合焦度マップ上における合焦度の勾配の大きさを求める。換言すれば、合焦度画像に基づいて、画素位置ごとに合焦度画像上における合焦度の勾配の大きさ(画素値の勾配の大きさ)を求める。
例えば、合焦度画像上の注目画素に対して水平方向の微分フィルタを作用させた時における該微分フィルタの出力値DVHと、合焦度画像上の注目画素に対して垂直方向の微分フィルタを作用させた時における該微分フィルタの出力値DVVとを求め、√(DVH 2+DVL 2)を、注目画素における上記勾配の大きさとして求めることができる。尚、iが任意の正の数であるとしたとき、√iは、iの正の平方根を表す。
そして、切出処理部53は、画素位置ごとに求めた勾配の大きさの内、最大値を有する画素位置321を特定し、画素位置321が切り出し枠320内に含まれるように切り出し位置を決定する。典型的には例えば、画素位置321が切り出し枠320の中心と一致するように切り出し位置を設定することができる(但し、その一致は必須ではない)。合焦度の勾配の大きな部分は、合焦部分と非合焦部分の境界部分に対応しているため、この方法によっても上記目的が達成される。
――第3の切り出し位置設定方法――
第3の切り出し位置設定方法を説明する。図9に、第3の切り出し位置設定方法を採用した場合において、合焦度画像212内に設定される切り出し枠330を示す。第3の切り出し位置設定方法では、合焦度の高い部分と合焦度の低い部分が概ね半分ずつ切り出し枠330内に含まれるように切り出し位置を設定する。そのような設定を実現する具体的な方法として様々な方法が考えられるが、一方法例を以下に説明する。
切り出し枠330と同じ画像サイズを有する評価枠を、評価枠の中心画素が注目画素と一致するように合焦度画像212内に設定し、評価枠内に属する画素の内、基準合焦度FTH1以上の合焦度を有する画素の面積総和SS1と基準合焦度FTH2以下の合焦度を有する画素の面積総和SS2を求める。ここで、FTH1及びFTH2は、不等式「FTH1>FTH2」を満たす所定の閾値である。面積総和SS1は、基準合焦度FTH1以上の合焦度を有する画素の個数によって表され、面積総和SS2は、基準合焦度FTH2以下の合焦度を有する画素の個数によって表される。
評価枠の中心画素と一致すべき注目画素を、水平方向又は垂直方向に1画素ずつシフトさせながら、シフトを行うごとに上記面積総和SS1及びSS2を求める。評価枠を設定可能な各画素を注目画素と見立てた上で各注目画素に対して上記面積総和SS1及びSS2を求めた後、比SS1/SS2を、1を含む所定の範囲内(例えば0.9以上1.1以下の範囲内)に収めさせる評価枠の中心画素を特定する。そして、特定した中心画素が切り出し枠330の中心画素331となるように切り出し位置を設定する。
複数の中心画素が特定された場合には、その複数の中心画素の内、1に最も近い比SS1/SS2に対応する中心画素を中心画素331として選択することができる。或いは、第1又は第2の切り出し位置設定方法を利用し、切り出し枠330内に画素位置311及び312が含まれるように又は画素位置321が含まれるように、上記複数の中心画素の中から1つの中心画素を中心画素331として選択すればよい。
仮に、SS1/SS2=1を満たす評価枠を切り出し枠330として定めたならば、基準合焦度FTH1以上の合焦度を有する画像部分と基準合焦度FTH2以下の合焦度を有する画像部分が切り出し枠330内に丁度半分ずつ含まれることになる。
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。第2実施例では、図4の表示制御部54において採用することのできる抽出画像の表示方法として、第1〜第4の表示方法を例示する。第1〜第4の表示方法では、切出処理部53によって図5(a)〜(c)の入力画像210、出力画像211及び合焦度画像212から図10(a)〜(c)の入力抽出画像300、出力抽出画像301及び合焦度抽出画像302が生成された場合を想定し、入力抽出画像300、出力抽出画像301及び合焦度抽出画像302に基づく表示内容を説明する。
――第1の表示方法――
第1の表示方法を説明する。第1の表示方法では、図11に示す如く、出力抽出画像301又は合焦度抽出画像302を、表示部15の表示画面DISP上に表示する。1枚の画像を表示画面DISPに表示する場合には、その1枚の画像を表示画面DISPの全体を使って表示することができる(後述の第2〜第4の表示方法においても同様)。勿論、表示画面DISP上に、出力抽出画像301又は合焦度抽出画像302以外の何らかの映像(メッセージやアイコンなど)を併せて表示するようにしても構わない(後述の第2〜第4の表示方法においても同様)。
出力抽出画像301を見ることで、ユーザは、背景部分に所望のぼけが生じているか否かを容易に且つ正確に確認することができる。また、処理内容の詳細は後述されるが、出力画像は、比較的小さな合焦度を有する画像領域内の画像に対してぼかし処理等を施すことによって生成される。従って、ユーザは合焦度抽出画像302を見れば、何れの画像部分がどの程度ぼかされ、何れの画像部分がぼかされないのかを認識することができる。従って、出力抽出画像301を見る場合よりも確認精度は若干劣るかもしれないが、合焦度抽出画像302を見ることによっても、ユーザは、出力画像の背景部分に所望のぼけが生じているのか(或いは、生じさせることができるのか)を確認することができる。
――第2の表示方法――
第2の表示方法を説明する。第2の表示方法では、図12に示す如く、入力抽出画像300及び出力抽出画像301を交互に表示画面DISP上に表示する。表示される画像の切り替わりは、時間の経過と共に自動的に行われる、或いは、ユーザによる操作部17へのクリック操作に従って行われる。
入力抽出画像300及び出力抽出画像301を交互に表示画面DISP上に表示するのではなく、入力抽出画像300及び合焦度抽出画像302を交互に、或いは、出力抽出画像301及び合焦度抽出画像302を交互に表示画面DISP上に表示するようにしても良いし、表示画面DISP上に入力抽出画像300、出力抽出画像301及び合焦度抽出画像302を順番に切り替えて表示するようにしても良い。
――第3の表示方法――
第3の表示方法を説明する。第3の表示方法では、図13に示す如く、入力抽出画像300及び出力抽出画像301を同時に表示画面DISP上に表示する。つまり、入力抽出画像300及び出力抽出画像301を表示画面DISP上に並べて表示する。図13では、入力抽出画像300と出力抽出画像301が横に並べられているが、複数の画像を並べて表示する場合における複数の画像の並べ方は任意である。同時表示された入力抽出画像300及び出力抽出画像301を見比べることで、ユーザは、背景部分に所望のぼけが生じているか否かを容易に且つ正確に確認することができる。
入力抽出画像300及び出力抽出画像301を同時に表示画面DISPに表示するのではなく、入力抽出画像300及び合焦度抽出画像302を同時に、或いは、出力抽出画像301及び合焦度抽出画像302を同時に、或いは、入力抽出画像300、出力抽出画像301及び合焦度抽出画像302を同時に、表示画面DISP上に表示するようにしても良い。
――第4の表示方法――
第4の表示方法を説明する。第4の表示方法では、図14に示す如く、入力抽出画像300と出力抽出画像301の鏡像301aとを横に並べて同時に、表示画面DISP上に表示する。鏡像301aは、出力抽出画像301に対して鏡映変換を施して得られる画像である。或る画像の各画素を或る対称軸に対して対称な位置に反転する幾何学的変換は鏡映変換と呼ばれる。鏡像301aについての対称軸はY軸である(図3参照)であるが、対称軸をX軸にしても構わない。入力抽出画像300と出力抽出画像301の鏡像301aを並列表示することで、ぼけの生じ具合を正確に把握することができる。
上記に代えて、
入力抽出画像300の鏡像と出力抽出画像301とを横に並べて同時に、或いは、
入力抽出画像300と合焦度抽出画像302の鏡像とを横に並べて同時に、或いは、
入力抽出画像300の鏡像と合焦度抽出画像302とを横に並べて同時に、或いは、
出力抽出画像301と合焦度抽出画像302の鏡像とを横に並べて同時に、或いは、
出力抽出画像301の鏡像と合焦度抽出画像302とを横に並べて同時に、表示画面DISP上に表示するようにしても良い。
尚、画素位置変化に対する合焦度の変化状態に応じて、採用する表示方法を、第2の表示方法と第3の表示方法(又は第4の表示方法)との間で変更するようにしても良い。例えば、画素位置変化に対する合焦度の変化がなだらかな場合には、合焦部分と非合焦部分の境界が曖昧であってぼけの有無が視覚的に認識しずらいため、第2の表示方法を用いて抽出画像の表示を行う。第2の表示方法による切り替え表示を用いれば、残像効果により、ぼけの有無が視覚的に認識されやすくなるからである。逆に、画素位置変化に対する合焦度の変化が大きい場合には、並列表示であってもぼけの有無が視覚的に認識しやすいため、第3の表示方法(又は第4の表示方法)を用いて抽出画像の表示を行う。
合焦度の変化状態を、例えば、以下のようにして求めることができる(図7参照)。最大及び最小の合焦度を有する画素位置311及び312の合焦度の差の絶対値を画素位置311及び312間の距離で割った値を、画素位置311及び312間の合焦度勾配として求める。そして、該合焦度勾配が所定の基準勾配よりも小さければ、画素位置変化に対する合焦度の変化がなだらかであると判断することができ、該合焦度勾配が該基準勾配以上であれば、画素位置変化に対する合焦度の変化が大きいと判断することができる。
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。第3実施例では、図4の出力画像生成部52において採用することのできる出力画像生成処理の方法として、第1〜第4の画像処理方法を例示する。
――第1の画像処理方法――
第1の画像処理方法を説明する。図15に、図4の出力画像生成部52として採用することのできる出力画像生成部52aの内部ブロック図を示す。出力画像生成部52aは、符号61〜64によって参照される各部位を備える。但し、YUV生成部61は、図4の画像処理/再生部50内に設けられるものの、出力画像生成部52aの外部に設けられたものであっても良い。
YUV生成部61は、入力画像の画像信号の形式をRAWデータ形式からYUV形式に変換する。即ち、入力画像のRAWデータから入力画像の輝度信号並びに色差信号を生成する。以下、輝度信号をY信号と呼び、色差信号を形成する2つの信号成分をU信号及びV信号と呼ぶ。
変換テーブル62は、自身に与えられた合焦度マップに基づき、画素ごとにぼかし度及びエッジ強調度を求めて出力する。画素(x,y)に対する合焦度、ぼかし度及びエッジ強調度を、夫々、FD(x,y)、BD(x,y)及びED(x,y)にて表す。
図16(a)は、合焦度マップを形成する合焦度とぼかし度との関係を表している。図16(a)に示す如く、変換テーブル62は、不等式「FD(x,y)<THA」の成立時には、ぼかし度BD(x,y)を上限ぼかし度BDHに設定し、不等式「THA≦FD(x,y)<THB」の成立時には、合焦度FD(x,y)が閾値THAから閾値THBに向かって増大するにつれてぼかし度BD(x,y)を上限ぼかし度BDHから下限ぼかし度BDLに向かって線形的に(或いは非線形的に)減少させ、不等式「THB≦FD(x,y)」の成立時には、ぼかし度BD(x,y)を下限ぼかし度BDLに設定する。ここで、BDH、BDL、THA及びTHBを、不等式「0<BDL<BDH」且つ「0<THA<THB」が満たされるように予め設定しておくことができる(例えば、BDH=7、BDL=1とされる)。
図16(b)は、合焦度マップを形成する合焦度とエッジ強調度との関係を表している。図16(b)に示す如く、変換テーブル62は、不等式「FD(x,y)<THC」の成立時には、エッジ強調度ED(x,y)を下限強調度EDLに設定し、不等式「THC≦FD(x,y)<THD」の成立時には、合焦度FD(x,y)が閾値THCから閾値THDに向かって増大するにつれてエッジ強調度ED(x,y)を下限強調度EDLから上限強調度EDHに向かって線形的に(或いは非線形的に)増大させ、不等式「THD≦FD(x,y)」の成立時には、エッジ強調度ED(x,y)を上限強調度EDHに設定する。ここで、EDH、EDL、THC及びTHDを、不等式「0<EDL<EDH」且つ「0<THC<THD」が満たされるように予め設定しておくことができる。
図15の背景ぼかし部63は、変換テーブル62から出力される画素ごとのぼかし度に応じて、YUV生成部61から出力されるY、U及びV信号に対し、画素ごとにぼかし処理を施す。但し、ぼかし度BD(x、y)が下限ぼかし度BDLと一致している画像部分に対しては、ぼかし処理を施さない方が望ましい。ぼかし処理は、Y、U及びV信号の夫々に対して行っても良いし、Y信号に対してのみ行っても良い。Y信号を空間方向において平滑化する空間フィルタを用いた空間フィルタリングにより、Y信号のぼかし処理を実現することができる(U及びV信号についても同様)。空間フィルタとして、平均化フィルタ、加重平均化フィルタ、ガウシアンフィルタ等を用いることができ、ぼかし度をガウシアンフィルタにおけるガウス分布の分散として用いることもできる。また、Y信号に含まれる空間周波数成分の内、低周波成分は残し且つ高周成分を除去するようなローパスフィルタを用いた周波数フィルタリングによって、Y信号のぼかし処理を実現することもできる(U及びV信号についても同様)。
注目画素(x,y)に対する合焦度FD(x,y)が小さく、これによって注目画素(x,y)のぼかし度BD(x、y)が大きいほど、注目画素(x,y)及び該注目画素の周辺画素から成る画像部分のぼかしの度合いは大きくなる。ぼかし処理に平均化フィルタを用いる場合を想定して、単純な例を挙げる。例えば、ぼかし度BD(x,y)が下限ぼかし度BDLよりも大きいが上限ぼかし度BDHよりも小さいときに3×3のフィルタサイズを有する平均化フィルタを用いて注目画素(x,y)に対するぼかし処理を行い、ぼかし度BD(x,y)が上限ぼかし度BDHと一致している時に5×5のフィルタサイズを有する平均化フィルタを用いて注目画素(x,y)に対するぼかし処理を行うようにする。これにより、ぼかし度BD(x,y)が大きいほど対応部分のぼかしの度合いは大きくなる。
図15のエッジ強調処理部64は、背景ぼかし部63から出力されるぼかし処理後のY、U及びV信号に対し、画素ごとにエッジ強調処理を施す。エッジ強調処理は、ラプラシアンフィルタ等の鮮鋭化フィルタを用いた、画像のエッジを強調する処理である。注目画素(x,y)に対するエッジ強調度ED(x,y)が大きくなるにつれて、注目画素(x,y)及び該注目画素の周辺画素から成る画像部分のエッジの強調度合いが大きくなるように、エッジ強調度ED(x,y)に応じて鮮鋭化フィルタのフィルタ係数を可変設定するとよい。
エッジ強調処理部64によるエッジ強調処理後のY、U及びV信号が、出力画像のY、U及びV信号として生成される。尚、エッジ強調処理部64を割愛することも可能であり、この場合、背景ぼかし部63から出力されるぼかし処理後のY、U及びV信号が、出力画像のY、U及びV信号として機能する。
上述のようなぼかし処理を出力画像生成処理に含めることにより、背景被写体(建物SUB3)がぼけ、主要被写体(花SUB1や人物SUB2)が浮き立って見える“ぼけ味”のある出力画像211(図5(b)参照)が得られる。即ち、比較的大きな合焦度を有する画像部分の被写体が比較的小さな合焦度を有する画像部分の被写体よりも視覚的に強調された出力画像が得られる(同様の強調効果は、後述の第2〜第4の画像処理方法によっても実現される)。
――第2の画像処理方法――
第2の画像処理方法を説明する。第2の画像処理方法では、図15の背景ぼかし部63にて実行される上記ぼかし処理を輝度低減処理に置換する。この置換を除き、第1の画像処理方法と第2の画像処理方法は同じである。
第2の画像処理方法において、図15の背景ぼかし部63は、変換テーブル62から出力される画素ごとのぼかし度に応じて、YUV生成部61から出力されるY信号に対し、画素ごとに輝度低減処理を施す。但し、ぼかし度BD(x,y)が下限ぼかし度BDLと一致している画像部分に対しては、輝度低減処理を施さない方が望ましい。
輝度低減処理では、注目画素(x,y)に対する合焦度FD(x,y)が小さく、これによって注目画素(x,y)のぼかし度BD(x,y)が大きいほど、注目画素(x,y)のY信号の信号レベルは、より大きく低減される。注目画素(x,y)のY信号の信号レベルが低減するに伴って、注目画素(x,y)の輝度は低くなるものとする。このような輝度低減処理を出力画像生成処理に含めることにより、背景被写体(建物SUB3)が暗くなり、主要被写体(花SUB1や人物SUB2)が強調されて浮き立って見える出力画像を生成することができる。
――第3の画像処理方法――
第3の画像処理方法を説明する。第3の画像処理方法では、図15の背景ぼかし部63にて実行される上記ぼかし処理を彩度低減処理に置換する。この置換を除き、第1の画像処理方法と第3の画像処理方法は同じである。
第3の画像処理方法において、図15の背景ぼかし部63は、変換テーブル62から出力される画素ごとのぼかし度に応じて、YUV生成部61から出力されるU及びV信号に対し、画素ごとに彩度低減処理を施す。但し、ぼかし度BD(x,y)が下限ぼかし度BDLと一致している画像部分に対しては、彩度低減処理を施さない方が望ましい。
彩度低減処理では、注目画素(x,y)に対する合焦度FD(x,y)が小さく、これによって注目画素(x,y)のぼかし度BD(x,y)が大きいほど、注目画素(x,y)のU及びV信号の信号レベルは、より大きく低減される。注目画素(x,y)のU及びV信号の信号レベルが低減するに伴って、注目画素(x,y)の彩度は低くなるものとする。このような彩度低減処理を出力画像生成処理に含めることにより、背景被写体(建物SUB3)の彩度が低くなり、主要被写体(花SUB1や人物SUB2)が強調されて浮き立って見える出力画像を生成することができる。
尚、上記のぼかし処理、輝度低減処理及び彩度低減処理の内、2つ以上の処理を、図15の背景ぼかし部63にて実行するようにしても良い。
――第4の画像処理方法――
第4の画像処理方法を説明する。図17に、第4の画像処理方法において、図4の出力画像生成部52として採用することのできる出力画像生成部52bの内部ブロック図を示す。出力画像生成部52bは、符号61及び72〜74によって参照される各部位を備える。但し、YUV生成部61は、図4の画像処理/再生部50内に設けられるものの、出力画像生成部52bの外部に設けられたものであっても良い。図17のYUV生成部61は、図15のそれと同じものである。
全景ぼかし部72は、YUV生成部61から出力される画像信号に対し、一律にぼかし処理を施す。全景ぼかし部72におけるぼかし処理を、第1の画像処理方法におけるそれと区別すべく、全景ぼかし処理と呼ぶ。全景ぼかし処理では、合焦度マップに関係なく、入力画像の全体が共通の条件にてぼかされる。全景ぼかし処理は、画像信号を形成するY、U及びV信号の夫々に対して行っても良いし、Y信号に対してのみ行っても良い。Y信号を空間方向において平滑化する空間フィルタを用いた空間フィルタリングにより、Y信号の全景ぼかし処理を実現することができる(U及びV信号についても同様)。空間フィルタとして、平均化フィルタ、加重平均化フィルタ、ガウシアンフィルタ等を用いることができる。また、Y信号に含まれる空間周波数成分の内、低周波成分は残し且つ高周成分を除去するようなローパスフィルタを用いた周波数フィルタリングにより、Y信号の全景ぼかし処理を実現することもできる(U及びV信号についても同様)。
全景ぼかし部72は、全景ぼかし処理後のY、U及びV信号を加重加算合成部74に出力する。全景ぼかし処理後のY、U及びV信号を画像信号として有する画像、即ち、全景ぼかし処理後の入力画像を、全景ぼかし画像と呼ぶ。
変換テーブル73は、自身に与えられた合焦度マップに基づき、画素ごとに、入力画像と全景ぼかし画像との合成比率を求めて出力する。画素(x,y)に対する合焦度を上述したようにFD(x,y)にて表し、画素(x,y)に対する合成比率をK(x,y)にて表す。
図18は、合焦度マップを形成する合焦度と合成比率との関係を表している。図18に示す如く、変換テーブル73は、不等式「FD(x,y)<THE」の成立時には、合成比率K(x,y)を下限比率KLに設定し、不等式「THE≦FD(x,y)<THF」の成立時には、合焦度FD(x,y)が閾値THEから閾値THFに向かって増大するにつれて合成比率K(x,y)を下限比率KLから上限比率KHに向かって線形的に(或いは非線形的に)増大させ、不等式「THF≦FD(x,y)」の成立時には、合成比率K(x,y)を上限比率KHに設定する。ここで、KH、KL、THE及びTHFを、不等式「0≦KL<KH≦1」且つ「0<THE<THF」が満たされるように予め設定しておくことができる。通常は、KL=0、KH=1とされる。
加重加算合成部74は、入力画像の画像信号と全景ぼかし画像の画像信号が、変換テーブル73から出力される合成比率に従って画素毎に混合されるように、入力画像及び全景ぼかし画像を合成する。これによって得た合成画像が、第4の画像処理方法による出力画像である。勿論、画像信号の混合は、Y、U及びV信号の夫々に対して行われる。より具体的には、入力画像の画素(x,y)におけるY信号、全景ぼかし画像の画素(x,y)におけるY信号及び出力画像の画素(x,y)におけるY信号を、夫々、Y1(x,y)、Y2(x,y)及びY3(x,y)にて表したとすると、次式に従ってY3(x,y)が生成される(出力画像のU及びV信号も同様にして生成される)。
Y3(x,y)
=K(x,y)・Y1(x,y)+(1−K(x,y))・Y2(x,y)
合焦度が比較的大きな画像部分に対しては入力画像の出力画像に対する寄与度が高くなる一方で、合焦度が比較的小さな画像部分に対しては全景ぼかし画像の出力画像に対する寄与度が高くなる。従って、上述のような全景ぼかし処理と画像合成処理にて出力画像生成処理を形成することにより、入力画像から出力画像が生成される過程において、比較的小さな合焦度を有する画像部分が比較的大きな合焦度を有する画像部分よりも大きくぼかされることになる。結果、背景被写体(建物SUB3)がぼけ、主要被写体(花SUB1や人物SUB2)が浮き立って見える“ぼけ味”のある出力画像211(図5(b)参照)を得ることができる。
尚、第1の画像処理方法を第2の画像処理方法へと変更するのと同様に、全景ぼかし部72において、入力画像に対し、全景ぼかし処理の代わりに全景輝度低減処理を行うようにしても良い。全景輝度低減処理では、合焦度マップに関係なく、入力画像の全画素のY信号の信号レベルが共通の条件にて低減される。この低減後のY信号と入力画像そのもののY信号を、上記の如く画素毎に合成比率に従って混合することで、出力画像のY信号を得ることができる(この場合、出力画像のU及びV信号は入力画像のU及びV信号と同じとされる)。全景輝度低減処理を行う場合、入力画像から出力画像が生成される過程において、比較的小さな合焦度を有する画像部分の輝度が比較的大きな合焦度を有する画像部分の輝度よりも大きく低減されることになる。
また、第1の画像処理方法を第3の画像処理方法へと変更するのと同様に、全景ぼかし部72において、入力画像に対し、全景ぼかし処理の代わりに全景彩度低減処理を行うようにしても良い。全景彩度低減処理では、合焦度マップに関係なく、入力画像の全画素のU及びV信号の信号レベルが共通の条件にて低減される。この低減後のU及びV信号と入力画像そのもののU及びV信号を、上記の如く画素毎に合成比率に従って混合することで、出力画像のU及びV信号を得ることができる(この場合、出力画像のY信号は入力画像のY信号と同じとされる)。全景彩度低減処理を行う場合、入力画像から出力画像が生成される過程において、比較的小さな合焦度を有する画像部分の彩度が比較的大きな合焦度を有する画像部分の彩度よりも大きく低減されることになる。上記の全景ぼかし処理、全景輝度低減処理及び全景彩度低減処理の内、2つ以上の処理を、図17の全景ぼかし部72にて実行するようにしても良い。
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。第4実施例では、図4の合焦度導出部51において採用することのできる合焦度の導出方法として、第1〜第4の合焦度導出方法を例示する。
――第1の合焦度導出方法――
第1の合焦度導出方法を説明する。第1の合焦度導出方法及び後述の第2の合焦度導出方法では、入力画像の画像信号が合焦度導出用情報(図4参照)として用いられている。まず、一次元のみに注目して、第1の合焦度導出方法の原理を説明する。図19(a)は、入力画像上の合焦部における典型的な輝度信号のパターンを表し、図19(b)は、入力画像上の非合焦部における典型的な輝度信号のパターンを表している。但し、図19(a)及び(b)に対応する合焦部及び非合焦部には、輝度変化の境界部分であるエッジが存在しているものとする。図19(a)及び(b)の各グラフにおいて、横軸はX軸を表し、縦軸は輝度値を表している。輝度値とは、輝度信号の値を表し、輝度信号(即ちY信号)の信号レベルと同義である。注目画素(x,y)の輝度値が増大するに伴って、注目画素(x,y)の輝度は高くなる。
図19(a)の合焦部においてエッジの中心部を注目画素と捉え、注目画素を中心とした極局所領域(例えば3画素分の幅を有する領域)内における輝度信号の最大値と最小値の差(以下、極局所領域の輝度差分値という)と、注目画素を中心とした局所領域(例えば7画素分の幅を有する領域)内における輝度信号の最大値と最小値の差(以下、局所領域の輝度差分値という)とを求めたとすると、合焦部では輝度が急峻に変化するため、(極局所領域の輝度差分値)/(局所領域の輝度差分値)は概ね1となる。
これに対し、図19(b)の非合焦部においてエッジの中心部を注目画素と捉え、上述の如く、注目画素を中心とした極局所領域の輝度差分値と、注目画素を中心とした局所領域の輝度差分値とを求めたとすると、非合焦部では輝度が緩やかに変化するため、(極局所領域の輝度差分値)/(局所領域の輝度差分値)は1よりも随分小さくなる。
第1の合焦度導出方法では、比“(極局所領域の輝度差分値)/(局所領域の輝度差分値)”が合焦部及び非合焦部間で異なるという性質を利用して、合焦度の導出を行う。
図20は、第1の合焦度導出方法に係り、合焦度の導出を行う部位のブロック図である。図20のYUV生成部61は、図15又は図17に示されるそれと同じものである。図20の符号101〜104によって参照される各部位を、図4の合焦度導出部51に設けておくことができる。
YUV生成部61から出力される入力画像のY信号は、極局所領域差分抽出部101(以下、抽出部101と略記することがある)及び局所領域差分抽出部102(以下、抽出部102と略記することがある)に送られる。抽出部101は、入力画像のY信号から、画素ごとに極局所領域の輝度差分値を抽出して出力する。抽出部102は、入力画像のY信号から、画素ごとに局所領域の輝度差分値を抽出して出力する。エッジ差分比算出部103(以下、算出部103と略記することがある)は、画素ごとに、極局所領域の輝度差分値と局所領域の輝度差分値との比または該比に準ずる値を、エッジ差分比として算出及び出力する。
図21は、入力画像のY信号から、極局所領域の輝度差分値、局所領域の輝度差分値及びエッジ差分比が求められる様子を示した図である。説明の簡略化上、7×7画素分の画像領域に着目して該算出処理を説明する。入力画像上の画素(i,j)における輝度値をaijにて表す。従って例えば、a12は入力画像上の画素(1,2)における輝度値を表す。ここで、i及びjは、整数であって、画素の水平座標値x及び垂直座標値yを表す任意の変数である。また、画素(i,j)に対して求められた、極局所領域の輝度差分値、局所領域の輝度差分値及びエッジ差分比を、夫々、bij、cij及びdijにて表す。極局所領域とは、注目画素を中心とする比較的狭い画像領域を指し、局所領域とは、注目画素を中心とする極局所領域よりも広い画像領域を指す。
図21では、例として、3×3画素から成る画像領域を極局所領域として定義し、7×7画素から成る画像領域を局所領域として定義している。従って、注目画素が画素(4,4)である場合には、3≦i≦5且つ3≦j≦5を満たす計9個の画素(i,j)にて形成される画像領域が注目画素(4,4)の極局所領域であり、1≦i≦7且つ1≦j≦7を満たす計49個の画素(i,j)にて形成される画像領域が注目画素(4,4)の局所領域である。
極局所領域差分抽出部101は、注目画素の極局所領域における輝度値の最大値及び最小値の差を、注目画素に対する極局所領域の輝度差分値として算出する。但し、極局所領域の輝度差分値bijが0以上となるように演算が成される。例えば、注目画素(4,4)の極局所領域においてa55が最大値且つa33が最小値であったならば、注目画素(4,4)に対する極局所領域の輝度差分値b44は、「b44=a55−a33」にて求められる。
局所領域差分抽出部102は、注目画素の局所領域における輝度値の最大値及び最小値の差を、注目画素に対する局所領域の輝度差分値として算出する。但し、局所領域の輝度差分値cijが0以上となるように演算が成される。例えば、注目画素(4,4)の局所領域においてa11が最大値且つa17が最小値であったならば、注目画素(4,4)に対する局所領域の輝度差分値c44は、「c44=a11−a17」にて求められる。
注目画素は、1画素単位で水平又は垂直方向にシフトされ、シフトの度に、極局所領域の輝度差分値及び局所領域の輝度差分値が算出される。この結果、最終的に、全画素に対する極局所領域の輝度差分値及び局所領域の輝度差分値が求められる。図21の例では、b11〜b77及びc11〜c77が全て求められる。
エッジ差分比算出部103は、各画素について、極局所領域の輝度差分値と局所領域の輝度差分値に所定の微小値VOFFSETを加えた値との比を、エッジ差分比として算出する。即ち、
等式「dij=bij/(cij+VOFFSET)」
に従って、画素(i,j)に対するエッジ差分比dijを求める。図21に示す如く、b11〜b77及びc11〜c77からd11〜d77が求められる。尚、VOFFSETは、上記等式の分母がゼロになることを防止するために設定された、正の値を有するオフセット値である。
拡張処理部104は、算出された各画素のエッジ差分比に基づいて、エッジ差分比の大きな領域を拡張する。この拡張を行う処理を単に拡張処理といい、該拡張処理を経たエッジ差分比を拡張エッジ差分比という。図22は、拡張処理部104の拡張処理の概念図である。図22において、折れ線411は、入力画像上の合焦部における典型的な輝度信号のパターンを表しており、折れ線412は、折れ線411にて表される輝度信号から導出されたエッジ差分比のパターンを表しており、折れ線413は、折れ線412にて表されるエッジ差分比から導出された拡張エッジ差分比のパターンを表している。
折れ線412からも明らかなように、エッジ差分比は、エッジの中心部分である地点410において極大値をとる。拡張処理部104は、地点410を中心とし且つ所定の大きさを有する画像領域を拡張対象領域として設定し、拡張対象領域に属する各画素のエッジ差分比を地点410におけるエッジ差分比に置換する。この置換を経たエッジ差分比が、拡張処理部104にて求められるべき拡張エッジ差分比である。即ち、拡張処理部104は、拡張対象領域に属する各画素のエッジ差分比を、拡張対象領域における最大のエッジ差分比にて置換する。
画素(i,j)に対する拡張エッジ差分比をdij’にて表す。図23(a)〜(h)は、図20の拡張処理部104による拡張処理を説明するための図である。図23(a)〜(d)では、エッジ差分比算出部103から出力されるエッジ差分比の内、7×7画素分のエッジ差分比d11〜d77が示されている。図23(a)等に示される例では、注目画素を中心とする3×3画素分の画像領域が拡張対象領域とされる。図23(a)、(b)、(c)及び(d)の順番に拡張処理が進行するものとする。図23(a)の状態から、注目画素及び拡張対象領域が右側、上側及び下側に一画素分だけシフトされると、夫々、図23(b)、(c)及び(d)の状態に至る。
図23(a)の状態においては、画素(4,4)が注目画素として設定される。従って、3≦i≦5且つ3≦j≦5を満たす計9個の画素(i,j)にて形成される画像領域が拡張対象領域421として設定される。今、拡張対象領域421に属する9画素についてのエッジ差分比の内、注目画素(4,4)のエッジ差分比d44が最大であったとする。この場合、拡張処理部104は、注目画素(4,4)のエッジ差分比に対して上記置換を行わず、そのまま維持する。即ち、注目画素(4,4)に対する拡張エッジ差分比d44’は、エッジ差分比d44そのものとされる。図23(e)は、図23(a)の状態に対して拡張処理を行った結果を表している。図23(e)において、黒塗り部分は、拡張処理後においてd44の拡張エッジ差分比が付与される部分を表している(後述の図23(f)、(g)及び(h)も同様)。
図23(b)の状態においては、画素(4,5)が注目画素として設定され、注目画素(4,5)に対して拡張対象領域422が設定される。今、拡張対象領域422に属する9画素についてのエッジ差分比の内、d44が最大であったとすると、拡張処理部104は、注目画素(4,5)のエッジ差分比d45をd44に置換する。即ち、d45’=d44、とされる。図23(f)は、図23(a)及び(b)の状態に対して拡張処理を行った結果を表している。
図23(c)の状態においては、画素(3,4)が注目画素として設定され、注目画素(3,4)に対して拡張対象領域423が設定される。今、拡張対象領域423に属する9画素についてのエッジ差分比の内、d44が最大であったとすると、拡張処理部104は、注目画素(3,4)のエッジ差分比d34をd44に置換する。即ち、d34’=d44、とされる。図23(g)は、図23(a)〜(c)の状態に対して拡張処理を行った結果を表している。
図23(d)の状態においては、画素(5,4)が注目画素として設定され、注目画素(5,4)に対して拡張対象領域424が設定される。今、拡張対象領域424に属する9画素についてのエッジ差分比の内、d44が最大であったとすると、拡張処理部104は、注目画素(5,4)のエッジ差分比d54をd44に置換する。即ち、d54’=d44、とされる。図23(h)は、図23(a)〜(d)の状態に対して拡張処理を行った結果を表している。
上述のような拡張処理が全画素に対して行われる。この拡張処理を用いると、エッジ部分の領域が拡張されるため、ピントの合っている被写体とピントの合っていない被写体との境界が明確になる。
拡張エッジ差分比dij’は、画素(i,j)における被写体のピントが合っていれば比較的大きくなり、そうでなければ比較的小さくなる。従って、第1の合焦度導出方法では、拡張エッジ差分比dij’を、画素(i,j)における合焦度FD(i,j)として用いる。但し、拡張処理前のエッジ差分比dijを、画素(i,j)における合焦度FD(i,j)として用いることも可能である。
――第2の合焦度導出方法――
第2の合焦度導出方法を説明する。図24は、第2の合焦度導出方法に係り、合焦度の導出を行う部位のブロック図である。図24のYUV生成部61は、図15等に示されるそれと同じものである。図24の符号111〜114によって参照される各部位を、図4の合焦度導出部51に設けておくことができる。
高域BPF111は、YUV生成部61から出力される輝度信号の内、通過帯域BANDH内の空間周波数成分を含む輝度信号を抽出して出力するバンドパスフィルタであり、低域BPF112は、YUV生成部61から出力される輝度信号の内、通過帯域BANDL内の空間周波数成分を含む輝度信号を抽出して出力するバンドパスフィルタである。高域BPF111において、通過帯域BANDH外の空間周波数成分は除去され、低域BPF112において、通過帯域BANDL外の空間周波数成分は除去される。但し、高域BPF111及び低域BPF112における除去とは、除去される対象の完全なる除去又は一部の除去を意味する。対象の一部の除去は、対象の低減とも言い換えれる。
高域BPF111における通過帯域BANDHの中心周波数は、低域BPF112における通過帯域BANDLの中心周波数よりも高い。また、通過帯域BANDHの低域側のカットオフ周波数は、通過帯域BANDLの低域側のカットオフ周波数よりも高く、通過帯域BANDHの高域側のカットオフ周波数は、通過帯域BANDLの高域側のカットオフ周波数よりも高い。
高域BPF111は、入力画像の輝度信号のみから成る濃淡画像に対して、通過帯域BANDHに応じた周波数フィルタリングを行うことにより、通過帯域BANDHに応じた周波数フィルタリング後の濃淡画像を得ることができる。低域BPF112についても同様にすることで、低域BPF112からも濃淡画像が得られる。
周波数成分比算出部113は、高域BPF111の出力値及び低域BPF112の出力値に基づき、画素ごとに周波数成分比を算出する。高域BPF111から得られる濃淡画像上の画素(i,j)の輝度値をeijにて表し、低域BPF112から得られる濃淡画像上の画素(i,j)の輝度値をfijにて表し、画素(i,j)に対する周波数成分比をgijにて表す。そうすると、周波数成分比算出部113は、
等式「gij=|eij/fij|」に従って、
画素ごとに周波数成分比を算出する。
拡張処理部114は、図20の拡張処理部104と同様の拡張処理を行う。但し、拡張処理部104がエッジ差分比dijに対して拡張処理を行うことで拡張エッジ差分比dij’を導出していたのに対し、拡張処理部114は周波数成分比gijに対して拡張処理を行うことで拡張周波数成分比gij’を導出する。拡張処理部104によるエッジ差分比から拡張エッジ差分比を導出する方法と、拡張処理部114による周波数成分比から拡張周波数成分比を導出する方法は同じである。
拡張周波数成分比gij’は、画素(i,j)における被写体のピントが合っていれば比較的大きくなり、そうでなければ比較的小さくなる。従って、第2の合焦度導出方法では、拡張周波数成分比gij’を、画素(i,j)における合焦度FD(i,j)として用いる。但し、拡張処理前の周波数成分比gijを、画素(i,j)における合焦度FD(i,j)として用いることも可能である。
尚、上述してきたように、合焦度画像は、入力画像の各部におけるピントがどの程度合っているかを表している。一方で、比較的小さな合焦度を有する画像領域内の画像に対してぼかし処理を施すこと等により出力画像が生成されるのであるから、合焦度画像は、出力画像の各部におけるぼけ具合を表しているともいえる。出力画像の各部におけるぼけ具合をより正確に表すためには、入力画像の画像信号よりも出力画像の画像信号から合焦度画像を生成した方が好ましい、とも考えることができる。出力画像の画像信号は、出力画像のぼけ状態の情報を直接的に包含しているからである。これを考慮し、以下のような方法を採用しても良い。
まず、入力画像の画像信号に基づいて第1の合焦度画像を生成し、出力画像生成部52において入力画像と第1の合焦度画像から出力画像を生成する。その後、入力画像の画像信号から第1の合焦度画像を生成する方法と同様の方法にて、出力画像の画像信号から第2の合焦度画像を生成する。第2の合焦度画像は、出力画像を生成するためのものではなく、出力画像のぼけ具合をユーザに確認させるための表示用画像として利用可能である。即ち例えば、第2の合焦度画像を図5(c)の合焦度画像212と見立てた上で、第2の合焦度画像に基づく合焦度抽出画像を、上述の第1〜第4の表示方法の何れかにて表示することができる(図10(c)及び図11〜図14参照)
――第3の合焦度導出方法――
第3の合焦度導出方法を説明する。第3の合焦度導出方法では、入力画像上の各画素における被写体の被写体距離を画素値として有する距離画像と、入力画像の撮影時における撮像部11の焦点距離と、に基づいて合焦度画像を生成する。焦点距離が分かれば、ピントが最も合う被写体距離が定まるため、ピントが最も合う被写体距離(以下、合焦距離という)に対して最も大きな合焦度(以下、単に上限合焦度という)を割り当てると共に、注目画素の被写体距離が合焦距離から離れるにつれて注目画素に対する合焦度が上限合焦度から減少するように、合焦度画像を生成すればよい。
距離画像の生成方法は任意である。例えば、撮像装置1は、入力画像上の各画素における被写体距離を測定する測距センサ(不図示)を用いて距離画像を生成することができる。測距センサとして、三角測量法に基づく測距センサ等、公知の任意の測距センサを用いることができる。
――第4の合焦度導出方法――
第4の合焦度導出方法を説明する。図4の合焦度導出部51は、ユーザの指示に基づいて合焦度画像を生成することもできる。例えば、入力画像の撮影後、入力画像を表示部15に表示している状態において、操作部17に対するユーザからの合焦度指定操作を受け付ける。或いは、表示部15にタッチパネル機能が設けられている場合においては、ユーザによるタッチパネル操作によって合焦度指定操作を受け付ける。合焦度指定操作により、入力画像上の各画素に対する合焦度が指定される。
例えば、入力画像の全画像領域の内、第1の合焦度を有するべき画像領域と、第2の合焦度を有するべき画像領域と、・・・、第nの合焦度を有するべき画像領域とを、ユーザに指定させ(nは2以上の整数)、その指定内容に従って合焦度画像を生成することができる。ここで、第1〜第nの合焦度は、互いに異なる合焦度であるとする。
<<第5実施例>>
第5実施例を説明する。上述してきた方法に従って入力画像から出力画像を生成することができるが、一旦生成した出力画像における“ぼけ”がユーザ所望のものと異なる場合、ユーザは、所望のぼけが得られるまで出力画像に修正をかけることできる。第5実施例では、この修正に関する動作を含む、出力画像の生成動作を説明する。図25は、この生成動作の流れを説明するためのフローチャートである。説明の具体化のため、入力画像として図5(a)の入力画像210が得られた場合を想定した上で、該フローチャートに沿って動作説明を行う。尚、図25に示される動作は、入力画像から出力画像を生成する機能が、前もって有効とされている場合における動作である。
まず、ステップS11において、撮像部11の撮影により入力画像210が取得される。入力画像210は、通常、操作部17に対して成された静止画像撮影指示に従って取得される。
ステップS11にて入力画像210の取得が行われた後、ステップS12において、主制御部13は、図26(a)に示されるような表示を表示部15に行わせつつ、背景ぼかしの指示がユーザにより成されているか否かを確認し、ユーザにより背景ぼかしの指示が成された場合にはステップS13に移行し、該指示が成されなかった場合には図25の処理を終了する。図26(a)に示す如く、ステップS12では、表示部15の表示画面DISP上に入力画像210と第1メッセージが表示される。第1メッセージの例は、「この画像に対して、背景ぼかし処理を行いますか?」である。ユーザへのメッセージにおける背景ぼかし処理とは、上述の出力画像生成処理のことを指す。
ステップS13では、図4の合焦度導出部51により、入力画像210に対応する合焦度画像212の生成が行われる(図5(a)及び(c)参照)。続くステップS14において、主制御部13は、表示部15を用いて合焦度画像212の表示を行う。この際、主制御部13は、図25(b)に示す如く、合焦度画像212と共に第2メッセージを表示画面DISP上に表示させる。第2メッセージの例は、「このぼかし度画像に基準に、背景ぼかし処理を行いますか?」である。ユーザへのメッセージにおけるぼかし度画像とは、合焦度画像のことを指す。
ユーザは、第2メッセージを含む映像を確認しつつ、表示画面DISP上に表示されている合焦度画像212を修正するか否かを検討し、合焦度画像212を修正する指示又は合焦度画像212を修正しない指示を操作部17に対して入力する。ステップS14に続くステップS15において、主制御部13は、合焦度画像212を修正する指示が操作部17に対して成されたか否かを確認する。合焦度画像212を修正する指示が操作部17に対して成された場合には、ステップS15からステップS17に移行する一方、合焦度画像212を修正しない指示が操作部17に対して成された場合には、ステップS15からステップS16に移行する。
ステップS16において、出力画像生成部52は、入力画像210に対する最新の合焦度画像に基づき入力画像210から出力画像を生成し、次いで、主制御部13は、表示部15に対する出力画像の表示及び記録媒体16に対する出力画像の記録を行う。合焦度画像に対する修正が1回も成されずにステップS16に至った場合においては、最新の合焦度画像は図5(c)の合焦度画像212であり、ステップS16にて生成される出力画像は、入力画像210及び合焦度画像212に基づく図5(b)の出力画像211である。合焦度画像に対する修正が成されてからステップS16に至った場合においては、ステップS16にて生成される出力画像は、入力画像210及び修正後の合焦度画像に基づく出力画像である。ステップS16においては、主制御部13及び表示部15の働きにより、図26(c)に示すような表示が成される。即ち、ステップS16にて生成された出力画像と共に第3メッセージが表示画面DISP上に表示される。第3メッセージの例は、「背景ぼかし処理が完了しました。」である。
ステップS17において、主制御部13は、ユーザによる修正指示内容を受け付ける。この受け付けは、撮像装置1に対する修正指示内容の入力をユーザが完了するまで実行され、その完了後、ステップS17からステップS13に戻る。この受け付けの際、主制御部13は、図25(d)に示す如く、合焦度画像212と共に第4メッセージを表示画面DISP上に表示させる。第4メッセージの例は、「修正して下さい。」である。ユーザによる修正指示内容の入力の方法は任意である。例えば、ユーザは、合焦度画像212上の特定領域を指定した上で、該特定領域の合焦度を自由に変更することができる。
ステップS17からステップS13に戻った場合、ステップS13では、ステップS17にて入力された修正指示内容に従って合焦度画像が再生成される。以後、再生成された合焦度画像に対してステップS14以降の処理が実行される。
このような、ユーザによる合焦度画像の修正を可能としておくことにより、ユーザは所望の出力画像を簡単に得ることが可能になる。
尚、ステップS14において、合焦度画像ではなく、入力画像210に基づく出力画像211、出力抽出画像301又は合焦度抽出画像302を表示するようにしても良いし(図5(b)、図10(b)及び(c)参照)、図12〜図14に対応する上記第2〜第4の表示方法の何れかに従う表示(例えば、入力抽出画像300と出力抽出画像301の交互表示)を表示画面DISP上に行うようにしても良い。或いは、ステップS14において、合焦度画像を表示画面DISP上に一旦表示した後、所定の拡大操作があった時に、合焦度抽出画像302を表示するようにしても良い。これらの場合、ステップS14において表示される第2メッセージも、表示画像に適応したメッセージに変更される。
また、上述の動作例では、合焦度画像に対して修正が成されているが、ユーザの修正指示内容に従い、図15の変換テーブル62又は図17の変換テーブル73におけるパラメータを修正するようにしても良い。修正対象となるパラメータに、THA〜THF、BDL、BDH、EDL、EDH、KL及びKHを含めておくことができる(図16(a)及び(b)並びに図18参照)。例えば、ユーザが出力画像における被写界深度をより浅くすることを指示した場合においては、図18のTHEを増大修正することができる。何れにせよ、一旦、出力画像の生成が成された後、ステップS15からステップS17に至ってユーザの修正指示が撮像装置1に与えられた場合は、該修正指示に従って出力画像の再生成が成されることとなる(換言すれば、一旦生成された出力画像の修正が成されることとなる)。
<<変形等>>
上述した説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態の変形例または注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈3を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
[注釈1]
上述の各実施例では、出力画像生成処理及び合焦度を導出する処理を、入力画像の画素単位で実行しているが、それらの処理を、複数の画素から成るブロック単位で行うようにしても良い。
例えば、入力画像の全画像領域を各々が3×3画素の大きさを有するブロックにて分割し、合焦度導出用情報に基づきブロックごとに合焦度を導出することで合焦度画像を生成する。そして例えば、図17の構成を採用する場合においては、生成した合焦度画像からブロックごとに合成比率を導出し、ブロックごとの合成比率に従ってブロックごとに入力画像と全景ぼかし部72からの全景ぼかし画像とを合成することで出力画像を生成するようにしても良い。
画素単位の処理とブロック単位の処理をまとめると、以下のように表現できる。入力画像等の任意の二次元画像は複数の小領域から成り、出力画像生成処理及び合焦度を導出する処理は、小領域を単位にして小領域ごとに実行することができる。ここで、小領域は、1つの画素のみから成る画像領域(この場合、小領域は画素そのものである)、又は、複数の画素から成る上記ブロックである。
[注釈2]
上述の実施形態では、画像再生装置とも言うべき画像処理/再生部50が撮像装置1内に設けられていることを想定したが(図1及び図4参照)、画像処理/再生部50は、撮像装置1と異なる電子機器(不図示)に搭載されていてもよい。電子機器には、テレビ受信機のような表示装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話機などが含まれ、撮像装置も電子機器の一種である。撮像装置1における撮影によって得られた入力画像の画像信号を、記録媒体16を介して又は通信によって上記電子機器に伝達するようにすれば、当該電子機器内の画像処理/再生部50において入力画像から出力画像を生成することが可能である。この際、合焦度導出用情報が入力画像の画像信号と異なる場合には、合焦度導出用情報も併せて上記電子機器に伝達すればよい。当該電子機器に表示部15と同等の表示部が設けられておれば、表示部15にて表示される画像と同様の画像を当該電子機器の表示部上において表示することが可能である。
[注釈3]
図1の撮像装置1を、ハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。ソフトウェアを用いて撮像装置1を構成する場合、ソフトウェアにて実現される部位についてのブロック図は、その部位の機能ブロック図を表すことになる。ソフトウェアを用いて実現される機能をプログラムとして記述し、該プログラムをプログラム実行装置(例えばコンピュータ)上で実行することによって、その機能を実現するようにしてもよい。