以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
本実施の形態においては、撮像装置の一例としてデジタルスチルカメラを説明する。なお、撮像装置は、デジタルスチルカメラに限られず、長時間露光機能を有した装置であれば、例えば、ビデオカメラ、携帯電話機等であってもよい。
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるデジタルスチルカメラの構成の概略を示すブロック図である。図1を参照して、デジタルスチルカメラ1は、デジタルスチルカメラ1の全体を制御する制御部11と、フォーカスレンズおよびズームレンズを含む複数のレンズで構成されるレンズ群13と、レンズ群13を駆動するレンズ駆動部15と、手振れ補正ユニット17と、イメージセンサ19と、液晶表示装置(LCD)23と、コーデック(CODEC)21と、画像処理する信号処理回路22と、制御部11が実行するためのプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)25と、制御部11の作業領域として用いられるSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)27と、メモリカード29Aが装着されるカードインターフェース(I/F)29と、ジャイロセンサ33と、ユーザの操作を受け付ける操作部35と、デジタルスチルカメラ1の全体に電力を供給するバッテリ41と、を含む。
レンズ群13は、デジタルスチルカメラ1本体の前面に設けられ、LCD23は、レンズ群13が設けられる面とは反対のデジタルスチルカメラ1の背面に設けられる。レンズ群13は、レンズ駆動部15により制御される。レンズ群13は、デジタルスチルカメラ1が駆動していないときは、本体内部に収納されている。レンズ駆動部15は、起動時の初期化処理において、レンズ群13を本体外部に突出させる。さらに、レンズ群13は、ズームレンズを調整するズーム機構を有し、レンズ駆動部15は、起動時の初期化処理において、レンズ群13のズーム量を定めるために、レンズ群13のズームレンズを基準位置に配置させる。
イメージセンサ19は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の光電変換素子であり、その結像面がレンズ群13の光軸に対して垂直となる。イメージセンサ19は、レンズ群13を介して結像面に結像する被写体の光学画像を光電変換し、画像データを制御部11に出力する。制御部11は、イメージセンサ19から出力される画像データを受け付け、画像データをSDRAM27に記憶する。ここでの画像データは、例えば、1画素がR(赤)G(緑)B(青)で構成されるビットマップ形式のデータである。なお、イメージセンサ19は、CMOSイメージセンサに限定されるものではなく、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いてもよい。この場合、CCDイメージセンサは、アナログの信号を出力するので、アナログ/デジタル変換器によってCCDイメージセンサが出力するアナログの信号をデジタルの画像データに変換すればよい。なお、ここでは、光電変換素子としてのCMOSイメージセンサが出力するデジタルの画像データ、CCDイメージセンサが出力するアナログの信号を、総称して画像信号という。
イメージセンサ19は、制御部11により制御され、光電変換する時間が制御される。具体的には、制御部11は、イメージセンサ19に光電変換を開始させる場合、レンズ群13とイメージセンサ19との間に設けられたシャッタを開放する。これにより、イメージセンサ19が光電変換を開始する。制御部11は、光電変換させる時間が経過すると、シャッタと閉じ、イメージセンサ19に画像データを出力させる。制御部11は、長時間露光機能で撮像する場合、ユーザにより操作部35に入力された時間の間、シャッタを開放する。これにより、イメージセンサ19は、ユーザにより操作部35に入力された時間の間光電変換する。
イメージセンサ19は、動画像を撮像する場合、所定の時間間隔で1フレームの画像データを出力する。フレームとは、動画像を構成する単位であり、1フレームは1枚の画像を意味する。また、フレームはフィールドに置き換えることができる。所定の時間間隔とは、フレームレートが5FPSであれば、1/5秒である。
信号処理回路22は、SDRAM27に記憶された画像データを読み出し、画像データに対して種々の信号処理を施し、輝度信号と色差信号とで表される表色系のYUV形式に変換する。信号処理回路22は、YUV形式の画像データをSDRAM27に記憶する。
制御部11は、SDRAM27に記憶されたYUV形式の画像データからRGB信号を生成し、LCD23に出力する。これにより、LCD23にイメージセンサ19が被写体を撮像して出力する画像が表示される。なお、LCD23に代えて、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイを用いてもよい。
コーデック21は、制御部11により制御され、SDRAM27に記憶されたYUV形式の画像データを読出し、圧縮符合化し、画像データを圧縮符号化した符号化データをSDRAM27に記憶する。ここでは、画像データをJPEG方式で圧縮符号化する。なお、コーデック21は、動画像を記憶する場合、MPEG(Moving Picture Experts Group)圧縮方式で、複数のフレームを圧縮符号化する。この場合には、GOP(Group of Picture)単位で圧縮符号化された符号化データがSDRAM21に記憶される。
ジャイロセンサ33は、デジタルスチルカメラ1の本体が回転する際の角速度を検出する。ここでは、水平方向をX軸、垂直方向をY軸、レンズの光軸をZ軸とすると、ジャイロセンサ33は、Y軸を中心とする回転方向(ヨー方向)の角速度と、X軸を中心とする回転方向(ピッチ方向)の角速度を検出し、ヨー方向およびピッチ方向それぞれの角速度を制御部11に出力する。制御部11においては、ヨー方向の角速度からX軸方向の本体の移動量を算出し、ピッチ方向の角速度からY軸方向の本体の移動量を算出する。
手振れ補正ユニット17は、イメージセンサ19を移動させ、イメージセンサ19の結像面に結像した光学画像のぶれを最小にする。このため、手振れ補正ユニット17は、イメージセンサ19の結像面に平行で互いに交わる2方向にイメージセンサ19を移動させるために、2方向それぞれに対応する駆動部を含む。ここでは、2方向を、互いに直角に交わる水平方向(X軸方向)と垂直方向(Y軸方向)としている。イメージセンサ19の結像面は、レンズ群13の光軸に垂直な面である。手振れ補正ユニット17によって、イメージセンサ19の結像面に平行で互いに交わる2方向にイメージセンサ19が移動するので、イメージセンサ19の結像面は、レンズ群13の光軸に垂直な状態が維持される。
手振れ補正ユニット17は、操作部35に含まれるシャッタボタン35Aが全押しされる前の段階で、イメージセンサ19を基準位置に移動させる。イメージセンサ19の基準位置は、イメージセンサ19が垂直および水平の2方向それぞれにおいて移動可能な範囲の中心である。イメージセンサ19が基準位置に位置するとき、レンズ群13の光軸がイメージセンサ19の中心となる。なお、基準位置は、任意に定めることができる。
手振れ補正ユニット17は、操作部35に含まれるシャッタボタン35Aが全押しされると、イメージセンサ19に結像する光学画像が、デジタルスチルカメラ1本体が移動しても同じ位置に結像するように、イメージセンサ19を移動させる。換言すれば、イメージセンサ19が光電変換している間にイメージセンサ19の結像面に結像する光学画像が、シャッタボタン35Aが全押しされてイメージセンサ19が光電変換を開始したときに結像面に結像する光学画像と同じになるようにイメージセンサ19を移動させる。具体的には、ジャイロセンサ33により検出されるヨー方向およびピッチ方向の角速度に基づいて、イメージセンサ19の結像面に平行な方向および補正量を決定し、イメージセンサ19を移動させる。手振れ補正ユニット17は、水平方向(X軸方向)と垂直方向(Y軸方向)それぞれの補正量を制御部11に出力する。
なお、イメージセンサ19を回転させるための駆動部を追加して、イメージセンサ19を平行移動させるのに加えて、回転移動させるようにしてもよい。この場合には、補正指示は、回転方向と回転角度とをさらに含む。さらに、イメージセンサ19を、レンズ群13の光軸と平行に移動させるための駆動を新たに追加して、イメージセンサ19をレンズ群13の光軸と平行に移動させるようにしてもよい。この場合には、デジタルスチルカメラ1と被写体との間の距離が、手振れにより変化した場合であっても、レンズ群13の焦点のずれを極力小さくすることができる。
さらに、手振れ補正ユニット17が、イメージセンサ19を移動させるのに代えて、またはこれに加えて、レンズ群13のフォーカスレンズを移動させるようにしてもよいし、レンズ群13とイメージセンサ19との間の光路に設けられるミラーを移動させるようにしてもよい。
カードI/F29は、不揮発性メモリを備えたメモリカード29Aが装着される。制御部11は、カードI/F29を介して、メモリカード29Aにアクセス可能であり、SDRAM27に記憶された符号化データをメモリカード29Aに記憶する。
制御部11は、ROM25に記憶された撮像プログラムを実行することにより、デジタルスチルカメラ1による長時間露光機能を実現する。ここで、長時間露光機能は、ユーザにより設定された時間の間、レンズ群13のシャッタを開放し、その間にイメージセンサ19が光電変換し、出力する画像データを表示したり、または画像データを記録したりする等の出力する機能である。
なお、撮像プログラムをROM25に記憶する例を説明するが、ROM25に限られず、メモリカード29Aに記憶された撮像プログラムを実行するようにしても良い。さらに、撮像プログラムを記憶する記録媒体としては、メモリカード29Aに限られず、磁気テープ、フレキシブルディスク、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)/MO(Magnetic Optical Disc/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード(メモリカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electronically EPROM)などであってもよい。
バッテリ41は、一次電池または二次電池であり、デジタルスチルカメラ1の全体に電力を供給する。制御部11は、バッテリ41の出力電圧V1を検出し、バッテリ41の残容量を算出する。バッテリ41は、デジタルスチルカメラ1本体に着脱可能であってもよい。
操作部35は、撮像を開始する指示を受け付けるためのシャッタボタン35Aを含む複数のキーを含み、ユーザの操作を受け付ける。また、操作部35は、LCD23上に重畳されたタッチパネルを含むようにしてもよい。
図2は、制御部が有する機能の一例を示す機能ブロック図である。図2に示す機能は、制御部11が撮像プログラムを実行することにより、制御部11に実現される。なお、制御部11に代えて、図2に示した機能を回路で実現するようにしてもよい。
図2を参照して、制御部11は、撮像時間を設定する撮像時間設定部51と、レンズ駆動部15およびイメージセンサ19を制御する撮像制御部53と、手振れ補正ユニット17を制御する補正制御部55と、手振れ方向および距離を検出する振れ検出部57と、本体の変位を通知する通知部59と、強制出力部61と、画像データを補正する画像補正部63と、画像データを出力する画像出力制御部65と、を含む。
撮像時間設定部51は、LCD23に、撮像時間を入力するための領域を含む長時間露光設定画面を表示し、ユーザが操作部35に撮像時間を入力すると、操作部35から入力された撮像時間を受け付ける。撮像時間設定部51は、受け付けられた撮像時間を撮像制御部53および画像補正部63に出力する。なお、撮像時間設定部51は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)などの不揮発性のメモリにデフォルトの撮像時間を記憶しており、操作部35に新たな撮像時間が受け付けられる場合に、デフォルトの撮像時間を新たに受け付けられた撮像時間で更新するようにしてもよい。この場合、撮像時間設定部51は、EEPROMから撮像時間を読み出して、撮像制御部53に出力する。これによれば、ユーザは、長時間露機能を有効にするごとに撮像時間を設定する必要がない。
撮像制御部53は、撮像時間設定部51から撮像時間が入力され、レンズ駆動部15およびイメージセンサ19を制御して、イメージセンサ19に撮像時間だけ光電変換(露光)させ、イメージセンサ19が出力する画像データを取得する。具体的には、操作部35に含まれるシャッタボタン35Aが半押しされると、イメージセンサ19に所定時間間隔で画像データを出力させ、取得される画像データのコントラストが高くなるようにレンズ駆動部15を制御して、レンズ群13のフォーカスレンズを調整する、いわゆるオートフォーカス機能によりフォーカスを合せる。そして、撮像制御部53は、シャッタボタン35Aが全押しされると、フォーカスレンズを固定してシャッタを開放することによってイメージセンサ19による光電変換を開始させる。なお、オートフォーカス機能の方式は、これに限定されることなく、他の方式を用いるようにしてもよい。特に、赤外線センサまたは超音波センサ等を用いて被写体までの距離を測定することによりフォーカスを合せる、いわゆるアクティブ方式のオートフォーカス機能を用いる場合、撮像時間の間フォーカスを固定することなく、測定された距離に基づいてフォーカスレンズの調整を継続する。これにより、撮像時間の間、オートフォーカスが継続されるので、レンズ群13を被写体に合焦させることができるので、イメージセンサ19に結像する光学画像が極力ぼけないようにすることができる。
そして、撮像制御部53は、後述する強制出力部61から強制出力指示が入力されることなく撮像時間が経過すると、イメージセンサ19に画像データを出力させ、イメージセンサ19が出力する画像信号を取得する。イメージセンサ19に撮像時間の間光電変換させる場合、イメージセンサ19から取得した画像データを画像出力制御部65に出力する。
また、撮像制御部53は、イメージセンサ19に光電変換を開始させてから後述する強制出力部61から強制出力指示が入力されると、撮像時間が経過する前であってもイメージセンサ19に画像データを強制的に出力させ、イメージセンサ19が出力する画像データを取得する。撮像制御部53は、強制出力部61から強制出力指示が入力される場合、イメージセンサ19から取得した画像データを強制出力部61に出力するとともに、イメージセンサ19に光電変換を開始させてから強制出力指示が入力されるまでの時間を光電変換時間として強制出力部61に出力する。
振れ検出部57は、ジャイロセンサ33が出力するヨー方向およびピッチ方向の角速度を受け付ける。振れ検出部57は、ヨー方向およびピッチ方向の角速度を補正制御部55に出力する。
補正制御部55は、振れ検出部57から受け付けられるヨー方向およびピッチ方向の角速度を手ぶれ補正ユニット17に出力する。上述したように、手振れ補正ユニット17は、受け付けられたヨー方向およびピッチ方向の角速度に基づいて、イメージセンサ19を基準位置から水平方向(X軸方向)および垂直方向(Y軸方向)それぞれの補正量だけ移動させるとともに、水平方向(X軸方向)および垂直方向(Y軸方向)それぞれの補正量を制御部11に出力する。補正制御部55は、手振れ補正ユニット17が出力するイメージセンサ19を移動させた水平方向(X軸方向)および垂直方向(Y軸方向)それぞれの補正量を取得する。補正制御部55は、手振れ補正ユニット17から取得された水平方向(X軸方向)および垂直方向(Y軸方向)それぞれの補正量を通知部59に出力する。
また、補正制御部55は、手振れ補正ユニット17から取得された水平方向(X軸方向)および垂直方向(Y軸方向)の補正量の少なくとも一方が、手振れ補正ユニット17が補正可能な範囲を超える場合、エラー信号を強制出力部61および通知部59に出力する。
通知部59は、補正制御部55から入力される手振れ補正ユニット17による補正量に基づいて、ユーザが操作部35に含まれるシャッタボタン35Aを押下してからのデジタルスチルカメラ1の変位を算出し、算出された変位をユーザに通知する。具体的には、手振れ補正ユニット17は、デジタルスチルカメラ1の移動を打ち消すようにイメージセンサ19を移動させるので、手振れ補正ユニット17による垂直方向および水平方向それぞれの補正量は、デジタルスチルカメラ1の変位と方向が逆である。このため、補正制御部55から入力される垂直方向および水平方向それぞれの補正量の符号を逆にした値をデジタルスチルカメラ1の変位とする。具体的には、ユーザがシャッタボタン35Aを押下した時点のデジタルスチルカメラ1の位置を基準位置とし、その基準位置から変位した位置を相対位置として含む通知画面をLCD23に表示する。シャッタボタン35Aを押下した時点において、イメージセンサ19は基準位置にあるので、デジタルスチルカメラ1の基準位置にあるときは、イメージセンサ19も基準位置にある。
通知部59は、ユーザが操作部に含まれるシャッタボタン35Aを押下してからのデジタルスチルカメラ1の変位を、基準位置と相対位置とで表示するので、ユーザは、表示される変位ができるだけ小さくなるように、換言すれば、相対位置が基準位置と重なるようにデジタルスチルカメラ1を保持するように努めることができる。
通知部59は、さらに、手振れ補正ユニット17が補正可能な範囲を含む通知画面を表示する。通知部59は、ユーザが操作部35に含まれるシャッタボタン35Aを押下してからの撮像時間が経過するまでの間に通知画面を表示する。このため、通知画面は、ブルースクリーンや全体が黒信号の画像に補正可能範囲を重畳した画像である。なお、通知部59を、グラフィックジェネレータで実現するようにしてもよい。手振れ補正ユニット17の補正可能範囲は、基準位置からの垂直方向および水平方向それぞれの距離によって予め定められる。通知画面が、手振れ補正ユニット17が補正可能な範囲を含むので、通知画面を見るユーザは、相対位置が補正可能範囲内に位置するようにデジタルスチルカメラ1を保持すれば、手振れ補正ユニット17による補正を有効に働かせることができる。
通知部59は、補正制御部55からエラー信号が入力されると、エラーメッセージをLCD23に表示する。エラーメッセージは、手振れ補正ユニット17の補正可能範囲を超えたことを示すメッセージであり、例えば「手振れが大きすぎて補正できません。撮像を中断します。」のメッセージを含む。
強制出力部61は、補正制御部55からエラー信号が入力されると、撮像制御部53に中断指示を出力する。撮像制御部53は、強制出力部61から強制出力指示が入力されると、イメージセンサ19から画像データを取得し、取得した画像データを強制出力部61に出力する。強制出力部61に入力される画像データは、イメージセンサ19が、ユーザが操作部35に含まれるシャッタボタン35Aを押下してから撮像時間が経過する前であって、手振れ補正ユニット17が補正できなくなったときまでに光電変換して出力する画像データである。したがって、イメージセンサ19による光電変換時間(露光時間)は、撮像時間より短い時間である。強制出力部61は、入力される画像データを画像補正部63に出力する。
画像補正部63は、撮像時間設定部51から撮像時間が入力され、強制出力部61から画像データと光電変換時間とが入力される。画像補正部63は、画像データを、撮像時間と光電変換時間とに基づいて補正する。画像データは、イメージセンサ19により光電変換時間だけ光電変換されて出力される画像データである。このため、画像補正部63は、撮像時間まで光電変換されて出力される画像データに近くなるように、撮像時間と光電変換時間とを用いて所定の規則にしたがって、画像データを補正する。例えば、撮像時間と光電変換時間とから定まる係数を撮像時間を光電変換時間で除算した値とし、画像データ中で所定の値以上の輝度の画素について、輝度を係数倍する。画像補正部63は、補正後の画像データを画像出力制御部65に出力する。
画像出力制御部65は、撮像制御部53または画像補正部63から画像データが入力される。画像出力制御部65は、入力される画像データを、LCD23に表示する。また、ユーザが操作部35に含まれる記録を指示するためのボタンが指示されると、画像データに所定のファイル名を付して、メモリカード29Aに記憶する。
図3は、通知画面の一例を示す図である。図3を参照して、通知画面101は、ブルースクリーンまたは全体が黒信号の画像に、撮像中であることを示す「Caputure」の文字列103と、基準位置を示す印105と、相対位置を示す印106と、補正範囲を示す枠107と、変位の水平方向の値を示す領域108と、変位の垂直方向の値を示す領域109と、を重畳した画像である。通知画面101は、デジタルスチルカメラ1がグラフィックジェネレータを備える場合には、グラフィックジェネレータにより生成される。
通知画面101において、基準位置を示す印105から相対位置を示す印106に向かうベクトルが変位を示す。領域108には、変位の水平方向の移動距離が表示され、通知画面に向かって右方向を正の方向としている。領域109には、変位の垂直方向の移動距離が表示され、通知画面に向かって上方向を正の方向としている。枠107は、手振れ補正ユニット17が補正可能な範囲を示す。通知画面101において、基準位置を示す印105は通知画面の中心に固定されるが、相対位置を示す印106は、デジタルスチルカメラ1が移動することによって通知画面中を移動する。相対位置を示す印106が通知画面中を移動する方向は、デジタルスチルカメラ1が移動する方向と同じである。
ユーザが通知画面101を見ながら、相対位置を示す印106が枠107内に位置するようにデジタルスチルカメラ1を保持すれば、手振れ補正ユニット17による補正が有効に働くので、イメージセンサ19が出力する画像データが手振れの影響を受けない画像を出力することができる。
図4は、長時間露光撮像処理の流れの一例を示すフローチャートである。長時間露光撮像処理は、制御部11がROM25に記憶された撮像プログラムを実行することにより、制御部11により実行される処理である。図4を参照して、制御部11は、長時間露光モードに設定されたか否かを判断する(ステップS01)。LCD23にメニュー画面を表示し、メニュー画面においてユーザが操作部35で長時間露光モードに設定を指示すれば、長時間露光モードに設定される。長時間露光モードに設定されるまで待機状態となり(ステップS01でNO)、長時間露光モードに設定されたならば処理をステップS02に進める。すなわち、ステップS02以降の処理は、ユーザにより長時間露光モードに設定されることを条件に実行される処理である。
ステップS02においては、撮像時間を受け付ける。LCD23に、長時間露光設定画面を表示し、ユーザが操作部35を操作して入力する撮像時間を受け付ける。次のステップS03においては、操作部35に含まれるシャッタボタン35Aが押下されたか否かを判断する。シャッタボタン35Aが押下されるまで待機状態となり(ステップS03でNO)、シャッタボタン35Aが押下されると(ステップS03でYES)、処理をステップS04に進める。なお、ここではシャッタボタン35Aの押下は、シャッタボタン35Aの全押しを示し、全押しされる前にシャッタボタン35Aが半押しされた場合に、レンズ群13のフォーカスレンズを調整するオートフォーカス等の処理が実行される。
ステップS04においては、撮像を開始する。具体的には、イメージセンサ19を制御して、光電変換を開始させるとともに、手ぶれ補正ユニット17を制御して、イメージセンサ19を基準位置に移動させる。次のステップS05においては、タイマをスタートさせる。タイマは、イメージセンサ19が光電変換を開始してからの時間を計時する。
次のステップS06においては、手振れ補正ユニット17による補正量を取得する。ジャイロセンサ33から得られるヨー方向(Z軸方向)およびピッチ方向(X軸方向)の角速度を用いて、手振れ補正ユニット17に出力するための水平方向(X軸方向)および垂直方向(Y軸方向)それぞれの補正量を算出する。次のステップS07においては、基準位置からの相対位置を決定する。相対位置は、基準位置から水平方向および垂直方向に、それぞれに対応する補正量だけ離れた位置である。
ステップS08においては、相対位置が手振れ補正ユニット17で補正可能な範囲内か否かを判断する。補正可能範囲内ならば処理をステップS09に進めるが、そうでなければ処理をステップS12に進める。ステップS09においては、基準位置と相対位置とを含む通知画面を生成し、通知画面をLCD23に表示する。
ステップS10においては、タイマ値がステップS02において受け付けられた撮像時間と等しくなったか否かを判断する。タイマ値が撮像時間と等しいならば処理をステップS11に進めるが、そうでなければ処理をステップS06に戻し、ステップS06〜ステップS09の処理を繰り返す。したがって、ユーザがシャッタボタン35Aを押下してから撮像時間が経過するまで、手振れ補正ユニット17による手振れ補正と、イメージセンサ19による光電変換が継続する。さらに、その間、基準位置と相対位置との関係を示す通知画面がLCD23に表示される。このため、ユーザは、相対位置が基準位置から離れないようにデジタルスチルカメラ1を保持するよう努めることができ、その結果、手振れ補正ユニット17による手振れ補正が可能な範囲内にデジタルスチルカメラ1が保持され、イメージセンサ19により適切に光電変換される。
ステップS11においては、イメージセンサ19に画像データを出力させ、イメージセンサ19が出力する画像データを取得し、処理をステップS16に進める。ステップS16においては、取得された画像データを、出力する。具体的には、画像データの画像をLCD23に表示する。さらに、ユーザからの指示があれば、画像データをメモリカード29Aに記憶する。
一方、ステップS12においては、タイマをストップし、処理をステップS13に進める。この段階におけるタイマ値は、イメージセンサ19が実際に光電変換した光電変換時間である。ステップS13においては、ステップS11と同様に、イメージセンサ19が出力する画像データを取得し、処理をステップS14に進める。ステップS14においては、画像データを、ステップS02において受け付けられた撮像時間とタイマ値である光電変換時間とに基づいて補正する。画像データの輝度を向上させる等の画像処理を実行する。そして、次のステップS15においては、エラーメッセージをLCD23に表示する。例えば、「手振れが大きすぎて補正できません。撮像を中断します。」のエラーメッセージを表示する。そして、ユーザが、操作部35に含まれ、エラーメッセージを確認したことを示すボタンを押下すれば、処理をステップS16に進める。
ステップS16においては、処理がステップS15から進む場合、ステップS15において補正された後の画像データを出力する。
なお、上述した実施の形態においては、制御部11から手振れ補正ユニット17に補正指示を出力する場合を例に示したが、手振れ補正ユニット17がジャイロセンサ33から角速度を取得し、手振れ補正ユニット17が補正量を定めるようにしてもよい。この場合には、図2に示した振れ検出部57および補正制御部55の機能は、手振れ補正ユニット17が備え、制御部11は、手振れ補正ユニット17から補正量、換言すれば、イメージセンサ19が基準位置から変位した相対位置を取得する。
上述した実施の形態におけるデジタルスチルカメラ1は、手振れ補正ユニット17による補正量に基づいてデジタルスチルカメラ1の変位を算出し、通知画面でその変位を表示したが、ジャイロセンサ33から取得される角加速度に基づいて、デジタルスチルカメラ1の変位を算出するようにしてもよい。この場合には、ユーザが操作部35に含まれるシャッタボタン35Aを押下してからの変位を算出する。
また、手振れ補正ユニット17による手振れ補正を、ユーザが操作部35に含まれるシャッタボタン35Aを押下してから開始するようにすれば、デジタルスチルカメラ1の変位から、手ぶれ補正ユニット17による補正が、補正可能な範囲を超えたか否かを判断することができる。また、手振れ補正ユニット17による手振れ補正を、ユーザが操作部35に含まれるシャッタボタン35Aを押下する前から開始する場合には、手ぶれ補正ユニット17による手ぶれ補正が開示された時点からデジタルスチルカメラ1の変位を算出するようにすれば、算出された変位から手振れ補正ユニット17の補正量を算出することができるので、補正範囲を超えたか否かを判断することができる。
<第1の変形例>
なお、本実施の形態においては、手振れ補正ユニット17が、イメージセンサ19をレンズ群13の光軸に垂直な面と平行に平行移動させることにより手振れ補正する場合を例に示したが、レンズ群13の光軸(Z軸)を中心に回転する方向(ロール方向)の角速度を検出するようにし、イメージセンサ19に対するレンズ群13の光軸を中心に回転させることにより手振れ補正するようにしても良い。この場合には、通知画面は、デジタルスチルカメラ1が回転する角度を変位として表示する。
ここで、図3を参照して、通知画面101に含まれる相対位置を示す印106は、○印の中に十字の図形を含む。この十字の図形をデジタルスチルカメラ1の変位であるロール方向の回転角度と同じ角度だけ回転させて表示する。これにより、ユーザは、デジタルスチルカメラ1の回転する変位を知ることができるので、回転を元に戻すようにデジタルスチルカメラ1を保持するよう努めることができる。
また、通知画面に含まれる基準位置と相対位置とを、間の距離が一定の2以上の印として、2以上の印の傾きによってヨー方向の回転を表現するようにしてもよい。図5は、第1の変形例における通知画面の一例を示す図である。図5を参照して、通知画面111は、図3に示した通知画面101と異なり、基準位置を互いの距離が同じ2つの丸印105Aで示し、相対位置を互いの距離が同じ2つの丸印106Aと、変位の回転方向の値を示す領域110と、を含む。基準位置を示す2つの丸印105Aを結ぶ線が水平なのに対して、相対位置を示す2つの丸印106Aを結ぶ線は、右下がりである。このため、時計回りにデジタルスチルカメラ1が回転していることが示される。なお、基準位置を示す2つの丸印105Aおよび相対位置を示す2つの丸印106Aそれぞれを、2つの印の組ではなく、線分で示しても良い。
<第2の変形例>
さらに、レンズ群13の光軸(Z軸)に平行な方向の加速度を検出するセンサを設け、イメージセンサ19をレンズ群13の光軸と平行に移動させることにより手振れ補正するようにしても良い。この場合には、通知画面は、デジタルスチルカメラ1が前後方向(Z軸方向)に移動する距離を変位として表示する。
図6は、第2の変形例における通知画面の一例を示す図である。図6を参照して、通知画面121は、図5に示した通知画面111に、レンズ群13の光軸と平行な方向(Z軸方向)の補正範囲を示すゲージ127と、Z軸方向の基準位置を示す印123と、Z軸方向の相対位置を示す印125と、Z軸方向の変位の値を示す領域129とを含む。ゲージ127は、通知画面121に向かって左側が被写体方向(前方向)を示し、右側が被写体から離れる方向(後ろ方向)を示す。図6においては、Z軸方向の相対位置を示す印125がZ軸方向の基準位置を示す印123よりも左側にあるので、デジタルスチルカメラ1が被写体に近づく方向に変位していることが示される。
なお、ゲージ127と、Z軸方向の基準位置を示す印123と、Z軸方向の相対位置を示す印125と、Z軸方向の変位の値を示す領域129に代えて、相対位置を示す印106Aのサイズを異ならせるようにして、Z軸方向の変位を示すようにしてもよい。Z軸方向の変位が0ならばZ軸方向の基準位置を示す印105Aと、Z軸方向の相対位置を示す印106Aのサイズを同じにし、Z軸方向の変位が被写体に近づくにつれてZ軸方向の相対位置を示す印106Aのサイズを大きくし、Z軸方向の変位が被写体から遠ざかるにつれてZ軸方向の相対位置を示す印106Aのサイズを小さくする。
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態においては、手振れ補正ユニット17の補正量に基づいて、デジタルスチルカメラ1の変位を算出するようにした。第2の実施の形態におけるデジタルスチルカメラ1は、ジャイロセンサ33の出力に基づいて、デジタルスチルカメラ1の変位を算出するようにした点で、第1の実施の形態におけるデジタルスチルカメラ1と異なる。以下、第1の実施の形態におけるデジタルスチルカメラ1と異なる点を主に説明する。
第2の実施の形態におけるデジタルスチルカメラ1の構成は、図1に示したブロック図で示されるのと同じであり、制御部11が有する機能は図2に示されるのと同じである。ただし、図2を参照して、第2の実施の形態におけるデジタルスチルカメラ1の制御部11が有する振れ検出部57は、ジャイロセンサ33が出力するヨー方向およびピッチ方向の角速度を受け付け、ヨー方向およびピッチ方向の角速度に基づいて、操作部35に含まれるシャッタボタン35Aが全押しされた時点におけるデジタルスチルカメラ1の位置からの変位を算出する。変位は、レンズ群13の光軸に垂直な面に平行な方向および移動距離を含む。ここでは、変位は、互いに直角に交わる垂直方向(Y軸方向)および水平方向(X軸方向)それぞれの移動距離を含み、垂直方向および水平方向それぞれの移動距離によって方向が定まる。振れ検出部57は、操作部35に含まれるシャッタボタン35Aが全押しされてからの変位を積算し、積算された変位を補正制御部55に出力する。
補正制御部55は、振れ検出部57から入力される変位、換言すれば、垂直方向(Y軸方向)および水平方向(X軸方向)それぞれの移動距離が、手振れ補正ユニット17による補正が可能な範囲か否かを判断する。補正制御部55は、振れ検出部57から入力される変位が、手振れ補正ユニット17による補正が可能な範囲を超える場合、エラー信号を強制出力部61および通知部59に出力する。
以上説明したように本実施の形態におけるデジタルスチルカメラ1によれば、デジタルスチルカメラ1本体の振れがジャイロセンサ33により検出され、イメージセンサ19が光電変換している間、デジタルスチルカメラ1本体の変位が通知される。このため、光電変換中におけるデジタルスチルカメラ1本体の変位が通知されるので、ユーザはデジタルスチルカメラ1本体の変位を知ることができ、デジタルスチルカメラ1ができるだけ移動しないように保持することができる。
また、手振れ補正ユニット17によって、本体の振れに基づいて、イメージセンサ19に結像する画像が同じになるようにイメージセンサ19が水平方向(X軸方向)および垂直方向(Y軸方向)に移動される。手振れ補正ユニット17による補正量に基づきデジタルスチルカメラ1本体の変位を算出するので、本体の変位を算出する必要がなく、負荷を低減することができる。
また、デジタルスチルカメラ1本体の変位を、シャッタボタン35Aが押下された時点における基準位置からの相対位置として表示する通知画面をLCD23に表示する。このため、イメージセンサ19が画像を出力することができない期間に、通知画面を表示するので、LCD23に何も表示されない期間を短くして、LCD23を有効に利用することができる。
また、デジタルスチルカメラ1本体の変位が手振れ補正ユニット17により補正可能な範囲を超える場合、イメージセンサ19によってそれまでに光電変換された画像データを出力させる。このため、手振れ補正ユニット17により補正可能な範囲内で光電変換して得られる画像データが出力されるので、画像データを有効に活用することができる。
また、設定された撮像時間に満たない時間で光電変換して得られる画像データを補正するので、撮像時間まで光電変換して得られる画像データに可能な限り類似する画像データを出力することができる。
なお、上述した実施の形態においては撮像装置の一例としてデジタルスチルカメラ1を説明したが、図4に示した長時間露光撮像処理を実行するための撮像方法およびその撮像方法をコンピュータに実行させるための撮像プログラムとして発明を捉えることができるのはいうまでもない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<付記>
(1) 前記本体の変位は、本体の移動方向および移動距離を含む、請求項2に記載の撮像装置。
(2) 前記本体の変位は、本体の回転方向および回転量をさらに含む、(1)に記載の撮像装置。
(3) 前記補正量は、前記補正手段により変更された後の前記レンズ光軸の前記光電変換手段に対する位置と前記光電変換手段に対して予め定められた前記レンズ光軸の基準位置との相対的な位置関係を示す、請求項3に記載の撮像装置。
(4) 前記通知手段は、前記補正手段による補正限界をさらに通知する、請求項1〜6のいずれかに記載の撮像装置。