上述の従来技術では、無線システムに、PHS(Personal Handyphone System)のトランシーバモードが用いられている。したがって、データ伝送容量が小さく、検針の密度を上げたり、送信すべき情報を増加させたり(ダイアグ情報や負荷情報)、収容端末数を増加させたりするのに制限が生じる。また、ホスト装置から各端末までホップの経路が定まっており、経路途中の端末の故障などに弱いという問題もある。
一方、近年の無線通信技術の進歩に伴い、前記無線システムに無線LANを用いることが非常に有望である。それによれば、汎用のチップを使用して、極めて安価にシステムを構成することができるとともに、データ伝送容量が大きく、また障害時は迂回ルートを自動的に探索する等の多くの特徴を持たせることができる。
しかしながら、前記PHSの場合、予め設定された発呼経路で順次発呼して呼を確立し、データを転送してゆくので、その通信が他の通信へ及ぼす影響は小さく、またPHSも限られた用途で使用されている。
これに対して、無線LANは、既に汎用されており、この検針データ収集システムの通信が他の無線LANの通信へ及ぼす影響は小さくない。すなわち、検針データ収集システムで集められたデータは、需要予測や営業などへの利用も行われるが、最も大きな目的は、課金への利用である。したがって、データ収集の信頼性を高めるために、無線の送信パワーは、法規制上、許される上限値近くに設定される。そうなると、或る計量器端末に対して通信可能な範囲内に、多数の計量器端末が存在することになる(送信電波が関係の無い方向、しかも遠くまで届いてしまう)。しかも、従来の無線LAN端末に比べて、圧倒的に端末数が多く、マルチホップ無線通信のために、1つの送信データに対して、ホップ数倍のトラヒックが発生する。
また、前記マルチホップを可能にするためには、同じゲートウェイの配下では、同じ無線LANの方式で、同じチャネルの使用される可能性が高くなる。これは、無線LANのチャネル切換えは、送受両方が同期して行う必要があるためで、任意のホップ箇所だけ別のチャネルを使用するというわけにはいかず、干渉が多いなどのためにチャネル切換えを行おうとすると、基端のゲートウェイから、末端の端末まで、一斉に切換える必要があるためである。このため、チャネル変更は不可能ではないが、実質、チャネルは半固定になる。
こうして、無線LANを使用した検針データ収集システムを構築しようとすると、当該システム側が無線LAN回線を占有する時間が長くなり、既に汎用されている一般の(通常の)無線LANサービスに、伝送遅延や、データの消失などを生じるおそれがある。たとえば、検針の周期としては、30分毎であり、そのデータを10秒程度で転送を完了する。その検針周期を、1分毎にして検針の密度を上げたり、検針のパラメータを増やしたり、或いは無線LANの大容量の伝送容量を使用して、この検針データ収集システムで各需要家に設置される計量器端末を無線LANのアクセスポイントとして、余剰分の伝送容量を一般の無線LANサービスに開放したりして、データ量が増加した場合に上記問題は顕著である。
図22および図23に、その様子を説明する。前記無線LANの規格であるIEEE802.11では、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)方式を用いて、空きチャネルの有無を確認している。それには、自身の使用チャネル、すなわちプリアンブルの検出可能なチャネルでは、通信可能なレベルのキャリアがあるか否かを、−82dBmを閾値として判定し、前記−82dBm以上のキャリアがあると送受信待ち(ビジー)状態となり、無いと送信可能(アイドル)状態となる。一方、自身の使用していないチャネル、すなわち前記プリアンブルの検出不能なチャネルでは、−62dBm以上のキャリアがあるか否かを判定し、前記−62dBm以上のキャリアがあると送信待ち(ビジー)状態となり、無いと送信可能(アイドル)状態となる。
このキャリアセンスによって、図22(a)で示すように、自動検針システム側で複数のフレームデータが連続して送信されていると、そのチャネルはずっと塞がったままとなり、図22(b)で示す一般の無線LANサービス側では、時刻t1,t2でキャリアセンスする毎にキャリアが検出され、送信機会が与えられないことになる。
一方、前記−62dBm以上のキャリアが無く、空きチャネルと判定し、図23(b)で示すように一般の無線LANサービス側で時刻t11にデータを送信しても、その空いていたチャネルが、図23(a)で示す自動検針システム側のチャネルと周波数遷移分だけ開いていなかった場合には、実際にデータを送信してみると、衝突を生じる。すなわち、チャネル中心周波数をセンスする前記キャリアセンスで空きチャネルと判定されても、チャネル間隔が充分に開いているチャネルでないと、互いに重なり合っている周波数遷移の帯域で干渉が生じることがある。また、キャリアセンスの結果、空きチャネルと判定しても、運悪く同時に発呼すると、干渉が生じることになる。これによって、ビットエラーが生じ、以後、時刻t12,t13,t14,t15で再送信を試行しても、全て失敗に終わり、所定時間後の時刻t16で新たなフレームデータの送信を試行することになる。
このような図22および図23の場合、自動検針システムと一般の無線LANサービスとで、無線LAN回線(チャネル)を占有する時間の割合は、たとえば図24で示すようになる。
ここで、一般の無線LANサービス側の端末に基地局が、複数の無線LANの規格(IEEE802.11b,g,n等)に対応した通信手段を搭載していても、自動検針システム側と同一周波数を使用している場合、その通信手段を切換えても、前記干渉の回避にあまり効果はない(通信の機会が増えるわけではない)。また、既存の(一般の)無線LANサービス側の端末および基地局にも、空きチャネルを自動的に探索して、チャネル切換えを動的に行う機能は、あまり実装されていない。
本発明の目的は、無線通信手段として無線LANを使用しても、その無線LANの回線を占有する期間の割合を抑えることができる検針データ収集システムを提供することである。
本発明の検針データ収集システムは、各需要家に設置された計量器端末と、前記計量器端末と無線通信ネットワークで接続され、前記各計量器端末から検針データがマルチホップ方式で送信されるゲートウェイと、前記ゲートウェイと有線ネットワークを介して接続されるホスト装置とを備え、前記各計量器端末は、無線LAN規格で前記マルチホップ無線通信を行う無線通信部と、前記無線通信部に、複数のフレームから成るデータを送信させる場合、フレーム数が予め定める値を超える場合に、送信フレーム数をその予め定める値に制限したブロックで送信を行い、かつそのブロック間には予め定めるブロック間隔を確保する通信制御部とを含むことを特徴とする。
上記の構成によれば、各需要家に設置された計量器端末が、ネットワークを構成して、その検針データを予め定める時間毎や予め定める事象の発生時点などにマルチホップ無線通信によってホスト装置へ送信し、収集することで、自動検針などを実現するようにしたシステムにおいて、前記各計量器端末の無線通信部が、無線LAN規格での通信を行うようにする。そして、複数のフレームから成る比較的大きなデータを送信する際、通常、予め定めるフレーム間隔を開けるものの、送信データが無くなるまで続けて送信を行うところ、本発明の通信制御部は、送信データが残っていても、フレーム数が予め定める値を超える場合は、ひとまずその時点までのデータを1ブロックとして送信を行った後、一旦送信を打ち切る。その後、予め定めるブロック間隔を開けた(送信を休止した)後、再度、CSMA/CA等の前記無線LAN規格での通信手順を踏んで送信を再開し、残ったデータを、同様にブロック送信する。
したがって、各需要家に設置され、通信可能な範囲内に多数の計量器端末が存在し、しかもマルチホップ無線通信のために1つの送信データに対して、ホップ数倍のトラヒックが発生するマルチホップの検針データ収集システムにおいて、データ転送に無線LANを用いるにあたって、前記マルチホップを可能にするために、同じゲートウェイの配下では同じ無線LANの方式で、同じチャネルの使用される可能性が高くても、前記通信制御部は、送信データが無くなるまで、所定のフレーム間隔を開けて連続送信するのではなく、強制的に定期的に(規定フレーム数で)ブロック間隔を開けて、その間送信を休止する。
これによって、当該検針データ収集システムが無線LANの回線を占有する期間の割合を、最大で、大まかに、前記ブロック送信期間と休止期間との合計期間に対するブロック送信期間の割合に抑えることができる。したがって、検針頻度が高くなって検針データが増加したり、前記無線LANのマルチホップの回線を使用して、新たな汎用無線LANの中継サービスを開始するなどしても、当該検針データ収集システムが無線LANの回線を占有する期間の割合を所定値以下に維持することができる。こうして、一般の(通常の)無線LANのサービスに対する影響を小さくすることができる(不所望な干渉を抑えることができる)。また、無線LANは、通常、順次パケット数を増やしながら通信を行うので、前記一般の(通常の)無線LAN側にもブロック伝送できる機会を設けておくことで、効率的に伝送を行うことができる。
また、本発明の検針データ収集システムでは、前記検針データを収集するサーバ装置を第1のサーバ装置とし、前記検針以外の他用途の汎用無線LANサービスを実現する第2のサーバ装置をさらに備え、前記通信制御部は、フレーム単位でアドホックモードとインフラストラクチャモードとに対応可能であり、自機で発生した検針データには前記アドホックモードに対応した識別符号を、前記無線通信部においてインフラストラクチャモードで受信した前記他用途の端末からのデータには前記インフラストラクチャモードに対応した識別符号を、それぞれ付して前記無線通信部からアドホックモードで送信させるとともに、前記無線通信部において受信された識別符号付きのデータはそのまま前記アドホックモードで転送させ、前記ゲートウェイは、前記識別符号を判読して、前記検針データを第1のサーバ装置へ、前記他用途の端末からのデータを第2のサーバ装置へ転送することを特徴とする。
上記の構成によれば、上述のように検針データの収集に無線LANを使用するにあたって、その無線LANの大容量の伝送容量を使用して、余剰分の伝送容量を汎用無線LANサービスに開放する。具体的には、前記無線LANで無線通信を行う無線通信部は、主に端末間通信用のアドホックモードと、基地局−端末間通信用のインフラストラクチャモードとに切換え使用可能となっており、これらのいずれかに通信モードを固定するのではなく、通信制御部が、フレーム単位でいずれのモードのデータにも対応可能とする。そして、前記通信制御部は、自機で発生した検針データには前記アドホックモードに対応した識別符号を、前記無線通信部においてインフラストラクチャモードで受信した当該システム以外の他用途の(前記汎用無線LANサービスの)端末からのデータにはそのインフラストラクチャモードの識別符号をそれぞれ付して前記無線通信部からアドホックモードで送信させるとともに、前記無線通信部において受信された識別符号付きのデータはそのまま前記アドホックモードで転送させる。
一方、無線通信ネットワークの終端に設けられる前記ゲートウェイには、前記検針データを収集する第1のサーバ装置と、汎用無線LANサービスの第2のサーバ装置とへ、それぞれ専用の有線ネットワークが設けられており、当該ゲートウェイは、前記識別符号を判読して(VLAN等で論理分割し)、前記検針データと他用途の(汎用無線LANサービスの)データとを前記フレーム単位で振り分けて、それぞれのサーバ装置へ転送する。
したがって、各計量器端末の検針データをマルチホップ無線通信によって収集するシステムに、無線LANを使用して、前記のように余剰分の伝送容量を汎用無線LANサービスに開放しても、検針システムと汎用無線LANサービスシステムとは、それぞれ別個のネットワークとして機能させることができ、セキュリティや運用性を向上することができる。また、各需要家に設置される計量器端末を汎用無線LANの基地局(アクセスポイント)として併用するので、汎用無線LANサービスを開始するにあたって専用の基地局を設ける必要がなく、コストを大幅に削減することができるとともに、特に都市部では、各無線LAN端末から見える(通信可能な)基地局(アクセスポイント)が多数存在し(たとえば、自宅の計量器端末だけでなく、隣家の計量器端末が窓越しに見える)、高い通信品質を得ることができる。こうして、構築した検針システムに、高い品質の汎用無線LANサービスを併せて提供可能にし、結果的に検針システムのコストを大幅に抑制することができる。
さらにまた、本発明の検針データ収集システムでは、前記通信制御部は、前記無線通信部に、ブロック送信を行わせる、すなわち複数のフレームから成るデータを送信させる場合は、そのフレーム間に、前記無線LAN規格で予め定められた送信失敗時の再送信周期に前記再送信の試行回数を乗算した期間に、前記無線LAN規格で予め定められた最長フレームサイズを合わせた時間より長いフレーム間隔で通信を行わせることを特徴とする。
上記の構成によれば、前記通信制御部は、前述のように該検針データ収集システム側のデータの送信にあたって、複数フレームのデータを送信する場合には、その複数のフレームデータを所定数ブロック送信して、そのブロック間に、他の(一般の)無線LANサービスへのブロック送信の機会を与えることで干渉を軽減するとともに、さらにそのフレーム間も、所定のフレーム間隔で通信を行わせ、他の無線LANサービス側に通信(割り込む)機会を与える。具体的には、前記所定のフレーム間隔を、前記無線LAN規格で予め定められた送信失敗時の再送信のためのキャリアセンス周期に前記再送信の試行回数を乗算した期間に、前記無線LAN規格で予め定められた最長フレームサイズを合わせた時間より長い期間とする。
したがって、該検針データ収集システム側のスルーレートは低下するものの、前記他の無線LANサービス側では、送信に失敗しても、最後の再送信のタイミングは前記所定のフレーム間隔内に入り、かつそのタイミングから再送信を行っても、データフレームの全部を送信し終えるまでの期間が前記所定のフレーム間隔に設定されているので、前記他の無線LANサービス側は次のブロック間まで待つことなく再送信を完了することができ、応答性を向上することができる。特に、IEEE802.11g等の伝送レートが高い無線LAN方式では、前記検針データ収集システム側のフレーム長を短くでき、したがって前記所定のフレーム間隔を広くできるので、好適である。
また、本発明の検針データ収集システムでは、前記再送信周期は、バックオフ期間を0として設定されることを特徴とする。
上記の構成によれば、前記再送信周期は、前記無線LAN規格で予め定められた(固定の)IFS(フレーム間隔)に、乱数で発生するバックオフ期間が加算されて決定されるので、そのバックオフ期間を0として、前記再送信周期を設定する。
したがって、バックオフ期間が最短である0の端末が、再送信を試行し、その最後のタイミングには確実に前記フレーム間隔とすることができる。すなわち、検針データ収集システム側の端末の送信は停止していることになる。一方、前記バックオフ期間が長い端末に関しては、再試行の回数が最後となる前に前記フレーム間隔に突入することになる。
したがって、バックオフ期間の長短に拘わらず、前記汎用無線LANサービス側の端末に、規定の再試行回数内で再送信を成功させる可能性を高めることができる。
さらにまた、本発明の検針データ収集システムでは、前記通信制御部は、前記無線通信部に、前記無線LAN規格で予め定められた送信失敗時の再送信周期に前記再送信の試行回数を乗算した期間より短いフレーム長で通信を行わせることを特徴とする。
上記の構成によれば、前記通信制御部は、該検針データ収集システム側のデータの送信によって、通常の無線LANサービス側のデータの送信ができなくなっても、該検針データ収集システム側のデータ(フレーム)長を規定しておくことで、前記通常の無線LANサービス側の再送信の試行回数内で、該通常の無線LANサービス側のデータの送信を行えるようにする。具体的には、前記検針データ収集システム側のデータ(フレーム)長を、無線LAN規格で予め定められた送信失敗時の再送信周期に前記再送信の試行回数を乗算した期間より短い期間とする。
したがって、前記通常の無線LANサービス側の端末は、送信を失敗しても、規定の再送回数だけ再送を繰返す間、無線LAN回線を占有していた検針データ収集システム側の端末は1フレームのデータの送信を完了するので、検針データ収集システム側のパケット(データ)長が短くなって同じデータを送信するにも送信回数が増加するものの、前記通常の無線LANサービス側では、送信に失敗しても、最後の再送信のタイミングでは無線LAN回線が空いている可能性が高くなり、応答性を向上することができる。特に、IEEE802.11g等の伝送レートが高い無線LAN方式では、前記検針データ収集システム側のフレーム期間を短くでき、したがって前記所定のフレーム間隔を広くできるので、好適である。
また、本発明の検針データ収集システムでは、前記再送信周期は、バックオフ期間を0として設定されることを特徴とする。
上記の構成によれば、前記再送信周期は、前記無線LAN規格で予め定められた(固定の)IFS(フレーム間隔)に、乱数で発生するバックオフ期間が加算されて決定されるので、そのバックオフ期間を0として、前記再送信周期を設定する。
したがって、バックオフ期間が最短である0の端末が、再送信を試行し、その最後のタイミングには確実に検針データ収集システム側のデータ送信が終了し、前記フレーム間隔とすることができる。一方、前記バックオフ期間が長い端末に関しては、再試行の回数が最後となる前に前記データ送信が終了、すなわちフレーム間隔に突入することになる。
したがって、バックオフ期間の長短に拘わらず、前記汎用無線LANサービス側の端末に、規定の再試行回数内で再送信を成功させる可能性を高めることができる。
本発明の検針データ収集システムは、以上のように、各需要家に設置された計量器端末がネットワークを構成して、その検針データをマルチホップ無線通信によってホスト装置へ送信し、収集することで、自動検針などを実現するようにしたシステムにおいて、前記各計量器端末の無線通信部が、無線LAN規格での通信を行うようにし、そして複数のフレームから成る比較的大きなデータを送信する際、通信制御部は、フレーム数が予め定める値を超える場合は、ひとまずその時点までのデータを1ブロックとして送信を行った後、一旦送信を打ち切り、予め定めるブロック間隔を開けた(送信を休止した)後、再度、CSMA/CA等の前記無線LAN規格での通信手順を踏んで送信を再開し、残ったデータを、同様にブロック送信する。
それゆえ、当該検針データ収集システムが無線LANの回線を占有する期間の割合を抑えることができる。
図1は、本発明の実施の一形態に係る検針データ収集システムの概略的構成を示すブロック図である。この検針データ収集システムは、各需要家H1,H2,・・・(総称するときは、以下参照符号Hで示す)にそれぞれ設置された計量器端末U1,U2,・・・(総称するときは、以下参照符号Uで示す)が、動的に、すなわち常時周囲を見渡し、自律的に一番好ましいルートに切替えてマルチホップ無線通信ネットワークを構成して、その検針データを予め定める時間毎や予め定める事象の発生時点などにサーバ装置1へ送信し、収集することで、自動検針を実現するようにしたシステムである。
前記計量器端末Uは、本実施の形態では積算電力量計として実現され、注目すべきは、本実施の形態では、各計量器端末Uは、無線LAN規格での通信を行うとともに、その無線LANの大容量の伝送容量を使用して、余剰分の伝送容量を無線LANサービスに開放することである。前記無線LANサービスで使用される端末2としては、パーソナルコンピュータや携帯端末などで、ホームページ閲覧や楽曲のダウンロードなどが前記無線LANサービスを介して行われる。
そのため、各計量器端末Uは、無線LANの基地局(アクセスポイント)として機能して、無線LANの基地局−端末間通信用のインフラストラクチャモードによって参照符号I1で示すように無線通信を行うとともに、各計量器端末U間は、前記無線LANの端末間通信用のアドホックモードによって参照符号A1,A2,A3,A4,A5(総称するときは、以下参照符号Aで示す)で示すように無線通信を行う。前記無線LAN端末2は、起動(電源投入)すると、周囲の電波状況を監視し、最も通信品質の良好な基地局(ぶら下がり先:図1の例では計量器端末U1)を判定して接続を行い、前記インフラストラクチャモードによって通信を開始する。また、各計量器端末Uも、起動(電源投入)すると、周囲の電波状況を監視し、最も通信品質の良好な計量器端末(ぶら下がり先:図1の例では計量器端末U3に対してU4)を判定して接続、すなわちネットワークに参加するとともに、無線通信ネットワークの終端であるゲートウェイ3に至る経路を自律的に選択して、前記アドホックモードによって通信を開始する。
前記ゲートウェイ3は、無線通信ネットワークと、電力会社などのネットワーク運営会社専用の有線ネットワーク4とを接続するもので、前記有線ネットワーク4には前記サーバ装置1が接続されている。このゲートウェイ3は、たとえば主要な電柱に設けられ、収容端末数は数百である。また、各計量器端末Uのホップ数は、最大で数十、好ましくは十ホップ以下である。
一方、メンテナンス用に、ハンディターミナルHTも使用可能となっており、該ハンディターミナルHTは起動(電源投入)すると、接続すべき計量器端末(ぶら下がり先:図1の例では計量器端末U3)にインフラストラクチャモードによって参照符号I2で示すように無線通信を行い、検針データの直接の吸い上げや、通電の開始/停止、各種の設定などが可能となる。
図2は、前記のような検針データ収集システムの論理構成を説明するための図である。各計量器端末Uに接続される端末としては、他の計量器端末Uに、無線LAN端末2としての、たとえばパーソナルコンピュータ2aや携帯音楽プレーヤ2bが考えられるとともに、現地で検針や設定を行うことができる前記ハンディターミナルHTが考えられる。各計量器端末Uは、前記のようにパーソナルコンピュータ2aや携帯音楽プレーヤ2bなどとはインフラストラクチャモードによって通信を行い、他の計量器端末Uとはアドホックモードによって通信を行う。さらに、ハンディターミナルHTは、この計量器端末Uとだけ通信を行うので、インフラストラクチャモードによって通信を行う。
各計量器端末U間およびゲートウェイ3へは、各計量器端末U内の無線LAN通信ユニットUaは、アドホック論理ネットワークを構成する。一方、ゲートウェイ3は、前記のアドホック無線通信ネットワークの終端に設けられ、PPPoE(Point-to-point protocol over Ethernet)などを用いて、前記アドホック無線通信ネットワークを電力会社の光ファイバネットワークなどの常時接続の有線ネットワーク4と接続するためのものである。
このため、ゲートウェイ3は、VLAN(Virtual Local Area Network(IEEE802.5))を用いて、前記検針データの収集や、給電/停電の制御などの本来の配電監視業務を行うセンターに設置され、第1のサーバ装置であるサーバ装置1Aと、追加の無線LANサービスを提供するセンターに設置され、第2のサーバ装置であるサーバ装置1Bとに、後述するようにしてフレーム単位でデータを振り分ける(接続するプロバイダを切り替える)ものである。このようにVLANを用いてネットワークを分割し、アクセスを制限することで、サーバ装置1A側と、サーバ装置1B側とを別個のネットワークとして機能させることができ、セキュリティや運用性を向上することができるようになっている。なお、後述の説明では、前記VLANによるネットワーク分離には、MACアドレスから所属するVLANグループを識別しているが(MACベースVLAN)、端末のIPアドレスから所属するVLANグループを識別してもよい(サブネットベースVLAN)。
図3は、前記各計量器端末Uの構成を示すブロック図である。この計量器端末Uは、先ず無線LAN規格(たとえばIEEE802.11)に対応した無線デバイス11およびそのドライバ12から成る無線通信部10と、後述するように検針のネットワークと無線LANサービスのネットワークとにデータを振り分ける振り分けインタフェイス13、前記アドホックモードでの無線通信のためのインタフェイス14、前記インフラストラクチャモードでの無線通信のためのインタフェイス15、それぞれのモードでのIPスタック16,17およびアプリケーション18,19から成る通信制御部20とを備えて構成される。2つのモード間は、IPスタック16,17のところでデータのやり取り(無線LANサービスのデータをアドホックネットワーク側へ転送する)が可能となっている。
そして、前記インフラストラクチャモードとアドホックモードとで共用の無線デバイス11で受信された信号は、ドライバ12を介して振り分けインタフェイス13に入力され、フレーム毎に、アドホックインタフェイス14と、前記インフラストラクチャインタフェイス15とに振り分けられ、アドホックプロトコルまたはIEEE802.11プロトコルで処理され、IPスタック16,17からアプリケーション18,19に与えられ、所定の処理が行われる。
これに対して、アプリケーション18,19で発生した送信のデータは、フレーム毎に、IPスタック16,17を介して対応するモードのインタフェイス14またはインタフェイス15に与えられ、それぞれのプロトコルで処理され、そのデータは前記振り分けインタフェイス13ではフレーム処理が行われず、そのままドライバ12から共用の無線デバイス11に与えられて送信される。
図4は、前記インタフェイス13,14,15の機能を説明するための図である。本実施の形態では、前記のアドホックモードとインフラストラクチャモードとを、無線LAN規格(IEEE802.11)およびEthernet(登録商標)規格(IEEE802.3)におけるMACフレームにおいて、通常では使用されないMACフレームのタイプフィールドに前記識別符号を埋込むことで実現する。このようにタイプフィールドに識別符号を埋込むことで、特に前記識別符号を付加するために新たなフィールドを定義する必要はない。
具体的には、先ず無線LAN規格(IEEE802.11)のMACフレームにおいて、フレーム制御フィールドのFrom DS,To DSのフラグで、送信側と受信側とのどちらが基地局となるのかを指定する。次に、無線LAN規格(IEEE802.11)のMACフレームおよびEthernet規格(IEEE802.3)におけるMACフレームの前記タイプフィールドに前記識別符号を埋込むことで実現する。
図5は、本実施の形態の検針データ収集システムにおける通信の態様を詳しく説明するための図である。この図5に対応して、図6は、前記図4で示すMACフレームにおけるアドレスデータおよび前記識別符号の変化を具体的に示す表である。先ず図5(a)で示す検針データの送信時には、参照符号F1で示すように、アプリケーション18で発生した検針データD1に、Ethernet規格(IEEE802.3)におけるMACフレームのタイプフィールドに、その検針データであることを著す識別符号L1が付加されて、無線LAN規格(IEEE802.11)のMACフレームのアドレス2の送信元アドレスフィールドには、この図5(a)の場合には、自機計量器端末U3のアドレスが、またアドレス1の基地局アドレスフィールドには上位の計量器端末U4のアドレスが、アドレス3の最終の宛先アドレスのフィールドにはサーバ装置1Aのアドレスが、それぞれIPスタック16で付加され、アドホックインタフェイス14から、振り分けインタフェイス13を通過して、ドライバ12から無線LANデバイス11によってアドホックモードで送信される。なお、この検針データの送信時には、フレーム制御フィールドにおけるFrom DS,To DSのフラグは、受信側が基地局側に設定される。
同様に、参照符号F1’で示すように、サーバ装置1Aからのその検針データのACKなどのデータD1にも、識別符号L1が付加されており、アドレス2の送信元アドレスフィールドにはサーバ装置1Aのアドレスが、またアドレス1の基地局アドレスフィールドには上位の計量器端末U4のアドレスが、アドレス3の最終の宛先アドレスのフィールドには自機計量器端末U3のアドレスが、それぞれ記述されており、それを振り分けインタフェイス13からアドホックインタフェイス14を介してIPスタック16が読取り、アプリケーション18に提供する。
一方、図5(b)で示す前記検針データの再送要求や給電のON/OFFなどの制御データの送信時には、参照符号F2で示すように、サーバ装置1Aからのその制御データD2には予め制御データであることを表す識別符号L2が付加されて、アドレス2の送信元アドレスフィールドにはサーバ装置1Aのアドレスが、またアドレス1の基地局アドレスフィールドには上位の計量器端末U4のアドレスが、アドレス3の最終の宛先アドレスのフィールドには自機計量器端末U3のアドレスが、それぞれ記述されており、無線LANデバイス11で受信されると、ドライバ12から振り分けインタフェイス13に与えられ、アドホックインタフェイス14から、IPスタック16を介して、アプリケーション18に与えられる。
これに応答して、アプリケーション18は、参照符号F2’で示すように、返信の信号D2に識別符号L2を付加し、アドレス2の送信元アドレスフィールドには自機計量器端末U3のアドレスが、アドレス1の基地局アドレスフィールドには上位の計量器端末U4のアドレスが、アドレス3の最終の宛先アドレスのフィールドにはサーバ装置1Aのアドレスが、それぞれIPスタック16で付加され、アドホックインタフェイス14から、振り分けインタフェイス13を通過して、ドライバ12から無線LANデバイス11によってアドホックモードで送信される。この制御データの送信時にも、フレーム制御フィールドにおけるFrom DS,To DSのフラグは、受信側が基地局側に設定される。
これらの検針データおよび制御データの送信時に、中継局となる計量器端末(図1の例ではU2,U4)では、無線LANデバイス11、ドライバ12、振り分けインタフェイス13、アドホックインタフェイス14およびIPスタック16を使用するアドホックモード側の構成のみを使用し、自機のホッピング先のBSSIDを順次書替え、残余のデータはそのままとすることで、アドホックモードで順次転送が行われる。
これに対して、図5(c)で示す前記無線LANサービスのデータの送信時において、参照符号F5で示すように、端末2からの送信データD3は、Ethernet規格におけるMACフレームのタイプフィールドは通常通りであり、アドレス2の送信元アドレスフィールドには自機端末2のアドレスが、またアドレス1の基地局アドレスフィールドには上位の計量器端末U1のアドレスが、アドレス3の最終の宛先アドレスのフィールドにはサーバ装置1Bのアドレスが、それぞれ記述されて送信されている。しかしながら、各計量器端末Uが無線LANのインフラモードで持つ複数のSSIDの内、予め無線LANサービスに定められる識別符号S1が、SSIDのフィールドに設定されている。前記インフラモードでは、このアクセスポイントに割当てられたSSIDと、ネットワーク鍵とを相互に認証し、一致すると通信可能となる。
このデータを前記無線LANデバイス11、ドライバ12、振り分けインタフェイス13およびインフラストラクチャインタフェイス15を介して受信した計量器端末U1は、IPスタック17からIPスタック16側へデータを引き渡し、これによってアドホックインタフェイス14、振り分けインタフェイス13、ドライバ12および無線LANデバイス11を介して、参照符号F3で示すように、アドホックモードでの転送が行われるようになる。この際、アドレス1の基地局アドレスフィールドには、前記図1の場合、上位の計量器端末U2のアドレスが設定される。また、前記無線LAN規格のSSIDのフィールドにおける識別符号S1が解除され、代わって、Ethernet規格のタイプフィールドに、無線LANデータであることを表す識別符号L3が付加される。
また、参照符号F3’で示すように、サーバ装置1Bからの無線LANのデータD3にも、識別符号L3が付加されており、アドレス2の送信元アドレスフィールドにはサーバ装置1Bのアドレスが、アドレス1の基地局アドレスフィールドには上位の計量器端末U2のアドレスが、アドレス3の最終の宛先アドレスのフィールドには端末2のアドレスが、それぞれ記述されている。このデータを前記無線LANデバイス11、ドライバ12、振り分けインタフェイス13およびアドホックインタフェイス14を介して受信した計量器端末U1は、IPスタック16からIPスタック17側へデータを引き渡し、これによってインフラストラクチャインタフェイス15、振り分けインタフェイス13、ドライバ12および無線LANデバイス11を介して、参照符号F4で示すように、インフラストラクチャモードでの転送が行われるようになる。この際、Ethernet規格のタイプフィールドから識別符号L3が解除されるとともに、無線LAN規格のSSIDのフィールドには、前記無線LANサービスのために設定される識別符号S1が設定される。この無線LANデータの送信時には、フレーム制御フィールドにおけるFrom DS,To DSのフラグは、サーバ装置1B側が基地局側に設定される。
さらにまた、図5(d)で示すハンディターミナルHTの接続時には、接続される計量器端末U3は、無線LANデバイス11、ドライバ12、振り分けインタフェイス13、インフラストラクチャインタフェイス15、IPスタック17およびアプリケーション19のインフラストラクチャモード側の構成のみを使用し、参照符号F6,F7で示すように、インフラストラクチャモードで通信を行う。この場合、参照符号F6で示す計量器端末U3からのデータに関しては、アドレス1の宛先アドレスフィールドとアドレス2の上位局アドレスフィールドとが同じアドレスとなり、参照符号F7で示すハンディターミナルHTからのデータに関しては、アドレス1の上位局アドレスフィールドとアドレス3の宛先アドレスフィールドとが同じアドレスとなる。また、フレーム制御フィールドにおけるFrom DS,To DSのフラグは、計量器端末U3側が基地局側に設定される。さらにまた、前記SSIDのフィールドには、このハンディターミナルHT用に予め設定される識別符号S2が設定される。
以上のように、本実施の形態の検針データ収集システムは、各需要家Hに設置された計量器端末Uがマルチホップ無線通信ネットワークを構成して、その検針データを予め定める時間毎や予め定める事象の発生時点などにサーバ装置1へ送信し、収集することで、自動検針などを実現するようにしたシステムにおいて、前記各計量器端末Uの無線通信部10を無線LAN規格での通信を行うようにするとともに、その無線通信部10の通信モードを、主に端末間通信用のアドホックモードと、基地局−端末間通信用のインフラストラクチャモードとのいずれかに固定するのではなく、通信制御部20が、それぞれのモードに対応した識別符号を付加して、フレーム単位でいずれのモードのデータにも対応可能とする一方、無線通信ネットワークの終端には、前記検針データを収集するサーバ装置1Aと、無線LANサービスのサーバ装置1Bとへ、それぞれ専用の有線ネットワーク4を有するゲートウェイ3を設け、当該ゲートウェイ3が、前記識別符号を判読してデータをフレーム単位で振り分けて、それぞれのサーバ装置1A,1Bへ転送する。
したがって、無線LANの大容量の伝送容量を使用して、検針モードで余剰分の伝送容量を無線LANサービスに開放しても、検針システムと無線LANサービスシステムとは、それぞれ別個のネットワークとして機能させることができ、セキュリティや運用性を向上することができる。また、各需要家に設置される計量器端末Uを無線LANの基地局(アクセスポイント)として併用するので、無線LANサービスを開始するにあたって専用の基地局を設ける必要がなく、コストを大幅に削減することができるとともに、特に都市部では、各無線LAN端末2から見える(通信可能な)基地局(アクセスポイント)が多数存在し(たとえば、自宅の計量器端末だけでなく、隣家の計量器端末が窓越しに見える)、高い通信品質を得ることができる。こうして、構築した検針システムに、高い品質の無線LANサービスを併せて提供可能にし、結果的に検針システムのコストを大幅に抑制することができる。
図7は、上述のように構成される検針データ収集システムの実使用状態での状況を模式的に示す図であり、信号の流れを分り易く示している図1を、もう少し前記実使用状態に近付けたものである。図7において、図1に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。この図7で示すように、通信媒体として無線LANを使用した検針データ収集システムは、実使用状態では、各需要家Hに設置される計量器端末Uに対して、従来技術で述べたように、通信可能な範囲内に多数の計量器端末Uが存在する。そして、その計量器端末Uは、前記参照符号Aで示すアドホックモードによって検針データの収集を実現するとともに、その計量器端末Uの一部には、上述のように無線LANの基地局(アクセスポイント)として使用し、参照符号Iで示すインフラストラクチャモードによって通信を行う無線LAN端末2が接続されることになる。
一方、参照符号H’で示す需要家のように、検針データの収集可能な前記計量器端末Uが設けられているか否かに拘わらず、別途、FTTHやADSLなどによってインターネット接続可能な環境を有し、戸内でルータRを設置して、無線LAN端末2’に、参照符号I’で示すように無線LAN通信の可能な環境が実現されていることもある。
ここで、従来技術で述べたように、各計量器端末Uは、検針データの確実な収集を実現するために、比較的大きなパワーでデータの送信を行い、その電波は同心円状に伝搬してゆく。また、マルチホップ無線通信のために、1つの送信データに対して、ホップ数倍のトラヒックが発生する。さらにまた、データ転送に無線LANを用いるにあたって、前記マルチホップを可能にするために、同じゲートウェイ3の配下では、同じ無線LANの方式で、同じチャネルの使用される可能性が高くなる。
したがって、たとえば数十〜数百kバイトに及ぶ無線LAN端末2に対する汎用無線LANサービスのデータだけでなく、単位データとしては、たとえば数十kバイトと比較的小さい検針データも、規定の検針タイミングで爆発的に発生し、共にそれらがホップを繰返してゆくために、この検針データ収集システムが無線LAN回線を占有し、前述の図22や図23で示すように、他の無線LAN端末2’とルータRとの間の通信I’に影響を与える可能性がある。参照符号Uaで示すように、上位側および下位側に1つずつ連携端末を有する端末や終端で1つの連携端末しか無い場合には、周囲の無線LAN環境に与える影響は比較的小さいと考えられるが、特に、参照符号Ubで示すように、多くの連携端末を有する端末や、参照符号Ucで示すゲートウェイ3から1ホップ目の端末、さらにそれらの付近の端末では、端末間の通信で無線LAN回線が占有され、周囲の無線LAN環境に与える影響は大きくなると考えられる。たとえば、10ホップで30kbpsの転送速度を実現するためには、1ホップで300kbpsが必要になり、その速度で100kバイトのデータを転送すると、約30秒が必要となる(この間回線を占有する)。
そこで本実施の形態では、概略的に図8で示すようにして、検針データ収集システム側のデータ転送が、周囲の無線LAN環境に与える影響を軽減する。先ず注目すべきは、前記各計量器端末Uにおいて、通信制御部20のアドホックインタフェイス14およびインフラストラクチャモードインタフェイス15は、アプリケーション18,19に蓄えられた送信すべきデータが複数のフレームから成り、フレーム数が予め定める値を超える場合に、無線通信部10のドライバ12に、送信フレーム数をその予め定める値に制限したブロックで送信を行わせ、かつそのブロック間には予め定めるブロック間隔を確保させることである。図8では、フレーム数制限は5であり、ブロック送信を行う期間を参照符号T1で示し、ブロック間隔を参照符号T2で示す。
したがって、複数のフレームから成る比較的大きなデータを送信する際、通常、この図8でも参照符号T3で示すような予め定める最小のフレーム間隔を開けて、送信データが無くなるまで続けて送信が行われるところ、前記通信制御部20のアドホックインタフェイス14およびインフラストラクチャモードインタフェイス15は、送信データが残っていても、フレーム数が予め定める値を超える(ブロック送信期間がT1を超える)場合は、ひとまずその時点までのデータを1ブロックとして送信を行った後、一旦送信を打ち切る。その後、予め定めるブロック間隔T2を開けた(送信を休止した)後、再度、CSMA/CAによる通信手順を踏んで送信を再開し、残ったデータを、同様にブロック送信する。
したがって、前記アドホックインタフェイス14およびインフラストラクチャモードインタフェイス15は、送信データが無くなるまで、所定のフレーム間隔を開けて連続送信するのではなく、強制的かつ定期的にブロック間隔T2を開けて、その間送信を休止することになるので、当該検針データ収集システムが無線LAN回線を占有する期間の割合を、最大で、大まかに、前記ブロック送信期間T1と休止期間、すなわちブロック間隔T2との合計期間に対するブロック送信期間T1の割合に抑えることができる。したがって、検針頻度が高くなって検針データが増加したり、上述のような新たな汎用無線LANの中継サービスを開始しても、当該検針データ収集システムが無線LAN回線を占有する期間の割合を所定値以下に維持することで、一般の無線LANのサービスに対する影響を小さくすることができる(不所望な干渉を抑えることができる)。また、無線LANは、通常、後述するように、順次パケット数を増やしながら通信を行うので、前記一般の無線LAN側にもブロック伝送できる機会を設けておくことで、効率的に伝送を行うことができる。
図9は、本願発明者の実験結果を示す図である。この図9は、一般的な無線LANの規格IEEE802.11gにて、端末がアクセスポイントと伝送速度が7Mbpsの状態で通信を行っている状態で干渉波が発生したときの伝送パターンを示したものである。この実験結果によれば、集中的にパケットが発生する時間帯と待ち時間とがそれぞれブロックを構成し、それらを相互に繰り返すブロック転送を行っていることが判明した。なお、パケット送信中では、約2ms以下で連続伝送となっている。そして、この図9のケースでは4ブロックに分けて転送を行っているが、或る程度のパケットを送信してACKが得られれば、送信パケット数が増大し、特に最終のブロックで多くのパケットを送信していることが理解される。
一方、図10は、IEEE802.11bにて、端末がアクセスポイントと伝送速度が600kbpsの状態で通信を行っている状態で干渉波が発生したときの伝送パターンを解析したものである。この場合も同様にブロック転送を行っており、51ブロックに分けてデータを転送している。図10(a)は、その51ブロックのブロック間の待ち時間(前記ブロック間隔T2)と、待ち時間の要因とを示したものである。それによれば、前記51ブロックの内、ブロック間での待ち時間は43ブロックで1秒以内に済んだものの、8ブロックで1秒を超えてしまっている。その要因は、1秒以内では、TCPのACKのバックオフ待ち(到達)であるのに対して、1秒を超えるものは、前記TCPのACKが消失し、再送待ちとなったためで、最大4秒待ちとなった。
そして、図10(b)は、ブロック間の待ち時間が1秒以内となったものに対して、パケット数分布を調べたもので、図9と同様に、少ないパケット数で或る程度のブロック数送信し、徐々にパケット数を増加させ、最後のブロックは、一気にパケット数を増大させていることが理解される。これには、TCPのウインドゥサイズによる伝送制御が影響しているものと考えられる。
以上、図9および図10の解析結果から、無線LANを経由してTCP/IPに接続する場合、無線LAN回線において、干渉波が発生した場合はブロック転送となる。そして、MACレイヤのデータフレーム衝突は、再送によって1ms以内に解消されるので、ブロック間の休止時間となる場合が少なく、前記休止時間の要因は、バックオフやTCP ACK消失による再送によるものである(無線LANのMAC層とTCP層とで到達確認を行っているが、時間の掛かるのはTCP層)。さらに、転送データの大部分は、最終ブロックで一気に転送される。
したがって、このような一般無線LANからTCP/IPシステムの伝送パターンを考慮すると、検針データ収集システム側は、図8において前記参照符号T2で示すように、一般無線LANシステム側がブロック伝送できるように、適切にブロック間隔を空けることが望ましい。そして、一般無線LAN側がブロック転送を行い、上述のように最終ブロックで大量のパケットを送信しても、検針データ収集システム側は、CSMA/CAで干渉を仕掛けることはなく、一般無線LAN側は転送を終了することができる。
再び前記図8に戻って、また注目すべきは、前記アドホックインタフェイス14およびインフラストラクチャモードインタフェイス15は、ドライバ12に、上述のようにブロック送信を行わせる、すなわち複数のフレームから成るデータを送信させる場合は、そのフレーム間に、前記無線LAN規格で予め定められた送信失敗時の再送信周期に前記再送信の試行回数を乗算した期間に、前記無線LAN規格で予め定められた最長フレームサイズを合わせた時間より長いフレーム間隔T4で通信を行わせることである。
図11は、その様子を説明するための図である。通常、無線LANでは、フレームの連続送信時にフレーム間に挿入される時間間隔は、DIFS(分散制御用のフレーム間隔)+バックオフ期間となり、ランダムに選択されるバックオフ期間によって、次フレームの送信タイミングが変化する。IEEE802.11のMAC層では、前記再送信の試行回数の最大値は4回であり、前記バックオフ期間の最小値は0、最大値は前記再送信の試行回数が増加する程、長くなる。
ここで、該検針データ収集システム側の無線LAN方式を、たとえばIEEE802.11g、リンク速度を6Mbps、データフレーム長が1500bytesで固定とした場合、図11(a)で示すように、1500×8bit/6Mbps=2000μsのフレーム長T5を有する送信データD1が発生する。そして、連続送信の場合、前記DIFS+バックオフ期間後に、次の送信データD2’が発生する。
これに対して、一般無線LAN側を、たとえば同じIEEE802.11g、リンク速度を速めの24Mbps、伝送速度を4Mbps、フレーム送出周期(基本サイクル)を3msとすると、1フレーム期間T6が546μsのデータD10,d10が送信されることになる。図11(b)および図11(c)は、干渉の影響が最大のケース(CSMAが効かず、チャンネルがずれている場合)を想定し、一般の無線LAN側が、初回のデータ送信を検針データ収集システム側と同じタイミングで行った例を示し、再送信にあたって、図11(b)は前記バックオフ期間が常に0、図11(c)は前記バックオフ期間が常に最大値の例を示している。
バックオフ期間が0の場合、フレーム間隔=DIFSは34μsであり、したがってフレーム周期T41は546+34=580μsであり、図11(b)で示すように、送信に失敗する毎に、前記34μsの間隔を開けて、データD11,D12,D13と再送信を繰返す。その内、再送信の最後のデータD14が、前記検針データ収集システム側の送信データD1に掛からず、かつ次の送信データD2’を前記フレーム間隔T4だけずらせてD2としておけば、送信可能となる。その後、次のフレーム送出周期となって、次のフレームのデータD20が送信される。
一方、バックオフ期間が最大値の場合、フレーム間隔は、DIFSの34μsに、初回の再送信で135μs、2回目の再送信で279μs、3回目の再送信で567μs、4回目の再送信で1143μsがそれぞれ加算され、図11(c)で示すように、送信に失敗する毎に、徐々に長い間隔で、データd11,d12と再送信を繰返す。その内、3回目の再送信のデータd13が、前記検針データ収集システム側の送信データD1に掛からず、かつ次の送信データD2’の発生タイミングがずれていれば、送信可能となる。
しかしながら、この場合、3ms毎の自身の次のフレーム送出周期(基本サイクル)に掛かるので、図11(d)で示すように、次のフレームのデータd20を遅延して送信する必要がある。この場合、前記4Mbpsの伝送速度を維持させるには、前述のように3ms毎に1パケット以上を送信する必要があるところ、4ms毎に2パケットを送信して、上記要求を満足することになる。
したがって、上述のように検針データ収集システム側のデータの送信にあたって、複数フレームのデータを送信する場合には、規定のフレーム数のデータで1つのブロックを構成し、そのブロック間に前記ブロック間隔T2を設けるとともに、さらにそのフレーム間にも、所定のフレーム間隔T4で通信を行わせることで、一般の無線LANサービス側に通信(割り込む)機会を与えることができる。そして、前記所定のフレーム間隔T4は、前記無線LAN規格で予め定められた送信失敗時の再送信のためのキャリアセンス周期T41に前記再送信の試行回数(4)を乗算した期間に、前記無線LAN規格で予め定められた最長フレームサイズTMAXを合わせた時間より長い期間とする。すなわち、T4>T41×4+TMAXである。たとえば、前記のようにTMAX=T5=2ms、DIFS=34μs、すなわちバックオフ期間を0とすると、T4>580×4+2000=4320μsである。
このように構成することで、該検針データ収集システム側のスルーレートは低下するものの、前記一般の無線LANサービス側では、送信に失敗しても、最後の再送信のタイミングは前記フレーム間隔T4内に入り、かつそのタイミングから再送信を行っても、データフレームの全部を送信し終えるまでの期間が前記フレーム間隔T4に設定されているので、前記一般の無線LANサービス側は次のブロック間まで待つことなく再送信を完了することができ、応答性を向上することができる。特に、上述のIEEE802.11g等の伝送レートが高い無線LAN方式では、前記検針データ収集システム側のフレーム長を短くでき、したがって前記フレーム間隔T4を広くできるので、好適である。
そして、好ましくは、前記フレーム間隔T4を求めるための前記再送信周期T41には、上述のようにバックオフ期間が0として設定される。このように構成することで、図11(b)で示すバックオフ期間が最短である0の端末が、再送信を試行し、その最後のタイミングには確実に前記フレーム間隔T4とすることができる。すなわち、検針データ収集システム側の端末の送信は確実に停止していることになる(データD2’)。一方、図11(c)で示す前記バックオフ期間が長い端末に関しては、再試行の回数が最後となる前に前記フレーム間隔T4に突入し、問題はない。こうして、バックオフ期間の長短に拘わらず、前記一般の無線LANサービス側の端末に、規定の再試行回数内で再送信を成功させる可能性を高めることができる。
図12は、前記フレーム間隔T4の設定による効果を確認するための本願発明者の実験方法を説明する図である。先ず、検針データ収集システム側は、ゲートウェイ3から1ホップ目の端末Ucが、他の端末Uに対して直接(1ホップで)中継を行い、前記他の端末Uは実際の想定レベルを遙かに超える264台、無線LAN方式はIEEE802.11g、リンク速度は6Mbps(送信レベル22.3dBm)で、容量210Kバイトのデータファイルを、全ての端末Uに配信するものとする。一方、一般の無線LAN側は、前記他の無線LAN端末2’としてのパーソナルコンピュータに対して、ルータRから、無線LAN方式はIEEE802.11g+b、リンク速度は54Mbps(受信レベル−50dBm)、および24Mbps(受信レベル−70dBm)で、4Mbps(UDP)の映像ストリーミングを配信する。そして、前記ゲートウェイ3および端末Ucと、ルータRおよび無線LAN端末2’との間で、相互干渉が生じる状況とする。
図13および図14は、検針データ収集システム側と一般の無線LAN側とが同じチャネル(13CH)を使用した場合の一般の無線LAN側のスループットを測定した結果であり、図13は前記フレーム間隔T4を設けておらず(連続送信しており)、図14は前記フレーム間隔T4として4msを設けている。上記のように送信パワーが圧倒的に大きい検針データ収集システム側では、前記フレーム間隔T4が0の場合は、連続送信で平均伝送速度として2443kbpsが得られ、T4=4msの場合は、間欠送信で平均伝送速度として963kbpsが得られ、共に前記の目標の300kbpsは得られている。
これに対して、一般の無線LAN側は、前記フレーム間隔T4が設けられていないと、ルータRはキャリアセンスによって送信を行うことができず、図13で示すように伝送速度は大きく落ち込み、時々回復する程度で、映像は大きく乱れている。一方、前記フレーム間隔T4が設けられていると、前述の図11で説明したように、一般の無線LAN側が、このフレーム間隔T4に割り込むことができ、当初から目標の4Mbpsの伝送速度を維持し、映像に乱れは生じない。
また、図15〜図17は、検針データ収集システム側と一般の無線LAN側とが異なるチャネル(13CHと12CH)を使用した場合の一般の無線LAN側のスループットを測定した結果であり、図15は前記フレーム間隔T4を設けておらず(連続送信しており)、図16は前記フレーム間隔T4として4msを設けており、図17は前記フレーム間隔T4として6msを設けている。検針データ収集システム側では、前記フレーム間隔T4が0の場合は、平均伝送速度として2164kbpsが得られ、T4=4msの場合は718kbpsが得られ、T4=6msの場合は569kbpsが得られ、共に前記の目標の300kbpsは得られている。
これに対して、一般の無線LAN側は、前記フレーム間隔T4が設けられていないと、ルータRは実際に送信してみて周波数遷移幅が重ならなければ伝送が成功するものの、図15で示すように時々伝送が成功する程度で、映像は大きく乱れている。一方、前記フレーム間隔T4が設けられていると、その間は干渉が生じず、一般の無線LAN側が優先的に通信を行えるので、全体を通して伝送が成功する確率が高くなる。これによって、映像の乱れは少なくなり、図16で示すT4=4msでは僅かに残っていた乱れも、図17で示すT4=6msのフレーム間隔が開く程に、目標の4Mbpsの伝送速度を維持し、映像に乱れは生じない。これは、フレーム間隔T4が上述の計算のように最短で4320μs必要なところ、図16の4msではそれより短く、すなわちT4<T41×4+TMAXであるのに対して、図17の6msではそれより長く、T4>T41×4+TMAXが満足できているためと推定される。
こうして、前記ゲートウェイ3付近の最も干渉が生じる箇所においても、前記フレーム間隔T4を設けることで、一般の無線LAN側では所定の伝送速度24Mbpsを得ることができるとともに、検針データ収集システム側でも所定の伝送速度300kbpsを得ることができる。
再び前記図8に戻って、さらにまた注目すべきは、前記アドホックインタフェイス14およびインフラストラクチャモードインタフェイス15は、ドライバ12に、前記無線LAN規格で予め定められた送信失敗時の再送信周期に前記再送信の試行回数を乗算した期間より短いフレーム長T5で通信を行わせることである。
具体的には、再び前述の図11を参照して、前記無線LAN規格で予め定められた送信失敗時の再送信のためのキャリアセンス周期をT41とし、前記再送信の試行回数を4とすると、前記フレーム長T5は、T5=T41×4である。そして、前記キャリアセンス周期T41には、図11の例では、一般の無線LAN側のフレーム長T6=546μsに、DIFS+バックオフ期間が加算されている。したがって、最短で再送信の試行を終了するケースを想定して、前記バックオフ期間を最小値の0とすると、T41=T6+DIFS=546+34=580μsとなり、T5=T41×4=2320μs以下となる。
このように構成することで、該検針データ収集システム側のデータの送信によって、一般無線LAN側のデータの送信ができなくなっても、該検針データ収集システム側のデータ(フレーム)長T5を規定しておくことで、前記一般の無線LAN側の再送信の試行回数内で、データの送信を行えるようにすることができる。このように構成してもまた、検針データ収集システム側のフレーム(パケット)長T5が短くなって同じデータを送信するにも送信回数が増加するものの、前記一般の無線LAN側では、送信に失敗しても、最後の再送信のタイミングでは無線LAN回線が空いている可能性が高くなり、応答性を向上することができる。特に、IEEE802.11g等の伝送レートが高い無線LAN方式では、前記検針データ収集システム側のフレーム長T5を短くでき、したがって前記フレーム間隔T4を広くできるので、好適である。
図18は、前記フレーム長T5およびブロック間隔T2の設定による効果を確認するための本願発明者の実験方法を説明する図である。図12に類似し、検針データ収集システム側は、ゲートウェイ3から1ホップ目の端末Ucに、無線LAN方式は前記IEEE802.11g、リンク速度は1Mbpsで、容量100Kバイトのデータファイルを配信するものとする。一方、一般の無線LAN側は、前記他の無線LAN端末2’としてのパーソナルコンピュータに対して、ルータRから、無線LAN方式は前記IEEE802.11g+b、リンク速度は54Mbpsで、映像ストリーミングを配信するものとする。そして、前記ゲートウェイ3および端末Ucと、ルータRおよび無線LAN端末2’との間で、相互干渉が生じ、それを互いにキャリアセンスによって検知可能な状況とする。ただし、検針データ収集システム側は14CH、一般の無線LAN側は11CHで、互いに異なるチャネルを使用しているので、キャリアセンスレベルは−62dBmである。
たとえば、前記100kバイトのデータファイルの送信を完了するまでには、フレーム(パケット)長T5を1500バイト、前記ブロック送信期間T1内のフレーム(パケット)数を4とすると、転送ブロック数は17、ブロック間隔T2は16回挿入され、その間継続して転送が行われることになる。
図19は、図18の実験結果を示すもので、検針データ収集システム側で選択したデータ長、したがってそれにヘッダ等を付加したフレーム(パケット)長T5と、ブロック送信期間T1内のフレーム(パケット)数と、ブロック間隔T2との組合わせに対する該検針データ収集システム側および一般の無線LAN側のスループットの測定結果に、一般の無線LAN側の2Mbpsのストリーミング画像の評価、ならびに2Mbpsおよび6Mbpsのストリーミング画像のパケットロス率の測定結果を示す。
それによると、パケットロス率の低いサンプル3,5から、ブロック間隔T2は50ms程度あればよく、フレーム数も、ブロック転送での最小限の2つあれば効果の得られることが理解される。
以上のことから、前記1ブロック当りのフレーム数に、基本サイクルT0=T1+T2を、以下のようにして求める。先ず、一般の無線LAN側のサービスを阻害せず、検針データ収集システム側が、前述のホップ数10で30kbpsの伝送速度、すなわち1ホップ当りの伝送速度として300kbpsを確保するものとする。そして、検針データ収集システム側が、前述のIEEE802.11g、14CHでリンク速度は1Mbpsとし、一般の無線LAN側は、前述のIEEE802.11g+b、11CHでリンク速度は54Mbpsとする。
先ず、前記基本サイクルT0を長く設定すると、検針データ収集システム側および一般の無線LAN側のいずれも待ち時間が長くなる。したがって、ブロック転送期間T1(検針データ収集システム側が使用する)と、ブロック間隔T2(一般の無線LAN側が使用する)とを共に短くする方が、時間共有効果が大きい。そして、前記ブロック転送期間T1を短くするには、ブロック内のフレーム数を少なくし、伝送時間の均等配分の観点から、それに対応してブロック間隔T2も短くする。ここで、前述の図19から、与干渉軽減の観点からは、図20(a)で示すように、ブロック内のフレーム数を2回(最低回数)とするのが望ましい(単に検針データ収集システム側のスループットを上げるためには、2フレーム以上で最適な数を選択すべきであるが、電波環境によって異なるので、ブロック転送を実現する最小限の2とする)。
そして、検針データ収集システム側が使用する前記ブロック転送期間T1は、前述の約300kbpsの伝送速度を維持できるように選択すればよい。したがって、1Mbpsのリンク速度で前記300kbpsの伝送速度を確保するには、この1Mbpsの伝送容量を連続的に使う必要はなく、前記基本サイクルT0の30%を使用すればよい。したがって、図20(b)で示すように、残りを一般の無線LAN側が使用するブロック間隔T2とすると、T1:T2=3:7である。なお、図20では、一般の無線LAN側のリンク速度が速いので、フレーム長が短くなっている。
図21は、上述のようなブロック転送期間T1、ブロック間隔T2、ブロック当りのフレーム数の選択で、効果が確認されたケースの値を示す。ブロック当りのフレーム数はいずれも2で、データ長、したがってフレーム長T5に従ってブロック転送期間T1が異なり、それに合わせてブロック間隔T2も、上記T1:T2=3:7の関係となるように選ばれている。この図21から明らかなように、検針データ収集システム側および一般の無線LAN側で、共に所望とするスループットが得られており、一般の無線LAN側での映像のパケットロスも生じていない。