JP2011079880A - タイヤトレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ウェットグリップ性と耐摩耗性と低温性能のバランスを改良する。
【解決手段】ジエン系ゴムとフィラーを含有するタイヤトレッド用ゴム組成物において、前記ジエン系ゴム100重量部中、ガラス転移点が−10℃〜10℃でかつ重量平均分子量が90万以上の溶液重合スチレンブタジエンゴム(A)10重量部以上と、ガラス転移点が−120℃〜−50℃でかつ重量平均分子量が前記溶液重合スチレンブタジエンゴム(A)よりも30万以上小さい低Tgジエン系ゴム(B)90重量部以下を、両者の重量部の比(A/B)が1/8以上1/1未満となるよう配合する。
【選択図】なし

Description

本発明は、空気入りタイヤのトレッドに用いられるタイヤトレッド用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
空気入りタイヤ、とりわけハイパフォーマンスタイヤにおいては、湿潤路面でのグリップ性能であるウェットグリップ性だけでなく、優れた耐摩耗性や、常温以下の低温時にも硬くなりにくく接地面積が低下しないトレッドゴムが求められている。
ウェットグリップ性を向上させるための手法として、例えば、ガラス転移点の高いゴムポリマーを使用したり、粘着付与剤を添加したり、フィラーとオイルの配合量を増やすなどの手法がとられている。
しかしながら、ゴムポリマーのガラス転移点を高くすると、ウェットグリップ性は改善するものの、耐摩耗性の悪化や、低温時に硬くなりすぎて路面との接触面積が減少しグリップ性が低下する可能性が考えられる。また、粘着付与剤は、ロールに過粘着するなどし、多くを用いることはできない。フィラーとオイルの配合量を増やすと、耐摩耗性が悪化してしまう。このように従来技術では、ウェットグリップ性と耐摩耗性と低温性能をバランスよく向上することはできない。
ところで、ウェットグリップ性と、耐摩耗性などの背反性能をバランスさせるために、ガラス転移点の高いゴムポリマーと、ガラス転移点の低いゴムポリマーをブレンドして用いることが知られている。
例えば、下記特許文献1には、ゴム成分として、ガラス転移点−35℃超のスチレンブタジエンゴムと、ガラス転移点−55℃以下のジエン系ゴムとをブレンドしてなり、両ゴムポリマーが特定のスチレン分布を持つことを特徴としたゴム組成物が開示されている。
下記特許文献2には、ガラス転移点が−40℃以上のスチレンブタジエンゴム(i)と、これに非相溶でガラス転移点が10℃以上低いスチレンブタジエンゴム(ii)と、(i)に相溶で(ii)に非相溶のブロックAと(ii)に相溶で(i)に非相溶のブロックBを有するブロック共重合体とを配合したゴム組成物が開示されている。
下記特許文献3には、ゴム成分として、ガラス転移点が−60℃〜0℃の高Tgジエン系ゴムと、該高Tgジエン系ゴムとのSP値の差が所定範囲内にある低Tgジエン系ゴムとを用い、高Tgジエン系ゴムをシリカ配合のマスターバッチとし、低Tgジエン系ゴムをカーボンブラック配合のマスターバッチとして、両者をブレンドしてなるゴム組成物が開示されている。
下記特許文献4には、ゴム成分として、スチレン含量が20重量%以下、ビニル含量が60〜80%の高Tgスチレンブタジエンゴム(A’)10〜50重量部と、スチレン含量が15重量%以上、ビニル含量が10%以下の低Tgスチレンブタジエンゴム(B’)50〜90重量部とを用いたゴム組成物が開示されている。
特公平7−81034号公報 特開平8−283465号公報 特開平10−316799号公報 特開2001−151940号公報
上記のように従来、ゴム成分として、高Tgポリマーと低Tgポリマーをブレンドして用いる点は知られていたものの、低Tgポリマーに、より高分子量で高Tgのポリマーを、低Tgポリマーの方が多量となるように配合することにより、フィラーを低Tgポリマー側に偏在させて、ウェットグリップ性と耐摩耗性と低温性能を高度にバランスさせることは知られていなかった。
より詳細には、例えば、上記特許文献4には、低Tgのスチレンブタジエンゴムを高Tgのスチレンブタジエンゴムよりも多量にブレンドする点は開示されているものの、分子量の点で本発明の特徴を開示するものではなく、よって、フィラーを低Tgポリマー側に偏在させることを何ら示唆するものではない。また、特許文献4には、スチレン含量及びビニル含量から推定して、ガラス転移点が−10℃以上となるような高Tgのスチレンブタジエンゴムも開示されていない。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、ウェットグリップ性と耐摩耗性と低温性能のバランスを改良することができるタイヤトレッド用ゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明に係るタイヤトレッド用ゴム組成物は、ジエン系ゴムとフィラーを含有するものであって、前記ジエン系ゴム100重量部中、ガラス転移点が−10℃〜10℃でかつ重量平均分子量が90万以上の溶液重合スチレンブタジエンゴム(A)10重量部以上と、ガラス転移点が−120℃〜−50℃でかつ重量平均分子量が前記溶液重合スチレンブタジエンゴム(A)よりも30万以上小さい低Tgジエン系ゴム(B)90重量部以下を、両者の重量部の比(A/B)が1/8以上1/1未満となるよう配合したことを特徴とするものである。
本発明に係る空気入りタイヤは、かかるゴム組成物を用いてなるトレッドを備えたものである。
本発明によれば、ウェットグリップ性と耐摩耗性と低温性能のバランスを改良することができる。
実施例1に係るゴム組成物におけるtanδの温度依存性カーブを示すグラフである。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
上記のようにウェットグリップ性と耐摩耗性と低温性能のバランスを改良できる理由は次のように考えられる。すなわち、ゴム成分として、ガラス転移点が−50℃以下の低Tgジエン系ゴム(B)に、ガラス転移点が−10℃以上でかつ重量平均分子量が90万以上であるより高分子量の溶液重合スチレンブタジエンゴム(A)を、低Tgジエン系ゴム(B)よりも少量で用いたことにより、低Tgジエン系ゴム(B)を海相とし、高Tgの溶液重合スチレンブタジエンゴム(A)を島相とした海島構造とすることができ、フィラーをより低分子量側の低Tgジエン系ゴム(B)側に偏在させることができる。そのため、フィラーを強固に結合させたバウンドラバーを低Tgジエン系ゴム(B)で形成させることができ、耐摩耗性を向上させることができる。また、ゴム成分の大半を占める低Tgジエン系ゴム(B)の影響により低温時も硬くなりにくく、グリップ性を発揮することができる。そして、フィラーに拘束されずにウェットグリップ性に寄与すると考えられる島相に高Tg溶液重合スチレンブタジエンゴム(A)を配置することにより、ウェットグリップ性が向上する。
(A)成分のゴムポリマーは、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)である。S−SBRは、一般に、有機リチウム化合物を開始剤とする1,3−ブタジエンとスチレンとの共重合により得られた共重合体ゴムであり、(A)成分としては、ガラス転移点(Tg)が−10℃〜10℃(即ち、−10℃≦Tg≦10℃)であり、かつ、重量平均分子量(Mw)が90万以上(即ち、Mw≧90万)であるものを用いる。
(A)成分のS−SBRのTgが−10℃未満であると、ウェットグリップ性の向上効果が得にくく、逆に10℃を超えると低温性能や耐摩耗性を確保することが難しくなる。該Tgはより好ましくは−10℃〜0℃である。なお、本発明においてガラス転移点は、JIS K7121に準拠して示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定される値(昇温速度20℃/分)である。
このようなTgの高いS−SBRは、スチレン含量やブタジエン部中のビニル含量を調整することにより得ることができ、詳細には、スチレン含量とビニル含量をともに多くすることで得られる。特に限定するものではないが、(A)成分のS−SBRとしては、スチレン含量(St)が35〜50重量%で、ブタジエン部中のビニル含量(Vi、ブタジエン部分の全体を100重量%としたときの1,2−ビニル構造の含量)が55〜80重量%であるものが好ましく用いられる。スチレン含量とブタジエン部中のビニル含量は、HNMRスペクトルの積分比により算出される値である。
(A)成分のS−SBRは、このように高Tgでありながら、Mw≧90万の高分子量であることを要する。高分子量とすることで、フィラーとの混練時に(A)成分にフィラーを入りにくくして、グリップ性をより効果的に発揮することができる。Mwはより好ましくは100万以上、更に好ましくは110万以上である。一方、Mwの上限は、特に限定されないが、通常は200万以下、より好ましくは150万以下である。なお、Mwは、テトロヒドロフラン(THF)を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー社製「HCL−8220」、測定温度40℃)により測定される値である。
(A)成分のS−SBRとしては、上記のような高Tgかつ高分子量のS−SBRを1種のみ用いてもよく、あるいはまた、このような高Tgかつ高分子量のS−SBRを2種以上組み合わせて用いてもよい。
(B)成分のゴムポリマーは、ガラス転移点が−120℃〜−50℃(即ち、−120℃≦Tg≦−50℃)であり、かつ重量平均分子量が上記(A)成分のS−SBRよりも30万以上小さい低Tgジエン系ゴムである。このようなジエン系ゴムの種類としては、特に限定されず、例えば、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)や乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)などのスチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)などが挙げられる。
(B)成分のジエン系ゴムのTgが−50℃よりも高いと、上記(A)成分のS−SBRとブレンドすることとの関係上、低温性能を確保することができない。なお、Tgの下限値を−120℃以上としたのは、これよりもTgが低いジエン系ゴムは一般に市販されていないためである。該Tgはより好ましくは−110℃〜−60℃である。
(B)成分にSBRを用いる場合、スチレン含量やブタジエン部中のビニル含量を調整することにより上記の低ガラス転移点とすることができる。特に限定するものではないが、(B)成分のSBRとしては、スチレン含量(St)が10〜30重量%、ブタジエン部中のビニル含量(Vi)が5〜30重量%であるものが好ましく用いられる。
(B)成分の低Tgジエン系ゴムは、Mwが(A)成分のS−SBRよりも30万以上小さいことを要する。すなわち、
(A成分のS−SBRのMw)−(B成分のジエン系ゴムのMw)≧30万
である。このように(B)成分のジエン系ゴムとして、(A)成分に比べて所定以上低分子量のジエン系ゴムを用いることにより、フィラーとの混練時に(B)成分にフィラーを偏在させることができ、低Tgのジエン系ゴムによりバウンドラバーを形成させることにより、耐摩耗性を効果的に向上させることができる。より好ましくは、Mwが(A)成分よりも40万以上小さいことであり、更に好ましくは50万以上小さいことである。(B)成分のジエン系ゴムのMwは、30万〜80万であることが好ましく、より好ましくは40万〜60万である。なお、(B)成分として天然ゴムを用いる場合、素練りにより分子量を下げることで、上記分子量の範囲内のものを得ることができる。
(B)成分のジエン系ゴムとしては、上記のような低Tgかつ低分子量のジエン系ゴムのMwを1種のみ用いてもよく、あるいはまた、このような低Tgかつ低分子量のジエン系ゴムを2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るゴム組成物において、ゴム成分であるジエン系ゴムは、上記(A)成分のS−SBRが10重量部以上と、(B)成分の低Tgジエン系ゴムが90重量部以下とを、両者の重量部の比(A/B)が1/8以上1/1未満となるようにブレンドさせることで構成される。(A)成分が10重量部未満で、(B)成分が90重量部超であると、ウェットグリップ性に劣る。(A)成分は、より好ましくは20〜40重量部であり、(B)成分は、より好ましくは60〜80重量部である。
また、(A)成分と(B)成分の重量比A/Bが1/1以上であると、(B)成分が少なくなって、低温性能が損なわれる。A/Bは、より好ましくは1/5〜3/4であり、更に好ましくは1/4〜2/3である。
本発明のゴム組成物において、ゴム成分としてのジエン系ゴムは、上記(A)成分と(B)成分のみから構成されることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲内で、これ以外のゴムポリマーを含有してもよい。
ゴム組成物に配合されるフィラーとしては、特に限定されないが、カーボンブラック及び/又はシリカを用いることが補強性の点で好ましい。フィラーの配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して50〜150重量部であることが好ましく、より好ましくは50〜100重量部である。フィラーの配合量が50重量部未満では、耐摩耗性を確保することが難しくなる。逆に150重量部を超えると加工性が損なわれる。
より好ましくは、フィラーはシリカを主成分とすることであり、即ち、フィラーは、シリカ単独、又はシリカ70重量%以上とカーボンブラック30重量%との併用である。このようにシリカを主として用いることにより、ウェットグリップ性を向上することができる。シリカとしては、特に限定されず、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸),乾式シリカ(無水ケイ酸),ケイ酸カルシウム,ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも湿式シリカが好ましい。シリカのコロイダル特性は特に限定しないが、BET法による窒素吸着比表面積(BET)150〜250m/gであるものが好ましく用いられ、より好ましくは180〜230m/gである。なお、シリカのBETはISO 5794に記載のBET法に準拠し測定される。なお、シリカを配合する場合、シランカップリング剤を配合することが好ましく、シランカップリング剤は、シリカ100重量部に対して5〜15重量%で用いることが好ましい。
本発明に係るゴム組成物には、上述した各成分の他に、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、軟化剤、加硫促進剤、加硫剤、加硫助剤、樹脂類など、タイヤのトレッド用ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。
上記ゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやロール、ニーダー等の混合機を用いて混練し作製することができる。得られたゴム組成物は、各種空気入りタイヤのトレッドに用いることができ、常法に従い加硫成形することにより、該トレッドを備えた空気入りラジアルタイヤを作製することができる。適用するタイヤとしては、乗用車用タイヤ、トラックやバスなどの重荷重用タイヤなど、特に限定するものではないが、より好ましくは、ハイパフォーマンスタイヤと称される、例えば扁平率が55%以下の高性能タイヤに用いることである。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合に従って、常法に従いゴム組成物を調製した。詳細には、まず第一混合段階で、ジエン系ゴムに対し、硫黄及び加硫促進剤を除く他の配合剤を添加し混練し、次いで、得られた混練物に、最終混合段階で、硫黄と加硫促進剤を添加し混練して、ゴム組成物を調製した。表1中の各成分は以下の通りである。
・(A1)S−SBR:住友化学株式会社製「SE−6529」(St=43重量%、Vi=57重量%、Tg=−4℃、Mw=120万)
・(A2)S−SBR:住友化学株式会社製「SE−6233」(St=40重量%、Vi=64重量%、Tg=−2℃、Mw=116万)
・(B1)S−SBR:旭化成株式会社製「Tuf1834」(St=17重量%、Vi=11重量%、Tg=−68℃、Mw=59万)
・(B2)E−SBR:JSR株式会社製「SBR1723」(St=24重量%、Vi=19重量%、Tg=−53℃、Mw=48万)
・(B3)BR:JSR株式会社製「BR01」(Tg=−102℃、Mw=45万)
・(C1)S−SBR:旭化成株式会社製「TufE580」(St=36重量%、Vi=38重量%、Tg=−31℃、Mw=81万)
・カーボンブラック:ISAF、東海カーボン株式会社製「シースト7HM」
・シリカ:東ソー・シリカ株式会社製「ニップシールAQ」(BET=205m/g)
・シランカップリング剤:エボニック社製「Si69」
・オイル:株式会社ジャパンエナジー製「NC140」
・ステアリン酸:花王株式会社製「ルナックS−20」
・亜鉛華:三井金属鉱業株式会社製「亜鉛華1種」
・老化防止剤:大内新興化学工業株式会社製「ノクラック6C」
・ワックス:日本精鑞株式会社製「OZOACE0355」
・加硫促進剤1:三新化学工業株式会社製「サンセラーDM−G」
・加硫促進剤2:住友化学株式会社製「ソクシノールCZ」
・硫黄:鶴見化学工業株式会社製「粉末硫黄」
得られた各ゴム組成物について、160℃×30分で加硫して所定形状の試験片を作製し、得られた試験片を用いて、ウェットグリップ性、耐摩耗性、及び低温性能を評価した。各評価方法は次の通りである。
・ウェットグリップ性:JIS K6255に従いリュプケ式反発弾性試験を行い、23℃での反発弾性率を測定し、その逆数について比較例1の値を100とした指数(「比較例1の反発弾性率」×100/「各試験片の反発弾性率」)で示した。指数が大きいほど、反発弾性率が小さいことを示す。23℃での反発弾性率とウェットグリップ性には相関関係があり、反発弾性率が小さいほどウェットグリップ性に優れることは当業者によく知られたことである。従って、該指数が大きいほど、ウェットグリップ性に優れることを意味する。
・耐摩耗性:JIS K6264に準拠して、岩本製作所株式会社製のランボーン摩耗試験機を用いて、荷重40N、スリップ率30%、落砂量20g/分の条件で摩耗量を測定し、その逆数について比較例1の値を100とした指数(「比較例1の摩耗量」×100/「各試験片の摩耗量」)で示した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを意味する。
・低温指数:東洋精機株式会社製の粘弾性試験機を使用し、周波数10Hz、静歪み10%、動歪み±0.25%、温度−5℃における貯蔵弾性率E’を測定し、その逆数について比較例1の値を100とした指数(「比較例1のE’」×100/「各試験片のE’」)で示した。指数が大きいほど、貯蔵弾性率E’が小さく、従って低温時の接地面積が広く、低温性能に優れることを意味する。
Figure 2011079880
結果は表1に示す通りであり、実施例1であると、コントロールである比較例1に対して、ゴムポリマー全体の平均Tgはほぼ同等でありながら、ウェットグリップ性と耐摩耗性と低温性能のバランスが大幅に向上していた。実施例2では、ゴムポリマー全体の平均Tgが比較例1よりも高いため、耐摩耗性と低温性能がやや低下したが、その低下を抑えつつ、ウェットグリップ性を大幅に向上することができ、全体のバランス(指数合計)としては比較例1よりも有利に向上していた。実施例3では、低Tgジエン系ゴム(B)としてBRを用いており、この場合にも、ウェットグリップ性と耐摩耗性と低温性能のバランスが大幅に向上していた。実施例4は、実施例1に対して高TgのS−SBR(A)の種類を変更したが、同様に、ウェットグリップ性と耐摩耗性と低温性能のバランスが大幅に向上していた。実施例5は、実施例1に対して、高TgのS−SBR(A)と低Tgジエン系ゴム(B)との比率を変更したものであり、ゴムポリマー全体のTgが低いことから、ウェットグリップ性の向上幅は小さかったものの、耐摩耗性と低温性能が大幅に向上したので、全体のバランスも大きく向上していた。
これに対し、比較例2では、高TgのS−SBRとブレンドしたのが、(B)成分の低Tgジエン系ゴムよりもガラス転移点の高いジエン系ゴムであったため、ウェットグリップ性には優れたものの、耐摩耗性と低温性能が大幅に悪化していた。比較例3では、(A)成分の高TgのS−SBRを、(B)成分の低Tgジエン系ゴムよりも多量に配合しており、ウェットグリップ性には優れたものの、耐摩耗性が悪化し、特に低温性能の悪化が大きく、全体のバランスが低下していた。比較例4では、(A)成分の高TgのS−SBRが少なすぎて、ウェットグリップ性が大きく悪化してしまった。
実施例1に係るゴム組成物について、損失係数(tanδ)と温度との関係を求めたグラフを図1に示す。損失係数の測定は、東洋精機製の粘弾性試験機を使用し、周波数10Hz、静歪み10%、動歪み±0.25%の条件で実施した。
図1に示すように、実施例1に係るゴム組成物では、0℃付近に(A)成分に由来する高Tg側のピーク(Pa)が、−30℃付近に(B)成分に由来する低Tg側のピーク(Pb)が、それぞれ現れたが、低Tg側のピーク(Pb)は、(B)成分を(A)成分よりも多量に配合しているにもかかわらず、山のピークが低かった。一般にtanδのピークは、フィラーが存在すると低くなる傾向にあるため、図1のグラフから、このゴム組成物は、低Tgジエン系ゴム(B)を海相とし、高TgのS−SBR(A)を島相とした海島構造であって、フィラーが低Tgジエン系ゴム(B)側に偏在しているものと推測される。この点、他の実施例についても同様であり、よって、実施例のゴム組成物であると、低Tgジエン系ゴム(B)で形成されるバウンドラバーによる耐摩耗性効果、ゴム成分の大半を占める低Tgジエン系ゴム(B)による低温性能効果、更には、高TgのS−SBRがフィラーに拘束されない島相に存在することによるウェットグリップ性効果が、発揮され、これらのバランスが高度に向上するものと解され、上記実施例の表1で示す結果とも符合していた。

Claims (4)

  1. ジエン系ゴムとフィラーを含有するタイヤトレッド用ゴム組成物であって、
    前記ジエン系ゴム100重量部中、ガラス転移点が−10℃〜10℃でかつ重量平均分子量が90万以上の溶液重合スチレンブタジエンゴム(A)10重量部以上と、ガラス転移点が−120℃〜−50℃でかつ重量平均分子量が前記溶液重合スチレンブタジエンゴム(A)よりも30万以上小さい低Tgジエン系ゴム(B)90重量部以下を、両者の重量部の比(A/B)が1/8以上1/1未満となるよう配合したことを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物。
  2. 前記低Tgジエン系ゴム(B)は重量平均分子量が30万〜80万である請求項1記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  3. 前記フィラーとしてカーボンブラック及び/又はシリカを前記ジエン系ゴム100重量部に対して50〜150重量部含有する請求項1又は2記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いてなるトレッドを備えた空気入りタイヤ。
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