図1は本発明の水解性の清掃用品がホルダに保持された状態を示す斜視図、図2は、図1に示すホルダに保持されている水解性の清掃用品の第1の実施の形態を示す斜視図、図8(A)(B)(C)は紐体を構成する縒り紐を構造別に示す説明図である。
図1と図2に示すように、水解性の清掃用品1は、保持部2と清掃部3を有している。
保持部2はほぼ円柱形状である。
図1に示すホルダ10は、合成樹脂製の柄部11の先部に収納部12が一体に形成され、この収納部12に対向する合成樹脂製の押さえ部13が設けられている。収納部12は内周面が円筒面の一部となるように形成されており、押さえ部13も収納部12に対向する内面が円筒面の一部となるように形成されている。収納部12と押さえ部13は前記円筒面の直径方向に対向している。押さえ部13にはレバー14が一体に形成されており、このレバー14が、柄部11に形成されたブラケット11aに、軸15を介して回動自在に支持されている。前記レバー14の上部には操作ワイヤ16が回動自在に連結されている。
前記軸15にはトーションスプリング(図示省略)が設けられ、このトーションスプリングによって、レバー14が軸15を支点として時計方向へ付勢され、押さえ部13が収納部12に接近する方向へ付勢されている。柄部11の上部にはハンドル部が設けられ、このハンドル部に操作レバーが設けられている。前記操作ワイヤ16は太い針金線でありその上端が前記操作レバーに連結されている。操作レバーを引き上げると、押さえ部13が収納部12から離れる。このとき、清掃用品1の保持部2を収納部12と押さえ部13との間に入れ、操作レバーを離すと、前記トーションスプリングの付勢力により、収納部12と押さえ部13との間で清掃用品1の保持部2が挟持される。
清掃用品1がホルダ10に保持された状態で、清掃用品1の清掃部3で便器などの被清掃部を擦ることにより、便器などの表面に付着した汚れを取ることができる。
このとき便器内に溜まっている水で清掃部3を濡らして拭き取りを行うことも可能である。清掃作業が終了したら、前記操作レバーを持ち上げ、押さえ部13による押さえ力を解除することで、清掃用品1に手を触れることなく、この清掃用品1を便器内に廃棄することができる。
図2に示すように、清掃用品1は、複数の紐体4が束ねられて構成されている。
紐体4は、切断した端面4aが清掃部3の先端に向けられ、清掃部3では、個々の紐体4が互いに接合されることなく独立している。個々の紐体4の基部は、保持部2において水溶性接着剤により互いに接着され、さらに紐体4の束の外周面に保持材5が巻かれ、水溶性接着剤で接着されている。なお、保持部2において紐体4どうしが接着されておらず、紐体4が束ねられて保持材5で巻かれることのみで円柱形状を保つようにしてもよい。
図8(A)(B)(C)は、前記紐体4を形成するための縒り紐4A,4B,4Cの構造および製造方法を実施の形態別に示している。清掃用品1に使用される紐体4は、縒り紐4A,4B,4Cのいずれか1種で構成される。あるいは清掃用品1の紐体4として、縒り紐4A,4B,4Cを2種類以上組み合わせて使用してもよい。
図8(A)に示す縒り紐4Aは、所定幅の帯状の水解性シート8を一方向へ捻り加工して縒ったものである。水解性シート8は、水解性の繊維交絡不織布で形成されて、縒り紐4Aの湿潤時の強度を高く維持できるようにしている。繊維交絡不織布は、繊維長が20mm以下の繊維をメッシュ状などの多孔板のコンベア上に積層し、ウォータジェット処理で繊維間を交絡させることで形成できる。
前記繊維交絡不織布は、例えば繊維長が20mm以下でウォータジェットで交絡可能な繊維と、天然繊維であるパルプ繊維とで構成される。パルプ繊維と、繊維長が20mm以下の交絡可能な繊維とで不織布を構成すると、ウォータジェット処理でパルプ繊維以外の前記繊維が交絡するとともに、パルプ繊維どうしおよびパルプ繊維と、それ以外の交絡可能な繊維とが水素結合する。この繊維交絡不織布は、パルプ繊維の水素結合力により乾燥時の強度を維持でき、湿潤時には、繊維どうしの交絡力により表面強度を高く維持できる。水中に廃棄されて多量の水が与えられると、パルプ繊維が分離することで紐体の縒りが弛むとともに、交絡可能な繊維の交絡力が弛み、比較的短い時間で繊維どうしがばらばらになる。
繊維長が20mm以下で且つウォータジェット処理で交絡可能な他の繊維としては、生分解性の繊維が好ましく、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸レーヨン、ポリノジックレーヨン、銅アンモニアレーヨン、アルギン酸レーヨンなどの再生セルロース繊維を使用することが好ましい。繊維長が20mm以下で且つウォータジェット処理で交絡する他の繊維として、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン(PP)繊維などの合成樹脂繊維を使用することも可能である。
また、パルプ繊維に加え、あるいはパルプ繊維に代わるものとして、麻、綿などの天然繊維、あるいはバガス、バナナ、パイナップル、竹その他の天然繊維を使用することもできる。
さらに、水溶性樹脂であるポリビニルアルコール(PVA)繊維や、水溶性あるいは水膨潤性のカルボキシメチルセルロース(CMC)をバインダーとして加えて水解性シート8の乾燥時の強度を高め、また、縒り紐4Aを形成した後に前記バインダーを塗工して縒られた形状を維持しやすくしてもよい。
また前記パルプ繊維の代わりに、あるいはパルプ繊維と併用して、繊維長が3〜7mm程度のレーヨンを叩解し、繊維本体の表面に繊維長が1mm以下の多数のマイクロファイバーが剥離形成されたフィブリル化レーヨンを使用し、レーヨン繊維などの交絡可能な繊維と、パルプおよびフィブリル化レーヨンを湿式で抄紙し、またはレーヨン繊維などの交絡可能な繊維とフィブリル化レーヨンを湿式で抄紙し、その後にウォータジェット処理を施した繊維交絡不織布も使用できる。この不織布は、フィブリル化レーヨンの水素結合力で繊維が強固に固定されるため、乾燥状態と湿潤状態での強度を高くでき、しかも、多量の水が与えられたときにはフィブリル化レーヨンが分散することで、短時間で水解できるようになる。
縒り紐4Aを形成する繊維交絡不織布は、パルプ繊維などの天然繊維を10質量%以上含み、さらにレーヨン繊維などのようにウォータジェット処理で交絡可能な繊維長20mm以下の繊維を10質量%以上含むことが好ましい。天然繊維を10質量%以上含むことにより、乾燥時の水解性シート8の強度を高くでき、強く捻った後に水素結合力で縒り形状を維持できる。また交絡可能な繊維が10質量%以上含まれることにより、湿潤時の強度を高くできる。
繊維交絡不織布で形成された水解性シート8は、目付けが30g/m2以上であることが好ましく、さらに好ましくは50g/m2以上である。またシート厚みは0.1mm以上で0.5mm以下であることが好ましい。目付けが前記未満であると、湿潤時のシート強度が低下し、紐体4の強度も低下する。目付けの上限は特に規定されないが、水解性シート8の水解時間を700秒以下とするためには、目付けの上限が120g/m2程度であることが好ましい。
図8(A)では、繊維交絡不織布である水解性シート8を1枚用いて縒り紐4Aを形成しているが、この水解性シート8を複数枚重ねて縒り紐を形成してもよい。図2に示す清掃用品1に使用される個々の紐体4を太いものとし清掃時の強度を高くするためには、1枚の水解性シート8の目付けおよび厚みを増大させればよいが、前述のように、目付けが120g/m2を超えると、浄化槽内などでの水解時間が700秒を超えるおそれがあり好ましくない。また、1枚の水解性シート8の目付けと厚みを増大させすぎると、捻り工程において縒りにくくなる。したがって、紐体4を太くするときには、目付けが30〜120g/m2の範囲の水解性シート8を複数枚使用して縒り紐4Aを形成することが好ましい。
図8(B)に示す縒り紐4Bは、繊維交絡不織布である前記水解性シート8と、水解紙9とを重ねて、水解性シート8と水解紙9を一緒に縒ることで形成されている。水解紙9は、パルプ繊維などの天然繊維を抄紙し、またはパルプ繊維などの天然繊維と、レーヨン繊維などの再生セルロース繊維とを抄紙して繊維どうしの水素結合力で強度を発揮させている。
水解性シート8と水解紙9とを重ねて一緒に縒ると、繊維交絡不織布である水解性シート8の強度が高いために、強くしっかり捻って縒ることができる。縒った後は、水解紙9を構成する繊維の水素結合力により、乾燥時において縒った形状を維持できるようになる。よって、密度の高い縒り紐4Bを容易に加工でき、縒り形状を維持することができる。高密度な縒り紐4Bで、図2に示す清掃用品1の紐体4を形成すると、少量の水分を含んだ状態においても、剛性の高い紐体4で便器などの表面に付着した汚れを掻き取ることができる。また、水洗トイレット内などに廃棄して多量の水が与えられると、水解紙9を構成する繊維が弛んで縒り状態が弛みはじめ、これをきっかけとして水解性シート8も弛むようになる。
図8(B)に示す縒り紐4Bは、水解紙9が青色や赤色など白色以外の色に着色されている。繊維交絡不織布である水解性シート8は白色繊維で形成されている。水解性シート8と水解紙9を重ねて縒ることにより、着色部と白色部が交互に位置するようになり、外観が良好になる。
図8(B)に示す縒り紐4Bを加工するときに、前記水解紙9の代わりにエアーレイド不織布を使用することができる。エアーレイド不織布は、パルプ繊維をエアーレイド法で積層して繊維ウエッブを形成し、PVAなどの水溶性バインダーで繊維間を接着したものである。このエアーレイド不織布は、例えば目付けが20〜80g/m2の範囲で、繊維密度が0.04〜0.700g/cm3程度の低密度である。厚みは0.3〜5mm程度であり嵩高である。また水中において短時間で分解可能である。このエアーレイド不織布はクッション性を有しているため、エアーレイド不織布と繊維交絡不織布である水解性シート8とを一緒に捻り加工することにより、弾力性のある縒り紐を得ることができる。
図8(C)に示す縒り紐4Cは、1枚の水解紙9、または複数枚の水解紙9、あるいは前記エアーレイド不織布、もしくは水解紙9とエアーレイド不織布を重ねて縒って芯部を形成し、この芯部の周囲に、繊維交絡不織布である水解性シート8を巻きつけながらさらに縒ったものである。この縒り紐4Cは、芯部が強い水素結合力を発揮して捻った状態を維持して高密度である。芯部の周囲に湿潤強度の高い水解性シート8が巻き付けられているため、紐体4の表面強度を高くでき、濡れた状態で拭き取りを行ったときに紐体4の形状を維持しやすい。また多量の水が与えられると、芯部を構成する水解紙9またはエアーレイド不織布が分解し、これをきっかけとして水解性シート8の縒れが弛んで、短時間で水解できるようになる。
前記縒り紐4A,4B,4Cの縒り回数は、縒り紐を縒る前のシートの長さ25cm当たり4〜30回が好ましい。前記回数よりも少ないと、縒り紐の密度が低くなりすぎて、拭き取り作業時の摩擦力に耐えることができず、破れやすくなる。また前記回数を超えると、縒り作業中にシートに負荷が作用し、切断するおそれがある。また縒り紐4A,4B,4Cの太さは1〜10mmが好ましい。この範囲であれば、紐体4で被清掃部を拭いたときの感触が良好であり、水洗トイレットなどに廃棄したときに、配管内に詰まることなく廃棄しやすくなる。
図2に示す清掃用品1を構成する紐体4は、前記縒り紐4A,4B,4Cの少なくとも1種類が例えば30〜100mmの長さに切断され、同じ長さのものが5〜50本程度束ねられて構成される。紐体4は切断端面4aが揃えられた状態で、保持部2において紐体4の基部どうしがPVAなどの水溶性接着剤で接着され、さらに紐体4の束の外面に、水解性の保持材5が巻かれて水溶性接着剤で接着される。清掃部3では個々の紐体4が互いに独立している。
この清掃用品1は、使用時に保持部2が図1に示すホルダ10の収納部12と押さえ部13とで保持されて使用されるため、清掃中に保持部2が水で濡れても、保持部2において紐体4が簡単に分離するのを防止できる。したがって、保持部2には、ホルダ10に装着されるまでの間で且つ乾燥時に、紐体4が分離しない程度の固定力が作用していれば十分であり、この保持部2に巻かれる保持材5を、前記水解紙9と同様の紙材で形成することができる。また、水解性の保持材5をPVAフィルムなどの水解性フィルムで形成することも可能である。あるいは、保持部2において紐体4が束ねられて圧縮され、または加熱されて圧縮され、紐体4どうしの水素結合力が高められたものであってもよい。
また、清掃部3においても紐体4どうしが水溶性接着剤で互いに接着され、または紐体4どうしが水素結合力により結合されたものであってもよい。この場合に、清掃部3で便器などを拭いているときに、清掃部3に水分が与えられると、紐体4どうしが独立し、独立した紐体4で拭き取りが行なわれる。
保持部2における紐体4どうしの固定力を弱くしておくと、紐体4そのものが分解する水解時間よりも、保持部2において紐体4が分離する水解時間の方が短くなる。
清掃用品1が水洗トイレットなどに廃棄されて多量の水が与えられると、直ちに保持部2における紐体4どうしの接合力が解除されて、紐体4がばらばらに分離し、その後個々の紐体4が短時間で水解できるようになる。
個々に分解した紐体4の水解時間は、1本の紐体4の長さを100mmとし、JIS P4501(トイレットペーパほぐれやすさ試験)に準じて測定したときに、700秒以下であることが好ましく、さらに好ましくは600秒以下である。またさらに好ましくは300秒以下である。前記測定は、容量が300ミリリットルのビーカーに、水温が20±5℃のイオン交換水を300ミリリットル入れ、紐体4をイオン交換水内に投入してから、水中で回転子を600rpmの回転数で回転させてイオン交換水と共に紐体を攪拌したときに、紐体の形態が無くなりさらにシート状の形態も残らず、構成繊維ごとに分散されるまでの時間を測定したものである。
次に、清掃用品1の使用方法を説明する。
図2に示す清掃用品1の保持部2を、図1に示すホルダ10の収納部12と押さえ部13との間で保持し、清掃部3で水洗トイレットの便器の内側を擦るようにして清掃する。
このとき清掃部3を水洗トイレット内の洗浄水で濡らして拭き取りを行うと、汚れを効果的に除去できる。紐体4は水解性シート8を縒ったもの、あるいは水解性シート8と水解紙9を縒ったものであり、繊維が高密度で剛性が高く且つ弾力性を有する。
さらに紐体4の表面には縒りにより凹凸が形成されている。そのため、便器に付着している汚れを効果的に除去することができる。特に紐体4が繊維交絡不織布で構成されているため、表面強度が高く清掃時に擦り切れることがないため、紐体4の形状を維持しやすい。清掃部3は複数本の紐体4で形成されているため、個々の紐体4が便器などの被清掃部の表面で独立して動き、また清掃時の圧力を受けたときに個々の紐体4が離れて清掃部3が広がるため、便器などを隅々まで清掃しやすくなる。
清掃後に、ホルダ10の押さえ部13を収納部12から離すと、清掃用品1が水洗トイレット内に落下し、そのまま洗浄水と共に流すことができる。水中で保持部2の固定力が解除されて個々の紐体4に分散されるため、紐体4が配管に詰まることなく流れるようになる。そして配管内または浄化槽内で紐体4が分解してばらばらの繊維となる。
図3ないし図5は前記第1の実施の形態の水解性の清掃用品の変形例を示す斜視図である。
図3に示す清掃用品21は、所定長さの紐体4を束ねて、その束の全長にわたって、周囲に水解性の保持材5を巻き付け、保持材5の内面と複数の紐体4とを水溶性の接着剤で接着している。この清掃用品21は、一方の端部21aと他方の端部21bの、いずれか一方を保持部として使用でき、他方を清掃部として使用できる。すなわち、清掃用品21は端部21aと端部21bのどちらでもホルダ10の収納部12と押さえ部13との間に保持させることができる。本発明は、この形態のように、保持部と清掃部とが構造上区別できないものであってもよい。
前記清掃用品21では、個々の紐体4が互いに接着されていなくてもよい。保持材5で巻かれていることにより、ホルダ10に装着されるまで図3に示す形態を維持できる。端部21aと端部21bのいずれかをホルダ10の収納部12と押さえ部13とで保持させると、その後に保持材5が水で濡れて水解しても、紐体4の基部が束ねられて収納部12と押さえ部13とで保持されているため、清掃用品21は束の状態を維持できる。また、保持材5が水で濡れて水解すると、ホルダ10で保持されていない部分において、紐体4が互いに自由状態になり、個々の紐体4で被清掃部を拭き取ることができる。
図4に示す清掃用品31は、個々の紐体4がその長さ方向の中心から折り返されており、紐体4の端部が保持部32において束ねられ、水溶性接着剤で互いに接着され、さらにその周囲に保持材5が巻かれて接合されている。紐体4の折曲部4bは、清掃部33の先部に現れており、清掃部33では紐体4が互いに独立している。
この清掃用品31では、清掃部33に紐体4の折曲部4bが位置し、清掃部33に紐体4の切断端面4aが露出していないため、清掃部33の先部に水が付着し折曲部4bが濡れても、紐体4の縒りが弛みにくく、紐体4の剛性を比較的長く維持できる。よって、折曲部4bを被清掃部に擦り付けて被清掃部にこびりついた汚れを取り去る作業を行いやすい。
図5に示す清掃用品41は、個々の紐体4がループ状に曲げられており、それぞれの紐体4の切断端面4aが揃えられて、水溶性接着剤で互いに接着され、さらに保持材5が巻かれて水溶性接着剤で接着され、扁平形状の保持部42が形成されている。清掃部43では個々の紐体4が自由状態であり、清掃部43の先部には紐体4が曲げられたループ部4cが位置している。なお、前記保持部42において、紐体4と保持材5とが平坦になるように加圧され、または加熱されて加圧されて、紐体4どうしが互いに水素結合されているものであってもよいし、保持材5が設けられていないものであってもよい。この場合、ホルダは、図1に示す収納部12と押さえ部13との対向面が互いに平面に形成されたものが使用される。
図6は本発明の第2の実施の形態の水解性の清掃用品51を示す斜視図、図7は第2の実施の形態の変形例の水解性の清掃用品61を示す斜視図である。
図6に示す清掃用品51は、清掃部53が前記紐体4と水解性のシート6とで構成されている。水解性のシート6は、シートパルプと称されるものであり、パルプ繊維が積層されてシート状に加圧されて形成されている。このシートパルプはパルプ繊維の水素結合力によりシート形状を保っている。あるいはPVAなどの水溶性接着剤でパルプ繊維どうしが接着されているものであってもよい。シートパルプは、図8(B)に示した水解紙9(目付けが10〜30g/m2程度)に比べて、繊維目付けが十分に大きいものであり、シートパルプの目付けは500〜1000g/m2程度である。シートパルプで形成された水解性のシート6は、目付けが大きく密度も高く剛性が高い。清掃部に紐体4と共に水解性のシート6を配置すると、剛性の高いシート6で便器などの被清掃部の表面に付着した汚れを除去しやすく、さらに紐体4が比較的自由に変形して被清掃部の広い範囲を拭き取ることができる。また、紐体4によって便器の隅部の清掃も容易になる。
使用後に水洗トイレット内に廃棄すると、シートパルプは比較的短時間のうちに、パルプ繊維に分解される。
図6に示す清掃用品51では、複数枚(例えば5〜20枚程度)の水解性のシート6が重ねられた状態で、その周囲に複数の紐体4が配置されている。保持部52において、水解性のシート6と紐体4が水溶性接着剤で接着され、さらに周囲に保持材5が巻かれて接着されている。清掃部53では、個々の水解性のシート6が互いに独立し、さらに紐体4も独立している。
図7に示す清掃用品61は、清掃部63に紐体4と共に水解性のブロック7が使用されている。
水解性のブロック7は、パルプ繊維などのように水に分散可能で且つ生分解性の繊維で構成されている。例えば水解性のブロック7は、パルプ繊維で立体形状に成形されたものである。その製法は、パルプ繊維を水に分散させ、円筒形などを成型できるように構成されたもので、底部に水きり用の多孔部が形成された凹状の型内にパルプ繊維を流し込み、脱水して加熱乾燥させたものである。あるいは前記型内に、あるいは他の形状の加圧用の押し型内にパルプ繊維を供給し、脱水後または脱水しながらプレス機で加圧圧縮し、乾燥させたものである。あるいは、パルプ繊維と増粘剤および水溶性の接着剤を混合したスラッジ状の原料を、スクリュー押し出し機で押し、その後に脱水して加熱乾燥させたものでもよい。
前記水解性のブロック7は、パルプ繊維あるいはその他の繊維が集合した状態で水素結合にて固着され、または繊維間が水溶性接着剤で接着されて構成される。
図7に示す清掃用品61は、清掃部63において、水解性のブロック7の周囲に紐体4が位置し、紐体4の折曲部4bが清掃部63の先端に向けられている。また保持部62において、水解性のブロック7と紐体4の基部が水溶性接着剤で接着され、周囲に保持材5が巻かれて接着されている。
この清掃用品61は、清掃部63の先部に水解性のブロック7の端面が露出しているため、水解性のブロック7の端面を被清掃部に擦りつけることにより、汚れの除去効果を高めることができ、その周囲に位置する紐体4により広い範囲で被清掃部を拭くことができる。使用後に水洗トイレット内に廃棄すると、保持部62での固定が解除されて水解性のブロック7と紐体4とがばらばらに分解し、さらに多量の水が与えられると、紐体4が水解し、さらに水解性のブロック7も短時間のうちに繊維が分散して水中でばらばらに分解される。
図9(A)は本発明の第3の実施の形態の水解性の清掃用品71を示す斜視図であり、図9(B)は前記清掃用品71の基本的な構造を説明する展開斜視図である。
この水解性の清掃用品71は、保持部72と清掃部73を有している。清掃用品71は、少なくとも1つの清掃用単体78を有している。図の実施の形態では、2つの清掃用単体78が重ねられ、清掃用単体78の上部どうしが水溶性接着剤で接着され、さらに清掃用単体78が水解紙などの保持材74で覆われ、この保持材74が水溶性接着剤によって各清掃用単体78に接着されている。清掃部73では、清掃用単体78が互いに自由に動くことができる。
図9(B)は前記清掃用単体78の構造を展開して示している。清掃用単体78は、水解性の外装シート75に繊維圧縮シート76が収納されたものである。外装シート75は、図8(A)に示す縒り紐4Aを形成する水解性シート8と同じ繊維交絡不織布である。外装シート75を構成する繊維交絡不織布の構成や繊維の組成などの好ましい範囲は、前記水解性シート8と同じである。
繊維圧縮シート76は、複数枚が重ねられて外装シート75内に収納されている。繊維圧縮シート76は繊維長が20mm以下の水で分散可能な繊維を積層して圧縮したものである。繊維はパルプ繊維などの天然繊維やレーヨン繊維などの再生セルロース繊維である。繊維圧縮シート76は圧縮された状態でセルロース系繊維の水素結合力と、圧縮による繊維間の機械的結合力によりシート形状を維持できる。また、繊維間を水溶性接着剤で接合することも可能である。この場合に、PET繊維、PP繊維、PE繊維、ナイロン繊維などの合成樹脂繊維を含んでもよい。ただし、繊維圧縮シート76は生分解性繊維のみで形成されることが好ましい。
例えば、繊維圧縮シート76はパルプ繊維のみで形成される。このときの圧縮圧力は2000〜6000kPa程度であり、例えば3920kPa(40kgf/cm2)である。圧縮時間は1〜5秒程度である。このときの加圧は常温で行う。あるいは加熱して加圧してもよい。また、繊維どうしの水素結合力を高めるために、水分をスプレー等で与えてから加熱して圧縮してもよい。
繊維圧縮シート76は繊維長が20mm以下の繊維で、好ましくはパルプ繊維などで形成されているため、水洗トイレット内などに廃棄されたときに、比較的短い時間で繊維がばらばらに分解する。よって繊維圧縮シート76の大きさは清掃用品の形状に応じて任意に設定できる。ただし、水中において繊維圧縮シート76が短時間で分解できるためには、個々の繊維圧縮シート76がその自重の300%の水分を含んだときに、繊維圧縮シート76の体積が2倍以上に膨潤することが好ましい。また1個の繊維圧縮シート76が水解する時間(測定方法は前述の通り)は、700秒以下であることが好ましく、さらには600秒以下が好ましく、さらに好ましくは300秒以下である。また、1つの清掃用品71に使用されている繊維圧縮シート76の質量の合計は20g以下が好ましい。20gは、トイレットペーパ9m分に相当し、通常の水洗トイレットにおいて、配管の詰まりが生じにくい範囲である。
また繊維圧縮シート76に、洗浄剤、研磨剤、抗菌剤、香料などを含ませることが可能である。
図9(B)に示すように、展開した長方形の外装シート75の上に複数枚の繊維圧縮シート76を重ねて配置し、外装シート75を仮想線Lの部分で折り曲げる。そして、繊維圧縮シート76を挟まないようにして、外装シート75の長辺側の側縁部75aどうしを水溶性接着剤で接着する。さらに短辺側の端縁部75bどうしを水溶性接着剤で接着する。水溶性接着剤による接着に代えて、あるいは水溶性接着剤による接着とともに、前記側縁部75aどうしおよび端縁部75bどうしを重ねて加圧し、または加熱且つ加圧し、外装シート75の水素結合力および機械的結合力により、接合してもよい。
図9(A)に示す清掃用品71は、外装シート75を仮想線Lの部分で折った折り部75cが下に向けられた状態で、端縁部75bを含む所定幅の範囲で、清掃用単体78どうしが水溶性接着剤で接着され、さらに保持材74が接着固定される。
清掃用品71は、保持部72が、ホルダに挟持されて保持される。この清掃用品71を保持するホルダは、図1に示すものと異なり、収納部12と押さえ部13とが互いに平面状に形成されて対向し、保持部72が、収納部12と押さえ部13との間に挟みこまれて保持される。清掃用品71の清掃部73を便器などの被清掃部に摺動させると、外装シート75によって汚れを除去できる。清掃部73の側面は平坦であるため、この清掃部73の側面を被清掃部に摺動させることにより、広い面積の清掃が可能である。
外装シート75は繊維交絡不織布で形成されているため、被清掃部を擦るときに外装シート75に破れが生じにくい。清掃中に水分が与えられると、外装シート75内の繊維圧縮シート76が膨張し、弾性を呈するようになるため、外装シート75で被清掃部を適度な圧力で擦ることができる。
保持材74はパルプ繊維を抄紙した水解紙、またはパルプ繊維が抄紙されて水溶性接着剤で繊維どうしが接合された水解紙などであるため、使用後に清掃用品71が水中に廃棄されると保持材74による保持力が直ちに解除されて、清掃用単品78が互いに独立する。さらに水中で、外装シート75の側縁部75aどうしの接着および端縁部75bどうしの接着が解除され、外装シート75と繊維圧縮シート76とが分離し、外装シート75と繊維圧縮シート76が独立してそれぞれの繊維に分解される。
図10は本発明の第4の実施の形態の水解性の清掃用品91を示す斜視図である。図11と図12はその変形例を示す斜視図である。
図10に示す清掃用品91は、水解性シート94が円柱状に巻かれて使用されている。この水解性シート94は、水解性の繊維交絡不織布である。この繊維交絡不織布の構成や繊維の組成などの好ましい範囲は、図8(A)に示した前記水解性シート8と同じである。水解性シート94は円柱状にしっかり強く巻かれ、保持部92おいて、その外周に図5に示す清掃用品1と同じ保持材5が巻かれ、保持材5と水解性シート94とが水溶性接着剤で接着されている。清掃部93では、円柱状に巻かれた水解性シート94が互いに接着されておらず、自由に動けるようになっている。
なお、水解性シート94を巻く際に水解性シート94の表面に水溶性接着剤を塗布して、水解性シート94を巻いた状態で接着してもよい。あるいは水解性シート94を円柱状に巻いた後に、水解性シート94をドット状などに部分的に圧縮し、水解性シート94を部分的に水素結合させてもよいし、円柱状に巻いた後に全体を圧縮してもよい。さらに、繊維交絡不織布である水解性シート94と、図8(B)に示した水解紙9とを重ねた状態で一緒に円柱状に巻いてもよい。
この清掃用品91は保持部92が、図1に示すホルダ10の収納部12と押さえ部13とで挟持されて使用される。清掃部93では、水解性シート94が多重に巻かれて密度が高くなっているため、水解性シート94を被清掃部に擦りつける際に十分な剛性を発揮できる。また水解性シート94は繊維交絡不織布であるため、清掃中に破れが生じにくい。
清掃後に水洗トイレット内などに廃棄すると、水解紙などで形成された保持材5が剥がれ、円柱状の水解性シート94の巻き状態が弛み、さらに水解性シート94が水中で分解する。
また、水解性シート94どうしの対面部に、洗浄剤、研磨剤、抗菌剤、香料などを含ませることが可能である。
図11に示す清掃用品101は、図10に示した水解性シート94が円柱状に巻かれ、保持部102において、外周に保持材5が巻かれて水溶性接着剤で接着されている。
清掃部103では、円柱状に巻かれた水解性シート94が、その巻き軸に沿う方向へ切り込まれて、複数の切り込み104が形成されている。その結果、清掃部103では、水解性シート94が多数の短冊状片に分離されてブラシ部105が形成されている。なお、切り込み104は保持部102まで延びてない。したがって、ホルダ10に装着する前に、短冊状片がばらばらに分離することはない。または、帯状の水解性シート94に一定のピッチの切り込みを形成して、帯状の水解性シート94に多数の短冊状片を形成し、切り込みを有する水解性シート94を円柱状に巻いて清掃部103を構成してもよい。
図11に示す清掃用品101は、清掃部103で便器などの被清掃部を清掃したときに、ブラシ部105を構成する水解性シート94の短冊片が広がって、個々の短冊片で効果的に清掃できる。使用後に廃棄すると、保持材5が分離し、水解性シート94の巻きがほぐれるが、さらに水解性シート94に切り込み104が形成されているため、水解性シート94が短時間で水解できる。
図12に示す水解性の清掃用品111は、水解性シート94が複数枚重ねとなるように折り畳まれ、その基部に保持材5が巻かれて水溶性接着剤で接着され、平坦な形状の保持部112が形成されている。清掃部113に位置する水解性シート94は折り畳みの対向面が互いに接着されていてもよいし接着されていなくてもよい。
この清掃用品111は保持部5がホルダに保持され、繊維交絡不織布である水解性シート94で形成された清掃部113によって、便器表面などの被清掃部が清掃される。この場合、ホルダは、図1に示す収納部12と押さえ部13との対向面が互いに平面に形成されたものが使用される。水解性シート94は繊維交絡不織布であるため、被清掃部と摺動したときに破れにくい。
また、図12に示す清掃用品111において、水解性シート94を折り畳むのではなく、長方形状の多数の水解性シート94を重ねて束ねて清掃部113を形成してもよい。
この場合も水解性シート94に複数の切り込みを入れて、多数の短冊状片を形成してブラシ状とすることも可能である。
なお、図9に示す外装シート75、図10ないし図12に示す水解性シート94は、100mm×100mmの大きさとしたときに水解時間が300秒以下であることが好ましい。
図13は本発明の第5の実施の形態の清掃用品121を示す斜視図である。この清掃用品121は、2つ折りにした紐体4を束ねている。この紐体4は図2ないし図7に示されたものと同じである。紐体4を束ねた状態で、基部側を圧縮して圧縮部121aを形成している。非圧縮部121bでは、各紐体4の折曲部4bが圧縮されていない状態で自由状態である。圧縮部121aは、水解性の繊維交絡不織布で形成された複数の紐体4の機械的結合力と水素結合とで圧縮状態を維持している。
この清掃用品121は紐体4が乾燥状態でばらばらに分離しないため、乾燥状態で製品形状を保つことができる。圧縮部121aをホルダに保持し、非圧縮部121bを被清掃部に摺動させて清掃することができる。この場合、ホルダは、図1に示す収納部12と押さえ部13との対向面が互いに平面に形成されたものが使用される。なお、清掃用品121の全体が圧縮されているものであってもよい。
また、前記他の実施の形態においても保持部のみを圧縮し、または保持部と清掃部の双方を圧縮することが可能である。
[実施例]
以下の表1に示すように、実施例1ないし実施例5の繊維交絡不織布を試作した。さらに実施例1ないし4の繊維交絡不織布で図8(A)に示す縒り紐4Aを形成した。実施例1ないし5の繊維交絡不織布は、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と、繊度が1.1dtexで繊維長が7mmのビスコースレーヨンとで形成した。NBKPとビスコースレーヨンとの配合比(質量%)は、表1に示す通りであり、NBKPの配合比は、実施例1を95質量%、実施例2を90質量%、実施例3を50質量%、実施例4を10質量%、実施例5を5質量%とした。残りをビスコースレーヨンとした。実施例1ないし5の不織布の目付けはいずれも50g/m2とした。
実施例1ないし実施例5の繊維交絡不織布は、多孔性のプラスチックワイヤー上に繊維ウエッブを抄紙した後に、乾燥させずに、高圧水ジェット噴射装置によりジェット水流を与えて繊維を交絡させた。高圧水ジェット噴射装置は、1個のノズルの開孔径が95μmで、ウエッブの流れ方向に直交する方向で、前記ノズルが0.5mmピッチで2000個並んだものを使用した。繊維ウエッブを30m/minの速度で搬送しながら、前記高圧水ジェット噴射装置で単位面積当たり0.24682kW/m2の処理エネルギーを与えた。さらに同様の条件で2回目のウォータジェット処理を施し、その後にウエッブをヤンキー式乾燥ドラムで乾燥させた。
得られた繊維交絡不織布の厚みと繊維密度は、表1の「繊維交絡不織布の物性値」の欄で且つ「厚み」「密度」の欄に記載されている通りである。
実施例1ないし実施例5の繊維交絡不織布を、製造時のウエッブの流れ方向(MD)が150mm、これと直交する方向(CD)の幅寸法が25mmとなるように切断して、乾燥強度と湿潤強度を測定した。
この測定は、テンシロン試験機に各試料を長手方向の距離が100mmとなるようにチャック間に保持させ、チャック間距離を100mm/minの速度で広げて引っ張り試験を行った。シートが破断するまでの最高荷重を破断強度(N/25mm)とした。
乾燥強度は、各試料が乾燥した状態で引っ張り試験を行った結果であり、湿潤強度は、各試料をイオン交換水の中に10秒間浸漬した後に引っ張り試験を行った結果である。この試験は室温25℃、相対湿度65%の環境下で行った。表1では、「繊維交絡不織布の物性値」の欄で且つ「乾燥強度」「湿潤強度」の欄に測定値を記載している。
次に、実施例1ないし4のそれぞれの水解性シートを、CDの幅寸法が50mmとなるように帯状に切断し、図8(A)に示すように一方向へ捻り加工し縒り紐4Aを形成した。縒り回数は、いずれも水解性シートの長さ25cm当たり17回とした。縒り紐の紐の幅寸法と密度は「縒り加工後の物性値」の欄の「紐幅」「密度」の行に記載の通りである。この縒り紐を前記水解性シートの測定と同様に、チャック間距離100mmとなるように保持し、前記水解性シートと同じ条件で引っ張り試験を行い、破断強度を測定した。
なお、湿潤強度の測定は、縒り紐の縒りが弛まないように、チャック間に保持した状態でイオン交換水に10秒間浸漬した後に引っ張り試験を行った。結果は、「縒り加工後の物性値」の欄で且つ「乾燥強度」「湿潤強度」の行に記載されている通りである。
水解性の測定は、実施の形態で説明したのと同じ測定方法で測定した。実施例1ないし実施例5の各繊維交絡不織布を100mm×100mmの大きさに切断したもので水解時間を測定した。実施例1ないし実施例4の紐体は、紐体を長さ100mmに切断したものを使用して水解時間を測定した。測定結果は、表1の「水解性」の行に記載の通りである。
表1に示す実施例のうち、特に実施例2ないし実施例4は、繊維交絡不織布の乾燥強度が7.0N/25mm以上であり、湿潤強度も1.0N/25mm以上と高いものであった。また実施例2ないし実施例4は捻り加工により縒り紐を容易に加工でき、加工時に切断や破れが生じなかった。また実施例2ないし実施例4は、縒り紐の湿潤強度が8N以上と大きく確保できた。繊維交絡不織布の水解時間は、実施例1ないし実施例4の最高値が94秒で、実施例5が118秒であり、いずれも300秒以下であった。また実施例1ないし実施例4の縒り紐は、水解時間が最高で123秒であった。
実施例1ないし実施例5の繊維交絡不織布および紐体は、いずれも清掃用品に使用することが可能であるが、乾燥時の繊維交絡不織布の強度を7.0N/25mm以上とするためには、パルプ繊維を10質量%以上含むことが好ましい。また、繊維交絡不織布の湿潤強度を1.0N/25mm以上とし、縒り紐の湿潤強度を8.0N/25mm以上とするためには、レーヨン繊維を10質量%以上含むことが好ましい。
表2に示す実施例Aないし実施例Fは、NBKPとビスコースレーヨン繊維(繊度が1.1dtexで繊維長が7mm)をそれぞれ50質量%含む繊維ウエッブを湿式で抄紙し、実施例1ないし実施例5と同様の条件でウォータジェット処理して繊維交絡不織布を製造した。ただし、目付けは、実施例Aないし実施例Fをそれぞれ「15.0」「20.0」「50.0」「100.0」「120.0」「50.0」(いずれもg/m2)とした。それぞれの繊維交絡不織布の厚みと密度は、表2において「繊維交絡不織布の物性値」の欄の「厚み」「密度」の行に記載の通りである。また繊維交絡不織布の乾燥強度と湿潤強度および水解時間を実施例1ないし5と同様にして測定した。結果は、「繊維交絡不織布の物性値」の欄の「乾燥強度」「湿潤強度」「水解性」の行に示す通りである。
さらに、実施例Aないし実施例Fの水解性シートで、図8(A)に示すのと同様の縒り紐を形成した。いずれもシート幅寸法を50mmとし、縒り回数を実施例ごとに相違させた。実施例Aないし実施例Fの水解性シートの長さ25cm当たりの縒り回数をそれぞれ「18」「18」「17」「16」「16」「4」(いずれも回)とした。縒り紐の紐の幅寸法と密度は「縒り加工後の物性値」の欄の「紐幅」「密度」の行に記載の通りである。また縒り紐の乾燥強度と湿潤強度さらに水解時間を実施例1ないし実施例4と同様にして測定した。その結果を表2の「縒り加工後の物性値」の欄の「乾燥強度」「湿潤強度」「水解性」の行にそれぞれ記載した。
表2から水解性シートの乾燥強度と縒り紐の湿潤強度を高く維持するためには、水解性シートの目付けが30g/m2以上であることが好ましい。また繊維交絡不織布の水解時間を400秒以下とし、縒り紐の水解時間を700秒以下とするためには、水解性シートの目付けが120g/m2以下が好ましい。また縒り回数は長さ25cm当たり4回以上であれば縒り紐の湿潤強度を高くでき、好ましくは10回以上である。また縒り回数の上限は、シートが切断されない限り特に制限されないが、上限は30回程度である。