JP2011078295A - 自動車のモータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】交流モータに流れる電流を検出する電流センサのゲイン誤差による電流検出値のずれを補正できるようにする。
【解決手段】交流モータ17の制御開始前の交流モータ17の停止中に、交流モータ17のトルク発生に寄与しない無効電流を交流モータ17に流すように指令する無効電流指令を行い、この無効電流指令を行ったときの指令電流ベクトル(Id ,Iq)からV相及びW相の電流指令値Iv ,Iw を求め、こられらのV相及びW相の電流指令値Iv ,Iw (実電流の代用情報)とV相及びW相の電流センサ38,39の出力(電流検出値iv ,iw )とからV相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差kv ,kw を算出する。これらのゲイン誤差kv ,kw を用いて電流センサ38,39の出力を補正することで、電流センサ38,39のゲイン誤差による電流検出値iv ,iw のずれを補正する。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両に搭載された交流モータと、該交流モータに流れる電流を検出する電流センサとを備えた自動車のモータ制御装置に関する発明である。
車両の動力源として交流モータを搭載した電気自動車やハイブリッド車においては、交流モータの各相のうちの少なくとも1つの相に流れる電流を検出する電流センサを設け、この電流センサの出力(電流検出値)を用いて交流モータを制御するようにしたものがあるが、一般に、電流センサの個体差(製造ばらつき)や経時変化等によって電流センサの出力に誤差(ばらつき)が生じることは避けられない。例えば、電流センサのゼロ点(実電流が0のときの電流センサの出力)は、温度の影響を受け易く、温度変化によって電流センサのゼロ点がずれることがある。
この対策として、特許文献1(特開2005−20877号公報)に記載されているように、モータが駆動されていないときに(つまりモータに流れる実電流が0のときに)、電流センサの出力値と温度センサの検出温度との関係に基づいて電流センサのゼロ点の温度特性を学習し、モータの駆動時に、その学習結果を用いて電流センサの出力を補正するようにしたものがある。
特開2005−20877号公報(第2頁等)
ところで、電流センサの出力は、ゼロ点のずれ(オフセット誤差)以外に、実電流の大きさに応じて変化するゲイン誤差の影響を受けることがある。しかし、上記特許文献1の技術は、電流センサのゼロ点のずれ(オフセット誤差)による電流検出値(電流センサの出力)のずれを補正する技術であり、電流センサのゲイン誤差による電流検出値(電流センサの出力)のずれを補正する技術ではないため、電流センサの個体差や経時変化等によって変化するゲイン誤差の影響を受けて、電流センサの出力に基づく電流検出精度やモータ制御精度が低下してしまう可能性がある。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、交流モータに流れる電流を検出する電流センサのゲイン誤差の影響を補正することができ、電流センサの出力に基づく電流検出精度又はモータ制御精度を向上させることができる自動車のモータ制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車両に搭載された交流モータと、該交流モータに流れる電流を検出する電流センサとを備えた自動車のモータ制御装置において、交流モータの停止中に該交流モータのトルク発生に寄与しない無効電流を該交流モータに流すように指令する無効電流指令を行ったときの電流指令値と電流センサの出力とに基づいて該電流センサのゲイン誤差をゲイン誤差算出手段により算出し、このゲイン誤差算出手段で算出したゲイン誤差を用いて電流センサの出力をセンサ出力補正手段により補正するようにしたものである。
この構成では、交流モータの停止中に無効電流指令を行ったときの電流指令値が、交流モータに流れる実電流とほぼ等しくなると見なして、該電流指令値を実電流の代用情報として用い、該電流指令値(実電流の代用情報)と電流センサの出力(電流検出値)とからゲイン誤差を算出することで、ゲイン誤差を精度良く算出することができる。そして、このゲイン誤差を用いて電流センサの出力を補正することで、電流センサのゲイン誤差による電流検出値のずれを補正することができ、電流センサの出力に基づく電流検出精度を向上させることができる。
また、請求項8に係る発明は、車両に搭載された交流モータと、該交流モータの各相のうちの第1の相に流れる電流を検出する第1の電流センサ及び第2の相に流れる電流を検出する第2の電流センサとを備えた自動車のモータ制御装置において、交流モータの停止中に該交流モータのトルク発生に寄与しない無効電流を該交流モータに流すように指令する無効電流指令を行ったときの第1及び第2の相の電流指令値の比(第1の相の電流指令値と第2の相の電流指令値との比)と、第1及び第2の電流センサの出力の比(第1の電流センサの出力と第2の電流センサの出力との比)とに基づいて、第1及び第2の電流センサのゲイン誤差の比(第1の電流センサのゲイン誤差と第2の電流センサのゲイン誤差との比)をゲイン誤差比算出手段により算出し、このゲイン誤差の比を用いて第1の電流センサの出力又は第2の電流センサの出力をセンサ出力補正手段により補正するようにしたものである。
この構成では、交流モータの停止中に無効電流指令を行ったときの電流指令値が、交流モータに流れる実電流とほぼ等しくなると見なして、該電流指令値を実電流の代用情報として用い、第1及び第2の相の電流指令値(実電流の代用情報)の比と、第1及び第2の電流センサの出力(電流検出値)の比とに基づいて、第1及び第2の電流センサのゲイン誤差の比を算出することで、ゲイン誤差の比を精度良く算出することができる。そして、このゲイン誤差の比を用いて第1の電流センサの出力と第2の電流センサの出力のうちの一方を補正することで、第1の電流センサと第2の電流センサのゲイン誤差の不均衡を補正することができ、第1及び第2の電流センサの出力に基づくモータ制御精度を向上させることができる。
ここで、交流モータに流れる電流を検出する電流センサのゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)を算出するためには、交流モータに電流を流す必要があるが、交流モータの停止中にゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出のために交流モータに流した電流によりトルクが発生すると、システムに悪影響を及ぼす可能性がある。この点、請求項1,8では、交流モータの停止中にゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)を算出する際に、交流モータのトルク発生に寄与しない無効電流を交流モータに流すため、交流モータにトルクが発生することを防止して、システムに悪影響を及ぼすことを回避できる。
また、本発明は、交流モータの制御開始後に交流モータを停止させたときや、交流モータを停止させた状態で交流モータの制御システムを停止させるときに、無効電流指令を行ってゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)を算出するようにしても良いが、請求項2,9のように、交流モータの制御システムの起動直後における該交流モータの制御開始前(交流モータの停止中)に無効電流指令を行ってゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)を算出するようにしても良い。このようにすれば、交流モータの制御開始前にゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)を算出することができるため、交流モータの制御開始当初から最新のゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)を用いて電流センサの出力を精度良く補正することが可能となり、電流センサの出力に基づく電流検出精度(又はモータ制御精度)を向上させることができる。
また、無効電流指令の具体的な方法は、請求項3,10のように、交流モータのロータ回転座標として設定したd−q座標系におけるd軸指令電流を0以外の所定値に設定してq軸指令電流を0に設定することで無効電流指令を行うようにすると良い。このようにすれば、d−q座標系のd軸上に電流ベクトルを制御するように設定して、交流モータのトルク発生に寄与しない無効電流を交流モータに流すことができる。
ところで、交流モータの停止中に無効電流指令を行う際に、交流モータのロータ回転停止位置(磁極位置)に応じて各相の電流指令値が変化(増減)するため、交流モータのロータ回転停止位置によっては電流センサで検出する相の電流指令値が0となる場合があり、電流センサで検出する相の電流指令値(実電流の代用情報)が0の場合には、電流センサの出力にゲイン誤差が発生しないため、ゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)を算出することができない。
そこで、請求項4,11のように、無効電流指令を行う際に、交流モータのロータ回転停止位置が電流センサで検出する相の電流指令値が0となる回転位置の場合にはゲイン誤差算出手段(又はゲイン誤差比算出手段)によるゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出を行わずにゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)を前回値に保持するようにしても良い。このようにすれば、交流モータのロータ回転停止位置が電流センサで検出する相の電流指令値(実電流の代用情報)が0となる回転位置で、ゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)を算出することができない場合でも、ゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の前回値を用いて電流センサの出力を補正することができる。
また、車両の停車中(交流モータの停止中)でも、例えば、車両のドアやトランクが開閉されたとき、車両に人が寄り掛かったとき、車両が強風にあおられたとき等には、車両が揺れることがあり、車両が揺れると、交流モータのロータ回転位置(磁極位置)が変動する可能性がある。交流モータの停止中に無効電流指令を行ったときの電流指令値と電流センサの出力(電流検出値)とからゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)を算出する際に、車両の揺れ等により交流モータのロータ回転位置が変動すると、それに伴って電流センサの出力が変動するため、ゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出精度が低下する可能性がある。
この対策として、請求項5,12のように、交流モータのロータ回転位置を検出するロータ回転位置センサを備えたシステムでは、ゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出処理中にロータ回転位置センサの出力変動が所定の許容値よりも大きくなった場合にはロータ回転位置センサの出力変動が許容値以下になったときにゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出をやり直すようにしても良い。このようにすれば、ゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出処理中にロータ回転位置センサの出力変動(つまりロータ回転位置の変動)が許容値よりも大きくなった場合には、それに伴って電流センサの出力変動(つまり電流検出値の変動)が許容値よりも大きくなってゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出精度が低下すると判断して、ロータ回転位置センサの出力変動が許容値以下になったときにゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出をやり直すことができ、ゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出精度の低下を防止することができる。
或は、請求項6,13のように、ゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出処理中に電流センサの出力変動が所定の許容値よりも大きくなった場合には電流センサの出力変動が許容値以下になったときにゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出をやり直すようにしても良い。このようにすれば、ゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出処理中に電流センサの出力変動が許容値よりも大きくなった場合には、ゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出精度が低下すると判断して、電流センサの出力変動が許容値以下になったときにゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出をやり直すことができ、ゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出精度の低下を防止することができる。
この場合、ゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出が完了するまで、ゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出を許可するようにしても良いが、請求項7,14のように、ゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出処理指令が発生してからゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出が完了する前に所定時間が経過した場合にはゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出を禁止してゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)を前回値に保持するようにしても良い。このようすれば、ゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出期間が過剰に長くなることを防止して交流モータの停止期間が過剰に長くなることを回避することができると共に、ゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の算出を禁止した場合でも、ゲイン誤差(又はゲイン誤差の比)の前回値を用いて電流センサの出力を補正することができる。
図1は本発明の実施例1における交流モータ制御システム全体の概略構成図である。 図2は実施例1のゲイン誤差算出機能を説明するブロック図である。 図3は無効電流指令時のロータ回転停止位置と各相の電流指令値との関係を示す図である。 図4は実施例1のゲイン誤差算出ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 図5は実施例1のセンサ出力補正ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 図6は実施例2のゲイン誤差比算出機能を説明するブロック図である。 図7は実施例2のゲイン誤差比算出ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 図8は実施例2のセンサ出力補正ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 図9は実施例3におけるハイブリッド車の駆動システム全体の概略構成図である。 図10の(a)はロータ回転位置が一定の場合の電流センサ出力の挙動を示すタイムチャートであり、図10の(b)はロータ回転位置が変動した場合の電流センサ出力の挙動を示すタイムチャートである。 図11は実施例3のゲイン誤差比算出の実行例を説明するタイムチャートである。 図12は実施例3のゲイン誤差比算出ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態を、交流モータを駆動源とする電気自動車又はハイブリッド車に適用して具体化した幾つかの実施例を説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図5に基づいて説明する。
まず、図1に基づいて交流モータ制御システム全体の概略構成を説明する。
二次電池等からなる直流電源11には、昇圧コンバータ12が接続され、この昇圧コンバータ12は、直流電源11の直流電圧を昇圧してシステム電源ライン13とアースライン14との間に直流のシステム電圧を発生させたり、このシステム電圧を降圧して直流電源11に電力を戻す機能を持つ。システム電源ライン13とアースライン14との間には、システム電圧を平滑化する平滑コンデンサ15や、電圧制御型の三相のインバータ16が接続され、このインバータ16で交流モータ17が駆動される。
交流モータ17は、三相永久磁石式同期モータで、永久磁石が内蔵されたものであり、ロータの回転位置θを検出するロータ回転位置センサ18が搭載されている。昇圧コンバータ12には、入力コンデンサ19とリアクトル20と、2つのスイッチング素子21,22が設けられ、各スイッチング素子21,22に、それぞれ還流ダイオード23,24が並列に接続されている。また、電圧制御型の三相のインバータ16には、6つのスイッチ素子25〜30(上アームの各相の3つのスイッチング素子25,27,29と下アームの各相の3つのスイッチング素子26,28,30)が設けられ、各スイッチング素子25〜30に、それぞれ還流ダイオード31〜36が並列に接続されている。
このインバータ16は、モータ制御回路37から出力される三相の6アーム電圧指令信号UU,UL,VU,VL,WU,WLに基づいて、システム電源ライン13の直流電圧(昇圧コンバータ12によって昇圧されたシステム電圧)を三相の交流電圧U,V,Wに変換して交流モータ17を駆動する。交流モータ17のV相に流れるV相電流iVがV相電流センサ38によって検出され、交流モータ17のW相に流れるW相電流iWがW相電流センサ39によって検出される。
モータ制御回路37は、後述する図4のゲイン誤差算出ルーチンを実行することで、交流モータ17の制御システムの起動直後のシステムチェック処理中(つまり交流モータ17の制御開始前の交流モータ17の停止中)に、交流モータ17のトルク発生に寄与しない無効電流を交流モータ17に流すように指令する無効電流指令を行い、この無効電流指令を行ったときの電流指令値と電流センサ38,39の出力とに基づいて該電流センサ38,39のゲイン誤差を算出する。
具体的には、図2に示すように、まず、交流モータ17のロータ回転座標として設定したd−q座標系における指令電流ベクトル(d軸指令電流Id ,q軸指令電流Iq )のd軸指令電流Id を0以外の所定値αに設定すると共にq軸指令電流Iq を0に設定することで、d−q座標系のd軸上に電流ベクトルを制御するように設定して、交流モータ17のトルク発生に寄与しない無効電流を交流モータ17に流すように指令する無効電流指令を行う。
この場合、指令電流ベクトル(d軸指令電流Id ,q軸指令電流Iq )を指令電圧ベクトル(d軸指令電圧Vd ,q軸指令電圧Vq )に変換し、この指令電圧ベクトル(d軸指令電圧Vd ,q軸指令電圧Vq )と、ロータ回転位置センサ18で検出した交流モータ17のロータ回転位置θ(ロータ回転停止位置)とに基づいて、三相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw を求める。この後、三相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw を、例えば正弦波PWM制御方式又は矩形波制御方式等で三相の6アーム電圧指令信号UU,UL,VU,VL,WU,WLに変換し、これらの三相の6アーム電圧指令信号UU,UL,VU,VL,WU,WLをインバータ16に出力する。これにより、交流モータ17のトルク発生に寄与しない無効電流を交流モータ17に流す。
また、指令電流ベクトル(d軸指令電流Id ,q軸指令電流Iq )と、ロータ回転位置センサ18で検出した交流モータ17のロータ回転位置θ(ロータ回転停止位置)とに基づいて、三相電流指令値Iu ,Iv ,Iw を求める。本実施例1では、交流モータ17の停止中に無効電流指令を行ったときの三相電流指令値Iu ,Iv ,Iw が、交流モータ17の各相に流れる実電流とほぼ等しくなると見なして、三相電流指令値Iu ,Iv ,Iw を交流モータ17の各相に流れる実電流の代用情報として用いる。
この後、V相電流指令値Iv (V相の実電流の代用情報)と、V相電流センサ38で検出したV相電流検出値iv (V相電流センサ38の出力)とを用いて、次式によりV相電流センサ38のゲイン誤差kv を求める。
kv =(iv −Iv )/Iv
更に、W相電流指令値Iw (W相の実電流の代用情報)と、W相電流センサ39で検出したW相電流検出値iw (W相電流センサ39の出力)とを用いて、次式によりW相電流センサ39のゲイン誤差kw を求める。
kw =(iw −Iw )/Iw
このようにして求めたV相電流センサ38のゲイン誤差kv とW相電流センサ39のゲイン誤差kw は、モータ制御回路37のバックアップRAM40等の書き換え可能な不揮発性メモリ(モータ制御回路37の電源オフ中でも記憶データを保持する書き換え可能なメモリ)に記憶される。
ところで、図3に示すように、無効電流指令を行う際に、交流モータ17のロータ回転停止位置に応じて各相の電流指令値が変化(増減)するため、ロータ回転停止位置によってはV相電流指令値Iv =0となる場合や、W相電流指令値Iw =0となる場合がある。V相電流指令値Iv (V相の実電流の代用情報)が0の場合には、V相電流センサ38の出力にゲイン誤差が発生しないため、V相電流センサ38のゲイン誤差kv を算出することができない。また、W相電流指令値Iw (W相の実電流の代用情報)が0の場合には、W相電流センサ39の出力にゲイン誤差が発生しないため、W相電流センサ39のゲイン誤差kw を算出することができない。
そこで、本実施例1では、交流モータ17のロータ回転停止位置が無効電流指令時にV相電流指令値Iv =0となる回転位置又は無効電流指令時にW相電流指令値Iw =0となる回転位置の場合には、V相電流センサ38のゲイン誤差kv 及びW相電流センサ39のゲイン誤差kw の算出を行わずに、V相電流センサ38のゲイン誤差kv とW相電流センサ39のゲイン誤差kw を両方とも前回値に保持する(記憶値を更新しない)。
尚、交流モータ17のロータ回転停止位置が無効電流指令時にV相電流指令値Iv =0となる回転位置の場合には、V相電流センサ38のゲイン誤差kv のみを前回値に保持して、W相電流センサ39のゲイン誤差kw の算出を行うようにしても良い。一方、交流モータ17のロータ回転停止位置が無効電流指令時にW相電流指令値Iw =0となる回転位置の場合には、W相電流センサ39のゲイン誤差kw のみを前回値に保持して、V相電流センサ38のゲイン誤差kv の算出を行うようにしても良い。
また、モータ制御回路37は、後述する図5のセンサ出力補正ルーチンを実行することで、V相電流センサ38のゲイン誤差kv を用いてV相電流センサ38の出力(V相電流検出値iv )を補正することで、V相電流センサ38のゲイン誤差によるV相電流検出値iv のずれを補正すると共に、W相電流センサ39のゲイン誤差kw を用いてW相電流センサ39の出力(W相電流検出値iw )を補正することで、W相電流センサ39のゲイン誤差によるW相電流検出値iw のずれを補正する。
尚、ゲイン誤差kv を用いてV相電流センサ38の出力を補正する処理や、ゲイン誤差kw を用いてW相電流センサ39の出力を補正する処理は、電流センサ38,39の出力を用いて交流モータ17を制御するモータ制御ルーチン等で行うようにしても良い。
以下、モータ制御回路37が実行する図4のゲイン誤差算出ルーチン及び図5のセンサ出力補正ルーチンの処理内容を説明する。
[ゲイン誤差算出]
図4に示すゲイン誤差算出ルーチンは、モータ制御回路37の電源オン後に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいうゲイン誤差算出手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、交流モータ17の制御システムの起動直後(モータ制御回路37の電源オン直後)のシステムチェック処理中であるか否かを判定し、システムチェック処理中でなければ、ステップ102以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ101で、交流モータ17の制御システムの起動直後のシステムチェック処理中であると判定されれば、交流モータ17の制御開始前における交流モータ17の停止中であると判断して、ステップ102に進み、ロータ回転位置センサ18で検出した交流モータ17のロータ回転位置θをロータ回転停止位置として読み込む。
この後、ステップ103に進み、交流モータ17のロータ回転停止位置が、無効電流指令時にV相電流指令値Iv =0となる回転位置又は無効電流指令時にW相電流指令値Iw =0となる回転位置であるか否かを判定する。ここで、無効電流指令時にV相電流指令値Iv =0となる回転位置と無効電流指令時にW相電流指令値Iw =0となる回転位置は、予めモータ制御回路37のROM(図示せず)等に記憶されている。
このステップ103で、交流モータ17のロータ回転停止位置θが無効電流指令時にV相電流指令値Iv =0となる回転位置ではなく且つ無効電流指令時にW相電流指令値Iw =0となる回転位置ではないと判定された場合には、ステップ104に進み、指令電流ベクトル(d軸指令電流Id ,q軸指令電流Iq )のd軸指令電流Id を0以外の所定値αに設定すると共にq軸指令電流Iq を0に設定することで、d−q座標系のd軸上に電流ベクトルを制御するように設定して、無効電流指令を行う。これにより、交流モータ17のトルク発生に寄与しない無効電流を交流モータ17に流す。
この後、ステップ105に進み、指令電流ベクトル(d軸指令電流Id ,q軸指令電流Iq )と、交流モータ17のロータ回転位置θ(ロータ回転停止位置)とに基づいて、V相電流指令値Iv とW相電流指令値Iw を求める。
この後、ステップ106に進み、V相電流指令値Iv (V相の実電流の代用情報)と、V相電流センサ38で検出したV相電流検出値iv (V相電流センサ38の出力)とを用いて、次式によりV相電流センサ38のゲイン誤差kv を算出する。
kv =(iv −Iv )/Iv
更に、W相電流指令値Iw (W相の実電流の代用情報)と、W相電流センサ39で検出したW相電流検出値iw (W相電流センサ39の出力)とを用いて、次式によりW相電流センサ39のゲイン誤差kw を算出する。
kw =(iw −Iw )/Iw
この後、ステップ107に進み、V相電流センサ38のゲイン誤差kv とW相電流センサ39のゲイン誤差kw を、モータ制御回路37のバックアップRAM40等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶する。
これに対して、上記ステップ103で、交流モータ17のロータ回転停止位置が、無効電流指令時にV相電流指令値Iv =0となる回転位置又は無効電流指令時にW相電流指令値Iw =0となる回転位置であると判定された場合には、ステップ108に進み、V相電流センサ38のゲイン誤差kv 及びW相電流センサ39のゲイン誤差kw の算出を行わずに、V相電流センサ38のゲイン誤差kv とW相電流センサ39のゲイン誤差kw を両方とも前回値に保持する(記憶値を更新しない)。このステップ108の処理が特許請求の範囲でいうゲイン誤差保持手段としての役割を果たす。
尚、交流モータ17のロータ回転停止位置が無効電流指令時にV相電流指令値Iv =0となる回転位置の場合には、V相電流センサ38のゲイン誤差kv のみを前回値に保持して、W相電流センサ39のゲイン誤差kw の算出を行うようにしても良い。一方、交流モータ17のロータ回転停止位置が無効電流指令時にW相電流指令値Iw =0となる回転位置の場合には、W相電流センサ39のゲイン誤差kw のみを前回値に保持して、V相電流センサ38のゲイン誤差kv の算出を行うようにしても良い。
[センサ出力補正]
図5に示すセンサ出力補正ルーチンは、モータ制御中に所定周期(例えば電流センサ38,39の出力のサンプリング周期)で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいうセンサ出力補正手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201で、モータ制御回路37のバックアップRAM40等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されているV相電流センサ38のゲイン誤差kv の記憶値とW相電流センサ39のゲイン誤差kw の記憶値を読み込んだ後、ステップ202に進み、V相電流センサ38の出力(V相電流検出値iv )とW相電流センサ39の出力(W相電流検出値iw )を読み込む。
この後、ステップ203に進み、V相電流センサ38のゲイン誤差kv を用いてV相電流センサ38の出力(V相電流検出値iv )を補正することで、V相電流センサ38のゲイン誤差によるV相電流検出値iv のずれを補正すると共に、W相電流センサ39のゲイン誤差kw を用いてW相電流センサ39の出力(W相電流検出値iw )を補正することで、W相電流センサ39のゲイン誤差によるW相電流検出値iw のずれを補正する。
以上説明した本実施例1では、交流モータ17の停止中に無効電流指令を行ったときのV相及びW相の電流指令値Iv ,Iw をV相及びW相の実電流の代用情報として用い、こられらのV相及びW相の電流指令値Iv ,Iw (実電流の代用情報)とV相及びW相の電流センサ38,39の出力(V相及びW相の電流検出値iv ,iw )とからV相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差kv ,kw を算出するようにしたので、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差kv ,kw を精度良く算出することができる。そして、これらのゲイン誤差kv ,kw を用いて電流センサ38,39の出力を補正するようにしたので、電流センサ38,39のゲイン誤差による電流検出値iv ,iw のずれを補正することができ、電流センサ38,39の出力に基づく電流検出精度を向上させることができる。しかも、交流モータ17の停止中にゲイン誤差を算出する際に、交流モータ17のトルク発生に寄与しない無効電流を交流モータ17に流すようにしたので、交流モータ17にトルクが発生することを防止して、システムに悪影響を及ぼすことを回避できる。
また、本実施例1では、交流モータ17の制御システムの起動直後のシステムチェック処理中(つまり交流モータ17の制御開始前の交流モータ17の停止中)に無効電流指令を行ってゲイン誤差を算出するようにしたので、交流モータ7の制御開始前にゲイン誤差を算出することができ、交流モータ17の制御開始当初から最新のゲイン誤差を用いて電流センサ38,39の出力を精度良く補正して、電流センサ38,39の出力に基づいた電流検出精度を向上させることができる。
更に、本実施例1では、交流モータ17のロータ回転停止位置が無効電流指令時にV相電流指令値Iv =0となる回転位置や無効電流指令時にW相電流指令値Iw =0となる回転位置で、V相電流センサ38のゲイン誤差kv やW相電流センサ39のゲイン誤差kw を算出できない場合には、V相電流センサ38のゲイン誤差kv やW相電流センサ39のゲイン誤差kw を前回値に保持するようにしたので、V相電流センサ38のゲイン誤差kv の前回値やW相電流センサ39のゲイン誤差kw の前回値を用いて電流センサ38,39の出力を補正することができる。
尚、上記実施例1では、V相電流センサ38のゲイン誤差kv を用いてV相電流センサ38の出力を補正し、W相電流センサ39のゲイン誤差kw を用いてW相電流センサ39の出力を補正するようにしたが、V相電流センサ38のゲイン誤差kv とW相電流センサ39のゲイン誤差kw のうちの一方のみを用いてV相電流センサ38の出力とW相電流センサ39の出力の両方を補正するようにしても良い。
また、上記実施例1では、交流モータの各相のうちの2つの相に流れる電流を検出するように2つの電流センサを備えたシステムに本発明を適用したが、これに限定されず、交流モータの各相のうちの1つの相に流れる電流を検出するように1つの電流センサを備えたシステムや、交流モータの各相のうちの3つ以上の相に流れる電流を検出するように3つ以上の電流センサを備えたシステムに本発明を適用しても良い。
次に、図6乃至図8を用いて本発明の実施例2を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分については説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
モータ制御回路37は、次式により指令電流ベクトル(d軸指令電流Id ,q軸指令電流Iq )を指令電圧ベクトル(d軸指令電圧Vd ,q軸指令電圧Vq )に変換する。
Vd =(R+p×Ld )×Id −ω×Lq ×Iq
Vq =(R+p×Lq )×Iq +ω×Ld ×Id +ω×φ
ここで、R、Ld 、Lq 、φはそれぞれ交流モータ17の機器定数であり、Rは抵抗、Ld はd軸インダクタンス、Lq はq軸インダクタンス、φは鎖交磁束である。また、ωはロータ回転角速度、pは微分演算子である。
この指令電圧ベクトル(Vd ,Vq )に基づいて交流モータ17を制御するため、指令電流ベクトル(Id ,Iq )が同じでも、機器定数が変化すると、指令電圧ベクトル(Vd ,Vq )が変化して、交流モータ17のV相電流iVやW相電流iWが変化する。
このため、上記実施例1のように、交流モータ17の停止中に無効電流指令を行ったときのV相及びW相の電流指令値Iv ,Iw (実電流の代用情報)とV相及びW相の電流センサ38,39の出力(V相及びW相の電流検出値iv ,iw )とからV相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差kv ,kw を算出する場合、機器定数の変化によるV相電流iVやW相電流iWの変化の影響を受けて電流センサ38,39のゲイン誤差kv ,kw の算出精度が低下する可能性がある。
そこで、本実施例2では、モータ制御回路37により後述する図7のゲイン誤差比算出ルーチンを実行することで、交流モータ17の制御システムの起動直後のシステムチェック処理中(つまり交流モータ17の制御開始前の交流モータ17の停止中)に、交流モータ17のトルク発生に寄与しない無効電流を交流モータ17に流すように指令する無効電流指令を行い、この無効電流指令を行ったときのV相及びW相の電流指令値の比(Iv /Iw )と、V相及びW相の電流センサ38,39の出力の比(iv /iw )とに基づいて、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を算出する。この場合、V相及びW相が特許請求の範囲でいう第1及び第2の相に相当し、V相及びW相の電流センサ38,39が特許請求の範囲でいう第1及び第2の電流センサに相当する。
ここで、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )の算出方法について説明する。
指令電圧ベクトル(d軸指令電圧Vd ,q軸指令電圧Vq )は、指令電流ベクトル(d軸指令電流Id ,q軸指令電流Iq )を用いて下記(1),(2)式により表すことができる。
Vd =(R+p×Ld )×Id −ω×Lq ×Iq ……(1)
Vq =(R+p×Lq )×Iq +ω×Ld ×Id +ω×φ ……(2)
交流モータ17の停止中に無効電流指令を行ったときには、ω=0、p=0、Iq =0となるため、上記(1),(2)式から下記(3),(4)式が得られる。
Vd =R×Id ……(3)
Vq =R×Iq =0 ……(4)
また、V相電流指令値Iv とW相電流指令値Iw は、指令電流ベクトル(d軸指令電流Id ,q軸指令電流Iq )と交流モータ17のロータ回転位置θ(ロータ回転停止位置)とを用いて下記(5),(6)式により表すことができる。
Figure 2011078295
交流モータ17の停止中に無効電流指令を行ったときには、Iq =0となるため、上記(5),(6)式から下記(7),(8)式が得られる。
Figure 2011078295
上記(3)式と上記(7),(8)式から下記(9),(10)式が得られる。
Figure 2011078295
更に、上記(9),(10)式から下記(11)式が得られる。
Iv /Iw =cos(θ−2/3×π)/cos(θ+2/3×π) ……(11)
上記(11)式により、V相電流指令値Iv とW相電流指令値Iw との比(Iv /Iw )を求めることができ、その際、V相及びW相の電流指令値の比(Iv /Iw )は、機器定数(抵抗R等)の影響を受けずに交流モータ17のロータ回転位置θ(ロータ回転停止位置)のみによって決まる。
一方、V相及びW相の電流センサ38,39のオフセット誤差補正後であれば、V相電流検出値iv (V相電流センサ38の出力)は、V相電流センサ38のゲイン誤差kv とV相電流指令値Iv (V相の実電流の代用情報)とを用いて下記(12)式により表すことができ、W相電流検出値iw (W相電流センサ39の出力)は、W相電流センサ39のゲイン誤差kw とW相電流指令値Iw (W相の実電流の代用情報)とを用いて下記(13)式により表すことができる。
iv =kv ×Iv ……(12)
iw =kw ×Iw ……(13)
上記(12),(13)式から下記(14)式が得られる。
kv /kw =(iv /iw )/(Iv /Iw ) ……(14)
上記(14)式により、無効電流指令を行ったときのV相及びW相の電流指令値の比(Iv /Iw )と、V相及びW相の電流センサ38,39の出力の比(iv /iw )とを用いて、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を求めることができる。
前述したように、V相及びW相の電流指令値の比(Iv /Iw )は、機器定数(抵抗R等)の影響を受けずに交流モータ17のロータ回転位置θ(ロータ回転停止位置)のみによって決まるため、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )は、機器定数(抵抗R等)の影響を受けずに求めることができる。
更に、本実施例2では、モータ制御回路37により後述する図8のセンサ出力補正ルーチンを実行して、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を用いてW相電流センサ39の出力(W相電流検出値iw )を補正することで、V相電流センサ38とW相電流センサ39のゲイン誤差の不均衡を補正する。
具体的には、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を用いてW相電流センサ39の出力(W相電流検出値iw )を次式により補正して最終的なW相電流検出値iw'を求め、V相電流センサ38の出力(V相電流検出値iv )をそのまま最終的なV相電流検出値iv'とする。
iv'=iv ……(15)
iw'=iw ×(kv /kw ) ……(16)
上記(15),(16)式は、それぞれ上記(12),(13)式の関係を用いて次のように表すことができる。
iv'=iv =kv ×Iv
iw'=iw ×(kv /kw )=kw ×Iw ×(kv /kw )=kv ×Iw
これにより、最終的なV相電流検出値iv'と最終的なW相電流検出値iw'のゲイン誤差をV相電流センサ38のゲイン誤差kv に揃えることができ、V相電流センサ38とW相電流センサ39のゲイン誤差の不均衡を補正することができる。
或は、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を用いてV相電流センサ38の出力(V相電流検出値iv )を補正することで、V相電流センサ38とW相電流センサ39のゲイン誤差の不均衡を補正するようにしても良い。
具体的には、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を用いてV相電流センサ38の出力(V相電流検出値iv )を次式により補正して最終的なV相電流検出値iv を求め、W相電流センサ39の出力(W相電流検出値iw )をそのまま最終的なW相電流検出値iw'とする。
iv'=iv /(kv /kw ) ……(17)
iw'=iw ……(18)
上記(17),(18)式は、それぞれ上記(12),(13)式の関係を用いて次のように表すことができる。
iv'=iv /(kv /kw )=kv ×Iv /(kv /kw )=kw ×Iv
iw'=iw =kw ×Iw
これにより、最終的なV相電流検出値iv'と最終的なW相電流検出値iw'のゲイン誤差をW相電流センサ39のゲイン誤差kw に揃えることができ、V相電流センサ38とW相電流センサ39のゲイン誤差の不均衡を補正することができる。
尚、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を用いてV相電流センサ38の出力又はW相電流センサ39の出力を補正する処理は、電流センサ38,39の出力を用いて交流モータ17を制御するモータ制御ルーチン等で行うようにしても良い。
以下、本実施例2で、モータ制御回路37が実行する図7のゲイン誤差比算出ルーチン及び図8のセンサ出力補正ルーチンの処理内容を説明する。
[ゲイン誤差比算出]
図7に示すゲイン誤差比算出ルーチンは、モータ制御回路37の電源オン後に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいうゲイン誤差比算出手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ301で、交流モータ17の制御システムの起動直後(モータ制御回路37の電源オン直後)のシステムチェック処理中であるか否かを判定し、システムチェック処理中でなければ、ステップ302以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ301で、交流モータ17の制御システムの起動直後のシステムチェック処理中であると判定されれば、交流モータ17の制御開始前における交流モータ17の停止中であると判断して、ステップ302に進み、ロータ回転位置センサ18で検出した交流モータ17のロータ回転位置θをロータ回転停止位置として読み込む。
この後、ステップ303に進み、交流モータ17のロータ回転停止位置が、無効電流指令時にV相電流指令値Iv =0となる回転位置又は無効電流指令時にW相電流指令値Iw =0となる回転位置であるか否かを判定する。ここで、無効電流指令時にV相電流指令値Iv =0となる回転位置と無効電流指令時にW相電流指令値Iw =0となる回転位置は、予めモータ制御回路37のROM(図示せず)等に記憶されている。
このステップ303で、交流モータ17のロータ回転停止位置θが無効電流指令時にV相電流指令値Iv =0となる回転位置ではなく且つ無効電流指令時にW相電流指令値Iw =0となる回転位置ではないと判定された場合には、ステップ304に進み、指令電流ベクトル(d軸指令電流Id ,q軸指令電流Iq )のd軸指令電流Id を0以外の所定値αに設定すると共にq軸指令電流Iq を0に設定することで、d−q座標系のd軸上に電流ベクトルを制御するように設定して、無効電流指令を行う。これにより、交流モータ17のトルク発生に寄与しない無効電流を交流モータ17に流す。
この後、ステップ305に進み、交流モータ17のロータ回転位置θ(ロータ回転停止位置)を用いて、次式[上記(11)式]によりV相電流指令値Iv (V相の実電流の代用情報)と、W相電流指令値Iw (W相の実電流の代用情報)との比(Iv /Iw )を求める。
Iv /Iw =cos(θ−2/3×π)/cos(θ+2/3×π)
この後、ステップ306に進み、V相電流センサ38で検出したV相電流検出値iv (V相電流センサ38の出力)と、W相電流センサ39で検出したW相電流検出値iw (W相電流センサ39の出力)との比(iv /iw )を算出する。
この後、ステップ307に進み、V相及びW相の電流指令値の比(Iv /Iw )と、V相及びW相の電流検出値の比(iv /iw )とを用いて、次式[上記(14)式]によりV相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を求める。
kv /kw =(iv /iw )/(Iv /Iw )
この後、ステップ308に進み、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を、モータ制御回路37のバックアップRAM40等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶する。
これに対して、上記ステップ303で、交流モータ17のロータ回転停止位置が、無効電流指令時にV相電流指令値Iv =0となる回転位置又は無効電流指令時にW相電流指令値Iw =0となる回転位置であると判定された場合には、ステップ309に進み、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )の算出を行わずに、ゲイン誤差の比(kv /kw )を前回値に保持する(記憶値を更新しない)。このステップ309の処理が特許請求の範囲でいうゲイン誤差比保持手段としての役割を果たす。
[センサ出力補正]
図8に示すセンサ出力補正ルーチンは、モータ制御中に所定周期(例えば電流センサ38,39の出力のサンプリング周期)で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいうセンサ出力補正手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ401で、モータ制御回路37のバックアップRAM40等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されているV相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )の記憶値を読み込んだ後、ステップ402に進み、V相電流センサ38の出力(V相電流検出値iv )とW相電流センサ39の出力(W相電流検出値iw )を読み込む。
この後、ステップ403に進み、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を用いてW相電流センサ39の出力(W相電流検出値iw )を補正することで、V相電流センサ38とW相電流センサ39のゲイン誤差の不均衡を補正する。或は、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を用いてV相電流センサ38の出力(V相電流検出値iv )を補正することで、V相電流センサ38とW相電流センサ39のゲイン誤差の不均衡を補正するようにしても良い。
以上説明した本実施例2では、交流モータ17の停止中に無効電流指令を行ったときのV相及びW相の電流指令値の比(Iv /Iw )と、V相及びW相の電流センサ38,39の出力の比(iv /iw )とに基づいて、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を算出するようにしたので、機器定数(抵抗R等)の影響を受けずにV相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を精度良く算出することができる。そして、このゲイン誤差の比(kv /kw )を用いてW相電流センサ39の出力又はV相電流センサ38の出力を補正するようにしたので、V相電流センサ38とW相電流センサ39のゲイン誤差の不均衡を補正することができ、V相及びW相の電流センサ38,39の出力に基づくモータ制御精度を向上させることができる。これにより、V相電流センサ38とW相電流センサ39のゲイン誤差の不均衡によるシステム内の電力の変動を抑制することができる。しかも、交流モータ17の停止中にゲイン誤差の比(kv /kw )を算出する際に、交流モータ17のトルク発生に寄与しない無効電流を交流モータ17に流すようにしたので、交流モータ17にトルクが発生することを防止して、システムに悪影響を及ぼすことを回避できる。
また、本実施例2では、交流モータ17の制御システムの起動直後のシステムチェック処理中(つまり交流モータ17の制御開始前の交流モータ17の停止中)に無効電流指令を行ってゲイン誤差の比(kv /kw )を算出するようにしたので、交流モータ7の制御開始前にゲイン誤差の比(kv /kw )を算出することができ、交流モータ17の制御開始当初から最新のゲイン誤差の比(kv /kw )を用いてW相電流センサ39の出力又はV相電流センサ38の出力を精度良く補正して、電流センサ38,39の出力に基づいたモータ制御精度を向上させることができる。
更に、本実施例2では、交流モータ17のロータ回転停止位置が無効電流指令時にV相電流指令値Iv =0となる回転位置や無効電流指令時にW相電流指令値Iw =0となる回転位置で、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を算出できない場合には、ゲイン誤差の比(kv /kw )を前回値に保持するようにしたので、ゲイン誤差の比(kv /kw )の前回値を用いてW相電流センサ39の出力又はV相電流センサ38の出力を補正することができる。
尚、上記実施例2では、交流モータの各相のうちの2つの相に流れる電流を検出するように2つの電流センサを備えたシステムに本発明を適用したが、これに限定されず、交流モータの各相のうちの3つ以上の相に流れる電流を検出するように3つ以上の電流センサを備えたシステムに本発明を適用しても良い。
次に、図9乃至図12を用いて本発明をハイブリッド車に適用した実施例3を説明する。但し、前記実施例1,2と実質的に同一部分については説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例1,2と異なる部分について説明する。
まず、図9に基づいてハイブリッド車の駆動システム全体の概略構成を説明する。
内燃機関であるエンジン41と第1の交流モータ42と第2の交流モータ43が搭載され、エンジン41と第2の交流モータ43が車輪44を駆動する動力源となる。エンジン41のクランク軸45の動力は、動力分割機構46で二系統に分割される。
この動力分割機構46は、サンギヤとピニオンギヤとリングギヤ(いずれも図示せず)等からなる遊星ギヤ機構で構成されている。ピニオンギヤには、キャリア(図示せず)を介してエンジン41のクランク軸45が連結され、サンギヤには、主に発電機として使用する第1の交流モータ42の回転軸が連結されている。また、リングギヤには、ペラ軸47(駆動軸)が連結され、このペラ軸47の動力がデファレンシャルギヤ機構48や車軸49等を介して車輪44に伝達される。第2の交流モータ43の回転軸は、減速ギヤ機構50を介してペラ軸47に連結されている。
第1の交流モータ42と第2の交流モータ43は、パワーコントロールユニット51を介してバッテリ52に接続されている。このパワーコントロールユニット51には、第1の交流モータ42を駆動する第1のインバータ53と、第2の交流モータ43を駆動する第2のインバータ54が設けられ、各交流モータ42,43は、それぞれインバータ53,54を介してバッテリ52と電力を授受するようになっている。エンジン41には、クランク軸45が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ55が取り付けられ、このクランク角センサ55の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。
ハイブリッドECU56は、ハイブリッド車全体を総合的に制御するコンピュータであり、アクセル開度(アクセルペダルの操作量)を検出するアクセルセンサ57、シフトレバーの操作位置を検出するシフトスイッチ58、ブレーキ操作を検出するブレーキスイッチ59、車速を検出する車速センサ60等の各種のセンサやスイッチの出力信号を読み込んで車両の運転状態を検出する。このハイブリッドECU56は、エンジン41の運転を制御するエンジンECU61と、第1及び第2のインバータ53,54を制御して第1及び第2の交流モータ42,43の運転を制御するMG−ECU62との間で制御信号やデータ信号を送受信し、各ECU61,62によって車両の運転状態に応じてエンジン41と第1の交流モータ42と第2の交流モータ43の運転を制御する。
例えば、発進時や低負荷時(エンジン41の燃費効率が悪い領域)は、エンジン41を停止状態に維持して、バッテリ52の電力で第2の交流モータ43を駆動し、この第2の交流モータ43の動力のみで車輪44を駆動して走行するモータ走行を行う。
エンジン41を始動する場合には、バッテリ52の電力で第1の交流モータ42を駆動し、この第1の交流モータ42の動力を動力分割機構46を介してエンジン41のクランク軸45に伝達することで、クランク軸45を回転駆動してエンジン41を始動する。
通常走行時には、エンジン41のクランク軸45の動力を動力分割機構46によって第1の交流モータ42側とペラ軸47側の二系統に分割し、その一方の系統の出力でペラ軸47を駆動して車輪44を駆動し、他方の系統の出力で第1の交流モータ42を駆動して第1の交流モータ42で発電し、その発電電力で第2の交流モータ43を駆動して第2の交流モータ43の動力でも車輪44を駆動する。更に、急加速時には、第1の交流モータ42の発電電力の他にバッテリ52の電力も第2の交流モータ43に供給して、第2の交流モータ43の駆動分を増加させる。
減速時には、車輪44の動力で第2の交流モータ43を駆動して第2の交流モータ43を発電機として作動させることで、車両の運動エネルギを第2の交流モータ43で電力に変換してバッテリ52に回収して充電する。
また、第2の交流モータ43の制御システムの構成は、前記実施例1で説明した図1の構成と実質的に同じであり、図9の第2の交流モータ43、バッテリ52、第2のインバータ54、MG−ECU62が、それぞれ図1の交流モータ17、直流電源11、インバータ16、モータ制御回路37に相当する。これ以外の構成部品(電流センサ38,39、ロータ回転位置センサ18等)は、図1と同じ符号を付して以下の説明に用いる。
本実施例3では、MG−ECU62により後述する図12のゲイン誤差比算出ルーチンを実行することで、交流モータ43の制御システムの起動直後のシステムチェック処理中(つまり交流モータ43の制御開始前の交流モータ43の停止中)に、交流モータ43のトルク発生に寄与しない無効電流を交流モータ43に流すように指令する無効電流指令を行い、この無効電流指令を行ったときのV相及びW相の電流指令値の比(Iv /Iw )と、V相及びW相の電流センサ38,39の出力の比(iv /iw )とに基づいて、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を算出する。
ところで、車両の停車中(交流モータ43の停止中)でも、例えば、車両のドアやトランクが開閉されたとき、車両に人が寄り掛かったとき、車両が強風にあおられたとき等には、車両が揺れることがあり、車両が揺れると、交流モータ43のロータ回転位置(磁極位置)が変動する可能性がある。交流モータ43の停止中に無効電流指令を行ったときのV相及びW相の電流指令値の比(Iv /Iw )と、V相及びW相の電流センサ38,39の出力の比(iv /iw )とに基づいて、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を算出する際に、図10(a)に示すように、交流モータ43のロータ回転位置が一定であれば、V相及びW相の電流センサ38,39の出力iv ,iw が一定となるが、図10(b)に示すように、車両の揺れ等により交流モータ43のロータ回転位置が変動すると、それに伴ってV相及びW相の電流センサ38,39の出力iv ,iw が変動するため、ゲイン誤差の比の算出精度が低下する可能性がある。
この対策として、本実施例3では、ゲイン誤差の比の算出処理中にロータ回転位置センサ18の出力変動(つまりロータ回転位置の変動)が所定の許容値よりも大きくなった場合には、ロータ回転位置センサ18の出力変動が許容値以下になったときにゲイン誤差の比の算出をやり直すようにしている。更に、ゲイン誤差の比の算出処理指令が発生してからゲイン誤差の比の算出が完了する前に所定時間が経過した場合には、ゲイン誤差の比の算出を禁止してゲイン誤差の比を前回値に保持するようにしている。
具体的には、図11のタイムチャートに示すように、交流モータ43の停止中にゲイン誤差比算出処理指令がオンされた後、ロータ回転位置センサ18の出力変動が許容値以下であれば、交流モータ43のd軸指令電流Id を所定値α(≠0)に設定する(0から所定値αに変化させる)と共にq軸指令電流Iq を0に設定することで無効電流指令を行い、この無効電流指令を行ったときのV相及びW相の電流指令値の比(Iv /Iw )と、V相及びW相の電流センサ38,39の出力の比(iv /iw )とに基づいて、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を算出する処理を開始する。
このゲイン誤差の比の算出処理中にロータ回転位置センサ18の出力変動が許容値よりも大きくなった場合には、それに伴ってV相及びW相の電流センサ38,39の出力変動が許容値よりも大きくなってゲイン誤差の比の算出精度が低下すると判断して、その時点t1 で、交流モータ43のd軸指令電流Id を0に設定する(所定値αから0に変化させる)と共にq軸指令電流Iq を0に設定することで無効電流指令を停止して、ゲイン誤差の比の算出を中止する。
その後、ロータ回転位置センサ18の出力変動が許容値以下になった場合には、その時点t2 で、再び交流モータ43のd軸指令電流Id を所定値α(≠0)に設定する(0から所定値αに変化させる)と共にq軸指令電流Iq を0に設定することで無効電流指令を行い、この無効電流指令を行ったときのV相及びW相の電流指令値の比(Iv /Iw )と、V相及びW相の電流センサ38,39の出力の比(iv /iw )とに基づいて、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を算出する処理を開始して、ゲイン誤差の比の算出をやり直す。
その後、ゲイン誤差比算出処理指令がオンされてからゲイン誤差の比の算出が完了する前に所定時間が経過した場合には、その時点t3 で、交流モータ43のd軸指令電流Id を0に設定する(所定値αから0に変化させる)と共にq軸指令電流Iq を0に設定することで無効電流指令を停止して、ゲイン誤差の比の算出を禁止し、ゲイン誤差の比を前回値に保持する(記憶値を更新しない)。
以下、本実施例3で、MG−ECU62が実行する図12のゲイン誤差比算出ルーチンの処理内容を説明する。
[ゲイン誤差比算出]
図12に示すゲイン誤差比算出ルーチンは、MG−ECU62の電源オン後に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいうゲイン誤差比算出手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ501で、交流モータ43の制御システムの起動直後(MG−ECU62の電源オン直後)のシステムチェック処理中であるか否かを判定し、システムチェック処理中でなければ、ステップ502以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ501で、交流モータ43の制御システムの起動直後のシステムチェック処理中であると判定されれば、交流モータ43の制御開始前における交流モータ43の停止中であると判断して、ステップ502に進み、ゲイン誤差比算出処理指令をオン(ON)した後、ステップ503に進み、ロータ回転位置センサ18で検出した交流モータ43のロータ回転位置θ(ロータ回転停止位置)を読み込む。
この後、ステップ504に進み、ゲイン誤差比算出処理指令オン後の経過時間が所定時間を越えたか否か(ゲイン誤差比算出処理指令が発生してから所定時間が経過したか否か)を判定する。
このステップ504で、ゲイン誤差比算出処理指令オン後の経過時間が所定時間を越えていない(ゲイン誤差比算出処理指令が発生してから所定時間が経過していない)と判定された場合には、ステップ505に進み、ロータ回転位置センサ18で検出した交流モータ43のロータ回転位置の前回値θ(i-1) と今回値θ(i) との差の絶対値が許容値よりも大きいか否か(ロータ回転位置センサ18の出力変動が許容値よりも大きいか否か)を判定する。
このステップ505で、ロータ回転位置の前回値θ(i-1) と今回値θ(i) との差の絶対値が許容値以下である(ロータ回転位置センサ18の出力変動が許容値以下である)と判定された場合には、ステップ506に進み、交流モータ43のd軸指令電流Id を所定値α(≠0)に設定すると共にq軸指令電流Iq を0に設定することで無効電流指令を行い、この無効電流指令を行ったときのV相及びW相の電流指令値の比(Iv /Iw )と、V相及びW相の電流センサ38,39の出力の比(iv /iw )とに基づいて、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を算出する処理(図7のステップ304〜308と同じ処理)を行う。
この後、ステップ507に進み、ゲイン誤差の比(kv /kw )の算出が完了したか否かを判定し、ゲイン誤差の比(kv /kw )の算出が完了していないと判定されれば、ステップ509に進み、ロータ回転位置の前回値θ(i-1) を今回値θ(i) で更新した後、上記ステップ503に戻る。
その後、ステップ505で、ロータ回転位置の前回値θ(i-1) と今回値θ(i) との差の絶対値が許容値よりも大きい(ロータ回転位置センサ18の出力変動が許容値よりも大きい)と判定された場合には、V相及びW相の電流センサ38,39の出力変動が許容値よりも大きくなってゲイン誤差の比の算出精度が低下すると判断して、ステップ508に進み、交流モータ43のd軸指令電流Id を0に設定すると共にq軸指令電流Iq を0に設定することで無効電流指令を停止して、ゲイン誤差の比の算出を中止した後、ステップ509に進み、ロータ回転位置の前回値θ(i-1) を今回値θ(i) で更新した後、上記ステップ503に戻る。
その後、ステップ505で、ロータ回転位置の前回値θ(i-1) と今回値θ(i) との差の絶対値が許容値以下である(ロータ回転位置センサ18の出力変動が許容値以下である)と判定されれば、ステップ506に進み、再び交流モータ43のd軸指令電流Id を所定値α(≠0)に設定する(0から所定値αに変化させる)と共にq軸指令電流Iq を0に設定することで無効電流指令を行い、この無効電流指令を行ったときのV相及びW相の電流指令値の比(Iv /Iw )と、V相及びW相の電流センサ38,39の出力の比(iv /iw )とに基づいて、V相及びW相の電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を算出する処理を開始して、ゲイン誤差の比の算出をやり直す。
そして、ステップ504でゲイン誤差比算出処理指令オン後の経過時間が所定時間を越えた(ゲイン誤差比算出処理指令が発生してから所定時間が経過した)と判定される前に、ステップ507でゲイン誤差の比(kv /kw )の算出が完了したと判定された場合には、そのまま本ルーチンを終了する。
これに対して、ステップ507でゲイン誤差の比(kv /kw )の算出が完了したと判定される前に、ステップ504でゲイン誤差比算出処理指令オン後の経過時間が所定時間を越えた(ゲイン誤差比算出処理指令が発生してから所定時間が経過した)と判定された場合には、ステップ510に進み、交流モータ43のd軸指令電流Id を0に設定すると共にq軸指令電流Iq を0に設定することで無効電流指令を停止して、ゲイン誤差の比の算出を禁止した後、ステップ511に進み、ゲイン誤差の比(kv /kw )を前回値に保持する(記憶値を更新しない)。
以上説明した本実施例3では、ゲイン誤差の比の算出処理中にロータ回転位置センサ18の出力変動(つまりロータ回転位置の変動)が許容値よりも大きくなった場合には、それに伴って電流センサ38,39の出力変動(つまり電流検出値の変動)が許容値よりも大きくなってゲイン誤差の比の算出精度が低下すると判断して、ロータ回転位置センサ18の出力変動が許容値以下になったときにゲイン誤差の比の算出をやり直すようにしたので、ゲイン誤差の比の算出精度の低下を防止することができる。
更に、本実施例3では、ゲイン誤差の比の算出処理指令が発生してからゲイン誤差の比の算出が完了する前に所定時間が経過した場合には、ゲイン誤差の比の算出を禁止してゲイン誤差の比を前回値に保持するようにしたので、ゲイン誤差の比の算出期間が過剰に長くなることを防止して交流モータ43の停止期間が過剰に長くなることを回避することができると共に、ゲイン誤差の比の算出を禁止した場合でも、ゲイン誤差の比の前回値を用いて電流センサ38又は電流センサ39の出力を補正することができる。
尚、上記実施例3では、ゲイン誤差の比の算出処理中にロータ回転位置センサ18の出力変動(つまりロータ回転位置の変動)が許容値よりも大きくなった場合にはロータ回転位置センサ18の出力変動が許容値以下になったときにゲイン誤差の比の算出をやり直すようにしたが、ゲイン誤差の比の算出処理中に電流センサ38又は電流センサ39の出力変動(つまり電流検出値の変動)が許容値よりも大きくなった場合には電流センサ38又は電流センサ39の出力変動が許容値以下になったときにゲイン誤差の比の算出をやり直すようにしても良く、この場合でも上記実施例3とほぼ同じ効果を得ることができる。
また、上記実施例3では、電流センサ38,39のゲイン誤差の比(kv /kw )を算出するシステムに本発明を適用したが、電流センサ38,39のゲイン誤差kv ,kw を算出するシステムに本発明を適用しても良い。つまり、ゲイン誤差の算出処理中にロータ回転位置センサ18の出力変動が許容値よりも大きくなった場合にはロータ回転位置センサ18の出力変動が許容値以下になったときにゲイン誤差の算出をやり直すようにしても良い。或は、ゲイン誤差の算出処理中に電流センサ38又は電流センサ39の出力変動が許容値よりも大きくなった場合には電流センサ38又は電流センサ39の出力変動が許容値以下になったときにゲイン誤差の算出をやり直すようにしても良い。更に、ゲイン誤差の算出処理指令が発生してからゲイン誤差の算出が完了する前に所定時間が経過した場合には、ゲイン誤差の算出を禁止してゲイン誤差を前回値に保持するようにしても良い。
また、第2の交流モータ43の電流センサに限定されず、第1の交流モータ42の電流センサに本発明を適用しても良い。更に、交流モータの各相のうちの2つの相に流れる電流を検出するように2つの電流センサを備えたシステムに限定されず、交流モータの各相のうちの1つの相に流れる電流を検出するように1つの電流センサを備えたシステムや、交流モータの各相のうちの3つ以上の相に流れる電流を検出するように3つ以上の電流センサを備えたシステムに本発明を適用しても良い。
また、上記各実施例1〜3では、交流モータの制御開始前の交流モータの停止中に無効電流指令を行って電流センサのゲイン誤差情報(ゲイン誤差又はゲイン誤差の比)を算出するようにしたが、これに限定されず、他の交流モータの停止中(例えば、交流モータの制御開始後に交流モータを停止させたときや、交流モータを停止させた状態で交流モータの制御システムを停止させるとき等)に無効電流指令を行って電流センサのゲイン誤差情報を算出するようにしても良い。
また、エンジンの動力を動力分割機構で分割するスプリットタイプのハイブリッド車に限定されず、パラレルタイプやシリーズタイプ等の他の方式のハイブリッド車に本発明を適用しても良い。更に、交流モータとエンジンを動力源とするハイブリッド車に限定されず、交流モータのみを動力源とする電気自動車に本発明を適用しても良い。
その他、本発明は、電気自動車やハイブリッド車の駆動源として搭載される交流モータの電流センサに限定されず、自動車に搭載される種々の交流モータの電流センサに適用しても良い。
11…直流電源、12…昇圧コンバータ、16…インバータ、17…交流モータ、18…ロータ回転位置センサ、37…モータ制御回路(ゲイン誤差算出手段,センサ出力補正手段,ゲイン誤差保持手段,ゲイン誤差比算出手段,ゲイン誤差比保持手段)、38…V相電流センサ、39…W相電流センサ、40…バックアップRAM、41…エンジン(内燃機関)、42,43…交流モータ、44…車輪、53,54…インバータ、56…ハイブリッドECU、61…エンジンECU、62…MG−ECU

Claims (14)

  1. 車両に搭載された交流モータと、該交流モータに流れる電流を検出する電流センサとを備えた自動車のモータ制御装置において、
    前記交流モータの停止中に該交流モータのトルク発生に寄与しない無効電流を該交流モータに流すように指令する無効電流指令を行ったときの電流指令値と前記電流センサの出力とに基づいて該電流センサのゲイン誤差を算出するゲイン誤差算出手段と、
    前記ゲイン誤差算出手段で算出したゲイン誤差を用いて前記電流センサの出力を補正するセンサ出力補正手段と
    を備えていることを特徴とする自動車のモータ制御装置。
  2. 前記ゲイン誤差算出手段は、前記交流モータの制御システムの起動直後における該交流モータの制御開始前に前記無効電流指令を行って前記ゲイン誤差を算出する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の自動車のモータ制御装置。
  3. 前記ゲイン誤差算出手段は、前記交流モータのロータ回転座標として設定したd−q座標系におけるd軸指令電流を0以外の所定値に設定してq軸指令電流を0に設定することで前記無効電流指令を行う手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車のモータ制御装置。
  4. 前記無効電流指令を行う際に前記交流モータのロータ回転停止位置が前記電流センサで検出する相の電流指令値が0となる回転位置の場合には前記ゲイン誤差算出手段によるゲイン誤差の算出を行わずにゲイン誤差を前回値に保持するゲイン誤差保持手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の自動車のモータ制御装置。
  5. 前記交流モータのロータ回転位置を検出するロータ回転位置センサを備え、
    前記ゲイン誤差算出手段は、前記ゲイン誤差の算出処理中に前記ロータ回転位置センサの出力変動が所定の許容値よりも大きくなった場合には前記ロータ回転位置センサの出力変動が前記許容値以下になったときに前記ゲイン誤差の算出をやり直す手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の自動車のモータ制御装置。
  6. 前記ゲイン誤差算出手段は、前記ゲイン誤差の算出処理中に前記電流センサの出力変動が所定の許容値よりも大きくなった場合には前記電流センサの出力変動が前記許容値以下になったときに前記ゲイン誤差の算出をやり直す手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の自動車のモータ制御装置。
  7. 前記ゲイン誤差算出手段は、前記ゲイン誤差の算出処理指令が発生してから前記ゲイン誤差の算出が完了する前に所定時間が経過した場合には前記ゲイン誤差の算出を禁止してゲイン誤差を前回値に保持する手段を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の自動車のモータ制御装置。
  8. 車両に搭載された交流モータと、該交流モータの各相のうちの第1の相に流れる電流を検出する第1の電流センサ及び第2の相に流れる電流を検出する第2の電流センサとを備えた自動車のモータ制御装置において、
    前記交流モータの停止中に該交流モータのトルク発生に寄与しない無効電流を該交流モータに流すように指令する無効電流指令を行ったときの前記第1及び第2の相の電流指令値の比と、前記第1及び第2の電流センサの出力の比とに基づいて、前記第1及び第2の電流センサのゲイン誤差の比を算出するゲイン誤差比算出手段と、
    前記ゲイン誤差比算出手段で算出したゲイン誤差の比を用いて前記第1の電流センサの出力又は前記第2の電流センサの出力を補正するセンサ出力補正手段と
    を備えていることを特徴とする自動車のモータ制御装置。
  9. 前記ゲイン誤差比算出手段は、前記交流モータの制御システムの起動直後における該交流モータの制御開始前に前記無効電流指令を行って前記ゲイン誤差の比を算出する手段を有することを特徴とする請求項8に記載の自動車のモータ制御装置。
  10. 前記ゲイン誤差比算出手段は、前記交流モータのロータ回転座標として設定したd−q座標系におけるd軸指令電流を0以外の所定値に設定してq軸指令電流を0に設定することで前記無効電流指令を行う手段を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の自動車のモータ制御装置。
  11. 前記無効電流指令を行う際に前記交流モータのロータ回転停止位置が前記電流センサで検出する相の電流指令値が0となる回転位置の場合には前記ゲイン誤差比算出手段によるゲイン誤差の比の算出を行わずにゲイン誤差の比を前回値に保持するゲイン誤差比保持手段を備えていることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の自動車のモータ制御装置。
  12. 前記交流モータのロータ回転位置を検出するロータ回転位置センサを備え、
    前記ゲイン誤差比算出手段は、前記ゲイン誤差の比の算出処理中に前記ロータ回転位置センサの出力変動が所定の許容値よりも大きくなった場合には前記ロータ回転位置センサの出力変動が前記許容値以下になったときに前記ゲイン誤差の比の算出をやり直す手段を有することを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の自動車のモータ制御装置。
  13. 前記ゲイン誤差比算出手段は、前記ゲイン誤差の比の算出処理中に前記電流センサの出力変動が所定の許容値よりも大きくなった場合には前記電流センサの出力変動が前記許容値以下になったときに前記ゲイン誤差の比の算出をやり直す手段を有することを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の自動車のモータ制御装置。
  14. 前記ゲイン誤差比算出手段は、前記ゲイン誤差の比の算出処理指令が発生してから前記ゲイン誤差の比の算出が完了する前に所定時間が経過した場合には前記ゲイン誤差の比の算出を禁止してゲイン誤差の比を前回値に保持する手段を有することを特徴とする請求項12又は13に記載の自動車のモータ制御装置。
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