JP2011074414A - 黒鉛球状化剤、及び鉄溶湯の黒鉛球状化処理方法 - Google Patents

黒鉛球状化剤、及び鉄溶湯の黒鉛球状化処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶融鋳鉄の溶製時における黒鉛球状化処理にあたって、添加歩留まりを向上すると共に充分な接種効果を発揮させることができ、しかもスラグの発生を著しく抑制することができる黒鉛球状化剤を提供する。
【解決手段】本発明に係る黒鉛球状化剤1は、ケイ素、マグネシウム、カルシウム、炭素及び炭化ケイ素を含有する。これを黒鉛球状化処理に使用すると、マグネシウムの作用により黒鉛球状化がなされ、カルシウムによってマグネシウムの反応が抑制されると共にチル化防止の接種がされる。炭化ケイ素はカルシウムと共に接種をおこない、炭素がカルシウムと共にマグネシウムの激しい反応を抑制する。炭化ケイ素の作用により黒鉛球状化剤1中の成分の酸化が抑制される。これによりスラグの発生が低減する。
【選択図】図1

Description

本発明は溶融鋳鉄の溶製時における黒鉛球状化処理に用いられる黒鉛球状化剤、及びこの黒鉛球状化処理剤を用いた鉄溶湯の黒鉛球状化処理方法に関する。
球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)やコンパクト・バーミキュラー鋳鉄(CV鋳鉄)は、鉄スクラップ材等の鉄源原料をキュポラ、電気炉等によって融解させて得られる溶湯に、金属Mg等の黒鉛球状化剤を添加し、更に必要に応じてFe−Si合金等の接種剤を添加することで溶融鋳鉄を溶製し、これを注湯・生砂造型等の鋳造設備によって鋳造することで製造されている。これらの鋳鉄は、自動車部品の製造等に広く用いられている。
黒鉛球状化剤としては、例えばケイ素、マグネシウム、カルシウム、希土類元素、鉄等の原料から調製されたものが用いられている。これにより、黒鉛球状化剤中のマグネシウムやマグネシウム基合金が溶湯中で気化してこの溶湯に作用し、溶湯中の黒鉛が球状化する。
この黒鉛球状化剤において、カルシウムは、マグネシウムが溶湯中で激しく酸化又は気化することを抑制することで黒鉛球状化剤の添加歩留まりを高めると共に鋳鉄のチル化防止のための接種をおこなうために使用される。
しかし、カルシウムは黒鉛球状化剤を溶湯に添加する際のスラグ発生の原因にもなるという問題がある。スラグが発生すると、鋳鉄内にピンホール、ノロカミ等の欠陥が生じやすくなり、鋳造品の不良発生を引き起こしてしまう。
そこで、本出願人は、黒鉛球状化剤の原料として炭素を用い、これにより溶湯中でマグネシウムを穏やかに気化させることで、カルシウムの使用量を抑制しつつ添加歩留まりを向上することを提案している(特許文献1参照)。
しかし、前記のとおりカルシウムは接種のためにも使用されるため、接種の効果が充分に発揮されるようにするためには、黒鉛球状化剤にある程度の量のカルシウムを含有させる必要がある。また、マグネシウムやケイ素もスラグの発生の原因となっている。このため、スラグの低減には一定の限界があった。一方で、鋳造品の品質向上のためには更なるスラグの低減が求められている。
特公昭61−27443号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、溶融鋳鉄の溶製時における黒鉛球状化処理にあたって、添加歩留まりを向上すると共に充分な接種効果を発揮させることができ、しかもスラグの発生を著しく抑制することができる黒鉛球状化剤、及びこの黒鉛球状化処理剤を用いた鉄溶湯の黒鉛球状化処理方法を提供することを目的とする。
本発明に係る黒鉛球状化剤1は、ケイ素、マグネシウム、カルシウム、炭素及び炭化ケイ素を含有することを特徴とする。
本発明に係る黒鉛球状化剤1を、溶融鋳鉄の溶製時における黒鉛球状化処理のために使用すると、黒鉛球状化剤1中のマグネシウムの作用により黒鉛球状化がなされ、更にカルシウムによってマグネシウムが溶湯2中で激しく酸化又は気化することが抑制されると共に鋳鉄のチル化防止のための接種がなされる。このとき、黒鉛球状化剤1中の炭化ケイ素が前記カルシウムと共に鋳鉄のチル化防止のための接種をおこない、黒鉛球状化剤1中の炭素が前記カルシウムと共にマグネシウムが溶湯2中で激しく酸化又は気化することを抑制する。このため、黒鉛球状化剤1中のカルシウムの量を低減することができ、これにより溶湯2中のスラグの発生を低減することができる。また、黒鉛球状化剤1中の炭化ケイ素の作用により黒鉛球状化剤1中の成分の酸化が抑制される上、黒鉛球状化処理時に発生するスラグを還元することで溶湯2中のスラグの発生を低減することができる。
本発明においては、黒鉛球状化剤1中のカルシウムの含有量が2.0質量%以下、炭素の含有量が0.4〜4.0質量%、炭化ケイ素の含有量が0.5〜6.5質量%であることが好ましい。
この場合、カルシウムの量を充分に低減しつつ、マグネシウムが溶湯2中で激しく酸化又は気化することを充分に抑制する効果と、鋳鉄のチル化防止のための接種効果とを充分に発現させることができ、且つ溶湯2中のスラグの発生を著しく低減することができる。
また、本発明においては、黒鉛球状化剤1が更に希土類元素及び鉄を含有することも好ましい。
更に本発明においては、黒鉛球状化剤1がマグネシウムを1〜9.5質量%、カルシウムを2.0質量%以下、希土類元素を10質量%以下、炭素を0.4〜4.0質量%、炭化ケイ素を0.5〜6.5質量%の割合で含有し、残部が鉄及び不可避的不純物であることが好ましい。
本発明に係る鉄溶湯の黒鉛球状化処理方法は、鉄源原料を融解させて得られる溶湯2に、上記黒鉛球状化剤1を添加することを特徴とする。
本発明に係る溶融鋳鉄の溶製方法は、鉄源原料を融解させて得られる溶湯2に、上記黒鉛球状化剤1を添加することを特徴とする。
本発明に係る鋳鉄の製造方法は、鉄源原料を融解させて得られる溶湯に、上記黒鉛球状化剤を添加して溶融鋳鉄を溶製し、この溶融鋳鉄を鋳造することを特徴とする。
本発明によれば、黒鉛球状化剤が炭素及び炭化ケイ素を含有することで、カルシウムの使用量を低減しつつ、溶融鋳鉄の溶製時における黒鉛球状化処理にあたって、添加歩留まりを向上すると共に充分な接種効果を発揮させることができ、しかもスラグの発生を著しく抑制することができるものである。
(a)及び(b)は溶融鋳鉄の溶製方法の一例を示す概略図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
黒鉛球状化剤1は、ケイ素、マグネシウム、カルシウム、炭素、及び炭化ケイ素を含有する。この黒鉛球状化剤1は、更に希土類元素や鉄を含有することが好ましい。
本発明において、黒鉛球状化剤1がケイ素、マグネシウム、カルシウム、希土類元素、鉄を含有するとは、これらの元素が蛍光X線分析法(XRF)により検出されることを意味する。また、本発明において、黒鉛球状化剤1が炭素(C)を含有するとは、JIS R2011で規定される遊離炭素の測定方法により遊離炭素が測定され、且つX線回折測定法によりグラファイトに帰属される回折ピークが検出されることを意味する。また、本発明において、黒鉛球状化剤1が炭化ケイ素(SiC)を含有するとは、JIS R2011で規定される炭化ケイ素の測定方法により炭化ケイ素が測定されることを意味する。
マグネシウム(Mg)は、黒鉛球状化剤1に溶湯2中の黒鉛を球状化させる作用を発現させるために黒鉛球状化剤1に含有される。黒鉛球状化剤1におけるマグネシウムの含有量は1〜9.5質量%の範囲であることが好ましく、3〜8質量%の範囲であれば更に好ましい。このマグネシウムの含有量が1質量%以上、特に3質量%以上であれば黒鉛球状化剤1に溶湯2中の黒鉛を球状化させる作用を充分に発現させることができる。またこのマグネシウムの含有量が9.5質量%以下、特に8質量%以下であると、溶湯2中でマグネシウムが激しく酸化又は気化することを充分に抑制することができる。
カルシウム(Ca)は、マグネシウムが溶湯2中で激しく酸化又は気化することを抑制すると共に鋳鉄のチル化防止のための接種をおこなうために黒鉛球状化剤1に含有される。スラグの発生を充分に抑制するためには、カルシウムの量は前記接種の効果を確保できる範囲において、できるだけ少ないことが好ましく、特に黒鉛球状化剤1中の含有量が2.0質量%以下であることが好ましい。また、カルシウムの含有量の下限は、黒鉛球状化処理条件や目的とする製品に応じて異なるが、黒鉛球状化剤1中の含有量が0.4質量%以上であれば接種の効果を発揮することができる。
炭素(C)は前記カルシウムと共に、マグネシウムが溶湯2中で激しく酸化又は気化することを抑制するために黒鉛球状化剤1に含有され、このため、カルシウムの含有量を低減しつつ前記効果を発現させることができる。黒鉛球状化剤1中の炭素の含有量は0.4〜4.0質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜2.2質量%の範囲であれば更に好ましい。この炭素の含有量が0.4質量%以上、特に0.5質量%以上であれば、溶湯2中でマグネシウムを充分穏やかに酸化又は気化させることができる。またこの含有量が4.0質量%以下、特に2.2質量%以下であれば、黒鉛球状化剤1中に炭素が分散性よく混合され、均質性の高い黒鉛球状化剤1を得ることができる。
炭化ケイ素(SiC)は、前記カルシウムと共に鋳鉄のチル化防止のための接種をおこない、且つ溶湯2におけるスラグの発生を抑制するために黒鉛球状化剤1に含有される。このため、カルシウムの含有量を低減しつつ前記接種の効果を発現させることができる。またカルシウムの含有量を低減することでスラグの発生を抑制しつつ、炭化ケイ素によってスラグの発生を更に抑制することができ、従って溶湯2におけるスラグの発生を著しく低減することができる。黒鉛球状化剤1中の炭化ケイ素の含有量は0.5〜6.5質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜3質量%の範囲であれば更に好ましい。この炭化ケイ素の含有量が0.5質量%以上であれば、溶湯2におけるスラグの発生を大きく低減することができる。またこの炭化ケイ素の含有量が6.5質量%以下であると、黒鉛球状化剤1中に炭化ケイ素を均一に分散させることができる。
希土類元素(RE)は、黒鉛の球状化を促進させることに加え、溶湯2に球状化を阻害する元素が含有されている場合はこれを中和する目的で黒鉛球状化剤1に含有される。希土類元素(RE)としては、例えばセリウム(Ce)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)等が挙げられ、また一種類の元素のみを用いるほか、二種以上の元素を併用することができる。黒鉛球状化剤1中の希土類元素の含有量は、チャンキー黒鉛が発生しない程度に抑えることが望ましく、製品等によるが10質量%以下であることが好ましい。また、この希土類元素の含有量が1〜3.0質量%の範囲であれば特に好ましい。
ケイ素(Si)は、黒鉛球状化剤1の調製時に原料中のマグネシウム、カルシウム、希土類元素、鉄などの成分との間で安定した合金を形成することで安定で均質性の高い黒鉛球状化剤1を得るために、黒鉛球状化剤1に含有される。また、このケイ素の一部は上記炭化ケイ素を構成している。黒鉛球状化剤1中のケイ素の含有量は35〜75質量%の範囲であることが好ましく、43〜50質量%の範囲であれば更に好ましい。このケイ素の含有量には、炭化ケイ素を構成しているケイ素の含有量も含まれる。このケイ素の含有量が35質量%以上であれば黒鉛球状化剤1中でマグネシウム、カルシウム、希土類元素、鉄等をケイ素と充分に合金化させることができ、黒鉛球状化剤1の工業的な製造が可能となる。またこのケイ素の含有量が75質量%以下であると、溶湯2に対して黒鉛球状化剤1の比重を充分に大きくすることができ、溶湯2中で黒鉛球状化剤1が浮上することを防止することができる。
また、鉄は黒鉛球状化剤1中の上記各成分の配合量を調整するなどの目的で、黒鉛球状化剤1に含有される。鉄は、原料全体中からケイ素、マグネシウム、カルシウム、希土類元素、炭素及び炭化ケイ素を除いた残部とすることができる。尚、この残部には鉄のほかに不可避的な不純物が含まれていてもよい。
黒鉛球状化剤1におけるケイ素、マグネシウム、カルシウム、希土類元素及び鉄の含有量は、蛍光X線分析法(XRF)により測定される値である。また、炭素及び炭化ケイ素の含有量は、JIS R2011で規定される遊離炭素の測定方法及び炭化ケイ素の測定方法によりそれぞれ測定される値である。但し、黒鉛球状化剤1をX線回折測定した場合にグラファイトに帰属される回折ピークが検出されない場合には、黒鉛球状化剤1には炭素は含有されていないものとする。
黒鉛球状化剤1は、この黒鉛球状化剤1に含有される成分を含む原料を公知の方法で溶融混合することで調製することができる。ケイ素、マグネシウム、カルシウム、希土類元素、鉄などの金属を含む原料としては、単体や合金を使用することができ、例えば金属マグネシウム、鉄とケイ素との合金であるフェロシリコン、カルシウムとケイ素との合金であるカルシウムシリコン、希土類元素とケイ素との合金であるレアアースシリコンなどを使用することができる。また、炭素を含む原料としては黒鉛を使用することができ、鉄を含む原料としては鋼粉などを使用することができる。また鉄と炭素を含む原料として、炭素を固溶する銑鉄などを使用することもできる。またケイ素を含む原料及び炭化ケイ素を含む原料として炭化ケイ素そのものを使用する。
黒鉛球状化剤1の製造にあたっては、上記のような原料を、目的とする黒鉛球状化剤1の組成に応じて配合する。
これらの原料を公知の方法で溶融混合した後、冷却固化し、更に粉砕するなどして、黒鉛球状化剤1を得ることができる。原料の溶融混合にあたっては、例えば上記のような原料を低周波誘導炉内に投入し、好ましくは1150〜1400℃の温度で溶融混合することができる。
このようにして黒鉛球状化剤1を製造する際、原料中に炭化ケイ素が含まれているため、原料の酸化が抑制され、このため黒鉛球状化剤1中にスラグが混入することを抑制することができる。すなわち、炭化ケイ素によって、黒鉛球状化処理時のスラグの発生が抑制されるだけでなく、黒鉛球状化剤1の製造時にも黒鉛球状化剤1にスラグが混入することが抑制されるようになる。
この黒鉛球状化剤1を使用した黒鉛球状化処理について説明する。
この黒鉛球状化剤1は、従来公知の全ての黒鉛球状化処理の方法に適用することができる。具体的な方法としては、置注ぎ法(サンドイッチ法ともいう)、タンディッシュ法、インモールド法等が挙げられる。特に置注ぎ法が、簡易な設備で実施することができ、設備のメンテナンスに手間がかからない点で好ましい。
図1に、置注ぎ法の一例を示す。本例では、図1(a)に示すような、底部にポケット状の反応室4が形成された取鍋3を使用する。まず、取鍋3の底部の反応室4に黒鉛球状化剤1を充填し、図1(b)に示すように、充填された黒鉛球状化剤1の上面をカバー材5(切削粉、ポンチ屑、鋼板等)で完全に被覆する。次いで、鉄スクラップ材等の鉄源原料をキュポラ、電気炉等の融解炉8によって融解させるなどして得られる溶湯2を直接、或いは必要に応じて一旦保持炉9に貯留・滞留させて温度や成分を均質化させた後、取鍋3内に注ぎ込む。そうすると、カバー材5が溶湯2によって融解されるとともに、黒鉛球状化剤1も融解されて、反応が開始され、黒鉛球状化処理が行われる。なお、置注ぎ法においては、比較的胴長の取鍋を用いると、溶湯2中で確実に反応を起こさせることができ、溶湯2中に残留するマグネシウム(Mg)の歩留りが向上するため好ましい。また、この際、反応室4に接種剤を充填してもよい。
黒鉛球状化剤1の形状については特に制限はなく、例えば、黒鉛球状化処理が行われる方法に応じて適宜好ましい形状を決定することができ、例えば、粉体又は塊状を好適例として挙げることができる。また、例えば、置注ぎ法によって黒鉛球状化処理が行われる場合には、黒鉛球状化剤1は使用する取鍋3の底部に形成された反応室4に充填され得る形状であることが好ましい。
黒鉛球状化剤1の溶湯2への添加量は、鋳鉄に要求される黒鉛の球状化の度合いに応じて適宜調整されるが、球状黒鉛鋳鉄を得る場合には溶湯2中のMg含有量が0.03〜0.07重量%となる範囲で添加し、CV鋳鉄を得る場合には溶湯2中のMg含有量が0.01〜0.04重量%となる範囲で添加することが好ましい。また、黒鉛球状化処理時の溶湯2の温度は1400〜1550℃の範囲としておくことが好ましい。
以上のように溶製された溶融鋳鉄を、遠心鋳造機等の適宜の鋳造設備にて鋳造することで、球状黒鉛鋳鉄やCV鋳鉄を得ることができる。
[実施例及び比較例]
各実施例及び比較例において、原料としてフェロシリコン、金属マグネシウム、カルシウムシリコン、レアアースシリコン、炭化ケイ素、黒鉛及び鋼屑を用い、これらを低周波誘導炉内に投入し、溶融混合した後、冷却し、更にこれを粉砕することで、黒鉛球状化剤1を調製した。
各実施例及び比較例の黒鉛球状化剤1について、蛍光X線分析とJIS R2011で規定される遊離炭素及び炭化ケイ素の測定方法による測定結果に基づき、ケイ素、マグネシウム、カルシウム、炭素、炭化ケイ素、希土類元素及び鉄の含有量を導出した。その結果を表1に示す。
また、各黒鉛球状化剤1についてX線回折測定(日本フィリップス株式会社製X線回折装置「X’pert Pro」を使用;CuKα;出力2.2kW)をおこない、その測定結果における、炭素の単体(グラファイト)に帰属される回折ピークの有無に基づいて、黒鉛球状化剤1における炭素の含有の有無を判定した。この結果も表1に示す。
この黒鉛球状化剤1を用い、図1に示す置注ぎ法により溶湯に対して黒鉛球状化処理を施した。カバー材5としてはポンチ屑を使用した。処理時の溶湯2の温度は1510℃とし、溶湯2に対する黒鉛球状化剤1の添加量は表1に示すとおりとした。
この処理の前後における溶湯2の組成をICP発光分光分析にて測定した結果を表1に示す。
このようにして得られた溶融鋳鉄をYブロックに注湯して鋳造し、試験サンプルを得た。
[評価試験]
(反応状態評価)
各実施例及び比較例について、黒鉛球状化処理時における溶湯2の状態を観察して反応性とスラグ発生量を評価した。
反応性は、溶湯と黒鉛球状化剤1との反応に起因する溶湯からの飛沫の発生の有無並びにその程度を確認することで評価した。
スラグ発生量は、目視によりスラグの発生の程度を確認することで評価した。
これらの結果を表1に示す。
(機械的性質評価)
各実施例及び比較例で得られた試験サンプルの引張強度をアムスラー試験機にて測定した。また、この引張試験時の前後のサンプル長をノギスで測定して伸び率を導出した。
この結果を表1に示す。
(球状化評価)
各実施例及び比較例における試験サンプルの黒鉛球状化率、並びに球状化黒鉛の粒数及び粒径を、JIS G5502に準拠して画像解析による測定結果に基づいて評価した。
これらの結果を表1に示す。
Figure 2011074414
1 黒鉛球状化剤
2 溶湯

Claims (6)

  1. ケイ素、マグネシウム、カルシウム、炭素及び炭化ケイ素を含有することを特徴とする黒鉛球状化剤。
  2. カルシウムの含有量が2.0質量%以下、炭素の含有量が0.4〜4.0質量%、炭化ケイ素の含有量が0.5〜6.5質量%であることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛球状化剤。
  3. 希土類元素を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の黒鉛球状化剤。
  4. 鉄を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の黒鉛球状化剤。
  5. マグネシウムを1〜9.5質量%、カルシウムを2.0質量%以下、希土類元素を10質量%以下、炭素を0.4〜4.0質量%、炭化ケイ素を0.5〜6.5質量%の割合で含有し、残部が鉄及び不可避的不純物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の黒鉛球状化剤。
  6. 鉄源原料を融解させて得られる溶湯に、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の黒鉛球状化剤を添加することを特徴とする鉄溶湯の黒鉛球状化処理方法。
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