JP2011072320A - 遺伝子発現抑制機能を有するdna塩基配列 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 宿主DNAにおいて、対象遺伝子プロモーターの内部及び/若しくは5'側上流及び/又は対象遺伝子の終止コドンの3'側下流に、TGTGT及び/又はACACAの塩基配列を1以上導入し、2塩基重複配列並びに/又はTGTGT及び/若しくはACACAの塩基配列を導入した宿主DNAを有する宿主をレチノイン酸存在下で培養することで、対象遺伝子の発現を抑制する。
【選択図】 なし
Description
及び/若しくはACACAの塩基配列を有する宿主をレチノイン酸存在下で培養することで、対象遺伝子の発現を抑制する方法に関する。
(2)対象遺伝子プロモーターの5'側上流及び対象遺伝子の終止コドンの3'側下流に、上記1以上の2塩基重複配列を導入することを特徴とする、(1)記載の方法。
(3)対象遺伝子プロモーターの内部及び/又は5'側上流及び対象遺伝子の終止コドンの3'側下流に、TGTGT及び/又はACACAの塩基配列を1以上導入することを特徴とする、(1)記載の方法。
(4)上記対象遺伝子プロモーターの5'側上流が、前記対象遺伝子プロモーターから5'側上流に1塩基目〜2000塩基目の位置であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1記載の方法。
(5)上記対象遺伝子の終止コドンの3'側下流が、前記終止コドンから3'側下流に1塩基目〜1000塩基目の位置であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1記載の方法。
(6)上記宿主が哺乳動物細胞であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1記載の方法。
(7)上記レチノイン酸が0.01〜1000nMの濃度で存在することを特徴とする、(1)〜(6)のいずれか1記載の方法。
(8)宿主におけるPTB(polypyrimidine tract-binding protein)の発現量を制御することにより、対象遺伝子の発現抑制程度を制御することを含む、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
本発明の方法(以下では、「本方法」という)は、宿主DNAにおける対象遺伝子の発現を抑制する方法である。本方法においては、先ず宿主DNAにおいて、対象遺伝子プロモーターの5'側上流及び/又は対象遺伝子の終止コドンの3'側下流に、(TG)n、(CA)n、(GT)n及び(AC)nからなる群より選択される1以上の2塩基重複配列を導入する。あるいは、宿主DNAにおいて、対象遺伝子プロモーターの内部及び/若しくは5'側上流及び/又は対象遺伝子の終止コドンの3'側下流に、TGTGT及び/又はACACAの塩基配列(以下、「5塩基配列」という)を1以上導入する。ここで、5'側上流とは、対象遺伝子プロモーターの5'末端側に続く方向を意味し、一方、3'側下流とは、対象遺伝子の終止コドンの3'末端側に続く方向を意味する。
ことができる。以下では、2塩基重複配列を「リピート配列」という。
さらに、本発明のレチノイン酸による発現の抑制にはPTB(polypyrimidine tract-binding protein)が関与しており、宿主におけるPTB発現量を制御することにより、レチノイン酸による発現抑制の程度を制御できる。
例えば、PTBをコードするプラスミドDNAをレポーターベクターとともに培養細胞HEK293にコトランスフェクトしてPTBを過剰発現させると、レチノイン酸抑制配列(26mer)による遺伝子発現抑制が促進される(後記実施例7参照)。逆に、PTBに対するsiRNAベクターをコトランスフェクトしてRNA干渉を起こしてPTBの機能低下を行うと、レチノイン酸による発現抑制は阻害される(後記実施例8参照)。
すなわち、PTBの発現ベクターをレチノイン酸抑制配列と組み合わせることにより、レチノイン酸による遺伝子発現の制御をさらに強めたり弱めたりすることができる。
下記の2種のDNAオリゴマー(配列番号2及び3)を25μMずつになるように混合し、95℃で15分間加熱した後、55℃で15分間放置した。
for:5'-CGCGGATCCTGTGTGTGTGTGTGTGGGATCCGCG-3'(配列番号2)
rev:5'-CGCGGATCCCACACACACACACACAGGATCCGCG-3'(配列番号3)
本実施例では、pGL3-promoter vectorのエンハンサー部位(ルシフェラーゼ遺伝子の終止コドンから3'側270塩基下流)に26回CAリピート配列が挿入された場合について検討した。
5'-TGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTGTG-3'(配列番号5)(5'リン酸化)
本実施例では、図2に示すpGL3-promoter vectorのSV40プロモーターの5'側17塩基上流に26回TGリピート配列が挿入された場合について検討した。
室温に戻した後、DNA断片(26回TGリピート配列を含む)を得た。
本実施例では、図2に示すpGL3-promoter vectorのSV40プロモーターの5'側17塩基上流に26回TGリピート配列が挿入され、且つエンハンサー部位(ルシフェラーゼ遺伝子の終止コドンから3'側270塩基下流)に26回CAリピート配列が挿入された場合について検討した。
培養後、細胞を回収して、ルシフェラーゼ活性を測定した。
本実施例では、図7に示すpGL3-basic vector(Promega社製)のプロモーター部位にXenopus slug beta遺伝子のプロモーター配列(配列番号6)を挿入し、且つエンハンサー部位にXenopus slug beta遺伝子のイントロン断片(配列番号7)を挿入した場合について検討した。図7において、pGL3-basic vectorにおけるルシフェラーゼ遺伝子の5'側上流(開始コドンから57塩基上流)に位置する黒塗りボックスが、pGL-basic promoterのプロモーター部位、すなわち、Xenopus slug beta遺伝子のプロモーター配列(配列番号6)挿入部位である。また、ポリ(A)シグナルの3'側下流(ルシフェラーゼ遺伝子の終止コドンから270塩基下流)に位置する黒塗りボックスが、エンハンサー部位、すなわちXenopus slug beta遺伝子のイントロン断片(配列番号7)挿入部位である。なお、本実施例で使用する市販のpGL3-basic vectorには、本来プロモーター配列とエンハンサー配列が含まれていない。
また、図8に示すように、Xenopus slug beta遺伝子のプロモーター配列は2つの5塩基配列を含み、一方、Xenopus slug beta遺伝子のイントロン断片は、4つの5塩基配列を含む(図8において、太文字と下線で示した塩基配列が5塩基配列である)。
5'-GCCTCGAGTTTCAGTGAGGGAGGGGGACCCCAAGCC-3'(配列番号9)
5'-GCGGATCCGGGTTATAGGCTGAATATATTGGGCC-3'(配列番号11)
本実施例では、図7に示すpGL3-basic vector(Promega社製)のプロモーター部位にヒトslug(SNAI2)遺伝子のプロモーター配列(配列番号12)を挿入し、かつエンハンサー部位にヒトslug遺伝子のイントロン断片(配列番号13)を挿入した場合について検討した。図7において、pGL3-basic vectorにおけるルシフェラーゼ遺伝子の5’側上流(開始コドンから57塩基上流)に位置する黒塗りボックスが、pGL3-basic promoterのプロモーター部位、すなわち、ヒトslug遺伝子のプロモーター配列(配列番号12)挿入部位である。また、ポリ(A)シグナルの3’側下流(ルシフェラーゼ遺伝子の終止コドンから270塩基下流)に位置する黒塗りボックスが、エンハンサー部位、すなわちヒトslug遺伝子のイントロン断片(配列番号13)挿入部位である。なお、本実施例で使用する市販のpGL3-basic vectorには、本来プロモーター配列とエンハンサー配列が含まれていない。また、図10に示すように、ヒトslug遺伝子のプロモーター配列は8つの5塩基配列を含み、一方、ヒトslug遺伝子のイントロン断片は、5つの5塩基配列を含む(図10において、太文字と下線で示した塩基配列が5塩基配列である)。
5’-GCACGCGTGTGTCTGAGCAGAGCACCTGTTTCG-3’(配列番号14)
5’-CGCTCGAGCACCCGGCTCCTTTACGAACTGAGCC-3’(配列番号15)
増幅されたPCR産物を、Mlu I及びXho Iを用いて両端を切断し、電気泳動に供することで、DNA断片を精製した。
一方、pGL3-basic vector(Promega)を同じくMlu I及びXho Iによって切断し、同様に電気泳動によって精製した。
次いで、上述したヒトslug遺伝子のプロモーター配列(配列番号12)を含むDNA断片を、プロモーター部位を切断したpGL3-basic vector(Promega)にライゲーションした。
同様に、ヒトのゲノムDNAを鋳型とし、下記のプライマーセット(配列番号16及び17)を用いて、ヒトslug遺伝子のイントロン断片(配列番号13)をPCRで増幅した。
5’-GCGGATCCGTAAAAAGAGAAAAATATATCTAGAAC-3’(配列番号16)
5’-GCGGATCCTGGGAAAGAAAAGGGAGGGAGAGAAG-3’(配列番号17)
増幅されたPCR産物を、Bam HIを用いて両端を切断し、電気泳動に供することで、DNA断片を精製した。
一方、上記のように得られたヒトslug遺伝子のプロモーター配列を含むpGL3-basic vector(Promega)を同じくBam HIによりエンハンサー部位を切断し、電気泳動に供することで精製した後、アルカリフォスファターゼ処理を行った。
得られたライゲーション産物を用い、且つ培養物にレチノイン酸を2μMになるように加えたこと以外は、実施例1と同様にして、大腸菌の形質転換、コロニーの選択、ライゲーション産物の単離、HEK293細胞へのトランスフェクション、細胞培養、及びルシフェラーゼの測定等を行った。
ルシフェラーゼ活性の測定結果を図11に示す。図11から判るように、全トランス型レチノイン酸を加えたときには、細胞におけるルシフェラーゼ活性は、レチノイン酸非存在(0μM)下におけるルシフェラーゼ活性(100%とする)と比較して、2μMの全トランス型レチノイン酸を加えたときには、ルシフェラーゼ活性は43%にまで抑制された。
本実施例では、pCI vector(Promega社製)のCMV immediate earlyプロモーターの下流に位置するマルチクローニングサイトにヒトPTB2遺伝子配列を挿入した場合について検討した。
ヒトのゲノムDNAを鋳型とし、以下のプライマーセット(配列番号18及び19)を用いて、94℃:15秒(変性)、55℃:10秒(アニール)及び60℃:10分(伸長)のサイクル40回で、ヒトPTB遺伝子配列(図12、配列番号20)をPCRで増幅した。
5’-GCGAATTCATGGACGGAATCGTCACTGAAGTTGC-3’(配列番号18)
5’-GCGTCGACTTAAATTGTTGACTTGGAGAAAGACAC-3’(配列番号19)
増幅されたPCR産物を、EcoR I及びSal Iを用いて両端を切断し、電気泳動に供することで、DNA断片を精製した。
一方、pCI vector(Promega)を同じくEcoR I及びSal Iによって切断し、同様に電気泳動によって精製した。
得られたライゲーション産物をHEK293細胞にコトランスフェクトし、且つ培養物にレチノイン酸を2μMになるように加えたこと以外は、実施例4と同様にして、大腸菌の形質転換、コロニーの選択、ライゲーション産物の単離、HEK293細胞へのトランスフェクション、細胞培養、及びルシフェラーゼの測定等を行った。
ルシフェラーゼ活性の測定結果を図13に示す。図13から判るように、全トランス型レチノイン酸を加えたときには、細胞におけるルシフェラーゼ活性は、レチノイン酸非存在(0μM)下におけるルシフェラーゼ活性 (100%とする)と比較して、2μMの全トランス型レチノイン酸を加えたときには、ルシフェラーゼ活性は13%にまで抑制され、PTB2発現ベクターをコトランスフェクトしないときのルシフェラーゼの活性(34%)よりも顕著に低下している。
本実施例では、pSINsi-hH1 DNA vector(Takara-bio社製)のヒトH1プロモーターの下流に位置するクローニングサイトにヒトPTB1及びPTB2に対するターゲット配列を挿入した場合について検討した。
下記に示すDNAオリゴマー(配列番号21及び22)を用いてアニーリング産物(PTB1遺伝子の終止コドンから3’側34塩基下流の配列21塩基を含む)を作製した。
5’-
GATCCAACTTCCATCATTCCAGAGAACTGTGAAGCCACAGATGGGTTCTCTGGAATGATGGAAGTTTTTTTTAT-3’(配列番号21)
5’-
CGATAAAAAAAACTTCCATCATTCCAGAGAACCCATCTGTGGCTTCACAGTTCTCTGGAATGATGGAAGTTG-3’ (配列番号22)
一方、pSINsi-hH1 DNA(Takara-bio)をBamH I及びCla Iによって切断し、電気泳動によって精製した。
次いで、上述したヒトPTB1遺伝子に対するターゲット配列を含むアニール産物を、クローニングサイトを切断したpSINsi-hH1 DNA(Takara-bio)にライゲーションした。
5’-
GATCCATTGTTCAATGTCATCACCTACTGTGAAGCCACAGATGGGTAGGTGATGACATTGAACAATTTTTTTAT-3’ (配列番号23)
5’-
CGATAAAAAAATTGTTCAATGTCATCACCTACCCATCTGTGGCTTCACAGTAGGTGATGACATTGAACAATG-3’ (配列番号24)
得られた2種のライゲーション産物をHEK293細胞にコトランスフェクトし、且つ培養物にレチノイン酸を2μMになるように加えたこと以外は、実施例4と同様にして、大腸菌の形質転換、コロニーの選択、ライゲーション産物の単離、HEK293細胞へのトランスフェクション、細胞培養、及びルシフェラーゼの測定等を行った。
ルシフェラーゼ活性の測定結果を図14に示す。図14から判るように、全トランス型レチノイン酸を加えたときには、細胞におけるルシフェラーゼ活性は、レチノイン酸非存在(0μM)下におけるルシフェラーゼ活性(100%とする)と比較して、2μMの全トランス型レチノイン酸を加えたときには、ルシフェラーゼ活性は98%にまでしか抑制されず、PTBに対するRNA干渉を行わなかったときのルシフェラーゼの活性よりも顕著に増加している。
配列番号8〜11は、プライマーである。
Claims (6)
- 宿主DNAにおいて、対象遺伝子プロモーターの内部及び/若しくは5'側上流及び/又は対象遺伝子の終止コドンの3'側下流に、TGTGT及び/又はACACAの塩基配列を1以上導入する第1工程と、第1工程で得られた宿主DNAを有する宿主をレチノイン酸存在下で培養する第2工程とを含むことを特徴とする、対象遺伝子の発現抑制方法。
- 上記対象遺伝子プロモーターの5'側上流が、前記対象遺伝子プロモーターから5'側上流に1塩基目〜2000塩基目の位置であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 上記対象遺伝子の終止コドンの3'側下流が、前記終止コドンから3'側下流に1塩基目〜1000塩基目の位置であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
- 上記宿主が哺乳動物細胞であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
- 上記レチノイン酸が0.01〜1000nMの濃度で存在することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
- 宿主におけるPTB(polypyrimidine tract-binding protein)の発現量を制御することにより、対象遺伝子の発現抑制程度を制御することを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
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JPN6010066021; Developmental Biology Vol.241, 2002, p.289-301 * |
JPN6010066022; The Journal of Biological Chemistry Vol.276, No.32, 2001, p.30350-30358 * |
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