JP2011070894A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池に供給される水素濃度の変動を的確に把握することで燃料電池の劣化を極力抑制することが可能な燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】この燃料電池システムは、燃料電池に供給される水素分圧を推定し(ステップS02)、その推定した水素分圧に基づいて水素濃度過電圧を算出し(ステップS02)、その算出した水素濃度過電圧とバトラー・フォルマーの式とに基づいて燃料電池の理論電圧を算出し(ステップS04)、その算出した理論電圧と燃料電池の出力電圧とを比較し、その比較結果に基づいて水素濃度過電圧を補正する(ステップS06)。
【選択図】図2
【解決手段】この燃料電池システムは、燃料電池に供給される水素分圧を推定し(ステップS02)、その推定した水素分圧に基づいて水素濃度過電圧を算出し(ステップS02)、その算出した水素濃度過電圧とバトラー・フォルマーの式とに基づいて燃料電池の理論電圧を算出し(ステップS04)、その算出した理論電圧と燃料電池の出力電圧とを比較し、その比較結果に基づいて水素濃度過電圧を補正する(ステップS06)。
【選択図】図2
Description
本発明は、燃料電池に水素を含む燃料ガスと酸化ガスとを供給して発電させる燃料電池システムに関する。
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電する燃料電池としては、例えば、固体高分子型燃料電池がある。この固体高分子型燃料電池は、複数のセルを積層して構成されたスタックを備えている。スタックを構成するセルは、アノード(燃料極)とカソード(空気極)とを備えており、これらのアノードとカソードとの間には、イオン交換基としてスルフォンサン基を有する固体高分子電解質膜が介在している。
アノードには燃料ガス(水素ガスまたは炭化水素を改質して水素リッチにした改質水素)が供給され、カソードには酸化剤として酸素を含む酸化ガス(一例として空気)が供給される。アノードに燃料ガスが供給されることで、燃料ガスに含まれる水素がアノードを構成する触媒層の触媒と反応し、これによって水素イオンが発生する。発生した水素イオンは固体高分子電解質膜を通過して、カソードで酸素と電気反応を起こす。この電気化学反応によって発電が行われる構成となっている。
このように構成される燃料電池システムでは、燃料電池に対する出力要求とアノードに供給される水素量の整合性が重要なものとなる。特に、水素量が不足すると過電流が流れ、電池寿命を低下させる原因となる。
そこで、燃料電池に供給される水素量や供給された後の水素量の挙動について推定したり、水素量の挙動に応じて燃料電池に対する出力要求を補正したりといった技術が提案されている(例えば、下記特許文献1,2参照)。
上記特許文献1に記載の技術は、燃料電池に供給された水素ガスについて、カソード側への透過量を推定するものであって、開放端電圧が低いほど大きくなるように水素透過量を推定しており、相対的に水素透過量を推定しているものであって、水素濃度全体について推定するものではない。
また、上記特許文献2に記載の技術は、改質器を用いることが前提となっており、その改質器において水素リッチに改質されて供給される燃料ガスの供給遅れに対応するためのものである。そのため上記特許文献2に記載の技術では、同文献段落番号0029に記載のように、「水素濃度推定手段28は瞬時原料指令値FMと瞬時出力指令値LRを取り込んでアノード中水素濃度を推定するためのものである。たとえば、水素濃度推定手段28は過去の実績に基く瞬時原料指令値FMと瞬時出力指令値LRに対する水素濃度値のデータベースを用意している。」との構成を採用している。このような構成では、改質器への指令に対する水素ガスの供給遅れ以外の水素濃度の変動には対応することができない。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料電池に供給される水素濃度の変動を的確に把握することで燃料電池の劣化を極力抑制することが可能な燃料電池システムを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る燃料電池システムは、燃料電池に水素を含む燃料ガスと酸化ガスとを供給して発電させる燃料電池システムであって、前記燃料電池の出力電圧を計測する電圧計測手段と、前記燃料電池の理論電圧を算出し、前記電圧計測手段が計測した出力電圧と比較して、前記燃料電池の水素濃度過電圧を補正する水素濃度補正手段と、を備え、前記水素濃度補正手段は、前記燃料電池に供給される水素分圧を推定し、その推定した水素分圧に基づいて水素濃度過電圧を算出し、その算出した水素濃度過電圧とバトラー・フォルマー(Butler−Volmer)の式とに基づいて燃料電池の理論電圧を算出し、その算出した理論電圧と前記燃料電池の出力電圧とを比較し、その比較結果に基づいて水素濃度過電圧を補正する。
本発明では、バトラー・フォルマーの式によって算出される燃料電池の理論電圧と、実測した燃料電池の出力電圧とを比較することで、理論電圧の算出要素の一つである水素濃度過電圧が実際の値とどれくらい乖離があるかを把握することができる。このように、実測した燃料電池の出力電圧に基づいて水素濃度過電圧を補正することができるので、様々な要因が想定される水素濃度の変動を的確に把握することができ、燃料電池の劣化を極力抑制することができる。
本発明によれば、燃料電池に供給される水素濃度の変動を的確に把握することで燃料電池の劣化を極力抑制することが可能な燃料電池システムを提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
最初に、本発明の実施形態である燃料電池車両に搭載される燃料電池システムFCSについて図1を参照しながら説明する。図1は燃料電池車両の車載電源システムとして機能する燃料電池システムFCSのシステム構成を示す図である。燃料電池システムFCSは、燃料電池自動車(FCHV)、電気自動車、ハイブリッド自動車などの車両に搭載することができる。
燃料電池システムFCSは、燃料電池FCと、酸化ガス供給系ASSと、燃料ガス供給系FSSと、電力系ESと、冷却系CSと、コントローラECとを備えている。燃料電池FCは、反応ガス(燃料ガス、酸化ガス)の供給を受けて発電するものである。酸化ガス供給系ASSは、酸化ガスとしての空気を燃料電池FCに供給するための系である。燃料ガス供給系FSSは、燃料ガスとしての水素ガスを燃料電池FCに供給するための系である。電力系ESは、電力の充放電を制御するための系である。冷却系CSは、燃料電池FCを冷却するための系である。コントローラECは、燃料電池システムFCS全体を統括制御するコントローラである。
燃料電池FCは、多数のセル(アノード、カソード、及び電解質を備える単一の電池(発電体))を直列に積層してなる固体高分子電解質形のセルスタックとして構成されている。燃料電池FCでは、通常の運転において、アノードにおいて(1)式の酸化反応が生じ、カソードにおいて(2)式の還元反応が生じる。燃料電池FC全体としては(3)式の起電反応が生じる。
H2→2H++2e- (1)
(1/2)O2+2H++2e-→H2O (2)
H2+(1/2)O2→H2O (3)
(1/2)O2+2H++2e-→H2O (2)
H2+(1/2)O2→H2O (3)
酸化ガス供給系ASSは、酸化ガス流路AS3と酸化オフガス流路AS4とを有している。酸化ガス流路AS3は、燃料電池FCのカソードに供給される酸化ガスが流れる流路である。酸化オフガス流路AS4は、燃料電池FCから排出される酸化オフガスが流れる流路である。
酸化ガス流路AS3には、エアコンプレッサAS2と、加湿器AS5とが設けられている。エアコンプレッサAS2は、フィルタAS1を介して大気中から酸化ガスを取り込むためのコンプレッサである。加湿器AS5は、エアコンプレッサAS2により加圧される酸化ガスを加湿するための加湿器である。
酸化オフガス流路AS4には、圧力センサS6と、背圧調整弁A3と、加湿器AS5とが設けられている。背圧調整弁A3は、酸化ガス供給圧を調整するための弁である。加湿器AS5は、酸化ガス(ドライガス)と酸化オフガス(ウェットガス)との間で水分交換するためのものとして設けられている。
燃料ガス供給系FSSは、燃料ガス供給源FS1と、燃料ガス流路FS3と、循環流路FS4と、循環ポンプFS5と、排気排水流路FS6とを有している。燃料ガス流路FS3は、燃料ガス供給源FS1から燃料電池FCのアノードに供給される燃料ガスが流れる流路である。循環流路FS4は、燃料電池FCから排出される燃料オフガスを燃料ガス流路FS3に帰還させるための流路である。循環ポンプFS5は、循環流路FS4内の燃料オフガスを燃料ガス流路FS3に圧送するポンプである。排気排水流路FS6は、循環流路FS4に分岐接続される流路である。
燃料ガス供給源FS1は、例えば、高圧水素タンクや水素吸蔵合金などで構成され、高圧(例えば、35MPa〜70MPa)の水素ガスを貯蔵するものである。遮断弁H1を開くと、燃料ガス供給源FS1から燃料ガス流路FS3に燃料ガスが流出する。燃料ガスは、レギュレータH2やインジェクタFS2により、例えば、200kPa程度まで減圧されて、燃料電池FCに供給される。
燃料ガス流路FS3には、遮断弁H1と、レギュレータH2と、インジェクタFS2と、遮断弁H3と、圧力センサS4とが設けられている。遮断弁H1は、燃料ガス供給源FS1からの燃料ガスの供給を遮断又は許容するための弁である。レギュレータH2は、燃料ガスの圧力を調整するものである。インジェクタFS2は、燃料電池FCへの燃料ガス供給量を制御するものである。遮断弁H3は、燃料電池FCへの燃料ガス供給を遮断するための弁である。
レギュレータH2は、その上流側圧力(一次圧)を、予め設定した二次圧に調圧する装置であり、例えば、一次圧を減圧する機械式の減圧弁などで構成される。機械式の減圧弁は、背圧室と調圧室とがダイアフラムを隔てて形成された筺体を有し、背圧室内の背圧により調圧室内で一次圧を所定の圧力に減圧して二次圧とする構成を有する。インジェクタFS2の上流側にレギュレータH2を配置することにより、インジェクタFS2の上流側圧力を効果的に低減させることができる。
インジェクタFS2は、弁体を電磁駆動力で直接的に所定の駆動周期で駆動して弁座から離隔させることによりガス流量やガス圧を調整することが可能な電磁駆動式の開閉弁である。インジェクタFS2は、燃料ガス等の気体燃料を噴射する噴射孔を有する弁座と、その気体燃料を噴射孔まで供給案内するノズルボディと、このノズルボディに対して軸線方向(気体流れ方向)に移動可能に格納保持され噴射孔を開閉する弁体とを備えている。
インジェクタFS2の弁体は電磁駆動装置であるソレノイドにより駆動され、コントローラECから出力される制御信号によってインジェクタFS2のガス噴射時間及びガス噴射時期を制御することが可能なように構成されている。インジェクタFS2は、その下流に要求されるガス流量を供給するために、インジェクタFS2のガス流路に設けられた弁体の開口面積(開度)及び開放時間の少なくとも一方を変更することにより、下流側に供給されるガス流量(又は水素モル濃度)を調整する。
循環流路FS4には、遮断弁H4が設けられ、排気排水流路FS6が接続されている。排気排水流路FS6には、排気排水弁H5が設けられている。排気排水弁H5は、コントローラECからの指令によって作動することにより、循環流路FS4内の不純物を含む燃料オフガスと水分とを外部に排出するための弁である。排気排水弁H5の開弁により、循環流路FS4内の燃料オフガス中の不純物の濃度が下がり、循環系内を循環する燃料オフガス中の水素濃度を上げることができる。
排気排水弁H5を介して排出される燃料オフガスは、酸化オフガス流路AS4を流れる酸化オフガスと混合され、希釈器(図示せず)によって希釈される。循環ポンプFS5は、循環系内の燃料オフガスをモータ駆動により燃料電池FCに循環供給する。
電力系ESは、DC/DCコンバータES1と、バッテリES2と、トラクションインバータES3と、トラクションモータES4と、補機類ES5とを備えている。燃料電池システムFCSは、DC/DCコンバータES1とトラクションインバータES3とが並列に燃料電池FCに接続するパラレルハイブリッドシステムとして構成されている。
DC/DCコンバータES1は、バッテリES2から供給される直流電圧を昇圧してトラクションインバータES3に出力する機能と、燃料電池FCが発電した直流電力、又は回生制動によりトラクションモータES4が回収した回生電力を降圧してバッテリES2に充電する機能とを有する。DC/DCコンバータES1のこれらの機能により、バッテリES2の充放電が制御される。また、DC/DCコンバータES1による電圧変換制御により、燃料電池FCの運転ポイント(出力端子電圧、出力電流)が制御される。燃料電池FCには、電圧センサS1と電流センサS2とが取り付けられている。電圧センサS1は、燃料電池FCの出力端子電圧を検出するためのセンサである。電流センサS2は、燃料電池FCの出力電流を検出するためのセンサである。
バッテリES2は、余剰電力の貯蔵源、回生制動時の回生エネルギー貯蔵源、燃料電池車両の加速又は減速に伴う負荷変動時のエネルギーバッファとして機能する。バッテリES2としては、例えば、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、リチウム二次電池等の二次電池が好適である。バッテリES2には、SOC(State of charge)を検出するためのSOCセンサS3が取り付けられている。
トラクションインバータES3は、例えば、パルス幅変調方式で駆動されるPWMインバータである。トラクションインバータES3は、コントローラECからの制御指令に従って、燃料電池FC又はバッテリES2から出力される直流電圧を三相交流電圧に変換して、トラクションモータES4の回転トルクを制御する。トラクションモータES4は、例えば、三相交流モータであり、燃料電池車両の動力源を構成する。
補機類ES5は、燃料電池システムFCS内の各部に配置されている各モータ(例えば、ポンプ類などの動力源)、これらのモータを駆動するためのインバータ類、及び各種の車載補機類(例えば、エアコンプレッサ、インジェクタ、冷却水循環ポンプ、ラジエータなど)を総称するものである。
冷却系CSは、ラジエータCS1と、冷却液ポンプCS2と、冷却液往路CS3と、冷却液復路CS4とを有している。ラジエータCS1は、燃料電池FCを冷却するための冷却液を放熱して冷却するものである。冷却液ポンプCS2は、冷却液を燃料電池FCとラジエータCS1との間で循環させるためのポンプである。冷却液往路CS3は、ラジエータCS1と燃料電池FCとを繋ぐ流路であって、冷却液ポンプCS2が設けられている。冷却液ポンプCS2が駆動することで、冷却液はラジエータCS1から燃料電池FCへと冷却液往路CS3を通って流れる。冷却液復路CS4は、燃料電池FCとラジエータCS1とを繋ぐ流路であって、水温センサS5が設けられている。冷却液ポンプCS2が駆動することで、燃料電池FCを冷却した冷却液はラジエータCS1へと還流する。
コントローラEC(制御部)は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インタフェースを備えるコンピュータシステムであり、燃料電池システムFCSの各部を制御するものである。例えば、コントローラECは、イグニッションスイッチから出力される起動信号IGを受信すると、燃料電池システムFCSの運転を開始する。その後、コントローラECは、アクセルセンサから出力されるアクセル開度信号ACCや、車速センサから出力される車速信号VCなどを基に、燃料電池システムFCS全体の要求電力を求める。燃料電池システムFCS全体の要求電力は、車両走行電力と補機電力との合計値である。
ここで、補機電力には、車載補機類(加湿器、エアコンプレッサ、水素ポンプ、及び冷却水循環ポンプ等)で消費される電力、車両走行に必要な装置(変速機、車輪制御装置、操舵装置、及び懸架装置等)で消費される電力、乗員空間内に配設される装置(空調装置、照明器具、及びオーディオ等)で消費される電力などが含まれる。
そして、コントローラECは、燃料電池FCとバッテリES2とのそれぞれの出力電力の配分を決定する。コントローラECは、燃料電池FCの発電量が目標電力に一致するように、酸化ガス供給系ASS及び燃料ガス供給系FSSを制御するとともに、DC/DCコンバータES1を制御して、燃料電池FCの運転ポイント(出力端子電圧、出力電流)を制御する。更に、コントローラECは、アクセル開度に応じた目標トルクが得られるように、例えば、スイッチング指令として、U相、V相、及びW相の各交流電圧指令値をトラクションインバータES3に出力し、トラクションモータES4の出力トルク、及び回転数を制御する。更に、コントローラECは、冷却系CSを制御して燃料電池FCが適切な温度になるように制御する。
続いて、本実施形態の燃料電池システムFCSにおいて、水素濃度を推定し、その推定した水素濃度を補正する手順について図2を参照しながら説明する。図2は、燃料電池システムFCSの水素濃度推定値を補正するフローチャートである。図2に示すフローは、コントローラECにおいて演算実行されるものである。従って、本願発明における水素濃度補正手段はコントローラECが相当し、電圧計測手段は電圧センサS1が相当している。
また、図2の説明おいては、図3を適宜参照する。図3は、燃料電池FCSに用いられる燃料電池FCの電流・電圧特性を示す図である。図3に示すように、開回路電圧に相当する定数Uから、抵抗過電圧ηIR、活性化過電圧ηact、濃度過電圧ηconcを引くことで、燃料電池FCの電圧Vが算出される。
V=U−活性化過電圧ηact−濃度過電圧ηconc−抵抗過電圧ηIR (4)
本実施形態では、この(4)式に基づいて、燃料電池FCの理論電圧VFC,idealを求め、燃料電池FCの実測電圧VFCと比較することで、濃度過電圧ηconc中の水素濃度過電圧ηconc,aを補正するものである。
V=U−活性化過電圧ηact−濃度過電圧ηconc−抵抗過電圧ηIR (4)
本実施形態では、この(4)式に基づいて、燃料電池FCの理論電圧VFC,idealを求め、燃料電池FCの実測電圧VFCと比較することで、濃度過電圧ηconc中の水素濃度過電圧ηconc,aを補正するものである。
ステップS01では、活性化過電圧ηactを推定する。活性化過電圧ηactは、(5)式によって求められる。
ηact=f(VFC,tVFC) (5)
(5)式において、VFCは燃料電池FCの出力電圧であり、tVFCはその電圧保持時間である。すなわち、活性化過電圧ηactは、燃料電池FCの出力電圧VFCとその電圧保持時間tVFCの関数により算出される推定値を用いている。尚、活性化過電圧ηactの推定値を算出するにあたっては、他のパラメータを用いた関数を用いてもよく、定数を用いてもよい。
ηact=f(VFC,tVFC) (5)
(5)式において、VFCは燃料電池FCの出力電圧であり、tVFCはその電圧保持時間である。すなわち、活性化過電圧ηactは、燃料電池FCの出力電圧VFCとその電圧保持時間tVFCの関数により算出される推定値を用いている。尚、活性化過電圧ηactの推定値を算出するにあたっては、他のパラメータを用いた関数を用いてもよく、定数を用いてもよい。
ステップS01に続くステップS02では、濃度過電圧ηconcを推定する。濃度過電圧ηconc中の水素濃度過電圧ηconc,aは、(6)式によって求められる。
ηconc,a=−RT/2F ×ln(pH2) (6)
(6)式において、Rは気体定数、Tは気体の温度、Fはファラデー定数である。また、pH2は、水素分圧推定値であって、既知の分圧推定手法によって求められるものである。
ηconc,a=−RT/2F ×ln(pH2) (6)
(6)式において、Rは気体定数、Tは気体の温度、Fはファラデー定数である。また、pH2は、水素分圧推定値であって、既知の分圧推定手法によって求められるものである。
濃度過電圧ηconc中の酸素濃度過電圧ηconc,cは、(7)式によって求められる。
ηconc,c=RT/F ×ln(i/pO2) (7)
(7)式において、Rは気体定数、Tは気体の温度、Fはファラデー定数、iは電流密度である。また、pO2は、(8)式によって求められるものである。
pO2=(PCA−pH2O)× 1/5 (8)
(8)式において、PCAは、燃料電池FCのカソード側の圧力計測値であって、圧力センサS6によって計測される値である。pH2Oは、燃料電池FCの温度と飽和水蒸気圧マップによって産出される分圧である。1/5は、大気中のO2とH2との比である。
ηconc,c=RT/F ×ln(i/pO2) (7)
(7)式において、Rは気体定数、Tは気体の温度、Fはファラデー定数、iは電流密度である。また、pO2は、(8)式によって求められるものである。
pO2=(PCA−pH2O)× 1/5 (8)
(8)式において、PCAは、燃料電池FCのカソード側の圧力計測値であって、圧力センサS6によって計測される値である。pH2Oは、燃料電池FCの温度と飽和水蒸気圧マップによって産出される分圧である。1/5は、大気中のO2とH2との比である。
ステップS02に続くステップS03では、抵抗過電圧ηIRを推定する。抵抗過電圧ηIRは、(9)式によって求められる。
ηIR=IFC×RFC (9)
(9)式において、IFCは、燃料電池FCの電流計測値であって、電流センサS2によって計測される値である。RFCは、既知の手法によって計測される燃料電池FCのインピーダンス計測値である。
ηIR=IFC×RFC (9)
(9)式において、IFCは、燃料電池FCの電流計測値であって、電流センサS2によって計測される値である。RFCは、既知の手法によって計測される燃料電池FCのインピーダンス計測値である。
ステップS03に続くステップS04では、理論電圧VFC,idealを算出する。理論電圧VFC,idealは、(10)式によって求められる。
VFC,ideal=U−活性化過電圧ηact−濃度過電圧ηconc−抵抗過電圧ηIR (10)
VFC,ideal=U−活性化過電圧ηact−濃度過電圧ηconc−抵抗過電圧ηIR (10)
ステップS04に続くステップS05では、燃料電池FCの出力電圧VFC,realを計測する。燃料電池FCの出力電圧VFC,realは、電圧センサS1によって計測される。
ステップS05に続くステップS06では、水素濃度過電圧ηconc,aを補正する。理論電圧VFC,idealと出力電圧VFC,realとの差は、主に水素濃度過電圧ηconc,aの乖離によって生じているものと考えられるので、理論電圧VFC,idealと出力電圧VFC,realとの差分に基づいて水素濃度過電圧ηconc,aを補正する。具体的には、(11)式のΔVが0となるように、水素濃度過電圧ηconc,aを補正する。
ΔV=VFC,real−VFC,ideal (11)
ΔV=VFC,real−VFC,ideal (11)
図3に示したように、水素濃度過電圧ηconc,aを含む濃度過電圧ηconcの影響は、燃料電池FCから取り出す電流が一定値を超えた場合、すなわちこの燃料電池システムFCSが搭載された車両が加速している段階である。そのため、上述した水素濃度過電圧ηconc,aの補正は、燃料電池システムFCSが搭載された車両が加速している段階で実行することが好ましい。また、本実施形態では、燃料電池FC全体での測定値に基づいて水素濃度過電圧ηconc,aを補正したけれども、燃料電池FCを構成する単セルごとの測定値に基づいて水素濃度過電圧ηconc,aを補正することも好ましい。
FCS:燃料電池システム
FC:燃料電池
ASS:酸化ガス供給系
AS1:フィルタ
AS2:エアコンプレッサ
AS3:酸化ガス流路
AS4:酸化オフガス流路
AS5:加湿器
A3:背圧調整弁
CS:冷却系
CS1:ラジエータ
CS2:冷却液ポンプ
CS3:冷却液往路
CS4:冷却液復路
FSS:燃料ガス供給系
FS1:燃料ガス供給源
FS2:インジェクタ
FS3:燃料ガス流路
FS4:循環流路
FS5:循環ポンプ
FS6:排気排水流路
H1:遮断弁
H2:レギュレータ
H3:遮断弁
H4:遮断弁
H5:排気排水弁
ES:電力系
ES1:DC/DCコンバータ
ES2:バッテリ
ES3:トラクションインバータ
ES4:トラクションモータ
ES5:補機類
EC:コントローラ
S1:電圧センサ
S2:電流センサ
S3:SOCセンサ
S4,S6:圧力センサ
S5:水温センサ
ACC:アクセル開度信号
IG:起動信号
VC:車速信号
FC:燃料電池
ASS:酸化ガス供給系
AS1:フィルタ
AS2:エアコンプレッサ
AS3:酸化ガス流路
AS4:酸化オフガス流路
AS5:加湿器
A3:背圧調整弁
CS:冷却系
CS1:ラジエータ
CS2:冷却液ポンプ
CS3:冷却液往路
CS4:冷却液復路
FSS:燃料ガス供給系
FS1:燃料ガス供給源
FS2:インジェクタ
FS3:燃料ガス流路
FS4:循環流路
FS5:循環ポンプ
FS6:排気排水流路
H1:遮断弁
H2:レギュレータ
H3:遮断弁
H4:遮断弁
H5:排気排水弁
ES:電力系
ES1:DC/DCコンバータ
ES2:バッテリ
ES3:トラクションインバータ
ES4:トラクションモータ
ES5:補機類
EC:コントローラ
S1:電圧センサ
S2:電流センサ
S3:SOCセンサ
S4,S6:圧力センサ
S5:水温センサ
ACC:アクセル開度信号
IG:起動信号
VC:車速信号
Claims (1)
- 燃料電池に水素を含む燃料ガスと酸化ガスとを供給して発電させる燃料電池システムであって、
前記燃料電池の出力電圧を計測する電圧計測手段と、
前記燃料電池の理論電圧を算出し、前記電圧計測手段が計測した出力電圧と比較して前記燃料電池の水素濃度過電圧を補正する水素濃度補正手段と、を備え、
前記水素濃度補正手段は、
前記燃料電池に供給される水素分圧を推定し、
その推定した水素分圧に基づいて水素濃度過電圧を算出し、
その算出した水素濃度過電圧とバトラー・フォルマーの式とに基づいて燃料電池の理論電圧を算出し、
その算出した理論電圧と前記燃料電池の出力電圧とを比較し、その比較結果に基づいて水素濃度過電圧を補正する燃料電池システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009220558A JP2011070894A (ja) | 2009-09-25 | 2009-09-25 | 燃料電池システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Cited By (2)
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WO2013160520A1 (en) * | 2012-04-24 | 2013-10-31 | Convion Oy | Control arrangement and method for adapting a fuel cell system to fuel composition |
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2009
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