JP2011068832A - バイオマス燃料 - Google Patents
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Abstract
【課題】光合成微生物を暗条件で培養することなく、また増殖物を発酵させることなく、連続照射下で培養し、低コストかつ高発熱量で、取扱い易いバイオマス燃料を提供する。
【解決手段】本発明は、上記課題を解決するため、固形状の可燃性燃料であって、微細藻類Parachlorella
sp.binos FERM ABP−10969を培養後、回収し、乾燥させることを特徴とするバイオマス燃料の構成とした。また、液体状の可燃性燃料であって、前記バイオマス燃料を、水抽出又は/及び蒸留して得られることを特徴とするバイオマス燃料の構成とした。
【選択図】図4
【解決手段】本発明は、上記課題を解決するため、固形状の可燃性燃料であって、微細藻類Parachlorella
sp.binos FERM ABP−10969を培養後、回収し、乾燥させることを特徴とするバイオマス燃料の構成とした。また、液体状の可燃性燃料であって、前記バイオマス燃料を、水抽出又は/及び蒸留して得られることを特徴とするバイオマス燃料の構成とした。
【選択図】図4
Description
本発明は、光合成微生物である藻類、特に微細藻類Parachlorella sp.binos FERM−10969(以下、単にバイノスともいう。)を培養し、連続照射下で、かつ微生物発酵することなく得られるバイオマス燃料、特にバイオエタノール及びその他燃料に関する。
環境保護の観点から、化石燃料に換え、バイオエタノールに代表させるバイオマス燃料が開発されてきた。例えば、特許文献1〜3には、バイオマスを微生物発酵し、エタノールを回収技術が開示されている。
特許文献4には、微細藻類が蓄積した澱粉を基にエタノールを回収する技術が開示されている。即ち、特許文献4に記載の微細藻からのエタノールの製造方法は、細胞内にデンプンを蓄積する微細藻を培養し、培養した藻体を含む培養液を濃縮して得られるスラリーを、pHを6.0〜9.0の範囲に保ちながら暗黒かつ嫌気性雰囲気に保持してエタノールを生成させ、生成したエタノールを分離するエタノールの製造方法において、エタノール含有液を分離した後の微細藻体を培養装置に戻し、光合成によりデンプンを再蓄積させた後、エタノール生成工程に供給することを特徴とする。そして、高濃度の有機性成分を含む廃液の排出量を減少させ、廃液処理の負担を大幅に削減することができ、また、微細藻を種株として再利用することにより、培養槽中での他種生物による汚染の防止が可能となるというものである。つい
特許文献5〜8にも、光合成微生物が生産するエタノールの蓄積含量を増強する培養方法として暗所で培養する方法が開示されている。また、特許文献9には、遺伝子改変により、エタノール生産する方法が開示されている。なお、特許文献8の段落[0019]には、「幾つかの藻類及びシアノバクテリア株において、少量のエタノールが嫌気暗条件下、発酵産物として合成される。(一部省略)しかしながら、概して、嫌気暗条件下での発酵プロセスは、かかるストレス条件下でただ生物が生存するのに十分なだけの非常に低いレベルで作動している。上記のように、嫌気暗条件下でのエタノール合成は貯蔵グリコーゲンの分解に依存している。さらに、嫌気性条件下でのエタノール合成は全体的に光によって阻害されることが分かっている。したがって、光合成微生物においては、エタノール合成は光合成と連動せず、実際は光合成によって阻害され得る。」との記載がある。
上述のように、光合成細菌が光合成をしながら、自らアルコールを蓄積することは知られていない。そこで、本発明は、光合成微生物を暗条件で培養することなく、また増殖物を発酵させることなく、連続照射下で培養し、低コストかつ高発熱量で、取扱い易いバイオマス燃料を提供することを課題とする。
本発明は、上記の課題を解決するために、先ず、固形状の可燃性燃料であって、微細藻類Parachlorella sp.binos FERM ABP−10969を培養後、回収し、乾燥させることを特徴とするバイオマス燃料の構成とした。また、前記微細藻類Parachlorella
sp.binos FERM−10969と共に、油糧酵母を混合培養し、回収し、乾燥させることを特徴とする前記バイオマス燃料の構成、前記乾燥が、50℃以下の風を回収物に送風する風乾であることを特徴とする前記何れかに記載のバイオマス燃料の構成、前記微細藻類Parachlorella
sp.binos(FERM−10969)が、プロピオン酸、2,2−ジメチルエステル(Propanoic
acid,2,2-dimethyl-,propyl ester)を蓄積することを特徴とする前記何れかに記載のバイオマス燃料の構成とした。そして、前記バイオマス燃料が、乾燥物1Kg当たり5,000Kcal以上の発熱量を有することを特徴とする前記何れかに記載のバイオマス燃料の構成とした。
sp.binos FERM−10969と共に、油糧酵母を混合培養し、回収し、乾燥させることを特徴とする前記バイオマス燃料の構成、前記乾燥が、50℃以下の風を回収物に送風する風乾であることを特徴とする前記何れかに記載のバイオマス燃料の構成、前記微細藻類Parachlorella
sp.binos(FERM−10969)が、プロピオン酸、2,2−ジメチルエステル(Propanoic
acid,2,2-dimethyl-,propyl ester)を蓄積することを特徴とする前記何れかに記載のバイオマス燃料の構成とした。そして、前記バイオマス燃料が、乾燥物1Kg当たり5,000Kcal以上の発熱量を有することを特徴とする前記何れかに記載のバイオマス燃料の構成とした。
次に、液体状の可燃性燃料であって、前記何れかに記載のバイオマス燃料を、水抽出又は/及び蒸留して得られることを特徴とするバイオマス燃料の構成とした。また、前記液体状の可燃性燃料が、エタノールを含む低級アルコール及びクロロフィルa、bにエステル結合している長鎖アルコールを主成分とすることを特徴とする前記バイオマス燃料の構成とした。
さらに、前記回収が、培養液に凝集剤を添加し、沈澱させ、圧搾することを特徴とする前記何れかに記載のバイオマス燃料の構成とした。また、前記凝集剤と共に、凝集補助剤としてセルロースを添加することを特徴とする前記記載のバイオマス燃料の構成とした。
ここで、微細藻類Parachlorella
sp.binosとは、サプリメントとして利用されるクロレラ、重油を生産するボトリオコッカス、アスタキサンチンを生産することで知られるヘマトコッカス等が含まれる緑藻類に属する光合成細菌である。
sp.binosとは、サプリメントとして利用されるクロレラ、重油を生産するボトリオコッカス、アスタキサンチンを生産することで知られるヘマトコッカス等が含まれる緑藻類に属する光合成細菌である。
FERM ABP−10969は、発明者等が岐阜県内の工場排水処理場から新たに単離し、(独)産業技術総合研究所特許生物寄託センターに、2008年2月28日付けで寄託し、寄託番号が付与されたParachlorella
sp.binosに属する微細藻類である。今現在入手可能である。
sp.binosに属する微細藻類である。今現在入手可能である。
図1は、バイノスの透過型電子顕微鏡像(10,000倍)である。発明者等が単離したFERM ABP−10969株(図1(A))は、分裂時間約7.8時間と早い。また、クロロフィル量が一般的なクロレラと比べ、乾燥重量100gあたりの2倍以上含まれている。そのため光合成能力が非常に高い。
特に、クロロフィルbがクロレラ(図1(B))に比べ極めて多く(約8倍)で、深部水環境でも青色を効率的に利用し、光合成が可能である。また、代謝物として、多種多量のビタミンB群を代謝する。また、一般的なクロレラは細胞最外層に厚い細胞壁を有しているが、バイノスは細胞壁が非常に薄いことが特徴である。
バイノスの培養液は以下のようにして調整した。液体培地(図7A培地):KNO3(2.5g/L)、MgSO4・7H2O(7.5g/L)、KH2PO4(17.5/L)、CaCl2(2.5g/L)、NaCl(2.5g/L)、NH4H2PO4(20g/L)の各水溶液を10mLずつ940mL蒸留水に添加し、1%(w/v)FeCl3を20μL及びArnons A5溶液を2mL添加し、pHを6.5に調整した後、121℃、15分間のオートクレーブ処置した。なお、バイノスの培養液は、前記培地に限定されるものではない。
平板培地:固体培地は、前記液体培地のpH調整前に、1.5%(w/v)寒天を加えて前記同様に調整した。また、種々の容量の液体培地は上記比率で適宜作ることができる。なお、単一コロニーの判定にはLB培地を使用し、植菌してコンタミネーションの有無で判断する。
培養条件:バイノスの培養は、前記培養液にバイノスの純粋培養液、又は開放系での培養液を種菌として添加し、室温〜30℃、明条件(最低700Lux、好ましくは約2,000〜20,000Lux程度、最も好ましくは約3,000〜8,000Lux)、好気的条件(振とう培養等)下で行った。なお、バイノスは、淡水又はLB培地等の一般的な培地中で、好気的条件下にて生育可能である。
図2は、バイノス培養液の微分干渉顕微鏡像(400倍)である。試料は、バイノスの純培養液を開放系で拡大培養したときの培養液を用いた。図2の丸で囲まれた中の球状物がバイノスである。点線で囲まれ部分はバイノスの分泌物で、アルギン酸であることが発明者等によって既に明らかにされている。抽出物内には、無数の微生物群(共生微生物群)が確認できる。
前記回収としては、凝集剤による沈澱、続いて圧搾、或いは遠心分離、フィルター濾過等が例示できる。大量培養した場合には、コスト、作業性、作業時間の観点から凝集剤による沈澱が望ましい。
前記乾燥としては、風乾が好ましい。低温では乾燥に時間がかかる。他方、高温であると本発明の燃料の主成分の1つであるエタノール等の揮発性燃料が揮発して損失されてしまい、本発明であるバイオマス燃料の発熱量が低下してしまうため好ましくない。即ち、風乾温度は50℃以下、より好ましくは30℃〜40℃の範囲である。前記温度範囲であれば、揮発成分とバイノスとの結合が強く揮発成分の損失は大きくない。なお、時間を要しても構わないのであれば、室温に静置して乾燥してもよい。
前記油糧酵母は、脂肪酸を蓄積する酵母で、Rhodosporidium
toruloides及びLipomyces starkeyi等が例示できる。単一であっても、複数の油糧酵母を混合して培養してもよい。
toruloides及びLipomyces starkeyi等が例示できる。単一であっても、複数の油糧酵母を混合して培養してもよい。
低級アルコールとしては、エタノールが同定されている。クロロフィルa、bにエステル結合している長鎖アルコールとしては、フィトール等が同定されている。
本発明であるバイオマス燃料は、上記構成であるので次の効果を発揮する。第1に、バイノスは、微細藻類であり、連続照射下において長鎖アルコール他可燃性物質を蓄積するため、低コストかつ高収量で、環境に負荷のすくないバイオマス燃料を提供することができる。また、固形燃料は、熱風乾燥することなく、自然乾燥、温風以下の温度の風で風乾することにより硬度が高く、疎水性を示し取扱い保存が容易である。
また、バイノスは、アルギン酸オリゴマーを菌体外に分泌し、それによりそもそも凝集しやすく、加えて凝集剤、凝集補助剤を用いることで、培養物を容易に回収することができる。
バイノスと共に、油糧酵母を、酵母に必須の有機栄養源を添加することなく混合培養することができるため、低コストでさらにバイオマス燃料の発熱量を高めることができる。5000Kcal/1Kg乾燥物以上の発熱量を有するバイオマス燃料も達成できた。
以下、本発明でバイオマス燃料について図面を参照しながら詳述する。
図3は、実施例1の乾燥物のエタノール含量の測定結果である。エタノール含量の測定は次のようにして行った。
(1)バイノス乾燥物の調整
先ず、バイノスを前記液体培地、培養条件で純培養し、35℃〜40℃の温風を送風して風乾させてバイノス乾燥物を得た。
先ず、バイノスを前記液体培地、培養条件で純培養し、35℃〜40℃の温風を送風して風乾させてバイノス乾燥物を得た。
(2)エタノール抽出
前記バイノス乾燥物5gを50mlの滅菌蒸留水に溶解させ、超音波処理(ソニケーション)を行い、細胞を破壊した。ソニケーションをしないものも調整した。そしてエバポレーターにて気体分を採取して測定用サンプルを得た。
前記バイノス乾燥物5gを50mlの滅菌蒸留水に溶解させ、超音波処理(ソニケーション)を行い、細胞を破壊した。ソニケーションをしないものも調整した。そしてエバポレーターにて気体分を採取して測定用サンプルを得た。
(3)エタノール含量測定
前記測定用サンプルに含まれるエタノール含量は定法の高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)によって測定した。測定結果を図3に示す。
前記測定用サンプルに含まれるエタノール含量は定法の高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)によって測定した。測定結果を図3に示す。
図3に示す「JBC抽出液粉砕あり」が前記測定方法による測定結果であり、「JBC抽出液粉砕なし」が上記測定方法において、ソニケーションを行わなかったときの測定結果である。
バイノス乾燥物5gにおけるエタノールの蓄積含量は、ソニケーションありにおいて50ppm、ソニケーションなしにおいても61ppmであった。このことからバイノスは、暗条件で培養することなく、連続照射下において、極めて高含量(10〜12.2ppm/乾燥重量1g)のエタノールを蓄積することが分かった。
従って、バイノス培養物を用いることで、従来の光合成細菌から得られるエタノールより極めて高収量のエタノールを回収することが可能になる。また、発酵工程を必要としないため、培養コストも極めて低廉である。
次に、バイノスと油糧酵母を混合培養し、高発熱量の固形のバイオマス燃料の調整方法について説明する。
(1)バイノスの培養
オグボナ培地(図7B培地)に0.5%グルコースを添加した図7培地C(0.5%グルコース含有オグボナ培地)を培地A同様に調整し、温度25℃、照度約10000Lux下で、1週間バイノスのみを培養してバイノス培養液を得た。
オグボナ培地(図7B培地)に0.5%グルコースを添加した図7培地C(0.5%グルコース含有オグボナ培地)を培地A同様に調整し、温度25℃、照度約10000Lux下で、1週間バイノスのみを培養してバイノス培養液を得た。
(2)酵母の培養
YM培地(10gグルコース、ペプトン5g、イーストエクストラクト 3g/L)を定法に従い調整し、油糧酵母(Rhodosporidium toruloides及びLipomyces starkeyi)を1週間培養して油糧酵母培養液を得た。
YM培地(10gグルコース、ペプトン5g、イーストエクストラクト 3g/L)を定法に従い調整し、油糧酵母(Rhodosporidium toruloides及びLipomyces starkeyi)を1週間培養して油糧酵母培養液を得た。
(3)混合培養
前記バイノス培養液に対して、0.5重量%の割合で、前記油糧酵母培養液を添加し、連続照射下で、さらに5日間混合培養して混合培養物を得た。混合培養期間は、1週間以上が望ましい。油糧酵母は、バイノスの分泌物を栄養源として増殖するため、油糧酵母のための有機物等の栄養源は特に添加しない。
前記バイノス培養液に対して、0.5重量%の割合で、前記油糧酵母培養液を添加し、連続照射下で、さらに5日間混合培養して混合培養物を得た。混合培養期間は、1週間以上が望ましい。油糧酵母は、バイノスの分泌物を栄養源として増殖するため、油糧酵母のための有機物等の栄養源は特に添加しない。
(4)混合培養物の回収
前記混合培養物に、凝集剤を添加して凝集沈殿物を得た。凝集剤としては、例えば、アニオン系凝集剤(ダイヤフロック社製ap−350)、カチオン系凝集剤(ダイヤフロック社CP−1227h)が例示できる。さらに、混合培養物の乾燥重量に対して10%相当のセルロースを凝集補助剤として使用できる。風乾前に凝集沈澱物をプレス等して脱水してもよい。
前記混合培養物に、凝集剤を添加して凝集沈殿物を得た。凝集剤としては、例えば、アニオン系凝集剤(ダイヤフロック社製ap−350)、カチオン系凝集剤(ダイヤフロック社CP−1227h)が例示できる。さらに、混合培養物の乾燥重量に対して10%相当のセルロースを凝集補助剤として使用できる。風乾前に凝集沈澱物をプレス等して脱水してもよい。
(5)混合培養物の乾燥
前記凝集沈殿物を35℃〜40℃の温風にて風乾させた。この風乾物が、本発明である固形バイオマス燃料1(図4(A))である。
前記凝集沈殿物を35℃〜40℃の温風にて風乾させた。この風乾物が、本発明である固形バイオマス燃料1(図4(A))である。
図4は、本発明であるバイオマス燃料の写真である。図4(A)がバイノス油糧酵母混合培養物の風乾物をシャーレーに入れたものであり、図4(B)が前記風乾物をビーカー中の水に添加したものである。
前述のようにバイノスは、一般のクロレラと比較してクロロフィル含有量が多く、風乾により自然乾燥させると、乾燥物の硬度は高く、黒色(図4(A))で、塊として水に浮き又は沈澱することから疎水性(図4(B))であることが明らかになった。これは風乾によりクロロフィルが破壊されず乾燥物中に存在することに起因すると考えられる。
本発明である固形のバイオマス燃料1について、熱量、水分量、灰分等の項目について、成分分析を行った。その測定結果を図5に示す。測定はJFEテクノリサーチ(株)に委託し、燃焼―IC法に基づいて測定された。
バイオマス燃料1は、図5に示す通り、総発熱量は5,000Kcal/Kg以上であった。また、灰分も約9%と低く、風乾であっても十分水分を3%程度と低くすることができる。
バイオマス燃料として重要なポイントは、(1)疎水性であって保存性が良いこと。(2)硬度があり取り扱いが容易なこと。(3)発熱量が高いこと。(4)灰分が少ないことである。特に、本発明である固形のバイオマス燃料1は、図4、5から明らかなように、それら全てを満たす極めて優れたバイオマス燃料であると言える。従って、バイノスを培養することで、簡易かつ低コストでバイオマス燃料を提供できる。
(比較例1)
図6は、比較例1の乾燥物の写真である。比較例1は、実施例2において、乾燥工程のみ異なる。即ち、風乾に換え、CDドライヤー(西村鐵工所社製、CD−500)による約120℃で乾燥を行った。なお、CDドライヤーとは、回転式円盤型伝熱乾燥機のことで、熱くなった円盤に液体を吹き付け、円盤に接触した液体を熱で蒸発させ、固形分を掻き取り回収する乾燥機である。図6(A)が比較例1で得られた乾燥物2である。乾燥物2は、鮮やかなグリーンで、粉末状であった。そして、水に添加すると、鮮やかなグリーンの懸濁液2aとなった。
図6は、比較例1の乾燥物の写真である。比較例1は、実施例2において、乾燥工程のみ異なる。即ち、風乾に換え、CDドライヤー(西村鐵工所社製、CD−500)による約120℃で乾燥を行った。なお、CDドライヤーとは、回転式円盤型伝熱乾燥機のことで、熱くなった円盤に液体を吹き付け、円盤に接触した液体を熱で蒸発させ、固形分を掻き取り回収する乾燥機である。図6(A)が比較例1で得られた乾燥物2である。乾燥物2は、鮮やかなグリーンで、粉末状であった。そして、水に添加すると、鮮やかなグリーンの懸濁液2aとなった。
このことから、前記混合培養物の凝集沈澱物をCDドライヤーで乾燥した場合には、アルコール分が揮発し、緑色の親水性の粉末となることが明らかになった。
なお、粉末乾燥物であっても、硬度、収量の点で実施例1に劣るものの固形燃料として利用できる。またエタノール等の可燃性揮発ガスを回収することもできる。
世界での二酸化炭素総排出量の約6割に当たる135 億トンが化石燃料由来のものである。その7割以上が、発電部門(石炭、ガス、石油等)が占めている。さらに発電部門の6割を火力(石炭)発電所が占めているとされる。火力(石炭)発電所からの二酸化炭素排出量は世界総排出量の実に約25%を占めていると試算されている。
今後、新興国での電力需要の増加に伴い、火力発電所の数は増加の一途を辿ることが予想される。日本国内でも発電量の約6割が火力発電によっており、京都議定書の削減目標達成に向けて排出二酸化炭素量を削減することが急務となっている。そこで、本発明のバイオマス燃料は、化石燃料に変わる低コストで、環境負荷の低い次世代エネルギーとして有効である。本発明である固形のバイオマス燃料それ自体を燃焼させること、また本発明の固形のバイオマス燃料から可燃性物を抽出し、液体燃料として使用することも可能である。
1 バイオマス燃料
2 培養物
2a 懸濁液
2 培養物
2a 懸濁液
Claims (9)
- 固形状の可燃性燃料であって、微細藻類Parachlorella sp.binos FERM ABP−10969を培養後、回収し、乾燥させることを特徴とするバイオマス燃料。
- 前記微細藻類Parachlorella
sp.binos FERM−10969と共に、油糧酵母を混合培養し、回収し、乾燥させることを特徴とする請求項1に記載のバイオマス燃料。 - 前記乾燥が、50℃以下の風を回収物に送風する風乾であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバイオマス燃料。
- 前記微細藻類Parachlorella
sp.binos(FERM−10969)が、プロピオン酸、2,2−ジメチルエステルを蓄積することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のバイオマス燃料。 - 前記バイオマス燃料が、乾燥物1Kg当たり5,000Kcal以上の発熱量を有することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のバイオマス燃料。
- 液体状の可燃性燃料であって、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のバイオマス燃料を、水抽出又は/及び蒸留して得られることを特徴とするバイオマス燃料。
- 前記液体状の可燃性燃料が、エタノールを含む低級アルコール及びクロロフィルa、bにエステル結合している長鎖アルコールを主成分とすることを特徴とする請求項6に記載のバイオマス燃料。
- 前記回収が、培養液に凝集剤を添加し、沈澱させ、圧搾することを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1項に記載のバイオマス燃料。
- 前記凝集剤と共に、凝集補助剤としてセルロースを添加することを特徴とする請求項8に記載のバイオマス燃料。
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CN115161088A (zh) * | 2022-06-21 | 2022-10-11 | 天津大学 | 一种耦合微藻固碳生物质成型燃料的制备系统及方法 |
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