JP2011068802A - 液体組成物、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録画像 - Google Patents

液体組成物、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録画像 Download PDF

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新祐 辻
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Abstract

【課題】経時保存安定性や吐出安定性に優れ、インクジェットを用いた高速記録にも適応する、高速高硬化性の液体組成物を提供すること。
【解決手段】アミド化合物、N−ビニルアミド化合物、及び光重合開始剤を含有してなり、かつ、活性エネルギー線の照射により硬化される水性の液体組成物であって、前記アミド化合物が、特定構造を有するアミド化合物であり、前記N−ビニルアミド化合物が、特定構造を有するN−ビニルアミド化合物であることを特徴とする液体組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、液体組成物、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録画像に関する。
従来から画像形成の技術として、光硬化性の液体組成物と活性エネルギー線の照射源とを用い、紙などの画像基材上で、該液体組成物(インク)に、活性エネルギー線を照射して該インクの硬化膜を形成し画像を得る方法が知られている。
この際に用いられる液体組成物のひとつに、色材を含む活性エネルギー線硬化型樹脂組成物そのものを水性化するタイプのものが知られている。このタイプの液体組成物の色材としては非常に一般的な、アニオン性染料やアニオン性分散顔料を用いた場合に下記の課題があった。すなわち、樹脂成分中のエステル基の加水分解によるカルボン酸の生成に伴って液体組成物のpHが酸性領域まで低下し、安定に存在していた染料が析出したり、顔料分散体が凝集・沈降したりして安定性が損なわれ、好適な画像の形成に支障をきたす場合があった。これに対し、本出願人は、重合性物質に、硬化性物質の架橋性基の隣接位にアミド構造を有するものを使用することを提案している(特許文献1参照)。このような構成を採ることで、加水分解によって発生するカルボン酸の生成量を抑制でき、使用する分散体種や色材によらず、色材を含む液体組成物に高い安定性を付与することが可能となる。
しかし近年、このような画像形成のための技術において、顧客の個々のニーズに応じる多様性と、高い画像品位の必要性が劇的に強まってきている。また、それに応じて、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物そのものを水性化するタイプの液体組成物においては、種々の記録媒体における高い硬化特性の発現が極めて重要となってきており、従来以上に高い硬化特性を付与する技術が必要不可欠となっている。
活性エネルギー線硬化によって高い硬化特性を付与する技術としては、下記に挙げるようなものがある。特許文献2に開示されている技術は、マレイン酸ジエステルのような電子受容基を有する不飽和化合物と、アリールオキシスチレンのような電子供与基を有する不飽和化合物とに紫外線を照射して重合させる方法である。また、特許文献3に開示されている技術は、特定のマレイミド化合物とN−ビニルアミド化合物などの重合性化合物とフォスフィンオキサイド系及び/又はチオキサントン系の光重合開始剤とを組み合わせて用いることで硬化性能を高めた光硬化性着色組成物である。また、特許文献4に開示されている技術は、インクジェット用の液体組成物において、マレイミド誘導体とビニルエーテルなどの化合物とを共重合させることで硬化特性を向上させ、光開始剤の使用量を減らそうとするものである。
特開2005−307198号公報 特開平06−298817号公報 特開2002−121221号公報 特開2003−213171号公報
しかし、上述した従来技術においては、それぞれ以下のような課題があった。すなわち、特許文献2で開示されている技術は、光重合開始剤を用いない特殊な系についての技術であり、また水性の液体としての硬化特性についての言及は見られない。また、特許文献3で開示されている技術では、対象となる重合性物質が特定のものに限定されており、また親水性光重合開始剤を用いる水性インクでの硬化特性についての言及は見られない。また、特許文献4で開示されている技術では、適用する系によって硬化特性の向上効果が充分でなく、また水性の液体としての硬化特性についての言及は見られない。
したがって、本発明の目的は、活性エネルギー線の照射により硬化される水性の液体組成物であって、色材を含むインクとしても好適に用いることができ、さらには安定性に優れ、かつ高い硬化特性を有する液体組成物を提供することにある。また、本発明の別の目的は、該液体組成物を用いた、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録画像を提供することにある。
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、アミド化合物、N−ビニルアミド化合物、及び光重合開始剤を含有してなり、かつ活性エネルギー線の照射により硬化される水性の液体組成物であって、前記アミド化合物が、下記一般式(1)及び下記一般式(2)で表されるアミド化合物の少なくとも1種を含み、前記N−ビニルアミド化合物が、下記一般式(3)で表されるN−ビニルアミド化合物を含むことを特徴とする液体組成物である。
Figure 2011068802
(一般式(1)中、R1はn(=n1+n2)価の有機基、R2はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基、Xは二重結合を有する2価の有機基、Yはアルカリ金属又は有機塩基である。n1は1以上の整数であり、n2は0以上の整数であり、かつ、n(=n1+n2)は2以上の整数である。)
Figure 2011068802
(一般式(2)中、R3はn価の有機基、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であり、nは1以上の整数である。)
Figure 2011068802
(一般式(3)中、R6は水素原子、メチル基、又はハロゲン原子、R7は水素原子又は1価の有機基、R8はm価の有機基であり、R7及びR8が環を形成していてもよい。mは1以上の整数であり、かつ、m+n≧3である。)
本発明によれば、活性エネルギー線の照射により硬化される水性の液体組成物であって、色材を含むインクとしても好適に用いることができ、さらには安定性に優れ、かつ高い硬化特性を有する液体組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該液体組成物を用いた、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録画像を提供することができる。
以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
本発明者らは、前記した目的に鑑み、様々な検討を重ねた過程において、下記一般式(1)及び(2)で表されるアミド化合物の少なくとも1種と、下記一般式(3)で表されるN−ビニルアミド化合物と、光重合開始剤と、を含んでなる液体組成物を調製した。そして、該液体組成物を、色材を含有した形態の活性エネルギー線により硬化される水性のインクとし、該インクについて評価を行った。その結果、このような構成を有する液体組成物は、低エネルギーの活性エネルギー線の照射においても、その硬化物が、架橋度や接着性といった硬化性能に優れたものとなることを見出した。さらには、インクジェット用の液体組成物に要求される低粘度であることの水準をも満たし、かつ、水性インクに要求される経時保存安定性や吐出安定性(以下、単に安定性という)に優れることも見出して、本発明を為すに至った。
Figure 2011068802
(一般式(1)中、R1はn(=n1+n2)価の有機基、R2はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基、Xは二重結合を有する2価の有機基、Yはアルカリ金属又は有機塩基である。n1は1以上の整数であり、n2は0以上の整数であり、かつ、n(=n1+n2)は2以上の整数である。)
Figure 2011068802
(一般式(2)中、R3はn価の有機基、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であり、nは1以上の整数である。)
Figure 2011068802
(一般式(3)中、R6は水素原子、メチル基、又はハロゲン原子、R7は水素原子又は1価の有機基、R8はm価の有機基であり、R7及びR8が環を形成していてもよい。mは1以上の整数であり、かつ、m+n≧3である。)
上記一般式(1)における−X−は重合性基であるが、アミド酸又はアミド酸塩の構造を含むものであればどのような構造であってもよいが、反応性の観点から、下記式(A)、(B)、(C)、及び(D)から選ばれるいずれかであることが好ましい。
Figure 2011068802
前記した構成を有する本発明の液体組成物が、このように硬化性能と、安定性との両方において優れた結果が得られる理由を、本発明者らは以下のように推測している。先ず、本発明の液体組成物の硬化性能が格段に改善されるメカニズムは、次のように推定している。本発明に用いる重合性物質である一般式(1)及び(2)で表されるアミド化合物は、ビニル基に対する電子吸引基を持つ。該アミド化合物は、単独では従来のアクリル基を持つ化合物に比べてラジカル重合反応性は小さい。しかしながら、もう一方の重合性物質である一般式(3)で表されるN−ビニルアミド化合物が電子供与基を持つので、電子吸引基を持つ該アミド化合物は、この電子供与基と弱い電荷移動錯体を形成する。そして、これに紫外線などの活性エネルギー線を照射するとラジカルが発生し、これが水性の光重合開始剤として働く。このラジカルが、もともと液体組成物中に含有している水性の光重合開始剤に加え機能する結果、液体組成物中のアミド化合物とN−ビニルアミド化合物を効果的に共重合させるためであると考えている。
本発明の液体組成物の経時保存安定性が格段に改善されるメカニズムを、本発明者らは次のように推定している。本発明に用いる前記アミド化合物及び前記N−ビニルアミド化合物は、水性の液体中において、従来のアクリルエステル構造を有する親水性重合性物質に比べて、エステル基の加水分解の影響を受けにくく、生成される酸の量が極めて少ない。そのため、液体組成物の酸性領域までのpH低下が抑制され、アニオン性基によって水中に溶解している染料や、アニオン性基によって顔料が水中に分散されている顔料分散体が、安定して溶解又は分散することができる。この結果、本発明の液体組成物は、経時保存安定性に優れたものとなり、また、吐出安定性も改善されるようになったものと推定される。
本発明にかかる液体組成物の主たる応用例としては、インクジェット記録が挙げられる。なお、本発明に用いられる活性エネルギー線としては紫外線(UV)や電子線などを用いることができるが、以下においては、紫外線によってラジカル重合し硬化するタイプの液体組成物を代表例に挙げて説明を進める。ただしこれは本発明の適用範囲を何ら限定するものではない。本発明の液体組成物(インク)はとりわけ、普通紙のような、吸液性はあるが、画像の発色性や耐擦過性を向上させることが難しい記録媒体において、顕著な効果を発揮することが期待される。本発明の効果は普通紙だけでなく、例えば、オフセット印刷用紙、フォーム紙、段ボール紙などの吸液性のより小さい記録媒体や、金属やプラスチック製の非吸液性の印刷基材に対しても期待される。本発明のように、水分が存在している中で、活性エネルギー線によってラジカル重合する重合性物質の硬化がいかにして進行するかは、ラジカル反応速度の問題として重要である。本発明者らの検討によれば、色材が存在しない系で、水の中での重合が、無溶媒系の場合と比べて特別に反応が遅いということは観察されていない。
次に上記したような優れた作用・効果を有する本発明の液体組成物(インク)の構成材料などについて説明する。
(重合性物質)
本発明の液体組成物は安定に存在しなければならないため、本発明で用いられる重合性物質は親水性であることが好ましい。なお、本発明でいう重合性物質が親水性であるということは、その重合性物質が常温において水に溶解するか、又は、水と混和し得る有機溶剤に可溶であり、かつ該溶剤が常温において水に溶解するものであることを意味する。
本発明の液体組成物に用いる重合性物質のひとつである、先述した一般式(1)及び(2)で表されるアミド基のいずれかを有する化合物は、親水性の観点から、下記の構造を有するものがより好ましい。カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基、アミノ基、水酸基、及びこれらの塩、アミド基、アミド結合基、エーテル結合基、スルホン結合基からなる群から選ばれる親水性結合基を有する有機基を、少なくとも1種含む結合基を有するとよい。
また同様に、本発明の液体組成物に用いる重合性物質のひとつである一般式(3)で表されるN−ビニルアミド化合物も、親水性の観点から、下記の構造を有するものがより好ましい。カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基、アミノ基、水酸基、及びこれらの塩、アミド基、アミド結合基、エーテル結合基、ウレタン結合基、スルホン結合基、カルボニル結合基からなる群から選ばれる親水性結合基を有する有機基を、少なくとも1種含む結合基を有するとよい。
より好ましい形態としては、上記アミド化合物及び上記N−ビニルアミド化合物が、単体で各々常温において、1.0質量%以上水に均一に溶解するものであることが好ましく、さらには5.0質量%以上溶解するような親水性を有するものであることが好ましい。
本発明において、使用する活性エネルギー線によって重合する各重合性物質における重合官能基の数は、液体組成物の硬化性能と低粘度化の観点から、2乃至6の範囲であることが好ましく、より好ましくは3乃至4の範囲である。親水性の重合性物質中の重合官能基の数が多いほど、硬化性能は向上するが、官能基数の増加にともない、液体組成物の粘度上昇がみられ、インクジェット記録方式の高密度ノズルに対応する流動特性のよい液体組成物が得られにくくなる。また、該重合性物質の重合官能基が1つであると、重合速度が遅く、硬化物の架橋度が著しく低くなるので、本発明の液体組成物に用いる材料としては好ましくない。なお、本発明において使用する重合性物質は、重合官能基が1の単官能モノマーであってもよいが、この場合、さらに重合性官能基を2つ以上有する、活性エネルギー線重合性物質を併用することが特に好ましい。このため、本発明においては、液体組成物中に含まれる前記一般式(1)及び(2)の少なくともいずれかの重合性物質と、前記一般式(3)で表される重合性物質の重合官能基数の合計(m+n)が、3以上となるように調整する。
以下に、一般式(1)及び(2)で表されるアミド化合物並びに一般式(3)で表されるN−ビニルアミド化合物の特に好ましい具体例をいくつか挙げる。勿論、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。なお、マレイミド基が末端に入る位置については、各文献に例示された構造に限らず、どのような位置に存在していてもよい。
「アミド化合物の具体例」
<一般式(2)で表されるアミド化合物の具体例>
特開2007−119449号公報に記載された例示化合物1〜10
Figure 2011068802
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<一般式(1)で表されるアミド化合物の具体例>
Figure 2011068802
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「N−ビニルアミド化合物の具体例」
<一般式(3)で表されるN−ビニルアミド化合物の具体例>
Figure 2011068802
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本発明に用いる上記したようなアミド化合物及びN−ビニルアミド化合物の合成方法は、従来公知のどのような方法も用いることができる。一例としてアミド化合物の合成方法は、例えば、特開2007−119449号公報に記載されている。また、N−ビニルアミド化合物の合成方法は、例えば、特開平8−81428号公報、特開2002−167369号公報に記載されている。
本発明において、液体組成物中に含まれる前記アミド化合物と前記N−ビニルアミド化合物の混合比は、質量比で、5:95乃至95:5の範囲であることが好ましく、さらには1:10乃至10:1の範囲であることがより好ましい。また、液体組成物中における前記アミド化合物と前記N−ビニルアミド化合物の総含有量は、液体組成物全質量を基準として1.0質量%以上80.0質量%以下の範囲が好ましく、さらには5.0質量%以上60.0質量%以下の範囲であることがより好ましい。
(光重合開始剤)
本発明に用いられる光重合開始剤は親水性のものが好ましい。本発明でいう「重合開始剤が親水性である」ということは、重合開始剤が水と混和し得る有機溶剤に可溶であり、該溶剤が水溶性であること、重合開始剤自体は非水溶性であっても水に乳化可能な形態に処理が施されていること、又は水溶性であることを意味する。
本発明に用いられる親水性の光重合開始剤は、活性エネルギー線によってラジカルを生成する光ラジカル発生剤であることが好ましく、下記一般式(5)〜(9)で表される化合物が例として挙げられる。
Figure 2011068802
(一般式(5)中、R15は、炭素数1乃至5のアルキル基、フェニル基(該フェニル基は非置換、又は、ハロゲン原子、炭素数1乃至5のアルキル基、炭素数1乃至5のアルキルオキシ基、スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びそれらの塩;−SO3 -+、−CO2 -+、−O-+、下記原子団(E)から選ばれる任意の置換基により1乃至4回置換されている)を表す。R16は、炭素数1乃至5のアルキルオキシ基、又はフェニル基(該フェニル基は非置換、又はハロゲン原子、炭素数1乃至5のアルキル基、炭素数1乃至5のアルキルオキシ基から選ばれる任意の置換基により1乃至4回置換されている)を表す。R17は下記原子団(E)を表す。)
Figure 2011068802
(原子団(E)中、R18は、−[CH2]X2−(X2は0又は1)、又は置換若しくは非置換のフェニレン基を表す。R19は、水素原子、又はスルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びそれらの塩;−SO3 -+、−CO2 -+、−O-+を表す。kは0乃至10の整数、l(エル)は0又は1を表す。また、上記M+はそれぞれ独立に、水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンの当量、又はHNR202122で表されるアンモニウムイオンを表す。該アンモニウムイオン中、R20、R21、R22はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至5のアルキル基、モノヒドロキシル置換アルキル基、又はモノヒドロキシル置換フェニル基を表す。)
Figure 2011068802
(一般式(6)中、m3は1以上の整数を表し、n3は0以上の整数を表し、m3+n3は1乃至8の整数を表す。)
Figure 2011068802
(一般式(7)中、R23及びR24はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1乃至5のアルキル基を表し、m4は5乃至10の整数を表す。)
Figure 2011068802
(一般式(8)中、R26及びR27はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1乃至5のアルキル基を表し、R25は、−(CH2)x−(xは0又は1)、−O−(CH2)y−(yは1又は2)又はフェニレン基を表し、Mは水素原子又はアルカリ金属を表す。)
Figure 2011068802
(一般式(9)中、R28及びR29はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1乃至5のアルキル基を表し、Mは水素原子又はアルカリ金属を表す。)
また、前記一般式(5)におけるR15のアルキル基及びフェニル基、及びR18のフェニレン基は、置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、以下のものが挙げられる。具体的には、例えば、ハロゲン原子、炭素数1乃至5のアルキル基、炭素数1乃至5のアルキルオキシ基、上記原子団(E)で表される基、スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びスルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基の塩(−SO3M、−CO2M、−OM)が挙げられる。特に好ましいR15は、炭素数1乃至5のアルキル基を置換基として有するフェニル基である。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はHNR303132で表されるアンモニウム(R30、R31、R32はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至5のアルキル基、炭素数1乃至5のモノヒドロキシル置換アルキル基、又はモノヒドロキシル置換フェニル基を表す。)である。
前記一般式(5)におけるR15の塩としては、−SO3M、−CO2M及びOMが挙げられる。かかるMは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はHNR333435で表されるアンモニウム(R33、R34、R35はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1乃至5のアルキル基、炭素数1乃至5のモノヒドロキシル置換アルキル基、又はモノヒドロキシル置換フェニル基を表す。)である。
前記一般式(5)におけるR16のアルキルオキシ基及びフェニル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1乃至5のアルキル基、炭素数1乃至5のアルキルオキシ基が挙げられる。特に好ましいR16は、アルキルオキシ基であり、中でも−OC25及び−OC(CH3)3である。
前記一般式(7)〜(9)におけるR23〜R24及びR26〜R29のアルキル基は置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、以下のものが挙げられる。具体的には、例えば、ハロゲン原子、スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びスルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基の塩(−SO3M、−CO2M、−OM)が挙げられる。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はHNR363738で表されるアンモニウム(R36、R37、R38はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至5のアルキル基、炭素数1乃至5のモノヒドロキシル置換アルキル基、又はモノヒドロキシル置換フェニル基を表す。)である。
これらの中でも特に、一般式(5)で表される親水性アシルフォスフィンオキシド化合物が好ましい。これらの光重合開始剤としては、例えば、特開2007−119449号公報に記載された例示化合物25〜29を用いることができる。勿論本発明で使用する光重合開始剤はこれらに限定されるものではない。
本発明において、親水性の光重合開始剤としてチオキサントン系親水性重合開始剤などを用いる場合は、水素供与剤を添加することが好ましい。本発明で用いることのできる水素供与剤としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどが挙げられる。
また、本発明においては、2種類以上の光重合開始剤を組み合わせて使用することができる。2種類以上の光重合開始剤を用いることで、1種類の光重合開始剤では有効に利用できない波長の光を利用して、さらなるラジカルの発生を促し硬化特性を向上させるなどということも期待できる。
(溶媒)
本発明にかかる液体組成物において用いられる溶媒としては、水が好適に用いられる。また、本発明においては、重合性物質や光重合開始剤などを均一に溶解させることを補助する目的で、水溶性有機溶剤を水と併用することも可能である。
水溶性有機溶剤としては、水に可溶でその他のインクジェット特性を満足することができるものであれば、従来公知のものが全て適用できる。ただし環境に対する影響や作業上の臭気などの観点から、全溶媒中の50.0質量%以上を水とする構成が好ましく、特に全溶媒中の90.0質量%以上を水とする構成が極めて好ましい。
本発明に用いることのできる水溶性有機溶剤の例を以下に挙げる。例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、グリセリンなどの多価アルコール類、2−ピロリドンなどの水溶性アミド化合物、など。
(色材を含有しない液体組成物)
また、本発明にかかる液体組成物は、後述するような色材を含有させることなく、透明なまま用いることができる。特に、インクジェット記録特性を有するように調製すれば、活性エネルギー線硬化型のインクジェット用の透明な液体組成物が得られる。かかる形態の液体組成物を用いれば、色材を含有していないので、クリアな皮膜を得ることができる。色材を含有しない形態の液体組成物の用途としては、以下のものが挙げられる。例えば、画像記録への適性を記録媒体に付与するためのアンダーコート用としたり、又は通常のインクで形成した画像の表面保護、さらなる装飾や光沢付与などを目的としたオーバーコート用としての用途などが挙げられる。かかる形態の液体組成物には、酸化防止や退色防止などの用途に応じて、着色を目的としない無色の顔料や微粒子などを分散して含有させることもできる。これらを添加することによって、アンダーコート、オーバーコートのいずれにおいても、記録物の画質、堅牢性、施工性(ハンドリング性)などの諸特性を向上させることができる。
そのような用途に適用する場合、液体組成物中における上記重合性物質の含有量は、液体組成物全質量を基準として、10.0質量%以上70.0質量%以下であることが好ましい。また、本発明においては、上記重合開始剤を、上記重合性物質100.0質量部に対して、1.0質量部以上15.0質量部以下含有され、液体組成物100.0質量部に対して、上記重合開始剤が0.5質量部以上含有されているように調製することが好ましい。
上記に示したように、本発明の液体組成物を、色材を含有させない形態で利用する場合には、重合反応性の低粘度モノマーを溶媒として含有させることが好ましい。通常の溶媒ではなく、こうした物質を用いる利点は、これらの物質は、活性エネルギー線で硬化させた反応後の固体中に可塑剤として残留することがないので、固体物性への影響が低減されることにある。このような目的で選択される反応性の希釈剤成分としては、アクリロイルモルホリン、アクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、単糖類のモノアクリレート、オリゴエチレンオキシドのモノアクリル酸エステル、及び2塩基酸のモノアクリル酸エステルなどの化合物が挙げられる。
さらに、本発明の液体組成物を、色材を含有させない形態で利用する場合には、後述するような、保湿性を与える添加剤は使用しないことが好ましい。それは、この場合には、顔料などの固体の成分が含有されていないので、増粘は少なく、かつ仮に若干の増粘があっても容易に回復することができるからである。勿論、後述するような、より保湿性の高い添加剤類を必要最低限度に添加することはできる。また、界面活性剤などの各種添加剤を添加してもよい。これらは、従来インクジェット用の水性の液体に汎用されている多数の化合物から選ぶことができる。
次に、本発明の液体組成物を、色材を含有させた形態(インク)として利用する場合について説明する。
(色材・顔料)
本発明にかかる液体組成物は、顔料などの色材を含有させることができる。この際には顔料を水性媒体中に均一に分散させた顔料分散体を色材として使用することが好ましい。顔料分散体としては、特にアニオン性基の作用によって水中に顔料が安定に分散されている顔料分散体を使用することが好ましい。例えば、ノニオン系又はアニオン系において安定な、従来公知のインクジェット用のインクに用いられる顔料分散体などをそのまま適用することが可能である。
顔料粒子の平均粒子径は、25nm以上350nm以下程度の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは70nm以上200nm以下の範囲である。この範囲は記録物の用途にも依存するが、可視光線の波長よりも十分に小さいので、光散乱が少ない、鮮明な記録物が与えられる。
色材として顔料が使用される場合には、液体組成物中における純顔料の含有量は、概ね、液体組成物全質量を基準として、0.3質量%以上10.0質量%以下とすることが好ましい。顔料の着色力や顔料粒子の分散状態も依存するが、顔料の含有量が、液体組成物全質量を基準として、0.3質量%以上1.0質量%以下であると、淡色のインクとして利用される範囲となる。また、それ以上であると、一般のカラー着色用に用いられる濃度を与える。顔料分散体の濃度は、記録装置が要求する粘度、流動特性にも依存する。
(色材・染料)
本発明にかかる液体組成物は、上記したような顔料に限らず、色材として、従来公知の染料を用い、水溶性染料を溶解状態で含有する態様のインクとすることも、活性エネルギー線の照射による退色が実用上問題にならない範囲であれば可能である。また、分散染料、油溶性染料などを分散状態で含有させた色材分散体も、上記した顔料分散体と同様に適用可能である。これらは、用途にしたがって適宜に選択される。
液体組成物中における染料の含有量は、液体組成物全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。染料の含有量が低い場合には、所謂淡インクに好適に適用できる。
(その他の添加剤)
本発明にかかる液体組成物に、色材を含有させることでインクとして利用する場合には、該インク中に水溶性有機溶剤や界面活性剤などの各種添加剤を加えることができる。添加剤は、インクの揮発性を抑える、粘度を低下させる、印刷基材への濡れ性を制御する、などの目的で用いられる。
添加剤をインク(液体組成物)中に10.0質量%以上添加させたような場合には、最終的に得られるインク皮膜の強度を高めるという意味において、画像を形成する記録媒体に一定の吸液性があることが必要となる。すなわち、水性グラビアインクによる記録の場合には、一定の濡れと浸透性を付与した記録媒体を用い、かつ強制乾燥が行われている。本発明においても、添加剤をインク(液体組成物)中に、例えば10.0質量%以上添加する場合には、記録媒体にインクの受容性を付与するための前処理を施し、かつインクを活性エネルギー線で硬化させた後に、自然又は強制の乾燥処置を施すことが好ましい。本発明で開示する各種の重合性物質は、水に対する親和性が高いため、それ自身が一定の保湿性(=揮発の抑制能)を有する。このため、本発明においては、組成にもよるが添加剤レスのインク構成も可能である。勿論、実用レベルでのプリントの信頼性確保のために、キャッピング、記録開始時のインクの吸引、予備吐出などの対策を用いてもよい。
また、非吸液性基材への記録の場合には、基材への添加剤吸収が期待できないため、添加剤の量を最低限、可能ならばゼロに抑え、重合性物質成分のほぼ全てが硬化して固体化するように構成することが好ましい。
本発明の液体組成物を、色材を含むインクとして利用する場合において、好適に用いられる添加剤としては、前記したグリコールエーテル類やグリセリンなどのアルコール類などが挙げられる。
本発明にかかる液体組成物を、色材を含有するインクとして利用する場合には、含有させた色材の吸収特性に合わせて、該インク中における前記重合開始剤と前記重合性物質の濃度を調節することが好ましい。配合量としては、重合反応に関与しない溶媒(水、有機溶剤など)の含有量を、液体組成物全質量を基準として、40.0質量%以上90.0質量%以下とすることが好ましく、さらには60.0質量%以上75.0質量%以下とすることがより好ましい。さらに、液体組成物中における前記重合性物質の含有量は、液体組成物全質量を基準として、1.0質量%以上35.0質量%以下であることが好ましく、特には10.0質量%以上25.0質量%以下であることがより好ましい。また、前記重合開始剤の含有量は、前記重合性物質の含有量にも依存するが、液体組成物全質量を基準として、0.1質量%以上7.0質量%以下であることが好ましく、さらには0.3質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。
(インクジェット記録装置)
本発明の液体組成物は、該液体組成物を記録媒体に付与する手段と、該記録媒体に付与された液体組成物に対して活性エネルギー線を照射する手段を具備しているインクジェット記録装置に適用できる。なお、本発明においては、上記したインクジェット記録装置は、UVランプが排紙部前面に配されたものや、給紙・排紙が回転ドラムに巻きつけられて行われるもの、乾燥部を別途設けたものなど適宜選ぶことができる。
次に、本発明で特に好適な液体組成物の硬化に使用する、活性エネルギー線を照射する手段としての紫外線照射装置について説明する。紫外線照射装置としては、水銀の蒸気圧が点灯中で1Pa以上10Pa以下であるような所謂低圧水銀ランプや、高圧水銀ランプ、蛍光体が塗布された水銀灯などが好ましい。これらの水銀ランプの紫外線領域発光スペクトルは、450nm以下、特には184nm以上450nm以下の範囲であり、黒色又は着色された液体組成物(インク)中の重合性物質を効率的に反応させるのに適している。また、電源を記録装置に搭載する上でも、小型の電源を使用できるので、その意味でも適している。水銀ランプには、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンフラッシュランプ、ディープUVランプ、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、UVレーザーなどが実用されている。これらの水銀ランプは、発光波長領域としては上記範囲を含むので、電源サイズ、入力強度、ランプ形状などが許されれば、基本的には適用可能である。光源は、用いる触媒の感度にも合わせて選択する。また、発光ダイオード方式のUV−LEDを用いた紫外線照射装置や、UVエキシマランプなども極めて好適に用いることができる。
なお、必要な紫外線強度は500mW/cm2以上5,000mW/cm2以下程度が重合速度の意味から好ましい。照射強度が不足していると本発明の液体組成物の硬化が十分に得られない。また照射強度が強すぎると、印刷基材がダメージを受けたり、色材の退色を生じたりすることがある。
以下実施例、比較例、及び参考例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。
(実施例1〜8、比較例1〜3)
表1に示す成分を各々混合し、十分撹拌した後、1.2ミクロンフィルターにて加圧濾過を行い、実施例1〜8、比較例1〜3の活性エネルギー線硬化型の水性液体組成物を調製した。なお、特に指定のない限り各液体組成物中の成分の量は「質量部」を意味する。なお、各液体組成物を構成する例示化合物I-13、15、17、18、26、27、II−6、7、8の構造は、前記した通りである。また、比較化合物III、IV、例示化合物1の構造は、以下に示した。
Figure 2011068802
Figure 2011068802
Figure 2011068802
比較化合物IV(非水溶性アシルホスフィン系光重合開始剤)
チバスペシャリティケミカルズ製 イルガキュア819DW
Figure 2011068802
(成膜性評価)
表1に示した成分からなる各液体組成物を使用して、下記のように成膜性を評価した。先ず、市販のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムにバーコーターを用いて、各液体組成物を5g/m2となるようにコーティングした。次に、このように塗工したPETフィルムをUV照射装置にかけた。この際、用いたUVランプとしては、FUSION UV Systems Inc.製 UV硬化性評価装置 モデルLH6Bを使用した。そして、照射強度は次の3つの条件で検討した。条件A:1,500mW/cm2、条件B:1,000mW/cm2、条件C:500mW/cm2、搬送速度は0.4m/秒であった。このように形成した膜の鉛筆硬度を市販の鉛筆硬度試験機にて測定した。測定結果を表2にまとめた。なお、鉛筆硬度測定はJISに準拠している。
Figure 2011068802
Figure 2011068802
表2に示すように、本発明の液体組成物を用いた場合には、硬化特性が向上し、低照射条件においても高い鉛筆硬度が達成され、優れた硬化特性が得られた。
(実施例9〜16、比較例4〜6)
先ず、色材としてシアンの顔料分散体を以下のように調製した。顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を用いた。また、分散剤としてはベンジルアクリレート/メタクリル酸/エチレングリコールメタクリレートのABC型ブロックポリマー(重量平均分子量:8,000、酸価:350mgKOH/g)を水酸化カリウムでpHを約7に中和したものを用いた。これらに水を加えてビーズミルにて分散し、最終的に、顔料固形分10質量%で、顔料と樹脂の質量比率(P/B)=3:1である顔料分散体を得た。用いた顔料の平均粒子径は120nmであった。顔料の平均粒子径はレーザー光散乱型の粒子径測定装置を用いて行った。
次に、表3に示す成分を各々混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ0.50μmのフィルタを用いて加圧濾過を行い、実施例9〜16、比較例4〜6の液体組成物(インク)を調製した。なお、インクのpHは、最終的に8.5となるように、0.2規定の水酸化ナトリウム水溶液を用いて調整した。
Figure 2011068802
Figure 2011068802
(評価)
上記のように調製した各液体組成物(インク)を下記の要領で評価した。
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することでインクを吐出させるオンデマンド型インクジェット記録装置Pixus550i(キヤノン製)を用意した。そして、該記録装置の記録ヘッド部に隣接する位置に、マイクロ波を用いて外部から無電極で水銀灯を励起するUVランプを搭載した。次に、この記録装置を用いて、下記(1)から(3)に記載する評価方法及び評価基準にしたがって評価を行った。また、UVランプはDバルブを用いた。照射位置での強度は1,500mW/cm2であった。照射条件は積算照射エネルギーを条件D:800mJ/cm2、条件E:400mJ/cm2、条件F:100mJ/cm2とした。評価結果を表4に示した。
(1)インク硬化性能
実施例9〜16、比較例4〜6のインク及び上記記録装置を用いて、PETフィルムに100%ベタ画像の記録を行った。なお、本発明においては、600×600dpiで形成される記録画像の1画素に約5pLのドットで全てを埋め尽くす記録を100%ベタという。このように形成した膜の鉛筆硬度を、実施例1〜8、比較例1〜3における測定方法と全く同様な方法で市販の鉛筆硬度試験機を用いて測定した。
(2)吐出安定性
上記記録装置に所定の各インクを充填して、PPC用紙(キヤノン製)に横罫線を連続記録して、その線の太さ、ドットの着弾位置について、目視にて評価した。
A:線の太さに変化がなく、着弾位置のズレもなかった
B:多少太さの変化や着弾ズレがあった
C:太さの変化があり、着弾ズレもあった
(3)経時保存安定性
溶出による外乱がない、フッ素樹脂製の密閉容器に所定のインクを入れ、これを暗所及び60℃のオーブン中で1ヶ月保存した。各環境で保存したインクにおける顔料の平均粒子径からその変化率を求め、下記基準で評価した。
A:平均粒子径の変化率が±10%以内である
B:平均粒子径の変化率が±10%を超えて±15%以内である
C:平均粒子径の変化率が±15%を超える
Figure 2011068802
Figure 2011068802
表4に示すように、本発明の液体組成物(インク)を用いた場合、硬化特性は低照射条件でも十分な鉛筆硬度が得られた。また、本発明の液体組成物(インク)は、吐出安定性及び経時保存安定性に優れていた。
(実施例17〜19、比較例7〜9)
実施例17、比較例7:イエローインクの評価
実施例18、比較例8:マゼンタインクの評価
実施例19、比較例9:レッド記録部の評価
次に、実施例9〜16に用いたシアン顔料分散体を調製するのと全く同様にイエロー、マゼンタの顔料分散体を調製した。
(イエロー顔料分散体の調製)
顔料としてC.I.ピグメントイエロー13を用いた以外は、シアン顔料分散体を調製するのと全く同様にして、顔料固形分10質量%、P/B=3/1、平均粒子径130nmのイエロー顔料分散体を調製した。
(マゼンタ顔料分散体の調製)
顔料としてC.I.ピグメントレッド122を用いた以外は、シアン顔料分散体を調製するのと全く同様にして、顔料固形分10質量%、P/B=3/1、平均粒子径125nmのマゼンタ顔料分散体を調製した。
(イエローインク、マゼンタインクの調製)
次に、シアン顔料分散体を、上記で調製したイエロー顔料分散体に代えた以外は、実施例13のインクを調製するのと全く同様にして、実施例17のイエローインクを調製した。次に、シアン顔料分散体を、上記で調製したマゼンタ顔料分散体に代えた以外は、実施例13のインクを調製するのと全く同様にして実施例18のマゼンタインクを調製した。
また、比較例として、表3に示した比較例4の組成を用い、実施例17、実施例18のインクを調製するのと全く同様にして、上記で調製したイエロー顔料分散体、シアン顔料分散体を用いて、比較例7のイエローインク、比較例8のマゼンタインクを調製した。
(評価)
上記で調製したイエローインク、マゼンタインクに加えて、実施例13のインク(シアンインク)を合わせて実施例17〜19の評価に用いるインクセットとした。このインクセットを用いて実施例13の評価で使用したのと同じ記録装置を用い、PETフィルム及び三菱製紙製オフセット印刷用紙OK金藤に以下の記録を行った。すなわち、イエロー、マゼンタの100%ベタ記録、及び、イエロー100%ベタとマゼンタ100%ベタで形成される実施例19及び比較例9の2次色レッドを記録した。また、UV照射は実施例13の評価における条件Eと全く同様な方法で行った。このように形成した記録画像のイエロー、マゼンタ、レッド部分について、PETフィルム記録物については、実施例13の場合と全く同様な方法で鉛筆硬度試験を行った。また、上述のオフセット印刷用紙については、次に示す定着性試験を行った。さらに、このように調製したイエローインク及びマゼンタインクを用いて、次に示す耐マーカー性試験を行った。また、このように調製したイエローインク及びマゼンタインクを用いて、実施例13のインクと全く同様にして吐出安定性試験、経時保存安定性試験を行った。評価結果を表5に示した。
・定着性試験
記録10秒後に上記にサンプルについて、記録した記録媒体にシルボン紙を載せ、記録面に40g/cm2の荷重を載せた状態でシルボン紙を引っ張った。記録媒体の非記録部(白地部)及びシルボン紙に記録部の擦れによって、汚れが生じるか否かを目視にて観察し、下記の基準で評価した。
A:擦れによる汚れがない
B:擦れによる汚れがほとんどない
C:擦れによる汚れが目立つ
・耐マーカー性試験
実施例17、18及び比較例7、8のそれぞれのイエローインク、マゼンタインク及び上記記録装置を用いて、キヤノン製PPC用紙に12ポイントの文字の記録を行った。記録1分後に上記サンプルについて、パイロット製蛍光ペンスポットライターイエローを用いて、文字部を通常の筆圧で1度マークし、文字の乱れの有無を目視で観察し、下記の基準で評価した。
A:マーカーによる文字の乱れが生じない
B:マーカーによる文字の乱れがわずかに生じる
C:マーカーによる文字の乱れが著しく生じる
Figure 2011068802
Figure 2011068802
表5に示すように、本発明の液体組成物(インク)を用いた場合、硬化特性に優れ、十分な鉛筆硬度、定着性、耐マーカー性が得られた。また本発明の液体組成物(インク)は、吐出安定性及び経時保存安定性に優れていた。

Claims (8)

  1. アミド化合物、N−ビニルアミド化合物、及び光重合開始剤を含有してなり、かつ、活性エネルギー線の照射により硬化される水性の液体組成物であって、
    前記アミド化合物が、下記一般式(1)及び下記一般式(2)で表されるアミド化合物の少なくとも1種を含み、前記N−ビニルアミド化合物が、下記一般式(3)で表されるN−ビニルアミド化合物を含むことを特徴とする液体組成物。
    Figure 2011068802
    (一般式(1)中、R1はn(=n1+n2)価の有機基、R2はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基、Xは二重結合を有する2価の有機基、Yはアルカリ金属又は有機塩基である。n1は1以上の整数であり、n2は0以上の整数であり、かつ、n(=n1+n2)は2以上の整数である。)
    Figure 2011068802
    (一般式(2)中、R3はn価の有機基、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であり、nは1以上の整数である。)
    Figure 2011068802
    (一般式(3)中、R6は水素原子、メチル基、又はハロゲン原子、R7は水素原子又は1価の有機基、R8はm価の有機基であり、R7及びR8が環を形成していてもよい。mは1以上の整数であり、かつ、m+n≧3である。)
  2. 上記光重合開始剤が、光ラジカル発生剤である請求項1に記載の液体組成物。
  3. 上記光重合開始剤のうち少なくとも1種が、親水性アシルフォスフィンオキシド化合物である請求項1又は2に記載の液体組成物。
  4. さらに、色材を含有してなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体組成物。
  5. インクジェット用である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体組成物。
  6. 請求項5に記載の液体組成物を記録媒体に吐出する工程、及び該液体組成物が付与された記録媒体に活性エネルギー線を照射して該液体組成物を硬化させる工程を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  7. 請求項5に記載の液体組成物を記録媒体に付与する手段、及び該記録媒体に付与された液体組成物に対して活性エネルギー線を照射する手段を具備していることを特徴とするインクジェット記録装置。
  8. 請求項6に記載のインクジェット記録方法により形成されたことを特徴とする記録画像。
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