JP2011068744A - リグニンを高含有率で含むセルロース溶液の製造方法 - Google Patents

リグニンを高含有率で含むセルロース溶液の製造方法 Download PDF

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雄二 松本
Tomoya Yokoyama
朝哉 横山
zhi-guo Wang
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Abstract

【課題】リグニン・セルロース複合体として存在する木材パルプなどのセルロース系試料から、リグニンを取り除くことなく、また誘導体化などの化学反応を経ずに、あるいは、微粉砕処理のようにセルロースの解重合を引き起こす処理を経ずに、セルロース溶液を製造する方法を提供すること。
【解決手段】リグニンを含有するセルロース試料をアミン系溶媒に浸漬する工程、及び前記で得られた試料を、ハロゲン化リチウムを含むジメチルスルホキシドからなる溶媒に溶解する工程を含む、リグニンを含有するセルロース溶液の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、リグニンを高含有率で含むセルロース溶液の製造方法、及び上記方法で得られるリグニンを高含有率で含むセルロース溶液に関する。
化学パルプを精製して主成分であるセルロースのみを取り出して溶液を作ることは従来も可能であった。しかし、リグニンが存在する場合、セルロース溶液を作成することはできなかった。そのため、リグニンを高含有量で含むという特質を生かしたパルプ溶液の利用法を開発することができなかった。また、パルプを精製してリグニンを取り除く過程で、セルロースの重合度が低下するため、木材パルプを用いた場合、高い重合度のセルロース溶液を作成することができなかった。
一方、リグニンを多量に含む木質試料の溶解法として、本発明者らは先に、前処理としてボールミルなどで微粉砕した後に塩化リチウムを含むジメチルスルホキシドに溶解させる技術を開発した(特願2008−211334)。しかし、この方法では、前処理過程におけるリグニンの変質、セルロースの解重合を抑えることはできなかった。
McCormick, C. L.; Callais, P. A.; Hutchinson, B. H. Solution studies of cellulose in lithium chloride and N,N-dimethylacetamide. Macromolecules 1985, 18, 2394-2401. Yanagisawa, M.; Shibata, I.; Isogai, A. SEC-MALLS analysis of softwood kraft pulp using LiCl 1,3-dimethyl-2-imidazolidinone as an eluent. Cellulose 2005, 12, 151-158.
本発明は上記した従来技術の問題点を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、リグニン・セルロース複合体として存在する木材パルプなどのセルロース系試料から、リグニンを取り除くことなく、また誘導体化などの化学反応を経ずに、あるいは、微粉砕処理のようにセルロースの解重合を引き起こす処理を経ずに、セルロース溶液を製造する方法を提供することを解決すべき課題とした。さらに本発明は、上記方法で得られるリグニンを高含有率で含むセルロース溶液を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは、上記した課題を解決するために鋭意検討した結果、リグニンを高い含有量で含むセルロース系試料をエチレンジアミンに浸漬した後、対試料20%ほどの含有量になるまでエチレンジアミンを取り除き、この前処理を経た試料を塩化リチウムを含むジメチルスルホキシドに加え、一定時間室温で放置した後、攪拌下で加温することによりリグニンを高含有量で含むセルロース溶液が得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) リグニンを含有するセルロース試料をアミン系溶媒に浸漬する工程、及び前記で得られた試料を、ハロゲン化リチウムを含むジメチルスルホキシドからなる溶媒に溶解する工程を含む、リグニンを含有するセルロース溶液の製造方法。
(2) セルロース試料が、0〜20重量%のリグニンを含有する試料である、(1)に記載の方法。
(3) アミン系溶媒が、エチレンジアミンである、(1)又は(2)に記載の方法。
(4) ハロゲン化リチウムがリチウムクロライドである、(1)から(3)の何れかに記載の方法。
(5) ハロゲン化リチウムを含むジメチルスルホキシドからなる溶媒中におけるハロゲン化リチウムの含有量が1重量%以上である、(1)から(4)の何れかに記載の方法。
(6) (1)から(5)の何れかに記載の方法により得られるリグニンを含有するセルロース溶液。
従来技術においてはリグニンを高い含有量で含むセルロース系試料を溶解させることはできないと言うのが常識であった。このためセルロース系試料として最も豊富で安価な木材セルロースの場合は、リグニン含有量をほぼゼロにまでするための精製操作(漂白)が必要となり、その過程でのセルロースの解重合を避けることができなかった。このため、木材セルロースの化学的利用法は限定されていた。
本発明のセルロース溶液の製造方法によれば、様々な含有量でリグニンを含み、かつ、木材中に存在するときに近い高重合度のセルロースを溶解することができるため、木材セルロースの化学的利用の可能性が格段に広がる。即ち、本発明によれば、リグニンの存在という特質を生かした、また高重合度を保ったセルロース溶液を製造し、フィルム化・紡糸・ゲル化・プラスチック化などセルロースの新しい利用法の開発や、パルプ構成成分の新しい化学的分析法の開発を行うことができる。また、本発明によれば、高リグニン含有セルロース系試料の化学的分析法としても、溶液のスペクトル分析と言う全く新しい手法を展開することができる。化学的分解・変質をともなう手法により各成分を単離して分析するという、従来行われていた手法では決して得られない情報が期待できる。
なお、本発明によるセルロース系試料の溶液調製過程で、セルロースの分解がほとんど起きないことは、市販の高純度木材パルプ(重合度約1,200)の重合度が本法による溶解過程でほとんど低下しないことによって確かめられた。このことは、前処理としてボールミルなどで微粉砕した後に塩化リチウムを含むジメチルスルホキシドに溶解させるという本発明者が開発した方法(特願2008−211334)においては、微粉砕前処理過程で重合度が200以下に低下するのと対照的である。また、微粉砕前処理過程ではセルロースの結晶領域は完全に破壊されるが、本法における前処理であるエチレンジアミン前処理の過程ではセルロースの結晶形態は変化するが、結晶化度は高いまま維持されている。
図1は、EDA前処理過程におけるセルロース結晶形態の変化(A)と微粉砕前処理過程における結晶領域の消失(B)を示す。(A)試料:混合広葉樹クラフトパルプ、リグニン含有量1.8重量%、(B) 試料:ブナ木粉、リグニン含有量28.2重量%、図1(A)は、リグニン含有量1.8重量%の混合広葉樹クラフトパルプをEDA前処理した際のセルロース結晶の変化を示す。結晶型はセルロース1からEDAコンプレックス型へと変化しているが結晶化度は維持されている。一方(B)は、リグニン含有量28.2重量%のブナ木粉を、微粉砕処理した際のセルロース結晶の変化である。1時間の微粉砕処理で、結晶領域は失われている。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明は、未漂白高歩留まり化学パルプ、機械パルプなどのようにリグニンを高含有率で含むセルロース系試料を化学的改質・変質を伴わずに完全に溶解させることを特徴とする、リグニンを含有するセルロース溶液の製造方法に関する。本発明の製造方法で得られるセルロース溶液は、フィルム化・紡糸・ゲル化・プラスチック化などの新しい化学的利用に用いることができ、また化学パルプ構成成分の化学的分析に用いることができる。
本発明によるセルロース溶液の製造方法の一例について説明する。先ず、リグニンを高い含有量で含むセルロース系試料をアミン系溶媒(例えば、エチレンジアミンなど)に浸漬した後、対試料20%ほどの含有量になるまでエチレンジアミンを取り除く。この前処理を経た試料を、ハロゲン化リチウム(例えば、塩化リチウム)を数%含むジメチルスルホキシドに加え、一定時間室温で放置した後、攪拌下に加温することによりリグニンを高含有量で含むセルロース溶液が得られる。
上記方法で得られるセルロース溶液はそのまま、誘導体化反応など各種反応のための反応用液とすることができる。また、このセルロース溶液をフィルム化・紡糸・ゲル化・プラスチック化などに供しセルロースの新しい化学的利用法を開発することができる。また、このセルロース溶液は、核磁気共鳴スペクトル、紫外吸収スペクトルなど種々のスペクトル分析を行う化学パルプ構成成分の分析のための試料とすることができる。
本発明で用いるアミン系溶媒の種類は、本発明の効果を達成できる限り特に限定されないが、エチレンジアミン、アンモニアなどを用いることができる。
リグニンを含有するセルロース試料をアミン系溶媒に浸漬する際の条件は特に限定されないが、例えば、室温下で、1から48時間程度浸漬すればよい。リグニンを含有するセルロース試料をアミン系溶媒に浸漬した後に、対試料20%ほどの含有量になるまでアミン系溶媒を取り除くことが好ましい。
本発明で用いるハロゲン化リチウムとしては、フッ化リチウム、塩化リチウム(リチウムクロライド)、臭化リチウム、又はヨウ化リチウムの何れもでよいが、好ましくは塩化リチウム(リチウムクロライド)である。ハロゲン化リチウムを含むジメチルスルホキシドからなる溶媒におけるハロゲン化リチウムの含有量は、セルロースを溶解できる限り特に限定されないが、好ましくは1重量%以上である。ハロゲン化リチウムの含有量の上限値は特に限定されず、セルロースを溶解する際の温度における溶解度以下であればよい。例えば、ハロゲン化リチウムの含有量は1重量%以上8重量%以下にすることができる。
リグニンを含有するセルロース試料をアミン系溶媒に浸漬することにより得られた試料を、ハロゲン化リチウムを含むジメチルスルホキシドからなる溶媒に溶解する際の条件は特に限定されないが、例えば、一定時間室温で放置した後、攪拌下に加温することによりリグニンを高含有量で含むセルロース溶液が得られる。加温処理時の温度は、試料のリグニン含有量によって異なり、リグニン含有量が10%ほどまでの化学パルプの場合は概ね75℃までの加温で溶解することができる。
本発明で用いるリグニンを含有するセルロース試料の種類は特に限定されないが、例えば、木粉などを使用することができる。木の種類は特に限定されず、広葉樹でも針葉樹でもよい。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが本発明は実施例によって限定されるものではない。
様々なリグニン含有量の針葉樹および広葉樹パルプ0.5グラムを30mlのエチレンジアミン(EDA)に浸漬し、攪拌下に24時間、室温に置く。EDA処理したパルプをEDAを含んだまま凍結し、凍結乾燥によりEDAを溜去する。凍結乾燥後のパルプはEDAが完全に除かれたのではなく、EDAを約20パーセント含む。これをパルプ−EDAコンプレックスと呼ぶ。パルプ−EDAコンプレックス0.2グラムを8重量%の塩化リチウムを含むジメチルスルホキシド(EMSO)20mlに加え、室温下で24時間、その後、75℃で1時間、攪拌すると透明な溶液が得られる。表1は、上記のパルプを含め、様々なリグニン含有量のセルロース系試料の本法による溶解性を示す。
Figure 2011068744
+:完全に溶解
(+):ほぼ完全に溶解
(-):1回の処理で約40%溶解.未溶解残渣を繰り返しEDA処理することによりほぼ完全に溶解

Claims (6)

  1. リグニンを含有するセルロース試料をアミン系溶媒に浸漬する工程、及び前記で得られた試料を、ハロゲン化リチウムを含むジメチルスルホキシドからなる溶媒に溶解する工程を含む、リグニンを含有するセルロース溶液の製造方法。
  2. セルロース試料が、0〜20重量%のリグニンを含有する試料である、請求項1に記載の方法。
  3. アミン系溶媒が、エチレンジアミンである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. ハロゲン化リチウムがリチウムクロライドである、請求項1から3の何れかに記載の方法。
  5. ハロゲン化リチウムを含むジメチルスルホキシドからなる溶媒中におけるハロゲン化リチウムの含有量が1重量%以上である、請求項1から4の何れかに記載の方法。
  6. 請求項1から5の何れかに記載の方法により得られるリグニンを含有するセルロース溶液。
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