JP2011068606A - 徐放性担体及び同徐放性担体を用いた薬剤並びに同薬剤を用いたドラッグデリバリーシステム - Google Patents

徐放性担体及び同徐放性担体を用いた薬剤並びに同薬剤を用いたドラッグデリバリーシステム Download PDF

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Abstract

【課題】天然物由来で、被膜形成性を有し、しかも、塩の存在下であっても優れた保水性を発揮することのできる徐放性担体を提供する。また、同徐放性担体を用いた薬剤、並びに、同薬剤を用いたドラッグデリバリーシステムについても提供する。
【解決手段】本発明に係る徐放性担体では、水又は水を含有する溶媒中に、スイゼンジノリ(Aphanothece sacrum)由来のサクランを溶解し、この溶液中に3価の陽イオンを添加してゲルを形成し、このゲルにより前記薬物を担持可能とした。また、本発明に係る薬剤では、前記徐放性担体を用いて調剤することとした。また、本発明に係るドラッグデリバリーシステムでは、前記薬剤を生体に投与した際に、サクランゲルに対して、キレート剤や3価の陽イオンや、サクランの糖鎖を切断する酵素を含有した製剤を、前記薬剤の投与後に追って投与することにより、前記薬物の放出量を調整可能とした。
【選択図】なし

Description

本発明は、徐放性担体及び同徐放性担体を用いた薬剤並びに同薬剤を用いたドラッグデリバリーシステムに関する。
従来より、ヒトや動物等の生体に投与された薬物の薬物分布を、量的、空間的、時間的に制御し、コントロールする種々の薬物伝達システム、所謂、ドラッグデリバリーシステムが提案されている。
中でも、長時間にわたって一定の速度で薬物を放出するよう構成された徐放薬剤は、所望のタイミングや量で薬物を放出させることができるため、薬物の効果をより的確に生起させることができる。
このような徐放薬剤の一例としては、例えば、薬物をゲル中に分散させることにより、ゲルの網目構造中での薬物の移動を緩慢として徐放性を付与したものを挙げることができる。
特開2007−137783号公報
ところで、上述のゲルの網目構造を利用して徐放性を実現させた薬剤では、そのゲルを形成するために、例えば、ヒアルロン酸や、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシルポリマー、ポリビニルアルコールなどがゲル化剤として用いられている。
しかしながら、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシルポリマー、ポリビニルアルコールは天然物ではなく化学合成品であることから、合成反応に使用する有機溶媒等の残留が懸念され、薬剤の徐放性を生起する徐放性担体としては、必ずしも好適であるとは言い難い。
また、ヒアルロン酸や、キサンタンガムは天然由来のゲル化剤ではあるものの、被膜形成性がなく、また、塩を含有する水溶液中ではゲルの保水性が低下するという欠点がある。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、天然物由来で、被膜形成性を有し、しかも、塩の存在下であっても優れた保水性を発揮することのできるサクランゲルを用いた徐放性担体を提供する。
また、本発明では、天然物由来で、被膜形成性を有し、しかも、塩の存在下であっても優れた保水性を発揮することのできるサクランゲルを徐放性担体として用いた薬剤、並びに、同薬剤を用いたドラッグデリバリーシステムについても提供する。
上記従来の課題を解決するために、請求項1に係る徐放性担体では、含有又は被覆した薬物の透過量を抑制するゲル状の徐放性担体であって、水又は水を含有する溶媒中に、スイゼンジノリ(Aphanothece sacrum)由来のサクランを溶解し、この溶液中に3価の陽イオンを添加してゲルを形成し、このゲルにより前記薬物を担持可能とした。
また、請求項2に係る徐放性担体では、請求項1に記載の徐放性担体において、前記サクランは、平均分子量が2,000,000以上であり、ヘキソース構造を持つ糖構造体及びペントース構造を持つ糖構造体がα−グリコシド結合又はβ−グリコシド結合により直鎖状又は分岐鎖状に連結した糖鎖ユニットの繰り返し構造を持ち、前記糖鎖ユニットが糖構造体として硫酸化された硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、前記糖鎖ユニットにおいては、水酸基100個当たり2.7個以上の水酸基が硫酸化され、あるいは全元素中で硫黄元素が1.5重量%以上を占める糖誘導体を含むことに特徴を有する。
また、請求項3に係る薬剤では、薬物を担持させた請求項1又は請求項2に記載の徐放性担体を粒子状に調製してなることとした。
また、請求項4に係る薬剤では、薬物を担持させた請求項1又は請求項2に記載の徐放性担体をフィルム状に形成してなることとした。
また、請求項5に係る薬剤では、薬物を担持させた請求項1又は請求項2に記載の徐放性担体をディスク状に形成してなることとした。
また、請求項6に係る薬剤では、薬物を担持させた請求項1又は請求項2に記載の徐放性担体をスポンジ状に形成してなることとした。
また、請求項7に係る薬剤では、請求項1又は請求項2に記載の徐放性担体にて薬物を含有する錠剤を被覆してなることとした。
また、請求項8に係るドラッグデリバリーシステムでは、請求項3〜5いずれか1項に記載の薬剤を生体に投与した際に、前記生体に対して薬物を徐放させるドラッグデリバリーシステムであって、キレート剤又は3価の陽イオンを含有する製剤を、前記薬剤の投与後に追って投与することにより、前記薬物の放出量を調整可能としたことに特徴を有する。
また、請求項9に係るドラッグデリバリーシステムでは、請求項3〜5いずれか1項に記載の薬剤を生体に投与した際に、前記生体に対して薬物を徐放させるドラッグデリバリーシステムであって、前記サクランの糖鎖を切断する酵素を含有した製剤を、前記薬剤の投与後に追って投与することにより、前記薬物の放出量が増加するように調整可能としたことに特徴を有する。
請求項1に係る徐放性担体によれば、含有又は被覆した薬物の透過量を抑制するゲル状の徐放性担体であって、水又は水を含有する溶媒中に、スイゼンジノリ(Aphanothece sacrum)由来のサクランを溶解し、この溶液中に3価の陽イオンを添加してゲルを形成し、このゲルにより前記薬物を担持可能としたため、天然物由来で、被膜形成性を有し、しかも、塩の存在下であっても優れた保水性を発揮することのできる徐放性担体を提供することができる。
また、請求項2に係る徐放性担体によれば、前記サクランは、平均分子量が2,000,000以上であり、ヘキソース構造を持つ糖構造体及びペントース構造を持つ糖構造体がα−グリコシド結合又はβ−グリコシド結合により直鎖状又は分岐鎖状に連結した糖鎖ユニットの繰り返し構造を持ち、前記糖鎖ユニットが糖構造体として硫酸化された硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、前記糖鎖ユニットにおいては、水酸基100個当たり2.7個以上の水酸基が硫酸化され、あるいは全元素中で硫黄元素が1.5重量%以上を占める糖誘導体を含むこととしたため、さらにゲル強度の高い徐放性担体を提供することができる。
また、請求項3に係る薬剤によれば、薬物を担持させた請求項1又は請求項2に記載の徐放性担体を粒子状に調製したため、天然物由来で、被膜形成性を有し、しかも、塩の存在下であっても優れた保水性を発揮することのできるヒドロゲル様の徐放性を有する薬剤を提供することができる。
また、請求項4に係る薬剤によれば、薬物を担持させた請求項1又は請求項2に記載の徐放性担体をフィルム状に形成したため、天然物由来で、被膜形成性を有し、しかも、塩の存在下であっても優れた保水性を発揮することのできるフィルム製剤様の徐放性を有する薬剤を提供することができる。
また、請求項5に係る薬剤によれば、薬物を担持させた請求項1又は請求項2に記載の徐放性担体をディスク状に形成したため、天然物由来で、被膜形成性を有し、しかも、塩の存在下であっても優れた保水性を発揮することのできるフィルム製剤様の徐放性を有する薬剤を提供することができる。
また、請求項6に係る薬剤によれば、薬物を担持させた請求項1又は請求項2に記載の徐放性担体をスポンジ状に形成したため、天然物由来で、被膜形成性を有し、しかも、塩の存在下であっても優れた保水性を発揮することのできるフィルム製剤様の徐放性を有する薬剤を提供することができる。
また、請求項7に係る薬剤によれば、請求項1又は請求項2に記載の徐放性担体にて薬物を含有する錠剤を被覆することとしたため、天然物由来で、被膜形成性を有し、しかも、塩の存在下であっても優れた保水性を発揮することのできる錠剤様の徐放性を有する薬剤を提供することができる。
また、請求項8に係るドラッグデリバリーシステムによれば、請求項3〜5いずれか1項に記載の薬剤を生体に投与した際に、前記生体に対して薬物を徐放させるドラッグデリバリーシステムであって、キレート剤又は3価の陽イオンを含有する製剤を、前記薬剤の投与後に追って投与することにより、前記薬物の放出量を調整可能としたため、天然物由来で生体への悪影響を可及的防止することができ、被膜形成性を有し、塩の存在下であっても優れた保水性を発揮することができ、徐放性を生起させながら、しかも、薬物の放出量を適宜調整することができる。
また、請求項9に係るドラッグデリバリーシステムによれば、請求項3〜5いずれか1項に記載の薬剤を生体に投与した際に、前記生体に対して薬物を徐放させるドラッグデリバリーシステムであって、前記サクランの糖鎖を切断する酵素を含有した製剤を、前記薬剤の投与後に追って投与することにより、前記薬物の放出量が増加するように調整可能としたため、天然物由来で生体への悪影響を可及的防止することができ、被膜形成性を有し、塩の存在下であっても優れた保水性を発揮することができ、徐放性を生起させながら、しかも、薬物の放出量を増加させる方向へ適宜調整することができる。
本発明は、含有又は被覆した薬物の透過量を抑制するゲル状の徐放性担体であって、水又は水を含有する溶媒中に、スイゼンジノリ(Aphanothece sacrum)由来のサクランを溶解し、この溶液中に3価の陽イオンを添加してゲルを形成し、このゲルにより前記薬物を担持可能としたことを特徴とする徐放性担体を提供するものである。
スイゼンジノリ(Aphanothece sacrum)は、多数のマユ型(大きさ:3.5〜4.0μ×6〜7μ)の単細胞が寒天質の中に埋没する状態で群体を形成する淡水性藍藻類であり、九州地方の熊本県、福岡県にのみ生育が確認されている。
また、この粘性物質は、ヘキソース構造を持つ糖構造体及びペントース構造を持つ糖構造体がα−グリコシド結合又はβ−グリコシド結合により直鎖状又は分岐鎖状に連結した糖鎖ユニットの繰り返し構造を持ち、前記糖鎖ユニットが糖構造体として硫酸化された硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、前記糖鎖ユニットにおいては、水酸基100個当たり2.7個以上の水酸基が硫酸化され、あるいは全元素中で硫黄元素が1.5重量%以上を占める糖誘導体を含むサクランである。
付言すれば、サクランは、淡水性藍藻類スイゼンジノリ由来で、平均分子量が2,000,000以上であり、糖構造体として硫酸化された硫酸化ムラミン酸を含み、且つ、少なくとも化1に示す排列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)に列挙する配列を持つ2糖構造の全てを含む糖誘導体である。
Figure 2011068606
(化1式はヘキソースと、ヘキソースと、N−アセチルムラミン酸との3糖構造であることを示し、R、R’は糖を示す。化1式中の任意の−OHが−OSO3又はOCH3となっているものを含む。)
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造。
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造。
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造。
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造。
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造。
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造。
なお、本発明において「スイゼンジノリ由来」との規定は、物質としての糖誘導体を特定するための規定の一部であって、糖誘導体の取得源あるいは製造方法を何等限定するものではない。
このサクランは、天然物由来でありながら、被膜形成性を有し、しかも、塩の存在下であっても優れた保水性を発揮するため、薬物の徐放性担体として好適であると言える。
ここで、「担持」とは、ゲル中に薬剤を含有させることのみならず、薬剤をゲルで被覆する意味をも含んでいる。
また、薬剤をゲルに担持させるにあたり、ゲルは湿潤状態に限らず、乾燥状態としても良いのはいうまでもない。すなわち、「ゲル」は、湿潤状態のものと、乾燥状態(例えば、フィルム状)の両者のいずれとも解釈することができる。
また、ゲルに担持させる薬剤は、酸性の薬剤、中性の薬剤、塩基性の薬剤など、特に限定されるものではなく、また、タンパク質や核酸の如く高分子の物質としても良い。
薬剤の一例を列挙すると、例えば、サリチル酸(酸性)、プレドニゾロン(中性)、クロルプロマジン(塩基性)、リゾチーム、インスリンなどのタンパク質、DNA,RNA、siRNAなどの核酸等を挙げることができる。
また、サクランは、水系溶媒中に溶解し、3価の陽イオンを添加することにより、容易にゲル化することができる。
すなわち、水又は水を含有する溶媒中にサクランを溶解し、この溶液中に3価の陽イオンを添加してゲルを形成し、このゲルに薬物を担持させることにより、優れた徐放性担体として使用することができるのである。
なお、担持させる薬剤が塩基性の薬剤である場合には、サクランの糖鎖の硫酸イオンと反発してしまうため、この反発を緩和させるような担持方法が必要となる。
具体的には、まず、サクランに水を添加して膨潤させた後、塩基性薬物含有する3価の陽イオン水溶液を添加し、ゲル化させる。このような方法とすることにより、塩基性の薬剤であっても、サクランゲルに担持させることができる。
特に、平均分子量を2,000,000以上としたサクランを使用することにより、強度の高いゲルを形成することができるため、薬物の徐放性担体としてさらに有用である。
このような徐放性担体は、薬物を担持させて、例えば、ペースト状に調製することにより、徐放性を有するヒドロゲル様の薬剤として使用することができる。
また、徐放性担体に薬物を担持させて、フィルム状に形成することにより、徐放性を有するフィルム製剤として使用しても良い。
また、薬物を含有する粉体を打錠して形成した錠剤の表面を、徐放性担体にてコーティングすることにより、薬物を徐放する錠剤様の製剤とすることもできる。
ところで、サクランは、前述のようにゲル化の際に3価の陽イオンを要求する。それゆえ、サクランにより形成されたゲル(以下、単に「サクランゲル」ともいう。)から3価の陽イオンを奪えば、形成されたゲルのネットワークは崩壊することとなる。
すなわち、サクランゲルに対しキレート剤等を作用させて、3価の陽イオンを奪えば、ゲルの網の目を粗にすることができ、また、3価の陽イオンをさらに添加すれば、ゲルの網の目を密にすることができる。
この現象を利用して、本実施形態に係るドラッグデリバリーシステムでは、前述の薬剤の投与後に、キレート剤や3価の陽イオンを追って投与することにより、サクランゲル中に担持させた薬物の放出量を調整可能としている。これにより、薬効の調整を容易に行うことができる。
例えば、キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、フィチン酸、チアゾリン酸やこれらの塩類など、3価の陽イオンをキレートする金属キレート剤を挙げることができる。
また、3価の陽イオンとしては、例えば、アルミニウムイオン、クロムイオン、鉄(III)イオンを挙げることができ、これらのイオンの供給源としては、塩化アルミニウム、塩化クロム、塩化鉄(III)等の溶液(例えば、水溶液)を挙げることができる。
また、薬物の放出量を増加するように調整するためには、サクランの糖鎖を切断する酵素を、サクランゲルに対して添加するようにしても良い。サクランの糖鎖を切断可能な酵素としては、例えば、β−ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼA、ヘキソサミニダーゼB、α−ガラクトシダーゼA、β−グルコシダーゼ、α−L−イズロニダーゼ、N−アセチル−α−グルコサミニダーゼ、β−グルクロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、N−アセチル−β−グルコサミニダーゼ、α−フコシダーゼ、α−マンノシダーゼ、β−マンノシダーゼ、α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、α−ノイラミニダーゼ、α−1,4−グルコシダーゼを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。すなわち、サクランゲルを構成する糖鎖の網目状のネットワークを部分的に切断(消化)して、サクランゲル中での薬物の移動の自由度を向上させることができればよい。但し、サクランゲルからの薬物放出のON-OFFを繰り返す場合には、これらの酵素は、サクランゲルが形状を保った状態で消化できるように、所定の結合を切断するような特異性を有する酵素を使用するのが望ましい。
このような構成としても、サクランゲル中に担持させた薬物の放出量を容易に増加させるように調整できるドラッグデリバリーシステムとすることができる。
次に、本実施形態に係る徐放性担体及び同徐放性担体を用いた薬剤並びに同薬剤を用いたドラッグデリバリーシステムについて、具体例を挙げながら詳説する。
〔使用するサクランの物性試験〕
(試験1)サクランのゲル形成能に対する各種薬物の影響
本試験では、サクランのゲル形成能に対する各種薬物の影響について検証を行った。特に、本試験では、酸性の薬物、中性の薬物、塩基性の薬物を担持させた際のゲル形成能について検証した。使用したサンプルは以下の方法により調製した。
・サンプル1:15mlチューブ内に、乾燥状態のサクラン20mgを分取し、水1.8mlを添加して攪拌し、サクラン水溶液を調製した。
・サンプル2:15mlチューブ内に、乾燥状態のサクラン20mgを分取し、10mMのサリチル酸水溶液1.8mlを添加して攪拌し、サクラン・サリチル酸溶液を調製した。
・サンプル3:15mlチューブ内に、乾燥状態のサクラン20mgを分取し、27.7μMのプレドニゾロン水溶液1.8mlを添加して攪拌し、サクラン・プレドニゾロン溶液を調製した。
・サンプル4:15mlチューブ内に、乾燥状態のサクラン20mgを分取し、15mMのクロルプロマジン水溶液1.8mlを添加して攪拌し、サクラン・クロルプロマジン溶液を調製した。
これらのサンプルに対し、それぞれ終濃度100mMとなるように、AlCl3を0.2ml添加して3価の陽イオンを供給し、ゲル化反応を行った。その後、6000×gの遠心を行い、形成されたゲルの目視観察を行った。
その結果、サンプル1〜サンプル3については、ゲルの形成が認められた。具体的には、サンプル1は、チューブ内で遠心により形成された斜面上に多少の隆起が認められるゲルが形成された。また、サンプル2は、サンプル1で形成されたゲルに比して斜面上が滑らかで、やや柔らかめのゲルが形成された。また、サンプル3は、サンプル1とほぼ同様の、斜面上に多少隆起が認められるゲルが形成された。
ところが、サンプル4に関しては、ゲルの形成が認められなかった。この原因については予想の範囲内ではあるが、硫酸基に由来するサクランの負電荷とクロルプロマジンの正電荷が相互作用することにより、AlCl3による硫酸基の架橋反応が進行しなかったためであると考えられる。
そこで、塩基性の薬物であってもサクランゲルによる担持を可能とすべく試行錯誤を行い、下記のサンプルの調製を行った。
・サンプル4−1:まず、15mlチューブ内に、乾燥状態のサクラン20mgを分取し、水1.8mlを添加して攪拌し、サクラン水溶液を調製した。次いで、このサクラン水溶液に対し、AlCl3の終濃度が100mM、クロルプロマジンの終濃度が15mMとなるような、AlCl3・クロルプロマジン溶液を0.2ml添加し、ゲル化反応を行った後、6000×gの遠心を行った。
このように調製したサンプル4−1を目視観察した結果、前述のサンプル1に比して固めで、形成された斜面にやや多めの隆起が認められるゲルが形成された。これにより、サクランを徐放性担体として利用した場合、薬物が塩基性であっても上記方法により担持可能であることが示唆された。
(試験2)サクランのゲル形成能に対するAlCl3水溶液濃度の影響
次に、サクランのゲル形成能に対するAlCl3水溶液濃度の影響について検討を行った。本試験では、薬物を担持させない場合のゲル形成と、酸性の薬物を担持させた際のゲル形成について検証した。使用したサンプルは、前述のサンプル1及びサンプル2の調製方法に従い、添加するAlCl3水溶液の濃度を以下の通り変化させてゲル化反応を行った。
・サンプル5:前述のサンプル1に対し、AlCl3を終濃度100mMとしてゲル化反応
・サンプル6:前述のサンプル1に対し、AlCl3を終濃度50mMとしてゲル化反応
・サンプル7:前述のサンプル1に対し、AlCl3を終濃度10mMとしてゲル化反応
・サンプル8:前述のサンプル1に対し、AlCl3を終濃度5mMとしてゲル化反応
・サンプル9:前述のサンプル1に対し、AlCl3を終濃度1mMとしてゲル化反応
・サンプル10:前述のサンプル2に対し、AlCl3を終濃度100mMとしてゲル化反応
・サンプル11:前述のサンプル2に対し、AlCl3を終濃度50mMとしてゲル化反応
・サンプル12:前述のサンプル2に対し、AlCl3を終濃度10mMとしてゲル化反応
・サンプル13:前述のサンプル2に対し、AlCl3を終濃度5mMとしてゲル化反応
・サンプル14:前述のサンプル2に対し、AlCl3を終濃度1mMとしてゲル化反応
このように調製した各サンプル5〜14を、6000×gで遠心し目視観察した。その結果を表1に示す。
Figure 2011068606
表1に示すように、サクランゲルの性状は、AlCl3の終濃度が低い程柔らかめの膨潤したゲルが形成されることが示された。すなわち、AlCl3の終濃度を50mMとしたゲルは、AlCl3の終濃度を100mMとしたゲルに比して柔らかめのゲルを形成し、また、AlCl3の終濃度を10mMや5mMとしたゲルは、膨潤状態に近い更に柔らかめのゲルを形成した。また、AlCl3の終濃度を1mMとしたサンプルに関しては、サリチル酸なしの場合ゲルを形成せず、サリチル酸ありの場合には、膨潤状態に近いゲルが形成されることが示された。また、サリチル酸の有無による違いは、AlCl3の終濃度が1mMのサンプル以外については、特に差異は認められなかった。
(試験3)サクランゲルの薬物担持に対するAlCl3濃度の影響
次に、サクランゲルの薬物担持に対するAlCl3濃度の影響について検討を行った。本試験では、(試験2)にて調製したサンプル10〜サンプル14を用い、遠心分離した際にゲルから離水した上清中のサリチル酸含量を測定することで、サクランゲル中に担持された薬物の担持割合を算出した。その結果を以下に示す。
Figure 2011068606
表2に示すように、サンプル10〜サンプル14をそれぞれ比較すると、AlCl3の終濃度が低い程、ゲル中の薬物(サリチル酸)の担持割合が高いことが示された。これは、前述したようにAlCl3の終濃度が低いゲルほど、膨潤した軟らかいゲルが形成されるため、遠心後の離水量が少なく、薬物がゲル中に留まるものと考えられた。
(試験4)サクランゲルからの薬物放出に対するAlCl3濃度の影響
次に、サクランゲルからの薬物放出に対するAlCl3濃度の影響について検討を行った。本試験では、(試験2)にて調製したサンプル10〜サンプル14を用い、上清を除いた各サンプルに10mlの水を添加し、37℃に設定したウォーターバス中に各チューブを浸漬して、添加した水中に溶出するサリチル酸の濃度を経時的に測定した。その結果を以下に示す。
Figure 2011068606
表3に示すように、AlCl3の終濃度が低いサクランゲルほど、0〜30分までの間の薬物放出量が多い傾向が見られた。なお、AlCl3の終濃度を5mMとしたゲルに関しては、0〜30分までの間で10mMのゲルに比して低い放出量であり、50mMのゲルとほぼ同等の放出量となっているが、この理由については不明である。
(試験5)サクランゲルの薬物封入率に対する調製法の影響
次に、サクランゲルの薬物封入率に対する調製法の影響について、以下に示すサンプル15〜18を調製し検討を行った。
・サンプル15:15mlチューブ内に、乾燥状態のサクラン20mgを分取し、10mMのサリチル酸水溶液1.8mlを添加して攪拌し、サクラン・サリチル酸溶液を調製し、AlCl3水溶液を0.2ml添加し、AlCl3終濃度100mMとしてゲル化反応させ、6000×gで遠心した。
・サンプル16:15mlチューブ内に、乾燥状態のサクラン20mgを分取し、水1.8mlを添加して攪拌してサクラン水溶液を調製し、次いで、このサクラン水溶液に対し、AlCl3の終濃度が100mMとなるように、AlCl3含有10mMサリチル酸溶液0.2ml添加し、を添加し、ゲル化反応を行った後、6000×gの遠心を行った。
・サンプル17:15mlチューブ内に、乾燥状態のサクラン20mgを分取し、10mMのクロルプロマジン水溶液1.8mlを添加して攪拌し、サクラン・クロルプロマジン溶液を調製し、AlCl3水溶液を0.2ml添加し、終濃度100mMとしてゲル化反応させ、6000×gで遠心した。
・サンプル18:15mlチューブ内に、乾燥状態のサクラン20mgを分取し、水1.8mlを添加して攪拌してサクラン水溶液を調製し、次いで、このサクラン水溶液に対し、AlCl3の終濃度が100mMとなるように、AlCl3含有10mMクロルプロマジン溶液0.2ml添加し、を添加し、ゲル化反応を行った後、6000×gの遠心を行った。
このように調製した各サンプル15〜18を目視観察した。その結果を表4に示す。
Figure 2011068606
表4に示すように、薬物としてサリチル酸(酸性薬物)を使用したサクランゲルでは、サンプル1で示したサクラン単独のゲルに比して、いずれも柔らかめの傾向を示した。また、サリチル酸水溶液でサクランを膨潤させた後、AlCl3を添加したサンプル15に比して、水でサクランを膨潤させた後、サリチル酸を含むAlCl3を添加したサンプル16の方がより膨潤する傾向があった。また、このときのゲル中の薬物担持割合は、サンプル15が51.2%、サンプル16は57.1%であった。
また、薬物としてクロルプロマジン(塩基性薬物)を使用したサクランゲルでは、サンプル1で示したサクラン単独のゲルに比して、硬めの傾向を示した。また、クロルプロマジン水溶液でサクランを膨潤させた後、AlCl3を添加したサンプル17は、サンプル1よりも硬くザラザラとしたゲルを形成したのに対し、水でサクランを膨潤させた後、クロルプロマジンを含むAlCl3を添加したサンプル18は、サンプル1よりも硬めであるが隆起状のゲルを形成した。
また、サリチル酸と、クロルプロマジンとの薬物担持割合を比較すると、塩基性薬物であるクロルプロマジンの方が、酸性薬物であるサリチル酸に比して、よりサクランゲルに担持されやすい傾向が見られた。
また、サリチル酸は、調製手順による薬物担持割合の差は5.9%程度であったが、クロルプロマジンは、17.1%となり、塩基性薬物であるクロルプロマジンは、酸性薬物であるサリチル酸に比して、調製手順による薬物担持割合の差が顕著であることが示された。
(試験6)サクランゲルからの薬物放出に対する調製法の影響
次に、サクランゲルからの薬物放出に対する調製法の影響について検討を行った。本試験では、(試験5)にて調製したサンプル15〜サンプル18を用い、上清を除いた各サンプルに10mlの水を添加し、37℃に設定したウォーターバス中に各チューブを浸漬して、添加した水中に溶出するサリチル酸又はクロルプロマジンの濃度を経時的に測定した。その結果を以下に示す。
Figure 2011068606
表5中、丸印のプロットはサンプル15、三角印のプロットはサンプル16、四角印のプロットはサンプル17、ダイヤ型のプロットはサンプル18を示している。表5に示すように、サリチル酸及びクロルプロマジンの両者とも、水でサクランを膨潤させた後、サリチル酸又はクロルプロマジンを含むAlCl3を添加したサンプル(サンプル15,サンプル17)の方が、サリチル酸水溶液又はクロルプロマジン水溶液でサクランを膨潤させた後、AlCl3を添加したサンプル(サンプル16,サンプル18)に比して、0〜30分までの比較的早期に高濃度の薬物を放出することが示された。
(試験7)サクランゲルからのインスリン放出に対するAlCl3濃度の影響
次に、サクランゲルからのインスリン放出に対するAlCl3濃度の影響について検討を行った。本試験では、下記のサンプル19〜サンプル22を調製し、上清を除いた各サンプルに10mlの水を添加し、37℃に設定したウォーターバス中に各チューブを浸漬して、添加した水中に溶出するインスリンの濃度を経時的に測定した。
・サンプル19:15mlチューブ内に、乾燥状態のサクラン20mgを分取し、15mg/mlのインスリン水溶液1.8mlを添加して攪拌し、サクラン・インスリン溶液を調製し、AlCl3水溶液を0.2ml添加し、AlCl3の終濃度100mMとしてゲル化反応させ、6000×gで遠心した。
・サンプル20:サンプル19と同様にサクラン・インスリン溶液を調製し、AlCl3を終濃度50mMとしてゲル化反応させ、6000×gで遠心した。
・サンプル21:サンプル19と同様にサクラン・インスリン溶液を調製し、AlCl3を終濃度25mMとしてゲル化反応させ、6000×gで遠心した。
・サンプル22:サンプル19と同様にサクラン・インスリン溶液を調製し、AlCl3を終濃度10mMとしてゲル化反応させ、6000×gで遠心した。
このように調製した各サンプル19〜22による結果を表6に示す。
Figure 2011068606
表6に示すように、AlCl3を終濃度25mMとしたサンプル21が、他のサンプル19,20,22に比してインスリンを多く放出することが示された。
次に、本実施形態に係る薬剤の調製について具体的に説明する。
〔徐放性担体の調製〕
以下に説明する各種薬剤を調製するために、まず、この薬剤に使用する徐放性担体の調製を行った。
具体的には、サクランを秤量し、薬物含有水溶液中に添加した。サクランを十分に膨潤させた後、3価の陽イオン含有水溶液をさらに添加してゲル化反応を行わせた。その後、遠心分離(8,000 rpm, 5分)し、デカンテーションにより上清を除去して、薬物を含有する徐放性担体を得た。なお、別法として、秤量したサクランを水溶液中に添加し、膨潤させた後に薬物および3価の陽イオン含有水溶液を添加してゲル化反応を行わせ、その後、遠心分離(8,000 rpm, 5分)し、デカンテーションにより上清を除くようにしても薬物を含有する徐放性担体を得ることができる。
〔調製した徐放性担体の性状〕
得られた徐放性担体としてのサクランゲルは無色透明のハイドロゲルであり、3価の陽イオン濃度によりゲルの硬さを調節できる。薬物が有色である場合、薬物濃度に依存した色を呈することとなる。
〔薬剤調製例1〕
乾燥重量20mgのサクランを、チューブやビーカー等に入った薬物含有水溶液(例えば、10mM サリチル酸水溶液)2mlに添加して十分に膨潤し溶解させた後、3価の陽イオン含有水溶液(例えば、塩化アルミニウム水溶液)を終濃度100mMとなるように添加しゲル化反応を行った。
その後、ゲル化反応を行わせた水溶液を遠心分離(8,000 rpm, 5分)し、上清をデカンテーションして、ゲル状の沈殿物を得た。
次いで、沈殿物(ゲル)を水で3回洗浄し、ゲル表面の薬物を除くことにより、湿潤状態のハイドロゲルを、サリチル酸を徐放する薬剤として得た。
本調製例1に係るハイドロゲル状の徐放性薬剤は、例えば、皮膚表面に疾患を持つ患者に対し、皮膚表面に塗布する投与形態が考えられる。このように投与することで、皮膚表面にて薬剤を徐放させることができ、長時間に亘り薬効を生起させることができる。
また、本調製例1に係る薬剤を塗布した部位に対して、キレート剤や、3価の陽イオンを含有する製剤や、サクランの糖鎖を切断する酵素を含有した製剤を塗布することにより、薬物の放出量を調整するようにしても良い。
〔薬剤調製例2〕
100mlの水に乾燥重量20mgのサクランを添加して十分に膨潤させ溶解させてサクラン水溶液を得た。
次いで、薬物(例えば、サリチル酸)および3価の陽イオン(例えば、アルミニウムイオン)を含有水溶液を添加して、薬物の終濃度を10mM、3価の陽イオンの終濃度を50mMとしてゲル化反応を行った。
その後、ゲル化反応を行わせた水溶液を遠心分離(8,000 rpm, 5分)し、上清をデカンテーションして、ゲル状の沈殿物を得た。
得られた沈殿物(ゲル)を水で3回洗浄し、ゲル表面の薬物を除いた後、同沈殿物1容量部に対して5容量部の水を加えて分散液を調製し、この分散液を凍結させ、凍結乾燥を行って粒子状の乾燥ハイドロゲルを、サリチル酸を徐放する薬剤として得た。
本調製例2に係るハイドロゲル状の徐放性薬剤は、例えば、皮膚に疾患を持つ患者に対し、軟膏剤を塗布する投与形態が考えられる。このように投与することで、皮膚にて薬剤を徐放させることができ、長時間に亘り薬効を生起させることができる。
また、本調製例2に係る薬剤を投与した後に、キレート剤や、3価の陽イオンを含有する製剤や、サクランの糖鎖を切断する酵素を含有した製剤を添加することにより、薬物の放出量を調整するようにしても良い。
〔薬剤調製例3〕
5mMの薬物(例えば、サリチル酸)を含有する薬物含有水溶液1mlに、乾燥重量10mgのサクランを添加して十分に膨潤させて溶解し、同溶液をシャーレやトレー等の平型容器に深さ1mm程度に薄く流延した。
次いで、流延した溶液の上方から、3価の陽イオンを含有する水溶液(例えば、50mM塩化アルミニウム水溶液)を噴霧器により噴霧して、平型容器中の溶液のゲル化反応を行い、薬剤を含有するサクランゲルを得た。
次に、得られたハイドロゲルを水で洗浄し、凍結後、凍結乾燥を行うことにより、シート状の乾燥ハイドロゲルフィルムを、サリチル酸を徐放する薬剤として得た。
本調製例3に係るハイドロゲル状の徐放性薬剤は、例えば、口腔内に疾患を持つ患者に対し、貼付する投与形態が考えられる。このように投与することで、ハイドロゲルフィルムにて薬剤を徐放させることができ、長時間に亘り薬効を生起させることができる。
また、本調製例3に係る薬剤を投与した後に、キレート剤や、3価の陽イオンを含有する製剤や、サクランの糖鎖を切断する酵素を含有した製剤を添加することにより、薬物の放出量を調整するようにしても良い。
〔薬剤調製例4〕
乾燥重量20mgのサクランを、チューブやビーカー等に入った薬物含有水溶液(例えば、10mMサリチル酸水溶液)2mlに添加して十分に膨潤し溶解させた後、3価の陽イオン含有水溶液(例えば、塩化アルミニウム水溶液)を終濃度100mMとなるように添加しゲル化反応を行った。
その後、ゲル化反応を行わせた水溶液を遠心分離(8,000 rpm, 5分)し、上清をデカンテーションして、ゲル状の沈殿物を得た。なお、このゲル状の沈殿物は、別法として、2mlの水に乾燥重量20mgのサクランを添加して十分に膨潤させ溶解させてサクラン水溶液を得て、薬物(例えば、サリチル酸)および3価の陽イオン(例えば、アルミニウムイオン)含有水溶液を添加して、薬物の終濃度を10mM、3価の陽イオンの終濃度を100mMとしてゲル化反応を行い、このゲル化反応後の水溶液を遠心分離(8,000 rpm, 5分)し、上清をデカンテーションして得るようにしても良い。
次いで、沈殿物(ゲル)を水で3回洗浄し、ゲル表面の薬物を除くことにより得られた湿潤状態のハイドロゲルをポンチで適当な大きさ(例えば、直径10mm〜15mm)の円盤状に切り抜いた。
得られた円盤状のハイドロゲルを水で洗浄した後、凍結させ、凍結乾燥を行うことにより、ディスク状の乾燥ハイドロゲルを、サリチル酸を徐放する薬剤として得た。
本調製例4に係るハイドロゲル状の徐放性薬剤は、例えば、大腸に疾患を持つ患者に対し、経口投与する投与形態が考えられる。このように投与することで、大腸にて薬剤を徐放させることができ、長時間に亘り薬効を生起させることができる。
また、本調製例4に係る薬剤を投与した後に、キレート剤や、3価の陽イオンを含有する製剤や、サクランの糖鎖を切断する酵素を含有した製剤を添加することにより、薬物の放出量を調整するようにしても良い。
〔薬剤調製例5〕
乾燥重量20mgのサクランを、チューブやビーカー等に入った薬物含有水溶液(例えば、10mMサリチル酸水溶液)2mlに添加して十分に膨潤し溶解させた後、3価の陽イオン含有水溶液(例えば、塩化アルミニウム水溶液)を終濃度100mMとなるように添加しゲル化反応を行った。
その後、ゲル化反応を行わせた水溶液を遠心分離(8,000 rpm, 5分)し、上清をデカンテーションして、ゲル状の沈殿物を得た。なお、このゲル状の沈殿物は、別法として、2mlの水に乾燥重量20mgのサクランを添加して十分に膨潤させ溶解させてサクラン水溶液を得て、薬物(例えば、サリチル酸)および3価の陽イオン(例えば、アルミニウムイオン)を含有水溶液を添加して、薬物の終濃度を10mM、3価の陽イオンの終濃度を100mMとしてゲル化反応を行い、このゲル化反応後の水溶液を遠心分離(8,000 rpm, 5分)し、上清をデカンテーションして得るようにしても良い。
次いで、沈殿物(ゲル)を水で3回洗浄し、ゲル表面の薬物を除くことにより得られた湿潤状態のハイドロゲルを、再び水で洗浄して十分に膨潤させ、その後凍結して凍結乾燥を行うことにより、スポンジ状の乾燥ハイドロゲルを、サリチル酸を徐放する薬剤として得た。
本調製例5に係るハイドロゲル状の徐放性薬剤は、例えば、糖尿病など全身に疾患を持つ患者に対し、皮下投与または筋肉内注射する投与形態が考えられる。このように投与することで、投与部位および血液中にて薬剤を徐放させることができ、長時間に亘り薬効を生起させることができる。
また、本調製例5に係る薬剤を投与した後に、キレート剤や、3価の陽イオンを含有する製剤や、サクランの糖鎖を切断する酵素を含有した製剤を添加することにより、薬物の放出量を調整するようにしても良い。
〔薬剤調製例6〕
まず、100mlの水に乾燥重量10mgのサクランを添加して十分に膨潤させ溶解し、サクラン水溶液を得た。
次に、予め調製した薬物含有錠剤(例えば、サリチル酸を含有する錠剤)に対し、スプレードライ装置を用いて、サクラン水溶液を錠剤表面に噴霧して、サクランでコートされた錠剤を得た。
次に、3価の陽イオンを含有する水溶液(例えば、10mMの塩化アルミニウム水溶液)を、錠剤表面に対して噴霧器等によりスプレーすることで、錠剤表面のサクランをゲル化させ、乾燥機にて乾燥することにより、表面をサクランゲルで被覆した錠剤を、サリチル酸を徐放する薬剤として得た。
本調製例6に係るハイドロゲル状の徐放性薬剤は、例えば、大腸に疾患を持つ患者に対し、経口投与する投与形態が考えられる。このように投与することで、大腸にて薬剤を徐放させることができ、長時間に亘り薬効を生起させることができる。
また、本調製例6に係る薬剤を経口投与した後に、キレート剤や、3価の陽イオンを含有する製剤や、サクランの糖鎖を切断する酵素を含有した製剤を経口投与することにより、薬物の放出量を調整するようにしても良い。
〔ドラッグデリバリーシステム例1〕
3価の金属陽イオンにより形成した薬物含有サクランハイロドゲルを、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤含有溶液に添加することで、ゲル形成に関わる3価の金属陽イオンをキレート形成によりゲル内から枯渇させ、ゲルの不安定化、崩壊を惹起し、薬物の放出速度を高めることが可能となりうる。逆に、3価の金属陽イオンを補うことで、ゲル形成を促進し、薬物放出速度を低下させる。本応用例は、薬物放出のコントロールを可能にするため、副作用の軽減に貢献するものと考えられる。また、本技術は、放出制御型製剤として気管支喘息などの呼吸器系疾患、炎症、悪性腫瘍、狭心症などの循環器系疾患、痛風や糖尿病などの内分泌・代謝系疾患などにも広く応用可能であると考えられる。
例えば、次のようなドラッグデリバリーシステムの例を示すことができる。
具体的には、糖尿病疾患を有する患者に対し、前述の薬剤調製例5にて調製したスポンジ状の薬剤(ここでは、薬物をインスリンとする。)を0.1U/kgで皮下投与し、その後の状態に応じて、さらに薬効を生起させる場合には、例えば1日後(24時間後)に3価の陽イオンを供給する目的で、10mg/kgの塩化アルミニウム溶液を皮下投与する。また、薬効を抑える場合には、例えば、1日後(24時間後)に3価の陽イオンをキレートする目的で、50mg/kgのEDTA-Na 溶液を皮下投与する。
〔ドラッグデリバリーシステム例2〕
サクランハイロドゲルは、アミラーゼなどのグリコシド結合切断酵素存在下において、サクランの基本構造であるグリコシド結合が切断され、ハイドロゲルの崩壊が促進されるものと考えられる。また、アミラーゼは消化管内の大腸に多く存在するため、薬物含有サクランハイドロゲル製剤を経口投与すると、大腸のアミラーゼによりサクランのグリコシド結合が特異的に切断され、ゲルが崩壊し、薬物を大腸にて放出する、大腸特異的薬物放出製剤として応用可能である。本技術は、大腸特異的薬物放出製剤として、炎症性腸疾患として知られるクローン病や潰瘍性大腸炎などへの応用が期待される。
ドラッグデリバリーシステム例2では、例えば、次のようなドラッグデリバリーシステムの例を示すことができる。
具体的には、クローン病や潰瘍性大腸炎疾患を有する患者に対し、前述の薬剤調製例4や薬剤調製例6にて調製した薬剤(ここでは、薬物をサリチル酸とする。)を30mg/kgで経口投与する。投与後、大腸のアミラーゼによりサクランのグリコシド結合が特異的に切断され、ゲルが崩壊し、薬物を大腸にて放出し薬効を生起させる。
また、サクランのグリコシド結合を切断する酵素を追って投与せずとも、上述のように、グリコシド結合を切断可能な酵素が元々存在する部位(例えば、大腸)を標的としてサクランを徐放性担体とした薬剤を投与し、標的部位に到達するまでの間は溶出量が少なく、到達した後に薬物放出量を増加させることも可能である。このような投与形態もまた、本実施形態に係るドラッグデリバリーシステムの一形態である。
上述してきたように、本実施形態に係る徐放性担体によれば、天然物由来で、被膜形成性を有し、しかも、塩の存在下であっても優れた保水性を発揮することのできる徐放性担体とすることができる。
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。

Claims (9)

  1. 含有又は被覆した薬物の透過量を抑制するゲル状の徐放性担体であって、
    水又は水を含有する溶媒中に、スイゼンジノリ(Aphanothece sacrum)由来のサクランを溶解し、この溶液中に3価の陽イオンを添加してゲルを形成し、このゲルにより前記薬物を担持可能としたことを特徴とする徐放性担体。
  2. 前記サクランは、平均分子量が2,000,000以上であり、ヘキソース構造を持つ糖構造体及びペントース構造を持つ糖構造体がα−グリコシド結合又はβ−グリコシド結合により直鎖状又は分岐鎖状に連結した糖鎖ユニットの繰り返し構造を持ち、前記糖鎖ユニットが糖構造体として硫酸化された硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、前記糖鎖ユニットにおいては、水酸基100個当たり2.7個以上の水酸基が硫酸化され、あるいは全元素中で硫黄元素が1.5重量%以上を占める糖誘導体を含むことを特徴とする請求項1に記載の徐放性担体。
  3. 薬物を担持させた請求項1又は請求項2に記載の徐放性担体を粒子状に調製してなる薬剤。
  4. 薬物を担持させた請求項1又は請求項2に記載の徐放性担体をフィルム状に形成してなる薬剤。
  5. 薬物を担持させた請求項1又は請求項2に記載の徐放性担体をディスク状に形成してなる薬剤。
  6. 薬物を担持させた請求項1又は請求項2に記載の徐放性担体をスポンジ状に形成してなる薬剤。
  7. 請求項1又は請求項2に記載の徐放性担体にて薬物を含有する錠剤を被覆してなる薬剤。
  8. 請求項3〜7いずれか1項に記載の薬剤を生体に投与した際に、前記生体に対して薬物を徐放させるドラッグデリバリーシステムであって、
    キレート剤又は3価の陽イオンを含有する製剤を、前記薬剤の投与後に追って投与することにより、前記薬物の放出量を調整可能としたことを特徴とするドラッグデリバリーシステム。
  9. 請求項3〜7いずれか1項に記載の薬剤を生体に投与した際に、前記生体に対して薬物を徐放させるドラッグデリバリーシステムであって、
    前記サクランの糖鎖を切断する酵素を含有した製剤を、前記薬剤の投与後に追って投与することにより、前記薬物の放出量が増加するように調整可能としたことを特徴とするドラッグデリバリーシステム。
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