JP2014133809A - スイゼンジノリ多糖体低分子化物を用いた新規な核酸デリバリーシステム、及び該システムに用いる核酸デリバリーキャリアの調製方法 - Google Patents

スイゼンジノリ多糖体低分子化物を用いた新規な核酸デリバリーシステム、及び該システムに用いる核酸デリバリーキャリアの調製方法 Download PDF

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大志 東
Hiroshi Kawazoe
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Abstract

【課題】 本発明は、核酸(例えば、siRNA)のデリバリーにおいて、カチオン性高分子キャリアを用いたカチオン性高分子/核酸複合体のトランスフェクション効率を上昇させることを目的とする。
【解決手段】本発明により、スイゼンジノリから抽出されるサクランから由来する低分子のサクランを用いてカチオン性高分子/siRNA複合体を形成することにより、物理化学的安定性が向上し、トランスフェクション効率が向上したカチオン性高分子/siRNA/サクランによる複合体が提供された。
【選択図】図3

Description

本発明は、核酸(DNA又はRNA)を細胞にデリバリーするのに有用な,新規なデリバリーシステムに関する。本発明はまた、カチオン性高分子、例えば,カチオン性脂質やカチオン性ポリマーと核酸との複合体の物理的特性を改善させる方法及び、該方法により物理的特性が改善された複合体、並びに該複合体を用いた核酸デリバリーシステムに関する。
RAN干渉(RNAi)は、二本鎖RNAが配列特異的にmRNAの分解を引き起こす現象であり、21〜27塩基長の二本鎖RNAであるsmall interfering RNA(siRNA)を介して起こる。このような特異的で有力なRNA干渉により引き起こされる活性ゆえに、siRNAに基づいた治療方法が急速に開発されており、既に、RNAi法を用いた臨床試験も行われている。例えば、RNA干渉を利用し、安定な核酸脂質粒子でカプセル化したアンチセンスヌクレオチドやsiRNAを用いて、肝臓トランスサイレチン(TTR)発現を減少させる試みがなされている。
siRNAは、種々の疾患を治療する新たなツールとしての利点を有し期待されているが、医薬品として開発するためには、所望のRNAiを達成することが必要となる。siRNAは、水溶性の高分子化合物であり、膜透過性が低いこと、酵素安定性が極めて低いことなどから、医薬品として用いるためには、生体内でのsiRNAの十分なデリバリー技術の確立が必要となる。核酸を細胞に導入する方法としては、ウィルスベクター法と非ウィルスベクター法が用いられている。非ウィルスベクターは、核酸(例えば、siRNA)のデリバリーキャリアとして、カチオン性脂質、カチオン性ポリマー、カチオン性ペプチドやタンパク質などが報告されている。
標的細胞に遺伝子を効率よく導入するための人工キャリアとして、様々なカチオン性脂質やカチオン性ポリマーが開発されており、これらのカチオン性キャリアは正に帯電しているため、負に帯電した核酸と静電相互作用によって容易に複合体(ポリイオンコンプレックス)を形成する。これらの複合体はリポプレックス(カチオン性リポソーム−核酸複合体)及びポリプレックス(カチオン性ポリマー−核酸複合体)ともよばれる。様々なカチオン性物質が核酸キャリアとして報告されており、例えば、ポリ−L−リジン、ポリエチレンイミン(PEL)、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリ−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、キトサン等の多くの合成及び天然の物質をあげることができる。
カチオン性高分子を基盤とした遺伝子・核酸医薬キャリアを開発する際には、血中でキャリアから遺伝子・核酸医薬が解離することが問題とされている。そこで、キャリアと核酸との静電的相互作用の安定性を高めつつ、血清タンパク質との相互作用を抑制する為に、ポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性親水性高分子も利用されている。さらに、カチオン性キャリアと核酸との複合体に、アニオン性の高分子であるヒアルロン酸、あるいはヘパラン硫酸やデキストラン硫酸を添加し、トランスフェクション効率を上昇させる検討がなされているが、十分な成果が得られていない。また、近年ヒアルロン酸は癌化促進に働く可能性を示唆する報告がなされており、安全性に懸念がある。
一方、本発明者らはこれまで、ポリアミドアミンデンドリマー(デンドリマー)とシクロデキストリン(CyD)との結合体(α-CDE)にラクトース(Lac)を修飾したLac-α-CDEを調製し、肝臓特異的遺伝子・核酸医薬キャリアとしての有用性を明らかにした(林ら、Mol. Pharmaceutics 2012, 9, 1645-1653)。しかし、Lac-α-CDE/siRNA複合体は血中で容易に解離することが予想され、血中安定性の改善が期待されていた。
サクランは、日本固有の食用藍藻であるスイゼンジノリから抽出される、分子量1600万の新規超高分子多糖体である。サクラン(スイゼンジノリ多糖体)は多くの硫酸基とカルボン酸基、アミノ基を有する両性電解質である。また、サクランは溶液中で濃度に応じて分子構造が変化し、低濃度領域ではナノメートルサイズの粒子状で存在するが、濃度の上昇に伴い、サクラン分子鎖が互いに相互作用し、液晶構造を形成する。
林ら、Mol. Pharmaceutics 2012, 9, 1645-1653
本発明の課題は、核酸(例えば、siRNA)のデリバリーにおいて、カチオン性高分子キャリアを用いた、キャリア/核酸複合体のトランスフェクション効率を上昇させることである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究をした結果、サクラン誘導物(スイゼンジノリ多糖体誘導物)、特にはサクランから由来する低分子サクラン(スイゼンジノリ多糖体低分子化物)を用いてカチオン性高分子/siRNA複合体を形成すると、複合体の物理化学的安定性が向上し、トランスフェクション効率が向上することを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下のものを含む。
(1)平均糖数が、4以上であり、かつ103以下(好ましくは102以下)の糖誘導体から構成されるサクラン誘導物(スイゼンジノリ多糖体誘導物)(本明細書中では、低分子サクラン又はスイゼンジノリ多糖体低分子化物ともいう)であって、カチオン性高分子とともに、核酸(DNA及び/又はRNA、好ましくは、siRNA、dsRNA又はshRNA)のデリバリーのために用いるサクラン誘導物。
(2)平均糖数が102又はそれ以下(好ましくは102)の糖誘導体から構成される前記(1)に記載のサクラン誘導物。
(3)前記サクラン誘導物が、スイゼンジノリから抽出されるサクランから由来する糖誘導体である前記(1)又は(2)に記載のサクラン誘導物。
(4)前記サクラン誘導物が、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
Figure 2014133809
(ここで、R、R’は糖を示し、式中の任意の−OHは、−OSO3又は−OCH3に置換されてもよい。)
に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
の全てを含む糖誘導体である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のサクラン誘導物。
(5)前記サクラン誘導物が、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
Figure 2014133809
(ここで、R、R’は糖を示し、式中の任意の−OHは、−OSO3又は−OCH3に置換されてもよい。)
に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
のいずれかを含む糖誘導体の混合物である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のサクラン誘導物。
(6)前記カチオン性高分子が、カチオン性脂質又はカチオン性ポリマーである、前記(1)〜(5)のいずれかに記載のサクラン誘導物。
(7)前記カチオン性高分子が、Lac-α-CDE、葉酸修飾α-CDE、マンノース修飾α-CDE、LipofectamineTM、Lipofectamine2000TM、LipofectinTM、TransfastTM、OligofectamineTM、DosperTM、DMRIE-CTM、TranslT TKOTM、RNAifectTM、PolyfectTM、及びSuperfectTM、からなる群より選ばれる、前記(1)〜(5)のいずれかに記載のサクラン誘導物。
(8)前記核酸がsiRNAである、前記(1)〜(7)のいずれかに記載のサクラン誘導物。
(9)平均糖数が、4以上であり、かつ103以下(好ましくは102以下)の糖誘導体から構成されるサクラン誘導物、カチオン性高分子及び核酸(DNA及び/又はRNA、好ましくは、siRNA、dsRNA又はshRNA)を含む核酸デリバリーのための組成物。
(10)前記(2)〜(5)のいずれかに記載のサクラン誘導物、カチオン性高分子(例えば、カチオン性脂質又はカチオン性ポリマー)、及び核酸(DNA及び/又はRNA、好ましくは、siRNA、dsRNA又はshRNA)を含む核酸デリバリーのための組成物。
(11)サクラン誘導物、カチオン性高分子(例えば、カチオン性脂質又はカチオン性ポリマー)及び核酸(DNA及び/又はRNA、好ましくは、siRNA、dsRNA又はshRNA)の3成分からなる複合体を含む、前記(9)又は(10)に記載の組成物。
(12)平均糖数が、4以上であり、かつ103以下(好ましくは102以下)の糖誘導体から構成されるサクラン誘導物及びカチオン性高分子を含む、核酸(DNA及び/又はRNA、好ましくは、siRNA、dsRNA又はshRNA)デリバリー剤。
(13)前記サクラン誘導物が、平均糖数が102又はそれ以下(好ましくは102)の糖誘導体から構成されるサクラン誘導物である、前記(12)に記載の核酸デリバリー剤。
(14)前記サクラン誘導物が、スイゼンジノリから抽出されるサクランから由来する糖誘導体である前記(12)又は(13)に記載の核酸デリバリー剤。
(15)前記サクラン誘導物が、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
Figure 2014133809
(ここで、R、R’は糖を示し、式中の任意の−OHは、−OSO3又は−OCH3に置換されてもよい。)
に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
の全てを含む糖誘導体である、前記(12)〜(14)のいずれかに記載の核酸デリバリー剤。
(16)前記サクラン誘導物が、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
Figure 2014133809
(ここで、R、R’は糖を示し、式中の任意の−OHは、−OSO3又は−OCH3に置換されてもよい。)
に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
のいずれかを含む糖誘導体の混合物である、前記(12)〜(14)のいずれかに記載の核酸デリバリー剤。
(17)前記カチオン性高分子が、カチオン性脂質又はカチオン性ポリマーである、前記(12)〜(16)のいずれかに記載の核酸デリバリー剤。
(18)前記カチオン性高分子が、Lac-α-CDE、葉酸修飾α-CDE、マンノース修飾α-CDE、LipofectamineTM、Lipofectamine2000TM、LipofectinTM、TransfastTM、OligofectamineTM、DosperTM、DMRIE-CTM、TranslT TKOTM、RNAifectTM、PolyfectTM、及びSuperfectTM、からなる群より選ばれる、前記(12)〜(16)のいずれかに記載の核酸デリバリー剤。
(19)前記(1)〜(8)のいずれかに記載のサクラン誘導物、及びカチオン性脂質又はカチオン性ポリマーからなる、核酸(DNA及び/又はRNA、好ましくは、siRNA、dsRNA又はshRNA)デリバリー用キット。
(20)カチオン性高分子を用いて核酸(DNA及び/又はRNA、好ましくは、siRNA、dsRNA又はshRNA)を細胞内にデリバリーするための複合体を形成する方法であって、キャリアカチオン性高分子と核酸と平均糖数が、4以上であり、かつ103以下(好ましくは102以下)の糖誘導体から構成されるサクラン誘導物とを混合して複合体を形成する方法。
(21)前記サクラン誘導物が、平均糖数が102又はそれ以下(好ましくは102)の糖誘導体から構成されるサクラン誘導物である、前記(20)に記載の方法。
本発明によれば、核酸(例えば、siRNA)のデリバリーにおけるキャリア/核酸複合体のトランスフェクション効率を上昇させることができる。
Lac-α-CDEとsiRNAの相互作用に対する低分子サクランの影響をアガロース電気泳動により確認した結果である。Aはサクラン(100)を添加した結果、Bはサクラン無添加の結果を示している。 Lac-α-CDE/siRNA/低分子サクラン複合体を用いて核酸のHepG2細胞内への取り込みを確認した結果を示している。 種々の低分子サクランの濃度(0、10、20、40、及び80μg/mL)を用いてLac-α-CDE/siRNA/低分子サクラン複合体を形成し、核酸のHepG2細胞内への取り込みを確認した結果を示している。 低分子サクランによる効果を確認するために、Lac-α-CDEを添加した系及び添加しない系での核酸のHepG2細胞への取り込みを確認した結果を示している。 核酸のHepG2細胞内取り込みを指標に、Lac-α-CDE/siRNA/低分子サクラン複合体に対する血清の影響を確認した結果を示している。 Lac-α-CDE/siRNA/低分子サクラン複合体を用いて核酸のA549細胞内取り込みを確認した結果を示している。 Lac-α-CDE/siRNA/低分子サクラン複合体を用いた核酸のHepG2細胞内への取り込みに対するアシアログリコプロテインレセプター(AgpR)阻害剤添加の影響を確認した結果を示している。 Lac-α-CDE/siRNA/低分子サクラン複合体を用いた核酸のHepG2細胞内取り込み後の、核酸の細胞内分布を確認した結果を示している。 Lac-α-CDE/siRNA/低分子サクラン複合体の細胞障害性を、HepG2細胞を用いて確認した結果を示している。
本発明におけるサクラン誘導物(スイゼンジノリ多糖体誘導物)(本明細書中では、低分子サクラン又はスイゼンジノリ多糖体低分子化物ともいう)とは、スイゼンジノリ(Aphanothece sacrum)由来平均分子量が1600万の硫酸化多糖類であるサクランから得ることができる、平均糖数が、約103以下、好ましくは約102又はそれ以下の硫酸化糖を含む糖誘導体、及びそれと同等の構造を持つ糖誘導体を意味する。また、平均糖数の下限は、特に制限がないが、4以上、好ましくは101以上である。ここで、平均糖数とは、糖誘導体の大きさを、それを構成する糖の数に換算して表したものである。例えば、平均糖数が104の糖誘導体から構成されるサクラン誘導物とは、約103〜約105の間の糖数を有する糖誘導体の集合体(104オーダーの糖数の誘導体を中心にして分布する)からなるサクラン誘導物を意味し、平均糖数が103の糖誘導体から構成されるサクラン誘導物とは、約102〜約104の間の糖数を有する糖誘導体の集合体(103オーダーの糖数の誘導体を中心にして分布する)からなるサクラン誘導物を意味し、平均糖数が102の糖誘導体から構成されるサクラン誘導物とは、約101〜約103の間の糖数を有する糖誘導体の集合体(102オーダーの糖数の誘導体を中心にして分布する)からなるサクラン誘導物を意味する。
スイゼンジノリ(Aphanothece sacrum)は、多数のマユ型(大きさ:3.5〜4.0μ×6〜7μ)の単細胞が寒天質の中に埋没する状態で群体を形成する淡水性藍藻類であり、九州地方の熊本県、福岡県にのみ生育が確認されている。サクランは、ヘキソース構造を持つ糖構造体及びペントース構造を持つ糖構造体がα−グリコシド結合又はβ−グリコシド結合により直鎖状又は分岐鎖状に連結した糖鎖ユニットの繰り返し構造を持ち、前記糖鎖ユニットが糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、前記糖鎖ユニットにおいては、水酸基100個当たり2.7個以上の水酸基が硫酸化され、あるいは全元素中で硫黄元素が1.5重量%以上を占める糖誘導体を含むことに特徴を有する。
サクランは、平均分子量が1600万であり、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、且つ、少なくとも下記式:
Figure 2014133809
(式はヘキソースと、ヘキソースと、N−アセチルムラミン酸との3糖構造であることを示し、R、R’は糖を示し、式中の任意の−OHが−OSO3又はOCH3となっているものを含む。)で示される配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)に列挙する配列:
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
を持つ2糖構造の全てを含む糖誘導体である。
スイゼンジノリからサクランを抽出する方法の一例は、例えば、国際公開WO2008/062574号に記載されている。例えば、80℃の0.1N-NaOH水溶液にスイゼンジノリを入れて数時間攪拌することによってスイゼンジノリからサクランを抽出できる。また、他の一例としては、スイゼンジノリの水分散液をオートクレーブ中において135℃で30分間加熱することによってスイゼンジノリからサクランを抽出できる。抽出されたサクランは、遠心分離、ろ過、アルコール洗浄などによって精製してもよい。また、スイゼンジノリからサクランを抽出する前に、スイゼンジノリを凍結したのち融解させ、その後に色素を除去する工程を行ってもよい。
本発明におけるサクラン誘導物とは、上記サクランから得ることができる糖誘導体である。本明細書において、サクラン(10000)とは、サクランを分解又は処理することにより得ることができる糖誘導体の混合物であり、かつ分子量の分布から平均糖数が約104であると推定される糖誘導体の混合物である。同様に、サクラン(1000)とは、分子量の分布から平均糖数が約103であると推定される糖誘導体の混合物であり、サクラン(100)とは、分子量の分布から平均糖数が約102であると推定される糖誘導体の混合物である。本発明において用いることができるサクラン誘導物(本明細書では、低分子サクランとも言う)は、サクラン由来の平均糖数が約約103以下の糖誘導体(単一の構造を持つ糖誘導体のみからなるものを含む)、又はそれと同様の糖構造を有する平均糖数が約103以下の糖誘導体(単一の構造を持つ糖誘導体のみからなるものを含む)であり、その平均糖数は約103以下であれば特に限定されないが、好ましくは、平均糖数が約102又はそれ以下である。また、低分子サクランの糖数の下限は、特に制限がないが、4以上、好ましくは101以上である。
上記の同等の糖構造を有する糖誘導体とは、一例としては、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
Figure 2014133809
(ここで、R、R’は糖を示し、式中の任意の−OHは、−OSO3又は−OCH3に置換されてもよい。)
に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
の全てを含む糖誘導体である。
上記の同等の糖構造を有する糖誘導体の別の例としては、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
Figure 2014133809
(ここで、R、R’は糖を示し、式中の任意の−OHは、−OSO3又は−OCH3に置換されてもよい。)
に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
のいずれかを含む糖誘導体である。
所望の平均糖数を有するサクラン誘導物は、サクランから公知の方法を組み合わせて得ることができる。例えば、公知の糖鎖の切断方法、例えば酵素を用いて糖鎖をランダムに切断し、所望の平均糖数を有する糖誘導体の混合物を分子量に基づいて単離できる。
サクランの糖鎖を切断可能な酵素としては、例えば、β−ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼA、ヘキソサミニダーゼB、α−ガラクトシダーゼA、β−グルコシダーゼ、α−L−イズロニダーゼ、N−アセチル−α−グルコサミニダーゼ、β−グルクロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、N−アセチル−β−グルコサミニダーゼ、α−フコシダーゼ、α−マンノシダーゼ、β−マンノシダーゼ、α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、α−ノイラミニダーゼ、α−1,4−グルコシダーゼを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明におけるサクラン誘導物は、上記の天然サクラン由来の平均糖数が約103以下(好ましくは102又はそれ以下)の糖誘導体、又は、それと同様の糖構造を持つ完全又は半合成された平均糖数が約103以下(好ましくは102又はそれ以下)の糖誘導体のいずれであってもよい。
本発明のサクラン誘導物は、核酸医薬キャリア複合体の物理化学的特性、例えば安定性を向上させ、細胞に対するトランスフェクション効率を改善することができる、対象とする、核酸医薬キャリア複合体は、カチオン性高分子と核酸との複合体であり、カチオン性高分子としては、カチオン性脂質又はカチオン性ポリマーをあげることができる。本発明を適用できるカチオン性高分子、特には、カチオン性脂質及びカチオン性ポリマーは、特に限定されないが、例えば、Lac-α-CDE、葉酸修飾α-CDE、マンノース修飾α-CDE、LipofectamineTM、Lipofectamine2000TM、LipofectinTM、TransfastTM、OligofectamineTM、DosperTM、DMRIE-CTM、TranslT TKOTM、RNAifectTM、PolyfectTM、及びSuperfectTMをあげることができ、好ましくは、Lac-α-CDE、葉酸修飾α-CDE、マンノース修飾α-CDEである。核酸としては、DNA、RNA、又はそれらの混合物のいずれも用いることができるが、好ましくは、siRNA、dsDNA又はshRNAであり、特に好ましくは、siRNAである。
本発明において低分子サクランを用いて、カチオン性高分子、核酸及び低分子サクランからなる3成分系複合体を形成する方法は特に限定されないが、例えば、(i)核酸とカチオン性高分子を混合してカチオン性高分子/核酸複合体を形成した後に、低分子サクランを添加し、3成分系複合体を形成すること、(ii)核酸とカチオン性高分子と低分子サクランを同時に混合し、3成分系複合体を形成すること、(iii)カチオン性高分子と低分子サクランとを混合し、カチオン性高分子/低分子サクラン複合体を形成した後に、核酸を添加して、3成分系複合体を形成すること、のいずれをとることもできるが、好ましくは、(i)である。また、本発明において核酸デリバリー剤とは、カチオン性高分子、核酸及び低分子サクランからなる3成分系複合体の他に、(iii)の態様の場合は、核酸を加える前の状態も含む意味である。
本発明において、3成分系複合体とは、複合体中に核酸とカチオン性高分子と低分子サクランとが含まれていることを意味し、低分子サクランが複合体に直接的に含まれている(3成分からなる複合体の内部に物理化学的結合により含まれている)場合の他、少なくとも3成分系複合体の形成時には、低分子サクランがカチオン性高分子と核酸との複合体の周り又は表面に物理化学的結合により結合又は保持されている場合のいずれの態様も含む。
本発明のサクラン誘導物を用いてキャリア/核酸複合体を形成する際の条件は、用いるカチオン性高分子及び核酸、更には、用いる低分子サクランの種類に応じて適宜選択でき、特に制限されない。本発明によるキャリア/核酸複合体の形成は、これには限定されないが、カチオン性高分子、例えば、Lac-α-シクロデキストリンを、核酸を含んだ緩衝液に加えて10分間以上、好ましくは15分間以上、例えば室温にて放置してカチオン性高分子/核酸複合体を形成させた後、さらに本発明のサクラン誘導物を添加して、10分間以上、好ましくは15分間以上、例えば、室温にて放置することにより、達成できる。また、カチオン性高分子/核酸複合体を処理する際のサクラン誘導物の濃度は、所望の目的を達する限り特に制限がないが、例えば、10μg/mL以上、好ましくは40μg/mL以上をあげることができる。
本明細書においてキャリア/核酸複合体又は3成分系複合体とは、本発明の低分子サクランの存在下で、キャリアであるカチオン性高分子と核酸の複合体を形成することにより得られる複合体を指す。
カチオン性高分子と核酸と低分子サクランからなる複合体における低分子サクランの割合は特に制限はなく、複合体形成時に存在する低分子サクランの濃度又は量に応じて調製できる。
本発明において、低分子サクランを用いてキャリア/核酸複合体を形成する場合の、チャージ比(キャリア/核酸)は特に限定されず、用いるカチオン性高分子の種類、核酸の特性(種類、長さ及び配列等)、及び目的に応じて適宜選択できる。例えば、チャージ比として、5以上、好ましくは10〜100,さらに好ましくは20〜50を用いることができるが、例えば市販のキャリアを用いる場合は、製造元が推奨する条件を用いるのが好ましい。
本発明においてLac-α-CDEを用いる場合は、核酸に対するチャージ比は特に限定されず適宜選択することができるが、例えば、チャージ比(Lac-α-CDE/核酸)として、5以上、好ましくは10〜100、さらに好ましくは20〜50を用いることができる。
本発明のサクラン誘導物を用いたキャリア/核酸複合体の形成においては、チャージ比が100以上であっても細胞障害性を示さず、安全性にも優れている。
本発明においてキャリアとしてLac-α-CDEを用いる場合は、用いるLac-α-CDEは特に制限されないが、デンドリマーのジェネレーションはG3が好ましく、α-CyDの置換度(average degree of substitution of lactose:DSL)は、好ましくは、1.2である。
上記のようにして本発明の低分子サクランを用いることにより、カチオン性高分子/核酸/低分子サクランの3成分系複合体を形成することができ、かかる3成分系複合体は、カチオン性高分子/核酸の2成分系複合体に比べて、物理化学的性質及び細胞会合能が優れており、トランスフェクション効率が改善される。例えば、本発明の3成分系複合体は、高濃度血清存在下においても高い細胞会合能を維持し、細胞において有意なRNAi効果を誘導できる。
さらに、本発明に用いる低分子サクランは、天然物由来のアニオン性多糖体であるので、安全性に優れている。
加えて、サクランは熱に対して比較的安定であり、オートクレーブ滅菌処理を行うことが可能であり、扱いやすく、医薬用途等に適しているという利点を有する。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1:Lac-α-CDE、siRNA、及びサクランの調製
Lac-α-CDEは、本発明者らによる論文(Mol. Pharmaceutics 2012, 9, 1645-1653)に従って調製した。ラクトースをα-シクロデキストリン(α-CDE)の第1級アミノ酸基に結合させた。Lac-α-CDEのDSL値は、NMRにより確認した。その後、ゲル濾過して生成し、エタノール沈殿により回収した。以下の実施例では、キャリアとしてLac-α-CDE(G3, DSL 1.2)を用いた。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、DSL値が、2.6、4.1、6.1のものも同様に用いることができる。
siRNAは、以下の配列で示されるヒトTTR配列を用いた。これらは、Alnylam社から提供を受けた。また、コントロールは、scramble siRNAを用いた。
ヒトTTRセンス:5'-GGAUUUCAUGUAACCAAGAdTdT-3'
ヒトTTRアンチセンス:5'-UCUUGGUUACAUGAAAUCCdTdT-3'
サクラン誘導物としては、サクラン由来の、平均糖数が約102の糖誘導体からなるサクラン誘導物(サクラン(100))、平均糖数が約103の糖誘導体から構成されるサクラン誘導物(サクラン(1000))、平均糖数が約104の糖数の糖から構成されるサクラン誘導物(サクラン(10000))(日立化成製)を用いた。
Lac-α-CDE/siRNA/サクランによる複合体は、所定のチャージ比(キャリア(カチオン性高分子)/siRNA)となるように、所定の濃度のsiRNAを含む溶液(HBSS又はTris-HC buffer)に、Lac-α-CDE(G3, DSL 1.2)を添加して撹拌した後室温にて15分間置き、さらにサクラン誘導物を添加して撹拌した後室温にて15分間置くことにより形成した。
実施例2:Lac-α-CDE/siRNA/低分子サクランの静電的相互作用
キャリアであるLac-α-CDEとsiRNAの相互作用に対する低分子サクランの影響をアガロースゲル電気泳動にて検討した。種々のチャージ比(Lac-α-CDEのチャージ/siRNAのチャージ比:0、0.1、0.5、1、2及び5)となるように、Lac-α-CDE(G3, DSL 1.2)を、0.25μgのsiRNAを含んだHBSS(pH 7.4)溶液と混合し、15分間静置後、さらに、サクラン(100)を40μ/mlになるように添加し、15分間室温に置いた。その後、2%アガロースゲルにて100V 30minの条件にて電気泳動を行い、siRNAバンドをUVにより確認した。コントロールとして、サクランを添加しない条件で同様の実験を行った。結果を図1に示す。
図1Aに示すように、サクランを加えた場合は、チャージ比0.5でバンドの消失が始まり、1以上では、バンドが完全に消失した。このことから、低分子サクランを加えた場合にも、複合体形成により電荷が正に傾くことが確認され、低分子サクランを加えた場合にはより低いチャージ比で起こることが示唆された。
実施例3:Lac-α-CDE/siRNA/低分子サクラン複合体の粒子径及びζ電位
Lac-α-CDE/siRNA複合体形成に対するサクランの影響を、複合体の粒子径及びζ電位により検討した。siRNAを含んだTris-HCl buffer(10mM, pH 7.4)溶液にLac-α-CDE(G3, DSL 1.2)を添加し、さらに、サクラン(100)を種々の濃度(10、40及び80μg/mlになるように添加した。キャリア/siRNAチャージ比を50とし、siRNAの最終濃度は100nMとした。粒子径及びζ電位は、Zetasizer nano(Malvern Instruments, Worcestershire, U.K.)を用いて、動的光散乱により測定した。動的光散乱は通常モードで分析した。結果を以下の表1に示す。
Figure 2014133809
次いで、同様にして、キャリア/siRNAチャージ比を、2及び50にした場合の、Lac-α-CDE/siRNA/低分子サクランによる複合体の粒子径及びζ電位を測定した。結果を、以下の表2に示す。
Figure 2014133809
また、同様にして、サクランを添加しない場合の結果を以下の表3に示す。
低分子サクランを添加することにより、ζ電位が大きく異なっていることから、3成分系の複合体の形成が示唆された。
Figure 2014133809
実施例4:Lac-α-CDE/siRNA/低分子サクラン複合体を用いた細胞内取り込み
Lac-α-CDE/siRNA/低分子サクラン複合体を用いた核酸の細胞内取り込みは、HepG2細胞(ヒト肝癌由来細胞株)及びBLOCK-iTTM Fluorescent Oligo(Invitrogen)を用いて、フローサイトメーターにより測定した。チャージ比(キャリア/BLOCK-iTTM Fluorescent Oligo)は50とした。BLOCK-iTTM Fluorescent Oligoの最終濃度は100nM、それぞれの分子量をもつサクラン(サクラン(100)、サクラン(1000)、及びサクラン(10000))濃度は40μg/mLとして、室温にて15分間置くことにより、複合体を形成した。HepG2細胞は、DMEM培地(1x105 mU/mL ペニシリン、0.1 mg/mL ストレプトマイシン、10% FBS)で、5% CO2 下で、37℃で培養した。Hep2G細胞に、複合体を添加し、24時間培養した後、細胞内への取り込みを測定した。結果を、図2に示す。
サクランの添加により細胞内への取り込みが増加していることが確認され、取り込みの増加は、低分子サクランの平均糖数(分子量)が低いほど顕著であった。
また、がん標的リガンドである葉酸や、抗原提示細胞標的リガンドであるマンノースで修飾したα-CDEを用いた実験でも、同様に、標的細胞における細胞会合能が向上していることを確認した(データは示さず)。
実施例5:サクラン濃度によるLac-α-CDE/siRNA/低分子サクラン複合体による細胞内取り込みへの影響
実施例4と同様にして、種々の低分子サクランの濃度(0、10、20、40、及び80μg/mL)を用いて複合体を形成し、核酸の細胞内取り込みを測定した。低分子サクランは、サクラン(100)を用いた。結果を図3に示す。低分子サクラン濃度に依存して、細胞内への取り込みの増加が確認された。
また、比較のために、Lac-α-CDEを添加した系及び添加しない系で、細胞への取り込みを確認した。結果を図4に示す。低分子サクラン/siRNAの条件では、複合体が形成されず、siRNAの細胞内取り込みが起こらないことが確認された。
実施例6:Lac-α-CDE/siRNA/低分子サクラン複合体による細胞内取り込みに対する血清の影響
実施例4と同様にして、種々の血清濃度(FBS:0%、10%、及び50%存在下)におけるLac-α-CDE/siRNA/低分子サクラン複合体を用いた、核酸の細胞内取り込みを測定した。低分子サクランは、サクラン(100)を用い、蛍光オリゴマーは、BLOCK-iTTM Fluorescent Oligoを用いた。結果を図5に示す
本発明のLac-α-CDE/siRNA/サクラン複合体は、他のキャリアで問題となる血清による影響を受けないことが示唆された。
実施例7:細胞種の違いによるLac-α-CDE/siRNA/サクラン複合体による細胞内取り込み
実施例4と同様にして、A549細胞(ヒト肺上皮腺癌細胞由来細胞株)を用いて、Lac-α-CDE/siRNA/サクラン複合体による核酸の細胞内取り込みを測定した。低分子サクランは、サクラン(100)を用いた。結果を図6に示す。左(Binary Complex)はサクランを添加しない系、右(Ternary Complex)がサクランを添加して系での結果である。細胞種を選ばす、取り込みが増加していることが確認された。
実施例8:アシアログリコプロテインレセプター(AgpR)阻害剤添加の影響
本発明のLac-α-CDE/siRNA/サクラン複合体による核酸の細胞内への取り込みが、アシアログリコプロテインレセプター(AgpR)を介しているかを確認するために、AgpR阻害剤添加による影響を確認した。実施例4と同様にして、AgpR阻害剤であるアシアロフェツインの存在下及び非存在下で、Lac-α-CDE/siRNA/サクラン複合体による細胞内取り込みを測定した。低分子サクランはサクラン(100)を用い、アシアロフェツインの濃度を1mg/mLとした。結果を図7に示す。アシアロフェツインの添加により、阻害された。
実施例9:Lac-α-CDE/siRNA/サクラン複合体による核酸の細胞内分布
複合体による核酸の細胞内取り込み及び細胞内挙動を確認するために、実施例4と同様にして、24時間後の、核酸の細胞内分布を、蛍光顕微鏡にて解析した。低分子サクランは、サクラン(100)を用い、蛍光オリゴマーは、BLOCK-iTTM Fluorescent Oligoを用いた。また、キャリア(Lac-α-CDE)は、TRITC(Tetramethylrhodamine-isothiocyanate)によりラベル化したキャリアを用い、核染色にHoechst33342を用いた。結果を図8に示す。結果より、核酸が細胞全体に分布し、細胞質に散在することが確認されており、RNAi効果を誘導させるのに有利な物性を有することが示唆される。
実施例10:Lac-α-CDE/siRNA/サクランによる複合体の細胞障害性
100nMのsiRNA及び40μg/mLのサクラン(100)を用いて、Lac-α-CDE(G3, DSL 1.2)を添加し、種々のチャージ比(1、5、10、20、50、及び100)になるようにして、複合体を調製した。それぞれの複合体を用いて、Hep2G細胞を複合体とともに24時間培養した後、細胞の生存を、WST-1法により測定した。結果を図9に示す。本発明の複合体が安全であることが示された。
上記の記載は、本発明の目的及び対象を単に説明するものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。添付の特許請求の範囲から離れることなしに、記載された実施態様に対しての、種々の変更及び置換は、本明細書に記載された教示より当業者にとって明らかである。
本発明のサクラン誘導物及びそれを用いた方法は、キャリア/核酸複合体のトランスフェクション効率を向上させるのに有用である。

Claims (21)

  1. 平均糖数が、4以上であり、かつ103以下の糖誘導体から構成されるスイゼンジノリ多糖体誘導物であって、カチオン性高分子とともに、核酸のデリバリーのために用いるスイゼンジノリ多糖体誘導物。
  2. 平均糖数が102又はそれ以下の糖誘導体から構成される請求項1に記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物。
  3. 前記スイゼンジノリ多糖体誘導物が、スイゼンジノリから抽出されるスイゼンジノリ多糖体から由来する糖誘導体である請求項1又は2に記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物。
  4. 前記スイゼンジノリ多糖体誘導物が、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
    Figure 2014133809
    (ここで、R、R’は糖を示し、式中の任意の−OHは、−OSO3又は−OCH3に置換されてもよい。)
    に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
    1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
    2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
    3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
    4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
    5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
    6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
    の全てを含む糖誘導体である、請求項1〜3のいずれかに記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物。
  5. 前記スイゼンジノリ多糖体誘導物が、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
    Figure 2014133809
    (ここで、R、R’は糖を示し、式中の任意の−OHは、−OSO3又は−OCH3に置換されてもよい。)
    に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
    1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
    2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
    3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
    4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
    5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
    6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
    のいずれかを含む糖誘導体の混合物である、請求項1〜3のいずれかに記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物。
  6. 前記カチオン性高分子が、カチオン性脂質又はカチオン性ポリマーである、請求項1〜5のいずれかに記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物。
  7. 前記カチオン性高分子が、Lac-α-CDE、葉酸修飾α-CDE、マンノース修飾α-CDE、LipofectamineTM、Lipofectamine2000TM、LipofectinTM、TransfastTM、OligofectamineTM、DosperTM、DMRIE-CTM、TranslT TKOTM、RNAifectTM、PolyfectTM、及びSuperfectTM、からなる群より選ばれる、請求項1〜5のいずれかに記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物。
  8. 前記核酸がsiRNAである、請求項1〜7のいずれかに記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物。
  9. 平均糖数が、4以上であり、かつ103以下の糖誘導体から構成されるスイゼンジノリ多糖体誘導物、カチオン性高分子及び核酸を含む核酸デリバリーのための組成物。
  10. 請求項2〜5のいずれかに記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物、カチオン性高分子、及び核酸を含む核酸デリバリーのための組成物。
  11. スイゼンジノリ多糖体誘導物、カチオン性高分子及び核酸の3成分からなる複合体を含む、請求項9又は10に記載の組成物。
  12. 平均糖数が、4以上であり、かつ103以下の糖誘導体から構成されるスイゼンジノリ多糖体誘導物及びカチオン性高分子を含む、核酸デリバリー剤。
  13. 前記スイゼンジノリ多糖体誘導物が、平均糖数が102又はそれ以下の糖誘導体から構成されるスイゼンジノリ多糖体誘導物である、請求項12に記載の核酸デリバリー剤。
  14. 前記スイゼンジノリ多糖体誘導物が、スイゼンジノリから抽出されるスイゼンジノリ多糖体から由来する糖誘導体である請求項12又は13に記載の核酸デリバリー剤。
  15. 前記スイゼンジノリ多糖体誘導物が、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
    Figure 2014133809
    (ここで、R、R’は糖を示し、式中の任意の−OHは、−OSO3又は−OCH3に置換されてもよい。)
    に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
    1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
    2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
    3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
    4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
    5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
    6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
    の全てを含む糖誘導体である、請求項12〜14のいずれかに記載の核酸デリバリー剤。
  16. 前記スイゼンジノリ多糖体誘導物が、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
    Figure 2014133809
    (ここで、R、R’は糖を示し、式中の任意の−OHは、−OSO3又は−OCH3に置換されてもよい。)
    に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
    1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
    2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
    3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
    4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
    5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
    6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
    のいずれかを含む糖誘導体の混合物である、請求項12〜14のいずれかに記載の核酸デリバリー剤。
  17. 前記カチオン性高分子が、カチオン性脂質又はカチオン性ポリマーである、請求項12〜16のいずれかに記載の核酸デリバリー剤。
  18. 前記カチオン性高分子が、Lac-α-CDE、葉酸修飾α-CDE、マンノース修飾α-CDE、LipofectamineTM、Lipofectamine2000TM、LipofectinTM、TransfastTM、OligofectamineTM、DosperTM、DMRIE-CTM、TranslT TKOTM、RNAifectTM、PolyfectTM、及びSuperfectTM、からなる群より選ばれる、請求項12〜16のいずれかに記載の核酸デリバリー剤。
  19. 請求項1〜5のいずれかに記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物、及びカチオン性高分子からなる、核酸デリバリー用キット。
  20. カチオン性高分子を用いて核酸を細胞内にデリバリーするための複合体を形成する方法であって、キャリアカチオン性高分子と核酸と、平均糖数が、4以上であり、かつ103以下の糖誘導体から構成されるスイゼンジノリ多糖体誘導物とを混合して複合体を形成する方法。
  21. 前記スイゼンジノリ多糖体誘導物が、平均糖数が102又はそれ以下の糖誘導体から構成されるスイゼンジノリ多糖体誘導物である、請求項20に記載の方法。
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