JP2014133809A - スイゼンジノリ多糖体低分子化物を用いた新規な核酸デリバリーシステム、及び該システムに用いる核酸デリバリーキャリアの調製方法 - Google Patents
スイゼンジノリ多糖体低分子化物を用いた新規な核酸デリバリーシステム、及び該システムに用いる核酸デリバリーキャリアの調製方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】本発明により、スイゼンジノリから抽出されるサクランから由来する低分子のサクランを用いてカチオン性高分子/siRNA複合体を形成することにより、物理化学的安定性が向上し、トランスフェクション効率が向上したカチオン性高分子/siRNA/サクランによる複合体が提供された。
【選択図】図3
Description
siRNAは、種々の疾患を治療する新たなツールとしての利点を有し期待されているが、医薬品として開発するためには、所望のRNAiを達成することが必要となる。siRNAは、水溶性の高分子化合物であり、膜透過性が低いこと、酵素安定性が極めて低いことなどから、医薬品として用いるためには、生体内でのsiRNAの十分なデリバリー技術の確立が必要となる。核酸を細胞に導入する方法としては、ウィルスベクター法と非ウィルスベクター法が用いられている。非ウィルスベクターは、核酸(例えば、siRNA)のデリバリーキャリアとして、カチオン性脂質、カチオン性ポリマー、カチオン性ペプチドやタンパク質などが報告されている。
本発明は、以下のものを含む。
(1)平均糖数が、4以上であり、かつ103以下(好ましくは102以下)の糖誘導体から構成されるサクラン誘導物(スイゼンジノリ多糖体誘導物)(本明細書中では、低分子サクラン又はスイゼンジノリ多糖体低分子化物ともいう)であって、カチオン性高分子とともに、核酸(DNA及び/又はRNA、好ましくは、siRNA、dsRNA又はshRNA)のデリバリーのために用いるサクラン誘導物。
(2)平均糖数が102又はそれ以下(好ましくは102)の糖誘導体から構成される前記(1)に記載のサクラン誘導物。
(3)前記サクラン誘導物が、スイゼンジノリから抽出されるサクランから由来する糖誘導体である前記(1)又は(2)に記載のサクラン誘導物。
(4)前記サクラン誘導物が、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
の全てを含む糖誘導体である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のサクラン誘導物。
(5)前記サクラン誘導物が、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
のいずれかを含む糖誘導体の混合物である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のサクラン誘導物。
(6)前記カチオン性高分子が、カチオン性脂質又はカチオン性ポリマーである、前記(1)〜(5)のいずれかに記載のサクラン誘導物。
(7)前記カチオン性高分子が、Lac-α-CDE、葉酸修飾α-CDE、マンノース修飾α-CDE、LipofectamineTM、Lipofectamine2000TM、LipofectinTM、TransfastTM、OligofectamineTM、DosperTM、DMRIE-CTM、TranslT TKOTM、RNAifectTM、PolyfectTM、及びSuperfectTM、からなる群より選ばれる、前記(1)〜(5)のいずれかに記載のサクラン誘導物。
(8)前記核酸がsiRNAである、前記(1)〜(7)のいずれかに記載のサクラン誘導物。
(9)平均糖数が、4以上であり、かつ103以下(好ましくは102以下)の糖誘導体から構成されるサクラン誘導物、カチオン性高分子及び核酸(DNA及び/又はRNA、好ましくは、siRNA、dsRNA又はshRNA)を含む核酸デリバリーのための組成物。
(10)前記(2)〜(5)のいずれかに記載のサクラン誘導物、カチオン性高分子(例えば、カチオン性脂質又はカチオン性ポリマー)、及び核酸(DNA及び/又はRNA、好ましくは、siRNA、dsRNA又はshRNA)を含む核酸デリバリーのための組成物。
(11)サクラン誘導物、カチオン性高分子(例えば、カチオン性脂質又はカチオン性ポリマー)及び核酸(DNA及び/又はRNA、好ましくは、siRNA、dsRNA又はshRNA)の3成分からなる複合体を含む、前記(9)又は(10)に記載の組成物。
(13)前記サクラン誘導物が、平均糖数が102又はそれ以下(好ましくは102)の糖誘導体から構成されるサクラン誘導物である、前記(12)に記載の核酸デリバリー剤。
(14)前記サクラン誘導物が、スイゼンジノリから抽出されるサクランから由来する糖誘導体である前記(12)又は(13)に記載の核酸デリバリー剤。
(15)前記サクラン誘導物が、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
の全てを含む糖誘導体である、前記(12)〜(14)のいずれかに記載の核酸デリバリー剤。
(16)前記サクラン誘導物が、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
のいずれかを含む糖誘導体の混合物である、前記(12)〜(14)のいずれかに記載の核酸デリバリー剤。
(17)前記カチオン性高分子が、カチオン性脂質又はカチオン性ポリマーである、前記(12)〜(16)のいずれかに記載の核酸デリバリー剤。
(18)前記カチオン性高分子が、Lac-α-CDE、葉酸修飾α-CDE、マンノース修飾α-CDE、LipofectamineTM、Lipofectamine2000TM、LipofectinTM、TransfastTM、OligofectamineTM、DosperTM、DMRIE-CTM、TranslT TKOTM、RNAifectTM、PolyfectTM、及びSuperfectTM、からなる群より選ばれる、前記(12)〜(16)のいずれかに記載の核酸デリバリー剤。
(20)カチオン性高分子を用いて核酸(DNA及び/又はRNA、好ましくは、siRNA、dsRNA又はshRNA)を細胞内にデリバリーするための複合体を形成する方法であって、キャリアカチオン性高分子と核酸と平均糖数が、4以上であり、かつ103以下(好ましくは102以下)の糖誘導体から構成されるサクラン誘導物とを混合して複合体を形成する方法。
(21)前記サクラン誘導物が、平均糖数が102又はそれ以下(好ましくは102)の糖誘導体から構成されるサクラン誘導物である、前記(20)に記載の方法。
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
を持つ2糖構造の全てを含む糖誘導体である。
に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
の全てを含む糖誘導体である。
に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
のいずれかを含む糖誘導体である。
サクランの糖鎖を切断可能な酵素としては、例えば、β−ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼA、ヘキソサミニダーゼB、α−ガラクトシダーゼA、β−グルコシダーゼ、α−L−イズロニダーゼ、N−アセチル−α−グルコサミニダーゼ、β−グルクロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、N−アセチル−β−グルコサミニダーゼ、α−フコシダーゼ、α−マンノシダーゼ、β−マンノシダーゼ、α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、α−ノイラミニダーゼ、α−1,4−グルコシダーゼを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明におけるサクラン誘導物は、上記の天然サクラン由来の平均糖数が約103以下(好ましくは102又はそれ以下)の糖誘導体、又は、それと同様の糖構造を持つ完全又は半合成された平均糖数が約103以下(好ましくは102又はそれ以下)の糖誘導体のいずれであってもよい。
カチオン性高分子と核酸と低分子サクランからなる複合体における低分子サクランの割合は特に制限はなく、複合体形成時に存在する低分子サクランの濃度又は量に応じて調製できる。
本発明においてLac-α-CDEを用いる場合は、核酸に対するチャージ比は特に限定されず適宜選択することができるが、例えば、チャージ比(Lac-α-CDE/核酸)として、5以上、好ましくは10〜100、さらに好ましくは20〜50を用いることができる。
本発明のサクラン誘導物を用いたキャリア/核酸複合体の形成においては、チャージ比が100以上であっても細胞障害性を示さず、安全性にも優れている。
さらに、本発明に用いる低分子サクランは、天然物由来のアニオン性多糖体であるので、安全性に優れている。
加えて、サクランは熱に対して比較的安定であり、オートクレーブ滅菌処理を行うことが可能であり、扱いやすく、医薬用途等に適しているという利点を有する。
実施例1:Lac-α-CDE、siRNA、及びサクランの調製
Lac-α-CDEは、本発明者らによる論文(Mol. Pharmaceutics 2012, 9, 1645-1653)に従って調製した。ラクトースをα-シクロデキストリン(α-CDE)の第1級アミノ酸基に結合させた。Lac-α-CDEのDSL値は、NMRにより確認した。その後、ゲル濾過して生成し、エタノール沈殿により回収した。以下の実施例では、キャリアとしてLac-α-CDE(G3, DSL 1.2)を用いた。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、DSL値が、2.6、4.1、6.1のものも同様に用いることができる。
siRNAは、以下の配列で示されるヒトTTR配列を用いた。これらは、Alnylam社から提供を受けた。また、コントロールは、scramble siRNAを用いた。
ヒトTTRセンス:5'-GGAUUUCAUGUAACCAAGAdTdT-3'
ヒトTTRアンチセンス:5'-UCUUGGUUACAUGAAAUCCdTdT-3'
サクラン誘導物としては、サクラン由来の、平均糖数が約102の糖誘導体からなるサクラン誘導物(サクラン(100))、平均糖数が約103の糖誘導体から構成されるサクラン誘導物(サクラン(1000))、平均糖数が約104の糖数の糖から構成されるサクラン誘導物(サクラン(10000))(日立化成製)を用いた。
Lac-α-CDE/siRNA/サクランによる複合体は、所定のチャージ比(キャリア(カチオン性高分子)/siRNA)となるように、所定の濃度のsiRNAを含む溶液(HBSS又はTris-HC buffer)に、Lac-α-CDE(G3, DSL 1.2)を添加して撹拌した後室温にて15分間置き、さらにサクラン誘導物を添加して撹拌した後室温にて15分間置くことにより形成した。
キャリアであるLac-α-CDEとsiRNAの相互作用に対する低分子サクランの影響をアガロースゲル電気泳動にて検討した。種々のチャージ比(Lac-α-CDEのチャージ/siRNAのチャージ比:0、0.1、0.5、1、2及び5)となるように、Lac-α-CDE(G3, DSL 1.2)を、0.25μgのsiRNAを含んだHBSS(pH 7.4)溶液と混合し、15分間静置後、さらに、サクラン(100)を40μ/mlになるように添加し、15分間室温に置いた。その後、2%アガロースゲルにて100V 30minの条件にて電気泳動を行い、siRNAバンドをUVにより確認した。コントロールとして、サクランを添加しない条件で同様の実験を行った。結果を図1に示す。
図1Aに示すように、サクランを加えた場合は、チャージ比0.5でバンドの消失が始まり、1以上では、バンドが完全に消失した。このことから、低分子サクランを加えた場合にも、複合体形成により電荷が正に傾くことが確認され、低分子サクランを加えた場合にはより低いチャージ比で起こることが示唆された。
Lac-α-CDE/siRNA複合体形成に対するサクランの影響を、複合体の粒子径及びζ電位により検討した。siRNAを含んだTris-HCl buffer(10mM, pH 7.4)溶液にLac-α-CDE(G3, DSL 1.2)を添加し、さらに、サクラン(100)を種々の濃度(10、40及び80μg/mlになるように添加した。キャリア/siRNAチャージ比を50とし、siRNAの最終濃度は100nMとした。粒子径及びζ電位は、Zetasizer nano(Malvern Instruments, Worcestershire, U.K.)を用いて、動的光散乱により測定した。動的光散乱は通常モードで分析した。結果を以下の表1に示す。
低分子サクランを添加することにより、ζ電位が大きく異なっていることから、3成分系の複合体の形成が示唆された。
Lac-α-CDE/siRNA/低分子サクラン複合体を用いた核酸の細胞内取り込みは、HepG2細胞(ヒト肝癌由来細胞株)及びBLOCK-iTTM Fluorescent Oligo(Invitrogen)を用いて、フローサイトメーターにより測定した。チャージ比(キャリア/BLOCK-iTTM Fluorescent Oligo)は50とした。BLOCK-iTTM Fluorescent Oligoの最終濃度は100nM、それぞれの分子量をもつサクラン(サクラン(100)、サクラン(1000)、及びサクラン(10000))濃度は40μg/mLとして、室温にて15分間置くことにより、複合体を形成した。HepG2細胞は、DMEM培地(1x105 mU/mL ペニシリン、0.1 mg/mL ストレプトマイシン、10% FBS)で、5% CO2 下で、37℃で培養した。Hep2G細胞に、複合体を添加し、24時間培養した後、細胞内への取り込みを測定した。結果を、図2に示す。
サクランの添加により細胞内への取り込みが増加していることが確認され、取り込みの増加は、低分子サクランの平均糖数(分子量)が低いほど顕著であった。
また、がん標的リガンドである葉酸や、抗原提示細胞標的リガンドであるマンノースで修飾したα-CDEを用いた実験でも、同様に、標的細胞における細胞会合能が向上していることを確認した(データは示さず)。
実施例4と同様にして、種々の低分子サクランの濃度(0、10、20、40、及び80μg/mL)を用いて複合体を形成し、核酸の細胞内取り込みを測定した。低分子サクランは、サクラン(100)を用いた。結果を図3に示す。低分子サクラン濃度に依存して、細胞内への取り込みの増加が確認された。
また、比較のために、Lac-α-CDEを添加した系及び添加しない系で、細胞への取り込みを確認した。結果を図4に示す。低分子サクラン/siRNAの条件では、複合体が形成されず、siRNAの細胞内取り込みが起こらないことが確認された。
実施例4と同様にして、種々の血清濃度(FBS:0%、10%、及び50%存在下)におけるLac-α-CDE/siRNA/低分子サクラン複合体を用いた、核酸の細胞内取り込みを測定した。低分子サクランは、サクラン(100)を用い、蛍光オリゴマーは、BLOCK-iTTM Fluorescent Oligoを用いた。結果を図5に示す
本発明のLac-α-CDE/siRNA/サクラン複合体は、他のキャリアで問題となる血清による影響を受けないことが示唆された。
実施例4と同様にして、A549細胞(ヒト肺上皮腺癌細胞由来細胞株)を用いて、Lac-α-CDE/siRNA/サクラン複合体による核酸の細胞内取り込みを測定した。低分子サクランは、サクラン(100)を用いた。結果を図6に示す。左(Binary Complex)はサクランを添加しない系、右(Ternary Complex)がサクランを添加して系での結果である。細胞種を選ばす、取り込みが増加していることが確認された。
本発明のLac-α-CDE/siRNA/サクラン複合体による核酸の細胞内への取り込みが、アシアログリコプロテインレセプター(AgpR)を介しているかを確認するために、AgpR阻害剤添加による影響を確認した。実施例4と同様にして、AgpR阻害剤であるアシアロフェツインの存在下及び非存在下で、Lac-α-CDE/siRNA/サクラン複合体による細胞内取り込みを測定した。低分子サクランはサクラン(100)を用い、アシアロフェツインの濃度を1mg/mLとした。結果を図7に示す。アシアロフェツインの添加により、阻害された。
複合体による核酸の細胞内取り込み及び細胞内挙動を確認するために、実施例4と同様にして、24時間後の、核酸の細胞内分布を、蛍光顕微鏡にて解析した。低分子サクランは、サクラン(100)を用い、蛍光オリゴマーは、BLOCK-iTTM Fluorescent Oligoを用いた。また、キャリア(Lac-α-CDE)は、TRITC(Tetramethylrhodamine-isothiocyanate)によりラベル化したキャリアを用い、核染色にHoechst33342を用いた。結果を図8に示す。結果より、核酸が細胞全体に分布し、細胞質に散在することが確認されており、RNAi効果を誘導させるのに有利な物性を有することが示唆される。
100nMのsiRNA及び40μg/mLのサクラン(100)を用いて、Lac-α-CDE(G3, DSL 1.2)を添加し、種々のチャージ比(1、5、10、20、50、及び100)になるようにして、複合体を調製した。それぞれの複合体を用いて、Hep2G細胞を複合体とともに24時間培養した後、細胞の生存を、WST-1法により測定した。結果を図9に示す。本発明の複合体が安全であることが示された。
Claims (21)
- 平均糖数が、4以上であり、かつ103以下の糖誘導体から構成されるスイゼンジノリ多糖体誘導物であって、カチオン性高分子とともに、核酸のデリバリーのために用いるスイゼンジノリ多糖体誘導物。
- 平均糖数が102又はそれ以下の糖誘導体から構成される請求項1に記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物。
- 前記スイゼンジノリ多糖体誘導物が、スイゼンジノリから抽出されるスイゼンジノリ多糖体から由来する糖誘導体である請求項1又は2に記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物。
- 前記スイゼンジノリ多糖体誘導物が、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
の全てを含む糖誘導体である、請求項1〜3のいずれかに記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物。 - 前記スイゼンジノリ多糖体誘導物が、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
のいずれかを含む糖誘導体の混合物である、請求項1〜3のいずれかに記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物。 - 前記カチオン性高分子が、カチオン性脂質又はカチオン性ポリマーである、請求項1〜5のいずれかに記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物。
- 前記カチオン性高分子が、Lac-α-CDE、葉酸修飾α-CDE、マンノース修飾α-CDE、LipofectamineTM、Lipofectamine2000TM、LipofectinTM、TransfastTM、OligofectamineTM、DosperTM、DMRIE-CTM、TranslT TKOTM、RNAifectTM、PolyfectTM、及びSuperfectTM、からなる群より選ばれる、請求項1〜5のいずれかに記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物。
- 前記核酸がsiRNAである、請求項1〜7のいずれかに記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物。
- 平均糖数が、4以上であり、かつ103以下の糖誘導体から構成されるスイゼンジノリ多糖体誘導物、カチオン性高分子及び核酸を含む核酸デリバリーのための組成物。
- 請求項2〜5のいずれかに記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物、カチオン性高分子、及び核酸を含む核酸デリバリーのための組成物。
- スイゼンジノリ多糖体誘導物、カチオン性高分子及び核酸の3成分からなる複合体を含む、請求項9又は10に記載の組成物。
- 平均糖数が、4以上であり、かつ103以下の糖誘導体から構成されるスイゼンジノリ多糖体誘導物及びカチオン性高分子を含む、核酸デリバリー剤。
- 前記スイゼンジノリ多糖体誘導物が、平均糖数が102又はそれ以下の糖誘導体から構成されるスイゼンジノリ多糖体誘導物である、請求項12に記載の核酸デリバリー剤。
- 前記スイゼンジノリ多糖体誘導物が、スイゼンジノリから抽出されるスイゼンジノリ多糖体から由来する糖誘導体である請求項12又は13に記載の核酸デリバリー剤。
- 前記スイゼンジノリ多糖体誘導物が、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
の全てを含む糖誘導体である、請求項12〜14のいずれかに記載の核酸デリバリー剤。 - 前記スイゼンジノリ多糖体誘導物が、糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、少なくとも下記式:
に示す配列を持つ3糖構造と、下記1)〜6)で表される2糖構造:
1)ヘキソースと、キシロース又はアラビノースであるペントースとの2糖構造、
2)ヘキソースと、フコース又はラムノースであるデオキシヘキソースとの2糖構造、
3)ペントースと、ペントースとの2糖構造、
4)ペントースとデオキシヘキソースとの2糖構造、
5)ヘキソサミンとヘキソサミンとの2糖構造、及び
6)グルクロン酸又はガラクツロン酸であるウロン酸と、デオキシヘキソースとの2糖構造、
のいずれかを含む糖誘導体の混合物である、請求項12〜14のいずれかに記載の核酸デリバリー剤。 - 前記カチオン性高分子が、カチオン性脂質又はカチオン性ポリマーである、請求項12〜16のいずれかに記載の核酸デリバリー剤。
- 前記カチオン性高分子が、Lac-α-CDE、葉酸修飾α-CDE、マンノース修飾α-CDE、LipofectamineTM、Lipofectamine2000TM、LipofectinTM、TransfastTM、OligofectamineTM、DosperTM、DMRIE-CTM、TranslT TKOTM、RNAifectTM、PolyfectTM、及びSuperfectTM、からなる群より選ばれる、請求項12〜16のいずれかに記載の核酸デリバリー剤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のスイゼンジノリ多糖体誘導物、及びカチオン性高分子からなる、核酸デリバリー用キット。
- カチオン性高分子を用いて核酸を細胞内にデリバリーするための複合体を形成する方法であって、キャリアカチオン性高分子と核酸と、平均糖数が、4以上であり、かつ103以下の糖誘導体から構成されるスイゼンジノリ多糖体誘導物とを混合して複合体を形成する方法。
- 前記スイゼンジノリ多糖体誘導物が、平均糖数が102又はそれ以下の糖誘導体から構成されるスイゼンジノリ多糖体誘導物である、請求項20に記載の方法。
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JP2013002308A JP2014133809A (ja) | 2013-01-10 | 2013-01-10 | スイゼンジノリ多糖体低分子化物を用いた新規な核酸デリバリーシステム、及び該システムに用いる核酸デリバリーキャリアの調製方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014205751A (ja) * | 2013-04-11 | 2014-10-30 | 日立化成株式会社 | スイゼンジノリ多糖体低分子化物及びスイゼンジノリ由来多糖類の低分子化方法 |
CN107233314A (zh) * | 2017-05-08 | 2017-10-10 | 荆楚理工学院 | 一种具有双靶区同时递药效果的复合磷脂热敏脂质体及其制备方法和应用 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008062574A1 (fr) * | 2006-11-22 | 2008-05-29 | Tatsuo Kaneko | Dérivé de sucre et ses utilisations |
WO2009113435A1 (ja) * | 2008-03-14 | 2009-09-17 | Kaneko Tatsuo | 糖誘導体製剤 |
JP2011068606A (ja) * | 2009-09-25 | 2011-04-07 | Kumamoto Univ | 徐放性担体及び同徐放性担体を用いた薬剤並びに同薬剤を用いたドラッグデリバリーシステム |
-
2013
- 2013-01-10 JP JP2013002308A patent/JP2014133809A/ja active Pending
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CN107233314B (zh) * | 2017-05-08 | 2020-09-18 | 荆楚理工学院 | 一种具有双靶区同时递药效果的复合磷脂热敏脂质体及其制备方法和应用 |
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