JP2011067974A - 画像形成方法及び記録物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブロンズの発生が少なく、黄色濃度の上昇(黄変)が少なく、写像性に優れ、かつ、画像濃度の高い画像を形成することが可能な画像形成方法を提供する。
【解決手段】支持体上に無機微粒子を少なくとも含む多孔質層を有する記録媒体の該多孔質層上に、色材を有するインク組成物を付与して画像部を形成後、平均一次粒子径が5〜60nmのコロイダルシリカを含む処理液を付与する画像形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、画像形成方法及び記録物に関する。
近年の情報技術産業の急速な発展に伴い、種々の情報処理システムが開発されると共に、各々の情報処理システムに適した記録方法及び記録装置も実用化されている。これらの中でも、インクジェット記録方法は、多種の被記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価でコンパクトであること、静粛性に優れること等の利点から広く利用されるようになっている。そして、インクジェット記録方法を利用した記録では、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきている。
近年ではインクを受容する層が多孔質構造を有する記録媒体が実用化されている。これによれば、速乾性に優れ、高い光沢が得られるとされている。
しかしながら、画像品質に対する要求はますます高まっており、より鮮明で高品質な画像を得ることができるインクジェット記録媒体が望まれている。
上記に鑑み、色濃度の高い画像を得ることを目的として、記録媒体に、反応剤を含んだ反応液(表面張力40mN/m未満)とインク組成物(表面張力40mN/m未満)とを付着させて印字を行なうインクジェット記録方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、白抜けが少なく高画質の印刷画像を得ることを目的として、空隙型インク受容層上に、顔料系着色剤を含む有色インクを吐出させて、多数のインクドットからなる画像を形成するインクジェット記録方法において、アニオン性コロイダルシリカを含有する無色の液体組成物と、有色インクとを、空隙型インク受容層上で混合させ、上記有色インクのみを用いた場合に該空隙型インク受容層上に形成されるインクドットより大きなインクドットを形成する工程を含むことを特徴とするインクジェット記録方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、光沢性の優れた印刷物を得ることを目的として、記録媒体にアニオン性コロイダルシリカ等を含む塗工インクを該粒子の塗工量が5g/m以上になるようにインクジェット記録方式により塗工処理する工程1、及び前記塗工処理した部分に、着色剤を含有する水系インクをインクジェット記録方式により重ねて印刷する工程2を順次施す、インクジェット印刷方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開平10−195404号公報 特開2007−62024号公報 特開2007−253357号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3においても、ブロンズを抑え、高い色濃度を得ることについては未だ満足する特性が得られていない。
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ブロンズの発生が少なく、黄色濃度の上昇(黄変)が少なく、写像性に優れ、かつ、画像濃度の高い画像を形成することが可能な画像形成方法、及び該画像形成方法で得られた記録物を提供することを目的とする。
<1> 支持体上に無機微粒子を少なくとも含む多孔質層を有する記録媒体の該多孔質層上に、色材を有するインク組成物を付与して画像部を形成後、平均一次粒子径が5〜60nmのコロイダルシリカを含む処理液を付与する画像形成方法。
<2> 前記無機微粒子の平均一次粒子径が9nm以下である上記<1>に記載の画像形成方法。
<3> 前記処理液の付与が吐出方式又は塗布方式である上記<1>又は<2>に記載の画像形成方法。
<4> 前記色材が染料である上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
<5> 多孔質層上に形成された画像部と、少なくとも前記画像部上に有する平均一次粒子径が5〜60nmのコロイダルシリカを含む層とを有する記録物。
<6> 前記コロイダルシリカを含む層のコロイダルシリカの含有量が、0.01〜5g/mg/mである上記<5>に記載の記録物。
本発明によれば、ブロンズの発生が少なく、黄色濃度の上昇(黄変)が少なく、写像性に優れ、かつ、濃度の高い画像を形成することが可能な画像形成方法、及び該画像形成方法で得られた記録物を得ることができる。
本発明において用いられる処理液塗布装置の一例の側面図である。
以下、本発明の画像形成方法について詳細に説明する。
本発明の画像形成方法は、支持体上の多孔質層(以下、単に「インク受容層」と言う場合がある。)上に、色材を有するインク組成物を付与して画像部を形成後、平均一次粒子径が5〜60nmのコロイダルシリカ(以下、「特定のコロイダルシリカ」、又は単に「コロイダルシリカ」ともいう。)を含む処理液を付与することを特徴とするものである。

本発明の画像形成方法は、多孔質層上に画像部を形成後に、平均一次粒子径が5〜60nmコロイダルシリカを含む処理液を付与することにより、画像上の傷の発生を抑制することができ、ブロンズの発生が少なくすることができ、また、黄色濃度の上昇(黄変)が少なく、写像性に優れ、かつ、画像濃度(特に、黒濃度)の高い画像を形成することが可能となるものである。
以下、本発明の画像形成方法に用いられるインク組成物、処理液及び記録媒体を構成する成分について説明する。
<インク組成物>
本発明に用いられるインク組成物(以下、単に「インク」という場合がある。)は、色材を少なくとも1種含んで構成される。
(色材)
本発明における色材としては、染料または顔料を用いることができるが、中でも、ブロンズ抑制の観点から染料が好ましい。
−染料−
本発明に使用するインク組成物の染料としては使用可能な一般的な染料を用いることができる。その例としてはカラーインデックスにおいて酸性染料、直接染料、反応染料、建染染料、硫化染料または食品用色素に分類されているものの他に油溶染料、塩基性染料などに分類される染料を用いることもできる。
染料としては、例えば、アゾ染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料などを挙げることができる。
本発明におけるインク組成物は、前記染料としてマゼンタ染料、ブラック染料、イエロー染料、及びシアン染料から選択される少なくとも1種であることがカラーの画像形成するために好ましい。
また、前記マゼンタ染料、シアン染料、ブラック染料、及びイエロー染料としては下記染料が好適である。
マゼンタ染料としては、例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類などを有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、シアニン染料、オキソノール染料などのようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料などのようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環染料等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
マゼンタ染料としては、複素環アゾ染料が好ましく、国際公開2002/83795号パンフレット(35〜55頁)、同2002−83662号パンフレット(27〜42頁)、特開2004−149560号公報(段落番号[0046]〜[0059])、同2004−149561号公報(段落番号[0047]〜[0060])、特開2007−70573号公報(段落番号[0073]〜[0082])に記載されたものが挙げられる。
上記の中でも、下記一般式(M)で表される染料が好ましく、具体的には下記構造式のものが挙げられる。
Figure 2011067974

上記一般式(M)中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基(好ましくは、Me,Et,i−Pr,又はt−Bu)を表し、Mはそれぞれ独立にアルカリ金属(好ましくは、Li、Na、又はK)を表す。
上記一般式(M)で表される染料の具体例としては、下記構造式のものが挙げられる。
Figure 2011067974

シアン染料としては、例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、ピロロトリアゾールのようなヘテロ環類などを有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料などのようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料などのようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;インジゴ・チオインジゴ染料などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
会合性のフタロシアニン染料が好ましく、国際公開2002/60994号、同2003/811号、同2003/62324号の各パンフレット、特開2003−213167号公報、同2004−75986号公報、同2004−323605号公報、同2004−315758号公報、同2004−315807号公報、同2005−179469号公報、特開2007−70573号公報(段落番号[0083]〜[0090])に記載されたものが挙げられる。
具体的には下記一般式(C)で表されるシアン染料が好ましい。
Figure 2011067974

上記一般式(C)中、4つあるXは、それぞれ独立に−SO(CHSOLi、または、−SO(CHSONHCHCH(CH)OHを表す。
上記一般式(C)で表されるシアン染料の中でも、具体例としては、4つあるうちの3つのXは−SO(CHSOLiであって、1つのXは−SO(CHSONHCHCH(CH)OHである化合物、または、4つあるうちの2つのXは−SO(CHSOLiであって、2つのXは−SO(CHSONHCHCH(CH)OHである化合物が好ましい。
ブラック染料としては、ジアゾ、トリアゾ、テトラアゾ染料が挙げられる。これらのブラック染料は、分散体等としてのカーボンブラックの顔料と併用してもよい。
ブラック染料の好ましい例は、特開2005−307177号公報、特開2006−282795号公報(段落番号[0068]〜[0087])に詳しく記載されている。具体的には下記構造式のものが好ましい。
Figure 2011067974

イエロー染料としては、国際公開2005/075573号公報パンフレット、特開2004−83903号(段落番号〔0024〕〜〔0062〕)、同2003−277661号(段落番号〔0021〕〜〔0050〕)、同2003−277262号(段落番号〔0042〕〜〔0047〕)、同2003−128953号(段落番号〔0025〕〜〔0076〕)、同2003−41160号(段落番号〔0028〕〜〔0064〕)、米国特許出願公開2003/0213405号明細書(段落番号〔0108〕)に記載されたもの、及びC.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29,33,35,39,41,44,50,53,59,68,86,87,93,95,96,98,100,106,108,109,110,130,132,142,144,161,163、C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,44,49,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,222,227、C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42、C.I.ベーシックイエロー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,39,40、等が挙げられる。また、特開2007−191650号公報の段落番号[0013]〜[0112]、[0114]〜[0121]に記載のイエロー染料が好適である。
上記の中でも一般式(Y)で表される染料が好ましい。
Figure 2011067974

上記一般式(Y)中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基(好ましくは、Me,Et,i−Pr,又はt−Bu)を表し、Mはそれぞれ独立にアルカリ金属(好ましくは、Li、Na、又はK)を表す。
上記一般式(Y)で表されるイエロー染料の具体例としては、下記構造式のものが挙げられる。
Figure 2011067974

本発明において、一般式(M)で表されるマゼンタ染料のインク組成物中での含有量は、0.2〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
本発明において、マゼンタインクは一般式(M)で表されるマゼンタ染料以外の染料を含んでいてもよいが、一般式(M)で表されるマゼンタ染料の全染料に対する含有率は、25質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明において、ブラック染料のインク組成物中での含有量は、0.2〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
本発明におけるブラックインクは、ブラック染料以外の染料を含んでいてもよいが、ブラック染料の全染料に対する含有率は、25質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明において、一般式(Y)で表されるイエロー染料のイエローインク中での含有量は、0.2〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
本発明におけるイエローインクは、一般式(Y)で表されるイエロー染料以外の染料を含んでいてもよいが、一般式(Y)で表されるイエロー染料の全染料に対する含有率は、25質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明において、一般式(C)で表されるシアン染料のシアンインク中での含有量は、1〜10質量%が好ましく、2〜6質量%がより好ましい。
本発明において、シアンインクは一般式(C)で表されるシアン染料以外の染料を含んでいてもよいが、一般式(C)で表されるシアン染料の全染料に対する含有率は25質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明におけるインク組成物に含まれる染料の含有率としては、0.5〜30質量%が好ましいが、さらに1.0〜15質量%が好ましい。0.5質量%以上の含有率とすることで印字濃度が良好に成り易い点で好ましい。また、30質量%以下の含有率とすることで、インク組成物の粘度上昇や粘度特性に構造粘性が生じることを抑制でき、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性が良好になる点で好ましい。
本発明において用いることができる顔料は、特に限定されないが、ブラック顔料としてはカーボンブラックが挙げられる。
また、カラー顔料としては、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピラントロン、ペリレン、複素環式イエロー、キナクリドンおよび(チオ)インジゴイドを含む。フタロシアニンブルーの代表的な例は銅フタロシアニンブルーおよびその誘導体(ピグメントブルー15)を含む。キナクリドンの代表的な例はピグメントオレンジ48、ピグメントオレンジ49、ピグメントレッド122、ピグメントレッド192、ピグメントレッド202、ピグメントレッド206、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントバイオレット19およびピグメントバイオレット42を含む。アントラキノンの代表的な例はピグメントレッド43、ピグメントレッド194(ペリノンレッド)、ピグメントレッド216(臭素化ピラントロンレッド)およびピグメントレッド226(ピラントロンレッド)を含む。ピレリンの代表的な例はピグメントレッド123(ベルミリオン)、ピグメントレッド149(スカーレット)、ピグメントレッド179(マルーン)、ピグメントレッド190(レッド)、ピグメントバイオレット、ピグメントレッド189(イエローシェードレッド)およびピグメントレッド224を含む。チオインジゴイドの代表的な例はピグメントレッド86、ピグメントレッド87、ピグメントレッド88、ピグメントレッド181、ピグメントレッド198、ピグメントバイオレット36およびピグメントバイオレット38を含む。複素環式イエローの代表的な例はピグメントイエロー117およびピグメントイエロー138を含む。他の適切な着色顔料の例は、The Colour Index、第三版(The Society of Dyers and Colourists,1982)に記載されている。
本発明において、顔料表面に少なくとも一種の親水性基が直接若しくは他の原子団を介して結合しており、分散剤を使用することなく安定に分散させることができる顔料を用いることができる。本発明で使用する表面に親水基を有する顔料としては、イオン性を有するものが好ましく、アニオン性に帯電したものやカチオン性に帯電したものが好適である。
本発明においては、その他として、特開2009−126964号公報[0054]〜[0067]等に記載の顔料を用いることができる。
(水溶性有機溶剤)
本発明におけるインク組成物は少なくとも1種の水溶性有機溶剤を含んでもよい。
ここで、「水溶性有機溶剤」とは、水と混合した場合に相分離せずに、互いに相溶する有機溶媒のことをいう。水溶性とは、20℃の水に1質量%以上溶解することを意味する。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が挙げられる。
また、水溶性有機溶剤は1種単独でも2種類以上を併用しても良い。
前記インク組成物中における水溶性有機溶剤の含有量は5質量%〜70質量%が好ましく、5質量%〜50質量%がさらに好ましく、5質量%〜40質量%が特に好ましく、5質量%〜25質量%が最も好ましい。
後述するインク受容層に含まれる水溶性樹脂が、例えば、ポリビニルアルコールであった場合には、水溶性有機溶剤として1,2−アルキルジオール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル及びトリプロピレングリコールジアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
1,2−アルキルジオールとしては、アルキレン基が炭素数2〜6がより好ましく、エチレングリコール、1,2−プロパンジオールが印画濃度の点でさらに好ましい。
エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、アルキル基が炭素数1〜5がより好ましく、モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノブチルエーテルが印画濃度の点でさらに好ましい。
エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、トリプロピレングリコールジアルキルエーテルとしては、インク組成物中での溶解性を損なうことなく高い印画濃度を実現するため、アルキル基が炭素数1〜3がより好ましく、ジメチルエーテルがさらに好ましい。
上記水溶性有機溶剤の中でも、画像濃度の向上の点で、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテルが特に好ましい。
本発明に用いられるインク組成物をインクジェットに用いた場合の吐出安定性や印字品質、画像の耐久性等を向上させる目的で、上記成分以外に、特開2004−331871号公報等に記載の界面活性剤や乾燥防止剤、浸透促進剤、尿素系添加剤、キレート剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、分散剤、分散安定剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、ポリマー材料、酸プレカーサー等の添加剤を適宜選択して使用する事ができる。これらの添加剤の好ましい使用量は、上記特開2004−331871号公報に記載の通りである。
本発明に用いられるインク組成物をインクジェットに用いた場合の20℃での粘度としては、吐出性の観点から、2.0mPa・s以上30mPa・s以下が好ましい。更に2.5mPa・s以上20mPa・s以下、3.0mPa・s以上15mPa・s未満、更に好ましくは3.5mPa・s以上12mPa・s未満に調整することがより好ましい。
前記粘度を調整する目的で、必要に応じて、粘度調整剤が使用することができる。粘度調整剤としては、例えば、水溶性高分子増粘剤を含むセルロース類、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーやノニオン系界面活性剤等が挙げられる。更に詳しくは、「粘度調製技術」(技術情報協会、1999年)第9章、及び「インクジェットプリンタ用ケミカルズ(98増補)−材料の開発動向・展望調査−」(シーエムシー、1997年)162〜174頁に記載されている。
上記粘度は、20℃に温度調整したインク組成物を振動式粘度計(BROOKFIELD社製、DV−II+VISCOMETER)を用いて、20℃、相対湿度50%の環境下で、原液のままコーンプレート(φ35mm)を用いて測定した値を採用する。
また、インク組成物のpH、伝導度、粘度、静的表面張力、動的表面張力等のインク組成物物性の好ましい範囲や測定方法及びこれらの物性の調節方法等についても、特開2004−331871号公報に記載の通りである。
なお、インク組成物の調製方法については、特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号、特開2004−331871号の各工法に詳細が記載されていて、本発明に用いられるインク組成物の調製にも利用できる。
インク組成物の製造において、特開2004−331871号公報に記載のごとく、染料などの添加物の溶解工程等に超音波振動を加えることもできる。
インク組成物を調製する際には、調液した後に行われる、濾過により固形分であるゴミを除く工程が重要である。上記濾過工程についても、特開2004−331871号公報に記載の通りである。
<処理液>
本発明における処理液は平均一次粒子径5〜60nmのコロイダルシリカ(特定のコロイダルシリカ)の少なくとも1種を含有する。
本発明における処理液は記録媒体のインク受容層上に画像が形成された後に付与する液であり、少なくとも画像形成面を覆うように用いられることが好ましい。
前記処理液の付与の方式としては、特に限定されないが、塗布方式、インクジェットを用いた吐出方式等のいずれをも採用することができる。
(コロイダルシリカ)
本発明における平均一次粒子径5〜60nmのコロイダルシリカを含む処理液は、インク組成物による画像形成後に画像部上に付与されることにより、画像を保護し、画像の耐傷性を向上させ、更に、写像性を向上させる効果を有する。
特定のコロイダルシリカは、球状シリカを水に分散させてなるコロイド溶液であり、該シリカの粒子表面のシラノール基が負に帯電しており、水酸化ナトリウム、ケイ酸ソーダ、有機アミン等の塩基で中和することによりアニオン性を示す。このような特定のコロイダルシリカとしては、一般に市販されているものが使用可能であり、例えば、スノーテックスシリーズ(スノーテックスS、スノーテックスXS、スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスN、スノーテックスC、スノーテックスOなど、日産化学工業(株)製)、また、数珠状の特定のコロイダルシリカとして、例えば、スノーテックスST−UP、同PS−S、同PS−M、同ST−OUP、同PS−SO、同PS−MO(以上、日産化学工業(株)製)、カタロイドシリーズ(Cataloid−S、Cataloid−F120、Cataloid SI−50、Cataloid SI−30、Cataloid S−20L、Cataloid S−20H、CataloidS−30L、Cataloid S−30H、Cataloid SI−40など、日揮触媒化成製)、シリカドール(日本化学工業(株)製)等を用いることができる。
本発明における処理液中に含有されている特定のコロイダルシリカの平均一次粒子径は、5〜60nmとする必要があるが、好ましくは5〜60nm、更に好ましくは15〜60nmである。
特定のコロイダルシリカの平均一次粒子径が5nm以上60nm以下であると、インク組成物により形成された画像の耐傷性、黄色濃度の上昇(黄変)の抑制及び写像性が向上し易く、また、滑り性を向上させる傾向となる。
本発明においては、特定のコロイダルシリカの平均一次粒子径は、粒度分布計(FPAR−1000:大塚電子(株)製)を用いて測定した値を採用する。
処理液中の特定のコロイダルシリカの含有量は、形成された画像部への処理液の付与方式により異なるように設定することが処理液の付与しやすさに点で好ましい。
処理液を塗布方式で付与する場合、特定のコロイダルシリカの含有量は処理液の全質量に対して10〜30質量%が好ましく、15〜28質量%が更に好ましい。特定のコロイダルシリカの含有量が10質量%以上30質量%以下とすることにより、形成画像の耐傷性及び写像性を向上させることができ、かつ、塗布しやすい。
処理液をインクジェットを用いた吐出方式で付与する場合、特定のコロイダルシリカの含有量は処理液の全重量に対して、3〜15質量%が好ましく、5〜10質量%更に好ましい。特定のコロイダルシリカの含有量が3〜15質量%とすることにより、形成画像の耐傷性及び写像性を向上させることができ、かつ、吐出性しやすい。
(水溶性樹脂)
本発明においては、処理液に水溶性樹脂の少なくとも1種を添加してもよい。特定のコロイダルシリカと記録媒体の密着性を付与、向上させることができる。
なお、本発明において「水溶性樹脂」とは、加熱もしくは冷却工程を経て、最終的に20℃において水100gに対して0.05g以上溶解するものをいい、好ましくは0.1g以上溶解する樹脂のことをいう。
該水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
上記の中でも、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく、特にポリビニルアルコールが好ましい。
上記水溶性樹脂の含有量としては、該含有量の過少による、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ、該含有量の過多によって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、処理液により形成される層(以下、処理層ともいう。)の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
尚、処理層を主に構成する上記水溶性樹脂と後述する無機微粒子とは、それぞれ単一素材であってもよいし、複数素材の混合系であってもよい。
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、ひび割れ防止の観点から、数平均重合度が1800以上が好ましく、2000以上がより好ましい。透明性の観点から水溶性樹脂の種類が重要となる。水溶性樹脂としてポリビニルアルコール系樹脂を用いるのが好ましく、中でも鹸化度70〜99%のポリビニルアルコール系樹脂がより好ましい。
上記ポリビニルアルコール系樹脂としては、上記具体例の誘導体も含まれ、ポリビニルアルコール系樹脂は1種単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。
(水溶性有機溶剤)
本発明における処理液は、必要に応じて、水溶性有機溶剤を含有してもよい。
本発明における処理液に含有される水溶性有機溶剤としては、特に限定せずに、一般的に用いられる公知の水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、前記インク組成物の項で示す水溶性有機溶剤を挙げることができる。
特に、処理液を吐出方式で用いる場合においては、処理液に含有される水溶性有機溶剤としては、例えば、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等のアルカンジオール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類;尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、糖アルコール等の糖類等が挙げられる。
これらの水溶性有機溶剤の1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明において、処理液を吐出方式で用いる場合の水溶性有機溶剤の含有量は、特に制限されないが、通常、処理液の全質量に対して0.1〜30質量%程度である。
(界面活性剤)
本発明における処理液は、水溶性有機溶剤、及び特定のコロイダルシリカの他に、界面活性剤を含有させることが好ましい。界面活性剤は、記録媒体(多孔質インク受容層)への浸透性やインクジェットによる付与の場合には吐出安定性の向上に効果がある。
界面活性剤としては、両性界面活性剤及び非イオン界面活性剤が好ましく用いられる。両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。非イオン界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などの含フッ素系界面活性剤などがある。
これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
界面活性剤の含有量は、特に制限されないが、通常、処理液の全重量に対して0.3〜2質量%程度である。
上記の界面活性剤の中でもアセチレングリコール系界面活性剤は、画質、吐出安定性などの面から特に好ましく、その例としては2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどが挙げられる。市販のアセチレングリコール系界面活性剤としては、サーフィノール82、104、440、465、485、またはTG(いずれもAirProductsandChemicals.Inc.より入手可能)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(商品名)(以上、日信化学社製)などが好ましく用いられる。また、シリコーン系界面活性剤も本発明で好ましく用いることができる。市販のシリコーン系界面活性剤としては、BYK347、348(以上、ビックケミージャパン製)などが挙げられる。
本発明における処理液の固形分の含有量として、塗布方式の場合は、処理液全質量に対して10〜50質量%が好ましく、15〜45質量%がより好ましい。
10〜50質量%であることは塗布し易しさ(塗布性)、形成画像に対する均一塗布の観点から好ましい。
本発明における処理液の固形分の含有量として、吐出方式の場合は、処理液全質量に対して0.1〜10質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましい。
て0.1〜10質量%であることは吐出のし易しさ(吐出性)、形成画像に対する均一塗布の観点から好ましい。
本発明に用いられる処理液を吐出方式(インクジェット方式)で用いた場合の20℃での粘度としては、吐出性の観点から、2.0mPa・s以上30mPa・s以下が好ましい。更に2.5mPa・s以上20mPa・s以下、3.0mPa・s以上15mPa・s未満、更に好ましくは3.5mPa・s以上12mPa・s未満に調整することがより好ましい。
粘度が2.0mPa・s以上30mPa・s以下とすることにより、インクジェット方式での吐出において、安定した吐出が可能である点で好ましい。
本発明に用いられる処理液を塗布方式で用いた場合の20℃での粘度としては、塗布のし易さの観点から、0.1〜50mPa・sが好ましい。更に0.5〜20mPa・s、0.6〜10mPa・sに調整することがより好ましい。
粘度が0.1〜50mPa・sとすることにより、塗布がし易く、また、塗布の面上も良好となる点で好ましい。
前記粘度を調整する目的で、必要に応じて、粘度調整剤が使用することができる。粘度調整剤としては、上記インク組成物の項において記載される粘度調製剤を用いることができる。
上記粘度は、20℃に温度調整したインク組成物を振動式粘度計(BROOKFIELD社製、DV−II+VISCOMETER)を用いて、20℃、相対湿度50%の環境下で、原液のままコーンプレート(φ35mm)を用いて測定した値を採用する。
<記録媒体>
本発明における記録媒体は、無機微粒子を含む少なくとも1層の多孔質層(インク受容層)を支持体上に有するものであり、必要に応じてその他の層を有してもよい。
前記記録媒体は、好適にはインクジェット用として用いられる。
(多孔質層)
本発明における多孔質層(インク受容層)は無機微粒子を少なくとも含有するが、更に水溶性樹脂を含有することが好ましく、必要に応じて架橋剤その他の成分を含有してもよい。
−水溶性樹脂−
本発明におけるインク受容層は、水溶性樹脂を含有することが好ましい。
なお、本発明において「水溶性樹脂」とは、加熱もしくは冷却工程を経て、最終的に20℃において水100gに対して0.05g以上溶解するものをいい、好ましくは0.1g以上溶解する樹脂のことをいう。
該水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる
上記の中でも、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく、特にポリビニルアルコールが好ましい。
上記水溶性樹脂の含有量としては、該含有量の過少による、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ、該含有量の過多によって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、インク受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
尚、インク受容層を主に構成する上記水溶性樹脂と後述する無機微粒子とは、それぞれ単一素材であってもよいし、複数素材の混合系であってもよい。
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、ひび割れ防止の観点から、数平均重合度が1800以上が好ましく、2000以上がより好ましい。また、シリカ微粒子と組合わせる場合には、透明性の観点から水溶性樹脂の種類が重要となる。特に無水シリカを用いる場合、水溶性樹脂としてポリビニルアルコール系樹脂を用いるのが好ましく、中でも鹸化度70〜99%のポリビニルアルコール系樹脂がより好ましい。
上記ポリビニルアルコール系樹脂としては、上記具体例の誘導体も含まれ、ポリビニルアルコール系樹脂は1種単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基とが水素結合を形成して、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造を形成し易くする。この様な三次元網目構造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造のインク受容層を形成し得ると考えられる。
記録媒体において、上述のようにして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みのない真円性の良好なドットを形成することができる。
−無機微粒子−
本発明におけるインク受容層は、無機微粒子を含有する。
該無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、アルミナ微粒子、ベーマイト、擬ベーマイト等を挙げることができる。中でも、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、擬ベーマイトが好ましく、特に気相法シリカ微粒子好ましい。
上記シリカ微粒子は、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性及び保持の効率が高く、また屈折率が低いので、適切な微小粒子径まで分散を行なえばインク受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという利点がある。この様にインク受容層が透明であるということは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用媒体に適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性及び光沢度を得る観点より重要である。
無機微粒子の平均一次粒子径としては、20nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましく、10nm以下が更に好ましく、9nm以下が特に好ましく、8nm以下が最も好ましい。該平均一次粒子径が20nm以下であると、インク吸収特性を効果的に向上させることができ、また同時にインク受容層表面の光沢性をも高めることができる。さらに、インク吸収性が向上することにより、画像形成後のブロンズの発生の抑制することができる。
特にシリカ微粒子は、その表面にシラノール基を有し、該シラノール基の水素結合により粒子同士が付着し易いため、また該シラノール基と水溶性樹脂を介した粒子同士の付着効果のため、上記の様に平均一次粒子径が20nm以下の場合にはインク受容層の空隙率が大きく、透明性の高い構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
一般にシリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流である。
気相法シリカ(気相法によって得られた無水シリカ微粒子)は、上記含水シリカと比べて表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nmと多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmと少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
本発明においては、上記乾式法で得られる気相法シリカ微粒子(無水シリカ)が好ましく、更に微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmであるシリカ微粒子が好ましい。
≪無機微粒子と水溶性樹脂との含有比(PB比)≫
無機微粒子(好ましくはシリカ微粒子;x)と水溶性樹脂(y)との含有比〔PB比(x/y)、水溶性樹脂1質量部に対する無機微粒子の質量〕は、インク受容層の膜構造にも大きな影響を与える。即ち、PB比が大きくなると、空隙率や細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなる。
具体的には、記録媒体は、インクジェット記録媒体として用いる場合、インクジェットプリンターの搬送系を通過する際応力が加わることがあり、インク受容層は充分な膜強度を有していることが必要であり、更にシート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れ及び剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には充分な膜強度が必要であるため、上記PB比(x/y)としては、インク受容層の硬度を高くする観点から5.3以下であることが好ましい。また更には5.1以下であることがより好ましく、4.95以下であることが特に好ましい。
また、特に限定されるわけではないが、空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、PB比は1.5以上であることが好ましく、更に、インクジェットプリンターで高速インク吸収性をも確保する観点からは2以上であることが好ましい。
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の無水シリカ微粒子と水溶性樹脂とをPB比(x/y)が2〜4.5で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径が30nm以下、空隙率が50%〜80%、細孔比容積0.5ml/g以上、比表面積が100m/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
−架橋剤−
本発明におけるインク受容層は、架橋剤を含有することが好ましい。
本発明におけるインク受容層は、水溶性樹脂等を含む層が、更に該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含み、該架橋剤による水溶性樹脂の架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。架橋剤の添加によって水溶性樹脂が架橋され、高硬度のインク受容層を得ることができる。
上記架橋剤としては、インク受容層に含まれる水溶性樹脂との関係で好適なものを適宜選択すればよいが、中でも、架橋反応が迅速である点でホウ素化合物が好ましく、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO、ScBO、YBO、LaBO、Mg(BO、Co(BO、二硼酸塩(例えば、Mg、Co)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO、Ca(BO、NaBO、KBO)、四硼酸塩(例えば、Na・10HO)、五硼酸塩(例えば、KB・4HO、Ca11・7HO、CsB)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましく、これを水溶性樹脂であるポリビニルアルコールと組合わせて使用することが最も好ましい。
またポリビニルアルコールの架橋剤としては、上記ホウ素化合物の他、下記化合物も好適なものとして挙げることができる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。
更に、本発明における水溶性樹脂の架橋剤としては、下記に列挙する多価金属化合物も好ましい。多価金属化合物を用いることにより、架橋剤として働くだけでなく、耐オゾン、画像ニジミ、及び光沢性を一層向上させことができる。
該多価金属化合物としては、水溶性のものが好ましく、例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン、ジルコニルアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニル、ヒドロキシ塩化ジルコニル、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドリん酸n水和物、硝酸ガリウム、硝酸ゲルマニウム、硝酸ストロンチウム、酢酸イットリウム、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、硝酸インジウム、硝酸ランタン、塩化ランタン、酢酸ランタン、安息香酸ランタン、塩化セリウム、硫酸セリウム、オクチル酸セリウム、硝酸プラセオジミウム、硝酸ネオジミウム、硝酸サマリウム、硝酸ユーロピウム、硝酸ガドリニウム、硝酸ジスプロシウム、硝酸エルビウム、硝酸イッテルビウム、塩化ハフニウム、硝酸ビスマス等が挙げられる。
上記の中でも、硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物等のアルミニウム含有化合物(水溶性アルミニウム化合物);ジルコニルアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニル、ヒドロキシ塩化ジルコニル等のジルコニル含有化合物(水溶性ジルコニル化合物);及び四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン等のチタン含有化合物;が好ましく、特にポリ塩化アルミニウム、酢酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、オキシ塩化ジルコニルが好ましい。
本発明における架橋剤としては、上記に列挙したものの中でも、ホウ素化合物及びジルコニル化合物が特に好ましい。
本発明において、水溶性樹脂としてポリビニルアルコール、架橋剤として硼酸を用いる場合が好ましく、インク受容層のひび割れや耐傷性といった問題を生じることなく、前記水溶性樹脂(特に、ポリビニルアルコール)の膨潤を抑制して本発明の効果を十分得るためには、上記架橋剤は前記水溶性樹脂に対して5〜50質量%含有されることが好ましく、8〜30質量%含有されることがより好ましい。
尚、上記の架橋剤は、1種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよいが、好適な架橋剤として働くと共に、耐オゾン、画像ニジミ、及び光沢性を一層向上させる観点から、上記多価金属化合物(特に好ましくは、ジルコニル化合物)を少なくとも、前記水溶性樹脂に対し、0.1質量%以上含有することが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが特に好ましい。また、特に限定されるわけではないが、上記多価金属化合物の含有量の上限は、画像濃度、インク吸収性、記録媒体のカールの抑制などの観点から50質量%以下であることが好ましい。
−炭酸アンモニウム−
本発明におけるインク受容層には、更に炭酸アンモニウムを含有することが好ましい。インク受容層に炭酸アンモニウムを含有させることで、硬度の高いインク受容層を得ることができる。
上記炭酸アンモニウムの含有量としては、前記水溶性樹脂に対し、8質量%以上であることが好ましく、9質量%以上であることがより好ましく、11質量%以上であることが特に好ましい。また、その上限は、特に限定されるわけではないが、画像濃度、インク吸収性、記録媒体のカールの抑制などの観点から20質量%以下であることが好ましい。
−水分散性カチオン性樹脂−
また、本発明におけるインク受容層の成分として、水分散性カチオン性樹脂を含有させることができる。水分散性カチオン性樹脂としては、カチオン変性された自己乳化性高分子であるウレタン樹脂であることが好ましく、且つ、ガラス転移温度が50℃未満であることが好ましい。
この「カチオン変性された自己乳化性高分子」とは、乳化剤もしくは界面活性剤を用いることなく、或いは用いるとしてもごく少量の添加で、水系分散媒体中に自然に安定した乳化分散物となり得る高分子化合物を意味する。定量的には、上記「カチオン変性された自己乳化性高分子」とは、室温25℃で水系分散媒体に対して0.5質量%以上の濃度で安定して乳化分散性を有する高分子物質を表し、該濃度としては1質量%以上であることが好ましく、特に3質量%以上であることがより好ましい。
本発明の上記「カチオン変性された自己乳化性高分子」は、より具体的には、例えば、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム基等のカチオン性の基を有する重付加系もしくは重縮合系高分子化合物が挙げられる。
上記高分子として有効なビニル重合系ポリマーは、例えば、以下のビニルモノマーを重合して得られるポリマーが挙げられる。即ち、アクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類(エステル基は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、2−クロロエチル基、シアノエチル基、2−アセトキシエチル基、テトラヒドロフルフリル基、5−ヒドロキシペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ヒドロキシエチル基、3−メトキシブチル基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基、2,2,2−テトラフルオロエチル基、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル基、フェニル基、2,4,5−テトラメチルフェニル基、4−クロロフェニル基等);
ビニルエステル類、具体的には、置換基を有していてもよい脂肪族カルボン酸ビニルエステル(例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート等)、置換基を有していてもよい芳香族カルボン酸ビニルエステル(例えば、安息香酸ビニル、4−メチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル等);
アクリルアミド類、具体的には、アクリルアミド、N−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド(置換基は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、シリル基であり、例えば、メチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、フェニル基、2,4,5−テトラメチルフェニル基、4−クロロフェニル基、トリメチルシリル基等);
メタクリルアミド類、具体的には、メタクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミド、N−ジ置換メタクリルアミド(置換基は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、シリル基であり、例えば、メチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、フェニル基、2,4,5−テトラメチルフェニル基、4−クロロフェニル基、トリメチルシリル基等);
オレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン等)、スチレン類(例えば、スチレン、メチルスチレン、イソプロピルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン等)、ビニルエーテル類(例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル等);等が挙げられる。
その他のビニルモノマーとして、クロトン酸エステル、イタコン酸エステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、メチレンマロンニトリル、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記カチオン性基を有するモノマーとしては、例えば、ジアルキルアミノエチルメタクリレート、ジアルキルアミノエチルアクリレート等の3級アミノ基を有するモノマー等が挙げられる。
上記カチオン性基含有ポリマーに適用可能なポリウレタンとしては、例えば、以下に挙げるジオール化合物とジイソシアネート化合物とを種々組み合わせて、重付加反応により合成されたポリウレタンが挙げられる。
上記ジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量=200,300,400,600,1000,1500,4000)、ポリプロピレングリコール(平均分子量=200,400,1000)、ポリエステルポリオール、4,4’―ジヒドロキシ−ジフェニル−2,2−プロパン、4,4’―ジヒドロキシフェニルスルホン等が挙げられる。
上記ジイソシアネート化合物としては、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート,1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート,m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等が挙げられる。
カチオン性基含有ポリウレタンが含有するカチオン性基としては、1級〜3級アミン、4級アンモニウム塩の如きカチオン性基が挙げられる。本発明における上記水分散物に用いる自己乳化性高分子としては、3級アミン及び4級アンモニウム塩の如きカチオン性基を有するウレタン樹脂が好ましい。
カチオン性基含有ポリウレタンは、例えば、ポリウレタンの合成の際、前記のごときジオールにカチオン性基を導入したものを使用することによって得られる。また4級アンモニウム塩の場合は、三級アミノ基を含有するポリウレタンを四級化剤で四級化してもよい。
上記ポリウレタンの合成に使用可能なジオール化合物、ジイソシアネート化合物は、各々1種を単独で使用してもよいし、種々の目的(例えば、ポリマーのガラス転移温度(Tg)の調整や溶解性の向上、バインダーとの相溶性付与、分散物の安定性改善等)に応じて、各々1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で使用することもできる。
−媒染剤−
本発明におけるインク受容層には、好ましくは、画像の経時滲みおよび耐水性をより向上させる目的で以下のような媒染剤が含有してもよい。媒染剤としては、カチオン性ポリマー(カチオン性媒染剤)等の有機媒染剤挙げられる。カチオン性媒染剤としては、カチオン性の官能基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
前記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染剤モノマー)の単独重合体や、該媒染剤モノマーと他の単量体(非媒染剤モノマー)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
−金属塩−
本発明における前記インク受容層は、にじみ防止の観点から、金属塩を含むことが好ましい。
前記金属塩としては、前記多価の水溶性金属塩や疎水性金属塩化合物が挙げられる。例えば、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスロプロシウム、エルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、タングステン、ビスマスから選択される金属の塩又は錯体が挙げられる。
中でも、前記(架橋剤)の項において列挙した「多価金属化合物」が金属塩として好適に用いることができ、アルミナ含有化合物、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、元素周期律表第IIIB族シリーズの金属化合物(塩又は錯体)が好ましい。
上記金属塩をインク受容層に添加する場合の添加量としては、0.01〜5g/mが好ましく、0.1〜2g/mがより好ましい。
上記添加量が0.01g/m以上であるとインク受容層中への色材固定がし易くなり、5g/m以下とすることにより、インク受容層の表層部での色材の凝集が抑制され、ブロンズの抑制の点で好ましい。
−他の成分−
本発明におけるインク受容層は、必要に応じて下記成分を含有させて構成される。
即ち、インク色材の劣化を抑制する目的で、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素クエンチャー等の褪色性防止剤を含んでいてもよい。
上記紫外線吸収剤としては、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体等が挙げられる。
また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等も使用できる。
蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用でき、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具体的には、特公昭45−4699号公報、同54−5324号公報等に記載されている。
上記酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同第309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報等が挙げられる。
これら褪色性防止剤は、単独でも2種以上を併用してもよい。褪色性防止剤は、水溶性化、分散、エマルション化してもよく、マイクロカプセル中に含ませることもできる。褪色性防止剤の添加量としては、インク受容層用塗布液の0.01〜10質量%が好ましい。
本発明において、インク受容層はカール防止用に高沸点有機溶剤を含有するのが好ましい。上記高沸点有機溶剤としては、水溶性のものが好ましく、該水溶性の高沸点有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール(重量平均分子量が400以下)等のアルコール類が挙げられる。好ましくは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)である。
上記高沸点有機溶剤のインク受容層用塗布液中における含有量としては、0.05〜1質量%が好ましく、特に好ましくは0.1〜0.6質量%である。
また、微粒子の分散性を高める目的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等を含んでいてもよい。
更に、表面の摩擦帯電や剥離帯電を抑制する目的で、電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を、表面の摩擦特性を低減する目的で各種のマット剤を含んでいてもよい。
(支持体)
本発明に用いる支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれも使用できるが、インク受容層を設ける側の最表層として、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を含んでなる樹脂層(以下、単に「熱可塑性樹脂含有層」と呼ぶことがある。)を有していることが好ましい。尚、上記熱可塑性樹脂含有層は目的等に応じて紙基材の両側に設けることもできる。
次に、上記熱可塑性樹脂について説明する。
上記熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のα−オレフィンの単独重合体またはこれらの混合物)など、公知の熱可塑性樹脂の微粒子化したものやそのラテックスから適宜選択して用いることができる。中でも、上記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂(特には、ポリエチレン樹脂)が好ましい。
上記ポリオレフィン樹脂は、押出しコーティングが可能な範囲においては、その分子量に特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、通常は分子量20,000〜200,000の範囲のポリオレフィン樹脂が用いられる。
上記ポリエチレン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂含有層中には、白色顔料、着色顔料或いは蛍光増白剤、フェノール、ビスフェノール、チオビスフェノール、アミン類、ベンゾフェノン、サリチル酸塩、ベンゾトリアゾール及び有機金属化合物といった安定化剤を添加することが好ましい。
前記熱可塑性樹脂含有層の形成方法としては、溶融押出し、ウェットラミネーション、ドライラミネーション等が挙げられるが、溶融押出しが最も好ましい。上記溶融押出しにより熱可塑性樹脂含有層を形成する際には、熱可塑性樹脂含有層とその下層(以下、「塗工層」ということがある)との接着を強固にするという目的から、塗工層表面に前処理を施しておくことが好ましい。
該前処理としては、硫酸クロム酸混液による酸エッチング処理、ガス炎による火炎処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、グロー放電処理、アルキルチタネート等のアンカーコート処理等が挙げられ、適宜選択して行うことができるが、特に簡便さの点からはコロナ放電処理が好ましい。コロナ放電処理の場合、水との接触角が70°以下になるように処理する必要がある。
−紙基材−
本発明における支持体には、不透明支持体である紙基材を用いることができる。
上記紙基材としては、通常の天然パルプを主成分とする天然パルプ紙、天然パルプと合成繊維とからなる混抄紙、合成繊維を主成分とする合成繊維紙、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどの合成樹脂フィルムを擬紙化した、いわゆる合成紙のいずれでもよいが、天然パルプ紙(以下、単に「原紙」という)が特に好ましい。原紙は、中性紙(pH5〜9)、酸性紙とも用いることができるが、中性紙がより好ましい。
上記原紙は、針葉樹、広葉樹等から選ばれる天然パルプを主原料に、必要に応じ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、尿素樹脂微粒子等の填料、ロジン、アルキルケテンダイマー、高級脂肪酸、エポキシ化脂肪酸アミド、パラフィンワックス、アルケニルコハク酸等のサイズ剤、でんぷん、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリアクリルアミド等の紙力増強剤、硫酸バンド、カチオン性ポリマー等の定着剤等を添加したものを用いることができる。また、界面活性剤等の柔軟剤を添加してもよい。更に、上記天然パルプに代えて合成パルプを使用した合成紙を使用してもよく、天然パルプと合成パルプとを任意の比率に混合したものを使用してもよい。中でも、短繊維で平滑性が高くなる広葉樹パルプを用いるのが好ましい。使用するパルプ材の濾水度は、200〜500ml(C.S.F)の範囲であることが好ましく、300〜400mlの範囲であることが更に好ましい。
上記紙基材には、サイズ剤、柔軟化剤、紙力剤、定着剤等の他の成分を含有していてもよい。上記サイズ剤としては、ロジン、パラフインワックス、高級脂肪酸塩、アルケニルコハク酸塩、脂肪酸無水物、スチレン無水マレイン酸共重合物、アルキルケテンダイマー、エポキシ化脂肪酸アミド等が挙げられ、上記柔軟化剤としては、無水マレイン酸共重合物とポリアルキレンポリアミンとの反応物、高級脂肪酸の4級アンモニウム塩等が挙げられ、上記紙力剤としては、ポリアクリルアミド、スターチ、ポリビニルアルコール、メラミンホルムアルデヒド縮合物、ゼラチン等が挙げられ、また、上記定着剤としては、硫酸バンド、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等が挙げられる。その他、染料、螢光染料、帯電防止剤等を必要に応じて添加することができる。
上記紙基材には、既述の熱可塑性樹脂含有層の形成前に予め、コロナ放電処理、火炎処理、グロー放電処理、プラズマ処理等の活性化処理を施すことが好ましい。
−カレンダー処理−
本発明における支持体には、カレンダー処理を施すことができる。
紙基材上に熱可塑性樹脂含有層を設けた後に、特定の条件でカレンダー処理を施すことによって、上記熱可塑性樹脂含有層の平面性を得ることができ、更に該熱可塑性樹脂含有層を介して形成されるインク受容層の表面の高光沢性、高平面性、および高画質画像形成性を確保することができる。
上記カレンダー処理は、ロール対の少なくとも一方が金属ロールで構成された(好ましくは金属ロールと樹脂ロールとで構成された)ソフトカレンダーまたはスーパーカレンダー、或いはその両方を用いて、その金属ロールの表面温度を既述の熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上とすると共に、ロール対におけるロールニップ間のニップ圧を50〜400kg/cmとして行なわれることが好ましい。
以下、金属ロールと樹脂ロールとを有するソフトカレンダー、スーパーカレンダーについて詳述する。金属ロールとしては、表面の平滑な円筒状または円柱状のロールであって、その内部に加熱手段を有するものであればその素材等に制限されることなく、公知の金属ロールから適宜選択して用いることができる。また、上記金属ロールは、カレンダー処理時において支持体の両側の面のうち記録面側、すなわちインク受容層が形成される側の面と接触するため、表面粗さは平滑なほど好ましい。上記表面粗さとしては、具体的には、JIS B0601で規定される表面粗さで0.3s以下が好ましく、更には0.2s以下が好適である。
また、上記金属ロールの処理時における表面温度は、紙基材に処理を施す場合には一般に70〜250℃が好ましい。これに対し、既述の熱可塑性樹脂含有層が設けられた紙基材に処理を施す場合には、該熱可塑性樹脂含有層中に含有された熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以上であるのが好ましく、上記Tg以上であって且つ+40℃以下であることが更に好ましい。
上記樹脂ロールとしては、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等からなる合成樹脂ロールから適宜選択でき、そのジョアD硬度が60〜90であるものが適切である。
また、上記金属ロールを有するロール対のニップ圧としては50〜400kg/cmが適切であり、好ましくは100〜300kg/cmである。上記のように構成されるロール対を一対配したソフトカレンダーおよび/またはスーパーカレンダーによる処理の場合、1〜2回程度行なわれるのが望ましい。
尚、記録媒体に用いる支持体は特に限定されるものではなく、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体を用いることもできる。透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。この様な材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、CD−ROM、DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク、更には書き換え型光ディスクを支持体として用い、レーベル面側にインク受容層および光沢付与層を付与することもできる。
本発明における記録媒体の構成層(例えばインク受容層あるいはバック層など)には、ポリマー微粒子分散物を添加してもよい。ポリマー微粒子分散物は、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止等のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマー微粒子分散物については、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。なお、ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマー微粒子分散物をインク受容層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加しても、カールを防止することができる。
本発明のインク受容層の層厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量を持つ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mmで、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、インク受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
また、インク受容層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。空隙率及び細孔メジアン径は、(株)島津製作所製の水銀ポロシメーター「ボアサイザー9320−PC2」を用いて測定することができる。
また、インク受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、インク受容層を透明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。該ヘイズ値は、スガ試験機(株)製のヘイズメーター「HGM−2DP」を用いて測定することができる。
(記録媒体の作製)
本発明における記録媒体のインク受容層は、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等があげられる。インク受容層は、支持体上に1層でもよいし、多層構成になっていてもよく、さらにインク溶媒吸収層、中間層、保護層等を有していてもよい。本発明において前記金属塩はインク受容層の全層に存在させればよい。
また、例えば、支持体表面に少なくとも無機微粒子と水溶性樹脂を含む第一の塗布液(以後、「塗布液(A)」と言うこともある)を塗布し、(1)該塗布と同時、(2)該塗布によって形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥速度を示す前のいずれかに少なくとも塩基性化合物を含むpHが7.1以上の第二の塗布液(以後、「塗布液(B)」と言うこともある)を付与した後、該第二の塗布液を付与した塗布層を架橋硬化させる方法(Wet−on−Wet法)により形成されるのが好ましい。ここで、本発明における水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤は、上記塗布液(A)あるいは塗布液(B)の少なくとも一方に含有されるのが好ましい。
この様にして架橋硬化させたインク受容層を設けることは、インク吸収性や膜のヒビ割れ防止などの観点から好ましい。
本発明において、少なくとも無機微粒子(例えば、気相法シリカ)と水溶性樹脂(例えば、ポリビニルアルコール)とを含有するインク受容層用塗布液(塗布液(A))は、例えば、以下のようにして調製することができる。
即ち、気相法シリカ微粒子と好適には分散剤を水中に添加して(例えば、水中のシリカ微粒子は10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)を用いて、例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で例えば20分間(好ましくは10〜30分間)かけて分散させた後、架橋剤(ホウ素化合物)、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液(例えば、上記気相法シリカの1/3程度の質量のPVAとなるように)を加え、上記と同じ回転条件で分散を行なうことにより調製することができる。得られた塗布液は均一なゾル状態であり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、三次元網目構造を有する多孔質性のインク受容層を形成することができる。
また、上記気相法シリカと分散剤とからなる水分散物の調製は、気相法シリカ水分散液をあらかじめ調製し、該水分散液を分散剤水溶液に添加してもよいし、分散剤水溶液を気相法シリカ水分散液に添加してよいし、同時に混合してもよい。また、気相法シリカ水分散液ではなく、粉体の気相法シリカを用いて上記のように分散剤水溶液に添加してもよい。
上記の気相法シリカと分散剤とを混合した後、該混合液を分散機を用いて細粒化することで、平均粒子径50〜300nmの水分散液を得ることができる。該水分散液を得るために用いる分散機としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的におこなうという点から、撹拌型分散機、コロイドミル分散機または高圧分散機が好ましい。
また、各工程における溶媒として水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。この塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
また、上記分散剤としてはカオチン性のポリマーを用いることができる。カオチン性のポリマーとしては、前記ポリマー媒染剤などが挙げられる。また、分散剤としてシランカップリング剤を用いることも好ましい。
上記分散剤の微粒子に対する添加量は、0.1%〜30%が好ましく、1%〜10%が更に好ましい。
支持体上にインク受容層を形成した後、該インク受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性および塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定しておこなう必要がある。
カレンダー処理をおこなう場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。
また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
また、記録媒体(特にインクジェット記録媒体)は、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号の各公報に記載の方法でも作製可能である。
支持体上には、前記インク受容層と支持体との間の接着性を高め、電気抵抗値を適切に調整する等の目的で、下塗層を設けてもよい。
尚、前記インク受容層は、支持体の片面のみに設けてもよいし、カール等の変形を防止する等の目的で、支持体の両面に設けてもよい。OHP等で用いる場合であって、前記インク受容層を支持体の片面のみに設ける場合は、その反対側の表面、或いはその両面に、光透過性を高める目的で反射防止膜を設けることもできる。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、本発明における前記記録媒体の多孔質層(インク受容層)上に、色材を有する前記インク組成物を付与して画像部を形成後(以下、「インク組成物付与工程」ともいう。)、特定のコロイダルシリカを含む前記処理液を付与すること(以下、「処理液付与工程」)を特徴とするものであるが、これらの構成以外は、特に制限はなく、公知の画像形成方法における工程等を含むことができる。
本発明は、特に、インク受容層上に画像部を形成した後、前記特定のコロイダルシリカを含む処理液を付与することにより、形成された画像は特定のコロイダルシリカを有する処理液により形成される特定のコロイダルシリカ層により保護され、その結果、黄色濃度の上昇(黄変)が少なく、耐傷性及び写像性が向上し、また、ブロンズの発生が抑制され、更に、画像濃度(特に、黒濃度)も向上するという効果を奏するものである。
[インク組成物付与工程]
本発明の画像形成方法は、記録媒体のインク受容層上に色材を有するインク組成物を付与して画像部を形成(記録)する工程を有する(インク組成物付与工程)。
前記付与としては、特に限定されるものではないが、インクジェット方式で行なうことが多種の記録材料に記録可能なこと、装置が比較的安価であること等の点で好ましい。
インクジェット方式による画像記録は、エネルギーを供与することにより、記録媒体のインク受容層上にインク組成物を吐出し、着色画像を形成する。なお、本発明に好ましいインクジェット記録方法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
インクジェット方式には、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等のいずれであってもよい。
またインク組成物付与工程は、記録媒体の搬送速度を変えて行うこともできる。該搬送速度は、画像品質を損なわない範囲であれば特に制限はなく、好ましくは、100〜3000mm/sであり、より好ましくは150〜2700mm/sであり、さらに好ましくは250〜2500mm/sである。
[処理液付与工程]
本発明の画像形成方法においては、インク組成物が付与された記録媒体のインク受容層上に、前記特定のコロイダルシリカを含む処理液を付与する工程を有する(処理液付与工程)。
処理液の付与方法としては、公知の液体付与方法を特に制限なく、用いることができ、インクジェット方式による付与、塗布ローラー等による塗布、スプレー塗布、浸漬などの任意の方法を選択することができる。
具体的には、例えば、ホリゾンタルサイズプレス法、ロールコーター法、カレンダーサイズプレス法などに代表されるサイズプレス法;エアーナイフコーター法などに代表されるサイズプレス法;エアーナイフコーター法などに代表されるナイフコーター法;ゲートロールコーター法などのトランスファーロールコーター法、ダイレクトロールコーター法、リバースロールコーター法、スクイズロールコーター法などに代表されるロールコーター法;ビルブレードコーター法、ショートデュエルコーター法;ツーストリームコーター法などに代表されるブレードコーター法;ロッドバーコーター法などに代表されるバーコーター法;ロッドバーコーター法などに代表されるバーコーター法;キャストコーター法;グラビアコーター法;カーテンコーター法;ダイコーター法;ブラシコーター法;転写法などが挙げられる。
また、特開平10−230201号公報に記載の塗布装置のように、液量制限部材を備えた塗布装置を用いることで塗布量を制御して塗布する方法であってもよい。
上記の中でも、インクジェット方式による付与、塗布ローラー等による塗布が好ましい。
インクジェット方式による付与は、前記インク組成物の項に述べた方法が好ましい。また、塗布ローラー等による塗布としては、特に限定されないが、例えば、図1に示す処理液塗布装置による方法が好ましい。
以下、処理液塗布装置について説明する。
図1は、処理液塗布装置の側面図である。
図1に示すように、処理液塗布装置42は、処理液48を貯留するための貯留部46、計量ローラ120、第1の塗布ローラ122、第2の塗布ローラ124、及び中間ローラ126を備えている。Pは画像が形成され、処理液を付与する前の用紙である。
計量ローラ120は、貯留部46の上部に回転可能に配置され、下側の一部分が貯留部46の処理液48に浸かっている。なお、この計量ローラ120は、図示しないモータで、矢印方向(図1において、時計回り方向とは反対方向)に一定速度で回転するようになっている。
第1の塗布ローラ122は、計量ローラ120と処理液塗布ドラム30とに接触するように計量ローラ120の処理液塗布ドラム回転方向下流側に配置されている。したがって、第1の塗布ローラ122は、計量ローラ120、及び処理液塗布ドラム30に対して反対方向(図1において、時計回り方向)に回転する。
第1の塗布ローラ122の処理液塗布ドラム回転方向下流側には、第1の塗布ローラ122と離間して第2の塗布ローラ124が配置され、第1の塗布ローラ122と第2の塗布ローラ124の中間部分の上方には、第1の塗布ローラ122と第2の塗布ローラ124とに接触するように中間ローラ126が回転可能に配置されている。
第2の塗布ローラ124は、中間ローラ126とは反対方向に回転すると共に、第1の塗布ローラ122と同様に、処理液塗布ドラム30に接触し、処理液塗布ドラム30に対して反対方向(図1において、時計回り方向)に回転する。
なお、計量ローラ120には、外周面に付着した余剰の処理液48を除去して、外周面に付着した処理液48の厚みを一定とするためのドクターブレード128が接触しており、計量ローラ120が回転(図1において、時計回り方向とは反対方向)することで、ドクターブレード128の計量ローラ回転方向下流側において、ローラ外周面に一定厚さの膜状の処理液48が得られる(即ち、処理液の計量が行われる。)。
計量ローラ120は、一般的な構成のものを用いることができ、例えば、表面に微細な凹凸が形成されたアニロックスローラや、外周面に細いワイヤーを螺旋状に巻回したワイヤーローラ(スパイラルローラ)等を用いることができる。
なお、処理液塗布装置42では、各ローラの表面エネルギー(=親水性)が、以下の順となるように各ローラの表面エネルギーを設定することが好ましい。
用紙P>第2の塗布ローラ124>中間ローラ126>第1の塗布ローラ122。
表面エネルギーは、一般的な方法、例えば、表面の粗さ、形状を変える、材料を変える、親水性のコーティングを施す等の従来公知の方法で調整すれば良い。
このようにして、画像形成された用紙P上に処理液薄層が形成される。
本発明において、処理液の付与量としては、処理後の乾燥負荷と特定のコロイダルシリカ塗設の点で、0.01〜5g/mが好ましく、0.1〜4g/mがより好ましく、1〜3g/mが特に好ましい。0.01〜5g/mとすることにより、処理後の乾燥負荷を低減することができ、また、特定のコロイダルシリカを含む処理液の塗設の点で好ましい。
<記録物>
本発明の記録物は、前記多孔質層(インク受容層)上に形成された画像部と、少なくとも前記画像部上に有する平均一次粒子径が5〜60nmのコロイダルシリカ(特定のコロイダルシリカ)を含む層とを有する。
本発明の記録物は、特に、支持体上に無機微粒子を少なくとも含むインク受容層を有する記録媒体の該インク受容層上に形成された画像部と、少なくとも前記画像部上に有する特定のコロイダルシリカを含む層とを有することを特徴とするものである。
本発明においては、インク受容層上の画像部と、それ保護する特定のコロイダルシリカを含む層と有することにより、黄色濃度の上昇(黄変)が少なく、画像の傷の発生は抑制され、写像性が向上し、ブロンズの発生が少なく、かつ、画像濃度(特に、黒濃度)の高い記録物となるものである。
本発明の記録物は、前記本発明の画像形成方法により形成することができる。
即ち、本発明における前記記録媒体のインク受容層上に、色材を有する前記インク組成物を付与して画像部を形成後、特定のコロイダルシリカを含む前記処理液を付与することにより得られる。
本発明の記録物における記録媒体は、前記画像形成方法の項に記載した記録媒体と同じであり、好ましい例も同じである。
前記特定のコロイダルシリカ層の厚みとしては、特に限定されないが、耐傷性、写像性の点で、0.01〜10μmが好ましく、0.02〜5μmがより好ましく、0.05〜3μmが特に好ましい。
また、前記インク層との関係では、インク受容層の厚みに対して(特定のコロイダルシリカ層/インク受容層)、0.0002〜0.3が好ましく、0.0004〜0.2がより好ましく、0.001〜0.1が特に好ましい。
前記特定のコロイダルシリカ層が有する特定のコロイダルシリカの質量%は、特に限定されないが、耐傷性、写像性の点で、コロイダルシリカ層の全質量に対して0.0003〜0.4が好ましく、0.0006〜0.3がより好ましく、0.001〜0.2が特に好ましい。
前記特定のコロイダルシリカ層が有する特定のコロイダルシリカと記録媒体の無機微粒子(特に、気相法シリカ)の粒径比は、特に限定されないが、耐傷性、写像性の点で、特定のコロイダルシリカ層の全質量に対して0.5〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、2〜15が特に好ましい。
前記特定のコロイダルシリカと無機微粒子との粒径比が、0.5〜30とすることにより、耐傷性を向上させることができ、また、記録媒体における適度な写像性を有するようになる点で好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。尚、特に断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[実施例1]
「支持体の作製」
アカシアからなるLBKP50部及びアスペンからなるLBKP50部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解し、パルプスラリーを調製した。
次いで、前記で得られたパルプスラリーに、対パルプ当たり、カチオン性デンプン(日本NSC製 CAT0304L)1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光化学製 ポリアクロンST−13)0.15%、アルキルケテンダイマー(荒川化学製 サイズパインK)0.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学製 アラフィックス100)0.32%を加えた後、消泡剤0.12%を加えた。
前記のようにして調製したパルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、ウェッブのフェルト面をドラムドライヤーシリンダーにドライヤーカンバスを介して押し当てて乾燥する工程において、ドライヤーカンバスの引張り力を1.6Kg/cmに設定して乾燥を行った後、サイズプレスにて原紙の両面にポリビニルアルコール((株)クラレ製 KL−118)を1g/m塗布して乾燥し、カレンダー処理を行った。なお、原紙の坪量は157g/mで抄造し、厚さ157μmの原紙(基紙)を得た。
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレンの比率を80%/20%の比率でブレンドし20g/mとなるように320℃の温度で溶融押し出しコーティングし、マット面からなる熱可塑性樹脂層を形成した(以下、この熱可塑性樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の熱可塑性樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥重量が0.2g/mとなる様に塗布した。続いて、表面にコロナ処理し、10質量%の酸化チタンを有する密度0.93g/mのポリエチレンを24g/mになるように溶融押出機を用いて320℃で押し出しコーティングした。
<インク受容層形成液Aの調製>
下記の「シリカ分散液A」組成に従って、イオン交換水に7.5%ホウ酸液、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体(第一工業製薬製、シャロールDC902P)を混合した液にシリカ微粒子を混合し、更に、第一稀元素製ジルコゾールZA−30を添加したスラリーを、スギノマシン社製、アルティマイザーで、170MPaで分散しメジアン径(平均粒子径)120nmのシリカ分散液Aを調製した。
シリカ分散液Aに下記インク受容層形成液Aの組成に従いイオン交換水、7.5%ホウ酸液、SC−505、ポリビニルアルコール溶解液、スーパーフレックス650−5を順次添加混合し、インク受容層形成液Aを調製した。
「シリカ分散液A」
(1)気相法シリカ微粒子 15.0部
(日本アエロジル(株)製 AEROSIL300SF75、平均一次粒径7nm)
(2)イオン交換水 78.5部
(3)7.5%ホウ酸液(架橋剤) 4.4部
(4)「シャロールDC−902P」(51.5%溶液) 1.31部
(第一工業製薬(株)製分散剤)
(5)酢酸ジルコニル 「ジルコゾールZA−30 (50%溶液)」 0.81部
(第一稀元素化学工業(株)製)
「インク受容層形成液Aの組成」
(1)シリカ分散液A 59.5部
(2)イオン交換水 7.8部
(3)7.5%ホウ酸液(架橋剤) 4.4部
(4)ジメチルアミン・エピクロルヒドリン・ポリアルキレンポリアミン重縮合物(50%溶液)(ハイモ(株)製 SC−505) 0.1部
(5)下記ポリビニルアルコール溶解液 26.0部
(6)カチオン変性ポリウレタン 2.2部
(スーパーフレックス650−5(25%液))
(第一工業製薬(株)製)
<ポリビニルアルコール溶解液組成>
(1)ポリビニルアルコール 6.96部
(日本酢ビ・ポバール製 「JM−33」 鹸化度94.5mol% 重合度3300)
(2)ポリオキシエチレンラウリルエーテル 0.23部
(花王(株)製界面活性剤 エマルゲン109P)
(3)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2.12部
(協和発酵(株)製 ブチセノール20P)
(4)イオン交換水 90.69部
(インクジェット記録用シートAの作製)
支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、前記インク受容層形成液A、183g/mに、下記PAC液1を11.4g/mの塗布量となるようにインラインブレンド後、エクストルージョンダイコーターで塗布を行った。その後、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/sec)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。この塗布層は、この間は恒率乾燥を示した。そして、減率乾燥を示す前に、下記組成の塩基性溶液(pH=7.8)に3秒浸漬して、前記塗布層上にその13g/mを付着させ、更に65℃で10分間乾燥させた(硬化工程)。これにより、乾燥膜厚32μmのインク受容層が設けられた、インクジェット記録用シートAを作製した。
<PAC1液>
(1)塩基度83%のポリ塩化アルミニウム水溶液(大明化学工業(株)製 アルファイン83) :20部
(2)イオン交換水 :80部
<塩基性溶液の組成>
(1)ホウ酸 0.65部
(2)炭酸ジルコニウムアンモニウム(28%水溶液) 0.33部
(第一稀元素化学工業(株)製 ジルコソールAC−7)
(3)炭酸アンモニウム(一級) 3.5部
(関東化学(株)製)
(4)イオン交換水 63.3部
(5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(2%水溶液) 30.0部
(花王(株)製界面活性剤 エマルゲン109P)
(インクジェット記録用シートBの作製)
上記インクジェット記録用シートAの作製におけるシリカ分散液Aにおいて、気相法シリカ微粒子(日本アエロジル(株)製 AEROSIL300SF75、平均一次粒径7nm)を用いる代わりに、気相法シリカ微粒子(日本アエロジル(株)製 AEROSIL200、平均一次粒子径9nm)を用いた以外は、同様に行い、インクジェット記録用シートBを作製した。
(インクジェット記録用シートCの作製)
C2カラー/モノクロ兼用紙(坪量:70g/m、富士ゼロックスインターフィールド(株)製)をインクジェット記録用シートCとした。
<インクの調製>
(ブラックインクBkの調製)
下記の成分に脱イオン水を加え1リットルとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間攪拌した。その後、LiOH10mol/lにてpH=9に調整し、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過しブラックインクBkを調製した。
・染料 化合物Bk−1(下記参照) 27.9g
・染料 化合物Bk−2(下記参照) 7.1g
・グリセリン 50.0g
・1,5−ペンタンジオール 25.0g
・2−ピロリドン 25.0g
・1,2−ヘキサンジオール 78.6g
・PROXEL XL2(アベシア(株)製) 1.1g
Figure 2011067974

<処理液の調製>
下記組成を混合して処理液(コロイダルシリカインク)を調製した。
(処理液の組成)
・スノーテックスS 1.65g
(日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ30質量%、pH9.7、平均一次粒径10nm)
・純水 12.71g
・グリセリン 1.66g
・エチレングリコール 2.5g
・7%PVA217(株式会社クラレ製)水溶液 1.18g
・オルフィンE1010(日信化学社製、ノニオン性界面活性剤) 0.3g
(画像形成)
インクジェットプリンター「PM−D600」(セイコーエプソン(株)製)のカートリッジに前記ブラックインクBk(以下、「第1の付与液(第1液)」ともいう。)を収容し、23℃50%RHの条件で前記インクジェット記録用シートに黒ベタ印画を行なった。
その後、上記処理液(以下、「第2の付与液(第2液)」ともいう。)を「PM−D600」(セイコーエプソン(株)製)のインクカートリッジに収容し、このインクジェットプリンターを用いて5g/mにて黒ベタが記録されたシート全面に吐出して記録物を得た。
[評価]
上記で得られた記録物について、画像形成方法を下記の評価方法にて評価した。
<ブロンジング>
画像部が形成されたインクジェット記録用シートを23℃、65%RHの雰囲気に24時間放置し、ブロンズの発生程度を目視で観察し、下記基準に基づき評価した。
[評価基準]
A:まったくブロンズは発生しなかった。
B:わずかにブロンズが発生していた。
C:全面にブロンズが発生していた。
<黄変>
第1液を印画せず(白地部に相当)、第2液を印画した際の着色変化をX−riteによるイエロー濃度変化(黄変)で評価した。
〔評価基準〕
A:イエロー濃度変化が0.01未満
B:イエロー濃度変化が0.01以上〜0.02未満
C:イエロー濃度変化が0.02以上
<写像性>
画像部が形成されたインクジェット記録用シートの画像部を、JIS H 8686−2(1999)に規定される写像性試験方法に基づき、写像性測定器ICM−1(スガ試験機(株)製)を用いて、下記測定条件及び解析条件に基づき、オモテ面の写像性C値(%)を測定・評価した。
<測定条件>
・測定方法:反射
・測定角度(入射角、受光角):60°
・光学くし:2.0mm
〔評価基準〕
A:写像性が80%以上
B:写像性が70%以上80%未満
C:写像性が30%以上70%未満
<黒濃度>
印画したインクジェット記録用シートを用い、印画部の黒濃度を反射濃度測定計(X−rite社製、Xrite938)にて測定した。
[評価基準]
A:2.4以上
B:2.2以上2.4未満
C:2.2未満
[実施例2]
実施例1の処理液において、スノーテックスS(コロイダルシリカの平均一次粒子径10nm)を用いる代わりに、表1に記載のスノーテックス20L(コロイダルシリカの平均粒子径50nm)を用いた以外は、実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例2において、インクジェット記録媒体A(気相法シリカの平均一次粒子径7nm)を用いる代わりにインクジェット記録媒体B(気相法シリカの平均一次粒子径9nm)を用い、スノーテックス20L(コロイダルシリカ50nm)を含有する第2液を用いる代わりにスノーテックスCM(コロイダルシリカ25nm)を含有する第2液を用いた以外は、た以外は、実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、染料を含む第1液(ブラックインクBk)を用いる代わりに、顔料プリンター「PX−G920」(セイコーエプソン(株)製)で黒ベタ印画した以外は、実施例1と同様に行なって、実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、コロイダルシリカを含む第2液をインクジェットプリンターで吐出する代わりに、図1に記載の処理液塗布装置を用いて塗布した以外は、実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例4において、インクジェット記録用シートAの代わりにインクジェット記録用シートとしてインクジェット記録用シートCを用い、スノーテックスS(コロイダルシリカ10nm)を含有する第2液を用いる代わりにスノーテックス20L(コロイダルシリカ50nm)を含有する第2液を用いた以外は、実施例4と同様に評価し、得られた結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、スノーテックスS(コロイダルシリカ10nm)を含有する第2液を用いる代わりに、スノーテックスZL(コロイダルシリカ85nm)を含有する第2液
を用いた以外は、実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、染料を含有する液を第1液として用いる代わりに、処理液を第1液として付与し、染料を含有する液を第2液としてインクジェット吐出した以外は、実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示す。
Figure 2011067974

表1から明らかな通り、比較例は評価項目のいずれかが劣っているが、本発明の実施例はいずれの評価項目においても実用レベル以上であり優れていることが判る。
10 画像形成装置、P 用紙(記録媒体)、30 処理液塗布ドラム(搬送手段)、42 処理液塗布装置、46 貯留部、64 インクジェットラインヘッド(液滴吐出装置)、120 計量ローラ、122 第1の塗布ローラ、124 第2の塗布ローラ、126 中間ローラ(調整手段)、130 第1の中間ローラ(調整手段)

Claims (6)

  1. 支持体上に無機微粒子を少なくとも含む多孔質層を有する記録媒体の該多孔質層上に、色材を有するインク組成物を付与して画像部を形成後、平均一次粒子径が5〜60nmのコロイダルシリカを含む処理液を付与する画像形成方法。
  2. 前記無機微粒子の平均一次粒子径が9nm以下である請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記処理液の付与が吐出方式又は塗布方式である請求項1又は請求項2に記載の画像形成方法。
  4. 前記色材が染料である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  5. 多孔質層上に形成された画像部と、少なくとも前記画像部上に有する平均一次粒子径が5〜60nmのコロイダルシリカを含む層とを有する記録物。
  6. 前記コロイダルシリカを含む層のコロイダルシリカの含有量が、0.01〜5g/mg/mである請求項5に記載の記録物。
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