JP2011063823A - スパッタ源およびスパッタ装置ならびにこれを用いた多層膜の製造方法 - Google Patents

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【課題】
本発明は、省スペースにおいて高品質の多層膜を作成するのに適したスパッタ源およびスパッタ装置ならびにこれを用いた多層膜の製造方法に関する。より詳しくは、プラズマを効率よく電極間隙に閉じ込めることと、効率よくスパッタ粒子を取り出すことを両立した、開口幅の狭い対向型スパッタ源であって、かつ省スペースに複数組み合わせて用いることができるスパッタ源に関する。
【解決手段】
V字型に対向する電極面と、前記電極面を挟んで平行またはハの字型に対向する磁極面を有し、前記磁極面はお互いに逆極性であることを特徴とする、スパッタカソード。
【選択図】 図7

Description

本発明は、省スペースにおいて高品質の多層膜を作成するのに適したスパッタ源およびスパッタ装置ならびにこれを用いた多層膜の製造方法に関する。より詳しくは、プラズマを効率よく電極間隙に閉じ込めることと、効率よくスパッタ粒子を取り出すことを両立した、開口幅の狭い対向型スパッタ源であって、かつ省スペースに複数組み合わせて用いることができるスパッタ源に関する。
スパッタリング法は、希ガス等をプラズマ状態にして生成したイオンの衝突エネルギーによりターゲットと呼ばれる材料表面を気化し、これを基材表面へ供給することで薄膜を形成する手法の一種である。スパッタによる成膜速度を高める手段としてマグネトロンスパッタ法が広く使われているが、これはターゲット上にターゲットと平行成分を持つ磁界をレーストラック状に形成するために、磁石のN極とS極を間隔を設けて配列する必要があるため、カソード面積を小さくするには限界がある。従って、インライン型やロール・ツー・ロール型のスパッタ装置においては、広幅基材に対してカソードを基材の幅方向に長尺化することは容易であるが、基材の移動方向に狭くするには限界がある。従って、多層膜を一度の基材搬送により形成する場合には、真空チャンバーが大型化してしまい、特にロール・ツー・ロールの場合には冷却ドラムを巨大化したり、あるいは冷却ドラムを複数備えるなど、スパッタ装置が大型化してしまう問題があった。
また、ターゲットからスパッタされた粒子はターゲット面法線方向に対して0.65〜0.92rad、すなわち37.2度〜52.7度付近にピークを持つ分布で放出されることが報告されている(非特許文献1)。従って、一般的な平板型膜ネトロンスパッタ源を用いた場合には、ターゲット幅よりも基材表面にスパッタされた粒子が到達する幅がかなり広くなってしまう。その結果、多層膜を形成する場合に平板型マグネトロンスパッタ源を基材に向けて複数隣接して配置すると、各ターゲットからスパッタされた粒子が混合してしまい、多層膜を作成することが困難となる問題がある。
一方、対向ターゲット式スパッタ源を用いれば、ターゲット面積よりも基材側にスパッタ粒子を取り出す開口幅を狭くすることが可能である。また、例えば特許文献1のようにターゲットをV型に対向させることにより、スパッタされた粒子の放出角度を狭くすることも可能となるため、平板マグネトロンスパッタ源を用いるよりも多層膜の形成に有利である。
しかし、対向ターゲット式スパッタ源では、その低ダメージ効果を利用する例は見られるが、上述の用に多層膜作成用にスパッタ粒子の放出角を狭くすることを目的とした技術は公知となっていない。また、複数の対向ターゲット式スパッタ源を隣接するための省スペース化の工夫もされていないのが現状である。
特開2004−285445号
山田、他「分子動力学法によるスパッタ装置ターゲットからの放射角度分布のシミュレーション」電子情報通信学会技術研究報告.VDL,LSI設計技術(1995)p1−5.
そこで、本発明では細長い成膜領域を並べて実現でき、しかも省スペースに隣接して配置できるスパッタ源を提供することを目的とする。また、このスパッタ源を用いたスパッタ装置ならびに多層膜の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題は、以下に記載する本発明によって解決される。
即ち、本発明に係るスパッタ源は、V字型に対向する電極面と、前記電極面を挟んで平行またはハの字型に磁極面を有したスパッタカソードを複数備え、前記それぞれの電極面を延長して重なる陵線が全て平行になる状態で前記スパッタカソードが隣り合わせて配列されているものとすることができる。ここでいうV字型とは、非平行で対向する状態のことであり、対向する電極面の最近接部分は接触していてもよい。または、ハの字型とは、前記V字型とは逆側が拡がって対向する状態のことである。なお、V字型に対向する電極面の中心面とハの字型に対向する磁極面の中心面とが同一面となる場合には、電極間隙の電界と磁界が均整に分布し、電極間にプラズマを閉じ込め易いのでよい。また、電極面の形状を矩形とすると広い範囲で均一にスパッタ粒子を取り出し易くなるのでよい。また、磁極面の形状は、電極面の形状を磁極面に投影した形状とすると、電極間隙の磁場分布を均整にし易いのでよい。また、各スパッタカソードは電気的に絶縁しておくと、ここに投入電力を制御できるのでよい。なお、隣り合うスパッタカソード間の電極の位置関係に関しては空間配置的には対向するものであるが、プラズマが生成されない間隙を挟んだ電極同市の位置関係については、ここでいう対向には該当しないものとする。ただし、磁極面に関してはこの限りではない。
また、本発明に係るスパッタ源は、隣り合うスパッタカソードの磁極面が逆極性で対向しているものとすることができる。上記のスパッタカソードの配列方法としては、隣り合うスパッタカソードの磁極面が同極性の場合と逆極性の場合の2通りある。隣り合うスパッタカソードの磁極面を同極性とする場合には、各スパッタカソードの磁界が隣り合うスパッタカソードの磁界を弱めないように、各スパッタカソードの磁石を磁性体ヨークで閉ループを作るようにする必要があるため、各スパッタカソードの中心間隔が広くなるので好ましくない。一方、隣り合うスパッタカソードの磁極面を逆極性とする場合には、隣り合うスパッタカソードの磁界同士が強め合うので、各スパッタカソードの中心間隔を近づけられるのでよい。また、この場合、複数隣り合うスパッタカソードの両端の外側の磁極面同士を磁性体ヨークで繋ぐと、両端のスパッタカソードの磁界強度低下を抑制できるのでよい。
また、本発明に係るスパッタ源は、対向する電極面の成す各角度が30度〜120度の範囲とすることができる。前記角度を30度よりも小さくすると、スパッタ粒子を対向する電極間から取り出す効率が低くなるので、30度以上とするのがよい。また、本発明では45度以上として電極面で挟まれる空間の磁場は歪められないため、プラズマを電極間に効率よく閉じ込めることができる。ただし、120度よりも大きくすると、ターゲットから反跳する高エネルギー粒子が基板に入射し易くなるため、120度以下とするのがよい。好ましくは、30度〜90度の範囲がよい。
また、本発明に係るスパッタ源は、対向する磁極面の成す各角度が無限大〜−30度の範囲とすることができる。角度が無限大とは平行を意味する。角度のマイナスは、平行に対して電極面の成す角とは逆向きであることを示す。磁極面の成す角度を無限大とすることで磁束が電極間の外側に拡がろうとする磁束を抑制できるのでよい。また、マイナス方向に角度を持たせると、より磁束を電極間に閉じ込め易くなるのでよい。ただし、−30度よりも大きくすると電極間隙の磁束密度が均整で無くなるので、−30度以下とするのがよい。
また、本発明に係るスパッタ源は、対向する電極面に挟まれる空間における磁束密度が0.03T以上とすることができる。本発明においては、磁極は電極面を挟んで配置されるため、磁力線は電極間を貫いて存在する。磁束密度は、電極間隙の中間付近が最も小さい値となるが、この最小値を0.03T以上とすると、ターゲットから放出された電子がこの磁束に巻き付くように補足されるため、電極間のプラズマ密度を高められるとともにプラズマを閉じ込め易くなるのでよい。
また、本発明に係るスパッタ源は、対向する電極面同士の距離が100mm以下とすることができる。ここでいう電極面同士の距離とは2つの電極面による最大間隙のことである。すなわち、V型に配置された電極面の広く開口した側の電極面間隙を100mm以下とすることができる。本発明では2つの磁極面で挟まれる領域内に電極面を納めることが可能であるため、カソード構造をコンパクトにし易い。また。磁束密度が電極間距離に異存しないため、電極面の狭い開口側は接触させることも可能である。すなわち、電極面を文字通りのV型配置とすることが可能である。従って、電極面の開口側の間隙を100mm以下としても電極面が成す角度を30度以上にすることが可能である。電極面同士の距離は10mm以上とした方が、電極面にターゲットを配置しても電極間でプラズマを安定して生成し易いのでよい。好ましくは、30mm〜80mmとすると対向する磁極面の間隙も狭くでき、電極間隙の磁束密度を高くし易いのでよい。
また、本発明に係るスパッタ源は、電極面の長手方向の長さが300mm以上とすることができる。電極面同士の距離を小さくしかつ電極面の長手方向の長さを長くすることにより、電極が対向しない側方に放出されるスパッタ粒子の比率を小さくできるのでよい。また、電極長さが300mm以上あると、スパッタカソードに対して基材を相対的に移動させながら大面積に成膜できるのでよい。また、電極面同士の距離を50mm以下かつ電極長さ1000mm以上とすると、比較的コンパクトなライン状の対向型スパッタカソードを実現することができる。このライン状の対向型スパッタカソードを複数並べ、基板を相対的に移動させながら成膜することにより、比較的小スペースで多層膜を作製し易くなるのでよい。
また、本発明に係るスパッタ源は、対向する電極面が同一金属ブロックの一部とすることができる。本発明では電極面の最近接部を接触させることができるので、対向する電極面は同電位でもよく、同一金属ブロック上にV字型の溝状に電極面を形成することができる。これにより、1カソードにつき給電や冷却などの機構を1組とすることができ、従来の対向型スパッタカソードよりも構造を簡易かつコンパクトにすることができるのでよい。また、断面が台形の平板ターゲットを前記V字型の溝状電極面に配置することでターゲットを容易に配置できるのでよい。
本発明に係るスパッタ装置は、真空に排気可能な同一空間に、基材を一定方向に一定速さで搬送可能な基材支持機構と、前記基材支持機構に向けてスパッタ粒子を供給するように配置された請求項1〜7のいずれかに記載のスパッタ源とを備えることができる。
スパッタ源を構成する各カソードには各々独立して電力供給用の電源を接続すると、多層膜などを作成する場合に各層の厚みを制御し易いのでよい。また、各カソードの間に各ターゲットからのスパッタ粒子が基材表面で混合することを抑制する隔壁を備えると、多層膜を作成する場合に界面構造を明確にできるのでよい。なお、この場合の隔壁は各カソードと基材との間の空間をできるだけ隔てるのが好ましいが、移動する基材との間には隙間を持たせても良い。
本発明に係る多層膜の製造方法は、前記のスパッタ装置を用いて、一度の基材搬送で6層以上の多層膜を形成することができる。スパッタ法では、スパッタ源周辺に溜まる汚れが基材表面に落下することを抑制するため、基材成膜面を鉛直または下向きにする場合が多い。基材がガラスの様に比較的剛性が高い場合は、基材成膜面の端部を保持して搬送しながら成膜することは可能ではあるが、支持の間隔が1m以上になると基材自重によるたわみが顕著になり、搬送不良や破損に繋がる恐れがある。一方、基材がシートや箔のように柔軟な場合には、ドラムに成膜面とは逆の面を接触させて把持し搬送することにより、成膜面をスパッタ源に露出させて成膜することができる。ドラムの直径を大きくすることにより、成膜面を長くすることは可能であるが、ドラムの直径が2mを超えるとスパッタ装置が巨大化し、回転軸の耐久性や精度を維持するのが困難となるのでよくない。また、人の身長を大きく上回る装置では作業が困難となり落下などの危険性も高まるので好ましくない。一般には直径1m程度のドラムを2台備え、各ドラムにスパッタカソードを4〜5台配置することで対処されているが、2つのドラム間に基材を渡すためには、成膜面に搬送ロールが接触してしまい、キズや汚れの原因となってしまうので良くない。また、従来のスパッタカソードでは小型化が困難なため、1つのドラムに対して5台以上のカソードを配置することは困難であったが、本発明ではカソードを小型するとともに、スパッタ粒子の放出角を小さくすることができるため、狭い空間でもスパッタ粒子の混合を抑制して多層膜を成膜することが容易に可能となる。
本発明のスパッタカソードは、一方がV字型に開いた対向型カソードと平行磁場を組み合わせることにより、高いスパッタ粒子取り出し効率と、プラズマ閉じ込め効果による低ダメージ化を実現することができる。また、対向電極面を1ブロック化することで小型化が図れるため、既存のスパッタ装置のスパッタカソードを本発明のスパッタカソードに交換することも容易となる。さらに、スパッタ粒子の放出角を基材に向けて狭く絞ることができるため、比較的狭い空間においてもスパッタ粒子の混合を抑制して界面の明瞭な多層膜を作成できる。
本発明のスパッタ源の磁力線を説明する図。 本発明のスパッタ源の磁束密度を説明する図。 実施例1のスパッタ源を説明する図。 実施例1のスパッタ源を説明する図。 実施例2のスパッタ源を説明する図。 実施例3のスパッタ源を説明する図。 実施例4のスパッタ装置を説明する図。 比較例のスパッタ源を説明する図。 比較例のスパッタ源を説明する図。
以下に本発明の実施形態について説明する。図1に本発明によるスパッタ源の断面構造と磁界シミュレーション結果の一例を示す。V字型に配置された非磁性の電極面を持つ電極1と、それを挟んでN極とS極が正対して配置された磁石2、および磁石の正対していない磁極同士が磁性体ヨーク3で繋がれている。また、電極1のV字型の溝には非磁性のターゲット材料5が設置されている。電極間のV字角度は60度、電極のV字型の溝深さは50mm、ターゲット5の厚みは10mmである。従って、ターゲット5のV字型の溝深さは約28.3mmである。また、磁石2は希土類計磁石などの強力なものがよい。図1では保磁力500kA/mのネオジウム磁石が68mm離れて対向している。磁石2の磁極間厚みは10mmである。磁石2は電極1と電気的に絶縁されていてもよいが、電極1と接しているほうが冷却された電極1との伝熱により冷却され易いのでよい。磁石1同士を繋ぐ磁性体ヨーク3は軟鉄などの透磁率の高い材料が好ましいが、ここでは耐食性なども考慮し比透磁率5000のSUS430としている。磁性体ヨーク3の厚みは5mm以上とすると漏れ磁束が少なくなるのでよい。磁極面から出る磁力線4は対向する磁極に向かって伸びており、電極間隙の磁束密度はほぼ平行かつ等間隔になっている。また、電極端面から伸びる磁束密度は上方に膨らんでいるが、電極面から出てターゲット5を貫く磁束はさほど電極間隙からはみ出していない。すなわち、プラズマを電極間隙に閉じ込めつつ、スパッタ粒子を図1上方のターゲット開口側に効率よく取り出すことが可能となっている。
図2に図1の電極間隙中心の磁束密度の計算結果を示す。グラフ縦軸は磁束密度、横軸は図1におけるターゲット5のV字型の溝の底部分から図上方への距離である。V字型の溝の底での磁束密度は0.3Tで、約7mm上方で最大約0.32Tとなり、V字型の溝の最上部の28mm地点では0.27Tである。この様に、電極間隙の磁束密度はほぼ均一であり、電極間隙に閉じ込められるプラズマ密度を均一化することができるため、ターゲット5を均一にスパッタし易くなる。
なお、本発明のスパッタカソードは、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更は可能である。
図3に、本発明を用いたスパッタ源の断面構造および磁界シミュレーション結果の一例を示す。磁石2は電極1の対向する電極面とは逆側、すなわち図の下側にそれぞれ10.5度開いている。この磁石配置により、磁力線は図の下側に押し下げられる形となり、図上方すなわちスパッタ粒子が取り出される方向に拡がるのを抑制できている。
図4に、図3の電極間隙中心の磁束密度の計算結果を示す。グラフ縦軸は磁束密度、横軸は図3におけるターゲット5のV字型の溝の底部分から図上方への距離である。V字型の溝の底での磁束密度は0.25Tで、約10mm上方で最大約0.28Tとなり、V字型の溝の最上部の28mm地点では0.23Tである。この様に、電極間隙の磁束密度は図2に示した磁石2を平行に正対させた場合よりも図下側への偏りが緩和されている。すなわち、電極間隙に閉じ込められるプラズマ密度をより均一化することができるため、ターゲット5をより均一にスパッタし易くなる。
図5に、本発明を用いたスパッタ源の断面構造および磁界シミュレーション結果の一例を示す。同一断面構造のカソードが3台配置されており、それぞれV字型の電極面を持つ電極1の下部には磁石2が配置され、磁石2を挟んで磁性体ヨーク3がV字型の電極面を挟んで対向配置されている。磁性体ヨーク3の磁極面は電極面のV字型に対してハの字型に対向配置している。また、電極面の上にはターゲット5が配置されている。磁石2の極性は同一方向を向いており、磁力線の一部は3つのカソードを繋ぐ磁気回路を形成していることがわかる。2つの電極間隙は電気的に絶縁されており、異なる電力を投入可能になっている。
図6に、本発明を用いたスパッタ源の具体的な構造の外観図の一例を示す。なお、説明のためシールド7の手前側半分は記載していない。電極は一体型の銅ブロックであり、V字型の溝が対向する電極面となっている。ターゲット5は台形型断面をしており、銅ブロックのV字型の溝にV字型に組み合わされて設置されている。ターゲット5は電極1のV字型の溝とターゲット固定治具6とで挟まれている。また、ターゲット5と電極1との間にはカーボンシートが挟まれており熱伝達を高めてある。また、ターゲット5とターゲット固定治具6との間にもカーボンシートを挟んで摺動性を確保し、ターゲットの熱膨張による応力を開放し易くしてある。磁石2は電極1の下部に配置され、厚み10mm×磁極方向長さ30mm×幅20mm、保磁力500kA/mのネオジウム系磁石を50個配置してある。また、磁石2を挟んで磁性体ヨーク3が配置され、電極1の電極面を磁束が貫く用に磁極が対向している。ターゲット5の対向角は60度で、ターゲット間の最大開口幅は40mmである。磁性体ヨーク3は比透磁率5000のSUS430で厚みは10mmである。シールド7を含むスパッタ源全体の寸法は、高さ86mm、幅108mm、長さ1000mmである。なお、図には示していないが、電極1には冷媒を流すための冷却孔を設けても良い。
図7に、本発明を用いた巻き取り式スパッタ装置の構造の一例を示す。真空容器9の内部に冷却可能な搬送ドラム10、基材繰り出し機構11、基材巻き取り機構12、スパッタ源13を備える。スパッタ源13は13台のカソードから成り、いずれも搬送ドラムに向けて所望の距離を隔てて配置されている。また、各スパッタカソードの間にはスパッタ粒子の混合を抑制する隔壁が備えられている。また、各スパッタカソードにはそれぞれ独立してプラズマ点灯用の電源14が接続されている。この様に、基材が繰り出されてから巻き取られるまでの間に、基材の成膜面には何も接触することなく一度に13層の多層膜を形成できるようになっている。
比較例
図8に、従来技術によるV字型対向ターゲットの磁界解析結果を示す。磁石2が電極1の背面接して電極1と平行に配置されていることと、これに合わせて磁性体ヨーク3の形状が異なる以外は図1と同条件である。電極間隙の磁力線4はV字型の溝の下部で密になり、いずれも上部に向かって弧を描いて湾曲しているとともに、電極上部を貫く磁力線4は電極間隙の外に大きくはみ出している。
図9に、図10の電極間隙中心の磁束密度の計算結果を示す。グラフ縦軸は磁束密度、横軸は図7におけるターゲット5のV字型の溝の底部分から図上方への距離である。V字型の溝の底での磁束密度は0.82Tで、上方に向かうに従って減少し、V字型の溝の最上部の28mm地点では0.36Tである。図2と比較するとグラフの傾きが大きく、電極間隙の磁束密度に偏りが大きいことがわかる。
本発明のスパッタカソードは、成膜される膜へのダメージ低減と、スパッタ粒子の取り出し効率の向上を両立した実用性の高いスパッタカソードを提供する。また、構造をシンプルにすることができるため、真空装置内へスパッタカソードを複数設置することが容易となる。従って、高品質透明電極、ガスバリアフィルム、太陽電池および光学フィルタなどの多層膜の製造を容易にすることができる。
1 : 電極
2 : 磁石
3 : 磁性体ヨーク
4 : 磁力線
5 : ターゲット
6 : ターゲット固定治具
7 : シールド
8 : 冷却孔
9 : 真空容器
10 : 搬送ドラム
11 : 基材繰り出し機構
12 : 基材巻き取り機構
13 : スパッタ源
14 : 電源

Claims (10)

  1. V字型に対向する電極面と、前記電極面を挟んで平行またはハの字型に磁極面を有したスパッタカソードを複数備え、前記それぞれの電極面を延長して重なる陵線が全て平行になる状態で前記スパッタカソードが隣り合わせて配列されていることを特徴とする、スパッタ源。
  2. 隣り合うスパッタカソードの磁極面が逆極性で対向していることを特徴とする、請求項1に記載のスパッタカソード
  3. 対向する電極面の成す各角度が30度〜120度の範囲にあることを特徴とする、請求項1または2に記載のスパッタ源。
  4. 対向する磁極面の成す各角度が無限大〜−30度の範囲にあることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のスパッタ源。
  5. 対向する電極面に挟まれる空間における磁束密度が0.03T以上あることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のスパッタ源。
  6. 対向する電極面同士の距離が100mm以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のスパッタ源。
  7. 電極面の長手方向の長さが300mm以上であることを特徴とする、請求項6に記載のスパッタ源。
  8. 一対の対向する電極面が同一金属ブロックの一部であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のスパッタ源。
  9. 真空に排気可能な同一空間に、基材を一定方向に一定速さで搬送可能な基材支持機構と、前記基材支持機構に向けてスパッタ粒子を供給するように配置された請求項1〜8のいずれかに記載のスパッタ源とを備えることを特徴とする、スパッタ装置。
  10. 請求項9のスパッタ装置を用いて、一度の基材搬送で6層以上の多層膜を形成することを特徴とする、多層膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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