JP2011057735A - 吸油性樹脂の製造方法及び吸油性樹脂 - Google Patents

吸油性樹脂の製造方法及び吸油性樹脂 Download PDF

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Abstract

【課題】非水溶性高分子重合体を出発物質としこれを改質、転換し、有機溶媒を吸収する能力に非常に優れた吸油性樹脂の製造方法及び吸油性樹脂を提供すること。
【解決手段】スチレンモノマー、アクリロニトリルモノマーを骨格に有する非水溶性高分子重合体を用いそのスチレン環に、スルホン酸基が導入され高分子電解質が形成され、プロトンイオン解離性基のプロトンが、炭素数が4以上、20以下のアルキル基を少なくとも1個有する第四級アンモニウムイオンによって置換され、アクリロニトリルモノマーのニトリル基がアミド基に変換される吸油性樹脂の製造方法である。非水溶性高分子重合体は、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、スチレン−アクリロニトリル(SAN)樹脂、アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン(AAS)樹脂等の何れかである。
【選択図】図1

Description

本発明は、吸油性樹脂の製造方法及び吸油性樹脂に関し、特に、非水溶性の高分子重合体を出発物質としこれを改質、転換することによる吸油性樹脂の製造方法及び吸油性樹脂に関する。
従来からポリアクリル酸ナトリウム塩の架橋体は、吸水性樹脂として種々の用途で使用されているが、水や尿の吸収量は高いものの、有機溶媒によってほとんど膨潤しないため、それら有機溶媒の吸収剤やゲル化剤としては応用されていない。
有機溶媒に対して吸収力を有する材料に関して、例えば、次に示す従来技術がある。
先ず、「非水系吸収体」と題する特許文献1には、次の記載がある。
特許文献1の発明において、非水系吸収体(B)は対象の有機溶媒を吸収、ゲル化させるために、分子内にカルボキシル基及び/又はスルホン酸基を有する構成単位を所定量含有し、且つ該カルボキシル基及び/又は該スルホン酸基のプロトンが、所定量オニウムカチオンで置換されてなる高分子(1)の架橋体(A)からなることを特徴とするとしている。
カルボキシル基及び/又はスルホン酸基を有する構成単位(a)としては、カルボキシル基を有するモノマー[例えば、(メタ)アクリル酸、エタアクリル酸、クロトン酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、ケイ皮酸、及びそれらの無水物等];スルホン酸基含有モノマー[例えば、脂肪族ビニルスルホン酸〔ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸等〕、(メタ)アクリレート型スルホン酸〔スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート等〕及び(メタ)アクリルアミド型スルホン酸〔アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等〕]等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を高分子(1)中の構成単位とすることができ、好ましくは炭素数3〜30のカルボキシル基及び/又はスルホン酸基を有する構成単位であるとしている。
また、オニウムカチオンとしては、第4級アンモニウムカチオン(I)、3級ホスホニウムカチオン(II)、第4級ホスホニウムカチオン(III)、3級オキソニウムカチオン(IV)からなるカチオンの群から選ばれる1種又は2種以上であるとしている。
また、「溶剤吸収性樹脂及びその製造方法」と題する特許文献2には、(1)親水性極性基が導入されている非水溶性樹脂からなる溶剤吸収性樹脂、(2)親水性極性基が、塩を形成していてもよいスルホ基、塩を形成していてもよい硫酸基、塩を形成していてもよいカルボキシル基、アミド基、ニトロ基、塩を形成していてもよい−PO(OH)2基、塩を形成していてもよい−OPO(OH)2基、塩を形成していてもよい水酸基、及び塩を形成していてもよいアミン塩基の少なくとも1種類以上であることを特徴とする前記(1)記載の樹脂が記載されている。
更に、「高分子ゲル」と題する特許文献3には、配位性の低い又は疎水性の高いアニオンをカウンターアニオンとして有する第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、第4級ピリジニウム、第4級イミダゾリニウムの何れか一種を有する高分子ゲルが記載されている。
以下の説明では、吸水性の「水」に対比して使用する「油」は、一般の有機溶媒を意味するものとし、「吸油性」は、一般の有機溶媒に対する吸収性を意味するものとする。
また、以下の説明では、数値範囲を表す際に記号として「〜」を使用するが、数値範囲を「NA〜NB」と表す場合、この数値範囲は「NA以上、NB以下」を意味するものとする。
従来技術では、液体吸収性樹脂(吸水性樹脂や吸油性樹脂)は、通常、対象とする液体に対して溶解能を有するモノマーに、架橋性モノマーを加えて重合することで製造されることが一般的である。
例えば、特許文献3に記載されるように、疎水性イオン対THA−TFPBを合成し、この疎水性イオン対THA−TFPBを親油性モノマーと架橋共重合し、吸油性を有する高分子ゲルを合成しているため、複雑な反応を実行させる必要があり、吸油性を有する高分子ゲルを安価に製造することが困難であり、また、合成反応、重合反応の実行には十分な安全対策が必要となる。
モノマーを出発物質として樹脂を合成する場合、原料となるモノマーは比較的高価なものが多く、また、重合後においても原料モノマーが未重合のまま製品樹脂中に一部残留すること等から、価格面や安全面で問題を有している。
一方、分子内にスチレンモノマーやアクリロニトリルモノマーを有するプラスチック又は樹脂、例えば、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、SAN(スチレン−アクリロニトリル)樹脂等を用いた製品の生産量は増加しており、これに伴い、これらの材料からなる廃材の発生量も増加する傾向があり、地球環境保全の関心の高まりから、これら廃材の有効利用に対するニーズも高まってきている。このような状況下で、これらの廃材については、さらなる再利用の用途拡大が期待されており、より付加価値の高いものへの改質に関する検討が望まれている。
ところで、上記のような汎用性プラスチック又は樹脂の廃材は、大きく分けて、埋め立て、焼却、再溶融の3種類の手法にて処理されている。この中でも、日本国内では、埋め立て処理と焼却による処理が全体の約9割を占め、廃材の殆どはリサイクルされていないのが現状である。また、汎用性プラスチック又は樹脂の廃材のリサイクル方法としては、加熱溶融し再成形する(但し、熱可塑性樹脂のみの場合)方法が一般的に行われているが、この場合、加熱による品質の劣化(例えば、樹脂の分解による分子量の低下、樹脂の酸化等)、ゴミ等の異物の混入、或いは、種々の着色剤を含有した樹脂が混入することにより色合わせが必要になる等の多くの問題があった。
本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、非水溶性の高分子重合体を出発物質としこれを改質、転換し、有機溶媒を吸収する能力に非常に優れた吸油性樹脂の製造方法及び吸油性樹脂を提供することにある。
即ち、本発明は、スチレン又はその誘導体に由来する構造単位であるスチレンモノマー、及び、アクリロニトリル又はその誘導体に由来する構造単位であるアクリロニトリルモノマーを骨格に有する非水溶性の高分子重合体(例えば、後述の実施の形態におけるABS樹脂、SAN樹脂、AAS樹脂)を用い、前記スチレンモノマーのスチレン環に、プロトン又はアルカリ金属イオンが解離されるイオン解離性基(例えば、後述の実施の形態におけるスルホン酸基−SO2(OH))を導入して高分子電解質を形成する第1の工程と、前記プロトン又は前記アルカリ金属イオンを、アルキル基を有するオニウムカチオン(例えば、後述の実施の形態における[N(CH3)4]+、[N(CH3(CH2)3)4]+、[N(CH3(CH2)5)4]+)によって置換する第2の工程とを有する、吸油性樹脂の製造方法に係るものである。
また、本発明は、スチレン又はその誘導体に由来する構造単位であるスチレンモノマー、及び、アクリロニトリル又はその誘導体に由来する構造単位であるアクリロニトリルモノマーを骨格に有する非水溶性の高分子重合体(例えば、後述の実施の形態におけるABS樹脂、SAN樹脂、AAS樹脂)の前記スチレンモノマーのスチレン環に、プロトン又はアルカリ金属イオンが解離されるイオン解離性基(例えば、後述の実施の形態におけるスルホン酸基−SO2(OH))が導入されて高分子電解質が形成され、前記プロトン又は前記アルカリ金属イオンが、アルキル基を有するオニウムカチオン(例えば、後述の実施の形態における[N(CH3)4]+、[N(CH3(CH2)3)4]+、[N(CH3(CH2)5)4]+)によって置換された、吸油性樹脂に係るものである。
本発明によれば、スチレン又はその誘導体に由来する構造単位であるスチレンモノマー、及び、アクリロニトリル又はその誘導体に由来する構造単位であるアクリロニトリルモノマーを骨格に有する非水溶性の高分子重合体を用い、前記スチレンモノマーのスチレン環に、プロトン又はアルカリ金属イオンが解離されるイオン解離性基を導入して高分子電解質を形成する第1の工程と、前記プロトン又は前記アルカリ金属イオンを、アルキル基を有するオニウムカチオンによって置換する第2の工程とを有するので、前記高分子重合体がスチレンモノマー、アクリロニトリルモノマーを有していれば吸油性樹脂を製造するための出発物質として使用することができ、通常の市販品の樹脂を出発物質である前記高分子重合体として使用することもできるが、汎用性プラスチック廃材等から得られる使用済みの樹脂を有効利用しこれを出発物質である前記高分子重合体として使用することもできるので、前記高分子重合体を特に合成する工程を必要とすることがなく、簡便な工程によって前記高分子重合体を改質、転換し、有機溶媒を吸収する能力が非常優れた吸油性樹脂を安価に製造することができる製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、スチレン又はその誘導体に由来する構造単位であるスチレンモノマー、及び、アクリロニトリル又はその誘導体に由来する構造単位であるアクリロニトリルモノマーを骨格に有する非水溶性の高分子重合体の前記スチレンモノマーのスチレン環に、プロトン又はアルカリ金属イオンが解離されるイオン解離性基が導入されて高分子電解質が形成され、前記プロトン又は前記アルカリ金属イオンが、アルキル基を有するオニウムカチオンによって置換されているので、前記高分子重合体がスチレンモノマー、アクリロニトリルモノマーを有していれば吸油性樹脂を製造するための出発物質として使用することができ、通常の市販品の樹脂を出発物質である前記高分子重合体として使用することもできるが、汎用性プラスチック廃材等から得られる使用済みの樹脂を有効利用しこれを出発物質である前記高分子重合体として使用することもできるので、前記高分子重合体を特に合成する必要がなく、前記高分子重合体を改質、転換し、安価であり、有機溶媒を吸収する能力が非常優れた吸油性樹脂を提供することができる。また、この吸油性樹脂は、水又は海水と有機溶媒の混合液からの有機溶媒の回収に使用するとことができ、更に、有機材料からなる、芳香剤、殺虫駆除剤、殺菌剤、防汚剤、燃料剤等を除放する除放性基材として使用することができ、付加価値の高い製品に適用することができる。
本発明の実施の形態における、吸油性樹脂の構成及び製造方法の概要を説明する図である。 同上、吸油性樹脂の製造に使用される非水溶性の樹脂に含まれるモノマーの例を説明する図である。 同上、スチレンモノマーとアクリロニトリルモノマーを骨格に有する非水溶性の樹脂の例を説明する図である。 本発明の実施例における、スチレンモノマーとアクリロニトリルモノマーを骨格に有する樹脂を用いた吸油性樹脂の製造方法の概要を説明する図である。 同上、スチレンモノマーとアクリロニトリルモノマーを骨格に有する樹脂を用いた吸油性樹脂の製造方法の詳細を説明する図である。 同上、吸油性樹脂の製造条件と硫黄含有量を説明する図である。 同上、吸油性樹脂による有機溶媒の吸収を説明する図である。 同上、吸油性樹脂による有機溶媒の吸収を説明する図である。 本発明の比較例において使用した樹脂を構成するモノマーを説明する図である。
本発明の吸油性樹脂の製造方法では、前記イオン解離性基がプロトン解離性基である構成とするのがよい。このような構成によれば、アルキルオニウム化合物としてハロゲン化塩、或いは、水酸化物等を使用し、解離される前記オニウムカチオンによって、プロトン解離性基のプロトンが容易に置換される。
また、前記プロトン解離性基が、スルホン酸基、硫酸基、スルホンイミド基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基の何れかである構成とするのがよい。このような構成によれば、前記スチレンモノマーの前記スチレン環に導入される前記プロトン解離性基に特別な限定を受けることがなく、親油性樹脂を製造することができる。
また、前記プロトン解離性基がスルホン酸基であり、前記第1の工程において、90質量%以上、97質量%以下の濃度の濃硫酸を用いて、前記スルホン酸基を導入する構成とするのがよい。このような構成によれば、前記スチレンモノマーの前記スチレン環への前記スルホン酸基の導入に際して、前記アクリロニトリルモノマーのニトリル基)−C≡Nのアミド基−CONH2への置換が起こり易くなり、吸油特性に優れた吸油性樹脂を製造することができる。濃硫酸の濃度が90質量%よりも低い場合、或いは、濃度が97質量%よりも高い場合には、前記スチレン環への前記スルホン酸基の導入が起こり難くなり、又、アクリロニトリルモノマーのニトリル基のアミド基−CONH2への置換が起こり難くなり、製造される吸油性樹脂の吸油特性が著しく低下してしまう。
また、80℃以上、100℃以下の温度で前記スルホン酸基を導入する構成とするのがよい。このような温度範囲の構成によれば、非水溶性の前記高分子重合体の分子鎖が切断されることなく、また、反応速度が実用的なものであり、吸油特性に優れた吸油性樹脂を製造することができる。温度が約80℃未満では、反応速度が遅く実用的ではなく、また、温度が約100℃を超えると、非水溶性の前記高分子重合体の分子鎖が切断され易くなり、水や溶媒に対して溶解してしまうため、吸油特性に優れた吸油性樹脂を製造することが困難となってしまう。
また、前記プロトン解離性基がスルホン酸基であり、吸油性樹脂中の硫黄分が5質量%〜15質量%である構成とするのがよい。吸油性樹脂に含有される前記スルホン酸基が、作製された吸油性樹脂の全重量に対し、硫黄分として5質量%〜15質量%であるような構成によれば、吸油特性が優れた吸油性樹脂を製造することができる。吸油性樹脂に含有される前記スルホン酸基が多すぎると、吸油性樹脂が水溶性を示してしまい、また、吸油性樹脂に含有されるスルホン酸基が少ないと、前記オニウムカチオンの導入量が低下し、吸油特性が低下してしまう。
また、前記オニウムカチオンは、炭素数が4以上、20以下であるアルキル基を少なくとも1個有する構成とするのがよい。このような構成によれば、炭素数が4以上、20以下であるアルキル基を少なくとも1個有するので、吸油特性が優れた吸油性樹脂を製造することができる。
また、前記オニウムカチオンが、アンモニウムカチオン(R1234N)+(但し、R1、R2、R3、R4の少なくとも1個がアルキル基である。)である構成とするのがよい。R1、R2、R3、R4の少なくとも1個は炭素数が4以上、20以下のアルキル基であればよく、残りは、水素原子H、炭素数が1以上、20以下のアルキル基の何れかであってもよい。アルキルアンモニウム化合物は、第一級から第四級アルキルアンモニウム化合物が多数知られており、上記の構成によれば、アルキル基の炭素数が選択されたアルキルアンモニウム化合物の使用によって、吸油特性が優れた吸油性樹脂を製造することができる。
また、前記オニウムカチオンが、ホスホニウムカチオン(R1234P)+(但し、R1、R2、R3、R4の少なくとも1個がアルキル基である。)である構成とするのがよい。R1、R2、R3、R4の少なくとも1個は炭素数が4以上、20以下のアルキル基であればよく、残りは、水素原子H、炭素数が1以上、20以下のアルキル基の何れかであってもよい。アルキルホスホニウム化合物は、第一級から第四級アルキルホスホニウム化合物が多数知られており、上記の構成によれば、アルキル基の炭素数が選択されたアルキルホスホニウム化合物の使用によって、吸油特性が優れた吸油性樹脂を製造することができる。
また、前記高分子重合体が、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、スチレン−アクリロニトリル(SAN)樹脂、アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン(AAS)樹脂、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン(ACS)樹脂、シリコーンゴム−アクリロニトリル−スチレン(SAS)樹脂、アクリロニトリル−エチレン・プロピレン・ジエンゴム−スチレン(SES)樹脂の少なくとも1種類以上である構成とするのがよい。このような構成によれば、通常の市販品、或いは、使用済みの各種の前記高分子重合体を出発物質とし、吸油特性に優れた吸油性樹脂を低コストで製造することができる。
本発明の吸油性樹脂では、前記イオン解離性基が、プロトン解離性基である構成とするのがよい。このような構成によれば、アルキルオニウム化合物としてハロゲン化塩、或いは、水酸化物等から解離される前記オニウムカチオンによって、プロトン解離性基のプロトンが容易に置換される。
また、前記プロトン解離性基がスルホン酸基、硫酸基、スルホンイミド基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基の何れかである構成とするのがよい。このような構成によれば、前記スチレンモノマーの前記スチレン環に導入される前記プロトン解離性基に特別な限定を受けることがない。
また、前記プロトン解離性基がスルホン酸基であり、吸油性樹脂中の硫黄分が5質量%〜15質量%である構成とするのがよい。吸油性樹脂に含有される前記スルホン酸基が、作製された吸油性樹脂の全重量に対して、硫黄分として5質量%〜15質量%であるような構成によれば、吸油性樹脂の吸油特性が優れたものとなる。吸油性樹脂に含有される前記スルホン酸基が多すぎると、吸油性樹脂が水溶性を示してしまい、また、吸油性樹脂に含有されるスルホン酸基が少ないと、前記オニウムカチオンの導入量が低下し、吸油特性が低下してしまう。
また、前記オニウムカチオンは、炭素数が4以上、20以下であるアルキル基を少なくとも1個有する構成とするのがよい。このような構成によれば、炭素数が4以上、20以下であるアルキル基を少なくとも1個有するので、吸油性樹脂の吸油特性が優れたものとなる。
また、前記オニウムカチオンが、アンモニウムカチオン(R1234N)+(但し、R1、R2、R3、R4の少なくとも1個がアルキル基である。)である構成とするのがよい。R1、R2、R3、R4の少なくとも1個は炭素数が4以上、20以下のアルキル基であればよく、残りは、水素原子H、炭素数が1以上、20以下のアルキル基の何れかであってもよい。アルキルアンモニウム化合物は、第一級から第四級アルキルアンモニウム化合物が多数知られており、上記の構成によれば、アルキル基の炭素数が選択されたアルキルアンモニウム化合物の使用によって、吸油性樹脂の吸油特性が優れたものとすることができる。
また、前記オニウムカチオンが、ホスホニウムカチオン(R1234P)+(但し、R1、R2、R3、R4の少なくとも1個がアルキル基である。)である構成とするのがよい。R1、R2、R3、R4の少なくとも1個は炭素数が4以上、20以下のアルキル基であればよく、残りは、水素原子H、炭素数が1以上、20以下のアルキル基の何れかであってもよい。アルキルホスホニウム化合物は、第一級から第四級アルキルホスホニウム化合物が多数知られており、上記の構成によれば、アルキル基の炭素数が選択されたアルキルホスホニウム化合物の使用によって、吸油性樹脂の吸油特性が優れたものとすることができる。
また、前記高分子重合体が、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、スチレン−アクリロニトリル(SAN)樹脂、アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン(AAS)樹脂、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン(ACS)樹脂、シリコーンゴム−アクリロニトリル−スチレン(SAS)樹脂、アクリロニトリル−エチレン・プロピレン・ジエンゴム−スチレン(SES)樹脂の少なくとも1種類以上である構成とするのがよい。このような構成によれば、通常の市販品、或いは、使用済みの各種の前記高分子重合体を出発物質とし、吸油特性に優れた吸油性樹脂を実現することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[実施の形態]
本発明の吸油性樹脂は、非水溶性高分子重合体を改質し転換して得られたものである。この非水溶性高分子重合体は、スチレン((C65)CH=CH2)又はその誘導体に由来する構造単位であるスチレンモノマー、及び、アクリロニトリル(CH2=CHCN)又はその誘導体に由来する構造単位であるアクリロニトリルモノマーを骨格に有している。非水溶性高分子重合体のスチレンモノマーのスチレン環には、プロトン又はアルカリ金属イオンが解離されるイオン解離性基が導入され高分子電解質とされており、プロトン又はアルカリ金属イオンが、アルキル基を有するオニウムカチオン(以下、単に「オニウムイオン」と表すこともある。)によって置換された構造を有している。
例えば、吸油性樹脂は、ABS樹脂を改質、転換してなる吸油性樹脂であり、ABS樹脂のスチレン環にスルホン酸基が導入され高分子電解質が形成され、プロトンがテトラブチルアンモニウムイオンによって置換され、アクリロニトリルモノマーのニトリル基(シアノ基)−C≡Nがアミド基−CONH2に置換されてなる吸油性樹脂である。この吸油性樹脂は、有機溶媒を吸収する能力に優れ、樹脂の乾燥時の自重に対する重量比(吸収倍率)として表すと、2−プロパノール、エタノール、N−メチルピロリドンからなる群から選ばれる有機溶媒に対する吸収倍率は、50倍〜420倍であり、非常に大きな値を示す。
本発明の吸油性樹脂は、薬剤を除放する除放性基材として使用することができ、この薬剤は有機材料からなるものであり、芳香剤、殺虫駆除剤、殺菌剤、防汚剤、燃料剤等の何れかが、吸油性樹脂に吸収されている。また、水又は海水と有機溶媒の混合液からの有機溶媒の回収に使用するとこともできる。
本発明の吸油性樹脂の製造方法は、スチレン又はその誘導体に由来する構造単位であるスチレンモノマー、及び、アクリロニトリル又はその誘導体に由来する構造単位であるアクリロニトリルモノマーを骨格に有する非水溶性高分子重合体を出発物質としこれを改質、転換することによる吸油性樹脂の製造方法であり、第1の工程、第2の工程を有する。
第1の工程は出発物質とする非水溶性高分子重合体のスチレンモノマーのスチレン環に、プロトン又はアルカリ金属イオンが解離されるイオン解離性基を導入して高分子電解質を形成する工程である。
第2の工程は、プロトン又はアルカリ金属イオンを、アルキル基を有するオニウムカチオンによって置換する第2の工程である。
第1の工程、第2の工程による簡便な工程によって、有機溶媒を吸収する能力に優れた吸油性樹脂を安価に得ることができる。
例えば、吸油性樹脂は、濃硫酸を作用させてABS樹脂のスチレン環にスルホン酸基を導入して高分子電解質を形成し、次に、スルホン酸基のプロトンをテトラブチルアンモニウムイオンによって置換し、ABS樹脂を吸油性樹脂に改質し、転換することができる。
<吸油性樹脂の構成とその製造方法>
図1は、本発明の実施の形態における、(A)吸油性樹脂の構成、(B)吸油性樹脂の製造方法の概要をそれぞれ説明する図である。
(吸油性樹脂の構成)
図1(A)に示すように、本発明の吸油性樹脂は、非水溶性高分子重合体(樹脂)を出発物質とするものであり、非水溶性高分子重合体が改質、転換されたものである。この非水溶性高分子重合体は、スチレン又はその誘導体に由来する構造単位であるスチレンモノマー、アクリロニトリル又はその誘導体に由来する構造単位であるアクリロニトリルモノマー、及び、スチレンモノマーとアクリロニトリルモノマーと異なるモノマーZ(後述する)を骨格に有している。モノマーZは、含有されない場合もある。吸油性樹脂の製造に使用される非水溶性の樹脂とこれに含まれるモノマーに関しては、後述する(図2、図3を参照。)。
なお、モノマーZは、スチレンの水素原子が置換された誘導体に由来する構造単位でもよく、アクリロニトリルモノマーは、アクリロニトリルの水素原子が置換された誘導体に由来する構造単位でもよく、モノマーZは、Zの水素原子が置換された誘導体に由来する構造単位でもよい。なお、kはアクリロニトリルモノマーの繰返しを示す整数、mはモノマーZの繰返しを示す整数、nは、スチレンモノマーの繰返しを示す整数である。
スチレンモノマーのスチレン環には、プロトンが解離されるイオン解離性基、又は、アルカリ金属イオンが解離されるイオン解離性基が導入され高分子電解質とされており、プロトン又はアルカリ金属イオンが、アルキル基を有するオニウムカチオンによって置換された構造を有している。
イオン解離性基は、2価の結合手を有する原子又は原子団をX、水素原子又はアルカリ金属原子をMと表す時、電離によりイオンが離脱し得る官能基であり、以下、イオン解離性基を−XMによって表すものとする。なお、以下では、イオン解離性基は解離して−X-−及びM+を生成するので−X-+と表すことがある。例えば、Mが水素原子の場合−X-+、Mがアルカリ金属原子の場合−X-+(−X-+のアルカリ金属塩に相当する。)のように表す。
(イオン解離性基)
イオン解離性基の例を次に示す(M=Hの場合の名称を()内に示す)。なお、M1、M2は同一でも異なっていてもよい。
スルホン酸基−SO2(OM)、硫酸基−OSO2(OM)、スルフィノ基−SO(OM)、スルフェノ基−S(OM)、ホスホン酸基−PO(OM1)(OM2)、リン酸基−OPO(OM1)(OM2)、スルホンアミド基−SO2N(OM1)(OM2)、ホスホノメチル基−CH2(PO(OM1)(OM2))、ジホスホノメチル基−CH(PO(OM1)(OM2))、ヒドロキシル基−OM、カルボキシル基−COOM。
出発物質として使用する非水溶性樹脂に1種類のみのイオン解離性基を導入してもよいし、2種類以上のイオン解離性基を導入してもよい。
(アルキル基を有するオニウムカチオン)
オニウムカチオンは、イオン解離性基のプロトン又はアルカリ金属イオンと置換されるアルキル基(炭素数は4以上、20以下である)を少なくとも1個有するアルキルオニウムカチオンである。このオニウムカチオンは、例えば、アルキルアンモニウムカチオン(以下、「アルキルアンモニウムイオン」と表すこともある。)[R1234N]+、又は、アルキルホスホニウムカチオン(以下、「アルキルホスホニウムイオン」と表すこともある。)[R1234P]+である。
ここで、R1、R2、R3、R4は互いに同一種又は異種であり、R1、R2、R3、R4の少なくとも1個は炭素数が4以上、20以下のアルキル基であり、残りは、水素原子H、炭素数が1以上、20以下のアルキル基の何れかであってもよい。この時、窒素原子N、燐原子PをQで表すと、本発明で使用されるアルキルオニウムイオンは、[R1234Q]+、[R123HQ]+、[R122Q]+、[R13Q]+の何れかである。本発明では、第一級アルキルオニウムイオン、第二級アルキルオニウムイオン、第三級アルキルオニウムイオン、第四級アルキルオニウムイオンの何れかを使用することができる。また、これらアルキルオニウムイオンにおけるアルキル基はその水素原子の一部又は全部がフッ素原子によって置換されたフッ化アルキル基であってもよい。
非水溶性樹脂が改質、変換されてなる親油性樹脂がより親油性を有するためには、アルキルオニウムイオンを構成する少なくとも1個のアルキル基の炭素数は4以上、20以下であることが望ましく、アルキル基の炭素数が4以上、20以下であれば、アルキルオニオニウムイオンが水溶性を示し、非水溶性樹脂が改質、変化されてなる親油性樹脂への導入が容易であるので、望ましい。
アルキルオニウムカチオンは、第一級アルキルオニウムイオン、第二級アルキルオニウムイオン、第三級アルキルオニウムイオン、第四級アルキルオニウムイオンの何れであってもよいが、親油性樹脂と各種の有機溶媒との相互作用が頻度高く生じるようにするためには、アルキル基の個数は多いほど望ましく、4個のアルキル基を含む第四級アルキルオニウムカチオンであることがより望ましい。
炭素数が4以上、20以下である具体的なアルキル基として、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル其、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等を挙げることができる。
例えば、オニウムカチオンは、第四級アンモニウムイオン[NH4]+のHがアルキル基によって置換された構造を有する、第四級アルキルアンモニウムイオン[R1234N]+であり、また、オニウムカチオンは、第四級ホスホニウムイオン[PH4]+のHがアルキル基によって置換された構造を有する第四級アルキルホスホニウムイオン[R1234P]+である。ここで、R1、R2、R3、R4は互いに同一種又は異種のアルキル基であり、R1、R2、R3、R4の少なくとも1個は炭素数が4以上、20以下のアルキル基であり、残りは、水素原子、炭素数が1以上、20以下のアルキル基であってもよい。
第四級アルキルアンモニウムイオンは、例えば、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、テトラへキシルアンモニウムイオン、テトラヘプチルアンモニウムイオン、テトラオクチルアンモニウムイオン、テトラキステトラデシルアンモニウムイオン、テトラヘキサデシルアンモニウムイオン、テトラオクタデシルアンモニウムイオン、トリメチルブチルアンモニウムイオン、ジメチルジブチルアンモニウムイオン、メチルトリブチルアンモニウムイオン、トリメチルヘキシルアンモニウムイオン、トリエチルヘキシルアンモニウムイオン、トリメチルオクチルアンモニウムイオン、ジメチルジオクチルアンモニウムイオン、ジブチルジオクチルアンモニウムイオン、メチルトリオクチルアンモニウムイオン、エチルトリオクチルアンモニウムイオン、ブチルトリオクチルアンモニウムイオン、トリメチルデシルアンモニウムイオン、ジメチルジデシルアンモニウムイオン、ジブチルジデシルアンモニウムイオン、メチルトリデシルアンモニウムイオン、ブチルトリデシルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、トリエチルドデシルアンモニウムイオン、トリブチルドデシルアンモニウムイオン、ジメチルジドデシルアンモニウムイオン、ジエチルジドデシルアンモニウムイオン、ジブチルジドデシルアンモニウムイオン、メチルトリドデシルアンモニウムイオン、エチルトリドデシルアンモニウムイオン、トリメチルテトラデシルアンモニウムイオン、トリエチルテトラデシルアンモニウムイオン、トリブチルテトラデシルアンモニウムイオン、ジメチルジテトラデシルアンモニウムイオン、ジエチルジテトラデシルアンモニウムイオン、ジブチルジテトラデシルアンモニウムイオン、メチルトリテトラデシルアンモニウムイオン、トリメチルヘキサデシルアンモニウムイオン、エチルジメチルヘキサデシルアンモニウムイオン、トリブチルヘキサデシルアンモニウムイオン、ジメチルジヘキサデシルアンモニウムイオン、ジエチルジヘキサデシルアンモニウムイオン、ジブチルジヘキサデシルアンモニウムイオン、メチルトリヘキサデシルアンモニウムイオン、トリメチルオクタデシルアンモニウムイオン、トリエチルオクタデシルアンモニウムイオン、トリブチルオクタデシルアンモニウムイオン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムイオン、ジエチルジオクタデシルアンモニウムイオン、ジブチルジオクタデシルアンモニウムイオン、トリメチルエイコサニルアンモニウムイオン、ジメチルジエイコサニルアンモニウムイオン、メチルトリエイコサニルアンモニウムイオン等である。
第四級アルキルホスホニウムイオンは、例えば、テトラブチルホスホニウムイオン、テトラペンチルホスホニウムイオン、テトラヘキシルホスホニウムイオン、テトラヘプチルホスホニウムイオン、テトラオクチルホスホニウムイオン、テトラキスデシルホスホニウムイオン、テトラキスドデシルホスホニウムイオン、テトラキスオクタデシルホスホニウムイオン、トリメチルブチルホスホニウムイオン、ジメチルジブチルホスホニウムイオン、メチルトリブチルホスホニウムイオン、エチルトリブチルホスホニウムイオン、トリエチルペンチルホスホニウムイオン、ジエチルジペンチルホスホニウムイオン、ヘキシルトリペンチルホスホニウムイオン、トリブチルヘキシルホスホニウムイオン、ブチルトリヘキシルホスホニウムイオン、エチルトリヘキシルホスホニウムイオン、トリメチルヘプチルホスホニウムイオン、トリエチルオクチルホスホニウムイオン、トリブチルオクチルホスホニウムイオン、トリヘキシルオクチルホスホニウムイオン、ジメチルジオクチルホスホニウムイオン、メチルトリオクチルホスホニウムイオン、エチルトリオクチルホスホニウムイオン、ブチルトリオクチルホスホニウムイオン、トリメチルデシルホスホニウムイオン、トリヘキシルデシルホスホニウムイオン、ジメチルジデシルホスホニウムイオン、
メチルトリデシルホスホニウムイオン、トリメチルドデシルホスホニウムイオン、トリエチルドデシルホスホニウムイオン、ジメチルジドデシルホスホニウムイオン、ジブチルジドデシルホスホニウムイオン、トリブチルドデシルホスホニウムイオン、トリメチルテトラデシルホスホニウムイオン、トリブチルテトラデシルホスホニウムイオン、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムイオン、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムイオン、トリオクチルテトラデシルホスホニウムイオン、ジメチルジテトラデシルホスホニウムイオン、メチルトリテトラデシルホスホニウムイオン、トリメチルヘキサデシルホスホニウムイオン、トリブチルヘキサデシルホスホニウムイオン、トリヘキシルヘキサデシルホスホニウムイオン、ジメチルジヘキサデシルホスホニウムイオン、ジブチルジヘキサデシルホスホニウムイオン、トリメチルオクタデシルホスホニウムイオン、トリブチルオクタデシルホスホニウムイオン、ジメチルジオクタデシルホスホニウムイオン、ジブチルジオクタデシルホスホニウムイオン、メチルトリオクタデシルホスホニウムイオン、エチルトリオクタデシルホスホニウムイオン、プロピルトリオクタデシルホスホニウムイオン、ブチルトリオクタデシルホスホニウムイオン、ヘプチルトリオクタデシルホスホニウムイオン、ドデシルトリオクタデシルホスホニウムイオン、トリメチルイソブチルホスホニウムイオン、メチルトリイソブチルホスホニウムイオン、イソブチルトリヘキシルホスホニウムイオン、イソブチルトリオクチルホスホニウムイオン、トリメチル(2,2‐ジメチルプロピル)ホスホニウム等である。
<吸油性樹脂の製造工程>
図1(B)に示すように、本発明の吸油性樹脂の製造方法は、スチレン又はその誘導体に由来する構造単位であるスチレンモノマー、及び、アクリロニトリル又はその誘導体に由来する構造単位であるアクリロニトリルモノマーを骨格に有する非水溶性高分子重合体を出発物質としこれを改質、転換することによる吸油性樹脂の製造方法である。
本発明の吸油性樹脂の製造方法は、出発物質として使用する非水溶性高分子重合体のスチレンモノマーのスチレン環に、プロトン又はアルカリ金属イオンが解離されるイオン解離性基を導入して高分子電解質を形成する第1の工程と、プロトン又はアルカリ金属イオンを、アルキル基を有するオニウムカチオンによって置換する第2の工程とを有している。
第1の工程において、スチレン環にイオン解離性基が導入される際に、スチレンモノマーのニトリル基(シアノ基)−C≡Nは、後述するように、親水性極性基であるアミド基−CONH2、又は、カルボン酸基−COOHに置換される。第1の工程の反応による反応生成物(通常、ゲル状である。)を濾過によって回収される。
この濾過回収物は、水中で十分に膨潤させた後、第2工程に供せられる。第2の工程では、イオン解離性基のプロトン又はアルカリ金属イオンは、オニウム化合物のオニウムカチオンによって置換される。第1の工程の反応による反応生成物(通常、ゲル状である。)は、好ましくは、濾過、水洗された後、乾燥又は脱水することによって、優れた吸油性樹脂を得ることができる。
本発明の吸油性樹脂の製造方法では、非水溶性の高分子重合体を出発物質としこれを改質、転換し、簡便な工程によって、有機溶媒を吸収する能力に優れた安価な吸油性樹脂の製造方法を実現することができる。また、出発物質として、使用済みの樹脂廃材を使用することができるため、資源の有効利用につながり省資源を進めることができ、地球環境保全に貢献することができる。
(出発物質とする非水溶性高分子重合体)
吸油特性が優れた吸油性樹脂を実現するためには、出発物質とする非水溶性高分子重合体は、アクリロニトリルモノマーを10モル%〜50モル%、スチレンモノマーを30モル%〜70モル%、より好ましくは、アクリロニトリルモノマーを25モル%〜40モル%、スチレンモノマーを40モル%〜60モル%を構成ユニットとして含有することが望ましい。
非水溶性樹脂材料の分子量(Mw)としては、特に限定はないが、重量平均分子量(Mw)が約1,000〜20,000,000程度、更には、約10,000〜1,000,000程度が一般的である。分子量が1,000より低いと、非水溶性樹脂材料への後述する親水性極性基の置換基の導入により、樹脂が水や有機溶媒に完全に溶解してしまいゲルとならず、吸油性樹脂を得ることができなくなる不都合を生じる。分子量が20,000,000より高いと親水性極性基の導入が困難となる不都合を生じる。
出発物質として使用する非水溶性樹脂は、新たに製造された未使用の粒状樹脂(バージンペレット)であってもよいし、特定の用途を目的として成形された使用済み非水溶性樹脂、又は、廃材であってもよい。この廃材としては、例えば、樹脂原料や成形品の生産過程での排出品(半端品)や、電気製品や自動車等に既に使用された筐体や各種部品材料を挙げることができる。この使用済み非水溶性樹脂とは、廃材等から回収される非水溶性樹脂をいう。
この廃材の排出場所としては、工場や販売店、家庭等からの何れであってもよいが、家庭等からの一般廃棄物よりは、工場や販売店等から回収されたもの(例えば、半端品等)の方が比較的組成が揃ったものが多いためより望ましい。
出発物質として使用する非水溶性樹脂として、スチレンモノマー及びアクリロニトリルモノマーを骨格に有する非水溶性樹脂とこれ以外の樹脂(ポリマー)とのポリーマーアロイを使用することもできる。出発物質として使用する非水溶性樹脂は、顔染料や安定剤、難燃剤、可塑剤、充填剤、硬化型接着剤、その他補助剤等の添加剤を含んだ廃材、又は、使用済み非水溶性樹脂であってもよい。或いは、使用済み非水溶性樹脂、又は、廃材と未使用(バージン)材料との混合物であってもよい。
本発明では、出発物質として非水溶性樹脂を使用し、モノマーの重合反応を使用せずに吸油性高分子を作製するので、モノマーが残留することなく、安全に、安価で得ることが可能である。
(スチレンモノマーのスチレン環へのイオン解離性基の導入)
スチレンモノマーのスチレン環へのイオン解離性基の導入は、次のようにして行う。スチレン環にスルホン酸基を導入する方法として、例えば、高分子重合体に、濃硫酸、発煙硫酸、二酸化硫黄、三酸化硫黄、硫酸アシル、クロロスルホン酸等のスルホン化剤を反応させる方法等がある。
また、スチレン環にホスホン基を導入する方法として、例えば、高分子重合体に、無水塩化アルミニウムの存在下、三塩化リンを反応させた後、アルカリ性水溶液中で加水分解する方法等がある。更に、スチレン環にカルボン酸基を導入する方法として、ハロゲン化鉄等の触媒の存在下、高分子重合体に、ハロゲンガスに接触させることによってハロゲン化し、更に、アルキルリチウムと反応させた後、二酸化炭素と反応させる方法等がある。
(アクリロニトリルモノマーへの親水性極性基の導入)
スチレンモノマーのスチレン環へイオン解離性基を導入する反応の際に、アクリロニトリルモノマーのニトリル基(シアノ基)−C≡Nは、反応液中に存在する水による加水分解反応によって、図1(A)に示すように、親水性極性基−Y(−Yは、アミド基−CONH2、又は、カルボン酸基−COOHである。)に置換されている。
本発明の吸油性樹脂は、親水性極性基−Yを有しているので、親水性と親油性(疎水性)を併せてもつ両親媒性有機溶媒は、親水性極性基−Y、及び、後述する親油性基であるアルキル基R1、R2、R3、R4によって、より吸収され易くなる。両親媒性有機溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールのような短鎖アルコール類、アセトン、N−メチル−2−ピロリドンのようなケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド等のその他の極性溶媒である。
(オニウムカチオンによるイオン解離性基のプロトン又はアルカリ金属イオンの置換)
イオン解離性基のプロトン又はアルカリ金属イオンと置換される、親油性基であるアルキル基を有するオニウムカチオンは、上述したように、アルキルアンモニウムカチオン[R1234N]+、又は、アルキルホスホニウムカチオン[R1234P]+を溶液中でアルキルオニウム化合物から生成される。
アルキルオニウム化合物は、水に1%以上溶解する化合物であり炭素数が4以上、20以下のアルキル基を有するものが好ましい。炭素数が3以下であるとアルキル基と、吸油性樹脂が吸収しようとする溶媒との親油特性が低下し、吸油性樹脂の吸油特性が低下する。
アルキルオニウム化合物は、アルキルアンモニウム化合物、又は、アルキルホスホニウム化合物であり、水に1%以上溶解するようなハロゲン化塩、或いは、水酸化物等である。アルキルオニウム化合物は、例えば、先に例示したような、第四級アルキルアンモニウムカチオン、第四級アルキルホスホニウムカチオンを含むハロゲン化塩、或いは、水酸化物等である。
例えば、第四級アルキルアンモニウム水酸化物を使用する場合、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラへキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリブチルアンモニウムヒドロキシド等を使用することができる。
<吸油性樹脂の用途>
本発明の吸油性樹脂は、種々の用途を有するが、例えば、工場から排出される廃溶媒の処理剤、例えば、溶媒を貯蔵しているタンクに液漏れが生じた場合の応急処理剤として有用である。また、水又は海水と有機溶媒の混合液からの有機溶媒の回収に使用するとこともできる。
更に、本発明の吸油性樹脂は、薬剤を除放する除放性基材として使用することができ、この薬剤は有機材料からなるものであり、芳香剤、殺虫駆除剤、殺菌剤、防汚剤、燃料剤等の何れかが、吸油性樹脂に吸収されている。
(吸油性樹脂で吸収可能な溶媒)
具体的に、本発明による吸油性樹脂によって吸収可能な溶媒としては、次に示す、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルキルエーテル類、脂肪酸、酸無水物類、エステル類、窒素化合物、硫黄化合物類、2つ以上の官能基をもつ化合物、その他を挙げることができる。
(炭化水素類):
プロパン、ブタン、ペンタン、2−メチルブタン、ヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、ヘプタン異性体、オクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、デカン、ドデカン、不飽和脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、ナフタレン、テトラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ジペンチルベンゼン、ドデシルベンゼン、ビフェニル、スチレン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ビシクロヘキシル、シクロヘキセン、α−ピネン、ジペンテン、デカリン、石油エーテル、石油ベンジン、石油ナフサ、リグロイン、工業ガソリン、灯油、ソルベントナフサ、ショウノウ油、テレビン油、パイン油。
(ハロゲン化炭化水素類):
塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチル、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、塩化プロピル、塩化イソプロピル、1,2−ジクロロプロパン、1,2,3−トリクロロプロパン、塩化アリル、塩化ブチル、塩化sec−ブチル、塩化イソブチル、塩化tert−ブチル、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、1−クロロナフタレン、塩素化ナフタレン、臭化メチル、ブロモホルム、臭化エチル、1,2−ジブロモエタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、臭化プロピル、臭化イソプロピル、ブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼン、1−ブロモナフタレン、フルオロベンゼン、ベンゾトリフルオリド、ヘキサフルオロベンゼン、クロロブロモメタン、トリクロロフロロメタン、1−ブロモ−2−クロロエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロ−1,2−ジフルオロエタン。
(アルコール類):
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタパノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、α−テレピネオール、アビエチノール、フーゼル油、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール。
(フェノール類):
フェノール、クレゾール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、キシレノール類、エーテル、アセタールジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ベラトール、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、ジオキサン、トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、シネオール、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル、クラウンエーテル、メチラール、アセタール。
(ケトン類):
アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、メシチルオキシド、ホロン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ショウノウ、シクロペンタノン。
(アルキルエーテル類):
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロキシフラン(THF)、ジオキサン。
(脂肪酸、酸無水物類):
ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物。
(エステル類):
ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、3−メトキシブチルアセテート、2−エチルブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸エステル類、イソ酪酸エステル類、イソ吉草酸エステル類、ステアリン酸エステル類、安息香酸エステル類、ケイ皮酸エチル、アビエチン酸エステル類、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、γ−ブチロラクトン、シュウ酸エステル類、マロン酸ジエチル、マレイン酸エステル類、酒石酸ジブチル、クエン酸トリブチル、セバシン酸エステル類、フタル酸エステル類、エチレングリコールモノアセテート、二酢酸エチレン、エチレングリコールエステル類、ジエチレングリコールモノアセテート、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、モノブチリン、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ホウ酸エステル類、リン酸エステル類。
(窒素化合物):
ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、α−トルニトリル、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、トリブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、アリルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピロール、ピペリジン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、キノリン、イソキノリン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオアミド、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ε−カプロラクタム、カルバミン酸エステル、尿素、アクリルアミドアクリルアミド。
(硫黄化合物類):
二硫化炭素、硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトン。
(2つ以上の官能基をもつ化合物):
2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、2−フェノキシエタノール、2−(ベンジルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)誘導体、ジアセトンアルコール、2−クロロエタノール、1−クロロ−2−プロパノール、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−ヒドロキシプロピオノニトリル、アセトンシアノヒドリン、2−アミノエタノール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、2,2’−チオジエタノールアミン、フルフラール、ビス(2−クロロエチル)エーテル、エピクロロヒドリン、o−ニトロソアニソール、モルホリン、N−エチルモルホリン、N−フェニルモルホリン、乳酸、乳酸エステル類、サリチル酸メチル、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、o−クロロアニリン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、シリコーンオイル類、塩化コリン。
(その他):ヘキサメチルホスホルアミド。以上が、本発明による吸油性樹脂によって吸収可能な溶媒の例である。
本発明に係る吸油性樹脂が、上記した溶媒に対して優れた吸油能力を有する理由は、本発明の吸油性樹脂が、非水溶性樹脂の骨格が有する親油性、非水溶性樹脂に導入された親水性極性基−Y、及び、スチレン環に導入されたイオン解離性基のプロトン又はアルカリ金属イオンと置換されたアルキルホスホニウムカチオンの親油性基(アルキル基)を高分子分子内に併せ有するため、種々の広範囲にわたる溶媒等の液体状、気体状等の化学物質を吸収又は吸着できるからであると考えられる。
上記した有機溶媒は、室温下で気体、液体、個体のそれぞれの状態をしていても特に問題はない。液体の場合は、吸油性樹脂をそのまま有機溶媒に添加しうることで、有機溶媒を吸収することができる。気体の場合は、液化した状態か、又は、吸油性樹脂をガス状の有機溶媒と接触させることで吸収させることができる。また、固体の場合は、固体を有機溶媒に溶かした状態、又は、溶融させた状態で吸油性樹脂に吸収させることができる。
以上に述べたように、方法いかんに問わず、非水溶性樹脂に親水性極性基、アルキルホスホニウムカチオンによる親油性基(アルキル基)を導入することで、有機溶媒の吸収性に優れた吸油性樹脂を製造することが可能となる。本発明の吸油性樹脂は所望により、他の成分、例えば、従来公知の液体吸収性樹脂(例えば、架橋性モノマーを加えて重合したもの)、安定剤、吸湿剤等を更に配合したものであってもよい。
吸油性樹脂の製造に使用される非水溶性の樹脂とこれに含まれるモノマーに関して、次に説明する。
<吸油性樹脂の製造に使用される樹脂に含まれるモノマー>
図2は、本発明の実施の形態における、吸油性樹脂の製造に使用される非水溶性の樹脂に含まれるモノマーの例を説明する図である。
図2(A)は、スチレンモノマーの構造を示しており、図1(A)では、このニトリル基(シアノ基)−C≡Nは、親水性極性基−Y(−Yは、アミド基−CONH2、又は、カルボン酸基−COOHである。)に置換されている。
図2(B)はアクリロニトリルモノマーの構造を示し、図1(A)では、スチレン環は、プロトン又はアルカリ金属イオンが解離されるイオン解離性基が導入され高分子電解質とされた後、プロトン又はアルカリ金属イオンが、アルキル基を有するオニウムカチオンによって置換された構造となっている。
図1に示すモノマーZの代表的な例は、図2(C)に示すブタジエンモノマー、図2(D)に示すアクリル酸エステルモノマー(Rは、例えば、メチル基である。)であり、この他に、図1に示す{Z}mを塩素化ポリエチレン、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)、シリコーンゴム(シリコーンゴム(VMQ)又はフルオロシリコーンゴム(FVMQ))等によって置換えることができる。
なお、以上説明したモノマーZ、或いは、{Z}mにおける水素原子は、親油性基によって置換されていてもよいし、或いは、スルホン酸基等のプロトンイオン解離性基によって置換されていてもよい。
<スチレンモノマーとアクリロニトリルモノマーを骨格に有し、吸油性樹脂の製造に使用される非水溶性の樹脂>
図3は、本発明の実施の形態における、吸油性樹脂の製造に使用される非水溶性の樹脂であり、スチレンモノマーとアクリロニトリルモノマーを骨格に有する樹脂の例を説明する図である。
非水溶性樹脂の代表的な例は、図3(A)に示すアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、図3(B)に示すスチレン−アクリロニトリル(SAN)樹脂、図3(C)に示す(アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン(AAS)樹脂である。図1(A)に示すものと同様に、k、m、nは、非水溶性高分子重合体の組成を示す整数である。吸油性樹脂の製造に使用可能なABS樹脂の組成は、k=10モル%〜50モル%、m=5モル%〜50モル%、n=30モル%〜70モル%である。また、吸油性樹脂の製造に使用可能なSAN樹脂の組成は、k=10モル%〜50モル%、n=30モル%〜70モル%であり、分子量は10000〜1000000である。また、吸油性樹脂の製造に使用可能なAAS樹脂の組成は、k=10モル%〜50モル%、m=5モル%〜50モル%、n=30モル%〜70モル%であり、分子量は10000〜1000000である。
図3(A)に示すABS(acrylonitrile butadiene styrene)樹脂は、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンの共重合であり、図3(B)に示すSAN(styrene-acrylonitrile)樹脂は、アクリロニトリル・スチレン(AS;acrylonitrile styrene)樹脂とも呼ばれ、図3(C)に示すAAS(acrylonitrile acrylate styrene)樹脂は、ABS樹脂のブタジエンゴム(ブタジエンモノマーによる{Z}m)をアクリルゴムに置換した構成を有する樹脂であり、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA;acrylate styrene acrylonitrile)樹脂とも呼ばれる。更に、図3に示す非水溶性高分子重合体の他に、次のものを使用することができる。
ABS樹脂のブタジエンゴム(ブタジエンモノマーによる{Z}m)を塩素化ポリエチレン(chlorinated polyethylene)で置換した構成を有するアクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン(ACS)樹脂、
ABS樹脂のブタジエンゴム(ブタジエンモノマーによる{Z}m)をEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)で置換した構成を有するアクリロニトリル−エチレン・プロピレン・ジエンゴム−スチレン(AES)樹脂、
ABS樹脂のブタジエンゴム(ブタジエンモノマーによる{Z}m)をシリコーンゴム(シリコーンゴム(VMQ)又はフルオロシリコーンゴム(FVMQ))で置換した構成を有するシリコーンゴム・アクリロニトリル・スチレン(SAS)樹脂。
なお、以上説明した非水溶性高分子重合体において、そのアクリロニトリルモノマー(−CH2=CHCN−)の水素原子をメチル基で置換したメタアクリロニトリルモノマー(−CH2=CCH3CN−)を、アクリロニトリルモノマーに置換えて使用することもできる。
次に、吸油性樹脂の製造と吸油性樹脂による有機溶媒の吸収性能に関する実施例について説明する。なお、吸油性樹脂として実施例1〜実施例5の試料を作成しその評価を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。
図4は、本発明の実施例における、スチレンモノマーとアクリロニトリルモノマーを骨格に有する非水溶性の樹脂を用いた吸油性樹脂の製造方法の概要を説明する図である。
図5は、図4に示した本発明の実施例における、スチレンモノマーとアクリロニトリルモノマーを骨格に有する樹脂を用いた吸油性樹脂の製造方法の詳細を説明する図である。
図4に示すように、先ず、スチレンモノマーとアクリロニトリルモノマーを骨格に有する非水溶性樹脂としてABS樹脂を用いこれを細片に粉砕し、粉砕よって得られた細片と濃硫酸を反応させて、非水溶性樹脂のスチレンモノマーのスチレン環にスルホン酸基を導入する反応を行い、反応終了後、ゲル状の反応生成物を濾過し回収した(図5も参照。)。
次に、図4、図5に示すように、ゲル状反応生成物を水中で十分に膨潤させた後、テトラアルキルアンモニウムヒドロオキシドとしてテトラブチルアンモニウムヒドロキシドを使用し、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(アルカリ性)を添加してpH5〜pH7の範囲内で中和処理を行い塩の形成を行った。スチレン環に導入されたスルホン酸基のプロトンがトラブチルアンモニウムカチオンで置換される置換反応の終了後、反応性生物を水洗濾過し回収し、回収物を乾燥した。このようにして、優れた吸油能を有する吸油性樹脂が得られた。
図5において、Zはブタジエンモノマーであり、{Z}mはブタジエンゴムである。また、スチレンモノマーのスチレン環へイオン解離性基としてスルホン酸基を導入する反応の際に、アクリロニトリルモノマーのニトリル基(シアノ基)−C≡Nは、反応液中の水により加水分解され、親水性極性基−Y(−Yは、アミド基−CONH2である。)に置換される。
テトラアルキルアンモニウムヒドロオキシドとして、以下に説明する実施例では、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドの他に、テトラへキシルアンモニウムヒドロキシドを使用し、比較例では、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを使用した。
イオン解離性基として、スルホン酸基−SO3Hの他に、基−SO3M(Mは、第四級アンモニウムカチオン、アルカリ金属カチオンである。)、硫酸基−OSO3H、基−OSO3M(Mは、第四級アンモニウムカチオン、アルカリ金属カチオンである。)を使用することができる。基−SO3M、基−OSO3Mはそれぞれ、スルホン酸基−SO3H、硫酸基−OSO3Hの塩に相当する。イオン解離性基として、スルホン酸基−SO3H、硫酸基−OSO3Hを使用することが望ましい。
非水溶性樹脂のスチレン環にスルホン酸基を導入する場合、好ましくは非水溶性樹脂と濃度90質量%〜97質量%の濃硫酸を直接反応させるか、若しくは、非水溶性樹脂を有機溶媒に溶解又は分散させた状態で、濃度90質量%〜97質量%の濃硫酸と反応させることが、望ましい。
使用する濃硫酸の濃度が90質量%よりも低い場合、或いは、濃度が97質量%よりも高い場合(例えば、発煙硫酸を使用する場合)には、スチレン環へのスルホン酸基の導入が起こり難くなり、又、アクリロニトリルモノマーのニトリル基(シアノ基)−C≡Nのアミド基−CONH2へ置換が起こり難くなり、この結果、得られる吸油性樹脂の吸油特性が著しく低下する。
非水溶性樹脂のスチレン環にスルホン酸基を導入するための反応温度は、有機溶媒の使用の有無で大きく異なるが、好ましくは、約80℃〜約100℃である。反応温度が約80℃未満では、反応速度が遅く実用的ではない。また、反応温度が約100℃を超えると、非水溶性樹脂の分子鎖が切断され易くなり、水や溶媒に対して溶解してしまう。反応時間は反応温度によって大きく異なるが、概ね5分〜240分であり、反応をより充分に進行させて吸油性樹脂の生産効率を高めるためには、好ましくは10分〜120分である。
吸油性樹脂に含有されるスルホン酸基は、作製された吸油性樹脂の全重量に対し、硫黄分として5質量%〜15質量%であることが望ましい。吸油性樹脂に含有されるスルホン酸基が多すぎると、非水溶性樹脂の改質、転換物が水溶性を示してしまい、吸油性樹脂として使用できなくなる。また、非水溶性樹脂に導入されるスルホン酸基が少ないと、吸水効果が低下し非水溶性樹脂への第四級アルキルアンモニウムカチオンの導入量が低下し、その結果、非水溶性樹脂の改質、転換物の吸油特性が低下する。
なお、上記の濃硫酸やテトラアルキルアンモニウムヒドロオキシドは未使用(バージン)剤であってもよいし、若しくは、工場より排出された廃液であってもよいし、再生処理品であってもよい。資源の有効利用の観点では、廃液を吸油性樹脂の作製に使用することがより好ましい。
本発明の実施例では、非水溶性樹脂のスチレンタ環にスルホン酸基を導入し、アクリロニトリルモノマーのニトリル基(シアノ基)−C≡Nは、親水性極性基であるアミド基−CONH2に置換され、更に、スチレン環に導入されたスルホン酸基のプロトンはテトラアルキルアンモニウムカチオンで置換される。
この結果、テトラアルキルアンモニウムカチオンのアルキル基R1、R2、R3、R4、及び、アミド基−CONH2によって、有機溶媒に対する吸収性を増加させる効果が付与されると共に、各種溶媒に溶解してしまうことを防止する効果が付与された吸油性樹脂が得られることになる。
また、本発明の吸油性樹脂は、親水性極性基であるアミド基−CONH2を有しているので、親水性と親油性(疎水性)を併せてもつ両親媒性有機溶媒は、親水性極性、アミド基−CONH2及び、親油性のアルキル基(テトラアルキルアンモニウムカチオンのアルキル基)R1、R2、R3、R4によって、より吸収され易くなる。
図6は、本発明の実施例における、吸油性樹脂の製造条件と硫黄含有量を説明する図である。
[実施例1]
使用済みとなったビデオ8mmカセットの黒色部分(ABS樹脂、スチレン;50モル%、アクリロニトリル;39モル%、ブタジエン;11モル%(図3(A)において、k:m:n=39:11:50である。))の粉砕物(16メッシュ〜32メッシュの分級物)を、濃硫酸(90質量%)を用いて100℃で30分間反応させた。反応終了後、反応終了系中のゲル物をグラスフィルターで濾過し、濾過物を蒸留水中で1時間、膨潤させた後、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBA−OH)40%水溶液(MP Biomedicals, Inc.製)にて中和処理を行った後、水洗濾過を行った。
水洗濾過されたものを循風乾燥器にて105℃で2時間乾燥を行った。硫黄の元素分析結果より、ABS樹脂の改質、転換物中の硫黄含有量は7.9質量%であることが確認された。また、使用したABS樹脂のアクリロニトリルモノマーのニトリル基のアミド基への変換がFT−IRの測定結果より確認された。このようにして得られた樹脂による有機溶媒の吸収性能を調べた(図7、図8を参照。)。
[実施例2]
実施例1において、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド(THA−OH)40%水溶液(FLUKA製)による中和処理を行った以外は、同一の処理を行った。このようにして得られた樹脂による有機溶媒の吸収性能を調べた(図7、図8を参照。)。
[実施例3]
業務用テープのリール材(AS樹脂、分子量約110000、スチレン;56モル%、アクリロニトリル;44モル%(図3(B)において、k:n=44:56である。))の粉砕物(16メッシュ〜32メッシュの分級物)を、濃硫酸(97質量%)を用いて100℃で30分間反応させた。反応終了後、反応終了系中のゲル物をグラスフィルターで濾過し、濾過物を蒸留水中で1時間、膨潤させた後、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド(THA−OH)40%水溶液(FLUKA製)にて中和処理を行った後、水洗濾過を行った。
水洗濾過されたものを循風乾燥器にて105℃で2時間乾燥を行った。硫黄の元素分析結果より、AS樹脂の改質、転換物中の硫黄含有量は13.4質量%であることが確認された。また、使用したAS樹脂のアクリロニトリルモノマーのニトリル基のアミド基への変換がFT−IRの測定結果より確認された。このようにして得られた樹脂による有機溶媒の吸収性能を調べた(図7、図8を参照。)。
[実施例4]
実施例3で使用したものと同じ業務用テープのリール材(AS樹脂)の粉砕物(16メッシュ〜32メッシュの分級物)を、濃硫酸(90質量%)を用いて80℃で120分間反応させた。反応終了後、反応終了系中のゲル物をグラスフィルターで濾過し、濾過物を蒸留水中で1時間、膨潤させた後、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド(THA−OH)40%水溶液(FLUKA製)にて中和処理を行った後、水洗濾過を行った。
水洗濾過されたものを循風乾燥器にて105℃で2時間乾燥を行った。硫黄の元素分析結果より、AS樹脂の改質、転換によって得られた中の硫黄含有量は8.4質量%であることが確認された。また、使用したAS樹脂のアクリロニトリルモノマーのニトリル基のアミド基への変換がFT−IRの測定結果より確認された。このようにして得られた樹脂による有機溶媒の吸収性能を調べた(図7、図8を参照。)。
[実施例5]
実施例1で使用したものと同じ使用済みとなったビデオ8mmカセットの黒色部分(ABS樹脂)の粉砕物(16メッシュ〜32メッシュの分級物)を、濃硫酸(90質量%)を用いて120℃で10分間反応させた。反応終了後、反応終了系中のゲル物をグラスフィルターで濾過し、濾過物を蒸留水中で1時間、膨潤させた後、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBA−OH)40%水溶液(MP Biomedicals, Inc.製)にて中和処理を行った後、水洗濾過を行った。
水洗濾過されたものを循風乾燥器にて105℃で2時間乾燥を行った。硫黄の元素分析結果より、ABS樹脂の改質、転換によって得られた中の硫黄含有量は7.4質量%であることが確認された。また、使用したABS樹脂のアクリロニトリルモノマーのニトリル基のアミド基への変換がFT−IRの測定結果より確認された。このようにして得られた樹脂による有機溶媒の吸収性能を調べた(図7、図8を参照。)。
[比較例1]
実施例1で使用したものと同じ使用済みとなったビデオ8mmカセットの黒色部分(ABS樹脂)の粉砕物(16メッシュ〜32メッシュの分級物)を、濃硫酸(90質量%)を用いて100℃で30分間反応させた。反応後のpHは3.08であった。次に、反応終了系中のゲル物をグラスフィルターで濾過し水洗濾過を行った。
水洗濾過されたものを循風乾燥器にて105℃で2時間乾燥を行った。硫黄の元素分析結果より、ABS樹脂の改質、転換によって得られた中の硫黄含有量は7.9質量%であることが確認された。また、使用したABS樹脂のアクリロニトリルモノマーのニトリル基のアミド基への変換がFT−IRの測定結果より確認された。このようにして得られた樹脂による有機溶媒の吸収性能を調べた(図7、図8を参照。)。なお、比較例1では、ABS樹脂の改質、転換物は、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド水溶液による中和処理はなされていない。
[比較例2]
比較例1で得られたサンプルに対して、15%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TMA−OH)(和光純薬製)による中和処理を行った以外は、比較例1と同一の処理を行った。このようにして得られた樹脂による有機溶媒の吸収性能を調べた(図7、図8を参照。)。
[比較例3]
実施例3で使用したものと同じ業務用テープのリール材(AS樹脂)の粉砕物(16メッシュ〜32メッシュの分級物)を、濃硫酸(97質量%)を用いて100℃で30分間反応させた。反応終了後、反応終了系中のゲル物をグラスフィルターで濾過し、濾過物を蒸留水中で1時間、膨潤させた後、10%アンモニア水溶液(和光純薬製)にて中和処理を行った後、水洗濾過を行った。
水洗濾過されたものを循風乾燥器にて105℃で2時間乾燥を行った。硫黄の元素分析結果より、AS樹脂の改質、転換によって得られた中の硫黄含有量は13.4質量%であることが確認された。また、使用したAS樹脂のアクリロニトリルモノマーのニトリル基のアミド基への変換がFT−IRの測定結果より確認された。このようにして得られた樹脂による有機溶媒の吸収性能を調べた(図7、図8を参照。)。
[比較例4]
実施例3で使用したものと同じ業務用テープのリール材(AS樹脂)の粉砕物(16メッシュ〜32メッシュの分級物)を、濃硫酸(97重量%)を用いて25℃で30分間反応させた。反応終了後、反応終了系中のゲル物をグラスフィルターで濾過し、濾過物を蒸留水中で1時間、膨潤させた後、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド(THA−OH)40%水溶液(FLUKA製)にて中和処理を行った後、水洗濾過を行った。
水洗濾過されたものを循風乾燥器にて105℃で2時間乾燥を行った。硫黄の元素分析結果より、AS樹脂の改質、転換によって得られた中の硫黄含有量は3.4質量%であることが確認された。また、使用したAS樹脂のアクリロニトリルモノマーのニトリル基のアミド基への変換がFT−IRの測定結果より確認された。このようにして得られた樹脂による有機溶媒の吸収性能を調べた(図7、図8を参照。)。
[比較例5]
実施例1で使用したものと同じ使用済みとなったビデオ8mmカセットの黒色部分(ABS樹脂)の粉砕物(16メッシュ〜32メッシュの分級物)を、濃硫酸(85質量%)を用いて100℃で30分間反応させた。反応終了後、反応終了系中のゲル物をグラスフィルターで濾過し、濾過物をメタノール中で24時間、膨潤させた後、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド(THA−OH)40%水溶液(FLUKA製)にて中和処理を行った後、水洗濾過を行った。
水洗濾過されたものを循風乾燥器にて105℃で2時間乾燥を行った。硫黄の元素分析結果より、ABS樹脂の改質、転換によって得られた中の硫黄含有量は4.1質量%であることが確認された。また、使用したABS樹脂のアクリロニトリルモノマーのニトリル基のアミド基への変換がFT−IRの測定結果より確認された。このようにして得られた樹脂による有機溶媒の吸収性能を調べた(図7、図8を参照。)。
[比較例6]
実施例3で使用したものと同じ業務用テープのリール材(AS樹脂)の粉砕物(16メッシュ〜32メッシュの分級物)を、濃硫酸(90質量%)を用いて60℃で30分間反応させた。反応終了後、反応終了系中のゲル物をグラスフィルターで濾過し、濾過物を蒸留水中で1時間、膨潤させた後、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド(THA−OH)40%水溶液(FLUKA製)にて中和処理を行った後、水洗濾過を行った。
水洗濾過されたものを循風乾燥器にて105℃で2時間乾燥を行った。硫黄の元素分析結果より、AS樹脂の改質、転換によって得られた樹脂中の硫黄含有量は5.7質量%であることが確認された。また、使用したAS樹脂のアクリロニトリルモノマーのニトリル基のアミド基への変換がFT−IRの測定結果より確認された。このようにして得られた樹脂による有機溶媒の吸収性能を調べた(図7、図8を参照。)。
図9は、本発明の比較例において使用した樹脂を構成するモノマーを説明する図である。
[比較例7]
市販の高分子電解質ゲルであるN−ビニルアセトアミド架橋物(NA−010、昭和電工製)による有機溶媒の吸収性能を調べた(図7、図8を参照。)。比較例7の樹脂を構成するモノマーを図9(A)に示す。
[比較例8]
市販のポリスチレン樹脂(PSジャパン製、型番HF−77、分子量約280000)の粉砕物(16メッシュ〜32メッシュの分級物)を、濃硫酸(96質量%)を用いて90℃で30分間反応させた。反応終了後、反応終了系中の固形物をグラスフィルターで濾過し、濾過物を蒸留水中に、24時間、浸透させたが、固形物は膨順しなかった。このポリスチレン樹脂の改質、転換によって樹脂を得ることができなかった。比較例8で使用した樹脂を構成するモノマーを図9(B)に示す。
[比較例9]
試薬のポリアクリロニトリル樹脂(アルドリッチ製、型番181315、分子量約150000)の粉砕物(16メッシュ〜32メッシュの分級物)を、濃硫酸(96質量%)を用いて90℃で30分間反応させた。反応終了後、樹脂は水溶性を示し、ゲル状の固形物を得ることができなかった。このポリアクリロニトリル樹脂の改質、転換によって樹脂を得ることができなかった。比較例9で使用した樹脂を構成するモノマーを図9(C)に示す。
<吸油性樹脂による有機溶媒の吸収性能>
実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例7において得られた樹脂に関する溶媒吸収量を比較した。浸漬前の乾燥状態のサンプル重量を測定し、室温下、多量の各種有機溶媒のそれぞれの中に各サンプルを1時間、浸漬させた後、浸漬後のサンプル重量を測定し、吸収倍率(=浸漬後のサンプル重量(g)/浸漬前のサンプル重量(g))を求め、各有機溶媒に対する吸収性能の比較を行った。有機溶媒として、2−プロパノール、エタノール、N−メチルピロリドンを使用した。
図7は、本発明の実施例における、吸油性樹脂による有機溶媒の吸収性能を説明する図であり、2−プロパノール、エタノール、N−メチルピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミドを例にとって、吸油性樹脂による有機溶媒の吸収倍率(g/g)を説明する図であり、図8は、図7に示す結果をグラフによって示す図である。
図7、図8に示す結果から、実施例1及び実施例2と比較例1を比較すると、第四級アンモニウムヒドロキシドとしてそれぞれTBA−OH、TMA−OHを用いて中和処理を行った実施例1と実施例2の樹脂による吸油特性は、第四級アルキルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて中和処理を行っていない比較例1の樹脂による吸油特性よりも格段に優れているのがわかる。
実施例1及び実施例2と、第四級アンモニウムヒドロキシドとしてTMA−OHを用いて中和処理を行った比較例2を比較すると、炭素数4のブチル基を有するTBA−OHを用いた実施例1で得られた樹脂による吸油特性、及び、炭素数8のへキシル基を有するTHA−OHを用いた実施例2で得られた樹脂による吸油特性は、炭素数1のメチル基を有するTMA−OHを用いた比較例2で得られた樹脂による吸油特性も優れているのがわかる。
実施例1及び実施例2と、炭素数が0であるアンモニウム水溶液を用いて中和処理を行った比較例3を比較すると、実施例1で得られた樹脂、及び、実施例2で得られた樹脂による吸油特性は、比較例3で得られた樹脂による吸油特性よりも格段に優れているのがわかる。
なお、実施例1、実施例2において、硫酸処理後のサンプルのエタノール浸漬による吸収倍率は約5であり、比較例3と同程度であったが、TBA−OH、THA−OHを用いたスルホン酸基のプロトンイオンのテトラアルキルアンモニウムカチオン置換によって、吸収倍率は、図7に示すように100〜120となり、吸収倍率は約20倍以上大きなものとなった。このことは、スルホン酸基のプロトンイオンのアルキルアンモニウムカチオン置換によって、吸収倍率が格段に向上したことを示している。
濃度90質量%〜97質量%の濃硫酸を使用し、反応温度90℃〜120℃で、反応時間を10分〜120分とした実施例3〜実施例5で得られた樹脂には、スルホン酸基の導入に起因する硫黄が7.4質量%〜13.4質量%含有されており、しかも、実施例3〜実施例5で得られた樹脂による吸油特性が優れているのがわかる。
一方、濃度97質量%の濃硫酸を使用し、反応温度25℃で、反応時間を30分とした比較例4で得られた樹脂における硫黄の含有量は3.4質量%である。濃度85質量%の濃硫酸を使用し、反応温度100℃で、反応時間を30分とした比較例5で得られた樹脂における硫黄の含有量は4.1質量%である。濃度90質量%の濃硫酸を使用し、反応温度60℃で、反応時間を30分とした比較例6で得られた樹脂における硫黄の含有量は5.7質量%である。
比較例4〜比較例6で得られた樹脂における硫黄の含有量は、実施例1、実施例3〜実施例5で得られた樹脂における硫黄の含有量よりも少ない。また、比較例4〜比較例5で得られた樹脂による吸油特性は、実施例3〜実施例5で得られた樹脂による吸油特性と比較しても低い。
比較例6で得られた樹脂による吸油特性は、比較例7で得られた樹脂による吸油特性よりも優れ、比較例4、比較例5で得られた樹脂のN−メチルピロリドンによる吸油特性は、比較例7で得られた樹脂による吸油特性よりも優れているのがわかる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、非水溶性の高分子重合体を出発物質としこれを改質、転換し、有機溶媒の吸収性に優れ安価な吸油性樹脂の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、吸油性樹脂の作製のための出発物質として、使用済みの樹脂廃材を使用することができるため、資源の有効利用につながり、地球の環境保全に貢献することができる。
更に、本発明による吸油性樹脂は、メタノール、IPA(イソプロピルアルコール)等のアルコール吸収特性が高いので、半導体プロセスにおける揮発性有機化合物(VOC)除去、燃料電池のメタノール燃料の固形化用途に使用できる可能性を有しており、広い技術分野での応用が考えられる。
以上、本発明を実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形が可能である。
本発明によれは、非水溶性の高分子重合体を出発物質としこれを改質、転換して、有機溶媒の吸収性に優れ安価な吸油性樹脂の製造方法及び吸油性樹脂を提供することができる。
特開2003−251178号公報(段落0006、段落0010) 特開2002−212223号公報(段落0007) 特開2008−69206号公報(段落0008)

Claims (18)

  1. スチレン又はその誘導体に由来する構造単位であるスチレンモノマー、及び、アクリ
    ロ二トリル又はその誘導体に由来する構造単位であるアクリロニトリルモノマーを骨格
    に有する非水溶性の高分子重合体を用い、前記スチレンモノマーのスチレン環に、プロ
    トン又はアルカリ金属イオンが解離されるイオン解離性基を導入して高分子電解質を形
    成する第1の工程と、
    前記プロトン又は前記アルカリ金属イオンを、アルキル基を有するオニウムカチオン
    によって置換する第2の工程と
    を有する、吸油性樹脂の製造方法。
  2. 前記イオン解離性基がプロトン解離性基である、請求項1に記載の吸油性樹脂の製造方法。
  3. 前記プロトン解離性基が、スルホン酸基、硫酸基、スルホンイミド基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基の何れかである、請求項2に記載の吸油性樹脂の製造方法。
  4. 前記プロトン解離性基がスルホン酸基であり、前記第1の工程において、90質量%以上、97質量%以下の濃度の濃硫酸を用いて、前記スルホン酸基を導入する、請求項2に記載の吸油性樹脂の製造方法。
  5. 80℃以上、100℃以下の温度で前記スルホン酸基を導入する、請求項4に記載の吸油性樹脂の製造方法。
  6. 前記プロトン解離性基がスルホン酸基であり、吸油性樹脂中の硫黄分が5質量%〜15質量%である、請求項3に記載の吸油性樹脂の製造方法。
  7. 前記オニウムカチオンは、炭素数が4以上、20以下であるアルキル基を少なくとも1個有する、請求項1に記載の吸油性樹脂の製造方法。
  8. 前記オニウムカチオンが、アンモニウムカチオン(R1234N)+(但し、R1、R2、R3、R4の少なくとも1個がアルキル基である。)である、請求項7に記載の吸油性樹脂の製造方法。
  9. 前記オニウムカチオンが、ホスホニウムカチオン(R1234P)+(但し、R1、R2、R3、R4の少なくとも1個がアルキル基である。)である、請求項7に記載の吸油性樹脂の製造方法。
  10. 前記高分子重合体が、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン樹脂、シリコーンゴム−アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−エチレン・プロピレン・ジエンゴム−スチレン樹脂の少なくとも1種類以上である、請求項1に記載の吸油性樹脂の製造方法。
  11. スチレン又はその誘導体に由来する構造単位であるスチレンモノマー、及び、アクリロニトリル又はその誘導体に由来する構造単位であるアクリロニトリルモノマーを骨格に有する非水溶性の高分子重合体の前記スチレンモノマーのスチレン環に、プロトン又はアルカリ金属イオンが解離されるイオン解離性基が導入されて高分子電解質が形成され、前記プロトン又は前記アルカリ金属イオンが、アルキル基を有するオニウムカチオンによって置換された、吸油性樹脂。
  12. 前記イオン解離性基が、プロトン解離性基である、請求項11に記載の吸油性樹脂。
  13. 前記プロトン解離性基がスルホン酸基、硫酸基、スルホンイミド基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基の何れかである、請求項12に記載の吸油性樹脂。
  14. 前記プロトン解離性基がスルホン酸基であり、吸油性樹脂中の硫黄分が5質量%〜15質量%である、請求項13に記載の吸油性樹脂。
  15. 前記オニウムカチオンは、炭素数が4以上、20以下であるアルキル基を少なくとも1個有する、請求項11に記載の吸油性樹脂。
  16. 前記オニウムカチオンが、アンモニウムカチオン(R1234N)+(但し、R1、R2、R3、R4の少なくとも1個がアルキル基である。)である、請求項15に記載の吸油性樹脂。
  17. 前記オニウムカチオンが、ホスホニウムカチオン(R1234P)+(但し、R1、R2、R3、R4の少なくとも1個がアルキル基である。)である、請求項15に記載の吸油性樹脂。
  18. 前記高分子重合体が、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン樹脂、シリコーンゴム−アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−エチレン・プロピレン・ジエンゴム−スチレン樹脂の少なくとも1種類以上である、請求項11に記載の吸油性樹脂。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108355626A (zh) * 2018-03-02 2018-08-03 中国科学院广州能源研究所 一种改性苯乙烯系吸附树脂、其制备方法及其在木质纤维素水解液的精制上的应用

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108355626A (zh) * 2018-03-02 2018-08-03 中国科学院广州能源研究所 一种改性苯乙烯系吸附树脂、其制备方法及其在木质纤维素水解液的精制上的应用
CN108355626B (zh) * 2018-03-02 2021-08-03 中国科学院广州能源研究所 一种改性苯乙烯系吸附树脂、其制备方法及其在木质纤维素水解液的精制上的应用

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