以下、図1〜図11に基づき、本発明の実施形態を説明する。但し、本実施形態に記載されている構成等の各要素は、発明の範囲を限定せず、単なる説明例にすぎない。
(画像形成装置の概略構成)
まず、図1及び2に基づき、本実施形態に係る複合機100(画像形成装置に相当)の概略を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る複合機100の構成の一例を示す正面模型的断面図である。図2は、本発明の実施形態に係る画像形成ユニット50の構成の一例を示す拡大模型的断面図である。
図1に示すように、本実施形態の複合機100は、最上部に原稿カバー1aを有し、正面前方に操作パネル2(報知部、表示部に相当)を有し、その下部に画像読取部3を有する。又、内部に給紙部4a、搬送路4b、画像形成部5a、定着部5b、中間転写部6を主構成として有する。
操作パネル2(破線で図示)は、メニュー画面を表示し、タッチパネルにより機能の設定入力が可能であり、又、エラーメッセージ等、使用者へのメッセージが表示可能な液晶表示部21や、設定用の各種キーが設けられる。従って、使用者は、操作パネル2で複合機100の動作の設定入力を行える。
画像読取部3は、上面にコンタクトガラス31を備え、コピー時等、コンタクトガラス31に載置された原稿を読み取る。そして、画像読取部3内に、露光ランプ、ミラー、レンズ、イメージセンサ(例えば、CCD)等(いずれも不図示)が配され、原稿への反射光をイメージセンサに導き、イメージセンサの出力電圧をA/D変換し原稿の画像データを得る。そして、原稿カバー1aは、上下に開閉可能であり、コンタクトガラス31に載置された原稿を押さえる。
給紙部4a(本実施形態では4a1、4a2の2つ)は、本体内最下部に配され、その内部にコピー用紙等、各種、各サイズの用紙を収容する。各給紙部4aのうち一方が、印刷時、1枚ずつ用紙を搬送路4bに送り出す。搬送路4bは、複合機100の内部左側を垂直上方に向け給紙部4aから排出トレイ41まで用紙を搬送する通路である(図1に搬送方向を破線矢印で図示)。搬送路4bでは、ガイド板等で用紙を案内し、搬送経路にはモータ等からなる駆動機構(不図示)に接続され回転駆動する搬送ローラ対42、43が設けられる。又、2次転写ローラ67と中間転写ベルト65のニップにタイミングを合わせて用紙を進入させるレジストローラ対44が、ニップの下方に設けられる。
次に、図1及び図2に基づき、画像形成部5aを説明する。画像形成部5aは、感光体ドラム52を有し、画像データに基づきトナー像を形成し、給紙部4a1の上方かつ、中間転写部6の下方に設けられる。そして、画像形成部5aは、図1の左側から、ブラック用の画像形成ユニット50Bk、イエロー用の画像形成ユニット50Y、マゼンタ用の画像形成ユニット50M、シアン用の画像形成ユニット50Cの順で並列された複数の画像形成ユニット50と、その下方の露光部51で構成される。ここで、使用するトナーの色が異なるものの、各画像形成ユニット50Bk〜50Cは構造が共通し、以下では特に説明する場合を除き、「K」、「Y」、「M」、「C」の記号は省略し、共通する部材に同一の符号を用いる。
図2に示すように、各画像形成ユニット50は、周面にトナー像を担持する感光体ドラム52と、帯電部53、現像部54、清掃部55等で構成される。そして、各画像形成ユニット50では、画像読取部3で取得した画像データや、外部のコンピュータ200等から受信した画像データに基づき、露光部51がレーザ光による走査・露光を行って各感光体ドラム52に静電潜像を形成し、この静電潜像を感光体ドラム52にトナーを供給する各現像部54が可視像(トナー像)に現像する。
各感光体ドラム52は、アルミ等の基体の外周面に感光層を設けた円筒状の部材で、表面にトナー像を担持する。各帯電部53は、各感光体ドラム52の表面を所定電位に帯電させる。本実施形態の各帯電部53は、放電して各感光体ドラム52を帯電させる(例えば、電極としての放電ワイヤに帯電電圧印加部53a(図3参照)が、直流+交流の電圧を印加)。尚、ローラ、ブラシ等で帯電を行っても良い。
各現像部54は、トナーを収容し、トナーを所定の電位に帯電させる。又、各現像部54には、トナーを担持する現像ローラ54aが設けられ、現像時には現像バイアス印加部54b(図5参照)が各現像ローラ54aに電圧(例えば、直流+交流)を印加して、トナーを飛翔させて静電潜像にトナーが供給され、静電潜像が現像される。
又、各現像部54内には、回転して、現像部54内のトナーを撹拌して帯電させる撹拌部材54c(例えば、螺旋状の羽を有する)が設けられる。又、現像ローラ54aに形成されるトナーの薄層の厚さを規制する規制ブレード54dに電圧を印加してトナーを帯電させても良い。更に、現像部54内には、現像部54内のトナー量が所定量以下となったことを検知する残量センサ56(検知体に相当)が設けられる(図5参照)。所定量は、維持しておきたい現像部54内のトナー量にあわせ、残量センサ56の設置位置等で任意に設定できる。又、残量センサ56には反射式光センサを用いることができるが、トナーの残量を検知できれば、他種のセンサでもよい。各清掃部55は、感光体ドラム52の軸線方向に沿って当接するブレード55a及び摺擦ローラ55bを有し、感光体ドラム52を摺擦、研磨し、残トナー等を回収、除去する。
次に、図1に戻り、中間転写部6を説明する。中間転写部6は、各感光体ドラム52からトナー像が1次転写され、用紙に2次転写を行う部分である。中間転写部6は、駆動ローラ61、2本の従動ローラ62、63、4本の1次転写ローラ64、これら複数のローラに周回可能に張架される無端状の中間転写ベルト65、ベルト清掃装置66、2次転写ローラ67等で構成される。駆動ローラ61は、2次転写ローラ67に対向して配され、モータ・ギア等で構成される駆動機構(不図示)の接続により回転駆動する。
中間転写ベルト65は、駆動ローラ61の駆動で、図1で時計回りに周回する。各1次転写ローラ64は、各感光体ドラム5251と中間転写ベルト65を挟むようにそれぞれ配される。ベルト清掃装置66は、図1の右端に設けられ、2次転写後に中間転写ベルト65表面に残留するトナー等を除去、回収する。又、2次転写ローラ67は、駆動ローラ61に対向し、駆動ローラ61方向に中間転写ベルト65に圧接する。
ここで、トナー像の転写プロセスでは、各1次転写ローラ64は、所定の電圧(例えば、直流+交流)を印加され(例えば、転写バイアス印加部68が印加。図5参照)、各感光体ドラム52が担持する各色のトナー像は、中間転写ベルト65表面にタイミングを合わせて重ね合わされ、1次転写される。そして、レジストローラ対44はタイミングをあわせて用紙を搬送し、中間転写ベルト65上のトナー像と用紙が中間転写ベルト65と2次転写ローラ67のニップに同時に進入する。この時、2次転写ローラ67に、所定の電圧が印加され(例えば、転写バイアス印加部68が印加。図5参照)、中間転写ベルト65から用紙にトナー像が2次転写される。
定着部5bは、ヒータHを内蔵する加熱ローラ57と、これに圧接する加圧ローラ58とを有し、2次転写されたトナー像を用紙に定着させる。両ローラのニップに2次転写後の用紙が進入し、加熱・加圧でトナー像が用紙に定着する。そして、定着の完了後の用紙は排出トレイ41に排出され、画像形成が完了する。
(トナー容器7と補給、回収)
次に、図3と図4を用い、本発明の実施形態に係るトナー容器7と、現像部54へのトナー補給と、廃トナー回収の一例を説明する。図3は、本発明の実施形態に係る複合機100へのトナー容器7の取付状態の一例を示す斜視図である。図4は、本発明の実施形態に係る複合機100での現像部54へのトナー補給と、廃トナー回収の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、複合機100の正面カバー1bを空けると、図4の左方からブラック、イエロー、シアン、マゼンタの順に各色のトナーを画像形成部5a(現像部54)に補給する4つのトナー容器7Bk、7Y、7C、7Mが複合機100に取り付けられる。各トナー容器7は、トナーを収容する。例えば、純正品の各トナー容器7には、重合トナーが収容される。
各トナー容器7は補給管71により各現像部54に接続され、トナーが各トナー容器7から各現像部54に補給される。即ち、各トナー容器7は、画像形成部5aに各色の現像剤を補給する。尚、一般的に、ブラックのトナー使用量が最も多いので、ブラックのトナー容器7Bkは、他の色に比べ大きい。そして、各トナー容器7は、着脱可能になっており、各トナー容器7内の現像剤が切れると、交換されることになる。
トナーは、印刷で消費される。そこで、各現像部54内の残量センサ56が、現像部54内のトナーの量が所定量以下になったことを検知すると、各トナー容器7から各現像部54にトナーが補給される。そして、例えば、補給管71内には、トナーを搬送する搬送部材72が設けられる。図4に示す搬送部材72は、螺旋状の羽(フィン)を有し、モータ等(不図示)の駆動力を受け回転し、トナーを現像部54に向け搬送する。そして、残量センサ56が、現像部54内のトナーが所定量を超えたことを検知すると搬送部材72の回転は停止する。
一方、各清掃部55にも、廃トナーを廃トナー容器75まで搬送するための搬送管73が接続される。そして、例えば、搬送管73内にも廃トナーを廃トナー容器75まで搬送するための搬送部材74が設けられる。例えば、搬送部材74は、印刷時等、現像部54のトナーが消費される時にモータ等(不図示)の駆動力を受け回転する。そして、最終的に、廃トナーは、廃トナー容器75に回収される。
(複合機100のハードウェア構成)
次に、図5に基づき、本発明の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を説明する。図5は、本発明の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、本実施形態の複合機100の各部、各部材の動作制御のため、機内に制御部8が設けられる。制御部8は、例えば、操作パネル2、画像読取部3、給紙部4a、搬送路4b、定着部5b、中間転写部6、転写バイアス印加部68、画像形成部5a等の各部と接続され、例えば、感光体ドラム52等の回転、帯電、現像や定着部5bのヒータのON/OFF等の多様な制御を行う。尚、図5に示すように、操作パネル2は、液晶表示部21や各種キーの他、例えば裏面にスピーカ等で構成される発音部22(報知部に相当)を有する。制御部8は、例えば、エラー発生時等に警告音や、複合機100の操作、設定における音声ガイダンス等を発音部22に発音させる。
そして、例えば制御部8に、CPU81、記憶部82、計時部83等が設けられる。CPU81は、中央演算処理装置であり、制御用プログラム、データに基づき、複合機100の各部に制御信号を発し、各部からの信号を受け、各種演算等を行う。又、記憶部82は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュROM等の揮発性と不揮発性の記憶装置を組み合わせて構成される。記憶部82は、制御プログラム、制御データ、画像データ、設定データ等のデータを記憶する。計時部83は制御に必要となる時間の計時を行う。
特に、本発明に関し、記憶部82は、使用されるトナーが純正品か非純正品かを判断するためのプログラムが格納される。又、記憶部82は、トナー容器7に収容されるトナーが純正品か否かを判断するためのパッチPの画像データを記憶するとともに、濃度センサ9の出力電圧に基づきパッチPのトナー像の濃度を測定するための濃度測定用データと、トナー容器7に収容されるトナーが純正品か否かを判断するため判断用データを記憶する。そして、CPU81は、プログラムや判断用データを用いて、使用されるトナーが純正品か非純正品かを判断する。
又、制御部8には、画像形成部5aが形成したトナー像を読み取り、読み取り対象の濃度に応じて電圧を出力する濃度センサ9が接続される(詳細は後述。図6参照。又、複数設けられる場合は、各濃度センサ9が制御部8に接続される)。濃度センサ9は、図1に示すように、各感光体ドラム52に対向させて1つ設けても良いが、中間転写ベルト65に対向して1つだけ設けておけば、本発明を実施できる。以下では、中間転写ベルト65に対向させた濃度センサ9を用いた例を説明する。そして、制御部8は、濃度センサ9の出力電圧を受け、濃度センサ9が読み取った画像の濃度を把握する。
又、図5では便宜上1台ずつのみ図示であるが、複合機100は、1又は複数の外部のコンピュータ200(例えば、パーソナルコンピュータ)やFAX装置300と、ネットワークや公衆回線等で接続される。そのため、複合機100には、ネットワークや、公衆回線や、コンピュータと直接接続(例えばUSB接続)用のコネクタや、通信回路、モデム等を含むI/F部84(報知部、通信部に相当)が設けられる。そして、複合機100は、外部のコンピュータ200から画像データ等の送信を受けて印刷や(プリンタ機能)、画像読取部3で読み取った画像を外部のコンピュータ200や記憶部82に送信することや(スキャナ機能)、相手方FAX装置300と画像データの送受信や受信データの印刷(FAX機能)を行うことができる。
そして、本実施形態の複合機100は、濃度較正用テストパターンTP(詳細は後述、図7参照)を濃度センサ9で読み取り、理想的な濃度に対し、ずれがある場合、制御部8は、画像形成部5aに指示して濃度調整を行う。例えば、制御部8は、各現像ローラ54aに印加する現像バイアス印加部54bや、感光体ドラム52を帯電させる帯電電圧印加部53aや、1次転写ローラ64や2次転写ローラ67に印加する転写バイアスを実際に調整、制御する転写バイアス印加部68に指示を出す。
この指示により、形成されるトナー像の濃度を調整することができる。例えば、濃度を濃くする場合は、現像バイアスや転写バイアスの交流電圧のピーク間電圧を大きくする(薄くする場合は、反対に小さくする)。これにより、トナーの飛翔量が増え、転写効率が良くなり(転写されないトナーが少なくなり)、トナー像の濃度を高めることができる。又、感光体ドラム52の帯電電位を変更してトナー像の濃度調整が行われても良い。
(濃度センサ9の読み取り)
次に、図1、図5乃至図7に基づき、本発明の実施形態に係る濃度センサ9の構成及びトナー像(濃度較正用テストパターンTP)の読み取りを説明する。図6は、本発明の実施形態に係る濃度センサ9の一例を示す説明図である。図7は、感光体ドラム52又は中間転写ベルト65上に形成された濃度較正用テストパターンTPの一例を示す説明図である。尚、濃度較正用テストパターンTPの画像データは、記憶部82に記憶され、必要に応じて読み出され、利用される。
濃度センサ9は、中間転写ベルト65に転写されたトナー像(ここでは、濃度較正用テストパターンTP)を読み取り、トナー像の濃度を検出する。濃度センサ9は、例えば、ブラックの画像形成ユニット50Bkと2次転写ローラ67の間で、中間転写ベルト65に対向して設けられる(図1参照)。
次に、図6に基づき、濃度センサ9の構成を説明する。本実施形態の濃度センサ9は測定対象に対し光を照射する発光部91と第1受光部92と、第2受光部93と、例えばガラス製の2枚の偏光板94(第1偏光板94A、第2偏光板94B)を有する。発光部91は、例えば、LEDやレーザダイオード等の発光素子(本実施形態では、外乱光の影響の回避のため赤外のLED91aを具備)を含む。又、発光部91の駆動回路95は、CPU81(制御部8)の指示を受けLED91aの点消灯を制御する。そして、発光部91は、測定対象としての濃度較正用テストパターンTPが形成される中間転写ベルト65の表面を照射する。
尚、図6に示すように、濃度センサ9に付随して、発光に関し、APC受光回路96やAPC回路97が設けられる。APCとは、自動光量出力制御(APC :Automatic Power Control)のことであり、APC回路97と、センサヘッド内のAPC受光回路96は、温度変化があっても、発光部91の発光量を一定で維持させる回路である。具体的に、APC受光回路96は、LED91aからの光の一部を受光する受光素子(例えば、フォトダイオードやフォトトランジスタ)を備え、APC回路97に光電流を出力し、APC回路97は、光電流を電圧に変換する。
そして、APC回路97は、例えば、比較器を内蔵し、例えば、CPU81から供給される基準電圧Vrefと光電流の変換後の電圧とを比較し、光電流の変換後の電圧が基準電圧Vrefよりも大きく、基準よりも発光量が多いと判断すると、発光部91の発光量を落とすため、LED91aの電流等を減らす旨の指示を駆動回路95に与える。一方、光電流の変換後の電圧が基準電圧Vrefよりも小さいと、LED91aの電流等を増やす旨の指示を駆動回路95に与える。そして、駆動回路95は、APC回路97の指示に合わせ、LED91aを点灯させる。
一方、第1受光部92、第2受光部93は、それぞれ、フォトダイオードやフォトトランジスタ等の受光量により出力電流(電圧)が変化する受光素子(本実施形態では、LED91aに対応して、赤外光受光用のフォトダイオード98A、98Bを具備)で構成できる。そして、各受光部の各フォトダイオードが受光することで生じた光電流は、各受光部内に設けられる信号処理部99に入力される。信号処理部99内には、光電流を電圧に変換する電流電圧変換回路(例えば、抵抗)や、変換後の電圧を増幅する増幅回路、増幅後の電圧をA/D変換するA/D変換回路等が含まれる。尚、第1受光部92と第2受光部93の信号処理部99は同様のものでよい。例えば、増幅率は同じで良く、同じアナログ電圧値を同じディジタルデータに変換するものでよい。
本実施形態の第1偏光板94Aは、発光部91から測定対象までの光路上に設けられ、発光部91から発せられた光を偏光する。一方、第2偏光板94Bは、測定対象からの反射光をP波とS波に分離し、P波を第1受光部92に導きS波を第2受光部93に導く。各偏光板94は、いずれもP波を透過し、S波を反射して、発光部91から測定対象に照射される光や第1受光部92、第2受光部93が受光する光をP波、S波に分離し、発光部91から発せられた光を偏光する。そして、第1受光部92は、測定対象からの反射光のうち、P波成分を受光し、受光量に応じて出力電圧が変化する。一方、第2受光部93は、測定対象からの反射光のうち、S波を受光し、受光量に応じて出力電圧が変化する。
具体的に、各偏光板94(第1偏光板94A、第2偏光板94B)は、いずれもP波を透過する偏光板94であり、発光部91から照射された光は、発光部91と測定対象との間の光路上に設けられた第1偏光板94AによりP波(入射面に平行な光)、S波(入射面に垂直な光)に分離されP波のみが中間転写ベルト65に到達する。中間転写ベルト65等のトナー像へ照射された光は再びP波、S波の成分を持ちながら反射し、反射光の光路上に、第2偏光板94Bが設けられ、反射光はP波、S波に再び分離され、それぞれの成分が、第2受光部93(S波反射光用の受光素子)、第1受光部92(P波反射光用の受光素子)に受光される。
ここで、中間転写ベルト65でのトナー像の濃度測定を例に挙げて説明する。まず、トナー像の反射光を読み取った場合、トナーに照射されるP波は偏光が乱され、P波とS波を含む反射光となって、第2偏光板94Bで分離され、第1受光部92、第2受光部93で各々受光される。一方、トナーがのっていない中間転写ベルト65そのものの反射光は、偏光が乱されにくいので、S波成分よりもP波成分の方が多く、物体表面に平行な方向に偏りやすい性質をもつ。例えば、トナー像が転写される中間転写ベルト65の表面は滑らかであれば(光沢のある離型層が表面に設けられる等)、ほとんどP波は乱されない。従って、発光部91から第1偏光板94Aを通して照射され、中間転写ベルト65(感光体ドラム52表面でも同様)のみで反射されるP波は、偏光をあまり乱されず、第2偏光板94Bを通過し、第1受光部92で受光される。
従って、トナー像に光を照射した場合、発光部91が光を照射する中間転写ベルト65の表面の面積に対し、トナーが付着する領域の割合(即ち、濃度)で、第1受光部92、第2受光部93で受光されるP波、S波の受光量や、第2受光部93で受光されるS波の受光量の比は変化する。従って、トナー像を読み取った場合、第1受光部92、第2受光部93の出力電圧は、トナー像の濃度で比率や大きさは異なる。例えば、トナー像の濃度が高いほど(トナーの分布率が高いほど)、P波成分が少なくなれば第1受光部92の出力電圧は小さくなり、S波成分が多くなるので第2受光部93の出力電圧は大きくなる。
このように、トナー像の濃度と第1受光部92、第2受光部93の出力電圧の比率には、対応する関係があり、その関係を予め実験等で取得し、例えば、記憶部82に、色ごとにトナー像の濃度と出力電圧比率との対応関係をデータとして、例えば、テーブル化して記憶しておく。そして、濃度測定(検出)の際、制御部8に配されるCPU81(図3、図4参照)が、テーブルを参照し、第1受光部92、第2受光部93の出力電圧からトナー像の濃度を検出、測定する。
ここで、濃度センサ9が読み取るトナー像を図7に例示する。まず、濃度較正(キャリブレーション)を行う場合、制御部8は、複数の異なる濃度のパッチPで構成され、形成しようとした各パッチPの濃度に問題がないかを確認するための濃度較正用テストパターンTP(画像品質確認用)を画像形成部5aに形成させる。そして、濃度センサ9は、中間転写ベルト65上に形成、転写された、濃度較正用テストパターンTPを読み取る。
図7に示す濃度較正用テストパターンTPは、例えば、中間転写ベルト65の主走査方向の略中心位置に回転方向(副走査方向)に延びて形成される。そして、この画像を読み取る位置に濃度センサ9が配される。尚、濃度較正用テストパターンTPの形成位置及び濃度センサ9の設置位置は、中央位置に限られず主走査方向内において適宜設定できる。
濃度較正用テストパターンTPは、各色ごとに形成され、各色では、それぞれ濃度の異なる複数のパッチPを含む(図7では、1色分のみ図示)。そして、各色、各濃度のパッチPを順番に濃度センサ9が読み取る。例えば、濃度較正用テストパターンTPは、ブラックの複数のパッチP→イエローの複数のパッチP→マゼンタの複数のパッチP→シアンの複数のパッチPの順で中間転写ベルト65に転写される。
例えば、濃度較正用テストパターンTPの形成が開始されてから(1番目のパッチPが形成されてから)、濃度センサ9の読取領域に到達するまでの時間は予め把握されている。例えば、計時部83が時間を計時して、濃度センサ9の読取領域に近づくと、制御部8は、濃度センサ9に読み取り開始を指示する。そして、中間転写ベルト65自体を読み取っているときと、パッチPを読み取っているときとでは、各受光部の出力電圧は異なるので、各受光部の出力電圧を見れば、濃度センサ9は、中間転写ベルト65を読み取っているか、パッチPを読み取っているか、パッチPが濃度センサ9の読取領域に到達したか、パッチPが濃度センサ9の読取領域を通過したか、等を制御部8は把握することができる。
(濃度較正及び純正品と非純正品の判断制御)
次に、図8及び図9に基づき、本発明の実施形態に係る複合機100での濃度較正及び純正品と非純正品の判断制御の一例を説明する。図8は、本発明の実施形態に係る複合機100での濃度較正及び純正品と非純正品の判断制御の一例を説明するためのフローチャートである。図9(a)は、濃度較正用テストパターンTPの各パッチPの濃度を測定するための濃度測定用データのテーブルの一例を示す説明図であり、図9(b)は、純正品と非純正品の判断で用いられる判断用データのテーブルの一例を示す説明図である。
まず、本実施形態の複合機100では、濃度較正用テストパターンTPを濃度センサ9で読み取って形成されるトナー像の濃度較正(キャリブレーション)を行うことができる。この濃度較正は、例えば、所定枚数(例えば、数百枚〜数千枚)印刷されるごとに自動的に行われても良い。又、例えば、複合機100のメンテナンスを行うサービスマンや使用者が操作パネル2に入力を行うことで、濃度較正が行われても良い。
そして、本実施形態の複合機100では、濃度較正の際に生成される濃度較正用テストパターンTPの内のパッチPを用いて、使用されているトナーが純正品か非純正品かが判断される。尚以下では、濃度較正用テストパターンTP中、1色中、濃度の異なる複数のパッチPのうちの1つを用いて、トナーが純正品か非純正品かを判断する例を説明する。言い換えると、トナーが純正品か非純正品かを判断するために用いるパッチPは、全色(4色)で4つである。
ここで、純正品か非純正品かを判断する必要性を説明する。まず、複合機100内の各部は、純正トナーが用いられることを前提として設計され、仕様が定められ、製造される。一方、例えば、トナー容器7を未許諾で複製する者や、トナー容器7にトナーを再充填して販売する者がいる。これらの非純正のトナー容器7が装着されると、非純正のトナーが用いられることになる。
非純正トナーが粗悪である場合や、純正品とは異なる特性を有する場合、複合機100にダメージが発生することや、画質の低下が仕様ずる場合がある。例えば、非純正トナーの流動性が、純正トナーよりも悪い場合、各トナー容器7から各現像部54にトナーを運ぶ補給管71や、廃トナーを運ぶ搬送管73で詰まりが生ずる場合がある。更に、詰まった状態で、トナーや廃トナーを搬送する搬送部材72、搬送部材74を回転させると、負荷が大きいため、各搬送部材を回転させるギアが破損する場合がある。
又、純正品に比べ、非純正トナーが固着しやすい場合もある。固着しやすいと、搬送部材72、搬送部材74の破損が生じやすくなり、又、現像部54内で固着すれば、現像部54内のトナーの品質が低下し、又、現像ローラ54aや撹拌部材54cの回転を妨げ、過負荷により現像ローラ54aや撹拌部材54cを回転させるギアの破損が生じ得る。
又、例えば、純正品と帯電特性と異れば、形成される画像の品質の低下も生ずる。例えば、純正品よりも非純正トナーが帯電しにくい場合、現像ローラ54aからトナーが飛翔し難くなることや、転写不足等が生じ、純正トナーを用いた場合よりも形成される画像が薄くなる。そうすると、複合機100で表現可能な色域は狭くなり、階調性が低下する。又、純正トナーと非純正トナーの融点が異なる場合も、画像の品質低下が生じ得る。例えば、純正品よりも非純正品の方がトナーの融点が高ければ、定着部5bを通過させても定着不良が生ずる。そして、定着されないトナーが、使用者の手や衣服や複合機100内や複合機100周辺に飛散し、定着されないトナーはこれらを汚す。一方、純正品よりも非純正品の方がトナーの融点が低ければ、過剰な溶融が生じ、トナーが加熱ローラ57に付着する等の問題が生じ得る。
このように、粗悪な非純正品が用いられると、複合機100でのダメージや、画質の低下が生ずる。そこで、本実施形態の複合機100では、濃度較正実行時にあわせて使用されるトナーの純正、非純正の判断が行われる点に特徴があり、以下、図8、図9を用いて説明する。
まず、図8でのスタートは、濃度較正実行時である。その後、制御部8は、濃度較正のために、画像形成部5aに濃度較正用テストパターンTPのトナー像を形成させる(ステップ♯1)その後、濃度較正用テストパターンTPの各パッチPは、中間転写ベルト65に転写され、濃度センサ9は、パッチPを読み取る(ステップ♯2)。尚、各パッチPは、一定の幅を有し、濃度センサ9の読取領域の通過開始から通過しきるまで、時間がある。そこで、制御部8(CPU81)は、複数回、各受光部の出力電圧をサンプリングし、取得する(ステップ♯3)。そして、制御部8は、例えば、図9に示すように、テーブルの形式で記憶される濃度測定用データを参照して、読み取ったパッチPの濃度を測定する(ステップ♯4)。
ここで、図9(a)を参照して、パッチPの濃度測定方法の一例を説明する。上述したように、下地(例えば、中間転写ベルト65や感光体ドラム52)の面積に対するトナーの分布率(濃度)で、反射光に含まれるP波成分とS波成分の割合が異なる。そして、図9(a)に示す濃度測定用データとしてのテーブルには、例えば、予め実験等で、理想的な各濃度のトナー像を読み取って得られた各受光部の出力電圧の比率が収められる。例えば、(P波の第1受光部92の出力電圧)÷(S波の第2受光部93の出力電圧)の計算を行って、比率が求められる。尚、トナーの色によって濃度に対する出力電圧比率が異なる場合があるので、各色ごとにテーブルを定めても良い。又、1色あたり何段階、濃度と比率の関係を示すデータを含めるかは、適宜設定できる。図9(a)で、例えば、濃度1%ずつ比率を定めるならば、n=100とする。
一方、制御部8は、濃度較正時、例えば、各受光部の出力電圧の平均値をそれぞれとり比率を演算する(例えば、CPU81が演算)。例えば、CPU81は、P波を受光する第1受光部92の出力電圧の平均値÷S波を受光する第2受光部93の出力電圧の平均値の演算を行い、比率を求める。
そして、制御部8は、テーブルを参照し、求められた比率に対する濃度を求める。これにより、現状で形成されるトナー像の濃度が把握できる。尚、求められた出力電圧の比率に一致する値がテーブル内に無ければ、補間演算により、詳細に現状で形成されるトナー像の濃度が把握できる。
例えば、制御部8は、読み取った(読み取っている)パッチPの濃度と、形成しようとしたパッチPの濃度(理想的な濃度)との、ずれを濃度データとして記憶部82に格納する(ステップ♯5)。これにより、各濃度のパッチPでの理想的な濃度と現在印刷されている濃度とのずれを把握できる。即ち、形成した画像の濃度と形成しようとした画像の理想的な濃度とずれを確認し、ずれを調整する濃度較正を行う場合、制御部8は、記憶部82に記憶され、濃度がそれぞれ異なるパッチPを含む濃度較正用テストパターンTPの画像データに基づき、画像形成部5aに、濃度較正用テストパターンTPを形成させ、濃度センサ9の出力電圧に基づき各パッチPの濃度を確認して濃度較正を実行するとともに、濃度較正用テストパターンTPのうちのいずれかのパッチPを利用し、トナー容器7に収容されるトナーが純正品か否かを判断する。
次に、制御部は、全てのパッチPを読み取っておらず、濃度測定が完了していないかを確認する(ステップ♯6)。もし、完了していれば(ステップ♯6のNo)、記憶部82に記憶された各パッチPの濃度を確認し、理想的な濃度に対し、薄い傾向があれば、感光体ドラム52の帯電電位や、現像バイアスや転写バイアスを、形成される画像が濃くなる方向に変更する。一方、理想的な濃度に対し濃い傾向があれば、感光体ドラム52の帯電電位や、現像バイアスや転写バイアスを、形成される画像が薄くなる方向に変更する。即ち、画像形成におけるパラメータを変更する(ステップ♯7→エンド)。
一方、完了していなければ(ステップ♯6のYes)、制御部8は、読み取った(読み取っている)パッチPは、トナーが純正品か否かの判断に利用するパッチPかを確認する(ステップ♯8)。例えば、1色の複数のパッチPの内、中程度の濃度(濃度50%程度)のパッチPを純正品か否かの判断に利用することができる。尚、トナーが純正品か否かの判断に利用するパッチPには、濃度較正用テストパターン中の最後のパッチPは用いないこととする。
もし、制御部8は、読み取った(読み取っている)パッチPは、純正品か否かの判断に利用するパッチPでなければ(ステップ♯8のNo)、ステップ♯2に戻り、次のパッチPの読み取りと濃度測定が行われる。一方、純正品か否かの判断に利用するパッチPであれば(ステップ♯8のYes)、制御部8は、パッチPを読み取ったときの第1受光部92と第2受光部93の出力電圧の比率が判断用データとして定められた出力比率の範囲に収まるかを確認する(ステップ♯9)。これは、用いられているトナーが純正品か非純正品かを判断するためである。尚、パッチPを読み取ったときの出力電圧の比率は、先のステップ♯4の濃度測定で求めた比率を用いればよい。
非純正品の粗悪なトナーは、各トナー粒子の大小がバラバラで、又、形状も凸凹(いびつ)であることがある。本実施形態の複合機100は、各トナー粒子の大きさが整い、形状も球状の重合トナーを用いるが、重合トナーを生成するには、大規模な設備と技術を要する。一方、粗悪な非純正トナーは、重合トナーよりも容易に生成でき、重合トナーほど設備、技術を要さない粉砕法で生成されることがある。更に粗悪なトナーの場合、粉砕トナーの粒径の選別さえ行っていない場合がある。
例えば、同じ濃度のパッチPを形成した場合、純正品の重合トナーは、一定面積中に均等に分布しやすいが、粗悪な粉砕トナーは、形状がいびつなので、隙間が多くなり、感光体ドラム52や中間転写ベルト65で反射する光が多くなる場合がある(P波成分が増える)。そこで、純正品のトナー用いて、純正品か否かの判断に利用する濃度のパッチPを形成し、濃度センサ9で読み取った場合に、とり得る各受光部(信号処理部99)の出力電圧の比率範囲を予め把握しておき、判断用データとして、図9(b)に示すように、記憶部82に記憶させておく。
制御部8は、色ごとに定められたの出力電圧の比率範囲に収まらないならば(ステップ♯9のNo)、その色のトナーは非純正品と判断する(ステップ♯10)。即ち、制御部8は、パッチPのトナー像を読み取った濃度センサ9の出力電圧と、判断用データに基づき、トナー容器7に収容されるトナーが純正品か否かを判断する。又、判断用データは、パッチPのトナー像を読み取ったときの第1受光部92と第2受光部93の出力電圧の比率の範囲である比率範囲を定めたものであり、制御部8は、パッチPのトナー像を読み取った際の出力電圧の比率が、比率範囲内であれば、純正であると判断し、範囲外であれば非純正と判断する。
そして、非純正品である旨と、純正品への交換を促す旨の報知を行う(ステップ♯11→エンド)。尚、使用者への報知方法としては、操作パネル2の液晶表示部への文字表示や、音声部からの音声によって、例えば、「ブラックのトナーには非純正品が用いられています。交換することをおすすめします」といった文字表示や音声による報知を行うことができる。又、I/F部84から外部のコンピュータ200やネットワークを介し、複合機100のメンテナンスを行う者のコンピュータ200(例えば、サーバ)に報知されるようにしてもよい。即ち、報知部は、表示を行って報知を行う操作パネル2(表示部)、音により報知を行う発音部22、外部に向けてデータを送信するI/F部84(通信部)の何れか、又は、複数の組み合わせであり、情報を報知する報知部を備え、トナー容器7に収容されるトナーが純正品でないと判断された場合、報知部は、トナーが純正品でなく、純正品への交換を促す旨の報知を行う。
一方、比率範囲に収まれば(ステップ♯9のYes)、制御部8は、第1受光部92と第2受光部93の各出力電圧の大きさが、判断用データとして定められた出力電圧の範囲(出力範囲)に収まるかを確認する(ステップ♯12)。尚、この確認においては、ステップ♯4で求めた複数回取得された各受光部の出力電圧の平均値を用いることができる。この確認も、用いられているトナーが純正品か非純正品かを判断するためである。
非純正品の粗悪なトナーは、上述したように、各トナー粒子の大小がバラバラで、又、形状も凸凹(いびつ)であることがある。そのため、純正トナーを用いて形成されたトナー像と、非純正トナー像とでは、第1受光部92と第2受光部93の出力電圧の大きさに差がでることがある(例えば、P波成分が増え、第1受光部92の方が出力電圧が大きくなることや、トナー像での光の乱反射等によって、各受光部の出力電圧が下がる等)。そこで、純正品を用いた場合にとり得る各受光部の出力電圧(電圧の大きさの)範囲を予め把握しておき、判断用データとして、図9(b)に示すように、記憶部82に記憶させておく。尚、出力電圧の大きさの範囲(出力範囲)は、本実施形態では、第1受光部92、第2受光部93のいずれについても判断用データとして定めるが、何れか一方についてのみ定めていても良い。
制御部8は、各色の判断用の各パッチPごとに定められたの出力範囲に収まらないならば(ステップ♯12のNo)、ステップ♯10に移行する。即ち、判断用データは、パッチPのトナー像を読み取ったときの第1受光部92及び/又は第2受光部93の出力電圧の大きさの範囲である出力範囲を定めたものであり、制御部8は、パッチPのトナー像を読み取った際、第1受光部92及び/又は第2受光部93の出力電圧の大きさが、出力範囲内であれば、純正であると判断し、出力範囲外であれば非純正と判断する。一方、出力範囲に収まれば(ステップ♯12のYes)、制御部8は、読み取ったパッチPの濃度が判断用データとして定められた濃度範囲に収まるかを確認する(ステップ♯13)。尚、この確認においては、ステップ♯4で求めたパッチPの濃度を用いることができる。この確認も、用いられているトナーが純正品か非純正品かを判断するためである。
非純正品の粗悪なトナーは、上述したように、帯電特性が純正トナーと異なる場合があり、純正トナーを用いて形成されたトナー像と、非純正トナー像とでは、大きな濃度差が生ずる場合がある。そこで、純正トナーを用いた場合、各色の各パッチPごとに、とり得る濃度範囲を予め把握しておき、判断用データとして、図9(b)に示すように、記憶部82に記憶させておく。
制御部8は、各色、各パッチPごとに定められた濃度範囲に収まらないならば(ステップ♯13のNo)、ステップ♯10に移行する。即ち、判断用データは、パッチPのトナー像の濃度範囲を定めたものであり、制御部8は、濃度測定用データと、パッチPのトナー像を読み取った濃度センサ9の出力電圧に基づき、濃度を測定し、測定により得られたパッチPのトナー像の濃度が、濃度範囲内であれば、純正であると判断し、濃度範囲外であれば非純正と判断する。
一方、濃度範囲に収まれば(ステップ♯13のYes)、制御部8は、複数回、読み取ったパッチPの各受光部での出力電圧差が判断用データとして定められた許容範囲に収まるかを確認する(ステップ♯14)。尚、制御部8は、ステップ♯3で取得された同じパッチPの読み取り中に複数回取得された出力電圧を用いればよい。例えば、制御部8は、第1受光部92の複数の取得された出力電圧のうち、最大の出力電圧と最低出力電圧の差をとり、第1受光部92での出力電圧差を得る。又、例えば、制御部8は、第2受光部93の複数の取得された出力電圧のうち、最大の出力電圧と最低出力電圧の差をとり、第2受光部93での出力電圧差を得る。この確認も用いられているトナーが純正品か非純正品かを判断するためである。
非純正品の粗悪なトナーは、上述したように、純正トナーに比べ、帯電にムラが生ずる場合がある。そのため、非純正トナーを用いて形成されたパッチP内では、濃度ムラができる場合がある。そこで、純正トナーを用いた場合、色ごとに、とり得る各受光部での出力電圧の差を許容範囲として予め把握しておき、判断用データとして、図9(b)に示すように、記憶部82に記憶させておく。
制御部8は、色ごとに定められた許容範囲に収まらないならば(ステップ♯14のNo)、ステップ♯10に移行する。即ち、判断用データは、第1受光部92及び/又は第2受光部93の出力電圧の変動の許容範囲を定めたものであり、制御部8は、濃度センサ9が1つのパッチPの読み取り中に、複数回、第1受光部92及び/又は第2受光部93の出力電圧を取得し、最も大きな出力電圧と最も小さな出力電圧の差が、許容範囲内であれば、純正であると判断し、許容範囲外であれば非純正と判断する。一方、許容範囲に収まれば(ステップ♯14のYes)、例えば、ステップ♯2に戻ればよい。
(トナー容器7の交換検知)
上記では、濃度較正時にトナーが純正品か非純正品かの判断が行われる例を述べたが、本実施形態の複合機100では、トナー容器7の交換時にもトナーが純正品か非純正品の判断が行われるようにしてもよい。そこで、次に、図10に基づき、トナー容器7の交換の検知を説明する。図10は、本発明の実施形態に係る複合機100でのトナー容器7の交換検知制御の一例を示すフローチャートである。
まず、図10に基づき、トナー容器7の交換の検知の一例を図10に基づき説明する。図10のスタートは、例えば、電源投入時である。そして、制御部8は、何れかの現像部54の残量センサ56からトナーが所定量以下となった旨の信号の入力があり、トナーが少なくなった現像部54があるかを確認する(ステップ♯21)。残量センサ56からの信号がなければ(ステップ♯21のNo)、制御部8は確認を続ける(ステップ♯21に戻る)。一方、残量センサ56からの信号があれば、制御部8は、搬送部材72を動作させて、トナーの少ない現像部54にトナーの補給を行わせる(ステップ♯22)。
そして、制御部8は、トナーの補給開始(搬送部材72の駆動開始)から所定時間が経過したかを確認する(ステップ♯23、例えば、計時部83を利用)。所定時間は、適宜設定できるが、搬送部材72の搬送能力を勘案し、補給開始から現像部54に所定量以上にトナーが満たされると予測される時間である。所定時間が未経過ならば(ステップ♯23のNo)、ステップ♯22に戻る。所定時間が経過すれば(ステップ♯23のYes)、トナーの補給を行った現像部54の残量センサ56の信号に基づき、補給を行った現像部54のトナーが所定量以下かを確認する(ステップ♯24)。もし、残量センサ56の信号に基づき、補給を行った現像部54は所定量を超えたならば(ステップ♯24のNo)、ステップ♯1に戻る。
一方、所定量以下ならば(ステップ♯24のYes)、補給を行っても現像部54にトナーが補給されていないので(ステップ♯23のNo)、制御部8は、補給を行った色のトナー容器7のトナーが空になったと認め(ステップ♯25)、「○○○○色のトナー容器7を交換してください」トナー切れの表示を操作パネル2に行う(ステップ♯26)。
次に、制御部8は、正面カバー1bが開けられ、閉じられたことを確認する(ステップ♯27)。具体的に、制御部8は、正面カバー1bの開閉に応じてON/OFFが切り替わるスイッチSW(図5参照)の状態(電圧)を監視しておけばよい。正面カバー1bが開閉されなければ(ステップ♯27のNo)、例えば、ステップ♯26に戻る。一方、正面カバー1bの開閉があれば(ステップ♯27のYes)、制御部8は、搬送部材72を動作させて、トナーの少ない現像部54にトナーの補給を行わせる(ステップ♯28)。次に、制御部8は、トナーの補給開始(搬送部材72の駆動開始)から所定時間が経過したかを確認する(ステップ♯29)。
所定時間が未経過ならば(ステップ♯29のNo)、ステップ♯28に戻る。所定時間が経過すれば(ステップ♯29のYes)、トナーの補給を行った現像部54の残量センサ56の信号に基づき、補給を行った現像部54のトナーが所定量を超えたかを確認する(ステップ♯30)。もし、制御部8は、残量センサ56の信号に基づき、補給を行った現像部54のトナー量は所定量を未満の状態のままならば(ステップ♯30のNo)、例えば、ステップ♯26に戻る。一方、残量センサ56の信号に基づき、補給を行った現像部54のトナー量が所定量を超えたことが確認できれば(ステップ♯30のYes)、制御部8は、トナー容器7の交換が行われたと判断し(ステップ♯31→エンド)、トナーが純正品か非純正品かの判断制御に移行する。
即ち、制御部8は、画像形成部5aがトナー容器7からトナーの補給を受けるための補給動作を所定時間行っても、現像部54内のトナー量が所定量以下である旨の信号を残量センサ56から受信した後、再び、補給動作を行った時に現像部54内のトナー量が所定量を超えた旨の信号を残量センサ56から受信すると、トナー容器7が交換されたと判断して、トナー容器7の交換を検知する。
(トナー容器7交換時の純正品か非純正品かの判断制御)
次に、図11に基づき、トナー容器7交換時に行われるトナーが純正品か非純正品かの判断制御の一例を説明する。図11は、本発明の実施形態に係る複合機100でのトナー容器7交換時のトナーの純正品と非純正品の判断制御の一例を示すフローチャートである。まず、図11におけるスタートは、図10を用いて説明したトナー容器7が交換されたと検知された時点である。
次に、制御部8は、トナー容器7が交換された色の画像形成部5aにパッチPを形成させる(ステップ♯41)。即ち、即ち、制御部8は、トナー容器7が交換されたことを検知し、トナー容器7が交換されたことを検知したとき、画像形成部5aにパッチPを形成させ、パッチPを読み取った濃度センサ9の出力電圧に基づき、トナー容器7に収容されるトナーが純正品か否かを判断する。ここで、パッチPは、複数種のうちトナーが純正品か非純正品かを判断する濃度のパッチPを、交換のあった色のみ1つだけ形成すればよい(例えば、濃度50%程度のパッチP)。又、判断用データは、形成するパッチについてのみ定めておけばよい。次に、濃度センサ9は、パッチPを読み取り(ステップ♯42)。制御部8(CPU81)は、複数回、各信号処理部99の出力電圧をサンプリングし、取得する(ステップ♯43)。
そして、制御部8は、第1受光部92と第2受光部93の出力電圧の比率が判断用データとして定められた比率範囲に収まるかを確認する(ステップ♯44)。比率範囲に収まれば(ステップ♯44のYes)、制御部8は、第1受光部92と第2受光部93からの出力電圧の大きさが、判断用データとして定められた出力範囲に収まるかを確認する(ステップ♯45)。出力範囲に収まれば(ステップ♯45のYes)、制御部8は、読み取ったパッチPの濃度が判断用データとして定められた濃度範囲に収まるかを確認する(ステップ♯46)。濃度範囲に収まれば(ステップ♯46のYes)、制御部8は、読み取ったパッチPの各受光部の複数回取得された出力電圧の差が判断用データとして定められた許容範囲に収まるかを確認する(ステップ♯47)。尚、ステップ♯44〜ステップ♯47は、図9で説明したステップ♯9、ステップ♯12〜ステップ♯14と同様であるので、図9での説明を準用し、説明は省略する。
ステップ♯47でもYesであれば、新たに取り付けられたトナー容器7には、純正トナーが収容されていると判断し(ステップ♯48)、トナーの純正品と非純正品の判断を終了する(エンド)一方、制御部8は、ステップ♯44〜ステップ♯47のうち、1つでもNoがあれば、制御部8は、新たに取り付けられたトナー容器7に収容されるトナーは、非純正トナーと判断し(ステップ♯49)、非純正品である旨と、純正品への交換を促す旨の報知を行う(ステップ♯50→エンド)。尚、ステップ♯50は、図9で説明した報知(ステップ♯11)と同様でよい。
このようにして、画像形成装置(複合機100)には、通常、トナー像を読み取って濃度を測定するための濃度センサ9が設けられる。そして、同じ濃度でトナー像を、純正トナーで形成した場合と、粗悪な非純正トナーした場合とでは、濃度センサ9の読み取り結果に明確な差が出る場合がある。そこで、この構成によれば、判断用データを用意しておき、濃度センサ9のパッチPの読み取り結果(出力電圧)により、制御部8が純正品か否かを判断する。これにより、純正品、非純正品の識別のため、例えば、トナー容器7側にIC等のチップの取付や、本体側にリーダライタ等の通信装置を設ける必要がない。又、濃度センサ9は画像形成装置に通常設けられる。従って、純正品のトナーか否かを確認のため画像形成装置やトナー容器7の製造コスト増大を招くことがない。又、トナー容器7の形状ではなく、トナー容器7に収容されるトナーそのものによって、純正、非純正品の識別がなされ、トナー容器7が模倣されたとしても、純正、非純正品の識別が行える。
又、濃度センサ9は、P波を受光する第1受光部92と、S波を受光する第2受光部93とを備え、制御部8は、第1受光部92と第2受光部93の出力電圧の比率や、出力電圧の大きさに基づき純正品か非純正品かの判断を行う。制御部8は、1つのパッチPの読み取りにおける第1受光部92及び/又は第2受光部93の最大出力電圧と最小出力電圧の差が許容範囲にあるか否かによって純正品か非純正品かを判断する。制御部8は、トナー像の濃度が濃度範囲内か否かによって純正品か非純正品かを判断する。これにより、濃度センサ9を用いて、純正品か非純正品かを判断することができる。
又、トナー容器7に収容されるトナーが純正品でなく、画像形成装置の故障や、画質の異常など、不具合発生の危険性を使用者に報知することができる。これにより、トナー容器7の純正品への交換を促すことができ、画像形成装置での不具合の発生を未然に防ぐことができる。又、報知には、操作パネル2、発音部22、I/F部84等を利用し、確実に使用者等に、不具合発生の危険性を報知することができる。又、濃度較正実行時に、パッチPが形成され、又は、濃度較正用テストパターンTP内のパッチPを利用して、純正品か否かが判断される。これにより、濃度の濃度較正と同時に、純正品と非純正品の識別を行うことができる。又、パッチP形成時は、画像形成装置が利用できない状態となるところ、純正品と非純正品の識別のためだけに画像形成装置が利用できない状態となることが無く、使用者の利便性は高い。又、トナー容器7の交換時に、トナー容器7に収容されるトナーが純正品か非純正品かの判断が行われる。従って、非純正トナーが用いられたとしても、迅速に非純正トナーが用いられていることを検知できる。又、高コストな通信装置や、IC等を装置本体やトナー容器7に設けることなく、制御部8は、トナー容器7の交換が行われたことを認識できる。
次に、他の実施形態について説明する。上記の実施形態では、各色、1種類の濃度のパッチPについて、比率範囲、出力範囲、濃度範囲、許容範囲を定めたが、1色につき複数の濃度のパッチPについて、比率範囲、出力範囲、濃度範囲、許容範囲を定めてもよい。
又、トナー容器7の交換検知は、現像部54にトナーが補給されたか否かに基づき検知する例を示したが、例えば、図5に示すように、トナー容器7に取付検知用部材76を設けて、制御部8はトナー容器7が交換されたことを検知しても良い。例えば、取付検知用部材76としては、ヒューズを用いることができる。このヒューズは、取付られると、電圧が印加され、導通し、その後切れることで、非導通の状態となる。即ち、トナー容器7は、画像形成装置への取付後、所定時間経過後に非導通となる取付検知用部材76を有するようにして、制御部8は、取付検知用部材76の導通を確認してから、取付検知用部材76が非導通となったことにより、トナー容器7が交換されたことを検知する。
又、上記の実施形態では、中間転写ベルト65に面して設けられる濃度センサ9を用いて、トナー像の濃度測定や、トナーが純正品か否かを判断したが、各感光体ドラム52に面して、濃度センサ9が設けられても良い(図1等参照)。これにより、各画像形成ユニット50で濃度測定等を行うことができる。又、図9や図11に示したトナーが純正品か否かを判断する制御は、各画像形成ユニット50ごとに行われればよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。