以下、実施の形態により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
まず、本発明に係る表示装置に適用される偏光板を構成する偏光制御素子の概略について説明する。
図1は、偏光制御素子の一例を示す模式断面図である。
同図に示す偏光制御素子200は、第1の基板201に第1の透明電極101が形成され、第2の基板202に第2の透明電極104が形成され、第1の透明電極101上に電解質層102、第2の透明電極104上に所定の方向に(例えば色素の)分子が配向された偏光制御膜103が形成されており、電解質層102と偏光制御膜103が接して構成されている。
第1の透明電極101と電解質層102は、絶縁層106により他の電極と隔てられている。絶縁層106は、対向する第1の透明電極101と第2の透明電極104間を隔てるよう構成されていてもよいし、電解質層102が固体で形成されている場合には、絶縁層106は不要であり省略してもよい。
配向された、とは分子が方向性を有して配置されていることである。この配向により、ランダムな振動方向を有する光は、この偏光制御膜103を通過する際に、偏光制御膜103により所定方向の振動成分が吸収され、所定の方向の振動成分を有する直線偏光状態となった光のみを透過させることができる。
例えば、偏光制御膜103が紙面に垂直な振動方向の光を吸収するように構成されている場合、第1の基板201側からランダムな振動方向を有する光が入射すると、この偏光制御膜103により紙面に垂直な振動方向の光は吸収され、第2の基板202側には紙面に平行な振動方向の光が透過することになる。同様に、偏光制御膜103が紙面に平行な振動方向の光を吸収するように構成されている場合、第1の基板201側からランダムな振動方向を有する光が入射すると、この偏光制御膜103により紙面に平行な振動方向の光は吸収され、第2の基板202側には紙面に垂直な振動方向の光が透過することになる。
また、対向する第1の透明電極101と第2の透明電極104との間に電圧を印加し、偏光制御膜103に電荷を供給することで、上述の偏光制御膜103が有している偏光特性を消失させ、偏光機能を無くすることができる。なお、このような特性を有する偏光制御膜としては、例えば、本出願人による特願2009−126250に記載のものを使用することができる。
すなわち、本実施の形態に係る偏光制御素子200は、対向する第1の透明電極101と第2の透明電極104に対し、選択的に電圧を印加することで、偏光機能を有しない部位と偏光機能を有する部位とを任意に作り出すことができるものである。
以下、このような偏光制御素子を用いた偏光板を備えた表示装置について説明する。
(第1の実施の形態)
以下、第1の実施の形態に係る表示装置について説明する。
図2は、第1の実施の形態に係る表示装置に適用される偏光制御素子からなる偏光板20Aの模式断面図である。同図に示す表示装置に適用される偏光制御素子からなる偏光板20Aは、上述の偏光制御素子を2種2枚用いたものである。
図2に示すように、第1の実施の形態に係る偏光板20Aを構成する偏光制御素子200Aと偏光制御素子200Bは、偏光制御膜103の配向方向が互いに略直交関係を有しており、対向する第1の透明電極101、電解質層102、偏光制御膜103、第2の透明電極104は、それぞれが紙面直交方向にストライプ状に形成されている。
すなわち、偏光制御素子200Aが、対向する第1の透明電極101と第2の透明電極104との間が無通電の際に、紙面に平行な方向に振動する光を透過させるものである場合、偏光制御素子200Bは、対向する第1の透明電極101と第2の透明電極104との間が無通電の際に、紙面に垂直な方向に振動する光を透過させるものとなっている。
なお、偏光制御素子200Aと偏光制御素子200Bのそれぞれの偏光制御膜103は、図示の如く、基板202及び第2の透明電極104を介して重ね合わされていることが好ましい。このようにすることで、それぞれの偏光制御膜103を厚み方向で近接させて配置させることができる。また、基板202をより薄く形成し、より近接させるとより好ましい。
図3は、第1の実施の形態に係る表示装置1の概略構成を示す斜視図である。
図3に示す表示装置1は、例えば自発光型のディスプレイである有機EL表示装置等で構成される表示部10の視認側に、図2に示した構成の偏光板20Aが配置されている。
表示部10は、表示画面の全面に同一の画像を表示する2次元画像表示が可能である。更に、図示のように、表示画面を左目用画像が表示される複数(n列)のストライプL1〜Lnと、右目用画像が表示される複数(n列)のストライプR1〜Rnとを交互に設定し、立体視に対応させるべく、それぞれに所望の視差を生じさせる、ずらした画像を表示する3次元立体画像表示も可能となされている。
表示部10の3次元立体画像表示の際のストライプL1〜Ln及びR1〜Rnのそれぞれ個々のストライプの幅は、少なくとも隣り合うR(赤)を表示する画素、G(緑)を表示する画素、B(青)を表示する画素の3画素で1単位とすると、この1単位毎に対応して交互に設定されていることが好ましいが、m単位(mは整数)毎に対応して交互に設定されていてもよい。
偏光板20Aを構成する偏光制御素子200Aと偏光制御素子200Bは、ストライプ状の第1の透明電極101と第2の透明電極104の幅方向のピッチ(図2に示すP)が、表示部10において設定されているストライプの幅と略同じであり、表示部10のストライプの境界と、隣合う透明電極の境界(図2の絶縁層106)とが略同位置となるよう位置合わせされている。
また、偏光制御素子200Aには、形成された複数の第1の透明電極101と対応する第2の透明電極104の奇数列に電圧を印加する導線SA1と偶数列に電圧を印加する導線SA2が接続されている。同様に、偏光制御素子200Bには、形成された複数の第1の透明電極101と対応する第2の透明電極104の奇数列に電圧を印加する導線SB1と偶数列に電圧を印加する導線SB2が接続されている。なお、導線SA1、SA2、SB1、SB2を一本の線で示しているが、一対の第1の透明電極101と対応する第2の透明電極104にそれぞれ接続されているものである。
偏光板20Aは、3次元立体画像を表示する際には、偏光制御素子200Aに対して導線SA1に電圧を印加すると共に、偏光制御素子200Bに対して導線SB2に電圧を印加し、表示部10はストライプL1〜Lnに左目用画像を表示し、ストライプR1〜Rnに右目用画像を表示する。
視聴者は、直線偏光状態となされた左目用画像を透過させる左目用直線偏光フィルタGPLを左目に掛け、直線偏光状態となされた右目用画像を透過させる右目用直線偏光フィルタGPRを右目に掛けて、3次元立体画像を視聴する。
図4は、第1の実施の形態に係る表示装置1における3次元立体画像を表示する際の偏光板20Aの状態を示す模式図である。
図4に示すように、3次元立体画像を表示する際の偏光板20Aは、偏光制御素子200Aと偏光制御素子200Bの第1の透明電極101と対応する第2の透明電極104に、交互に電圧が印加される。電圧が印加された透明電極間の偏光制御膜103は、上述のように偏光機能が無くなる。このため、図示のように表示部10で表示されるランダムな振動方向の左目用画像の光Lxは、偏光板20Aで偏光制御素子200Bのみの偏光機能の影響を受け、紙面に平行な直線偏光成分の光が透過する。一方、表示部10で表示されるランダムな振動方向の右目用画像の光Rxは、偏光板20Aで偏光制御素子200Aのみの偏光機能の影響を受け、紙面に垂直な直線偏光成分の光が透過する。これにより視聴者は、紙面に平行な直線偏光成分の光を透過させる左目用直線偏光フィルタGPLを左目に掛け、紙面に平行な直線偏光成分の光を透過させる右目用直線偏光フィルタGPRを右目に掛けることで、3次元(3D)立体画像が視認できるようになる。
一方、2次元表示の際には、図3に示す導線SA1、SA2、SB1、SB2に電圧を印加すると共に、表示部10は表示画面の全面に2次元画像表示を行う。導線SA1、SA2、SB1、SB2に電圧を印加することにより、偏光制御素子200Aと偏光制御素子200Bの全面の偏光機能が失われ、表示部10の表示画像は偏光することなく偏光板20Aを透過し、視聴者は両眼に掛ける直線偏光フィルタの有無に関わらず2次元画像を視認することができるようになる。
すなわち、導線SA1、SA2、SB1、SB2に対し選択的に電圧を印加するのみで、3次元(3D)立体画像表示に対応する状態と、2次元(2D)画像表示に対応する状態との切り替えが可能となる。
図5は、第1の実施の形態に係る表示装置1の機能ブロック図である。
図5に示すように、表示部10には表示駆動部15が接続され、表示駆動部15には制御部30が接続されている。偏光板20Aには偏光制御素子スイッチング部25が接続され、偏光制御素子スイッチング部25には制御部30が接続されている。また、制御部30には環境輝度検知部33、操作入力部35が接続されている。更に、画像データ入力部40が制御部30に接続されている。
表示駆動部15は、表示部10の表示輝度の制御を行うと共に、画像データ入力部40から制御部30を介して入力される画像データを、表示部10の表示画面の全面に同一の画像を表示する2次元画像表示と、表示画面を左目用画像が表示される複数(n列)のストライプL1〜Lnと、右目用画像が表示される複数(n列)のストライプR1〜Rnとに対し、それぞれに所望の視差を生じさせるよう、ずらした画像を表示する3次元立体画像表示とを、制御部30からの制御信号に基づいて切り替え駆動するものである。
偏光制御素子スイッチング部25は、制御部30からの制御信号に基づいて、2枚の偏光制御素子の透明電極に接続された導線SA1、SA2、SB1、SB2に選択的に電圧を印加するためのスイッチングをおこなうものである。
環境輝度検知部33は、表示装置が配置されている環境の輝度を検知するものであり、検知した環境の輝度を制御部30に伝達するものである。制御部30は、この検知結果に基づいて、表示駆動部15に表示部10の表示輝度を伝達する。なお、環境輝度検知部33の輝度検知センサは、表示装置本体が有していても、偏光眼鏡が有するワイヤレスのものであっても良い。
操作入力部35は、外部入力部であり、制御部30に対し2次元画像表示を行うか、3次元立体画像表示を行うかを指示するもので、視聴者が入力するものである。なお、輝度の切換指示を視聴者が操作入力部35から行う様に構成しても良い。
図6は、第1の実施の形態に係る表示装置1の動作概略の一例を示すフローチャートである。以下、同図に示すフローに従い説明する。
第1の実施の形態に係る表示装置においては、まず制御部30は3次元(3D)立体画像表示を行うか否かの判断を行う(ステップS101)。この判断は、操作入力部35からの入力や、画像データ入力部40からの画像データの情報に基づいて行われる。
3次元(3D)立体画像表示を行う場合(ステップS101;Yes)には、偏光制御素子200Aと200Bの複数の透明電極に対し、交互に電圧を印加(図4参照)すると共に、表示部10には右目用画像と左目用画像をストライプに対応させて表示する(ステップS102)。次いで、環境輝度検知部の検知結果に基づいて、3次元(3D)立体画像表示の表示輝度を適正化する(ステップS103)。この表示輝度調整は、制御部30において環境輝度検知部の検知結果に対応する3次元(3D)立体画像表示時のルックアップテーブルを参照し、3次元(3D)立体画像表示時の適正な表示輝度となす指示が表示駆動部15に伝達されることで行われる。なお、表示輝度を調整するステップは、表示開始時のみとし、表示中はこのステップをスキップしても良いし、制御部30にタイマーを持たせ、所定時間経過毎に行う様にしても良い。更には、操作入力部35を介して視聴者が命じた切換指示に応じて行っても良い。以下同様である。
一方、ステップS101において、3次元(3D)立体画像表示ではないと判断された場合(ステップS101;No)には、偏光制御素子200Aと200Bの全ての透明電極に対し、電圧を印加すると共に、表示部10には2次元画像表示を行う(ステップS112)。次いで、環境輝度検知部の検知結果に基づいて、2次元画像表示の表示輝度を適正化する(ステップS113)。この表示輝度調整は、制御部30において環境輝度検知部の検知結果に対応する2次元画像表示時のルックアップテーブルを参照し、2次元画像表示時の適正な表示輝度となす指示が表示駆動部15に伝達されることで行われる。
更に、上記表示を行いつつ、表示部での表示終了の命令を待機(ステップS104)する。この命令は、操作入力部から視聴者がおこなう。表示終了の命令がない場合(ステップS104;No)には、表示を継続し、表示終了の命令があった場合(ステップS104;Yes)には、偏光制御素子200Aと200Bへの通電を停止すると共に、表示部10の表示を停止させ(ステップS105)、終了する。
以上が、第1の実施の形態に係る表示装置1の動作概略の一例である。
第1の実施の形態に係る表示装置によれば、偏光板20Aを構成する偏光制御素子200A及び200Bへの通電を選択的におこなうことで、機械的な切り替え機構を要せず、表示性能の劣化のない、3次元(3D)立体画像表示と2次元(2D)画像表示との切り替えが可能な表示装置を提供することができる。
加えて、2次元画像表示時は、偏光制御素子200Aと偏光制御素子200Bの全面の偏光機能が失われるため、偏光板20Aによる減光が無くなる。このため偏光板20Aを透過する際の透過率が向上し、同じ環境輝度の場合、2次元(2D)画像表示時の表示部10における表示輝度を下げることができ、表示部の消費電力を削減することが可能となる。
この第1の実施の形態に係る表示装置1の変形例について説明する。
図7は、第1の実施の形態に係る表示装置1の変形例を示す模式図である。
図7に示す表示装置は、上方から見た図であり、図3に示した表示装置の偏光板20Aの視認側に位相差板50Aと、左目用直線偏光フィルタGPL及び右目用直線偏光フィルタGPRの偏光板側に位相差板50Bがそれぞれ配置されたものである。偏光板20Aの構成及び動作概略は第1の実施の形態と同様である。この場合、位相差板50Aと位相差板50Bの間では、偏光板20Aを透過した直線偏光状態の光が楕円偏光となる。
このように構成することで、視聴者の頭や姿勢が傾いた場合、すなわち左目用直線偏光フィルタGPL及び右目用直線偏光フィルタGPRの偏光軸が傾いた場合でも、表示部10で表示されたR・G・Bのバランスの再現性の劣化を抑制することができる。
また、位相差板50A及び50Bの代わりに、偏光板20Aを透過した右目用画像と左目用画像の偏光軸に対し、軸が45度傾いたλ/4波長板を配置しても同様の効果を得ることができる。
なお、上記の第1の実施の形態においては、偏光制御素子200Aと200Bのそれぞれの透明電極、電解質層、偏光制御膜を、ストライプ状に分割したもので説明したが、偏光制御素子200Aと200Bのそれぞれの透明電極、電解質層、偏光制御膜を、碁盤目状に分割し、二つの偏光制御素子の偏光機能を市松模様状となるように制御するものであってもよい。表示部10の表示については、市松模様状に左目用画像と右目用画像を表示すればよい。
偏光制御素子200Aを例に取り、偏光制御素子の偏光機能を市松模様状とする場合の透明電極及び回路の配置例を簡単に説明する。
図8は、偏光制御素子の偏光機能を市松模様状となるように制御する場合の透明電極及び回路の配置例を示す模式図である。
同図に示すように、複数の透明電極101の行と複数の透明電極104の列を交差させて形成し、水平走査回路151に透明電極101が個々に接続され、垂直走査回路152には透明電極104が接続されている。
透明電極間に電圧を印加した場合に、偏光機能の消失状態が保持される偏光制御膜を用いる場合、まず、水平走査回路151に接続された透明電極101の奇数行(Y1、Y3、Y5…)を選択し、垂直走査回路152に接続された透明電極104の奇数列(X1、X3、X5…)を選択して電圧印加を行う。次いで、水平走査回路151に接続された透明電極101の偶数行(Y2、Y4、Y6…)を選択し、垂直走査回路152に接続された透明電極104の偶数列(X2、X4、X6…)を選択して電圧印加を行う。これにより、図示ハッチング部の偏光機能を消失させることができ、偏光機能の有無の領域を市松模様状に設定することができる。
また、表示部の表示走査に同期させて、水平走査回路151に接続された透明電極101と垂直走査回路152に接続された透明電極104を選択し、電圧印加を行ってもよい。この場合には、偏光機能の消失状態が保持されない偏光制御膜であってもよい。
(第2の実施の形態)
以下、第2の実施の形態に係る表示装置について説明する。
図9は、第2の実施の形態に係る表示装置に適用される偏光制御素子を用いた偏光板20Bの模式断面図である。同図に示す偏光板20Bは、上述の偏光制御素子を1種1枚と、λ/2波長板部60Aと透過部60Bが交互に構成された光学素子60とで構成されたものである。すなわち、本例の偏光板20Bは単一の偏光制御素子を用いたものである。
図10は、第2の実施の形態に係る表示装置1の概略構成を示す斜視図である。
図10に示す表示装置1は、図3に示す表示装置1と、偏光板のみ構成が異なり、表示部10の視認側に、図9に示した構成の偏光板20Bが配置されている。偏光板20Bの偏光制御素子200Cには、形成された透明電極101と第2の透明電極104の全てに電圧を印加する導線SAが接続されている。なお、導線SAを一本の線で示しているが、一対の第1の透明電極101と対応する第2の透明電極104にそれぞれ接続されているものである。
光学素子60のλ/2波長板部60Aと透過部60Bの幅方向のピッチは、偏光制御素子200Cのストライプ状の第1の透明電極101と第2の透明電極104の幅方向のピッチ(図9に示すP)と略同じに形成されている。また、λ/2波長板部60Aと透過部60Bの境界は、表示部10のストライプの境界とも略同位置となるよう位置合わせされている。
このように偏光板20Bを構成することで、例えば、偏光制御素子200Cが、無通電の際に紙面に平行な方向に振動する光を透過させるものの場合、偏光制御素子200Cにより、表示部10で表示されるランダムな振動方向の左目用画像の光Lx及び右目用画像の光Rxは、偏光制御素子200Cの偏光機能の影響を受け、共に紙面に平行な方向の直線偏光の光となって透過する。次いで、直線偏光した左目用画像の光は、そのまま透過部60Bを透過し、一方、直線偏光した右目用画像の光は、λ/2波長板部60Aを透過することにより紙面に垂直な方向の直線偏光した光となる。これにより視聴者は、紙面に平行な直線偏光成分の光を透過させる左目用直線偏光フィルタGPLを左目に掛け、紙面に平行な直線偏光成分の光を透過させる右目用直線偏光フィルタGPRを右目に掛けることで、3次元(3D)立体画像が視認できるようになる。
一方、2次元表示の際には、図10に示す導線SAに電圧を印加すると共に、表示部10は表示画面の全面に2次元画像表示を行う。導線SAに電圧を印加することにより、偏光制御素子200Cの全面の偏光機能が失われ、表示部10の表示画像は偏光することなく偏光板20Bを透過し、視聴者は両眼に掛ける直線偏光フィルタの有無に関わらず2次元画像を視認することができるようになる。
すなわち、導線SAに電圧を印加するか否かのみで、3次元(3D)立体画像表示に対応する状態と、2次元(2D)画像表示に対応する状態との切り替えが可能となる。
第2の実施の形態における表示装置1の機能ブロック図は、図5と同様のものでよいが、偏光板が20Bとなり、偏光制御素子スイッチング部25の機能のみが異なり、この部分についてのみ説明する。
第2の実施の形態においては、偏光制御素子スイッチング部25は、制御部30からの制御信号に基づいて、偏光制御素子200Cの全ての透明電極に接続された導線SAに電圧を印加するためのスイッチングをおこなうものであればよい。
図11は、第2の実施の形態に係る表示装置1の動作概略の一例を示すフローチャートである。以下、同図に示すフローに従い説明する。
第2の実施の形態に係る表示装置においても、まず制御部30は3次元(3D)立体画像表示を行うか否かの判断を行う(ステップS201)。この判断は、操作入力部35からの入力や、画像データ入力部40からの画像データの情報に基づいて行われる。
3次元(3D)立体画像表示を行う場合(ステップS201;Yes)には、偏光制御素子200Cへの通電は行わずに、表示部10に右目用画像と左目用画像をストライプに対応させて表示する(ステップS202)。次いで、環境輝度検知部の検知結果に基づいて、3次元(3D)立体画像表示の表示輝度を適正化する(ステップS203)。この表示輝度調整は、第1の実施の形態と同様である。
一方、ステップS201において、3次元(3D)立体画像表示ではないと判断された場合(ステップS201;No)には、偏光制御素子200Cの導線SAに通電し、全ての透明電極に対し、電圧を印加すると共に、表示部10には2次元画像表示を行う(ステップS212)。次いで、環境輝度検知部の検知結果に基づいて、2次元画像表示の表示輝度を適正化する(ステップS213)。この表示輝度調整は、第1の実施の形態と同様である。
更に、上記表示を行いつつ、表示部での表示終了の命令を待機(ステップS204)する。この命令は、操作入力部から視聴者がおこなう。表示終了の命令がない場合(ステップS204;No)には、表示を継続し、表示終了の命令があった場合(ステップS204;Yes)には、偏光制御素子200Cへ通電している場合には通電を停止すると共に、表示部10の表示を停止させ(ステップS205)、終了する。
以上が、第2の実施の形態に係る表示装置1の動作概略の一例である。
第2の実施の形態に係る表示装置によれば、偏光板20Bを構成する偏光制御素子200Cへの通電をおこなうか否かのみで、機械的な切り替え機構を要せず、表示性能の劣化のない、3次元(3D)立体画像表示と2次元(2D)画像表示との切り替えが可能な表示装置を提供することができる。
加えて、2次元画像表示時は、偏光制御素子200Cの全面の偏光機能が失われるため、偏光板20Bによる減光が無くなる。このため偏光制御素子を透過する際の透過率が向上し、同じ環境輝度の場合、2次元(2D)画像表示時の表示部10における表示輝度を下げることができ、表示部の消費電力を削減することが可能となる。
なお、第2の実施の形態において、偏光板20Bを構成する偏光制御素子200Cの透明電極がストライプ状に分割されたもので説明したが、偏光制御素子200Cの全面が一対の第1の透明電極と第2の透明電極で構成されたものであってもよい。
(第3の実施の形態)
以下、第3の実施の形態に係る表示装置について説明する。
第3の実施の形態に係る表示装置に用いられる偏光板は、図2に示した偏光板の構成と同様のものが用いられる。
図12は、第3の実施の形態に係る表示装置1の概略構成を示す斜視図である。同図に示す第3の実施の形態に係る表示装置1は、図3に示した第1の実施の形態に係る表示装置1と導線の結線と、表示部の表示形態が異なるものである。
図12に示すように、第3の実施の形態に係る表示装置1は、偏光板20Aを構成する偏光制御素子200Aの全ての透明電極に電圧を印加する導線SAが接続され、偏光制御素子200Bの全ての透明電極に電圧を印加する導線SBが接続されているものである。なお、導線SA、SBを一本の線で示しているが、一対の第1の透明電極101と対応する第2の透明電極104にそれぞれ接続されているものである。
このように偏光板20Aを構成することで、例えば、偏光制御素子200Aが、無通電の際に表示部長辺方向に振動する光を透過させるもので偏光制御素子200Bが、無通電の際に表示部短辺方向に振動する光を透過させるものとした場合、偏光制御素子200Aに通電せず、偏光制御素子200Bの全面に通電して偏光制御素子200Bの偏光機能を無くし、表示部10の全面で表示される左目用画像を表示部長辺方向の直線偏光の光として透過させる。次いで、偏光制御素子200Bに通電せず、偏光制御素子200Aの全面に通電して偏光制御素子200Bの偏光機能を無くし、表示部10の全面で表示される右目用画像を表示部短辺方向の直線偏光の光として透過させる。これを交互に繰り返すことにより、視聴者は、表示部長辺方向の直線偏光成分の光を透過させる左目用直線偏光フィルタGPLを左目に掛け、表示部短辺方向の直線偏光成分の光を透過させる右目用直線偏光フィルタGPRを右目に掛けることで、3次元(3D)立体画像が視認できるようになる。
一方、2次元表示の際には、導線SA及びSBに電圧を印加すると共に、表示部10は表示画面の全面に2次元画像表示を行う。導線SA及びSBに電圧を印加することにより、偏光制御素子200A及び200Bの全面の偏光機能が失われ、表示部10の表示画像は偏光することなく偏光板20Aを透過し、視聴者は両眼に掛ける直線偏光フィルタの有無に関わらず2次元画像を視認することができるようになる。
すなわち、導線SA、SBに電圧を選択的に印加するのみで、3次元(3D)立体画像表示に対応する状態と、2次元(2D)画像表示に対応する状態との切り替えが可能となる。
また、第3の実施の形態における表示装置1の機能ブロック図は、図5と同様のものでよいが、機能の異なる部分についてのみ説明する。
第3の実施の形態においては、偏光制御素子スイッチング部25は、制御部30からの制御信号に基づいて、偏光制御素子200Aの全ての透明電極に接続された導線SAに電圧を印加するためのスイッチングと、偏光制御素子200Bの全ての透明電極に接続された導線SBに電圧を印加するためのスイッチングとを交互におこなうものであればよい。
また、表示駆動部15は、表示部10の表示輝度の制御を行うと共に、画像データ入力部40から入力される画像データを、表示部10の表示画面の全面に同一の画像を表示する2次元画像表示と、表示画面の全面に所望の視差を生じさせる2種の画像を交互に表示する3次元立体画像表示とを、制御部30からの制御信号に基づいて切り替え駆動するものである。
図13は、第3の実施の形態に係る表示装置1の動作概略の一例を示すフローチャートである。以下、同図に示すフローに従い説明する。
第3の実施の形態に係る表示装置においても、まず制御部30は3次元(3D)立体画像表示を行うか否かの判断を行う(ステップS301)。この判断は、操作入力部35からの入力や、画像データ入力部40からの画像データの情報に基づいて行われる。
3次元(3D)立体画像表示を行う場合(ステップS301;Yes)には、偏光制御素子200Aには通電せず、偏光制御素子200Bの全ての透明電極に電圧を印加して、表示部10に右目用画像を表示画面全面に表示し、次いで偏光制御素子200Bには通電せず、偏光制御素子200Aの全ての透明電極に電圧を印加して、表示部10に左目用画像を表示画面全面に表示することを、交互に繰り返す(ステップS302)。次いで、環境輝度検知部の検知結果に基づいて、3次元(3D)立体画像表示の表示輝度を適正化する(ステップS303)。この表示輝度調整は、第1の実施の形態と同様である。
一方、ステップS301において、3次元(3D)立体画像表示ではないと判断された場合(ステップS301;No)には、偏光制御素子200A及び200Bの導線SA、SBに通電し、全ての透明電極に対し、電圧を印加すると共に、表示部10には2次元画像表示を行う(ステップS312)。次いで、環境輝度検知部の検知結果に基づいて、2次元画像表示の表示輝度を適正化する(ステップS313)。この表示輝度調整は、第1の実施の形態と同様である。
更に、上記表示を行いつつ、表示部での表示終了の命令を待機(ステップS304)する。この命令は、操作入力部から視聴者がおこなう。表示終了の命令がない場合(ステップS304;No)には、表示を継続し、表示終了の命令があった場合(ステップS304;Yes)には、偏光制御素子200A又は200Bへ通電している場合には通電を停止すると共に、表示部10の表示を停止させ(ステップS305)、終了する。
以上が、第3の実施の形態に係る表示装置1の動作概略の一例である。
第3の実施の形態に係る表示装置によれば、偏光板20Aを構成する2つの偏光制御素子200A及び200Bへの通電をおこなうか否かのみで、機械的な切り替え機構を要せず、表示性能の劣化のない、3次元(3D)立体画像表示と2次元(2D)画像表示との切り替えが可能な表示装置を提供することができる。
加えて、2次元画像表示時は、偏光制御素子200A及び200Bの全面の偏光機能が失われるため、偏光板20Aによる減光が無くなる。このため偏光制御素子を透過する際の透過率が向上し、同じ環境輝度の場合、2次元(2D)画像表示時の表示部10における表示輝度を下げることができ、表示部の消費電力を削減することが可能となる。
なお、第3の実施の形態において、偏光板20Aを構成する偏光制御素子200A及び200Bの透明電極がストライプ状に分割されたもので説明したが、偏光制御素子200A及び200Bの、全面がそれぞれ一対の第1の透明電極と第2の透明電極で構成されたものであってもよい。