JP2011047901A - 波面収差計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光源波長によらず被検光学系の波面収差を高精度に計測することが可能な構成の波面収差計測装置を提供する。
【解決手段】被検光学系20を光路上から一旦退避させた状態で、可変形状ミラー10の反射面形状を変化させながら、可変形状ミラー10で反射され被検光学系20を介さずに波面センサ30に入射する光束の平行度を観測し、反射面の形状を、該光束が平行光束となる最適形状に設定した上で、被検光学系20を上記光路上に配置して、被検光学系20の波面収差を計測する。
【選択図】図1

Description

本発明は、レンズ等の被検光学系の性能評価に用いる波面収差計測装置に関する。
近年、より高解像度の光学装置に対する要求の高まりに対応して、この光学装置内に搭載される光学系に残存する波面収差をより正確に計測することが求められている。被検光学系の波面収差を計測する波面収差計測装置としては、例えばマイクロレンズアレイを利用するシャック−ハルトマン方式の波面収差計測技術などが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2003−121300号公報
このような波面収差計測装置において、異なる波長帯域の複数の単色光を用いて単色波面収差を計測する場合に、この波面収差計測装置内に組み込まれるレンズに色収差が残存していると、該レンズの持つ軸上色収差の影響で、光源波長の切り替えの際に装置内を通過する光束の平行度が崩れ、波面収差の計測値にデフォーカス成分となって現れていた。そのため、或る波長帯域においては、評価対象の被検光学系の波面収差に余分なデフォーカス成分が加わってしまい、被検光学系の波面収差を正確に測定するのが困難であった。なお、波面収差計測装置内に組み込まれるレンズ全てを色収差の残存していないレンズで構成するとなると、装置全体のコストが増大するという問題が生じる。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、光源波長によらず被検光学系の波面収差を高精度に計測することが可能な構成の波面収差計測装置を提供することを目的とする。
本発明を例示する態様に従えば、単色球面波の光束を射出する光源と、光源からの光束を被検光学系に入射させる照明光学系と、被検光学系を透過した光束を受光して、該光束に基づいて被検光学系の波面収差を計測する検出器と、検出器からの検出情報に基づいて検出器に入射する光束の平行度を求める制御部と、照明光学系中に配置され、制御部からの指令により変形可能な反射面の形状を変化させて、照明光学系から射出される光束の平行度を変化させて被検光学系に導く可変反射部とを備え、被検光学系を可変反射部と検出部との間の光路上に配置させ、被検光学系の波面収差を計測する波面収差計測装置であって、被検光学系を光路上から一旦退避させた状態で、可変反射部の反射面形状を変化させながら、可変反射部で反射され被検光学系を介さずに検出器に入射する光束の平行度を観測し、反射面の形状を、該光束が平行光束となる最適形状に設定した上で、被検光学系を光路上に配置して、被検光学系の波面収差を計測するように構成したことを特徴とする波面収差計測装置が提供される。
本発明によれば、被検光学系の波面収差を高精度に測定することができる。
本発明の適用例として示す波面収差計測装置の概要構成図である。 波面センサを示す模式図である。 上記波面センサにおける光束の結像状態を説明するための模式図である。 上記波面収差計測装置において被検光学系および折り返しミラーに替えて凹面反射ミラーを光路上に配置した状態を示す模式図である。 可変形状ミラーの概要構成を示す模式図である。 第2レンズ射出された光束を凹面反射ミラーで反射することによって、その往路をそのまま逆進させる方法を説明するための模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る波面収差計測装置の概要構成図を図1に示している。
波面収差計測装置1は、単レンズまたは複数のレンズ等からなる被検光学系20の波面収差を計測するように構成されており、チャンバ2内に、光源3、第1レンズ4、可変形状ミラー10、ビームスプリッタ5、第2レンズ6、及び波面センサ30を備えている。また、波面収差計測装置1は、これらの他にチャンバ2外に、被検光学系20、折り返しミラー21、装置全体を統括的に制御する制御部40、波面センサ30による検出結果などを表示する表示部50等を備えている。
このうち、第1レンズ4、可変形状ミラー10、ビームスプリッタ5および第2レンズ6が照明光学系L1を構成しており、第2レンズ6およびビームスプリッタ5が観察光学系L2を構成している。なお、照明光学系L1と観察光学系L2は、ビームスプリッタ5から第2レンズ6までの光路を共有している。
光源3は、波長の異なる複数の系の単色光を順次切り換えて照射可能なように構成されている。照明光源として、例えば、赤(中心波長625[nm])、緑(中心波長530[nm])、及び青(中心波長470[nm])の単色光(可視光単色光)を各々照射するレーザダイオード(LD)や発光ダイオード(LED)などが例示される。
光源3から射出される或る波長帯域の単色光は、図示省略するピンホールを通過することで、理想的な球面波の光となって第1レンズ4に入射する。第1レンズ4を通過した光は、詳細は後述する可変形状ミラー10で反射された後、ビームスプリッタ5に入射する。ビームスプリッタ5に入射して透過する光は、第2レンズ6を通過して被検光学系20に入射する。
被検光学系20を透過した光は、折り返しミラー21で反射され、再び被検光学系20に入射して結像された後、第2レンズ6により平行光に変換されてビームスプリッタ5に入射する。ビームスプリッタ5に入射して(垂直下方に折り曲げられるように)反射された光は、観察光学系L2の単独光路へ入り、次述する波面センサ30に入射する。
波面センサ30としては、シャック−ハルトマン(Shack−Hartmann)方式により波面収差を計測する検出器(波面センサ)が例示される。この波面センサ30は、正方形状の多数のマイクロレンズ32がマトリックス状に配列されたマイクロレンズアレイ31と、このマイクロレンズアレイ31から所定間隔を有して平行配置されたCCD(エリアセンサ)33とを有して構成されている。
マイクロレンズアレイ31において、各マイクロレンズ32は正の屈折力を有しており、その光軸が互いに平行になるように配列されている。マイクロレンズアレイ31は、ビームスプリッタ5で反射された平行光を入射したマイクロレンズ32ごとに、対応づけられた所定位置に配置されたCCD33の受光面34上にスポット像として結像する。なお、マイクロレンズアレイ31の配列態様は適宜変更することが可能である。
CCD33は、上述した光源3のピンホールと光学的に共役な位置に受光面34を有しており、その受光面34上に結像された多数のスポット像を撮像して得られた光電変換信号を制御部40へ出力する。
ここで、各マイクロレンズ32に入射する光の波面は、被検光学系20の波面収差を反映したものとなっている。被検光学系20が波面収差の無い理想的な光学系の場合には、図2(a)に示すように、マイクロレンズアレイ31に入射する平行光は光軸と直交する波面W1(理想的な波面として平面波)を有するため、スポット像は各マイクロレンズ32の光軸上にそれぞれ結像される。
一方、被検光学系20に波面収差が存在する場合には、図2(b)に示すように、マイクロレンズアレイ31に入射する平行光は、波面収差に応じて歪んだ波面W2を持つ(マイクロレンズ32ごとにそれぞれ異なる波面の傾きを持つ)ことになるため、受光面34上においてスポット像はマイクロレンズ32ごとに光軸から波面の傾き量に応じた距離だけずれた位置に結像する。
制御部40は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等からなる所謂マイクロコンピュータを有して構成されており、波面収差計測装置1全体を統括的に制御する。制御部40は、CCD33から送られてくる光電変換信号に基づいて各スポット像の結像位置(中心位置)を算出し、その算出結果と既知の基準位置(波面収差が存在しない場合のスポット像の結像位置)の位置データとを用いて、各スポット像の位置ずれ量(Δx,Δy)を算出する。制御部40は、その位置ずれ量(Δx,Δy)に基づいて波面の傾きを求めることにより、被検光学系20の収差を波面収差として計測することができる。なお、本装置においては、被検光学系20を2回透過(往復)しているため、波面収差が本来の2倍の値となって計測される(そのため、計測感度も2倍となって計測される)。よって、制御部40では、波面の傾きから直接算出された波面収差の値を1/2にすることで真の波面収差の値を導出している。
また、制御部40は、計測された波面収差量をゼルニケ(Zernike)多項式により展開し、ゼルニケ多項式の各項の係数(すなわち、ゼルニケ係数)として表現することで、デフォーカス成分などの各収差成分を求める。
表示部50は、CRTモニタ、液晶ディスプレイ等を有して構成されており、制御部40によって演算処理された計測結果として、波面収差やそのデフォーカス成分などを数値やグラフィックイメージ等によって画面に表示する。
このように構成される波面収差計測装置1において、両レンズ4,6が諸収差の無い理想的な光学系であるならば、被検光学系20を透過した光は平行光束とみなせる状態で、ビームスプリッタ5等を経て波面センサ30に入射し、図3(a)に示すように、各マイクロレンズ32により多数の光束に分割されCCD33の受光面34上において各々1点に集光されてスポット像を形成する。
一方で、例えば第1レンズ4が色収差を有する場合を考えると、光源3を第1レンズ4の前側焦点位置に配置したとしても、光源波長を切り換えた場合に、第1レンズ4の持つ軸上色収差の影響でこの第1レンズ4から射出する光束の平行性が崩れることとなる。その結果、マイクロレンズ32を通過した光束は、図3(b)および(c)に示すように、CCD33の受光面34上では集光せず、その集光位置が光源波長に応じて光軸方向に大きく変化してしまい、CCD33の受光面34上では比較的大きな面積の集光点を形成したボケ状態として検出される。その結果、このような軸上色収差によるデフォーカス量が、被検光学系20の波面収差の値にのってしまい、被検光学系20の波面収差を精度良く計測することが困難であるという問題がある。
そこで、このような不具合を是正するために、本実施形態の波面収差計測装置1では、被検光学系20の波面収差を計測する前に、軸上色収差を持つ第1レンズ4から射出される光束を、可変形状ミラー10の反射面形状を変化させて光源波長によらず平行光とみなせる状態で被検光学系20に入射させることで、計測される被検光学系20の波面収差から、第1レンズ4の軸上色収差により生じる余分なデフォーカス量を除去するように構成している。
このような波面収差計測装置1の構成について、図4を追加参照して引き続き説明する。図4は、図1に示す波面収差計測装置1において被検光学系20および折り返しミラー21の代わりに、凹面反射ミラー22を配置させた状態を示す模式図である。このように波面収差計測装置1は、図1に示す被検光学系20および折り返しミラー21と、図4に示す凹面反射ミラー22とを、その光路上に進退自在に構成しており、両者を交互に入れ替えてその光路上に配置することが可能である。すなわち、被検光学系20の収差測定を行うときは光路上に被検光学系20および折り返しミラー21を配置する(図1を参照)。一方、光源波長を切り換えることで第1レンズの軸上色収差により被検光学系20の測定精度が低下する虞があるときは、その計測前に、凹面反射ミラー22を被検光学系20および折り返しミラー21と入れ替えて配置し(図4を参照)、以降において詳述する処理を行う。
なお、本実施形態においては、本装置内に組み込まれた両レンズ4,6において、第1レンズ4を軸上色収差のある正レンズとし、第2レンズ6を第1レンズ4と比較して軸上色収差が無視できるほど十分小さく補正された正レンズとして適用した場合を例示して説明する。
このような構成において、光源3を或る波長帯域の単色光に対して第1レンズ4の前側焦点位置に配置している場合に、この波長帯域を切り換えて他の単色光を光源3から射出すると、第1レンズ4が有する軸上色収差のために、この第1レンズ4から射出される光束は平行性が崩れた状態となる。この平行性の崩れた状態の光束が、可変形状ミラー10、ビームスプリッタ5、第2レンズ6、凹面反射ミラー22等を経て波面センサ30に入射し計測されると、第2レンズ6の軸上色収差は第1レンズ4と比べて無視できるほど十分小さく設定されているため、第1レンズ4を射出した光束の平行性崩れが原因によるデフォーカス量が、制御部40により波面収差によるデフォーカス成分として求められ、表示部50の画面に表示される。
ここで、可変形状ミラー10は、第1レンズ4から射出された光束の平行度を補正するために、制御部40からの指令によって、その反射面の形状(ミラー形状)を適宜変化させる。
可変形状ミラー(デフォーマブルミラー)10は、図5に示すように、円盤状の基材11a上に円筒状の支持壁11bを突設して一体に形成された枠部材11と、この枠部材11に張設された薄膜ミラー12と、支持壁11bに囲まれて基材11a上に配設された多数の電極13,13,…と、各電極13を個別に電圧駆動するためのドライバ14とを備えて構成される。薄膜ミラー12は、例えば表面側のアルミニウムミラーと電極側の窒化シリコン薄膜との2層構造により構成された可撓性を有する反射膜体である。各電極13は、基材11aの表面上に、例えば同心円状で且つ放射状に多数並べて配列されている。このような構成の可変形状ミラー10においては、制御部40から出力される駆動信号に応じて、薄膜ミラー12と各電極13との間に印加される電圧が調節されることで、その静電気力によって反射面(薄膜ミラー12)の湾曲形状が可変制御されるようになっている。
制御部40は、波面センサ30により検出された波面収差によるデフォーカス成分(デフォーカス量)をモニターしながら、このデフォーカス量がゼロとなるように、可変形状ミラー10における反射面の形状を適宜変化させて、可変形状ミラー10で反射される光束の平行性を調節する。これにより、可変形状ミラー10が所定の反射面形状(最適形状)となったところで、第1レンズ4から射出された平行性の崩れた光束を、この可変形状ミラー10で平行光束とみなせる状態で反射することができる。
可変形状ミラー10で反射された光は、ビームスプリッタ5を透過して平行光束として第2レンズに入射する。第2レンズ6から射出された光束は、この第2レンズ6からの光束径を再び同じ光束径で第2レンズ6に戻すことが可能な曲率半径を持つ凹面反射ミラー22で反射されることにより、第2レンズ6を通過してきた往路をそのまま逆進することとなり、第2レンズ6の射出時と同じ光束の状態で再び第2レンズ6に入射される。この第2レンズ6は、凹面反射ミラー22から入射した光束を平行性を保ったままビームスプリッタ5へ向けて射出する。
ここで、上記のように第2レンズ6から射出した光の光束径を、凹面反射ミラー22により再び同じ光束径で第2レンズ6に戻す方法としては、以下の方法が例示される。まず、図6に示すように、ビームスプリッタ5と第2レンズ6との間の光路中に、第2レンズ6から射出されてビームスプリッタ5に向かう光束の一部を分岐させる新たなビームスプリッタ61を配置するとともに、このビームスプリッタ61で反射された光束を受光可能な位置に、この光束径を計測可能なセンサ(例えば、CCDカメラ)62を配置し、第2レンズ6からビームスプリッタ5に向かって射出された光の光束径を計測するようにする。そして、このセンサ62の出力(光束径の検出値)をモニターしながら、センサ62で計測される光束径が第2レンズ6の入射瞳径(該レンズ設計値により既知の値である)に等しくなるように、凹面反射ミラー22の曲率半径やアライメントを調整する。なお、凹面反射ミラー22を所望の曲率半径に調整するには、上記と同様な可変形状ミラーを利用して曲率半径を変化させたり、曲率半径の異なる複数の折り返しミラーの中から最適な曲率半径を持つ折り返しミラーを選定したりする方法が例示される。
図4に戻って、このように平行光束とみなせる状態で第2レンズ6から射出した光は、ビームスプリッタ5によって下方に折り曲げられるように反射され、波面センサ30に入射する。このとき制御部40が、波面センサ30からの出力によって求められるデフォーカス成分(デフォーカス量)をモニターしながら、このデフォーカス量がゼロとなるように可変形状ミラー10における反射面の形状を適宜変化させることにより、波面センサ30に入射する光束を光源波長によらず常に平行光束とみなせる状態に変換することができる。よって、この波面収差計測装置1では、異なる波長帯域の複数の単色光を用いた収差計測において、第1レンズ4の有する軸上色収差の影響により生じるデフォーカス量を的確に除去した状態で、被検光学系20の波面収差を計測することが可能である。
なお、可変形状ミラー10の反射面形状を適宜変化させてデフォーカス量を調節する際には、波面収差を計測可能な波面センサに限定されず、ビームスプリッタ5で反射された光束の平行度を計測可能な検出器(例えば、オートコリメータ)を用いて構成してもよい。
このように構成される波面収差計測装置1において被検光学系20の性能評価を行う際には、図1を用いて詳述したように装置内の光学系(第1レンズ4)の持つ軸上色収差によるデフォーカス量が除去された状態を保持しつつ(すなわち、可変形状ミラー10の反射面形状を、第1レンズ4の軸上色収差によるデフォーカス量がゼロとなるときの最適形状に設定して固定しつつ)、凹面反射ミラー22を光路上から退避させて、今度は計測対象の被検光学系20と折り返しミラー21とをその光路上に配置する(つまり、波面収差計測装置1を、可変形状ミラー10の反射面を最適形状としたままで、凹面反射ミラー22と、被検光学系20および折り返しミラー21とを交換し、冒頭で説明した図1の状態に戻す)。
このとき、光源3から照射された所定波長帯域の単色光の球面波が、第1レンズ4の軸上色収差の影響によって平行性の崩れた光束となって可変形状ミラー10に入射したとしても、上記最適形状に調整された可変形状ミラー10の反射面によって平行光束とみなせる状態で反射されるため、第2レンズ6へは第1レンズ4の軸上色収差の影響が除去された平行光束として入射させることができる。そして、第2レンズ6から射出され被検光学系20を透過した光束は折り返しミラー21によって折り返され、被検光学系20を透過してきた往路をそのまま逆進することになり、第2レンズ6により再び平行光束に変換されてビームスプリッタ5に入射する。
ビームスプリッタ5で反射された光束は、波面センサ30のマイクロレンズアレイ31を照射する。このとき、第1レンズ4の軸上色収差の影響は可変形状ミラー10によって既に排除されているため、各マイクロレンズ32によって各々の光がCCD33の受光面34上に集光されてスポット像としてそれぞれ結像することとなる。制御部40は、CCD33から送られてくる光電変換信号に基づいて各スポット像の結像位置を算出し、その算出結果と既知の基準点の位置データとに基づいて各スポット像の位置ずれを算出することにより、被検光学系20の収差を波面収差として計測することができる。その際、上記のように第1レンズ4の軸上色収差により平行性の崩れた光束は可変形状ミラー10の反射面によって平行光束に変換され被検光学系20を透過した後、平行光束とみなせる状態を保持したまま波面センサ30に入射するため、波面センサ30により検出される被検光学系20の波面収差に第1レンズ4の有する軸上色収差によるデフォーカス量が加わってしまうことはない。
以上説明した本実施形態に係る波面収差計測装置1によれば、光源3から順次異なる波長帯域の単色光を透過させて被検光学系20の性能評価を行う場合に、本装置内に軸上色収差の残存するレンズ(本実施形態においては第1レンズ4)が組み込まれていても、このレンズ4から射出される平行性崩れの光束を可変形状ミラー10の反射面の形状を適宜変化させて平行光束に変換して反射することができるため、第1レンズ4の軸上色収差によるデフォーカス量が被検光学系20の波面収差に加わることがなく、被検光学系20の波面収差測定の測定精度を高めることが可能になる。
また、このような波面収差計測装置1では、装置内に組み込まれる2枚のレンズ4,6の双方を軸上色収差の残存していないレンズで構成する必要がないため、装置全体のコスト低減を図ることが可能になる。
なお、上述の実施形態において、可変形状ミラー10として、薄膜ミラー12と電極13との間に印加される電圧に応じた静電気力により反射面(薄膜ミラー)を変形させる可変形状ミラーを例示したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、例えば、圧電素子の圧電効果を利用して反射面を変形させる可変形状ミラーを用いても同様の効果を得ることができる。
また、上述の実施形態において、波面収差計測装置1は、被検光学系20を透過した光束を折り返しミラー21で反射して再び被検光学系20を透過させる(被検光学系20を2回透過させる)光路往復式の計測装置を例示しているが、この実施形態に限定されるものではなく、例えば、折り返しミラー21を配置することなく被検光学系20を1回のみ透過した光束を計測する波面収差計測装置などに適用してもよい。
1 波面収差計測装置 3 光源
4 第1レンズ 5 ビームスプリッタ
6 第2レンズ 10 可変形状ミラー
20 被検光学系 21 折り返しミラー
22 凹面反射ミラー 30 波面センサ
40 制御部 50 表示部
L1 照明光学系

Claims (5)

  1. 単色球面波の光束を射出する光源と、
    前記光源からの光束を被検光学系に入射させる照明光学系と、
    前記被検光学系を透過した光束を受光して、該光束に基づいて前記被検光学系の波面収差を計測する検出器と、
    前記検出器からの検出情報に基づいて前記検出器に入射する光束の平行度を求める制御部と、
    前記照明光学系中に配置され、前記制御部からの指令により変形可能な反射面の形状を変化させて、前記照明光学系から射出される光束の平行度を変化させて前記被検光学系に導く可変反射部とを備え、
    前記被検光学系を前記可変反射部と前記検出部との間の光路上に配置させ、前記被検光学系の波面収差を計測する波面収差計測装置であって、
    前記被検光学系を前記光路上から一旦退避させた状態で、前記可変反射部の反射面形状を変化させながら、前記可変反射部で反射され前記被検光学系を介さずに前記検出器に入射する光束の平行度を観測し、前記反射面の形状を、該光束が平行光束となる最適形状に設定した上で、前記被検光学系を前記光路上に配置して、前記被検光学系の波面収差を計測するように構成したことを特徴とする波面収差計測装置。
  2. 前記照明光学系が、前記光源と前記可変反射部との間に配置され正の屈折力を持つ第1レンズと、前記可変反射部と前記被検光学系との間に配置され正の屈折力を持つ第2レンズとを有して構成され、
    前記第1レンズは軸上色収差を持ち、前記第2レンズは第1レンズに比べて軸上色収差が相対的に小さく補正されていることを特徴とする請求項1に記載の波面収差計測装置。
  3. 前記可変反射部と前記第2レンズとの間に、前記第2レンズからの光束を透過して前記被検光学系に入射させ、前記被検光学系からの光束を反射するビームスプリッタと、
    前記被検光学系を透過した光束を反射して再び前記被検光学系に入射させる折り返しミラーと、
    前記被検光学系および前記折り返しミラーを前記光路上から退避させた際に、前記光路上に配置され、前記第2レンズを通過し前記被検光学系を介さない光束を再び同一光路で前記第2レンズに向けて反射する反射光学系とを更に備え、
    前記検出器は、前記ビームスプリッタより反射された光束を受光可能な位置に配設されることを特徴とする請求項2に記載の波面収差計測装置。
  4. 前記光源が、異なる波長帯域の単色球面波の光束を順次切り替えて射出可能であり、
    前記光源の波長帯域を切り替えた場合に、前記被検光学系を前記光路上から一旦退避させて、前記可変反射部の反射面の形状を変化させて最適形状に設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の波面収差計測装置。
  5. 前記制御部が、前記検出器から得られる波面収差をゼルニケ多項式で展開することにより算出されるデフォーカス成分に基づいて、前記検出器に入射する光束の平行度を判断することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の波面収差計測装置。
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CN102980743A (zh) * 2012-10-26 2013-03-20 中国人民解放军国防科学技术大学 基于双哈特曼传感器的全光路像差校正系统及校正方法
CN110673224A (zh) * 2019-10-17 2020-01-10 中国科学院武汉物理与数学研究所 一种实时测量原子绝对重力仪波前畸变的装置和测量方法
CN114088352A (zh) * 2021-10-29 2022-02-25 中国科学院深圳先进技术研究院 一种相机全系统的波像差检测系统及检测方法
CN114361927A (zh) * 2022-01-06 2022-04-15 北京大学 一种矫正激光波前的方法和装置

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