JP2011046050A - 樹脂印刷版の製造方法及びレーザー彫刻された樹脂層の表面洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザー彫刻法で印刷原版表面にパターンを形成後、版表面タックの低減させる樹脂印刷版の製造方法を提供すること。
【解決手段】支持体と、前記支持体上に形成された樹脂層と、を含む樹脂印刷版の製造方法であって、(1)シート状又は円筒状の樹脂層にレーザーを照射することで、前記樹脂層の表面に凹部を形成するレーザー彫刻工程と、(2)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を、加熱する工程と、(3)所定の方法により、レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄する工程と、を含む樹脂印刷版の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】支持体と、前記支持体上に形成された樹脂層と、を含む樹脂印刷版の製造方法であって、(1)シート状又は円筒状の樹脂層にレーザーを照射することで、前記樹脂層の表面に凹部を形成するレーザー彫刻工程と、(2)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を、加熱する工程と、(3)所定の方法により、レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄する工程と、を含む樹脂印刷版の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、レーザー彫刻法でパターンを形成する樹脂印刷版の製造方法、及びレーザー彫刻された樹脂層の表面洗浄方法に関するものである。
近年、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、レタープレス印刷、グラビア印刷といった樹脂を用いた印刷、あるいはエンボス加工等の表面加工において、レーザー光を照射して照射された部分の樹脂が除去されることにより表面に凹凸パターンを形成するレーザー彫刻法が用いられるようになってきた。レーザー彫刻法に使用される材料としては、加硫ゴム、感光性樹脂組成物を光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物、熱硬化性樹脂組成物を熱処理により硬化させたもの等が挙げられる。近年では、処理時間の短縮の観点から、感光性樹脂組成物を光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物をレーザー彫刻する技術も増えている。
一般的に、レーザー彫刻法による樹脂印刷版の製造方法では、レーザー彫刻後に版表面に存在する彫刻カスを洗浄する工程が必要である。特許文献1では炭化水素、グリコールエーテル、界面活性剤、水を含む水系洗浄液を用いて洗浄する方法が記載されている。また水系洗浄液中でブラシを用いて物理的な洗浄方法も可能であることが記載されている。
しかし、レーザーにより直接凹凸形成が可能な印刷原版及び印刷版において、従来から知られている樹脂印刷版の製造方法及びその洗浄方法では、彫刻カスの除去は一応達成されるものの、洗浄工程後の版表面のタック(べたつき)が低減するまでには、依然として時間を要し、生産性の低下の原因となる。洗浄工程後の版表面のタックは、版表面へのほこりやごみの付着を引き起こし、付着したごみやほこりが印刷物に転写することによる印刷トラブルが生じ得る。このトラブルを回避するために、版表面のべたつきが低減するまで乾燥させると、生産性を大幅に低下させるという問題が生じる。
特許文献1に記載の技術では、版表面のタックが低減するまでには相当の時間を要するという問題がある。そのため、より効率的に版表面のタックを低減できる技術が求められている。
本発明は、上記事情を鑑みなされたものであり、レーザー彫刻法によりパターン形成された樹脂層表面のタックが短時間で低減される、樹脂印刷版の製造方法、及びレーザー彫刻された樹脂層の表面洗浄方法を提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、洗浄工程の前に、レーザー彫刻された樹脂層の表面を加熱することにより、極めて短時間で版表面のタックを低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
〔1〕
支持体と、前記支持体上に形成された樹脂層と、を含む樹脂印刷版の製造方法であって、
(1)シート状又は円筒状の樹脂層にレーザーを照射することで、前記樹脂層の表面に凹部を形成するレーザー彫刻工程と、
(2)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を、加熱する加熱工程と、
(3)(a)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に洗浄液を吹き付ける方法、(b)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄液に浸漬させる方法、(c)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面にブラシ又は多孔質体を接触させながら洗浄液で処理する方法、(d)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に気体を吹き付ける方法、からなる群より選択される少なくとも1種類の方法により、レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄する工程と、
を含む樹脂印刷版の製造方法。
〔2〕
前記工程(2)において、前記樹脂層の表面の温度を50℃以上200℃以下の範囲に加熱する上記〔1〕の樹脂印刷版の製造方法。
〔3〕
前記工程(2)における前記樹脂層の表面を加熱する方法が、前記樹脂層に熱風を接触させる方法、前記樹脂層に加熱物を接触させる方法、前記樹脂層に熱線を照射する方法、からなる群より選択される少なくとも1種類の方法である上記〔1〕又は〔2〕の樹脂印刷版の製造方法。
〔4〕
前記洗浄液が、水を含む上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一つの樹脂印刷版の製造方法。
〔5〕
前記樹脂層が、感光性樹脂組成物を含む硬化物層である上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一つの樹脂印刷版の製造方法。
〔6〕
(i)レーザー彫刻された樹脂層を加熱する工程と、
(ii)(a)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に洗浄液を吹き付ける方法、(b)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄液に浸漬させる方法、(c)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面にブラシ又は多孔質体を接触させながら洗浄液で処理する方法、(d)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に気体を吹き付ける方法、からなる群より選択される少なくとも1種類の方法により、レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄する工程と、
を含むレーザー彫刻された樹脂層の表面洗浄方法。
〔1〕
支持体と、前記支持体上に形成された樹脂層と、を含む樹脂印刷版の製造方法であって、
(1)シート状又は円筒状の樹脂層にレーザーを照射することで、前記樹脂層の表面に凹部を形成するレーザー彫刻工程と、
(2)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を、加熱する加熱工程と、
(3)(a)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に洗浄液を吹き付ける方法、(b)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄液に浸漬させる方法、(c)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面にブラシ又は多孔質体を接触させながら洗浄液で処理する方法、(d)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に気体を吹き付ける方法、からなる群より選択される少なくとも1種類の方法により、レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄する工程と、
を含む樹脂印刷版の製造方法。
〔2〕
前記工程(2)において、前記樹脂層の表面の温度を50℃以上200℃以下の範囲に加熱する上記〔1〕の樹脂印刷版の製造方法。
〔3〕
前記工程(2)における前記樹脂層の表面を加熱する方法が、前記樹脂層に熱風を接触させる方法、前記樹脂層に加熱物を接触させる方法、前記樹脂層に熱線を照射する方法、からなる群より選択される少なくとも1種類の方法である上記〔1〕又は〔2〕の樹脂印刷版の製造方法。
〔4〕
前記洗浄液が、水を含む上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一つの樹脂印刷版の製造方法。
〔5〕
前記樹脂層が、感光性樹脂組成物を含む硬化物層である上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一つの樹脂印刷版の製造方法。
〔6〕
(i)レーザー彫刻された樹脂層を加熱する工程と、
(ii)(a)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に洗浄液を吹き付ける方法、(b)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄液に浸漬させる方法、(c)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面にブラシ又は多孔質体を接触させながら洗浄液で処理する方法、(d)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に気体を吹き付ける方法、からなる群より選択される少なくとも1種類の方法により、レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄する工程と、
を含むレーザー彫刻された樹脂層の表面洗浄方法。
本発明によれば、レーザー彫刻法によりパターン形成された樹脂層表面のタックが短時間で低減される、樹脂印刷版の製造方法、及びレーザー彫刻された樹脂層の表面洗浄方法を提供できる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[樹脂印刷版の製造方法]
本実施の形態の樹脂印刷版の製造方法は、支持体と、前記支持体上に形成された樹脂層と、を含む樹脂印刷版の製造方法であって、
(1)シート状又は円筒状の樹脂層にレーザーを照射することで、前記樹脂層の表面に凹部を形成するレーザー彫刻工程と、
(2)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を、加熱する加熱工程と、
(3)(a)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に洗浄液を吹き付ける方法、(b)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄液に浸漬する方法、及び(c)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面にブラシ又は多孔質体を接触させながら洗浄液で処理する方法、(d)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に気体を吹き付ける方法、からなる群より選択される少なくとも1種類の方法により、レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄する工程と、を含む。レーザー彫刻された樹脂層の表面を洗浄する工程(3)の前に加熱工程(2)を行うことにより、パターン形成された樹脂層表面のタックを短時間で効果的に低減できる。その理由としては、タックの要因となりうる成分が比較的低分子量の成分(例えば、モノマーやそれらの低分子ポリマー等)であり、これらの成分を加熱により揮発させることができるからではないかと推測される(但し、本実施の形態の作用及び機構はこれに限定されない)。
本実施の形態の樹脂印刷版の製造方法は、支持体と、前記支持体上に形成された樹脂層と、を含む樹脂印刷版の製造方法であって、
(1)シート状又は円筒状の樹脂層にレーザーを照射することで、前記樹脂層の表面に凹部を形成するレーザー彫刻工程と、
(2)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を、加熱する加熱工程と、
(3)(a)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に洗浄液を吹き付ける方法、(b)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄液に浸漬する方法、及び(c)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面にブラシ又は多孔質体を接触させながら洗浄液で処理する方法、(d)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に気体を吹き付ける方法、からなる群より選択される少なくとも1種類の方法により、レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄する工程と、を含む。レーザー彫刻された樹脂層の表面を洗浄する工程(3)の前に加熱工程(2)を行うことにより、パターン形成された樹脂層表面のタックを短時間で効果的に低減できる。その理由としては、タックの要因となりうる成分が比較的低分子量の成分(例えば、モノマーやそれらの低分子ポリマー等)であり、これらの成分を加熱により揮発させることができるからではないかと推測される(但し、本実施の形態の作用及び機構はこれに限定されない)。
[レーザー彫刻された樹脂層の表面洗浄方法]
本実施の形態のレーザー彫刻された樹脂層の表面洗浄方法は、
(i)レーザー彫刻された樹脂層を加熱する工程と、
(ii)(a)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に洗浄液を吹き付ける方法、(b)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄液に浸漬する方法、及び(c)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面にブラシ又は多孔質体を接触させながら洗浄液で処理する方法、(d)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に気体を吹き付ける方法、からなる群より選択される少なくとも1種類の方法により、レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄する工程と、を含む。
本実施の形態のレーザー彫刻された樹脂層の表面洗浄方法は、
(i)レーザー彫刻された樹脂層を加熱する工程と、
(ii)(a)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に洗浄液を吹き付ける方法、(b)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄液に浸漬する方法、及び(c)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面にブラシ又は多孔質体を接触させながら洗浄液で処理する方法、(d)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に気体を吹き付ける方法、からなる群より選択される少なくとも1種類の方法により、レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄する工程と、を含む。
[樹脂層]
樹脂層は、レーザー照射により凹部を形成することが可能であれば特に制限されず、公知のものを用いることができる。即ち、樹脂層としては、レーザー照射によってパターン形成可能な材料であればよく、その種類は特に限定されないが、高精度のレーザー彫刻が可能である観点から、熱可塑性樹脂組成物を含む硬化物層や、感光性樹脂組成物を含む硬化物層であることが好ましく、感光性樹脂組成物を含む光硬化物層であることがより好ましい。
樹脂層は、レーザー照射により凹部を形成することが可能であれば特に制限されず、公知のものを用いることができる。即ち、樹脂層としては、レーザー照射によってパターン形成可能な材料であればよく、その種類は特に限定されないが、高精度のレーザー彫刻が可能である観点から、熱可塑性樹脂組成物を含む硬化物層や、感光性樹脂組成物を含む硬化物層であることが好ましく、感光性樹脂組成物を含む光硬化物層であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂組成物としては、熱可塑性のエラストマーを含む組成物であっても、非エラストマーを含む組成物であっても構わない。
熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーであるSBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)等、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。熱可塑性エラストマーは加熱することにより流動化するため、後述する無機多孔質体を多量に混合することが可能となる。熱可塑性エラストマーとは、加熱することにより流動性を発現し、通常の熱可塑性プラスチック同様成形加工ができ、かつ常温ではゴム弾性を示すものをいう。分子構造としては、ポリエーテルやゴム分子等のようなソフトセグメントと、常温付近では加硫ゴムと同じく塑性変形を防止するハードセグメントと、からなる。ハードセグメントとしては、凍結相、結晶相、水素結合、イオン架橋等のタイプが挙げられる。
本実施形態では、樹脂印刷版の用途に応じて、熱可塑性エラストマーの種類を選択できる。例えば、耐溶剤性が要求される分野では、ウレタン系、エステル系、アミド系、フッ素系の熱可塑性エラストマーが好ましく、耐熱性が要求される分野では、ウレタン系、オレフィン系、エステル系、フッ素系の熱可塑性エラストマーが好ましい。また、熱可塑性エラストマーの種類を適宜選択することにより、硬度を大きく変えることができる。例えば、通常の印刷版での用途では、樹脂層のショアA硬度(JIS K 6253に準拠)は20〜75度の領域であり、紙、フィルム、建築材料等の表面凹凸パターンを形成するエンボス加工の用途では、比較的硬い材料である必要があるため、樹脂層のショアD硬度(JIS K 6253に準拠)は30〜80度の領域であるが、本実施形態の樹脂印刷版はこれらの用途にも好適に用いることができる。
非エラストマーとしては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂の軟化温度は、好ましくは50℃以上500℃以下、より好ましくは80℃以上350℃以下、更に好ましい範囲は100℃以上250℃以下である。軟化温度が50℃以上であれば常温で固体として取り扱うことができ、シート状又は円筒状に加工した樹脂層を変形させずに取り扱うことができる。軟化温度が500℃以下である場合、樹脂をシート状又は円筒状に加工する際に極めて高い温度に加熱する必要がなく、混合する他の化合物の変質や分解を防止できる。軟化温度は、動的粘弾性測定装置を用いて測定され、室温から温度を上昇していった場合、粘性率が大きく変化する(粘性率曲線の傾きが変化する)最初の温度で定義する。
感光性樹脂組成物は、光照射によって光架橋反応が起こることにより網目構造等が形成されるものであればよく、その種類は特に限定されない。例えば、高精度のレーザー彫刻が可能である観点から、樹脂(α)と、重合性不飽和基を有する化合物(β)と、を含むものが好ましく、無機多孔質体(γ)をさらに含むものがより好ましい。
樹脂(α)としては、上記した熱可塑性樹脂等であってもよい。感光性樹脂組成物を構成する樹脂(α)の数平均分子量の範囲は、好ましくは1000以上50万以下、より好ましくは2000以上30万以下、更に好ましくは5000以上10万以下である。1000以上であれば、印刷版の機械的強度を十分確保でき、また、50万以下であれば、レーザー光線の照射により十分に分解させることができるため、樹脂層の表面を高精度で所望の形状に凹凸形成することができる。数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、分子量既知のポリスチレン標品に対して評価したものである。
レーザー彫刻性の観点から、分子鎖中に分解し易いモノマー単位として、スチレン、アクリルエステル類、メタクリルエステル類、エステル化合物類、エーテル化合物類、ニトロ化合物類、脂肪族環状化合物類等が含まれていることが好ましい。特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコール等のポリエーテル類、脂肪族ポリカーボネート類、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ニトロセルロース、ポリオキシエチレン、ポリノルボルネン、ポリシクロヘキサジエン水添物、あるいは分岐構造の多いデンドリマー等の樹脂は、分解し易いものの代表例である。樹脂の分解し易さを測る指標として、空気下において熱重量分析(TGA)法を用いて測定した重量減少率がある。樹脂(α)の重量減少率は、500℃において50質量%以上であることが好ましい。重量減少率が50質量%以上であれば、レーザー光線の照射により樹脂を充分に分解させることができる。熱重量分析法は、測定装置としてSII(セイコーインスツルメント)社製、TG/DTA320(商品名)を用い、樹脂凸版印刷原版10mgをアルミパン上に配置して、窒素雰囲気下(窒素流量250mL/分)、昇温速度10℃/分、測定温度は室温から600℃までの温度範囲の測定条件にて測定できる。
樹脂(α)は、溶剤可溶性樹脂であってもよい。具体的には、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、ノボラック樹脂、アルキッド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
樹脂(α)は反応性が高い重合性不飽和基を持たないものであってもよいし、分子鎖の末端あるいは側鎖に反応性が高い重合性不飽和基を持っていてもよい。反応性が高い重合性不飽和基を有する樹脂(α)を用いる場合、極めて機械的強度が高い樹脂印刷版を作製することができる。
特にポリウレタン系、ポリエステル系熱可塑性エラストマーでは、比較的簡単に分子内に反応性が高い重合性不飽和基を導入することができる。ここでいう「分子内」とは、高分子主鎖の末端、高分子側鎖の末端や高分子主鎖中や側鎖中に、直接、重合性不飽和基が付いている場合も含まれる。例えば、直接、不飽和基をその分子末端に導入してもよいが、別法として、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基等の反応性基を複数有する数千程度の分子量の上記成分の反応性基と結合しうる基を複数有する結合剤(例えば、水酸基やアミノ酸基の場合のポリイソシアネート等)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行った後、この末端結合性基と反応する基と重合性不飽和基を有する化合物と反応させて末端に重合性不飽和基を導入する方法等が好ましい。
重合性不飽和基とは、ラジカル重合反応や付加重合反応に関与する重合性不飽和基である。ラジカル重合反応に関与する重合性不飽和基の好ましい例としては、ビニル基、アセチレン基、アクリル基、メタクリル基、アリル基等が挙げられる。付加重合反応に関与する重合性不飽和基の好ましい例としては、シンナモイル基、チオール基、アジド基、開環付加反応するエポキシ基、オキセタン基、環状エステル基、ジオキシラン基、スピロオルトカーボネート基、スピロオルトエステル基、ビシクロオルトエステル基、シクロシロキサン基、環状イミノエーテル基等が挙げられる。
化合物(β)は、ラジカル重合反応や付加重合反応に関与する上記重合性不飽和基を有する化合物であり、樹脂(α)との混合の容易さを考慮すると、数平均分子量は1000未満が好ましい。化合物(β)は、例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類、アセチレン類、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、ハロオレフィン類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、アリルアルコール、アリルイソシアネート等のアリル化合物、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその誘導体、酢酸ビニル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、シアネートエステル類等が挙げられる。
上記誘導体としては、シクロアルキル−、ビシクロアルキル−、シクロアルケン−、ビシクロアルケン−等の脂環族、ベンジル−、フェニル−、フェノキシ−等の芳香族、アルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、アルキレングリコール−、ポリオキシアルキレングリコール−、(アルキル/アリルオキシ)−ポリアルキレングルコール−、及びトリメチロールプロパン等の多価アルコールのエステル等が挙げられる。
樹脂層は、レーザー彫刻時に発生する液状成分の吸着等を目的として、無機多孔質体(γ)をさらに含むことが好ましい。溶融あるいは分解し易い樹脂を用いるとレーザー彫刻時に液状成分が発生する傾向がある。この液状成分はタック発生の要因の一つとなりうるものであるが、無機多孔質体を含有させることによりその発生を効果的に抑えることができる。無機多孔質体としては、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ-ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、多硬質ガラス等が好ましい。
[支持体]
樹脂層を形成するための支持体としては、その形状は特に限定されず、例えば、シート状又は円筒状の支持体を用いることができる。シート状支持体の材料としては、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルホン樹脂等のプラスチックフィルムや、ニッケル、アルミニウム、鉄等の金属シート等を用いることができる。円筒状支持体としては、繊維強化プラスチック、フィルム強化プラスチック、金属、ゴムからなる群から選択される少なくとも1種類の材料を含む円筒状支持体であることが好ましい。また、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の繊維で強化されたポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等のプラスチック製スリーブ、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルチューブ等の円筒状支持体を用いることもできる。円筒状支持体は中空状であることが、印刷版の軽量化及び取り扱いの容易さの観点から、好ましい。
樹脂層を形成するための支持体としては、その形状は特に限定されず、例えば、シート状又は円筒状の支持体を用いることができる。シート状支持体の材料としては、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルホン樹脂等のプラスチックフィルムや、ニッケル、アルミニウム、鉄等の金属シート等を用いることができる。円筒状支持体としては、繊維強化プラスチック、フィルム強化プラスチック、金属、ゴムからなる群から選択される少なくとも1種類の材料を含む円筒状支持体であることが好ましい。また、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の繊維で強化されたポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等のプラスチック製スリーブ、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルチューブ等の円筒状支持体を用いることもできる。円筒状支持体は中空状であることが、印刷版の軽量化及び取り扱いの容易さの観点から、好ましい。
シート状支持体又は円筒状支持体の役割は、樹脂層の寸法安定性を確保すること等である。したがって、支持体として寸法安定性の高いものを選択することが好ましい。寸法安定性の観点から、支持体の材料の線熱膨張係数は、好ましい上限値は100ppm/℃以下、より好ましくは70ppm/℃以下である。好ましい下限値は0ppm/℃以上である。線熱膨張係数は、熱機械分析装置(TMA)(リガク社製、装置名「CN8098F1」)を用いて測定できる。
材料の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビスマレイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンチオエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂等から構成される液晶樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂を積層して用いることもできる。さらにまた、多孔質性のシート(例えば、繊維を編んで形成したクロスや、不織布、フィルムに細孔を形成したもの等)をシート状支持体として用いることができる。シート状支持体として多孔質性シートを用いる場合、樹脂組成物をシート状支持体の孔に含浸させた後に熱硬化させることで、樹脂硬化物層とシート状支持体とが一体化するために高い接着性を得ることができる。クロスあるいは不織布を形成する繊維としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アルミナ・シリカ繊維、ホウ素繊維、高珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、サファイア繊維等の無機系繊維;木綿、麻等の天然繊維;レーヨン、アセテート等の半合成繊維;ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイミド、アラミド等の合成繊維が挙げられる。また、バクテリアを生成するセルロースは、高結晶性ナノファイバーであり、薄くて寸法安定性の高い不織布を作製することができる材料である。
[レーザー彫刻工程]
本実施の形態の樹脂印刷版の製造方法は、シート状又は円筒状の樹脂層にレーザーを照射することで、前記樹脂層の表面に凹部を形成するレーザー彫刻工程を行う。レーザー彫刻においては、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー装置を操作し、原版上にレリーフ画像を作成する。レーザー彫刻に用いるレーザーは、原版が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよいが、彫刻を高速度で行なうためには出力の高いものが望ましい。レーザーとしては、炭酸ガスレーザーやYAGレーザー、半導体レーザー等の赤外線あるいは赤外線放出固体レーザーが好ましいものの一つである。また、可視光線領域に発振波長を有するYAGレーザーの第2高調波、銅蒸気レーザー、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えばエキシマレーザー、第3あるいは第4高調波へ波長変換したYAGレーザーは、有機分子の結合を切断するアブレーション加工が可能であり、微細加工に適する。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でもよい。
本実施の形態の樹脂印刷版の製造方法は、シート状又は円筒状の樹脂層にレーザーを照射することで、前記樹脂層の表面に凹部を形成するレーザー彫刻工程を行う。レーザー彫刻においては、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー装置を操作し、原版上にレリーフ画像を作成する。レーザー彫刻に用いるレーザーは、原版が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよいが、彫刻を高速度で行なうためには出力の高いものが望ましい。レーザーとしては、炭酸ガスレーザーやYAGレーザー、半導体レーザー等の赤外線あるいは赤外線放出固体レーザーが好ましいものの一つである。また、可視光線領域に発振波長を有するYAGレーザーの第2高調波、銅蒸気レーザー、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えばエキシマレーザー、第3あるいは第4高調波へ波長変換したYAGレーザーは、有機分子の結合を切断するアブレーション加工が可能であり、微細加工に適する。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でもよい。
一般には、樹脂は炭酸ガスレーザーの10μm近傍に吸収を持つため、特にレーザー光の吸収を助けるような成分の添加は必須ではないが、YAGレーザーは1.06μm近傍の波長である。その場合、YAGレーザー光の吸収を助ける成分である、染料、顔料の添加が必要となる。
染料としては、ポリ(置換)フタロシアニン化合物及び金属含有フタロシアニン化合物;シアニン化合物;スクアリリウム染料;カルコゲノピリロアリリデン染料;クロロニウム染料;金属チオレート染料;ビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン染料;オキシインドリジン染料;ビス(アミノアリール)ポリメチン染料;メロシアニン染料;及びキノイド染料等が挙げられる。
顔料としては、カーボンブラック、グラファイト、亜クロム酸銅、酸化クロム、コバルトクロームアルミネート、酸化銅、酸化鉄等の暗色の無機顔料や、鉄、アルミニウム、銅、亜鉛のような金属粉及びこれら金属にSi、Mg、P、Co、Ni、Y等をドープしたもの等が挙げられる。
これら染料、顔料は単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよいし、複層構造にする等のあらゆる形態で組み合わせてもよい。ただし、光を用いて感光性樹脂組成物を硬化させる場合、硬化に使用する光の波長における光吸収が大きな有機化合物及び無機化合物の添加量は、光硬化性に支障のない範囲にすることが好ましい。感光性樹脂組成物全体量に対する上記有機化合物及び無機化合物の添加比率としては5質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以下である。
レーザーによる彫刻は、酸素含有ガス下、一般には空気存在下もしくは気流下に実施するが、炭酸ガスや窒素ガス等の不活性ガス下でも実施できる。樹脂層に対してレーザー照射することにより、樹脂層の一部を溶融させ、前記樹脂層の溶融した部分を除去して凹部を形成させる。樹脂層の溶融した部分の除去は、特に限定されず、例えば、高圧スチームを照射する方法等によって行うことができる。
[加熱工程]
本実施形態の樹脂印刷版の製造方法は、レーザー彫刻された表面を加熱する加熱工程を有する。加熱する温度に特に制限はないが、前記樹脂層の表面の温度を50〜200℃の範囲に加熱することが好ましい。この範囲であれば洗浄工程後に一層短時間でタックを除去することが可能になる。また、加熱工程の時間に特に制限はないが、加熱時間の下限値は、1分以上が好ましく、10分以上がより好ましく、30分以上がさらに好ましい。加熱時間の上限値は、240分以下が好ましく、180分以下がより好ましく、90分以下がさらに好ましい。上記範囲の加熱時間であれば、洗浄工程後に一層短時間でタックを除去することが可能であり、かつ製造効率もよいという観点からの優位差を有する。
本実施形態の樹脂印刷版の製造方法は、レーザー彫刻された表面を加熱する加熱工程を有する。加熱する温度に特に制限はないが、前記樹脂層の表面の温度を50〜200℃の範囲に加熱することが好ましい。この範囲であれば洗浄工程後に一層短時間でタックを除去することが可能になる。また、加熱工程の時間に特に制限はないが、加熱時間の下限値は、1分以上が好ましく、10分以上がより好ましく、30分以上がさらに好ましい。加熱時間の上限値は、240分以下が好ましく、180分以下がより好ましく、90分以下がさらに好ましい。上記範囲の加熱時間であれば、洗浄工程後に一層短時間でタックを除去することが可能であり、かつ製造効率もよいという観点からの優位差を有する。
樹脂層の表面を加熱する方法として、特に限定されないが、前記樹脂層に熱風を接触させる方法、前記樹脂層に加熱物を接触させる方法、前記樹脂層に熱線を照射する方法、からなる群から選択される少なくとも1種類の方法を使用することが好ましい。これらの中でも、作業性の容易性の観点から前記樹脂層に熱風を接触させる工程が好ましい。
樹脂層に熱風を接触させる方法としては、特に限定されないが、例えば、加温したオーブン中にレーザー彫刻された樹脂版を曝すことにより、樹脂層を加熱する方法等が挙げられる。
樹脂層に加熱物を接触させる方法としては、特に限定されないが、例えば、加熱したロールと接触させる方法が挙げられる。具体的には、加熱したロールをレーザー彫刻された樹脂版と接触させることにより、樹脂層を加熱する方法等が挙げられる。
樹脂層に熱線を照射する方法において用いられる熱線としては、例えば、近赤外線、赤外線等が挙げられる。
[洗浄工程]
本実施形態の樹脂印刷版の製造方法は、加熱工程の後に、(a)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に洗浄液を吹き付ける方法、(b)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄液に浸漬させる方法、(c)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面にブラシ又は多孔質体を接触させながら洗浄液で処理する方法、及び(d)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に気体を吹き付ける方法、からなる群より選択される少なくとも1種類の方法により、レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄する。
本実施形態の樹脂印刷版の製造方法は、加熱工程の後に、(a)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に洗浄液を吹き付ける方法、(b)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄液に浸漬させる方法、(c)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面にブラシ又は多孔質体を接触させながら洗浄液で処理する方法、及び(d)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に気体を吹き付ける方法、からなる群より選択される少なくとも1種類の方法により、レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄する。
加熱工程終了後から洗浄工程開始までの時間は特に制限されないが、30分以内が好ましく、15分以内がより好ましく、5分以内がさらに好ましい。この範囲であれば洗浄工程後に一掃短時間でタックを除去することが可能である。
[(a)洗浄液を吹き付ける方法]
レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に洗浄液を吹き付ける方法の場合、印刷版の版欠け防止の観点から、印刷版の樹脂層表面から60mm〜100mm離した吹きつけ口から、30kgf/cm2〜50kgf/cm2の圧力で、洗浄液を吹き付けることが好ましい。「版欠け」とは、樹脂層表面に形成された凸部形状の一部が欠けたり変形したりする現象をいう。
レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に洗浄液を吹き付ける方法の場合、印刷版の版欠け防止の観点から、印刷版の樹脂層表面から60mm〜100mm離した吹きつけ口から、30kgf/cm2〜50kgf/cm2の圧力で、洗浄液を吹き付けることが好ましい。「版欠け」とは、樹脂層表面に形成された凸部形状の一部が欠けたり変形したりする現象をいう。
[(b)洗浄液に浸漬する方法]
レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄液に浸漬させる方法の場合、浸漬条件については特に制限されないが、生産性とタック除去の観点から、30分〜60分の範囲で印刷版を洗浄液に浸漬することが好ましい。
レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄液に浸漬させる方法の場合、浸漬条件については特に制限されないが、生産性とタック除去の観点から、30分〜60分の範囲で印刷版を洗浄液に浸漬することが好ましい。
[(c)ブラシ又は多孔質体と接触させながら洗浄液で処理する方法]
レーザー彫刻された前記樹脂層の表面にブラシ又は多孔質体を接触させながら洗浄液で処理する方法とは、印刷版の樹脂層の表面にブラシ又は多孔質体を接触させつつ、その表面に洗浄液を供給する方法を意味する。このとき20〜40分の範囲でブラッシング洗浄することが好ましい。ここで、ブラシとは、毛先で引っ掛けてカスを除去できるものをいい、洗浄に用いるものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。多孔質体としては、洗浄に用いるものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、多硬質ガラス等が挙げられる。
レーザー彫刻された前記樹脂層の表面にブラシ又は多孔質体を接触させながら洗浄液で処理する方法とは、印刷版の樹脂層の表面にブラシ又は多孔質体を接触させつつ、その表面に洗浄液を供給する方法を意味する。このとき20〜40分の範囲でブラッシング洗浄することが好ましい。ここで、ブラシとは、毛先で引っ掛けてカスを除去できるものをいい、洗浄に用いるものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。多孔質体としては、洗浄に用いるものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、多硬質ガラス等が挙げられる。
[(d)気体を吹き付ける方法]
レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に気体を吹き付ける方法の場合、印刷版の版欠け防止の観点から、印刷版の樹脂層表面から30mm〜50mm離したコンプレッサー、エアーポンプ、注射器等の気体供給源から、0.1kgf/cm2〜5.0kgf/cm2の範囲で、気体を吹き付けることが好ましい。用いる気体としては特に制限されないが、コストの観点から、乾燥空気が好ましい。
レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に気体を吹き付ける方法の場合、印刷版の版欠け防止の観点から、印刷版の樹脂層表面から30mm〜50mm離したコンプレッサー、エアーポンプ、注射器等の気体供給源から、0.1kgf/cm2〜5.0kgf/cm2の範囲で、気体を吹き付けることが好ましい。用いる気体としては特に制限されないが、コストの観点から、乾燥空気が好ましい。
[洗浄液]
洗浄工程で洗浄液を用いる場合、洗浄液としては、レーザー彫刻により発生する彫刻カスを除去することが可能であれば特に制限されず、一般に用いられているものを使用できる。洗浄液としては、例えば、炭化水素、グリコールエーテル化合物、界面活性剤、水等が挙げられる。それらの中でも、好ましくは、少なくとも水を含む洗浄液であり、より好ましくは、炭化水素、グリコールエーテル化合物、界面活性剤、及び水を含む洗浄液である。
洗浄工程で洗浄液を用いる場合、洗浄液としては、レーザー彫刻により発生する彫刻カスを除去することが可能であれば特に制限されず、一般に用いられているものを使用できる。洗浄液としては、例えば、炭化水素、グリコールエーテル化合物、界面活性剤、水等が挙げられる。それらの中でも、好ましくは、少なくとも水を含む洗浄液であり、より好ましくは、炭化水素、グリコールエーテル化合物、界面活性剤、及び水を含む洗浄液である。
洗浄液が少なくとも水を含むことにより、洗浄後の水洗工程(例えば、リンス工程)等を短時間で実施することができる。レーザー彫刻により発生する彫刻カスは、樹脂層を構成する樹脂の分解物である。そのため、彫刻カスを構成する分子は、分子量分布が広く、かつ極性の高いものや低いものが混在している。そのため、炭化水素、グリコールエーテル化合物、界面活性剤及び水を組み合わせた洗浄剤が、レーザー彫刻により発生する彫刻カスの除去に極めて高い効果を有する。
炭化水素は、極性の低い化合物からなる彫刻カスを膨潤、溶解させることができる。炭化水素としては、炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖を有する鎖状炭化水素又は環式炭化水素が好ましい。炭素数が8以上であれば、引火点を高くできるため引火性の問題を低減できる。炭素数が20以下であれば洗浄液の粘度を低く抑えることができ、液成を均一に保てるため洗浄性を充分に確保できる。このような炭化水素としては、特に限定するものではないが、具体例としては、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、シクロオクタン、シクロドデカン、メンタン、ビシクロヘキシル、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン、シクロオクテン、リモネン、ピネン、デカリン、2,2,4,4,6,8,8−ヘプタメチルノナン、2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン等が挙げられる。これらは単独あるいは混合物として使用することができる。
グリコールエーテル化合物の添加は、極性のある分子から構成される彫刻カスの除去を補助する効果があり、洗浄剤の各成分を相溶する相溶化剤として作用する。グリコールエーテル化合物とは、グリコールの1つあるいは2つの水酸基をエーテル化した化合物である。具体例としては、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールペンチルメチルエーテル、エチレングリコールペンチルエチルエーテル、エチレングリコールペンチルブチルエーテル、エチレングリコールジペンチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジヘキシルエーテル、エチレングリコールモノシクロヘキシルエーテル、エチレングリコールジシクロヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘプチルエーテル、エチレングリコールジヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールジオクチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールジ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノノニルエーテル、エチレングリコールジノニルエーテル、エチレングリコールモノデシルエーテル、エチレングリコールジデシルエーテル、もしくはこれらに対応するジ−、トリ−、及びテトラエチレングリコールエーテル類、これらに対応するプロピレングリコールエーテル類、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−3−エトキシブタノール、3−メチル−3−プロポキシブタノール、3−メチル−3−ブトキシブタノール等の3−メチル−3−アルコキシブタノール等が挙げられる。これらは単独あるいは混合物として使用することができる。
界面活性剤は、彫刻カスの乳化分散と炭化水素の可溶化を促進する成分である。界面活性剤は、特に限定されず、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を、単独あるいは混合して使用することができる。アニオン性界面活性剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、脂肪酸ナトリウム等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、アルキルグリコシド等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、アルキルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
上記の中でも、作業上の安全性及び使用後の廃液処理の観点から、ノニオン性界面活性剤が好ましい。より好ましくは、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)が4〜15のノニオン性界面活性剤である。HLBとは、界面活性剤の水と油(水に不溶性の有機化合物)への親和性の程度を表す値であり、「界面活性剤ハンドブック」(工学図書社)に記載されているように、Σ(親水基の基数)+Σ(親油基の基数)+7から求められる。
HLBが4〜15のノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)フェノールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)アミン、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)アミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合型界面活性剤等を挙げることができる。
炭化水素:グリコールエーテル化合物:界面活性剤の質量比は、特に限定されないが、(10〜50質量%):(5〜40質量%):(20〜70質量%)の範囲が好ましい。炭化水素の含有量が10質量%以上であれば、充分に洗浄力を確保でき、50質量%以下であればリンス性も良好である。グリコールエーテル化合物の含有量が5質量%以上であれば均一な液組成を保つことができ、40質量%以下であれば良好な洗浄力を確保できる。界面活性剤の含有量が20質量%以上であれば洗浄液を配合する際に均一な液組成を確保でき、リンス性も良好である。また、成分界面活性剤の含有量が70質量%以下であれば洗浄液の粘度を低く保つことができ、良好な洗浄力を確保できる。
炭化水素、グリコールエーテル化合物、及び界面活性剤の全質量を100質量部とした場合、水の配合量は20〜4000質量部が好ましい。水の配合量が20質量部以上であれば、引火し難い洗浄剤とすることができ、4000質量部以下であれば良好な洗浄力を確保することができる。
洗浄液には、フェノール系酸化防止剤、消泡剤、アルコール類やグリコール類等の安定剤等を添加してもよい。フェノール系酸化防止剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。アルコール類の安定剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、イソプロピレンアルコール等が挙げられる。グリコール類の安定剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、プロピレングリコール等が挙げられる。
[乾燥工程]
洗浄後、印刷版を乾燥させる工程を行うことが好ましい。印刷版の乾燥方法としては、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。例えば、40℃の恒温槽内で1時間静置させる乾燥方法等が挙げられる。
洗浄後、印刷版を乾燥させる工程を行うことが好ましい。印刷版の乾燥方法としては、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。例えば、40℃の恒温槽内で1時間静置させる乾燥方法等が挙げられる。
乾燥温度は、樹脂層が軟化する温度以下であれば、特に限定されず、好ましくは20〜100℃であり、より好ましくは30〜80℃であり、さらに好ましくは40〜60℃である。上記範囲とすることで、印刷版が熱劣化せず短時間で乾燥できる。乾燥時間としては、乾燥温度等にもよるが、例えば、洗浄後、好ましくは1時間〜12時間であり、より好ましくは1時間〜6時間であり、さらに好ましくは1時間〜2時間である。上記範囲とすることで、印刷版の熱劣化を防ぐことができる。
本実施の形態をさらに詳細に説明するために、以下に、実施例及び比較例を示すが、本実施の形態を何ら制限するものではない。なお、以下の実施例及び比較例における諸特性は、下記の方法に従って測定した。
[測定方法]
(1)樹脂の数平均分子量の測定方法
以下の製造例で用いた樹脂の数平均分子量(Mn)は、GPC法で求めた多分散度(Mw/Mn)が1.1より大きいものであったため、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置(東ソー社製、「HLC−8020」)とポリスチレン充填カラム(東ソー社製、商品名「TSKgel GMHXL」)を用い、テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料として、樹脂濃度が1質量%のTHF溶液を調製し、注入量10μLとした。また、検出器は、紫外吸収検出器を使用した。
(1)樹脂の数平均分子量の測定方法
以下の製造例で用いた樹脂の数平均分子量(Mn)は、GPC法で求めた多分散度(Mw/Mn)が1.1より大きいものであったため、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置(東ソー社製、「HLC−8020」)とポリスチレン充填カラム(東ソー社製、商品名「TSKgel GMHXL」)を用い、テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料として、樹脂濃度が1質量%のTHF溶液を調製し、注入量10μLとした。また、検出器は、紫外吸収検出器を使用した。
(2)表面摩擦抵抗値μの測定方法
縦80mm、横130mmの範囲が深さ0.55mmとなるように彫刻されたパターンを含む縦100mm、横200mm、厚み2.8mmの印刷版を、摩擦測定機(TR型:東洋精機製作所社製)を用いて、表面摩擦抵抗値μを測定した。試料表面に載せる錘は63.5mm角、質量W:200gであり、錘を引っ張る速度は150mm/分とした。また、錘の表面に、ライナー紙(再生紙を含まず、純パルプから製造された、段ボールに使用されている厚さ220μmの紙、商品名「白ライナー」、王子製紙社製)を、その平滑な面が表面に露出するように貼り付けたものを使用した。印刷原版と錘の間にライナー紙が存在し、印刷原版の表面とライナー紙の平滑面が接するようにして、錘を水平に動かし、表面摩擦抵抗値μを測定した。表面摩擦抵抗値μは、錘の重量に対する測定荷重Fdの比、即ちμ=Fd/Wで表される動摩擦係数であり、無次元数である。錘を動かし始めて測定値が安定化する領域、即ち、5mmから30mmまでの測定荷重の平均値をFdとした。表面摩擦抵抗値μが小さいものが印刷版として好ましいものとした。優れた印刷版では、表面摩擦抵抗値μは2.0以下であり、表面摩擦抵抗値μの値が小さいと、印刷時に印刷版表面への紙紛の付着が少なく、品質の高い印刷物を得ることができる。表面摩擦抵抗値μが2.0を越える場合、段ボール等の紙に印刷する際に紙紛が印刷版表面に付着してしまう現象が見られた。その場合、紙紛が付着した部分の被印刷物上にインクが転写されず、欠陥が多発した。
縦80mm、横130mmの範囲が深さ0.55mmとなるように彫刻されたパターンを含む縦100mm、横200mm、厚み2.8mmの印刷版を、摩擦測定機(TR型:東洋精機製作所社製)を用いて、表面摩擦抵抗値μを測定した。試料表面に載せる錘は63.5mm角、質量W:200gであり、錘を引っ張る速度は150mm/分とした。また、錘の表面に、ライナー紙(再生紙を含まず、純パルプから製造された、段ボールに使用されている厚さ220μmの紙、商品名「白ライナー」、王子製紙社製)を、その平滑な面が表面に露出するように貼り付けたものを使用した。印刷原版と錘の間にライナー紙が存在し、印刷原版の表面とライナー紙の平滑面が接するようにして、錘を水平に動かし、表面摩擦抵抗値μを測定した。表面摩擦抵抗値μは、錘の重量に対する測定荷重Fdの比、即ちμ=Fd/Wで表される動摩擦係数であり、無次元数である。錘を動かし始めて測定値が安定化する領域、即ち、5mmから30mmまでの測定荷重の平均値をFdとした。表面摩擦抵抗値μが小さいものが印刷版として好ましいものとした。優れた印刷版では、表面摩擦抵抗値μは2.0以下であり、表面摩擦抵抗値μの値が小さいと、印刷時に印刷版表面への紙紛の付着が少なく、品質の高い印刷物を得ることができる。表面摩擦抵抗値μが2.0を越える場合、段ボール等の紙に印刷する際に紙紛が印刷版表面に付着してしまう現象が見られた。その場合、紙紛が付着した部分の被印刷物上にインクが転写されず、欠陥が多発した。
[製造例1]
(1)樹脂(a−1)の製造
温度計、攪拌機を備えた1Lのセパラブルフラスコに、数平均分子量2500のポリオキシエチレン(EO)−ポリオキシプロピレン(PO)ブロック共重合体ジオール(EO/POモル比:1/4、51質量部、数平均分子量3000のポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)33.9質量部、触媒としてジブチルチンスズジラウレート0.003質量部、2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.1質量部を加えて攪拌混合し、反応液とした。反応液内の水分量を400wt ppmに調整した。
(1)樹脂(a−1)の製造
温度計、攪拌機を備えた1Lのセパラブルフラスコに、数平均分子量2500のポリオキシエチレン(EO)−ポリオキシプロピレン(PO)ブロック共重合体ジオール(EO/POモル比:1/4、51質量部、数平均分子量3000のポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)33.9質量部、触媒としてジブチルチンスズジラウレート0.003質量部、2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.1質量部を加えて攪拌混合し、反応液とした。反応液内の水分量を400wt ppmに調整した。
次に、外温40℃の条件で、トリレンジイソシアネート6質量部を、攪拌しながら反応液に滴下添加した。その後、徐々に外温を80℃まで上昇させた後、さらに5時間反応させた。さらに、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート4質量部を反応液に添加し、さらに2時間反応させることによって、不飽和ポリウレタン(a−1)を得た。この不飽和ポリウレタンの数平均分子量は、22500であった。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、分子量既知のポリスチレン換算により算出した。
(2)クッション層形成用硬化性樹脂組成物(b−1)の調製
不飽和ポリウレタン(a−1)65質量部に対し、有機化合物としてジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルアクリレート13質量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノメタクリレート20質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート2質量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン2質量部、添加剤として、中空マイクロカプセル(日本フィライト社製、商品名「092DET 120d30」、シェル組成:アクリロニトリル系コポリマー、平均粒子径:約120μm)3質量部、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.05質量部を混合し、硬化性樹脂組成物(b−1)を得た。
不飽和ポリウレタン(a−1)65質量部に対し、有機化合物としてジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルアクリレート13質量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノメタクリレート20質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート2質量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン2質量部、添加剤として、中空マイクロカプセル(日本フィライト社製、商品名「092DET 120d30」、シェル組成:アクリロニトリル系コポリマー、平均粒子径:約120μm)3質量部、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.05質量部を混合し、硬化性樹脂組成物(b−1)を得た。
(3)印刷原版層形成用硬化性樹脂組成物(a−2)の調製
硬化性樹脂組成物(b−1)の中空マイクロカプセルの代わりに、無機多孔質体(富士シシリア化学社製、多孔質性微粉末シリカ、商品名「サイロスフェアーC−1504」、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m2/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5mL/g、灼熱減量2.5質量%、吸油量290mL/100g)5質量部を添加後、光重合開始剤としてベンゾフェノン1質量部を追添した以外は、硬化性樹脂組成物(b−1)と同様にして、硬化性樹脂組成物(a−2)を調製し、印刷原版層形成用硬化性樹脂組成物(a−2)を得た。
硬化性樹脂組成物(b−1)の中空マイクロカプセルの代わりに、無機多孔質体(富士シシリア化学社製、多孔質性微粉末シリカ、商品名「サイロスフェアーC−1504」、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m2/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5mL/g、灼熱減量2.5質量%、吸油量290mL/100g)5質量部を添加後、光重合開始剤としてベンゾフェノン1質量部を追添した以外は、硬化性樹脂組成物(b−1)と同様にして、硬化性樹脂組成物(a−2)を調製し、印刷原版層形成用硬化性樹脂組成物(a−2)を得た。
(4)クッション層の形成
幅1m、直径318.47mmのエアーシリンダーに、厚さ1mmのガラス繊維強化プラスチック製の中空円筒状支持体を装着した。装着された中空円筒状支持体上に、シート状繊維強化材として厚さ80μmのナイロンメッシュを2回転巻き付け、その外周端部を溶着することにより内周側のナイロンメッシュに固定した。
幅1m、直径318.47mmのエアーシリンダーに、厚さ1mmのガラス繊維強化プラスチック製の中空円筒状支持体を装着した。装着された中空円筒状支持体上に、シート状繊維強化材として厚さ80μmのナイロンメッシュを2回転巻き付け、その外周端部を溶着することにより内周側のナイロンメッシュに固定した。
次に、上記(2)で調製した硬化性樹脂組成物(b−1)を、ナイロンメッシュ上に厚さ0.5mmで塗布し、前記エアーシリンダーを回転させながら、メタルハライドタンプ(アイ・グラフィックス社製、商品名「M056−L21」)から出てくる光を、大気中で、硬化性樹脂層が露出している面から照射し、硬化性樹脂組成物(b−1)の層を硬化させ、継ぎ目のないクッション層を有する円筒状印刷基材を作製した。照射したエネルギー量は、4000mJ/cm2(UV−35−APRフィルターで測定した照度を時間積分した値)であった。照射面でのランプ照度は、UVメーター(オーク製作所社製、装置名「UV−M02」)を用いて測定し、UV−35−APRフィルターを使用して測定したランプ照度は、100mW/cm2であり、UV−25−フィルターを使用して測定したランプ照度は、14mW/cm2であった。
(5)印刷原版層(樹脂層)の形成
上記(4)で作製した円筒状印刷基材の上に、上記(3)で調製した印刷原版層形成用硬化性樹脂組成物(a−2)を、厚さ約3.2mmとなるようにドクターブレードを用いて塗布し、上記(4)と同様の方法でメタルハライドランプの光を大気中で照射し、硬化性樹脂組成物(a−2)を硬化させ、樹脂層を作製した。得られた樹脂層の膜厚調整と表面平滑化のため、エアーシリンダーを回転させながら、得られた樹脂層の表面をバイトで切削した。その後、エアーシリンダーとカーボランダム製グラインディングホイールを回転させながら研削し、1000番のサンドペーパーを用いて表面を研磨した。これにより、樹脂層の厚さを2.8mmとした印刷原版を得た。
上記(4)で作製した円筒状印刷基材の上に、上記(3)で調製した印刷原版層形成用硬化性樹脂組成物(a−2)を、厚さ約3.2mmとなるようにドクターブレードを用いて塗布し、上記(4)と同様の方法でメタルハライドランプの光を大気中で照射し、硬化性樹脂組成物(a−2)を硬化させ、樹脂層を作製した。得られた樹脂層の膜厚調整と表面平滑化のため、エアーシリンダーを回転させながら、得られた樹脂層の表面をバイトで切削した。その後、エアーシリンダーとカーボランダム製グラインディングホイールを回転させながら研削し、1000番のサンドペーパーを用いて表面を研磨した。これにより、樹脂層の厚さを2.8mmとした印刷原版を得た。
(6)レーザー彫刻
上記(5)で得られた樹脂層にレーザーを照射し、照射された部分に凹部を形成するレーザー彫刻を行った。レーザー彫刻は炭酸ガスレーザー彫刻機(装置名「ZED−mini−1000」、英国、ZED社製、米国、コヒーレント社製、出力250Wの炭酸ガスレーザーを搭載)を用いて行った。彫刻パターンとしては、表面摩擦抵抗測定のための縦80mm、横130mmの範囲を彫刻深さが0.55mmとなるように該範囲全面にレーザー照射したパターンと、印刷の耐久性テストのための文字・画像・網点を含むパターンと、を形成した(レーザー彫刻工程)。
上記(5)で得られた樹脂層にレーザーを照射し、照射された部分に凹部を形成するレーザー彫刻を行った。レーザー彫刻は炭酸ガスレーザー彫刻機(装置名「ZED−mini−1000」、英国、ZED社製、米国、コヒーレント社製、出力250Wの炭酸ガスレーザーを搭載)を用いて行った。彫刻パターンとしては、表面摩擦抵抗測定のための縦80mm、横130mmの範囲を彫刻深さが0.55mmとなるように該範囲全面にレーザー照射したパターンと、印刷の耐久性テストのための文字・画像・網点を含むパターンと、を形成した(レーザー彫刻工程)。
[実施例1]
製造例1で得られた樹脂層に熱風を接触させる方法により、樹脂層の表面を、80℃、1時間で加熱した(加熱工程)。加熱工程後の樹脂層を、ブラシ洗浄機(DEGRAF社製)を用いながら、ノニオン系界面活性剤(サンウォッシュTL−75、ライオン社製)の5質量%水溶液を洗浄液として15分間洗浄し(洗浄工程)、印刷版を得た。その後、表面摩擦抵抗測定のために形成した縦80mm、横130mmの範囲を含む100mm×200mmの大きさに切り出して試料とし、室温の条件で所定時間乾燥させた(乾燥工程)。1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.5、1.2、1.25であった。また、洗浄後1時間の円筒状印刷版を印刷機にセットして印刷を実施したところ、10000m印刷しても紙粉の付着は観察されなかった。なお、加熱工程終了から洗浄工程開始までの時間は5分であった。
製造例1で得られた樹脂層に熱風を接触させる方法により、樹脂層の表面を、80℃、1時間で加熱した(加熱工程)。加熱工程後の樹脂層を、ブラシ洗浄機(DEGRAF社製)を用いながら、ノニオン系界面活性剤(サンウォッシュTL−75、ライオン社製)の5質量%水溶液を洗浄液として15分間洗浄し(洗浄工程)、印刷版を得た。その後、表面摩擦抵抗測定のために形成した縦80mm、横130mmの範囲を含む100mm×200mmの大きさに切り出して試料とし、室温の条件で所定時間乾燥させた(乾燥工程)。1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.5、1.2、1.25であった。また、洗浄後1時間の円筒状印刷版を印刷機にセットして印刷を実施したところ、10000m印刷しても紙粉の付着は観察されなかった。なお、加熱工程終了から洗浄工程開始までの時間は5分であった。
[実施例2]
加熱工程において、樹脂層表面の温度を50℃とした以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.5、1.3、1.2であった。
加熱工程において、樹脂層表面の温度を50℃とした以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.5、1.3、1.2であった。
[実施例3]
加熱工程において、樹脂層表面の温度を150℃とした以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.3、0.9、0.95であった。
加熱工程において、樹脂層表面の温度を150℃とした以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.3、0.9、0.95であった。
[実施例4]
加熱工程において、樹脂層表面の温度を200℃とした以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.1、1.0、0.9であった。
加熱工程において、樹脂層表面の温度を200℃とした以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.1、1.0、0.9であった。
[実施例5]
熱風と接触させる方法の代わりに、樹脂層表面に赤外線ヒーター(装置名「近赤外線ヒートビーム」、ハオベック社製)で80℃に加熱した金属シリンダーをロール面同士キスタッチで接触させる方法により、樹脂層の表面を80℃、1時間の加熱工程を行った以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。前記方法で洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.4、1.2、1.15であった。
熱風と接触させる方法の代わりに、樹脂層表面に赤外線ヒーター(装置名「近赤外線ヒートビーム」、ハオベック社製)で80℃に加熱した金属シリンダーをロール面同士キスタッチで接触させる方法により、樹脂層の表面を80℃、1時間の加熱工程を行った以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。前記方法で洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.4、1.2、1.15であった。
[実施例6]
熱風と接触させる方法の代わりに、樹脂層表面に赤外線ヒーター(装置名「近赤外線ヒートビーム」、ハオベック社製)を80℃で照射する方法により、樹脂層の表面を80℃、1時間の加熱工程を行った以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。前記方法で洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.6、1.25、1.2であった。
熱風と接触させる方法の代わりに、樹脂層表面に赤外線ヒーター(装置名「近赤外線ヒートビーム」、ハオベック社製)を80℃で照射する方法により、樹脂層の表面を80℃、1時間の加熱工程を行った以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。前記方法で洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.6、1.25、1.2であった。
[実施例7]
ノニオン系界面活性剤(商品名「サンウォッシュTL−75」、ライオン社製)の原液を洗浄液として使用した以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.4,1.2,1.1であった。
ノニオン系界面活性剤(商品名「サンウォッシュTL−75」、ライオン社製)の原液を洗浄液として使用した以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.4,1.2,1.1であった。
[実施例8]
ブラシ洗浄機を用いた洗浄工程のかわりに、空気供給源としてコンプレッサーを用いて0.25kgf/cm2の乾燥空気を樹脂層表面に吹き付けて洗浄した以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.3,1.2,1.1であった。
ブラシ洗浄機を用いた洗浄工程のかわりに、空気供給源としてコンプレッサーを用いて0.25kgf/cm2の乾燥空気を樹脂層表面に吹き付けて洗浄した以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.3,1.2,1.1であった。
[実施例9]
ブラシ洗浄機を用いた洗浄工程のかわりに、予め50℃に調温したノニオン系界面活性剤(商品名「サンウォッシュTL−75」、ライオン社製)の5質量%水溶液をスプレー状に吹き付けて洗浄した以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.3,1.1,1.0であった。
ブラシ洗浄機を用いた洗浄工程のかわりに、予め50℃に調温したノニオン系界面活性剤(商品名「サンウォッシュTL−75」、ライオン社製)の5質量%水溶液をスプレー状に吹き付けて洗浄した以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.3,1.1,1.0であった。
[実施例10]
ブラシ洗浄機を用いた洗浄工程のかわりに、ノニオン系界面活性剤(商品名「サンウォッシュTL−75」、ライオン社製)の5質量%水溶液に30分間浸漬して洗浄した以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.2,1.2,1.1であった。
ブラシ洗浄機を用いた洗浄工程のかわりに、ノニオン系界面活性剤(商品名「サンウォッシュTL−75」、ライオン社製)の5質量%水溶液に30分間浸漬して洗浄した以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々1.2,1.2,1.1であった。
[比較例1]
熱風と接触させる工程(加熱工程)を行わなかった以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々2.9,2.7,1.35であった。また、洗浄後1時間乾燥後の円筒状印刷版を印刷機にセットして印刷を実施したところ、3000mの印刷をしたところで紙粉の付着が観察された。
熱風と接触させる工程(加熱工程)を行わなかった以外は実施例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々2.9,2.7,1.35であった。また、洗浄後1時間乾燥後の円筒状印刷版を印刷機にセットして印刷を実施したところ、3000mの印刷をしたところで紙粉の付着が観察された。
[比較例2]
ノニオン系界面活性剤(商品名「サンウォッシュTL−75」、ライオン社製)の原液を洗浄液に使用した以外は比較例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々2.8、2.6,1.3であった。
ノニオン系界面活性剤(商品名「サンウォッシュTL−75」、ライオン社製)の原液を洗浄液に使用した以外は比較例1と同様の方法で印刷版を製造した。洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の試料の表面摩擦抵抗値μを測定したところ、夫々2.8、2.6,1.3であった。
各実施例及び各比較例の印刷版の製造工程における洗浄方法を表1にまとめた。得られた印刷版を洗浄してから1時間乾燥後、4時間乾燥後、24時間乾燥後の各表面摩擦抵抗値μを表2にまとめた。
表2からわかるとおり、レーザー彫刻工程後に樹脂版を加熱してから、洗浄工程を行う実施例1〜10では、1時間の乾燥工程を経た段階での表面摩擦抵抗値はいずれも2.0以下となったことが確認された。一方、加熱工程を行わずに洗浄工程のみを行った比較例1,2では、24時間の乾燥を経なければ表面摩擦抵抗値は2.0以下にならなかったことが確認された。以上より、各実施例の樹脂印刷版では、洗浄工程の前に樹脂層の表面を加熱することにより、極めて短時間で版表面のタックを軽減できたことが確認された。
本発明は、フレキソ印刷、グラビア印刷、ドライオフセット印刷を行う印刷版の製造方法として好適であり、エンボス加工等の表面パターンの形成;タイル等の印刷用レリーフ画像形成;電子部品の導体、半導体、絶縁体、パターン形成;光学部品の反射防止膜、カラーフィルター、(近)赤外線カットフィルター等の機能性材料のパターン形成;更には液晶ディスプレイあるいは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の表示素子の製造における配向膜、下地層、発光層、電子輸送層、封止材層の塗膜・パターン形成等の技術として、産業上の利用可能性がある。
Claims (6)
- 支持体と、前記支持体上に形成された樹脂層と、を含む樹脂印刷版の製造方法であって、
(1)シート状又は円筒状の樹脂層にレーザーを照射することで、前記樹脂層の表面に凹部を形成するレーザー彫刻工程と、
(2)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を、加熱する加熱工程と、
(3)(a)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に洗浄液を吹き付ける方法、(b)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄液に浸漬させる方法、(c)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面にブラシ又は多孔質体を接触させながら洗浄液で処理する方法、(d)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に気体を吹き付ける方法、からなる群より選択される少なくとも1種類の方法により、レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄する工程と、
を含む樹脂印刷版の製造方法。 - 前記工程(2)において、前記樹脂層の表面の温度を50℃以上200℃以下の範囲に加熱する請求項1に記載の樹脂印刷版の製造方法。
- 前記工程(2)における前記樹脂層の表面を加熱する方法が、前記樹脂層に熱風を接触させる方法、前記樹脂層に加熱物を接触させる方法、前記樹脂層に熱線を照射する方法、からなる群より選択される少なくとも1種類の方法である請求項1又は2に記載の樹脂印刷版の製造方法。
- 前記洗浄液が、水を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂印刷版の製造方法。
- 前記樹脂層が、感光性樹脂組成物を含む硬化物層である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂印刷版の製造方法。
- (i)レーザー彫刻された樹脂層を加熱する工程と、
(ii)(a)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に洗浄液を吹き付ける方法、(b)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄液に浸漬させる方法、(c)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面にブラシ又は多孔質体を接触させながら洗浄液で処理する方法、(d)レーザー彫刻された前記樹脂層の表面に気体を吹き付ける方法、からなる群より選択される少なくとも1種類の方法により、レーザー彫刻された前記樹脂層の表面を洗浄する工程と、
を含むレーザー彫刻された樹脂層の表面洗浄方法。
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JP2009195405A JP2011046050A (ja) | 2009-08-26 | 2009-08-26 | 樹脂印刷版の製造方法及びレーザー彫刻された樹脂層の表面洗浄方法 |
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Cited By (2)
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CN115195270A (zh) * | 2022-07-18 | 2022-10-18 | 上海紫江喷铝环保材料有限公司 | 一种版辊及其制备方法和使用方法 |
JP7493394B2 (ja) | 2020-06-26 | 2024-05-31 | artience株式会社 | クリーニング剤、および、それを用いたクリーニング工程を有するグラビア製版ロールの製造方法 |
-
2009
- 2009-08-26 JP JP2009195405A patent/JP2011046050A/ja active Pending
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