JP2011045975A - 動力工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来、トラクションドライブ式の無段変速機を備えたねじ締め機が提供されている。このねじ締め機では、駆動源と無段変速機とスピンドルが同軸に配置された構成となている。本発明では、駆動源の出力軸に対してスピンドルが同軸ではなく、平行あるいは交差する状態に配置された動力工具についても無段変速機を適用できるようにする。
【解決手段】砥石37を取り付けたスピンドル36が電動モータ34の出力軸34aに対して交差するディスクグラインダ30において、電動モータ34の出力軸34aと、減速用のかさ歯車列35との間に3点圧接式の無段変速機1を介装する。
【選択図】図5

Description

この発明は、例えば電動モータを駆動源として内装するグラインダ、ねじ締め工具、切断工具、あるいはエンジン(内燃機関)を駆動源として内装するチェーンソー等の動力工具に関する。
この種の動力工具では、駆動源の回転動力を減速(変速)するための減速歯車列や出力方向を変換するための歯車列を備えている。減速歯車列としては、平歯車列や遊星歯車機構が用いられ、出力方向を変換するためにはかさ歯車列(ベベルギヤ)が用いられる。また、例えば下記の特許文献4に開示されているようにねじ締め工具等の回転工具では減速歯車列の動力伝達経路を切り換えて、出力状態をビット(先端工具)に付加される負荷トルクに応じて高速低トルク出力モードと低速高トルク出力モードに段階的に切り換える技術が提供されている。
動力工具に限らず、回転出力の変速機構としては、上記のような歯車列の動力伝達経路を切り換えることにより低速、高速の段階的な切り換えを行う構成とするものの他に、減速比を無段階で変化させる無段変速機(CVT:Continuously Variable Trans-mission)が公知になっている。従来、この無段変速機として、いわゆるトラクションドライブ機構を利用したものが公知になっている。このトラクションドライブ式の無段変速機に関する技術が例えば下記の特許文献1〜3に開示されている。
このトラクションドライブ式の無段変速機は、複数の円錐形の遊星ローラに、入力側の太陽ローラと、出力側の推力ローラを推力機構を用いて大きな力で圧接し、これにより得られる転がり接触を利用して動力を伝達するとともに、遊星ローラの円錐面に変速ローラを圧接し、この圧接位置を小径側と大径側との間で変位させて接触径を変化させることにより出力回転数を無段階で変速する構成となっている。
特許文献1には、係る無段変速機を内装したねじ締め工具が開示されている。このねじ締め工具では、ねじ締めビットに付加される負荷トルクの増大(ねじ締めの進行)に伴って変速ローラを低速側に変位させることにより、出力モードを低速高トルク出力モードに無段階で変速することができ、これにより迅速かつ確実なねじ締め作業を楽に行うことができる。
特開平6-190740号公報 特開2002-59370号公報 特公平3-73411号公報 特許第3289958号公報
係る無段変速機は、入力軸と出力軸を同軸に備えるものであるので、駆動源としての電動モータの出力軸と、ねじ締めビットを装着するスピンドル(動力工具の出力軸)とが同軸に配置されるねじ締め機には比較的容易に介装することができる。しかしながら、動力工具には、駆動源の出力軸とスピンドルとが同軸ではない関係にあるものも多数存在する。例えば前記したディスクグラインダは、電動モータの出力軸に対してスピンドルが直交(交差)する位置に配置されており、携帯マルノコ等の切断機では、電動モータの出力軸に対してスピンドルが平行にずれた位置に配置されている。
また、スピンドルに装着した先端工具の加工対象物に対する加工方向について着目すると、ディスクグラインダ、携帯マルノコ、あるいはチェーンソーの場合は、円形の砥石、円形の鋸刃、あるいはチェーンの加工方向が駆動源の出力軸若しくは減速機構の出力軸に対して交差する関係に配置されている。
本発明は、駆動源の出力軸とスピンドルが相互に同軸の関係にない動力工具や、先端工具の加工方向が駆動源の出力軸に交差する関係にある動力工具についても無段変速機を用いることにより、従来よりも幅広い形態の動力工具について迅速かつ確実な加工がなされてその機能をより一層高めることを目的とする。
このため、本発明は、特許請求の範囲の各請求項に記載した構成の動力工具とした。
請求項1記載の動力工具によれば、駆動源の動力がトラクションドライブ式の無段変速機で減速されてスピンドルに出力される。スピンドルは、無段変速機の出力軸とは同軸ではなく、例えば携帯マルノコのように一定距離変位して平行に配置され、あるいはディスクグラインダのように交差する状態に配置されている。
このように、従来のねじ締め機や孔明け用ドリルのように無段変速機の出力軸に対してスピンドルが同軸に配置された動力工具ばかりではなく、ディスクグラインダや携帯マルノコのようにスピンドルが一定の軸間距離で平行に配置され、あるいは交差する形態の動力工具についてもトラクションドライブ式の無段変速機を用いて、その機能及び付加価値を一層高めることができる。
無段変速機の出力軸とスピンドルが同軸に配置された構成には、当該出力軸と当該スピンドルが同軸に直結されて一体で回転する構成である場合の他、当該両軸間に例えば遊星歯車機構が介在されて当該両軸が相互に同一の軸線を中心軸線として異なる回転数で回転する構成である場合が含まれる。
これに対して、スピンドルが無段変速機の出力軸とは同軸にない別個の軸である構成には、両軸間に例えば平歯車列が介在されて当該両軸が相互に平行で異なる軸線を中心軸線として同じ回転数若しくは異なる回転数で回転する構成である場合、あるいは両軸間に例えばかさ歯車列が介在されて当該両軸が相互に直交若しくは一定角度で交差する異なる軸線を中心軸線として同じ回転数若しくは異なる回転数で回転する構成である場合を含む。
このように、電動モータや内燃機関(エンジン)を駆動源とし、スピンドルの軸線方向について様々な形態の動力工具の全般について、当該駆動源とスピンドルとの間にトラクションドライブ式の無段変速機を備えることにより、加工状況に応じて適切な動力(回転数及び出力トルク)を出力可能となり、ひいては従来よりも広範な動力工具についてその機能及び付加価値を高めることができる。
請求項2記載の動力工具によれば、例えばディスクグラインダについてトラクションドライブ式の無段変速機によるメリットを持たせることができる。
請求項3記載の動力工具によれば、例えば携帯マルノコについてトラクションドライブ式の無段変速機によるメリットを持たせることができる。
請求項4記載の動力工具によれば、無段変速機により無段階で変速された出力が減速比固定式の減速機構により再度減速されてスピンドルに出力される。減速比固定式の減速機構としてかさ歯車列を用いることによりスピンドルを無段変速機の出力軸に対して交差させることができる。あるいは減速比固定式の減速機構として平歯車列を用いることによりスピンドルを無段変速機の出力軸に対して一定の軸間距離をおいて平行に配置させることができる。さらに、減速比固定式の減速機構として遊星歯車列を用いることによりスピンドルを無段変速機の出力軸に対して同軸に配置させることができる。
請求項5記載の動力工具によれば、例えば携帯マルノコにおいて駆動源としての電動モータとスピンドルとの間にトラクションドライブ式の無段変速機を介在させて、当該無段変速機の出力軸に対してスピンドルを一定の軸間距離をおいて平行に配置することができる。この場合、駆動源の動力は、無段変速機により無段階で変速され、かつ減速機構によってさらに減速されてスピンドルに出力される。
請求項6記載の動力工具によれば、駆動源としての電動モータとスピンドルとの間にトラクションドライブ式の無段変速機を介在させて、当該無段変速機の出力軸に対してスピンドルを一定の軸間距離をおいて平行に配置することができる。この場合、駆動源の動力は、無段変速機により無段階で変速され、かつ当該無段変速機の出力軸とスピンドルにそれぞれ取り付けた有効径の異なるプーリー間にベルトを掛け渡して動力を伝達する構成としたベルト式減速機構によりさらに減速されてスピンドルに出力される。
請求項7記載の動力工具によれば、上記のようにスピンドルの軸線方向に着目する場合の他、先端工具の加工対象物に対する加工方向に着目し、当該加工方向について多様な動力工具の変速機としてトラクションドライブ式の無段変速機を備えることにより、従来よりも広範な動力工具について当該無段変速機のメリットを付加することができる。
先端工具の加工対象物に対する加工方向とは、ディスクグラインダであれば回転する砥石の接線方向であり、携帯形マルノコ若しくは卓上形の丸鋸盤であれば回転する鋸刃の接線方向であり、チェーンソーであればチェーンの移動方向であり、これらは通常スピンドルに対して直交している。従って、当該加工方向が無段変速機の出力軸に対して交差する構成には、当該出力軸に対してスピンドルが同軸に配置された構成、同軸ではなく一定の軸間距離をおいて平行に配置された構成、若しくは交差する構成が含まれる。
請求項8記載の動力工具によれば、先端工具として切断工具を装着する場合は、例えば携帯マルノコ等の切断機のスピンドルに円形の回転鋸刃を装着する場合であり、先端工具として研削工具を装着する場合には、例えばディスクグラインダのように円形の砥石を装着する場合が含まれる。これらの先端工具の場合は、その加工方向が無段変速機の出力軸に対して交差し、若しくは平行となる。
請求項9記載の動力工具によれば、当該トラクションドライブ式の無段変速機における変速ローラを変位させることにより減速比が変化する。このため、先端工具に付加される負荷トルクに応じて変速ローラを変位させることにより、先端工具に対して適切な回転数及びトルクで動力を出力することができる。変速ローラの変位は、手動操作により行う構成とする場合の他、先端工具の負荷トルクを例えばセンサ等で検知し、あるいは駆動源の負荷を検知等し、これに基づいて変速ローラを例えばアクチュエータを用いて自動的に変位させる構成とすることができる。
請求項10記載の動力工具によれば、遊星ローラに対して入力側の太陽ローラと出力側の推力ローラと変速ローラを圧接させたいわゆる3点圧接式のトラクションドライブ機構を備える無段変速機をスピンドルの軸線方向あるいは先端工具の加工方向について多様な動力工具に適用することにより、従来よりも広範な動力工具についてこの種の無段変速機によるメリットを付加することができる。
差動遊星機構式の無段変速機では、変速ローラを遊星ローラの大径側に変位させると減速比が大きくなって出力状態は低速高トルク出力状態となり、小径側に変位させると減速比が小さくなって出力状態は高速低トルク出力状態に切り換わる。
これに対して、遊星ローラを出力側に備える2点圧接式のトラクションドライブ機構では、変速ローラを遊星ローラの大径側に変位させると減速比は小さくなって出力状態は高速低トルク出力状態となり、小径側に変位させると減速比は大きくなって出力状態は低速高トルク出力状態に切り換わる。
無段変速機を備えた携帯マルノコの概略の構成を示す図である。 無段変速機を備えたディスクグラインダの概略の構成を示す図である。 3点圧接式のトラクションドライブの側面図である。 無段変速機を備えたディスクグラインダの全体斜視図である。 無段変速機を備えたディスクグラインダの内部構造を示す縦断面図である。 エンジンチェーンソーの左側面図である。 図6中(VII)-(VII)線断面矢視図である。本図は、エンジンチェーンソーの内部構造を下側から見た図である。 無段変速機とクラッチを備えたねじ締め工具の内部構造を示す縦断面図である。
次に、本発明の実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。以下説明する実施形態は、多様な動力工具についてトラクションドライブ式の無段変速機を備えることを特徴とするもので、当該トラクションドライブ式の無段変速機そのものについては従来公知であることから詳細な説明を省略する。
図1及び図2には、手持ち式の電動工具であって、トラクションドライブ式の無段変速機1を備える電動工具の概略の構成が示されている。図1は携帯マルノコ10を示し、図2はディスクグラインダ20を示している。
図1に示すようにこの携帯マルノコ10は、駆動源としての電動モータ11を備えている。この電動モータ11の出力軸に無段変速機1が接続されている。電動モータ11の出力はこの無段変速機1によって減速される。無段変速機1の出力軸1aには、駆動側の平歯車13aが取り付けられている。この平歯車13aに従動側の平歯車13bが噛み合わされている。この平歯車13bはスピンドル12に取り付けられている。この平歯車13a,13bによって減速比が一定に固定された減速歯車列13が構成されている。従って、無段変速機1により減速された回転動力は、この減速歯車列13によってさらに減速されてスピンドル12に出力される。スピンドル12には、円形の切断刃(鋸刃)15が取り付けられている。減速歯車列13によってスピンドル12の回転軸線J1は、無段変速機1の出力軸1aの回転軸線J0に対して一定の軸間距離をおいて平行に配置されている。無段変速機1の出力軸1aは、電動モータ11の出力軸と同軸に配置されている。
図2に示すようにディスクグラインダ20は、駆動源としての電動モータ21を備えている。この電動モータ21の出力軸に無段変速機1が接続されている。電動モータ21の出力はこの無段変速機1によって減速される。無段変速機1の出力軸1aには、駆動側のかさ歯車22aが取り付けられている。このかさ歯車22aには、従動側のかさ歯車22bが噛み合わされている。このかさ歯車22bはスピンドル23に取り付けられている。このかさ歯車22a,22bによって減速比が一定に固定された減速歯車列22が構成されている。従って、無段変速機1により減速された回転動力は、この減速歯車列22によってさらに減速されてスピンドル23に出力される。スピンドル23には、円形の砥石24が取り付けられている。減速歯車列22によってスピンドル23の回転軸線J2は、無段変速機1の出力軸1aの回転軸線J0に対して直交(90°で交差)する状態に配置されている。無段変速機1の出力軸1aは、電動モータ21の出力軸と同軸に配置されている。
このように、携帯マルノコ10及びディスクグラインダ20等の動力工具において、先端工具としての鋸刃15を取り付けたスピンドル12の回転軸線J1が無段変速機1の出力軸1aの回転軸線J0に対して同軸ではなく一定の軸間距離をおいた平行である場合、あるいは砥石24を取り付けたスピンドル23の回転軸線J2が無段変速機1の出力軸1aの回転軸線J0に対して同軸ではなく直交する場合についてもそれぞれトラクションドライブ式の無段変速機1を備えることにより、その切断負荷や研削負荷(加工状況)に応じて適切な動力(回転数及び出力トルク)を出力可能となり、ひいては従来よりも広範な動力工具についてその機能及び付加価値を高めることができる。
図3には、上記無段変速機1の具体的な内部構造が示されている。以下、概略の構成について説明する。この無段変速機1は、3点圧接式の無段変速機で、駆動源側に接続される入力軸3と、入力軸3に取り付けた太陽ローラ4と、円錐形を有する複数の遊星ローラ5〜5と、各遊星ローラ5に圧接された推力ローラ6と、推力ローラ6に推力を発生させるための推力カム機構7と、出力軸8と、遊星ローラ5〜5を内接させた状態でその円錐面に圧接される変速ローラ9を備えている。
複数の遊星ローラ5〜5は、支持するキャリア5aの周囲に等間隔に配置され、それぞれ回転自在に支持されている。各遊星ローラ5は、その回転軸線を直立位置から図示右側に一定角度傾斜させた向きに支持されている。
太陽ローラ4は、各遊星ローラ5の圧接溝部5bに圧接されている。出力軸8は、推力ローラ6の中に後方(出力側)に延びる状態で一体に設けられている。この出力軸8上に推力カム機構7が支持されている。
推力カム機構7は、推力ローラ6の背面側に当接された基台部7aと、この基台部7aに対して相対回転可能かつ平行に接近離間可能に支持された押圧部7bと、基台部7aと押圧部7b間に挟み込まれた複数の鋼球7c〜7cを備えている。押圧部7bは圧縮ばね7dによって基台部7a側に接近する方向(図3において右側)に付勢されている。この圧縮ばね7dの付勢力で基台部7aが推力ローラ6に押し付けられ、これにより各遊星ローラ5に太陽ローラ4と推力ローラ6と変速ローラ9が同じ圧接力で圧接される。この圧接状態で各遊星ローラ5がその軸回りに回転すると変速ローラ9との圧接状態を介してキャリア5aが出力軸8の回転軸線J0回りに回転し、従って遊星ローラ5〜5が軸線J0回りに公転することにより、出力軸8が回転する。
図3は無負荷状態を示している。この無負荷状態では、各鋼球7cが基台部7aの係合凹部7eと押圧部7bの係合凹部7fとの間に挟み込まれている。この無負荷状態から、出力軸8に回転負荷が発生すると、押圧部7bが基台部7aに対して回転方向に変位して各鋼球7cが係合凹部7e,7f内で変位するため基台部7aと押圧部7bとの間隔が大きくなって、推力ローラ6の各遊星ローラ5に対する圧接力が増大し、従って各遊星ローラ5に対する太陽ローラ4、推力ローラ6及び変速ローラ9の3点圧接状態を経て出力軸8に回転動力が伝達される。
この動力発生状態において、変速ローラ9が遊星ローラ5の小径側に位置する状態では、高速低トルクが出力される。変速ローラ9が遊星ローラ5の大径側に変位すると、出力軸8から低速高トルクが出力される。変速ローラ9の移動は、使用者が手動操作により行う構成とする他、出力軸8の負荷あるいは電動モータの負荷を検知し、これに基づいて変速ローラ9をアクチュエータを用いて低速側あるいは高速側に変位させる構成(トルク感応型自動変速機構)とすることができる。
出力軸8の負荷が一定値以上に増大して鋼球7c〜7cが係合凹部7e,7fから完全に離脱すると、動力の伝達が遮断される。負荷が一定値以下に戻されると、各鋼球7cが係合凹部7e,7f間に挟まれて再び動力伝達状態に復帰する。
このように、推力カム機構7は、無段変速機1に圧接力を発生させる機能に加えて、出力軸8の負荷に基づいて作動するクラッチとしての機能をも有している。
図4及び図5には、上記の3点圧接式の無段変速機1を内装したディスクグラインダ30が示されている。図4では、図2に比してディスクグラインダ30の構成がより具体的に示されている。このディスクグラインダ30は、使用者が把持するグリップ部31と、減速部40と、ギヤヘッド部33を備えている。グリップ部31には、駆動源としての電動モータ34が内装されている。グリップ部31の前部に減速部40が結合されている。この減速部40に無段変速機1が内装されている。減速部40の前部にギヤヘッド部33が結合されている。このギヤヘッド部33に、補助減速機構として減速比が固定されたかさ歯車列35が内装されている。ギヤヘッド部33からスピンドル36が下方へ突き出す状態に設けられている。スピンドル36の下部に円形の砥石37が装着されている。グリップ部31の後部には、充電式のバッテリパック38が装填されている。グリップ部31の前側部にはスライドスイッチ32が設けられている。このスライドスイッチ32を前側へスライドさせると電源回路がオンして電動モータ34がバッテリパック38を電源として起動する。電動モータ34の回転動力は、減速部40の無段変速機1及びギヤヘッド部33のかさ歯車列35を経てスピンドル36に伝達される。このため、図2に示す実施形態と同様、スピンドル36の回転軸線J2は、無段変速機1の出力軸8の回転軸線J0に対して直交している。
減速部40は、変速機ケース41を備えている。この変速機ケース41の後部にグリップ部31が取り付けられ、前部にギヤヘッド部33が取り付けられている。この変速機ケース41に無段変速機1が内装されている。無段変速機1の入力軸3に電動モータ34の出力軸34aが結合されている。電動モータ34の出力軸34aは、回転について入力軸3に固定されている。入力軸3は、軸受け42によって軸線J0回りに回転自在に支持されている。
無段変速機1の出力軸8の後部側は、太陽ローラ4の前面に取り付けた軸受け43により回転支持されている。出力軸8の前部は、変速機ケース41に取り付けた軸受け44により回転支持されている。この出力軸8上に、キャリア5aと推力ローラ6と推力カム機構7が支持されている。出力軸8に対して、キャリア5a及び推力ローラ6は回転自在に支持されている。また、推力カム機構7の押圧部7bは出力軸8に回転について係合されている。推力カム機構7の基台部7aは推力ローラ6に対して回転について係合されている。
変速ローラ9の周方向の一部には、ホルダ50が取り付けられている。このホルダ50は、相互に平行な2つの壁部50a,50aを備えており、この両壁部50a,50a間に変速ローラ9がその軸線J0回りの回転を許容する状態で挿入されている。
ホルダ50は、変速機ケース41に支持したスライドバー52によって前後に一定の範囲で平行移動可能に支持されている。このスライドバー52の周囲であって変速機ケース41とホルダ50の前面間には圧縮ばね53が介装されている。この圧縮ばね53によってホルダ50は、後ろ側へスライドする方向に付勢されている。ホルダ50が後ろ側にスライドすると、変速ローラ9が各遊星ローラ5の小径側へ変位するため、当該無段変速機1が高速側(初期位置)に変速する。ホルダ50が圧縮ばね53に抗して前側へスライドすると、変速ローラ9が各遊星ローラ5の大径側へ変位するため、当該無段変速機1が低速側へ変速する。このようにホルダ50の平行移動に伴って変速ローラ9が各遊星ローラ5の小径側と大径側との間で平行移動することにより、当該無段変速機1が高速低トルク出力状態と低速高トルク出力状態との間で無段階に変速される。
ホルダ50は、変速モータ51を駆動源として移動する。変速モータ51の出力軸にはねじ軸54が取り付けられている。このねじ軸54には、ナット55が噛み合わされている。ナット55の前端はホルダ50の後面に突き当てられている。変速モータ51が低速側へ起動するとねじ軸54が回転してナット55が前側へ変位する。ナット55が前側へ変位することにより、ホルダ50が圧縮ばね53に抗して前側へ押されて変速ローラ9が低速側へ変位する。変速モータ51が高速側に起動するとねじ軸54が逆転してナット55が後ろ側へ戻される。ナット55が後ろ側へ戻されると、ホルダ50が圧縮ばね53で後ろ側へ押されて変速ローラ9が高速側へ戻される。変速モータ51の低速側若しくは高速側への起動、停止のタイミングは、砥石37に負荷される研削抵抗であって電動モータ34の負荷に基づいてなされる。電動モータ34の負荷が増大すると変速モータ51が低速側に起動して当該無段変速機1が低速高トルク出力状態に変速され、電動モータ34の負荷が減少すると変速モータ51が高速側に起動して当該無段変速機1が高速低トルク出力状態に戻される。このように、砥石37の研削抵抗により増減する電動モータ34の負荷に基づいて当該無段変速機1が自動的かつ無段階で変速される(負荷感応型自動変速機能)。
出力軸8の前部(本実施形態ではかさ歯車35a)と、推力カム機構7の押圧部7bとの間に圧縮ばね7dが介装されている。この圧縮ばね7dの付勢力及び各鋼球7cの係合凹部7e,7fに対する係合状態により各遊星ローラ5に対する太陽ローラ4、推力ローラ6及び変速ローラ9の圧接力が発生する。
出力軸8には、減速部33の駆動側のかさ歯車35aが結合されている。この駆動側のかさ歯車35aは出力軸8と一体で回転する。この駆動側のかさ歯車35aには従動側のかさ歯車35bが噛み合わされている。この従動側のかさ歯車35bは、スピンドル36の上部に固定されている。スピンドル36は、軸受け36a,36bを介して軸線J2回りに回転自在に支持されている。砥石37は、固定フランジ37aと固定ナット37bに挟まれた状態でスピンドル36の下部に強固に固定されている。砥石37の後ろ側ほぼ半周の範囲は、砥石カバー39で覆われている。
以上説明したように例示したディスクグラインダ30では、無段変速機1と、減速比が固定された補助減速機構(かさ歯車列35)との間に、クラッチとしても機能する推力カム機構7が直列に配置された構成となっている。係る構成が特許請求の範囲の請求項4に記載した発明の一実施形態に相当する。
次に、トラクションドライブ式の無段変速機1では、遊星ローラ5〜5に対する太陽ローラ4、推力ローラ6及び変速ローラ9の圧接部に油膜を形成するための潤滑剤が変速機ケース41内に充填されている。通常、この潤滑剤としてトラクションオイル(液体)が用いられるが、本実施形態ではこのトラクションオイルに代えて、これよりも流動性が低くペースト状(半固体)を有するトラクショングリスが潤滑剤として用いられている。
このトラクショングリスは、合成油若しくは鉱物油等のベースオイル(基油)に、金属石けん系若しくは非石けん系の増ちょう剤と、酸化防止剤や個体潤滑剤や防錆剤等の添加剤を添加したもので、ベースオイルが70〜90パーセントを占め、増ちょう剤が10〜20パーセントを占め、高いトラクション係数を有するものが用いられる。
また、本実施形態では、ちょう度(稠度)が265〜475(1/10mm)の範囲内であって、NLGI(国際グリース協会、National Luburicatiing Grease Institute)のちょう度番号が2号〜000号の範囲内のトラクショングリスが用いられている。
当該無段変速機1の組み立て工程において、太陽ローラ4の周囲、各遊星ローラ5の円周面全周及びその下面と圧接溝部5bの全周、推力ローラ6の全周、及び変速ローラ9の内周側全周についてこのトラクショングリスがそれぞれ適量ずつ塗布されている。また、変速機ケース41の内部には、各遊星ローラ5に対する太陽ローラ4、推力ローラ6及び変速ローラ9の圧接部に対して当該トラクショングリスを補給するためのグリス溜まり60が設けられている。変速機ケース41内の、前部には前ブロック体61が取り付けられ、後部には後ろブロック体62が取り付けられている。前ブロック体61と後ろブロック体62の間の空間部がグリス溜まり60とされている。このグリス溜まり60内に十分な量のトラクショングリスが充填されている。図示するように前ブロック体61と後ろブロック体62との間の空間部に、各遊星ローラ5に対する太陽ローラ4、推力ローラ6及び変速ローラ9の圧接部が位置して、これら圧接部に対するトラクショングリスの補給が確実になされるようになっている。
前後のブロック体61,62は、金属部品あるいは合成樹脂の成型品とする他、フェルト材で製作してもよい。
また、前ブロック体61と後ろブロック体62によってグリス溜まり60が区画されることにより、当該トラクショングリスの前ブロック体61の前側への流出、及び変速機ケース41の外側への流出が防止されている。さらに、トラクショングリスはトラクションオイルとは異なって流動性が低いため、当該ディスクグラインダ30の向き(姿勢)には関係なく常時グリス溜まり60に充填された状態に保持される。
また、トラクションドライブ用潤滑剤として流動性(拡散性)の低いペースト状のトラクショングリスを用いる構成であるので、液状のトラクションオイルを封入した場合のように、変速機ケース41に対して高度なシール機能を施す必要がない。このため、変速機ケース41にオイルシールあるいはオーリング等のシール部材を装着する必要がないので、潤滑剤シール構造の簡略化を図ることができ、ひいては当該無段変速機1の構成の簡略化を図ることができる。また、液体であるトラクションオイルに比して洩れが少ないことからそのメンテナンス期間を長くすることができ、ひいては当該無段変速機1のメンテナンス性を高めることができる。
上記の構成にはさらに改良を加えることができる。例えば、図5において二点鎖線で示すように変速ローラ9の後部に沿って同じく円環形状を有するフェルト材63を取り付け、このフェルト材63を推力ローラ6の周縁部及び遊星ローラ5との圧接部に摺接させる構成とすることができる。また、これに加えて変速ローラ9の前側にも同じ円環形状を有するフェルト材64を取り付けて、これを各遊星ローラ5の円錐面に摺接させる構成としてもよい。この構成によれば、フェルト材63,64には適度にトラクショングリスが浸み込むため、これが各遊星ローラ5の円錐面、あるいは各遊星ローラ5と推力ローラ6の圧接部位等に直接接触されることにより、これらの潤滑がより確実になされる。
各遊星ローラ5の円錐面あるいは推力ローラ6の周縁部であって、トラクション力を発生させる圧接部は鏡面仕上げ加工がなされているため、これらにフェルト材63,64を摺接させてもその摩耗は実質的に発生しない。
また、後ろ側のフェルト材63を用いることにより、このフェルト材63と前ブロック体61との間にグリス溜まり60が形成されることから後ろブロック体61を省略することもできる。
次に、図6には、動力工具の一例としてエンジンチェーンソー70が示されている。このエンジンチェーンソー70も無段変速機1を内装している。このエンジンチェーンソー70は、出力の変速手段としてトラクションドライブ式の無段変速機1と、1方向にのみ回転動力を伝達するクラッチ80を備える点に大きな特徴を有するものであり、チェーンソーとしての基本的な構成については従来公知の構成で足りることからその詳細な説明は省略する。なお、このチェーンソー70の説明では、部材等の左右方向については使用者を基準とする。
このエンジンチェーンソー70は、駆動源としての2ストロークエンジン(内燃機関)75を内装した本体部71と、本体部71の上部に設けたメインハンドル72と、本体部71の左側部に設けたサブハンドル73を備えている。図7には本体部71の詳細な内部構造が示されているが、主な部材についてのみ説明する。図7中、符号75eはシリンダブロックを示している。このシリンダブロック75eのボアにはピストン75aが前後に往復動可能に収容されている。このピストン75aにコネクティングロッド75bの一端側が回転可能に連結されている。コネクティングロッド75bの他端側は、クランク軸75dに回転可能に連結されている。ピストン75aの燃焼室側には点火プラグ75cが取り付けられている。図示省略した燃料供給経路を経て燃焼室内に供給された混合気に点火プラグ75cのスパークが引火してピストン75aが往復動する。ピストン75aが2ストロークする過程で給排気、燃焼等の内燃機関としての工程が繰り返されることによりクランク軸75dから回転動力が出力される。クランク軸75dの回転動力は、クラッチ80と無段変速機1を経てスピンドル76に伝達される。スピンドル76には、チェーンスプロケット77が取り付けられている。このチェーンスプロケット77とガイドバー78との間にチェーン刃(図示省略)が掛け渡されている。
ガイドバー78は、長尺平板形状をなすもので、その一端側は本体部71の右側部に設けたケース部74に支持されている。このガイドバー78は、ケース部74から前方へ長く延びている。
クラッチ80は、入力側のクランク軸75dの回転数が一定以上である場合にその出力軸81に回転動力を伝達し、クランク軸75dの回転数が小さいアイドル回転状態では出力軸81への回転動力の伝達を遮断する遠心クラッチ機構を有するもので、これには従来公知のものが用いられている。クランク軸75dの回転数は、別途設けられている調整機構(スロットルレバー)を使用者が操作することにより任意に調整することができる。
このクラッチ80の出力軸81に、無段変速機1の入力軸3及び太陽ローラ4が結合されている。無段変速機1には、図3及び図5に示す3点圧接形のトラクションドライブが用いられている。この無段変速機1は、上記太陽ローラ4の他、遊星ローラ5〜5、推力ローラ6、推力カム機構7及び変速ローラ9等の各部材を備えている。これらについては、図中同位の符号を用いてその説明を省略する。なお、出力軸8と推力カム機構7の押圧部7bとの間に介装された圧縮ばね7dの図示が図7では省略されている。出力軸8の右端部に上記チェーンスプロケット77が取り付けられている。当該エンジンチェーンソー70では、出力軸8がスピンドル76として機能する。チェーン刃は、チェーンスプロケット77とガイドバー78との間に掛け渡されている。チェーンスプロケット77が回転すると、チェーン刃がガイドバー78の周囲に沿って回転する。ガイドバー78に沿って回転するチェーン刃を樹木等の被切断材に押し当てることにより切断加工を行うことができる。
スロットルレバーの調整によりエンジン75の出力回転数が一定以上であり、従ってクラッチ80の動力伝達状態において、チェーン刃に負荷される切断抵抗が一定以上に達すると、これが別途設けた検知手段により検知され、これに基づいて変速ローラ9がアクチュエータの起動により自動的に低速側へ変位し、これによりスピンドル76に高トルクが出力される。切断抵抗に基づいて無段変速機1が自動的に高トルク側に変速されることにより、使用者はそのまま切断加工を続行することができる。なお、変速ローラ9の移動については、手動操作により行う構成としてもよい。
切断加工が完了してチェーン刃の切断抵抗が小さくなると、これが上記検知手段で検知されて変速ローラ9が自動的に高速側(初期位置)に変位する。スロットルレバーの調整によりエンジン75の出力回転数が小さくなったアイドリング状態では、クラッチ80が動力遮断側に切り換わるためスピンドル76への回転動力の伝達が遮断され、従ってチェーン刃の回転が停止したアイドリング状態となる。スロットルレバーを操作してエンジン75の出力回転数を高めると、クラッチ80が回転動力接続状態に切り換わってチェーン刃が再びガイドバー78の周囲に沿って高速回転し始める。
次に、図8には、同じく3点圧接式の無段変速機1を内装したねじ締め工具90が示されている。このねじ締め工具90は、駆動源としての電動モータ92を内装した本体部91と、本体部91の側部から側方に延びるハンドル部93を備えている。ハンドル部93の先端には、電源としてのバッテリパック95が装着されている。このバッテリパック95を電源として電動モータ92が起動する。ハンドル部93の基部には、トリガ形式のスイッチレバー96が配置されている。このスイッチレバー96を指先で引き操作すると電動モータ92がバッテリパック95から供給される電力により起動する。電動モータ92が起動すると、本体部91の前部に装着したねじ締め用のビット(図ではビットを装着するためのビットソケット110のみが示されている。)がねじ締め方向に回転する。
電動モータ92は、本体部91の本体ハウジング91aの後部側に内装されている。電動モータ92の出力軸92aには、無段変速機1の入力軸3が結合されている。入力軸3は、出力軸92aと一体で回転する。無段変速機1には、図3、図5及び図7に示す構成と同じく3点圧接式のトラクションドライブが用いられている。無段変速機1の各構成部材については同位の符号を用いてその説明を省略する。
但し、図8に示す無段変速機1では、変速ローラ9の移動(変速)を手動操作で行うための変速レバー9aが設けられている。締め付けるねじ径が太い場合には、予め低速側に変速しておき、締め付けるねじ径が細い場合には、予め高速側に変速してねじ締め作業を行うことにより、太いねじを大きな締め付けトルクで確実に締め付けることができ、細いねじは高速回転により迅速にねじ締め作業を行うことができる。また、図7と同じく図8においても、推力カム機構7の圧縮ばね7dの図示が省略されている。
無段変速機1の出力軸8は、電動モータ92の出力軸92aと同軸(回転軸線J0)上に配置されている。また、無段変速機1の出力軸8に対して同軸(回転軸線J0)でスピンドル100が配置されている。無段変速機1の出力軸8と、スピンドル100との間には、ねじの締め付けトルクを設定するための締め付けトルク設定機構94が介装されている。
無段変速機1の出力軸8には、伝達フランジ97が取り付けられている。この伝達フランジ97は軸受け98を介して本体ハウジング91aに回転自在に支持されている。この伝達フランジ97と同軸(回転軸線J0)上にスピンドル100が相対的に回転自在かつ軸線方向には相互に一体化された状態で配置されている。伝達フランジ97の前面には、複数の鋼球99〜99を挟み込んだ状態でクラッチ板101が当接されている。このクラッチ板101と、スピンドル100の前部に設けたトルク設定フランジ103との間には圧縮ばね102が介装されている。この圧縮ばね102によって、クラッチ板101は、伝達フランジ97の前面に押し付けられる方向に付勢されている。
圧縮ばね102の付勢力によりクラッチ板101が鋼球99〜99を間に挟み込んで伝達フランジ97に押し付けられることにより、伝達フランジ97の回転動力がスピンドル100に伝達される。
クラッチ板101の溝部101aとスピンドル100の溝部100aとの間にも、一つの鋼球104が挟み込まれている。両溝部101a,100aはそれぞれ軸線J0に沿って形成されている。このため、クラッチ板101はスピンドル100に対して一体回転しつつ軸線J0方向に相対変位する。スピンドル100に大きな回転抵抗(ねじ締め抵抗)が負荷されると、クラッチ板101が相対回転しつつ圧縮ばね102に抗し前側へ変位する。クラッチ板101が前側へ変位すると、鋼球99〜99の係合状態が外れて伝達プレート97に対する動力伝達状態が遮断される。
スピンドル100の前部に、ビット装着用のソケット110が取り付けられている。ソケット110は、本体ケース91aの前部に軸受け106,106を介して回転自在に支持されている。本体ケース91aの前部には、作動設定トルク調整用の窓部91bが設けられている。この窓部91bは、トルク設定フランジ103の側方に配置されている。このトルク設定フランジ103はスピンドル100にねじ結合されている。このため、このトルク設定フランジ103は軸線J0回りに回転させると軸線J0方向の位置を調整することができる。トルク設定フランジ103の軸線J0方向の位置を調整することにより、圧縮ばね102の付勢力を変化させて、作動設定トルク(スピンドル100に対するトルク伝達が遮断されるトルク値)を調整することができる。トルク設定フランジ103は、上記窓部91bを経て専用工具を用いることにより回転させることができる。
この締め付けトルク設定機構94の作動設定トルクを適切に設定することにより、ねじが作動設定トルクで締め付けられると、伝達フランジ97とクラッチ板101間において鋼球99〜99が外れることにより動力の伝達が遮断される。
なお、上記締め付けトルクの設定が過大である場合には、無段変速機1の推力カム機構7において、鋼球7c〜7cが外れることにより基台部7aが空回りして、この場合も動力の伝達が遮断されることにより当該無段変速機1あるいは電動モータ92等の駆動系に損傷を及ぼすことが防止される。このように、無段変速機1の推力カム機構7は、各遊星ローラ5に対する太陽ローラ4、推力ローラ6及び変速ローラ9の圧接力を発生させる機能に加えて、駆動系の過負荷防止機能をも兼ね備えている。
以上説明した実施形態によれば、様々な形態の動力工具についてトラクションドライブ式の無段変速機を用いることにより、その機能及び付加価値をより一層高めることができる。
例えば、図1に示す携帯マルノコ10(動力工具)によれば、駆動源としての電動モータ11の回転動力が無段変速機1(3点圧接式トラクションドライブ)で減速されて鋸刃15を取り付けたスピンドル12に出力される。この場合、無段変速機1の出力軸1aとスピンドル12との間に減速歯車列13が介装されて、無段変速機1の出力軸1aの回転軸線J0と、スピンドル12の回転軸線J1は同軸ではなく、相互に一定の軸間距離をおいて平行に配置されている。
このように、従来のねじ締め機や孔明け用ドリルのように無段変速機の出力軸に対してスピンドルが同軸に配置された動力工具ばかりではなく、携帯マルノコ10のように減速歯車列13が介装されてスピンドル12が一定の軸間距離で平行に配置された動力工具についてもトラクションドライブ式の無段変速機を備えることにより、加工状況に応じて適切な動力を出力させることができ、これにより従来よりも広範な動力工具についてその機能及び付加価値をより一層高めることができる。
また、図2に示すディスクグラインダ20についても同様で、無段変速機1の出力軸1aとスピンドル23との間に減速歯車列22が介装されて、出力軸1aの回転軸線J0とスピンドル23の回転軸線J2が相互に直交(交差)している場合に、トラクションドライブ式の無段変速機1を備えることによりその機能及び付加価値をより一層高めることができる。
さらに、図1に示す携帯マルノコ10及び図2に示すディスクグラインダ20によれば、無段変速機1により無段階で変速された出力が減速比固定式の減速機構13,20により再度減速されてスピンドル12,23に出力される。すなわち、図1に示すように減速比固定式の減速機構13として平歯車列13a,13bを用いることによりスピンドル12を無段変速機1の出力軸1aに対して一定の軸間距離をおいて平行に配置させることができる。また、図2に示すように減速比固定式の減速機構22としてかさ歯車列22a,22bを用いることによりスピンドル23を無段変速機1の出力軸1aに対して交差させることができる。さらに、図示は省略したが、減速比固定式の減速機構として遊星歯車列を用いることによりスピンドルを無段変速機の出力軸に対して同軸に配置させることができる。
このように無段変速機1の出力側に減速比固定式の減速歯車列を追加することにより一層大きな減速比を設定することができる。無段変速機1の出力側に追加する減速比固定式の減速手段としては例示した減速歯車列を用いる他、例えば当該無段変速機1の出力軸1aとスピンドル12,23にそれぞれ取り付けた有効径の異なるプーリー間にベルトを掛け渡してスピンドル12,23の減速比をより大きく設定する構成としてもよい。
以上のようにスピンドル12,23の軸線J1,J2方向に着目する場合の他、先端工具の加工対象物に対する加工方向に着目し、当該加工方向について多様な動力工具の変速機としてトラクションドライブ式の無段変速機を備えることにより、従来よりも広範な動力工具について当該無段変速機のメリットを付加することができる。例えば、エンジンチェーンソー70であって、チェーン刃の移動方向が樹木等の加工対象物に対する加工方法となる場合に、エンジン75により回転するクランク軸75dと、チェーン刃を回転させるチェーンスプロケット77を取り付けたスピンドル76との間に無段変速機1を介在させることにより、その出力軸8の回転軸線J0に対してチェーン刃の移動方向を直交させることができる。このことから、エンジンチェーンソー70について、トラクションドライブ式の無段変速機1を備えることにより、様々な加工状況に対して迅速かつ確実な切断作業を行うことができ、この点で当該エンジンチェーンソー70の機能及び付加価値を高めることができる。
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、無段変速機1として3点圧接式のトラクションドライブを例示したが、遊星ローラを出力側に備える2点圧接式のトラクションドライブを用いる構成としてもよい。
遊星ローラ5に対する太陽ローラ4、推力ローラ6及び変速ローラ9の圧接力を発生させるための手段として推力カム機構7を例示したが、例えばねじ軸機構等の別形態の圧接力発生手段に置き換えることができる。
また、動力工具として、手持ち式の携帯マルノコ10、ディスクグラインダ20,30、エンジンチェーンソー70及びねじ締め工具90を例示したが、本発明はその他に、据え置き型のテーブルソー等の動力工具についても適用でき、また電動モータではなくエアモータを駆動源とする動力工具について広く適用することができる。
1…無段変速機(3点圧接式トラクションドライブ)
1a…出力軸
3…入力軸
4…太陽ローラ
5…遊星ローラ、5a…キャリア
6…推力ローラ
7…推力カム機構
7a…基台部、7b…押圧部、7c…鋼球、7d…圧縮ばね、7e,7f…係合凹部
8…出力軸
9…変速ローラ
J0…回転軸線
10…携帯マルノコ
11…電動モータ
12…スピンドル
J1…回転軸線
13…減速歯車列、13a…平歯車(駆動側)、13b…平歯車(従動側)
15…鋸刃
20…ディスクグラインダ
21…電動モータ
22…減速歯車列、22a…かさ歯車(駆動側)、22b…かさ歯車(従動側)
23…スピンドル
J2…回転軸線
24…砥石
30…ディスクグラインダ
31…グリップ部
32…スライドスイッチ
33…ギヤヘッド部
34…電動モータ、34a…出力軸
35…かさ歯車列
36…スピンドル
37…砥石
40…減速部
41…変速機ケース
50…ホルダ、50a…壁部
51…変速モータ
52…スライドバー
53…圧縮ばね
54…ねじ軸
55…ナット
70…エンジンチェーンソー
71…本体部
75…2ストロークエンジン(内燃機関)
77…チェーンスプロケット
78…ガイドバー
80…クラッチ(遠心クラッチ)
81…出力軸
90…ねじ締め工具
94…締め付けトルク設定機構
101…クラッチ板、101a…溝部

Claims (10)

  1. トラクションドライブ式の無段変速機を備えた動力工具であって、前記無段変速機の出力軸とは同軸にない別個の軸を、先端工具を装着するためのスピンドルとする動力工具。
  2. 請求項1記載の動力工具であって、前記スピンドルが前記無段変速機の出力軸に対して交差する動力工具。
  3. 請求項1記載の動力工具であって、前記スピンドルが前記無段変速機の出力軸に対して平行に配置された動力工具。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載した動力工具であって、前記無段変速機とは別に、減速比が固定された補助減速機構を備えた動力工具。
  5. 請求項4記載の動力工具であって、前記減速機構は、歯車減速機構である動力工具。
  6. 請求項4記載の動力工具であって、前記減速機構は、ベルト式減速機構である動力工具。
  7. トラクションドライブ式の無段変速機を備えた動力工具であって、スピンドルに装着した先端工具による加工対象物への加工方向が、前記無段変速機の出力軸に対して交差する動力工具。
  8. 請求項7記載の動力工具であって、前記先端工具として切断工具又は研削工具を装着した動力工具。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載した動力工具であって、前記無段変速機は、前記先端工具の負荷に応じて減速比が変化する動力工具。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載した動力工具であって、前記無段変速機は、差動遊星機構式である動力工具。
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