JP2011045901A - 溶接装置、溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】効率よく溶接することが可能であり、しかも溶接部を所望の機械特性にすることが容易である溶接装置および溶接方法を提供する。
【解決手段】本発明の溶接装置1は、母材4を加熱する加熱手段20を含んだ溶接手段2と、溶接手段2による溶接方向後方に設けられ、溶接手段2によって溶接された溶接部42を加熱する補助加熱手段3と、を備えている。溶接手段2を追跡して補助加熱手段3が溶接部42を加熱することにより、溶接部42の温度履歴が制御され、焼入れ効果の軽減や焼戻し効果の向上が実現できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶接装置、溶接方法に関する。
従来から鋼板や鋼管等の鋼材を接合あるいは補修する方法の1つとして、溶接が知られている。典型的な溶接では、母材の一部を加熱・溶融し、溶融した金属を含んだ溶接金属を鋼材間で共有させて2以上の鋼材を一体化する。通常の溶接方法では、溶接熱により母材の一部が焼入れされて、熱影響部が形成される。熱影響部は、焼入れにより部分的に硬化している。
継続的に外力や振動を受ける鋼材加工物、例えば圧力容器や配管、各種機械装置、各種構造物にあっては、硬化した部分が応力腐食割れや脆性破壊の起点になるおそれがある。通常は、硬化した部分を焼戻しすることにより、熱影響部の機械特性が制御されている。
焼戻しするには、例えば鋼材加工物全体を熱処理炉に入れて加熱する方法や、溶接部をヒーター等により加熱して所定の時間だけ焼戻しの温度範囲内に保持する方法等がある。この方法では、溶接部が広範囲にわたっていると、溶接部を一括して焼戻しするために大型の熱処理炉やヒーターが必要になってしまう。また、鋼材加工物が完成した後、もしくは補修として溶接を行う場合には、鋼材加工物の付帯物の耐熱性等の事情により、焼戻しに必要な時間だけ鋼材加工物を加熱することが難しいこともある。これら不都合を回避する観点で、焼戻し用の熱処理を省略可能な溶接技術の確立が期待されている。
焼戻し用の熱処理を低減可能な技術として、テンパービード溶接が知られている(例えば、特許文献1)。テンパービード溶接は、複数回数のパスを行うことにより、複数層の溶接ビートを積層する溶接方法である。パスごとの入熱により、熱影響部を焼戻しすることができる。特許文献1では、溶接ワイヤの供給量を溶接速度に応じて変化させ、熱影響部を徐々に焼戻ししている。
特開2000−271742号公報
テンパービード溶接によれば、溶接過程で焼戻し効果が得られるので、溶接後に焼戻し用の熱処理を行う必要性が低くなり、端的には熱処理が不要になる。しかしながら、従来のテンパービート溶接にあっては、十分な焼戻し効果を得ようとすればパス数が増加してしまい、工程が複雑になることや溶接に要する時間が長くなること等の不都合がある。
特に、ティグ溶接等により上向姿勢で溶接を行う場合には、溶融池の垂れ落ちを回避可能な程度にパスごとの入熱を低く設定することが多い。パスごとの入熱を低く設定し、かつ十分な焼戻し効果を得るには、パス数がさらに増加してしまう。
本発明は、前記事情に鑑み成されたものであって、効率よく溶接することが可能であり、しかも溶接部を所望の機械特性にすることが容易である溶接装置および溶接方法を提供することを目的の1つとする。
本発明では、前記目的を達成するために以下の手段を採用している。
本発明の溶接装置は、母材を加熱する加熱手段を含んだ溶接手段と、前記溶接手段による溶接方向後方に設けられ、前記溶接手段によって溶接された溶接部を加熱する補助加熱手段と、を備えていることを特徴とする。
このようにすれば、補助加熱手段が溶接方向後方に設けられているので、溶接部は加熱手段により加熱された後に補助加熱手段により再加熱される。溶接部が加熱されてから再加熱されるまでの時間は、加熱手段と補助加熱手段との間隔や、溶接速度等により定まる。したがって、所望のタイミングで溶接部を再加熱することができ、また補助加熱手段による入熱は、当然ながら設計可能であるので、溶接部の温度履歴を高精度に制御することができる。このように、溶接手段の溶接と並行して溶接部に補助加熱手段により熱処理を行うことができ、溶接過程で溶接部の機械特性を調整することができるので、焼戻し用の熱処理を行う必要性が低くなる。
また、溶接部の冷却過程で溶接部を再加熱することができる。溶接部が常温まで冷却された後に熱処理を行う場合と比較すると、冷却過程で溶接部が保持している熱量を利用して溶接部を所望の温度範囲に保持することができる。したがって、溶接完了後に熱処理する場合と比較して、少ない入熱で溶接部の機械特性を調整することができ、溶接部を所望の機械特性にすることが容易になる。
本発明に係る溶接装置は、代表的な態様として以下のような態様をとりえる。
前記補助加熱手段は、焼戻し効果を発現する温度となる温度ピークを前記溶接部の熱影響部に形成するように、前記溶接部を加熱するものであってもとよい。
このようにすれば、熱影響部が所定の時間にわたり焼戻し温度になるので、熱影響部の少なくとも一部が焼戻しされる。したがって、焼入れにより低下した溶接部の溶接部の硬化を抑制することができ、溶接部に脆性破壊等を生じることが低減される。
前記補助加熱手段は、前記溶接部の熱影響部における前記溶接方向後方への温度勾配が焼入れ効果を発現する温度範囲内で緩やかになるように、前記溶接部を加熱するものであってもよい。
このようにすれば、熱影響部における溶接方向後方への温度勾配が焼入れ温度範囲内で緩やかになり、熱影響部における焼入れ効果を弱めることができる。したがって、焼入れによる溶接部の硬化が抑制され、溶接部に脆性破壊等を生じることが低減される。
前記補助加熱手段の熱源がレーザ光であるとよい。この場合には、前記加熱手段の熱源がアークであるとよい。
補助加熱手段の熱源がレーザ光であれば、補助加熱手段の出力を制御することが容易になるので、溶接部に所望の量の入熱を行うことが容易になり、溶接部の温度履歴を高精度かつ容易に制御することが可能になる。また、補助加熱手段を小型にすることが容易になり、補助加熱手段を溶接手段に近接させることが容易になる。
加熱手段の熱源がアークであれば、母材を十分に加熱することが容易になる。補助加熱手段の熱源がレーザ光であるので、加熱手段と補助加熱手段との間に磁気吹きを生じることがなく、磁気吹きによる溶接品質の低下を回避することができる。磁気吹きを生じないので加熱手段と補助加熱手段とを近接させることが容易になり、溶接部を加熱してから再加熱するまでの時間の設定自由度が高くなる。
前記補助加熱手段から出射され前記溶接部に入射する前記レーザ光は、前記溶接部の熱影響部が所定の温度履歴になるように、強度分布が調整されているとよい。
このようにすれば、レーザ光の強度分布を調整することにより熱影響部の温度履歴を調整することができ、溶接部の機械特性を高精度かつ容易に制御することができる。
前記補助加熱手段が複数の前記レーザ光を出射するものであり、前記溶接部の熱影響部が所定の温度履歴になるように、該複数のレーザ光の各々の前記溶接部への入射位置が調整されているとよい。
補助加熱手段が複数のレーザ光を出射するものであれば、溶接部に対する補助加熱手段による入熱を増やすことが容易になり、溶接部の温度履歴を制御することが容易になる。また、複数のレーザ光の各々の入射位置を調整することにより熱影響部の温度履歴を調整することができ、溶接部の機械特性を高精度かつ容易に制御することができる。
前記補助加熱手段は、前記レーザ光を前記溶接方向後方にて走査する走査光学系を含んでいるとよい。
このようにすれば、1つのレーザ光により加熱可能な領域を広くすることができ、レーザ光源の数を減らすことができる。また、レーザ光の溶接部への入射位置を調整することが容易になり、レーザ光による入熱の空間分布を制御することが容易になるので、溶接部の温度を所望の温度履歴に調整することが容易になる。
前記加熱手段の熱源がレーザ光であってもよい。
このようにすれば、加熱手段の出力を制御することが容易になるので、溶接部に所望の量の入熱を行うことが容易になる。加熱手段を小型にすることが容易になる。
前記補助加熱手段が加熱する領域は、前記加熱手段が加熱する領域と近接して配置されるとよい。
このようにすれば、溶接部が常温まで冷却されるよりも前に溶接部を加熱することができる。したがって、加熱手段による入熱を利用して溶接部の温度履歴を制御することができ、溶接部を所望の機械特性にする上で必要な補助加熱手段の入熱を減らすことができる。また、補助加熱手段の入熱を増やすことが難しい場合であっても、溶接部を所望の機械特性に近づけることができる。
前記補助加熱手段が加熱する領域と前記加熱手段が加熱する領域との相対位置が固定されているとよい。
このようにすれば、シンプルな構成でありながら、加熱手段により加熱された領域に対して、補助加熱手段が加熱する領域を高精度に対応させることが容易になる。
前記補助加熱手段が加熱する領域と前記加熱手段が加熱する領域との相対位置を管理する相対位置管理手段を備えているとよい。
このようにすれば、前記相対位置が管理可能になっているので、加熱手段が加熱する域から補助加熱手段が加熱する領域までの距離を管理することができる。この距離を管理することにより、溶接の対象となる部分を加熱手段が加熱してから補助加熱手段が再加熱するまでの時間を制御することができるので、溶接部の温度履歴を制御することが容易になる。
本発明の溶接方法は、母材を加熱する加熱手段を含んだ溶接手段により溶接する処理と、前記溶接手段により溶接された溶接部を追跡して補助加熱手段により加熱する処理と、を含み、前記溶接する処理と前記加熱する処理とを並行して行うことにより、前記溶接部の熱影響部における焼入れの緩和と前記熱影響部の焼戻しの促進との少なくとも一方を行うように、前記溶接部の温度履歴を制御することを特徴とする。
このようにすれば、溶接する処理と加熱する処理とを並行して行うことにより、熱影響部における焼入れの緩和と前記熱影響部の焼戻しの促進との少なくとも一方を行うので、溶接過程で溶接部の機械特性を調整することができ、焼戻し用の熱処理を行う必要性が低くなる。溶接部の冷却過程で溶接部を再加熱することができ、冷却過程で溶接部が保持している熱量を利用して熱処理を行うことができる。したがって、溶接完了後に熱処理する場合よりも少ない入熱で溶接部の機械特性を調整することができ、溶接部を所望の機械特性にすることが容易になる。
本発明に係る溶接方法は、代表的な態様として以下のような態様をとりえる。
前記溶接する処理と前記加熱する処理とを一連の処理として複数回数の前記一連の処理を行うとともに、前記一連の処理ごとに溶接される部分の2以上を、前記複数回数の一連の処理で互いに重ねるとよい。この場合に、前記溶接する処理は、下向姿勢以外の溶接姿勢で溶接する処理を含んでいてもよい。
複数回数の一連の処理を行うと、一連の処理ごとの前記溶接する処理の入熱により、熱影響部を焼戻すことができ、焼入れによる溶接部の硬化を抑制することが容易になる。本発明では、一連の処理ごとの前記加熱する処理によっても溶接部の硬化が抑制されるので、溶接部を所望の機械特性にする上で必要な一連の処理の回数を減らすことができる。このように、効率よく施工することができ、しかも溶接部を所望の機械特性にすることが容易になる。
一般に、下向姿勢以外の溶接姿勢、特に上向姿勢で溶接する場合には、溶融池の垂れ落ちを回避可能な程度に入熱が少なく設定される。溶接のみを繰り返して溶接熱により焼戻しする手法では、パスごとの入熱が少なくなるので下層に対する焼戻し効果が弱くなり、溶接部を所望の機械特性にする上で必要なパスの数が増えてしまう。
一方、本発明では前記加熱する処理によっても溶接部の硬化が抑制されるので、下向姿勢以外の溶接姿勢で溶接する場合でも、パスの数を減らすことができるとともに溶接部を所望の機械特性にすることが容易である。このように全姿勢で良好に溶接することが可能であるので、多様な溶接対象に対応可能になる。
本発明にあっては、溶接手段の溶接と並行して溶接部に補助加熱手段により熱処理を行うことができる。冷却過程で溶接部が保持している熱量を利用して熱処理を行うことができる。したがって、本発明によれば、効率よく溶接することができ、また溶接完了後に焼戻しする必要性が低くなるので、溶接部を所望の機械特性にすることが容易になる。
第1実施形態に係る溶接装置の概略構成を示す模式図である。 (a)溶接部を示す概念図、(b)は温度履歴の一例を示すグラフである。 (a)、(b)は、それぞれ実施例1、2の温度履歴を示すグラフである。 (a)〜(d)は、第2実施形態に係る溶接方法を示す模式図である。 実施例3の温度履歴を示すグラフである。 実施例3の最高硬さを示すグラフである。 (a)〜(c)は、補助加熱手段の変形例の説明図である。 (a)、(b)は、補助加熱手段の変形例の説明図である。 (a)、(b)は、補助加熱手段の変形例の説明図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。説明に用いる図面において、特徴的な部分を分かりやすく示すために、図面中の構造の寸法や縮尺を実際の構造に対して異ならせている場合がある。実施形態において同様の構成要素については、同じ符号を付して図示し、その詳細な説明を省略する場合がある。
本発明の溶接装置は、本発明の溶接方法を実施可能なものである。以下の第1実施形態では、溶接装置の実施形態を説明するとともに、本発明の溶接方法の実施形態についても併せて説明する。第2実施形態では、本発明に係る溶接方法として第1実施形態と異なる溶接方法を説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る溶接装置1の概略構成を示す概念図である。図1に示すように、溶接装置1は、溶接手段2と、溶接手段2の溶接方向(溶接の進行方向)の後方に設けられた補助加熱手段3とを備えている。溶接装置1は、本発明に係る溶接方法を実施可能なものである。第1実施形態では、溶接装置1を説明するとともに、本発明の溶接方法の実施形態についても併せて説明する。
溶接手段2は、母材4を加熱して溶接する装置、例えばアーク溶接やレーザ溶接、ガス溶接等を施す装置である。本実施形態では、溶接手段2としてティグ溶接を施す装置を採用している。母材4は、例えば炭素鋼あるいは低合金鋼からなる鋼材である。鋼材の具体的態様については、特に限定されないが、具体例として圧力容器や配管等が挙げられる。
溶接手段2は、溶接トーチ(加熱手段)20、溶接電源21、溶接ワイヤ24等を含んでいる。溶接トーチ20には、タングステン等からなる電極22が取り付けられている。電極22は、溶接電源21と電気的に接続されている。溶接電源21は、溶接トーチ20にシールドガスを供給するとともに、溶接トーチ20を介して電極22に電力を供給する。電極22に電力が供給されると、電極22と母材4との間にアーク23が発生する。アーク23は、外気に曝されないようにシールドガスにより覆われる。ここでは、アーク23に、図示略の供給装置から自動あるいは半自動で溶接ワイヤ24が供給される。アーク23に曝された部分の母材4と、溶接ワイヤ24とがアーク23の熱により溶融し、溶融池41が形成される。溶融池41が冷却凝固することにより、溶接部の一部である溶接金属42が形成される。
ここでは、補助加熱手段3と溶接トーチ20とが、共通の支持部材に取り付けられており、溶接トーチ20に対する補助加熱手段3の相対位置が固定されている。溶接トーチ20と補助加熱手段3の少なくとも一方を支持部材に対して変位させる変位機構や、変位機構を制御して溶接トーチ20あるいは補助加熱手段3の位置を制御する位置制御部等を設けてもよい。このような構成によれば、変位機構および位置制御部を、溶接トーチ20と補助加熱手段3との相対位置を管理する相対位置管理手段として機能させることができる。このように溶接装置1は、溶接ロボットあるいは溶接ロボットの一部である態様もとりえる。
補助加熱手段3は、溶融池41に対して溶接方向の後方側を加熱する。補助加熱手段3は、例えばアーク等の電気的熱源、あるいはレーザ光等の光学的熱源等を含んで構成される。本実施形態の補助加熱手段3は、レーザ光源30、光学ヘッド31を含んでいる。レーザ光源30は、YAGレーザ等により構成され、レーザ光34を出射する。
光学ヘッド31には、光ファイバー等を介してレーザ光34が入射する。光学ヘッド31は、光学素子群32、ミラー33等を含んでいる。光学素子群32は、例えばレーザ光34を平行化する機能や、レーザ光34のビーム径を調整する機能、レーザ光34の偏光状態を調整する機能等を有している。光学素子群32は、例えば複数のレンズ、偏光板等により構成される。ミラー33は、レーザ光34の光軸を調整して、レーザ光34を所定の方向に向けて出射する。
ミラー33として、ガルバノミラー等の可動ミラーを用いることにより、補助加熱手段3から出射されるレーザ光34の光軸を可変に制御することができる。これにより、母材4におけるレーザ光34の入射位置を制御することができる。ミラー33を可動ミラーで構成することにより、ミラー33を走査光学系として機能させることもできる。
補助加熱手段3から出射されたレーザ光34は、溶接金属42の一部である被処理部43に照射される。被処理部43は、照射されたレーザ光34により加熱される。ここでは、被処理部43が溶融池41に近接して位置するように、補助加熱手段3が配置されている。前記相対位置管理手段により溶接トーチ20と補助加熱手段3の相対位置を管理可能になっていれば、レーザ光34の照射位置、すなわち被処理部43の位置を可変に制御することができる。ミラー33を可動ミラーで構成することによっても、被処理部43の位置を可変に制御することができる。
図2(a)は、溶接部40を拡大して示す概念図であり、図2(b)は溶接トーチ20による加熱の温度履歴の一例を示すグラフである。図2(b)において、評価位置P1は後述する熱影響部内の所定位置における温度履歴を表し、評価位置P2は焼戻し領域44内の所定位置における温度履歴を表す。評価位置P1は、熱影響部最高硬さ試験の対象となる試験位置である。図2(b)において、縦軸は温度を表し、横軸は溶接手段2の溶接トーチ20が最も接近したときの時間を原点とする時間を表す。
図2(a)に示すように、溶接部40は、溶接金属42、焼戻し領域44、焼入れ領域45を含んでいる。溶接金属42は、溶融した母材4および溶融した溶接ワイヤ24が一体となり冷却凝固した部分である。焼戻し領域44および焼入れ領域45は、熱影響部である。溶接金属42と焼入れ領域45との境界近傍(評価位置P1)は、焼入れにより最も硬度が高くなる部分である。
焼入れ領域45は、溶接熱による焼入れ効果が発現する温度範囲Tよりも高温になる部分である。焼入れ効果は、一般的に800℃から500℃までの温度範囲Tにおける温度履歴の勾配で決まると言われている。温度履歴の勾配が緩やかになるほど、すなわち、溶接部が800℃から500℃までの温度範囲Tに滞在する時間が長くなるほど、焼入れ効果が弱くなる。
焼戻し領域44は、焼入れ領域45よりも溶接金属42から離れている。焼戻し領域44は、溶接熱による温度ピークが、焼戻し効果が発現する温度範囲内になる部分である。この温度範囲Tに滞在する時間が長くなるほど、焼戻し効果が強くなる。焼戻し効果が発現する温度範囲Tは、母材4の材質により定まる。母材4が炭素鋼もしくは低合金鋼である場合には、焼戻し効果が発現する温度範囲Tは、600℃以上700℃以下の範囲である。
本発明に係る溶接装置は、溶接による熱影響部の硬化を抑制すべく、補助加熱手段3により溶接部40を加熱する。熱影響部の硬化を抑制する方法として以下の3つが挙げられる。1つ目の方法は、焼戻し期間を長くすることにより、焼戻し効果を高める方法である。2つ目の方法は、熱影響部の温度履歴の時間に対する勾配を緩やかにすることにより、焼入れ効果を弱める方法である。3つ目の方法は、1つ目の方法と2つ目の方法を併用する方法である。
図3(a)は実施例1の温度履歴と比較例1,2の温度履歴との比較を示すグラフであり、図3(b)は実施例2の温度履歴と比較例1,3の温度履歴との比較を示すグラフである。図3(a)、(b)は、いずれも評価位置P1における温度履歴である。実施例1、2は、補助加熱手段3を用いた本発明に係る溶接装置によるものである。比較例1は、補助加熱手段3を用いないで溶接手段2のみを用いた場合の温度履歴である。比較例2、3は、溶接手段2を用いないで補助加熱手段3のみを用いた場合の温度履歴であり、参考のために併記している。
図3(a)に示す実施例1は、前記1つ目の方法を採用した例である。実施例1の温度履歴は、2つの温度ピークを有している。1つ目の温度ピークは溶接手段2による入熱に起因しており、2つ目の温度ピークは補助加熱手段3の入熱に起因している。2つの温度ピーク間の時間は、溶接トーチ20により加熱される領域(アーク23)と、補助加熱手段3により加熱される領域(被処理部43)との間の溶接方向に沿った距離と、溶接速度により定まる。2つ目の温度ピークの高さは、補助加熱手段3の入熱により定まる。すなわち、実施例1では、2つ目の温度ピークが焼戻し温度になるように、またその効果を最大化できる時間となるように、前記距離、溶接速度、補助加熱手段3の入熱が設定されている。これにより、焼戻し効果が得られ、熱影響部の硬化を抑制することができる。
図3(b)に示す実施例2は、前記2つ目の方法を採用した例である。実施例2の温度履歴は、溶接手段2による入熱に起因する1つの温度ピークを有している。実施例2では、熱影響部の温度が800℃付近まで低下するタイミングで、熱影響部が補助加熱手段3により加熱されるようになっている。放熱による温度低下の少なくとも一部を補助加熱手段3の入熱により相殺して、熱影響部46の温度履歴の時間に対する勾配が緩やかになるように、前記距離、溶接速度、補助加熱手段3の入熱が設定されている。これにより、焼入れ効果を弱めることができ、焼入れによる熱影響部の硬化を抑制することができる。
[評価例]
次に、具体的な数値例に基づいて、実施例2、比較例1の溶接部の機械特性について説明する。実施例2の母材、比較例1の母材は、いずれもJIS Z YGT50に準拠する略同一の組成のものである。次の表1に示すように、この母材の組成は炭素(C)が0.09wt%、マンガン(Mn)が1.35wt%、ケイ素(Si)が0.73wt%、リン(P)が0.009wt%、硫黄が0.01wt%である。
Figure 2011045901
熱影響部の最高硬さについては、溶接条件により求めることができる。また、最高硬さを求めることが可能な各種シミュレーションツールが、市販、公開されている。ここでは、シミュレーションツールの一例として、社団法人 日本溶接協会 溶接情報センターのホームページにて公開されている計算ソフトを用いて、熱影響部の最高硬さを求める。最高硬さを求めるために必要な評価条件及び評価結果を次の表2に示す。
Figure 2011045901
ここでは、最高硬さの算出に必要な各種パラメータのうちで電流のみを実施例2と比較例1とで異ならせている。詳しくは、溶接手段2のみによる温度履歴、すなわち比較例1の温度履歴を求める。溶接手段2及び補助加熱手段3による温度履歴、すなわち実施例2の温度履歴を求める。実施例2の温度履歴を求めるには、例えば補助加熱手段3のみによる温度履歴と溶接手段2のみによる温度履歴とを足し合わせるとよい。
そして、比較例1の温度履歴に基づいて、比較例1の焼入れを求める。比較例1の焼入れは略3.4秒である。そして、実施例2の温度履歴に基づいて、実施例2の焼入れを求める。実施例2の焼入れは、略4.4秒である。そして、前記計算ソフトにおいて溶接冷却時間が略3.4秒(比較例1の焼入れ)になるように、電流、電圧、速度(溶接速度)、アーク熱効率、板厚、外気温度、予熱温度を設定し、これを比較例1の評価条件にする。そして、比較例1の評価条件のうちの電流のみを変化させて、溶接冷却時間が略4.4秒(実施例2の焼入れ)になるようにする。
そして、比較例1、実施例2の評価条件で、それぞれ計算を実行することにより、比較例1の最高硬さ、実施例2の最高硬さが求まる。このようにして得られた最高硬さは、従来の溶接方法による比較例1では283[HV5]であるのに対し、本発明の溶接方法による実施例2では265[HV5]である。このように、実施例2の最高硬さは、比較例1の最高硬さよりも18[HV5]低くなっている。このことから、本発明の溶接方法により、焼入れ効果が弱めることができ、硬化を抑制可能であることが分かる。
以上のような構成の溶接装置1にあっては、補助加熱手段3が溶接方向後方に設けられているので溶接手段2による溶接と並行して補助加熱手段3により溶接部40を加熱することができる。これにより、溶接部40の硬化を抑制することができ、溶接過程で溶接部40の機械特性を調整することができるので、焼戻し用の熱処理が不要になる。また、溶接部40の冷却過程で溶接部40を再加熱することができるので、冷却過程で溶接部40が保持している熱量を利用して溶接部40を所望の温度範囲に保持することができる。
補助加熱手段3の熱源がレーザ光34であるので、補助加熱手段3の出力を制御することが容易になるので、溶接部40に所望の量の入熱を行うことが容易になり、溶接部40の温度履歴を高精度かつ容易に制御することが可能になる。また、溶接トーチ20と補助加熱手段3との間に磁気吹きを生じることがなく、磁気吹きによる溶接品質の低下を回避することができる。磁気吹きを生じないので溶接トーチ20と補助加熱手段3とを近接させることが容易になり、溶接部40を加熱してから再加熱するまでの時間の設定自由度が高くなる。
次に、第2実施形態に係る溶接方法について説明する。第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、本発明に係る溶接方法をテンパービード溶接に適用した点である。なお、第2実施形態の溶接方法は、第1実施形態で説明した溶接装置1をそのまま用いて実施することが可能である。
図4(a)〜(d)は、第2実施形態の溶接方法を概略して示す工程図である。
まず、溶接する処理と溶接部を加熱する処理とを並行して、一連の処理として並行して行うことにより、溶接による初期層を形成する。ここでは、溶接装置1を用いて母材に対して溶接を施すことにより初期層を形成する。溶接を施す部分は、単数、複数のいずれであってもよい。母材の面方向の異なる部分を対象として複数回数の一連の処理を行ってもよい。ここでは、母材の面方向に近接して並ぶ複数の部分に溶接を行う。
図4(a)に示すように、母材4の表層に溶接を施す。これにより、溶接金属42a、焼戻し領域44a、焼入れ領域45aが形成される。次いで、図4(b)に示すように溶接金属42aの一部、ここでは母材4の表面に沿う方向で溶接金属42aの半分程度と重なるように溶接を施す。これにより、溶接金属42b、焼戻し領域44b、焼入れ領域45bが形成される。次いで、図4(c)に示すように、母材4の表面に沿う方向で溶接金属42bの半分程度と重なるように溶接を施す。これにより、溶接金属42c、焼戻し領域44c、焼入れ領域45cが形成される。同様にして母材に複数回数の溶接を行うことにより、母材4に初期層を形成する。初期層は、層状の溶接金属42d、層状の焼入れ領域45dおよび層状の焼戻し領域44dを含んでいる。焼戻し領域44dと焼入れ領域45dとを含んだ熱影響部は、通常であれば溶接熱により硬化する。しかしながら、本実施形態では溶接装置1を用いて溶接しているので、溶接熱による熱影響部の硬化が抑制されている。
次いで、図4(d)に示すように初期層に溶接を施して上層を形成する。図4(a)に示した溶接と同様の溶接を施すことにより、溶接金属42e、焼戻し領域44e、焼入れ領域45eが形成される。また、図4(b)に示した溶接と同様に、初期層の表面に沿う方向で溶接金属42eの半分程度と重なるように溶接を施す。これにより、溶接金属42f、焼戻し領域44f、焼入れ領域45fが形成される。同様にして初期層に複数回数の溶接を行うことにより、初期層上に上層を形成する。上層の溶接では、初期層の焼入れ領域45dに焼戻し効果を発現するように、すなわち上層の焼戻し領域44e、44fが初期層の焼入れ領域45dと重なるように、上層の層厚や溶接手段2による入熱、補助溶接手段3の入熱を調整する。具体的には、溶接部40が溶接手段2により加熱されてから補助加熱手段3により加熱されるまでの時間や、補助加熱手段3の出力を設定する。
また、形成された上層を下地として、所望の数の上層を積層することにより、所望の層厚の溶接部が得られる。
図5は、実施例3の温度履歴と、比較例4,5の温度履歴との比較を示すグラフである。図5のグラフにおいて、実施例3、比較例4、5はいずれも初期層の熱影響部における温度履歴である。実施例3は、溶接手段2と補助加熱手段3とにより加熱される場合の温度履歴である。比較例4は、補助加熱手段3を用いないで溶接手段2のみを用いた場合の温度履歴である。比較例5は、溶接手段2を用いないで補助加熱手段3のみを用いた場合の温度履歴であり、参考のために併記している。
図5に示すように、実施例3の温度履歴は、溶接手段2による入熱に起因する温度ピークと時間的に略連続して、補助加熱手段3の入熱に起因する温度ピークを有している。実施例3と比較例4とで、温度履歴において600℃以上700℃以下になる時間を比較すると、実施例3の方が長くなっている。これにより、実施例3では、比較例4よりも焼戻し効果が強められ、熱影響部の硬化が抑制される。
[評価例]
次に、具体的な数値例に基づいて、実施例3、比較例4の溶接部の機械特性について説明する。実施例3の母材、比較例4の母材は、略同一の組成のマンガンモリブデン鋼(低合金鋼)である。
ここでは、テンパーパラメータに対する硬さの関係を用いて、実施例3、比較例4の硬さを評価する。母材に対する焼戻しの処理温度をT[℃]、処理温度での保持時間をA[H;Hour]とすると、テンパーパラメータPは、以下の式(1)で定義される。
P=(T+273)×(20+Log(A)) ・・・(1)
母材の材質が同じであれば、焼戻しされた部分の硬さは、テンパーパラメータPに対して略線形になることが知られている。
実施例3、比較例4の硬さを求めるために、同一の組成の予備実験を行ってテンパーパラメータに対する硬さの関係式を求めた。予備実験の条件及び結果を次の表3に示す。
Figure 2011045901
予備実験では、まず実施例3、比較例4と同一の材質のサンプルに対して焼入れ(サイクル1)を行った。そして、複数のサンプルに対して、異なる処理温度で焼戻し(サイクル2)を行った。保持時間は、いずれも0.00078時間(2.3秒)とした。そして、焼戻し後の各サンプルの硬さを測定した。
図6は、予備実験により得られた実験値、実験値の近似直線を示すグラフである。図6のグラフには、実施例3、比較例4に相当するプロットを併記している。図6に示すように、実験値は良好な線形性を示している。実験値を用いて、テンパーパラメータPに対する硬さHVの関係式として、以下の式(2)が得られた。
HV=−25.951×P+717.08 ・・・・(2)
次に、式(2)を用いて実施例3、比較例4の硬度を推定した。推定条件及び推定結果を次の表4に示す。推定条件は、以下のように設定した。実施例3、比較例4の焼戻しの処理温度と、焼戻しの温度の保持時間を求めて、実施例3、比較例4のそれぞれのテンパーパラメータPを求めた。焼戻しの処理温度、焼戻しの温度の保持時間は、温度履歴から求めることができる。ここでは、図5に示したグラフに基づいて、実施例3の焼戻しの温度を650℃、焼戻しの温度の保持期間を12.5秒とした。比較例4の焼戻しの温度を650℃、焼戻しの温度の保持期間を2.8秒とした。
Figure 2011045901
このようにして得られた硬さの推定値は、従来の溶接方法による比較例4で315[HV1]であるのに対し、本発明の溶接方法による実施例3では297[HV5]である。このように、実施例4の硬さは、比較例1の硬さよりも18[HV5]低くなっている。このことから、本発明の溶接方法により、焼戻し効果を高めることができ、熱影響部の硬化を抑制可能であることが分かる。
以上のように、本発明の溶接方法をテンパービード溶接に適用することも可能である。本発明を適用すると、上層側を形成する溶接の入熱による下層側の焼戻し効果を高めることができる。したがって、溶接部を所望の機械特性にするために必要な層の数をへらすことができ、母材に効率よく溶接を施すことができる。
本発明を適用したテンパービード溶接は、下向姿勢のみならず上向姿勢等の溶接姿勢での溶接が要求される場合に特に有効である。下向姿勢以外の溶接姿勢では、一般に溶融池の垂れ落ちを回避可能な程度に溶接用の入熱が低く設定されるので、パスの数が増えてしまうとともに焼戻し効果が軽減してしまう。本発明によれば、溶接用の入熱を減らした場合でも焼戻し効果を高めることができるので、パスの増加による効率低下を回避することができる。このように、全姿勢で良好に溶接を施すことが可能であるので、多様な溶接対象に対応可能になる。
なお、本発明の技術範囲は前記実施形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲内で多様な変形が可能である。例えば、溶接手段の加熱手段の熱源がレーザ光であってもよい。このようにすれば、加熱手段の出力を制御することが容易になる。
また、補助加熱手段の熱源がレーザ光である場合には、次に説明する変形例のように、レーザ光の強度分布や数、照射領域の制御等により、溶接部の温度履歴を制御することも可能である。
図7(a)〜(c)は、レーザ光の強度分布を調整した変形例を示す模式図、図8(a)、(b)はレーザ光の光線の数を増やした変形例を示す模式図、図9(a)、(b)はレーザ光の照射領域を可変に制御するようにした変形例を示す模式図である。図7(a)〜(c)、図8(a)、(b)、図9(a)、(b)の各図には、母材表面におけるレーザ光のスポットの平面形状と、スポット内の溶接方向の光強度の分布とを図示している。
一般にレーザ光源として、レーザ光の光軸に直交する面内におけるスポット形状が円形であり光強度の分布がガウス分布であるものが知られている。
図7(a)に示す変形例1では、レーザ光のスポットS1の平面形状が略円形になっている。スポットS1の強度分布は、ガウス分布よりも半値半幅が大きくなっており、光強度のピーク周りでブロードな分布になっている。このようにすれば、レーザ光の照射領域における入熱を均一化することができる。
図7(b)に示す変形例2では、レーザ光のスポットS2の平面形状が、溶接方向を長軸とする略楕円形になっている。このようにすれば、同じ出力のレーザ光間で比較したときに、溶接方向での加熱時間を増やすことができ、焼入れ効果を軽減し、あるいは焼戻し効果を高めるように、焼入れの温度範囲あるいは焼戻しの温度範囲に熱影響部が滞在する時間を長くすることができる。
図7(c)に示す変形例3では、レーザ光のスポットS3は、溶接方向に並ぶ2つのスポットに分かれており、各々スポットの平面形状が、略円形になっている。スポットS3の強度分布は、光軸を挟んで2つの光強度のピークを有している。このようにすれば、端的には1つレーザ光によって焼入れ期間を長くするとともに、焼戻しすることができる。
レーザ光のスポットの平面形状や強度分布については、変形例1〜3以外にも、所望の温度履歴が得られるように適宜変形可能である。
図8(a)に示す変形例4では、独立した2つのレーザ光を用いており、2つのスポットS4a、S4bが互いに一部を重ね合わされて配置されている。スポットS4a、S4bの全体としての強度分布は、光強度のピーク周りでブロードな分布になっている。このようにすれば、レーザ光の照射領域における入熱を均一化することができる。
図8(b)に示す変形例5では、独立した3つのレーザ光を用いており、3つのスポットS5a、S5b、S5cが互いに一部を重ね合わされて配置されている。
レーザ光の数としては、変形例4、5以外にも所望の温度履歴が得られるように適宜変形可能である。
図9(a)に示す変形例6では、1つのレーザ光を用いており、スポットS6が溶接方向に移動するようにレーザ光を走査している。走査周期で時間平均した光強度の分布は、溶接方向にブロードな分布になる。このようにすれば、レーザ光の照射領域の面積を確保しつつレーザ光源の数を減らすことや、レーザ光の照射領域を広げることができる。
図9(b)に示す変形例7では、1つのレーザ光を用いており、スポットS7が溶接方向に蛇行して移動するようにレーザ光を走査している。走査周期で時間平均した光強度の分布は、溶接方向および幅方向にブロードな分布になる。このようにすれば、レーザ光の照射領域の面積を確保しつつレーザ光源の数を減らすことや、レーザ光の照射領域を広げることができる。
レーザ光の照射領域を可変に制御する制御方法としては、変形例6、7以外にも所望の温度履歴が得られるように適宜変形可能である。また、変形例1〜7の2以上を組み合わせて、温度履歴を制御するようにしてもよい。
1・・・溶接装置、2・・・溶接手段、3・・・補助加熱手段、4・・・母材、
20・・・溶接トーチ、21・・・溶接電源、22・・・電極、23・・・アーク、
24・・・溶接ワイヤ、30・・・レーザ光源、31・・・光学ヘッド、
32・・・光学素子群、33・・・ミラー、34・・・レーザ光、40・・・溶接部、
41・・・溶融池、42、42a〜42f・・・溶接金属、43・・・被処理部、
44、44a〜44f・・・焼戻し領域(熱影響部)、
45、45a〜45f・・・焼入れ領域(熱影響部)、
P1・・・評価位置、P2・・・評価位置、
・・・焼入れの温度範囲、T・・・焼戻しの温度範囲

Claims (15)

  1. 母材を加熱する加熱手段を含んだ溶接手段と、
    前記溶接手段による溶接方向後方に設けられ、前記溶接手段によって溶接された溶接部を加熱する補助加熱手段と、を備えていることを特徴とする溶接装置。
  2. 前記補助加熱手段は、焼戻し効果を発現する温度となる温度ピークを前記溶接部の熱影響部に形成するように、前記溶接部を加熱することを特徴とする請求項1に記載の溶接装置。
  3. 前記補助加熱手段は、前記溶接部の熱影響部における前記溶接方向後方への温度勾配が焼入れ効果を発現する温度範囲内で緩やかになるように、前記溶接部を加熱することを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接装置。
  4. 前記補助加熱手段の熱源がレーザ光であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶接装置。
  5. 前記加熱手段の熱源がアークであることを特徴とする請求項4に記載の溶接装置。
  6. 前記補助加熱手段から出射され前記溶接部に入射する前記レーザ光は、前記溶接部の熱影響部が所定の温度履歴になるように、強度分布が調整されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の溶接装置。
  7. 前記補助加熱手段が複数の前記レーザ光を出射するものであり、
    前記溶接部の熱影響部が所定の温度履歴になるように、該複数のレーザ光の各々の前記溶接部への入射位置が調整されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の溶接装置。
  8. 前記補助加熱手段は、前記レーザ光を前記溶接方向後方にて走査する走査光学系を含んでいることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の溶接装置。
  9. 前記加熱手段の熱源がレーザ光であることを特徴とする請求項1〜4、6〜8のいずれか一項に記載の溶接装置。
  10. 前記補助加熱手段が加熱する領域は、前記加熱手段が加熱する領域と近接して配置されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の溶接装置。
  11. 前記補助加熱手段が加熱する領域と前記加熱手段が加熱する領域との相対位置が固定されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の溶接装置。
  12. 前記補助加熱手段が加熱する領域と前記加熱手段が加熱する領域との相対位置を管理する相対位置管理手段を備えていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の溶接装置。
  13. 母材を加熱する加熱手段を含んだ溶接手段により溶接する処理と、
    前記溶接手段により溶接された溶接部を追跡して補助加熱手段により加熱する処理と、を含み、
    前記溶接する処理と前記加熱する処理とを並行して行うことにより、前記溶接部の熱影響部における焼入れの緩和と前記熱影響部の焼戻しの促進との少なくとも一方を行うように、前記溶接部の温度履歴を制御することを特徴とする溶接方法。
  14. 前記溶接する処理と前記加熱する処理とを一連の処理として複数回数の前記一連の処理を行うとともに、前記一連の処理ごとに溶接される部分の2以上を、前記複数回数の一連の処理で互いに重ねることを特徴とする請求項13に記載の溶接方法。
  15. 前記溶接する処理は、下向姿勢以外の溶接姿勢で溶接する処理を含んでいることを特徴とする請求項14に記載の溶接方法。
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