以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)、(b)に示すスライド型携帯端末の一例としてのスライド型携帯電話1は、送話部と受話部を別々の筐体2,3に組み込み、2つの筐体2,3を前後に重ね合わせて小型化を図ったものである。それゆえ、スライド型携帯電話1には薄型化が強く求められている。
スライド型携帯電話1は、前側の筐体2の前面(表面:通話時に頭部側に位置する面)2aに表示部4としてのLCDを設け、LCDの上部に受話部5としてのレシーバを設け、後側の筐体3の前面(表面:通話時に頭部側に位置する面)3aの下部に操作部6としてのテンキー等を設け、操作部6の下部(操作部6内でも可)に送話部7としてのマイクロホンを設け、前側の筐体2と後側の筐体3を上下方向(長手方向)にスライド可能に連結して、伸縮可能な送受話部を構成する。
スライド型携帯電話1では、2つの筐体2,3は、前側の筐体2の後面(裏面)2bが凸面になるよう上下方向に沿って弧を描くようにして曲がり、後側の筐体3の前面3aが前側の筐体2の後面2bに沿うよう弧を描くようにして曲がり、略同じ曲率の凹面になってり、前側の筐体2と後側の筐体3が本発明の一実施形態に係る携帯端末用カーブスライド機構(以下、「カーブスライド機構」という。)8によって前側の筐体2の後面2bと後側の筐体3の前面3aに沿って弧を描くようにカーブスライド可能に連結される。
スライド型携帯電話1を使用していない携帯時には、図1(a)に示すように、前側の筐体2の後面2b全面と後側の筐体3の前面3a全面を重ね合わせてコンパクトな閉状態にする。使用時には、図1(b)に示すように、前側の筐体3を上方向へカーブスライドさせて開状態にし、送話部7と操作部6を出現させる。開状態では、携帯電話本体がカーブ形状となり、片耳から口元にかけての顔側面の輪郭に沿うようになる。
そして、図2,図5〜図8に示すように、前側の筐体2の後面2bに、そこの面積より一回り小さい矩形状の金属板からなるレールプレート9が固定され、後側の筐体3の前面3aの上部に、そこの面積より一回り小さい矩形状の金属板からなるガイドプレート10が固定されており、レールプレート9の左右両側部に前側の筐体2の後面2bに沿うよう略同じ曲率で弧を描くようにして曲がり、上下方向に平行して延びるカーブレール11が設けられ、ガイドプレート10の左右両側部にカーブレール11をガイド溝12を介して外側から抱き込んで摺動可能に嵌合する合成樹脂製のスライドガイド13が設けられるとともに、スライド型携帯電話1の図1(a)に示す閉状態から前側の筐体2を送話部7と操作部6が出現する図1(b)に示す開位置まで上方向へカーブスライドするのを補助し、また、スライド型携帯電話1の図1(b)に示す開状態から前側の筐体2を図1(a)に示す閉位置まで下方向へカーブスライドするのを補助するために、レールプレート9とガイドプレート10間に、前側の筐体2を上方向(開方向)へ付勢し、また、下方向(閉方向)へ付勢する付勢部材14が設けられて、カーブスライド機構8が構成される。
スライド型携帯電話1のスライド操作においては、図1(a)に示す閉状態から前側の筐体2を手動である程度上方向へ押し出すと、前側の筐体2が付勢部材14の付勢力によって図1(b)に示す開位置までカーブスライドして開状態になる。図1(b)に示す開状態から前側の筐体2を手動である程度下方へ引き戻すと、前側の筐体2が付勢部材14の付勢力によって図1(a)に示す閉位置までカーブスライドして閉状態になる。
図3に示すように、前側の筐体2の後面2bにはレールプレート9より一回り大きい矩形状の比較的深いレールプレート収容凹部15が設けられ、レールプレート収容凹部15内にビス16でレールプレート9が固定されており、レールプレート9は全体が前側の筐体2の後面2bに埋め込まれた状態になる。
レールプレート収容凹部15の底面は、前側の筐体2の前面2aと平行な平面に形成されており、図2に示すように、レールプレート9が密着した状態で固定される。カーブレール11は、レールプレート収容凹部15の左右側壁の内側に一定の間隔が設けらて配置される。
図4に示すように、後側の筐体3の前面3aの上部(操作部6の上部)にはガイドプレート10と略同じ矩形状の浅いガイドプレート位置決め凹部17が設けられ、ガイドプレート位置決め凹部17上にビス18でガイドプレート10が固定されており、スライドガイド13が後側の筐体3の前面3aより突出された状態になる。
ガイドプレート位置決め凹部17の底面は、後側の筐体3の後面(裏面)3bと平行な平面に形成されており、図2に示すように、ガイドプレート10が密着した状態で固定される。スライドガイド13は、前側の筐体2のレールプレート収容凹部15内でカーブレール11を摺動可能に嵌合する。
図2、図4に示すように、合成樹脂製のスライドガイド13は、細長い角棒状に形成されてガイドプレート10の左右両側部にて上下方向に平行して固定され、内側面にガイド溝12を形成しており、レールプレート9とガイドプレート10の連結箇所(前側の筐体2と後側の筐体3の連結箇所)での金属同士の接触による削れを防止する。
ガイド溝12は、カーブレール11に沿うような曲げが付けられておらず直線的に形成されるが、カーブレール11の板厚方向の溝幅がスライドガイド13の下端から上端に向かって漸次大きくなるように形成され、カーブレール11の表面にスライドガイド13の上端部と下端部の2点を接触させるとともに、カーブレール11の裏面にスライドガイド13の上下中間部の1点を接触させた状態で、カーブレール11をスライドガイド13に摺動可能に嵌合させ、レールプレート9とガイドプレート10間(前側の筐体2と後側の筐体3間)のガタ付きを防止する。
本実施形態では、図2、図4、図8に示すように、ガイドプレート10の左右両側部にスライドガイド13を外側から抱き込んで保持するコ字形の曲げ部19を設けているが、曲げ部19は設けず、ガイドプレート10の左右両側部にスライドガイド13を、直接に、接着剤や締結部材を使用して固定したり、ガイドプレート10とスライドガイド13の一方に設ける係合爪を他方に設ける係合溝に圧入して固定してもよい。
図5〜図8に示すように、カーブスライド機構8は、付勢部材として一平面上で直線的に伸縮動作する付勢機構14を備えるとともに、レールプレート9とガイドプレート10の付勢機構連結部としての2本の固定ピン20a,20bを備える。
図9、図10に示すように、付勢機構14は、平行な第1,第2の圧縮コイルばね21,22と、第1,第2の圧縮コイルばね21,22の一端を反対側から支える合成樹脂製の1枚の板状シャーシ23と、板状シャーシ23に別々に直線往復運動(スライド)可能に取り付けられ、第1,第2の圧縮コイルばね21,22の他端を反対側から別々に支える合成樹脂製の第1,第2の板状可動子24,25とを含んで構成され、前記一平面上で第1,第2の板状可動子24,25に一体に形成され、固定ピン20a,20bに側方から外嵌可能なプレート連結部としての板状係止部26a,26bと、板状係止部26a,26bのプレート側表面に一体に形成され、板状係止部26a,26bとレールプレート9間およびガイドプレート10間の隙間を埋めるガタ付き防止用の突起27a,27bが設けられる。
板状シャーシ23と第1,第2の板状可動子24,25の板厚は、略同一で、従来のカーブスライド機構の付勢部材として使用されるねじりコイルばねの線直径と略同等、例えば1mm前後に形成され、第1,第2の圧縮コイルばね21,22には、同一構造の圧縮コイルばねが使用され、板状シャーシ23と第1,第2の板状可動子24,25の板厚より所定寸法だけ小さいばね直径(コイル外径)を有する。
図10において、付勢機構14をより具体的に説明する。付勢機構14は、180°点対称構造を有し(ただし、突起27a,27bは除く。)、図10の紙面上で上下方向に伸縮動作する。このため、第1,第2の圧縮コイルばね21,22は、図10の上下方向に平行して配置される。第1の圧縮コイルばね21の本数と第2の圧縮コイルばね22の本数は同数であれば、1本ずつでもよいが、第1,第2の圧縮コイルばね21,22にできる限りばね直径の小さい圧縮コイルばねを使用して、付勢機構14の厚みをさらに薄くできるように、本実施形態では3本(複数本)ずつとし、合計6本がギターの弦のように図10の紙面上で上下方向に平行して配置される。図10の右側3本が第1の圧縮コイルばね21、左側3本が第2の圧縮コイルばね22である。
板状シャーシ23は、第1の圧縮コイルばね21の上端を上側から一括に支える板状ばね受け23aおよび第2の圧縮コイルばね22の下端を下側から一括に支える板状ばね受け23bを一体に形成し、これら2つの板状ばね受けを固定ばね受け23a,23bとして設けるとともに、第1の圧縮コイルばね21と下側の第2の圧縮コイルばね22用の固定ばね受け23b間でこれらと平行して上下方向に延びる長細い矩形の板状レール23cおよび第2の圧縮コイルばね22と上側の第1の圧縮コイルばね21用の固定ばね受け23a間でこれらと平行して上下方向に延びる長細い矩形の板状レール23dを一体に形成し、これら2つの板状レール23c,23dを、第1の板状可動子24の上方向へのスライドストッパーと、第2の板状可動子25の下方向へのスライドストッパーを兼ねる、つまり、付勢機構14の収縮側のストッパー23eを挟んで上下直列に設ける。板状シャーシ23の板厚は、2つの板状レール23c,23dの部分で表裏から減じられてそこの部分のみが薄くなる。
第1,第2の板状可動子24,25は同一構造を有する。第1の板状可動子24は、下側の板状レール23cをガイド溝24aを介して右外側から抱き込んで摺動可能に嵌合して、板状シャーシ23の下部に上下方向にスライド可能に取り付けるスライダー部24bと、第1の圧縮コイルばね21の下端を下側から一括に支える板状ばね受け24cを設け、これらスライダー部24bと板状ばね受け24cを一体に形成し、この板状ばね受けを可動ばね受け24cとして設け、第1の圧縮コイルばね21によって常時下方向へ付勢される。
第2の板状可動子25は、上側の板状レール23dをガイド溝25aを介して左外側から抱き込んで摺動可能に嵌合して、板状シャーシ23の上部に上下方向にスライド可能に取り付けるスライダー部25bと、第2の圧縮コイルばね22の上端を上側から一括に支える板状ばね受け25cを設け、これらスライダー部25bと板状ばね受け25cを一体に形成し、この板状ばね受けを可動ばね受け25cとして設け、第2の圧縮コイルばね22によって常時上方向へ付勢される。
下側の板状レール23cとスライダー部24b間に第1の板状可動子24の下方向への図示しないスライドストッパーが設けられ、上側の板状レール23dとスライダー部25b間に第2の板状可動子25の上方向への図示しないスライドストッパーが設けられ、これら2つのスライドストッパーが付勢機構14の伸張側のストッパーになる。
第1,第2の圧縮コイルばね21,22の内側には、針金からなる図示しない直線状の芯棒が設けられ、第1,第2の圧縮コイルばね21,22の中折れを防止する。各芯棒は、可動ばね受け24c,25c側に一端が固定され、他端側が固定ばね受け23a,23bに対して第1,第2の板状可動子24,25のスライド(付勢機構14の伸縮)に伴う固定ばね受け23a,23bと可動ばね受け24c,25c間の相対距離変動に応じて出し入れ可能に挿通支持される。
第1の板状可動子24に一体に形成される板状係止部26aは、可動ばね受け24cの第1の圧縮コイルばね21の受け側となる上部と反対側の下部に連続一体に形成され、第1の圧縮コイルばね21の付勢方向となる下方向に向かって開いた逆U字状部(逆凹字状部でも可)によってなり、付勢機構14の一端となる下端であって、レールプレート9の固定ピン23aまたはガイドプレート10の固定ピン20bへの連結部を構成する。突起27aは、板状係止部26aを外嵌するレールプレート9の固定ピン23aまたはガイドプレート10の固定ピン20bを挟む二箇所に設けられて、レールプレート9またはガイドプレート10との接触部を構成する。
第2の板状可動子25に一体に形成される板状係止部26bは、可動ばね受け25cの第2の圧縮コイルばね22の受け側となる下部と反対側の上部に連続一体に形成され、第2の圧縮コイルばね22の付勢方向となる上方向に向かって開いたU字状部(凹字状部でも可)によってなり、付勢機構14の他端となる上端であって、レールプレート9の固定ピン23aまたはガイドプレート10の固定ピン20bへの連結部を構成する。突起27bは、板状係止部26bを外嵌するレールプレート9の固定ピン23aまたはガイドプレート10の固定ピン20bを挟む二箇所に設けられて、レールプレート9またはガイドプレート10との接触部を構成する。
突起27a,27bの凸面は、レールプレート9またはガイドプレート10との接触抵抗を小さくするために円弧面(線接触)または球面(点接触)に形成される。円弧面は、第1,第2の板状可動子24,25のスライド方向と直交する方向の軸線を中心とする円筒面内にある。
こうして、平面構造を有して、厚みが従来の付勢部材として使用されるねじりコイルばねの線直径と略同等、例えば1mm前後と非常に薄い付勢機構14が構成される。
図10において、付勢機構14単体の動作を説明する。
第1の板状可動子24に、これを第1の圧縮コイルばね21の付勢力に抗して上方向へ押し込む外力(荷重)が掛かっておらず、第2の板状可動子25に、これを第2の圧縮コイルばね22の付勢力に抗して下方向へ押し込む外力(荷重)が掛かっていないときには、つまり、第1,第2の板状可動子24,25に、これらを第1,第2の圧縮コイルばね21,22の付勢力に抗して互いに接近させて付勢機構14を収縮する方向の外力(荷重)が掛かっていないときには、下側の板状レール23cとスライダー部24b間に設けられる図示しないスライドストッパーと第1の圧縮コイルばね21の付勢力によって、第1の板状可動子24が下方向へのスライド終端位置(図10の実線位置)に位置保持され、スライダー部24bの上部を除くスライダー部24bの下部および可動ばね受け24cおよび板状係止部26aを板状シャーシ23の下端(下側の固定ばね受け23bおよび板状レール23cの下端)から下側に突出し、上側の板状レール23dとスライダー部25b間に設けれる図示しないスライドストッパーと第2の圧縮コイルばね22の付勢力によって、第2の板状可動子25が上方向へのスライド終端位置(図10の実線位置)に位置保持され、スライダー部25bの下部を除くスライダー部25bの上部および可動ばね受け25cおよび板状係止部26bを板状シャーシ23の上端(上側の固定ばね受け23aおよび板状レール23dの上端)から上側に突出して、つまり、第1,第2の板状可動子24,25が互いに離反する方向のスライド終端位置に位置保持されて、付勢機構14が最も伸びた自由状態になる。
第1,第2の板状可動子24,25に、これらを第1,第2の圧縮コイルばね21,22の付勢力に抗して互いに接近させて付勢機構14を収縮する方向の外力が掛かると、第1の圧縮コイルばね21の付勢力に抗して第1の板状可動子24が上方向へスライドして押し込まれ、第2の圧縮コイルばね22の付勢力に抗して第2の板状可動子25が下方向へスライドして押し込まれ、つまり、第1,第2の圧縮コイルばね21,22の付勢力に抗して第1,第2の板状可動子24,25が互いに接近する方向へスライドして押し込まれて、付勢機構14が漸次収縮して行き、遂には、第1の板状可動子24がストッパー23eに下側から突き当たる上方向へのスライド終端位置(図10の仮想線位置)までスライドして、そのスライドが規制され、第2の板状可動子25がストッパー23eに上側から突き当たる下方向へのスライド終端位置(図10の仮想線位置)までスライドして、そのスライドが規制され、つまり、第1,第2の板状端子24,25が互いに接近する方向へのスライド終端位置で、そのスライドが規制されて、付勢機構14が最も収縮した状態(板状シャーシ23の長さと略同等の長さ)になる。
第1,第2の板状可動子24,25に掛かっている外力が解除されると、付勢機構14は元の自由状態に復帰する。
こうして、付勢機構14は一平面内で直線的に伸縮動作する。
図12に示すように、固定ピン20a,20bには、同一構造のリベットが使用され、段付きの軸部28と、軸部28の大径側端部に設けられる頭部29を有する。
図5〜図8に示すように、レールプレート9には、この上下略中間で左右一側(本実施形態では右側)に偏った1箇所に固定ピン20aが固定され、ガイドプレート10には、この上下略中間でレールプレート9の固定ピン20aとは反対側の左右一側(本実施形態では左側)に偏った1箇所に固定ピン20bが固定される。
図13に示すように、レールプレート9に固定ピン20aを固定するには、予め、レールプレート9の固定ピン20a固定箇所に、固定ピン20a(固定ピン20aとしてのリベット)の軸部28の小径部直径と略同一直径の下孔30をあけておき、下孔30にレールプレート9の内面側から軸部28の小径部を挿入し、レールプレート9の外面側に突出した軸部28の小径部先端部を打ち潰して、そこに扁平な頭部31を作り、軸部28の段差と扁平頭部31によって下孔30の周囲にあるレールプレート9に軸部28をカシメ固定する。このようにしてレールプレート9に固定された固定ピン20aは、レールプレート9の内面から軸部28が垂直に突出し、軸部28の突出端に頭部29を有する。
レールプレート9の外面に固定ピン20aの扁平頭部31が突出し、付勢機構14の薄さを損なうのを防止するため、レールプレート9の固定ピン20a固定箇所には、内面が凸、外面が凹になる張り出し部32が形成され、張り出し部32の中心部に下孔30をあけて、レールプレート9に固定ピン20aをカシメ固定し、固定ピン20aの扁平頭部31を張り出し部32の外面凹部に埋め込むようにする。
ガイドプレート10に対する固定ピン20bの固定は、レールプレート9に対する固定ピン20aの固定と同じである。つまり、予め、ガイドプレート10の固定ピン20b固定箇所に、固定ピン20b(固定ピン20bとしてのリベット)の軸部28の小径部直径と略同一直径の下孔30をあけておき、下孔30にガイドプレート10の内面側から軸部28の小径部を挿入し、ガイドプレート10の外面側に突出した軸部28の小径部先端部を打ち潰して、そこに扁平な頭部30を作り、軸部28の段差と扁平頭部31によって下孔30の周囲にあるガイドプレート10に軸部28をカシメ固定する。このようにしてガイドプレート10に固定された固定ピン20bは、ガイドプレート10の内面から軸部28が垂直に突出し、軸部28の突出端に頭部29を有する。
レールプレート9の固定ピン20aと同様、ガイドプレート10の外面に固定ピン20bの扁平頭部31が突出し、付勢機構14の薄さを損なうのを防止するため、ガイドプレート10の固定ピン20b固定箇所には、内面が凸、外面が凹になる張り出し部32が形成され、張り出し部32の中心部に下孔30をあけて、ガイドプレート10に固定ピン20bをカシメ固定し、固定ピン20bの扁平頭部31を張り出し部32の外面凹部に埋め込むようにする。
そして、図13,図14に示すように、付勢機構14は、レールプレート9に固定ピン20aを固定し、ガイドプレート10に固定ピン20bを固定した後、レールプレート9の固定ピン20aの軸部28に、付勢機構14の一端のプレート連結部としての、例えば、第1の板状可動子24に一体に形成される板状係止部26aを側方から外嵌し、ガイドプレート10の固定ピン20bの軸部28に、付勢機構14の他端のプレート連結部としての、第2の板状可動子25に一体に形成される板状係止部26bを側方から外嵌することにより、図5〜図8に示すように、レールプレート9の固定ピン20aとガイドプレート10に固定ピン20b間に斜めに架設される。
このとき、付勢機構14は、第1,第2の圧縮コイルばね21,22の付勢力によって、レールプレート9の固定ピン20aの軸部28の外周面に板状係止部26aの閉鎖端部が押し付けられて係止し、板状係止部26aのU字溝26a’の最奥部にレールプレート9の固定ピン20aの軸部28が嵌り込み、レールプレート9の固定ピン20aの頭部29とレールプレート9間に板状係止部26aの閉鎖端部が挟み込まれ、レールプレート9の固定ピン20aの頭部29が、板状係止部26aのレールプレート9の固定ピン20aからの抜け止め機能を発揮し、板状係止部26aの突起27aが、レールプレート9に接触して板状係止部26aとレールプレート9間の隙間を埋め、付勢機構14のガタ付き防止機能を発揮する。
また、ガイドプレート10の固定ピン20bの軸部28の外周面に板状係止部26bの閉鎖端部が押し付けられて係止し、板状係止部26bのU字溝26b’の最奥部にガイドプレート10の固定ピン20bの軸部28が嵌り込み、ガイドプレート10の固定ピン20bの頭部29とガイドプレート10間に板状係止部26bの閉鎖端部が挟み込まれ、ガイドプレート10の固定ピン20bの頭部29が、板状係止部26bのガイドプレート10の固定ピン20bからの抜け止め機能を発揮し、板状係止部26bの突起27bが、ガイドプレート10に接触して板状係止部26bとガイドプレート10間の隙間を埋め、付勢機構14のガタ付き防止機能を発揮する。
図5〜図7を参照して、カーブスライド機構8の動作を説明する。
図5に示すように、スライド型携帯電話1の閉状態では、レールプレート9は、ガイドプレート10のスライドガイド13にカーブレール11の上部が嵌合し、レールプレート9の下方向(閉方向)への図示しないカーブスライドストッパーが働く下方向へのカーブスライド終端位置(閉位置)に位置し、ガイドプレート10の固定ピン20bに対してレールプレート9の固定ピン20aが下側に位置し、付勢機構14の第1,第2の圧縮コイルばね21,22の付勢力によって、レールプレート9の固定ピン20aを介して下方向へ付勢されており、レールプレート9の下方向への図示しないカーブスライドストッパーと付勢機構14の第1,第2の圧縮コイルばね21,22の付勢力によって、下方向へのカーブスライド終端位置(閉位置)に位置保持される。したがって、カーブスライド機構8は、前側の筐体2を図1(a)に示す閉位置に位置保持し、スライド型携帯電話1の閉状態を保持する。
スライド型携帯電話1の使用に際して、図1(a)に示す閉状態から前側の筐体2を手動で上方向へ押し出すと、カーブスライド機構8は、ガイドプレート10のスライドガイド13に対してレールプレート9のカーブレール11が上方向(開方向)へ摺動しながら、ガイドプレート10に対してレールプレート9が上方向へカーブスライドし、前側の筐体2を後側の筐体3の前面3aに沿ってカーブスライドさせて行く。
このとき、ガイドプレート10の固定ピン20bとレールプレート9の固定ピン20aとの軸間距離は、ガイドプレート10に対するレールプレート9の上方向へのカーブスライドに伴うレールプレート9の固定ピン20aの上方向への移動によって、ガイドプレート10の固定ピン20bに対してレールプレート9の固定ピン20aが横一列に並ぶ図7に示す位置までは漸次短くなり、ガイドプレート10の固定ピン20bに対してレールプレート9の固定ピン20aが横一列に並ぶ図7に示す位置で最も短くなり、レールプレート9の固定ピン20aがガイドプレート10の固定ピン20bを越えた以降は漸次長くなる。
付勢機構14は、ガイドプレート10に対するレールプレート9の上方向へのカーブスライドに伴うレールプレート9の固定ピン20aの上方向への移動によって、ガイドプレート10の固定ピン20bの軸部28を支点に反時計回りに回転しながら、ガイドプレート10の固定ピン20bに対してレールプレート9の固定ピン20aが横一列に並ぶ図7に示す位置までは第1,第2の圧縮コイルばね21,22の付勢力に抗して漸次収縮し、ガイドプレート10の固定ピン20bに対してレールプレート9の固定ピン20aが横一列に並ぶ図7に示す位置で最も収縮し、レールプレート9の固定ピン20aがガイドプレート10の固定ピン20bを越えた以降は漸次第1,第2の圧縮コイルばね21,22の付勢力によって伸張する。
つまり、付勢機構14は、ガイドプレート10に対するレールプレート9の上方向へのカーブスライドに伴うレールプレート9の固定ピン20aの上方向への移動によって、ガイドプレート10の固定ピン20bの軸部28を支点に反時計回りに回転しながら、ガイドプレート10の固定ピン20bに対してレールプレート9の固定ピン20aが横一列に並ぶ図7に示す位置までは第1,第2の圧縮コイルばね21,22の付勢力によって、レールプレート9の固定ピン20aを介してレールプレート9を下方向へ付勢するが、レールプレート9の固定ピン20aがガイドプレート10の固定ピン20bに対して横一列に並ぶ図7に示す位置を越えた以降(支点越えをした以降)は、第1,第2の圧縮コイルばね21,22の付勢力によって、レールプレート9の固定ピン20aを介してレールプレート9を上方向へ付勢する。
したがって、カーブスライド機構8は、図1(a)に示す閉状態から前側の筐体2を、レールプレート9の固定ピン20aがガイドプレート10の固定ピン20bに対して横一列に並ぶ図7に示す位置を越えるまで手動で上方向へ押し出すと、それ以降は、付勢機構14の第1,第2の圧縮コイルばね21,22の付勢力によって、レールプレート9の固定ピン20aを介してレールプレート9を上方向へ付勢し、ガイドプレート10に対してレールプレート9を上方向へカーブスライドさせ、前側の筐体2を後側の筐体3の前面3aに沿ってカーブスライドさせて行く。そして、図6に示すように、レールプレート9は、ガイドプレート10のスライドガイド13にレールプレート9のカーブレール11の下部が嵌合し、レールプレート9の上方向への図示しないカーブスライドストッパーが働く上方向へのカーブスライド終端位置(開位置)まで上方向へカーブスライドし、レールプレート9の上方向への図示しないカーブスライドストッパーと付勢機構14の第1,第2の圧縮コイルばね21,22の付勢力によって、上方向へのカーブスライド終端位置(開位置)に位置保持される。したがって、カーブスライド機構8は、前側の筐体2を図1(b)に示す開位置に位置保持し、スライド型携帯電話1の開状態を保持する。
スライド型携帯電話1の携帯に際して、図1(b)に示す開状態から前側の筐体2を手動で下方向へ引き戻すと、カーブスライド機構8は、ガイドプレート10のスライドガイド13に対してレールプレート9のカーブレール11が下方向へ摺動しながら、ガイドプレート10に対してレールプレート9が下方向へカーブスライドし、前側の筐体2を後側の筐体3の前面3aに沿ってカーブスライドさせて行く。
このとき、ガイドプレート10の固定ピン20bとレールプレート9の固定ピン20aとの軸間距離は、ガイドプレート10に対するレールプレート9の下方向へのカーブスライドに伴うレールプレート9の固定ピン20aの下方向への移動によって、ガイドプレート10の固定ピン20bに対してレールプレート9の固定ピン20aが横一列に並ぶ図7に示す位置までは漸次短くなり、ガイドプレート10の固定ピン20bに対してレールプレート9の固定ピン20aが横一列に並ぶ図7に示す位置で最も短くなり、レールプレート9の固定ピン20aがガイドプレート10の固定ピン20bを越えた以降は漸次長くなる。
付勢機構14は、ガイドプレート10に対するレールプレート9の下方向へのカーブスライドに伴うレールプレート9の固定ピン20aの下方向への移動によって、ガイドプレート10の固定ピン20bの軸部28を支点に時計回りに回転しながら、ガイドプレート10の固定ピン20bに対してレールプレート9の固定ピン20aが横一列に並ぶ図7に示す位置までは第1,第2の圧縮コイルばね21,22の付勢力に抗して漸次収縮し、ガイドプレート10の固定ピン20bに対してレールプレート9の固定ピン20aが横一列に並ぶ図7に示す位置で最も収縮し、レールプレート9の固定ピン20aがガイドプレート10の固定ピン20bを越えた以降は漸次第1,第2の圧縮コイルばね21,22の付勢力によって伸張する。
つまり、付勢機構14は、ガイドプレート10に対するレールプレート9の下方向へのカーブスライドに伴うレールプレート9の固定ピン20aの下方向への移動によって、ガイドプレート10の固定ピン20bの軸部28を支点に時計回りに回転しながら、ガイドプレート10の固定ピン20bに対してレールプレート9の固定ピン20aが横一列に並ぶ図7に示す位置までは第1,第2の圧縮コイルばね21,22の付勢力によって、レールプレート9の固定ピン20aを介してレールプレート9を上方向へ付勢するが、レールプレート9の固定ピン20aがガイドプレート10の固定ピン20bに対して横一列に並ぶ図7に示す位置を越えた以降(支点越えをした以降)は、第1,第2の圧縮コイルばね21,22の付勢力によって、レールプレート9の固定ピン20aを介してレールプレート9を下方向へ付勢する。
したがって、カーブスライド機構8は、図1(b)に示す開状態から前側の筐体2を、レールプレート9の固定ピン20aがガイドプレート10の固定ピン20bに対して横一列に並ぶ図7に示す位置を越えるまで手動で下方向へ引き戻すと、それ以降は、付勢機構14の第1,第2の圧縮コイルばね21,22の付勢力によって、レールプレート9の固定ピン20aを介してレールプレート9を下方向へ付勢し、ガイドプレート10に対してレールプレート9を下方向へカーブスライドさせ、前側の筐体2を後側の筐体3の前面3aに沿ってカーブスライドさせて行く。そして、図5に示すように、ガイドプレート9は、元の下方向へのカーブスライド終端位置(開位置)に位置保持される。したがって、カーブスライド機構8は、前側の筐体2を元の図1(a)に示す閉位置に位置保持し、スライド型携帯電話1の閉状態を保持する。
ところで、このようなカーブスライド機構8は、そのレールプレート9のカーブスライドによって、レールプレート9の付勢機構連結箇所とガイドプレート10の付勢機構連結箇所の距離(カーブスライド機構8の厚み方向における距離:図8参照)Lが一定ではなく変動する。つまり、ガイドプレート10に対するレールプレート9の上下方向へのカーブスライドに伴い、ガイドプレート10の固定ピン20bに対してレールプレート9の固定ピン20aが横一列に並ぶ図7に示す位置に移動したときに距離Lが最も小さくなり、ガイドプレート10の固定ピン20bに対してレールプレート9の固定ピン20aが横一列に並ぶ図7に示す位置から上下方向へ遠ざかるに連れて距離Lが漸次大きくなる。
一方、カーブスライド機構8は、付勢部材として従来のねじりコイルばねに代えて、平面構造を有して、一平面上で直線的に伸縮動作する非常に薄い(例えばねじりコイルばねの線直径と略同等の厚み)付勢機構14を使用し、レールプレート9とガイドプレート10に少なくとも必要な間隔を小さくし、カーブスライド機構8の薄型化(つまり、スライド型携帯電話1の薄型化)を実現しようとするが、カーブスライドに伴う距離Lの変動によって、付勢機構14には、それをZ状に曲げようとする曲げ荷重が掛かり撓みを生じるので、付勢機構14は、破損してしまい、使用できない。
そこで、カーブスライド機構8には、レールプレート9のカーブスライドに伴う付勢機構14の撓みを吸収する手段が設けられる。
このよな付勢機構14の撓み吸収手段としては、図5〜図14に示す第1の付勢機構撓み吸収手段(請求項1に係る発明に相当する。)と、図15〜図17に示す第2の付勢機構14の撓み吸収手段(請求項2に係る発明に相当する。)がある。
図5〜図14に示す第1の付勢機構撓み吸収手段は、固定ピン20a,20bの頭部29の押え面33と、板状係止部26a,26bの被押え面34で構成される。固定ピン20a,20bの頭部29の押え面33が球形状の凸面に形成され、板状係止部26a,26bの被押え面34が押え面33に沿うよう略同じ曲率で球形状の凹面に形成され、押え面33と被押え面34が球形状で重ね合わされて摺動することで、カーブスライドに伴う距離Lの変動に応じてレールプレート9の固定ピン20aとガイドプレート10に固定ピン20b間で付勢機構14の傾きを変化させながら、レールプレート9のカーブスライドに伴う付勢機構14の撓みを吸収するものである。
このような第1の付勢機構撓み吸収手段によって、カーブスライド機構8の付勢部材として、平面構造を有して、一平面上で直線的に伸縮動作する非常に薄い付勢機構14が使用できるようになり、従来より薄いカーブスライド機構8(つまり、スライド型携帯電話1)が提供可能となる、また、第1の付勢機構撓み吸収手段によって付勢機構14の構造を複雑にすることがないので、付勢機構14の薄さが損なわれず、付勢機構14によってカーブスライド機構8(つまり、スライド型携帯電話1)を効果的に薄型化できる、という作用効果が得られる。
固定ピン20a,20bの頭部29の押え面33は、板状係止部26a,26bのレールプレート9,ガイドプレート10とは反対側の表面におけるU字溝26a,26b’の最奥部の周囲をレールプレート9,ガイドプレート10に向かって押さえるので、板状係止部26a,26bのレールプレート9,ガイドプレート10とは反対側の表面におけるU字溝26a,26b’の最奥部の周囲が板状係止部26a,26bの被押え面34になるため、少なくとも、その被押え面34のみを押え面33に沿うよう略同じ曲率で球形状の凹面に形成すればよいが、本実施形態では、ガイドプレート10とは反対側の表面におけるU字溝26a,26b’の直線部の縁部も被押え面34の球形状の凹面から連続する円弧状の凹面に形成し、固定ピン20a,20bの軸部28に板状係止部26a,26bを容易に外嵌できるようにする。
図15〜図17に示す第2の付勢機構14の撓み吸収手段は、第1,第2の板状可動子を板状係止部26a,26bに対して撓みを許容するための弱め部35で構成される。弱め部35は、第1,第2の板状可動子24,25のレールプレート9,ガイドプレート10側の表面(引っ張り側の表面)またはレールプレート9,ガイドプレート10とは反対側の表面(圧縮側の表面)のずれか一方(本実施形態では圧縮側の表面)における、板状係止部26a,26bと可動ばね受け24c,25cの境目にそこの全幅にわたって横断する直線状のV字溝(U字溝や凹字溝でも可)によって形成される。第1,第2の板状可動子24,25が弱め部35によって板状係止部26a,26bに対して撓むことで、カーブスライドに伴う距離Lの変動に応じてレールプレート9の固定ピン20aとガイドプレート10に固定ピン20b間で付勢機構14の傾きを変化させながら、レールプレート9のカーブスライドに伴う付勢機構14の撓みを吸収するものである。
このような第2の付勢機構14の撓み吸収手段によって、第1の付勢機構撓み吸収手段と同様の作用効果が得られる。
また、固定ピン20a,20bの頭部29の押え面33は、球形状の凸面に形成する必要がなく平坦でよく、板状係止部26a,26bの被押え面34も、平坦な押え面33に沿うように平坦でよく、固定ピン20a,20bとして、押え面33が球形状の凸面に形成される異形の頭部29を有する特殊なリベットではなく、扁平な頭部29を有する一般的なリベットを使用できる。
なお、固定ピン20a,20bの頭部29が板状係止部26a,26bのレールプレート9,ガイドプレート10とは反対側の表面に突出しないよう、板状係止部26a,26bの被押え面34は板状係止部26a,26bのレールプレート9,ガイドプレート10とは反対側の表面から一段下げて形成される。また、U字溝26a,26b’の直線部の縁部も被押え面34と連続するよう一段下げて形成し、固定ピン20a,20bの軸部28に板状係止部26a,26bを容易に外嵌できるようにする。