JP2011042862A - 耐食耐摩耗部材およびその製造方法 - Google Patents

耐食耐摩耗部材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ステンレス鋼を基材とした耐摩耗性および耐食性に優れる耐食耐摩耗部材を提供する。
【解決手段】本発明の耐食耐摩耗部材は、TiまたはNbの少なくとも1種を合計で0.1〜5質量%含み、オーステナイト相を常温域の主相とする金属組織により構成されたオーステナイト系ステンレス鋼からなる基部と、この基部を窒化処理することにより基部の表面近傍に形成された窒化層とこの窒化層の最表面近傍に形成され少なくともCrおよびOで構成されたクロム酸化物層とからなる表面部と、を有している。窒化層により耐摩耗性が確保されると共に、クロム酸化物層によりその窒化層の腐食が抑止され、耐食性および耐摩耗性に優れた耐食耐摩耗部材が容易に低コストで得られた。
【選択図】図8

Description

本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼をベースとした耐食性および耐摩耗性を両立し得る耐食耐摩耗部材部材およびその製造方法に関する。
腐食環境下における耐食性が要求される部材にはステンレス鋼が用いられることが多い。ステンレス鋼は、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系などに区分され、各区分中には成分組成の相違によって多種多様なステンレス鋼が含まれる。このうちオーステナイト系ステンレス鋼は、最も耐食性に優れ、種類も流通量も豊富であり、建築内外装材、車両、各種化学プラント等の多様な分野で用いられている。このようにステンレス鋼は、耐食性に優れるために多用されるが、その耐食性は厚さ数nm程度の不動態皮膜(クロム水和オキシ酸化物:CrOx(OH)2・nH2O)がその表面に形成されるためといわれている。
もっとも、ステンレス鋼は、従来、シャフトや軸受等のように耐摩耗性が要求される部材に用いられることは少なかった。ステンレス鋼自体あまり硬くないし、焼入れや浸炭などの熱処理によって、ステンレス鋼表面の硬さを大きくすることも困難だからである。なぜなら、ステンレス鋼は、クロム炭化物を形成してCrを欠乏させ上記の不動態皮膜に欠陥を生じさせる炭素(C)を基本的に含まず、Cはステンレス鋼の不純物として扱われてきたからである。
そこで、耐食性と共に耐摩耗性に優れたステンレス鋼部材を得るために、その表面を窒化処理して硬化させることが提案されており、これに関連する記載が下記の特許文献にある。
特開2009−52104号公報 特許3100342号公報 特開2008−300054号公報 特許3283655号公報
特許文献1は、Fe−18%Cr−8%Ni(質量%:以下同様)の成分組成からなる代表的なステンレス鋼SUS304(JIS)に対し、比較的低温の溶融塩を用いて塩浴窒化することを提案している。もっとも、本発明者が調査したところ、一般的なSUS304部材に400℃前後の低温窒化処理をしても好ましい耐食性は得られなかった。
特許文献2は、主にフェライト系ステンレス鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼に、500℃を超える高温でプラズマ窒化処理を施すことを提案している。もっとも、本発明者の研究によれば、このようなステンレス鋼に高温窒化処理を施しても、好ましい耐食性は得られないと考えられる。
特許文献3は、Siを含有させたオーステナイト系ステンレス鋼に、比較的低温でプラズマ窒化処理を施すことにより、耐食性に優れた燃料電池用セパレータが得られることを提案している。もっとも、特許文献3では、用途を燃料電池用セパレータに限定しているため、窒化処理したステンレス鋼の耐摩耗性については何ら検討されておらず、窒化時間などからしても、耐食性の他に耐摩耗性をも備える表層が形成されているとは考えられない。
特許文献4は、建材や家庭用品用等に使用される安価で一般的なSUS304やSUS430(Fe−18%Cr)の耐食性を、高合金化によらずに向上させることを目的として、プラズマ窒化処理を施すことを提案している。この場合も特許文献3の場合と同様に、耐食性の向上のみに着目しており、用途が限定的であって、耐摩耗性に関して何ら検討されてはいない。なお、特許文献4には、ステンレス鋼の表層に、窒化クロムの存在する結晶粒と窒化クロムの存在しない結晶粒とが斑状に形成され、両結晶粒間で局所電池作用を生じることにより耐食性が向上するとの指摘がある([0008]段落)。しかし、このような見解は技術常識に反するように思われる。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、ステンレス鋼をベースとして、耐食性と耐摩耗性を高次元で両立し得る耐食耐摩耗部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、TiまたはNbを含有するオーステナイト系ステンレス鋼に、比較的低温でプラズマ窒化処理することにより、耐食性と耐摩耗性を高次元で両立させた部材が得られることを新たに見出した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《耐食耐摩耗部材》
(1)本発明の耐食耐摩耗部材は、チタン(Ti)またはニオブ(Nb)の少なくとも1種を合計で0.1〜5質量%(以下単に「%」という)含み、オーステナイト相を常温域の主相とする金属組織により構成されたオーステナイト系ステンレス鋼からなる基部と、
該基部を窒化処理することにより該基部の表面近傍に形成された窒化層と、該窒化層の最表面を被覆する少なくともクロム(Cr)および酸素(O)で構成されたクロム酸化物層とからなる表面部とを有してなり、耐食性および耐摩耗性に優れることを特徴とする。
(2)本発明の耐食耐摩耗部材(以下単に「部材」という。)は基部と表面部とを有する。このうち耐摩耗性および耐食性にもっとも影響するその表面部が、窒化層およびクロム酸化物層からなる。窒化層は、表面部の表面硬さを高めて部材の耐摩耗性を向上させる。さらにクロム酸化物層は、その窒化層の最表面に形成され、窒化層の腐食さらには基部の腐食を抑止し、部材の耐食性を高め得る。
本発明の耐食耐摩耗部材が、このように優れた耐摩耗性のみならず、耐食性をも発現するメカニズムは、現状必ずしも定かではないが次のように考えられる。
先ず本発明に係る窒化層も、窒化鉄(γ−Fe4N)さらには窒化クロム(CrN)などが析出して形成された非常に硬質な化合物層と、この化合物層の内層側に形成され、基部のオーステナイト系ステンレス鋼(金属組織が面心立方格子構造(FCC)であるステンレス鋼)中へNが過飽和に固溶した拡散層とによって構成されていると考えられる。これらの化合物層と拡散層が協調することにより、硬質な窒化層が形成され、本発明の部材の耐摩耗性が大きく向上したと考えられる。
次に本発明に係るクロム酸化物層は、表面部のCr、特に窒化層の最表面近傍に存在するCrがOと反応して形成されたと考えられる。このクロム酸化物層が、ステンレス鋼の表面に形成される従来の不動態皮膜と、同質か異質かは現状定かではない。ただ、本発明者の分析から、少なくともクロム酸化物層がその内側にある窒化層の最表面をほぼ全面的に被覆しており、それによって優れた耐食性が発現していると考えられる。もし、窒化層の最表面に形成されるクロム酸化物層にムラがあり斑状であるなら、クロム酸化物層の存在しない微小な領域が起点となって腐食が進行し、本発明のような優れた耐食性が発現されないと考えられる。
ところで、このようなクロム酸化物層は、単に、従来のステンレス鋼を窒化処理するだけで得られるものではない。一般的なオーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304(JIS)などを窒化処理すると、表面に窒化クロムなどが形成され、それにCrが消費されて、その周辺でCrが欠乏する。このため、窒化層の最表面を全面的に被覆するような耐食性のある保護被膜の形成は困難となる。勿論、Crの欠乏が生じないほどにCrを多量に含有させたステンレス鋼を用いることも考えられるが、コスト高となるし、Cr量が増えるほど、ステンレス鋼中でフェライト相が増加するため、逆に耐食性の低下が懸念される。窒化処理で導入するN量を抑制することも考えられるが、これでは本来の目的である耐摩耗性の確保が困難となる。
このような事情の下、本発明では、部材の基部を構成するステンレス鋼にオーステナイト系ステンレス鋼を用い、さらに適量のTiおよび/またはNbを含有させることによって、耐摩耗性のみならず耐食性を両立させることに成功している。もっとも現状では、基部がオーステナイト系ステンレス鋼からなることと、それが適量のTiおよび/またはNbを含有していることとが、本発明に係るクロム酸化物層の安定的な形成にどのように寄与しているのか、その詳細は定かではない。ただ、オーステナイト系ステンレス鋼がもともと耐食性に優れることと、TiやNbがCrよりもNと結合し易く、窒化層の最表面付近でCrNなどの形成を抑制していることなどが関与しているように思われる。
このような耐食性および耐摩耗性の発現メカニズムは兎も角、本発明の部材が従来のステンレス鋼の窒化材とは異なり、高次元で耐摩耗性と耐食性とを両立するのは事実であり、また、窒化条件を適切に選択することで、それらの特性をより高めることもできることも確かである。
《耐食耐摩耗部材の製造方法》
本発明は、単に耐食耐摩耗部材としてのみならず、その製造方法としても把握できる。すなわち、本発明は、TiまたはNbの少なくとも1種を合計で0.1〜5%含み、オーステナイト相を常温域の主相とする金属組織により構成されたオーステナイト系ステンレス鋼からなる基部にプラズマ窒化処理を施す窒化工程を備え、上述した本発明の耐食耐摩耗部材が得られることを特徴とする耐食耐摩耗部材の製造方法としてもよい。
《その他》
(1)本発明でいう「オーステナイト系ステンレス鋼」とは、常温域の主相がオーステナイト相(FCC構造からなる相)であるステンレス鋼である。ここで「主相」とは、オーステナイト単相(100%オーステナイト相)の場合の他、一部にフェライト相やマルテンサイト相を含む場合でもよい。強いていえばオーステナイト相が全体の50体積%超であればオーステナイト相が主相であるといい得る。「常温域」とは室温域であって、強いていえば15〜25℃ぐらいである。この温度域でオーステナイト相が存在するものは本発明のオーステナイト系ステンレス鋼に含まれる。
(2)本発明でいう窒化層やクロム酸化物層は、本発明の部材が耐食性および耐食耐摩耗部材を発現する限り、成分組成、組織構造、各構成元素の存在形態、厚さなどの形態等を問わない。
例えば、窒化層は、窒化鉄や窒化クロム等からなる化合物層とNが過飽和に固溶した拡散層からなると考えられるが、本発明の窒化層は、このような従来のものと異なっていてもよく、特に限定されない。
もっとも、部材の耐摩耗性を確保する上で、窒化層の厚さ(窒化深さ)は2μm以上、3μm以上さらには5μm以上あると好ましい。窒化深さが過小では十分な耐摩耗性の確保が困難となる。窒化深さの上限は特に限定されないが15μm以下さらには10μm以下であると好ましい。窒化深さの増大に応じて窒化処理時間が延び、生産コスト高となる。
クロム酸化物層は少なくともCrとOとからなるが、その組成、構造さらにはCrやOの存在形態などは問わない。また、CrおよびO以外の元素(Ti、Nb、Nなど)がクロム酸化物層の形成に直接的または間接的に関与していてもよい。
このクロム酸化物層は、部材の耐食性が確保されれば足るから、クロム酸化物層の厚さは1nm以上あれば足ると考えられるが、2nm以上さらには3nm以上でもよい。上限は限定されないが、実質的に50nm以下さらには20nm以下と考えられる。
本発明のクロム酸化物層が従来のクロム不動態皮膜と類似するものか不明であるが、酸化雰囲気(窒化層に接触するOが存在する雰囲気)であれば、窒化層の最表面にクロム酸化物層が自然に生成されたり、さらには再生されたりすると考えられる。
(3)本発明の部材はその形態を問わない。例えば、軸状、ボール状、板状等いずれの形態をしていても良い。また、最終製品ではなく、その後に種々の加工または処理などが行われる中間製品でも良い。
また、本発明でいう「耐食耐摩耗部材」は、素材としてのステンレス鋼も含み、その素材形状は棒状、管状、板状等のいずれもでも良い。
さらに、本発明の耐食耐摩耗部材は基部と表面部とを有するが、これら基部および表面部のみによって部材全体が構成される必要はない。例えば、異種材を組み合わせた複合部材の場合、耐摩耗性および耐食性が要求される部分にのみ、本発明の基部および表面部が存在すれば足る。但しこの場合でも、その複合部材全体が本発明の耐食耐摩耗部材となる。
(4)本発明でいう耐食性や耐摩耗性は、一概に特定されるものではなく、部材の要求仕様に応じたものであれば足る。これら特性の評価は、現物の仕様に沿った直接的なものに限らず、通有性のある間接的なものでもよい。
耐摩耗性の評価は、実機による摩耗量などを測定した直接的な評価の他、部材の表面硬さや一般的な摩耗試験による摩耗深さなどを測定した間接的な評価でもよい。表面硬さによる評価であれば、部材の窒化処理後の表面硬さが350HV(ビッカース硬さ)以上、380HV以上、450HV以上さらには550HV以上であると、通常、部材は十分な耐摩耗性があると評価され得る。
耐食性の評価は、実機による腐食減量などを測定した直接的な評価の他、部材の自然浸漬電位や分極抵抗などを測定した間接的な評価でもよい。自然浸漬電位による評価であれば、5%の塩化ナトリウム(NaCl)の水溶液中で塩化銀(AgCl)からなる参照極を用いて測定した本発明の表面部の自然浸漬電位が貴(正値)、50mV(vs Ag/AgCl)以上、100mV(vs Ag/AgCl)以上さらには150mV(vs Ag/AgCl)以上であると、通常、本発明の部材は十分な耐食性があると評価され得る。また、分極抵抗(JIS H0530)による評価であれば、前記水溶液中で前記参照極に対する電位差から求めた本発明の表面部の分極抵抗が3000Ωcm以上、5000Ωcm以上、5500Ωcm以上さらには6000Ωcm以上であると、通常、本発明の部材は十分な耐食性があると評価され得る。
(5)特に断らない限り、本明細書でいう「x〜y」は、下限値xおよび上限値yを含む。また、本明細書に記載した種々の下限値または上限値は、任意に組合わされて「a〜b」のような範囲を構成し得る。さらに、本明細書に記載した範囲内に含まれる任意の数値を、数値範囲を設定するための上限値または下限値とすることができる。
本実施例に係る窒化処理した試料の表層部分の断面組織の写真であり、同図(a)は試料No.A3のものであり、同図(b)は試料No.A5のものである。 その試料No.A3に係る窒化層のTEM像を示す写真である。 その試料No.A3に係る窒化層の電子線回折図形を示す写真である。 その試料No.A3に係る窒化層のEDX像を示す写真である。 各試料の自然浸漬電位を示す棒グラフである。 各試料の相対腐食速度を示す棒グラフである。 各試料の分極抵抗を示す棒グラフである。 各試料の自然浸漬電位と摩耗深さとの関係示す分散図である。
発明の実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。なお、以下の実施形態を含め、本明細書で説明する内容は、本発明に係る耐食耐摩耗部材のみならずその製造方法にも適宜適用される。上述した本発明の構成に、以降に示す構成中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成を付加することができる。製造方法に関する構成は、プロダクトバイプロセスとして理解すれば耐食耐摩耗部材に関する構成ともなり得る。なお、いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《オーステナイト系ステンレス鋼》
(1)本発明の耐食耐摩耗部材の基部(または基材)となるオーステナイト系ステンレス鋼(以下適宜、単に「ステンレス鋼」という。)は、FeおよびCrと、前述したTiまたはNbとを必須元素とする。
本発明に係るステンレス鋼は、Tiおよび/またはNbを合計で0.1〜5%含む。これらの元素が過少では前述したクロム酸化物層による耐食性の向上を図ることが困難となり、過多ではコスト高になると共にオーステナイトマトリックスに多量に偏析することとなり好ましくない。
Tiおよび/またはNbは合計で0.15〜4%、0.2%〜3%さらには0.3%〜2%であると好ましい。特にTiは0.1〜2%さらには0.15〜1%であると好ましい。またNbは0.2〜3%さらには0.3〜2%であると好ましい。
Cr量は限定されないが、通常は12〜30%であり、15〜25%さらには16〜20%であると好ましい。Crが過少では耐食性を発現するクロム酸化物層の形成が困難となり、Crが過多ではコスト高となる。
また、本発明に係るステンレス鋼は、Cr量に応じて適量のNiを含有すると好ましい。シェフラーの組織図などからもわかるように、Cr量が増加するほどフェライト相が増加する一方、Ni量が多くなるほどオーステナイト相が増加する。そこで本発明のステンレス鋼は、Cr量に応じて、Niを4〜30%、5〜25%、6〜20%さらには7〜13%含有すると好ましい。Niが過少ではその効果が乏しく、Niが過多ではコスト高となり好ましくない。
(2)一例として本発明に係るステンレス鋼は、0.1〜5%のTiおよび/またはNbと、12〜30%のCrと、4〜30%のNiと、残部が不可避不純物および/または改質元素からなると好適である。
この「改質元素」は、Fe、Cr、Ni、TiおよびNb以外であって、ステンレス鋼の特性改善に有効な元素である。改善される特性の種類は問わないが、耐食性、耐摩耗性の他、強度、靱性、延性、寸法安定性などがある。改質元素の具体例として、モリブデン(Mo)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、炭素(C)などがある。これら各元素の組合せは任意であり、その含有量は通常は微量である。
「不可避不純物」は、ステンレス鋼中に含まれる不純物や窒化工程時などに混入等する不純物などであって、コスト的または技術的な理由等により除去することが困難な元素である。本発明に係るステンレス鋼の不可避不純物には、例えば、C等がある。なお、Cは、クロム炭化物を形成して不動態皮膜に欠陥をもたらす腐食原因元素となる場合もあるが、一方で、Cの存在によりステンレス鋼が硬質化する場合もある。Cを改質元素とみるか、不可避不純物とみるかは、部材に要求される仕様や部材の使用環境によって異なる。但し、本発明に係るクロム酸化物層の形成にCが及ぼす影響は必ずしも定かではないが、Cが多少存在しても存在しなくても、本発明は安定した耐食性を発現すると考えられる。
《窒化工程》
本発明に係る窒化層は、基部を窒化処理することにより形成される。耐食性および耐摩耗性が両立され得る窒化層が形成される限り、窒化処理の方法は問わない。従って、本発明の窒化処理は、プラズマ窒化の他、ガス窒化でも塩浴窒化でもよい。
もっとも、本発明の窒化工程をプラズマ窒化処理で行えば、不動態皮膜で覆われたステンレス鋼へも容易に窒化処理を行うことが可能となる。この場合、処理炉内へ導入されるガスは、アンモニアガスの他、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスでもよく、他の窒化方法と比べてクリーンで環境負荷を小さくできる。さらに、プラズマ窒化処理によれば、オーステナイト相に形成され窒化処理の障害となる不動態皮膜を、イオン衝撃により除去することが可能となり、低温で、かつNガスとHガスとのみで処理可能である。また使用するガス量も低減でき、窒化時間の短縮も図れる。
ところで、本発明者の研究によると、高温で窒化処理した場合、部材の耐食性が低下した。そこで窒化温度は、耐摩耗性と耐食性とが両立され得る範囲内であると好ましい。具体的には、プラズマ窒化処理の場合なら、窒化温度は330〜480℃、350〜460℃さらには380〜430℃のような比較的低温であると好適である。ちなみに、プラズマ窒化処理を行う場合の窒化温度は、窒化層を形成すべき部材表面の温度である。
《その他》
本発明の耐食耐摩耗部材の用途は限定されないが、優れた耐食性と耐摩耗性とを併有するので、腐食環境下で他材と接触しつつ使用されるような部材に好適である。例えば、腐食環境中で使用される摺動部材(軸、軸受等)、キャビテーションなどにより攻撃される部材(ポンプのインペラやプロペラ等)、腐食環境中で粒体を攪拌する攪拌子等である。
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
《試料の製造》
(1)供試材
基材(本発明の基部に相当)として、市販されている次の4種類のオーステナイト系ステンレス鋼(JIS)を用意した。すなわち、表1に示す供試材A:SUS321(Fe−18%Cr−9%Ni−0.2%Ti)、供試材B:SUS347(Fe−18%Cr−9%Ni−0.4%Nb)、供試材C:SUS304(Fe−18%Cr−8%Ni)および供試材D:SUS310S(Fe−25%Cr−20%Ni)を用意した。なお、不可避不純物であるCは、いずれの供試材も0.04%以下であった。組成単位は全て質量%である(以下同様に単に「%」で示す)。
(2)プラズマ窒化処理
これら各供試材からなる試料に、プラズマ窒化処理装置を用いて次のような条件下で窒化処理を行った。
直径350mmx高さ400mmのステンレス製の真空炉へ各試料を入れた。この真空炉内をロータリーポンプおよび拡散ポンプで排気した。また真空炉の内壁を陽極、窒化処理する各試料を陰極とした。
プラズマ窒化処理の前処理として、その両極間に直流電圧を印加してグロー放電を生じさせ、各試料を加熱保持した。
さらに、その真空炉内へ水素ガス(H)を15sccm(standard cc/min)導入し、真空炉内を200Paとした後、グロー放電によって両極間に200V、0.2Aの通電を行い、各試料の基材表面を洗浄した。
その後、両極間の電圧(280〜480V)および電流を増加させ、各試料の基材表面を200℃まで昇温した後、真空炉へ窒素ガス(N):100sccmと水素ガス(H):50sccmを導入し、真空炉内を400Paとした。この状態で両極間にグロー放電を生じさせて、試料を所定の窒化温度まで昇温後、その状態を所定の時間保持した。
ここで窒化温度には、350℃、400℃、425℃、450℃、480℃、500℃および530℃を選択した。そして窒化温度が350℃、400℃および425℃のときの窒化時間は4時間とした。また、窒化温度が450℃、480℃、500℃および530℃のときの窒化時間は1時間とした。
こうして、陰極である各試料の基材表面を種々の条件下でプラズマ窒化処理した。
なお、表1および図5〜8には、上述した各々の窒化温度でプラズマ窒化処理した種々の試料中から、代表的なものを抽出して示した。ちなみに、本実施例でいう窒化温度は、放射温度計を用いて各試料の表面温度を測定したものである。
《試料の測定》
(1)窒化深さの測定
窒化(層)深さは、窒化層の表面から、窒化層と基材(基層)とが特性的に区別できない点に至るまでの距離であり、最表面側にできる窒化物からなる化合物層の深さと、それより内部側でNが過飽和に基材中へ固溶した拡散層の深さとの和である(JIS B 6905)。具体的には、窒化処理した各試料の表層部分(本発明の表面部に相当)を光学顕微鏡を用いて観察すると共に、EPMAを用いた窒素(N)の線分析結果から本実施例でいう窒化深さを求めた。
(2)表面硬さの測定
この表面硬さは窒化層の表面硬さであり、窒化処理した各試料の表層部分の硬さを、マイクロビッカース硬度計(明石製作所、MVK−E)を用いて、圧痕表面積で試験荷重を割って算出した。
(3)耐摩耗性の評価
各試料の耐摩耗性を、ボールオンディスク型試験機を用いて評価した。
窒化処理前の表面粗さがRa:0.05μmであるφ30x3mmのディスクを各供試材から切り出し、これに前述した窒化処理を施して、耐摩耗性の評価用試料とした。こうして得た各試料上を摺動させる相手材として、φ6.35mm、ビッカース硬さHV800、表面粗さはRa:0.01μmの軸受け鋼(JIS SUJ2ボール)を用意した。これらを用いて、荷重:2N(最大ヘルツ圧814MPa)、すべり速度:0.2m/s、すべり距離:600mとし、大気雰囲気中の無潤滑状態(相対湿度:30〜50%)の下でボールオンディスク試験を行った。
耐摩耗性は、試験後のディスクの摺動部にできた最大摩耗深さを測定することにより評価した。なお、この最大摩耗深さは、非接触光学式表面形状測定機を用いて観察および測定した。
(4)自然浸漬電位の測定
JIS H0530の規定に沿って、各試料の自然浸漬電位を測定した。すなわち、25℃の5%NaCl水溶液中に、塩化銀からなる参照極および各種試料からなる試料極を配置して、参照極と試料極との間に生じる電位差ΔE0を電位計で測定することにより自然浸漬電位を求めた。
(5)耐食性の測定
JIS H0530に規定されている分極抵抗法により、各試料の腐食速度を測定した。すなわち、25℃の5%NaCl水溶液中に、白金からなる対極、塩化銀からなる参照極および各種試料からなる試料極を配置して、対極から試料極へ微小電流ΔIを供給する。これにより、参照極と試料極との間の電位がその電流値ΔIに応答して自然浸漬電位から変化する。この分極により生じる電位変化量ΔEを、参照極と試料極との間に設けた電位計により検出する。こうして得られた電位変化量ΔEと供給電流値ΔIから、分極抵抗R(=ΔE/ΔI)が求まる。この分極抵抗Rは、耐食性を指標し、腐食速度の逆数と比例関係にあることが知られている。つまり相対腐食速度は1/R=ΔI/ΔEに比例し、1/Rで指標されることになる。
ちなみに、絶対腐食速度を求めるには、腐食減量測定を行い、比例係数を定めなければならないが、本実施例では、各供試材に及ぼす窒化処理の影響を評価できれば足るので、相対腐食速度をもって耐食性の評価指標とした。なお、この腐食速度の測定には、北斗電工株式会社製の腐食速度計HK−103を用いた。
以上の測定により得られた結果を表1にまとめて示した。
《評価》
(1)窒化層
本発明者は、各供試材に対して、前述した以外に窒化温度:320℃、窒化時間:4時間のプラズマ窒化処理も行った。これにより得られた試料の表面硬さは、窒化処理前後で殆ど変化がなかった。このことから、窒化温度が320℃では実質的に窒化されないことがわかった。
一方、表1からもわかるように、窒化温度が350℃になると、いずれの供試材に対しても、表面硬さが明確に向上している。このことから、窒化温度が少なくとも350℃以上になると、確実に窒化層が形成されることがわかった。
また、図1に示す試料No.A3と試料No.A5の断面組織写真(光学顕微鏡写真)から、少なくとも深さ2〜16μmの窒化層が形成されていることも確認された。
そして400℃以上で窒化処理を施すと、いずれの供試材も表面硬さが350HV以上となることもわかった。
但し、窒化温度が高温になるほど、形成される窒化層中には、クロム窒化物が多く生成されるようになり、均一なクロム酸化物層(耐食性皮膜)が形成されなくなる傾向が観られた。また、窒化温度が高温になるほど、窒化表面が粗くなる傾向になった。このため、部材に相応の摺動性や摩擦特性などが求められる場合、表面粗さが小さくなる低温窒化を行うのが好ましいと考えられる。
なお、試料No.B1と試料No.B2の表面硬さは同一で窒化処理前後で変化していないが、EDX(エネルギー分散型X線分析装置)による分析により、その表層部分に窒化物層が形成されていることが確認された。また試料No.B2の内部硬さ(表面硬さを測定した位置より内側の硬さ)は、窒化処理により確実に増加していた。このことからも、試料No.B2は窒化はされていることがわかる。
供試材Aおよび供試材Bと供試材Cとは、CrおよびNiの含有量がほぼ同等であるが、窒化処理前も窒化処理後も、供試材Aおよび供試材Bは供試材Cよりも硬かった。この原因として、微量ながら含まれるTiやNbの炭化物の影響が考えられる。
さらに、供試材Aを400℃で窒化処理した試料No.A3の表層部分の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した写真を図2に、その試料の窒化層の表面から約5μm付近を電子線回折法により解析した写真を図3に示した。これらより、試料No.A3の窒化層は、面心立方格子(FCC)構造をしており、また、ステンレス鋼からなる基材中にNが過飽和に固溶して形成された固溶層と、NがFeやCr等と形成した窒化物が基材中に分散した化合物層とによって構成されると推察される。
(2)耐摩耗性
表1から明らかなように、窒化処理によって窒化層が形成され、その窒化深さや表面硬さが大きくなるほど、摩耗深さが確実に減少した。特に、400℃以上で窒化処理した試料はいずれも、摩耗が実質的にゼロとなった。従って、本実施例に係る窒化処理により、ステンレス鋼を基材とする部材へ、十分な耐摩耗性を付与できることがわかった。
(3)クロム酸化物層
上記の試料No.A3の表層部分の断面を電子線マイクロアナライザ(EPMA)で観察した様子を図4に示した。この図4から、試料No.A3の最表面にはCrおよびOが連続的に濃化した厚さ数十nm(1〜50nm程度)の層が存在することがわかった。この層の組成や構造は明らかではないが、少なくともCrとOとから構成されるクロム酸化物層であることは確かと考えられる。
なお、Tiもその最表面近傍に存在しており、Tiがクロム酸化物層の形成に何らかの影響を与えているか、少なくとも耐食性を発揮するクロム酸化物層の形成を阻害するものではないと考えられる。
ちなみに、図示はしていないが、本発明者が分析したところ、530℃で窒化処理した試料No.A5でも、CrやOの濃化部分が最表面に観られた。しかし、その濃化部分は、断続的であって連続的な膜状にはなっていないようであった。また試料No.A5の最表面近傍では、Ti濃度が若干低下する傾向であった。
(4)耐食性
表1に記載した各試料の自然浸漬電位を図5に棒グラフで示した。
この図5より、供試材Aおよび供試材Bに400℃の窒化処理を施した試料No.A3および試料No.B3の自然浸漬電位は、いずれも貴(正値)であり、しかも、窒化処理前の一般的なステンレス鋼(試料No.C1)よりも十分に高かった。また、試料No.A3および試料No.B3の自然浸漬電位は、窒化処理前の試料No.A1および試料No.B1の自然浸漬電位よりも低下するが、その低下幅は僅かであった。
これらに対して、TiやNbを含まない供試材Cや供試材Dを400℃で窒化処理した試料No.C3や試料No.D3の自然浸漬電位は、いずれも卑(負値)であった。さらに、530℃で窒化処理した試料の自然浸漬電位は、供試材の種類を問わず全て、自然浸漬電位が−200mV以下に急減した。
これらの事情は、図5に示した各試料について、相対腐食速度を示す図6および相対腐食速度の逆数である分極抵抗を示す図7にも現れている。すなわち、供試材Aおよび供試材Bを400℃で窒化処理した試料No.A3および試料No.B3は、窒化処理していない試料No.A1および試料No.B1とほぼ同等な耐食性を示した。
また、530℃で窒化処理した試料No.A5、試料No.B5および試料No.C5を比較すると、CrおよびNiの含有量がほぼ同じであっても、微量のTiまたはNbを含有するか否かによって、窒化処理後の耐食性が大きく相違した。すなわち、試料No.A1、試料No.B1および試料No.C1からわかるように、窒化処理前のTiまたはNbの耐食性への影響はさほど大きくない。これに対して、窒化処理後のTiまたはNbの耐食性への影響は非常に大きいことが明らかとなった。
なお、供試材Dを530℃で窒化処理した試料No.D5の相対腐食速度が相対的に抑制されている理由は必ずしも定かではないが、CrとNiの含有量が相当に多いことから、Cr酸化層が形成され易いと共にNiによってオーステナイト相が安定し易いためと考えられる。
以上より、TiまたはNbを含有する供試材Aまたは供試材Bに、適切な窒化温度で窒化処理を施すと、基材(基部)の耐食性をほとんど低下させることなく、優れた耐摩耗性を付与し得ることが明らかとなった。
(5)まとめ
表1に示した各試料について、自然浸漬電位と摩耗深さとの相関を図8に示した。
この図8から明らかなように、高温で窒化処理を行う程、摩耗深さが0に近づいて耐摩耗性は向上するが、自然浸漬電位が低下(卑側へ移行)して耐食性が低下する。
もっともいずれの供試材についても、窒化温度が350℃から400℃へ変化する際、自然浸漬電位があまり変化せず、摩耗深さだけが急減(つまり、耐摩耗性が著しく改善)することがわかる。逆に、窒化温度が400℃から530℃へ変化する際、摩耗深さがほとんど変化せずに、自然浸漬電位だけが急減(つまり、耐食性が著しく悪化)することがわかる。
本発明者は、自然浸漬後の試料No.C3と試料No.C5の最表面も、X線光電子分光法(XPS) で分析した。この結果、400℃で窒化処理した試料No.C3ではCr、OおよびNが検出されたのに対して、530℃で窒化処理した試料No.C5ではそのCrが検出されなかった。このことから、530℃で窒化処理した試料の耐食性がいずれも急激に悪化したのは、Crがクロム窒化物などを形成し、最表層部分のCrが欠乏して、耐食性を発現する耐食皮膜の形成が阻害されたためと考えられる。

Claims (8)

  1. チタン(Ti)またはニオブ(Nb)の少なくとも1種を合計で0.1〜5質量%(以下単に「%」という)含み、オーステナイト相を常温域の主相とする金属組織により構成されたオーステナイト系ステンレス鋼からなる基部と、
    該基部を窒化処理することにより該基部の表面近傍に形成された窒化層と、該窒化層の最表面を被覆する少なくともクロム(Cr)および酸素(O)で構成されたクロム酸化物層とからなる表面部とを有してなり、
    耐食性および耐摩耗性に優れることを特徴とする耐食耐摩耗部材。
  2. 前記窒化層は2μm以上であり、
    前記表面部のビッカース硬さは350HV以上である請求項1に記載の耐食耐摩耗部材。
  3. 前記クロム酸化物層の厚さは、1nm以上である請求項1または2に記載の耐食耐摩耗部材。
  4. 前記表面部は、5%の塩化ナトリウム(NaCl)の水溶液中で塩化銀(AgCl)からなる参照極を用いて測定した自然浸漬電位が貴である請求項1または3に記載の耐食耐摩耗部材。
  5. 前記表面部は、前記水溶液中で前記参照極に対する電位差から求めた分極抵抗が4500Ωcm以上である請求項6に記載の耐食耐摩耗部材。
  6. 前記基部のオーステナイト系ステンレス鋼は、ニッケル(Ni)を4〜30%含む請求項1または5に記載の耐食耐摩耗部材。
  7. TiまたはNbの少なくとも1種を合計で0.1〜5%含み、オーステナイト相を常温域の主相とする金属組織により構成されたオーステナイト系ステンレス鋼からなる基部にプラズマ窒化処理を施す窒化工程を備え、
    請求項1〜6のいずれかに記載の耐食耐摩耗部材が得られることを特徴とする耐食耐摩耗部材の製造方法。
  8. 前記窒化工程は、窒化温度が330〜480℃の低温窒化工程である請求項7に記載の耐食耐摩耗部材の製造方法。
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