JP2011041077A - 映像品質推定装置、方法、およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特徴量抽出部12により、映像受信端末2から取得した映像信号Sから、元の映像に対する符号化処理による当該映像の劣化度合いを示す、ブロックノイズ量B、高周波成分量H、および動き量Tなどの特徴量を抽出し、映像品質算出部13により、これら特徴量から映像品質Vを算出する。
【選択図】 図1
Description
映像メディアを用いた通信の場合、ネットワークの利用効率を向上させるため情報量圧縮(符号化)が行われる。符号化された映像メディアは、原映像、すなわち劣化のない映像信号と比較して、高周波成分の欠落やブロックノイズの増加などにより、ぼけ・にじみ・モザイク状の歪、ぎくしゃく感などといった現象を招く。このため、ユーザが知覚する品質、すなわちユーザ体感品質(QoE:Quality of Experience)は低下する。
このような映像通信サービスを品質良く提供するためには、サービス提供に先立った品質設計やサービス提供中の品質管理が重要となり、このためには、ユーザが享受する品質を適切に表現でき、しかも簡便かつ効率的な映像品質評価技術が必要となる。
映像品質は、図6のように、同一ビットレート条件でも、映像コンテンツの違いにより映像品質が異なるという、コンテンツ依存性を有している。また、映像品質は、図7のように、同一ビットレート条件においても、コーデックの実装の違いにより映像品質が異なるという、実装依存性を有している。したがって、映像品質を精度よく推定するためには、コンテンツ依存性およびコーデック実装依存性を加味する必要がある。
[映像品質推定装置]
まず、図1を参照して、本実施の形態にかかる映像品質推定装置について説明する。図1は、本実施の形態にかかる映像品質推定装置の構成を示すブロック図である。
本発明は、映像受信端末2が受信再生した映像信号Sから符号化劣化に関する特徴量を抽出し、これら特徴量に基づき映像品質Vを算出することで、コンテンツ依存性およびコーデック実装依存性を加味した映像品質Vを推定する。具体的には、以下の3つの品質特性を捉えた特徴量、すなわちブロックノイズ量B、高周波成分量H、および動き量Tを、映像信号Sから抽出する。
通常、映像符号化処理では、入力映像の画面を、例えば8x8画素からなる矩形のブロックに区分し、ブロックごとに離散コサイン変換(DCT:Discrete Cosine Transform)処理を適用して画素値の高周波成分を削減しているため、ブロックの境界線の画素値(輝度値、色差値)に原映像には存在しない不自然なエッジが生じる。このエッジをブロックノイズという。このため、このようなブロックノイズ量が増加すると、ブロック境界線が顕著になり映像品質が低下する。本発明では、このブロックノイズの量を捉えた特徴量をブロックノイズ量Bと定義する。
したがって、ブロックノイズ量Bを抽出するためには、ブロック境界線付近の領域、すなわちブロック境界領域と、それ以外の領域、すなわち非ブロック境界領域とのエッジ量の平均値の比を算出することが有効である。本発明では、ブロック境界領域と非ブロック境界領域とのエッジ量の比をフレームごとに算出し、これらエッジ量の比をフレーム数で平均した値をブロックノイズ量Bとする。
前述したように、映像符号化処理で用いる離散コサイン変換処理により、映像の画素値の高周波成分が低下する。これにより、画面全体が平坦になり、ぼけとして知覚され映像品質が低下する。本発明では、このような高周波成分を捉えた特徴量を高周波成分量Hと定義する。
隣接フレーム間で動きの量が多い映像は、ブロックノイズや高周波成分の減少(ぼけ)などの劣化が知覚され難い。このため、同じ劣化量でも、動きの量が多くなるに従い、それらの劣化が知覚され難くなり、映像品質が高くなる。本発明では、この動きの量を捉えた特徴量を動き量Tと定義する。
動きの量が多い映像は、隣接フレーム間での画素値の変化が大きくなる。本発明では、隣接フレーム間ごとに、両フレーム間の画素値の差分値について標準偏差値を算出し、これら標準偏差値を隣接フレーム間数で平均した値を動き量Tとする。
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる映像品質推定装置10の構成について詳細に説明する。
この映像品質推定装置10は、全体としてサーバ装置やパーソナルコンピュータなどの情報処理装置からなり、主な機能部として、映像信号取得部11、特徴量抽出部12、および映像品質算出部13が設けられている。
この特徴量抽出部12には、主な処理部として、ブロックノイズ量算出部12A、高周波成分量算出部12B、および動き量算出部12Cが設けられている。
次に、図3を参照して、本実施の形態にかかる映像品質推定装置10の動作について説明する。図3は、本実施の形態にかかる映像品質推定装置の映像品質推定処理を示すフローチャートである。
映像品質推定装置10は、オペレータからの指示操作や外部装置(図示せず)からの指示に応じて、図3の映像品質推定処理を開始する。
次に、ブロックノイズ量算出部12Aにおけるブロックノイズ量算出処理について詳細に説明する。
ブロックノイズ量算出部12Aは、まず、映像信号取得部11で取得した映像信号Sに、エッジ抽出フィルタ処理を適用し、エッジ映像信号を生成する。エッジ抽出フィルタ処理の具体例としては、例えば、公知のCanny Edge Detector(非特許文献4など参照)を使用すればよい。このエッジ抽出フィルタとしては、Sobelフィルタやラプラスフィルタを適用することができるが、Canny Edge Detectorを利用すれば、今回対象とするブロックノイズによって生じるブロック間の境界線についてはより精度良く抽出できる。
本実施例では、図4のように、(1)ブロック境界線が画素境界に位置する場合は、ブロック境界線に隣接するすべての画素をブロック境界線領域と設定し、(2)ブロック境界線が画素内に位置する場合は、ブロック境界線を含むすべての画素およびそれらの画素に隣接するすべての画素をブロック境界線領域と設定する。
したがって、ブロックノイズ量算出部12Aは、次の式(3)に示すように、画素値平均値B1(n)と画素値平均値B2(n)の比を全フレーム数Nで平均した値をブロックノイズ量Bとして算出する。
次に、高周波成分量算出部12Bにおける高周波成分量算出処理について詳細に説明する。
高周波成分量算出部12Bは、映像信号取得部11で取得した映像信号Sから、高周波成分量Hを算出する。高周波成分量Hの算出方法については公知の手法を用いればよい(例えば、非特許文献5など参照)。
次に、動き量算出部12Cにおける動き量算出処理について詳細に説明する。
動き量算出部12Cは、映像信号取得部11で取得した映像信号Sから、動き量Tを算出する。動き量Tの算出方法については公知の手法を用いればよい(例えば、非特許文献6など参照)。
次に、映像品質算出部13における映像品質算出処理について詳細に説明する。
映像品質算出部13は、次の式(9)に基づいて、特徴量抽出部12で抽出したブロックノイズ量B、高周波成分量H、および動き量Tから、映像品質Vを算出する。
このように、本実施の形態は、特徴量抽出部12により、映像受信端末2から取得した映像信号Sから、元の映像に対する符号化処理による当該映像の劣化度合いを示す、ブロックノイズ量B、高周波成分量H、および動き量Tなどの特徴量を抽出し、映像品質算出部13により、これら特徴量から映像品質Vを算出するようにしたので、映像品質のコンテンツ依存性やコーデック実装依存性を考慮して、映像品質を高い精度で推定できる。
このため、映像通信サービスを利用するユーザに対して、ある一定以上の映像品質を提供できているかどうかを、より正確に判断することができる。これにより、提供中のサービスの品質実態を把握・管理することが可能となる。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
Claims (13)
- IPネットワークを介して受信した符号化映像データを映像受信端末で復号して得られた映像に対して、ユーザが体感する映像品質を推定する映像品質推定装置であって、
前記映像受信端末から取得した映像信号から、符号化処理による当該映像の劣化度合いを示す特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
前記特徴量から映像品質を算出する映像品質算出部と
を備えることを特徴とする映像品質推定装置。 - 請求項1に記載の映像品質推定装置において、
前記特徴量抽出部は、
離散コサイン変換処理に起因して発生するブロックノイズが前記映像信号に含まれている量を示すブロックノイズ量を、前記映像信号から前記特徴量として算出するブロックノイズ量算出部、
離散コサイン変換処理に起因して低減する高周波成分が前記映像信号に含まれている量を示す高周波成分量を、前記映像信号から前記特徴量として算出する高周波成分量算出部、
隣接フレーム間で変化する画素値の変化の大きさを示す動き量を、前記映像信号から前記特徴量として算出する動き量算出部
のうち、いずれか1つ以上またはすべてを含むことを特徴とする映像品質推定装置。 - 請求項2に記載の映像品質推定装置において、
前記ブロックノイズ量算出部は、前記映像信号にエッジ抽出フィルタを適用して得たエッジ映像信号を構成するフレームごとに、前記離散コサイン変換処理の処理単位である画素ブロックの境界線に基づいて、当該境界線近隣のブロック境界線領域に含まれる画素の画素値平均値と、当該ブロック境界線領域以外の非ブロック境界線領域に含まれる画素の画素値平均値との比を算出し、これら比を各フレームで平均した値を前記ブロックノイズ量として算出することを特徴とする映像品質推定装置。 - 請求項2に記載の映像品質推定装置において、
前記高周波成分量算出部は、前記映像信号を構成するフレームごとに、当該フレーム画面に含まれる画素のうち水平方向または垂直方向の少なくともいずれか一方において画素値勾配が変化する極値画素の数を、画面端画素を除く当該フレーム画面の画素数で除算した値を算出し、これら値を各フレームで平均した値を高周波成分量として算出することを特徴とする映像品質推定装置。 - 請求項2に記載の映像品質推定装置において、
前記動き量算出部は、前記映像信号を構成するフレームのうち隣接する2つのフレームごとに、当該2つのフレーム間における同一画素位置の画素値の差分値について、これら差分値の分布を示す標準偏差値を算出し、これら標準偏差値を各フレームで平均した値を前記動き量として算出することを特徴とする映像品質推定装置。 - 請求項2に記載の映像品質推定装置において、
前記映像品質算出部は、前記特徴量および前記特徴量同士の乗算値に対して個別の係数をそれぞれ乗算した値の線形和により、前記映像品質を算出することを特徴とする映像品質推定装置。 - IPネットワークを介して受信した符号化映像データを映像受信端末で復号して得られた映像に対して、ユーザが体感する映像品質を推定する映像品質推定方法であって、
前記映像受信端末から取得した映像信号から、当該映像に対する符号化処理による当該映像の劣化度合いを示す特徴量を抽出する特徴量抽出ステップと、
前記特徴量から映像品質を算出する映像品質算出ステップと
を備えることを特徴とする映像品質推定方法。 - 請求項7に記載の映像品質推定方法において、
前記特徴量抽出ステップは、
離散コサイン変換処理に起因して発生するブロックノイズが前記映像信号に含まれている量を示すブロックノイズ量を、前記映像信号から前記特徴量として算出するブロックノイズ量算出ステップ、
離散コサイン変換処理に起因して除去される高周波成分が前記映像信号に含まれている量を示す高周波成分量を、前記映像信号から前記特徴量として算出する高周波成分量算出ステップ、
隣接フレーム間で変化する画素値の変化の大きさを示す動き量を、前記映像信号から前記特徴量として算出する動き量算出ステップ
のうち、いずれか1つ以上またはすべてを含むことを特徴とする映像品質推定方法。 - 請求項8に記載の映像品質推定方法において、
前記ブロックノイズ量算出ステップは、前記映像信号にエッジ抽出フィルタを適用して得たエッジ映像信号を構成するフレームごとに、前記離散コサイン変換処理の処理単位である画素ブロックの境界線に基づいて、当該境界線近隣のブロック境界線領域に含まれる画素の画素値平均値と、当該ブロック境界線領域以外の非ブロック境界線領域に含まれる画素の画素値平均値との比を算出し、これら比を各フレームで平均した値を前記ブロックノイズ量として算出するステップを含むことを特徴とする映像品質推定方法。 - 請求項8に記載の映像品質推定方法において、
前記高周波成分量算出ステップは、前記映像信号を構成するフレームごとに、当該フレーム画面に含まれる画素のうち水平方向または垂直方向の少なくともいずれか一方において画素値勾配が変化する極値画素の数を、画面端画素を除く当該フレーム画面の画素数で除算した値を算出し、これら値を各フレームで平均した値を高周波成分量として算出するステップを含むことを特徴とする映像品質推定方法。 - 請求項8に記載の映像品質推定方法において、
前記動き量算出ステップは、前記映像信号を構成するフレームのうち隣接する2つのフレームごとに、当該2つのフレーム間における同一画素位置の画素値の差分値について、これら差分値の分布を示す標準偏差値を算出し、これら標準偏差値を各フレームで平均した値を前記動き量として算出するステップを含むことを特徴とする映像品質推定方法。 - 請求項8に記載の映像品質推定方法において、
前記映像品質算出ステップは、前記特徴量および前記特徴量同士の乗算値に対して個別の係数をそれぞれ乗算した値の線形和により、前記映像品質を算出するステップを含むことを特徴とする映像品質推定方法。 - コンピュータを、請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の映像品質推定装置を構成する各部として機能させるためのプログラム。
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